JP2002363124A - ヒドロキシ芳香族カルボン酸のカルシウム塩含有組成物の製造方法及びそれを含有するトナー。 - Google Patents

ヒドロキシ芳香族カルボン酸のカルシウム塩含有組成物の製造方法及びそれを含有するトナー。

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JP2002363124A JP2001167661A JP2001167661A JP2002363124A JP 2002363124 A JP2002363124 A JP 2002363124A JP 2001167661 A JP2001167661 A JP 2001167661A JP 2001167661 A JP2001167661 A JP 2001167661A JP 2002363124 A JP2002363124 A JP 2002363124A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、複写機、プリンター等で繰
り返して用いた場合の白地部分の地汚れ(カブリ)の増
加や、画像濃度低下、また高温環境下での放置による経
時変化を受けても、カブリが増大せず、機内飛散の起こ
らない耐久性、安定性のある優れたトナー、トナー用荷
電制御剤としての組成物、該組成物の製造方法を提供す
ることである。 【解決手段】 ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ
金属塩の水溶液とハロゲン化カルシウムの水溶液をモル
比において2:0.1〜0.95の比で混合し、ヒドロ
キシ芳香族カルボン酸のカルシウム塩化合物を得た後、
残存した前記アルカリ金属塩をpH5.5以下にならな
い条件でハロゲン化水素により水素に置換して、ヒドロ
キシ芳香族カルボン酸にすることを特徴とするヒドロキ
シ芳香族カルボン酸のカルシウム塩とヒドロキシ芳香族
カルボン酸とからなる組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真法、静電記
録法等における静電荷像を現像するために用いられる静
電荷像現像用トナーおよびこのトナーを製造する際に用
いられる荷電制御剤としての組成物、およびその組成物
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体や静電記録体など
の静電荷像担持体上に形成された静電潜像を現像する方
法として、微細トナーが電気絶縁性液体に分散された液
体現像剤を用いる方法(湿式現像法)および結着樹脂中
に着色剤あるいは磁性粉体等が分散されたトナーを用い
る方法(乾式現像法)が知られている。乾式現像法で
は、キャリアとトナーとからなる二成分型現像剤を用い
る方法およびトナーのみからなる一成分型現像剤を用い
る方法が知られている。
【0003】これら静電荷像現像用トナーは、結着樹脂
とともに、染料、顔料などの着色剤、磁性トナーの場合
には更に磁性粉体等が用いられているが、これらの成分
のみでは通常望ましい帯電性が得られないため、さらに
荷電制御剤を用いることが行われている。従来の荷電制
御剤の代表的な例としては、トナーに正荷電を与えるも
のとしては、例えばニグロシン系染料やトリアリールメ
タン系染料のような塩基性染料あるいは第4級アンモニ
ウム塩等の電子供与性物質が、またトナーに負荷電を与
えるものとしては、例えばモノアゾ染料の金属錯体、含
クロム有機染料のごとき含金属染料があげられる。しか
し、このような従来の荷電制御剤には、結着樹脂との相
溶性或いは濡れ性が悪くトナー中に均一分散しにくいと
か、荷電制御剤の安定性が悪い、あるいは昇華性である
ため等の理由により、長期にわたってトナーに安定して
良好な荷電制御性を付与することができない、更には荷
電制御剤が着色しておりカラートナーの荷電制御剤とし
て適しないなどの問題点を有するものが多くみられた。
【0004】また更に、トナーを長時間高温(40〜5
0℃)の状態で放置しておくことによりトナーの表面状
態が経時変化を引き起こし複写画像の品質の悪化、トナ
ーの紙等の被転写体へ転写される量の割合を示す数値で
ある転写率の低下及び複写機やプリンターの機内のトナ
ーの飛散を引き起こしてしまう問題がある。すなわち製
造したばかりの状態では画像の品質に優れ、カブリが少
なく、トナーの転写率も高く、また機内のトナーの飛散
も少ないが、長時間高温の状態にさらされることにより
トナーが経時変化を起こしてしまい、複写枚数の増加と
ともに、かぶりが増大し、更に機内飛散が増大してしま
う。この加熱経時における劣化はトナーの帯電減衰によ
るものであり、荷電制御剤による原因が大きい。
【0005】このような問題点を解決しうる荷電制御剤
として、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体(例え
ば、特公昭55−42752号、特開平7−84412
号、特開平9−34177号)やサリチル酸およびその
誘導体の二価の金属塩(例えば、特公平7−62766
号)が提案されている。これらの荷電制御剤は、淡色の
ものが多く、カラートナー用として使用できるものを有
するが、樹脂に対する均一分散性、荷電制御性について
更に研究の余地を有するものである。また加熱経時によ
る劣化の対策も施されていないのが現状である。特にカ
ルシウムを中心金属として用いた化合物は、環境安全性
上の問題も少なく、また白色を呈するため、カラートナ
ーの用途に適しているものの、樹脂に対する分散、分配
性や帯電付与能力が弱いことがあり、よりいっそうの改
善を必要とされている。またCr、Fe、Mn、Cu等
の金属を中心金属として用いると比較的良好な帯電制御
性を得られるものの、有色であるためカラートナーには
適さない。また従来よりヒドロキシ芳香族カルボン酸と
その金属化合物からなる荷電制御剤が提案されている
が、ただ荷電制御剤中にヒドロキシ芳香族カルボン酸と
その金属化合物が共存しているだけでは、両者の混合が
うまく行かず分散が悪くなり、トナーに安定な帯電付与
を行うことができないという弊害もある。また加熱スト
レスによるトナーの品質劣化を防ぐことができない致命
的問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述するように、静電
荷像を現像するために用いられるトナーに含有される荷
電制御剤には、荷電制御性はもとより、トナーの結着樹
脂との相溶性或いは濡れ性、荷電制御剤の安定性、さら
には無色であることが望まれているとともに、得られた
トナーが保存安定性に優れ、多数回繰り返し使用される
際にも耐久性を有し、またトナーの定着性やオフセット
性に悪影響を与えないことも要求されている。
【0007】本発明は、かかる従来の問題、要望を解決
し、優れた特性を有する静電荷像現像用トナーを提供す
ること、および特性の優れた荷電制御剤の提供、更には
この荷電制御剤の製造法を提供することを目的としてな
されたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
した結果、特定の条件により製造されたヒドロキシ芳香
族カルボン酸のカルシウム塩とヒドロキシ芳香族カルボ
ン酸とからなる組成物が上記諸要求を満たす荷電制御剤
となることを見いだして本発明をなしたものである。
【0009】すなわち第1の発明は、ヒドロキシ芳香族
カルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液とハロゲン化カル
シウムの水溶液をモル比において2:0.1〜0.95
の比で混合し、ヒドロキシ芳香族カルボン酸のカルシウ
ム塩を得た後、残存した前記アルカリ金属塩をpH5.
5以下にならない条件下でハロゲン化水素により水素に
置換して、ヒドロキシ芳香族カルボン酸にすることを特
徴とするヒドロキシ芳香族カルボン酸のカルシウム塩と
ヒドロキシ芳香族カルボン酸とからなる組成物の製造方
法である。
【0010】第2の発明は、ヒドロキシ芳香族カルボン
酸が一般式(1)で表される化合物であることを特徴と
する上記第1の発明の組成物の製造方法である。
【化2】 (式中、R1 、R2 およびR3 は、水素原子、飽和
または不飽和の直鎖または分岐鎖アルキル基、または芳
香族炭化水素基の残基であるアリール基を表すか、ある
いはR1 およびR2 またはR2 およびR3 が互いに
結合して、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖アルキ
ル基を有してもよい縮合環を形成する基を表す。)
【0011】第3の発明は、ヒドロキシ芳香族カルボン
酸が、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸または3−フェニルサリチ
ル酸であることを特徴とする上記第2の発明の組成物の
製造方法である。
【0012】第4の発明は、上記1〜3の発明のいずれ
かの方法により製造された組成物である。
【0013】第5の発明は、上記第4の発明の組成物を
含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーであ
る。
【発明の実施の形態】
【0014】以下、本発明を更に詳細に説明する。本願
発明の荷電制御剤として有用な、ヒドロキシ芳香族カル
ボン酸のカルシウム塩化合物とヒドロキシ芳香族カルボ
ン酸の組成物は、ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカ
リ金属塩の水溶液とハロゲン化カルシウムの水溶液をモ
ル比において2:0.1〜0.95の比で混合し、ヒド
ロキシ芳香族カルボン酸のカルシウム塩を得た後、残存
した前記アルカリ金属塩をpH5.5以下にならない条
件下でハロゲン化水素により置換して、ヒドロキシ芳香
族カルボン酸として再結晶させることにより製造され
る。これによりヒドロキシ芳香族カルボン酸のカルシウ
ム塩とヒドロキシ芳香族カルボン酸とからなる組成物が
得られる。
【0015】上記ハロゲン化カルシウムの水溶液として
は通常5〜20%程度、例えば10%程度の濃度の塩化
カルシウム水溶液等が用いられる。一方、ヒドロキシ芳
香族カルボン酸のアルカリ金属塩水溶液は、通常50〜
70℃、好ましくは60〜65℃程度に加熱した、0.
5ないし5%程度、例えば1ないし2%の濃度の水酸化
ナトリウム水溶液に、ナトリウムに対しほぼ等モルのヒ
ドロキシ芳香族カルボン酸を加え、好ましくは水溶液を
この温度に保持しつつ攪拌してヒドロキシ芳香族カルボ
ン酸を溶解せしめることにより製造される。また、ヒド
ロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩水溶液を製造
する温度は、ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ金
属塩の溶解性を考慮して決定されるもので、上記範囲が
通常利用される。
【0016】ハロゲン化カルシウム水溶液とヒドロキシ
芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩水溶液の混合は、ハ
ロゲン化カルシウム水溶液中にヒドロキシ芳香族カルボ
ン酸のアルカリ金属塩水溶液を滴下する方法とヒドロキ
シ芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩水溶液中にハロゲ
ン化カルシウム水溶液を滴下する方法といずれも可能で
あるが、いずれの方法においても混合における滴下速度
が速いと収量が低下するため、ゆっくりと時間をかけて
加えることが好ましい。またハロゲン化カルシウム水溶
液は、モル比においてヒドロキシ芳香族カルボン酸のア
ルカリ金属塩2部に対しハロゲン化カルシウム0.1〜
0.95部の範囲の量、好ましくは0.3〜0.8部の
範囲の量で使用される。ヒドロキシ芳香族カルボン酸の
アルカリ金属塩水溶液とハロゲン化カルシウム水溶液の
混合後さらに十分な時間、例えば1時間程度攪拌を続け
た後、残存した前記アルカリ金属塩を、pHが5.5以
下にならない条件下で、希塩酸のようなハロゲン化水素
を加えることにより水素に置換して、ヒドロキシ芳香族
カルボン酸に再結晶させた後、濾過し、反応生成物を濾
別した後、水洗し、乾燥、粉砕することにより目的のヒ
ドロキシ芳香族カルボン酸のカルシウム塩とヒドロキシ
芳香族カルボン酸とからなる組成物が得られる。またハ
ロゲン化水素を添加してアルカリ金属をHに置き換える
際は、添加後の溶液のpHは5.5より小さくしてはな
らない。pHが5.5より小さくなると形成されたカル
シウム塩の結合が切れてしまい所望のカルシウム塩が形
成されなくなってしまう。またHに置き換えられたアル
カリ金属はハロゲン化物と結合しアルカリ金属塩とな
り、溶液中に溶解する。濾過して得られた上記反応生成
物を水洗するのはこのアルカリ金属塩成分を除去するた
めである。このときハロゲン化カルシウム水溶液の温
度、ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩水溶
液の温度、ハロゲン化水素の温度、これらの混合液の温
度、吸引濾過時の温度は、いずれも通常50〜70℃程
度、好ましくは60〜65℃の温度を保持した状態とし
ておくことが好ましい。濾過は、吸引濾過方式、遠心分
離方式等従来より公知の方法により行うことができる。
【0017】また、本発明において使用されるヒドロキ
シ芳香族カルボン酸は、上記一般式(1)で表されるも
のが好ましいが、上記一般式(1)中の置換基R1、R
2およびR3としては、例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イ
ソアミル基、オクチル基、tert−オクチル基、ドデ
シル基等の炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖アルキル
基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等の不飽和ア
ルキル基、あるいはフェニル基、トリル基、キシリル
基、ナフチル基等のアリール基が好ましいものとしてあ
げられる。その中で、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖
の飽和または不飽和アルキル基やアリール基がより好ま
しく、更にはtert−ブチル基、tert−オクチル
基、フェニル基が特に好ましいものである。
【0018】従来公知のヒドロキシ芳香族カルボン酸カ
ルシウム塩や該ヒドロキシ芳香族カルボン酸カルシウム
塩にヒドロキシ芳香族カルボン酸を加えて得られた混合
物と比較して、本願製造方法により得られるヒドロキシ
芳香族カルボン酸のカルシウム塩とヒドロキシ芳香族カ
ルボン酸とからなる組成物はトナーに対する良好な安定
した負の帯電性を持っている。またトナーバインダー中
への相溶性、濡れ性に優れているため、分散性、分配性
を飛躍的に改善することができる。これによりトナー中
に均一に荷電制御剤を分散させることができる。これら
の効果により、結果として画像濃度が安定し、カブリの
少ない良好な画像特性を得ることができ、更に機内飛散
を抑えることもできる。またトナーを長時間高温の状態
で保存して経時変化を起こさず品質の低下を抑えること
ができる。これは本願の製造法によって得られた組成物
中に含まれるヒドロキシ芳香族カルボン酸部分がトナー
への良好な帯電をもたらしているとともに、カルシウム
塩部分がその帯電の安定性に大きく寄与している。また
両者が均一な分散状態で存在していることで、トナーバ
インダー中への良好な相溶性、濡れ性をもたらしている
と推測される。またこの良好な帯電性、その安定性及び
良好な分散性の特性が相乗効果となって、加熱放置によ
るトナーの経時変化を防ぐことに繋がっている。これは
ヒドロキシ芳香族カルボン酸カルシウム塩中にヒドロキ
シ芳香族カルボン酸を添加して混合して得られたトナー
では加熱放置によって品質が悪化してしまうことからも
この製造方法による効果が非常に大きいことがわかる。
【0019】本願に使用できるヒドロキシ芳香族カルボ
ン酸は先述したように一般式(1)に記載の骨格を持つ
ものであれば良いが、本願の組成物を設計する上では、
原料であるヒドロキシ芳香族カルボン酸の性質を十分に
考慮して選択する必要がある。芳香族性が高いものや、
分子量が大きいものは、親油性が強く相溶性、濡れ性に
優れトナー母粒子中への分散性、分配性が良好である傾
向がある。一方、芳香族性が低いものや、分子量が小さ
いものは、分子中の−OHの割合が高くなり負帯電性が
強くなる。このような性質を考慮して設計することによ
り、トナーとして良好な特性を得ることができる。中で
も3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3−ヒド
ロキシ−2−ナフトエ酸、3−フェニルサリチル酸を用
いることによりトナーとして良好な特性を得ることがで
きる。
【0020】また製造時での配合比率によって、ヒドロ
キシ芳香族カルボン酸カルシウム塩とヒドロキシ芳香族
カルボン酸の混合比率を変えることによっても機能を調
整することができる。トナーとして良好な特性を得るた
めには、合成時にヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカ
リ金属塩の水溶液とハロゲン化カルシウムの水溶液をモ
ル比において2:0.1〜0.95の比にて混合し合成
することが好ましい。これより合成された組成物のヒド
ロキシ芳香族カルボン酸カルシウム塩とヒドロキシ芳香
族カルボン酸の比率は計算上0.1:1.8〜0.9
5:0.1となる。さらに好ましい合成時のモル比は
2:0.3〜0.8の比であり、これより合成された組
成物の両者の比率は計算上0.3:1.4〜0.8:
0.6となる。この範囲から外れてしまうとトナーとし
て所望の性能を得ることができない。ヒドロキシ芳香族
カルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液のモル比を2とし
たときにハロゲン化カルシウムの水溶液のモル比が0.
1より小さくなってしまうとトナーとしての帯電量を安
定して制御することができなくなってしまい、また0.
95よりも大きくなってしまうとトナーに十分な帯電量
を付与させることができなくなってしまう。
【0021】トナー中の本願組成物の含有量は、カルシ
ウム元素に着目して、蛍光X線分析装置により定量分析
を行うことができる。あらかじめ擬似トナーとして既知
の該組成物含有の標準サンプルを3検体ほど用意し、そ
れを用いてカルシウム元素の強度から得られる検量線を
作成して、未知サンプルの含有量を求めることができ
る。この定量分析にて、分級して得られたトナー母粒
子、トナー母粒子よりも細かい微粉(以下分級微粉とす
る)および微粉砕前のトナーチップ中のカルシウムの含
有量を求めることにより、該組成物のトナー中への分配
性を数値化することができる。トナー母粒子、分級微粉
及びトナーチップ中のカルシウム含有量の差がほとんど
なく等しければ分配性は良好であることがわかる。一方
トナー母粒子と分級微粉中の差が大きいものは分配不良
を起こしていることが確認できる。分配不良を起こして
しまうと、分級微粉を再度原料として混練時に再投入し
てリサイクルする際に組成が変動し安定しなくなり事実
上リサイクル使用が困難になってしまう。この傾向は分
級微粉側にカルシウム含有量が多くなり、トナー母粒子
側のその含有量は若干少なくなる。
【0022】本発明の静電荷像現像用トナーの構成成分
としては、本発明の荷電制御剤以外に、トナーを構成す
る公知の材料である、結着樹脂、着色剤或いは磁性粉
体、更に必要に応じ離型剤、滑剤、流動性改良剤、研磨
剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等が用いられる。ま
た、荷電制御剤として、本発明の荷電制御剤以外の、例
えばCr、Co、Al、Feなどの金属含有アゾ系染
料、樹脂型電荷調整剤等公知の負荷電性の荷電制御剤を
使用することもできる。他の荷電制御剤の本発明の荷電
制御剤に対する使用量は、本発明の荷電制御剤の効果が
奏される範囲であればよく、特に限定されるものではな
い。
【0023】本発明のトナーに用いられる結着樹脂とし
ては、具体的にはスチレン系重合体、例えば、ポリスチ
レン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン
などのスチレンおよびその置換体の単重合体、スチレン
−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン
共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレ
ン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル系
共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共
重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、ス
チレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビ
ニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重
合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アク
リロニトリル−インデン共重合体、スチレン−ジメチル
アミノエチルアクリレート共重合体、スチレンジエチル
アミノエチルアクリレート共重合体、スチレン−ブチル
アクリレート−ジエチルアミノエチルメタクリレート共
重合体等のスチレン系共重合体、架橋されたスチレン系
共重合体など;ポリエステル樹脂、例えば、脂肪属ジカ
ルボン酸、芳香属ジカルボン酸、芳香属ジアルコール、
ジフェノール類から選択される単量体を構造単位として
有するポリエステル樹脂、架橋したポリエステル樹脂な
ど;その他ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェ
ノール樹脂、マレイン樹脂、ロジン変性マレイン樹脂、
ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、
ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラー
ル、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、キシレン樹
脂、脂肪族または脂肪族炭化水素樹脂、石油樹脂などを
挙げることができる。
【0024】上記スチレンアクリル系共重合体に使用さ
れるアクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸や
メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オ
クチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸フェ
ニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸オクチルなどの(メタ)
アクリル酸エステル類が挙げられ、更にはこれと共に用
いることができる単量体として、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、アクリルアミド、マレイン酸、マレ
イン酸ブチルなどのマレイン酸ハーフエステル、あるい
はジエステル類、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルメチ
ルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエ
ーテル、ビニルブチルエーテルなどのビニルエーテル
類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニル
ヘキシルケトンなどのビニルケトン類を挙げることがで
きる。
【0025】また、上記の架橋したスチレン系重合体を
製造するために用いる架橋剤としては、主として不飽和
結合を2個以上有する化合物を挙げることができ、具体
的には、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン
などの芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジア
クリレート、エチレングリコールジメタクリレートなど
の不飽和結合を2個以上有するカルボン酸エステル;ジ
ビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィ
ド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;および不
飽和結合を3個以上有する化合物を、単独であるいは混
合して使用することができる。上記架橋剤は、結着樹脂
100重量部に対して、0.01〜10重量%、好まし
くは0.05〜5重量%で用いられる。
【0026】これらの樹脂は、単独であるいは2種以上
を併用して用いることができる。これら樹脂のうち、ス
チレン系重合体、ポリエステル樹脂は、特に優れた帯電
特性を示すため好ましいものである。また、GPC(ゲ
ルパーミエーション・クロマトグラフー)により測定さ
れる分子量分布で1x 103 から5x 104 の領域に少
なくとも一つのピークを有し、かつ105 以上の領域に
少なくとも一つのピークあるいはショルダーを有するス
チレン系共重合体、更には2種以上の樹脂、例えば前記
スチレン樹脂とスチレン−アクリル系共重合体との併用
あるいは2種以上のスチレン−アクリル系共重合体の併
用などによりこのような分子量分布を有するようにされ
た樹脂組成物が、トナーの粉砕性、定着性などの点から
好ましいものである。
【0027】更に、加圧定着方式を用いる場合には、圧
力トナー用結着樹脂を使用することができる。このよう
な樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリメチレン、ポリウレタンエラストマー、エチレ
ン−エチルアクリレート共重合体、スチレン−イソプレ
ン共重合体、線状飽和ポリエステル、パラフィンおよび
他のワックス類を挙げることができる。
【0028】本発明の静電荷像現像用トナーにおいて用
いることができる着色剤としては、従来トナーの製造に
おいて用いられることが知られた着色剤がいずれも使用
可能であり、これら着色剤の例としては、脂肪酸金属
塩、種々のカーボンブラック、フタロシアニン系、ロー
ダミン系、キナクリドン系、トリアリールメタン系、ア
ントラキノン系、アゾ系、ジアゾ系などの染顔料があげ
られる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用
することができる。
【0029】また、本発明の静電荷像現像用トナーにお
いては、磁性体粉末を用いることができる。使用可能な
磁性体は、従来磁性トナーの製造において使用されてい
る強磁性の元素を含む合金、化合物等何れのものであっ
てもよい。これら磁性体の例としては、マグネタイト、
マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄または二価金属と
酸化鉄との化合物、鉄、コバルト、ニッケルのような金
属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、
鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウ
ム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セ
レン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属
の合金、およびこれらの混合物があげられる。
【0030】本発明のトナーは、キャリアと混合して二
成分トナーとして用いることもできる。本発明のトナー
とともに用いることのできるキャリアとしては、従来公
知のキャリアがいずれも使用できる。使用することがで
きるキャリアとしては、例えば、鉄粉、フェライト粉、
ニッケル粉のような磁性粉体やガラスビーズ等、あるい
はこれらの表面を樹脂などで処理したものが挙げられ
る。キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン−
アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸
エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタ
クリル酸エステル共重合体、フッ素含有樹脂、シリコー
ン含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリ
フェニレンサルファイド樹脂など、あるいはこれらの混
合物があげられる。これらのなかでは、スペントトナー
の形成が少ないためフッ素含有樹脂、シリコーン含有樹
脂が特に好ましい。
【0031】本発明の荷電制御剤を用いたトナーにおい
ては、重量平均粒径が3〜15μmのトナーが好まし
い。特に、5μm以下の粒径を有するトナー粒子が12
〜60個数%含有され、8〜12.7μmの粒径を有す
るトナー粒子が1〜33個数%含有され、16μm以上
の粒径を有するトナー粒子が2.0重量%以下含有さ
れ、トナーの重量平均粒径が4〜15μmであること
が、現像特性のうえからはより好ましい。なお、トナー
の粒度分布測定は、例えばコールターカウンターを用い
て測定することができる。
【0032】本発明のトナーは、さらに必要に応じて離
型剤、滑剤、流動性改良剤、研磨剤、導電性付与剤、画
像剥離防止剤等のトナーの製造に当たり使用されている
公知の添加剤を内添、あるいは外添することができる。
これら添加剤の例としては、離型剤としては、例えば低
分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイク
ロクリスタリンワックス、カルナバワックス、サゾール
ワックス、パラフィンワックスなどのワックス状物質が
あげられ、これらは通常0.5〜5重量%程度の量でト
ナー中に加えられる。また、滑剤としては、ポリフッ化
ビニリデン、ステアリン酸亜鉛などが、流動性改良剤と
しては、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、酸化チ
タンなどが、研磨剤としては酸化セリウム、炭化ケイ
素、チタン酸ストロンチウム、タングステンカーバイ
ド、炭酸カルシウムなどが、導電性付与剤としてはカー
ボンブラック、酸化スズなどがあげられる。また、ポリ
ビニリデンフルオライドなどのフッ素含有重合体の微粉
末は、流動性、研磨性、帯電安定性などの点から好まし
いものである。
【0033】本発明に係るトナーは、従来から公知のト
ナーの製造方法を用いて製造することができる。一般的
には、上述したようなトナー構成材料を、ボールミル、
ヘンシェルミキサーなどの混合機により充分混合したの
ち、熱ロールニーダー、一軸あるいは二軸のエクストル
ーダーなどの熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化
後、ハンマーミルなどの粉砕機を用いて機械的に粗粉砕
し、次いでジェットミルなどにより微粉砕した後、分級
する方法により製造するのが好ましい。しかし、トナー
の製造法はこの方法に限られるものではなく、結着樹脂
溶液中に他のトナー構成材料を分散した後、噴霧乾燥す
る方法、所謂マイクロカプセル法によりトナーを製造す
る方法、結着樹脂を形成する単量体に所定材料を混合
し、乳化あるいは懸濁重合を行いトナーを得る重合法ト
ナー製造法など他の方法も任意に採用することができ
る。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明の荷電制御剤の製
造法、静電荷像現像用トナーおよびその製造法を具体的
に説明する。しかし、以下の実施例は本発明を説明する
ためのものであり、これにより本発明が限定されるもの
ではない。
【0035】製造例1(3,5−ジ−tert−ブチル
サリチル酸のカルシウム塩と3,5−ジ−tert−ブ
チルサリチル酸とからなる組成物の製造) 最初に下記、の2つの水溶液を作製した。 水1350gに水酸化ナトリウム24g(0.6モ
ル)を溶解し、次いで3,5−ジ−tert−ブチルサ
リチル酸150g(0.6モル)を内温60〜65℃で
溶解した。溶解後のpHは8.44であった。 水1050gに塩化カルシウム2水和物35.3g
(0.24モル)を60〜65℃で溶解した。溶解後の
pHは6.94であった。 上記の溶液をに内温60〜65℃にて、2時間かけ
て滴下し、その後内温70〜80℃で1時間攪拌して沈
殿物を得た。その時の溶液のpHは8.5であった。そ
の後希塩酸(濃塩酸:水=1:9)を94g加えてpH
を6.5に調整した後、吸引ろ過を行い、水1500g
で水洗し、110℃で15時間乾燥した。水洗終了時で
はpHは6.97で、電気伝導度は24.5mS/mで
あった。得られた濾過物(wet)の重量は436.3
gで最終的に、110℃で15時間乾燥し146gの組
成物を得た。以下この組成物を製造物1とする。このと
き得られた組成物の理論上の組成は、3,5−ジ−te
rt−ブチルサリチル酸カルシウム塩と3,5−ジ−t
ert−ブチルサリチル酸の比率が0.24モル:0.
12モルとなる。これは3,5−ジ−tert−ブチル
サリチル酸カルシウム塩を得るために、0.24モルの
カルシウムと0.48モルのヒドロキシ芳香族カルボン
酸が使われるため、Hで置換して得られる3,5−ジ−
tert−ブチルサリチル酸は0.12モルとなる。原
料である3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸を2
モルとすると比率は0.8モル:0.4モルとなる。製
造物1は下記の2つの構造式(2)と(3)とからなる
組成物である。(但し式中tBuはtert−ブチル基
を表す。)
【0036】
【化3】
【0037】製造例2(3,5−ジ−tert−ブチル
サリチル酸のカルシウム塩と3,5−ジ−tert−ブ
チルサリチル酸とからなる組成物の製造) 最初に下記、の2つの水溶液を作製した。 水1350gに水酸化ナトリウム24g(0.6モ
ル)を溶解し、次いで3,5−ジ−tert−ブチルサ
リチル酸150g(0.6モル)を内温60〜65℃で
溶解した。溶解後のpHは8.43であった。 水1050gに塩化カルシウム2水和物41.9g
(0.285モル)を60〜65℃で溶解した。溶解後
のpHは7.52であった。 上記の溶液をに内温60〜65℃にて、2時間かけ
て滴下し、その後内温70〜80℃で1時間攪拌して沈
殿物を得た。その時の溶液のpHは8.3であった。そ
の後希塩酸(濃塩酸:水=1:9)を94g加えてpH
を6.6に調整した後、吸引ろ過を行い、水1500g
で水洗し、110℃で15時間乾燥した。水洗終了時で
はpHは7.37で、電気伝導度は22.4mS/mで
あった。得られた濾過物(wet)の重量は435.7
gで最終的に、110℃で15時間乾燥し146gの組
成物を得た。以下この組成物を製造物2とする。このと
き得られた組成物の理論上の組成は、3,5−ジ−te
rt−ブチルサリチル酸カルシウム塩と3,5−ジ−t
ert−ブチルサリチル酸の比率が0.285モル:
0.03モルとなっている。また原料である3,5−ジ
−tert−ブチルサリチル酸を2モルとすると比率は
0.95モル:0.1モルとなる。
【0038】製造例3(3,5−ジ−tert−ブチル
サリチル酸のカルシウム塩と3,5−ジ−tert−ブ
チルサリチル酸とからなる組成物の製造) 最初に下記、の2つの水溶液を作製した。 水1350gに水酸化ナトリウム24g(0.6モ
ル)を溶解し、次いで3,5−ジ−tert−ブチルサ
リチル酸150g(0.6モル)を内温60〜65℃で
溶解した。溶解後のpHは8.44であった。 水1050gに塩化カルシウム2水和物4.4g
(0.03モル)を60〜65℃で溶解した。溶解後の
pHは7.11であった。 上記の溶液をに内温60〜65℃にて、2時間かけ
て滴下し、その後内温70〜80℃で1時間攪拌して沈
殿物を得た。その時の溶液のpHは8.4であった。そ
の後希塩酸(濃塩酸:水=1:9)を94g加えてpH
を6.4に調整した後、吸引ろ過を行い、水1500g
で水洗し、110℃で15時間乾燥した。水洗終了時で
はpHは6.61で、電気伝導度は24.2mS/mで
あった。得られた濾過物(wet)の重量は433.7
gで最終的に、110℃で15時間乾燥し149gの組
成物を得た。以下この組成物を製造物3とする。このと
き得られた組成物の理論上の組成は、3,5−ジ−te
rt−ブチルサリチル酸カルシウム塩と3,5−ジ−t
ert−ブチルサリチル酸の比率が0.03モル:0.
54モルとなっている。また原料である3,5−ジ−t
ert−ブチルサリチル酸を2モルとすると比率は0.
1モル:1.8モルとなる。
【0039】製造例4(3−ヒドロキシ−2−ナフトエ
酸のカルシウム塩と3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸と
からなる組成物の製造) 最初に下記、の2つの水溶液を作製した。 水1350gに水酸化ナトリウム24g(0.6モ
ル)を溶解し、次いで3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
113g(0.6モル)を内温60〜65℃で溶解し
た。溶解後のpHは8.21であった。 水1050gに塩化カルシウム2水和物35.3g
(0.24モル)を60〜65℃で溶解した。溶解後の
pHは6.92であった。 上記の溶液をに内温60〜65℃にて、2時間かけ
て滴下し、その後内温70〜80℃で1時間攪拌して沈
殿物を得た。その時の溶液のpHは8.4であった。そ
の後希塩酸(濃塩酸:水=1:9)を94g加えてpH
を6.5に調整した後、吸引ろ過を行い、水1500g
で水洗し、110℃で15時間乾燥した。水洗終了時で
はpHは6.88で、電気伝導度は24.7mS/mで
あった。得られた濾過物(wet)の重量は349.2
gで最終的に、110℃で15時間乾燥し117gの組
成物を得た。以下この組成物を製造物4とする。このと
き得られた組成物の理論上の組成は、3−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸カルシウム塩と3−ヒドロキシ−2−ナ
フトエ酸の比率が0.24モル:0.12モルとなって
いる。また原料である3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
を2モルとすると比率は0.8モル:0.4モルとな
る。製造物4は下記の2つの構造式(4)と(5)とか
らなる組成物である。
【0040】
【化4】
【0041】製造例5(3−フェニルサリチル酸のカル
シウム塩と3−フェニルサリチル酸とからなる組成物の
製造) 製造例1で用いた3,5−ジ−tert−ブチルサリチ
ル酸を用いる代わりに3−フェニルサリチル酸を用いた
以外は、製造例1と同様にして組成物を得た。以下この
組成物を製造物5とする。このとき得られた組成物の理
論上の組成は、3−フェニルサリチル酸カルシウム塩と
3−フェニルサリチル酸の比率が0.24モル:0.1
2モルとなっている。また原料である3−フェニルサリ
チル酸を2モルとすると比率は0.8モル:0.4モル
となる。製造物5は下記の2つの構造式(6)、(7)
からなる組成物である。
【0042】
【化5】
【0043】比較製造例1(3,5−ジ−tert−ブ
チルサリチル酸のカルシウム塩の製造) 最初に下記、の2つの水溶液を作製した。 水1350gに水酸化ナトリウム24gを溶解し、次
いで3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸150g
(0.6モル)を内温60〜65℃で溶解した。溶解後
のpHは8.36であった。 水1050gに塩化カルシウム2水和物51.9g
(0.35モル)を60〜65℃で溶解した。溶解後の
pHは8.16であった。 上記の溶液をに内温60〜65℃にて、2時間かけ
て滴下し、その後内温70〜80℃で1時間攪拌して沈
殿物を得た。その時の溶液のpHは6.92で、電気伝
導度は1.86S/mであった。攪拌後、熱時濾過を行
い、水1500gで水洗した。水洗終了時ではpHは
7.58で、電気伝導度は19.34mS/mであっ
た。得られた濾過物(wet)の重量は436.1gで
最終的に、110℃で15時間乾燥し166.9gの化
合物を得た。ここでは理論上3,5−ジ−tert−ブ
チルサリチル酸は存在していない。以下この化合物を比
較製造物1とする。
【0044】比較製造例2(3−ヒドロキシ2−ナフト
エ酸のカルシウム塩の製造) 3−ヒドロキシ2−ナフトエ酸を用いる以外は、比較製
造例1と同様にして化合物を得た。この化合物を比較製
造物2とする。
【0045】比較製造例3(3,5−ジ−tert−ブ
チルサリチル酸のカルシウム塩と3,5−ジ−tert
−ブチルサリチル酸とからなる組成物の製造) 比較製造物1 107.6g(0.2モル)を3,5−
ジ−tert−ブチルサリチル酸25g(0.1モル)
を溶解しているメタノール溶液1000g中に溶解させ
十分に攪拌し分散させた後、メタノールを除去した後、
乾燥を行い混合物を124.1g得た。この混合物を比
較製造物3とする。
【0046】比較製造例4(3,5−ジ−tert−ブ
チルサリチル酸カルシウム塩と3,5−ジ−tert−
ブチルサリチル酸とからなる組成物の製造) 最初に下記、の2つの水溶液を作製した。 水1350gに水酸化ナトリウム24g(0.6モ
ル)を溶解し、次いで3,5−ジ−tert−ブチルサ
リチル酸150g(0.6モル)を内温60〜65℃で
溶解した。溶解後のpHは8.45であった。 水1050gに塩化カルシウム2水和物35.3g
(0.24モル)を60〜65℃で溶解した。溶解後の
pHは6.91であった。 上記の溶液をに内温60〜65℃にて、2時間かけ
て滴下し、その後内温70〜80℃で1時間攪拌して沈
殿物を得た。その時の溶液のpHは8.5であった。そ
の後希塩酸(濃塩酸:水=1:8)を121g加えてp
Hを3.1にした後、吸引ろ過を行い、水1500gで
水洗し、110℃で15時間乾燥した。水洗終了時では
pHは3.93で、電気伝導度は23.6mS/mであ
った。得られた濾過物(wet)の重量は424.4g
で最終的に、110℃で15時間乾燥し147gの組成
物を得た。以下この組成物を比較製造物4とする。ここ
で得られた組成物は3,5−ジ−tert−ブチルサリ
チル酸カルシウム塩の結合が切れてしまい、3,5−ジ
−tert−ブチルサリチル酸と塩化カルシウムの混合
物となっていた。
【0047】
【表1】
【0048】実施例1 飽和共重合ポリエステル樹脂 93重量部 キナクリドン顔料 5重量部 製造物1 2重量部 上記材料をヘンシェルミキサーで混合した後、二軸加熱
混練機に投入し混練し、押し出されてきたものを、室温
で冷却した後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、ジェッ
トミル粉砕機で微粉砕し、分級機に導き平均粒径9μm
の負帯電性トナー母粒子を得た。次いで、このトナー母
粒子100重量部に対して、流動化剤として働く疎水性
シリカ(アエロジルR974)0.4重量部、および研
磨剤として働くステアリン酸処理したルチル型酸化チタ
ン0.5重量部と混合しマゼンタトナーを得た。このマ
ゼンタトナーとキャリア(シリコーン樹脂でコートした
粒径約70μmの球形フェライト粉)とを、トナ−濃度
が5重量%となるように混合して、二成分系現像剤とし
た。この現像剤を用い、23℃、50%RH下に、市販
の電子複写機により現像を行ったところ、カブリ、オフ
セットのない鮮明なマゼンタ色のトナー画像を得ること
ができ、100000枚の連続複写を行ったが、複写品
質の低下は認められなかった。また加熱劣化によるトナ
ーの品位を確認するべく、このマゼンタトナーを乾燥機
中に50℃72時間放置した後、得られた加熱されたト
ナーを上記の複写機に追加してさらに10000枚の連
続複写を行ったが、複写品質の低下は認められなかっ
た。また、分級して得られたトナー母粒子、トナーチッ
プおよびトナー微粉粒子中の製造物1の含有量をカルシ
ウム元素に着目して蛍光X線分析装置によって定量分析
を行った。この測定結果を表2にまとめた。トナー母粒
子および分級微粉中の製造物1の含有量にはほとんど差
がなく、分配性が優れていた。
【0049】
【表2】
【0050】実施例2 実施例1で用いた製造物1の代わりに製造物2を用いた
以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得た。
このトナーを用いて実施例1と同様に二成分現像剤を作
製し、23℃、50%RH下にて、市販の電子複写機に
より現像を行ったところ、カブリ、オフセットのない鮮
明なマゼンタ色のトナー画像を得ることができ、100
000枚の連続複写を行ったが、複写品質の低下は認め
られなかった。また加熱劣化によるトナーの品位を確認
するべく、このマゼンタトナーを乾燥機中に50℃72
時間放置した後、得られた加熱されたトナーを上記の複
写機に追加してさらに10000枚の連続複写を行った
が、複写品質の低下は認められなかった。また、表2か
らもわかるようにトナー母粒子および分級微粉中の製造
物2の含有量にはほとんど差がなく、分配性が優れてい
た。
【0051】実施例3 実施例1で用いた製造物1の代わりに製造物3を用いた
以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得た。
このトナーを用いて実施例1と同様に二成分現像剤を作
製し、23℃、50%RH下にて、市販の電子複写機に
より現像を行ったところ、カブリ、オフセットのない鮮
明なマゼンタ色のトナー画像を得ることができ、100
000枚の連続複写を行ったが、複写品質の低下は認め
られなかった。また加熱劣化によるトナーの品位を確認
するべく、このマゼンタトナーを乾燥機中に50℃72
時間放置した後、得られた加熱されたトナーを上記の複
写機に追加してさらに10000枚の連続複写を行った
が、複写品質の低下は認められなかった。また、表2か
らもわかるようにトナー母粒子および分級微粉中の製造
物3の含有量にはほとんど差がなく、分配性が優れてい
た。
【0052】実施例4 実施例1で用いた製造物1の代わりに製造物4を用いた
以外は、実施例1と同様にしてシアントナーを得た。こ
のトナーを用いて実施例1と同様に二成分現像剤を作製
し、23℃、50%RH下にて、市販の電子複写機によ
り現像を行ったところ、カブリ、オフセットのない鮮明
なマゼンタ色のトナー画像を得ることができ、1000
00枚の連続複写を行ったが、複写品質の低下は認めら
れなかった。また加熱劣化によるトナーの品位を確認す
るべく、このマゼンタトナーを乾燥機中に50℃72時
間放置した後、得られた加熱されたトナーを上記の複写
機に追加してさらに10000枚の連続複写を行った
が、複写品質の低下は認められなかった。また、表2か
らもわかるようにトナー母粒子および分級微粉中の製造
物4の含有量にはほとんど差がなく、分配性が優れてい
た。
【0053】実施例5 実施例1で用いた製造物1の代わりに製造物5を用いた
以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得た。
このトナーを用いて実施例1と同様に二成分現像剤を作
製し、23℃、50%RH下にて、市販の電子複写機に
より現像を行ったところ、カブリ、オフセットのない鮮
明なマゼンタ色のトナー画像を得ることができ、100
000枚の連続複写を行ったが、複写品質の低下は認め
られなかった。また加熱劣化によるトナーの品位を確認
するべく、このマゼンタトナーを乾燥機中に50℃72
時間放置した後、得られた加熱されたトナーを上記の複
写機に追加してさらに10000枚の連続複写を行った
が、複写品質の低下は認められなかった。また、表2か
らもわかるようにトナー母粒子および分級微粉中の製造
物5の含有量にはほとんど差がなく、分配性が優れてい
た。
【0054】実施例6 実施例1で用いたキナクリドン顔料の代わりにフタロシ
アニンブルーを用いた以外は、実施例1と同様にしてシ
アントナーを得た。このトナーを用いて実施例1と同様
に二成分現像剤を作製し、23℃、50%RH下にて、
市販の電子複写機により現像を行ったところ、カブリ、
オフセットのない鮮明なシアン色のトナー画像を得るこ
とができ、100000枚の連続複写を行ったが、複写
品質の低下は認められなかった。また加熱劣化によるト
ナーの品位を確認するべく、このシアントナーを乾燥機
中に50℃72時間放置した後、得られた加熱されたト
ナーを上記の複写機に追加してさらに10000枚の連
続複写を行ったが、複写品質の低下は認められなかっ
た。またトナー母粒子および分級微粉中の製造物1の含
有量にはほとんど差がなく、分配性が優れていた。
【0055】実施例7 実施例1で用いたキナクリドン顔料の代わりに不溶性ア
ゾ顔料(黄色)を用いた以外は、実施例1と同様にして
イエロートナーを得た。このトナーを用いて実施例1と
同様に二成分現像剤を作製し、23℃、50%RH下に
て、市販の電子複写機により現像を行ったところ、カブ
リ、オフセットのない鮮明なマゼンタ色のトナー画像を
得ることができ、100000枚の連続複写を行った
が、複写品質の低下は認められなかった。また加熱劣化
によるトナーの品位を確認するべく、このイエロートナ
ーを乾燥機中に50℃72時間放置した後、得られた加
熱されたトナーを上記の複写機に追加してさらに100
00枚の連続複写を行ったが、複写品質の低下は認めら
れなかった。またトナー母粒子および分級微粉中の製造
物1の含有量にはほとんど差がなく、分配性が優れてい
た。
【0056】実施例8 実施例1で用いたフタロシアニンブルーの代わりにカー
ボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にして黒
トナーを得た。このトナーを用いて実施例1と同様に二
成分現像剤を作製し、23℃、50%RH下にて、市販
の電子複写機により現像を行ったところ、カブリ、オフ
セットのない黒色のトナー画像を得ることができ、10
0000枚の連続複写を行ったが、複写品質の低下は認
められなかった。また加熱劣化によるトナーの品位を確
認するべく、この黒トナーを乾燥機中に50℃72時間
放置した後、得られた加熱されたトナーを上記の複写機
に追加してさらに10000枚の連続複写を行ったが、
複写品質の低下は認められなかった。また、トナー母粒
子および分級微粉中の製造物1の含有量にはほとんど差
がなく、分配性が優れていた。
【0057】比較例1 実施例1で用いた製造物1の代わりに比較製造物1を用
いた以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得
た。このトナーを用いて実施例1と同様に二成分現像剤
を作製し試験を行ったところ、常温常湿(23℃50%
RH)下では初期からカブリが多く、5000枚後に機
内のトナー飛散が多くなったため画像試験を中止した。
また分級して得られたトナー母粒子および分級微粉中の
比較製造物1の含有量に差があった。
【0058】比較例2 実施例1で用いた製造物1の代わりに比較製造物2を用
いた以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得
た。このトナーを用いて実施例1と同様に二成分現像剤
を作製し試験を行ったところ、常温常湿(23℃50%
RH)下では初期からカブリが多く、3000枚後に機
内のトナー飛散が多くなったため画像試験を中止した。
また分級して得られたトナー母粒子および分級微粉中の
比較製造物2の含有量に差があった。
【0059】比較例3 実施例1で用いた製造物1の代わりに3,5−ジ−te
rt−ブチルサリチル酸を用いた以外は、実施例1と同
様にしてマゼンタトナーを得た。このトナーを用いて実
施例1と同様に二成分現像剤を作製し試験を行ったとこ
ろ、常温常湿(23℃50%RH)下では初期から画像
濃度が低かったため画像試験を中止した。
【0060】比較例4 飽和共重合ポリエステル樹脂 93重量部 キナクリドン顔料 5重量部 比較製造物1 1重量部 3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸 1重量部 を用いて、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得
た。このトナーを用いて実施例1と同様に二成分現像剤
を作製し試験を行ったところ、常温常湿(23℃50%
RH)下では30000枚複写までは良好であったもの
の、その後カブリが増加する傾向が見られ、50000
枚にて試験を中断した。また加熱劣化によるトナーの品
位を確認するべく、このマゼンタトナーを乾燥機中に5
0℃72時間放置した後、得られた加熱を用いてされた
トナーを用いて二成分現像剤を作製し上記複写機にて初
期から連続複写試験を行ったが、カブリが増大し、機内
飛散が顕著に起こり複写機内の転写チャージャー上にト
ナーが積もったため5000枚で試験を中止した。また
分級して得られたトナー母粒子および分級微粉中の比較
製造物1と比較製造物2合計の含有量に差があった。
【0061】比較例5 実施例1で用いた製造物1の代わりに比較製造物3を用
いた以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得
た。このトナーを用いて実施例1と同様に二成分現像剤
を作製し試験を行ったところ、常温常湿(23℃50%
RH)下では初期から40000枚複写までは良好であ
ったものの、その後かぶりが増加する傾向が見られ、5
5000枚にて試験を中断した。また加熱劣化によるト
ナーの品位を確認するべく、このマゼンタトナーを乾燥
機中に50℃72時間放置した後、得られた加熱を用い
てされたトナーを用いて二成分現像剤を作製し上記複写
機にて初期から連続複写試験を行ったが、初期から10
000枚までは良好であったものの、その後カブリが増
大し、機内飛散が顕著に起こり複写機内の転写チャージ
ャー上にトナーが積もったため20000枚で試験を中
止した。また分級して得られたトナー母粒子および分級
微粉中の比較製造物3の含有量に差があった。
【0062】比較例6 実施例1で用いた製造物1の代わりに比較製造物4を用
いた以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得
た。このトナーを用いて実施例1と同様に二成分現像剤
を作製し試験を行ったところ、常温常湿(23℃50%
RH)下では初期から画像濃度が低く画像形成ができな
かったため試験を中止した。また分級して得られたトナ
ー母粒子および分級微粉中の比較製造物4の含有量に差
があった。
【0063】
【発明の効果】本発明においては、ヒドロキシ芳香族カ
ルボン酸のアルカリ金属塩とハロゲン化カルシウムとを
モル比において2:0.1〜0.95の比で混合し、ヒ
ドロキシ芳香族カルボン酸のカルシウム塩を得た後、残
存した前記アルカリ金属塩をpH5.5以下にならない
条件下でハロゲン化水素により水素に置換して、ヒドロ
キシ芳香族カルボン酸にすることにより、ヒドロキシ芳
香族カルボン酸のカルシウム塩とヒドロキシ芳香族カル
ボン酸とからなる組成物を製造することができる。また
本発明の組成物を用いることにより、分散性に優れ、保
存安定性に優れ、多数回繰り返し使用される際にも濃度
変化、かぶりなどの発生がなく、環境変化によっても良
好なトナー画像を形成することができ、カラートナーと
した場合においても鮮明なカラー画像を形成することが
できるトナーを得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリ金
    属塩の水溶液とハロゲン化カルシウムの水溶液をモル比
    において2:0.1〜0.95の比で混合し、ヒドロキ
    シ芳香族カルボン酸のカルシウム塩を得た後、残存した
    前記アルカリ金属塩をpH5.5以下にならない条件下
    でハロゲン化水素により水素に置換して、ヒドロキシ芳
    香族カルボン酸にすることを特徴とするヒドロキシ芳香
    族カルボン酸のカルシウム塩とヒドロキシ芳香族カルボ
    ン酸とからなる組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】ヒドロキシ芳香族カルボン酸が一般式
    (1)で表される化合物であることを特徴とする請求項
    1記載の組成物の製造方法。 【化1】 (式中、R1 、R2 およびR3 は、水素原子、飽和
    または不飽和の直鎖または分岐鎖アルキル基、または芳
    香族炭化水素基の残基であるアリール基を表すか、ある
    いはR1 およびR2 またはR2 およびR3 が互いに
    結合して、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖アルキ
    ル基を有してもよい縮合環を形成する基を表す。)
  3. 【請求項3】ヒドロキシ芳香族カルボン酸が、3,5−
    ジ−tert−ブチルサリチル酸、3−ヒドロキシ−2
    −ナフトエ酸または3−フェニルサリチル酸であること
    を特徴とする請求項2記載の組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3いずれか1項記載の方法によ
    り製造された組成物。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の組成物を含有することを
    特徴とする静電荷像現像用トナー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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