JP2002371442A - 毛布用再生ポリエステル紡績糸およびそれを用いた毛布 - Google Patents

毛布用再生ポリエステル紡績糸およびそれを用いた毛布

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blanket
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fiber
recycled polyester
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Hatsuo Setoguchi
初男 瀬戸口
Makoto Nishida
誠 西田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、天然素材にはないイージケア性およ
び耐久性を有する合成繊維素材を用いた上で、かつ、環
境に配慮した素材、すなわち環境負荷を軽減する上に、
マテリアルリサイクルし易く、かつ、燃焼させても環境
にやさしい優れた毛布用再生ポリエステル紡績糸および
それを用いた毛布を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の毛布用再生ポリエステル紡績糸
は、構成する短繊維の少なくとも一部が、再生ポリエス
テル短繊維であることを特徴とするものである。本発明
の毛布は、かかる毛布用再生ポリエステル紡績糸を用い
て構成されていることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、毛布用ポリエステ
ル紡績糸およびそれを用いた毛布に関する。
【0002】
【従来の技術】近来、毛布用素材はウールや木綿などの
天然素材からアクリルなど合成繊維素材に大きく変わっ
てきている。これは合成繊維素材の持つイージケア性、
耐久性などの特徴を生かしたものであるが、その中でも
アクリルは素材の持つバルキー性、ソフト性、発色性な
どの特徴に起因するもので、この分野で独壇場となって
いる。
【0003】昨今ゴミ処理の問題がクローズアップされ
官民一体となってゴミの減量化や環境及び資源の保全と
いう世界的なムーブメントからも廃棄物の有効活用(リ
サイクル)が叫ばれてきている。
【0004】使用済みのアクリル毛布などの有効活用と
して、引っ越しなどで家具の緩衝材としたり反毛用途と
して形態を変えて再利用したりすることがあるが、アク
リルはポリマ自体まで戻し再び繊維に再利用することが
困難であり、一般的には可燃ゴミとして焼却処理される
ことが多い。しかし、アクリル製毛布は分子構造上燃焼
させると青酸ガスを発生することとなり大気汚染が懸念
される素材で、基本的に焼却処理は好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の背景に鑑み、天然素材にはないイージケア性
および耐久性を有する合成繊維素材を用いた上で、か
つ、環境に配慮した素材、すなわち環境負荷を軽減する
上に、マテリアルリサイクルし易く、かつ、燃焼させて
も環境にやさしい優れた毛布用再生ポリエステル紡績糸
およびそれを用いた毛布を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の毛布用再生ポリエステル紡績糸
は、構成する短繊維の少なくとも一部が、再生ポリエス
テル短繊維であることを特徴とするものである。本発明
の毛布は、かかる毛布用再生ポリエステル紡績糸を用い
て構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまりイー
ジケア性および耐久性を有し、かつ、環境負荷を軽減す
る上に、マテリアルリサイクルし易く、かつ、燃焼させ
ても環境にやさしい優れた毛布用再生ポリエステル紡績
糸について、鋭意検討し、再生ポリエステル短繊維を用
いて紡績糸をつくってみたところ、かかる課題を一挙に
解決することを究明したものである。
【0008】本発明の毛布用紡績糸は、構成する短繊維
の少なくとも一部が、再生ポリエステル短繊維である必
要がある。この再生ポリエステル短繊維は、いったんポ
リエステル製品あるいはポリエステル製品を製造する際
に発生する屑を用い、溶解しポリマ状態にした上で、再
度繊維状にし、さらに短繊維化したもの、さらには、い
ったんポリエステル製品あるいはポリエステル製品を製
造する際に発生する屑を用い、ポリエステル原料にまで
分解、精製した上で、再度重合、繊維状にし、さらに短
繊維化したものなどである。このような再生ポリエステ
ル短繊維を用いることにより、本来産業廃棄物あるいは
燃焼による二酸化炭素増加といった環境負荷の増大を防
ぐことができるのである。
【0009】ここでいうポリエステル製品とは、ポリエ
ステル組成物であれば、特に限定するものではなく、ポ
リエステル繊維でできた織物や編物、不織布などいわゆ
る布帛であっても、ロープのような繊維状物であって
も、ペットボトルやその他構造物あるいはそれらを製造
する際に発生する屑であってもよい。ただし、好ましく
は同一素材で大量に収集しやすいペットボトルや製織時
に発生する屑などが好ましい。
【0010】ここで、再生ポリエステル短繊維の主な原
料は、特に限定するものではなく、ポリエチレンテレフ
タレート系ポリマ、ポリプロピレンテレフタレート系ポ
リマ、ポリブチレンテレフタレート系ポリマ、ポリエチ
レンナフタレート系ポリマなどいずれでもよく、またこ
れらの混合物であってもよい。好ましくはポリエチレン
テレフタレート系ポリマであり、これらのポリマは先に
述べたペットボトルなどで入手しやすくてよい。
【0011】本発明でいう繊維断面に少なくとも1つ以
上の凹凸を有するポリエステル短繊維あるいは再生ポリ
エステル短繊維とは、具体的には、図1に例示したよう
な断面形状を有する繊維であって、すなわち、C型断
面、π型断面、H断面などの断面形状を有する原綿のほ
か、Y型断面、十字断面などの多葉断面、リアス式に凹
凸を有する扁平断面を有する原綿も使用することができ
る。
【0012】かかる特定な断面形状を有する、つまり繊
維断面に少なくとも1つ以上の凹凸,扁平,易染性を有す
るポリエステル短繊維あるいは再生ポリエステル短繊維
は、該紡績糸中に、好ましくは少なくとも10重量%、
さらに好ましくは少なくとも50重量%含有されている
のが、前記課題を達成する上からよい。
【0013】本発明の毛布用再生ポリエステル紡績糸を
用いて構成された毛布は、短繊維間の最大の沸水収縮率
の差が、好ましくは4.0%以上、さらに好ましくは8
%以上である複数種の短繊維で構成されているのがよ
い。すなわち、沸水収縮率差が4.0%以上の場合、染
色や仕上げ工程での熱処理において、毛布に形成したと
きにおいて、パイルが十分にふくらみ感をあたえるとい
う特徴を発揮する。
【0014】ここで、沸水収縮率の差が、4.0%以上
である再生ポリエステル短繊維で構成されているとは、
構成されているポリエステル短繊維あるいは再生ポリエ
ステル短繊維の中で、最大の短繊維と最小の短繊維の沸
水収縮率の差が、4.0%以上であればよいのであっ
て、たとえば、3種以上のポリエステル短繊維あるいは
再生ポリエステル短繊維で構成されている場合は、3種
の該短繊維のうち、沸水収縮率が最も高い短繊維と最も
低い短繊維の差が4.0%以上であることを意味するも
のである。
【0015】本発明の再生ポリエステル紡績糸及びそれ
からなる毛布は、かかる高い沸水収縮率を有する再生ポ
リエステル短繊維を、好ましくは少なくとも30重量
%、さらに好ましくは少なくとも50重量%含まれてい
る場合に、前記本発明の効果をより好適に発揮するもの
である。
【0016】かかる高い沸水収縮率を有するポリエステ
ル短繊維あるいは再生ポリエステル短繊維としては、高
い沸水収縮率を示すポリエステル短繊維あるいは、再生
ポリエステル短繊維であれば、ポリマ成分に関係なく、
ポリエチレンテレフタレートでも、ポリブチレンテレフ
タレートなど特に限定されるものではなく、たとえば高
い沸水収縮率を有する再生ポリエステル短繊維として
は、比較的低い温度で、かつ、低い倍率で延伸して得た
短繊維であってもよく、また、ポリマ自体収縮しやすい
ように第3成分を共重合した再生ポリマで製造した再生
ポリエステル短繊維であってもよい。かかる共重合の成
分としては、イソフタル酸、5−ナトリウムスルフォイ
ソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸や、セパシン酸、
シュウ酸などの脂肪族カルボン酸、さらに、2・2ビス
{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパ
ン、2・2ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェ
ニル}スルフォン、スピログリコール、ネオペンチルグ
リコールなどのグリコールを用いることができる。
【0017】本発明の毛布用再生ポリエステル紡績糸
は、構成する短繊維の平均繊度が5デシテックス以下で
あることが好ましい。
【0018】本発明の毛布用再生ポリエステル紡績糸を
構成する短繊維は、つや消し剤を含有してもよく、つや
消し剤は特に限定されるものではないが、酸化チタン、
酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの無機粒子を用いる
ことができ、また、抗菌性性能を付与するため銀ゼオラ
イト粒子などの抗菌粒子を、また、導電性を付与するた
め導電性粒子を、必要に応じて含有していてもよく、さ
らにその他の機能粒子を有していてもよい。
【0019】本発明の毛布用再生ポリエステル紡績糸
は、再生ポリエステル繊維以外に、本発明の目的を損な
わない範囲内であれば、少量の羊毛、木綿、絹などの天
然繊維やレーヨン、ポリアミド、ポリアクリル、ポリア
セテート、ポリビニルなどの化学繊維や合成繊維を含む
ものであってもよい。さらに、本発明の毛布用再生ポリ
エステル紡績糸は、フィラメント糸との複合糸であって
もよい。
【0020】本発明の毛布用再生ポリエステル紡績糸
は、タフト毛布、織毛布、シール毛布、マイヤー毛布、
ニューマイヤ毛布など、各種の毛布に使用することがで
きるが、特に立毛性、バルキー性を重視するマイヤー毛
布やニューマイヤー毛布などに好適に使用される。かか
る毛布の使用方法としては、掛け毛布であっても敷き毛
布であってもよく、また電気毛布であってもよい。
【0021】かかる毛布の染色方法は、特に限定するも
のではなく、無地染めであってもよいが、比較的容易に
色柄の豪華さを引き出す一つの手法として多色を使うプ
リント染色法を採用することができる。このプリント染
色法は、マイヤー毛布などで好ましく使用されている。
【0022】本発明の毛布用再生ポリエステル紡績糸
は、図2に示すように、断面が少なくとも凹凸、扁平、
易染性を有するものであり、通常の円形断面繊維に比べ
て、断面積に対して断面の周長が長く、肉厚が薄いた
め、たとえリング染色状態になっても、繊維内部まで染
料が拡散されて、未染色部分が少なくなるという利点が
ある。また、パイルがよく開き、分散しやすいため、染
料が均一に付着しやすいという利点もある。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例によりさらに
詳細に説明する。本発明に記載した諸特性の評価方法
は、JIS規格に定める方法に準じた。
【0024】実施例1 ペットボトルを回収して溶融させた後、繊維化して製造
した再生ポリエステル短繊維(繊度2デニール、繊維長
51mmの十型断面形状)を用い、ヨリ係数=3.2の
24番手(綿番手)の本発明の毛布用再生ポリエステル
紡績糸を作成した。パイル用としてこの紡績糸を用い、
地糸として再生ポリエステル長繊維(100d/24f)を使用
し、ダブルラッセル機を使用して編み立て、センターカ
ットし、分散染料を用いてプリント染色した。この染色
反をブラッシング、シャーリング、ポリッシングし、マ
イヤー毛布を作成した。
【0025】得られた毛布は構成する立毛繊維の開繊性
が良好でバルキー性に富みさらにソフトな風合いを有す
るものとなった。発色性においても毛布では十分な明度
差のある色調を有し、高級感のあるマイヤー毛布を得ら
れた。
【0026】この毛布を燃焼させたが、シアンガスは発
生しなかった。
【0027】比較例1 パイル用として繊度2デニール、繊維長51mmのアク
リル短繊維を用い、実施例1と同様な条件で製編、染
色、ブラッシング、シャーリングポリッシングしてマイ
ヤー毛布を作成した。
【0028】この毛布は風合い的には良好なものであっ
たが、燃焼させるとシアンガスが発生した。
【0029】実施例2 パイル用として、実施例1で使用した再生ポリエステル
短繊維と、イソフタル酸を7.0mol%、2 ・2ビス{4−
(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパンを4mo
l %共重合したポリエステルポリマを用いた短繊維(繊
度2d、繊維長51mm、沸水収縮率25%)を1:1
の割合で用いた他は基本的に実施例1と同様な条件で紡
績し、さらにマイヤー毛布を作成した。
【0030】得られた毛布は特に開繊性、バルキー性、
発色性に優れたマイヤー毛布となった。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、開繊性に優れ、バルキ
ーでソフトな風合いを有し、かつ、マテリアルリサイク
ルし易く、かつ、燃焼させても環境に優しい毛布を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この図は、本発明の毛布用再生ポリエステル
紡績糸を構成する、繊維断面に少なくとも1つ以上の凹
部を有するポリエステル短繊維の断面の繊維形状の一例
を示す断面図である。
【図2】 この図は、本発明の毛布用再生ポリエステル
紡績糸を構成する、扁平ポリエステル短繊維の断面の繊
維形状の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
なし

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成する短繊維の少なくとも一部が、再
    生ポリエステル短繊維であることを特徴とする毛布用再
    生ポリエステル紡績糸。
  2. 【請求項2】 構成する短繊維の1種の繊維断面に少な
    くとも1つ以上の凹部を有する請求項1に記載の毛布用
    再生ポリエステル紡績糸。
  3. 【請求項3】 構成する短繊維の1種の繊維断面の長径
    /短径で表される扁平率Aが1.5≦A≦3.0である
    扁平ポリエステル短繊維であることを特徴とする請求項
    1あるいは2に記載の毛布用再生ポリエステル紡績糸。
  4. 【請求項4】 構成する短繊維がポリエステルであっ
    て、その少なくとも1種が易染性ポリエステル系短繊維
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の毛布用再生ポリエステル紡績糸。
  5. 【請求項5】 該易染性ポリエステル系短繊維が、5ー
    ナトリウムスルホイソフタル酸およびポリアルキレング
    リコールから選ばれた少なくとも1種の共重合成分を共
    重合してなるコポリエステルで構成されたものであるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の毛布用
    再生ポリエステル紡績糸。
  6. 【請求項6】 該紡績糸が4.0%以上の沸水収縮率の
    差を有するポリエステル繊維で構成されていることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の毛布用再生ポ
    リエステル紡績糸。
  7. 【請求項7】 該紡績糸が8.0%以上の沸水収縮率の
    差を有するポリエステル繊維で構成されているものであ
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の毛
    布用再生ポリエステル紡績糸。
  8. 【請求項8】 該コポリエステルが、該共重合成分を
    1.0から10重量%含むことを特徴とする請求項5に
    記載の毛布用再生ポリエステル紡績糸。
  9. 【請求項9】 該易染性ポリエステル系短繊維が、該構
    成ポリエステル短繊維中に少なくとも30%重量%含有
    されていることを特徴とする請求項4または5に記載の
    毛布用再生ポリエステル紡績糸。
  10. 【請求項10】 該構成ポリエステル短繊維において、
    高い方の沸水収縮率を有する短繊維が、少なくとも20
    重量%含まれていることを特徴とする請求項1〜9のい
    ずれかに記載の毛布用再生ポリエステル紡績糸。
  11. 【請求項11】 該構成ポリエステル短繊維において、
    高い方の沸水収縮率を有する短繊維が、少なくとも30
    重量%含まれていることを特徴とする請求項1〜9のい
    ずれかに記載の毛布用再生ポリエステル紡績糸。
  12. 【請求項12】 該異形断面繊維が、構成短繊維中少な
    くとも30重量%含まれていることを特徴とする請求項
    1〜11のいずれかに記載の毛布用再生ポリエステル紡
    績糸。
  13. 【請求項13】 該構成ポリエステル短繊維において、
    構成短繊維中に異形断面繊維が、少なくとも50重量%
    含まれていることを特徴とする請求項1〜11のいずれ
    かに記載の毛布用再生ポリエステル紡績糸。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれかに記載の毛
    布用再生ポリエステル紡績糸を用いて構成されているこ
    とを特徴とする毛布。
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