JP2002357083A - 既設管路の補修装置および方法 - Google Patents

既設管路の補修装置および方法

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JP2002357083A JP2001370495A JP2001370495A JP2002357083A JP 2002357083 A JP2002357083 A JP 2002357083A JP 2001370495 A JP2001370495 A JP 2001370495A JP 2001370495 A JP2001370495 A JP 2001370495A JP 2002357083 A JP2002357083 A JP 2002357083A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既設管路の補修作業を能率的に高い精度で行
う。 【解決手段】 既設管路10の一端に補修装置20を配
置する。回転切削部21を後方のモータ24や遊星歯車
機構200などを有する回転駆動部24で回転駆動し
て、既設管路10の内壁を切削して拡径する。回転切削
部21を貫通して前方に延びる延長軸30にワイヤロー
プなどの牽引材60を連結し、巻き取りリール66など
の牽引部で牽引して、補修装置20を既設管路10内に
進める。筒状本体26の後方に連結された補修管12を
拡径された既設管路10の内部に挿入設置する。切削に
伴って発生する回転反力を反力受軸80などの反力受け
手段で受け止める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、既設管路の補修装
置および方法に関し、詳しくは、下水道その他の地下埋
設管において、老朽化などに伴い破損や劣化が生じたと
きに既設管路を補修するのに使用される装置と、このよ
うな装置を用いて既設管路を補修する方法とを対象にし
ている。
【0002】
【従来の技術】下水道やガス配管などの地下に埋設され
た既設管路が、経時変化による劣化や地震などの外力に
よる損傷を受けた場合、補修作業が必要になる。従来、
既設管路の補修方法として、既設管路の内壁を少し削り
取って内径を拡げる拡径作業を行い、拡径された既設管
路の内側に新たな管材を敷設する方法が知られている。
この方法では、既設管路の全体を撤去する必要がなく、
作業が効率的に行える。既設管路で保護された空間に補
修管材を設置するので、補修作業中に地盤が崩れたり補
修管材の設置に大きな抵抗力が加わったりすることが防
げ、補修管材の設置作業が容易であるなどの利点があ
る。
【0003】本件出願人は、特許第2583204号
(特開平8−75045号)において、上記した既設管
路の補修あるいは更新を、管路内に作業員が立ち入るこ
となく自動で能率的に実行できる方法および装置を提案
している。この技術では、キャタピラなどで走行する自
走車にモータなどの駆動機が搭載される。自走車の後端
に取り付けられ、外周にローラビットなどの切削刃を備
えた環状切削手段を駆動機で回転駆動する。自走車の走
行に伴って、環状切削手段が既設管路の内壁を切削す
る。環状切削手段の後方には新設管を連結しておき、切
削されて拡径された既設管路の内側に新設管が挿入され
ていく。また、キャタピラ付きの自走車の代わりに、前
方側のマンホールなどからワイヤで既設管路内の環状切
削手段および新設管を牽引して、既設管路の切削および
新設管の敷設を行う技術も提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した先行技術で
は、既設管路内に、環状切削手段を回転駆動する駆動機
あるいは駆動機を搭載した自走車が自由に移動できるだ
けのスペースが必要であり、小径管には適用し難い場合
がある。コンクリートなどで構築された既設管路の内壁
を切削する環状切削手段の駆動機としては、かなり大出
力のモータ等が必要であり、必然的に外形が大きくな
る。そのため、駆動機を配置することが困難なほどの小
径管では、前記した先行技術は適用し難い。
【0005】別の問題として、環状切削手段を回転させ
て既設管路の内壁を切削すると、切削刃の回転方向と逆
の方向に回転反力が発生する。この回転反力を受け止め
ないと切削が困難である。自走車が傾いたりひっくり返
ったりすることも起こる。環状切削手段を牽引するワイ
ヤが捩れてしまうことにもなる。さらに、環状切削手段
の中心線と既設管路の中心線とを正確に一致させない
と、既設管路の内壁を均等に切削することができず、内
壁を削りすぎて強度的に弱い部分が生じたり、内壁を貫
通したりしてしまうことも起こる。ワイヤによる牽引の
場合には特に、環状切削手段の位置や姿勢が不安定にな
り易い。
【0006】本発明の課題は、前記した先行技術を改良
し、小径管に対しても十分に対応させ易く、切削時の反
力に伴う問題も解消でき、精度の高い切削作業ができ、
既設管路の補修作業を能率的に行えるようにすることで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる既設管路
の補修装置は、既設管路の内壁を切削して拡径し、拡径
された既設管路の内側に補修管を設置する装置であっ
て、前記拡径された既設管路の内部を移動し、後端に前
記補修管が連結される筒状本体と、前記筒状本体の前端
に配置され、前記既設管路の内壁を切削して拡径する回
転切削部と、前記筒状本体内で前記回転切削部の後方に
搭載され、回転切削部を回転駆動する回転駆動部と、前
記筒状本体に固定され、前記回転切削部の中心を貫通し
て前方に延びる延長軸と、一端が前記延長軸に連結さ
れ、他端は前記既設管路の外部に引き出される牽引材
と、前記既設管路の外部に設置され、前記牽引材を牽引
する牽引部と、前記回転切削部で前記既設管路の内壁を
切削する際に発生する回転反力を受ける反力受け手段と
を備える。
【0008】〔既設管路〕各種土木建築において利用さ
れている管路構造が適用される。上下水道、ガス配管
路、電力配管路、通信配管路などがある。一般的には地
下に埋設されるが、地上であっても土木構造や建築物の
内部などに設置され、外部からの補修が困難な管路構造
にも適用できる。管路は、コンクリート管あるいはヒュ
ーム管、セメント管、セラミック管、合成樹脂管など、
切削による拡径が可能な材料で構築されている必要があ
る。鋼管の内面に合成樹脂やアスベスト材料などの内張
り層が形成された複合管にも適用できる。
【0009】管路の断面形状は、通常は円形であるが、
回転切削部の構造を変更すれば、楕円形や長円形、角形
などの管路に対しても適用することは可能である。直線
状の管路に適用するのが一般的であるが、曲線部分を含
む管路にも適用することができる。本発明の補修装置お
よび補修方法は、作業員が入って補修作業を行うのが困
難な比較的小径の既設管路に有用である。既設管路は、
切削して拡径しても支障がない程度の厚みを有している
必要がある。具体的には、口径100〜700mm、管
路厚み25〜60mm程度の管路に適用することができ
る。
【0010】補修作業を行う既設管路の両端には、補修
装置および補修管の搬入ができ、牽引作業などができる
開口が必要である。この開口として、作業員の出入り口
となるマンホールや点検口などが利用できる。補修作業
のために新たな開口を一時的に形成することもできる。 〔補修管〕補修装置で拡径された既設管路の内部に挿入
して、既設管路の強度や耐久性を向上できる構造および
材料であればよい。基本的には、前記した既設管路と共
通する材料や構造が採用できる。補修管には、軸方向に
連結する嵌合構造や継ぎ手構造を備えておくのが好まし
い。
【0011】補修管の外径は、既設管路の拡径する前の
内径よりは大きく、拡径後の内径と同じか少し小さく設
定される。既設管路の拡径後の内径よりも少し小さいほ
うが、補修管の移動作業が容易である。補修管の内径
は、補修管の肉厚が十分に確保できれば、できるだけ大
きいほうが、補修作業後の管路断面積を減らすことがな
い。補修管の内径が既設管の拡径前の内径と同じであれ
ば、補修前後で管路断面積の変化がなくなり、管路の機
能を低下させない点で好ましい。補修管の内面が、既設
管路よりも粗度係数が小さく平滑であったり汚れが付着
し難い材質であったりすれば、管内に流す流体の流下能
力を向上させることができる。既設管路と同じ材質であ
っても、経時的な汚れの付着や損傷がある既設管路の内
面に比べると、平滑で流下能力も向上する。
【0012】〔筒状本体〕管路内に搬入される補修装置
の本体構造であり、回転切削部などの機構構造を支持あ
るいは収容する。管状本体の外形は、既設管路に搬入し
て内部を移動できる形状であればよい。但し、筒状本体
は、既設管路を拡径してから拡径された部分に挿入され
るので、拡径後の内形状に合わせておけばよい。一般的
には、拡径後の内形状と相似で少し小さな形状に設定し
ておく。管状本体は、鋼管材などの構造強度に優れた材
料で構成される。
【0013】管状本体の後端には、補修管を連結可能な
構造を備えておく。具体的には、管状本体の後端に補修
管を嵌入可能な凹部を設けておいたり、補修管の端部の
継ぎ手構造と連結可能な継ぎ手構造を備えておいたりす
ることができる。 〔回転切削部〕通常の土木作業装置における回転式の切
削装置と同様の構造が採用できる。具体的には、各種の
トンネル掘削装置と共通する技術が適用できる。回転切
削部には、回転動作を行う本体部分と、本体部分に取り
付けられて、既設管路の材料を切削可能な切削刃とを備
えておく。
【0014】切削刃は、工具鋼や工具セラミック、工業
用ダイヤモンドなどの硬質材料からなり、既設管路の拡
径形状にあわせて必要な配置形状で、回転切削部の本体
部分に切削刃が取り付けられる。回転切削部の本体部分
を、中空の円盤状に構成し、円盤の外周に切削刃を配置
することができる。この回転切削盤の中央には、後述す
る延長軸を通すことができる。切削刃は、回転切削部の
本体部分に対して回転可能に取り付けられる、いわゆる
ロータリー刃やローラビットであってもよい。勿論、本
体部分に固定的に取り付けられる固定ビットも使用でき
る。
【0015】切削刃による既設管路の切削個所に、切削
性を改善したり、切削時に発生する切削粉などを排除し
たりする機構を備えておくことができる。具体的には、
切削油あるいは水などを含む切削液を供給すれば、切削
性が良好になる。水や空気を吹き付けて切削粉などを排
除することができる。切削性の改善と切削粉の排除との
両方を効率的かつ経済的に達成する方法として、切削個
所に水を供給し、切削粉などを含む水を吸引排出する方
法が採用できる。この場合、水の供給手段および排出手
段を、補修装置から既設管路の外部までに配置しておく
ことになる。 〔回転駆動部〕回転切削部を、既設管路の切削に適した
回転速度で回転駆動できれば、通常の土木技術や機械技
術における回転駆動機構が採用できる。
【0016】回転駆動源としては、電気モータが一般的
であるが、油圧モータや空気圧モータなども採用でき
る。回転駆動部には、駆動源の回転速度やトルクを、回
転切削部における切削作業に適した条件に変換する変換
機構を備えておくことができる。具体的には、歯車減速
機などの変速機構が利用される。トルクコンバータやク
ラッチ機構などを備えておくこともできる。駆動力の変
換機構として、遊星歯車機構が採用できる。遊星歯車機
構は、基本的には、回転中心に配置される太陽歯車と、
太陽歯車の外周に噛み合う遊星歯車と、遊星歯車の外周
に噛み合う内歯車とを備えている。これらの歯車の配置
構造や支持構造、入出力の関係によって、入出力の回転
速度を変えたり、回転方向を変えたりすることが、比較
的に狭いスペースで簡単に行える。遊星歯車機構の中央
に、後述する延長軸を補修装置の本体部分に固定する固
定構造を配置することができる。
【0017】回転駆動部は、回転切削部よりも後方にな
る筒状本体内に配置される。したがって、回転駆動部の
外形は、既設管路の拡径された内径部分に配置される筒
状本体に収容できる程度であればよい。 〔延長軸〕延長軸は、牽引部で牽引材に加えられた牽引
力を補修装置の筒状本体に伝達する。延長軸は、鋼管や
鋼棒材など、十分な剛性や耐久性がある材料で構成され
る。延長軸の一端は、筒状本体あるいは筒状本体と一体
の構造部材に固定される。延長軸の他端は、回転切削部
よりも前方に延び、ここに牽引材が連結される。回転切
削部よりも後方側で筒状本体に固定された延長軸は、回
転切削部の中心を貫通して前方に延びる。
【0018】回転する回転切削部と固定構造である延長
軸との間には、摺動機構や軸受機構などを設けておくこ
とができる。延長軸の内部には、切削位置へ水などを供
給する通路や回転駆動部への電力供給線などを設置して
おくことができる。 〔牽引材〕補修装置を既設管路内で移動させる牽引力を
延長軸に加えることができれば、通常の土木技術や機械
技術における牽引力の伝達機構が採用できる。補修装置
を中心線方向に確実に牽引したり、既設管路と交差する
マンホール内などを通じて牽引材の引き出しを可能にし
たりするために、牽引材は可撓性あるいは屈曲性を有す
るものが好ましい。牽引材は、任意の方向に撓んだり屈
曲できたりするものであってもよいが、少なくとも1方
向あるいは直交する2方向に屈曲できるだけでもよい。
【0019】牽引材として、ワイヤロープやリンクチェ
ーン、ローラチェーン、PC鋼材などが使用できる。牽
引材が、屈曲は可能であるが捩れない構造を備えていれ
ば、回転切削部で発生する回転方向の切削反力を、牽引
材を介して既設管路の外部で受け止めるようにすること
もできる。牽引材には、補修装置に供給する電力線や通
信制御線などを沿わせておいたり内部に収容しておいた
りすることができる。 〔牽引部〕既設管路の外部に設置され、牽引材を牽引す
る。基本的には、通常の土木機器における牽引装置と共
通する技術が適用できる。
【0020】牽引部には、ウィンチ装置が使用できる。
具体的には、牽引材を巻き取るリール、リールを回転駆
動するモータ、ブレーキ、クラッチなどの機構を備えて
おくことができる。牽引材を前後のチャックで交互に掴
んだり離したりしつつ引き寄せる牽引ジャッキが使用で
きる。具体的には、センタホールジャッキと呼ばれる装
置が利用できる。牽引部には、牽引力の大きさを検知
し、その結果に基づいて作動を制御する制御装置や安全
装置を備えておくこともできる。牽引部は、既設管路の
外であれば、マンホールなどの既設管路につながる構造
物内に設置しておいてもよいし、地表に設置しておくこ
ともできる。牽引部を、地表で走行自在な作業車に搭載
しておけば、機動性が高まる。
【0021】〔反力受け手段〕回転切削部で既設管路の
内壁を切削すると、切削抵抗が切削刃の回転方向と反対
の方向の回転力として発生する。この回転反力を受け止
めなければ、切削作業は困難である。反力受け手段とし
ては、回転反力を何らかの固定構造で吸収すればよい。
回転切削部に回転反力と反対方向の回転力を加えてもよ
い。補修装置の質量あるいは慣性が、反力受け手段にな
る。回転反力に比べて、補修装置全体の重量が十分に重
ければ、補修装置内部で回転反力が吸収できる。補修装
置と既設管路との間の接触面における摩擦抵抗力で回転
反力を吸収することもできる。但し、補修装置自体で吸
収できる回転反力の大きさは比較的に小さい。
【0022】反力受け手段として、補修装置から既設管
路の補修部分の外まで延びる構造材を、既設管路の壁な
どの固定構造に支持させておくことが有効である。具体
的には、補修装置の後方に連結した反力受軸を、補修管
の後方まで延ばし、既設管路の内壁に反力受軸を固定し
ておくことができる。反力受軸に取り付けた反力受腕を
既設管路の内壁に支持させてもよい。反力受腕が、既設
管路の内壁に対して補修装置の移動方向には移動可能で
回転方向には不動に支持されていれば、回転方向の反力
は確実に受け止めながら、補修装置の移動にともなって
反力受軸および反力受腕を移動させることができる。
【0023】〔多段回転切削部〕回転切削部を多段に設
けておくことで、反力受け手段の機能が果たせる。具体
的には、回転切削部を、例えば、互いに逆方向に回転す
る一対の回転切削部で構成する。両方の回転切削部で既
設管路を切削すると、それぞれの回転切削部に回転反力
が加わる。互いの回転方向が逆であれば、回転反力の方
向も逆になり、互いの回転反力が相殺されることにな
る。それぞれの回転切削部が、相手側の回転切削部の反
力受け手段として機能する。両方の回転反力が全く同じ
大きさであれば、回転反力は完全に相殺される。両方の
回転反力に違いがあっても、その差分だけが外部に伝達
されるので、外部に設ける反力受け手段を簡略化でき
る。
【0024】多段回転切削部は、切削径の異なる回転切
削部を組み合わせることで、切削効率を向上させること
ができる。通常は、小径の回転切削部の後方に大径の回
転切削部を配置する。1段毎の回転切削部における切削
量が少なくなるので、切削効率が向上し、各段における
切削力は小さくて済む。回転切削部を3段以上に組み合
わせることもできる。 〔案内環〕回転切削部の前方で延長軸に配置される。既
設管路の内壁に沿って摺動し、補修装置の姿勢および回
転切削部における切削位置や方向、姿勢を制御すること
ができる。
【0025】案内環の材料は、既設管路の内壁に当接し
て摺動可能な構造材であればよく、鋼などの金属材料、
繊維強化樹脂などの樹脂材料、ゴム材料、セラミック材
料などが使用できる。案内環の外形は、既設管路の内形
状に合わせておくことができる。既設管路に配置された
状態で案内環の中心を既設管路の中心と位置合わせでき
れば、案内環の全周が既設管路の内面に当接する必要は
ない。例えば、既設管路の内面に対して案内環が、周方
向で断続的に接触したり、補修装置および延長軸の重量
を支える案内環の下面側だけが接触したりするものであ
ってもよい。
【0026】案内環には、補修装置に水を供給したり排
出したり電力を供給したりする配線路を取り付けておく
ことができる。案内環が、既設管路に対して軸方向には
摺動容易であるが、周方向には摺動し難い構造であれ
ば、案内環と既設管路との摩擦抵抗によって、回転切削
部の回転反力を受け止めることができる。 〔作業車〕補修作業に必要な設備装置のうち、地表に設
置される設備装置を搭載する。通常の土木作業におい
て、トラックなどを利用して構成される作業車と同様の
技術が採用できる。
【0027】作業車には、牽引部を設けておくことがで
きる。補修装置に、水などの切削液を供給するポンプな
どの供給装置や、排出された水などを回収し、切削粉な
どと分離する固液分離装置、補修装置に電力を供給する
電力供給装置などを搭載することもできる。補修作業の
進行状況を表示したり監視したり制御したりする装置を
搭載することもできる。さらに、作業車には、牽引材を
既設管路の内部まで案内するプーリなどの案内機構を搭
載しておくこともできる。 〔流体通路〕(追加技術) 既設管路が、流体を流通させる管路の場合、補修作業の
ために流体の流通が阻害されるのを防止するために、補
修装置を軸方向に貫通する流体通路を備えておくことが
有効である。
【0028】流体通路は、補修装置の前面側から背面側
までを貫通して流体が流通できる空間が存在していれば
よく、通常の管路や配管、ホースなどが使用される。補
修装置のうち、回転運動を行なう回転切削部や回転駆動
部の動作領域を避けて流体通路を設けておくのが好まし
く、例えば、補修装置の中心線に沿って流体通路が配置
できる。但し、回転運動部分でも、各種の回転シール構
造を設けておけば、流体通路を配置することは可能であ
る。前記した反力受軸を管材で構成すれば、反力受軸の
内部空間を流体通路として利用することができる。
【0029】〔補修作業〕基本的には、既設管路の切削
および拡径、補修管の設置を含む通常の補修作業と同様
の作業工程が採用できる。前工程:補修作業の前には、
必要に応じて、既設管路の内部に存在し補修作業の支障
になる構造物を撤去したり、既設管路内部の清掃や洗浄
を行ったりする。流体が流れる既設管路では、流体の通
過を遮断しておく。既設管路が下水道の場合、管路の途
中に取り付け管が接続されているので、取り付け管の接
続個所は閉塞しておく。
【0030】牽引部を搭載した作業車を、既設管路の補
修区間の終点側になるマンホールの地表開口付近に配置
したり、設置する補修管を、補修区間の始点側になるマ
ンホールの地表開口付近に配置したりする作業も行われ
る。 工程(a):既設管路の一端に、補修装置を配置する。補
修装置は、全体を組み立てた状態あるいは分解した状態
で、既設管路の端部のマンホールなどを利用して搬入す
る。既設管路の端部に、延長軸が配置され、その後方に
回転切削部、筒状本体が配置される。 工程(b):補修装置の延長軸に連結された牽引材を、既
設管路の他端側に引き出し、牽引部で牽引して、補修装
置を既設管路内に進める。
【0031】牽引材は、補修装置の延長軸から既設管路
の内部を経て既設管路の外で牽引部に連結される。牽引
材を案内するプーリなどの機構も設置される。水の供給
や排出、電力供給などを行う管路やホース、ケーブルも
敷設する。これらの作業は、補修区間の両端のマンホー
ルなどに作業員が入って行えばよい。既設管路内に牽引
材を通す際など、既設管路内での作業が必要な場合に
は、既設管路内を走行自在な自走車やロボット装置を使
用することができる。牽引材に加わる牽引力は、補修装
置の重量や切削抵抗、施工距離、既設管路の口径などの
条件によって異なるが、5〜200kN程度の牽引力を
加えて補修装置を移動させることができる。
【0032】牽引材の巻き取り速度を変えれば、補修装
置の移動速度を調整できる。回転切削部における切削状
況や牽引抵抗の大きさなどに合わせて、適切な移動速度
を設定すればよい。具体的には、0.04〜2.5m/
minの範囲で移動速度が設定できる。 工程(c):補修装置の進行とともに、補修装置の回転駆
動部で回転切削部を回転駆動させて、既設管路の内壁を
切削して拡径する。既設管路の内壁材料や内径、切削量
などの条件に合わせて、回転切削部の回転速度および移
動速度、切削刃の配置形状および材質などを、適切な切
削条件になるように設定する。
【0033】回転切削部の回転速度は、0〜600rp
mの範囲に設定できる。切削個所の周速を、10〜30
m/min程度に設定する。拡径量は、既設管路および補
修管の口径によって決まる。拡径量が多いほど、外径が
大きく分厚い補修管が設置できるが、既設管路の厚みが
薄くなる。既設管路の厚みが薄くなり過ぎると、地盤か
らの圧力などで既設管路が破損する問題が生じる。管の
材種や劣化度などの条件に合わせて、適切な範囲で拡径
量を設定することができる。 工程(d):補修装置の進行とともに、補修装置の筒状本
体に連結された補修管を、拡径された既設管路の内部に
設置する。
【0034】補修装置の後端に連結された補修管は、補
修装置の移動にともなって既設管路に挿入される。補修
装置の進行とともに、補修管列の後端に順次補修管を連
結する作業を行う。補修管の後端にジャッキなどで押圧
力を加えて補修管を推進させることもできる。補修管列
を、補修装置で引っ張ると同時に後端から押圧すること
もできる。 工程(e):既設管路の内壁の切削に伴って発生する回転
反力を反力受け手段で受け止める。反力受け手段とし
て、多段回転切削部を採用したり、補修装置の内部で反
力を吸収できるようになっていたりする場合には、特別
な作業は不要である。牽引材が回転反力を吸収できる場
合にも、特別な作業は必要ない。
【0035】補修管の内部に反力受軸を配置して、補修
管の後方側で反力を受け止める場合には、補修管を連結
する際に反力受軸も順次継ぎ足していく。反力受軸に反
力受腕が取り付けられる場合は、反力受軸を継ぎ足す毎
に、反力受腕の取り付け位置を最後部の反力受軸に移す
作業を行う。 後工程:補修区間全体で既設管路の内壁が切削され拡径
されて補修管が設置されれば、補修作業の基本的な作業
工程は終了する。その後、必要に応じて、以下の工程を
行うことができる。補修作業に使用された装置機材を撤
去する作業がある。反力受軸は順次分解してから撤去す
ればよい。
【0036】補修管と既設管路との一体化を図るため
に、既設管路と補修管との間にコンクリートやモルタル
その他の裏込め材料を充填して硬化させる作業がある。
補修管の内面に樹脂コーティングなどの仕上げ加工を施
す作業がある。補修管の端部とマンホールなどの構造部
材との接合固定したり、継目を埋めたりする作業があ
る。補修作業の前工程で、既設管路に接続された取り付
け管を塞いでおいた場合は、取り付け管の貫通作業を行
う。既設管路やマンホールの内部の設備を撤去していた
場合には、取り付け直しや構築し直しの作業がある。
【0037】既設管路が、電力線などのケーブル設置用
の場合は、ケーブルの設置作業がある。このようなケー
ブルの設置作業を、補修管の設置と同時に行うこともで
きる。例えば、補修装置の後端にケーブルや管材を連結
しておけば、補修装置の移動とともに既設管路内にケー
ブルなどが敷設される。 〔流体用管路の補修〕(追加技術) 流体用の既設管路を補修する際に、流体の流通を遮断し
たままにすることができない場合がある。例えば、下水
管の場合、長時間にわたって下水の流通を止めると、上
流側の下水管が溢れる心配がある。
【0038】流体の流通を継続させながら補修作業を行
う方法として、以下の方法が適用できる。前記工程(a)
の前に、既設管路の補修区間の前後で流体の通過を遮断
する工程(-a)を行なう。この工程自体は、通常の補修作
業でも行なわれる。流体の通過遮断を果たす装置とし
て、圧力空気で膨張する円盤状の膨張遮断具を使用する
と、既設管路の任意の位置で、迅速に流体を遮断でき
る。管路の径がある程度まで違っていたり変形したりし
ていても対応できる利点もある。補修装置の設置工程
(a)では、補修区間内に補修装置を配置し、遮断個所よ
りも外側の既設管路同士を前記補修装置の流体通路を含
む流体通路で連結する。
【0039】補修装置の前面側に開口する流体通路の端
部にホースや管材を連結し、このホースや管材を、前方
で既設管路を遮断している部材を貫通して外側の流体が
自由に流通できる区間に接続すればよい。補修装置の背
面側でも、ホースや管材で、補修装置の流体通路を、流
体の遮断個所よりも外側まで連通させればよい。補修装
置の流体通路およびその前後のホースや管材に十分な勾
配があれば、流体は自然流下させるだけでもよいが、通
常は、流体を流すホースや管材の途中に、ポンプを設置
して、流体を強制的に流通させることが好ましい。ポン
プは、補修装置の内部に設けておいてもよいし、既設管
路やマンホールの内部に設置してもよい。ポンプを地表
に設置して、地表まで流体通路を延ばしておくこともで
きる。
【0040】補修装置は、補修区間の間を牽引移動させ
るので、補修装置の前後に連結された流体を流通させる
ホースや管材は、補修装置の移動距離を考慮して、十分
な長さの余裕を持たせておくことが好ましい。定尺の管
材の場合は、補修装置の移動につれて、管材を継ぎ足し
たり、抜き取ったりすることもできる。流体の流通経路
を構成する部材は、補修区間の全長にわたって固定して
設置しておき、このような流体の流通部材に対して補修
装置を摺動させることもできる。例えば流体用配管の外
周に補修装置を嵌挿させて軸方向に摺動できるようにし
ておくことができる。
【0041】
【発明の実施形態】図1〜4に示す実施形態は、地下に
埋設施工された下水道管の補修を行う技術である。 〔既設管路〕地盤Eの下には、ヒューム管などからなる
既設管10が、ほぼ水平方向に延びて埋設されている。
下水道の敷設経路は、水平直線状の場合だけでなく、曲
線部分や傾斜部分などが含まれている場合もある。既設
管10には、一定間隔毎にマンホールM1、M2が設置さ
れている。マンホールM1、M2は、コンクリートなどで
構築された垂直方向の立坑であり、地表に開口してい
る。
【0042】既設管10の老朽化や損傷による漏水や地
下水の浸入を阻止することを目的として、既設管10の
内側に補修管12を施工する。補修管12は、既設管1
0と同様のヒューム管などからなり、外径が既設管10
よりも少し小さく設計されている。 〔補修装置〕補修装置20は、全体が概略筒状をなし、
片側のマンホールM2から既設管10の内部に搬入され
る。図2に詳しく示すように、補修装置20は、既設管
10の内径D1よりも大きな外径を有している。したが
って、マンホールM2に配置された補修装置20は、既
設管10の内壁を切削して既設管10の内径を拡径して
から、拡径された内径D2の部分に順次挿入されて移動
する。
【0043】補修装置20は、鋼管材などで構築され円
筒状の外郭構造を構成する筒状本体26を有する。 〔筒状本体および回転切削部〕筒状本体26の先端に
は、中空円盤状をなし、既設管10の中心線を回転中心
にして回転する回転切削盤21を備えている。回転切削
盤21の外周には切削刃22、23を有する。図3(b)
にも示すように、切削刃22、23は、回転切削盤21
の直径方向を回転軸にして回転可能なロータリービット
22と、回転切削盤21に固定されたブロック状の超硬
ビット23とが、周方向に交互に配置されている。ロー
タリービット22で効率的に既設管10の内壁を切削し
た後、超硬ビット23で内面を仕上げる。回転切削盤2
1の切削径は、既設管10の内径D 1よりも大きく、補
修管12の外径よりも大きな内径D2に設定されてい
る。
【0044】〔回転駆動機構〕回転切削盤21は、筒状
本体26の内部に収容された中空保持体28の先端に支
持されている。中空保持体28は、筒状本体26の後方
側に収容されたモータ24で回転駆動される。モータ2
4は、筒状本体26を仕切る隔壁に取り付け固定されて
おり、モータ24の駆動軸の回転が、遊星歯車機構20
0を介して、中空保持体28に伝達され、回転切削盤2
1を回転駆動する。 〔遊星歯車機構〕図3(a)に示すように、遊星歯車機構
200は、モータ24の駆動軸202に太陽歯車204
が取り付けられ、中空保持体28の後端に設けられた内
歯車208と中心の太陽歯車204との間に複数個の遊
星歯車206が配置されている。遊星歯車206の支持
軸205は、モータ24と一体になって筒状本体26の
隔壁に取り付けられている。
【0045】遊星歯車機構200の動作は、モータ24
の駆動軸202の回転が、遊星歯車206を介して内歯
車208に伝達される。駆動軸202の回転方向と内歯
車208の回転方向は逆になる。内歯車208の回転速
度は、駆動軸202の回転速度を、太陽歯車204と内
歯車208との歯数比で決まる減速比で減速した値にな
る。 〔延長軸〕図2に示すように、遊星歯車機構200の前
方で中空保持体28の内部空間には延長軸30が配置さ
れている。延長軸30の後端は、遊星歯車206の支持
軸205を支持する支持板209に固定されている。
【0046】延長軸30は、中空保持体28および回転
切削盤21の中央を貫通して前方に延びている。延長軸
30と中空保持体28との対向面には、軸受機構やシー
ル機構が装着され、筒状本体26に固定された延長軸3
0と、モータ24で回転駆動される中空保持体28と
が、滑らかに摺動回転するとともに、遊星歯車機構20
0の収容空間に外部から水や塵埃などの異物が侵入しな
いようにしている。 〔案内環〕延長軸30の先端側には、円盤状の案内環4
0が取り付けられている。案内環40は、外周面が滑ら
かに仕上げられ、既設管10の内径D1よりも少し小さ
な外径を有している。補修装置20が既設管10の内部
を移動するときには、後方の筒状本体26と案内環40
とが既設管10の内壁に当接して補修装置20を支持す
る。その結果、補修装置20の中心軸を既設管10の中
心軸に一致させた状態で安定した姿勢に維持できる。既
設管10の内壁を切削したときに、回転切削盤21に加
わる切削抵抗あるいは反力とそのモーメント力は、筒状
本体26と案内環40との間で支持されるので、切削時
に補修装置20の中心と既設管10の中心がずれたり、
補修装置20の姿勢が傾いたりすることが防げる。
【0047】〔牽引材〕延長軸30の先端には、牽引材
となるワイヤロープ60の一端が固定される。ワイヤロ
ープ60を牽引することで、延長軸30から補修装置2
0の全体を既設管10の軸方向に移動させることができ
る。 〔給水・排水機構〕案内環40の先端面には、給水ホー
ス52が連結されている。給水ホース52に供給された
水は、案内環40から延長軸30の内部を通る給水路5
3を通過して、中空保持体28の外周面に開口する給水
口55から、回転切削盤21の裏側空間に吐出される。
吐出された水は、切削刃22、23で切削された既設管
10の内壁材料を洗い流す。上記した給水経路のうち、
回転する中空保持体28と固定された延長軸30との摺
動個所では、Oリングなどの水封機構を設けて、中空保
持体28が回転しながら給水を受けられるとともに、摺
動個所からの水漏れを防止している。
【0048】案内環40の先端面には、排水ホース54
も取り付けられている。排水ホース54は、案内環40
を貫通して後方に延び、回転切削盤21の近くに開口5
6している。前記した給水ホース52からの給水によっ
て、既設管10の切削粉や切削片を洗い流し、切削粉な
どを含む水を、排水口56から排水ホース54に吸い込
んで排出する。これによって、切削個所に切削粉などが
残留せず、後述する補修管12の挿入作業および既設管
10との間の隙間を埋める作業などが行い易くなる。ま
た、切削刃22、23に切削粉が付着したりして切れ味
を損なうことも防げる。
【0049】〔補修管〕筒状本体26の後方には、補修
管12が接続される。筒状本体26の外径に対して補修
管12の外径は、ほぼ同じか少し小さく設定されてい
る。切削されて拡径された既設管10の内径D2と補修
管12の外径との間には少し隙間が開いている。補修装
置20が既設管10の内部を移動するにつれて、補修装
置20の後方に連結された補修管12は既設管10の内
部に引き込まれていく。 〔反力受け機構〕図2に示すように、補修管12の内部
で、筒状本体26の後端壁に、反力受軸80が連結され
る。図1に示すように、反力受軸80は、補修管12の
連結とともに順次連結され、反力受軸80の後端はマン
ホールM2に延びている。補修管12の内部に配置され
た反力受軸80には、キャスタ付き支持脚82が取り付
けられ、反力受軸80の重量を補修管12の内壁で支持
するようになっている。キャスタ付き支持脚82は、補
修管12の軸方向には滑らかに回転摺動できるようにな
っている。
【0050】図4(b)に示すように、マンホールM2の中
で、キャスタ付き支持脚82の後端には、軸方向と直交
する水平方向で左右に延びる反力受腕84、84が取り
付けられる。反力受腕84の先端は、マンホールM2
側壁に水平方向に延びるC形鋼材からなるガイドレール
85に支持されている。反力受腕84は、ガイドレール
85に沿って水平移動はできるが、ガイドレール85と
交差する方向への移動はできず、反力受軸80の軸周り
の回転が阻止される。補修装置20の回転切削盤21で
既設管10の内壁を切削したときに、切削抵抗による反
力が、補修装置20の回転切削盤21をその回転方向と
逆の方向に回転させようとする。この反力は、回転切削
盤21を支持する筒状本体26から反力受軸80から反
力受腕84に伝達される。反力受腕84はマンホールM
2の側壁で回転できないように支持されているので、前
記反力は最終的にはマンホールM2の側壁で吸収される
ことになる。
【0051】回転切削盤21に加わる回転方向の反力
は、筒状本体26および補修管12と既設管10の内壁
との摩擦抵抗などによっても一部は吸収される。但し、
既設管10内を移動する筒状本体26や補修管12では
大きな反力を吸収することはできない。反力受軸80お
よび反力受腕84を介してマンホールM2の側壁で支持
すれば、大きな反力を確実に吸収することができる。図
1に示すように、マンホールM2内で、補修管12の後
端には、裏当板86が取り付けられ、この裏当板86に
ジャッキ装置などで推力を加えることで、既設管10内
での補修管12の移動をスムーズに行うことができる。
【0052】反力受軸80は、既設管10の内部で、何
らかの事故や不具合で補修装置20の前進が困難になっ
たときに、補修管12および補修装置20の引き出すの
に利用することができる。既設管10の内径が狭い前方
側からは補修装置20を引き出すことができないが、拡
径された後方側で反力受軸80に引張力を加えれば、比
較的スムーズに補修装置20の全体を回収することがで
きる。 〔牽引部〕図1に示すように、補修装置20の延長軸3
0先端に連結されたワイヤロープ60は、既設管10の
内部を延びて、前方のマンホールM1から地表に引き出
される。地表には、ワイヤロープ60の牽引リール66
を搭載した作業車70が配置されている。
【0053】マンホールM1と既設管10との間でワイ
ヤロープ60が屈曲する個所には、案内プーリ63が配
置される。既設管10の内部では、ワイヤロープ60が
既設管10の中心軸に沿って真っ直ぐに延び、牽引力が
補修装置20を確実に既設管10の中心線に沿って移動
させるようになる。案内プーリ63は、マンホールM1
内を上方に延びる保持軸62に回転可能に軸支されてい
る。保持軸62は、作業車70の牽引リール66に連結
されている。牽引リール66の回転駆動力を、保持軸6
2を介して案内プーリ63に伝達することができる。こ
れによって、ワイヤロープ60の牽引がスムーズにな
る。保持軸62は、マンホールM1の途中で水平方向に
延びてマンホールM1の側壁に当接する保持腕64で支
持されている。これによって、大きな牽引力を加えて
も、保持軸62が大きく傾いたり変形したりすることが
防げる。
【0054】〔作業車〕案内環40に接続された給水ホ
ース52および排水ホース54も、既設管10からマン
ホールM1を経て地表に延びている。作業車70には、
水循環ユニット72が搭載されていて、給水ホース52
および排水ホース54が接続されている。図示を省略す
るが、水循環ユニット72には、給水ホース52に水を
圧送するポンプや排水ホース54から水を吸引する吸引
装置、排水から切削粉などの固体を分離する固液分離装
置などが設置されている。
【0055】作業車70には、牽引リール66を駆動し
てワイヤロープ60の巻き取り動作なども制御する制御
装置も備えている。図示を省略しているが、補修装置2
0のモータ24を駆動したり、回転切削盤21の作動を
制御したりする電力ケーブルおよび制御ケーブルが、ワ
イヤロープ60や各ホース52,54と同様に、補修装
置20から既設管10およびマンホールM1を経て地表
の作業車70まで引かれている。補修装置20の作動を
作業車70で制御したり、補修装置20の作動状態を各
種センサで検知したりすることができる。 〔補修作業〕図1に示すように、両端にマンホール
1、M2が配置された1区間の既設管10を補修する作
業を行う。
【0056】図7に示すブロック工程図にしたがって、
補修作業を実施する。 (1)〜(2):補修作業は、取り付け管流入部閉塞工
から始める。下水道として使用されている既設管10に
は、各家庭などから取り付け管を経て、下水が流れ込ん
でいる。このような取り付け管を閉塞しておく。 (3):既設管10の内部を洗浄する。既設管10の内
部に、洗浄ホースを持ち込んだり、洗浄機構を備えた自
走車を送り込んだりして、既設管10の内部に溜まった
塵埃などの異物を取り除いたり、内壁に付着した汚れを
取り除いたりする。
【0057】(4):マンホールM1、M2の底部に施工
されたインバード部を撤去する。図4(a)に示すよう
に、マンホールM1、M2の底部には、半円形の底面を有
し、コンクリートなどで構築されたインバート部14を
有する。インバート部14は、既設管10とマンホール
1、M2との間で底面形状を同じにして、下水などが滑
らかに流れ、マンホールM1、M2の底面に滞留物がたま
ったりしないようにするための構造である。補修作業を
実施する際には、既設管10を切削したり補修管12を
挿入したりする作業で、インバート部14の存在が邪魔
になるので、一時的に撤去する。
【0058】(5):到達側のマンホールM1から既設
管10を経て出発側のマンホールM2まで、電力供給用
のケーブルや給水ホース52、排水ホース54、ワイヤ
ロープ60などの線材を敷設する。マンホールM1の近
くの地表には作業車70が配置される。 (6):マンホールM1、M2の内部に必要な機材を搬入
し、各機材を作業に使用できる状態に設置する。具体的
には、マンホールM2への補修装置20の搬入、既設管
10の端部への補修装置20の設置、ワイヤロープ60
の連結などがある。さらに、マンホールM1における保
持軸62および保持腕64、案内プーリ63の設置など
がある。
【0059】(7):補修装置20の回転切削盤21を
回転させ、切削刃22、23で既設管10の内壁を環状
に切削する。それと同時に、作業車70の牽引リール6
6でワイヤロープ60を巻き取り、ワイヤロープ60の
先端に連結された補修装置20を既設管10の内部へ推
進させる。給水ホース52からの給水と排水ホース54
での吸引排水も行う。マンホールM2側から、回転切削
盤21が通過した個所が、既設管10の内径D1が拡径
2される。拡径された内径D2の空間に、補修装置20
および補修管12が挿入されるので、スムーズに前進す
ることができる。
【0060】補修装置20の前進に伴って、補修装置2
0の後端には順次補修管12と反力受軸80が連結され
る。図4(b)に示すように、補修管12は、マンホール
2の底面に設置された鋼材レール83の上に載せるこ
とで、補修装置20の軸心と補修管12の軸心を一致さ
せた状態で連結する。反力受軸80は、後端に取り付け
られた反力受腕84で、ガイドレール85に摺動可能で
あるとともに回転不能に支持されているので、補修装置
20の前進に伴って、反力受腕84がガイドレール85
に沿って前進しながら、回転切削盤21に生じる回転反
力を確実に受け止めることができる。
【0061】補修装置20の前方側では、ワイヤロープ
60から延長軸30を介して補修装置20の全体を前進
させる推進力が与えられる。延長軸30の途中で案内環
40が既設管10の内壁と摺動しながら移動するので、
補修装置20は、既設管10の中心から外れたり姿勢が
傾いたりすることなく、既設管10の中心と同心姿勢で
既設管10の中心線に沿って正確に移動することができ
る。補修装置20が、到達側のマンホールM1まで移動
し、拡径された既設管10の全体に補修管12が挿入さ
れれば、補修装置20の作業は終了する。補修装置20
その他の機材装置は撤去される。補修管12の内部に配
置されていた反力受軸80も撤去する。ワイヤロープ6
0とともにマンホールM1内の保持軸62なども撤去さ
れる。
【0062】(8):既設管10の内側に配置された補
修管12と既設管10の内壁との間にコンクリートやモ
ルタルなどを充填して硬化させる裏込め作業を行う。 (9):補修作業の開始時に閉塞しておいた取り付け管
流入部を再び開口させる。具体的には、補修管12の内
部に自走車を走行させて、自走車に搭載された削孔ドリ
ルで補修管12に、取り付け管と連通する孔を空けるこ
とができる。取り付け管側からドリルなどで補修管12
に孔をあけるようにしてもよい。 (10)〜(11):補修作業の開始時に撤去したイン
バート部14を再構築すれば、既設管10の補修は完了
し、下水道として使用することができる。
【0063】〔多段回転切削部〕図5、6に示す実施形
態の補修装置20は、回転切削部が多段式になってい
る。基本的な構造は、前記実施形態と共通するので、相
違点を主にして説明する。図5に示すように、径の違う
回転切削盤21a、21bが前後に並んでいる。既設管
10は、小径の回転切削盤21bで切削されたあと、大
径の回転切削盤21aで切削されることになる。大径の
回転切削盤21aは、中空保持体28aの先端に支持さ
れ、中空保持体28aは、モータ24から遊星歯車機構
200を介して回転駆動されるようになっており、この
部分の構成は前記実施形態と共通している。図6(a)に
示すように、遊星歯車機構200における回転力の伝達
機構も、前記実施形態と同様である。
【0064】小径の回転切削盤21bは、中空保持体2
8bに支持されている。この中空保持体28bは、大径
側の中空保持体28aの内部に嵌挿されて後方に延びて
いる。大径側の遊星歯車機構200の前方に小径側の遊
星歯車機構210が収容されて小径側の中空保持体28
bに回転力を伝達するようになっている。図6(b)に示
すように、遊星歯車機構210は、大径側の遊星歯車機
構200の遊星歯車支持軸205が延長されて、駆動歯
車212が取り付けられている。したがって、モータ2
4の回転力は遊星歯車支持軸205を介して駆動歯車2
12に伝達される。遊星歯車支持軸205は筒状本体2
6に軸支されているので、駆動歯車212も定位置で回
転する。中空保持体28bに設けられた内歯車218
と、駆動歯車212とが、遊星歯車216を介して噛み
合わされている。遊星歯車216の支持軸214は、筒
状本体26に一体固定されている。
【0065】その結果、遊星歯車支持軸205の回転
が、中空保持体28bに伝達されて、中空保持体28b
および回転切削盤21bを回転駆動する。このとき、図
6(a)と図6(b)とを対比すると判るように、大径側の中
空保持体28aと小径側の中空保持体28bとの回転方
向が逆になっている。このことにより、一対の回転切削
盤21a、21bで切削作業を行ったときに発生する回
転方向の切削反力は、互いに逆方向に作用して相殺され
てしまう。モータ24の出力が変わったりして切削反力
が変化したとしても、一対の回転切削盤21a、21b
の関係は変わらないので、回転反力が外部に伝達された
り、切削性能に影響を与えることはない。
【0066】なお、中空保持体28a、28bの摺動部
分や隣接個所には、軸受機構やシール機構を装着して、
互いの運動をスムーズにしたり、外部からの異物の侵入
を確実に阻止できたりするようになっている。上記実施
形態では、小径側の回転切削盤21bと大径側の回転切
削盤21aとで、切削刃22の材質や配置構造を変えた
り、回転速度を変えたりすることで、既設管10の内周
近くとそれよりも外周を切削するときで、それぞれに最
適な切削条件を設定することができる。その結果、既設
管10の拡径作業を効率化したり、仕上がりを良好にし
たりすることができる。
【0067】〔チェーンを用いた牽引材〕図5の実施形
態では、牽引材60として、ブロック片61が順次連結
されたチェーン60を用いている。ブロック片61同士
はピン状の継手で連結されており、継手の回転可能な方
向のみにチェーン60が屈曲することになる。図の場
合、垂直面内のみでチェーン60が屈曲する。既設管1
0内を水平方向に延びるチェーン60は、図示を省略す
るが、前記実施形態と同様の案内プーリ63で方向転換
されて、垂直方向に引き出され、作業車70のリール6
6で巻き取られる。案内プーリ63やリール66を、ス
プロケット状の噛み合い機構を有するものにすれば、チ
ェーン60の牽引をより確実にできる。
【0068】〔下水の継続流通〕(追加の実施形態) 図8に示す実施形態は、補修区間の前後における下水W
の流通を継続しながら、既設管の切削拡径と補修管の敷
設を含む補修作業を行なう。 <下水の遮断>マンホールM2の上流側の既設管10
で、膨張遮断具90を用いて、下水Wを遮断する。膨張
遮断具90は、全体が円盤状をなし、外周にタイヤ状の
膨張袋を備えている。既設管10の内部に膨張遮断具9
0を配置したあと、膨張袋に圧縮空気を送ると、膨張袋
が外周側に膨張して、既設管10の内面に圧接する。こ
れによって、既設管10のおける下水Wの流通は遮断さ
れる。
【0069】膨張遮断具90には、下水ホース91が接
続され、下水ホース91の先端は、膨張遮断具90の上
流側に開口して、下水Wを吸い上げるようになってい
る。下水ホース91は、マンホールM2を通って、地表
に設置されたポンプ92の吸込側に連結されている。ポ
ンプ92と吐出側にも下水ホース91が連結され、再び
マンホールM2に延ばされ、補修作業を行う既設管10
の内部まで延ばされている。補修区間の反対側でも、マ
ンホールM1の下流側の既設管10で、膨張遮断具90
を用いて、下水Wを遮断しておく。膨張遮断具90に
は、下水ホース91が接続され、下水ホース91の先端
は、膨張遮断具90の下流側に開口して、下水Wを吐出
できるようになっている。
【0070】さらに、補修区間の途中には、公共汚水マ
スmと既設管10とを連結する取付管m0が存在する。
この取付管m0も補修作業中は遮断される。そこで、公
共汚水マスmに流れ込む下水についても、遮断したまま
にせずに流通させながら補修作業を行う。公共汚水マス
mに下水ホース91を配置し、地表のポンプ92の吸込
側と連結している。ポンプ92の吐出側に連結された下
水ホース91は、マンホールM1に延び、下流側の膨張
遮断具90に連結されて、その外側の既設管10に開口
されている。
【0071】<補修装置>補修区間の既設管10には、
補修装置120が設置される。補修装置120には、回
転切削盤121を備えている。回転切削盤121の前方
には延長軸130を介して案内環140が配置されてい
る。案内環140の前端にはワイヤロープ60が連結さ
れている。ワイヤロープ60は、軸方向に延び、案内プ
ーリ63で方向転換させられ、マンホールM1を経て、
地表の牽引リール66に巻き取られる。補修装置120
の後端には、反力受軸80が連結されている。反力受軸
80は、マンホールM2の底面に強固に設置された反力
受盤87に対して、軸方向に摺動可能で回動は不能に支
持されている。
【0072】このような補修装置120の基本構造は、
前記実施形態などと共通する技術が採用されている。補
修装置120には、延長軸130の外周面から、補修装
置120の後端面へと貫通する空間すなわち下水通路9
6が設けられている。下水通路96の後端には上流側の
下水ホース91が接続され、下水通路96の前端には下
流側の下水ホース91が接続されている。したがって、
上流側の膨張遮断具90からポンプ92、補修装置12
0を経て下流側の膨張遮断具90までを、下水wが流通
できるようになっている。また、公共汚水マスmに流れ
込む下水も、ポンプ92で膨張遮断具90の下流側に放
出されることになる。
【0073】<補修作業>補修作業の具体的な手順は、
前記した各実施例と共通している。簡単に説明すると、
回転切削盤121で既設管10を切削して拡径をする。
切削反力は、反力受軸80を経て反力受盤87で吸収さ
れる。ワイヤロープ60で補修装置120を牽引して、
既設管10内を前進させる。補修装置120の後方に
は、順次、補修管12が継ぎ足されて、既設管10内に
敷設される。補修作業を行なっている間、ポンプ92を
稼動させれば、上流側から下流側へと継続して下水を流
すことができる。補修作業に長い時間がかかっても、上
流側の既設管10が溢れるようなことはない。また、公
共下水マスmに流れ込む下水も継続的に排出されるの
で、各住宅から下水が放出されていても何ら支障は生じ
ない。
【0074】なお、補修作業の進行につれて、補修装置
120は軸方向に移動するので、補修装置120よりも
後方側では下水ホース91を順次延ばしていく必要があ
る。そのため、補修作業の開始時には、マンホールM2
側で下水ホース91を余らせておく。補修作業の進行に
合わせて下水ホース91を継ぎ足していくようにしても
よい。補修装置120の前方側では下水ホース91が余
ってくるので、地表側に引き上げていけば、既設管10
の内部に下水ホース91が溜まってしまうことが防げ
る。補修管12列の後端で、新たな補修管12を継ぎ足
す際には、下水ホース91を途中で連結解除して、新た
な補修管12が配置されてから、下水ホース91を連結
し直したり継ぎ足したりすればよい。そのため、下水ホ
ース91の途中には連結自在な継手金具を配置しておく
ことが望ましい。
【0075】補修作業が完了した後、補修装置120と
ともに下水ホース91を撤去し、最後に膨張遮断具90
を取り外せば、補修後の補修管12内に下水を流通させ
ることができる。この方法では、下水を流通させるため
に必要な下水ホースなどを、補修区間の全長にわたって
地表に敷設しておかなくてもよいので、地表の交通等を
邪魔することがない。 <補修装置の詳細構造>図9は、図8の実施形態で使用
した、下水通路96を備えた補修装置120の詳細構造
を示す。
【0076】全体が円筒状をなす補修装置120には、
筒状本体126の前部内周に中空保持体128が回動自
在に配置されている。筒状本体126に取り付けられた
モータ124の回転力が、ギア機構127を介して中空
保持体128に伝達される。中空保持体128の先端に
は、回転切削盤121が取り付けられ、回転切削盤12
1には全周にわたって切削刃122が設けられている。
筒状本体126の先端には、モータ124の回転軸を介
して、中空保持体128の内周に回転自在に挿入された
延長軸130が固定されている。延長軸130の先端に
は案内環140が取り付けられている。案内環140の
先端にワイヤロープ60が連結される。
【0077】補修装置120の固定構造である筒状本体
126および延長軸130と、回転構造である中空保持
体128および回転切削盤121とが対面する個所に
は、ベアリングや摺動材などを配置して、スムーズに運
動できるようにしている。延長軸130の内部および筒
状本体126の内部には、下水通路96が設けられてい
る。下水通路96の前後には下水ホース91が連結され
ている。下水通路96のうち、延長軸130と筒状本体
126との間をつなぐ個所や、延長軸130および筒状
本体126の外側に延びて下水ホース91に連結する個
所などには、配管部材97が配置されている。下水通路
96は、回転駆動される中空保持体128や回転切削盤
121の動作の邪魔にならないようにして、補修装置1
20の前端から後端までを貫通して下水が流通できるよ
うになっている。
【0078】なお、延長軸130には、切削刃122に
切削用の水を供給する給水路153が設けられている。
給水路153は、回転シール部を経て中空保持体128
および回転切削盤121に連通し、切削刃122に給水
できるようになっている。切削用の給水を切削粉などと
ともに排出する排水ホース154が、案内環140に取
り付けられている。排水ホース154の先端の排水口1
56は、切削刃122の近傍に開口している。筒状本体
126の後端には、反力受軸80が固定されている。図
示を省略しているが、筒状本体126の後端には、補修
管12が連結できるようになっている。
【0079】〔流体通路と反力受との兼用〕図10、1
1に示す実施形態では、補修作業中に下水wを流す流体
通路の構造が、切削反力を吸収する反力受の機能も果た
す。図10に示すように、補修装置120の基本的な構
造は、前記した下水通路96を有する補修装置120と
共通している。筒状本体126の前部に回転自在な中空
保持体128を有し、中空保持体128には回転切削盤
121が設けられている。中空保持体128の中央を嵌
挿して筒状本体126に固定された延長軸130の先端
には案内環140が取り付けられている。補修装置12
0は、ワイヤロープ60で牽引される。
【0080】補修装置120の中心に、鋼管などの剛性
材料からなる下水流通管180が挿通されている。図1
1に示すように、下水流通管180は、外周面に軸方向
に延びる噛合溝182を有する。補修装置120の延長
軸130および筒状本体126の中心の下水流通管18
0が挿通される貫通穴すなわち下水通路96の内面に
は、軸方向に延びる噛合突条132が設けられていて、
下水流通管180の噛合溝182と噛み合っている。し
たがって、補修装置120と下水流通管180とは、軸
方向には摺動移動できるが、周方向には不動になってい
る。下水流通管180は補修装置120の前方に延び、
マンホールM2の底面に固定された反力受盤87に支持
されている。反力受盤87よりも前方には、下水流通管
180に連結された下水ホース91が、既設管10を遮
断している膨張遮断具90を貫通して、遮断個所よりも
下流側に開口している。
【0081】下水流通管180は、補修装置120の上
流側にも延び、補修管12の内部に配置された支持台車
184に支持されている。支持台車184は下部に設け
た車輪で補修管12の内部を移動可能になっている。支
持台車182の上流側には、下水流通管180と連通す
る下水ホース91が延び、マンホールM1から地表のポ
ンプに連結され、さらにマンホールM1を経て、既設管
10を遮断している膨張遮断具90を貫通し、遮断個所
よりも上流側に開口している。したがって、補修区間よ
りも上流側で下水ホース91に吸い上げられた下水w
が、下水ホース91から下水流通管180を流通し、補
修装置120の下水通路96を通過し、さらに下水ホー
ス91から補修区間の下流側で既設管10に放水され
る。補修装置120が牽引移動されると、下水流通管1
80に対して摺動するので、下水流通管180は、反力
受盤87に固定されたままでよい。
【0082】補修装置120に切削加工の反力が加わる
と、補修装置120の延長軸130などが回転しようと
する。図11に示すように、延長軸130に噛み合って
いる下水流通管180に反力が伝達される。下水流通管
180は反力受盤87に回動不能に支持されているの
で、下水流通管180に伝達された反力は反力受盤87
で吸収支持される。上記実施形態では、下水流通管18
0が反力受軸としても機能するので、補修作業を行う既
設管10の内部に搬入あるいは設置される設備機器が少
なくて済む。反力受軸と下水ホースとの両方を設置する
余裕のない小口径管にも、容易に対応させることができ
る。下水流通管180を、既設管10の軸方向に沿って
設置しておけば、下水流通管180に沿って摺動する補
修装置120の移動経路および姿勢が正確に案内され、
切削加工の精度が向上するという利点もある。下水流通
管180で補修装置120の中心線が決まれば、ワイヤ
ロープ60を補修装置120の中心線上に取り付けて牽
引しなくてもよくなる。例えば、ワイヤロープ60を、
下水流通管180よりも外周で延長軸130または案内
環140に取り付けておけばよい。
【0083】
【発明の効果】本発明にかかる既設管路の補修装置で
は、既設管路内を移動しながら内壁を切削して拡径する
回転切削部に対して、回転切削部を駆動する回転駆動部
が、移動方向の後方側に配置されているので、既設管路
のうち拡径されてスペースが拡がった場所に回転駆動部
を配置した状態で作業が行える。したがって、従来の補
修技術では対応できなかったような小径管に対しても、
補修装置を搬入して補修作業を行うことが可能になる。
補修装置を移動させる牽引材を、筒状本体と一体で回転
切削部の中心を貫通して前方に延びる延長軸に連結して
いるので、回転切削部の前方から補修装置の移動力を加
えることができる。回転切削部で切削作業をしながら補
修装置を移動させるときに、補修装置の後方側から押し
て移動させた場合に比べて、補修装置の前方側から引っ
張った場合のほうが、補修装置の進行方向のずれが少な
い。これは、牽引材からの引っ張り力は、補修装置のず
れを修正して中心線に戻す方向に作用するためである。
【0084】回転切削部で発生する回転反力を受け止め
る反力受け手段を備えているので、切削作業が効率的に
行える。切削反力によって補修装置の進行方向がずれた
り姿勢が傾いたりして切削が不正確になることも防止で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を表す施工装置の全体配置
構造図
【図2】 既設管路内の詳細断面図
【図3】 回転駆動部の模式的構造図(a)および回転切
削部の正面図(b)
【図4】 到達坑(a)および発進坑(b)の垂直断面図
【図5】 別の実施形態を表す既設管路内の詳細断面図
【図6】 回転伝達機構の模式的構造図
【図7】 全体の作業手順を示すブロック工程図
【図8】 別の実施形態を表す全体配置構造図
【図9】 補修装置部分の詳細構造断面図
【図10】 別の実施形態を表す全体配置構造図
【図11】 補修装置の流体通路の詳細構造を示す拡大
断面図
【符号の説明】
10 既設管 12 補修管 20、120 補修装置 21、121 回転切削盤 22、122 切削刃 24、124 モータ 26、126 筒状本体 28、128 中空保持体 30、130 延長軸 40、140 案内環 60 牽引材 80 反力受軸 84 反力受腕 90 膨張遮断具 91 下水ホース 96 流体通路 180 下水流通管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森長 英二 神戸市東灘区森北町1丁目3−3 (72)発明者 柴野 健悦 大阪府河内長野市三日市町1146−2 Fターム(参考) 2D054 AA02 AA05 AB01 AB05 AC18 AD37 BA06 BA25 BB08 EA05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】既設管路の内壁を切削して拡径し、拡径さ
    れた既設管路の内側に補修管を設置する装置であって、 前記拡径された既設管路の内部を移動し、後端に前記補
    修管が連結される筒状本体と、 前記筒状本体の前端に配置され、前記既設管路の内壁を
    切削して拡径する回転切削部と、 前記筒状本体内で前記回転切削部の後方に搭載され、回
    転切削部を回転駆動する回転駆動部と、 前記筒状本体に固定され、前記回転切削部の中心を貫通
    して前方に延びる延長軸と、 一端が前記延長軸に連結され、他端は前記既設管路の外
    部に引き出される牽引材と、 前記既設管路の外部に設置され、前記牽引材を牽引する
    牽引部と前記回転切削部で前記既設管路の内壁を切削す
    る際に発生する回転反力を受ける反力受け手段とを備え
    る既設管路の補修装置。
  2. 【請求項2】前記反力受け手段が、前記補修管の内側で
    前記筒状本体の後方に連結され、補修管の後方に延びる
    反力受軸と、補修管の後方で反力受軸に連結され、既設
    管路の内壁に対して補修装置の移動方向に移動可能で回
    転方向に不動に支持される反力受腕とを備える請求項1
    に記載の既設管路の補修装置。
  3. 【請求項3】前記回転切削部が、互いに逆方向に回転す
    る一対の回転切削部からなり、 前記反力受け手段が、互いの回転反力を受ける相手側の
    回転切削部である請求項1または2に記載の既設管路の
    補修装置。
  4. 【請求項4】前記回転切削部の前方で前記延長軸に配置
    され、前記既設管路の内壁に沿って摺動する案内環をさ
    らに備える請求項1〜3の何れかに記載の既設管路の補
    修装置。
  5. 【請求項5】前記回転切削部が、先端に切削刃が取り付
    けられる中空状の回転盤を有し、 前記回転駆動部が、前記筒状本体の中心線上に配置され
    た駆動モータと、前記回転盤を支持して一体回転する中
    空保持体と、駆動モータの回転を中空保持体に伝達する
    遊星歯車機構とを有し、 前記延長軸が、前記中空状の回転盤および中空保持体の
    中心を貫通している請求項1〜4の何れかに記載の既設
    管路の補修装置。
  6. 【請求項6】補修装置を軸方向に貫通する流体通路をさ
    らに備える請求項1〜5の何れかに記載の既設管路の補
    修装置。
  7. 【請求項7】請求項1〜6の何れかに記載の補修装置を
    用いて既設管路を補修する方法であって、 補修する既設管路の一端に、前記補修装置を配置する工
    程(a)と、 前記補修装置の延長軸に連結された牽引材を、前記既設
    管路の他端側に引き出し、牽引部で牽引して、補修装置
    を既設管路内に進める工程(b)と、 前記補修装置の進行とともに、補修装置の回転駆動部で
    回転切削部を回転駆動させて、既設管路の内壁を切削し
    て拡径する工程(c)と、 前記補修装置の進行とともに、補修装置の筒状本体に連
    結された補修管を、拡径された既設管路の内部に設置す
    る工程(d)と、 前記既設管路の内壁の切削に伴って発生する回転反力を
    前記反力受け手段で受け止める工程(e)とを含む既設管
    路の補修方法。
  8. 【請求項8】請求項6に記載の補修装置を用いて流体用
    の既設管路を補修する方法であって、 前記工程(a)の前に、前記既設管路の補修区間の前後で
    流体の通過を遮断する工程(-a)をさらに含み、 前記工程(a)が、前記補修区間内に前記補修装置を配置
    し、前記遮断個所よりも外側の既設管路同士を前記補修
    装置内の流体通路を含む流体通路で連結する請求項7に
    記載の既設管路の補修方法。
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