JP2002364741A - 動力伝達特性推定装置及び車両 - Google Patents

動力伝達特性推定装置及び車両

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JP2002364741A
JP2002364741A JP2001170002A JP2001170002A JP2002364741A JP 2002364741 A JP2002364741 A JP 2002364741A JP 2001170002 A JP2001170002 A JP 2001170002A JP 2001170002 A JP2001170002 A JP 2001170002A JP 2002364741 A JP2002364741 A JP 2002364741A
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power transmission
power
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JP2001170002A
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Kisaburo Hayakawa
喜三郎 早川
Masataka Osawa
正敬 大澤
Naoki Yamada
直樹 山田
Toshiaki Ishiguro
稔昌 石黒
Hiroaki Kato
浩明 加藤
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Toyota Central R&D Labs Inc
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動力伝達要素の特性を精度よく推定する。 【解決手段】 発進時などトルクコンバータの速度比が
大きく変動する条件下で、走行データを取得する(S1
1)。そして、これらデータに基づき、トルク比を基準
トルク比に設定して、容量係数Cpを計算で求める(S
12、S13)。そして、得られた容量係数Cpを速度
比に対して最小自乗法により曲線近似する(S14)。
これによって、速度比に依存する容量係数Cpを精度よ
く推定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の動力出力装
置の動力をタイヤ側に伝達する動力伝達要素についての
伝達特性の推定に関する。
【0002】
【従来の技術】車両は、エンジンの出力をタイヤに伝達
して走行する。そして、その動力伝達系には、各種の動
力伝達部材が利用されている。例えば、トルクコンバー
タ、自動変速機、デファレンシャルギア等がある。そし
て、走行中におけるエンジンの出力やタイヤの出力を正
しく認識、制御するためには、動力伝達部材についての
動力伝達特性を正しく認識することが必要である。
【0003】トルクコンバータの動力伝達特性は、その
装置のもつバラツキ、経時変化や、トルクコンバータ内
の油温によって変動する。トルクコンバータの動力伝達
特性を示す特性としては、入力軸トルクと出力軸トルク
の比であるトルク比、入力軸の回転とそれに必要なトル
クの関係を表す容量係数がある。そして、トルクコンバ
ータ特性を正しいものにするために、トルク比や容量係
数を補正している。
【0004】すなわち、バラツキ、経時変化による変動
に対しては、例えばエンジンの吸入空気量とエンジン回
転数から求められるエンジントルクをエンジン回転数の
自乗値で除することにより求めた容量係数により補正
し、トルクコンバータ内の油温による変動に対しては、
予め設定された温度とトルクコンバータ特性の関係を用
いてトルク比、容量係数を補正している。
【0005】このような補正により、タービントルク推
定精度を向上させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここで、トルクコンバ
ータのバラツキ、経時変化による変動に対する補正によ
ってタービントルクの推定精度が向上したとしても実際
に駆動力制御や車両運動制御で必要となる駆動トルクは
タービントルクからタイヤの駆動トルクまでの間で変動
や損失があり駆動トルク推定の精度は低下してしまう。
特に、走行状態では、トルクコンバータの入力及び出力
は変化する。このような動的条件下では、推定の精度
は、更に低下する。
【0007】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あり、動的条件下においても精度よい推定が行える動力
伝達特性の推定を行うことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、車両の動力出
力装置の動力をタイヤ側に伝達する動力伝達要素の伝達
特性を推定する車両の動力伝達特性推定装置であって、
前記動力伝達要素の入力側の回転数と、出力側の回転数
との比である速度比に応じた車両挙動を検出し、この検
出結果に基づき、前記動力伝達要素の伝達特性を推定す
ることを特徴とする。
【0009】このように、本発明によれば、速度比に応
じた実際の車両挙動に基づいて、動力伝達要素の特性を
推定する。従って、実際の走行の際の動的条件下におけ
る適切な特性を推定することができ、車両の駆動力など
を高精度に推定することができる。
【0010】また、前記動力伝達特性は、速度比に応じ
て変化する第1の特性であり、速度比に応じて変化する
第2の特性を予め定められた基準特性に設定して、推定
することが好適である。
【0011】例えば、トルクコンバータのトルク比と、
容量係数の一方を基準値としておき、他方を実測値から
推定する。これによって、精度高い推定が行える。
【0012】また、前記動力伝達特性は、速度比に応じ
て変化する第1及び第2の特性の積であることが好適で
ある。
【0013】また、前記動力伝達要素は動力の滑り伝達
機構であり、前記動力伝達要素の第1及び第2の伝達特
性は、滑り伝達機構の容量係数あるいはトルク比である
ことが好適である。
【0014】また、車両の前後加速度から車両に加えら
れている力を算出し、この力から車両の走行抵抗を減算
して、前記動力出力装置の出力動力を算出し、この出力
動力と動力出力装置の回転数とに基づいて、前記動力伝
達要素の伝達特性を推定することが好適である。
【0015】また、本発明に係る車両は、上述のような
装置により推定された動力伝達要素の特性を記憶する記
憶部と、この記憶部の特性を利用して、前記動力出力装
置の出力を制御する出力制御装置と、を有することを特
徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面に基づいて説明する。
【0017】図1は、車両の動力伝達系を示すモデルで
ある。エンジン10の出力軸には、トルクコンバータ1
2が接続されている。トルクコンバータ12は、入力側
のポンプ12aと出力側のタービン12bから構成され
ており、ポンプ12aの回転に応じてタービン12aが
回転される。
【0018】トルクコンバータ12の出力軸は、自動変
速機14に接続される。この自動変速機14は予め定め
られた段数の変速比に入力回転数と出力回転数を切り換
える。通常、自動変速機14は、車速、アクセル踏み込
み量に応じて最適変速比を決定し、その変速比に自動的
に切り換える。自動変速機14の出力は、デファレンシ
ャルギア(デフ)16に接続されている。デファレンシ
ャルギア16は、操舵量に応じて左右両輪へのトルク伝
達が変更されるようにして動力伝達を行う。そして、こ
のデファレンシャルギア16にタイヤ18が接続され、
このタイヤ18の回転によって車両が走行する。
【0019】ここで、図において、Ne:エンジン回転
数、Nt:タービン回転数、No:自動変速機出力軸回
転数、Tp:ポンプトルク、Tt:タービントルク、λ
t:変速比、ηt:変速効率、λd:デフ比、ηd:デ
フ効率、rtire:タイヤ有効半径、M:車両質量、
α:車両前後方向加速度、Fd:駆動力、Fr:走行抵
抗力である。
【0020】すなわち、エンジンが回転数Neで回転
し、これによってトルクコンバータ12のポンプ12a
が回転数Ne、ポンプトルクTpで回転する。一方、ト
ルクコンバータ12のタービンは、タービン回転数N
t、タービントルクTtで回転する。そして、自動変速
機14は、変速比λt、効率ηtで動力を伝達し、デフ
16は、デフ比λd、デフ効率ηdで動力を伝達する。
そして、有効半径rtireのタイヤ18が回転され、
車両に駆動力Fdが与えられる。
【0021】一方、車体は、質量Mであり、車両の運動
に対しては、走行抵抗Frがかかる。従って、このモデ
ルでは、動力Fdから走行抵抗Frを減算したものが車
両に実際に係る力となり、これを質量Mで除算したもの
が車両の加速度αになる。
【0022】本実施形態では、この関係をトルクコンバ
ータの動力伝達特性の推定に利用する。すなわち、図1
に示すようなモデルで表すと、平坦路における車両の前
後方向の運動方程式は、 Mα=Fd−Fr (1) と書ける。ここで、車両前後加速度αは加速度センサで
測定してもよいし、動力伝達部の回転数、例えば自動変
速機14の出力軸回転数Noなどの観測信号を差分する
方法でも測定してもよい。
【0023】また、駆動力Fdは、トルクコンバータ1
2のロックアップON時以外は(2)式のように表わす
ことができる。
【0024】 Fd=ηt・ηd・λt・λd・t・Cp・Ne2/rtire (2) ここで、tとCpは、それぞれトルクコンバータ12の
トルク比および容量係数であり、図2に示されるように
トルクコンバータ12のポンプ12a回転数Neに対す
るタービン12b回転数Ntの速度比eはに応じて変化
する。すなわち、速度比eは、 e=Nt/Ne (3) と表わされる。また、走行抵抗力Frは、車速に依存す
る空気抵抗力と車重に依存する転がり抵抗力の和として
表わされる。
【0025】従って、トルクコンバータ伝達特性(容量
係数、トルク比)は(4)式のいずれかで推定すること
ができる。
【0026】
【数1】 ここで、ts、Cpsはそれぞれトルクコンバータ伝達
特性のトルク比および容量係数の代表特性値(速度依
存)を示す。これらを基準トルク比ts、基準容量係数
Cpsという。すなわち、図2に示すような値であり、
予め設定した値である。そして、トルク比、容量係数の
一方に代表特性値を用いることで、他方は実測値から求
めることができる。そこで、トルクコンバータ12のト
ータルとして、より適切に推定することができる。な
お、トルク比と容量係数の積については、実測値から求
めることができる。
【0027】特に、(4)式で推定されるトルクコンバ
ータ伝達特性(容量係数、トルク比)は、トルクコンバ
ータ単体の伝達特性を表わすものでなくパワートレーン
系全体の損失や動的特性を含んだ伝達特性を示すもので
あり、動的状態などにおける駆動力推定などの精度を向
上することができ実用性に優れたものである。
【0028】図3のフローチャートを利用して説明す
る。
【0029】まず、走行データを複数取得する(S1
1)。例えば、速度比が大きく変化する走行状態例えば
発進時における、エンジン回転数、自動変速機の出力軸
回転数を取得する。次に、取り込んだ走行データと、予
め記憶している車両の特性値から速度v、加速度α、速
度比e、基準トルク比ts、走行抵抗Frを計算する
(S12)。これによって、図3に示すようなデータが
得られる。ここで、速度は、自動変速機の出力軸回転数
(回転速度:ラジアン)に対しデフ比ηdを考慮して、
タイヤ半径を乗算することで算出でき、この時間変化か
ら加速度αを算出できる。なお、加速度計を設け加速度
を直接計測してもよい。また、走行抵抗Frは、予め記
憶されているデータとそのときの車速から計算する。さ
らに、トルクコンバータ12の速度比eは、自動変速機
の変速比を考慮して、自動変速機の出力軸回転数からタ
ービン回転速度を算出して得る。なお、タービン回転数
を直接計測してもよい。そして、トルク比tsは、上述
の図2に示す標準となる値を選択する。
【0030】そして、(4)式により、容量係数Cpを
計算する(S13)。なお、自動変速機の効率ηt、デ
フ比λd、デフ効率ηdや質量Mは、予め調べて記憶さ
れている値を利用する。これによって、Cpが時系列で
得られる。自動変速機の変速比λtは、変速段指令から
決定すればよいが、自動変速機の入力軸(トルクコンバ
ータの出力軸)回転数と自動変速機の出力軸回転数から
算出してもよい。
【0031】次に、得られたデータ(図4)を速度比に
対してプロット(例:図5)し、最小自乗法により曲線
を近似する(S14)。近似したデータを図6に示す。
【0032】このようにして、容量係数Cpを決定する
ことができる。ここで、図5に示すように、速度比の小
さい領域では計算した容量係数は大きく振動している。
これは発進直後の動力伝達系のねじり振動等が影響して
いると考えられる。しかし、速度比の小さい領域では速
度比に対する容量係数の変化は小さくデータ点数も少な
いため、推定上余り問題にならない。従って、速度比に
対する容量係数の変化が大きい領域でのみ容量係数を推
定する。すなわち、容量係数Cpの変化が大きい速度比
の大きい領域のデータを用いて最小2乗推定により近似
曲線を得る。
【0033】そして、図6に示すように、基準容量係数
を滑らかに接合する(S15)。すなわち、基準容量係
数Cpsは予め求められており、この例では、速度比が
小さい領域における容量係数Cpsを基準容量係数Cp
sを平行移動したものにすることによって、推定した容
量係数Cpを滑らかに変化するようにしている。以上に
より、図6太線のように容量係数が推定される。
【0034】ここで、最小二乗法に基づく曲線近似の一
手法を以下に述べる。なお、この手法については、特開
2000−213981号公報に詳細に記載してある。
【0035】まず、上述の(3)、(4)式で求めた速
度比データeを入力Xとし、容量係数データを出力Yと
して(5)式で表わす。
【0036】X=e, Y=Cp (5) n次の多項式で曲線近似すると、以下の入力ベクトル
Φ、推定パラメータΘ Φ=[Xn,Xn-1,Xn-2,Xn-3, ・・・ X3,X2,X] Θ=[θn+1,θn,θn-1,θn-2, ・・・ θ3,θ2,θ]T (6) を用いて、出力Yは(7)式 Y=Φ・θ =θn+1n+θnn-1+θn-1n-2+θn-2n-3+ ・・・θ33+θ22+θX (7) の線形回帰モデルで書ける。
【0037】また、パラメータΘは、(8)式の正規方
程式 θ=inv(ΦTΦ)ΦTY により、求めることができる。
【0038】以上のようにして、走行データからトルク
コンバータの容量係数を推定することができ、推定した
容量係数を用いることで、車両に働く駆動力を高精度に
推定することが可能である。
【0039】また、(4)式によりトルク比や容量係数
とトルク比の積を同様にして計算し、上記アルゴリズム
によりトルク比や容量係数とトルク比の積を推定するこ
ともできる。
【0040】上述のようにして得られた容量係数を用い
ることの効果を以下に示す車両質量推定を例に挙げて説
明する。
【0041】車両質量は(1)式に実走行で問題となる
勾配(前後方向)θの影響を考慮した以下の(9)式で
加速度α、駆動力Fd、走行抵抗Frを用いて推定する
ことができる。
【0042】Mα=Fd−Fr−Mgθ (9) 加速度αは、動力伝達系の回転数例えば自動変速機の出
力軸回転数を差分することにより算出でき、駆動力Fd
は、エンジントルク特性とトルクコンバータ特性の両者
あるいはいずれか一方を用いて算出できる。また、走行
抵抗Frは、加速度と同様に例えば動力伝達系の回転数
自動変速機の出力軸回転数から計算できる車速を予め求
められる走行抵抗特性(車速の関数)に適用して算出す
る。
【0043】(9)式で勾配θは推定することは困難で
あるが、以下の方法で勾配の影響を除去して車両質量を
推定することができる。
【0044】すなわち、図7に示すように、加速度、駆
動力の変化が大きい、例えば発進時や加速時の両者の信
号の周波数成分は、一般的な道路の勾配変化からもたら
される勾配抵抗の信号の周波数成分より高周波の成分を
もつという知見が得られている。従って、ハイパスフィ
ルタを利用して勾配抵抗の信号の周波数成分を除去する
ことによって、加速度、駆動力信号の周波数成分しか存
在しない高周波成分だけを有する信号を得ることができ
る。
【0045】ハイパスフィルタ処理後の加速度、駆動力
(以降Fd−Frを示す)をそれぞれhα(t)、hF
(t)、tは時間とおくと、 M hα(t) = hF(t) (10) と表わすことができる。
【0046】さらに、両辺に絶対値をとると、 M|hα(t)|=|hF(t)| (11) と表される ハイパスフィルタ処理後の加速度、駆動力の絶対値の積
分値をそれぞれSf,Sa、推定区間[T1,T2]と
すると、Sa,Sfは、次のように表される。
【0047】
【数2】 ここで、λは忘却係数で、0<λ≦1の定数である。λ
の指数部は推定の開始直後の信号の乱れを除くため推定
区間の終端により重みが強くかかるように設定する。
【0048】(11)、(12)式から車両質量Mは
(13)式 M=Sf/Sa (13) で推定できる。
【0049】(13)式は、図8に示すように加速度、
駆動力信号の時系列波形が占める面積比で表わされる。
【0050】この方法で車両質量を推定する場合に、前
述のトルクコンバータの容量係数の推定前(基準容量係
数Cpsをそのまま用いた場合)と、推定後(実測値に
基づき推定した値)で推定結果を比較したものが図9で
ある。
【0051】図9は、車両質量3通り、平坦路と勾配路
(約10%登坂)でそれぞれアクセル開度が25,5
0,100%の発進時の推定結果を表わしている。推定
車両質量の誤差が±10%以内に入る精度を比較する
と、容量係数推定前が39%に対して容量係数推定後は
100%を達成しており、本発明の容量係数推定の効果
が高いことを示している。
【0052】なお、動力伝達要素の他の例として発進ク
ラッチ等があるがこの場合も以上の方法と同様に発進ク
ラッチの動力伝達特性を推定することができる。
【0053】発進クラッチは、車両の発進時運転者のア
クセルペダル操作等に対応してクラッチを徐々に接続さ
せていく装置であり、運転者の操作を代行している。発
進クラッチ動力伝達要素とするパワートレーン系のモデ
ルを例えば図10で表す。図において、トルコン12に
代えて発進クラッチ22が設けられている。この発進ク
ラッチ22によって伝達されるトルクTcは例えば Tc=Kc・μ・Fc (14) で表すことができる。
【0054】ここで、Kcはクラッチのトルク容量係
数、μはクラッチの摩擦係数で例えばすべり速度に対し
図11で示される特性をもち、動力伝達特性を表すもの
である。また、Fcはクラッチの締結力である。なお、
クラッチの締結力はクラッチの締結ストロークにより推
定することも可能である。以上より、駆動力は(15)
式で表される。
【0055】 Fd=ηt・ηd・λt・λd・Kc・μ・Fc/rtire (15) (1)、(15)式から発進クラッチの動力伝達特性で
あるクラッチ摩擦係数μは、(16)式で推定すること
ができる。
【0056】 μ={(Mα+Fr)rtire} /(ηt・ηd・λt・λd・Kc・Fc) (16) また、運転者の操作を代行する発進クラッチだけでな
く、運転者が操作する手動変速機のクラッチに対しても
上記の(16)式で動力伝達特性を表すμを推定でき
る。
【0057】また、図1および図10に示す実施形態で
は原動機をエンジンとしたが、電動機やエンジンと電動
機の組み合わせなど原動機の形態はどのようなものであ
ってもよい。
【0058】以上説明したように、トルクコンバータを
含む車両のパワートレーン(動力伝達)系にはさまざま
な変動、損失があり、それらを正確に推定することは困
難であり、またトルクコンバータ特性は静特性であるた
め動的条件下では実特性と合わないため、トルクコンバ
ータ特性から駆動力を推定する場合には誤差を伴う。し
かしながら、本実施形態によれば、予めある動的条件下
で走行した車両の諸回転数や加速度データ等により演算
したトルクコンバータ特性を用いるため、同様な条件下
での駆動力推定精度を向上することができる。その結
果、車両の推定駆動力を必要とする車両状態パラメータ
の推定、駆動力制御あるいは走行制御などの推定精度や
制御性能が向上する。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
速度比に応じた実際の車両挙動に基づいて、動力伝達要
素の特性を推定する。従って、実際の走行の際の動的条
件下における適切な特性を推定することができ、車両の
駆動力などを高精度に推定することができる。特に、ト
ルクコンバータのトルク比と、容量係数の一方を基準値
としておき、他方を実測値から推定する。あるいは両者
の積を実測値から推定する。これによって、精度高い推
定が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 システムの全体構成を示す図である。
【図2】 速度比と容量係数及びトルク比の基本的関係
を示す図である。
【図3】 処理のフローチャートである。
【図4】 発進時の車両挙動を示す図である。
【図5】 速度比に対する容量係数の変化を示す図であ
る。
【図6】 速度比に対する容量係数の推定を示す拡大図
である。
【図7】 勾配が影響する周波数を示す図である。
【図8】 車両重量の推定を示す図である。
【図9】 容量係数推定の精度を示す図である。
【図10】 発進クラッチを採用した場合のシステムの
全体構成を示す図である。
【図11】 滑り速度と摩擦係数の関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
10 エンジン、12 トルクコンバータ、14 自動
変速機、16 デファレンシャルギア(デフ)、18
タイヤ、20 車体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 59:48 F16H 59:48 59:74 59:74 (72)発明者 大澤 正敬 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 山田 直樹 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会内 (72)発明者 石黒 稔昌 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会内 (72)発明者 加藤 浩明 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会内 Fターム(参考) 3G093 AA05 DA01 DA06 DB01 DB05 DB11 EA01 FA10 3J552 MA01 MA12 NA01 NB01 PA20 QC09 RA02 RB15 SB02 TA10 UA07 VA01W VB01W VC01W

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の動力出力装置の動力をタイヤ側に
    伝達する動力伝達要素の伝達特性を推定する車両の動力
    伝達特性推定装置であって、 前記動力伝達要素の入力側の回転数と、出力側の回転数
    との比である速度比に応じた車両挙動を検出し、 この検出結果に基づき、前記動力伝達要素の伝達特性を
    推定する動力伝達特性推定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の装置において、 前記動力伝達特性は、速度比に応じて変化する第1の特
    性であり、速度比に応じて変化する第2の特性を予め定
    められた基準特性に設定して、推定する動力伝達特性推
    定装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の装置において、 前記動力伝達特性は、速度比に応じて変化する第1及び
    第2の特性の積である動力伝達特性推定装置。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の装置におい
    て、 前記動力伝達要素は動力の滑り伝達機構であり、 前記動力伝達要素の第1及び第2の伝達特性は、滑り伝
    達機構の容量係数あるいはトルク比である動力伝達特性
    推定装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1つに記載の装
    置において、 車両の前後加速度から車両に加えられている力を算出
    し、この力から車両の走行抵抗を減算して、前記動力出
    力装置の出力動力を算出し、この出力動力と動力出力装
    置の回転数とに基づいて、前記動力伝達要素の伝達特性
    を推定する動力伝達特性推定装置。
  6. 【請求項6】 車両の動力出力装置の動力をタイヤ側に
    伝達する動力伝達要素の伝達特性を推定する車両の動力
    伝達特性装置であって、 前記動力伝達特性の入力側の回転数と、出力側の回転数
    との差であるすべり速度に応じた車両挙動を検出し、こ
    の結果に基づき、前記動力伝達要素の伝達特性を推定す
    る動力伝達特性推定装置。
  7. 【請求項7】 請求項7に記載の装置において、 前記動力伝達要素は、動力の摩擦すべり伝達機構である
    クラッチである動力伝達特性推定装置。
  8. 【請求項8】 請求項7または8に記載の装置におい
    て、 車両の前後加速度から車両に加えられている力を算出
    し、この力から車両の走行抵抗を減算して、前記動力出
    力装置の出力動力を算出し、 この出力動力と前記摩擦すべり伝達機構の締結力あるい
    は摩擦すべり伝達機構のストロークとに基づいて、前記
    動力伝達要素の伝達特性を推定する動力伝達特性推定装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1つの記載の装
    置により推定された動力伝達要素の特性を記憶する記憶
    部と、 この記憶部の特性を利用して、前記動力出力装置の出力
    を制御する出力制御装置と、 を有することを特徴とする車両。
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