JP2002369690A - 蛍光蛋白質 - Google Patents
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Abstract
に対する感受性を低減させたGFP又はYEP変異体を作製す
ること。 【解決手段】 緑色蛍光蛋白質、黄色蛍光蛋白質又はそ
れらの変異体のアミノ酸配列において46番目のフェニ
ルアラニン残基がロイシン残基に置換していることを特
徴とする、蛍光蛋白質。
Description
有する新規な蛍光蛋白質に関する。より詳細には、本発
明は、緑色蛍光蛋白質、黄色蛍光蛋白質又はそれらの変
異体のアミノ酸配列において46番目にロイシン残基を
有することを特徴とする蛍光蛋白質、並びにその利用に
関する。
orea victoria)に由来する緑色蛍光蛋白質(GFP)は、
生物系のための多数の用途を提供してきた(Tsien, R.
Y. (1998). Ann. Rev. Biochem. 67, 509-544)。最近
数年において、ランダム突然変異誘発法および半合理的
(semi-rational)突然変異誘発法の両方によって、新た
な色、改善された折りたたみ特性、より高い輝度、そし
て改変されたpH感受性を有するGFP変異体が作製されて
いる。遺伝子操作によって、何百もの蛋白質をGFPに融
合させて、それらの発現および輸送のモニタリングを行
うことに成功している。GFPまたはGFP融合蛋白質が一定
のレベルにおいて異種的に発現される場合には、蛍光強
度は以下の条件に依存する: 1)GFP蛍光団の絶対的輝度(モル吸光係数(ε)と蛍
光量子収率(Φ)との積により限定される) 2)新規に合成されたGFPポリペプチドの成熟効率 3)環境因子によるGFP蛍光団の消光率。
されるGFP変異体の1種であり、全てのクラゲ(Aequore
a)GFP変異体の中で最長波長の発光を示す。大部分のYF
PのεおよびΦは、それぞれ60,000〜100,000M-1cm-1お
よび0.6〜0.8である(Tsien, R. Y. (1998). Ann. Rev.
Biochem. 67, 509-544)。これらの値は、一般的な蛍
光団(フルオレセインおよびローダミンなど)の値にほ
ぼ匹敵する。従ってYFPの絶対的輝度の改善は、限界に
達しているように思われる。
光の放出前に適切に成熟する必要がある。この成熟に
は、蛋白質のほぼ天然のコンホメーションへの折りたた
み、および内部トリペプチドの環化とそれに続く酸化が
含まれる。GFPの成熟を改善する主要な突然変異が幾つ
か同定されている(Tsien, R. Y. (1998). Ann. Rev. B
iochem. 67, 509-544)。例えば、F64L/M153T/V163A/S1
75Gは、多くの改良GFP変異体に導入されている共通の変
異である。M153TおよびS175Gは、βバレルの表面上に位
置し、表面疎水性を低減し、蛋白質の溶解性を高めるこ
とによって折りたたみ効率と安定性を高めていることが
知られている。しかしながら、酸化過程がGFP成熟化の
全過程における律速段階であるため、37℃で最終的な酸
化反応を促進する変異が非常に望ましいにも拘わらず、
そのような変異は明確には同定されていない。折りたた
み効率は改善されているにも関わらず、成熟が遅いこと
は、GFPの可視化の応用における重大な問題の一つであ
り、これは、37℃で発現する場合や特定のオルガネラに
ターゲティングする場合には、より大きな問題となる。
従って、より良好な成熟効率を有するGFP変異体の取得
が必要である。
は、相対的に酸感受性であり、ハロゲン化物イオン(塩
素イオン(Cl-)を含む)により独特に消光される(Jayar
aman, S.,他 (2000) J. Biol. Chem. 275, 6047-6050;
及びWachter, 他(2000) J. Mol. Biol. 301, 157-17
1)。プロトン(H+)およびCl-はYFPの発色団の電荷状
態に対し協働的に影響を及ぼし、それによりその蛍光を
抑制する。これらのイオンの濃度は細胞内オルガネラの
中で様々であり、分泌性オルガネラにおいてH+は顕著に
蓄積する。また、それらの濃度は刺激により劇的に変化
する(Kuner, T. 他(2000) Neuron 27, 447-459)。例
えば、海馬ニューロンのグルタミン酸および電気的刺激
によって細胞内pHが約0.4だけ低減する。そして受容体
が媒介するCl-流入又は流出が嗅覚器官およびGABA作動
性ニューロンにおいて起こる。これらの状況においてYF
Pを十分かつ安定に発光させるために、pHおよびCl-の両
方に対する感受性を低減する突然変異が望ましい。
効率を有するGFP又はYEP変異体を作製することを解決す
べき課題とした。本発明はまた、pHおよびCl-の両方に
対する感受性を低減させたGFP又はYEP変異体を作製する
ことを解決すべき課題とした。
に本発明者らは鋭意検討し、YFPの新規な変異体を構築
し、得られた変異体を用いて、エキソサイトーシス事象
の効率的なモニタリングに関しては分化したPC12細胞の
分泌小胞への該変異体のターゲティングにより、そして
FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)シグナルの直接検出に
関してはアクセプターとして該変異体を用いることによ
り、この変異体の利点を実証した。本発明の蛍光蛋白質
は、改善された成熟速度および成熟率を有し、さらにH+
およびCl -両方に対する耐性を有するため、幅広い用途
に利用可能であり、従来は不可能であった蛍光標識を可
能とするものでもある。
黄色蛍光蛋白質又はそれらの変異体のアミノ酸配列にお
いて46番目のフェニルアラニン残基がロイシン残基に
置換していることを特徴とする、蛍光蛋白質が提供され
る。
蛍光蛋白質又はそれらの変異体のアミノ酸配列において
64番目のフェニルアラニン残基がロイシン残基に、1
53番目のメチオニン残基がトレオニン残基に、163
番目のバリン残基がアラニン残基に、そして175番目
のセリン残基がグリシン残基に置換している。
の何れかのアミノ酸配列を有する蛍光蛋白質が挙げられ
る。 (a)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列;又
は、(b)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列に
おいて1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付
加を有するアミノ酸配列を有し、配列番号1に記載のア
ミノ酸配列を有する蛋白質と同等以上の蛍光特性を有す
るアミノ酸配列:
明の蛍光蛋白質をコードするDNAが提供される。本発
明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のDNA
を有する組み換えベクターが提供される。本発明のさら
に別の側面によれば、上記した本発明のDNA又は組み
換えベクターを有する形質転換体が提供される。
た本発明の蛍光蛋白質と他の蛋白質とから成る融合蛍光
蛋白質が提供される。他の蛋白質は、好ましくは細胞内
に局在する蛋白質であり、例えば、細胞内小器官に特異
的な蛋白質である。本発明のさらに別の側面によれば、
上記した本発明の融合蛋白質を細胞内で発現させること
を特徴とする、細胞内における蛋白質の局在又は動態を
分析する方法が提供される。
た本発明の蛍光蛋白質をアクセプター蛋白質又はドナー
蛋白質として用いてFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)法
を行うことを特徴とする、生理活性物質の分析方法が提
供される。本発明のさらに別の側面によれば、本発明の
蛍光蛋白質、DNA、組み換えベクター、形質転換体又
は融合蛋白質を含む、細胞内成分の局在の分析及び/又
は生理活性物質の分析のためのキットが提供される。
て詳細に説明する。(1)本発明の蛍光蛋白質 本発明の蛍光蛋白質は、緑色蛍光蛋白質、黄色蛍光蛋白
質又はそれらの変異体のアミノ酸配列において46番目
のフェニルアラニン残基がロイシン残基に置換している
ことを特徴とするものである。
P)、黄色蛍光蛋白質(YFP)またはそれらの変異体
とは、各々公知の緑色蛍光蛋白質と黄色蛍光蛋白質だけ
でなく、それらの変異体の全てを包含する意味である。
例えば、緑色蛍光蛋白質遺伝子は単離され配列も決定さ
れている(Prasher,D.C.ら(1992),"Primary structur
e of the Aequorea victoria green fluorescent prote
in",Gene 111:229−233)。その他の蛍光蛋白質又はそ
の変異体のアミノ酸配列も多数報告されており、例え
ば、Roger Y.Tsin, Annu.Rev.Biochem.1998. 67:509-4
4、並びにその引用文献に記載されている。緑色蛍光蛋
白質(GFP)、黄色蛍光蛋白質(YFP)またはそれ
らの変異体としては、例えば、オワンクラゲ(例えば、
エクオレア・ビクトリア(Aequoreavictoria))由来の
ものを使用できる。
以下に示す。なお、F99Sという表示は、99番目の
アミノ酸残基がFからSに置換していることを示し、他
のアミノ酸置換についても同様の表示に従って示す。野
生型GFP;F99S,M153T,V163Aのアミ
ノ酸変異を有するGFP;S65Tのアミノ酸変異を有
するGFP;F64L,S65Tのアミノ酸変異を有す
るGFP;S65T,S72A,N149K,M153
T,I167Tのアミノ酸変異を有するGFP;S20
2F,T203Iのアミノ酸変異を有するGFP;T2
03I,S72A,Y145Fのアミノ酸変異を有する
GFP;S65G,S72A,T203Fのアミノ酸変
異を有するGFP(YFP);S65G,S72A,T
203Hのアミノ酸変異を有するGFP(YFP);S
65G,V68L,Q69K,S72A,T203Yの
アミノ酸変異を有するGFP(EYFP−V68L,Q
69K);S65G,S72A,T203Yのアミノ酸
変異を有するGFP(EYFP);S65G,S72
A,K79R,T203Yのアミノ酸変異を有するGF
P(YFP);
光蛋白質(Enhanced green fluorescent protein)のア
ミノ酸配列の一例を、本明細書の配列表の配列番号2に
記載し、また、黄色蛍光蛋白質の変異体である増強黄色
蛍光蛋白質(Enhanced yellow fluorescent protein)
のアミノ酸配列の一例を、本明細書の配列表の配列番号
3に記載する。
酸配列では、アミノ酸番号1と2の間にValが挿入さ
れているため、天然体の蛍光蛋白質における46番目の
フェニルアラニン残基(Phe)は47番目に記載され
ている。本発明の蛍光蛋白質は、46番目のフェニルア
ラニン残基がロイシン残基に置換していることを特徴と
するものであるが、ここで言う「46番目のフェニルア
ラニン残基」とは、配列番号2及び配列番号3のアミノ
酸配列においては、それぞれ47番目のフェニルアラニ
ン残基(Phe)に対応するものである。
は、配列番号2又は配列番号3に記載のアミノ酸配列に
おいて、47番目のフェニルアラニン残基(Phe)が
ロイシン残基に置換しているアミノ酸配列を有する蛋白
質が挙げられる。
質、黄色蛍光蛋白質又はそれらの変異体のアミノ酸配列
において46番目のフェニルアラニン残基がロイシン残
基に置換していることに加えて、64番目のフェニルア
ラニン残基がロイシン残基に、153番目のメチオニン
残基がトレオニン残基に、163番目のバリン残基がア
ラニン残基に、そして175番目のセリン残基がグリシ
ン残基に置換している。
「153番目」「163番目」及び「175番目」のア
ミノ酸残基はそれぞれ、配列番号2及び配列番号3で
は、「65番目」「154番目」「164番目」及び
「176番目」のアミノ酸残基に対応する。
下の何れかのアミノ酸配列を有する蛍光蛋白質が挙げら
れる。 (a)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列;又
は、(b)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列に
おいて1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付
加を有するアミノ酸配列を有し、配列番号1に記載のア
ミノ酸配列を有する蛋白質と同等以上の蛍光特性を有す
るアミノ酸配列:
欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列」にお
ける「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例
えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好
ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特
に好ましくは1から3個程度を意味する。
する」とは、同等以上の蛍光強度、同等の波長、同等以
上の成熟速度および成熟率、並びにH+およびCl-に対す
る同等以下の感受性を有することを意味する。
特に制限はなく、化学合成により合成した蛋白質でもよ
いし、遺伝子組み換え技術による作製した組み換え蛋白
質でもよい。組み換え蛋白質を作製する場合には、先ず
当該蛋白質をコードするDNAを入手することが必要で
ある。本明細書の配列表の配列番号1〜3に記載したア
ミノ酸配列、及び配列番号4及び5に記載した塩基配列
(これらの塩基配列は、配列番号2及び3に記載のアミ
ノ酸配列をコードする塩基配列の一例である)の情報を
利用することにより適当なプライマーを設計し、それら
を用いて上記したような各種の公知の蛍光蛋白質のcD
NAクローンを鋳型にしてPCRを行うことにより、本
発明の蛍光蛋白質をコードするDNAを取得することが
できる。本発明の蛍光蛋白質をコードするDNAの一部
の断片を上記したPCRにより得た場合には、作製した
DNA断片を順番に遺伝子組み換え技術により連結する
ことにより、所望の蛍光蛋白質をコードするDNAを得
ることができる。このDNAを適当な発現系に導入する
ことにより、本発明の蛍光蛋白質を産生することができ
る。発現系での発現については本明細書中後記する。
子が提供される。本発明の蛍光蛋白質をコードするDN
Aの具体例としては、以下の何れかのDNAが挙げられ
る。 (a)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列をコー
ドするDNA;又は(b)配列表の配列番号1に記載の
アミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置
換及び/又は付加を有するアミノ酸配列を有し、配列番
号1に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等以上の
蛍光特性を有するアミノ酸配列をコードするDNA:
ト法などにより合成することができるし、特異的プライ
マーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって
製造することもできる。本発明のDNA又はその断片の
作製方法については、本明細書中の上述した通りであ
る。
する方法は当業者に公知である。例えば、部位特異的変
異誘発法、縮重オリゴヌクレオチドを用いるPCR、核
酸を含む細胞の変異誘発剤又は放射線への露出等の公知
の技術を適宜使用することによって、変異を有するDN
Aを構築することができる。このような公知の技術は、
例えば、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2
nd Ed., Cold SpringHarbor Laboratory, Cold Spring
Harbor, NY.,1989、並びにCurrent Protocolsin Molecu
lar Biology, Supplement 1〜38, John Wiley & Sons
(1987-1997)に記載されている。
ことができる。本発明で用いるベクターの種類は特に限
定されず、例えば、自立的に複製するベクター(例えば
プラスミド等)でもよいし、あるいは、宿主細胞に導入
された際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれ
た染色体と共に複製されるものであってもよい。好まし
くは、本発明で用いるベクターは発現ベクターである。
発現ベクターにおいて本発明のDNAは、転写に必要な
要素(例えば、プロモーター等)が機能的に連結されて
いる。プロモータは宿主細胞において転写活性を示すD
NA配列であり、宿主の種類に応じて適宜することがで
きる。
は、バチルス・ステアロテルモフィルス・マルトジェニ
ック・アミラーゼ遺伝子(Bacillusstearothermophilus
maltogenic amylase gene)、バチルス・リケニホルミス
αアミラーゼ遺伝子(Bacilluslicheniformis alpha-amy
lase gene)、バチルス・アミロリケファチエンス・BAN
アミラーゼ遺伝子(Bacillus amyloliquefaciens BAN am
ylase gene)、バチルス・サブチリス・アルカリプロテ
アーゼ遺伝子(Bacillus Subtilis alkaline protease
gene)もしくはバチルス・プミルス・キシロシダーゼ遺
伝子(Bacillus pumilus xylosldase gene)のプロモー
タ、またはファージ・ラムダのPR若しくはP Lプロモー
タ、大腸菌の lac、trp若しくはtacプロモータなどが挙
げられる。
としては、SV40プロモータ、MT−1(メタロチオ
ネイン遺伝子)プロモータ、またはアデノウイルス2主
後期プロモータなどがある。昆虫細胞で作動可能なプロ
モータの例としては、ポリヘドリンプロモータ、P10
プロモータ、オートグラファ・カリホルニカ・ポリヘド
ロシス塩基性タンパクプロモータ、バキュウロウイルス
即時型初期遺伝子1プロモータ、またはバキュウロウイ
ルス39K遅延型初期遺伝子プロモータ等がある。酵母
宿主細胞で作動可能なプロモータの例としては、酵母解
糖系遺伝子由来のプロモータ、アルコールデヒドロゲナ
ーゼ遺伝子プロモータ、TPI1プロモータ、ADH2-
4cプロモータなどが挙げられる。糸状菌細胞で作動可能
なプロモータの例としては、ADH3プロモータまたは
tpiAプロモータなどがある。
えばヒト成長ホルモンターミネータまたは真菌宿主につ
いてはTPI1ターミネータ若しくはADH3ターミネ
ータのような適切なターミネータに機能的に結合されて
もよい。本発明の組み換えベクターは更に、ポリアデニ
レーションシグナル(例えばSV40またはアデノウイ
ルス5E1b領域由来のもの)、転写エンハンサ配列
(例えばSV40エンハンサ)および翻訳エンハンサ配
列(例えばアデノウイルス VA RNA をコードする
もの)のような要素を有していてもよい。本発明の組み
換えベクターは更に、該ベクターが宿主細胞内で複製す
ることを可能にするDNA配列を具備してもよく、その
一例としてはSV40複製起点(宿主細胞が哺乳類細胞
のとき)が挙げられる。
ーカーを含有してもよい。選択マーカーとしては、例え
ば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)またはシゾ
サッカロマイセス・ポンベTPI遺伝子等のようなその
補体が宿主細胞に欠けている遺伝子、または例えばアン
ピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラム
フェニコール、ネオマイシン若しくはヒグロマイシンの
ような薬剤耐性遺伝子を挙げることができる。本発明の
DNA、プロモータ、および所望によりターミネータお
よび/または分泌シグナル配列をそれぞれ連結し、これ
らを適切なベクターに挿入する方法は当業者に周知であ
る。
入することによって形質転換体を作製することができ
る。本発明のDNAまたは組み換えベクターを導入され
る宿主細胞は、本発明のDNA構築物を発現できれば任
意の細胞でよく、細菌、酵母、真菌および高等真核細胞
等が挙げられる。
トレプトマイセス等のグラム陽性菌又は大腸菌等のグラ
ム陰性菌が挙げられる。これら細菌の形質転換は、プロ
トプラスト法、または公知の方法でコンピテント細胞を
用いることにより行なえばよい。哺乳類細胞の例として
は、HEK293細胞、HeLa細胞、COS細胞、B
HK細胞、CHL細胞またはCHO細胞等が挙げられ
る。哺乳類細胞を形質転換し、該細胞に導入されたDN
A配列を発現させる方法も公知であり、例えば、エレク
トロポーレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェ
クション法等を用いることができる。
またはシゾサッカロマイセスに属する細胞が挙げられ、
例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces
cerevis1ae)またはサッカロマイセス・クルイベリ(Sa
ccharomyces kluyveri)等が挙げられる。酵母宿主への
組み換えベクターの導入方法としては、例えば、エレク
トロポレーション法、スフェロブラスト法、酢酸リチウ
ム法等を挙げることができる。
ペルギルス、ニューロスポラ、フザリウム、またはトリ
コデルマに属する細胞である。宿主細胞として糸状菌を
用いる場合、DNA構築物を宿主染色体に組み込んで組
換え宿主細胞を得ることにより形質転換を行うことがで
きる。DNA構築物の宿主染色体への組み込みは、公知
の方法に従い、例えば相同組換えまたは異種組換えによ
り行うことができる。
換え遺伝子導入ベクターおよびバキュロウイルスを昆虫
細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウイルス
を得た後、さらに組換えウイルスを昆虫細胞に感染さ
せ、蛋白質を発現させることができる(例えば、Baculo
virus Expression Vectors, A Laboratory Manua1;及
びカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バ
イオロジー、Bio/Technology, 6, 47(1988)等に記
載)。
ウガ科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・
カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイル
ス(Autographa californica nuclear polyhedrosis vir
us)等を用いることができる。昆虫細胞としては、Spodo
ptera frugiperdaの卵巣細胞であるSf9、Sf21
〔バキュロウイルス・エクスプレッション・ベクター
ズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュー・エイ
チ・フリーマン・アンド・カンパニー(W. H. Freeman a
nd Company)、ニューヨーク(New York)、(1992)〕、Tri
choplusia niの卵巣細胞であるHiFive(インビト
ロジェン社製)等を用いることができる。組換えウイル
スを調製するための、昆虫細胞への組換え遺伝子導入ベ
クターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、
例えば、リン酸カルシウム法又はリポフェクション法等
を挙げることができる。
築物の発現を可能にする条件下で適切な栄養培地中で培
養する。形質転換体の培養物から、本発明の蛍光融合蛋
白質を単離精製するには、通常の蛋白質の単離、精製法
を用いればよい。例えば、本発明の蛋白質が、細胞内に
溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心
分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機等
により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽
出液を遠心分離することにより得られた上清から、通常
の蛋白質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等によ
る塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルア
ミノエチル(DEAE)セファロース等のレジンを用いた陰イ
オン交換クロマトグラフィー法、S-Sepharose FF(ファ
ルマシア社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマ
トグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファ
ロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー
法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマ
トグラフィ一法、クロマトフォーカシング法、等電点電
気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わ
せて用い、精製標品を得ることができる。
蛋白質とその利用 本発明は蛍光蛋白質を他の蛋白質と融合させることによ
り、融合蛍光蛋白質を構築することができる。本発明の
蛍光蛋白質を融合させる他の蛋白質の種類は特に限定さ
れるものではないが、例えば、細胞内に局在する蛋白
質、より具体的には、細胞内小器官に特異的な蛋白質な
どを挙げることができる。
ては特に制限はなく、化学合成により合成した蛋白質で
もよいし、遺伝子組み換え技術による作製した組み換え
蛋白質でもよい。組み換え蛋白質を作製する場合には、
先ず当該蛋白質をコードするDNAを入手することが必
要である。本明細書の配列表の配列番号1〜3に記載し
たアミノ酸配列、及び配列番号4及び5に記載した塩基
配列の情報を利用することにより適当なプライマーを設
計し、それらを用いて上記したような各種の公知の蛍光
蛋白質のcDNAクローンを鋳型にしてPCRを行うこ
とにより、本発明の蛍光蛋白質をコードするDNAを構
築するのに必要なDNA断片を作製することができる。
また同様に、融合すべき蛋白質をコードするDNA断片
も入手する。
子組み換え技術により連結することにより、所望の融合
蛍光蛋白質をコードするDNAを得ることができる。こ
のDNAを適当な発現系に導入することにより、本発明
の融合蛍光蛋白質を産生することができる。
質と他の蛋白質(蛋白質Xとする)とを融合させた融合
蛍光蛋白質を細胞内で発現させ、発する蛍光をモニター
することにより、細胞内における蛋白質Xの局在や動態
を分析することが可能になる。即ち、本発明の融合蛍光
蛋白質をコードするDNAで形質転換またはトランスフ
ェクトした細胞を蛍光顕微鏡で観察することにより細胞
内における蛋白質Xの局在や動態を可視化して分析する
ことができる。
に特異的な蛋白質を利用することにより、核、ミトコン
ドリア、小胞体、ゴルジ体、分泌小胞、ペルオキソーム
などの分布や動きを観察できる。また、例えば、神経細
胞の軸索、樹状突起などは発生途中の個体の中で著しく
複雑な走向の変化を示すので、こういった部位を蛍光ラ
ベルすることにより動的解析が可能になる。
る。経時変化を追跡するなど頻回の観察を必要とする場
合には、通常の落射型蛍光顕微鏡が好ましい。細胞内の
詳細な局在を追及したい場合など、解像度を重視する場
合は、共焦点レーザー顕微鏡の方が好ましい。顕微鏡シ
ステムとしては、細胞の生理状態を保ち、コンタミネー
ションを防止する観点から、倒立型顕微鏡が好ましい。
正立顕微鏡を使用する場合、高倍率レンズを用いる際に
は水浸レンズを用いることができる。
長に応じて適切なものを選択できる。GFPの観察には
励起光470〜490nm、蛍光500〜520nm程
度のフィルターを使用することが好ましい。YFPの観
察には、励起光480〜500nm、蛍光510〜55
0nm程度のフィルターを使用することが好ましい。
観察を行う場合には、短時間で撮影を行うべきなので、
高感度冷却CCDカメラを使用する。冷却CCDカメラ
は、CCDを冷却することにより熱雑音を下げ、微弱な
蛍光像を短時間露光で鮮明に撮影することができる。
(蛍光共鳴エネルギー転移)法 本発明の蛍光蛋白質は、FRET(蛍光共鳴エネルギー転
移)法を用いた分析法に利用することができる。例え
ば、本発明の蛍光蛋白質が黄色蛍光蛋白質(YFP)の
変異体である場合、本発明の蛍光蛋白質をアクセプター
分子として使用し、シアン蛍光蛋白質(CFP)をドナ
ー分子として使用して、両者の間でFRET(蛍光共鳴
エネルギー転移)を起こすことにより蛋白質間の相互作
用を可視化することができる。例えば、Ca2+の濃度上
昇によって起こる蛋白質間の相互作用(例えば、カルモ
ジュリン等のカルシウム結合蛋白質と、M13等のその
標的ペプチドとの結合)をCFPからYFPへのFRE
Tで可視化することが可能である。
ュリン、トロポニンC、カルシニューリンB、ミオシン
軽鎖、レコベリン、S−モジュリン、ビシニン、VIL
IP、ニューロカルシン、ヒポカルシン、フレクエニ
ン、カルトラクチン、カルパイン・ラージ・サブユニッ
ト、S100プロテイン、パルバルブミン、カルビンジ
ンD9K、カルビンジンD28K及びカルレチニンなどが挙
げられる。
ドのアミノ酸配列は当業者であれば適宜選択することが
できる。例えば、カルシウム結合蛋白質がカルモジュリ
ンの場合には、カルモジュリンの標的物質として知られ
る各種の蛋白質やペプチド中に存在することが知られて
いるカルモジュリン結合ドメインのアミノ酸配列を、本
発明の融合蛍光蛋白質のN末端側に存在させることがで
きる。このようなカルモジュリン結合ドメインのアミノ
酸配列は、これまで1200種類以上が知られている。
カルモジュリン結合ドメインデータベース( HYPERLINK
"http://calcium.oci.utoronto.ca/ctdb" http://calc
ium.oci.utoronto.ca/ctdb)で検索可能である。上記の
通り本発明の蛍光蛋白質は、細胞内のカルシウムイオン
濃度を測定したり、カルシウムイオン分布をモニターす
るために使用することができる。
蛍光蛋白質、DNA、組み換えベクター又は形質転換体
から選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴と
する、細胞内成分の局在の分析及び/又は生理活性物質
の分析のためのキットが提供される。本発明のキット
は、それ自体既知の通常用いられる材料及び手法で調製
することができる。蛍光蛋白質又はDNAなどの試薬
は、適当な溶媒に溶解することにより保存に適した形態
に調製することができる。溶媒としては、水、エタノー
ル、各種緩衝液などを用いることができる。以下の実施
例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例
によって限定されるものではない。
サーキュラーパーミューテーションを行ったYFP(H148D
/V163A/S175G/Y203F)(Nagai, T, 他 (2001) Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 98, 3197-3202)の遺伝子にランダム
変異を導入した。PCR産物をPstIおよびKpnIを用いて消
化し、BamHI/PstIおよびKpnI/EcoRI部位にそれぞれM13
およびカルモジュリンの遺伝子を保持するpRSETB(Invi
trogen)にサブクローニングした。プレート上で37℃に
て増殖させた細菌コロニーの蛍光を、蛍光画像解析シス
テム(Sawano, A. 他 (2000) Nucleic Acids Research
28, e78)を用いて分析した。
ds Research 28, e78)を用いて、変異 F46LおよびF64L
/M153T/V163A/S175Gに関して、オリゴヌクレオチド特異
的変異誘発法を行った。pRSETB(pRSETB/EYFP)中のEYF
PのcDNAを出発物質として用いて、pRSETB/SEYFP、pRSET
B/EYFP(F46L)およびpRSETB/SEYFP(F46L)(= pRSETB
/Venus)を作製した。pEGFP-N1-NPY中のEGFP遺伝子はVe
nus遺伝子と置き換えて、NPY-Venusキメラ蛋白質をコー
ドするpVenus-N1-NPYを得た。Venusを黄色カメレオン3.
1(YC3.1)の遺伝子中のEYFP-V68L/Q69Kの代わりに置き
換えて、YC3.12遺伝子を作製し、これを細菌発現および
哺乳動物発現のためにそれぞれpRSETBおよびpCS2中にサ
ブクローニングした。
ンを含有するLB培地中で37℃にて増殖させ、回収し、最
終OD600が0.5となるようにPBS中に再懸濁した。レシオ
メトリックスペリカムおよびYFP変異体に関しては485 n
mにおける励起、カメレオン変異体に関しては435nmにお
ける励起により蛍光スペクトルを取得した。
および塩化物滴定 蛋白質は、既報の通り、大腸菌で発現し、精製し、分光
分析により同定した(Miyawaki, A., 他 (1999) Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 96, 2135-2140)。YFP変異体の
量子収率はフルオレセインの収量(0.91)との比較によ
り求めた。モル吸光係数の計算のために、蛋白質濃度を
標準として牛血清アルブミンを用いてBradfordキット
(BioRad)を用いて測定した。pH滴定は、全てのバッフ
ァーに35 mM [Cl-] を含有させ、イオン強度をD-グルコ
ン酸カリウムを用いて150mMに調整した以外は、既報(N
agai, T,他(2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 31
97-3202)の通り行った。塩化物滴定はpH 7.0にて行っ
た。蛋白質を0〜400mMの範囲の特定の[Cl-]を含有
する10 mMのMOPS(pH7.0)中に溶解し、イオン強度をD-
グルコン酸カリウムを用いて400 mMに調整した。
再酸化 蛍光回復実験を既報の通り行った(Reid, B.G. 他 (199
7) Biochemistry 36,6786-6791)。変性YFPは、変性バ
ッファー(8M尿素および1 mM DTT)中で95℃にて5分間
蛋白質をインキュベートすることにより調製した。変性
/還元YFPの調製は、5 mM次亜硫酸塩を上記変性バッフ
ァーに添加した。蛍光の回復は、37℃において再生バッ
ファー(35 mM KC1、2 mM MgCl2、50 mM Tris pH 7.5、
1 mM DTT)で100倍希釈を行って開始した。530nmにおけ
る発光を515nmにおける励起によりモニタリングした。
にて増殖培地(DMEM、10%胎児ウシ血清、10%ウマ血
清、100 U/ml ペニシリン、0.1 mg/ml ストレプトマイ
シン)中に維持した。トランスフェクションの前日に、
細胞をガラス製カバースリップ上に載せた。画像化のた
めに、カバースリップをポリエチレンイミで被覆した。
Lipofect Amine 2000 (Gibco BRL)を使用して、細胞
にpVenus-N1-NPYまたはpEGFP-N1-NPYをトランスフェク
トした。続いて細胞を、培地中に神経成長因子(100 ng
/ml ヒト組換えNGF-b鎖、Calbiochem)を添加すること
により、分化させ、軸策を伸長させた。
ルムアルデヒドを用いて15分間固定した。0.1%TritonX
-100を含有するPBS中に希釈したGFPに対するポリクロー
ナル抗体(MBL, Japan)およびAlexa568結合抗ウサギIg
G(Molecular Probe)を用いて、VenusおよびEGFPに対
する免疫染色を実施した。染色した細胞は、Venusおよ
びEGFPの緑色蛍光に関しては470DF35(励起)およびHQ5
25/50(発光)を用いて、そしてAlexa568の赤色蛍光に
関しては550DF30(励起)および590DF35(発光)を用い
て観察した。
て生理学的食塩水溶液(145 mM NaCl、5.6mM KCl、2.2m
M CaCl2、0.5mM MgC12、5.6mMグルコース、15mM HEPE
S、pH 7.4)中でインキュベートした。脱分極刺激は、
予め加温した高K+溶液(95mM NaCl、56mM KCl、2.2mM C
aC12、0.5mM MgC12、5,6mMグルコース、15mM HEPES、pH
7.4)と交換することにより開始した。細胞外溶液およ
び細胞溶解物の蛍光強度を、特定の時点において測定し
た。
ッセント波励起のために改良した(Steyer, J. A. 他
(2001) Nature Reviews Mol. Cell Biol. 2, 268-27
5)。顕微鏡には、高開口数レンズ(UplanApo 60X NA1.
45,オリンパス)、二色鏡(505DRLP, オメガ)及び全体
内部反射蛍光顕微鏡用の照明器(TIRFM)(U-DP,オリン
パス)を備えつけた。レーザー(アルゴン,Omnichrom
e)及び照明器をシングルモードファイバーに接続し、
488nmのレーザー光線を顕微鏡内に導入した。レー
ザー光線を対物レンズの出口孔に発射した。MetaMorph/
MetaFluor 4.0ソフトウエア(Universal Imaging)によ
り制御される12ビット冷却CCDカメラ(MicroMax 1300
Y/HS, Roper Scientific)を用いて、画像を発光フィル
ター(HQ525/50, オメガ)を通じて取得した。画像取得
の速度は、30フレーム/秒(2×2binning)又は10フ
レーム/秒(1×1binning)の何れかとした。
画像化 Superfect(Qiagen)を用いてHeLa細胞にpCS2-YC3.1又はp
CS2-YC3.12をトランスフェクションし、既報の通り画像
化した(Miyawaki, A.,他 (1999) Proc. Natl.Acad. Sc
i. USA 96, 2135-2140)。
規な変異 ペリカム(Ca2+を感知するように遺伝子操作されたサー
キュラーパーミューテーション(circular permutatio
n)を行ったGFP)(Nagai, T, 他 (2001) Proc.Natl. A
cad. Sci. USA 98, 3197-3202)におけるランダム変異
誘発の間に、Ca2 +感受性に影響を及ぼすことなく成熟を
改善するいくつかの変異が見つかった。特に関心がもた
れるものは、Phe-46のLeuへの変異であり、これは37℃
における発色団形成を大きく改善した。3種類のペリカ
ムの中で、このF46Lを有するインバースペリカム(inve
rse-pericam)およびレシオメトリックペリカム双方(r
atiometric-pericam)は、高いCa2+感受性を保持しつ
つ、37℃において非常に効率的に成熟することができ
た。図1Aは、F46Lが大腸菌において37℃で産生される
レシオメトリックペリカムの蛍光発生に及ぼす顕著な影
響を示すが、折りたたみ効率を増大させることが同定さ
れた2つの変異V163AおよびS175Gは全く影響を及ぼさな
かった。フラッシュペリカム(flash-pericam)のCa2+
感受性はこの変異によって低下した。従って、フラッシ
ュペリカムはF46Lを担持せず、28〜30℃においてより良
好に産生される。
にYFP変異体(EYFP-V68L/Q69K)から加工されたもので
あるため(Miyawaki, A.,他 (1999) Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 96, 2135-2140)、F46LがYFPに関しても成熟
効率を増大させるかどうかに興味をもった。F46Lの効果
を、最もよく使用されるYFP変異体であるEYFP(S65G/S7
2A/V68L/T203Y)において調べた。YFP変異体(S65G/S72
A/V68L/T203Y)(Wachter, R.M.,他(1999) Structure
6, 1267-1277)の結晶構造において、Phe-46のベンゼン
環は発色団の一部であるイミダゾリノンと隣接してい
る。F46LはYFPの発色団形成に影響を及ぼしていると考
えられる。F46Lの作用と共に、周知の折りたたみ変異で
あるF64L/M153T/V163A/T203YのEYFPに対する影響を調べ
た。なお、他のGFP変異体において折りたたみ効率を増
大させることは示唆されていたが、YFP変異体にこれら
の変異を導入する試みの報告はなかった。複数部位変異
誘発法に関するプロトコール(Sawano, A.他(2000) Nuc
leic Acids Research 28, e78)を用いて、4つの一般
的な折りたたみ変異を一度に全てEYFPに導入してSEYFP
(スーパーEYFP)(EYFP-F64L/M153T/V163A/S175G)を
作製した。続いて、F46LをEYFPおよびSEYFPに導入する
ことによりそれぞれEYFP-F46LおよびSEYFP-F46Lを得
た。最初に、これら4つのYFP変異体を大腸菌において
室温で産生させて、精製のために十分に成熟させた。精
製したYFP変異体は、正確に同一の励起スペクトルおよ
び発光スペクトルを示し、ほぼ同等のεおよびΦであっ
た(それぞれ78,700〜101,000M-1cm-1および0.56〜0.61
の範囲)(表1)。次に、4つのYFPを産生する大腸菌
クローンを37℃で培養し、細胞懸濁物の蛍光強度を比較
した(図1B)。F46Lは37℃においてYFPの成熟を大い
に促進した。図1Bは対数増殖期における1つの時点で
の相対蛍光強度を示すが、12時間のインキュベーション
後の細胞ペレットの蛍光強度は、EYFPに比べEYFP-F46L
の方が約20倍増大した。
の再生の際の蛍光獲得をモニタリングすることにより、
37℃にて評価した(Reid, B.G.他 (1997) Biochemistry
36, 6786-6791)。蛋白質は再生するに従い、成熟して
いる発色団がGFPのβバレル内に取り込まれて、蛍光が
回復する(図1C)。EYFPの蛍光回復率は、変性前の蛍
光強度から判断して30%未満であり、このことは変性処
置により多量の不溶性凝集物が形成することを示唆して
いる。全てのYFP変異体の再生は既報の通り2つの異な
る反応速度段階を介して進行した(Reid, B.G.他 (199
7)Biochemistry 36, 6786-6791)。初期段階の1次速度
定数はYFP変異体の中で様々であった(表1)。SEYFPお
よびSEYFP-F46Lはいずれも変異F64L/M153T/V163A/S175G
を含有し、それぞれ速度定数(Kfold)6.60×10-2S-1お
よび5.62×10-2S-1で非常に急速に回復した。F46L単独
の場合にはEYFPおよびSEYFPの回復速度および回復率が
高まるが、その影響は一般的な折りたたみ変異の影響よ
りも弱かった。変異F64L/M153T/V163A/S175Gは、37℃で
YFPの折りたたみを促進させるのに有意に効果があると
の結論になった。
塩を用いて還元した(Reid, B.G.他 (1997) Biochemist
ry 36, 6786-6791)。37℃において、尿素も次亜硫酸塩
も含有しないバッファーで希釈することにより再生およ
び再酸化を開始した。酸化は最も遅い過程であるため、
観察された蛍光回復の全体の速度は、環化発色団の酸化
速度を表すはずである。それらの初期段階の速度定数
(KoxS)を比較した(図1D)。SEYFPおよびSEYFP-F46
Lは同様のKfoldSを示したが、37℃における変性/還元
蛋白質からの再生速度および再生率は、F46Lにより有意
に改善された(図1D;表1におけるKox値、2.36×10
-3S-1対8.04×10-3S-1)。興味深いことに、この改善
は、実験を室温で行った場合には明確には観察されなか
った。またEYFP-F46Lは37℃においてSEYFPよりも速い再
酸化を示した(図1D)。封入体から再生されたYFPの
蛍光獲得速度から、de novo成熟(内部トリペプチドの
環化過程を含む)の速度論を得られるが(Reid, B.G.
他 (1997) Biochemistry 36, 6786-6791)、SEYFP及びS
EYFP-F46Lは細胞溶解後に不溶性ペレットからほとんど
単離されなかった。F46Lが環化に及ぼす影響を調べなか
ったが、上記の結果は、F46Lが酸化過程を促進し、37℃
においてYFPの蛍光発生の増大が導かれることを示して
いる。多分、Leu-46の側鎖は、酸素の接近可能性を促進
するだけではなく、発生した蛋白質の酸化反応に好まし
い立体配置状態への折りたたみをも促進している。この
議論は、F46L単独でも尿素変性蛋白質の再生が促進され
る(図1C)という事実と一致する。この点に関して、
折りたたみおよび発色団形成は共働的に生じるものと考
えるべきである。
折りたたまれ、発色団を形成し、最も鮮明な黄色光を与
えるものである。本書中、この変異体を「Venus」とも
称する。
する低感受性 YFPの発色団のプロトン付加およびCl-結合は共同的であ
る(Wachter, R.M.,他(2000) J. Mol. Biol. 301, 157-
171)。従って、4つのYFP変異体のH+およびCl-に対す
る感受性を調べた。pH滴定のために、35mMの[Cl-](Cl-
濃度)を含有するバッファーを使用した。pH滴定曲線を
図1Eに示す。EYEPのpKaは6.9であり、生細胞中の蛍光
の定量的測定がpHに関連する人工物により障害を受ける
ことを示している。変異F46Lの付加してもEYFPのpH感受
性は変化しなかった。一方、SEYFPおよびVenusによって
滴定曲線のpKaが6.0となった。従って、F64L/M153T/V16
3A/S175Gのいくつかの変異によってYFPのpH感受性が低
減したものと考えられる。
Pの蛍光との依存関係を示す。EYFPおよびEYFP-F46LはCl
-に対し感受性であり、それぞれKd値が110mMおよび145m
Mであった。対照的に、SEYFPおよびVenusはアニオンに
対して感受性が低かった。pH7.0での生理学的な[Cl-]の
範囲内(150mM以下)において、それらの蛍光は影響を
受けなかった。従って、変異F64L/M153T/V163A/S175Gの
導入は、Cl-感受性を排除するのに有効であった。変異
のうちV163Aは重要であると考えられる。なぜなら、Val
163の側鎖がYFPの変異体のアニオン結合空隙の整列に関
与していることが示されているからである(Wachter,
R.M.,他 (2000) J. Mol. Biol. 301, 157-171)。
光度が低くなる。また、Cl- によって、Φに影響を及ぼ
すことなくYFPの吸光度は低減した。Cl- によるYFP蛍光
の衝突(collisional)消光の証拠は全くない(Wachte
r, R.M.,他 (2000) J. Mol. Biol. 301, 157-171)。YF
Pは、FRETのアクセプターとして、ドナーとしてのCFPと
組み合わせて使用されることが多い(Tsien, R.Y. 他
(1998) Science 280, 1954-1955)。アクセプターの吸
光度はFRET効率を決定する重要な因子の1つであるた
め、YFPのpHおよびCl- 感受性は、FRETの信頼性のある
シグナルを獲得するために最小限に抑える必要がある
(Miyawaki, A.他 (2000) Methods Enzymol. 327, 472-
500)。成熟効率は別にしても、VenusはEYFPよりもFRET
受容体として適切である。
i)変異F46Lによる37℃における発色団の改良された成
熟;並びに、ii)1つの変異セットF64L/M153T/V163A/S
175Gによる、37℃における改良された折りたたみと、H+
およびCl- による消光の低減)により、最も一般的なYF
PであるEYFPよりも輝度が高い。
密度コア顆粒の蛍光標識 分泌性オルガネラは酸性環境を有し、大部分が高密度コ
ア蛋白質マトリックスである。従って、GFPによるオル
ガネラの蛍光標識は比較的難しい。改善された光学特性
および成熟特性を有するGFP変異体、例えばEGFP(増強G
FP, Clontech)は、PC12細胞の高密度コア分泌顆粒(La
ng, T., 他 (1997) Neuron 18, 857-863)およびINS-1
β細胞の巨大高密度コア分泌小胞(Tsuboi, T.,他 (200
0) Curr.Biol. 10, 1307-1310)にターゲティングした
が、GFPの蛍光とオルガネラに対する特異的ないくつか
のマーカーとの共局在性は不完全であった。これは、オ
ルガネラ中の組換え蛍光蛋白質のターゲティングに誤り
が生じていたり、該蛋白質が非蛍光性であることを示唆
している。
末端に融合させたVenusをコードする哺乳動物発現プラ
スミドを構築し、NPY-Venusを産生した。このキメラ蛋
白質の機能は、次の2つの観点に従ってNPY-EGFPの機能
と比較して調べた。第1は、NPY融合蛋白質はどの程度
特異的に分泌性高密度コア顆粒にターゲティングするか
であり、第2は、正確にターゲティングされたNPY-融合
蛋白質はどの程度効率的に蛍光を発するかである。
長因子(NGF)による処理により、分化させ神経突起を
伸長させた。図2Aは、NPY-Venusを発現する6つの細
胞の広視野の蛍光顕微鏡写真を示す。典型的な高倍率画
像を図2Bに示す。NYP-Venusからの光輝かつ点状の蛍
光は、高密度コア顆粒に富む神経突起に濃縮されている
ことが観察され、このことはNPY-Venusの正確なターゲ
ティングを示している。カバースリップ上でNPY-Venus
を発現する蛍光細胞のほとんど全てが類似の蛍光パター
ンを示したことに留意すべきである。対照的に、NPY-EG
FPを発現するPC12細胞は3つの別個のパターンを示し
た。約60%の蛍光細胞が、輝く神経突起(図2C;中央
の細胞)を有し、点状の蛍光パターンは高倍率顕微鏡写
真(図2D)により確認された。残りの40%の細胞は、
輝く網様のスポット(図2C、矢印で示す;図2E)ま
たは管状物(図2F)の、細胞質ゾル全体に渡るぼんや
りとした蛍光を示した。これは、NPY-EGFPのターゲティ
ングの誤りを示している。おそらくEGFPの異常な折りた
たみが、神経ペプチドの適切なプロセシングに影響を及
ぼしている。
って検出可能な蛍光が得られたが、その強度はNPY-Venu
sの蛍光よりも約10倍低く、画像を得るための露出時
間は図2Bに関しては100ミリ秒および図2Dに関し
ては1.0秒であった。NPY-Venusを含有する顆粒の輝
度は、改善されたVenusの成熟率または顆粒中のNYP-Ven
usの存在量のいずれかに起因するものであった。この2
つの可能性を区別するために、高密度コア顆粒に正確に
ターゲティングした組換え蛋白質の量を免疫組織化学的
に定量化した。pVenus-N1-NPYおよびpEGFP-N1-NPYを用
いてトランスフェクトしたPC12細胞を固定化し、抗GFP
抗体およびAlexa562結合2次抗体を用いて免疫染色法を
行った。VenusおよびEGFPからの緑色蛍光シグナルは、G
FP観察のための一般的なフィルターセットを用いて捕捉
し(それぞれ図2Gおよび2J)、Alexa562の赤色蛍光
は別のフィルターセットを用いて検出した(図2Hおよ
び2K)。図2Gおよび2Jまたは図2Hおよび2Kの
画像は、同じ光学条件下で撮り、同じグレースケールで
示す。同量の組換え蛋白質(図2Hおよび2K)にも関
わらず、Venusの蛍光は明確に可視化された一方(図2
G)、EGFPの蛍光はほとんど検出されなかった(図2
J)。組換え蛋白質1分子当たりの蛍光強度は、擬色比
画像において示し(図2Iおよび2L)、これは緑色蛍
光シグナルを免疫蛍光シグナルで割ることにより得た。
これらの結果は、Venusが成熟して、高密度コア顆粒に
おいてEGFPよりも効率的に蛍光を発しうることを示して
いる。
ングおよび動的な可視化 NPY-Venusによって、PC12細胞の高密度コア顆粒のエキ
ソサイトーシスを理解するための2つの実験が可能とな
った。先ず、NPY-Venusの脱分極により誘導される分泌
を、培地の蛍光増大ならびに細胞性蛍光の消失を測定す
ることによりモニタリングした(図3A)。これは、NP
Y-Venusによって、培養したPC12細胞の大集団の高密度
コア顆粒の特異的かつ強力な標識が得られるためであ
る。このような集団アッセイは、既報のプロインスリン
-GFPの使用ではほとんど不可能である。通常の生化学ま
たは電気生理学的アプローチ(Angleson, J. K.他 (199
7) Trends Neurosci. 20, 281-187)とは対照的に、培
地中に分泌されたNPY-Venusの蛍光測定によって、PC12
細胞のエキソサイトーシスの簡便、迅速かつ効率的なモ
ニタリングが可能となる。脱分極の30分後に、分泌され
たNPY-Venusの量は合計の約40%に達し、この分泌は、
細胞外および細胞内の両方のCa2+がEGTAおよびBAPTA-AM
によりキレート化された場合に妨げられた(図3B)。
分泌の時間プロフィールも容易に取得され、これにより
分泌の50%が最初の5分以内で起こったことが明らかと
なった(図3C)。
動特性を、エバネッセント波顕微鏡を使用し、時間的お
よび空間的に高解像で、NGF処理PC12細胞中で観察し
た。同様のエバネッセント波場蛍光画像化を、ヒトクロ
モグラニンBに融合させたGFP突然変異体(GFPmut2)を
用いて行った(Lang, T., 他 (1997) Neuron 18, 857-8
63)。しかし、それらの画像は、未分化のPC12細胞中で
0.5 Hzにて大きな顆粒(直径約0.5μm)を観察したにす
ぎない。対照的に、本実施例においては、顆粒をサイズ
が低減した高密度コア顆粒(直径約0.2μm)になるよう
分化させた。NPY-Venusによる鮮明な標識のおかげで、
通常の冷却CCDカメラを用い、ビニングなしの場合は1
0Hzで、ビニング2の場合はビデオレート(30H
z)で、このような小顆粒を見ることができた。図3D
〜Fは、脱分極により誘導された単一のエキソサイトー
シス事象を示す連続的画像である。原形質膜におけるド
ッキング後に、高密度コア顆粒中のNPY-Venusの蛍光
(図3Dにて矢印で示す)は、培地中に噴出し(図3
E)、続いて消滅した(図3F)。
検出 GFPを用いたFRETのために、アクセプターGFPがドナーGF
Pよりも効率的に成熟することが好ましい。そうでない
と、過剰なドナー分子によって、FRETに関与しないドナ
ーからの発光によるFRETシグナルの希釈が生じる。黄色
カメレオン(Yellow cameleon;YC)は、CFP、カルモジ
ュリン、グリシルグリシンリンカー、ミオシン軽鎖キナ
ーゼのカルモジュリン結合ドメイン(M13)、およびYFP
から構成されるCa2+指示蛋白質である(Miyawaki, A.,
他 (1997). Nature 388, 882-887)。ドナーおよびアク
セプターの化学量論比は遺伝子レベルでは1:1である
が、YC3.1のアクセプターであるEYFP-V68L/Q69Kは37℃
または特定のオルガネラにおいてほとんど成熟しない
(Miyawaki, A., 他 (1999) Proc. Natl. Acad. Sci.US
A 96, 2135-2140)。YCのシグナルを全ての状況におい
て効率的に獲得するために、YC3.1のEYFP-V68L/Q69KをV
enusで置換することによりYC3.12を作製した。YC3.12お
よびYC3.1を産生する細菌サンプルを37℃で増殖させ、
それらの435nmでの励起による発光スペクトルを比較し
た(図4A)。産生されたYC3.12の発光スペクトルは、
完全成熟形態の黄色カメレオンのスペクトルと等しく、
このことはYC3.12蛋白質がCa2+指示物質として作用する
能力があることを示している。対照的に、YC3.1は37℃
において成熟 EYFP-V68L/Q69Kを有しなかった。YC3.12
におけるVenusの効率的な成熟は、YC3.1におけるEYFP-V
68L/Q69Kの成熟と比較した場合にHeLa細胞においても確
認された(図4Bおよび4C)。Venusは遺伝子トラン
スフェクションの開始5時間後に強力な蛍光を発した。
次に、YC3.12のCa2+シグナルがどの程度の時間で検出可
能となるかに関心を持った。cDNAおよびSuperfect(Qia
gen)試薬と一緒に5.0時間HeLa 細胞をインキュベート
した後、大きな動的範囲でヒスタミン誘導性Ca2+を観察
することができ(図4D)、これは黄色カメレオンの通
常の性質と十分に一致している(Miyawaki, A.,他(199
9) Proc.Natl. Acad. Sci. USA 96, 2135-2140)。対照
的に、YC3.1は同条件下でほんのわずかなシグナルしか
示さなかった(図4E)。YC3.12の使用によって、時間
的制約を免れることができ、例えば、遺伝子銃を用いた
遺伝子導入後にマウスまたはラットの脳から即座にとっ
た切片の新鮮なニューロン細胞からの、Ca2+シグナルの
迅速な検出が可能となる。
またpHおよびCl-の両方に対する感受性を低減させた新
規なGFP又はYEP変異体が提供されることになった。
を示す。(A)37℃において大腸菌で産生されたラシオ
メトリックペリカム(rペリカム)の蛍光発光スペクト
ルを示す。(B)37℃において大腸菌で産生されたYFP
変異体:すなわちEYFP、EYFP-F46L、SEYFP、SEYFP-F46L
(Venus)の蛍光発光スペクトルを示す。(Cおよび
D)4つのYFP変異体の、それらの変性状態(C)およ
び変性/還元状態(D)からの蛍光回復の時間経過を示
す。EYFP(上向き三角)、EYFP-F46L(菱形)、SEYFP
(下向き三角)およびSEYFP-F46L(=Venus)(丸)の
蛍光のpH感受性(E)および塩化物感受性(F)を示
す。
-EGFP(C〜F)を発現するPC12細胞の蛍光顕微鏡写真
を示す。低倍率の顕微鏡写真は、NPY-Venusを発現する
蛍光細胞が全て神経炎において鮮明な蛍光を発した
(A)のに対し、NPY-EGFPの蛍光はいくつかの細胞中の
サイトゾルまたは核周辺領域において検出された(C、
矢印で示す)ことを示す。正確にターゲティングされた
NPY-Venus(B)およびNPY-EGFP(D)、ならびに誤っ
てターゲティングされたNPY-EGFP(EおよびF)を有す
る細胞の高倍率の顕微鏡写真を示す。NPY融合蛋白質の
正確なターゲティングを示している典型的な細胞におい
ては、それぞれNPY-VenusおよびNPY-EGFPからの緑色蛍
光シグナル(GおよびJ)ならびに赤色免疫蛍光シグナ
ル(HおよびK)が検出された。画像の緑色と赤色との
比は、NPY-Venus(I)およびNPY-EGFP(L)に対する
擬色で示される。スケールバー=10μm。
す。(A)脱分極(高K+)刺激を与えるかまたは与えな
い場合における培養PC12細胞(黒塗りの棒)および培地
(白抜きの棒)から回復したNPY-VenusまたはNPY-EGFP
の蛍光強度を示す。(B)脱分極刺激により誘導される
NPY-Venus分泌のCa2+依存性を示す。(C)脱分極刺激
を与えるかまたは与えない場合における、培地中のNPY-
Venusの蓄積の時間経過を示す。(D〜F)NPY-Venusに
より可視化された単一高密度コア顆粒の分泌を示す(D
において矢印で示す)。画像は、100ミリ秒毎に連続的
に捕獲した。スケールバー=10μm。
ン)の性能を示す。(A)37℃にてYC3.12およびYC3.1
を産生する細菌サンプルの蛍光発光スペクトルを示す。
(BおよびC)それぞれYC3.12およびYC3.1の受容体で
あるVenus(B)およびEYFP-V68L/Q69K(C)の蛍光発
生を示す。これらの画像は、トランスフェクション試薬
の添加の5時間後に励起フィルター490DF10および発光
フィルター535DF25を用いて取得した。スケールバー=1
0μm。(DおよびE)5.0時間にわたる、YC3.12(D)
およびYC3.1(E)を発現するHeLa細胞におけるサイト
ゾル非含有Ca2+濃度の測定を示す。535nmと480nmでの発
光比は、5秒毎にサンプリングした。右側の縦座標がR
max(矢印)およびRmin(矢じり)を示す。
Claims (12)
- 【請求項1】 緑色蛍光蛋白質、黄色蛍光蛋白質又はそ
れらの変異体のアミノ酸配列において46番目のフェニ
ルアラニン残基がロイシン残基に置換していることを特
徴とする、蛍光蛋白質。 - 【請求項2】 さらに緑色蛍光蛋白質、黄色蛍光蛋白質
又はそれらの変異体のアミノ酸配列において64番目の
フェニルアラニン残基がロイシン残基に、153番目の
メチオニン残基がトレオニン残基に、163番目のバリ
ン残基がアラニン残基に、そして175番目のセリン残
基がグリシン残基に置換していることを特徴とする、請
求項1に記載の蛍光蛋白質。 - 【請求項3】 以下の何れかのアミノ酸配列を有する蛍
光蛋白質。 (a)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列;又
は、(b)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列に
おいて1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付
加を有するアミノ酸配列を有し、配列番号1に記載のア
ミノ酸配列を有する蛋白質と同等以上の蛍光特性を有す
るアミノ酸配列: - 【請求項4】 請求項1から3の何れかに記載の蛍光蛋
白質をコードするDNA。 - 【請求項5】 請求項4に記載のDNAを有する組み換
えベクター。 - 【請求項6】 請求項4に記載のDNA又は請求項5に
記載の組み換えベクターを有する形質転換体。 - 【請求項7】 請求項1から3の何れかに記載の蛍光蛋
白質と他の蛋白質とから成る融合蛍光蛋白質。 - 【請求項8】 他の蛋白質が細胞内に局在する蛋白質で
ある、請求項7に記載の融合蛋白質。 - 【請求項9】 他の蛋白質が細胞内小器官に特異的な蛋
白質である、請求項7又は8に記載の融合蛋白質。 - 【請求項10】 請求項7から9の何れかに記載の融合
蛋白質を細胞内で発現させることを特徴とする、細胞内
における蛋白質の局在または動態を分析する方法。 - 【請求項11】 請求項1から3の何れかに記載の蛍光
蛋白質をアクセプター蛋白質又はドナー蛋白質として用
いてFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)法を行うことを特
徴とする、生理活性物質の分析方法。 - 【請求項12】 請求項1から3の何れかに記載の蛍光
蛋白質、請求項4に記載のDNA、請求項5に記載の組
み換えベクター、請求項6に記載の形質転換体、又は請
求項7から9の何れかに記載の融合蛋白質を含む、細胞
内成分の局在の分析及び/又は生理活性物質の分析のた
めのキット。
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