JP2002364308A - タービンの自動調整シール - Google Patents

タービンの自動調整シール

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JP2002364308A
JP2002364308A JP2001167933A JP2001167933A JP2002364308A JP 2002364308 A JP2002364308 A JP 2002364308A JP 2001167933 A JP2001167933 A JP 2001167933A JP 2001167933 A JP2001167933 A JP 2001167933A JP 2002364308 A JP2002364308 A JP 2002364308A
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seal
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龍太郎 馬越
Takashi Nakano
隆 中野
Satoru Konishi
哲 小西
Shin Nishimoto
西本  慎
Zenichi Yoshida
善一 吉田
Tanehiro Shinohara
種宏 篠原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タービンの自動調整シールに関し、シール効
果を高め、精度の高い動作を有するシール機構を備え
る。 【解決手段】 シールリング受7には可動シールリング
8が嵌め込まれ、可動シールリング8の内側にはリーフ
シール5が取付けられ、リーフシール5の先端部がロー
タ1に摺動し、シールを構成する。起動・停止時には可
動シールリング8はシールリング後退面12にバネで付
勢されて接しており、D1 は隙間無し、D 2 は有り、D
3 も有りで、所定のクリアランスを保つが、定格運転時
には高圧、低圧の区分が生じ高圧側の圧力が蒸気圧作用
面10に作用し、リング8をロータ1側へ移動させ、隙
間D1 は有り、D2 無し、D3 無しとしてクリアランス
を狭くし、クリアランスを調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸気タービン、ガ
スタービン等のタービンに用いられるタービンの自動調
整シールに関する。
【0002】
【従来の技術】タービンでは一般に作動流体の漏洩を低
減させて効率向上を目指すために回転軸のシール部材と
して従来から非接触型のラビリンスシールやブラシシー
ルが使用されている。例えばラビリンスシールの場合、
動翼の先端とケーシングの間にラビリンスブロックが設
けられ、このブロックにラビリンスフィンが取付けられ
ている。そのブロックに植え込まれたラビリンスフィン
と動翼先端の間の隙間は極力小さいことが望ましいが、
タービンの回転が定常速度にまで昇速する過程において
危険速度を通過し、動翼先端の半径方向振動が大きくな
ると、ラビリンスフィンの先端と動翼先端が接触するこ
とがある。又定常運転時にも熱膨張により隙間が小さく
なるのであまり間隙を小さく設定することは出来ず、適
切なクリアランスを設定し、大事故を事前に防止する必
要がある。
【0003】又、ラビリンスシールの代りに、より低い
漏洩を目指して開発されたシール部材としてブラシシー
ルがあるが、ブラシ(ワイヤー)は回転軸の振動あるい
は熱変形による偏心などを吸収できるように適度の剛性
を持つ直径50〜100μmのフィラメントで構成さ
れ、軸3〜5m/m の密集した束になっており、回転軸に
接触摺動するがブラシの間や先端から流体が漏洩するこ
とは避けられない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来から使用されてい
るラビリンスシールでは、シールフィンの先端とロータ
の外周との隙間は一定に設定してあり、運転中のロータ
の振れや熱膨張によりロータがシールフィンと接触した
場合長期間使用しているとシールフィンが摩耗し、隙間
が広がり流体の漏洩が増大しタービンの効率が低下し大
事故を引き起すことも考えられる。
【0005】従って初期は隙間を狭く設定しても、長期
間運転後はその隙間が広がり、流体の漏れが増大すると
いう不具合を解消するために、タービンの起動−稼動−
停止と変化する一連の動きに応じてシールの隙間を自動
的に変化させて流体の漏れを極力防止するためのタービ
ン用自動調整シールの実現が課題となっている。
【0006】又ラビリンスシールより流体の漏れが少な
いブラシシールにおいても、剛性を上げるのには限界が
あるので、高圧側と低圧側の差圧が5kgf/cm2 程度以上
の場合はブラシ(ワイヤー)が変形し、低圧側に倒れ、
吹き抜け状態となりシール機能を発揮しなくなるという
課題もある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題を解
決することを目的としており、次の(1)〜(13)の
手段を提供する。
【0008】(1)回転部とこれに対峙する固定部との
間に配置されたシール材を有するシールリングを備え、
同シールリングは前記回転部の水平分割面寄りに配置さ
れた固定シールリングと中央寄りに配置された可動シー
ルリングとにより構成し、同可動シールリングは前記回
転部の起動、停止時に半径方向外方に弾性体で付勢さ
れ、定格運転時に半径方向内側に作動流体で押圧される
タービンの自動調整シールにおいて、前記固定シールリ
ングと可動シールリングとは合せ面で互に接すると共
に、前記可動シールリングを位置決めする周方向中央位
置に設けた案内装置を有し、前記弾性体を前記可動シー
ルリングの内側に配置したバネで構成し、前記各シール
リングの軸方向断面形状は低圧側と高圧側とで形状の異
なる非対称形とし、前記シール材が複数枚の薄板から構
成されていることを特徴とするタービンの自動調整シー
ル。
【0009】(2)前記固定シールリングと可動シール
リングの合せ面は、互に接する水平方向に延びる平坦面
で形成し、同合せ面の固定シールリング側に前記可動シ
ールリングの垂直方向の移動を案内するガイドピンを設
けたことを特徴とする(1)記載のタービンの自動調整
シール。
【0010】(3)前記各シールリングの軸方向断面形
状は、高圧側に延びる突き出し部を有し、低圧側はスラ
スト面より低圧側には突出しない非対称形のラビリンス
ブロックであることを特徴とする(1)又は(2)記載
のタービンの自動調整シール。
【0011】(4)前記弾性体は前記回転部の軸方向及
び周方向に夫々一定のバネ定数を有する皿バネで構成し
たことを特徴とする(1),(2)又は(3)記載のタ
ービンの自動調整シール。
【0012】(5)前記固定シールリングと可動シール
リングは、それぞれ前記回転部の中心を通る水平分割面
で区画して配置され、前記固定シールリングが前記水平
分割面から前記中心に対して周方向にそれぞれ約25°
の範囲に延びて両側に配置され、前記可動シールリング
が中央部分130°の範囲に亘って延びて配置される3
分割構造としたことを特徴とする(1)から(4)のい
ずれかに記載のタービンの自動調整シール。
【0013】(6)前記可動シールリングは中央に位置
決めピンを設け、同位置決めピンと前記両側の各合せ面
に設けたガイドピンの3点で位置決めするように構成し
たことを特徴とする(5)記載のタービンの自動調整シ
ール。
【0014】(7)前記可動シールリングは、内側にお
いて前記シールリング受の低圧側のシールリング基準面
及びスラスト受面の間にそれぞれ所定の隙間を有し、同
それぞれの隙間の複数個所に波形バネを介装したことを
特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載のタービ
ンの自動調整シール。
【0015】(8)回転部とこれに対峙する固定部との
間に配置されたシール材を有するシールリングを備え、
同シールリングは前記回転部の水平分割面寄りに配置さ
れた固定シールリングと中央よりに配置された可動シー
ルリングとにより構成し、同可動シールリングは前記回
転部の起動、停止時に半径方向外方に弾性体で付勢さ
れ、定格運転時に半径方向内側に作動流体で押圧される
タービンの自動調整シールにおいて、前記固定部と対向
する前記可動シールリングの半径方向外面に同可動シー
ルリングを押圧する作動流体が供給される圧力作用空間
が形成されていることを特徴とするタービンの自動調整
シール。
【0016】(9)前記案内装置と波形バネに代えて押
え板をバネで付勢して位置決めする支持機構を複数配置
したことを特徴とする(7)記載のタービンの自動調整
シール。
【0017】(10)回転軸の軸方向に延びる可撓性を
有する薄板を複数枚互に所定の隙間を保って同回転軸周
囲に摺動するように多重に重ねて配設し、同各薄板の外
周側基端をケーシング側に固定して構成し、前記回転軸
の外周をシール可能とする軸シール機構であって、前記
薄板にはその表面から突出してなる隙間形成部が設けら
れていることを特徴とする軸シール機構を有したタービ
ンの自動調整シール。
【0018】(11)前記隙間形成部は、前記薄板の一
部が変形させられてなる突起であり、同突起を隣接する
薄板に重ねることにより隙間を形成することを特徴とす
る(10)記載のタービンの自動調整シール。
【0019】(12)前記隙間形成部は、前記薄板の一
部に形成された被覆層であり、同被覆層を隣接する薄板
に重ねることにより隙間を形成することを特徴とする請
求項10記載のタービンの自動調整シール。
【0020】(13)前記隙間形成部は、前記薄板の一
部をエッチングすることにより形成される段差部であ
り、同段差部を隣接する薄板に重ねることにより隙間を
形成することを特徴とする(10)記載のタービンの自
動調整シール。
【0021】本発明の(1)によれば、可動シールリン
グは、定格運転時に作動流体により半径方向内方に押圧
されて合せ面で固定シールリングに支持され、かつ回転
部の起動・停止時に半径方向外方に付勢される。この可
動シールリングは、この付勢力を可動シールリングの内
周側に配置したバネ、例えば波形バネにより与えられ、
かつ周方向中央位置に設けた案内装置により位置決めさ
れており、定格運転時には作動流体で半径方向内方に押
圧されてシールを調整するコンパクトな構造であり、設
置場所として狭隘なスペースとならざるを得ないシール
構造、特に小型化を求められる動翼、静翼等のチップシ
ールに適用して有益である。又、シールリングは軸方向
断面形状において非対称形、例えば高圧側に突き出し部
を形成したラビリンスブロックを有しているので、定格
運転に際して作動流体から与えられる圧力は低圧側から
抵抗を受けずにシールリングの押し付けを行い、所定の
シールを迅速かつ効果的に行うことができる。
【0022】また、本発明の(1)では、シール材が回
転部の軸方向に幅を有する薄板を周方向に多層状に配置
したことにより、回転軸の周方向には柔らかく、軸方向
には剛性の高いシール構造になっている。シール材を薄
板形状にすることにより薄板の外周側基端をケーシング
側に幅方向にろう付けしてブラシシールのワイヤなどに
比べて強固に固定することができる。また、薄板の先端
は回転部の軸方向に幅を有し、周方向には柔らかいこと
により、共振点の通過時など回転部の振動が大きいとき
には薄板が変形して回転部との接触を緩和することが可
能で、また定格条件では回転部の回転による動圧効果で
薄板の先端が僅かに浮上することにより回転部との接触
がなくメタル同士の接触が回避される。更に、シール材
が薄板状で回転部の軸方向に幅を有することによりシー
ルによる差圧方向の剛性をブラシシールなどと比べて大
幅に大きくすることが出来る。
【0023】本発明の(2)によれば、可動シールリン
グは、起動・停止時と定格運転時に弾性体または作動流
体で付勢され、かつガイドピンで案内され垂直方向に移
動する。この可動シールリングは固定シールリングとの
合せ面を水平方向に延びる平坦面で形成されているの
で、可動シールリングの動きに伴って各シールリング間
にこじれ等の発生するおそれがなく、シール材が薄板か
ら形成されているので、ブラシシールなどに比べてより
有効なシール効果を得ることができる。
【0024】本発明の(3)によれば、非対称形のラビ
リンスブロックは、高圧側に突き出し部を形成し、スラ
スト面より低圧側に突き出し部を形成しない、いわゆ
る、非対称形としているので、定格運転時に作用する作
動流体の圧力は無駄な抵抗を受けることなく敏感、敏速
に機能し、効果的なシール材機能を発揮しうる。
【0025】本発明の(4)によれば、回転部の起動・
停止時に可動シールリングを付勢する弾性体を皿バネで
構成し、かつこの皿バネを回転部の軸方向及び周方向に
それぞれ一定のバネ定数にすることにより、可動シール
リングは軸方向又は周方向に対して片寄ることなく、ガ
イドピンで案内される垂直方向に適切に移動し、精度の
高い適確な作動を行いうる。
【0026】本発明の(5)によれば、回転部の中心を
通る水平分割面を基準として固定シールリングは周囲の
両側からほぼ25°の範囲をカバーして配置され、かつ
その間の中央部分に残されたほぼ130°の範囲には可
動シールリングが配置される3分割構造とされている。
この構造により、タービンの水平分割面に対する上下動
に鈍感な範囲及び位置を構造簡単な固定シールリングで
確保し、上下動に対して敏感に影響する中央部分を可動
シールリングで受け持ちシールの隙間を調整する上下動
に対し適切に対応しうる。
【0027】本発明の(6)によれば、可動シールリン
グはその両端位置に当たる固定シールリングとの合せ面
でガイドピンにより案内されていることに加えて、その
中央で位置決めピンにより位置を確保され、合わせて3
点で位置決めされるのでその作業は安定し、精度の高い
動きを行ない得る。
【0028】本発明の(7)によれば、合せ面に設けた
ガイドピンの位置で作用する付勢力に加えて、前記波形
バネの付勢力が可動シールリングにかかり、同可動シー
ルリングはより安定した保持をなされるものである。
【0029】本発明の(8)によれば、可動シールリン
グには圧力作用空間が形成されており、運転中に定格状
態となると、タービン内部に作動流体が生じ圧力が上昇
して可動シールリングの軸前後方向に高圧側と低圧側の
区分ができる。高圧側より作動圧力流体が圧力作用空間
に作用し、可動シールリングを回転部、即ち、ロータ側
へ押圧し、可動シールリングのシールとロータ間のクリ
アランスを小さくすることができる。
【0030】本発明の(9)によれば、押え板をバネで
付勢して得られる力により、ガイドピン等の付属物を要
することなく可動シールリングの位置決めを行うことが
出来、装置の大型化に走らず適切な支持力を得、狭隘部
位に採用しうる。
【0031】本発明の(10)によれば、薄板には表面
から突出する隙間形成部が設けられており、隙間形成部
の突出高さを薄板間に形成すべき隙間と等しい値に設定
し、隙間形成部を介して薄板同志を互に当接させるだけ
で、薄板間の隙間が内外周間で確実に均一かつ所定の微
少隙間に設定されうる。
【0032】本発明の(1)によれば、薄板には薄板の
一部を変形させた突起を形成しており、薄板とは別体の
部材を固定することで隙間形成部が構成されるのではな
く、薄板の一部を変形させることで隙間形成部が構成さ
れるため部品点数の増加を招くことがない。この突起は
例えば精密プレス加工により形成される。
【0033】本発明の(12)によれば、薄板の一部に
被覆層が形成されており、前項同様に部品点数の増加を
招くことなく隙間形成部が薄板に構成されることにな
る。被覆層は溶融メッキ等により形成されるが、この場
合メッキ層の厚みを1μm刻みのオーダーで形成するこ
とができるため、回転軸の全周にわたって各薄板間の隙
間を精度良く形成しうる。
【0034】本発明の(13)によれば、薄板の一部を
エッチングすることにより、エッチングされた部分とさ
れていない部分との間に隙間形成部である段差を形成す
るようにしているため、これにより薄板間の隙間を精度
良く形成しうる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1乃至図14に
示す実施の形態に基づいてそれぞれ説明する。まず、図
1,図2は本発明の実施の第1形態に係るタービンの自
動調整シールの軸断面図であり、図1は定格運転時の状
態、図2は起動・停止時の状態を、それぞれ示す。両図
において、1はロータで、その周囲には固定側のシール
リング受7が配置され、又同シールリング受7には、前
記ロータ1の周囲に向って延びるリーフシール5を植え
込んだ可動シールリング8が支持されている。
【0036】同シールリング受7による可動シールリン
グ8の支持構成を更に詳細に見れば、可動シールリング
8の外周にはシールリング受7のシールリング後退面1
2との間に蒸気圧作用面10が設けられ、同蒸気圧作用
面10は周方向複数個所のバイパス穴14(図3参照)
に連面している。かつ、この蒸気圧作用面10で形成さ
れる空間は、同バイパス穴14から可動シールリング8
自身の周囲とシールリング受7の間の隙間を経てロータ
1の外周部に通じている。
【0037】又可動シールリング8の前記蒸気圧作用面
10に対向する内周側は、ラビリンスブロックとして前
記した様にリーフシール5を有しているが、このラビリ
ンスブロックは前記蒸気圧作用面10を中心として見る
とき高圧側に対しては突き出し部分を形成するが、低圧
側に対してはこの突き出し部分が形成されず、スラスト
受面11に対応する位置で終了する非対称形式に構成さ
れ、リーフシール5も同様にスラスト受面11近辺で終
了している。
【0038】図3はシールリング全体を示し、(a)は
上面図、(b)は軸断面図、(c)は側面図である。図
において、この可動シールリング8は、軸断面で見てそ
の中央位置に周方向130°に亘って延びており、その
両端には機械の水平分割面から両側各25°の範囲で固
定シールリング9が配置され、両側一対の固定シールリ
ング9,9及び中央の可動シールリング8の3分割体で
機械上半分の分解部内におけるシールリングが形成され
ている。
【0039】又可動シールリング8と固定シールリング
9との接合する合せ面24には、図3で略示し、後述す
る図4に斜視図で外観を示し、図5に拡大して示すよう
に、皿バネ15で付勢させたガイドピン16が押え板1
7で押えられて固定シールリング9に取付けられ、同ガ
イドピン16により可動シールリング8は図で上下方向
に案内されているようになっている。また、可動シール
リング8の中央位置にはガイドピンとして位置決めピン
18が配置され、可動シールリング8の両端位置のガイ
ドピン16と共働し、この3点で可動シールリング8の
位置決めをしている。
【0040】ここで皿バネ15及び皿バネ19はロータ
1の軸方向及び周方向にそれぞれ一定のバネ定数を有す
る構造のものであり、かつガイドピン3個で案内し可動
シールリング8を上方に付勢している。
【0041】図4はシールリングの合せ面の斜視図であ
り、可動シールリング8と固定シールリング9とは、水
平方向に延びる平坦面の合せ面24で接触して図5に示
すようにガイドピン16と押え板17で固定される。
【0042】固定シールリング9について見ると図3に
略示するように、その外周面側に板バネ13を介装して
おり、従来の装置の構成と同様に同固定シールリング9
は板バネ13でロータ1の軸方向へ向けて付勢されてい
る。なお、この固定シールリング9は機械の水平分割面
位置において、上半部分及び下半部分のものそれぞれ
が、位置決めピン25又は位置決めピン26及び上部止
め金21又は下部止め金22によりシールリング受7に
固定されており、その状況は図6,図7に示されてい
る。
【0043】図6は分割面での上方の固定シールリング
9を固定する位置決めピンの拡大図であり、固定シール
リング9は上記したようにシールリング受7に嵌め込ま
れ、位置決めピン25で上部止め金21により固定さ
れ、又軸方向には板バネ13が介装され、軸方向に付勢
するように取付けられている。
【0044】図7は分割面での下方の固定シールリング
9を固定する位置決めピンの拡大図であり、固定シール
リング9は上記と同様にシールリング受7に嵌め込ま
れ、位置決めピン26で下部止め金22により固定さ
れ、又、軸方向には板バネ13が介装され、軸方向に付
勢されるように取付けられている。
【0045】前記のように構成された本実施の第1形態
では、タービンの起動・停止時には可動シールリング8
は皿バネ15等で付勢され、ガイドピン16等で案内さ
れて図2に示す様に可動シールリング8がシールリング
後退面12に当接し、隙間D 1 は無し、隙間D2 は有
り、同様に隙間D3 も有りの状態となりロータ1周面と
リーフシール5との間に所定のクリアランスが保たれて
いる。
【0046】次いで運転が進み定格状態になるとタービ
ン内部に作動流体が生じ圧力が上昇し、高圧側と低圧側
の区分ができ、高圧側の圧力がバイパス穴14を経て蒸
気圧作用面10に作用して前記皿バネ15等の付勢力に
打ち勝って、図1に示すように可動シールリング8はロ
ータ1側へ移動する。
【0047】即ち、図1において、隙間D1 は有り、隙
間D2 は無しの状態となりロータ1周面とリーフシール
5との間のクリアランスはシールリング基準面4で規制
される狭いものとなる。なお、シールリング基準面4に
より規制されるクリアランスは、構造上の規則による基
本的なものであり、これに静止部と回転部の熱膨張差等
による変化等が加重されて実際のクリアランスが定まる
ことになる。
【0048】可動シールリング8は基本的に前記のよう
に作動してクリアランス調整が行われるが、ここで可動
シールリング8は固定シールリング9との合せ面24
(図3,図4参照)を水平方向に延びる平坦面で形成し
ているので、可動シールリング8の移動に際して固定シ
ールリング9との間でこじれ等の発生するおそれはな
く、円滑な移動が行われうる。また可動シールリング8
の移動に対抗する力、特に定格以前の起動・停止時に於
ける可動シールリング8の付勢力は、ロータ1の軸方向
及び周方向にそれぞれ一定のばね定数とした皿バネ15
により与えられるので、可動シールリング8はロータ1
の軸方向又は周方向に対して片寄ることなく、ガイドピ
ン16で案内されて移動する。
【0049】又、可動シールリング8と固定シールリン
グ9との配列は、水平分割面を基準として固定シールリ
ング9が周の両側からほぼ25°の範囲に対配置され、
その間の中央部分に可動シールリング8がほぼ130°
の範囲に亘って配置されて3分割構造となっているの
で、タービンの水平分割面に対する上下動に鈍感な範囲
を構造簡単な固定シールリング9で分担し、上下動に対
して敏感に影響する中央部分をその敏感性に追従できる
可動シールリング8で受け持つという好適な役割分担が
なされている。
【0050】又、可動シールリング8はその中央でガイ
ドピンとしての位置決めピン18が配置され、かつ合せ
面24で前記ガイドピン16により案内されて皿バネ1
5で付勢される構成であるために、安定した3点支持構
造となり、皿バネ15の付勢力も周方向に分散するいわ
ゆるコサイン成分を出さずに有効に、かつ安定した付勢
力を得る構成となっている。なお、この位置決めピン1
8は押え板をバネで付勢するようにして構成しても良
く、又、可動シールリング8と固定シールリング9との
合せ面24は水平面ではなく段差を付けた面でも良い。
【0051】又、可動シールリング8はロータ1側にお
ける低圧側のシールリング基準面の隙間D2 、及びスラ
スト受面の隙間D3 の間に、それぞれ波形バネを介装し
て弾性力を付勢するようにしても良い。又、波形バネに
代えて押え板をバネで付勢するような機構を介装するよ
うにしても良い。
【0052】又、本実施の第1形態のものでは、可動シ
ールリング8は、ラビリンスブロックが高圧側に対して
は突き出し部分を形成するが、低圧側に対してはスラス
ト受面11に対応する位置で終了し、いわゆる突き出し
部分が形成されない非対称形のラビリンスブロックであ
るため可動シールリング8に作用する作動圧は、小さい
力でも確実に機能する。
【0053】図8はシールリングに掛かる力の分布を示
し、(a)が本発明の実施の形態で採用している非対称
形状の可動シールリングを、(b)は比較のために示し
た対称形状のものを、それぞれ示す。
【0054】非対称形の可動シールリング8は前記した
ように低圧側に対しては、スラスト受面11に対応する
位置で終了しているので、同図8(a)のように可動シ
ールリング8にかかる力は対抗力成分がなく、全て下向
きの力H(皿バネ15に抗して可動シールリング8を内
側に押す力)となる。これに対し、比較のために示した
同図8(b)のようにスラスト受面11より突き出して
対称形となると、図中左側の低圧側の部分の動きが規制
されるので前記下向きの力Hが少なくなるのみならず、
対抗力成分Lが生じてこのマイナス成分が加わるので、
下向きの力Hは更に少なくなる。
【0055】図9はシール隙間の変化を示す図である。
図において、起動から定格に至る負荷上昇の過程で線分
Aは本実施の第1形態における可動シールリング8の移
動により形成される隙間の変化を示す。この線分Aは、
静止部と回転部の熱膨張差を示す線分Cとの差をとる
と、現実に形成させる「すきま」の大きさを示してい
る。線分Bは、前記に説明した一定のばね力のみでシー
ルリングを支持した従来のものにおける設定時間を示
し、この線分Bと前記線分Cとの差をとると、従来装置
に形成される「すきま」となり、両者を比較することが
できる。
【0056】即ち、A−Cに当る本実施の第1形態の
「すきま」はB−Cに相当する従来装置のものに比べ、
定格時においては約半分となり漏洩が大幅に防止される
ことがわかる。のみならずタービンの起動時に当たる負
荷の低い範囲では、前記線分Aの示す隙間l2 は、前記
線分Bの示す隙間量l1 より大きく定格運転に入る前に
通過する危険速度等の含まれる時期に十分な隙間を確保
する。この面からも有用性が認められるのである。この
ように本実施の形態によれば、シール機能が一段と向上
するので、シールリング自体の小型化が可能となり、シ
ールリングを2列配置した部分に対してはこれを1列に
してもよい等、装置、設備の小型化、コンパクト化に大
いに貢献する。
【0057】図10は本実施の第1形態におけるリーフ
シールの取付状態を示す図で、(a)は要部の斜視図、
(b)は全体を示す軸断面図である。両図において、リ
ーフシール5はケーシング34(図1におけるシールリ
ング受7に同じ)に取付けられた環状体31(図1にお
ける可動シールリング8に同じ)の内側へ複数枚の薄板
27を重ねて取付けて構成される。薄板27は先端部が
回転軸28(図1におけるロータ1に同じ)に摺動する
ように角度αで配列し、これら薄板27の両側にはガイ
ド板として低圧側側板32、高圧側側板33が配設され
ている。
【0058】図10において、リーフシール5は、上記
したように、薄板27を回転軸28の周方向に多層に配
置した構造になっている。薄板27は回転軸28の軸方
向に所定の幅Wを有するほぼ長方形板状とされていて、
厚さ方向を向く一方の面には、他方の面を凹ませること
により突出させた突起(隙間形成部)29aが形成され
ている。
【0059】図11は図10に示す薄板を示す詳細図で
あり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるB−B
断面図、(c)は(a)の薄板突起位置が異なる薄板の
平面図、(d)は(c)におけるC−C断面図である。
(a)において、薄板27の各部の寸法は、W=5〜1
0mm、I1 =30mm、I2 =5mm、S1 =1mm、S2
1.5mmとなっている。また、薄板27の板厚tは回転
軸28の周方向に所定の剛性を持つように設計され、本
実施の第1形態では、板厚tは0.1mmに設定してい
る。突起29aの突出高さhは薄板27間に形成すべき
隙間30(図10(b)参照)に合わせて適宜設定され
る。ちなみにリーフシールにおいて高いシール性を確保
するためには、この隙間30を10μm程度に設定して
おくことが好ましい。そのため、本実施の第1形態で
は、突起29aの突出高さhを10μmに設定してい
る。
【0060】このような微少突起29aは薄板27を精
密プレス加工するか、又はエッチング処理する事により
複数を同時に形成することができる。これら突起29a
は、薄板27の幅方向(回転軸28の軸方向)には3
列、長さ方向には2列形成されている。又、突起29a
は図11の破線で示すように、薄板27の外周側基端か
ら長さ方向に所定長さ離れた位置に至る迄の領域X内に
形成される。この領域Xは、薄板27の外周側基端を環
状体31にろう付けした際のとけ込み域と一致する。薄
板27には、外周側に配された突起29aの外周側基端
からの距離S3 が1mmに設定されたもの(符号27A)
と、(c)図に示す2mmに設定されたもの(符号27
B)とがある。
【0061】図12は図11(a)及び(c)に示す薄
板を交互に重ねた状態を示す側面図である。図におい
て、薄板27Aと27Bとは交互に重ね合わされ、その
結果、薄板は互に位置がずれた突起29aにより接し
て、それぞれ隙間30を有して配列される。ちなみに、
突起29aの長さ方向の離間距離S4 は2mmとされてい
る。そして、これら二種類の薄板27A,27Bは図1
2に示すように突起29aを介して互に当接するように
重ね合わされる。これにより薄板27間には、10μm
の微少隙間30が容易かつ精度良く確保されることにな
る。隙間30はシール径、換言すれば回転軸28の径が
十分に大きいため、外周側基端から内周側基端まで実質
的にほぼ一定と見なすことが出来る。
【0062】図13は、本実施の第2形態に係るタービ
ンの自動調整シールを示し、薄板の断面図であり、薄板
27Cをエッチングにより成形したもので、その他の構
成、作用、効果は実施の第1形態と同じである。図示の
ように、薄板27Cの領域Xを除く領域Yの部分がエッ
チングにより段差を形成させ、隙間30を確保する構成
である。このような薄板27Cを用いても、突起29a
を有する薄板27A,27Bを組合せたものとリーフシ
ールとしての同等の効果が得られる。なお、エッチング
に代えて突起部を有する領域Xを被覆することにより段
差を設けるようにしても良い。
【0063】このような薄板27,27A及び27B、
又は27Cからなるリーフシール5はその外周側基端の
みが環状体31を介してケーシング34に固定されてお
り、先端で回転軸28の外周をシールすることによって
回転軸28の周囲の空間を高圧側領域と低圧側領域とに
分けている。又、薄板27の両側には、低圧側領域に低
圧側側板32が高圧側領域に高圧側側板33がそれぞれ
圧力作用方向のガイド板として装着されているので薄板
の保持が確実になされる。
【0064】更に、図10(b)でも示したように、薄
板27は回転軸28の回転方向に対して回転軸28の周
囲となす角αが鋭角となるようにケーシング34に取付
けられており、回転軸28の停止時には所定の予圧で回
転軸28に接触しているが回転軸28の回転時には回転
軸28が回転することで生じる動圧効果によって薄板2
7の先端が浮上するため薄板27と回転軸28とは非接
触状態となる。
【0065】次に、図13に示すリーフシールの製作工
程について説明する。まずフォトエッチングにより基板
を上記所定寸法からなる複数の薄板27Cに分割する。
例えば回転軸28の軸径がφ350の場合には約10,
000枚の薄板27Cを作製する。次いで図13に示す
ように薄板27Cの領域Xの部分を除く領域Yの部分に
エッチングを施すことにより、エッチングされていない
領域Xの部分とエッチングされた領域Yの部分との間に
段差を形成する。エッチングにより薄板27C間の隙間
30を精度良く形成することができるためシール性がよ
り向上される。
【0066】又、本発明の実施の第1,第2形態、又、
後述する実施の第3形態に係るリーフシール5の薄板2
7は長方形板状に限らず、断面が円弧状に湾曲するもの
であっても構わない。このような構成とした場合には薄
板27間の隙間30を外周側基端から先端にかけて、精
度良く均一にすることが可能になる。
【0067】図14は、本実施の第3形態に係るタービ
ンの自動調整シールを示し、リーフシールの主要部を示
す斜視図である。この例では基本的な構成は実施の第1
形態の図10に示す構成と同じであるが、次に説明する
ように薄板の形状に特徴を持たせたものであり、その他
の構成、作用、効果は実施の第1形態と同じである。
【0068】即ち、薄板27は板厚で決まる所定の剛性
を回転軸28の周方向に持つように設計されているた
め、図10に示すような長方形板状とされていると、薄
板27と回転軸28との相対変位時の摺動により薄板2
7の先端角部35が回転軸28の外周面に損傷を与える
ことがある。そこでこの回転軸28の損傷を防止するた
めには、図14に示すように、外周側基端がケーシング
34に固定される薄板27の先端側(内周側)エッヂ部
36を面取り加工する等して円弧状(例えばR=0.5
mm)に形成しておくことが好ましい。
【0069】このように薄板27の先端側エッヂ部36
を円弧状に形成しておけば、回転軸28の外周面に薄板
27の先端が微少部分で接触するといったことがなくな
り、回転軸28に作用する薄板27からの圧力が低下す
る。このため、先端に角部を有する薄板を採用したシー
ル機構に見られるような回転軸28の損傷を効果的に防
止し得て回転軸28の長寿命化を図ることができる。
【0070】
【発明の効果】本発明のタービンの自動調整シールは、
(1)回転部とこれに対峙する固定部との間に配置され
たシール材を有するシールリングを備え、同シールリン
グは前記回転部の水平分割面寄りに配置された固定シー
ルリングと中央寄りに配置された可動シールリングとに
より構成し、同可動シールリングは前記回転部の起動、
停止時に半径方向外方に弾性体で付勢され、定格運転時
に半径方向内側に作動流体で押圧されるタービンの自動
調整シールにおいて、前記固定シールリングと可動シー
ルリングとは合せ面で互に接すると共に、前記可動シー
ルリングを位置決めする周方向中央位置に設けた案内装
置を有し、前記弾性体を前記可動シールリングの内側に
配置したバネで構成し、前記各シールリングの軸方向断
面形状は低圧側と高圧側とで形状の異なる非対称形と
し、前記シール材が複数枚の薄板から構成されているこ
とを特徴としている。
【0071】上記構成の本発明の(1)によれば、可動
シールリングは、定格運転時に作動流体により半径方向
内方に押圧されて合せ面で固定シールリングに支持さ
れ、かつ回転部の起動・停止時に半径方向外方に付勢さ
れ、この可動シールリングはこの付勢力を可動シールリ
ングの内周側に配置したバネ、例えば波形バネにより与
えられ、かつ周方向中央位置に設けた案内装置により位
置決めされており、定格運転時には作動流体で半径方向
内方に押圧されてシールを調整する構成であり、設置場
所として狭隘なスペースとならざるを得ないシール構
造、特に小型化を求められる動翼、静翼等のチップシー
ルに適用して有益である。又、シールリングは軸方向断
面形状において非対称形、例えば高圧側に突き出し部を
形成したラビリンスブロックを有しているので、定格運
転に際して作動流体から与えられる圧力は低圧側から抵
抗を受けずにシールリングの押し付けを行い、所定のシ
ールを迅速かつ効果的に行うことができる。
【0072】また、本発明の(1)では、シール材が回
転部の軸方向に幅を有する薄板を周方向に多層状に配置
しておることにより、回転軸の周方向には柔らかく、軸
方向には剛性の高いシール構造であり、シール材を薄板
形状にすることにより薄板の外周側基端をケーシング側
に幅方向にろう付けしてブラシシールのワイヤなどに比
べて強固に固定することができる。また、薄板の先端は
回転部の軸方向に幅を有し、周方向には柔らかいことに
より共振点の通過時など回転部の振動が大きいときには
薄板が変形して回転部との接触を緩和することが可能
で、また定格条件では回転部の回転による動圧効果で薄
板の先端が僅かに浮上することにより回転部との接触が
なくメタル同士の接触が回避される。更に、シール材が
薄板状で回転部の軸方向に幅を有することによりシール
による差圧方向の剛性をブラシシールなどと比べて大幅
に大きくすることが出来る。
【0073】本発明の(2)によれば、可動シールリン
グは、起動・停止時と定格運転時に弾性体または作動流
体で付勢され、かつガイドピンで案内され垂直方向に移
動する構成であり、可動シールリングは固定シールリン
グとの合せ面を水平方向に延びる平坦面で形成されてい
るので、可動シールリングの動きに伴って各シールリン
グ間にこじれ等の発生するおそれがなく、シール材が薄
板から形成されているのでブラシシールなどに比べてよ
り有効なシール効果を得ることができる。
【0074】本発明の(3)によれば、非対称形のラビ
リンスブロックは、高圧側に突き出し部を形成し、スラ
スト面より低圧側に突き出し部を形成しない、いわゆ
る、非対称形としているので、定格運転時に作用する作
動流体の圧力は無駄な抵抗を受けることなく敏感、敏速
に機能し、効果的なシール材機能を発揮しうる。
【0075】本発明の(4)によれば、回転部の起動・
停止時に可動シールリングを付勢する弾性体を皿バネで
構成し、かつこの皿バネを回転部の軸方向及び周方向に
それぞれ一定のバネ定数にすることにより、可動シール
リングは軸方向又は周方向に対して片寄ることなく、ガ
イドピンで案内される垂直方向に適切に移動し、精度の
高い適確な作動を行いうる。
【0076】本発明の(5)は、前記固定シールリング
と可動シールリングは、それぞれ前記回転部の中心を通
る水平分割面で区画して配置され、前記固定シールリン
グが前記水平分割面から前記中心に対して周方向にそれ
ぞれ約25°の範囲に延びて両側に配置され、前記可動
シールリングが中央部分130°の範囲に亘って延びて
配置される3分割構造としたことを特徴としている。
【0077】上記構成の本発明の(5)によれば、回転
部の中心を通る水平分割面を基準として固定シールリン
グは周囲の両側からほぼ25°の範囲をカバーして配置
され、かつその間の中央部分に残されたほぼ130°の
範囲には可動シールリングが配置される3分割構造とさ
れているので、タービンの水平分割面に対する上下動に
鈍感な範囲及び位置を構造簡単な固定シールリングで確
保し、上下動に対して敏感に影響する中央部分を可動シ
ールリングで受け持ちシールの隙間を調整する上下動に
対し適切に対応しうる。
【0078】本発明の(6)によれば、可動シールリン
グはその両端位置に当たる固定シールリングとの合せ面
でガイドピンにより案内されていることに加えて、その
中央で位置決めピンにより位置を確保され、合わせて3
点で位置決めされるのでその作業は安定し、精度の高い
動きを行ない得る。
【0079】本発明の(7)によれば、合せ面に設けた
ガイドピンの位置で作用する付勢力に加えて、前記波形
バネの付勢力が可動シールリングにかかり、同可動シー
ルリングはより安定した保持をなされるものである。
【0080】本発明の(8)は、回転部とこれに対峙す
る固定部との間に配置されたシール材を有するシールリ
ングを備え、同シールリングは前記回転部の水平分割面
寄りに配置された固定シールリングと中央よりに配置さ
れた可動シールリングとにより構成し、同可動シールリ
ングは前記回転部の起動、停止時に半径方向外方に弾性
体で付勢され、定格運転時に半径方向内側に作動流体で
押圧されるタービンの自動調整シールにおいて、前記固
定部と対向する前記可動シールリングの半径方向外面に
同可動シールリングを押圧する作動流体が供給される圧
力作用空間が形成されていることを特徴としている。
【0081】上記構成の本発明の(8)によれば、可動
シールリングには圧力作用空間が形成されており、運転
中には定格状態となると、タービン内部に作動流体が生
じ圧力が上昇して可動シールリングの軸前後方向に高圧
側と低圧側の区分ができ、高圧側より作動圧力流体が圧
力作用空間に作用し、可動シールリングを回転部、即
ち、ロータ側へ押圧し、可動シールリングのシールとロ
ータ間のクリアランスを小さくすることができる。
【0082】本発明の(9)によれば、押え板をバネで
付勢して得られる力により、ガイドピン等の付属物を要
することなく可動シールリングの位置決めを行うことが
出来、装置の大型化に走らず適切な支持力を得、狭隘部
位に採用しうる。
【0083】本発明の(10)は、回転軸の軸方向に延
びる可撓性を有する薄板を複数枚互に所定の隙間を保っ
て同回転軸周囲に摺動するように多重に重ねて配設し、
同各薄板の外周側基端をケーシング側に固定して構成
し、前記回転軸の外周をシール可能とする軸シール機構
であって、前記薄板にはその表面から突出してなる隙間
形成部が設けられていることを特徴としている。
【0084】上記構成の本発明の(10)によれば、薄
板には表面から突出する隙間形成部が設けられており、
隙間形成部の突出高さを薄板間に形成すべき隙間と等し
い値に設定し、隙間形成部を介して薄板同志を互に当接
させるだけで、容易かつ確実に薄板間の隙間が内外周間
で均一かつ所定の微少隙間に設定されるため、高いシー
ル性が保証される。
【0085】本発明の(11)によれば、薄板には薄板
の一部を変形させた突起を形成しており、薄板とは別体
の部材を固定することで隙間形成部が構成されるのでは
なく、薄板の一部を変形させることで隙間形成部が構成
されるため部品点数の増加を防止し、生産性の向上を図
ることができると共に、厳格な工程管理も不要にして低
コスト化を図ることができる。
【0086】本発明の(12)によれば、薄板の一部に
被覆層が形成されており、前項同様に部品点数の増加を
招くことなく、生産性の向上を図ることができると共
に、厳格な工程管理も不要とし、低コスト化を図ること
ができる。又、被覆層は溶融メッキ等により形成される
が、メッキ層の厚みを1μm刻みのオーダーで形成する
ことができるため、回転軸の全周にわたって各薄板間の
隙間を精度良く形成しうる。
【0087】本発明の(13)によれば、薄板の一部を
エッチングすることにより、エッチングされた部分とさ
れていない部分との間に隙間形成部である段差を形成す
るようにしているため、これにより薄板間の隙間を精度
良く形成し、シール性の更なる向上を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係るタービンの自動
調整シールの軸方向断面図で、定格運転時の状態を示
す。
【図2】本発明の実施の第1形態に係るタービンの自動
調整シールの軸方向断面図で、起動・停止時の状態を示
す。
【図3】本発明の実施の第1形態の全貌を示し、(a)
は上面図、(b)は軸断面図、(c)は側面図を、それ
ぞれ示す。
【図4】図1に示すシールリングの合せ面の斜視図であ
る。
【図5】本発明の実施の第1形態に係るシールリングの
合せ面のガイドピンを拡大して示す説明図である。
【図6】本発明の実施の第1形態に係る機械分割面上方
でのシールリング位置決めピンを拡大して示す説明図で
ある。
【図7】本発明の実施の第1形態に係る機械分割面下方
でのシールリング位置決めピンを拡大して示す説明図で
ある。
【図8】本発明の実施の第1形態に係るシールリングに
掛かる力を説明し、(a)は非対称形状のもの、(b)
は比較として採用した一般の対称形状のものを示す説明
図である。
【図9】本発明の実施の第1形態に係る「すきま」の変
化を従来のものに対比して示す説明図である。
【図10】本発明の実施の第1形態に係る軸シール機構
を示す図であって、(a)はその要部を一部破断して示
す斜視図、(b)は全体構成を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の第1形態に係る薄板を示す図
であって、(a)は薄板の平面図、(b)は(a)のB
−B矢視断面図、(c)は(a)に示す薄板と突起位置
の異なる薄板の平面図、(d)は(c)のC−C矢視断
面図である。
【図12】図11(a)および図11(c)に示す薄板
を交互に重ねた状態を示す側面図である。
【図13】本発明の実施の第2形態に係るタービンの自
動調整シールにおける薄板を示す要部断面図であり、エ
ッチング方式の場合を示す。
【図14】本発明の実施の第3形態に係るタービンの自
動調整シールにおけるその要部を一部破断して示す斜視
図である。
【符号の説明】
1 ロータ 4 シールリング基準面 5 リーフシール 7 シールリング受 8 可動シールリング 9 固定シールリング 10 蒸気圧作用面 11 スラスト受面 12 シールリング後退面 13 板バネ 14 バイパス穴 15 皿バネ 16 ガイドピン 17 押え板 21 上部止め金 22 下部止め金 24 合せ面 25 位置決めピン 26 位置決めピン 27 薄板 28 回転軸 29a 突起 30 隙間 31 環状体 32 低圧側側板 33 高圧側側板 34 ケーシング 35 先端角部 36 先端側エッヂ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小西 哲 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂製作所内 (72)発明者 西本 慎 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂製作所内 (72)発明者 吉田 善一 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 篠原 種宏 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 Fターム(参考) 3G002 HA05 HA10

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転部とこれに対峙する固定部との間に
    配置されたシール材を有するシールリングを備え、同シ
    ールリングは前記回転部の水平分割面寄りに配置された
    固定シールリングと中央部寄りに配置された可動シール
    リングとにより構成し、同可動シールリングは前記回転
    部の起動、停止時に半径方向外方に弾性体で付勢され、
    定格運転時に半径方向内側に作動流体で押圧されるター
    ビンの自動調整シールにおいて、前記固定シールリング
    と可動シールリングとは合せ面で互に接すると共に、前
    記可動シールリングを位置決めする周方向中央位置に設
    けた案内装置を有し、前記弾性体を前記可動シールリン
    グの内側に配置したバネで構成し、前記各シールリング
    の軸方向断面形状は低圧側と高圧側とで形状の異なる非
    対称形とし、前記シール材が複数枚の薄板から構成され
    ていることを特徴とするタービンの自動調整シール。
  2. 【請求項2】 前記固定シールリングと可動シールリン
    グの合せ面は、互に接する水平方向に延びる平坦面で形
    成し、同合せ面の固定シールリング側に前記可動シール
    リングの垂直方向の移動を案内するガイドピンを設けた
    ことを特徴とする請求項1記載のタービンの自動調整シ
    ール。
  3. 【請求項3】 前記各シールリングの軸方向断面形状
    は、高圧側に延びる突き出し部を有し、低圧側はスラス
    ト面より低圧側には突出しない非対称形のラビリンスブ
    ロックであることを特徴とする請求項1又は2記載のタ
    ービンの自動調整シール。
  4. 【請求項4】 前記弾性体は前記回転部の軸方向及び周
    方向に夫々一定のバネ定数を有する皿バネで構成したこ
    とを特徴とする請求項1,2又は3記載のタービンの自
    動調整シール。
  5. 【請求項5】 前記固定シールリングと可動シールリン
    グは、それぞれ前記回転部の中心を通る水平分割面で区
    画して配置され、前記固定シールリングが前記水平分割
    面から前記中心に対して周方向にそれぞれ約25°の範
    囲に延びて両側に配置され、前記可動シールリングが中
    央部分130°の範囲に亘って延びて配置される3分割
    構造としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか
    に記載のタービンの自動調整シール。
  6. 【請求項6】 前記可動シールリングは中央に位置決め
    ピンを設け、同位置決めピンと前記両側の各合せ面に設
    けたガイドピンの3点で位置決めするように構成したこ
    とを特徴とする請求項5記載のタービンの自動調整シー
    ル。
  7. 【請求項7】 前記可動シールリングは、内側において
    前記シールリング受の低圧側のシールリング基準面及び
    スラスト受面の間にそれぞれ所定の隙間を有し、同それ
    ぞれの隙間の複数個所に波形バネを介装したことを特徴
    とする請求項1から6のいずれかに記載のタービンの自
    動調整シール。
  8. 【請求項8】 回転部とこれに対峙する固定部との間に
    配置されたシール材を有するシールリングを備え、同シ
    ールリングは前記回転部の水平分割面寄りに配置された
    固定シールリングと中央寄りに配置された可動シールリ
    ングとにより構成し、同可動シールリングは前記回転部
    の起動、停止時に半径方向外方に弾性体で付勢され、定
    格運転時に半径方向内側に作動流体で押圧されるタービ
    ンの自動調整シールにおいて、前記固定部と対向する前
    記可動シールリングの半径方向外面に同可動シールリン
    グを押圧する作動流体が供給される圧力作用空間が形成
    されていることを特徴とするタービンの自動調整シー
    ル。
  9. 【請求項9】 前記案内装置と波形バネに代えて押え板
    をバネで付勢して位置決めする支持機構を複数配置した
    ことを特徴とする請求項7記載のタービンの自動調整シ
    ール。
  10. 【請求項10】 回転軸の軸方向に延びる可撓性を有す
    る薄板を複数枚互に所定の隙間を保って同回転軸周囲に
    摺動するように多重に重ねて配設し、同各薄板の外周側
    基端をケーシング側に固定して構成し、前記回転軸の外
    周をシール可能とする軸シール機構であって、前記薄板
    にはその表面から突出してなる隙間形成部が設けられて
    いることを特徴とする軸シール機構を有したタービンの
    自動調整シール。
  11. 【請求項11】 前記隙間形成部は、前記薄板の一部が
    変形させられてなる突起であり、同突起を隣接する薄板
    に重ねることにより隙間を形成することを特徴とする請
    求項10記載のタービンの自動調整シール。
  12. 【請求項12】 前記隙間形成部は、前記薄板の一部に
    形成された被覆層であり、同被覆層を隣接する薄板に重
    ねることにより隙間を形成することを特徴とする請求項
    10記載のタービンの自動調整シール。
  13. 【請求項13】 前記隙間形成部は、前記薄板の一部を
    エッチングすることにより形成される段差部であり、同
    段差部を隣接する薄板に重ねることにより隙間を形成す
    ることを特徴とする請求項10記載のタービンの自動調
    整シール。
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