JP2002363137A - パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体 - Google Patents

パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体

Info

Publication number
JP2002363137A
JP2002363137A JP2001172994A JP2001172994A JP2002363137A JP 2002363137 A JP2002363137 A JP 2002363137A JP 2001172994 A JP2001172994 A JP 2001172994A JP 2001172994 A JP2001172994 A JP 2001172994A JP 2002363137 A JP2002363137 A JP 2002363137A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
lubricant
recording medium
aromatic ring
coox
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001172994A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Kobayashi
健 小林
Noriyuki Kishii
典之 岸井
Takahiro Kamei
隆広 亀井
Kenichi Kurihara
研一 栗原
Hiroshi Iwamoto
岩本  浩
Hisanori Tsuboi
寿憲 坪井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2001172994A priority Critical patent/JP2002363137A/ja
Publication of JP2002363137A publication Critical patent/JP2002363137A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pyridine Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Lubricants (AREA)
  • Polyethers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種使用条件下において優れた潤滑性が保た
れるとともに、長時間にわたり潤滑効果が持続され、優
れた走行性、耐摩耗性、耐久性等を提供することのでき
る記録媒体用の潤滑剤を提供する。 【解決手段】 例えばC1837−CH(CH2COOC
106OH)COO−Rf−OCOCH(CH2COOC
106OH)−C1837(Rfは平均分子量2000の
フルオロポリエーテル基)を磁気記録媒体用の潤滑剤と
して用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーフルオロポリ
アルキルエーテル系化合物、該化合物からなる記録媒体
用潤滑剤、および該潤滑剤を含む潤滑層が形成された記
録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の記録媒体、例えば磁気記録媒体と
しては、強磁性金属材料を蒸着等の手法により非磁性支
持体上に被着し、これを磁性層としたいわゆる金属薄膜
型の磁気記録媒体や、非常に微細な磁性粒子と樹脂結合
剤とを含む磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、これを
磁性層としたいわゆる塗布型の磁気記録媒体等が知られ
ている。これら従来の磁気記録媒体は、磁性層表面の平
滑性が極めて良好であるため、磁気ヘッドやガイドロー
ラー等の摺動部材に対する実質的な接触面積が大きく、
従って摩擦係数が大きくなり凝着現象(いわゆる張り付
き)が起きやすく走行性や耐久性に欠ける等、問題点が
多い。そこで、これら問題点を改善するために各種の潤
滑剤を使用することが検討されてきており、従来より高
級脂肪酸やそのエステル等を前記磁気記録媒体の磁性層
に内添したり、あるいはトップコートすることにより摩
擦係数を抑えようとする試みがなされている。
【0003】しかしながら、磁気記録媒体に使用される
潤滑剤には、その性質上非常に厳しい特性が要求され、
従来用いられている潤滑剤ではその要求を満足すること
が難しいのが現状である。
【0004】すなわち、磁気記録媒体に使用される潤滑
剤には、(1)寒冷地での使用に際して所定の潤滑効果
が確保されるように低温特性に優れること、(2)磁気
ヘッドとのスペーシングが問題となるので極めて薄く塗
布できることと、その場合にも十分な潤滑特性が発揮さ
れること、(3)長時間、あるいは長期間の使用に耐
え、潤滑効果が持続すること、等が要求される。
【0005】なお、特開平6−41561号公報には、
金属薄膜型の磁気記録媒体のための潤滑剤として、下記
一般式(i)で示される含フッ素アルキルこはく酸ジエ
ステルが提案されている。
【0006】
【化4】 R1−CH(COOR2)CHCOOR3 …(i)
【0007】式中、R1は脂肪族アルキル基または脂肪
族アルケニル基であり、R2およびR3の一方はフロロ
アルキルエーテル基であり、他方はフロロアルキル基、
フロロアルケニル基、フロロフェニル基、脂肪族アルキ
ル基、脂肪族アルケニル基のいずれかである。しかし、
前記の含フッ素アルキルこはく酸ジエステルは摩擦係数
が大きいという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、記録媒
体の分野においては、使用される潤滑剤の能力不足に起
因して、例えばシャトル走行試験において再生出力がレ
ベルダウンする等、実用特性に不満を残している。そこ
で本発明は、各種使用条件下において優れた潤滑性が保
たれるとともに、長時間にわたり潤滑効果が持続され、
優れた走行性、耐摩耗性、耐久性等を提供することので
きる化合物、該化合物からなる潤滑剤、および記録媒体
を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、下記
一般式(1):
【0010】
【化5】 R−CH(CH2COOX)COO−Rf−OCOCH(CH2COOX)−R …(1)
【0011】(式中、Rは炭素原子数が6〜30の飽和
もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基を示し、Rfは平均
分子量が500〜6000のフルオロポリエーテル基を
示し、Xは芳香環基あるいは複素環基、または水酸基、
アミノ基、カルボン酸基、ハロゲン原子、炭化水素基あ
るいは芳香環で置換された芳香環基あるいは複素環基、
または芳香環基あるいは複素環基で置換された炭化水素
基を示す。)で表されることを特徴とするパーフルオロ
ポリアルキルエーテル系化合物を提供するものである。
また本発明は、下記一般式(1):
【0012】
【化6】 R−CH(CH2COOX)COO−Rf−OCOCH(CH2COOX)−R …(1)
【0013】(式中、Rは炭素原子数が6〜30の飽和
もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基を示し、Rfは平均
分子量が500〜6000のフルオロポリエーテル基を
示し、Xは芳香環基あるいは複素環基、または水酸基、
アミノ基、カルボン酸基、ハロゲン原子、炭化水素基あ
るいは芳香環で置換された芳香環基あるいは複素環基、
または芳香環基あるいは複素環基で置換された炭化水素
基を示す。)で表されるパーフルオロポリアルキルエー
テル系化合物よりなることを特徴とする記録媒体用潤滑
剤を提供するものである。さらに本発明は、支持体上
に、記録層、および潤滑剤よりなる潤滑剤層が少なくと
も順次形成されてなる記録媒体であって、前記潤滑剤が
下記一般式(1):
【0014】
【化7】 R−CH(CH2COOX)COO−Rf−OCOCH(CH2COOX)−R …(1)
【0015】(式中、Rは炭素原子数が6〜30の飽和
もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基を示し、Rfは平均
分子量が500〜6000のフルオロポリエーテル基を
示し、Xは芳香環基あるいは複素環基、または水酸基、
アミノ基、カルボン酸基、ハロゲン原子、炭化水素基あ
るいは芳香環で置換された芳香環基あるいは複素環基、
または芳香環基あるいは複素環基で置換された炭化水素
基を示す。)で表されるパーフルオロポリアルキルエー
テル系化合物を含むことを特徴とする記録媒体を提供す
るものである。
【0016】本発明のパーフルオロポリアルキルエーテ
ル系化合物は新規物質であるとともに、記録媒体用、と
くに磁気記録媒体用の潤滑剤として用いることにより、
各種使用条件下において優れた潤滑性が保たれるととも
に、長時間にわたり潤滑効果が持続され、優れた走行
性、耐摩耗性、耐久性等を有する記録媒体を提供するこ
とができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の化合物を磁気記録
媒体用の潤滑剤として使用する場合を例にとり説明す
る。
【0018】本発明のパーフルオロポリアルキルエーテ
ル系化合物において、Rは炭素原子数が6〜30、好ま
しくは8〜20の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素
基である。Rの炭素原子数が6未満あるいは30を超え
ると、有機溶媒への溶解性が減少し、有機溶媒を用いて
例えばカーボン膜層上に潤滑層の膜を形成できなくな
る。また、Rfは平均分子量が500〜6000、好ま
しくは1000〜4000のフルオロポリエーテル基で
ある。Rfの平均分子量が500未満であるとフルオロ
ポリエーテル基が短すぎるため摩擦係数が大きくなる。
逆にRfの平均分子量が6000を超えると有機溶媒へ
の溶解性が減少し、有機溶媒を用いて例えばカーボン膜
層上に潤滑層の膜を形成できなくなる。
【0019】本発明のパーフルオロポリアルキルエーテ
ル系化合物は、例えば一般式(1)におけるR基を含む
こはく酸誘導体と、一般式(1)におけるX基を含むヒ
ドロキシ化合物とを混合し、150℃程度で加熱し、反
応させ、有機溶媒または無機溶媒を用いた洗浄、分液ロ
ートを用いた分液洗浄、カラムクロマトグラフィーを用
いた精製等により不純物や不要物を除去し、次に、得ら
れた精製物と、一般式(1)におけるフルオロポリエー
テル基(Rf)を含むアルコール化合物を反応させ、精
製することにより合成することができる。
【0020】なお、一般式(1)におけるフルオロポリ
エーテル基(Rf)を含む化合物は、市販されているも
のも利用することができ、例えばアウジモント(株)
製、商品名Z−dol1000、Z−dol2000、
Z−dol4000等が挙げられる。前記Z−dol1
000は、構造式としてHOCH2(CF2CF2O)m
(CF2O)nCH2OHを有する平均分子量1000の
化合物である(Z−dol2000およびZ−dol4
000は、Z−dol1000と同じ構造式を有する化
合物であるが、平均分子量がそれぞれ2000および4
000である)。
【0021】また、前記のように本発明のパーフルオロ
ポリアルキルエーテル系化合物は、記録媒体、とくに磁
気記録媒体用の潤滑剤として好適に用いることができ
る。なお、該潤滑剤には必要に応じて各種添加剤、例え
ば防錆剤を配合することもできる。防錆剤としては、従
来の磁気記録媒体に使用されているものであることがで
き、例えばフェノール類、ナフトール類、キノン類、窒
素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素環化合
物、硫黄原子を含む複素環化合物等が挙げられる。
【0022】本発明の記録媒体は、前記の潤滑剤を含む
潤滑剤層を備えるものであり、例えば磁気記録媒体であ
る場合、具体的には、非磁性支持体上に、蒸着等の手法
により形成された金属磁性薄膜からなる磁性層、カーボ
ン膜層および本発明のパーフルオロポリアルキルエーテ
ル系化合物を含む潤滑剤層が少なくとも順次形成されて
いる、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体であることが
できる。また、必要に応じて非磁性支持体と磁性層との
間に下地層を形成してもよい。
【0023】非磁性支持体は、とくに制限されるもので
はなく、公知のものを採用することができる。例えば、
非磁性支持体としてAl合金板やガラス板等の剛性を有
する基板を使用した場合には、基板表面にアルマイト処
理等の酸化皮膜やNi−P皮膜等を形成してその表面を
硬くするようにしてもよい。
【0024】磁性層を構成する金属磁性薄膜もとくに制
限されるものではなく、公知のものを採用することがで
きる。例えば、メッキ、スパッタリング、真空蒸着等の
手法により連続膜として形成されるもので、例えばF
e、Co、Ni等の金属やCo−Ni系合金、Co−P
t系合金、Co−Pt−Ni系合金、Fe−Co系合
金、Fe−Ni系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe
−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co
−Ni−B系合金等からなる面内磁化記録金属磁性薄膜
や、Co−Cr系合金磁性薄膜等が挙げられる。とく
に、面内磁化記録金属磁性薄膜を採用する場合、予め非
磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、In、
Ge、Si、Tl等の低融点非磁性材料の下地層を形成
しておき、その上に前記金属類を下地層に対し垂直方向
から蒸着あるいはスパッタリングし、金属磁性薄膜中に
これら低融点非磁性材料を拡散せしめ、配向性を解消し
て面内等方性を確保するとともに抗磁性を向上するよう
にしてもよい。
【0025】カーボン膜層の形成方法としては、スパッ
タリングが一般的であるがとくに制限するものではな
く、公知のいずれの方法も採用可能である。カーボン膜
の膜厚は、2〜100nmが好ましく、さらに好ましく
は5〜30nmである。
【0026】潤滑剤層は、前記カーボン膜層上に本発明
のパーフルオロポリアルキルエーテル系化合物を含む潤
滑剤を常法によりトップコートすることにより形成可能
である。潤滑剤の塗布量は、例えば0.5〜100mg
/m2が好ましく、1〜20mg/m2がさらに好まし
い。塗布には潤滑剤をヘキサンなどの有機溶媒に溶解し
たものを使用することができる。なお、防錆剤を用いる
場合、潤滑剤と複合して用いてもよいが、カーボン膜層
上に防錆剤を塗布した後、潤滑剤を塗布して2層以上設
けるようにすれば、防錆効果が高まり好ましい。
【0027】本発明のパーフルオロポリアルキルエーテ
ル系化合物は、上記のように記録媒体、中でも磁気記録
媒体用の潤滑剤として用いるのが好ましい。しかし本発
明の潤滑剤は磁気記録媒体に限らず光記録媒体にも適用
でき、またその支持体もテープに限らず、磁気ディスク
や光ディスクのようなディスク媒体等の記録媒体にも用
いることができる。
【0028】
【作用】従来の潤滑剤において、カルボン酸あるいはカ
ルボン酸アミン塩のような比較的極性が大きい化合物
は、摩擦係数が小さいがスチル耐久性が悪い傾向があ
り、エステル化合物のような比較的極性の小さい化合物
はスチル耐久性には優れるが、摩擦係数が大きい。本発
明のパーフルオロポリアルキルエーテル系化合物は、末
端極性基として一般式(1)のX基とエステル基を有す
ることから摩擦係数が小さく、かつスチル耐久性に優れ
た特性を示す。とくにカーボン膜層上に本発明のパーフ
ルオロポリアルキルエーテル系化合物を潤滑剤として塗
布すると、カーボン膜層上に潤滑剤分子の極性基部の一
般式(1)のX基あるいはエステル基が吸着し、疎水基
間の凝集力により耐久性の良好な潤滑剤層を形成するこ
とができる。また、従来の含フッ素潤滑剤を塗布するに
はフッ素系溶媒が必須であるのに対し、本発明のパーフ
ルオロポリアルキルエーテル系化合物は、トルエン、ア
セトン等の炭化水素系溶媒を用いた塗布が可能であるこ
とから環境へ与える負荷が小さく好ましい。このように
本発明のパーフルオロポリアルキルエーテル系化合物を
潤滑剤として用いた磁気記録媒体は、各種使用条件下に
おいて優れた潤滑性が保たれるとともに、長時間にわた
り潤滑効果が持続され、優れた走行性、耐摩耗性、耐久
性等を提供できる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によりさ
らに説明するが、本発明は下記例に何ら限定されるもの
ではない。
【0030】合成例1(C1837−CH(CH2COO
106OH)COO−Rf−OCOCH(CH2COO
106OH)−C1837の合成) 一般式(1)におけるR基を含むこはく酸誘導体として
オクタデシルこはく酸無水物を用い、一般式(1)にお
けるX基を含むヒドロキシ化合物として2,3−ナフタ
レンジオールを用い、一般式(1)におけるフルオロポ
リエーテル基(Rf)を含むアルコール化合物としてZ
−dol2000を用いて、本発明のパーフルオロポリ
アルキルエーテル系化合物を合成した。合成手順を以下
に示す。オクタデシルこはく酸無水物C183743
3の10.0gと2,3−ナフタレンジオールC10
6(OH)2の4.6gを混合し、3時間、150℃で還
流した。反応終了後、反応生成物をトルエン200ml
に溶解し、これを塩化ナトリウム水溶液で2回、分液洗
浄し、その後トルエン相を回収して硫酸マグネシウムで
乾燥させた。続いて、カラムクロマトグラフィーにより
回収物を精製した。カラム条件は、カラム充填物:シリ
カゲル、カラム温度:室温、溶離液:トルエンおよび酢
酸エチル10%トルエン90%の混合溶媒である。目的
物は酢酸エチル10%トルエン90%の混合溶媒を用い
たときに溶出する。回収物は10.0gであった。回収
物をIR分析したところ、一般式C1837−CH(CO
OH)CH2COO−C106OHを有することが判明し
た。
【0031】さらに、精製したC1837−CH(COO
H)CH2COO−C106OHの10.0gに塩化チオ
ニル3.3gを加え、2時間還流した。反応終了後、反
応物を濃縮し、目的物を回収した。回収物をIR分析し
たところ、一般式C1837−CH(COCl)CH2
OO−C106OHを有することが判明した。
【0032】さらに、精製したC1837−CH(COC
l)CH2COO−C106OHにZ−dol2000の
19.5gを加え、3時間還流下で反応させた。反応終
了後、反応物をトルエン300mlに溶解し、分液ロー
ト中で塩化ナトリウム水溶液で2回、分液洗浄し、トル
エン相を回収し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。1時
間後、ろ過し、トルエン相を濃縮した。続いて、カラム
クロマトグラフィーにより回収物を精製した。カラム条
件は、カラム充填物:シリカゲル、カラム温度:室温、
溶離液:トルエンである。目的物はトルエンを用いたと
きに溶出する。回収物は16gであり、回収率約37%
であった。回収物をIR分析したところ、一般式C18
37−CH(CH2COOC106OH)COO−Rf−O
COCH(CH2COOC106OH)−C1837を有す
ることが判明した。図1にIR分析結果を示す。
【0033】合成例2(C1837−CH(CH2COO
107)COO−Rf−OCOCH(CH2COOC10
7)−C1837の合成) 一般式(1)におけるR基を含むこはく酸誘導体として
オクタデシルこはく酸無水物を用い、一般式(1)にお
けるX基を含むヒドロキシ化合物として1−ナフトール
を用い、一般式(1)におけるフルオロポリエーテル基
(Rf)を含むアルコール化合物としてZ−dol20
00を用いて、本発明のパーフルオロポリアルキルエー
テル系化合物を合成した。合成手順を以下に示す。ま
ず、合成例1と同じ反応条件下でオクタデシルこはく酸
無水物の10.0gと1−ナフトールの4.1gを混合
し、3時間、150℃で還流下に反応させ、合成例1と
同じ分離、精製手法により、IR分析から一般式C18
37−CH(COOH)CH2COO−C107を有する反
応生成物、12gを得た。次いで、合成例1と同じ反応
条件下でこの反応生成物の12gと塩化チオニルの3.
3gを反応させて、合成例1と同じ分離、精製手法によ
り、IR分析から一般式C1837−CH(COCl)C
2COO−C107を有する酸塩化物を得た。
【0034】次に、精製したC1837−CH(COC
l)CH2COO−C107にZ−dol2000の25
gを加え、3時間還流下で反応させた。反応終了後、反
応物をトルエン300mlに溶解し、分液ロート中で塩
化ナトリウム水溶液で2回、分液洗浄し、トルエン相を
回収し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。1時間後、ろ
過し、トルエン相を濃縮した。続いて、カラムクロマト
グラフィーにより回収物を精製した。カラム条件は、カ
ラム充填物:シリカゲル、カラム温度:室温、溶離液:
トルエンである。目的物はトルエンを用いたときに溶出
する。回収物は19gであり、回収率約45%であっ
た。回収物をIR分析したところ、一般式C1837−C
H(CH2COOC107)COO−Rf−OCOCH
(CH2COOC107)−C1837を有することが判明
した。図2にIR分析結果を示す。
【0035】なお、前記と同様の手法を採れば、一般式
(1)におけるR基、フルオロポリエーテル基(Rf)
およびX基を任意に設定し、本発明のパーフルオロポリ
アルキルエーテル系化合物を合成することができる。そ
の具体例を下記表1および表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】実施例1〜31 下記表3の構造を有する本発明のパーフルオロポリアル
キルエーテル系化合物を前記の合成例と同様の手順で合
成し、これを潤滑剤として下記試験に供した。
【0039】
【表3】
【0040】比較例1〜5 下記表4の構造を有する化合物を潤滑剤として下記試験
に供した。
【0041】
【表4】
【0042】サンプルテープの作製 7.0μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上
に、Coを蒸着させ、膜厚180nmの金属磁性薄膜か
らなる磁性層を形成した。次いでマグネトロンスパッタ
リング装置を用いて磁性層上に約8nmの厚さのカーボ
ン膜層を形成した。次に、ポリエチレンテレフタレート
フィルムの磁性層が形成された面と反対側の面に、カー
ボンおよびポリウレタン樹脂よりなる厚さ0.5μm厚
のバックコート層を形成した。続いて、前記表3または
表4に示される化合物をトルエンに溶解し、前記カーボ
ン膜層の表面に該化合物の塗布量が5mg/mとなる
ように塗布した。得られた磁気記録媒体を6.35mm
幅に裁断してサンプルテープとした。
【0043】耐久性および走行性の評価 前記のようにして作製された各サンプルテープを用い、
温度40℃、相対湿度80%の条件で摩擦係数を、温度
−5℃の条件でスチル耐久性を、温度40℃、相対湿度
20%の条件でシャトル耐久性をそれぞれ測定した。結
果を表5および表6に示す。なお、本実施例のこれらの
条件は、最も厳しい使用条件と考えられる。また、スチ
ル耐久性およびシャトル耐久性の測定には、市販のデジ
タルビデオカムコーダー(ソニー社製商品名VX100
0)を用いた。
【0044】(1)摩擦係数測定方法 摩擦係数の測定は、恒温槽中で温度40℃、相対湿度8
0%に制御して、サンプルテープを摩擦係数測定器に1
00回走行させて測定した。なお、100回走行後の数
値を摩擦係数として表中に記した。 (2)スチル耐久性測定方法 スチル耐久性は、−5℃の恒温槽中で行い、再生出力が
3dB落ちるまでの時間を測定した。 (3)シャトル耐久性測定方法 シャトル耐久性は、恒温槽を温度40℃、相対湿度20
%に制御して、サンプルテープ60分長をPlayモー
ドで100回走行させ、100回走行後にその再生出力
が初期出力から何dB落ちるかを測定した。
【0045】溶媒に対する溶解度評価 実施例1〜31および比較例3で使用した潤滑剤につい
てエタノール、アセトン、トルエンの各溶媒に対する溶
解性を調べた。評価は、各溶媒に易溶な場合は○、潤滑
剤が溶媒に不溶な場合は×とした。各潤滑剤の溶解性評
価の結果を表7に示す。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】前記結果より、本発明のパーフルオロポリ
アルキルエーテル系化合物を磁気記録媒体用の潤滑剤と
して用いることにより、高温多湿、高温低湿あるいは低
温等の様々な使用条件下においても摩擦係数、スチル耐
久性またはシャトル耐久性の劣化が極めて少なく、非常
に良好な結果が得られたことが分かる。
【0050】
【発明の効果】本発明のパーフルオロポリアルキルエー
テル系化合物は、とくに磁気記録媒体用の潤滑剤として
有用である。また、記録媒体の潤滑剤として前記のパー
フルオロポリアルキルエーテル系化合物を用いれば、各
種使用条件下において優れた潤滑性が保たれるととも
に、長時間にわたり潤滑効果が持続され、優れた走行
性、耐摩耗性、耐久性等を提供することのできる記録媒
体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパーフルオロポリアルキルエーテル系
化合物の一種であるC1837−CH(CH2COOC10
6OH)COO−Rf−OCOCH(CH2COOC10
6OH)−C1837のIR分析結果を示す図である。
【図2】本発明のパーフルオロポリアルキルエーテル系
化合物の一種であるC1837−CH(CH2COOC10
7)COO−Rf−OCOCH(CH2COOC
107)−C1837のIR分析結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 105/70 C10M 105/70 107/38 107/38 107/44 107/44 G11B 5/725 G11B 5/725 // C07D 213/64 C07D 213/64 C10N 30:00 C10N 30:00 Z 30:06 30:06 40:18 40:18 (72)発明者 亀井 隆広 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 栗原 研一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 岩本 浩 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 坪井 寿憲 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4C055 AA01 BA01 CA01 DA43 DB02 DB11 FA01 4H006 AA01 AA03 AB60 BJ50 BM10 BM71 BN30 BP10 BS10 KC12 4H104 BD07A BE07A BE27A CD04A CE19A LA03 LA20 PA16 4J005 AA09 BA00 BD02 5D006 AA01 EA02 EA03 FA02 FA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】 R−CH(CH2COOX)COO−Rf−OCOCH(CH2COOX)−R …(1) (式中、Rは炭素原子数が6〜30の飽和もしくは不飽
    和の脂肪族炭化水素基を示し、Rfは平均分子量が50
    0〜6000のフルオロポリエーテル基を示し、Xは芳
    香環基あるいは複素環基、または水酸基、アミノ基、カ
    ルボン酸基、ハロゲン原子、炭化水素基あるいは芳香環
    で置換された芳香環基あるいは複素環基、または芳香環
    基あるいは複素環基で置換された炭化水素基を示す。)
    で表されることを特徴とするパーフルオロポリアルキル
    エーテル系化合物。
  2. 【請求項2】 下記一般式(1): 【化2】 R−CH(CH2COOX)COO−Rf−OCOCH(CH2COOX)−R …(1) (式中、Rは炭素原子数が6〜30の飽和もしくは不飽
    和の脂肪族炭化水素基を示し、Rfは平均分子量が50
    0〜6000のフルオロポリエーテル基を示し、Xは芳
    香環基あるいは複素環基、または水酸基、アミノ基、カ
    ルボン酸基、ハロゲン原子、炭化水素基あるいは芳香環
    で置換された芳香環基あるいは複素環基、または芳香環
    基あるいは複素環基で置換された炭化水素基を示す。)
    で表されるパーフルオロポリアルキルエーテル系化合物
    よりなることを特徴とする記録媒体用潤滑剤。
  3. 【請求項3】 支持体上に、記録層、および潤滑剤より
    なる潤滑剤層が少なくとも順次形成されてなる記録媒体
    であって、 前記潤滑剤が下記一般式(1): 【化3】 R−CH(CH2COOX)COO−Rf−OCOCH(CH2COOX)−R …(1) (式中、Rは炭素原子数が6〜30の飽和もしくは不飽
    和の脂肪族炭化水素基を示し、Rfは平均分子量が50
    0〜6000のフルオロポリエーテル基を示し、Xは芳
    香環基あるいは複素環基、または水酸基、アミノ基、カ
    ルボン酸基、ハロゲン原子、炭化水素基あるいは芳香環
    で置換された芳香環基あるいは複素環基、または芳香環
    基あるいは複素環基で置換された炭化水素基を示す。)
    で表されるパーフルオロポリアルキルエーテル系化合物
    を含むことを特徴とする記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記記録層が磁性層であり、前記記録媒
    体が磁気記録媒体であることを特徴とする請求項3記載
    の記録媒体。
JP2001172994A 2001-06-07 2001-06-07 パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体 Pending JP2002363137A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001172994A JP2002363137A (ja) 2001-06-07 2001-06-07 パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001172994A JP2002363137A (ja) 2001-06-07 2001-06-07 パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002363137A true JP2002363137A (ja) 2002-12-18

Family

ID=19014529

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001172994A Pending JP2002363137A (ja) 2001-06-07 2001-06-07 パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002363137A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3240654B2 (ja) パーフルオロポリエーテル誘導体及びこれを用いた潤滑剤並びに磁気記録媒体
JPH06145687A (ja) 潤滑剤及びその潤滑剤を保有する磁気記録媒体
JP2590482B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2745564B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2002363137A (ja) パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2003064030A (ja) 部分フッ化アルキル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2003040847A (ja) 部分フッ化アルキル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP3941451B2 (ja) パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2003064035A (ja) 部分フッ化アルキル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2002371038A (ja) 部分フッ化アルキル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
US6989356B2 (en) Partially-fluorinated-alkyl compound, lubricant comprising the compound, and recording medium using the lubricant
JP2002322270A (ja) パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2002363277A (ja) パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2002332261A (ja) パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2002293922A (ja) パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2003012627A (ja) パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2003012606A (ja) パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP3168613B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2003300937A (ja) 部分フッ化アルキル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2005139429A (ja) 潤滑剤、記録媒体、及びカルボン酸系化合物
JP2003055310A (ja) パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2003300938A (ja) 部分フッ化アルキル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2003055309A (ja) パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2002265593A (ja) フルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体
JP2003073346A (ja) パーフルオロポリアルキルエーテル系化合物、該化合物からなる潤滑剤および該潤滑剤を用いた記録媒体