JP7008487B2 - 軸シール装置、および回転機械 - Google Patents
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Description
特許文献1には、可動シールを備えた軸シール装置が開示されている。可動シールは、シール本体と、弾性部材とを備える。シール本体は、ロータの径方向外側に設けられ、ロータの径方向に移動可能である。弾性部材は、シール本体を径方向外側に向かって付勢する。
回転機械の運転時には、高圧側の作動流体(例えば、作動蒸気)がシール本体の径方向外側の背面に回り込むことで、シール本体に背面圧力が作用する。この背面圧力は、弾性体の付勢力に抗して、シール本体を径方向内側に変位させる。
また、この構成によれば、前記周方向端面の高圧側領域側の部分が相手側の周方向端面に接触した場合でも、低圧側領域側の部分における可動シールと固定シールとの隙間を小さくできる。よって、シール性能の低下を防ぐことができる。
また、軸シール装置は、ロータと該ロータを囲うステータとの間に設けられ、前記ロータと前記ステータとの間の空間を前記ロータの中心軸方向において、高圧流体が流れる高圧側領域と低圧流体が流れる低圧側領域とに分けるシール部材を備え、該シール部材は、周方向に延びる固定シールと、該固定シールの周方向に隣接して周方向に延びて、径方向に可動である可動シールと、を含み、前記可動シールの移動にともなって互いに接触する該可動シールの周方向端面および前記固定シールの周方向端面のうち少なくとも一方は、少なくとも前記高圧側領域側の部分が後退しており、前記周方向端面は、前記後退した高圧側領域側の部分である第1領域と、前記第1領域にして前記低圧側領域側に隣接する第2領域と、を有し、前記第2領域は、相手側の周方向端面に接触可能であって、前記第1領域に対して滑らかに連続して形成されていてもよい。
また、軸シール装置は、ロータと該ロータを囲うステータとの間に設けられ、前記ロータと前記ステータとの間の空間を前記ロータの中心軸方向において、高圧流体が流れる高圧側領域と低圧流体が流れる低圧側領域とに分けるシール部材を備え、該シール部材は、周方向に延びる固定シールと、該固定シールの周方向に隣接して周方向に延びて、径方向に可動である可動シールと、を含み、前記可動シールの移動にともなって互いに接触する該可動シールの周方向端面および前記固定シールの周方向端面のうち少なくとも一方は、少なくとも前記高圧側領域側の部分が後退しており、前記後退した前記高圧側領域側の部分を有する周方向端面は、前記低圧側領域側の部分が後退していてもよい。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る回転機械の主要部をロータの中心軸方向から見た図である。図1では、ロータのみを断面で図示する。図1において、Dcはロータ102の周方向(以下、「周方向Dc」という)を示す。Phは可動シール20に印加される背面圧力(以下、「背面圧力Ph」という)を示す。Mはシール本体21の移動方向(以下、「M方向」という)を示す。S1は低圧流体(低圧作動流体)が存在する領域(以下、「低圧側領域S1」という)を示す。S2は低圧流体よりも圧力の高い高圧流体(高圧作動流体)が存在する領域(以下、「高圧側領域S2」という)を示す。図1では、図2に示す複数のシールフィン26の図示を省略する。
図3は、図2に示す可動シールに背面圧力が印加された初期状態を模式的に示す断面図である。図3において、「F」は弾性部材30による弾性力(以下、「弾性力F」という)である。「f」は、接続部24の第1の面24fが突出部108の当接面108aに当接されることで発生する摩擦力(以下、「摩擦力f」という)である。弾性力Fおよび摩擦力fは、ロータ102の径方向Drに働く力である。
図4は、図2に示すシール本体に背面圧力が印加され、シール本体がロータ側に変位し、かつシール本体がステータの当接面に当接された状態を模式的に示す断面図である。
図5は、可動シール部材20のシール本体21の端部21Aの概略構成を示す斜視図である。
図2に示すように、ロータの102の外周面102aのうち、可動シール20のシール体25と対向する面には、複数のシールフィン26が設けられている。複数のシールフィン26は、ロータ102と一体に構成されている。
ロータの102の外周面102aのうち、固定シール10を構成するシール体(図示せず)と対向する面には、複数のシールフィン(図示せず)が設けられている。これら複数のシールフィンは、ロータ102と一体に構成されている。
ロータ102の周方向Dcにおける可動シール20の長さは、周方向Dcにおける固定シール10の長さよりも長い。可動シール20の両端とロータ102の中心軸とを結ぶ2本の直線が成す角度は、例えば、約120°とすることができる。固定シール10の両端とロータ102の中心軸とを結ぶ2本の直線が成す角度は、例えば、約30°とすることができる。
ハウジング104は、ステータ103の内周面103aに固定されている。ハウジング104の内周面104f側には、リング状の溝105が形成されている。リング状の溝105には、隙間106を確保した状態で、シール本体21の一部が収容されている。
突出部108は、ロータ102の中心軸方向Daに対して直交する当接面108aを有する。当接面108aは、シール本体21の接続部24が当接される面である。当接面108aに接続部24の一部が当接されると、摩擦力が発生する。
接続部24の幅(中心軸方向Daの寸法)は、一対の突出部108間の距離よりも小さい。
回転機械100の定格運転時において、シール本体21は、M方向(図1参照)(径方向Dr)に移動する。これにより、シール本体21はロータ102に近づき、可動シール20とロータ102との間の隙間が狭くなる。
図3に示すように、回転機械100の起動時および停止時において、シール本体21には、弾性部材30による弾性力Fによってロータ102の径方向Drの外側への力が加えられる。これにより、シール体25とロータ102との隙間は広がる。
可動シール20のシール本体21の端部21Aは、固定シール10の端部10A(図1参照)に突き当たる端面21a(周方向端面)を有する。「21b」は、端面21aの高圧側領域S2側の端縁(中心軸方向Daの端縁。以下、高圧側の端縁21bという)である。「21c」は、端面21aの低圧側領域S1側の端縁(中心軸方向Daの端縁。以下、低圧側の端縁21cという)である。なお、図5では、シール体25の形状は簡略化されて図示されている。
可動シール(シール本体)の作動タイミングのばらつきの原因としては、例えば、図3および図4に示すように、受圧部22に加えられる背面圧力Phと、弾性部材30の弾性力F+摩擦力fとのバランスの乱れによる、シール本体21の作動性の悪化が考えられる。特に、図4に示すように、シール本体21が固定シール10に向かって変位して可動シール20によるシール機能が発現する工程の最終段階で、シール本体21の作動性の悪化が起こりやすい。
なお、摩擦力fは、接続部24の第1の面24fと溝105の突出部108の当接面108aとの摺動部分における摩擦係数μにスラスト力F0を乗じて得られる力である。
図9に示すように、固定シール110の端部110Aの端面110aは、主領域111a(第2領域)と、第1領域111bとを有する。主領域111aは、低圧側の端縁112cを含む一定幅の領域である。主領域111aは、中心軸方向Daに沿う平面である。主領域111aは、可動シール20のM方向の移動に伴って(図1参照)、シール本体1021の端部1021Aの端面1021aに接触する。主領域111aは、第1領域111bに対して、低圧側領域S1側に隣接する領域である。仮想面28は、主領域111aを含む平面である。
シール本体1021の端面1021Aは、仮想面28に沿う平面であってよい。
図10(A)は、シール本体21の他の変形例であるシール本体121の端部121Aおよび固定シール10の端部10Aの概略構成を示す側面図である。図10(B)は、シール本体121の端部121Aの概略構成を示す斜視図である。なお、既出の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
このように、シール本体121は、端面121aの高圧側と低圧側の両方に後退部分を有するため、固定シール10に対する傾き方向によらず、端縁を含む部分が固定シール10に接触するのを回避できる。
なお、図10(A)および図10(B)に示す構造では、シール本体121の端面121aが、第1領域127b、主領域127aおよび第3領域127cを有するが、シール本体の端面は、主領域127aがなく、第1領域127aと第3領域127cとが中心軸Da方向に隣り合う形状であってもよい。
次に、第2の実施形態に係る軸シール装置について説明する。
図11(A)は、第2の実施形態に係る軸シール装置のシール本体221の端部221Aおよび固定シール10の端部10Aの概略構成を示す側面図である。図11(B)は、シール本体221の端部221Aの概略構成を示す斜視図である。第2の実施形態に係る軸シール装置は、シール本体221以外は第1の実施形態の軸シール装置1と同様の構成である。なお、既出の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図12(A)は、シール本体221の変形例であるシール本体321の端部321Aおよび固定シール10の端部10Aの概略構成を示す側面図である。図12(B)は、シール本体321の端部321Aの概略構成を示す斜視図である。なお、既出の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
第2領域327aは、境界線327cから低圧側の端縁321cに向かって仮想面28から離れる方向(図12(A)における下方)に傾斜している。第2領域327aは、端面321aが固定シール10の端面10aに接触した状態において、端面10aから離れる方向に後退する。
この軸シール装置は、端面321aの低圧側の端縁321cを含む部分(第2領域327a)が後退して形成されているため、端面321aの低圧側領域S1側の部分が固定シール10に接触することによるシール本体321の作動性の悪化は起こりにくい。よって、可動シール20によるシール機能の発現に支障が生じにくい。
このように、シール本体321は、端面321aの高圧側と低圧側の両方に後退部分を有するため、固定シール10に対する傾き方向によらず、端縁を含む部分が固定シール10に接触するのを回避できる。
図13(A)は、シール本体221の変形例であるシール本体721の端部721Aおよび固定シール10の端部10Aの概略構成を示す側面図である。図13(B)は、シール本体721の端部721Aの概略構成を示す斜視図である。なお、既出の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図13(A)および図13(B)に示す軸シール装置は、図12(A)および図12(B)に示す軸シール装置と同様の効果を奏する。
次に、第3の実施形態に係る軸シール装置について説明する。
図14(A)は、第3の実施形態に係る軸シール装置のシール本体421の端部421Aおよび固定シール10の端部10aの概略構成を示す側面図である。図14(B)は、シール本体421の端部421Aの概略構成を示す斜視図である。第3の実施形態に係る軸シール装置は、シール本体421以外は第1の実施形態の軸シール装置1と同様の構成である。なお、既出の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図15(A)は、シール本体421の変形例であるシール本体521の端部521Aおよび固定シール10の端部10Aの概略構成を示す側面図である。図15(B)は、シール本体521の端部521Aの概略構成を示す斜視図である。なお、既出の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
この軸シール装置では、低端面521aの圧側の端縁521cを含む部分(第3領域527c)が後退して形成されているため、シール本体521の端面521aの低圧側領域S1側の部分が固定シール10に接触することによるシール本体521の作動性の悪化は起こりにくい。
このように、シール本体521は、高圧側と低圧側の両方に後退部分を有するため、固定シール10に対する傾き方向によらず、端縁を含む部分が固定シール10に接触するのを回避できる。
例えば、第1~第3の実施形態では、シール構造の一例として、アブレイダブルシール構造を例に挙げて説明したが、例えば、アブレイダブルシール構造以外のシール構造(例えば、ラビリンスシール構造)にも適用可能であり、第1および第2の実施形態と同様な効果を得ることができる。
軸シール装置では、可動シールの移動に伴って互いに接触するシール本体の端面と固定シールの端面のうち少なくとも一方において、少なくとも高圧側領域側の部分が後退している構造があればよい。
Claims (8)
- ロータと該ロータを囲うステータとの間に設けられ、前記ロータと前記ステータとの間の空間を前記ロータの中心軸方向において、高圧流体が流れる高圧側領域と低圧流体が流れる低圧側領域とに分けるシール部材を備え、
該シール部材は、
周方向に延びる固定シールと、
該固定シールの周方向に隣接して周方向に延びて、径方向に可動である可動シールと、
を含み、
前記可動シールの移動にともなって互いに接触する該可動シールの周方向端面および前記固定シールの周方向端面のうち少なくとも一方は、少なくとも前記高圧側領域側の部分が、前記高圧側領域側に向かうにしたがって、前記中心軸方向に沿う平面である仮想面から離れる方向に傾斜するように後退している軸シール装置。 - 前記周方向端面は、前記後退した高圧側領域側の部分である第1領域と、前記第1領域に対して前記低圧側領域側に隣接する第2領域と、を有し、
前記第2領域は、相手側の周方向端面に接触可能であって、前記第1領域に対して滑らかに連続して形成されている、請求項1に記載の軸シール装置。 - 前記後退した前記高圧側領域側の部分は、平面状に形成されている、請求項1に記載の軸シール装置。
- 前記後退した高圧側領域側の部分である第1領域と、前記第1領域に対して低圧側に隣接する第2領域との境界には、前記第1領域と前記第2領域との高低差によって段差部が形成されている、請求項1に記載の軸シール装置。
- 前記後退した前記高圧側領域側の部分を有する周方向端面は、前記低圧側領域側の部分が後退している請求項1~4のうちいずれか1項に記載の軸シール装置。
- ロータと該ロータを囲うステータとの間に設けられ、前記ロータと前記ステータとの間の空間を前記ロータの中心軸方向において、高圧流体が流れる高圧側領域と低圧流体が流れる低圧側領域とに分けるシール部材を備え、
該シール部材は、
周方向に延びる固定シールと、
該固定シールの周方向に隣接して周方向に延びて、径方向に可動である可動シールと、
を含み、
前記可動シールの移動にともなって互いに接触する該可動シールの周方向端面および前記固定シールの周方向端面のうち少なくとも一方は、少なくとも前記高圧側領域側の部分が後退しており、
前記周方向端面は、前記後退した高圧側領域側の部分である第1領域と、前記第1領域に対して前記低圧側領域側に隣接する第2領域と、を有し、
前記第2領域は、相手側の周方向端面に接触可能であって、前記第1領域に対して滑らかに連続して形成されている軸シール装置。 - ロータと該ロータを囲うステータとの間に設けられ、前記ロータと前記ステータとの間の空間を前記ロータの中心軸方向において、高圧流体が流れる高圧側領域と低圧流体が流れる低圧側領域とに分けるシール部材を備え、
該シール部材は、
周方向に延びる固定シールと、
該固定シールの周方向に隣接して周方向に延びて、径方向に可動である可動シールと、
を含み、
前記可動シールの移動にともなって互いに接触する該可動シールの周方向端面および前記固定シールの周方向端面のうち少なくとも一方は、少なくとも前記高圧側領域側の部分が後退しており、
前記後退した前記高圧側領域側の部分を有する周方向端面は、前記低圧側領域側の部分が後退している軸シール装置。 - 請求項1~7のうちいずれか1項に記載の軸シール装置を含む回転機械。
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