JP2002364985A - 炉内ライニング - Google Patents

炉内ライニング

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浩志 今川
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昌邦 田口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炉内ライニング材から飛来する粉塵によって
処理鋼板の表面に疵を付けることを防止し、耐熱クロス
の断熱壁からの脱落・落下を経済的に防止する炉内ライ
ニングを提供することを目的とする。 【解決手段】 セラミックファイバーブロック又は炭素
繊維ブロック上に無機質繊維製の耐熱クロスが被覆され
た炉内ライニングにおいて、前記クロスが原糸繊度20
0以上で織られていて、織り目密度が、縦糸あるいは横
糸のどちらか一方が30〜42本/インチで、他方が2
0〜42本/インチであることを特徴とする炉内ライニ
ング。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特に各種金属片を加
熱処理する加熱炉、熱処理炉(焼鈍炉)等の炉内ライニ
ングに適する。
【0002】
【従来の技術】炉内ライニングに関し、従来からライニ
ング材から発生する粉塵を防止することを目的として、
ライニング材の表面をSUS板で被覆する方法が用いら
れている。
【0003】また、特開平10−288467号公報に
は、炉外板に定形化された内張り用セラミックファイバ
ーブロックを相互に密接するようにして配列固定し、そ
のセラミックファイバーブロックの炉内面側を耐熱クロ
スで覆い、その耐熱クロスの端部を隣接するセラミック
ファイバーブロック間に挿入して各セラミックファイバ
ーブロック間で耐熱クロスの端部を挟着保持せしめる方
法が開示されている。
【0004】また、実開平02−93698号公報にお
いてセラミックファイバーからなるブランケット芯材を
耐熱クロスシートにより包む考案が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ライニング材の表面を
SUS板で被覆する方法では、加熱・冷却の繰り返しに
よりSUS板が変形し、SUS板が膨らんだ隙間を通っ
て粉塵が炉内に広がるという問題が生じる。
【0006】また、特開平10−288467号公報に
開示された方法では、セラミックファイバーブロックの
経年劣化によってブロックが変形してブロック間に隙間
が生じるとアルミナクロスが容易に脱落するという問題
がある。
【0007】また、実開平02−93698号公報に開
示された考案では、炉内表面積よりも遥かに多いクロス
シートが必要になり、設置コストがかさみ、また、断熱
材を固定するスタッドが断熱材表面に露出するので、背
面への熱伝導が多くなり、熱損失が大きくなるという問
題がある。
【0008】本発明は、こうした従来技術の有する問題
点を解決するものであって、炉内ライニング材から飛来
する粉塵によって処理鋼板の表面に疵を付けることを防
止し、耐熱クロスの断熱壁からの脱落・落下を経済的に
防止する炉内ライニングを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】係る課題を解決するた
め、本発明の要旨とするところは、(1)セラミックフ
ァイバーブロック上に無機質繊維製の耐熱クロスが被覆
された炉内ライニングにおいて、前記クロスが原糸繊度
200〜3,700texで織られていて、前記クロス
の織り目密度が、縦糸あるいは横糸のどちらか一方が3
0〜42本/インチで、他方が20〜42本/インチで
あることを特徴とする炉内ライニング、(2)前記クロ
スを前記セラミックファイバーブロック上に固定する際
に、無機質繊維を撚り束ねたヤーンまたはロープにてセ
ラミックファイバーブロックに縫い付けて固定されてい
ることを特徴とする前記(1)記載の炉内ライニング、
(3)前記ヤーンまたはロープの外径が0.5〜3.0
mmであることを特徴とする前記(1)又は(2)記載
の炉内ライニング、(4)無機質繊維がアルミナ繊維で
あることを特徴とする前記(1)〜(3)の何れか1項
に記載の炉内ライニング、にある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】図1は本発明の実施態様を示す炉内ライニ
ングであり、炉殻鉄皮1に断熱ボード、セラミックファ
イバーブランケット、耐火キャスタブル、耐火断熱キャ
スタブル等のバックライニング2が施された上にセラミ
ックファイバーブロック(CFブロック)3を固定し、
その上に無機質繊維製の耐熱クロス4が被覆された炉内
ライニングにおいて、前記クロスが原糸繊度200〜
3,700texで織られていて、前記クロスの織り目
密度が、縦糸あるいは横糸のどちらか一方が30〜42
本/インチで、他方が20〜42本/インチであれば、
粉塵の主原因であるセラミックファイバーから離脱する
未繊維化粒子が、無機質繊維製の耐熱クロス4を通過す
ることができないため、炉内に粉塵が飛散するのを防止
できる。耐熱クロス4の織り目密度が、縦糸又は横糸の
何れかが30本/インチ未満又は他方が20本/インチ
未満であれば未繊維化粒子が通過し易くなり、縦糸又は
横糸のどちらか一方が42本/インチを超えると原糸繊
度200tex以上でクロスを織ることができなくなる
ので、前記の範囲に規定する。原糸繊度は、200te
xより小さいとクロス自体の強度が小さくなり、被覆作
業中に容易に破れてしまう。一方、原糸繊度が3,70
0texを超えると糸の径が太くなり過ぎて、この糸を
用いたクロスの織り目密度を可能な限り密にしても未繊
維化粒子の通過を防止できなくなるので、原糸繊度は
3,700tex以下とする。
【0012】原糸繊度はJIS L1095の3および
JIS L0101にて定義され、JIS L1095
の9.4により測定した値と定義する。
【0013】また、炉内ライニングに用いるブロック3
として、経済的な価格で高断熱性を得るためにセラミッ
クファイバーブロックを用いることが好ましい。セラミ
ックファイバーブロックの材質は特に限定することなく
本発明の効果を得ることができるが、アルミナ質、アル
ミナ−シリカ質、ムライト質、アルミナ−シリカ−ジル
コニア質等を使用することがコスト上好ましい。
【0014】無機質繊維製の耐熱クロスの材質は特に定
めることなく本発明の効果を得ることができるが、熱間
での長期耐久性のためには、アルミナ繊維を用いること
が好ましい。
【0015】無機質繊維製の耐熱クロスをセラミックフ
ァイバーブロック上に固定する際に、無機質繊維を撚り
束ねたヤーンまたはロープにてセラミックファイバーブ
ロックに縫い付けて固定することにより、耐熱クロスを
直接セラミックファイバーブロックに縫い付けるので、
セラミックファイバーブロックの加熱冷却に伴う膨張収
縮挙動による耐熱クロスへの影響が無くなり、耐熱クロ
スが抜け落ちることが防止できる。尚、耐熱クロス4の
織り組織はJIS L0206に規定された平織り、綾
織り、朱子織り、二重綾織りとすることが工業的に生産
し易く経済的である点で好ましい。
【0016】また、図1のようにクロス4の端部の折り
返し分とクロス4間の重ね代分だけ多くするだけで済む
ので、実開平02−93698号公報に開示された考案
に比べ設置コストが少なくなる。また、断熱材の固定を
固定するスタッドが断熱材表面に露出しないので、背面
への熱伝導が少なくなり、熱損失が小さくなる。
【0017】ヤーン又はロープの材質は無機質繊維であ
れば特に定めることなく本発明の効果を得ることができ
るが、長繊維で強度の強いものが経済的に得られること
からアルミナ繊維を用いることが好ましい。
【0018】ヤーンまたはロープの外径が0.5mmよ
り細いとクロスの重さを支えきれずに切れてしまう。一
方、3.0mmより太いとヤーンまたはロープを通す穴
が大きくなりすぎてクロスが破損してしまうので、外径
は0.5〜3.0mmとすることが好ましい。
【0019】縫合方法は特に定めることなく本発明の効
果を得ることができるが、第2図(A)〜(C)に示す
縫い目とすることが実用的である。
【0020】
【実施例】粉塵の飛散を防止するアルミナクロスの織り
目密度を以下の要領で検討した。 内寸 160×160×高さ60mmの鋼製型枠に外
寸 200×200×厚み3mmのフランジを付け、フ
ランジと外寸200×200mm、内寸 160×16
0mmの押さえ板との間にアルミナクロスを挟んで固定
し、アルミナクロスの篩を作成した。アルミナクロスの
原糸繊度は200tex で、織り目密度が、縦糸
(経)18〜40本/インチ、横糸(緯)18〜30本
/インチの範囲で試験を行った。 セラミックファイバーから採取した212〜500μ
mのショット(未繊維化粒子) 100gを上記の篩中
に投入し、振動テーブル上で、120Hz×30秒間加
振した。 篩を通り抜けたショットの重量を測定してショット通
過率を求めた。 連続焼鈍炉の炉殻鉄皮に25mm厚のセラミックファ
イバーブランケットでバックライニングされた上に最高
使用温度1260℃のアルミナ−シリカ系セラミックフ
ァイバーブロックを固定し、その上にアルミナ繊維を撚
り束ねた外径2.0mmのヤーンを用いて、上記で製
造した種々の織り目密度を有するアルミナクロスを図1
のように縫合した。連続焼鈍炉に於いて、加熱(最高温
度900℃)・冷却(最低温度30℃)を10回繰り返
した後の織り組織の目開きを観察した。
【0021】測定結果を表1に示す。アルミナクロスの
織り目密度が本発明の範囲を満たす実施例A、Bはショ
ット通過率も低く、織り組織の安定性も良好であった。
一方、アルミナクロスの織り目密度が本発明の範囲を満
たさない比較例C〜Fは何れもショット通過率が高く、
織り組織の安定性も劣化する傾向にあった。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】本発明により、粉塵の主原因であるセラ
ミックファイバーから離脱する未繊維化粒子が、無機質
繊維製の耐熱クロスを通過することができないため、炉
内に粉塵が飛散するのを防止できる。
【0024】またアルミナクロス等無機質繊維製の耐熱
クロスでは熱膨張・収縮率がセラミックファイバーと殆
ど同じであるため、隙間が生じ難い。
【0025】また、炉内ライニング材から飛来する粉塵
によって処理鋼板の表面に疵を付けることを防止し、耐
熱クロスの断熱壁からの脱落・落下を経済的に防止する
ことができる。
【0026】また、耐熱クロスを直接セラミックファイ
バーブロックに縫い付けるので、セラミックファイバー
ブロックの加熱冷却に伴う膨張収縮挙動による耐熱クロ
スへの影響が無くなり、耐熱クロスが抜け落ちることが
防止できる。
【0027】また、クロス端部の折り返し分とクロス間
の重ね代分だけ多くするだけで済むので、設置コストが
少なくなる。また、断熱材の固定を固定するスタッドが
断熱材表面に露出しないので、背面への熱伝導が少なく
なり、熱損失が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様を示す炉内ライニングの外観
図である。
【図2】本発明のヤーン又はロープの縫合方法の例を示
す図である。
【符号の説明】
1…炉殻鉄皮 2…バックライニング 3…セラミックファイバーブロック 4…アルミナクロス 5…アルミナロープ
フロントページの続き (72)発明者 今川 浩志 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 田口 昌邦 福岡県北九州市戸畑区大字中原46−59 新 日本製鐵株式会社エンジニアリング事業本 部内 (72)発明者 武村 資文 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4K051 AA03 AA04 BB01 BB04 BE00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックファイバーブロック上に無機
    質繊維製の耐熱クロスが被覆された炉内ライニングにお
    いて、前記クロスが原糸繊度200〜3,700tex
    で織られていて、かつ織り目密度が、縦糸あるいは横糸
    のどちらか一方が30〜42本/インチで、他方が20
    〜42本/インチであることを特徴とする炉内ライニン
    グ。
  2. 【請求項2】 前記クロスを前記セラミックファイバー
    ブロック上に固定する際に、無機質繊維を撚り束ねたヤ
    ーンまたはロープにてセラミックファイバーブロックに
    縫い付けて固定されていることを特徴とする請求項1記
    載の炉内ライニング。
  3. 【請求項3】 前記ヤーンまたはロープの外径が0.5
    〜3.0mmであることを特徴とする請求項1又は2記
    載の炉内ライニング。
  4. 【請求項4】 無機質繊維がアルミナ繊維であることを
    特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の炉内ライ
    ニング。
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