JP2002371017A - アダマンタン類の製造法 - Google Patents
アダマンタン類の製造法Info
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Abstract
安価な材料を用いた製造装置によって、選択性よくアダ
マンタン類を製造する方法を提供する。 【解決手段】金属担持固体酸触媒の存在下に、炭素数1
0以上の三環式飽和炭化水素を異性化してアダマンタン
類を製造する方法において、水および/またはアルコー
ル類の併存下に該異性化反応を行うアダマンタン類の製
造法。
Description
製造法に関する。さらに詳しくは、自然環境に悪影響を
及ぼすことなく、かつ安価な材料を用いた製造装置にお
いて選択性よくアダマンタン類を製造する方法に関す
る。
種化学品の中間体として有用性の高い化合物である。こ
のアダマンタン類を製造する方法として、一般に、炭素
数10以上の三環式飽和炭化水素を異性化する方法が採
用されている。そして、この異性化反応に際しては、塩
化アルミニウムが触媒として用いられてきた。
ウムを触媒として使用する場合、原料化合物に対して、
塩化アルミニウムを大量に用いる必要がある。しかも、
この塩化アルミニウム触媒は、異性化反応の途上で重質
分と錯体を形成することから、再使用することができな
い。したがって、大量の廃アルミニウムが生成し、その
廃棄処理を行うに際して、自然環境に悪影響を及ぼすお
それが大きいという問題がある。このほか、塩化アルミ
ニウムを触媒に用いると、得られるアダマンタン類が着
色するため、生成物の再結晶処理や活性炭などによる脱
色処理が必要になることから、後処理工程が煩雑になる
という問題もある。
公昭53−35944号公報においては、この異性化反
応に用いる触媒として、陽イオン交換したゼオライト
に、白金やレニウム、ニッケル、コバルトなど各種活性
金属を担持して得られた触媒を用いる方法を提案してい
る。しかしながら、これら金属担持触媒を用いた異性化
反応ではアダマンタン類の収率が低いため、塩化水素を
共存させてアダマンタン類の収率向上を図るようにして
いる。したがって、この方法では、高価な耐腐食性の材
料を用いた製造装置が必要になるという難点がある。
及ぼすおそれがなく、かつ安価な材料を用いた製造装置
において、選択性よくアダマンタン類を製造することの
できる方法の開発が要望されている。
悪影響を及ぼすことなく、かつ安価な材料を用いた製造
装置により、選択性よくアダマンタン類を製造する方法
を提供することを目的とするものである。
を解決するため種々検討を重ねた結果、金属担持固体酸
触媒を用いて炭素数10以上の三環式飽和炭化水素を異
性化することによりアダマンタン類を製造する方法にお
いて、水および/またはアルコール類を併存させて異性
化反応を行う方法によれば、上記目的が達成できること
を見出し、これら知見に基づいて、本発明を完成するに
至った。
である。 (1)金属担持固体酸触媒を用いて炭素数10以上の三
環式飽和炭化水素を異性化することによりアダマンタン
類を製造する方法において、水および/またはアルコー
ル類を併存させて異性化反応を行うことを特徴とするア
ダマンタン類の製造法。 (2)金属担持固体酸触媒における金属が、周期律表第
8族〜第10族に属する金属である前記(1)に記載の
アダマンタン類の製造法。 (3)周期律表第8族〜第10族に属する金属が、白金
である前記(2)に記載のアダマンタン類の製造法。 (4)金属担持固体酸触媒が、ゼオライトに周期律表第
8族〜第10族に属する金属を担持してなる触媒である
前記(1)〜(3)のいずれかに記載のアダマンタン類
の製造法。 (5)金属担持固体酸触媒が、Y型ゼオライトに白金を
担持してなる固体酸触媒である前記(1)〜(4)のい
ずれかに記載のアダマンタン類の製造法。 (6)さらに、不飽和結合を有する化合物を併存させて
異性化反応を行う前記(1)〜(5)のいずれかに記載
のアダマンタン類の製造法。 (7)さらに、単環式飽和炭化水素を併存させて異性化
反応を行う前記(1)〜(5)のいずれかに記載のアダ
マンタン類の製造法。 (8)さらに、不飽和結合を有する化合物と単環式飽和
炭化水素を併存させて異性化反応を行う、前記(1)〜
(5)のいずれかに記載のアダマンタン類の製造法。
用いて炭素数10以上の三環式飽和炭化水素を異性化す
ることによりアダマンタン類を製造する方法において、
水および/またはアルコール類を併存させて異性化反応
を行う、アダマンタン類の製造法である。本発明におい
て製造することのできるアダマンタン類としては、アダ
マンタン構造を有する炭化水素であり、アダマンタンの
ほか、メチル基やエチル基などの低級アルキル基を有す
るアダマンタンのアルキル置換体が挙げられる。
数10以上の三環式飽和炭化水素としては、特に炭素数
が10〜15の三環式飽和炭化水素が好ましく、例え
ば、トリメチレンノルボルナン〔テトラヒドロジシクロ
ペンタジエン〕、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロ
フルオレン、パーヒドロフェナレン、1,2−シクロペ
ンタノパーヒドロナフタリン、パーヒドロアントラセ
ン、パーヒドロフェナントレンなどが挙げられる。さら
に、これら化合物のアルキル置換体、例えば、9−メチ
ルパーヒドロアントラセンなども好適なものとして挙げ
られる。
素は、ジシクロペンタジエンやアセナフテンなどの原料
化合物を、公知の水素添加用触媒、例えば、ラネーニッ
ケルや白金などの存在下に水素添加することにより容易
に得ることができる。つぎに、本発明において用いる触
媒は、少なくとも1種の金属を担持させた金属担持固体
酸触媒を用いる。この金属担持固体酸触媒における金属
種としては、周期律表第8族〜第10族に属する金属、
さらに具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウ
ム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムお
よび白金が好適なものとして挙げられる。これら金属の
中でも、特に白金を担持させた固体酸触媒が好ましい。
また、これら金属を担持する固体酸としては、A型ゼオ
ライト、L型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオラ
イト、ZSM−5などの各種ゼオライト、シリカアルミ
ナ、アルミナ、ヘテロポリ酸などの金属酸化物が好適な
ものとして挙げられる。これら固体酸の中でも、X型ゼ
オライトやY型ゼオライトが特に好ましい。
担持固体酸触媒を製造する方法については、少なくとも
1種の金属をイオン交換法または含浸法によってゼオラ
イトに担持することにより得ることができる。ここで、
イオン交換法による場合、上記金属の金属塩または金属
錯塩水溶液をゼオライトに接触させ、ゼオライト中のカ
チオンサイト(H+ ,NH4 + など)をイオン交換し、
乾燥した後、焼成することにより得ることができる。ま
た、含浸法による場合、上記の金属塩または金属錯塩水
溶液をゼオライトと混合した後、ロータリーエバポレー
ターなどを用いて蒸発乾固させ、含浸担持することによ
り得ることができる。このようにして得られる触媒の形
態は、粉末状、粒状のいずれであってもよい。
製造された金属担持固体酸触媒を用いて炭素数10以上
の三環式飽和炭化水素を異性化するに際して、水および
/またはアルコール類の併存下にこの反応を行うのであ
るが、ここで用いるアルコール類としては、例えば、メ
チルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−
ブチルアルコール、ベンジルアルコールなどの一価アル
コールや、エチレングリコール、グリセリンなどの多価
アルコールなどが挙げられる。
よび/またはアルコール類の供給割合は、原料の三環式
飽和炭化水素に対して、質量比で1:10,000〜
2:1とすることができる。それは、この水および/ま
たはアルコール類の供給割合が1:10,000未満で
あると、反応生成物中のアダマンタン類の選択率の向上
効果が充分に得られなくなり、また、この芳香族化合物
の供給割合が2:1を超えると、反応性の低下を招くか
らである。そして、これら水および/またはアルコール
類の供給割合は、原料の三環式飽和炭化水素に対する質
量比で1:1,000〜1:1の範囲とするのがより好
ましい。
持固体酸触媒を用いて炭素数10以上の三環式飽和炭化
水素を異性化するに際して、水および/またはアルコー
ル類と共に、不飽和結合を有する化合物を併存させるこ
とによって、アダマンタン類の選択率の向上効果をより
高めることができる。このような不飽和化合物として
は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレ
ン、アントラセンなどの芳香族炭化水素、フェノール、
ベンズアルデヒド、安息香酸などの含酸素芳香族化合
物、アニリン、ニトロベンゼンなどの含窒素芳香族化合
物、クロロベンゼン、ブロモベンゼンなどの含ハロゲン
芳香族化合物、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジ
エン、シクロヘキセン、ノルボルネンなどの脂環式不飽
和炭化水素、プロピレン、ブテン、ブタジエン、ペンテ
ンなどの鎖状不飽和炭化水素が挙げられる。
給割合は、原料の三環式飽和炭化水素に対して、質量比
で1:1,000〜2:1とすることができる。それ
は、この不飽和化合物の反応系への供給割合が、原料の
三環式飽和炭化水素に対して質量比で1:1,000未
満では、アダマンタン類の選択率の向上効果が充分に得
られなくなり、また不飽和化合物の反応系への供給割合
を2:1を超えて増大させると、反応性の低下を招くこ
とがあるからである。
固体酸触媒を用いて炭素数10以上の三環式飽和炭化水
素を異性化するに際して、水および/またはアルコール
類を併存させるとアダマンタン類の選択率は向上するの
であるが、その転化率が若干低下するようになる。そこ
で、この水および/またはアルコール類と共に、単環式
飽和炭化水素を併存させることによって、三環式飽和炭
化水素の転化率を向上させることができる。このような
単環式飽和炭化水素としては、メチルシクロペンタン、
エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチル
シクロヘキサン、ジメチルシクロペンタン、ジメチルシ
クロヘキサンなどが挙げられる。
への供給割合は、原料の三環式飽和炭化水素に対して、
質量比で1:50〜100:1とすることができる。そ
れは、この単環式飽和炭化水素の反応系への供給割合
が、原料の三環式飽和炭化水素に対して質量比で1:5
0未満では、三環式飽和炭化水素の転化率の向上効果が
得られなくなり、また、この単環式飽和炭化水素の反応
系への供給割合が、原料の三環式飽和炭化水素に対して
質量比で100:1を超えると、反応性の低下を招くこ
とがあるからである。
持固体酸触媒を用いて炭素数10以上の三環式飽和炭化
水素を異性化するに際して、水および/またはアルコー
ル類と共に、上記の不飽和結合を有する化合物と単環式
飽和炭化水素とを同時に供給して、これらの併存下に異
性化反応を行うことによって、アダマンタン類の収率の
向上効果をより高めることができる。
て、水および/またはアルコール類の併存下に炭素数1
0以上の三環式飽和炭化水素を異性化する際の反応条件
については、反応温度は150〜500℃、好ましくは
200〜400℃であり、反応圧力は常圧もしくは加圧
下に行えばよい。また、この場合の反応形式は、流通式
反応器を用いてもよいし、回分式反応器を用いてもよ
い。そして、回分式で行う場合、反応時間は1〜50時
間である。また、この反応は水素共存下に行うのがアダ
マンタン類の収率向上の点から好ましい。さらに、この
反応に用いた触媒を再生する場合には、空気中におい
て、350〜550℃の温度で焼成して再活性化する方
法を採用することができる。
5gを純水2000g中に投入し、攪拌して懸濁スラリ
ーとした後、これに希薄な硝酸を加えてpHを5.5に
調整した。ついで、この懸濁スラリーを攪拌しながら、
これに、硝酸ランタン6水和物〔La(NO3 )2 ・6
H2 O〕246gを温水500gに溶解した溶液を徐々
に添加し、この混合液を90℃に加温して30分間攪拌
した後、ろ過洗浄した。ついで、得られた固体を110
℃において1晩乾燥し、粉砕後、空気中600℃で3時
間焼成した。
000g中に加えて攪拌し、その懸濁液に硫酸アンモニ
ウム228gを加え、95℃において30分間攪拌し、
ろ過洗浄した。さらに、これら一連のイオン交換操作を
再度繰返し行った後、得られたろ過洗浄品を110℃に
おいて、一晩乾燥した。つぎに、上記で得られたろ過洗
浄品を粉砕し、510℃のスチーミング雰囲気下で30
分間処理した。ついで、このスチーミング処理品を純水
2000gに懸濁し、これに濃度25質量%の硫酸32
gをゆっくり加えて、95℃において30分間攪拌した
後、ろ過洗浄した。さらに、このろ過洗浄品を純水20
00gに懸濁し、これに濃度1.71質量%の塩化テト
ラアンミン白金水溶液180gを加えて、60℃におい
て30分間攪拌した後、ろ過洗浄した。そして、得られ
たろ過洗浄品を110℃において一晩乾燥した後、粉砕
することにより、白金担持量0.87質量%のPt担持
La含有USYゼオライト触媒を得た。
られたPt担持La含有USYゼオライト触媒20gを
充填し、空気気流下に300℃において3時間焼成し
た。ついで、反応系を窒素ガスにより置換した後、常圧
で水素ガス気流下に300℃において3時間の水素還元
処理をした。つぎに、この反応管に、アルコール類とし
てイソプロピルアルコールを3.3質量%含有するトリ
メチレンノルボルナンと水素ガスを供給し、反応温度3
00℃、反応圧力5MPa、WHSV=2.4h-1、水
素ガス:トリメチレンノルボルナンのモル比=2の条件
下に、連続的にトリメチレンノルボルナンの異性化反応
を行った。そして、反応管への原料の供給開始から50
時間後の反応生成物について、トリメチレンノルボルナ
ンの転化率およびアダマンタンの選択率を、下記の式に
より算出した。
を示す。この結果、ここでのトリメチレンノルボルナン
の転化率は81.3質量%であり、アダマンタンの選択
率は17.4質量%であった。これら結果を第1表に示
す。
ナンに、イソプロピルアルコールを加えなかった他は、
実施例1と同様にして、アダマンタンの製造をした。そ
の結果を第1表に示す。
た他は、実施例1と同様にして、アダマンタンの製造を
した。その結果を第1表に示す。
ナンに、イソプロピルアルコールを加えなかった他は、
実施例1と同様にして、アダマンタンの製造をした。そ
の結果を第1表に示す。
ナンに対して、イソプロピルアルコールをその含有割合
が16.7質量%となるように加えた他は、実施例1と
同様にして、アダマンタンの製造をした。その結果を第
1表に示す。
ナンに対して、水をその含有割合が5質量%となるよう
に加えた他は、実施例1と同様にして、アダマンタンの
製造をした。その結果を第1表に示す。
ナンに対して、イソプロピルアルコールをその含有割合
が3.3質量%となるように加え、かつ不飽和化合物と
してベンゼンをその含有割合が10質量%となるように
加えた他は、実施例1と同様にして、アダマンタンの製
造をした。その結果を第1表に示す。
ナンに対して、イソプロピルアルコールをその含有割合
が3.3質量%となるように加え、かつ単環式飽和炭化
水素としてエチルシクロヘキサンをその含有割合が20
質量%となるように加えた他は、実施例1と同様にし
て、アダマンタンの製造をした。その結果を第1表に示
す。
ナンに対して、イソプロピルアルコールをその含有割合
が3.3質量%となるように加え、不飽和化合物として
ベンゼンをその含有割合が10質量%となるように加
え、さらに単環式飽和炭化水素としてエチルシクロヘキ
サンをその含有割合が20質量%となるように加えた他
は、実施例1と同様にして、アダマンタンの製造をし
た。その結果を第1表に示す。
ぼすことなく、かつ、塩化水素などの腐食性物質を使用
しないので安価な材料を用いた製造装置によって、選択
性よくアダマンタン類を製造することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】金属担持固体酸触媒の存在下に炭素数10
以上の三環式飽和炭化水素を異性化してアダマンタン類
を製造する方法において、水および/またはアルコール
類を併存させて異性化反応を行うことを特徴とするアダ
マンタン類の製造法。 - 【請求項2】金属担持固体酸触媒における金属が、周期
律表第8族〜第10族に属する金属である請求項1に記
載のアダマンタン類の製造法。 - 【請求項3】周期律表第8族〜第10族に属する金属が
白金である請求項2に記載のアダマンタン類の製造法。 - 【請求項4】金属担持固体酸触媒が、ゼオライトに周期
律表第8族〜第10族に属する金属を担持してなる触媒
である請求項1〜3のいずれかに記載のアダマンタン類
の製造法。 - 【請求項5】金属担持固体酸触媒が、Y型ゼオライトに
白金を担持してなる固体酸触媒である請求項1〜4のい
ずれかに記載のアダマンタン類の製造法。 - 【請求項6】さらに、不飽和結合を有する化合物を併存
させて異性化反応を行う請求項1〜5のいずれかに記載
のアダマンタン類の製造法。 - 【請求項7】さらに、単環式飽和炭化水素を併存させて
異性化反応を行う請求項1〜5のいずれかに記載のアダ
マンタン類の製造法。 - 【請求項8】さらに、不飽和結合を有する化合物と単環
式飽和炭化水素を併存させて異性化反応を行う請求項1
〜5のいずれかに記載のアダマンタン類の製造法。
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