JP2002363848A - 分解性不織布およびその製造方法 - Google Patents
分解性不織布およびその製造方法Info
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Abstract
然環境下で分解されて消滅する寸法安定性が良好な不織
布およびその製造方法を提供する。 【構成】 乳酸系ポリマーの繊維からウエブを形成し、
該ウエブから得られた分解性不織布であって、該乳酸系
ポリマーが、L−乳酸単位80モル%を超えてもつポリ
(DL−乳酸)、D−乳酸単位80モル%を超えてもつ
ポリ(DL−乳酸)、L−乳酸単位を70モル%以上も
つ(L−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、お
よび、D−乳酸単位を70モル%以上もつ(D−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマーから選ばれた少なく
とも一種の乳酸系ポリマーであることを特徴とする分解
性不織布及びその製造方法。
Description
の製造方法に関する。詳しくは、特定の組成を有する乳
酸系ポリマーの繊維からなるウエブを結合または交絡さ
せて得られる、優れた寸法安定性を有する分解性不織布
およびその製造方法に関する。
布状物のことである。さらに詳しくは、繊維状物質が塊
状体を形成しているが繊維どうしが結合または交絡して
いないウェブと呼ばれるものを、その構成繊維を結合ま
たは交絡させることによってつくられた布状物であっ
て、編織等が施されていない布状物である。
類、その他産業用資材として広く使われている。不織布
を構成する繊維素材には、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等
の芳香族ポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66、
ナイロン610等のポリアミド類、レーヨン等のセルロ
ース類等が用いられている。これらのポリマーを素材と
する不織布およびその製造方法は、例えば、特開昭59
−88961号公報、特開昭59−94660号公報等
に記載されている。
環境下ではほとんど分解しないか、または非常に分解速
度が低いものである。従って、これらの素材からつくら
れた従来の不織布は、使用後、例えば埋設処理された場
合、半永久的に土中に残存することになる。また、海洋
に投棄された場合は景観を損なったり、海洋生物の生活
環境を破壊することがあり、廃棄物処理が大きな社会問
題となっている。また、焼却処理した場合は、有毒なガ
スを発生する等、地球環境を破壊する原因となる上、焼
却炉の劣化を促進する働きがあるため問題が生じてい
る。
るポリマーを繊維素材とする不織布が開発されている。
例えば、特開昭63−95041号公報には、ポリグリ
コール酸、グリコール酸−乳酸共重合体等の生体吸収性
ポリマーを溶融紡糸してマルチフィラメント糸をつく
り、これより得たランダムウエブからつくられた不織布
を素材とする医療用プレジェットが開示されている。そ
して、該不織布の製造例として、フェノール10に対
し、トリクロロフェノール7の割合で混合した溶媒中に
溶解し、これを190℃で3分間加熱した後、30℃ま
で冷却して測定した還元粘度(ηSP/C)が1.5であ
るポリグリコール酸チップを245℃で溶融紡糸し、延
伸して12フィラメントで35デニールの糸とし、これ
を106℃で3時間熱処理した後、筒編機によりチュー
ブ状のニットとし、このニットを4重に重ねたものをニ
ードルパンチして編目が殆どわからない程度の不織布と
する方法が記載されている。
われている方法の一つはスパンボンド法と呼ばれている
もので、ポリマーを溶融押出して得られる繊維を直接ス
クリーンベルト等にとり、ウエブ化した後、熱エンボス
ロールで熱圧着して不織布を得る方法である。
り不織布を大量に製造する場合、次のような問題が生じ
る。すなわち、押出機から溶融押出したポリグリコール
酸繊維は殆ど結晶部分をもたない非晶性(アモルファ
ス)繊維であり、これをスクリーンベルト等にからめ取
ってウエブ化したものを熱エンボスロールで圧着しただ
けでは充分な結晶化は起こらない。さらにポリグリコー
ル酸繊維は非晶状態で長く放置すると室温でも次第に結
晶化は進行する。従って、スパンボンド法により製造さ
れたポリグリコール酸繊維から得られた不織布は、保管
中または使用している間にポリグリコール酸の結晶化に
よるちぢみ、皺等が発生し問題となる。また、ポリグリ
コール酸は剛性が高いためポリグリコール酸繊維から得
られた不織布は、必ずしも柔軟性に富む不織布ではな
く、用途に制限がある。
として使用されるものとしてポリ乳酸が挙げられる。ポ
リ乳酸から製造された不織布は、ポリグリコール酸から
製造された不織布よりも柔軟性の点では改良されるが、
ちぢみ、皺の発生があり寸法安定性の点で問題がある。
品が知られている。例えば、特公昭41−2734号公
報には、25℃において0.1重量%のベンゼン溶液に
おいて測定した固有粘度が少なくとも1.0である乳酸
重合体のフィラメントからなり、かつ77℃の水中に5
分間浸漬した場合のモノフィラメントの収縮率が15%
以下であることを特徴とする吸収可能な外科用繊維製品
(フィラメント)が開示されている。具体的には、上記
固有粘度を有するポリ(L−乳酸)またはポリ(D−乳
酸)を溶融紡糸した後、60〜150℃において緊張下
で0.5〜5分間熱処理し、次いで緊張下で室温まで冷
却することにより引張強度に優れ、収縮率の小さな外科
用縫合糸に適したフィラメントを製造する方法が記載さ
れている。ポリ(L−乳酸)またはポリ(D−乳酸)は
結晶性が高いため、これらから得られたフィラメントの
寸法安定性および引張強度を向上させるためには、上記
のように緊張下における熱処理が必須の条件となる。
めて高度の引張強度を必要とせず、むしろ優れた寸法安
定性が要求されるものである。不織布の寸法安定性を改
善する目的でポリ(L−乳酸)またはポリ(D−乳酸)
から製造された不織布を熱処理する場合は、特公昭41
−2734号公報に開示された上記方法のようにフィラ
メントを一次元的に緊張下で加熱するのではなく、不織
布を二次元的に均一に緊張させた状態で加熱処理するこ
とが必要となり工程を煩雑、且つ大規模にすることとな
り好ましい方法とはいえない。仮にかかる技術的煩雑さ
をいとわずに該不織布を熱処理した場合でも、ちぢみ、
皺等の発生の問題は避け難く、ときには不織布が破断す
ることさえあり好ましくない。また、ポリ(L−乳酸)
またはポリ(D−乳酸)は結晶性が高いため、可塑剤等
を添加して可塑化し、成形物に柔軟性を付与することが
困難である。
問題を解決し、所定期間使用された後、廃棄された場合
に自然環境下で分解されて消滅する不織布およびその製
造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的
は、寸法安定性が良好で、ちぢみ、皺等の発生や変形す
ることのない不織布およびその製造方法を提供すること
にある。
を達成するため鋭意検討した結果、特定の組成を有する
乳酸系ポリマーの繊維からウエブを形成し、該ウエブを
資材として使用することにより、自然環境下で分解し、
しかも寸法安定性に優れた不織布が得られることを見出
し、本発明に到った。
した事項により特定される。 [1] 乳酸系ポリマーの繊維からウエブを形成し、該
ウエブから得られた分解性不織布であって、前記乳酸系
ポリマーが、 L−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL
−乳酸)、 D−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL
−乳酸)、 L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、および、 D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマー からなる群から選択された少なくとも一種のポリマーで
あることを特徴とする分解性不織布。 [2] 乳酸系ポリマーにおいて、 L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、 (L−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/また
は、 (L−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマーであ
り、 D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、 (D−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/また
は、 (D−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマーである
ことを特徴とする[1]に記載した分解性不織布。 [3] 乳酸系ポリマーの分子量が、1万〜100万で
あることを特徴とする[1]乃至[2]の何れかに記載
した分解性不織布。 [4] 乳酸系ポリマー(ポリマーA)が、直接重合法
で得られた乳酸系ポリマーであることを特徴とする
[1]乃至[3]の何れかに記載した分解性不織布。 [5] 乳酸系ポリマーの繊維が、可塑剤、紫外線吸収
剤および光安定剤から選ばれた少なくとも一つを含むこ
とを特徴とする[1]乃至[4]の何れかに記載した分
解性不織布。
を形成し、該ウエブから分解性不織布を得る分解性不織
布の製造方法であって、前記乳酸系ポリマーが、 L−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL
−乳酸)、 D−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL
−乳酸)、 L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、および、 D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマー からなる群から選択された少なくとも一種であることを
特徴とする分解性不織布の製造方法。 [7] 乳酸系ポリマーにおいて、 L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、 (L−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/また
は、 (L−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマーであ
り、 D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、 (D−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/また
は、 (D−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマーである
ことを特徴とする[6]に記載した分解性不織布の製造
方法。 [8] 乳酸系ポリマーの分子量が、1万〜100万で
あることを特徴とする[6]乃至[7]の何れかに記載
した分解性不織布の製造方法。 [9] 乳酸系ポリマーが、直接重合法で得られた乳酸
系ポリマーであることを特徴とする[6]乃至[8]の
何れかに記載した分解性不織布の製造方法。 [10] 乳酸系ポリマーの繊維が、得られた繊維を延
伸および加熱処理したものであることを特徴とする
[6]乃至[9]の何れかに記載した分解性不織布の製
造方法。 [11] 乳酸系ポリマーの繊維が、可塑剤、紫外線吸
収剤および光安定剤から選ばれた少なくとも一つを含む
ことを特徴とする[6]乃至[10]の何れかに記載し
た分解性不織布の製造方法。
する乳酸系ポリマーを紡糸した後ウエブを形成し、該ウ
エブを例えばサーマルボンド法、ニードルパンチ法、ス
テッチボンド法、ジェットボンド法、レジンボンド法等
により結合することにより得られる。好ましくはサーマ
ルボンド法である。
発明においてポリマーの分子量とは、特に断りのない場
合は重量平均分子量のことを指すものとする。
る乳酸系ポリマーは、分子構造中に繰り返し単位として
特定量のL−乳酸単位およびD−乳酸単位を有するポリ
(DL−乳酸)、または、分子構造中に繰り返し単位と
して特定量の乳酸単位と他のヒドロキシカルボン酸単位
を有する乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポリマーであ
る。また、本発明において、繊維素材として用いられる
ポリ(DL−乳酸)とは、分子構造中に繰り返し単位と
してL−乳酸単位とD−乳酸単位とを有するポリ乳酸の
ことであり、L−乳酸単位のみからなるポリ(L−乳
酸)やD−乳酸単位のみからなるポリ(D−乳酸)とは
構造が異なるポリマーである。
−乳酸)、 D−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL
−乳酸)およびそれらの混合物が挙げられる。また、乳
酸と他のヒドロキシカルボン酸とのコポリマーとして、 L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、 D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマーおよびそれらの混合
物が挙げられる。
乳酸単位のみからなるポリ(L−乳酸)やD−乳酸単位
のみからなるポリ(D−乳酸)に比べて結晶性が低く、
非晶領域から結晶領域への転移温度が10〜15℃程度
高い。そのため、上記乳酸系ポリマーは、それを溶融紡
糸してそのウエブから不織布を製造する際に、特に熱処
理、焼きなまし等の煩雑な操作を行わなくとも長期にわ
たって初期の寸法を維持し、収縮したり皺が発生する等
して不織布が変形することがない。さらに、熱処理を施
すことにより適度の結晶性を付与し得るので、皺、ちぢ
み等の発生を最小限に抑えながら不織布の強度を向上さ
せることが可能である。また、上記組成を有する乳酸系
ポリマーは、可塑剤により可塑化され易いため、柔軟性
に富んだ不織布を得ることが容易である。その上、融点
を有するポリマーであるので加熱圧縮により繊維どうし
を融着させることができ、不織布用素材として適してい
る。
コポリマーのコモノマーであるヒドロキシカルボン酸と
しては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉
草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、
ヒドロキシヘプタン酸等が例示される。これらのコモノ
マーの内、グリコール酸およびヒドロキシカプロン酸が
好ましい。
酸およびD−乳酸またはDL−乳酸を脱水重縮合させる
方法、L−乳酸、D−乳酸またはDL−乳酸と他のヒド
ロキシカルボン酸を脱水共重縮合させる方法、または、
乳酸類の環状二量体であるL−ラクチド、D−ラクチド
またはDL−ラクチドと他のヒドロキシカルボン酸の環
状モノマーまたは環状二量体を開環共重合させる方法に
より得られる。
記乳酸と他のヒドロキシカルボン酸を好ましくは有機溶
媒、特にフェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水重
縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水
を除き実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方
法によって重縮合する。
体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD
−ラクチド、L−ラクチドとD−ラクチドの等モル混合
物であるDL−ラクチド、DL−乳酸の環状二量体であ
るメソ−ラクチド、またはこれらのラクチドと他のヒド
ロキシカルボン酸の環状エステルとを開環重合する。他
のヒドロキシカルボン酸の環状エステルとして、グリコ
ール酸の二量体であるグリコリド、および、β−プロピ
オラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクト
ン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。これらの内、
グリコリドおよびε−カプロラクトンが好ましい。ポリ
(DL−乳酸)を製造する場合は、L−ラクチドおよび
D−ラクチドを特定の比率で混合するか、DL−ラクチ
ドを用いるか、または、L−ラクチドおよび/またはD
−ラクチドとDL−ラクチドを特定の比率で混合する等
して、得られるポリ乳酸の結晶化度をある程度低くする
ことが好ましい。
有する乳酸系ポリマーを得るためには、ポリマー組成に
略等しい組成のモノマーを用いればよい。具体的には、
例えば、L−乳酸単位を80モル%有するポリ(DL−
乳酸)を製造する場合は、L−乳酸を80モル%とD−
乳酸20モル%を混合したモノマーを用いるか、また
は、L−乳酸を60モル%とDL−乳酸(D/L=50
/50)40モル%を混合したモノマーを用いて脱水重
縮合すればよい。L−乳酸をL−ラクチド、D−乳酸を
D−ラクチド、DL−乳酸をDL−ラクチドにそれぞれ
置き換えて開環重合しても同様のポリマーが得られる。
また、L−乳酸単位を70モル%有する(L−乳酸)−
グリコール酸コポリマーを製造する場合は、L−乳酸を
70モル%とグリコール酸30モル%を混合したモノマ
ーを用いて脱水重縮合すればよい。L−乳酸をL−ラク
チド、グリコール酸をグリコリドに置き換えて開環重合
しても同様のポリマーが得られる。
%有するポリ(L−乳酸)あるいはポリ(D−乳酸)の
融点は約180℃程度であり、非晶状態から結晶状態へ
の転移温度(Tc)は約90℃である。上記の開環重合
により得られるポリ(DL−乳酸)の融点は、L−乳酸
単位またはD−乳酸単位がゼロから20%に増加するに
つれて、含有量1%当たり約3〜5℃の範囲で低下し、
Tcは含有量1%当たり約1〜3℃上昇する。また、驚
くべきことに特に上記脱水重縮合法により得られるポリ
(DL−乳酸)は、L−乳酸単位が僅か1%程度(D−
乳酸単位が99%程度)、またはD−乳酸単位が僅か1
%程度(L−乳酸単位が99%程度)に過ぎない場合で
も、ポリ(L−乳酸)またはポリ(D−乳酸)に比べて
融点は10〜20℃程度低下し、また、Tcは10〜1
5℃程度高くなる。また、最高到達結晶化度が約30〜
40%程度に止まり、ポリ(L−乳酸)またはポリ(D
−乳酸)の最高到達結晶化度50〜60%に比べて低
い。そのため、ポリ(DL−乳酸)繊維から製造された
不織布は、熱処理等を施さなくとも経時的な寸法安定性
が良好である。その上、熱処理を施すことにより強度の
向上を図り得るので不織布用素材として好適である。上
記組成を有する乳酸系コポリマーについても同様であ
る。
−乳酸単位の組成は、例えば酵素を用いて測定する方法
により求めることができる。すなわち、ポリ(DL−乳
酸)をアルカリ水溶液で加水分解した後、得られた溶液
中のL−乳酸をL−乳酸デヒドロゲナーゼとニコチンア
ミドアデニンジヌクレオチド(以下、NADという)を
作用させ、乳酸がピルビン酸に酸化される際に生成し
た、NADの還元物のNADHの量を吸光分析によりL
−乳酸を定量し、一方、D−乳酸についても同様にD−
乳酸デヒドロゲナーゼとNADを作用させD−乳酸の量
を定量し、L−乳酸とD−乳酸の比を計算することによ
り求める方法である。他方、L−乳酸自体についてアル
カリ水溶液中で加水分解してラセミ化が起こらないこと
を確認する。乳酸−ヒドロキシカルボン酸中のL−乳酸
単位またはD−乳酸単位の定量も上記と同様にして定量
可能である。
リマーの分子量には特に制限はないが、その分子量が低
下すると紡糸が困難となるか、たとえ紡糸が可能であっ
ても得られる繊維の強度が低下する。また、分子量が高
くなると加工性が低下し紡糸が困難となる傾向を示す。
これらの点を考慮すると、好ましい分子量は、1万以
上、100万以下の範囲から選ばれる。特に好ましい分
子量の範囲は3万以上、50万以下である。
リマーは、水中や土中のみならず、空気中の水分(湿
気)によっても加水分解されていくので、該不織布を使
用している期間においても空気中の水分や雨水等により
加水分解されていく。そして、その加水分解される速度
は、ポリマーの分子量や共重合体組成に依存する。従っ
て、本発明の分解性不織布に用いる乳酸系ポリマーの最
適な分子量や共重合体組成は、不織布の用途における最
長の使用期間に合わせて、上記組成の範囲から乳酸系ポ
リマーに関する加水分解性データから考慮して決定され
る。
するならば、使用期間が半年以上である場合は、分子量
が15万以上である上記組成のポリ(DL−乳酸)を素
材繊維として用いるのがよい。使用期間が1カ月程度の
場合は、分子量が5万以上の上記組成のポリ(DL−乳
酸)が好ましく用いられる。
用される。例えば、乳酸系ポリマーを、押出機を用いて
溶融紡糸する溶融紡糸法、乳酸系ポリマーを溶媒に溶解
し、溶液とした後、該溶液をノズルから貧溶媒中に吐出
させる湿式紡糸法、該溶液をノズルから乾燥気体中に吐
出させる乾式紡糸等が適用される。湿式紡糸法または乾
式紡糸法に用いられる溶媒として、トルエン、キシレ
ン、クロロホルム、メチレンクロライド等が例示でき
る。また、湿式紡糸法に用いられる貧溶媒として、メタ
ノール、ヘキサン、アセトン等が例示できる。
等公知の押出機を用いることができる。押出温度が低い
と押出安定性が得難く、また過負荷に陥りやすい。押出
温度が高いとポリマーの熱分解が激しくなり、分子量の
低下、強度低下、着色等が起こる。これらの点を考慮す
ると、例えば、乳酸系ポリマーの押出温度は、好ましく
は100〜280℃の範囲であり、更に好ましくは13
0〜250℃の範囲である。押出機の口金(ノズル)の
口径は、必要とする繊維の直径(糸径)と、押出機の吐
出速度や引き取り速度との関係によって適宜決定される
が、好ましくは口径0.1〜3.0mm程度である。
の延伸は必ずしも行う必要性はないが、延伸を行う場合
には、1.1〜10倍、好ましくは2〜8倍に延伸す
る。延伸温度は、使用する乳酸系ポリマーの種類に応じ
て60〜210℃の範囲から選択される。繊維の好まし
い糸径は、0.5〜40デニールである。また、好まし
い繊維長は、0.5〜30cmである。
ブと呼ばれる繊維の塊状体を形成させる。ウェブの状態
では繊維どうしが結合していないのでこのままでは不織
布とはいえない。ウェブの製造方法としては公知の方法
を用いることができ、特に限定されない。例えば、フラ
ットカード機、ローラカード機、ガーネット機等を用い
るカード式、メルトブローン式が挙げられる。また、乳
酸系ポリマーを紡糸する際、紡糸機のノズルから繊維が
出るときに高速空気を吹き付け、気流に直角な穴あきコ
ンベア上に集めてウェブを形成させるスパンボンド式で
もよい。
ら、本発明の分解性不織布を得るには公知の方法を用い
ることができる。例えば、針により交絡させるニードル
パンチ法、糸により交絡させるステッチボンド法、水流
により交絡させるジェットボンド法、熱により接着する
サーマルボンド法、樹脂の接着を利用するレジンボンド
法が挙げられる。これらの内、好ましい方法として下記
(1)および(2)の方法が上げられる。 (1)乳酸系ポリマー繊維のウェブを、71℃〜融点未
満の温度範囲で圧縮する方法。この方法で得られた不織
布は、前述したように特に熱処理を施さなくとも長期に
わたって変形、収縮の少ないものである。不織布の強度
を向上させる等の目的で熱処理を施してもよい。熱処理
温度は、80〜140℃が好ましい。80℃未満では充
分な結晶化が起こり難く、強度の向上が望めない。14
0℃を超えると不織布が軟化または溶融するので変形、
破損等が起こり易いので好ましくない。特に好ましくは
90〜130℃である。(2)乳酸系ポリマー繊維の主
ウェブに、70℃以下の温度で溶融または軟化する低温
熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウェブを所定の割合で混
合し、室温〜70℃の温度範囲で圧縮する方法。
酸系ポリマー繊維のウェブ、および上記(2)の方法に
好ましく用いられる乳酸系ポリマー繊維の主ウェブは、
L−乳酸単位またはD−乳酸単位80モル%を超えても
つポリ(DL−乳酸)繊維、L−乳酸単位70モル%以
上もつ(L−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー
繊維、および、D−乳酸単位を70モル%以上もつ(D
−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー繊維から選
ばれた少なくとも一種の分解性繊維から製造されたウェ
ブである。
る乳酸系ポリマー繊維の主ウェブに、70℃以下の温度
で溶融または軟化する低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維
のウェブを添加、混合し、該低温熱可塑性乳酸系ポリマ
ー繊維のウェブを室温〜70℃の温度範囲で溶融・軟化
させ、主ウエブどうしを接着する方法である。この方法
に用いる低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維の好ましいウ
ェブとして、L−乳酸単位とD−乳酸単位とのモル比が
1:4〜4:1であるポリ(DL−乳酸)、L−乳酸単
位とD−乳酸単位とのモル比が任意である(DL−乳
酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、ヒドロキシカ
ルボン酸単位を少なくとも30モル%もつ(D−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、ヒドロキシカルボ
ン酸単位を少なくとも30モル%有する(L−乳酸)−
ヒドロキシカルボン酸コポリマー、および、それらの混
合物を主成分とする乳酸系ポリマーから得られた繊維の
ウェブが挙げられる。これらの(DL−乳酸)−ヒドロ
キシカルボン酸コポリマー、ヒドロキシカルボン酸単位
を少なくとも30モル%有する(D−乳酸)または(L
−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマーとして、
(DL−乳酸)、(L−乳酸)または(D−乳酸)とグ
リコール酸またはヒドロキシカプロン酸とのコポリマー
が好ましい。
ェブの素材である低温熱可塑性乳酸系ポリマーは、それ
ぞれのポリマー組成に略等しい組成のモノマーを用いて
脱水重縮合または開環重合することにより得られる。例
えば、L−乳酸単位とD−乳酸単位とのモル比が1:4
であるポリ(DL−乳酸)を製造する場合は、L−乳酸
を20モル%とD−乳酸を80モル%とを混合して脱水
重縮合するか、または、L−ラクチドを20モル%とD
−ラクチドを80モル%とを混合して開環共重合するこ
とにより得られる。また、ヒドロキシカプロン酸単位を
30モル%有する(D−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸
コポリマーを製造する場合は、(D−乳酸)70モル%
とヒドロキシカプロン酸30モル%とを混合して脱水重
縮合するか、または、D−ラクチド70モル%とε−カ
プロラクトン30モル%とを混合して開環重合すること
により得られる。
する乳酸系ポリマー繊維は、低温熱可塑性乳酸系ポリマ
ー繊維と混合する前に延伸、熱処理されていることが好
ましい。このことにより、混合ウエブを熱圧縮する際に
圧縮温度を室温〜70℃の範囲で低温熱可塑性乳酸系ポ
リマー繊維のみを溶融させることができる。
おいては、圧縮温度が低くなると繊維どうしの融着性が
低下し、また高いと固いシート状となり、適度な風合い
を有する柔らかい不織布が得難くなる。かかる観点から
圧縮温度を上記範囲とすることが好ましい。また、上記
の方法においては圧縮圧力は、1.1〜200kg/c
m2の範囲から選択される。
ェブを混合して用いることにより、加熱圧縮温度を低下
することが可能である。また、低温熱可塑性乳酸系ポリ
マー繊維のウエブのみを溶融させ、主ウエブを溶融させ
ないで済むので得られる不織布は、柔軟性に富み、不織
布の感触が風合いのよいものとなる利点がある。
は、上記主ウェブと同様にして紡糸、ウェブ化すること
ができる。低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウェブの
添加量が多いと、得られる不織布が固くなり、かつ、不
織布の強度が低くなる傾向を示す。また、減少すると主
ウェブの接着が不十分となり、良好な不織布が得難くな
る。かかる観点から、低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維
のウェブの量は、全ウェブの総重量の10〜60重量%
の範囲から選択されることが好ましい。さらに好ましく
は20〜40重量%である。
不織布を製造する場合、前記のようにウエブを混合して
もよいし、主ウエブの素材として使用される繊維に低温
熱可塑性乳酸系ポリマーの繊維を混合した後、混合繊維
をウエブ化し、それを結合または交絡することにより不
織布とすることもできる。
は、可塑剤により可塑化され易い。そのため、適度の風
合と柔軟性がさらに改善された不織布を得るために乳酸
系ポリマーに可塑剤を含有させることが好ましい。可塑
剤として、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチ
ルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソ
デシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデ
シルフタレート等のフタル酸誘導体、ジイソオクチルフ
タレート等のイソフタル酸誘導体、ジ−n−ブチルアジ
ペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体、
ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸誘導体、トリ−
n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体、モノブチル
イタコネート等のイタコン酸誘導体、ブチルオレート等
のオレイン酸誘導体、グリセリンモノリシノレート等の
リシノール酸誘導体、トリクレジルフォスフェート、ト
リキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル等の低
分子化合物、トリアセチン(グリセリントリアセテー
ト)等の酢酸誘導体、重合度2〜10程度の乳酸オリゴ
マー、ポリエチレンアジペート、ポリアクリレートなど
の高分子可塑剤等が挙げられる。上記可塑剤の内、好ま
しい可塑剤として、トリアセチン、重合度2〜10程度
の乳酸オリゴマー等が挙げられる。好ましい可塑剤含有
量は乳酸系ポリマーに対し1〜35重量%であり、特に
好ましくは5〜15重量%である。
ポリマーは、屋外で使用した場合、通常屋内や暗所、あ
るいは生体内で使用した場合に比べて明らかに早く強度
低下をきたし、脆化、破壊等の現象が期待したよりも早
い時期に起こり得ることがわかっている。この好ましか
らぬ現象を抑制、防止するために、本発明の分解性不織
布の基材繊維には、主成分となる乳酸系ポリマーに紫外
線吸収剤や光安定剤を添加、混合したものが好ましい。
をもつ波長250〜380nmの範囲の紫外線を吸収
し、非破壊的な波長に変えて再輻射するものであり、光
安定剤とは、必ずしも紫外線を吸収するわけではなく、
光劣化開始剤であるヒドロペルオキシドを非ラジカル的
に分解したり、光分解で発生するラジカルを捕捉、除去
したり等して何らかの機構で材料の光分解を抑制するも
のである。紫外線吸収剤と光安定剤との区別は明確でな
い場合もある。
安定剤には、フェニルサリシレート、p−tert−ブ
チルフェニルサリシレート等のサリチル酸誘導体、
−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’
−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベン
ゾフェノン類、
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ
−3’,5 ’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(2 ’−ヒドロキシ−3’−t
ert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベ
ンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t
ert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベ
ンゾトリアゾール類、
トリウム、リン含有の有機・無機複合体、セミカルバゾ
ン系光安定剤、商品名Sanshade等で知られる酸
化亜鉛系紫外線安定剤や相乗効果剤、
−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6
−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、こはく
酸メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロ
キシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合
物、
ルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−
テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]、1,2,
3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6
−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアル
コールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカル
ボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,
3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’
−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラ
オキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの
縮合物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペ
リジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジルメタクリレート等のヒンダードアミン
類が挙げられる。
は光安定剤の量を減少すると、不織布を屋外で使用した
場合の分解の促進を抑制する効果が低下し、また、増加
すると乳酸系ポリマーが本来のもつ物性を損なうことに
なり易い。かかる観点から、紫外線吸収剤および/また
は光安定剤の添加量は、乳酸系ポリマーに対し0.00
1〜5重量%が好ましい。さらに好ましくは0.01〜
2重量%である。
たは光安定剤を混合する方法としては、乳酸系ポリマー
をクロロホルム、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン、
キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルイミダゾリジノン等の溶媒に溶解するか、
または、乳酸系ポリマーを100〜280℃に加熱溶融
させ、所定量の紫外線吸収剤または光安定剤を添加、混
合する方法が挙げられる。
は、乳酸系ポリマー単独からなる繊維、乳酸系ポリマー
に可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤を配合した乳酸系ポ
リマー組成物の繊維だけでなく、必要に応じて熱安定
剤、滑剤、酸化防止剤等を配合した乳酸系ポリマーの繊
維であってもよい。
詳細に説明する。尚、ポリ乳酸中のL−乳酸単位とD−
乳酸単位との組成比、および、乳酸−ヒドロキシカルボ
ン酸コポリマー中の乳酸単位と乳酸以外のヒドロキシカ
ルボン酸単位との組成比は以下の方法により測定した。
位との組成比の測定法>ポリマーを5N水酸化ナトリウ
ム水溶液中60℃で10時間保持して加水分解し、得ら
れた溶液中のL−乳酸をL−乳酸デヒドロゲナーゼとニ
コチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下NADと略
記する)を作用させ、乳酸がピルビン酸に酸化される際
に生成するNADの還元型であるNADHの量を吸光分
析により定量してL−乳酸量を求める。一方、D−乳酸
についても同様にD−乳酸デヒドロゲナーゼとNADを
作用させてD−乳酸量を求め、L−乳酸とD−乳酸の比
を計算する。また、L−乳酸自体を5N水酸化ナトリウ
ム水溶液中で10時間保持して、加水分解条件下で乳酸
のラセミ化が起こらないことを確認する。
中の乳酸単位と乳酸以外のヒドロキシカルボン酸単位と
の組成比の測定法>コポリマーを重水素化クロロホルム
に溶解して核磁気共鳴(NMR)スペクトルを測定を行
い、両単位の構造に由来するピークの強度比により決定
する。
ド、分子量調節剤としてラウリルアルコールおよび触媒
としてオクタン酸第一スズをそれぞれ〔表1〕に示す量
で仕込み、該容器内を減圧脱気して一昼夜乾燥した。該
反応容器を減圧のまま密封し、〔表1〕に示す温度まで
加熱して所定時間重合した。反応終了後、反応容器内容
物を20倍量のクロロホルムに溶解し、さらにクロロホ
ルムの5倍量のヘキサン中にこれを投入した。沈澱した
ポリマーを回収し乾燥し、ポリ乳酸を得た。得られたポ
リ乳酸をP−1という。得られたP−1の分子量は、ク
ロロホルムを溶媒に用いたゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー法(以下、GPCという)を用いて測定
し、ポリスチレン換算にて算出した。また、示差走査熱
量計(DSC)を用いてP−1の融点およびガラス転移
点(Tg)を測定した。P−1の重合条件、ならびに、
P−1の分子量、L−乳酸単位とD−乳酸単位との組成
比(以降、共重合体組成という)、融点およびガラス転
移点(Tg)を〔表1〕に示す。
比;50/50)および/またはカプロラクトン、分子
量調節剤としてラウリルアルコール、および触媒として
オクタン酸第一スズをそれぞれ〔表1〕に示す量で仕込
み、且つ、〔表1〕に示す重合温度において〔表1〕に
示す時間反応した以外は、製造例1と同様にして乳酸系
ポリマーP−2〜P−7を得た。得られた乳酸系ポリマ
ーの分子量、L−乳酸単位とD−乳酸単位とヒドロキシ
カルボン酸単位との組成比(以下、共重合体組成とい
う)、融点およびTgを製造例1と同様にして測定し
た。乳酸系ポリマーの重合条件および測定結果を〔表
1〕に示す。
/50mmHgで3時間攪拌しながら水を留出させた
後、錫末0.06重量部を加え、150℃/30mmH
gでさらに2時間攪拌してオリゴマー化した。このオリ
ゴマーに錫末0.29重量部とジフェニルエーテル21
1重量部を加え、150℃/35mmHgで共沸脱水反
応を行い、留出した水と溶媒を水分離器で分離して溶媒
のみを反応機に戻した。2時間後、反応機に戻す有機溶
媒を、46重量部のモレキュラシーブ3Aを充填したカ
ラムに通してから反応機に戻るようにして、150℃/
35mmHgで40時間反応を行いポリ乳酸溶液を得
た。この溶液に脱水したジフェニルエーテル440重量
部を加え希釈した後、40℃まで冷却して、析出した結
晶を濾過し、100重量部のn−ヘキサンで3回洗浄し
て60℃/50mmHgで乾燥した。この粉末を0.5
N−塩酸120重量部とエタノール120重量部を加
え、35℃で1時間攪拌した後濾過し、60℃/50m
mHgで乾燥して、乳酸系ポリマーP−8を得た。得ら
れた乳酸系ポリマーの分子量、共重合体組成、融点およ
びTgを製造例1と同様にして測定し、その測定結果を
〔表2〕に示す。原料としてL−乳酸のみしか使用しな
かったのにもかかわらず、生成したポリマーはD−乳酸
単位を1%含有していた。
−体のモル比;50/50)および/またはグリコール
酸を用いた以外、製造例8と同様にして乳酸系ポリマー
P−9およびP−10を得た。得られた乳酸系ポリマー
の分子量、共重合体組成、融点およびTgを製造例1と
同様にして測定し、その結果を〔表2〕に示す。
(濃度87重量%)1.0kgを加え、100℃におい
て、2時間加熱した。冷却したところ常温で粘りのある
透明の液体が得られた。該オリゴマーをクロロホルムに
溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法に
て重合度分布を測定した結果、乳酸および乳酸オリゴマ
ーが含まれていた。平均重合度は2.8であった。以後
LAオリゴマーと記す。
P−1〜P−6およびP−8〜P−10に、可塑剤とし
て市販のトリアセチンまたは製造例11で得られたLA
オリゴマーを、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロ
キシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールをそ
れぞれ〔表3〕および〔表4〕に示す量加えて混合した
後、スクリュー式小型押出機を用いて〔表3〕および
〔表4〕に示す条件にて溶融押出し紡糸した。比較例1
では、実施例1と同じ条件で紡糸を試みたが、スクリュ
ーにポリマーがつまり、押出しが不可能であった。得ら
れた乳酸系ポリマー繊維をスクリーンにかきとってラン
ダムウェブとし、〔表3〕および〔表4〕に示す条件で
熱ロールにて圧縮し、分解性不織布を得た。得られた分
解性不織布には、繊維の形状が残っており、溶融してで
きるフィルムとは明らかに異なる布状形態を保ち、不織
布の表裏を両手の指にてつかみ、布面に垂直な方向に引
っ張っても解れたり、形態が崩れたりしなかった。
3、5〜6で得られた不織布(10×10cm)を厚さ
5mmの2枚の鉄板にて挟持し、〔表3〕に示す温度に
おいて10分間熱処理を施した。その結果、実施例で得
られた不織布は、ちぢみ、変形が観察されなかったのに
対し、比較例で得られた不織布は、ちぢみ、変形が観察
され、さらに軟化、溶融による構造変化が認められた。
熱処理しない不織布および熱処理された不織布を1×1
0cmに切断し、引張試験機を用いて、チャック間距離
4cm、引張速度10mm/minで室温において破断
強度を測定した。熱処理された不織布の破断強度を熱処
理しない不織布の破断強度で除することにより強度向上
率(%)を算出した。得られた結果を〔表3〕および
〔表4〕に示す。
で1ケ月間放置した後、上記と同様の外観検査を実施
し、不織布の表裏を両手の指にてつかみ、布面に垂直な
方向に引っ張っても解れたり、形態が崩れたりしないも
のを良好と評価し、その結果を〔表3〕および〔表4〕
中に示した。
織布を18ケ月間土中に埋没、放置した後、クロロホル
ムに溶解し、GPC法によりポリスチレン換算の分子量
を測定し、製造直後の分子量との差異を算出し、下記式
により分子量保持率を求め、分解性を評価した。得られ
た結果を〔表3〕に示す。 DW(%)=100W1/W0 上記式において、 DW:分子量保持率(%) W0 :製造直前の分子量 W1 :製造後、18ケ月間土中に放置した後の分子量 尚、〔表3〕中の*印は、不織布の分解が著しく、分子
量の測定が困難であることを示す。
およびP−5〜P−9に、紫外線吸収剤として2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾールをそれぞれ〔表5〕に示す量加え、スクリュ
ー式小型押出機を用いて〔表5〕に示す条件にて溶融押
出し紡糸して、乳酸系ポリマー繊維F−1〜F−6を得
た。尚、調製例1〜3においては、連続式延伸機を用い
て延伸し、次いで、所定温度の熱板間を連続的に通過さ
せることにより熱処理を施した。延伸条件および熱処理
条件を〔表5〕に示す。
−3を長さ約5cmの短繊維に切断したものと、調製例
4〜6で得られた乳酸系ポリマー繊維F−4〜F−6を
長さ約4cmの短繊維に切断したものとを〔表6〕に示
す重量比で混合・撹拌し、ランダムなウェブを形成させ
た後、〔表6〕に示す条件で熱プレスして分解性不織布
を得た。得られた分解性不織布の特性を実施例1と同様
にして評価し、その結果を〔表6〕に示す。尚、〔表
6〕中の*印は、不織布の分解が著しく、分子量の測定
が困難であることを示す。
4cmの短繊維に切断し、攪拌してランダムなウエブを
形成した後、100℃の表面温度を有する織目調の彫刻
を施したエンボスロールで軽く圧着し、巻き取った。巻
き取った不織布は針深度11mm30P/cm2のニー
ドルパンチを両面交互の6回かけて接合させた。得られ
た分解性不織布は繊維が交絡したタイプの良好な不織布
であり、屋外に1カ月放置してもちぢみ、しわ等の変形
はなかった。また、土中に18カ月放置したところ効果
的に分解された。分子量保持率は72%であった。
業(株)製、商品名:タフネルPA−4021)を、1
8ケ月間土中に放置した後、ジクロロベンゼンに溶解
し、実施例1と同様にして、分子量保持率を求めた。分
子量保持率は、98%であり、殆ど分解していなかっ
た。
織布としての一定の形状を保ち、使用後廃棄された場
合、自然環境下で加水分解される。そのため、廃棄物と
して蓄積することがない。また、本発明の分解性不織布
は、特定の組成を有する乳酸系ポリマーを素材としてい
るため、適度の結晶性を有し、寸法安定性に優れてい
る。
Claims (11)
- 【請求項1】 乳酸系ポリマーの繊維からウエブを形成
し、該ウエブから得られた分解性不織布であって、前記
乳酸系ポリマーが、 L−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL
−乳酸)、 D−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL
−乳酸)、 L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、および、 D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマー からなる群から選択された少なくとも一種のポリマーで
あることを特徴とする分解性不織布。 - 【請求項2】 乳酸系ポリマーにおいて、 L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、 (L−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/また
は、 (L−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマーであ
り、 D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、 (D−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/また
は、 (D−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマーである
ことを特徴とする請求項1に記載した分解性不織布。 - 【請求項3】 乳酸系ポリマーの分子量が、1万〜10
0万であることを特徴とする請求項1乃至2の何れかに
記載した分解性不織布。 - 【請求項4】 乳酸系ポリマー(ポリマーA)が、直接
重合法で得られた乳酸系ポリマーであることを特徴とす
る請求項1乃至3の何れかに記載した分解性不織布。 - 【請求項5】 乳酸系ポリマーの繊維が、可塑剤、紫外
線吸収剤および光安定剤から選ばれた少なくとも一つを
含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載し
た分解性不織布。 - 【請求項6】 乳酸系ポリマーの繊維からウエブを形成
し、該ウエブから分解性不織布を得る分解性不織布の製
造方法であって、前記乳酸系ポリマーが、 L−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL
−乳酸)、 D−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL
−乳酸)、 L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、および、 D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマー からなる群から選択された少なくとも一種であることを
特徴とする分解性不織布の製造方法。 - 【請求項7】 乳酸系ポリマーにおいて、 L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、 (L−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/また
は、 (L−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマーであ
り、 D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)
−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、 (D−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/また
は、 (D−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマーである
ことを特徴とする請求項6に記載した分解性不織布の製
造方法。 - 【請求項8】 乳酸系ポリマーの分子量が、1万〜10
0万であることを特徴とする請求項6乃至7の何れかに
記載した分解性不織布の製造方法。 - 【請求項9】 乳酸系ポリマーが、直接重合法で得られ
た乳酸系ポリマーであることを特徴とする請求項6乃至
8の何れかに記載した分解性不織布の製造方法。 - 【請求項10】 乳酸系ポリマーの繊維が、得られた繊
維を延伸および加熱処理したものであることを特徴とす
る請求項6乃至9の何れかに記載した分解性不織布の製
造方法。 - 【請求項11】 乳酸系ポリマーの繊維が、可塑剤、紫
外線吸収剤および光安定剤から選ばれた少なくとも一つ
を含むことを特徴とする請求項6乃至10の何れかに記
載した分解性不織布の製造方法。
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JP2005176616A (ja) * | 2003-12-16 | 2005-07-07 | Unitika Ltd | 結束テープ |
JP2008264740A (ja) * | 2007-04-25 | 2008-11-06 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 水素透過金属膜の製造方法 |
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