JP2002371167A - 建築用資材 - Google Patents

建築用資材

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JP2002371167A
JP2002371167A JP2001181529A JP2001181529A JP2002371167A JP 2002371167 A JP2002371167 A JP 2002371167A JP 2001181529 A JP2001181529 A JP 2001181529A JP 2001181529 A JP2001181529 A JP 2001181529A JP 2002371167 A JP2002371167 A JP 2002371167A
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rubber
acrylate
graft copolymer
thermoplastic resin
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JP2001181529A
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Masahiro Soga
政博 曽我
Seizo Fujii
誠三 藤井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性、耐衝撃性および成形品外観に優れた
熱可塑性樹脂製の建築用資材を提供する。 【解決手段】 建築用資材に、ポリアルキルアクリレー
ト系ゴム(r−1)からなるゴム成分に、芳香族アルケ
ニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含むグラフト
成分がグラフトしたグラフト共重合体(A1)と、ポリ
メチルメタクリレート樹脂(B)とを含む熱可塑性樹脂
組成物を用いる。または、ポリアルキルアクリレートと
ポリオルガノシロキサンとの複合ゴム(r−2)および
/またはポリアルキルアクリレートとポリブタジエンと
の複合ゴム(r−3)とからなるゴム成分に、芳香族ア
ルケニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含むグラ
フト成分がグラフトしたグラフト共重合体(A2)と、
ポリメチルメタクリレート樹脂(B)とを含む熱可塑性
樹脂組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性、耐衝撃性
および成形品外観に優れた熱可塑性樹脂組成物が用いら
れた建築用資材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フェンス、デッキ、窓枠、ドア
材、階段滑り止め材、手摺り材、瓦、雨樋、壁材等の屋
外で使用される建築用資材には、一般的に、木材、金
属、セラミック等が使用されていた。このような建築用
資材は価格が高く、材料のコストダウンや建築用資材の
量産性向上が要求されている。また、木材、金属、セラ
ミックを用いた建築用資材は、重いために施工時の作業
性が悪かった。そのため、軽量化が要求されている。こ
れら要求を満たす一つの方法として建築用資材の樹脂化
が進められている。建築用資材に用いられる樹脂は、ポ
リ塩化ビニル樹脂が主流である。しかしながら、ポリ塩
化ビニルは、環境上の問題からその使用が敬遠されてお
り、ポリ塩化ビニル樹脂に代わる樹脂材料が求められて
いる。
【0003】ところで、屋外で使用される建築用資材に
おいては、耐候性、耐衝撃性および外観に優れているこ
とが要求される。そこで、屋外建築用資材に用いられる
樹脂材料として、耐候性、耐衝撃性および外観が優れた
樹脂、例えば、PMMA樹脂(ポリメチルメタクリレー
ト樹脂)、ASA樹脂(アクリロニトリル−スチレン−
アクリルゴム共重合体樹脂)、AES樹脂(アクリロニ
トリル−エチレン・プロピレンゴム−スチレン共重合体
樹脂)を使用することが提案されており、その一部はす
でに屋外建築用資材に使用されている。これらの樹脂材
料は、単層で屋外建築用資材に使用されることもある
が、価格が高いことから、コア層に安価なABS樹脂等
を用い、最外層にPMMA樹脂、ASA樹脂、AES樹
脂等を用いた多層構造にすることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、PMM
A樹脂(ポリメチルメタクリレート樹脂)製建築用資材
は、耐候性は良好であるものの、耐衝撃性が低いので、
施工中または施工後に割れてしまうことがあった。ま
た、PMMA樹脂は溶融粘度が高いので、最外層として
使用すると、成形品外観が低くなる上に、成形品が反り
やすい等の問題があった。また、ASA樹脂(アクリロ
ニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体樹脂)、A
ES樹脂(アクリロニトリル−エチレン・プロピレンゴ
ム−スチレン共重合体樹脂)製建築用資材は、耐衝撃性
は良好であるものの、耐候変色が大きく、耐候性が不十
分であるという問題点があった。本発明は、前記事情を
鑑みて行われたものであり、耐候性、耐衝撃性および成
形品外観に優れる熱可塑性樹脂製の建築用資材を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の建築用資材は、
ポリアルキルアクリレート系ゴム(r−1)からなるゴ
ム成分に、芳香族アルケニル化合物およびシアン化ビニ
ル化合物を含むグラフト成分がグラフトしたグラフト共
重合体(A1)と、ポリメチルメタクリレート樹脂
(B)とを含む熱可塑性樹脂組成物が用いられるもので
ある。また、本発明の建築用資材は、ポリアルキルアク
リレートとポリオルガノシロキサンとの複合ゴム(r−
2)および/またはポリアルキルアクリレートとポリブ
タジエンとの複合ゴム(r−3)からなるゴム成分に、
芳香族アルケニル化合物およびシアン化ビニル化合物を
含むグラフト成分がグラフトしたグラフト共重合体(A
2)と、ポリメチルメタクリレート樹脂(B)とを含む
熱可塑性樹脂組成物が用いられるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の建築用資材における第一の実施形態について説
明する。第一の実施形態において用いられる熱可塑性樹
脂組成物は、グラフト共重合体(A1)とポリメチルメ
タクリレート樹脂(B)とを含む。グラフト共重合体
(A1)は、そのゴム成分にアルキルアクリレート単量
体単位を有するポリアルキルアクリレート系ゴム(r−
1)が用いられる。アルキルアクリレート単量体単位と
しては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。
これらのうち、特に好ましいものはn−ブチルアクリレ
ートである。また、これらのアルキルアクリレートは単
独でまたは二種以上でポリアルキルアクリレート系ゴム
を構成する。また、ポリアルキルアクリレート系ゴムに
は、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタ
クリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキル
メタクリレート単量体単位を含有してもよい。
【0007】また、ポリアルキルアクリレート系ゴム
(r−1)には、多官能性単量体単位が含まれることが
好ましい。多官能単量体単位を構成する多官能性単量体
としては、例えばアリルメタクリレート、エチレングリ
コールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタ
クリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレ
ート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、
トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート
等が挙げられ、これらが単独でまたは二種以上で構成さ
れる。これら多官能性単量体を用いることにより、ポリ
アルキルアクリレート系ゴムが架橋するので、最終的に
得られる建築用資材の耐衝撃性、外観がさらに向上す
る。
【0008】グラフト共重合体のゴム成分にポリアルキ
ルアクリレート系ゴム(r−1)を用いると、ポリアル
キルアクリレート系ゴム(r−1)はガラス転移温度が
低く、樹脂の補強効果が大きいので、最終的に得られる
建築用資材の耐衝撃性が向上する。その上に、ポリアル
キルアクリレート系ゴム(r−1)は、光や熱などによ
って酸化されやすいジエンを有していないので耐候性に
優れる。また、ポリアルキルアクリレート系ゴム(r−
1)は、容易に製造できるので、製造に要するコストが
安い。
【0009】ゴム成分の重量平均粒子径は0.1〜1.
5μmであることが好ましい。重量平均粒子径が0.1
μm未満であると、衝撃強度補強効果が十分に発現しな
いことがあり、1.5μmを超えると、最終的に得られ
る建築用資材の外観が劣ることがある。
【0010】このようなゴム成分にグラフト成分をグラ
フトしてグラフト共重合体(A1)を得る。グラフト成
分は、芳香族アルケニル化合物およびシアン化ビニル化
合物を含む。芳香族アルケニル化合物としては、例えば
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙
げられ、好ましくはスチレンである。シアン化ビニル化
合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリルであ
る。芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物と
の組成比は特に限定されないが、好ましくはシアン化ビ
ニル化合物量が、芳香族アルケニル化合物とシアン化ビ
ニル化合物との合計量の10〜50質量%である。
【0011】グラフト成分には、必要に応じて、芳香族
アルケニル化合物またはシアン化ビニル化合物と共重合
可能な他の単量体成分を含有してもよい。このような成
分としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメ
タクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の
メタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステ
ル、N−フェニルマレイミド等のマレイミドなどが挙げ
られる。芳香族アルケニル化合物またはシアン化ビニル
化合物と共重合可能な単量体の含有量は、全グラフト成
分100質量%中20質量%以下であることが好まし
い。芳香族アルケニル化合物またはシアン化ビニル化合
物と共重合可能な単量体の含有量が、全グラフト成分中
20質量%を超えると、最終的に得られる建築用資材の
耐候性や耐衝撃性が低下することがある。
【0012】グラフト共重合体(A1)の製造方法につ
いては、グラフト共重合体(A1)が安定に製造できれ
ば特に制限はない。例えば、上述したゴム成分のラテッ
クスに、芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合
物と重合開始剤とを添加し、これらを加熱して、グラフ
ト共重合体を得る方法など公知のグラフト重合方法が挙
げられる。
【0013】得られたグラフト共重合体(A1)のグラ
フト成分の含有量は、グラフト共重合体(A1)の20
〜70質量%であることが好ましい。グラフト成分の含
有量がグラフト共重合体(A1)の20質量%未満であ
るとグラフト共重合体の分散性が低下に起因して物性が
低下する傾向にあり、70質量%を超えると、加工性が
低下する傾向にある。
【0014】また、グラフト共重合体(A1)は、アセ
トン溶媒に対する不溶分を60〜99質量%含み、か
つ、グラフト共重合体(A1)のアセトン可溶分をN,
N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、0.2g/dl
のN,N−ジメチルホルムアミド溶液とし、これを25
℃で測定した際の還元粘度が0.30〜0.70dl/
gであることが好ましい。アセトン溶媒に対する不溶分
が60質量%未満であると、最終的に得られる建築用資
材の耐衝撃強度や外観が低下することがある。また、9
9質量%を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の成
形加工性が低下することがある。また、還元粘度が0.
30dl/g未満であると、最終的に得られる建築用資
材の耐衝撃性が低下することがあり、0.70dl/g
を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形加工性
が低下することがある。
【0015】このようなグラフト共重合体(A1)にポ
リメチルメタクリレート樹脂(B)を混合して熱可塑性
樹脂組成物を得る。本発明でいうポリメチルメタクリレ
ート樹脂(B)はメチルメタクリレート単位を有する重
合体であり、メチルメタクリレート単位を70質量%以
上含有するものが特に好ましい。メチルメタクリレート
単位を70質量%以上含有するポリメチルメタクリレー
ト樹脂を用いることにより、耐候性を向上させることが
できる。メチルメタクリレートの含有量は、更に好まし
くは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上で
ある。なお、残りの30質量%未満には、メチルメタク
リレート以外のビニル系単量体単位を含むことができ
る。このようなビニル系単量体単位としては、メチルメ
タクリレート以外のアルキル(メタ)アクリレート、ス
チレンなどの芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリ
ルなどのシアン化ビニル化合物等が挙げられる。
【0016】メチルメタクリレート以外のアルキル(メ
タ)アクリレートの具体例としては、エチル(メタ)ア
クリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブ
チル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリ
レート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラ
ウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリ
レート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル
(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)ア
クリレート等が挙げられる。これらの中でも、エチルメ
タクリレートが好ましい。
【0017】熱可塑性樹脂組成物を得るためにグラフト
共重合体(A1)とポリメチルメタクリレート樹脂
(B)とを混合する際には、例えば、グラフト共重合体
(A1)のペレットとポリメチルメタクリレート樹脂
(B)のペレット、グラフト共重合体(A1)のパウダ
ーとポリメチルメタクリレート樹脂(B)のパウダー、
グラフト共重合体(A1)のパウダーとポリメチルメタ
クリレート樹脂(B)のペレットとを使用する。混合し
て得られた樹脂混合物は、押出機などによって溶融混練
した後、ペレタイザなどによってカットするなどしてペ
レット化できる。また、熱可塑性樹脂組成物は、グラフ
ト共重合体(A1)およびポリメチルメタクリレート樹
脂(B)を溶融混練しないものであってもよい。
【0018】熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体
(A1)の割合は、10〜70質量%であることが好ま
しい。グラフト共重合体(A1)の配合量が10質量%
未満であると、最終的に得られる建築用資材の耐衝撃性
が低下することがある。また、70質量%を超えると、
最終的に得られる建築用資材の耐候性が低下する上に、
外観が悪化するおそれがある。
【0019】熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、
染料、顔料、安定剤、補強剤、充填剤、難燃剤等の各種
添加剤を配合することができる。なお、これらの添加剤
はグラフト共重合体(A1)またはポリメチルメタクリ
レート樹脂(B)にあらかじめ配合してあっても構わな
い。
【0020】このようにして得られた熱可塑性樹脂組成
物は、各種の成形加工方法により成形加工される。成形
加工方法としては、例えば、射出成形、異形押出成形、
シート押出成形、多層押出成形、異樹脂との共押出成
形、真空成形、圧空成形、ブロー成形、ガスインジェク
ション成形、射出圧縮成形、プレス成形、インフレーシ
ョン成形、カレンダー成形等が挙げられる。
【0021】成形加工された熱可塑性樹脂組成物はその
ままでまたは組み立てられて建築用資材となる。ここ
で、建築用資材とは、構造物に取り付けられるもの、ま
たは、構造物である。本発明における建築用資材は屋外
に使用されるものに好適であり、屋外で使用される建築
用資材としては、例えば、フェンス、デッキ、門扉、門
柱、門戸、塀、カーポート、人口竹、物干し台、物干し
竿、屋根材、エアコンダクトカバー、胴差、プランタ
ー、ベンチ材、テーブル材、簡易倉庫、簡易トイレ、す
のこ、窓枠、ドア材、階段滑り止め材、手摺り材、瓦、
雨樋、サイディング、壁材等が挙げられる。
【0022】建築用資材は、上述した熱可塑性樹脂組成
物の単層構造物であってもよいし、また上述した熱可塑
性樹脂組成物が使用された層を有する多層構造物であっ
てもよい。多層構造物の場合には、少なくとも最外層に
上述した熱可塑性樹脂組成物の層を有する構造物である
ことが、性能発現の観点から好ましい。例えば、コア層
にはABS樹脂、AS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ
カーボネート樹脂等を用い、最外層には上述した熱可塑
性樹脂組成物を用いる。
【0023】また、多層構造物の最外層に上述した熱可
塑性樹脂組成物を用いる場合には、熱可塑性樹脂組成物
は、温度220℃、荷重98Nの条件下、ASTM D
1238に準拠して測定したメルトフローレートが5g
/10分以上であることが好ましい。温度220℃、荷
重98Nの条件下で測定したメルトフローレートが5g
/10分以上であると、最終的に得られる建築用資材の
最外層の厚みを均一にできる。すなわち、加工性が向上
する。
【0024】なお、建築用資材は、必要に応じて、冷間
加工、切削加工、セルフタップ、ビットインサート、熱
かしめ、メッキ、蒸着、スパッタリングなどのメタライ
ジング、塗装、ホットスタンプ、シルク印刷、レーザマ
ーキング、溶剤接着、接着剤による接着、超音波溶着、
振動溶着、熱板溶着接着などの加工を施すことができ
る。また、建築用資材はスナップフィット、ヒンジ、ボ
ス等の構造を有することもできる。
【0025】上述した建築用資材にあっては、ポリアル
キルアクリレート系ゴム(r−1)からなるゴム成分に
グラフト成分がグラフトしたグラフト共重合体(A1)
がポリメチルメタクリレート樹脂(B)を補強している
ので、耐衝撃性が向上する。その上、ゴム成分の耐候性
が優れているので、結果として、建築用資材の耐候性が
向上する。また、グラフト成分に芳香族アルケニル化合
物およびシアン化ビニル化合物を含むので、グラフト共
重合体(A1)のポリメチルメタクリレート樹脂(B)
中での分散性が向上し、最終的に得られる建築用資材の
外観が向上する。
【0026】また、前記熱可塑性樹脂組成物を、多層構
造物の最外層に用いた建築用資材は、コア層に安価な樹
脂材料を用いることができるので、耐候性が向上すると
ともに、建築用資材のコストが下がる。また、前記熱可
塑性樹脂組成物は、建築用資材の最外層に用いる場合、
温度220℃、荷重98Nの条件下、ASTM D12
38に準拠して測定したメルトフローレートが5g/1
0分以上であると、加工性が向上するとともに、成形品
外観がさらに向上する。
【0027】本発明の建設用資材における第二の実施形
態について説明する。第二の実施形態は第一の実施形態
におけるグラフト共重合体(A1)の代わりに、ポリア
ルキルアクリレートとポリオルガノシロキサンとの複合
ゴム(r−2)および/またはポリアルキルアクリレー
トとポリブタジエンとの複合ゴム(r−3)からなるゴ
ム成分に、芳香族アルケニル化合物およびシアン化ビニ
ル化合物を含むグラフト成分がグラフトしたグラフト共
重合体(A2)を用いた以外は全て同様である。
【0028】ポリアルキルアクリレートとポリオルガノ
シロキサンとの複合ゴム(r−2)を構成するポリアル
キルアクリレートには、上述したポリアルキルアクリレ
ート系ゴム(r−1)と同様の成分が用いられる。ポリ
アルキルアクリレートとポリオルガノシロキサンとの複
合ゴム(r−2)を構成するポリオルガノシロキサン
は、特に限定されるものではないが、好ましくは、ビニ
ル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンであ
る。このようなビニル重合性官能基を含有するポリオル
ガノシロキサンとしては、鎖状オルガノキサン、環状オ
ルガノキサンなどに(メタ)アクリロイルオキシシロキ
サン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサ
ン、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシランな
どのグラフト交叉剤を共重合させたポリオルガノシロキ
サンが挙げられる。このようなビニル重合性官能基を含
有するポリオルガノシロキサンを用いると、ポリアルキ
ルアクリレートとポリオルガノシロキサンとからなる複
合ゴム(r−2)に芳香族アルケニル化合物およびシア
ン化ビニル化合物を効率的にグラフト重合できる。
【0029】ポリアルキルアクリレートとポリブタジエ
ンとの複合ゴム(r−3)を構成するポリブタジエン
は、ブタジエンが90質量%以上で構成されるものであ
る。このようなゴムとしては、具体的には、ブタジエン
単独重合体ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム等が挙げら
れる。
【0030】ポリアルキルアクリレートとポリオルガノ
シロキサンとの複合ゴム(r−2)またはポリアルキル
アクリレートとポリブタジエンとの複合ゴム(r−3)
を製造する方法については、これら複合ゴムを安定に製
造できれば特に制限されない。例えば、それぞれのポリ
マー成分の原料となる単量体を共存させて共重合しても
よいし、一方の成分を重合した後、続いて他方の成分を
重合してもよい。ポリアルキルアクリレートとポリオル
ガノシロキサンとの複合ゴム(r−2)またはポリアル
キルアクリレートとポリブタジエンとの複合ゴム(r−
3)の形態としては特に制限はなく、例えば、各々のポ
リマーセグメントが互いに結合しあってネットワーク構
造を形成しているタイプであってもよいし、一方のゴム
の周りに他方のゴムが被覆しているコア−シェルタイプ
であってもよい。
【0031】グラフト共重合体(A2)のゴム成分にポ
リアルキルアクリレートとポリオルガノシロキサンとの
複合ゴム(r−2)を用いると、ポリアルキルアクリレ
ートおよびポリオルガノシロキサンはガラス転移温度が
低く、樹脂の補強効果が大きいので、最終的に得られる
建築用資材の耐衝撃性が向上する。その上に、ポリアル
キルアクリレートおよびポリオルガノシロキサンは、光
や熱などによって酸化されやすいジエンを有していない
ので耐候性に優れる。また、ゴム成分にポリオルガノシ
ロキサンを含有すると、摺動性が向上する。
【0032】また、グラフト共重合体(A2)のゴム成
分にポリアルキルアクリレートとポリブタジエンとの複
合ゴム(r−3)を用いると、ポリアルキルアクリレー
トおよびポリブタジエンはガラス転移温度が低く、樹脂
の補強効果が大きいので、最終的に得られる建築用資材
の耐衝撃性が向上する。その上に、ポリアルキルアクリ
レートとポリブタジエンを複合させることにより、光や
熱などによって酸化されやすいジエン量を低減できるの
で、耐候性が向上する。また、ゴム成分に安価なポリブ
タジエンを用いると、結果として、最終的に得られる建
築用資材のコストを下げることができる。
【0033】上述した第二の実施形態の建築用資材にあ
っては、ポリアルキルアクリレートとポリオルガノシロ
キサンとの複合ゴム(r−2)および/またはポリアル
キルアクリレートとポリブタジエンとの複合ゴム(r−
3)とからなるゴム成分にグラフト成分がグラフトした
グラフト共重合体(A2)がポリメチルメタクリレート
樹脂(B)を補強しているので、耐衝撃性が向上する。
その上、ゴム成分の耐候性が優れているので、結果とし
て、建築用資材の耐候性が向上する。また、グラフト成
分に芳香族アルケニル化合物およびシアン化ビニル化合
物を含むので、グラフト共重合体(A2)のポリメチル
メタクリレート樹脂(B)中での分散性が向上し、最終
的に得られる建築用資材の外観が向上する。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、実施例において「部」および「%」は
特に断りのない限り「質量部」および「質量%」のこと
である。
【0035】[グラフト共重合体(A−I)の製造]反
応容器に下記のような割合で原料を仕込み、窒素置換下
50℃で4時間攪拌を行いながら重合を完結させ、弾性
体ラテックスを得た。 ブチルアクリレート 98部 アリルメタクリレート 1部 1,3−ブチレンジメタクリレート 1部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2部 脱イオン水 300部 過硫酸カリウム 0.3部 リン酸二ナトリウム12水塩 0.5部 リン酸水素ナトリウム2水塩 0.3部 この弾性体ラテックス(R−1)100部(固形分とし
て)を反応容器に仕込み、イオン交換水280部を加え
希釈し、70℃に昇温した。
【0036】これとは別にアクリロニトリル/スチレン
=29/71(質量比)からなる単量体混合物100部
を調製し、この単量体混合物にベンゾイルパーオキサイ
ド0.7部を添加し、溶解した後、これを窒素置換し
た。そして、定量ポンプを使用して、単量体混合物を3
0部/時間の速度で弾性体ラテックス(R−1)に添加
し、重合した。単量体混合物の全てを添加した後、反応
容器内温を80℃に昇温させ、さらに30分撹拌を続け
て重合してグラフト共重合体ラテックスを得た。次い
で、得られたグラフト共重合体ラテックスを1%硫酸水
溶液中に撹拌しながら投入し、凝固させた。次いで、得
られたスラリーを遠心分離機により脱水、洗浄した後、
乾燥機により乾燥してグラフト共重合体(A−I)の乾
燥粉末を得た。
【0037】[グラフト共重合体(A−II)の製造] (a)ポリオルガノシロキサンラテックスの調製 オクタメチルシクロテトラシロキサン98部と、γ−メ
タクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2
部とを混合してシロキサン系混合物100部を得た。こ
れにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.65部
を溶解した蒸留水300部を添加し、ホモミキサによっ
て9000回転/分で2分間攪拌した。次いで、ホモジ
ナイザに30MPaの圧力で1回通過させ、安定な予備
混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
【0038】一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット
加熱機および撹拌装置を備えた反応容器内に、ドデシル
ベンゼンスルホン酸10部と蒸留水90部とを注入し、
10%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製し
た。次いで、85℃に加熱したドデシルベンゼンスルホ
ン酸水溶液に上記予備混合オルガノシロキサンラテック
スを4時間にわたって滴下し、さらに滴下が終了してか
ら1時間温度を維持して反応させた後、冷却した。次い
で、得られた反応物を水酸化ナトリウム水溶液で中和し
た。このようにして得たポリオルガノシロキサンラテッ
クスを170℃で30分間乾燥して固形分を求めたとこ
ろ、18.0%であった。また、ポリオルガノシロキサ
ンラテックス中のポリオルガノシロキサンの重量平均粒
子径は0.07μmであった。
【0039】(b)複合ゴムラテックス(R−2)の調
製 試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装
置を備えた反応容器内に、上述のように製造したポリオ
ルガノシロキサンラテックス45.2部、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテルサルフェート(「エマ
ールNC−35」花王(株)社製)0.18部を仕込
み、これに蒸留水148.5部を添加混合した。さら
に、ブチルアクリレート42部、アリルメタクリレート
0.3部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレー
ト0.1部およびt−ブチルハイドロパーオキサイド
0.11部からなる混合物を添加した。
【0040】この反応容器に窒素気流を通じて、雰囲気
を窒素置換した後、60℃まで昇温した。反応容器内の
液温が60℃となった時点で、硫酸第一鉄0.0000
75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0
00225部およびロンガリット0.2部を蒸留水10
部に溶解させた水溶液を添加して、ラジカル重合を開始
させた。重合が開始すると、アクリレート成分が重合し
た際の重合熱により、液温は78℃まで上昇した。その
後、1時間この状態を維持し、アクリレート成分の重合
を完結させてポリオルガノシロキサンとブチルアクリレ
ートゴムとの複合ゴムラテックス(R−2)を得た。こ
の複合ゴムラテックス(R−2)の一部をサンプリング
し、重量平均粒子径を測定したところ、0.13μmで
あった。
【0041】(c)グラフト共重合体(A−II)の調製 上述した複合ゴムラテックス(R−2)の調製におい
て、反応容器内部において複合ゴムラテックス(R−
2)の液温が70℃まで低下した際に、複合ゴムラテッ
クス(R−2)にロンガリット0.25部を蒸留水10
部に溶解した水溶液を添加した。次いで、アクリロニト
リル2.5部、スチレン7.5部およびt−ブチルハイ
ドロパーオキサイド0.05部からなる混合液を複合ゴ
ムラテックス(R−2)に2時間にわたって滴下し重合
した。滴下が終了してから1時間温度を60℃に保持し
た後、硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢
酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.2部
および「エマールNC−35」(花王(株)社製)0.
18部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加した。
さらに、反応容器内の複合ゴムラテックス(R−2)を
含む溶液に、アクリロニトリル10部、スチレン30部
およびt−ブチルハイドロパーオキサイド0.2部から
なる混合液を2時間にわたって滴下して重合した。
【0042】滴下が終了してから0.5時間温度を60
℃に保持した後、キュメンハイドロパーオキサイド0.
05部を添加した。さらに温度60℃の状態を0.5時
間保持した後、冷却してグラフト共重合体ラテックスを
得た。得られたグラフト共重合体ラテックスを、酢酸カ
ルシウム水溶液で凝固した。得られたスラリーを遠心分
離機により脱水、洗浄した後、乾燥機により乾燥してグ
ラフト共重合体(A−II)の乾燥粉末を得た。
【0043】[グラフト共重合体(A−III)の製造] (a)複合ゴムラテックス(R−3)の調製 固形分含有量が35%、重量平均粒子径0.08μmの
ポリブタジエンラテックス20部(固形分として)に、
n−ブチルアクリレート単位82%とメタクリル酸単位
18%とからなる重量平均粒子径0.10μmのポリア
クリレート共重合ラテックス0.4部(固形分として)
を攪拌しながら添加した。そして、30分間攪拌を続け
て、ポリブタジエン粒子を肥大させて重量平均粒子径
0.36μmの肥大化ジエン系ゴムラテックスを得た。
【0044】得られた肥大化ジエン系ゴムラテックス2
0部(固形分として)を反応容器に移し、不均化ロジン
酸カリウム1部、イオン交換水150部および下記単量
体混合物を加え、反応容器を窒素置換し、反応容器内温
を50℃に昇温した。 n−ブチルアクリレート 80部 アリルメタクリレート 0.32部 エチレングリコールジメタクリレート 0.16部 次いで、これに硫酸第一鉄0.0002部、エチレンジ
アミン四酢酸二ナトリウム塩0.0006部及びロンガ
リット0.25部をイオン交換水10部に溶解させた溶
液を添加し、重合を開始させた。重合が開始すると、ア
クリレート成分が重合した際の重合熱によって反応容器
内温は75℃まで上昇した。その後、内温を80℃に昇
温し、1時間反応を続けて、肥大化ジエン系ゴムとポリ
アルキルアクリレート系ゴムとの複合ゴムラテックス
(R−3)を得た。なお、最終的な重合率は、98.8
%であった。
【0045】(b)グラフト共重合体(A−III)の調
製 肥大化ジエン系ゴムとポリアルキルアクリレート系ゴム
との複合ゴムラテックス(R−3)50部(固形分とし
て)を反応容器に仕込み、これにイオン交換水140部
を加え希釈し、70℃に昇温した。これとは別にアクリ
ロニトリル/スチレン=29/71(重量比)からなる
単量体混合物50部調製し、この単量体混合物にベンゾ
イルパーオキサイド0.35部を添加し、溶解した後、
これを窒素置換した。そして、定量ポンプを使用し、単
量体混合物を15部/時間の速度で、反応容器内の複合
ゴムラテックス(R−3)に添加した。単量体混合物の
全てを添加した後、反応容器内温を80℃に昇温し、さ
らに30分攪拌を続けてグラフト共重合体ラテックスを
得た。最終的な重合率は99%であった。
【0046】次いで、得られたグラフト共重合体ラテッ
クスを、その3倍量の90℃に加熱された硫酸0.5%
水溶液中に撹拌しながら投入し、凝固させた。グラフト
共重合体ラテックスの全てを添加終了した後、凝固槽内
の温度を93℃に昇温し、さらに、93℃で5分間維持
した。これを冷却後、遠心分離機により脱水、洗浄した
後、乾燥機により乾燥してグラフト共重合体(A−II
I)の乾燥粉末を得た。
【0047】[ポリメチルメタクリレート樹脂]ポリメ
チルメタクリレート樹脂(B−I)として、メチルメタ
クリレート単量体単位98.5重量%とメチルアクリレ
ート単量体単位1.5重量%からなり、Mw=8600
0、Mn=44000のポリメチルメタクリレート樹脂
を用いた。ポリメチルメタクリレート樹脂(B−II)と
して、メチルメタクリレート単量体単位91.6重量
%、エチルアクリレート単量体単位8.4重量%かなら
り、Mw=61000、Mn=31000のポリメチル
メタクリレート樹脂を用いた。
【0048】[AS(アクリロニトリル−スチレン共重
合体)樹脂の製造]下記混合物を100リットルのオー
トクレーブに仕込み、激しく攪拌した。 アクリロニトリル 30部 スチレンモノマー 70部 アゾビスイソブチロニトリル 0.15部 t−ドデシルメルカプタン 0.40部 リン酸カルシウム 0.50部 蒸留水 150部 反応容器内で混合物が良好に分散していることを確認し
た後、75℃に昇温し、3時間かけてアクリロニトリル
とスチレンモノマーとを重合させた。次いで、110℃
まで昇温し30分間維持した後、冷却した。次いで、得
られたASのスラリーを遠心分離機により脱水、洗浄
し、乾燥機により乾燥することによって、還元粘度0.
55dl/gのAS共重合体樹脂粉末を得た。
【0049】[実施例1〜12および比較例1〜5]上
記のようにして得られた各グラフト共重合体(A−I〜
III )と、ポリメチルメタクリレート樹脂(B−I〜I
I)もしくはアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂
(AS樹脂)を表1に示す配合で混合した。さらに、こ
れらの樹脂の他に安定剤および滑剤として、0.3部の
旭電化(株)社製アデカスタブC、0.2部の旭電化
(株)社製アデカスタブLA−36、0.3部のステア
リン酸バリウム、0.4部のエチレンビスステアリルア
ミドを添加し、ヘンシェルミキサを用いて混合して熱可
塑性樹脂組成物を得た。なお、成形品の外観を評価する
際には、上記配合にさらにカーボンブラックを0.8部
添加した。また、耐候性を評価する際には、上記配合に
さらに酸化チタン4部を添加した。このような熱可塑性
樹脂組成物を230℃に加熱した脱揮式押出機に供給
し、溶融混練してペレット化した。
【0050】このようにペレット化した熱可塑性樹脂組
成物について、メルトフローレート(MFR)を測定し
た。MFRの測定は、ASTM D1238に準拠し、
バレル温度220℃、荷重98Nの条件で実施した。ま
た、ペレット化した熱可塑性樹脂組成物を、バレル温度
およびダイス温度が共に200℃に設定されたアイ・ケ
ー・ジー(株)製スクリュー径50mm単軸押出機によ
って、幅60mm、厚さ4mm厚の形状の単層シートに
成形した。得られた単層シートを、耐候性、耐衝撃性の
評価に供した。
【0051】また、バレル温度およびダイス温度が共に
200℃に設定されたアイ・ケー・ジー(株)製スクリ
ュ−径50mm単軸のメイン押出機と、スクリュー径3
0mm単軸のサブ押出機とを組み合わせた2層押出装置
によって、2層シートを成形した。なお、この2層シー
トは、断面形状において幅が85mm、高さが15m
m、肉厚3mmの中空の長方形状であり、コア層に三菱
レイヨン(株)製ダイヤペットABS SW−3を用
い、最外層に0.2mm厚の上述した熱可塑性樹脂組成
物を用いた。この2層シートを、成形品外観の評価に供
した。
【0052】このように成形した成形品を、以下のよう
な方法によって評価した。それらの結果について表1に
示す。耐候性については、ホワイトカラーに着色した単
層シートをスガ試験機(株)製サンシャインウエザーメ
ーターによって雨有りの条件で1000時間曝露し、色
差計を用いて暴露前後の変色の度合い(ΔE)を測定し
た。耐衝撃性については、試験雰囲気温度−20℃に
て、60mm×60mm×4mm厚の単層シートに50
0gの鋼球を落下させ、割れの程度を目視によって観察
し、次のように判定して評価した。 ◎;割れない、○;僅かな亀裂、×;脆性破壊
【0053】加工性については、上述した2層押出装置
によって2層押出を行い、その際に押出機ダイスの温度
を180℃、200℃、220℃と順次昇温させ、最外
層に生じる厚みムラを測定し、厚みムラの大小によって
次のように判定して評価した。 ◎;均一 ○;ほぼ均一 △;厚みムラ小 ×;厚みム
ラ大 成形品外観については、ブラックカラーに着色した単層
シートを色差計によってL*値を測定して評価した。な
お、L*値は、一般的に13以下であれば漆黒感があ
り、外観が良いとされる。
【0054】
【表1】
【0055】実施例1〜12では、ポリアルキルアクリ
レート系ゴム(R−1)またはポリアクリレートとポリ
オルガノシロキサンとの複合ゴム(R−2)またはポリ
アクリレートとポリブタジエンとの複合ゴム(R−3)
を用いたグラフト共重合体と、ポリメチルメタクリレー
ト樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物を用いるので、実用
上充分なレベルの流動性、耐候性、耐衝撃性、加工性
(厚みムラ)、成形品外観を同時に有していた。中で
も、実施例1〜6は、熱可塑性樹脂組成物のMFRが5
g/10分以上であるため、加工性(厚みムラ)がさら
に優れていた。
【0056】一方、比較例1〜3では、マトリクス成分
にポリメチルメタクリレート樹脂の代わりにアクリロニ
トリル−スチレン共重合体樹脂を使用したので、高い耐
衝撃性と実用上充分なレベルの流動性を有しているもの
の、耐候性および成形品外観が不十分であった。比較例
4では、グラフト共重合体を含まず、分子量の高いポリ
メチルメタクリレート樹脂を使用したので、実用上充分
なレベルの耐候性、成形品外観を有しているものの、耐
衝撃性が低い上に、流動性が低く、加工性が(厚みム
ラ)が不十分であった。比較例5では、グラフト共重合
体を含まず、分子量の低いポリメチルメタクリレート樹
脂を使用したので、実用上充分なレベルの流動性、耐候
性、加工性(厚みムラ)、成形品外観を有しているもの
の、耐衝撃性が不十分であった。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性樹脂組成物の
耐候性、耐衝撃性が優れているので、結果として、この
熱可塑性樹脂組成物が用いられた建築用資材は耐候性、
耐衝撃性に優れている。また、成形品外観も優れてい
る。このような樹脂材料からなる建築用資材を用いるこ
とによって、建築用資材の軽量化が達成され、施工時の
作業性が向上する上に、コストを下げることができるの
で、その工業用材料としての利用価値は極めて高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 誠三 神奈川県川崎市多摩区登戸3816番地 三菱 レイヨン株式会社東京技術・情報センター 内 Fターム(参考) 4J002 BG06X BN12W BN22W GL00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキルアクリレート系ゴム(r−
    1)からなるゴム成分に、芳香族アルケニル化合物およ
    びシアン化ビニル化合物を含むグラフト成分がグラフト
    したグラフト共重合体(A1)と、ポリメチルメタクリ
    レート樹脂(B)とを含む熱可塑性樹脂組成物が用いら
    れることを特徴とする建築用資材。
  2. 【請求項2】 ポリアルキルアクリレートとポリオルガ
    ノシロキサンとの複合ゴム(r−2)および/またはポ
    リアルキルアクリレートとポリブタジエンとの複合ゴム
    (r−3)からなるゴム成分に、芳香族アルケニル化合
    物およびシアン化ビニル化合物を含むグラフト成分がグ
    ラフトしたグラフト共重合体(A2)と、ポリメチルメ
    タクリレート樹脂(B)とを含む熱可塑性樹脂組成物が
    用いられることを特徴とする建築用資材。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂組成物は、当該建築用
    資材の最外層に用いられることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の建築用資材。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂組成物は、温度220
    ℃、荷重98Nの条件下、ASTM D1238に準拠
    して測定したメルトフローレートが5g/10分以上で
    あることを特徴とする請求項3に記載の建築用資材。
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