JP2002371191A - マイクロカプセル含有成形品、その検査方法、及びその検査装置 - Google Patents

マイクロカプセル含有成形品、その検査方法、及びその検査装置

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JP2002371191A
JP2002371191A JP2001179254A JP2001179254A JP2002371191A JP 2002371191 A JP2002371191 A JP 2002371191A JP 2001179254 A JP2001179254 A JP 2001179254A JP 2001179254 A JP2001179254 A JP 2001179254A JP 2002371191 A JP2002371191 A JP 2002371191A
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Japan
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molded article
molded product
microcapsules
microcapsule
phosphor
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JP2001179254A
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Naohiko Oyasato
直彦 親里
Yumiko Kita
由美子 喜多
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 易リユース成形品に閲し、成形品に発生した
クラックなどの劣化部位について、使用段階では外観上
の劣化をもたらさずに使用継続が可能で、リユースのた
めの品質検査工程において容易に発見しうる成形材料お
よびこれを用いた成形品を再使用する際の検査方法を提
供すること。 【解決手段】 蛍光体をコア材とするマイクロカプセル
型添加剤及びこれを含有する成形品を用いる。成形品に
クラックを生じたとき、カプセルの破壊により包含され
ていた蛍光体がカプセル外に漏出し、クラック隙間に浸
透拡散する。リユースのための品質検査、あるいは定期
検査において微小クラックを検知したい場合にのみ、紫
外線ランプなどの刺激エネルギーの照射により欠陥個所
が蛍光を発し、容易に欠陥個所を発見できようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用済み成形品の
リユース技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】循環型社会への移行を目的とする各種法
令が整備されており、使用済み製品および部品を積極的
にリユースすることが求められている。リユースにおけ
る最大の課題は如何に品質の保証を行うかという点にあ
る。使用済み製品および部品をリユースするためには、
使用中に受けた応力劣化の有無を検知する必要がある。
【0003】金属、コンクリートなどの大型構造材料の
欠陥検出法においては、X線法、アコースティツクエミ
ッション法、などの手法がある。しかしこれらの方法は
高価な機器を必要とし、複雑形状かつ小型の部品が多い
樹脂材料には有効な手段とはいえない。また家電製品な
ど大量生産品に対する手段としては、検査時間がかかり
すぎる問題もある。このため成形品に対して従来行われ
ている簡便な方法は、目視による外観検査が主なもので
あるが、外部からの応力により生じた微小なクラック
は、応力がなくなると見かけ上再び隙間がなくなり、目
視による検知は困難であった。このため致命的な大きな
破壊に進行するまで応力劣化があっても見逃される可能
性が高い。使用済み製品および部品のリユースにおいて
は、使用による劣化が性能的に問題がないことを保証し
なければならないため、致命的な破壊に至る前の応力劣
化によるクラックを検知する必要がある。
【0004】このような課題に対し、コア材として空気
または水と反応し発光する材料を封入したマイクロカプ
セルを構造材中に分散させておく材料が知られている
(特開平7−134071号公報)。また、樹脂組成物
に着色剤をコア材とするマイクロカプセルを分散させて
おき、この組成物を用いた成型物の着色の程度によって
リサイクル回数の判別を行う技術が知られている(特開
平8−302207号公報)。これらはクラックやキズ
などの応力劣化が発生した際、あるいはリサイクルのた
めの破砕工程において、マイクロカプセルが同時に破壊
され、コア材が外部に漏出、発色するものである。これ
らの技術は、リユースを行う際には劣化部位の検出が容
易な利点がある一方、家電製品を始めとする民生品への
適用においては問題を生ずる場合がある。それは一般ユ
ーザーが使用中に発色してしまうと発色した時点で著し
く外観を損ね、製品価値を失ってしまう問題である。特
に製品や部品のリユースにおいて、成形品の破壊に直結
するような大きなクラックの発生によって製品価値は失
われることは当然であるが、実用上問題を生じないレベ
ルの微小なクラックやキズの場合は、ユーザーから不要
品として廃棄されるまで外観上問題なく継続使用でき、
回収品をリユースするための品質検査工程においては容
易に劣化部位を検出可能な特性を有する成形材料の開発
が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、易リユース成形品に関し、成形品に発生し
たクラックなどの劣化部位について使用段階では外観上
の品質劣化をもたらさず、リユースのための品質検査工
程において容易に発見しうる成形材料、およびこれを用
いた成形品を再使用する際の検査方法および検査装置を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するためになされたもので、蛍光体をコア材とするマ
イクロカプセル型添加剤を成型品に含有させ、あるいは
このマイクロカプセルを塗料に添加して成型品表面に塗
装し、この成型品に刺激エネルギーを与えて蛍光を放射
させ成型品の欠陥を検知することを特徴とするものであ
る。
【0007】すなわち、第1の本発明は、蛍光体をコア
材とするマイクロカプセルと、このマイクロカプセルを
含有する成型品とを有することを特徴とするマイクロカ
プセル含有成型品である。
【0008】また、第2の本発明は、蛍光体をコア材と
するマイクロカプセルと表面に塗装された塗料とを有す
ることを特徴とするマイクロカプセル含有成型体であ
る。
【0009】また、第3の本発明は、蛍光体をコア材と
するマイクロカプセルを含有する成型品もしくは蛍光体
を含有する塗料によって塗装された成型品に、刺激エネ
ルギーを与える工程と、刺激エネルギーによって放射さ
れる蛍光の強度変異部位を検知する工程を含むことを特
徴とするマイクロカプセル含有成型品の検査方法であ
る。この第4の本発明において、上記刺激エネルギーと
しては紫外光を用いることが適している。
【0010】また、第4の本発明は、成型品に刺激エネ
ルギーを照射する手段と、該刺激エネルギー照射によっ
て成型品から放射される蛍光を測定する蛍光強度測定手
段と、該蛍光強度測定手段から得られる成型品表面の蛍
光強度分布から許容変動範囲を超える蛍光強度変動部分
の存在を判定する解析手段と、該解析手段によって判定
される許容変動範囲を超える蛍光強度変動部分を有する
検体を選別する選別手段とを備えることを特徴とするマ
イクロカプセル含有成型品の検査装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、蛍光体をコア材とするマイ
クロカプセル型添加剤を適用した成形品における応力劣
化個所の検知について説明する。
【0012】図1が、本発明で用いる蛍光体をコア材料
とするマイクロカプセルの断面図である。図1中、11
が蛍光体からなるコア材であり、12がシェル材であ
る。そして、図2が本発明の成型品もしくは成型品表面
に形成した塗膜の断面であり、このマイクロカプセル2
1は、図2に見られるように成型品材料もしくは塗膜2
2中に存在している。そして、成形品に外部あるいは内
部からの応力がかかり成型品にクラック23が発生した
場合、あるいは材料に衝撃などが加わることで割れや欠
けなどのキズ24が発生した場合、このクラック23、
キズ24による材料22の破壊と同時に破断面に存在す
る材料に添加されていたマイクロカプセル21も同時に
破壊され、このマイクロカプセル中に包含されていた蛍
光体が、材料22のクラック壁面23や割れ、欠けによ
って生じた表面24に沿って漏出し、蛍光体が材料22
のクラック隙間などの表面に浸透拡散する。この場合、
成形品の使用中においては、蛍光体が無色あるいは目立
たない色であるため、製品価値を著しく低下させるよう
な外観上の色彩変化は生じない。そのため、成形品自体
が使用不可能なほどの重大なクラックでない場合には、
製品の使用を継続することができる。一方、リユースの
ための品質検査、あるいは定期検査において微小クラッ
クを検知したい場合にのみ、紫外線ランプなどの刺激エ
ネルギーの照射により欠陥個所が蛍光を発し、容易に欠
陥個所を発見できるようになる。なお、成型品表面にマ
イクロカプセルを配合した塗膜を形成した場合でも、上
記成型品表面の劣化もしくは破壊の場合と同様にクラッ
ク、割れ、および欠けを検出することができる。
【0013】本発明において用いられる蛍光体とは、刺
激エネルギーを照射することによりルミネセンスを顕著
に示す材料を意味し、具体的には刺激エネルギーにより
蛍光体中の電子が基底状態から励起状態に遷移し、再び
基底状態に戻る際に光としてエネルギーを放出する特性
を有するものである。放出される光は減衰時間の短い蛍
光でも減衰時間の長いりん光のどちらでも構わないが、
民生用成形品の使用段階において夜間など暗闇でりん光
が残ることが嫌忌される場合は蛍光体の使用が好まし
い。
【0014】刺激エネルギーの照射により放出される光
の波長は特に限定されず、紫外、可視、赤外など種々の
光が用いられる。刺激エネルギーの照射に対して放射さ
れる光を目視により検知する場合には可視光が優れてい
る。一方放射光を機械的にモニタリングする場合には、
検出器の種類に応じて赤外光や紫外光を選択することも
できる。照射する刺激エネルギーは、紫外光を用いるの
が最も好ましい。紫外光を用いた場合には、照射装置が
簡便、蛍光強度が大きい、放射光検出が目視で容易など
の利点がある。この他紫外光以外の光、X線、放射線、
熱、化学、音、摩擦、陰極線、電子、などの刺激エネル
ギーを用いることも可能である。さらに化学的な前処理
を行った上で紫外線などの刺激エネルギー照射を行うこ
とも可能である。例えば水素イオン濃度、塩化物イオン
濃度、金属イオン濃度などに応じて蛍光特性が変化する
材料をコア材とした成形品の検査において、それぞれ適
当なイオン濃度の試験液に曝した上で蛍光強度の変異部
位を検知することができる。このような材料として、フ
ルオレセインやカルセインなどが挙げられる。
【0015】本発明でマイクロカプセルのコア材として
用いられる蛍光体の種類は特に限定されない。成形材料
マトリクス、塗料バインダー樹脂、マイクロカプセルシ
ェル材料との組み合わせに応じて任意に選択することが
できる。蛍光体材料は種々の有機あるいは無機の物質が
用いることができる。例えばアントラセン、タングステ
ン酸カルシウム、ローダミン、ローダミンB、フルオレ
セイン、カナリーガラス、酸化ウラン、シアン化白金、
石油、エオシン、エスクリン、ルミノール、ルミフラビ
ン、ルシゲニン、アクリフラビン、ヨウ化3,3’−ジ
エチルトリカルボシアニン、クロロアルミニウムフタロ
シアニン、スチルベン類、ベンズイミダゾール類、ベン
ズオキサゾール類、ナフタルイミド類、ルシフェリン
類、ルブレン、ペリレン、キナクリドン、クマリン、ト
リス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム錯体、
3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sb、M
n、BaMgAl1627:Eu2+、LaP
:Ce3+,Tb3+、Y :Eu3+、Zn
S:Ag,Cl、ZnS:Cu,Al、YS:E
、Blankphor B、C.I.Fluor
escent Brightening Agent
30、C.I.Fluorescent Bright
ening Agent 135、C.I.Acid
Yellow 7、C.I.Basic Red 1な
どがあげられる。この他強い蛍光を発する種々の芳香族
化合物などを用いることが可能である。また無機結晶蛍
光体では、例えば硫化亜鉛蛍光体、ハロリン酸塩蛍光体
などの賦括剤、増感剤を添加しておくことにより蛍光強
度を向上させることができる。
【0016】刺激エネルギー照射によりクラック発生部
位の蛍光強度に変異を生じさせるには、上述のように蛍
光強度の大きい材料を使用することができるが、樹脂マ
トリクス自体の蛍光が強いために蛍光による検知が有効
でない場合には、逆にクラック発生部位の蛍光強度を低
下させることにより変異を生じさせることもできる。例
えば樹脂顔料として蛍光材料を添加した場合や、樹脂自
体に芳香族骨格を有する場合などがその例である。この
ような樹脂マトリクスの場合は、蛍光体の代わりに紫外
線吸収剤を用いることができる。また、蛍光消色剤ある
いは変色剤を用いることもできる。例えば樹脂顔料とし
て蛍光材料を添加した場合には樹脂マトリクスに使われ
ている蛍光剤を反応、分解により変色、あるいは消色さ
せることが有効になる。これらは樹脂マトリクスに使用
される蛍光剤に応じて選択されるが、例えば有機酸、無
機酸、塩素化試薬、塩基性試薬などが挙げられる。ま
た、樹脂自体に芳香族骨格を有する場合には刺激エネル
ギーを吸収し、蛍光を生じない材料を用いることが有効
になる。これらは何らルミネセンス特性を示さない材料
でも良く、さらに紫外線を吸収して熱エネルギーあるい
は赤外線として放出する材料でも良い。刺激エネルギー
としての紫外線に対して可視光に蛍光を発する樹脂マト
リクスに対しては、このような可視光以外に蛍光を発す
る材料であればよい。これらは例えばサリチル酸系、ベ
ンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリ
レート系などの紫外線吸収剤が挙げられる。コア材には
上記の他、処理剤、難燃剤、顔料、レベリング剤、消泡
剤、カップリング剤、離型剤、充填材など、種々の添加
剤を混合しておくことができる。
【0017】本発明のマクロカプセルは、成型品に添加
剤として含有させて用いるか、あるいは塗料に添加しこ
れを成型品に塗装して用いられるが、成型品に添加剤と
して含有させて用いる場合、このマイクロカプセルのコ
ア材としてさらに架橋剤を含有させておくことによっ
て、架橋剤を包含するマイクロカプセル型添加剤を含有
する樹脂成形品における応力劣化個所の修復を行うこと
ができる。成形品に外部あるいは内部からの応力がかか
り成形品にクラックを生じたとき、破断面に存在する樹
脂材料に添加されていたマイクロカプセルも同時に破壊
される。破壊力プセルの破壊により包含されていた架橋
剤がカプセル外に漏出し、クラック隙間に浸透拡散す
る。生じたクラック破断面に拡散した架橋剤は、外界の
空気、酸素、水などとの接触をきっかけとして架橋ある
いは重合を開始し、硬化する。微小クラックは架橋剤の
硬化により接着する。これにより樹脂成形品全体として
の応力劣化が修復され、クラック先端を起点とする致命
的な破壊を防止することができる。本発明において、架
橋剤としては、接着剤、高分子モノマー、オリゴマー、
アダクト化合物、硬化剤、あるいは硬化促進剤、触媒な
どが単数あるいは複数用いることができる。複数を用い
る場合には高分子モノマーと硬化触媒などを別々のマイ
クロカプセルとして混合分散させておくこともできる。
【0018】マイクロカプセル化されるコア材料である
これらの蛍光体は、液体あるいは固体のいずれでも良い
が、破壊されたカプセルから流出しクラックに沿って拡
散した方が品質検査工程において検知が容易な場合が多
いため液体の蛍光体が好ましく、固体の蛍光体において
は液体の溶媒などに溶解、あるいは分散させて流動性の
ある状態にしておくことが好ましい。液体の溶媒として
は特に限定されず、例えば種々の脂肪族あるいは芳香族
の炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、アミド、
スルホキシド、ハロゲン化物、シリコン化合物などの有
機溶媒、水溶液、油脂類などを用いることができる。
【0019】本発明の蛍光体を溶解する溶媒の選択にお
いては、蛍光体の溶解性あるいは分散性が良好な溶媒を
用いることが好ましい。また、表面からの観察で容易に
発見するためには、クラックにより破壊されたマイクロ
カプセルから漏出したコア材料がクラックに沿って速や
かに浸透する必要がある。このため適用する成型品の材
料との親和性の高い溶媒であることが好ましい。固体で
ある成型品と親和性の低い溶媒を用いた場合には、成型
品と溶媒の界面の自由エネルギーが高く、強い界面張力
が働く結果、溶媒はクラックの隙間に浸透しない。この
ため成型品との界面エネルギーが小さい溶媒を組み合わ
せる必要がある。親和性は、溶媒と高分子化合物などの
溶解性や膨潤性についてまとめた公知の表や、物性値と
して溶解度パラメーターの測定値あるいは計算値から推
定することができる。すなわち溶解度パラメーターの値
の近い溶媒は、親水性あるいは疎水性の程度が成型品と
近いため、界面エネルギーを下げることができる。成型
品両者の溶解度パラメーターの差は4以内、さらに好ま
しくは1以内の組み合わせから選択すれば、浸透性の確
保に効果がある。例えば、プラスチックなどの有機化合
物の成型品に適用する場合は、疎水性の高い有機系の溶
媒が好ましい。有機系溶媒の溶解度パラメーターはおよ
そ6から15の範囲である。また、コンクリートなどの
無機化合物の成型品に適用する場合は、親水性の高い水
溶液系の溶媒が好ましい。水溶液系溶媒の溶解度パラメ
ーターはおよそ23.5である。一方、溶媒自身の特性
として表面エネルギーが低く浸透性の高い溶媒、例えば
ハロゲン系有機溶媒などを用いた場合には、溶解度パラ
メーターの差が大きくても十分な浸透性を確保すること
が可能である。蛍光体の溶解性などの制約から、成型品
と親和性の高い溶媒を用いることが困難な場合には、界
面張力、すなわち界面の自由エネルギーを低下させる作
用を示す種々の界面活性剤を用いることが有効である。
これらは例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エ
ステル塩、リン酸エステル塩などの陰イオン界面活性
剤、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩などの
陽イオン界面活性剤、カルボキシベタイン型、アミノカ
ルボン酸塩などの両性界面活性剤、エーテル型、エーテ
ルエステル型、エステル型、含窒素型などの非イオン界
面活性剤、フッ素系界面活性剤、などを用いることがで
きる。
【0020】また、本発明において用いられるコア材と
して、カプセル化されている間は固体のコアでも、カプ
セルが破壊されて空気や水に接触することにより液化、
流動化、あるいは発泡する材料を用いることも可能であ
る。これらは例えば水酸化ナトリウム、塩化カルシウ
ム、塩類、糖類、など空気中の水分を容易に吸収する潮
解性を有する物質や、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ア
ンモニウム、炭酸水素マグネシウムなどの無機系あるい
はアゾ化合物、ニトロソ化合物、スルホニルヒドラジド
化合物などの有機系の発泡剤を分解してガスを発生させ
たり、低級炭化水素やハロゲン化炭化水素などの蒸気圧
が高く容易にガス化する物質である。発泡性の添加物の
場合、さらに高粘性物を添加して発泡効果を高めること
も有効である。
【0021】上記本発明のコア材を包含するシェル材質
はコア材をカプセル化可能な材質であれば特に限定され
ず、種々の有機あるいは無機の材料を用いることができ
る。また、マイクロカプセル化手法も特に限定されず、
相分離法(コアセルベーション法)、液中乾燥法、融解
分散冷却法、スプレードライング法、パンコーティング
法、気中懸濁被覆法(Wurster法)、粉床法など
の界面沈積法、界面重合法、in situ重合法、液
中硬化被覆法(オリフイス法)、界面反応法(無機化学
反応法)などの界面反応法など、種々の公知の機械的手
法や化学的手法を用いることができる。
【0022】本発明において検知しようとしているクラ
ックとは、成型品の破断あるいは破損した部位はもちろ
んであるが、成型品が破断あるいは破損して完全な使用
不能に至る前の段階で、成型品に生じている破壊現象で
ある引張破壊、引裂き破壊、衝撃破壊、圧縮破壊、接着
破壊、疲労破壊などによるクラック、キズ、ボイドを意
味している。さらには、成型品の破壊現象に至る前駆現
象として発生するクレイズ、フイブリル、さらにクレイ
ズの前駆現象であるミクロクラック、ミクロボイドなど
を意味している。カプセルのシェル膜厚は、クラックの
発生により同時に破壊される膜厚である必要があるた
め、検知しようとするクラックに応じて適宜調製すべき
である。ミクロクラックの幅はおよそ10nmから10
0nm、クレイズは100nmから10μm、ミクロボ
イドは5nmから1μm程度とであり、特にこれらの微
小なクラックを検知することを目的とした場合には、こ
れらのサイズより薄い厚さにする必要がある。またシェ
ル材料とマトリクス材料の組合せに応じて調製する必要
がある。つまりシェル膜厚は厚いほど破壊強度が高くな
るため、マトリクス材料の破壊強度より小さくなるよう
にシェル材料の膜厚を設定する。厚すぎると成型品にお
けるクラックの発生がカプセルに達してもシェルの強度
が高くて破壊されない場合があり、逆に薄すぎると成形
材料混合段階あるいは成形加工段階など、本来の目的で
ある使用段階でのクラックやキズなどの応力劣化以外の
応力によりカプセルが破壊されてしまう場合がある。こ
のため5nmから200μm、さらには10nmから1
0μmの範囲で調製されることが好ましい。しかし材料
の組合せに応じてこの範囲外において調製することもも
ちろん可能である。
【0023】マイクロカプセルの粒子径は、クラックの
発生によりカプセルシェルを同時に破壊させることがで
き、かつ成形材料自体の性能を低下させなければ、特に
限定されない。一般に樹脂成形品などには10nmから
200μm、さらには100nmから50μmの範囲が
好ましい。またコンクリートなど大型の成形品には10
nmから10mm、さらには100nmから1mmの範
囲が好ましい。しかし材料の組合せに応じてこれらの範
囲外において調製することももちろん可能である。
【0024】本発明において、シェル材の膜厚が薄く、
かつ表面にマイクロカプセルが多数存在するような成型
体においては、たとえ材料が劣化していなくとも、刺激
エネルギー線が成形材料およびシェル材を透過して蛍光
体のコア材に作用し、蛍光を放射することがある。この
場合に、欠陥が生じていない成型品であるにもかかわら
ず、検査工程で微弱な蛍光が観測されてしまい、当該成
型品に欠陥が生じているのか、あるいはノイズであるの
か判断が困難になる場合がある。このような場合には、
シェル材に刺激エネルギー線を吸収する材料を配合して
おくことによってかかる現象を回避することができる。
このような添加剤の例としては、紫外線を刺激エネルギ
ー線として用いる場合には、紫外線吸収剤などが挙げら
れる。
【0025】本発明のマイクロカプセル型添加剤の成形
材料中への混合率は、特に限定されるものではないが、
一般に成形材料100重量部に対して0.1重量部から
50重量部の範囲で混合され用いられる。より好ましく
は0.5重量部から10重量部の範囲で用いられる。混
合量が多すぎると成型品としての本来の性能を損なった
り、不要に多量のコア材が流出して成型品が汚損する場
合があり、少なすぎるとクラックやキズの発生部位にマ
イクロカプセルが存在する確率が低下してマイクロカプ
セルの破壊が起こらなかったり、あるいは破壊が起きて
も蛍光体の流出が少ないために蛍光強度変異部位の特定
が困難になる場合がある。
【0026】本発明のマイクロカプセルを成形材料に添
加する場合には、適宜上記添加剤以外にも各種添加剤を
加えることができる。例えば、成型品のクラックが成長
したときに添加したマイクロカプセルがより確実に破壊
されるためには相溶化剤あるいはカップリング剤を添加
しておくことが有効である。例えば樹脂系の成形材料に
適用する場合、成形材料成分とシェル材料の双方に類似
の分子構造を有する、あるいは親和性の高い相溶化剤を
添加することにより、また成形材料成分とシェル材料の
双方あるいはどちらか一方と化学的な結合を形成するよ
うな反応性の官能基を有する相溶化剤や、シランカップ
リング剤のようなカップリング剤を用いることにより、
クラックの成長がマイクロカプセル外壁面に沿って進行
してマイクロカプセル自体が破壊されないといった現象
を回避することができる。本発明で用いられる相溶化剤
は、直鎖状または星状ブロック共重合体、グラフトまた
はランダム共重合体などであり、これらは例えば、水添
ブロック共重合体(SEBS)、ポリアミド(PA)/
ポリオレフイン(PO)、PA/アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン共重合体(ABS)、PA/エチレ
ン−アクリル酸共重合体/ジカルボン酸、PA/ポリエ
ステルポリアミド、PA/ポリスチレン(PS)、ポリ
カーボネート(PC)/ポリエチレン(PE)/SEB
S、PC/ポリエチレンテレフタレート(PET)/芳
香族ポリエステルカーボネート、PC/ABS、PC/
PA、PC/PE、PC/PO、PC/ポリブチレンカ
ーボネート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)
/PC、POM/ポリエチレンオキシド(PEO)/P
A、POM/スチレン共重合体/ポリ塩化ビニル(PV
C)、ポリフエニレンエーテル(PPE)/PS/スチ
レン−ブタジエン共重合体、PPE/PA、PBT/P
O、PET/ポリエーテルエステル、PET/ゴム変性
スチレン−マレイミド共重合体、液晶性高分子(LC
P)/ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、LC
P/PET、LCP/PPE、ポリエーテルイミド(P
EI)/カーボネート−シロキサン共重合体、PEI/
ポリアリレート、PEI/PA、PEI/PC、ポリエ
ステルカーボネート(PEC)/低密度ポリエチレン
(LDPE)、ポリスルホン(PSO)/スチレン−ア
クリロニトリル共重合体(SAN)、PSO/ポリエー
テル−ケトン、ポリフエニレンスルフイド(PPS)/
ポリアリルケトン、PPS/フッ素ゴム、PPS/SE
BS、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)/ポリヒ
ドロキシエーテル、PAEK/ポリアリレート、などの
共重合体である。
【0027】また、本発明においては、上記マイクロカ
プセルを塗料成分に含有させ、成型品に塗布して用いる
こともできる。本発明の塗料として用いられるバインダ
ー樹脂は、アルキッド系、アクリル系、アクリル−ウレ
タン系、エポキシ系、エポキシ−ポリエステル系、ポリ
エステル系、アクリル−シリコン系、フッ素系、ウレタ
ン系、など、公知の樹脂バインダーを用いることができ
る。また、本発明において塗料は、有機溶剤塗料として
も水性塗料としても用いることができるが、耐久性の点
で有機溶剤塗料が好ましい。本発明で用いる塗料組成物
は、上記バインダー樹脂と、前述のマイクロカプセルを
溶剤に分散させ、配合して得られるが、これらの成分の
他に着色剤、分散を均一化するための界面活性剤、塗装
表面を平滑にするためのレベリング剤、塗装を容易にす
るためのチキソトロピー剤、増粘剤、沈降防止剤など、
周知の塗料成分を添加することができる。本発明におい
て、塗料を用いた塗膜の厚さは、10〜1000μm程
度が適切であるから、本発明の塗料に配合するマイクロ
カプセルの粒径も前述の成型品に含有させる場合と同様
1〜50μmの範囲が適切である。また、マイクロカプ
セルの含有量については、塗料固形分に対して10〜6
0質量%の範囲が適切である。マイクロカプセルの含有
量がこれより少ないと、塗膜にクラックが発生しても、
十分量のマイクロカプセルが破壊されないため、必要な
蛍光強度が得られず、クラック発生の検知が困難であ
る。一方、含有量が上記範囲を上回った場合、塗膜中の
バインダー樹脂の量が不十分となるため、塗膜の強度が
不足して、耐久性のない塗膜となってしまう。なお、上
記塗料の他の成分の含有量については、通常塗料に用い
られている範囲で使用される。本発明のマイクロカプセ
ルを配合した成形品を部品として再利用する場合には何
ら問題を生じないが、成形材料として再利用する場合に
問題を生ずる場合がある。つまりペレット化のために粉
砕処理が行われると、配合されていたマイクロカプセル
が破壊され、蛍光剤が漏出してしまうことである。この
ような成形体を再利用する場合には、サンドイッチ成
形、つまり再利用する成形材料を新規の成形材料で挟
み、外装部分に露出しないように成形することが有効で
ある。本発明の成形体を再生材料とするサンドイッチ成
形の手法は、公知の手法を用いることができる。サンド
イッチ成形した成形体では、再利用のための粉砕工程で
漏出した蛍光剤が外装部に露出していないので汚染がな
く、外装部の新規の成形材料に再び本発明の成形材料を
用いれば、再びクラックの発見が容易な成形体として有
効に機能させることができる。成形材料として再利用す
るための別の方法として、本発明による塗装を用いる方
法がある。蛍光剤を含有するマイクロカプセルを成形材
料本体には混合せず、塗装にのみ混合しておいた場合、
ブラストや溶解などの方法を用いて塗膜を剥離すること
が可能であり、塗膜剥離後に粉砕処理を行うことにより
蛍光剤の漏出による汚染を防止することができる。一
方、塗膜の剥離を行わず、粉砕、ペレット化などの処理
を行った場合においても、成形体全体に占める塗膜の量
はわずかであるため粉砕による蛍光剤の漏出量は少な
く、再び成形体としても問題とはならない。塗膜を剥離
せずに再び成形体として用いるためには、塗膜のベース
樹脂を成形体本体の樹脂と混合しても問題の生じない組
み合わせとなるように選択しておくことが好ましい。こ
れらは例えば、同一組成の材料、ポリマー同士に相溶性
のある材料、相容化剤や分解剤などの添加により相容化
が可能な材料、等である。
【0028】本発明による成型品及び検査方法は、リユ
ースを促進すべき製品であるテレビ、冷蔵庫、洗濯機、
エアコンなどの家電製品、パソコン、プリンター、複写
機、電話機、カメラ、ビデオなどの電気電子機器、自動
車部品、事務機器、建築・土木材料、家具、日用雑貨な
どに使われる部品として用いることが有効である。特に
樹脂を用いた製品、あるいは部品に有効である。樹脂の
種類は特に限定されず、種々の樹脂成形材料に対して用
いることができる。これらは例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレ
ンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン共重合体、ポリカーボネート、メタクリル樹脂、
ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、
石油樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ
フェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リビニリデンフルオライド、熱可塑性ポリウレタン、ユ
リア樹脂、フェノール樹脂、発泡ポリウレタン、不飽和
ポリエステル、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹
脂、メラミン樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、
汎用樹脂、エンジニアリングプラスチックなどであり、
これらの単体あるいはポリマーブレンド組成物である。
またこれらの形状は、塊状、板状、フィルム状、発泡体
など特に限定されない。一方本発明を無機系あるいは金
属系の材料へ適用することも可能であり、コンクリート
などの土木資材や外壁ボードなどの建設資材などに対し
て用いることもできる。コンクリートなどにおいては室
温付近での成形が可能であることから、樹脂系の場合と
同様の広い範囲の有機、無機材料を用いることができ
る。金属材料においては、成形時の温度あるいは粘度条
件で破壊あるいは分解しないカプセルシェル材料および
コア材料を選択する必要がある。例えばシェル材料を金
属酸化物などの無機系の材料を用いたり、蛍光体を金属
系にする必要がある。
【0029】使用済み製品をリユースするために部品の
前処理として成型品を加熱して破壊されたカプセルから
の蛍光物質のクラック中への拡散を促進させたり、アル
カリ水溶液や塩化物溶液などの処理液に噴霧することに
より蛍光強度を上げたりあるいは蛍光波長を変えること
もできる。
【0030】以下に本発明の検査装置の例を図3に示
す。成形品検体31は、搬送装置37により刺激エネル
ギー照射手段である紫外線照射装置32に搬送される。
紫外線照射により発生した蛍光は、蛍光強度測定装置3
3により蛍光強度が測定される。このとき測定は、広い
波長範囲を測定してもよいし、蛍光体が既知で蛍光極大
を示す波長が明らかな成型品を検体としている場合には
特定の波長のみを測定してもよい。測定された蛍光強度
及び波長情報は解析装置34に送られる。解析装置34
は、蛍光強度の変動が予め設定されたレベル、あるいは
検体の中で周辺部に比較して一定レベルを超える変動を
示す部位があった場合に劣化可能性が高いと判断し、選
別装置に選別指示を出す。解析装置34からの選別指示
を受け、選別装置35は選別板を稼働させリユース検査
ラインから不良品回収箱38へ分離回収する。測定され
た蛍光強度及び波長の変動データを、解析装置34から
表示装置36に送り、表示させることも可能である。こ
のように目視検査と機械測定データを併用することによ
り、検査の負担が軽減され、かつ精度を向上させること
ができる。本発明の検査装置により、目視のみに頼る検
査方法に比べ、均質かつ大量に処理を行うことが可能に
なる。
【0031】本装置においては、解析装置34として
は、アナログ回路によって蛍光強度測定データの処理を
行うこともできるが、蛍光強度測定手段の出力をディジ
タル化して、マイクロプロセッサにより処理を行わせる
ことが経済的であり、かつ手順を柔軟に設定・改良する
ことができるため好ましい。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例に基いてさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。まず、本発明のマイクロカプセル型添加剤の
調製例について説明する。本調製例1では貧溶媒添加に
よる相分離法を用いてマイクロカプセルを調整した。す
なわち、分子量35,000のゼラチン10%水溶液を
45℃に加熱し、コア物質として平均粒径260nmの
フルオレセイン粉末を溶液に加え攪拌分散させた。相分
離誘起剤としてエタノールを徐々に加え、コア物質表面
にゼラチンを沈積させた。攪拌を停止し、沈降したマイ
クロカプセルを石油エーテルで洗浄、乾燥することによ
り、マイクロカプセル型添加剤を得た。
【0033】また、本調製例2では温度低下による相分
離法を用いてマイクロカプセルを調整した。すなわち、
2%無水アルコールを含むシクロヘキサン中にエチルセ
ルロースを2%加え、80℃で30分環流した。コア物
質として平均粒径30μmのカルセイン粉末を溶液に加
え攪拌分散させた。急速に室温まで冷却しコア物質表面
にエチルセルロースを沈積させた後、さらに氷水中に分
散させた。沈降したマイクロカプセルをn−ヘキサンで
洗浄、乾燥することにより、マイクロカプセル型添加剤
を得た。
【0034】さらに、本調製例3では液中乾燥法を用い
てマイクロカプセルを調整した。すなわち、8g/ml
ポリスチレン−ジクロロメタン溶液に、コア物質として
平均粒径150μmのルミノール粉末を分散させた20
ml水溶液を混合、攪拌し、一次分散液(W/Oエマル
ション)を調製した。これを乳化剤としてTween2
0を4%加えた水溶液600mlに混合、攪拌し、二次
分散液(W/O/Wエマルション)とした。攪拌しなが
ら溶媒のジクロロメタンを徐々に蒸発除去し、コア物質
表面にポリスチレンを沈積させた。沈降したマイクロカ
プセルを洗浄、乾燥することによりマイクロカプセル型
添加剤を得た。
【0035】さらに、本調製例4ではスプレードライン
グ法を用いてマイクロカプセルを調整した。すなわち、
コア物質として平均粒径50μmのタングステン酸カル
シウム粉末を分散させたエチルセルロース−トルエン溶
液をカプセル化原液とした.遠心式アトマイザーから加
圧空気によりカプセル化原液をチヤンバー内に噴霧し、
溶媒を乾燥した後、サイクロンにより収集してマイクロ
カプセル型添加剤を得た。
【0036】以下、調製例1〜4と同様の操作により、
下記表1の調製例5〜15によって、マイクロカプセル
を調製した。調製例を表1にまとめる。
【0037】
【表1】
【0038】上記調整例によって調製したマイクロカプ
セル型添加剤を、成形材料に混合、成形し、成型品サン
プルを作成した。さらに、作成した成型品サンプルを用
いて応力劣化部位検出試験を行った。成型品サンプル
は、落下球により応力劣化部位を強制的に作った。落下
球による衝撃が加わった中心部は圧縮劣化、周辺部はク
ラックが発生している。応力劣化の程度は、即時に成型
品全体の破壊・破損につながるほどではなく、実用上は
使用継続が可能な程度になるように作成した。サンプル
に紫外線ランプを照射し、目視による劣化部位判定を行
った。調製例及び検出試験結果を表2にまとめる。検出
結果の判定は、瞬時に劣化部位を発見できた場合を◎、
劣化部位の発見が困難だった場合を×、瞬時に劣化部位
を発見できたが、劣化部位の着色により使用継続は不可
能な場合を△とした。本発明による蛍光体を含有するマ
イクロカプセル型添加剤を用いた成型品サンプルは、い
ずれも紫外線照射により蛍光発光が観測され、容易に劣
化部位を発見することができた。比較例として作成し
た、本発明の添加剤を混合しないサンプルでは、容易に
劣化部位を発見することができなかった。また、蛍光体
を有しない着色剤済料のみを含有するマイクロカプセル
添加剤を用いた場合、劣化部位の発見は可能であったが
・廃棄すべき程の劣化ではないにもかかわらず、外観上
の品質劣化が著しく、使用継続は困難であった。
【0039】
【表2】
【0040】以下、本発明において、固体のコア材を用
いる場合に、これを溶解する溶媒として最適な溶媒を選
択するために、固体コア材を溶解する溶媒とこれを添加
するマトリックス樹脂との関係について試験した。すな
わち、コア材にクラックへの浸透性を増すために種々の
異なる溶媒を加えたマイクロカプセル型添加剤を用いて
作成した、これを、ポリプロピレン及びポリメチルメタ
クリレートをマトリクス樹脂とする材料に添加し成型品
に成形して、クラック検出容易性実験を行った。その結
果を表3に示す。成型品ポリマーの各溶媒に対する溶解
性、及び溶解度パラメーターは公知の文献による値であ
り、溶解性の評価値は、1:溶解性大、2:溶解性あ
り、3:膨潤性大、4:膨潤性あり、5:膨潤性小、
6:変化無し、を示している。ポリプロピレンの溶解度
パラメーターは7.8〜8.0、ポリメチルメタクリレ
ートの溶解度パラメーターは9.0〜9.5である。検
出結果の判定は、瞬時に劣化部位を発見できた場合を
◎、通常の観察力において劣化部位の発見が可能な場合
を○、劣化部位の発見がやや困難だった場合を△、劣化
部位の発見が困難だった場合を×とした。
【0041】
【表3】
【0042】以上の結果から、コア材を溶解するために
用いた溶媒としては、マトリクス材料と親和性の高い溶
媒ほどクラックの検出が容易であることがわかる。
【0043】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
使用済み成形品のリユースにおいて、使用段階で生じた
クラック・キズなどの劣化が、使用段階において問題と
ならない程度であれば外観上の品質劣化をもたらさずに
使用を継続することができる。また、回収された使用済
み成形晶をリユースするために品質検査を行う際には外
観上の品質劣化をもたらすことなく劣化部位を検知する
ことが可能な、マイクロカプセル型添加剤、これを用い
た成形品、及び成形品検査方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成型品の使用例を示す図である。
【図2】本発明の添加剤の例を示す図である。
【図3】本発明装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
11…蛍光体 12…マイクロカプセルシェル 21…マイクロカプセル型添加剤 22…成型品 23…クラック 24…キズ 31…成形品検体 32…紫外線照射装置 33…蛍光強度測定装置 34…解析装置 35…選別装置 36…表示装置 37…搬送装置 38…不良品回収箱
フロントページの続き Fターム(参考) 2G043 AA03 CA06 DA05 EA01 KA03 LA01 LA05 4F071 AA12X AA15 AA20 AA22 AA22X AA24 AA26 AA29 AA33 AA34X AA39 AA40 AA41 AA42 AA43 AA45 AA46 AA49 AA50 AA51 AA52 AA53 AA54 AA65 AA68 AA77 AC20 AD07 AF33 AH03 AH07 AH12 AH17 BB01 BB05 BB06 BC01 BC03 BC07 4J002 BA011 BB031 BB111 BC021 BC061 BD031 BD141 BE021 BG051 BN151 CB001 CC031 CC181 CD001 CF011 CF061 CF071 CF211 CG011 CH071 CK011 CK021 CL001 CP001 DE116 DE186 EA066 ED056 EL096 EN026 EN036 EN046 FB286 FD096 FD206 GL00 GN00 GQ00 GT00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蛍光体をコア材とするマイクロカプセル
    と、このマイクロカプセルを含有する成型品とを有する
    ことを特徴とするマイクロカプセル含有成形品。
  2. 【請求項2】蛍光体をコア材とするマイクロカプセルと
    表面に塗装された塗料とを有することを特徴とするマイ
    クロカプセル含有成型品。
  3. 【請求項3】蛍光体をコア材とするマイクロカプセルを
    含有する成型品もしくは蛍光体を含有する塗料によって
    塗装された成型品に、刺激エネルギーを与える工程と、
    該刺激エネルギーによって放射される蛍光の強度変異部
    位を検知する工程を含むことを特徴とするマイクロカプ
    セル含有成形品の検査方法。
  4. 【請求項4】上記刺激エネルギーとして紫外光を用いる
    ことを特徴とする請求項3記載のマイクロカプセル含有
    成形品の検査方法。
  5. 【請求項5】成形品に刺激エネルギーを照射する手段
    と、該刺激エネルギー照射によって成形品から放射され
    る蛍光を測定する蛍光強度測定手段と、該蛍光強度測定
    手段から得られる成型品表面の蛍光強度分布から許容変
    動範囲を超える蛍光強度変動部分の存在を判定する解析
    手段と、該解析手段によって判定される蛍光強度変動部
    分を有する検体を選別する選別手段とを備えることを特
    徴とするマイクロカプセル含有成型品の検査装置。
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