JP2002360275A - 心臓血管疾患に関連する方法、組成物およびキット - Google Patents

心臓血管疾患に関連する方法、組成物およびキット

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JP2002360275A JP2001389923A JP2001389923A JP2002360275A JP 2002360275 A JP2002360275 A JP 2002360275A JP 2001389923 A JP2001389923 A JP 2001389923A JP 2001389923 A JP2001389923 A JP 2001389923A JP 2002360275 A JP2002360275 A JP 2002360275A
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ローラ・キャスリン・ダーラム
Maruja Elma Lira
マルジャ・エルマ・リラ
Patrice M Milos
パトリス・マリー・ミロス
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 心臓血管障害の発展に対する対象の感受性
を評価するための技術を提供する。さらに、心臓血管障
害を患う患者を治療するのに最適に有効であろう療法を
選択するための方法を提供する。患者のコレステリルエ
ステル転送タンパク質(CETP)遺伝子型を決定するのに
有用な方法、組成物およびキットを提供する。 【解決手段】 本発明は、対象が心臓血管疾患に対する
修飾された感受性を有するか否かを決定するための方法
であって:前記対象由来の核酸試料において、イントロ
ン1(707);イントロン8(3707);イントロン8(394
6);プロモーター(VNTR);挿入(307);イントロン
15(493)からなる群より選択される少なくとも1つのCE
TP対立遺伝子を検出し、前記CETP対立遺伝子が、CETP活
性の修飾されたレベルと関連する、前記方法を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、心臓血管障害の発
展に対する対象の感受性を評価するための技術に関す
る。本発明はさらに、心臓血管障害を患う患者を治療す
るのに最適に有効であろう療法を選択する方法に関す
る。本発明は、患者のコレステリルエステル転送タンパ
ク質(CETP)遺伝子型を決定するのに有用な方法、組成
物およびキットを含む。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】アテ
ローム性動脈硬化症は、その付随する合併症、特に冠状
動脈心臓疾患のように、米国における最も広範囲に及ぶ
健康の問題の1つである。アテローム性動脈硬化症(ま
たは動脈硬化症)は、動脈瘤、虚血、血栓症、塞栓症形
成または他の血管不全を生じる可能性がある進行性腔狭
小化および動脈の硬化を記載するのに用いられる用語で
ある。該疾患過程は、ヒト体内のいかなる全身動脈で発
生する可能性もある。例えば、脳に供給する動脈(例え
ば頚動脈、大脳内動脈など)におけるアテローム性動脈
硬化症は、脳卒中を生じる可能性がある。末梢動脈が遮
断されると、壊疽が起こる可能性があり、そして心筋層
に酸素および栄養素を供給する動脈が冒されると、冠状
動脈疾患が起こる。
【0003】アテローム性動脈硬化症過程は、動脈壁に
生物学的変化を誘導する脂質を伴い、これが血管壁か
ら、血液構成要素の液相を分けておくホメオスタシス機
構の破壊を生じる。実際、アテローム斑は、炎症および
免疫細胞、繊維状組織、並びに低密度リポタンパク質
(LDL)などの脂肪成分の混合物からなる。
【0004】いくつかのリスク要因が、早発性アテロー
ム性動脈硬化症と関連付けられてきており、主に上昇し
た血漿コレステロールレベルである。コレステロールが
心臓疾患発生に果たしているようである必須の役割のた
め、ヒト体内のその合成、転送および代謝を研究するの
に、多大な関心が払われてきている。
【0005】特に興味深いのは、血漿リポタンパク質ま
たは血清脂質および冠状動脈心臓疾患発展のリスク間の
関連の確立である。高密度リポタンパク質(HDL)およ
び低密度リポタンパク質(LDL)はどちらも、主にコレ
ステリルエステル(CE)の形でコレステロールを運ぶ。
しかし、LDLコレステロールは、陽性リスク要因である
が、HDLコレステロールは、さらにより重要な陰性リス
ク要因であるといういくつかの証拠がある。これらのリ
ポタンパク質の正確な機能は、完全には立証されてきて
いないが、HDLは、末梢細胞からのコレステロールの除
去およびそれを肝臓に戻す転送のために働くようであ
り、肝臓では、体から排出されるコレステロールの大部
分が除去される。
【0006】LDLおよびHDLは、一般的にゆっくりと加水
分解される代謝産物、例えばCEおよびトリグリセリド
を、動脈細胞の壁のリソソームに過剰装填(overload)
することにより、心臓血管疾患の発展に重要な役割を果
たすと考えられる。これらの産物は、血漿LDLにより、
肝臓および腸から排出される。転送されるべき脂質の量
が、排出のための肝臓へのHDLの転送能力を超えると、C
Eが、特定の重要な領域、例えば動脈壁の細胞に沈着す
る。この過剰装填は最終的に、細胞機能を損ない、そし
て過剰装填が続けば、細胞死を生じる可能性がある。連
続した過剰装填は、血管壁中の細胞破片の集積およびア
テローム性動脈硬化斑の形成を生じる。これがその後、
影響を受けた動脈の遮断および/または筋痙攣につなが
り、これらの事象は、それ自体、冠状動脈心臓疾患また
は脳卒中として現れる可能性がある。したがって、血漿
中のHDLレベルは、ヒトおよび実験動物において、アテ
ローム性動脈硬化症が発展する可能性と陰性に関連付け
られてきている。
【0007】HDLレベルは、個体間でかなり異なること
が示されてきているが、こうした血漿レベルを制御する
手段は、明らかなままである。一般的に高レベルのHDL
は、抗アテローム発生効果を有し、一方、高レベルのLD
Lは、アテローム発生効果を有する。水に不溶である化
合物、例えばコレステロールの血液循環は、粒子の形成
を必要とする。不溶性構成要素、例えばコレステリルエ
ステルおよびトリグリセリドは、粒子の中心に充填さ
れ、そして極性構成要素、例えばタンパク質、リン脂質
およびそれらに匹敵するものに囲まれる。これらの粒子
は、リポタンパク質と称され、そしてしたがって、外部
の極性の外殻および非極性の中心を有する。中心にCEを
含むリポタンパク質のこれらの会合は、その大きさおよ
び密度に応じ、VLDL、IDL、LDL、およびHDLと名づけら
れてきている。
【0008】VLDLは、肝臓により分泌される最大のリポ
タンパク質であり、そしてVLDLに含まれるトリグリセリ
ドが、動脈壁の表面上に存在するリポタンパク質リパー
ゼ酵素に加水分解された後、IDLに、そしてその後LDLに
変換される。LDLは、肝臓外組織および肝組織にコレス
テリルエステルを提供する、主なリポタンパク質であ
る。HDLもまた肝臓により分泌され、そして大きさおよ
び密度に基づき、HDL2およびHDL3に分けられる。HDLの
機能は、肝臓外細胞からコレステロールを選び取り、そ
してVLDLおよびLDLを通じ、またはアポEが豊富である大
きなHDLを通じ、肝臓に搬送することである。これらの
大きなHDL粒子は、HDL1と称され、そして長時間は血漿
中にとどまらない。これらは肝臓により迅速に除去さ
れ、またはそのコレステリルエステルをVLDLおよびLDL
に与えた後、HDL2に再び変換される。
【0009】コレステリルエステル転送タンパク質(CE
TP)は、正常ヒト血漿から単離することが可能なタンパ
ク質である。CETP基質には、2つの中性荷電または非極
性脂質、すなわちコレステリルエステル(CE)およびト
リグリセリド(TG)が含まれる。これらの中性脂質は疎
水性であり、そしてリポタンパク質粒子の中心に存在す
る。これらには、限定されるわけではないが、高密度リ
ポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)、
中間密度リポタンパク質(IDL)および超低密度リポタ
ンパク質(VLDL)が含まれる。ほとんどのリポタンパク
質は血漿中に遊離して循環している。CETPは、2つの中
性脂質CEおよびTGを1つのリポタンパク質粒子、ドナー
から、別のリポタンパク質粒子、アクセプターに転送す
る。一般的なドナー−アクセプター相互作用は、リポタ
ンパク質HDLからリポタンパク質VLDLへの脂質CEの転送
である。したがって、CETPが血漿HDLレベルの制御に重
要な役割を果たすことが示唆されてきている。
【0010】冠状動脈疾患は、多要因疾患であり、心筋
に供給する動脈のアテローム斑の沈着および進行性腔狭
小化を生じる。腔狭小化および遮断は、心筋に酸素およ
び栄養素を搬送する能力の減少を生じ、心筋梗塞、アン
ギナ、不安定狭心症、および心不全のような突然の虚血
性の死を生じる。閉塞は、通常、ゆっくりと進行する
が、血液供給は、構築された動脈斑の一部がはずれ、そ
して動脈のどこかにとどまり、一時的に動脈を遮断した
際、またはより一般的には、動脈腔内で血栓症が発生し
た際、突然、遮断される可能性がある。こうした発作
中、遮断から遠位の筋肉の体積に応じ、心筋組織の一部
が死に、心筋を弱らせ、そしてしばしば個体の死につな
がる可能性がある。
【0011】長年、心臓疾患「臨床的事象」、例えば心
筋梗塞または死の傑出したリスクの最も一般的な測定値
は、血管造影法などの技術により評価されるような、冠
状動脈の物理的遮断であった。80年代初期のDeWoodおよ
び同僚の研究(N. Engl. J. of Med.,(1980)30
3:1137−40)は、閉塞性血栓が、急性心筋梗塞の大部
分の症例で責任があることを明らかにした。そのころ、
一般的な概念は、心筋梗塞は、高い等級の狭窄の部位で
の閉塞から生じるというものであった。1988年、Little
ら(Circulation,(1988)78:1157−66)は、大部分
の梗塞は、以前、血管造影法で、50%未満の狭窄を示し
た冠状動脈閉塞から生じることを示した。したがって、
冠状動脈狭窄の重症度は、続く冠状動脈閉塞の部位を正
確に予測しなかった。これらの研究により、脆弱なアテ
ローム性動脈硬化斑の重要性が明らかになった。
【0012】アテローム斑構築の原因および機構は、完
全には理解されていないが、多くの学説が存在する。ア
テローム性動脈硬化症病因形成に関する1つの学説は、
以下の段階:(1)内皮細胞機能不全および/または損
傷、(2)単球補充およびマクロファージ形成、(3)脂
質沈着および修飾、(4)血管平滑筋細胞増殖、および
(5)細胞外マトリックスの合成を伴う。本学説にした
がい、アテローム性動脈硬化症の開始は、潜在的に、お
そらく機械的ストレスまたは化学的ストレスからの、あ
る型の損傷による。本損傷に体がどのように反応するか
がその後、損傷がアテローム性動脈硬化病変に悪化する
か否か、そしてどのくらい迅速に悪化するかを決定す
る。これが続いて、動脈腔狭小化、並びに酸素および栄
養素の血流に依存する心臓組織に対する損傷を生じる可
能性がある。
【0013】心臓血管医療の最近の改善により、冠状動
脈疾患患者の平均余命は改善されたが、これは、主に、
脂質レベルの低下、発生後の損傷の限定、血液供給の外
科的回復、異常な心臓調律の抑制および再梗塞の予防に
おける改善によるものである。しかし、初期診断による
疾患の初期予防には、ほとんど改善がなされていない。
【0014】冠状動脈疾患を治療する際の重要な問題
は、適切な診断である。該疾患の最初の徴候は、しばし
ば、心筋虚血または心筋梗塞による突然死である。冠状
動脈疾患で死ぬ個体のおよそ半数が突然に死ぬ。さら
に、後に冠状動脈疾患を有すると診断される患者の40−
60%にとって、心筋梗塞が、疾患の最初の提示である。
不運なことに、これらの最初の事象のおよそ40%は、患
者に気づかずに起こる。多様な理由のため、患者による
症状の知覚は、冠状動脈疾患の総負荷とよく相関しない
(Anderson & Kin, Am. Heart J.,(1992)123
(5):1312−23)。
【0015】疫学的研究により、個体の遺伝子構成要素
が、血管疾患の発展の重要なリスク要因であることが示
されてきている。例えば、心臓疾患の家族歴は、個体が
冠状動脈疾患を発展させる増加したリスクに関連付けら
れる。脂質およびコレステロール代謝は、歴史的に、冠
状動脈疾患に対する主な遺伝的影響とみなされてきてい
る。例えば、家族性高コレステロール血症におけるよう
な、低密度脂質(LDL)の細胞受容体の欠損は、高レベ
ルの血漿LDLおよびアテローム性動脈硬化症の早発性の
発展と関連付けられる(Brown & Goldstein, Scienc
e,(1976)191(4223):150−4)。
【0016】アテローム性動脈硬化症の原因は未知のま
まであるが、感受性の適切な診断は、患者に、冠状動脈
疾患を発展させるリスクを減少させる、十分な時間を提
供する可能性がある。冠状動脈疾患のリスクを減少させ
る1つの方法は、患者の生活様式の改変、例えば禁煙、
運動、体重減少、およびストレス減少を通じたものであ
る。他の方法には、高血圧、高コレステロール血症、お
よび糖尿病を治療するための薬学的介入と共に、アスピ
リンの使用が含まれる。最後に、遺伝子治療は、心臓血
管疾患の家族歴を生じるまれな遺伝形質(例えば改変さ
れたアポリポタンパク質代謝)を治療する見込みがあ
る。
【0017】高リスク個体を同定することが可能であれ
ば、医師が最大の利益を得る可能性がある個体に対する
予防的方策に集中することが可能になるであろうし、そ
してこうしたアプローチに従うリスクに関し、強い動機
を提供するであろう。
【0018】CETP、コレステリルエステル転送酵素タン
パク質は、コレステロール転送における必須の酵素であ
る。CETPは、トリグリセリドの交換において、HDLからL
DL、VLDLおよびIDLへのコレステリルエステルの転送を
触媒する。したがって、CETPは、後退する経路からコレ
ステロールを除去し、そしてコレステロールを、体中の
組織にコレステロールを搬送することが可能なLDLに戻
す。CETP活性の欠損は、HDL濃度増加と関連付けられ、
そして高HDLレベルは、心臓血管障害を発展させる減少
したリスクと関連付けられる。
【0019】CETP遺伝子は、染色体16(16q12−16q21)
上のレシチンコレステロールアシル転送酵素(LCAT)遺
伝子の近くに位置する。CETPタンパク質は、476アミノ
酸からなり、そして長さ25 kb以上であり、そして16エ
クソンおよび15イントロンからなるCETP遺伝子にコード
される(Agellonら(1990)Biochemistry 29:1372−13
76)。
【0020】上述の心臓血管障害の1つに悩む患者に対
する特定のリスク要因の影響および関連疾患の発展の間
に関連がある可能性があり、そしてリスク要因の影響お
よび関連疾患の進行の間に関連がある可能性があること
が理解される。根底にあるハプロタイプパターンの診断
は、臨床医が特定の障害または疾患に対するリスク要因
の影響を減少させるため、推奨を行うまたは介入を設計
するのを案内する可能性がある。さらに、心臓血管疾患
に対する遺伝的影響は、多要因である可能性がある。し
たがって、患者の大規模遺伝子型スクリーニングの背景
において、CETP遺伝子型の決定は、患者管理を指示する
ための、非常に有益なデータ組を提供する可能性があ
る。
【0021】いくつかのCETP多型が文献に同定されてき
ている。Taq 1、Msp 1およびRsa1多型(図6)は、CET
PおよびHDLレベルの修飾と関連付けられることが示され
てきている。特に、Taq IでのB2対立遺伝子(イントロ
ン1中のG→A突然変異)(例えばKuivenhovenら, New E
ng. J. Med. 338:86−93(1988); Dullaartら,
Diabetes 46:2082−2087(1997); Kuivenhovenら,
Arteriosclerosis,Thrombosis & Vasc. Biol. 17:
560−8(1997); Juvonenら, J. Lipid Res. 36:8
04−12(1995); Hannukselaら, Atherosclerosis 11
0:35−44(1994); Bernardら, J. Lipid Res. 3
9:59−65(1998); Vohlら, Int.J. Obesity & R
elated Matab. Disorders 23:918−25(1998); Dur
lachら, J. Clin. Endo. & Metab. 84:3656−9
(1999);およびGudnasonら,Eur. J. Clin. Inves
t. 29:116−128(1999)を参照されたい);Msp Iで
のM2対立遺伝子(イントロン8中のA→G)(例えばKuive
nhovenら, Arteriosclerosis Thrombosis & Vasc. B
iol. 17:560−8(1997)を参照されたい);およびRs
a IでのR1対立遺伝子(エクソン14中のG→A、アミノ酸
置換I405Vを生じる)(例えばKakkoら, Eur. J. Cli
n. Invest. 30:18−25(2000); Kuivenhovenら,
Arteriosclerosis, Thrombosis & Vasc. Biol. 1
7:560−8(1997); Bruceら, J. Lipid Res. 39:
1071−1078(1998);およびGudnasonら, Eur. J. C
lin. Invest. 29:116−128(1999)を参照された
い)は、より高いHDLレベルおよびより低いCETP質量と
関連付けられてきている。
【0022】CETPプロモーターは、VNTR(可変数タンデ
ムリピート)多型と称される、非常に多型である領域を
含み、これはおよそヌクレオチド−2145および−1940の
間の可変数のGAAA四ヌクレオチドからなる(Williams
ら, Gene 197:101−107(1997)およびTalmudら, Ci
rculation 101:2461−2466(2000))。119の双子対の
遺伝子型解析は、324から464塩基対の範囲の断片サイズ
を持つ、CETPの28の異なる対立遺伝子を明らかにし、38
4 bpが最も一般的な対立遺伝子であった(Talmudら, C
irculation 101:2461−2466(2000))。384 bp断片
は、GAAA四ヌクレオチドの8反復を含んだ。324から400
bpを含む対立遺伝子は、「短対立遺伝子」と称され、そ
して404から464 bpを含む対立遺伝子は、「長対立遺伝
子」と称された。短対立遺伝子は、Taq IB多型と強い連
鎖不均衡にあり、そしてしたがって、減少したCETP活性
および質量と相関することが示された。
【0023】迅速に患者を遺伝子型について決定する能
力は、療法または疾患予防物質の試験および開発を根本
的に変化させる見込みがある。現在、疾患を治療するま
たは予防するための物質の有効性は、患者のプールに対
し、試験することにより、評価される。患者プールの多
くの変数が調節されるが、遺伝的可変性の影響は、典型
的には評価されない。薬剤は、患者の多様なプールで検
査される際、統計的に有効でなく、そしてそれでも、特
定の遺伝的特性を持つ患者の選択群には、非常に有効で
ある可能性がある。患者が遺伝子型により分けられなけ
れば、選択された集団に対し、大きな見込みのある多く
の薬剤は、集団全体には無効であると拒絶される可能性
がある。患者プールを、遺伝子型に基づき、群に分離す
ることが可能であれば、患者の遺伝的に定義された亜群
に影響を与える能力に関し、薬剤を再試験することが可
能である。この種のスクリーニングは、失敗した化合物
の復活、新規化合物の同定、および公知の化合物の新規
使用の同定を可能にする可能性がある。
【0024】遺伝的スクリーニング(遺伝子型決定また
は分子スクリーニングとも称される)は、患者が、疾患
状態を引き起こすか、疾患状態に貢献する(すなわち疾
患状態に関連するリスク要因である)か、疾患状態を引
き起こす突然変異と「連鎖する」か、または疾患状態に
貢献する突然変異と「連鎖する」突然変異(または対立
遺伝子または多型)を有するかどうか決定するのを試験
することと、広く定義することが可能である。連鎖は、
ゲノム中で共に近くにあるDNA配列が、共に遺伝する傾
向を有する現象を指す。共遺伝のいくつかの選択的利点
のため、2つの配列が連鎖する可能性がある。しかし、
より典型的には、2つの多型配列は、2つの多型間の領域
内で、減数分裂組換え事象が起こる頻度が相対的にまれ
であるため、共遺伝する。共遺伝する多型対立遺伝子
は、既定のヒト集団において、共に出現するか、または
そうでなければ集団のいかなる特定のメンバーでもまっ
たく出現しないか、いずれかの傾向があるため、互いに
連鎖不均衡にあるといわれる。実際、既定の染色体領域
で多数の多型が、互いに連鎖不均衡にあることが見出さ
れる場合、これらは擬似安定遺伝的「ハプロタイプ」を
明示する。対照的に、2つの多型遺伝子座の間で発生す
る組換え事象は、これらを別個の相同染色体上に分離さ
せる。2つの物理的に連鎖した多型の間の減数分裂組換
えが、十分に頻繁に起こる場合、2つの多型は、独立に
分離され、そして連鎖均衡にあるといわれる。
【0025】2つのマーカー間の減数分裂組換え頻度
は、一般的に染色体上のそれらの間の物理的距離に比例
する一方、「ホットスポット」と共に、抑制された染色
体組換えの領域の発生は、2つのマーカー間の物理的距
離および組換え距離の間の相違を生じる可能性がある。
したがって、特定の染色体領域において、広い染色体ド
メインに及ぶ多数の多型遺伝子座は互いに連鎖不均衡に
あり、そしてそれにより、広範囲に及ぶ遺伝的ハプロタ
イプを明示する可能性がある。さらに、疾患を引き起こ
す突然変異が、本ハプロタイプ内にまたは本ハプロタイ
プと連鎖して見られる場合、該ハプロタイプの1つまた
はそれ以上の多型対立遺伝子は、疾患を発展させる可能
性の診断または予後指標として用いることが可能であ
る。そうでなければ良性の多型および疾患を引き起こす
多型の間のこの関連は、疾患突然変異が近い過去に生
じ、組換え事象を通じて達成される均衡のための十分な
時間が経過していない際に発生する。したがって、疾患
を引き起こす突然変異変化に渡るかまたは該変化に関連
するヒトハプロタイプの同定は、個体が遺伝したその疾
患を引き起こす突然変異を有する可能性の予防的方策と
して働く。重要なことに、こうした予後または診断法
は、実際の疾患を引き起こす損傷の同定および単離を必
要とせず、利用することが可能である。これは、疾患過
程に関与する分子的欠損の正確な決定は、特に、冠状動
脈疾患などの多要因疾患の場合、困難である可能性があ
るため、重要である。
【0026】実際、疾患状態および多型の間の統計的相
関は、該多型が直接該障害を引き起こすことを必ずしも
示さない。むしろ、相関した多型は、最近のヒトの進化
上の過去に発生し、したがって介在する染色体部分にお
いて、組換え事象を通じて達成される均衡のための十分
な時間が経過していない、障害を引き起こす突然変異に
連鎖している(すなわち連鎖不均衡にある)良性対立遺
伝子変異体である可能性がある。したがって、特定の疾
患の診断および予後アッセイの目的のため、その疾患に
関連する多型対立遺伝子の検出は、該多型が、疾患の病
因に実際に関与しているかどうかを考慮せず、利用する
ことが可能である。さらに、既定の良性多型遺伝子座
が、見かけ上の疾患を引き起こす多型遺伝子座と連鎖不
均衡にある場合、該良性多型遺伝子座と連鎖不均衡にあ
るさらに別の多型遺伝子座もまた、疾患を引き起こす多
型遺伝子座と連鎖不均衡にある可能性がある。したがっ
て、これらの他の多型遺伝子座もまた、遺伝した疾患を
引き起こす多型遺伝子座を有する可能性の予後徴候また
は診断剤であるであろう。実際、広い範囲に及ぶヒトハ
プロタイプ(連鎖した多型マーカーの組の対立遺伝子の
共遺伝の典型的なパターンを記載する)は、特定の疾患
または異常および対応するヒトハプロタイプの間に関連
が引き出されたら、診断目的のため、標的化してもよ
い。したがって、個体が、特定の疾患または異常を発展
させる可能性の決定は、1つまたはそれ以上の疾患関連
多型対立遺伝子(または1つまたはそれ以上の疾患関連
ハプロタイプ)を性質決定することにより、原因となる
遺伝的変異を決定するまたは性質決定する必要なく、行
うことが可能である。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、CETP遺伝子の
新規対立遺伝子の発見に、少なくとも部分的に基づく方
法、組成物およびキットを提供する。
【0028】第一の側面において、本発明は、対象の心
臓血管疾患に対する性向を決定するための方法であっ
て、前記対象由来の核酸試料において、以下のCETP遺伝
子座:イントロン1(707);イントロン8(3707);イ
ントロン8(3946);プロモーター(VNTR);挿入(30
7);イントロン15(493)の1つまたはそれ以上で1つま
たはそれ以上の対立遺伝子を検出し、対立遺伝子の検出
が、対象の心臓血管疾患に対する性向を示す、前記方法
を提供する。
【0029】本発明の別の側面は、CETP対立遺伝子を含
む、単離核酸を提供する。1つの態様において、該核酸
は、配列番号6、8、10、12または14の少なくとも11の連
続するヌクレオチドまたはその相補体を含む。別の態様
において、該核酸は、少なくとも1つのGAAA反復または
その相補体を含み、転写開始部位から−2144から−1974
ヌクレオチドに対応するCETPプロモーター領域より増幅
される。
【0030】本発明のさらに別の側面は、CETP遺伝子座
で、1つまたはそれ以上の対立遺伝子を検出するための
手段を含むキットを提供する。好ましい態様において、
CETP対立遺伝子は:イントロン1(707);イントロン8
(3707);イントロン8(3946);プロモーター(VNT
R);挿入(307);およびイントロン15(493)からな
る群より選択される。、そして該キットは、前記CETP遺
伝子座の1つの5’または3’にハイブリダイズする第一
のプライマーオリゴヌクレオチドを含む。好ましい態様
において、該キットは、オリゴヌクレオチド対を用い、
その間に約50および約1000塩基対の間の領域を増幅する
ことが可能であるように、前記CETP遺伝子座の1つの5’
または3’にハイブリダイズする第二のオリゴヌクレオ
チドをさらに含む。
【0031】本発明のさらに別の側面は、患者を治療す
るための方法であって、前記患者由来の核酸試料におい
て、少なくとも1つのCETP対立遺伝子を検出し、心臓血
管障害を診断し、心臓血管障害療法を選択し、そして該
患者に心臓血管障害療法を提供することを含む、前記方
法を提供する。
【0032】本発明の別の側面は、心臓血管障害療法を
同定するための方法であって、以下の遺伝子座:イント
ロン1(707);イントロン8(3707);イントロン8(39
46);プロモーター(VNTR);挿入(307);およびイ
ントロン15(493)の1つでCETP対立遺伝子を;または上
述のいずれでもよいものと連鎖不均衡にある機能的突然
変異を持つ対象を、試験物質と接触させ;そしてCETP活
性に対する前記試験物質の影響を決定することを含む、
前記方法を提供する。
【0033】本発明の前述のおよび他の目的、その多様
な特徴と共に、本発明自体は、付随する図と共に読む
と、以下の説明からより完全に理解することが可能であ
る。当業者は、本発明を説明するため、本明細書に用い
られる用語を完全に理解するであろう;にもかかわら
ず、便宜のため、付随する請求項を含め、本明細書に用
いられる以下の用語は、本明細書に別に規定されない限
り、以下に説明されるとおりである。
【0034】「異常な活性」は、CETPなどのポリペプチ
ドの活性に適用される際、野生型または最も一般的な対
立遺伝子にコードされるポリペプチドの活性と異なる、
あるいは健康な対象における該ポリペプチドの活性と異
なる、活性を指す。ポリペプチドの活性は、天然対応物
の活性より強いため、異常である可能性がある。あるい
は、活性は、天然対応物の活性に比較して弱いかまたは
欠けているため、異常である可能性がある。異常な活性
はまた、活性の変化である可能性がある。例えば異常な
ポリペプチドは、改変された基質特異性を有する可能性
がある。細胞は、CETPをコードする遺伝子の過剰発現ま
たは過少発現のため、異常なCETP活性を有する可能性が
ある。
【0035】「対立遺伝子」は、異なる多型領域で見ら
れる、異なる配列変異を指す。例えば、CETPイントロン
(707)は、少なくとも2つの異なる対立遺伝子を有す
る。配列変異は、単一または複数の塩基変化であっても
よく、制限なしに、挿入、欠失、または置換を含み、あ
るいは多様な数の配列反復であってもよい。
【0036】「増幅」は、本明細書において、核酸に関
し、一本鎖または二本鎖型いずれかの核酸の多くのコピ
ーを生成する、本質的にいかなる方法も含むと意図され
る。こうした方法には、限定されるわけではないが、ポ
リメラーゼ連鎖反応(PCR)および細胞における核酸の
複製が含まれる。
【0037】「抗体」は、本明細書において、CETPポリ
ペプチドと特異的に反応する全抗体またはその結合断片
を含む結合剤を指すと意図される。抗体は、慣用技術を
用い、断片化してもよく、そして断片は、全抗体に関
し、上述されるのと同じ方式で、有用性に関し、スクリ
ーニングしてもよい。例えば、F(ab)2断片は、抗体を
ペプシンで処理することにより、生成することが可能で
ある。生じたF(ab)2断片を処理し、ジスルフィド架橋
を減少させ、Fab断片を産生してもよい。本発明の抗体
は、さらに、抗体の少なくとも1つのCDR領域により与え
られる、CETPポリペプチドに対する親和性を有する、二
特異性、一本鎖、およびキメラおよびヒト化分子を含む
と意図される。
【0038】「CETPの生物活性部分」は、全長CETPの断
片を指し、該断片は、野生型CETPの少なくとも1つの活
性を模倣するかまたは該活性に拮抗する。「生物学的ア
ッセイ」または「生物活性」または「活性」または「生
物学的機能」は、交換可能に用いられ、本明細書の目的
のため、CETPに適用される際、CETP(天然または変性コ
ンホメーションいずれであってもよい)により、または
そのいかなるものでもよい下位配列(断片)により、直
接または間接的に行われる、エフェクターまたは抗原性
機能を意味する。生物学的活性には、基質への結合、脂
質の転送の誘引、受容体からの情報伝達の達成、遺伝子
発現の調節または抗原性エフェクター機能が含まれる可
能性がある。
【0039】「心臓血管疾患」は、本明細書に定義され
るような、臨床的事象、臨床的症状および/または臨床
的または準臨床的徴候により特徴付けられる、心臓血管
障害である。臨床的症状は、臨床医に病理の存在を示
す、患者により報告される経験である。臨床的徴候は、
臨床医に病理の存在を示す、物理的または実験室検査に
関する客観的な知見である。「心臓血管疾患」は、「冠
状動脈疾患」および「末梢血管疾患」両方を含み、両用
語は、以下に定義される。心臓血管疾患の臨床的症状に
は、胸の痛み、息切れ、衰弱、失神発作、意識の改変、
末端の痛み、発作性夜間呼吸困難、一過性虚血発作、お
よび患者が経験する他のこうした現象が含まれる。心臓
血管疾患における臨床的徴候には、EKG異常、改変され
た末梢脈、動脈雑音、異常な心音、ラ音およびぜん鳴、
頚静脈拡張、神経学的改変、および臨床医に認識される
他のこうした知見が含まれる。臨床的症状および臨床的
徴候を合わせ、心臓血管疾患、例えば心筋梗塞(MI)ま
たは脳卒中(「脳血管障害」または「CVA」とも称され
る)とすることが可能であり、ここで、患者は、特定の
現象(症状)を報告するであろうし、そして臨床医は、
すべて根底にある病理を示す、他の現象(徴候)を認め
るであろう。閉塞性障害から生じる心臓血管疾患は、
「閉塞性疾患」と称してもよい。閉塞性疾患と関連する
臨床的事象には、動脈の進行性閉塞が、標的組織に達す
る循環の量に影響を与える、徴候および症状が含まれ
る。進行性動脈閉塞は、進行性虚血を生じる可能性があ
り、進行性虚血は、循環の量が組織を維持するのに不十
分である場合、究極的に、組織死に進行する可能性があ
る。閉塞性疾患の徴候および症状には、跛行、休息痛、
アンギナ、および壊疽と共に、血管狭窄および減少した
遠位灌流を示す物理的および実験室知見が含まれる。さ
らに別の例として、再狭窄から生じる心臓欠陥疾患は、
イン−ステント(in−stent)狭窄疾患と称される可能
性がある。イン−ステント狭窄疾患には、ステントの存
在が、新規に拡張された配置で血管を保持するのを補助
することを意図する、経皮経管動脈形成術のような処置
の一部として置かれている動脈ステントの進行性遮断か
ら生じる徴候および症状が含まれる。イン−ステント狭
窄疾患を伴う臨床的事象は、再構築動脈の再狭窄に起因
すると考えられるものである。
【0040】「心臓血管障害」は、広く、冠状動脈障害
および末梢動脈障害両方を指す。用語「心臓血管障害」
は、いかなる構造的、組織学的、生化学的異常にも、ま
たはいかなる他の異常にも適用してもよい。「心臓血管
障害」は、原発性に、すなわちいかなるものでもよい内
科的または外科的介入前に、動脈で発生する可能性があ
る。原発性心臓血管障害には、とりわけ、アテローム性
動脈硬化症、動脈閉塞、動脈瘤形成および血栓症が含ま
れる。「心臓血管障害」は、続発性に、すなわち、いか
なるものでもよい内科的または外科的介入後に、動脈で
発生する可能性がある。続発性心臓血管障害には、とり
わけ、外傷後動脈瘤形成、再狭窄、および術後移植片閉
塞が含まれる。
【0041】「心臓血管障害を引き起こす機能的突然変
異」は、対象において、心臓血管障害の発展を引き起こ
すまたは該発展に貢献する突然変異を指す。好ましい突
然変異は、CETP遺伝子内で発生する。CETP遺伝子内で発
生する心臓血管障害を引き起こす機能的突然変異は、例
えば、該遺伝子のオープンリーディングフレームまたは
スプライシングパターンを改変し、それにより、機能亢
進性遺伝子産物の形成を生じる可能性がある。
【0042】「心臓血管障害療法」は、対象において、
心臓血管障害の発展を予防するまたは延期する、あるい
は該障害の異常な構成要素の度合いを減少させる、いか
なる剤または療法措置(例えば薬剤または外科的手段)
も指す。心臓血管障害療法は、いかなる心臓血管障害の
治療に向けられてもよい。心臓血管障害の各カテゴリー
に向けられる療法剤の例は、本明細書に提供される。療
法剤は、心臓血管障害の1つ以上のカテゴリーに有用で
ある可能性があることが理解される。療法剤は、ポリペ
プチド、ペプチド模倣体(peptidomimetic)、核酸ある
いは他の無機または有機分子であってもよく、好ましく
は「小分子」である。好ましくは、療法は、天然発生ポ
リペプチドの影響を模倣するまたは増強する(アゴナイ
ズする)または阻害する(拮抗する)ことにより、CETP
ポリペプチドの少なくとも1つの活性、例えば、コレス
テリルエステルの転送を、調節する。CETPアゴニスト
は、野生型タンパク質または野生型の少なくとも1つの
生物活性を有するその誘導体であってもよい。CETPアゴ
ニストはまた、遺伝子発現を上方制御する、またはタン
パク質の少なくとも1つの生物活性を増加させる化合物
であってもよい。CETPアゴニストはまた、ポリペプチド
と別の分子、例えばコレステリルエステルの相互作用を
増加させる化合物であってもよい。CETPアンタゴニスト
は、例えばCETP産生を阻害することにより、またはCETP
が適切な基質と相互作用するのを妨げることにより、CE
TP活性を阻害するまたは減少させる化合物であってもよ
い。CETPアンタゴニストは、遺伝子発現を下方制御す
る、または存在するタンパク質の量を減少させる化合物
であってもよい。アンタゴニストは、ポリペプチドの優
性ネガティブ型、例えば標的ペプチドと相互作用するこ
とが可能なポリペプチド型、例えばCETPを適切なリポタ
ンパク質複合体に標的化するが、受容体の活性化を促進
しない分子であってもよい。アンタゴニストはまた、ポ
リペプチドの優性ネガティブ型をコードする核酸、アン
チセンス核酸、またはRNAと特異的に相互作用すること
が可能なリボザイムであってもよい。さらに他のアンタ
ゴニストは、ポリペプチドに結合し、そしてその作用を
阻害する分子である。こうした分子には、ペプチド、例
えば生物学的活性を持たず、そして受容体への結合を阻
害する標的ペプチド型が含まれる。したがって、こうし
たペプチドは、タンパク質の活性部位に結合し、そして
該タンパク質が標的ペプチドと相互作用するのを妨げる
であろう。さらに他のアンタゴニストには、結合がポリ
ペプチドの生物学的機能に干渉するように、分子のエピ
トープと特異的に相互作用する抗体が含まれる。さらに
別の好ましい態様において、アンタゴニストは、小分
子、例えばポリペプチドおよび標的受容体の間の相互作
用を阻害することが可能な分子である。あるいは、小分
子は、受容体結合部位以外の部位に相互作用することに
より、アンタゴニストとして機能する可能性がある。
【0043】「細胞」、「宿主細胞」または「組換え宿
主細胞」は、本明細書において交換可能に用いられ、特
定の対象細胞のみでなく、こうした細胞の子孫または潜
在的な子孫も指す用語である。突然変異または環境的影
響のため、続く世代で、ある修飾が起こる可能性がある
ため、こうした子孫は、実際、親細胞と同一でない可能
性があるが、それでも本明細書において、該用語の範囲
内に含まれる。
【0044】「脳血管疾患」は、本明細書において、遮
断された末梢血管が、脳循環の一部である、末梢血管疾
患(以下に定義されるようなもの)の種類である。脳循
環には、頚動脈および椎骨動脈系が含まれる。脳血管疾
患の本定義は、動脈遮断の症状発現として出現しない頭
蓋内出血を含むと特に意図される。遮断は、斑破裂また
は塞栓形成などの機構により、突然起こる可能性があ
る。遮断は、筋内膜過形成および斑形成を介した動脈の
狭小化と共に、進行性で起こる可能性がある。遮断は、
完全であってもまたは部分的であってもよい。遮断の特
定の度合いおよび期間は、数秒から数分間続く、血流の
減少である、脳虚血を生じる。脳虚血の延長は、脳梗塞
を生じる可能性がある。虚血および梗塞は、限局的であ
ってもよいし、広範囲に及んでもよい。脳虚血または梗
塞は、「脳卒中」または「脳血管障害(CVA)」と称さ
れる臨床的事象である、非痙攣性限局的神経学的欠損の
突然の開始を生じる可能性がある。脳血管疾患は、病因
の2つの広いカテゴリー:血栓症および塞栓症を有す
る。血栓性脳卒中は、患者の80−90%で、警告する症状
を伴わずに起こり;10および20%の間の血栓性脳卒中
は、一過性虚血発作により予告される。脳血管疾患は、
脆弱斑障害と関連付けることが可能である。この種類の
脳血管疾患の徴候および症状は、脆弱斑と関連するもの
であり、血栓または塞栓形成を伴う突然の動脈遮断のた
めの脳卒中が含まれる。脳血管疾患は、閉塞性障害と関
連付けることが可能である。この種類の脳血管疾患の徴
候および症状は、全体的または局所脳虚血を伴う血流の
進行性遮断に関連する。この環境では、脳卒中を含む、
神経学的変化が見られる可能性がある。
【0045】「CETP」は、コレステリルエステル転送酵
素タンパク質を指す。CETPは、トリグリセリドの交換に
おいて、HDLからVLDL、IDLまたはLDLへのコレステリル
エステルの転送を仲介する酵素である。「CETP」はま
た、CETPをコードする遺伝子に関しても用いてもよく、
そして必要であれば、「CETP遺伝子」と称してもよい。
【0046】「CETPアゴニスト」は、本明細書におい
て、CETP生物活性を模倣する、上方制御する(増強する
または補充する)または別のやり方で増加させる剤を指
す。CETPアゴニストは、CETP遺伝子発現の制御、mRNAス
プライシング機構の制御、mRNAの安定化、CETPの翻訳、
成熟および分泌のためのタンパク質のリン酸化、または
CETPの生化学的活性に影響を与えることによるものを含
む、多様な異なるレベルのいずれに作用してもよい。
【0047】「CETPアンタゴニスト」は、本明細書にお
いて、CETP生物活性を下方制御するまたは別のやり方で
減少させる剤を指す。CETPアンタゴニストは、CETP遺伝
子発現の制御、mRNAスプライシング機構の制御、mRNAの
安定化、CETPの翻訳、成熟および分泌のためのタンパク
質のリン酸化、またはCETPの生化学的活性に影響を与え
ることによるものを含む、多様な異なるレベルのいずれ
に作用してもよい。
【0048】「CETP遺伝子座」は、本明細書において、
CETP遺伝子、イントロン、エクソン、並びに5’および
3’非翻訳領域にあるまたはその近傍にあるすべての核
酸配列を含む。CETP遺伝子のGenBank寄託番号には、M32
992、M32993、M32997およびM32998が含まれる。
【0049】「CETP機能的突然変異」は、改変された表
現型を生じるCETP遺伝子内のまたはその近傍の突然変異
を指す。「CETP X(Z)対立遺伝子Y」は、領域XのCETP
多型部位で出現するYと称される特定の対立遺伝子型を
指し、Xは、イントロン、エクソンあるいは5’または
3’非翻訳領域であり、そしてヌクレオチドZにまたはそ
の近傍に配置され、ヌクレオチドZは、適切なGenBank配
列に比較し、番号付けされる(番号付けが、主な翻訳開
始部位に比較したものである、遺伝子座:CETPプロモー
ター(VNTR −2144− −1974)の場合を除く)(表1を
参照されたい)。さらに、突然変異が、挿入または可変
ヌクレオチドタンデムリピート(VNTR)である場合、本
情報はまた、括弧内に示される。本明細書中の対立遺伝
子の大部分はCETPの対立遺伝子であるため、用語「CET
P」はしばしば省略される。例えば、イントロン1(70
7)は、707の遺伝子座を指す。対象が2つの同一のCETP
対立遺伝子を有する場合、対象はホモ接合体である、ま
たはホモ接合体状態を有すると言われる。対象が2つの
異なるCETP対立遺伝子を有する場合、対象はヘテロ接合
体である、またはヘテロ接合体状態を有すると言われ
る。
【0050】「CETPポリペプチド」および「CETPタンパ
ク質」は、CETPゲノムDNA配列またはその断片にコード
されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、およびその相
同体を含み、そしてアゴニストおよびアンタゴニストポ
リペプチドを含むと意図される。
【0051】「キメラ」、「モザイク」、「キメラ哺乳
動物」およびそれらに匹敵するものは、そのゲノム含有
細胞の少なくともいくつかに、ノックアウトまたはノッ
クイン構築物を持つ、トランスジェニック動物を指す。
【0052】「臨床的事象」は、疾患の臨床的に認識可
能な徴候または疾患の臨床的に報告可能な症状の発生で
ある。「臨床的に認識可能」は、徴候が医療提供者に認
識されることが可能であることを示す。「臨床的に報告
可能」は、症状が医療提供者に説明することが可能な種
類の現象であることを示す。臨床的事象には、これら
が、一般的に、患者により、医療提供者に説明すること
が可能な種類の現象である限り、特定の患者が自分で報
告することが出来ない場合であっても、臨床的に報告可
能な症状を含んでもよい。
【0053】「対照」または「対照試料」は、使用され
る検出技術に適したいかなる試料も指す。対照試料は、
使用される対立遺伝子検出技術の産物または試験しよう
とする成分を含んでもよい。さらに、対照は、陽性また
は陰性対照であってもよい。例えば、対立遺伝子検出技
術が、PCR増幅後、サイズ分画である場合、対照試料
は、適切な大きさのDNA断片を含んでもよい。同様に、
対立遺伝子検出技術が、突然変異タンパク質の検出を伴
う場合、対照試料は、突然変異タンパク質の試料を含ん
でもよい。しかし、対照試料が、試験しようとする成分
を含むことが好ましい。例えば、対照は、ゲノムDNAま
たはCETP遺伝子のクローニングされた部分の試料であっ
てもよい。しかし、試験しようとする試料がゲノムDNA
である場合、対照試料は、好ましくは、ゲノムDNAの非
常に精製された試料である。
【0054】「冠状動脈疾患」(「CAD」)は、心臓に
供給する動脈の遮断に関連する血管障害を指す。遮断
は、斑破裂または塞栓形成などの機構により、突然起こ
る可能性がある。遮断は、筋内膜過形成および斑形成を
介した動脈の狭小化と共に、進行性で起こる可能性があ
る。心臓に供給する動脈の遮断から生じる臨床的徴候お
よび症状は、冠状動脈疾患の症状発現である。冠状動脈
疾患の症状発現には、アンギナ、虚血、心筋梗塞、心筋
症、うっ血性心不全、不整脈および動脈瘤形成が含まれ
る。冠状動脈循環における脆弱斑疾患は、それ自体心筋
梗塞として現れる、動脈血栓症または遠位塞栓形成に関
連する。冠状動脈循環における閉塞性疾患は、一般的に
薬理学的介入および血管形成術で治療される異常であ
る、狭心症症状が伴う動脈再狭窄に関連する。
【0055】「障害関連対立遺伝子」または「障害と関
連する対立遺伝子」は、対象におけるその存在が、該対
象が、特定の障害を有するまたは特定の障害を発展させ
る増加した傾向を有することを示す対立遺伝子を指す。
障害関連対立遺伝子の1つの種類は、「心臓血管障害関
連対立遺伝子」であり、対象におけるその存在は、該対
象が、心臓血管障害を有するまたは心臓血管障害を発展
させやすいことを示す。高コレステロールおよびLDLと
共に低HDLを含む、いくつかの表現型的指標は、心臓血
管疾患リスクの前兆となる。「心臓血管障害関連対立遺
伝子」はまた、これらの予測的表現型マーカーと関連し
ていてもよい。より低いHDL(高CETP濃度)と関連する
対立遺伝子の例には、CETP(Taq I)対立遺伝子1;CETP
(Msp I)対立遺伝子1;CETP(Rsa I)対立遺伝子2;CE
TP(snp 565)対立遺伝子1およびCETP挿入(307)野生
型が含まれる。
【0056】「遺伝子の破壊」および「標的化破壊」ま
たはいかなるものでもよい同様の句は、遺伝子の非破壊
コピーと比較した際、細胞におけるその遺伝子の発現を
妨げるような、DNA配列の部位特異的中断を指す。中断
は、該遺伝子に対する欠失、挿入または修飾、あるいは
いかなるその組み合わせにより、引き起こしてもよい。
【0057】「塞栓」、「塞栓症」または「塞栓形成」
は、動脈対動脈塞栓症または塞栓形成を指す。「ハプロ
タイプ」は、本明細書において、統計的に有意なレベル
(pcorr<0.05)で、群として共に遺伝する(連鎖不均
衡にある)一組の対立遺伝子を指すと意図される。本明
細書において、句「CETPハプロタイプ」は、CETP遺伝子
座を含むハプロタイプを指す。
【0058】「HDL」は、高密度リポタンパク質を意味
する。「増加したリスク」は、集団における疾患または
障害の発生頻度に比較し、個体における疾患または障害
のより高い発生頻度を指す。増加したリスクと関連付け
られると同定された要因は「リスク要因」と称される。
特定の多型対立遺伝子を持つことは、特定の心臓血管疾
患のリスク要因であり、そして特定の疾患の増加したリ
スクと関連付けられる。
【0059】「相互作用する」は、本明細書において、
分子間の検出可能な関係または関連(例えば生化学的相
互作用)、例えば事実上、タンパク質−タンパク質、タ
ンパク質−核酸、核酸−核酸、およびタンパク質−小分
子または核酸−小分子の間の相互作用を含むことを意味
する。
【0060】「単離された」は、本明細書において、核
酸、例えばDNAまたはRNAに関し、それぞれ、巨大分子の
天然供給源に存在する、他のDNAまたはRNAと分離された
分子を指す。例えば、CETPをコードする単離核酸は、好
ましくは、ゲノムDNAでCETP遺伝子に天然にごく近接す
る核酸配列の10キロ塩基(kb)以上を含まず、より好ま
しくは、こうした天然発生隣接配列の5 bk以上を含ま
ず、そして最も好ましくは、こうした天然発生隣接配列
の1.5 kb未満である。用語、単離された、はまた、本
明細書において、細胞成分、ウイルス成分、または組換
えDNA技術により産生される場合、培地、あるいは化学
的に合成される場合、化学的前駆体または他の化学薬品
を実質的に含まない核酸またはペプチドも指す。さら
に、「単離された核酸」は、断片として天然発生せず、
そして天然状態では見られないであろう核酸断片も含む
ことを意味する。用語「単離された」はまた、本明細書
において、他の細胞タンパク質から単離されたポリペプ
チドも指し、そして精製および組換えポリペプチド両方
を含むことを意味する。
【0061】「ノックイン」トランスジェニック動物
は、ゲノムに導入された修飾遺伝子を有する動物を指
し、そして修飾遺伝子は、外因性または内因性起源のも
のであってもよい。
【0062】「ノックアウト」トランスジェニック動物
は、内因性遺伝子発現の部分的または完全な抑制がある
動物を指す(例えば、遺伝子の少なくとも一部の欠失、
遺伝子の少なくとも一部の第二の配列での置き換え、停
止コドンの導入、必須のアミノ酸をコードする塩基の突
然変異、またはイントロン接合部の除去などに基づ
く)。
【0063】「ノックアウト構築物」は、細胞におい
て、内因性DNA配列にコードされるタンパク質発現を減
少させるまたは抑制するのに用いることが可能な核酸配
列を指す。単純な例において、ノックアウト構築物は、
活性タンパク質がそこから発現されることが不可能であ
るように、遺伝子の必須の部分に欠失を持つ遺伝子、例
えばCETP遺伝子で構成される。あるいは、いくつかの終
結コドンを天然遺伝子に添加し、タンパク質の初期終結
を引き起こしてもよいし、またはイントロン接合部を不
活性化してもよい。典型的なノックアウト構築物におい
て、遺伝子が以下のように表されることが可能であるよ
うに、遺伝子のある部分を選択可能マーカー(例えばne
o遺伝子)で置き換える:CETP 5’/neo/CETP 3’、こ
こで5’および3’は、CETP遺伝子の部分に比較し、それ
ぞれ、上流および下流のゲノムまたはcDNA配列であり、
そしてneoは、ネオマイシン抵抗性遺伝子を指す。別の
ノックアウト構築物では、遺伝子が以下のように表され
ることが可能であるように、第二の選択可能マーカーを
隣接部分に添加する:CETP 5’/neo/CETP 3’/TK、
ここでTKは、先行する構築物の配列の5’または3’いず
れに添加してもよく、そして適切な培地中で不利に選択
することが可能な(すなわち陰性選択可能マーカーであ
る)チミジンキナーゼ遺伝子である。この2−マーカー
構築物は、典型的にはTK配列を保持する非相同組換え事
象から、隣接するTKマーカーを除去する相同組換え事象
を選択することを可能にする。遺伝子欠失および/また
は置換は、エクソン、イントロン、特にイントロン接合
部、および/または制御領域、例えばプロモーターから
であってもよい。
【0064】「連鎖不均衡」は、既定の対照集団におけ
る各対立遺伝子の出現の別個の頻度から期待されるであ
ろうより、高い頻度で2つの対立遺伝子が共遺伝するこ
とを指す。独立に遺伝する2つの対立遺伝子の出現の期
待される頻度は、第一の対立遺伝子の頻度に、第二の対
立遺伝子の頻度を乗じたものである。期待される頻度で
同時に出現する対立遺伝子は、「連鎖不均衡」にあると
言われる。連鎖不均衡の原因は、しばしば明らかでな
い。特定の対立遺伝子の組み合わせの選択のためである
可能性があるし、または遺伝的に異種性の集団が最近混
合されたためである可能性がある。さらに、疾患遺伝子
と緊密に連鎖したマーカーの場合、疾患突然変異が近い
過去に起き、したがって特定の染色体領域における組換
え事象を通じて達成される均衡のための十分な時間が経
過していない際、疾患遺伝子と対立遺伝子(または連鎖
した対立遺伝子の群)の関連が期待される。1つ以上の
対立遺伝子で構成される対立遺伝子パターンに言及する
際、第一の対立遺伝子パターンを含む対立遺伝子すべて
が、第二の対立遺伝子パターンの対立遺伝子の少なくと
も1つと連鎖不均衡にある場合、第一の対立遺伝子パタ
ーンは、第二の対立遺伝子パターンと連鎖不均衡にあ
る。
【0065】「マーカー」は、個体間で多様であること
が知られるゲノム内の配列を指す。「調節する」は、生
物活性に影響を与える物質の能力を指す。CETP生物活性
に適用される際、アゴニストまたはアンタゴニストは、
例えば、CETP合成、またはコレステリルエステル転送酵
素活性をアゴナイズするまたはこれに拮抗することによ
り、生物活性を調節することが可能である。
【0066】本発明の「非ヒト動物」には、哺乳動物、
例えばげっ歯類、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、
ヤギなど、両生類、例えばゼノパス(Xenopus)属のメ
ンバー、およびトランスジェニック鳥類(例えばニワト
リ、小鳥(bird)など)が含まれる。用語「キメラ動
物」は、本明細書において、動物のいくつかのしかしす
べてでない細胞で、組換え遺伝子が見られる、または組
換え遺伝子が発現される動物を指す。用語「組織特異的
キメラ動物」は、組換えCETP遺伝子の1つが、いくつか
の組織に存在しおよび/または該組織で発現されまたは
破壊されているが、他の組織ではそうでないことを示
す。用語「非ヒト哺乳動物」は、ヒトを除く、哺乳綱の
いかなるメンバーも指す。
【0067】「核酸」は、ポリヌクレオチドまたはオリ
ゴヌクレオチド、例えばデオキシリボ核酸(DNA)、お
よび適切な場合、リボ核酸(RNA)を指す。該用語はま
た、同等物として、ヌクレオチド類似体(analog)(例
えばペプチド核酸)から作成されるRNAまたはDNAいずれ
かの類似体、および記載される態様に適用可能である場
合、一本鎖(センスまたはアンチセンス)および二本鎖
ポリヌクレオチドを含むと理解すべきである。
【0068】「末梢血管疾患」(「PVD」)は、末梢動
脈(すなわち非冠状動脈)の遮断から生じる心臓血管疾
患である。遮断は、脆弱斑疾患において起こるように、
斑破裂または塞栓形成などの機構により、突然起こる可
能性がある。遮断は、閉塞性疾患におけるように、筋内
膜過形成および斑形成を介した動脈の狭小化と共に、進
行性で起こる可能性がある。遮断は、完全であってもま
たは部分的であってもよい。末梢動脈の遮断から生じる
臨床的徴候および症状は、末梢血管疾患の症状発現であ
る。末梢血管疾患の症状発現には、とりわけ、跛行、虚
血、腸管アンギナ、血管に基づく腎不全、一過性虚血発
作、動脈瘤形成、末梢塞栓形成および脳卒中が含まれ
る。虚血性脳血管疾患は、一種の末梢血管疾患である。
【0069】「多型」は、既定の集団における、遺伝子
またはその一部の1つ以上の型(例えば対立遺伝子変異
体)の共存を指す。少なくとも2つの異なる型、すなわ
ち2つの異なるヌクレオチド配列がある遺伝子の部分
は、「遺伝子の多型領域」と称される。遺伝子の多型領
域の特定の遺伝子配列は、対立遺伝子である。多型領域
は、その同一性が異なる対立遺伝子で異なる、単一のヌ
クレオチドであってもよい。多型領域はまた、数ヌクレ
オチド長であってもよい。
【0070】「疾患に対する傾向」、また疾患に対する
「性向」または「感受性」、あるいはいかなるものでも
よい同様の句は、特定の対立遺伝子が、本明細書におい
て、特定の疾患(本明細書において、心臓血管疾患)を
発展させる対象の発生率と関連するまたは該発生率を予
測することが発見されていることを意味する。該対立遺
伝子はしたがって、健康な個体と比較した際、疾患を持
つ個体の頻度で、過剰に提示される。したがって、これ
らの対立遺伝子を用い、症状前または疾患前の個体にお
いてさえ、疾患を予測することが可能である。これらの
対立遺伝子は、疾患の根底にある障害に関連すると理解
される。
【0071】「リスク要因」は、増加したリスクと関連
することが同定された要因である。心臓血管障害または
心臓血管疾患のリスク要因は、これらの異常を発展させ
るまたはこれらの異常を悪化させる増加したリスクと関
連することが同定されたいかなる要因であってもよい。
リスク要因はまた、心臓血管障害を持つ患者において、
有害な臨床的事象または有害な臨床的結果の増加したリ
スクと関連する可能性がある。心臓血管疾患のリスク要
因には、喫煙、有害な脂質プロフィール、上昇した脂質
またはコレステロール、糖尿病、高血圧、凝固能亢進状
態、上昇したホモシステインレベル、および運動の欠如
が含まれる。特定の多型対立遺伝子を持つことは、特定
の心臓血管障害のリスク要因であり、そして特定の障害
の増加したリスクと関連付けられる。
【0072】「小分子」は、本明細書において、約5 kD
未満および最も好ましくは約4 kD未満の分子量を有する
組成物を指すことを意味する。小分子は、核酸、ペプチ
ド、ペプチド模倣体、炭水化物、脂質あるいは他の有機
または無機分子であってもよい。
【0073】「特異的にハイブリダイズする」または
「特異的に検出する」は、核酸分子が試料核酸の少なく
ともおよそ6つの連続するヌクレオチドにハイブリダイ
ズする能力を指す。
【0074】「狭窄」は、本明細書において理解されるよ
うに、閉塞性障害または再狭窄で見られるような、動脈
の狭小化を指す。狭窄は、狭くなった動脈部分を通過す
る血流の減少を反映する症状を伴う可能性があり、この
場合、狭窄を生じさせる障害を疾患と称する(例えば閉
塞性疾患または再狭窄疾患)。狭窄は、血管中で無症状
に存在する可能性があり、血管造影法などの診断介入ま
たは血管実験室研究によってのみ検出される。
【0075】「転写制御配列」は、本明細書全体で用い
られ、機能可能であるように連結されているタンパク質
コード配列の転写を誘導するまたは調節する、開始シグ
ナル、エンハンサー、およびプロモーターのようなDNA
配列を指す一般的用語である。
【0076】「導入遺伝子」は、細胞に導入されている
核酸配列(例えばCETPポリペプチドの1つをコードする
もの、またはそれに対するアンチセンス転写物)を意味
する。導入遺伝子は、導入されるトランスジェニック動
物または細胞に対し、部分的にまたは完全に異種性、す
なわち異質(foreign)であってもよいし、または導入
されるトランスジェニック動物または細胞の内因性遺伝
子に相同であるが、挿入される細胞のゲノムを改変する
方式で、動物のゲノムに挿入されるよう設計されるか、
または挿入されている(例えば、天然遺伝子のものと異
なる位置に挿入されるかまたは挿入がノックアウトを生
じる)。導入遺伝子はまた、エピソームの形で細胞に存
在してもよい。導入遺伝子は、1つまたはそれ以上の転
写制御配列および選択された核酸の最適発現のために必
要である可能性があるいかなる他の核酸、例えばイント
ロンを含んでもよい。
【0077】「トランスジェニック動物」は、該動物の
細胞の1つまたはそれ以上が、人の介入により、例えば
当該技術分野に公知のトランスジェニック技術により導
入される異種性核酸を含む、いかなるものでもよい動
物、好ましくは非ヒト哺乳動物、小鳥または両生類を指
す。該核酸は、例えばマイクロインジェクションによ
り、または組換えウイルスでの感染により、意図的な遺
伝子操作による、細胞の先駆体への導入により、直接ま
たは間接的に細胞に導入される。用語、遺伝子操作は、
古典的な交雑育種、またはin vitro受精を含まず、むし
ろ、組換えDNA分子の導入に向けられる。本分子は、染
色体内に組み込んでもよいし、または染色体外複製DNA
であってもよい。本明細書に記載される典型的なトラン
スジェニック動物において、導入遺伝子は、細胞に、CE
TPポリペプチドの1つの組換え型、例えばアゴニスト型
またはアンタゴニスト型のいずれかを発現させる。しか
し、例えば、以下に記載されるFLPまたはCRE組換え酵素
依存構築物のような、組換え遺伝子がサイレントである
トランスジェニック動物もまた、意図される。さらに、
「トランスジェニック動物」はまた、1つまたはそれ以
上の遺伝子の遺伝子破壊が、組換えまたはアンチセンス
技術両方を含む、人の介入により引き起こされる、組換
え動物も含む。該用語は、すべての子孫世代を含むと意
図される。したがって、元祖動物およびすべてのF1、F
2、F3などのその子孫が含まれる。
【0078】「治療」は本明細書において、疾患の少な
くとも1つの症状または障害に関連する少なくとも1つの
異常を治すことと共に改善することを含むと意図され
る。心臓血管障害の治療は、心臓血管障害療法剤を投与
することにより、行うことが可能である。心臓血管障害
の治療はまた、心臓血管障害に関連するリスク要因を修
飾することによっても行うことが可能である。
【0079】「治療計画」は、患者に対するリスク要因
の影響を修飾することを保証する少なくとも1つの介入
を指す。心臓血管障害または疾患のための治療計画は、
心臓血管障害または疾患に付随するリスク要因に向けら
れてもよい。治療計画は、患者の行動を変えることに焦
点を置く介入、例えば禁煙を含んでもよい。治療計画
は、療法剤が患者に投与される介入を含んでもよい。例
として、コレステロールレベルは、適切な医薬品で低下
させることが可能であり、そして糖尿病は、インスリン
で調節することが可能である。ニコチン嗜癖は、退薬
(withdrawal)医薬品により、治療することが可能であ
る。治療計画は、診断剤である介入を含んでもよい。例
えば、高血圧のリスク要因の存在は、高血圧の病因が決
定される、診断介入を生じさせる可能性がある。高血圧
の理由が同定された後、さらなる治療を投与してもよ
い。
【0080】「ベクター」は、それが連結されている別
の核酸を輸送することが可能な核酸分子である。好まし
いベクターの1つの種類は、エピソーム、すなわち染色
体外複製が可能な核酸である。好ましいベクターは、連
結されている核酸の自律複製および/または発現が可能
なものである。機能可能であるように連結されている遺
伝子の発現を指示することが可能なベクターは、本明細
書において、「発現ベクター」と称される。一般的に、
組換えDNA技術で有用である発現ベクターは、しばし
ば、一般的にそのベクター型にあり、染色体に結合して
いない、環状二本鎖DNAループを指す、「プラスミド」
型にある。本明細書において、「プラスミド」および
「ベクター」は、プラスミドが、ベクターの最も一般的
に用いられる型であるため、交換可能に用いられる。し
かし、本発明は、同等の機能を提供し、そしてこれに関
して、続いて当該技術分野に知られるようになる、発現
ベクターの他の型を含むと意図される。
【0081】「野生型対立遺伝子」または「正常対立遺
伝子」は、対象において、2コピーで存在すると、野生
型表現型を生じる遺伝子の対立遺伝子を指す。遺伝子内
の特定のヌクレオチド変化は、ヌクレオチド変化を持つ
遺伝子の2コピーを有する対象の表現型に影響を与えな
い可能性があるため、特定の遺伝子のいくつかの異なる
野生型対立遺伝子があってもよい。一般的に、「野生型
対立遺伝子」は、集団において、最も一般的な対立遺伝
子である。
【0082】本発明は、少なくとも一部分は、CETP遺伝
子の新規な対立遺伝子の識別に基づき、ここにおいて、
対立遺伝子は、HDL、LDL、IDLおよびVLDLのようなCETP
タンパク質および/またはリポタンパク質のレベルの変
化を用いて患者を識別するのに有用である。したがっ
て、対象におけるこれら対立遺伝子の検出は、その対象
が、心臓血管障害の発生への変更された感受性(増加し
たまたは減少した)を有するということを示す。更に、
対立遺伝子の検出は、特定のCETPハプロタイプを有する
患者に最適に有用であろう治療法の選択を決定する場合
に助けとなる。
【0083】
【発明の実施の形態】本発明の第一の態様は、イントロ
ン1(707);イントロン8(3707);イントロン8(394
6);プロモーター(VNTR);挿入(307);およびイン
トロン15(493)を含めたCETP多型性遺伝子座および対
立遺伝子に関する(図5および6を参照されたい)。
【0084】イントロン1(707)多型は、CETP遺伝子の
イントロン1のヌクレオチド707におけるG−A突然変異で
ある。その数値表示は、GenBank 配列受託番号M32992に
基づく番号付けに相対する(図1)。その多型は、配列G
TTCTTTGGT G/A AGAAGGTCCTと並列している。それは、H
ph I RFLPによって検出することができ、Taq IB多型と
の完全な連鎖不均衡の状態にある。イントロン1(707)
多型は、CETP遺伝子のイントロン1の配列分析によって
発見された。
【0085】イントロン8(3707)多型は、CETP遺伝子
のイントロン8のヌクレオチド3707におけるC−T突然変
異である。その多型は、GenBank 配列M32993によって包
含される最後のヌクレオチド(3446)から261bp下流に
ある(図2)。それは、配列TGGCCTGAAC C/T TGATCGCAG
GACCと並列している。イントロン8(3707)多型は、CET
P遺伝子のイントロン8の従来未報告の部分の配列分析に
よって発見された。
【0086】イントロン8(3946)多型は、CETP遺伝子
のイントロン8のヌクレオチド3946におけるA−T突然変
異である。その多型は、GenBank 配列M32993によって包
含される最後のヌクレオチドから500bp下流にある(図
2)。それは、配列GATGATCTAG A/T GGGGCGGGGGと並列
している。イントロン8(3946)多型も、CETP遺伝子の
イントロン8の従来未報告の部分の配列分析によって発
見された。
【0087】プロモーター(VNTR)多型は、CETPプロモ
ーターのGAの多い領域内に集合したGAAA繰返し体の可変
数を特徴とする。いくつかの個体の中では、PCRフラグ
メントサイズの差が認められた。配列分析により、CETP
の転写開始部位から−2144〜−1974のプロモーター部分
において、いろいろな数の繰返し体が確認されている。
遺伝子型データは、増加した繰返し体数を有する個体で
は、増加したCETP質量も認められるということを示唆し
ている。
【0088】挿入(307)多型は、CETP遺伝子のイント
ロン12中の15bp挿入を特徴とする。挿入は、GenBank 配
列受託番号M32997によって与えられる番号付けに基づく
ヌクレオチド643〜657において生じる(図3)。それ
は、配列GAATGGAGGG−CTGCCAGGAAGAAGG−AGGGCCTGGCと
並列している。その多型は、イントロン12の GenBabk
配列から誤って削除された99bp配列と本来の状態に並列
している。挿入(307)変異型は、HDLレベルに高度に相
関する3’UTR多型であるSNP565と完全な連鎖不均衡の状
態にあることも識別された(実施例を参照されたい)。
【0089】イントロン15(493)多型は、CETP遺伝子
のイントロン15のヌクレオチド493におけるG−A突然変
異である。その数値表示は、GenBank 配列受託番号M329
98に基づく番号付けに相対する(図4)。それは、配列A
GCCCAGCTC G/A CCCCTCTCTCと並列している。イントロ
ン15(493)多型は、イントロン15の配列分析によって
識別された。
【0090】上記の対立遺伝子パターンに加えて、本明
細書中に記載のように、当業者は、心臓血管障害に関連
する対立遺伝子と連鎖不均衡の状態にある他の対立遺伝
子(多型および突然変異を含めた)を容易に識別するこ
とができる。例えば、心臓血管障害のない第一群の対象
からの核酸試料、更には、心臓血管障害のある第二群の
対象からのDNAを集めることができる。次に、核酸試料
を比較して、第一群と比較したところ、第二群において
過発現される対立遺伝子であって、心臓血管障害に関連
すると考えられるこのような対立遺伝子を識別すること
ができる。或いは、心臓血管障害に関連する対立遺伝子
と連鎖不均衡の状態にある対立遺伝子を、例えば、大集
団を遺伝子型決定し且つ統計的分析を行って、どの対立
遺伝子が予想されるよりも共通して一緒に現れるかを決
定することによって識別することができる。好ましく
は、その群は、遺伝的に関係のある個体から構成される
ように選択される。遺伝的に関係のある個体には、同人
種、同民族、または同家族までもからの個体が含まれ
る。対照群と試験群との間の遺伝的関連性の程度が増加
するにつれて、疾患を引き起こす対立遺伝子になお一層
離れて連鎖している多形性対立遺伝子の予想値も増加す
る。これは、基本集団における染色体に沿って連鎖して
いる多型を遺伝子交差現象によって再分布させるのに経
過した進化時間が少ないためである。したがって、人種
特異的な、民族特異的な、そして家族特異的でもある診
断用遺伝子型決定検定は、ヒト進化においてごく最近、
例えば、主な人種のダイバージェンス後、ヒト集団の異
なった民族への分離後、および特定の家系の最近の履歴
中にさえも生じた疾患対立遺伝子の検出を考慮するよう
に開発されうる。
【0091】二つの多型性マーカー間のまたは一つの多
型性マーカーと疾患を引き起こす突然変異との間の連鎖
不均衡は、準安定状態である。選択的制約不存在または
根底にある突然変異現象の散発性連鎖再発である多型
は、最後には、染色体組換え現象に関連しなくなるであ
ろうし、またはそれによって、ヒト進化経過によって連
鎖均衡に達するであろう。したがって、疾患または状態
と連鎖不均衡にある多型対立遺伝子の発見の可能性は、
少なくとも二つの因子の変化、すなわち、多型性マーカ
ーと疾患を引き起こす突然変異との間の物理的距離の減
少、および連鎖対の解離に利用可能な減数分裂世代数の
減少とともに増加しうる。後者の因子の考察は、二つの
個体が近縁であればあるほど、それらは共通の親染色体
または連鎖した多型を含有する染色体領域を含有するで
あろうと考えられ、この連鎖対は、それぞれの世代につ
いて生じる減数分裂交差現象によって連鎖しない状態に
なっているであろうとはあまり考えられないということ
を示唆する。結果として、二つの個体が近縁であればあ
るほど、広く間隔を置かれた多型が共遺伝されうるとい
うことが考えられる。したがって、共通の人種、民族ま
たは家族によって関係のある個体に関して、なお一層離
れて間隔を置かれた多型性遺伝子座の信頼度は、連鎖し
た疾患を引き起こす突然変異の遺伝の指標として信頼さ
れうる。
【0092】本発明によるキットの一つの態様に存在す
るオリゴヌクレオチドは、目的の領域の増幅に、または
問題のマーカーへの直接的対立遺伝子特異的オリゴヌク
レオチド(ASO)ハイブリダイゼーションに用いること
ができる。したがって、それらオリゴヌクレオチドは、
目的のマーカーに並列してよい(PCR増幅に必要とされ
るように)かまたはマーカーに直接的に重複してよい
(ASOハイブリダイゼーションの場合のように)。
【0093】適当なプローブは、CETP遺伝子の特異的領
域にハイブリッド形成するように設計することができ
る。CETP遺伝子の領域を増幅させるのに有用なプライマ
ーは、本発明の開示に照らして当業者に明らかであろ
う。適当なプライマーには、指定のプライマーの約1kb
内にハイブリッド形成し、そして更に、約17bp〜約27bp
ぐらいの長さであるものが含まれる。独特のヒト染色体
ゲノム配列の増幅用プライマーを設計するための一般的
な指針は、それらが、少なくとも約50℃の融解温度を有
するということであり、ここにおいて、適当な融解温度
は、式Tmelt=[2x(AまたはTの数)+4x(GまたはCの
数)]を用いて算定することができる。これらプローブ
は、遺伝子間配列を含めた適切なゲノム遺伝子座の他の
領域を包含してよい。実際に、CETP遺伝子は、約25,00
0塩基対にわたり、1,000塩基対毎に一つ平均の単一ヌ
クレオチド多型を仮定すると、約25SNP遺伝子座だけを
含む。本発明で用いるのに利用可能な更に他の多型は、
いろいろな公共の源から入手可能である。例えば、ヒト
ゲノムデータベース収集物遺伝子内SNPは、配列によっ
て検索可能であり、現在、約2,700の入力項目を含有す
る(http://hgbase.interactiva.de)。更に入手可能で
あるのは、Massachusetts Institute of Technology(M
IT SNPデータベース http://www.genome.wi.mit.edu/SN
P/human/index.html))によって維持されているヒト多
型データベースである。このような源から、SNPも他の
ヒト多型も見つけることができる。
【0094】したがって、本発明のヌクレオチドセグメ
ントは、CETP遺伝子領域の相補的伸長を含む二重らせん
分子を選択的に形成するそれらの能力に関して用いるこ
とができる。この目的に適当なプローブの設計には、多
数の因子の考察が必要である。例えば、10、15または18
ヌクレオチド〜約20ヌクレオチドまで、または約30ヌク
レオチドまでの長さを有するフラグメントは、特に有用
であろう。より長い配列、例えば、40、50、80、90、10
0、完全長さまでもが、若干の態様になお一層好適であ
る。少なくとも18〜20ヌクレオチドのオリゴヌクレオチ
ド長さは、分子プローブとして有用であるように充分に
特異的なハイブリダイゼーションを可能にするのに充分
であるとして、当業者に充分に許容される。更に、考え
られる用途に依り、いろいろなハイブリダイゼーション
条件を用いて、標的配列に対するプローブのいろいろな
程度の選択性を得ることが望まれるであろう。高い選択
性を必要とする用途には、典型的に、ハイブリッドを形
成する比較的ストリンジェントな条件を用いることが望
まれるであろう。例えば、約50℃〜約70℃の温度で0.0
2M〜0.15M NaClを条件とするような、比較的低塩およ
び/または高温の条件。このような選択的条件は、プロ
ーブと鋳型または標的鎖との間のミスマッチを、あると
しても僅かしか許容しないかもしれない。
【0095】血管障害の他の対立遺伝子または他の徴候
は、対象において、上記の対立遺伝子の検出と連結し
て、例えば、血管壁厚み(例えば、超音波によって測定
される)、または対象が喫煙するか、飲酒するか、過体
重であるか、ストレスを受けているか、高コレステロー
ルまたは低コレステロールを有するか、高Lp(a)を有
するかまたは運動しているかどうかを識別して、検出す
るまたは監視することができる。
【0096】本発明のもう一つの態様は、連鎖不均衡分
析、およびパターン1(11121パターンとも称される)お
よびパターン2(22212パターンとも称される)を含めた
ハプロタイプパターンに関する(表1;実施例を参照さ
れたい)。
【0097】
【表1】 ハプロタイプパターン1は、より高いCETPレベルおよび
より低いHDLレベルに関連しているが、ハプロタイプパ
ターン2は、より低いCETPレベルおよびより高いHDLレベ
ルに関連している。したがって、ハプロタイプ1は、心
臓血管障害の発生に共通に関連している危険因子を示し
ている。
【0098】本発明のなおもう一つの態様は、疾患、特
に、心臓血管障害への感受性とCETPハプロタイプパター
ンの相関に関する。CETP遺伝子座における多型は、心臓
血管障害、特に、冠状動脈疾患の危険因子であることが
判明しているCETPタンパク質レベルおよびHDLレベルの
変化に関連している。CETP多型は、心臓血管障害への増
加したまたは減少した感受性を生じることがありうる。
【0099】本発明のもう一つの態様は、患者、特に、
心臓血管障害に苦しむ患者のための最適な治療法選択肢
の識別と具体的なCETPハプロタイプの相関に関する。ヒ
ト多型性遺伝子座における特定の対立遺伝子を検出する
のに、多数の方法が利用可能である。特定の多型性対立
遺伝子を検出するのに好ましい方法は、部分的には、多
型の分子性状に依るであろう。例えば、多型性遺伝子座
のいろいろな対立遺伝子の形は、DNAの一つの塩基対だ
けが異なることがありうる。このような単一ヌクレオチ
ド多型(またはSNP)は、既知の多型全ての約80%を成
す遺伝的変化の主な原因であり、ヒトゲノム中のそれら
の密度は、平均して、1,000塩基対につき1であると推
定される。SNPは、最も頻繁には、二つの異なった形だ
けを生じる二対立遺伝子である(理論的には、DNA中に
存在する4種類の異なったヌクレオチド塩基に対応して4
個までの異なった形のSNPが可能であるが)。それにも
かかわらず、SNPは、突然変異に関して他の多型より安
定であるので、疾患を引き起こす突然変異の地図を作製
するのに、マーカーと未知の変異体との間の連鎖不均衡
が用いられる関連研究に適当になる。更に、SNPは、典
型的には、二つの対立遺伝子だけを有するので、それら
は、長さ測定よりもむしろ簡単なプラス/マイナス検定
によって遺伝子型決定することができ、より自動化しや
すくなる。
【0100】個体における具体的な単一ヌクレオチド多
型性対立遺伝子の存在を検出するためには、いろいろな
方法が利用可能である。この分野の進歩により、正確で
容易且つ高価でない大規模なSNP遺伝子型決定が行われ
ている。最も最近では、例えば、動的対立遺伝子特異的
ハイブリダイゼーション(DASH)、マイクロプレートア
レイ対角線ゲル電気泳動法(MADGE)、ピロシークエン
ス法(pyrosequencing)、オリゴヌクレオチド特異的連
結反応、TaqManシステム、更には、AffymetrixSNPチッ
プ(Santa Clara, CA)のような各種DNA“チップ”技術
を含めたいくつかの新規な技法が記載されている。これ
ら方法は、典型的にはPCRによる標的遺伝子領域の増幅
を必要とする。侵入切断による小シグナル分子の生成
後、質量分析法または固定化施錠プローブおよびローリ
ングサークル型増幅に基づく更に他の新規に開発された
方法は、結局は、PCRを必要としなくなるかもしれな
い。特定の単一ヌクレオチド多型を検出するための当該
技術分野において知られている方法のいくつかを下に要
約する。本発明の方法は、利用可能な方法を全て含むと
理解される。
【0101】いくつかの方法は、単一ヌクレオチド多型
の分析を容易にするために開発されている。一つの態様
において、単一ヌクレオチド多型は、例えば、Mundy,C.
R.(米国特許第4,656,127号)に開示されたように、
特殊エキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを用いること
によって検出することができる。その方法によれば、多
型性部位に直ぐ3’の対立遺伝子配列に相補的なプライ
マーを、特定の動物またはヒトから得られる標的分子に
ハイブリッド形成させる。標的分子上の多型性部位が、
既存の特定のエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド誘導
体に相補的であるヌクレオチドを含有する場合、その誘
導体は、ハイブリッド形成されたプライマーの末端上に
包含されるであろう。このような包含は、そのプライマ
ーをエキソヌクレアーゼに耐性にさせ、それによって、
その検出を可能にする。試料のエキソヌクレアーゼ耐性
誘導体の同一性は知られているので、プライマーがエキ
ソヌクレアーゼに耐性になっているという知見は、標的
分子の多型性部位中に存在するヌクレオチドが、その反
応において用いられるヌクレオチド誘導体のヌクレオチ
ドに相補的であったということを示している。この方法
は、多量の外来配列データの決定を必要としないという
利点を有する。
【0102】本発明のもう一つの態様において、溶液を
基剤とする方法は、多型性部位のヌクレオチドの同一性
を決定するのに用いられる。Cohen,D. et al.(フラン
ス特許第2,650,840号;PCT出願第WO91/02087号)。
米国特許第4,656,127号の Mundy 法の場合と同様、多
型性部位に直ぐ3’の対立遺伝子配列に相補的であるプ
ライマーを用いる。その方法は、多型性部位のヌクレオ
チドに相補的であるとしても、そのプライマーの末端上
に包含された状態になるであろう標識ジデオキシヌクレ
オチド誘導体を用いてその部位のヌクレオチドの同一性
を決定する。
【0103】Genetic Bit Analysis またはGBATMとして
知られる別の方法は、Goelet,P. etal.(PCT出願第92/
15712号)によって記載されている。Goelet,P. et al.
の方法は、標識されたターミネーターと、多型性部位に
3’の配列に相補的であるプライマーとの混合物を用い
る。包含される標識ターミネーターは、例えば、評価さ
れる標的分子の多型性部位中に存在するヌクレオチドに
よって決定され、しかもそれに相補的である。Cohen et
al.(フランス特許第2,650,840号;PCT出願第WO91/
02087号)の方法とは対照的に、Goelet,P. et al.の方
法は、好ましくは、プライマーまたは標的分子が固相に
固定されている不均一相検定である。
【0104】最近、DNA中の多型性部位を検定するため
のいくつかのプライマーに誘導されるヌクレオチド包含
法が記載されている(Komher,J.S. et al., Nucl.Acid
s.Res. 17:7779-7784(1989); Sokolov,B.P., Nucl.Acid
s Res. 18:3671(1990); Syvanen,A.-C., et al., Genom
ics 8:684-692(1990); Kuppuswamy,M.N. et al., Proc.
Natl.Acad.Sci.(U.S.A.) 88:1143-1147(1991); Prezan
t,T.R. et al., Hum.Mutat. 1:159-164(1992); Ugozzol
i,L. et al., GATA 9:107-112(1992); Nyren,P.et al.,
Anal.Biochem. 208:171-175(1993))。これら方法は、
それらが全て、多型性部位における塩基を区別するのに
標識デオキシヌクレオチドの包含に頼るという点で、GB
ATMとは異なる。このような形式において、シグナル
は、包含されるデオキシヌクレオチドの数に比例するの
で、同様のヌクレオチドの連続を生じる多型は、その連
続の長さに比例するシグナルを生じることができる(Sy
vanen,A.-C., et al., Amer.J.Hum.Genet. 52:46-59(19
93))。
【0105】タンパク質翻訳の未成熟終結を生じる突然
変異に関して、タンパク質切断試験(protein truncati
on test)(PTT)は、有効な診断アプローチを与える
(Roest, et al., (1993) Hum.Mol.Genet. 2:1719-21;
van der Luijt, et al., (1994) Genomics 20:1-4)。P
TTに関して、最初に、RNAを入手可能な組織から単離
し、逆転写させ、そして目的のセグメントをPCRによっ
て増幅させる。次に、逆転写PCR産物を、RNAポリメラー
ゼプロモーターおよび真核性翻訳を開始する配列を含有
するプライマーを用いた nested PCR増幅の鋳型として
用いる。目的の領域の増幅後、プライマー中に包含され
る独特のモチーフは、PCR産物の逐次的 in vitro 転写
および翻訳を可能にする。翻訳産物のドデシル硫酸ナト
リウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動において、切
断されたポリペプチドの出現は、翻訳の未成熟終結を引
き起こす突然変異の存在のシグナルを与える。この技術
の変法では、目的の標的領域が単一エクソンに由来する
場合、DNA(RNAに対立するものとして)をPCR鋳型とし
て用いる。
【0106】いずれの細胞種類または組織も、本明細書
中に記載の診断法において用いるための核酸試料を得る
のに利用することができる。好ましい態様において、DN
A試料は、体液、例えば、既知の技法(例えば、静脈穿
刺)によって得られる血液または唾液から得られる。或
いは、核酸試験は、乾燥試料(例えば、毛髪または皮
膚)で行うことができる。RNAまたはタンパク質を用い
る場合、利用することができる細胞または組織は、CETP
タンパク質を発現する必要がある。
【0107】診断手順は、核酸精製を必要としないよう
な、生検または切除術から得られる患者組織の組織切片
(固定および/または凍結される)について現場で直接
的に行うこともできる。核酸試薬は、このような in si
tu 操作(例えば、Nuovo,G.L., 1992, PCR in situ hyb
ridization: protocols and applications, Raven Pres
s, NYを参照されたい)のためのプローブおよび/また
はプライマーとして用いることができる。
【0108】主として一つの核酸配列の検出に集中する
方法に加えて、このような検出スキームにおいてプロフ
ィールを評価することもできる。フィンガープリントプ
ロフィールは、例えば、示差表示法、ノーザン分析およ
び/またはRT−PCRを利用することによって生じること
ができる。
【0109】好ましい検出方法は、CETPハプロタイプの
少なくとも一つの対立遺伝子の領域に重複し且つ突然変
異または多型性領域の周囲に約5個、10個、20個、25個
または30個のヌクレオチドを有するプローブを用いた対
立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションである。本発明
の好ましい態様では、心臓血管障害に関与する他の対立
遺伝子変異体に特異的にハイブリッド形成しうるいくつ
かのプローブを、固相支持体、例えば、“チップ”(約
250,000個までのオリゴヌクレオチドを保持することが
できる)に結合させる。オリゴヌクレオチドは、リトグ
ラフィーを含めたいろいろな処理によって固体支持体に
結合させることができる。“DNAプローブアレイ”とも
称される、オリゴヌクレオチドを含むこれらチップを用
いた突然変異検出分析は、例えば、Cronin et al., Hum
an Mutation 7:244(1996) に記載されている。一つの態
様において、チップは、遺伝子の少なくとも一つの多型
性領域の対立遺伝子変異体を全て含む。次に、固相支持
体を試験核酸と接触させ、特定のプローブへのハイブリ
ダイゼーションを検出する。したがって、一つまたはそ
れ以上の遺伝子の多数の対立遺伝子変異体の同一性は、
簡単なハイブリダイゼーション実験で識別することがで
きる。
【0110】これら技法は、分析前に核酸を増幅させる
工程を含んでいてもよい。増幅技術は、当業者に知られ
ており、クローニング、PCR、特異的対立遺伝子のポリ
メラーゼ連鎖反応(ASA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、
nested ポリメラーゼ連鎖反応、自己持続配列複製(Gua
telli,J.C. et al., Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 87:187
4-1878(1990))、転写増幅システム(Kwoh,D.Y. et a
l., Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 86:1173-1177(198
9))、およびQ−βレプリカーゼ(Lizardi,P.M. et a
l., Bio/Technology 6:1197(1988))が含まれるが、こ
れらに制限されるわけではない。
【0111】増幅産物は、サイズ分析、制限消化後のサ
イズ分析、反応生成物中の特異的標識オリゴヌクレオチ
ドプライマーの検出、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオ
チド(ASO)ハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異
的5’エキソヌクレアーゼ検出、シークエンス法、ハイ
ブリダイゼーション等を含めたいろいろな方法で検定す
ることができる。
【0112】PCRに基づく検出手段には、複数のマーカ
ーの同時の多重らせん増幅が含まれうる。例えば、サイ
ズが重複しない且つ同時に分析されうるPCR産物を生じ
るようにPCRプライマーを選択することは、当該技術分
野において周知である。或いは、示差的に標識され、そ
れによって、それぞれ示差的に検出することができるプ
ライマーを含むいろいろなマーカーを増幅させることは
可能である。当然ながら、ハイブリダイゼーションに基
づく検出手段は、試料中の多重PCR産物の示差的検出を
可能にする。他の技法は、当該技術分野において、複数
のマーカーの多重らせん分析を可能にすることが知られ
ている。
【0113】単に説明する態様において、その方法は、
(i)患者から細胞試料を集める、(ii)その試料の細
胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたは両方)を単離
する、(iii)その核酸試料と、CETPハプロタイプの少
なくとも一つの対立遺伝子に5’および3’で特異的にハ
イブリッド形成する一つまたはそれ以上のプライマーと
を、対立遺伝子のハイブリダイゼーションおよび増幅が
起こるような条件下で接触させる、および(iv)増幅産
物を検出する工程を含む。これら検出スキームは、核酸
分子が極めて少数で存在する場合、このような分子の検
出に特に有用である。
【0114】主題検定の好ましい態様において、CETPハ
プロタイプの対立遺伝子を、制限酵素切断パターンの変
化によって識別する。例えば、試料および対照DNAを単
離し、増幅させ(場合により)、1種類またはそれ以上
の制限エンドヌクレアーゼを用いて消化し、そしてフラ
グメント長さサイズをゲル電気泳動によって決定する。
【0115】なおもう一つの態様において、当該技術分
野において知られている種々の配列決定反応のいずれか
を用いて、対立遺伝子を直接的に配列決定することがで
きる。典型的な配列決定反応には、Maxim and Gilbert
(Proc.Natl Acad Sci (USA)74:560(1997))または San
ber(Sanger et al., Proc.Natl.Acad.Sci (USA) 74:54
63(1977))によって開発された技術に基づくものが含ま
れる。主題検定を行う場合(例えば、Biotechniques 1
9:448(1995) を参照されたい)、質量分析法による配列
決定(例えば、PCT公開WO94/16101号;Cohen et al.,
Adv.Chromatogr. 36:127-162(1996);および Griffin e
t al., Appl.Biochem.Biotechnol. 38:147-159(1993)
を参照されたい)を含めた種々の自動シークエンス法の
いずれかを用いてよいということも考えられる。若干の
態様に関して、1個、2個または3個だけの核酸塩基の存
在を、配列決定反応において決定する必要があるという
ことは、当業者に明らかであろう。例えば、Aトラック
等は、例えば、1個の核酸だけが検出される場合に行う
ことができる。
【0116】もう一つの態様において、切断物質(ヌク
レアーゼ、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウム
などおよびピペリジンを含む)からの保護は、RNA/RNA
またはRNA/DNAまたはDNA/DNAヘテロ二重らせんにおけ
るミスマッチした塩基を検出するのに用いることができ
る(Myers, et al., Science 230:1242(1985))。概し
て、“ミスマッチ切断”の当該技術は、野生型対立遺伝
子を含有する(標識された)RNAまたはDNAを試料とハイ
ブリッド形成させることによって形成されるヘテロ二重
らせんを提供することによって開始する。その二本鎖二
重らせんを、対照鎖と試料鎖との間の塩基対ミスマッチ
のために存在するような二重らせんの一本鎖領域を切断
する物質を用いて処理する。例えば、RNA/DNA二重らせ
んは、RNアーゼを用いて処理され、DNA/DNAハイブリッ
ドは、S1ヌクレアーゼを用いて処理されて、それらのミ
スマッチ領域を酵素によって消化することができる。他
の態様において、DNA/DNAかまたはRNA/DNAの二重らせ
んは、ミスマッチ領域を消化するために、ヒドロキシル
アミンまたは四酸化オスミウムおよびピペリジンを用い
て処理することができる。ミスマッチ領域の消化後、得
られた物質を変性ポリアクリルアミドゲル上のサイズに
よって分離して、突然変異部位を決定する。例えば、Co
tton et al., Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 85:4397(198
8);および Saleeba et al., Methods Enzymol. 217:28
6-295(1992) を参照されたい。好ましい態様において、
対照DNAまたはRNAは、検出用に標識することができる。
【0117】なおもう一つの態様において、ミスマッチ
切断反応は、二本鎖DNA中のミスマッチ塩基対を認識す
る一つまたはそれ以上のタンパク質を用いる(いわゆ
る、“DNAミスマッチ修復”酵素)。例えば、大腸菌
(E.coli)のmutY酵素は、G/AミスマッチのところのA
を切断し、ヒーラ(Hela)細胞からのチミジンDNAグリ
コシダーゼは、G/TミスマッチのところのTを切断する
(Hsu et al., Carcinogenesis 15:1657-1662(199
4))。典型的な態様により、CETPハプロタイプの対立遺
伝子に基づくプローブを、1種類または複数の試験細胞
からのcDNAまたは他のDNA産物にハイブリッド形成させ
る。その二重らせんを、DNAミスマッチ修復酵素を用い
て処理し、もしあれば、切断産物を、電気泳動プロトコ
ール等から検出することができる。例えば、米国特許第
5,459,039号を参照されたい。
【0118】他の態様では、電気泳動移動度の変化を用
いて、CETP対立遺伝子を識別するであろう。例えば、一
本鎖コンホメーション多型(SSCP)は、突然変異核酸と
野生型核酸との間の電気泳動移動度の差を検出するのに
用いることができる(Oritaet al., Proc.Natl.Acad.Sc
i(USA) 86:2766(1989), Cotton, Mutat.Res. 285:125-1
44(1993) も参照されたい;および Hayashi, Genet.Ana
l.Tech.Appl. 9:73-79(1992))。簡単なおよび対照のCE
TP対立遺伝子の一本鎖DNAフラグメントを変性させ、そ
して復元させる。一本鎖核酸の二次構造は、配列によっ
て異なり、得られた電気泳動移動度の変化は、一つの塩
基変化の検出さえも可能にする。DNAフラグメントは、
標識されていてよいし、または標識プローブを用いて検
出されてよい。検定の感度は、二次構造が配列の変化に
一層感受性であるRNA(DNAよりもむしろ)を用いて増大
させることができる。好ましい態様において、主題の方
法は、ヘテロ二重らせん分析を用いて、電気泳動移動度
の変化に基づいて二本鎖ヘテロ二重らせん分子を分離す
る(Keen et al., Trends Genetics 7:5(1991))。
【0119】なおもう一つの態様において、一定勾配の
変性剤を含有するポリアクリルアミドゲル中での対立遺
伝子の移動を、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Myers
et al., Nature 313:495(1985))を用いて検定する。DG
GEを分析法として用いる場合、DNAは、例えば、PCRによ
り、高融解温度のGCの多いDNAの約40bpのGCクランプを
加えることによって、確実にそれが完全に変性しないよ
うに修飾されるであろう。もう一つの態様において、温
度勾配を変性剤勾配の代わりに用いて、対照および試料
のDNAの移動度の差を識別する(Rosenbaum and Reissne
r, Biophys.Chem. 265:12753(1987))。
【0120】対立遺伝子を検出する他の技法の例には、
選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選
択的増幅、または選択的プライマー伸長が含まれるが、
これらに制限されるわけではない。例えば、既知の突然
変異またはヌクレオチドの差(例えば、対立遺伝子変異
体における)が中心に置かれた後、完全な対合が見出さ
れる場合にのみハイブリダイゼーションを可能にする条
件下において、標的DNAにハイブリッド形成するオリゴ
ヌクレオチドプライマーを製造することができる(Saik
i et al., Nature 324:163(1986); Saiki et al., Pro
c.Natl.Acad.Sci.(USA) 86:6230(1989))。このような
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼー
ション法を用いて、オリゴヌクレオチドがPCR増幅され
た標的DNAにハイブリッド形成する場合、反応につき一
つの突然変異または多型性領域を、またはオリゴヌクレ
オチドがハイブリッド形成性膜に結合し且つ標識された
標的DNAとハイブリッド形成する場合、多数の異なった
突然変異または多型性領域を調べることができる。
【0121】或いは、選択的PCR増幅に依る対立遺伝子
特異的増幅技術は、本発明と連結して用いることができ
る。特異的増幅のためのプライマーとして用いられるオ
リゴヌクレオチドは、分子の中心に(増幅が示差的ハイ
ブリダイゼーションに依るように)(Gibbs et al., Nu
cleic Acids Res. 17:2437-2448(1989))、または適当
な条件下においてミスマッチがポリメラーゼ伸長を妨げ
るまたは減少させることがありうる場合の一つのプライ
マーの3’最末端に(Prossner, Tibtech 11:238(199
3))、目的の突然変異または多型性領域を有していてよ
い。更に、突然変異の領域に新規な制限部位を導入し
て、切断に基づく検出を行うことは、望ましいことがあ
りうる(Gasparini et al., Mol.Cell Probes 6:1(199
2))。若干の態様において、増幅は、増幅用のTaqリガ
ーゼを用いて行うこともできるということが考えられる
(Barany, Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 88:189(199
1))。このような場合、5’配列の3’末端に完全な対合
が存在して、増幅の有無を探求することによって特異的
部位における既知の突然変異の存在を検出することが可
能になる場合にのみ、連結反応が起こるであろう。
【0122】なおもう一つの態様において、対立遺伝子
変異体は、制限フラグメント長さ多型(RFLP)分析によ
る制限酵素切断パターンの変化によって識別することも
できる。例えば、試料および対照のDNAを単離し、増幅
させ(場合により)、1種類またはそれ以上の制限エン
ドヌクレアーゼを用いて消化し、そしてフラグメント長
さサイズをサイズ分画(例えば、液体クロマトグラフィ
ーまたはゲル電気泳動法)によって決定する。
【0123】もう一つの態様において、対立遺伝子変異
体の識別は、例えば、米国特許第4,998,617号および
Landergren,U. et al.(Science 241:1077-1080(198
8))に記載のようなオリゴヌクレオチド連結検定(OL
A)を用いて行われる。このOLAプロトコールは、標的の
1本の鎖の隣接する配列にハイブリッド形成することが
できるように設計されている二つのオリゴヌクレオチド
を用いる。それらオリゴヌクレオチドの一方は、分離用
マーカーに連結され、例えば、ビオチニル化され、そし
てもう一方は、検出可能に標識される。正確な相補性配
列が標的分子中で見出される場合、それらオリゴヌクレ
オチドは、それら末端が隣接し、連結反応基質を生じる
ようにハイブリッド形成するであろう。次に、連結は、
アビジンまたは別のビオチンリガンドを用いて、標識オ
リゴヌクレオチドが回収されることを可能にする。Nick
erson,D.A. et al. は、PCRおよびOLAの特性を組み合わ
せる核酸検出検定を記載している(Nickerson,D.A. et
al. Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)87:8923-27(1990))。こ
の方法では、PCRを用いて、標的DNAの指数関数的増幅を
行った後、OLAを用いてこれを検出する。
【0124】このOLA法に基づくいくつかの技法が開発
されているが、これらを用いて、CETP対立遺伝子を検出
することができる。例えば、米国特許第5,593,826号
は、3’−アミノ基および5’−リン酸化オリゴヌクレオ
チドを有するオリゴヌクレオチドを用いて、ホスホロア
ミデート結合を有する複合体を形成するOLAを開示して
いる。Tobe et al.(Nucleic Acids Res. 24:3728(199
6))に記載のOLAのもう一つの変法の場合、PCRと組み合
わされたOLAは、一つの微量滴定ウェル中で二つの対立
遺伝子の型決定を可能にする。独特のハプテン、すなわ
ち、ジゴキシゲニンおよびフルオレセインを用いて対立
遺伝子特異的プライマーのそれぞれに印を付けることに
より、それぞれのOLA反応を、異なった酵素リポータ
ー、アルカリ性ホスファターゼまたは西洋ワサビペルオ
キシダーゼを用いて標識されているハプテン特異的抗体
を用いることによって検出することができる。このシス
テムは、二つの異なった色を生じさせる高処理量形式を
用いて二つの対立遺伝子の検出を可能にする。
【0125】本発明のもう一つの態様は、動脈の閉塞に
よってか、脆弱プラークの形成によってかまたは再狭窄
の形成によって心臓血管障害を発生する素因を検出する
ためのキットに関する。このキットは、CETPハプロタイ
プの少なくとも一つの対立遺伝子に5’および3’でハイ
ブリッド形成する5’および3’オリゴヌクレオチドを含
めた一つまたはそれ以上のオリゴヌクレオチドを含有し
てよい。PCR増幅オリゴヌクレオチドは、引き続きの分
析に好都合なサイズのPCR産物を生じるために、25〜250
0塩基対離れて、好ましくは、約100〜約500塩基離れて
ハイブリッド形成すべきである。
【0126】本発明の方法によるCETP多型性対立遺伝子
の増幅および検出で用いるためのオリゴヌクレオチドの
設計は、ヒトCETP遺伝子座を含有するヒト染色体16(16
q12〜16q21)からの最新の配列情報、およびこの遺伝子
座に利用可能な最新のヒト多型情報の両方の利用可能性
によって容易にされる。これら遺伝子におけるヒト多型
の検出に適したプライマーは、プライマー配列の設計お
よび最適化に関して当該技術分野において知られている
この配列情報および標準的な技法を用いて容易に設計す
ることができる。このようなプライマー配列の最適な設
計は、例えば、プライマー2.1、プライマー3または Ge
neFisher のような商業的に入手可能なプライマー選択
プログラムの使用によって行うことができる。
【0127】キットでの使用に関して、オリゴヌクレオ
チドは、合成オリゴヌクレオチド、制限フラグメント、
cDNA、合成ペプチド核酸(PNA)等のようないろいろな
天然のおよび/または合成の配合物のいずれでもよい。
検定キットおよび方法は、検定中の識別を容易にさせる
ように標識されたオリゴヌクレオチドを用いてもよい。
用いることができる標識の例には、放射性標識、酵素、
蛍光化合物、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチ
ン、磁性残基、金属結合性残基、抗原または抗体残基等
が含まれる。
【0128】このキットは、場合により、DNA試料採取
手段を含んでいてもよい。DNA試料採取手段は、当業者
に周知であり、濾紙、AmpliCardTM(University of She
ffield, Sheffield, England S10 2JF; Tarlow,JW, et
al., J.of Invest.Dermatol. 103:387-389(1994))等の
ような支持体;NucleonTMキット、溶解緩衝液、プロテ
イナーゼ溶液等のようなDNA精製試薬;10x反応緩衝液、
熱安定性ポリメラーゼ、dNTP等のようなPCR試薬;およ
びHinfI制限酵素、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチ
ド、および乾燥血液からの nested PCRのための縮重オ
リゴヌクレオチドプライマーのような対立遺伝子検出手
段が含まれうるが、これらに制限されるわけではない。
【0129】凝固、遠心分離、超遠心分離、電気泳動等
のような、血液試料中のHDLのレベルを測定するための
いろいろな方法は、当該技術分野において周知である。
したがって、種々の商業的に入手可能なキットが、HDL
レベルを測定するのに利用可能である。HDLレベルを測
定する検定の具体的な例は、硫酸デキストランMnCl2
降法(Warnick et al., Clinical Chemistry, 28,1385-
1397(1982))である。簡単にいうと、血漿試料をHDL−
コレステロール試薬(Sigma 352−3)と混合し、5分間
反応させる。次に、その反応を3,000xgで5分間遠心分
離し、上澄み部分を、コレステロールを決定するための
酵素試薬(Sigma 352−50)と混合する。その混合物を3
7℃で撹拌しながら5分間反応させ;アリコートを取り、
その500nmでのO.D.を、分光計を用いて決定する。HDL
コレステロールの濃度は、その結果を標準曲線と比較す
ることによって計算される。
【0130】ELISA、RIA等のような、血液試料中のCETP
のレベルを測定するいろいろな方法は、当該技術分野に
おいて周知である(例えば、Clark et al., J.Lipid Re
s. 36:876-889(1995); Brown et al., Nature 342:448-
451(1989); 米国特許第6,140,474号を参照された
い)。更に、種々の商業的に入手可能なキットが、CETP
レベルを測定するのに利用可能である。血清試料中のCE
TPレベル(またはCETP質量)を測定するための具体的な
方法は、二部位免疫検定(Mezdour et al., Clin.Chem.
40:593-597(1994))である。
【0131】CETP活性は、いろいろな方法を用いて測定
することができる。概して、その方法は、HDLおよびVLD
Lおよび/またはLDLの存在下において、標的コレステリ
ルエステルとCETPのインキュベーションを行う。CETP活
性の量は、その反応混合物からVLDL/LDL成分を単離
し、低密度画分中の標識の量を決定することによって決
定される。CEは、例えば、放射能または蛍光標識を用い
て標識することができ、低密度画分は、例えば、超遠心
分離、沈降法等によって単離することができる(例え
ば、Nichols A.V.,et al., J.Lipid Res. 6:206(1965);
Pattnaik,N.M. etal., Bioch.Biophys.Acta 530:428(1
978); Dousset,N. et al., Clin.Chem. 38:306(1982);
Milner,T.G. et al., Biochim.Biophys.Acta 1082:71(1
991) およびBrocia,R.W. et al., 米国特許第5,618,6
83号を参照されたい)。
【0132】心臓血管障害の発生への感受性に関連する
特定のCETP対立遺伝子の知見は、単独で、または心臓血
管障害の原因となる他の遺伝的欠陥についての情報と一
緒に、“薬理ゲノム学(pharmacogenomics)”の目的で
ある個体の遺伝子プロフィールによって予防または治療
の慣例化を可能にする。
【0133】したがって、対象の心臓血管疾患の特定の
分子基準に取り組む治療法は、遺伝子型分析に基づいて
開発することができる。心臓血管障害に関する集団プロ
フィールへの個体CETPプロフィールの比較は、特定の患
者または患者集団(すなわち、同様の遺伝的変化を有す
る患者グループ)にとって安全で且つ有効であると考え
られる薬物または他の治療計画の選択または設計を可能
にする。
【0134】特に、CETPハプロタイプの決定は、CETPの
レベルまたは活性および/または、HDL、LDL、IDLおよ
びVLDLのようなリポタンパク質のレベルの変化のため
に、心臓血管障害の発生への対象感受性を評価するのに
重要である。例えば、パターン1の対立遺伝子を有する
対象は、彼らを更に心臓血管障害を発生する危険な状態
にするかもしれないより低いHDLレベルを有する傾向が
ある。更に、遺伝子型情報は、より有効であるかもしれ
ない治療を臨床医に判断させる。例えば、心臓血管障害
およびパターン1の対立遺伝子を有する患者の場合、心
臓血管障害は、部分的には、比較的より高いCETP濃度に
よって引き起こされる。したがって、CETPアンタゴニス
トである薬剤は、有益な作用を有すると考えられる。更
に、心臓血管障害を一緒に示すパターン2の患者は、CET
Pレベルがこれら患者では既に低いので、CETPアンタゴ
ニストから利益を得ることは少ないであろう。
【0135】更に、遺伝子プロフィールに基づき、最高
の臨床的利点を示すと考えられる標的集団への能力は、
(i)心臓血管障害の予防または治療用に既に市販され
ている薬物の販売戦略変更(repositioning)を可能に
する;(2)患者サブグループに特異的である制限の結
果として、臨床開発が中断されている薬物候補の救出を
可能にする;および(3)候補治療法の開発およびより
最適な薬物表示(例えば、血管障害を引き起こす突然変
異へのいろいろな薬剤投与量の作用を測定することは、
有効量を最適化するのに有用であるので)を容易にする
ことができる。
【0136】具体的な治療法を用いた個体の治療は、タ
ンパク質(例えば、CETP)、mRNAおよび/または転写レ
ベルを測定することによって監視することができる。CE
TP活性も監視することができる。次に、検出されるレベ
ルに依って、治療計画を維持するかまたは調整する(用
量を増加させるまたは減少させる)ことができる。好ま
しい態様において、ある薬剤を用いて対象を治療する有
効性は、(i)その薬剤の投与前に、対象から投与前試
料を得る;(ii)投与前試料中のCETP活性、タンパク質
またはmRNAのレベルまたは量を検出する;(iii)対象
から1回またはそれ以上の投与後試料を得る;(iv)投
与後試料中のCETP活性、タンパク質またはmRNAの発現ま
たは活性のレベルを検出する;(v)投与前試料中のCET
P測定値のレベルを、投与後試料中の対応するCETP測定
値とそれぞれ比較する;および(vi)それによって、対
象への薬剤の投与を変更する工程を含む。
【0137】対象の細胞は、CETP遺伝子以外の遺伝子の
発現レベルを検出するために、治療薬の投与前後に入手
されて、その治療薬が、有害でありうる遺伝子の発現を
増加も減少もさせないということを確証することもでき
る。これは、例えば、転写プロファイリングの方法を用
いることによって行うことができる。したがって、ある
治療薬に in vivo で暴露された細胞からのmRNA、およ
び治療薬に暴露されなかった同様の種類の細胞からのmR
NAを、逆転写させ、多数の遺伝子からのDNAを含有する
チップにハイブリッド形成させ、それによって、その治
療薬を用いて処置された細胞および処置されない細胞に
おける遺伝子の発現を比較しうると考えられる。
【0138】心臓血管疾患の予防および治療への一つの
アプローチは、特定の疾患に関する一つまたは複数の危
険因子を識別し、そしてその危険因子を改善するまたは
排除する療法を与えることである。
【0139】アテローム性動脈硬化症の進行に関連する
因子には、真性糖尿病、高血圧、高コレステロール血
症、高リポタンパク質a、肥満および喫煙が含まれる。
これらの内、薬理学的介入を受けやすい因子には、
(i)糖尿病、(ii)高血圧症および(iii)異常脂肪血
症が含まれる。脂質低下薬の例には、コレスチラミン、
コレスチポール(cholestipol)のような陰イオン交換
樹脂;シムバスタチン、プラカスタチン(pracastati
n)、セリバスタチン(cerivastatin)、フルバスタチ
ン(fluvastatin)、アトルバスタチン(atorvastati
n)、ロバスタチンのようなHMG CoAレダクターゼイン
ヒビターまたは(スタチン);フェノフィブレート(fe
nofibrate)、ベザフィブレート(bezafibrate)、ゲム
フィブロジル、クロフィブレート、シプロフィブレート
(ciprofibrate)のようなフィブレート;ニコチン酸お
よび類似体;アシピモクス(acipimox)、ニコフラノー
ス;非受容体に媒介されるLDLクリアランスを増加させ
且つLDL酸化を減少させるプロブコール;マキセパ(max
epa)、オマコル(omacor)のような魚油;およびパマ
クエシド(pamaqueside)、チクエシド(tiqueside)の
ようなコレステロール吸収阻害剤等が含まれる。
【0140】心臓血管疾患の予防および治療へのもう一
つのアプローチは、特定の疾患の根底にある障害を識別
し、そしてその根底にある障害の進行を妨げるおよび/
またはその障害の症状および徴候を改善するまたは排除
する療法を与えることである。例えば、CETP多型は、心
臓血管障害の発生にしばしば関連する危険因子である低
レベルのHDLを生じることがありうる過活性CETPタンパ
ク質をもたらすことがありうる。このような個体に好ま
しい治療には、CETPレベルまたは活性を調節することが
できる療法を行うことが考えられる。
【0141】CETP活性のモジュレーターは、タンパク
質、ペプチド、ペプチド模擬体、低分子または核酸を含
めた任意の種類の化合物を含むことができる。好ましい
アゴニストには、核酸(例えば、CETPタンパク質をコー
ドする、またはCETPタンパク質によってアップレギュレ
ーションまたはダウンレギュレーションされる遺伝
子)、タンパク質(例えば、CETPタンパク質、またはそ
れによってアップレギュレーションまたはダウンレギュ
レーションされるタンパク質)または低分子(例えば、
CETPタンパク質の発現、結合または活性を調節するも
の)が含まれる。例えば、本明細書中に記載の検定を用
いて識別することができる好ましいアンタゴニストに
は、核酸(例えば、一本鎖(アンチセンス)または二本
鎖(三重らせん)のDNAまたはPNAおよびリボザイム)、
タンパク質(例えば、抗体)、およびCETPの転写および
/またはタンパク質活性を抑制するまたは阻害するよう
に作用する低分子が含まれる。
【0142】遺伝子療法技術は、CETP活性を調節するの
に用いることもできる。例えば、これには、若干の組織
におけるCETPの過発現、またはCETP産生を減少させるア
ンチセンス治療、またはCETPの望ましい対立遺伝子を欠
陥のある対立遺伝子と置き換えるように導入する対立遺
伝子置換が含まれうる。
【0143】心臓血管障害の予防および治療に好ましい
アプローチには、一つまたは複数の危険因子を治療する
治療薬を、根底にある障害を治療する治療薬と一緒に用
いて対象を治療する組合せアプローチが含まれる。例え
ば、組合せアプローチには、次の、(i)CETPアゴニス
ト、(ii)CETPアンタゴニスト、(iii)HMG CoAレダク
ターゼインヒビター、(iv)対象の運動レベル、食事、
アルコール摂取量、喫煙および/または食事性脂肪摂取
量の変更の内の少なくとも二つを用いた患者の治療が含
まれうる。好ましい組合せアプローチは、CETP阻害剤
(HDLレベルを増加させるための)を、HMG CoAインヒビ
ター(LDLレベルを低下させるための)と一緒に用いた
対象の治療である。
【0144】本発明の実施は、特に断らない限り、当該
技術の範囲内である細胞生物学、細胞培養、分子生物
学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA
および免疫学の慣用的な技法を用いるであろう。このよ
うな技法は、文献に記載されている。例えば、Molecula
r Cloning A Laboratory Manual, 2nd Ed., ed.by Samb
rook, Fritsch and Maniatis (Cold Spring Harbor Lab
oratory Press: 1989);DNA Cloning, Volumes I and I
I (D.N.Glover ed., 1985);Oligonucleotide Synthesi
s (M.J.Gait ed., 1984);Mullis et al., 米国特許第
4,683,195号;Nucleic Acid Hybridization (B.D.Ham
es & S.J.Higgins eds. 1984);Transcription And Tra
nslation (B.D.Hames & S.J.Higgins eds. 1984);Cult
ure Of Animal Cells (R.I.Freshney, Alan R. Liss,In
c., 1987);Immobilized Cells AndEnzymes (IRL Pres
s, 1986);B.Perbal, A Practical Guide To Molecular
Cloning (1984);the treatise, Methods In Enzymolo
gy (Academic Press,Inc., N.Y.);Gene Transfer Vect
ors For Mammalian Cells (J.H.Miller and M.P.Calose
ds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory);Methods
In Enzymology, Vols.154 and 155 (Wu et al. eds.),
Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biol
ogy (Mayer and Walker, eds., Academic Press, Londo
n, 1987);Handbook Of Experimental Immunology, Vol
umes I-IV (D.M.Weir and C.C.Blackwell, eds., 198
6);Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Ha
rbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1
986) を参照されたい。
【0145】本明細書中に挙げられた公開特許および科
学文献は、当業者に利用可能である知見を決定する。本
明細書中に引用される米国特許、許可された出願、公開
された外国特許出願、および GenBank データベース配
列を含めた参考文献は、それぞれが、具体的に且つ個々
に、援用されることが示されていたかのような程度に、
そのまま本明細書中に援用される。
【0146】次の実施例は、本発明の若干の好ましい態
様を更に詳しく説明するためのものであり、事実、制限
するものではない。当業者は、本明細書中に記載の具体
的な物質および方法への多数の均等物を、常套の実験を
用いるまでもなく理解するであろうしまたは確かめるこ
とができるであろう。このような均等物は、本発明の範
囲内であると考えられるし、請求の範囲によって包含さ
れる。
【0147】
【実施例】[CETP対立遺伝子の遺伝子分析]遺伝子分析
を行って、CETP遺伝子中の新規な多型(イントロン1(7
07);イントロン8(3707);イントロン8(3946);プ
ロモーター(VNTR);挿入(307);およびイントロン1
5(493))間の可能な関係、およびベースラインCETP濃
度およびHDLレベルを調べた。連鎖不均衡分析を行っ
て、CETP遺伝子中の新規な多型と若干の従来識別された
SNP多型との間の関連を分析した。Taq1、Msp1およびRsa
1多型(図6)は、CETPおよびHDLレベルの改変に関連し
ていることが文献で示されている。具体的には、Taq1に
おけるB2対立遺伝子、Msp1におけるM2対立遺伝子、およ
びRsa1におけるR1対立遺伝子は、より高いHDLレベルお
よびより低いCETP質量に関連している。遺伝子および表
現型のデータは、46人の患者の試料から分析した。
【0148】連鎖不均衡:この研究での被験者につい
て、SNP565と挿入307との間には、完全な不均衡が認め
られた、すなわち、被験者がSNP565のところに一つの
‘C’対立遺伝子(V対立遺伝子は野生型である)も有し
ていた場合およびその場合のみ、被験者は307に挿入を
有した。したがって、SNP565を用いて見出された関連は
全て、挿入307に関するものと均等である。
【0149】有意の連鎖不均衡は、CETP遺伝子中のいく
つかのマーカーの中で認められた(表2)。
【0150】
【表2】 Taq1、Msp1、Rsa1およびSNP565を含めた4マーカーハプ
ロタイプに関して、SNP565におけるホモ接合性野生型
(G/G)(または307のところに均等に挿入不含)は、T
aq1、Msp1およびRsa1における112ハプロタイプ(すなわ
ち、それぞれの多型性部位における野生型)と強い不均
衡の状態にあることが認められた。更に、SNP565におけ
る‘C’対立遺伝子(または307における挿入)の存在
は、Taq1、Msp1およびRsa1における221ハプロタイプ
(すなわち、それぞれの多型性部位における突然変異
体)と強く関連していた。
【0151】遺伝子型/表現型相関:分散の分析(ANOV
A)は、上に挙げた表現型およびCETPからのマーカーの
それぞれについて行った。更に、Taq1/Msp1/Rsa1/SN
P565ハプロタイプを、CETP濃度およびHDLレベルを用い
て分析した。表現型変数の等級を用いた分析は、下に示
されたものと同様の結果を生じた(表3)。
【0152】
【表3】 図7に示されるように、CETP遺伝子中のTaq1多型性部位
に突然変異を含有する対立遺伝子(B2対立遺伝子)の存
在は、被験者の低下したCETP濃度に相関した(B1/B1>
B1/B2>B2/B2)。
【0153】図8に示されるように、CETP遺伝子中のMsp
1多型性部位に突然変異を含有する対立遺伝子(M2対立
遺伝子)の存在は、被験者の低下したCETP濃度に相関し
た(M1/M2>M2/M2)。
【0154】図9に示されるように、CETP遺伝子のSNP56
5多型性部位(およびイントロン12中の対応する挿入30
7)にG−C突然変異を含有する対立遺伝子の存在は、増
加したHDLレベルに相関した(G/C>G/G)。
【0155】図10に示されるように、CETP遺伝子のTaq
1、Msp1、Rsa1およびSNP565(およびイントロン12中の
対応する挿入307)多型性部位のそれぞれに突然変異を
含有する対立遺伝子(1121ハプロタイプ)の存在は、被
験者の低下したCETP濃度に相関した(1>0)。0は、突
然変異体対立遺伝子にホモ接合性である個体を示し、1
は、突然変異体対立遺伝子にヘテロ接合性である個体を
示す。
【0156】図11に示されるように、CETP遺伝子のTaq
1、Msp1、Rsa1およびSNP565(およびイントロン12中の
対応する挿入307)多型性部位のそれぞれに突然変異を
含有する対立遺伝子(2212ハプロタイプ)の存在は、増
加したHDLレベルに相関した(1>0)。0は、野生型対立
遺伝子にホモ接合性である個体を示し、1は、野生型対
立遺伝子にヘテロ接合性である個体を示す。
【0157】[均等物]本発明が関する当業者に明らか
であるように、本発明は、本発明の精神または本質的な
特徴から逸脱することなく、上に具体的に開示されたも
の以外の形で具体化することができる。上に記載された
本発明の具体的な態様は、したがって、詳しく説明する
ものとして考えられるべきであり、制限するものではな
い。本発明の範囲は、前述の説明に含まれる実施例に制
限されるよりもむしろ、請求に範囲に記載の通りであ
る。
【0158】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Pfizer Products Inc. <120> METHODS, COMPOSITIONS AND KITS RELATING TO CARDIOVASCULAR DISEASE <130> PC11028AJAK <140> 60/258,072 <141> 2000-12-00 <160> 14 <170> PatentIn Ver. 3.1 <210> 1 <211> 1656 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 1 tgtctttttc tcatagtcat tgtattttgg cctctttcta tttatggcaa cagagagaga 60 aagcttattc ctagatatat gtatttaagt aaaaataaat gaattcatgg aaacatatta 120 agcaattatc cagataacat aagggatggc aaaaatggtg cagatggtgg aggggagaca 180 agtagaagtt ggggtgctct tgttgaatgt ctggctctga actctagagg aggccgcagg 240 ggctgggcag gaaggaggtg aatctctggg gccaggaaga ccctgctgcc cggaagagcc 300 tcatgttccg tgggggctgg gcggacatac atatacgggc tccaggctga acggctcggg 360 ccacttacac accactgcct gataaccatg ctggctgcca cagtcctgac cctggccctg 420 ctgggcaatg cccatgcctg ctccaaaggc acctcgcacg aggcaggcat cgtgtgccgc 480 atcaccaagc ctgccctcct ggtgtgtaag tatcagtgca tctgtctgcc ctgccagggg 540 tcttttcatg gacacccact atgccaggag cctccctggc ctgaagccag ccctgaagcc 600 ggctgccaca ctagcccaga gagaggagtg 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ctgaatgagg tctgggtcct tggctctttc caggctgggt 660 attgatcagt ccattgactt cgagatcgac tctgccattg acctccagat caacacacag 720 ctgagtatgt gtcaagcgtc ctctggggaa gtgggagctg gactccaggg cttggctcag 780 cagaggggga ggttgtgcag gcagagggtt ctggggccac caaaggaggc agcctgggaa 840 gtttgcaggg ttggggaccc cagagctggc caagctcttg actggcctgg gcagcatgtg 900 gataccatct gatagcggag gctgccctga ggtcatgtcg ggtctccctg cagcctgtga 960 ctctggtaga gtgcggaccg atgcccctga ctgctacctg tctttccata agctgctcct 1020 gcatctccaa ggggagcgag agtaagtaca ccaccctgtg cccccattcc tgtcgtgccc 1080 atcctgttag tgtgtccacg gccccctcca ggctcaaccc cacacaggga tgcttgtggg 1140 tggccaaacc tgagggcagc aataccttca gtggggtcat tccatccccc tccatcaata 1200 caccctaaag gctggaaaca acaataacca acagctagta actaacagct attaagaact 1260 tctgttggca aagcactatt ccaagccctt tcatgaatta attgattttg tccttaaaac 1320 caaccctagg atatagattc tgttatcatc ccctttttac atatgggtaa actgagtcac 1380 agacaggtta gaaaggaaaa gctcatatct acggagtcga tcctgcattc caagcaccac 1440 actaactcag agataaaact ctagccaagc taagtaactt gctgaggaca cacaactcgc 1500 cactaaggga tgggagtagg acccatttga acccagactt ctctgacccc agaagctgag 1560 ttcctagata ctttactctc ctgcttccca gggtggggct ttttgtcttg gccaacaccc 1620 tctgtcaagg agctgtggta accccattgc acagaggaag ataacaaggt ttggagagtc 1680 cctagtcatg ttaccaatgc caaacctgga aggcagaagg gaactggtgg gtggggtctg 1740 gagaggagcc ctctattcag gccatttttt ctgactctgg agcaagacgg atacatgtat 1800 gaatttggac tctagacacg ttctcgtgtg tgtgacaggt gtgagcgtca caggagctgg 1860 gccctcccga ggaattctgg atggtgccac agttaattct tgggtctgag gctccgtgtt 1920 ctcactgcaa aatgggagtg ataattctta cttcctgagc tacaagagtc agggccaaca 1980 gagccatgaa ggagcctggt acacactagg cgctccatgg atgcacagga ctggtcaggg 2040 gctcattgtg gtgcttgctg ccttcaggcc tgggtggatc aagcagctgt tcacaaattt 2100 catctccttc accctgaagc tggtcctgaa gggacaggtg agtgaggctg gctgactccc 2160 tgtggtccag gccatgccca ggaggctgga tccctttcct ccctgccttt ccctgagaag 2220 gtgccactcc caccttctcc atgtggccag tcccctgtgc cggtccccag cactgccacc 2280 accacgcagc tggaaggagg cactccgtct ggcctccttt cctgcctgga aagcacctgc 2340 tctgtctgcc ccagatctgc aaagagatca acgtcatctc taacatcatg gccgattttg 2400 tccagacaag ggctggtgag tgcgtttctg tctgcatgcc tcagaagaca gcagtgggag 2460 ccagaaagcc acctgctgca ctatgtggcc ttgggactgt cactcttcct gtctaggtcc 2520 catgggctct atctggctct gacacttgat gattagttat gagcatactt tggcaaagct 2580 ctgccccttt ggtgcggctc acaagctgtg tggcgaaggg cttgtctata gaactcagga 2640 caaatgggtg attaagtcca agaggcatcc aagattctcc tggaagtaga ttaggaaaaa 2700 agataattag attgctcaca tggctgggca ctcatccatg tactgtactc tcctatgcag 2760 tacagagcag agctgggttt cagcccaagt cttggactct gctctgaacc aaccttctag 2820 aagggctcta cctacccaga cagacagact tgggaaaaga gagaatgaaa aagtgccaca 2880 cccctccccg cacacccagg tcccacttta cagaggggaa cactgaggct ggagggttgg 2940 gtagctgtgt ggatgcaggg gacggtgact cagggcaatt cccccatccc tgaggccctg 3000 cgttgatctt ttcctcctgc agccagcatc ctttcagatg gagacattgg ggtggacatt 3060 tccctgacag gtgatcccgt catcacagcc tcctacctgg agtcccatca caaggtagga 3120 gttgtgggag ggtgggcagg gcccagcttc cccaggggag ttggtccttt tttgtgctct 3180 gacaacccca tcccccagct tcaaccttat ggcagccaag agtcctgggg agctcctcct 3240 cattcctgat gctcctccgc attcctgatg ctgcgaggag ggcaggccac agcgacgtgc 3300 ccctgacccc tctctgcagg caccagggct gcccactaca aggatcccag caaagcacca 3360 gctccttcct agagggctta ttcggcttct gtcatcctct acagcagtgg attgtggccc 3420 cccccagggg gtactgacaa aagctt 3446 <210> 3 <211> 1420 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 3 acatggtgca catgcctgta gtcctagcta cttggtggct gaggtagaca atcgcttgaa 60 cctgggacgt ggaggttgca gtgagctgag atcgtgccac tgccctccag cctgggcaac 120 agagtgagac tgtctcaaaa acaaaaaaag aaaagaaaag aaaaagaaag tgacttctca 180 ggtcctaacc ccaaagccac aggtgctggg gaactttcct cggttttcag aagagcagta 240 gctaagcctg gttcccgtgt catccttgcc tctccagtcc ctcagtggaa agaatcaggg 300 gccctgagct aggagggttg ctctctgctt cgggaagagc cctggctcac agcaaatttg 360 gtttctctcc ccaggatatc gtgactaccg tccaggcctc ctattctaag aaaaagctct 420 tcttaagcct cttggatttc cagtatgtgc tgcagagaag agaagggggc ggtcaactcc 480 gcaaacctct ccctggcccc ttggagtcag gcacagggcg gggtgttggt ggggaaatgt 540 ggcccctttc ttctggggca tatgggctga ctgcagggaa gataagaccc tgcctagata 600 gaatcttcgt ggggaagaag gggctccagg aagaatggag ggctgccagg aagaaggcct 660 gagctatgag acaaaagcac tggctgctat tcttagagtt tctttcccag gggatgttac 720 aggagggggc ccaatggagg gtcaaattat catcgctttt ttatttcagg attacaccaa 780 agactgtttc caacttgact gaggtaggta gtcttggata gactggggga aataagtcct 840 gtgggacctc ctgccttaaa gaaagcaggc ggagggccct aaaggaaatc aggcaaccag 900 accaaaagaa tgtgaccagg tggtccatgc tgtgtctctt gtgacccttc ttctccctgc 960 catgtctttt gggagagccc ttgtgttgca aaaatgagag tgtggtggta tggattgggg 1020 tttaggcaga acagtactgg ccaagcagcg ctccctggac ctcaattttc cctctgtgga 1080 atgggctagc aatcctgggc ctccccaggg cgaaggaaag accactcagg aagggcaccg 1140 tctggggcag gaaaacggag tgggttggat gtattttttt cacggatggg catgaggatg 1200 aatgcttgtc caggccgtgc agcatctgcc ttgtgggtca cttctgtgct ccagggagga 1260 ctcaccatgg gcatttgatt gcagagcagc tccgagtccg tccagagctt cctgcagtca 1320 atgatcaccg ctgtgggcat ccctgaggtc atgtctcgta agtgtgggct ggaggggaaa 1380 ctgggtgccg aggctgacag agcttcccat ttcacctttt 1420 <210> 4 <211> 894 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 4 ggatgggttg ggagctcaag ttttggggca gaagggaatt ttttttggca gcagagtgca 60 agccctgccg ccaggcaaac tctgctcttc ctcatcctca gaagcacttg ctcactctgc 120 taaatcaaag tgaaacgcat gtttacagaa tattggtcca aaagggtctc agcatctccc 180 actacccagg gtgcagagcc tcgggccggc cttgctcccc aagaagggct gactggggct 240 ctgtcccctc gcccagggct cgaggtagtg tttacagccc tcatgaacag caaaggcgtg 300 agcctcttcg acatcatcaa ccctgagatt atcactcgag atgtgagtac aaagcccccc 360 tcaccagccc ctgttcctgg ggagagaggc ccagacagga ttcctggggt gactgggggc 420 tgttggggag acagacagag gggcctctac cagcttggct ccctcctggt ggcctgggag 480 tcagcccagc tcgcccctct ctcctactgc ccctcccttc agggcttcct gctgctgcag 540 atggactttg gcttccctga gcacctgctg gtggatttcc tccagagctt gagctagaag 600 tctccaagga ggtcgggatg gggcttgtag cagaaggcaa gcaccaggct cacagctgga 660 accctggtgt ctcctccagc gtggtggaag ttgggttagg agtacggaga tggagattgg 720 ctcccaactc ctccctatcc taaaggccca ctggcattaa agtgctgtat ccaagagctg 780 cggagtcctt cttctgtggc tggcgggtag aggggggggg aagggattgt ctcaccagtg 840 ccgtccacct cttttcagcc cttccaagca gctgccccca aaccctccaa gctt 894 <210> 5 <211> 21 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 5 gttctttggt gagaaggtcc t 21 <210> 6 <211> 21 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 6 gttctttggt aagaaggtcc t 21 <210> 7 <211> 23 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 7 tggcctgaac ctgatcgcgg acc 23 <210> 8 <211> 23 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 8 tggcctgaac ttgatcgcgg acc 23 <210> 9 <211> 21 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 9 gatgatctag aggggcgggg g 21 <210> 10 <211> 21 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 10 gatgatctag tggggcgggg g 21 <210> 11 <211> 20 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 11 gaatggaggg agggcctggc 20 <210> 12 <211> 35 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 12 gaatggaggg ctgccaggaa gaaggagggc ctggc 35 <210> 13 <211> 21 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 13 agcccagctc gcccctctct c 21 <210> 14 <211> 21 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 14 agcccagctc acccctctct c 21 3
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、エクソン1および2に対応するヒトCET
P遺伝子の一部のGenBank配列(M32992;配列番号1)を
示す。
【図2】 図2Aおよび図2Bは、エクソン3−8に対応する
ヒトCETP遺伝子の一部のGenBank配列(M32993;配列番
号2)を示す。
【図3】 図3は、エクソン12−14に対応するヒトCETP
遺伝子の一部のGenBank配列(M32997;配列番号3)を示
す。
【図4】 図4は、エクソン15および16に対応するヒトC
ETP遺伝子の一部のGenBank配列(M32998;配列番号4)
を示す。
【図5】 図5は、CETP遺伝子の対立遺伝子を列挙す
る。
【図6】 図6は、文献からのいくつかの多型(Taq I
B、MSP IおよびRSA I)に関する、本発明のCETP多型
((GAAA)n、G707A、C3707T、A3964T、挿入307、G
493A)の位置を示すCETP遺伝子のマップを示す。
【図7】 図7は、ベースラインと比較した際のCETP−T
aq I多型を持つ個体におけるCETP濃度(μg/ml)のグ
ラフを示す。B1/B1は、正常な個体を示し、B1/B2は、
Taq IB突然変異対立遺伝子に関しヘテロ接合体である個
体を示し、そしてB2/B2は、突然変異Taq IB対立遺伝子
に関しホモ接合体である個体を示す。白い円は、明記さ
れるTaq IB遺伝子型を持つ個体のCETP濃度を示し;黒い
正方形は、明記されるTaq IB遺伝子型を持つ個体の平均
CETP濃度および標準誤差(正方形を通る線)を示す。
【図8】 図8は、ベースラインと比較した際のCETP−M
sp I多型を持つ個体におけるCETP濃度(μg/ml)のグ
ラフを示す。M1/M2は、Msp I多型対立遺伝子に関しヘ
テロ接合体である個体を示し、そしてM2/M2は、突然変
異Msp I対立遺伝子に関しホモ接合体である個体を示
す。白い円は、明記されるMsp I遺伝子型を持つ個体のC
ETP濃度を示し;黒い正方形は、明記されるMsp I遺伝子
型を持つ個体の平均CETP濃度および標準誤差(正方形を
通る線)を示す。
【図9】 図9は、ベースラインと比較した際のSNP 565
多型を持つ個体におけるHDL濃度(mg/dl)のグラフを
示す。G/Cは、SNP 565突然変異対立遺伝子に関しヘテ
ロ接合体である個体を示し、そしてG/Gは、正常な個体
を示す。白い円は、明記されるSNP 565遺伝子型を持つ
個体のHDL濃度を示し;黒い正方形は、明記されるSNP 5
65遺伝子型を持つ個体の平均HDL濃度および標準誤差
(正方形を通る線)を示す。
【図10】 図10は、ベースラインと比較した際の1121
ハプロタイプの0または1コピーを持つ個体のCETP濃度
(μg/ml)のグラフを示す。1121ハプロタイプは、Taq
I、Msp I、Rsa IおよびSNP 565多型部位の各々で正常
である対立遺伝子を持つ個体を示す。0は、4つの多型部
位の各々で突然変異を含む対立遺伝子に関しホモ接合体
である個体を示し、そして1は、4つの多型部位の各々で
突然変異を含む対立遺伝子に関しヘテロ接合体である個
体を示す。白い円は、明記されるハプロタイプを持つ個
体のCETP濃度を示し;黒い正方形は、明記されるハプロ
タイプを持つ個体の平均CETP濃度および標準誤差(正方
形を通る線)を示す。
【図11】 図11は、ベースラインと比較した際の2212
ハプロタイプの0または1コピーを持つ個体のHDL濃度(m
g/dl)のグラフを示す。2212ハプロタイプは、Taq I、
Msp I、Rsa IおよびSNP 565多型部位で突然変異体であ
る対立遺伝子を持つ個体を示す。0は、多型部位の各々
で正常である対立遺伝子に関しホモ接合体である個体を
示し、そして1は、4つの多型部位の各々で突然変異を含
む対立遺伝子に関しヘテロ接合体である個体を示す。白
い円は、明記されるハプロタイプを持つ個体のHDL濃度
を示し;黒い正方形は、明記されるハプロタイプを持つ
個体の平均HDL濃度および標準誤差(正方形を通る線)
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 121 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/53 M 33/53 33/566 33/566 C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 ローラ・キャスリン・ダーラム アメリカ合衆国コネチカット州06340,グ ロトン,イースタン・ポイント・ロード, ファイザー・グローバル・リサーチ・アン ド・ディベロプメント (72)発明者 マルジャ・エルマ・リラ アメリカ合衆国コネチカット州06340,グ ロトン,イースタン・ポイント・ロード, ファイザー・グローバル・リサーチ・アン ド・ディベロプメント (72)発明者 パトリス・マリー・ミロス アメリカ合衆国コネチカット州06340,グ ロトン,イースタン・ポイント・ロード, ファイザー・グローバル・リサーチ・アン ド・ディベロプメント Fターム(参考) 2G045 AA25 AA29 AA40 CB01 CB17 DA12 DA13 DA14 DA63 DA64 DA65 DA77 FB02 FB03 4B024 AA11 CA04 CA09 HA14 4B063 QA01 QA07 QA08 QA19 QQ42 QR55 QR62 QS25 QS34 4C084 AA17 NA14 ZA361 ZA451 ZC751

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象が心臓血管疾患に対する修飾された
    感受性を有するか否かを決定するための方法であって:
    前記対象由来の核酸試料において、イントロン1(70
    7);イントロン8(3707);イントロン8(3946);プ
    ロモーター(VNTR);挿入(307);イントロン15(49
    3)からなる群より選択される少なくとも1つのCETP対立
    遺伝子を検出し、前記CETP対立遺伝子が、CETP活性の修
    飾されたレベルと関連する、前記方法。
  2. 【請求項2】 前記心臓血管疾患が、低HDLと関連す
    る、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記の1以上の対立遺伝子が:イントロ
    ン1(707)対立遺伝子2;イントロン8(3707)対立遺伝
    子2;イントロン8(3946)対立遺伝子2;プロモーター
    (VNTR)対立遺伝子2;挿入(307)対立遺伝子2;イン
    トロン15(493)対立遺伝子2からなる群より選択され、
    前記対立遺伝子の検出が、対象が心臓血管疾患に対する
    減少した性向を有することを示す、請求項1に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 前記検出が:a)対立遺伝子特異的オリ
    ゴヌクレオチドハイブリダイゼーション;b)サイズ解
    析;c)配列決定;d)ハイブリダイゼーション;e)5’
    ヌクレアーゼ消化;f)一本鎖コンホメーション多型;
    g)対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション;h)プラ
    イマー特異的伸長;j)オリゴヌクレオチド連結アッセ
    イ;およびk)RFLP解析からなる群より選択される技術
    を利用する、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 さらに核酸試料を増幅することを含む、
    請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 配列番号6、8、10、12または14の少なく
    とも11の連続するヌクレオチドを含む単離された核酸ま
    たはその相補体。
  7. 【請求項7】 少なくとも1つのGAAA反復を含む単離さ
    れた核酸またはその相補体であって、転写開始部位から
    −2144から−1974ヌクレオチドに対応するCETPプロモー
    ター領域より増幅される、前記核酸。
  8. 【請求項8】 イントロン1(707);イントロン8(370
    7);イントロン8(3946);プロモーター(VNTR);挿
    入(307);およびイントロン15(493)からなる群より
    選択されるCETP遺伝子座で1以上の対立遺伝子を検出す
    るための手段、並びに前記CETP遺伝子座の1つの5’また
    は3’にハイブリダイズする第一のプライマーオリゴヌ
    クレオチドを含む、キット。
  9. 【請求項9】 前記CETP遺伝子座の1つの5’または3’
    にハイブリダイズする第二のプライマーオリゴヌクレオ
    チドをさらに含む、請求項8に記載のキット。
  10. 【請求項10】 前記の第一のプライマーおよび前記の
    第二のプライマーが、同一のCETP遺伝子座にハイブリダ
    イズし、そして前記の第一のプライマーおよび前記の第
    二のプライマーが、約50および約1000塩基対の間の範囲
    の領域の反対側にハイブリダイズする、請求項9に記載
    のキット。
  11. 【請求項11】 患者を治療するための方法であって:
    前記患者由来の核酸試料において、少なくとも1つのCET
    P対立遺伝子を検出し、心臓血管障害を診断し、少なく
    とも1つの心臓血管障害療法を選択し、そして該患者に
    単数または複数の心臓血管障害療法を提供することを含
    む、前記方法。
  12. 【請求項12】 前記CETP対立遺伝子が:イントロン1
    (707);イントロン8(3707);イントロン8(394
    6);プロモーター(VNTR);挿入(307);およびイン
    トロン15(493)からなる群より選択される遺伝子座由
    来のものである、請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 心臓血管障害療法剤を同定するための
    方法であって:イントロン1(707);イントロン8(370
    7);イントロン8(3946);プロモーター(VNTR);挿
    入(307);およびイントロン15(493)からなる群より
    選択される少なくとも1つのCETP対立遺伝子を有する対
    象を、試験物質と接触させ、そしてCETP活性に対する前
    記試験物質の影響を決定することを含む、前記方法。
  14. 【請求項14】 前記対象がトランスジェニック動物ま
    たは細胞である、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 少なくとも1つの心臓血管障害療法を
    用いた治療に対し、反応性であろう、心臓血管障害を患
    う対象を同定するための方法であって:前記対象由来の
    核酸試料において、イントロン1(707);イントロン8
    (3707);イントロン8(3946);プロモーター(VNT
    R);挿入(307);イントロン15(493)からなる群よ
    り選択される少なくとも1つのCETP対立遺伝子を検出
    し、前記CETP対立遺伝子が、CETP活性の修飾されたレベ
    ルと関連する、前記方法。
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