JP2002355087A - 発酵法によるヌクレオチドの製造法 - Google Patents
発酵法によるヌクレオチドの製造法Info
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Abstract
等のヌクレオシド−5’−リン酸エステルを製造する方
法を提供する。 【解決手段】 ushA遺伝子及びaphA遺伝子が正
常に機能せず、かつ、ヌクレオシド−5’−リン酸エス
テル生産能を有するエシェリヒア属細菌を培地に培養
し、培地中にヌクレオシド−5’−リン酸エステルを生
成蓄積せしめ、同培地からヌクレオシド−5’−リン酸
エステルを採取することにより、ヌクレオシド−5’−
リン酸エステルを製造する。
Description
レオチドの製造法に関する。ヌクレオシド−5’−リン
酸エステル等のヌクレオチドは、調味料、医薬並びにそ
れらの原料等として有用である。
工業的な製造法としては、ヌクレオシドを発酵法により
製造し、得られたヌクレオシドを酵素的にリン酸化して
ヌクレオシド−5’−リン酸エステルを得る方法が知ら
れている。
ルを発酵法により直接製造する方法が提案されている。
例えば、特公昭56−12438号公報には、アデニン
要求性を有しさらにデコイニンまたはメチオニンスルフ
ォキシドに耐性を有し、かつ5’−グアニル酸(グアノ
シン−5’−モノリン酸、以下「GMP」ともいう)生
産能を有するバチルス属の変異株を培養し、培地中に生
成蓄積したGMPを採取することを特徴とする5’−グ
アニル酸の製造法が開示されている。また、バチルス・
サブチリスのイノシン生産菌からの5’−イノシン酸
(イノシン−5’−リン酸、以下「IMP」ともいう)
生産菌の誘導について、いくつか報告されている(Maga
sanik, B. et al., J. Biol. Chem., 226, 339 (1957);
Fujimoto,M., et al., Agr. Biol. Chem., 30, 605 (1
966))。しかし、一般的にヌクレオシド−5’−リン酸
エステルの直接発酵は収率が十分ではなく、前記酵素法
に比較して実用的でない。
て、IMPは細胞透過性がわるいこと、及び、IMPを
分解する酵素がかなり普遍的に分布していることが挙げ
られている(核酸発酵、アミノ酸・核酸集談会編、講談
社サイエンティフィク)。このような障害を克服するた
めに、ヌクレオチド分解活性を欠失させる試みがなされ
てきた。IMPをイノシンに分解する酵素としては、
5’−ヌクレオチダーゼ、酸性ホスファターゼ、アルカ
リ性ホスファターゼなどが考えられている(前記「核酸
発酵」)。また、前記特公昭56−12438号公報に
は、ヌクレオチダーゼ活性が低下した変異株から、GM
Pの収率が高い菌株を取得しうることが示唆されてい
る。
エステルを製造する技術としては、ブレビバクテリウム
・アンモニアゲネスの変異株を用いてIMPを製造する
方法が開発されている(Furuya et al., Appl. Microbi
ol., 16, 981 (1968))。
酵によるヌクレオシド−5’−リン酸エステルの製造に
ついて種々の研究が行われており、成功例もいくつか知
られている。しかし、ヌクレオチド分解酵素については
不明な点が多く、収率向上に関する研究は十分とはいえ
ない。特にエシェリヒア属細菌では実用レベルでヌクレ
オシド−5’−リン酸エステルを製造した例は知られて
いない。
り、エシェリヒア属細菌を用いてIMP等のヌクレオシ
ド−5’−リン酸エステルを製造する方法を提供するこ
とを課題とする。
解決するために鋭意研究を行い、エシェリヒア・コリが
既知の遺伝子の他に5’−ヌクレオチダーゼをコードす
る遺伝子が存在することを知見し、同遺伝子を同定する
ことに成功した。そして、公知の5’−ヌクレオチダー
ゼ遺伝子に加えて新規遺伝子を破壊することによって、
イノシン生産能又はグアノシン生産能を有するエシェリ
ヒア・コリがIMP又はGMPを生産することを見出
し、本発明を完成するに至った。
せず、かつ、ヌクレオシド−5’−リン酸エステル生産
能を有するエシェリヒア属細菌を培地に培養し、培地中
にヌクレオシド−5’−リン酸エステルを生成蓄積せし
め、同培地からヌクレオシド−5’−リン酸エステルを
採取することを特徴とするヌクレオシド−5’−リン酸
エステルの製造法。 (2)ushA遺伝子及びaphA遺伝子が変異が導入
又は破壊されたことにより正常に機能しない(1)のヌ
クレオシド−5’−リン酸エステルの製造法。 (3)前記ヌクレオシド−5’−リン酸エステルが5’
−イノシン酸又は5’−グアニル酸である(1)又は
(2)に記載のヌクレオシド−5’−リン酸エステルの
製造法。 (4)ushA遺伝子及びaphA遺伝子が破壊され、
かつ、ヌクレオシド−5’−リン酸エステル生産能を有
するエシェリヒア属細菌。 (5)前記ヌクレオシド−5’−リン酸エステルが5’
−イノシン酸である(4)のエシェリヒア属細菌。 (6)微生物の親株及び既知の5’−ヌクレオチダーゼ
を欠失した誘導株を、第一のヌクレオシド−5’−リン
酸エステルを唯一の炭素源とする最少培地、及び第二の
ヌクレオシド−5’−リン酸エステルを唯一の炭素源と
する最少培地で培養して、親株及び誘導株の遺伝子発現
プロファイルを調べ、第一の5’−ヌクレオシド−5’
−リン酸エステルを炭素源とする培地で培養したときの
遺伝子の誘導株における発現量と親株における発現量と
の比と、第二の5’−ヌクレオシド−5’−リン酸エス
テルを炭素源とする培地で培養したときの前記遺伝子の
誘導株における発現量と親株における発現量との比の積
をとり、その値の大きい遺伝子を選択することを特徴と
する、ヌクレオシド−5’−リン酸エステルの蓄積に影
響する5’−ヌクレオチダーゼ遺伝子の探索方法。 (7)前記第一及び第二のヌクレオシド−5’−リン酸
エステルが、5’−イノシン酸及び5’−グアニル酸で
ある(6)の5’−ヌクレオチダーゼ遺伝子の探索方
法。 (8)前記の選択された遺伝子から、タンパク質のペリ
プラズムへの移行に必要なシグナル配列をコードし得る
遺伝子をさらに選択することを特徴とする(6)又は
(7)の5’−ヌクレオチダーゼ遺伝子の探索方法。
子の探索 エシェリヒア・コリの既知の5’−ヌクレオチダーゼと
しては、ushA遺伝子(GenBank accession X03895)産物
(UshA)であるUDP糖加水分解酵素(UDP-sugarhydrolas
e)が知られている。同酵素は、AMP、GMP、IMP、XMPな
どのヌクレオシド−5’−リン酸を脱リン酸し、対応す
るヌクレオシドを生成する5’−ヌクレオチダーゼ活性
を持つことが知られていた(H. C. Neu, (1967) Journa
l of Biological Chemistry, 242, 3896-3904; A. Cowm
an, I. R. Beacham, (1980) Gene, 12, 281-286)。
のushA遺伝子を破壊し、そのヌクレオチド分解能への影
響を検討した。W3110株のushA遺伝子破壊株(WΔushA)
は、ペリプラズムの5’−ヌクレオチダーゼ活性は、W3
110株に比べて大きく低下していた。しかし、WΔushA株
をヌクレオシド−5’−リン酸を単独の炭素源とする最
少培地で生育を調べたところ、同株は生育が可能であっ
たころから、ushAのみの破壊によってヌクレオチド分解
能が完全に失われていないと考えた。さらに、ヌクレオ
シド−5’−リン酸を単独の炭素源とした場合には、生
育の立ち上がりが遅いことから、UshAが機能しないとき
に誘導される他の5’−ヌクレオチダーゼが存在すると
予想した。
クレオチダーゼ遺伝子の探索を試み、酸性ホスファター
ゼ遺伝子(aphA)(M. C. Thaller, S. Schippa, A. Bo
nci,S. Cresti, G. M. Rossolini, (1997) FEMS Microb
ilogy Letters, 146, 191-198、GenBank accession X86
971)あるいはyjbP(GenBank accession AAC77025)と
して報告されている遺伝子産物が、5’−ヌクレオチダ
ーゼ活性を有していることを見出した。
酸の蓄積に影響を与える5’−ヌクレオチダーゼをコー
ドする遺伝子は、以下のようにして探索することができ
る。まず、微生物の親株及び既知の5’−ヌクレオチダ
ーゼを欠失した誘導株を、第一の5’−ヌクレオシド−
5’−リン酸エステル及び第二の5’−ヌクレオシド−
5’−リン酸エステル、例えばIMPまたはGMPを唯一の炭
素源とする最少培地で培養する。微生物がエシェリヒア
・コリの場合は、既知の5’−ヌクレオチダーゼとして
は前記UshAが挙げられる。
イルを調べる。具体的には、遺伝子毎に野生株及び誘導
株における発現量の比を調べる。次に、第一の5’−ヌ
クレオシド−5’−リン酸エステルを炭素源とする培地
で培養したときの遺伝子の誘導株における発現量と親株
における発現量との比と、第二の5’−ヌクレオシド−
5’−リン酸エステルを炭素源とする培地で培養したと
きの前記遺伝子の誘導株における発現量と親株における
発現量との比の積をとり、その値の大きい遺伝子を選択
する。
されないが、例えば、DNAアレイ法(H. Tao, C. Bausc
h, C. Richmond, F. R. Blattner, T. Conway, (1999)
Journal of Bacteriology, 181, 6425-6440)が挙げら
れる。
のペリプラズムへの移行に必要なシグナル配列をコード
し得る遺伝子をさらに選択することにより、目的遺伝子
をさらに絞り込むことができる。すなわち、目的とする
5’−ヌクレオチダーゼはペリプラズムに移行して機能
していることが推定される。
示すように、上記のようにしてb0220(別名o157)及びy
jbPの二種の遺伝子が選択された。これらの遺伝子のう
ち、yjbPは酸性ホスファターゼ遺伝子(aphA)であっ
た。一方、b0220はykfEという名前が付けられた機能未
同定の遺伝子であった。エシェリヒア・コリにおいてこ
れらの遺伝子の増幅を行ったところ、ykfE遺伝子増幅株
では5’−ヌクレオチダーゼ活性の顕著な増加は認めら
れなかったが、aphA遺伝子増幅株では5’−ヌクレオチ
ダーゼ活性の顕著な増加が認められ、aphA遺伝子産物
(AphA)が5’−ヌクレオチダーゼ活性を有することが
確認された。こうして、ヌクレオシド−5’−リン酸の
蓄積に影響を与える5’−ヌクレオチダーゼをコードす
る遺伝子として、aphAが見出された。
伝子が正常に機能せず、かつ、ヌクレオシド−5’−リ
ン酸エステル生産能を有するエシェリヒア属細菌であ
る。エシェリヒア属細菌としては、エシェリヒア・コリ
等、エシェリヒア属に属する微生物であれば特に制限さ
れないが、具体的にはナイトハルトらの著書(Neidhard
t,F.C. et.al.,Escherichia coli and Salmonella Typh
imurium,American Society for Microbiology,Washingt
on D.C.,1208, table 1)に挙げられるものが利用でき
る。
プリンヌクレオシド生産能を有するエシェリヒア属細菌
を親株として、ushA遺伝子及びaphA遺伝子が正常に機能
しない変異株又は遺伝子組換え株を育種することによっ
て得ることができる。また、本発明のエシェリヒア属細
菌は、ushA遺伝子及びaphA遺伝子が正常に機能しない株
を親株として、プリンヌクレオシド生産株の育種と同様
の育種を施すことによっても、取得することができる。
リヒア属細菌としては、イノシン、グアノシン、アデノ
シン、キサントシン、プリンリボシド、6−メトキシプ
リンリボシド、2,6−ジアミノプリンリボシド、6−
フルオロプリンリボシド、6−チオプリンリボシド、2
−アミノ−6−チオプリンリボシド、メルカプトグアノ
シン等を生産する能力を有するエシェリヒア属細菌が挙
げられる。これらのプリンヌクレオシド生産能を有する
エシェリヒア属細菌を親株として、ushA遺伝子及びaphA
遺伝子が正常に機能しない変異株又は遺伝子組換え株を
育種することによって、各々のプリンヌクレシドに対応
するヌクレオシド−5’−燐酸エステルを生産する能力
を有するエシェリヒア属細菌が得られる。
は、プリンヌクレオシドを培地中に生成蓄積する能力を
意味する。さらに、プリンヌクレオシド生産能を有する
とは、そのエシェリヒア属に属する微生物が、E. coli
の野生株例えばW3110株よりも多量にプリンヌクレオシ
ドを培地中に生産蓄積することを意味する。
ル生産能とは、ヌクレオシド−5’−リン酸エステルを
培地中に生成蓄積する能力をいう。さらに、プリンヌク
レオシド生産能を有するとは、そのエシェリヒア属に属
する微生物が、E. coliの野生株例えばW3110株よりも多
量にプリンヌクレオシドを培地中に生産蓄積することを
意味し、好ましくは、後記実施例6に記載した条件で培
養して100mg/L以上、さらに好ましくは500mg/L以上、も
っとも好ましくは1000mg/L以上のヌクレオシド−5’−
リン酸エステルを培地中に生産蓄積することを意味す
る。
リヒア属細菌については、例えば、WO99/03988号国際公
開パンフレットに詳しい。より具体的には、同パンフレ
ット記載のエシェリヒア・コリFADRaddG-8-3::KQ株(pu
rFKQ,purA-,deoD-,purR-,add -,gsk-)が挙げられる。同
株は、326位のリジン残基がグルタミン残基に置換さ
れ、AMP及びGMPによるフィードバック阻害が解除された
PRPPアミドトランスフェラーゼをコードする変異型
purFを保持し、サクシニル−AMPシンターゼ遺伝子
(purA)、プリンヌクレオシド・フォスフォリラーゼ遺
伝子(deoD)、プリン・リプレッサー遺伝子(purR)、
アデノシン・デアミナーゼ遺伝子(add)、イノシン−
グアノシン・キナーゼ遺伝子(gsk)が破壊されてい
る。同株には、プライベート・ナンバーAJ13334が付与
され、1997年6月24日付けで通産省工業技術院生命工学
工業技術研究所(郵便番号305-0046 日本国茨城県つく
ば市東一丁目1番3号)に、ブタペスト条約に基づいて
国際寄託され、受託番号として、FERM BP-5993が付与さ
れている。同株は、イノシン及びグアノシンを生産する
能力を有している。また、後記実施例で用いたFADRadde
ddyicPpgixapA株に変異型purF遺伝子を保持するプラス
ミドを導入した株も、イノシン生産菌として好適に用い
ることができる。また、イノシン生産菌に、IMPデヒド
ロゲナーゼ及びGMP合成酵素をコードするguaA及びguaB
遺伝子を導入することによって、グアノシン生産能を高
めることができる。本発明においては、上記菌株に限ら
れず、プリンヌクレオシド生産能を有するものであれば
制限なく用いることができる。
ない変異株又は遺伝子組換え株は、これらの遺伝子が、
それらの遺伝子産物である5’−ヌクレオチダーゼの活
性が低下又は消失するか、又はこれらの遺伝子の転写が
低下または消失するように、改変することによって得ら
れる。このような微生物は、例えば、遺伝子組換え法を
用いた相同組換え法(Experiments in Molecular Genet
ics, Cold Spring Harbor Laboratory press (1972); M
atsuyama, S. and Mizushima, S., J. Bacteriol., 16
2, 1196(1985))により、染色体上のushA遺伝子及びaph
A遺伝子を、正常に機能しないushA遺伝子及びaphA遺伝
子(以下、「破壊型ushA遺伝子」及び「破壊型aphA遺伝
子」ということがある)で置換することによって行うこ
とができる。
有する配列を持つプラスミド等が菌体内に導入される
と、ある頻度で相同性を有する配列の箇所で組換えを起
こし、導入されたプラスミド全体が染色体上に組み込ま
れる。この後さらに染色体上の相同性を有する配列の箇
所で組換えを起こすと、再びプラスミドが染色体上から
抜け落ちるが、この時組換えを起こす位置により破壊さ
れた遺伝子の方が染色体上に固定され、元の正常な遺伝
子がプラスミドと一緒に染色体上から抜け落ちることも
ある。このような菌株を選択することにより、破壊型us
hA遺伝子又は破壊型aphA遺伝子が、が染色体上の正常な
ushA遺伝子又はaphA遺伝子と置換された菌株を取得する
ことができる。
術は既に確立しており、直鎖DNAを用いる方法、温度
感受性プラスミドを用いる方法等が利用できる。また、
薬剤耐性等のマーカー遺伝子が内部に挿入されたushA遺
伝子又はaphA遺伝子を含み、かつ、目的とする微生物細
胞内で複製できないプラスミドを用いることによって
も、ushA遺伝子及びaphA遺伝子の破壊を行うことができ
る。すなわち、前記プラスミドで形質転換され、薬剤耐
性を獲得した形質転換体は、染色体DNA中にマーカー
遺伝子が組み込まれている。このマーカー遺伝子は、そ
の両端のushA遺伝子又はaphA遺伝子配列と染色体上のこ
れらの遺伝子との相同組換えによって組み込まれる可能
性が高いため、効率よく遺伝子破壊株を選択することが
できる。
破壊型aphA遺伝子は、具体的には、制限酵素消化及び再
結合によるこれらの遺伝子の一定領域の欠失、これらの
遺伝子への他のDNA断片(マーカー遺伝子等)の挿
入、または部位特異的変異法(Kramer, W. and Frits,
H. J., Methods in Enzymology, 154, 350 (1987))や
次亜硫酸ナトリウム、ヒドロキシルアミン等の化学薬剤
による処理(Shortle, D. and Nathans, D., Proc. Nat
l. Acad. Sci. U.S.A., 75, 270(1978))によって、ush
A遺伝子又はaphA遺伝子のコーディング領域またはプロ
モーター領域等の塩基配列の中に1つまたは複数個の塩
基の置換、欠失、挿入、付加または逆位を起こさせるこ
とにより、コードされるリプレッサーの活性を低下又は
消失させるか、又はushA遺伝子又はaphA遺伝子の転写を
低下または消失させることにより、取得することができ
る。これらの態様の中では、制限酵素消化及び再結合に
よりushA遺伝子又はaphA遺伝子の一定領域を欠失させる
方法、又はこれらの遺伝子へ他のDNA断片を挿入する
方法が、確実性及び安定性の点から好ましい。ushA遺伝
子及びaphA遺伝子の遺伝子破壊の順序は問わず、いずれ
を先に行ってもよい。
列自体は公知であり、それらの配列に基づいて、PCR法
又はハイブリダイゼーション法等によって容易に取得す
ることができる。ushA遺伝子は、例えば、エシェリヒア
・コリの染色体DNAから、配列番号1及び2に示すプ
ライマーを用いたPCRによって取得することができる。
また、aphA遺伝子のN末端領域は配列番号3及び7に示
すプライマーを用いて、C末端領域は配列番号4及び8
に示すプライマーを用いて、PCRによって取得すること
ができる。
ザンブロッティングやPCR法により、染色体上の遺伝子
を解析することによって、確認することができる。
ルの製造法 ushA遺伝子及びaphA遺伝子が正常に機能せず、かつ、ヌ
クレオシド−5’−リン酸エステル生産能を有するエシ
ェリヒア属細菌を培地に培養し、培地中にヌクレオシド
−5’−リン酸エステルを生成蓄積せしめ、同培地から
ヌクレオシド−5’−リン酸エステルを採取することに
より、ヌクレオシド−5’−リン酸エステルを製造する
ことができる。
び必要に応じその他の有機成分を含有する通常の培地で
よい。炭素源としては、グルコース、ラクトース、ガラ
クトース、フラクトース、アラビノース、マルトース、
キシロース、トレハロース、リボースや澱粉の加水分解
物などの糖類、グリセロール、マンニトールやソルビト
ールなどのアルコール類、グルコン酸、フマール酸、ク
エン酸やコハク酸等の有機酸類を用いることができる。
窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウ
ム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆
加水分解物などの有機窒素、アンモニアガス、アンモニ
ア水等を用いることができる。有機微量栄養素として
は、ビタミンB1等のビタミン類、アデニンやRNA等の核
酸類などの要求物質または酵母エキス等を適量含有させ
ることが望ましい。これらの他に、必要に応じて、リン
酸カルシウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガン
イオン等が少量添加される。
実施するのがよく、培養温度は30℃〜45℃に、培養
中pHは5〜8に制御する。なお、pH調整には無機あるい
は有機の酸性あるいはアルカリ性物質、さらにアンモニ
アガス等を使用することができる。
エステルの採取は通常、イオン交換樹脂法、沈殿法その
他の公知の方法を組合せることにより実施できる。
説明する。
対するushA破壊の効果 <1> ushA破壊株の構築 エシェリヒア・コリW3110株のゲノムDNAから、ushA遺伝
子断片をPCRにより増幅した。ゲノムDNAの抽出は、RNA/
DNA maxi Kit(キアゲン社製)を用いて抽出した。PCR
は、Pyrobest DNA Polymerase(宝酒造社製)を用い、
添付説明書にしたがって、配列番号1及び2に示すプラ
イマーを用いて行った。PCR後の増幅DNA断片は、Wizard
PCR Preps(プロメガ社製)を使用して精製した。精製
したDNA断片を、制限酵素SphI及びSalI(宝酒造社製)
にて切断した後、フェノール/クロロホルム処理、エタ
ノール沈殿を行った。同様にSphI及びSalIで切断したpH
SG397(宝酒造社製)とを、DNA ligation Kit Ver.2
(宝酒造社製)を用いて連結した。この結合反応液に
て、JM109コンピテント細胞(宝酒造社製)を形質転換
し、クロラムフェニコール(シグマ社製)を30μg/mL含
むLB寒天プレート(LB+クロラムフェニコールプレー
ト)に塗布した。37℃で一晩培養後、生育したコロニー
を30μg/mLのクロラムフェニコールを含むLB培地で37℃
にて試験管培養し、自動プラスミド抽出機PI-50(クラ
ボウ社製)を用いてプラスミド抽出を行った。得られた
プラスミドをpHSGushAとした。
ら、以下のようにしてHpaI断片を除去した。pHSGushAを
制限酵素HpaI(宝酒造社製)にて切断し、フェノール/
クロロホルム処理、エタノール沈殿を行った後、DNA Li
gation Kit Ver.2を用いて連結した。この連結反応液に
てJM109を形質転換し、出現したコロニーよりプラスミ
ド抽出を行った。得られたプラスミドをSphI及びSalIで
切断し、アガロースゲル電気泳動を行って、ushA遺伝子
領域よりHpaI切断断片が欠失した目的断片が挿入されて
いるプラスミドを選択した。
号国際公開パンフレットに記載の温度感受性プラスミド
pMAN997をSphI及びSalIで切断した断片とを連結し、連
結反応液にてJM109を形質転換し、アンピシリン(明治
製菓社製)を50 μg/mL含むLB寒天プレート(LB+アン
ピシリンプレート)にて、30℃でコロニーを選択した。
コロニーを、50μg/mLのアンピシリンを含むLB培地に
て、30℃で試験管培養し、プラスミドを抽出した。SphI
及びSalIで切断して目的長断片が得られるプラスミド
を、ushA破壊用プラスミドpMANΔushAとした。尚、前記
pMAN997は、pMAN031(J. Bacteriol., 162, 1196 (198
5))とpUC19(宝酒造社製)のそれぞれのVspI-HindIII断
片を繋ぎ換えたものである。
アンピシリンプレートで30℃でコロニーを選択した。選
択したクローンを30℃で一晩液体培養した後、培養液を
10-3希釈してLB+アンピシリンプレートにまき、42℃で
コロニーを選択した。選択したクローンをLB+アンピシ
リンプレートに塗り広げて30℃で培養した後、プレート
の1/8の菌体をLB培地 2mLに懸濁し、42℃で4〜5時間振
とう培養した。10-5希釈した菌体をLBプレートにまき、
得られたコロニーのうち数百コロニーをLBプレートとLB
+アンピシリンプレートに植菌し、生育を確認すること
で、アンピシリン感受性を選択した。アンピシリン感受
性株の数株についてコロニーPCRを行い、ushA遺伝子の
欠失を確認した。こうしてE. coli W3110由来のushA破
壊株WΔushAを得た。
ヌクレオチド資化培養 W3110及びWΔushAをLB培地で37℃で培養し、増殖期の菌
体より、Edwardsらの方法(C. J. Edwards, D. J. Inne
s, D. M. Burns, I. R. Beacham, (1993) FEMS Microbi
ology Letters, 114, 293-298)に従い、ペリプラズム
を抽出した。同文献記載の手法を用い、ペリプラズムタ
ンパク質のIMP、GMP、AMPに対する5’−ヌクレオチダ
ーゼ活性を測定した。1分間に1マイクロモルのリン酸
を生じる活性を1ユニットとした。その結果、表1に示
すように、WΔushAのペリプラズムの5’−ヌクレオチ
ダーゼ活性は、W3110に比べて大きく低下していた。
っているかを確認するため、ヌクレオチドを単独の炭素
源とする最少培地での生育を調べた。W3110及びWΔushA
をLB培地で37℃一晩培養した後、生理食塩水にて洗浄
し、IMPあるいはGMPをそれぞれ5.8 g/L、6.7 g/L含むM9
最少培地(J. H. Miller, "A SHORT COURSE IN BACTERI
AL GENETICS" Cold Spring Harbor Laboratory Press,
New York, 1992)50 mLに添加し、37℃で培養を行っ
た。適当時間後に培養液を回収し、分光光度計DU640
(ベックマン社製)で600nmにおける吸光度を測定し
た。WΔushAはIMP、GMPを炭素源としたM9培地で生育が
悪化するものの、生育は可能であった。このことから、
ushAのみの破壊によってヌクレオチド分解能が完全に失
われていないことが示唆された。また、生育の立ち上が
りが遅くなることより、UshAが機能しないときに誘導さ
れる他の5’−ヌクレオチダーゼが存在することが予想
された。
は、IMPまたはGMPを炭素源とするM9培地で培養した場
合、W3110と比較してWΔushAで強く発現していると考え
られた。WΔushAにおいて機能していると考えられる
5’−ヌクレオチダーゼを同定するため、IMPまたはGMP
を炭素源とするM9培地で培養したW3110及びWΔushAの遺
伝子発現プロファイルを比較した。
アレイ法(H. Tao, C. Bausch, C. Richmond, F. R. Bl
attner, T. Conway, (1999) Journal of Bacteriology,
181,6425-6440)を用いた。Panorama E. coli Gene Ar
rays(シグマジェノシス社製)は、E. coliの4290遺伝
子のDNA増幅断片がスポットされたナイロンメンブレン
製のDNAアレイであり、これを利用することにより、E.
coli全遺伝子のmRNA発現量を一度に網羅的に解析するこ
とが可能である。
でW3110及びWΔushAを培養し、増殖期の菌体より、RNea
sy mini Kit(キアゲン社製)を用いてRNAを抽出した。
抽出したRNA溶液に、終濃度10 mMのMgCl2及び0.25 U/ml
のDNaseI(ベーリンガーマンハイム)を添加し、混入ゲ
ノムDNAを分解した後、フェノール/クロロホルム抽
出、エタノール沈殿により、全RNAを精製した。AMV逆転
写酵素(プロメガ社製)、dATP、dGTP、dTTP、[α-33P]
-dCTP(以上アマシャムファルマシア社製)、及びラン
ダムプライマーpd(N)6(アマシャムファルマシア社製)
を使用し、Panorama E. coli Gene Arraysの添付説明書
にしたがって逆転写反応を行い、cDNAプローブを調製し
た。得られたcDNAプローブは、ProbeQuant(アマシャム
ファルマシア社製)を用いて精製した。上記で得られた
cDNAプローブを用いて、Panorama E. coli Gene Arrays
の添付説明書にしたがってハイブリダイゼーション、洗
浄を行い、メンブレンをハイブリダイゼーションバッグ
に封入した後、イメージングプレート(富士フィルム社
製)に48時間接触させ、FLA3000G(富士フィルム社製)
にて画像の取り込みを行った。画像解析ソフトAIS(イ
メージングリサーチ社製)を用いて各スポット濃度を定
量し、同一メンブレン上に存在する全スポット濃度の合
計に占める各スポット濃度の割合を、メンブレンごとに
示した。この値を個々の遺伝子について比較することに
より、遺伝子発現の増減を調べた。
培養時にW3110と比較してWΔushAでの発現量が多い遺伝
子、GMPを炭素源とするM9培地での培養時にW3110と比較
してWΔushAでの発現量が多い遺伝子を、それぞれ選択
した。しかしながら、培養時の炭素源の変化は多くの遺
伝子の発現変動を引き起こすため、選択される遺伝子の
数は多く、個々の機能を確かめることは困難であった。
そこで、候補遺伝子の絞り込みの手段として、以下のよ
うなスクリーニング方法を採用した。
は、IMP、GMPのいずれを炭素源とした培養でも発現量が
増加していると考えられることから、IMPを炭素源とす
る培養時のWΔushAにおける発現量とW3110における発現
量の比(WΔushA/W3110)と、GMPを炭素源とする培養時
の発現比(WΔushA/W3110)の積をとり、その値の大き
い遺伝子を検索した。前記値の上位50個を表2(1〜25
位)及び表3(26〜50位)に示した。その中で、5’−
ヌクレオチダーゼ活性を持つ可能性のある候補として、
機能未知遺伝子に注目した。WΔushAは、細胞外のヌク
レオチドを分解して生育可能であることから、目的の
5’−ヌクレオチダーゼはペリプラズムに移行して機能
していることが推定される。そこで、これらの機能未知
遺伝子の中から、タンパク質がペリプラズムに移行する
際に必要であるシグナル配列を有するもののみを選択し
た。これらのスクリーニングにより、候補遺伝子をb022
0(別名o157)及びyjbPの二種に絞り込むことが可能で
あった。
b0220はykfEという名前が付けられた機能未同定の遺伝
子として、yjbPは酸性ホスファターゼ遺伝子(aphA)と
して、報告されているものであった(M. C. Thaller,
S. Schippa, A. Bonci, S. Cresti, G. M. Rossolini,
(1997) FEMS Microbilogy Letters, 146, 191-198)。
増幅株を作製し、5’−ヌクレオチダーゼ活性への影響
を調べた。配列番号3及び4に示すプライマーを用いて
ykfEの遺伝子断片を、配列番号5及び6に示すプライマ
ーを用いてaphAの遺伝子断片を、それぞれ増幅した。yk
fE断片は、ベクターpSTV28(宝酒造社製)の制限酵素Sa
lI及びPstI(宝酒造社製)切断部位にクローニングし、
pSTVykfEを得た。また、aphA断片は、pSTV28のSalI及び
SphI切断部位にクローニングし、pSTVaphAを得た。この
ようにして作製した各プラスミドでWΔushAを形質転換
し、クロラムフェニコールを30μg/mL含むLB培地で37℃
で培養した増殖期の菌体のペリプラズムにおけるIMP、G
MP、AMPを基質とする5’−ヌクレオチダーゼ活性を測
定した。その結果、表4に示すように、aphA遺伝子増幅
により、ベクターのみを保持株と比較して、5’−ヌク
レオチダーゼ活性の顕著な増加が認められ、AphAタンパ
ク質が同活性を有することが確認された。一方、ykfE増
幅株は同活性の大きな増加は認められず、5’−ヌクレ
オチダーゼ活性を保持しないと判断した。
する遺伝子であると予想されたaphAの遺伝子破壊を行っ
た。配列番号3及び7に示すプライマーを用いてaphAの
N末端領域の断片を、配列番号4及び8に示すプライマ
ーを用いてC末端領域の断片を、それぞれPCRにより増
幅し、Wizard PCR Prepsを用いて精製した。それぞれの
増幅反応液1μLを混合して、PCR反応液に加え、配列番
号3及び4をプライマーとしてクロスオーバーPCR(A.
J. Link, D. Phillips, G. M. Church (1997) Journal
of Bacteriology, 179, 6228-6237)を行い、aphAの中
央部分約300塩基を欠失したaphA遺伝子断片を取得し
た。これを温度感受性プラスミドpMAN997のSalI、SphI
切断部位に挿入し、遺伝子破壊用プラスミドpMANΔaphA
を得た。この遺伝子破壊用プラスミドを用いて、W311
0、WΔushAのそれぞれのaphAを破壊し、aphA欠損株(W
ΔaphA)、ushA, aphA二重欠損株(WΔushAΔaphA)を
得た。
活性測定及びヌクレオチド資化培養 W3110、WΔushA、WΔaphA及びWΔushAΔaphAを、LB培地
にて37℃で培養し、増殖期の菌体ペリプラズムにおける
5’−ヌクレオチダーゼ活性を測定した。結果を表5に
示す。WΔaphAの活性は、W3110と比較して半分程度に低
下したものの、依然として強く残存し、ushAが寄与して
いると考えられた。一方、二重欠損株であるWΔushAΔa
phAのペリプラズムの5’−ヌクレオチダーゼ活性は、W
ΔushAよりもさらに低下し、ほぼ消失していた。
討するため、これらの株をIMP又はGMPを炭素とするM9培
地でフラスコ培養した。いずれの炭素源においても、W3
110、WΔaphA、WΔushAの順に生育が認められたもの
の、WΔushAΔaphAは培養300時間を経過しても生育が認
められず、IMPあるいはGMPを単独の炭素源とするM9培地
で生育できないことが明らかとなった。こうして、E. c
oli W3110において、ushAとaphAの二重欠損により、菌
体外ヌクレオチドを分解する能力を欠失させることに成
功した。
伝子破壊 IMPの直接発酵の可能性を検討するため、エシェリヒア
・コリのイノシン生産菌のushA及びaphAの遺伝子破壊を
行った。イノシン生産菌として、WO99/03988号国際公開
パンフレット記載のFADRaddeddyicPpgixapA(以下
「I」と表記する)を利用した。同パンフレットに記載
のプラスミドpKFpurFKQが有する変異型purF遺伝子断片
をBamHI及びHindIIIで切断した後、精製し、同じ酵素で
切断したpMW218(日本ジーン社製)に連結した。得られ
たプラスミドpMWpurFKQをI株に導入した。得られた菌
株I/pMWpurFKQは、培養液中にイノシンを約2〜3g/L蓄積
する能力を持つ菌株となった。
PPアミドトランスフェラーゼ遺伝子(purF)、サクシ
ニル−AMPシンターゼ遺伝子(purA)、プリンヌクレ
オシド・フォスフォリラーゼ遺伝子(deoD)、プリン・
リプレッサー遺伝子(purR)、アデノシン・デアミナー
ゼ遺伝子(add)、6−フォスフォグルコン酸デヒドラ
ーゼ遺伝子(edd)、アデニン・デアミナーゼ遺伝子(y
icP)、フォスフォグルコース・イソメラーゼ遺伝子(p
gi)、キサントシン・フォスフォリラーゼ遺伝子(xap
A)が破壊された株である。また、pKFpurFKQは、326位
のリジン残基がグルタミン残基に置換され、AMP及びGMP
によるフィードバック阻害が解除されたPRPPアミド
トランスフェラーゼをコードする変異型purFを保持して
いる(WO99/03988号国際公開パンフレット参照)。
hA、及びaphA遺伝子破壊用プラスミドpMANΔaphAを用い
て、ushAの単独欠損株(IΔushA/pMWpurFKQ)、aphAの
単独欠損株(IΔaphA/pMWpurFKQ)、及びushA、aphA二
重欠損株(IΔushAΔaphA/pMWpurFKQ)を取得した。
行った。以下に、IMP生産能の評価のための培地および
培養方法ならびに分析方法を示す。
プリングし、15,000rpmで、5分間遠心し、その上清液を
H2Oにて4倍希釈後、HPLC分析する。
た結果を示した。IΔushAΔaphAが最大約1.0 g/LのIMP
を培養液中に蓄積することが示された。
6で取得したushA、aphA二重欠損株であるIΔushAΔaph
A/pMWpurFKQに、グアノシン生産能を付与することとし
た。グアノシン生産能の付与又は増強は、IMPからGMPへ
の反応を触媒する酵素遺伝子を増強することにより行っ
た。IMPからXMPへの反応はguaAにコードされるIMPデヒ
ドロゲナーゼ、XMPからGMPはguaBにコードされるGMP合
成酵素によって行われるが、両遺伝子はエシェリシア・
コリにおいてはオペロン(guaBA)を構成していること
が知られている。そこで、配列番号9及び配列番号10
に示したプライマーを用いてPCRを行い、エシェリヒア
・コリのguaBAオペロンを増幅した。増幅断片を精製し
た後、両端に形成された制限酵素部位をSacI及びKpnIで
切断した。切断断片を、同じくSacI及びKpnIで切断した
pSTV28と連結し、guaBA遺伝子が組み込まれたプラスミ
ドpSTVguaBAを選択した。このプラスミドは、IΔushAΔ
aphA/pMWpurFKQが保持するプラスミドpMWpurFKQと共存
できる。前記pSTVguaBAを、IΔushAΔaphA/pMWpurFKQ株
に導入し、IΔushAΔaphA/pMWpurFKQ/pSTVguaBA株を得
た。また、対照として、ベクターpSTV28を導入したIΔu
shAΔaphA/pMWpurFKQ/pSTV28株を作製した。
及び、IΔushAΔaphA/pMWpurFKQ/pSTV28株について、実
施例6と同様の培養方法及び分析方法によって、培養液
中に蓄積するイノシン、IMP、グアノシン、GMPを定量し
た。その結果を表7に示した。対照としたIΔushAΔaph
A/pMWpurFKQ/pSTV28株はpSTV28を導入した影響で培養時
間が遅延し、IΔushAΔaphA/pMWpurFKQ/pSTVguaBA株と
は異なる結果となった。グアノシンについては、他のピ
ークと重なったため、定量できなかった。一方、IΔush
AΔaphA/pMWpurFKQ/pSTVguaBA株においては、guaBAの導
入によって約0.1g/LのGMPを培養液中に蓄積することが
示された。
いて、IMP及びGMP等のヌクレオシド−5’−リン
酸エステルを直接発酵により製造することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 ushA遺伝子及びaphA遺伝子が正
常に機能せず、かつ、ヌクレオシド−5’−リン酸エス
テル生産能を有するエシェリヒア属細菌を培地に培養
し、培地中にヌクレオシド−5’−リン酸エステルを生
成蓄積せしめ、同培地からヌクレオシド−5’−リン酸
エステルを採取することを特徴とするヌクレオシド−
5’−リン酸エステルの製造法。 - 【請求項2】 ushA遺伝子及びaphA遺伝子が変
異が導入又は破壊されたことにより正常に機能しない請
求項1記載のヌクレオシド−5’−リン酸エステルの製
造法。 - 【請求項3】 前記ヌクレオシド−5’−リン酸エステ
ルが5’−イノシン酸又は5’−グアニル酸である請求
項1又は2に記載のヌクレオシド−5’−リン酸エステ
ルの製造法。 - 【請求項4】 ushA遺伝子及びaphA遺伝子が破
壊され、かつ、ヌクレオシド−5’−リン酸エステル生
産能を有するエシェリヒア属細菌。 - 【請求項5】 前記ヌクレオシド−5’−リン酸エステ
ルが5’−イノシン酸又は5’−グアニル酸である請求
項4記載のエシェリヒア属細菌。 - 【請求項6】 微生物の親株及び既知の5’−ヌクレオ
チダーゼを欠失した誘導株を、第一のヌクレオシド−
5’−リン酸エステルを唯一の炭素源とする最少培地、
及び第二のヌクレオシド−5’−リン酸エステルを唯一
の炭素源とする最少培地で培養して、親株及び誘導株の
遺伝子発現プロファイルを調べ、 第一の5’−ヌクレオシド−5’−リン酸エステルを炭
素源とする培地で培養したときの遺伝子の誘導株におけ
る発現量と親株における発現量との比と、第二の5’−
ヌクレオシド−5’−リン酸エステルを炭素源とする培
地で培養したときの前記遺伝子の誘導株における発現量
と親株における発現量との比の積をとり、その値の大き
い遺伝子を選択することを特徴とする、ヌクレオシド−
5’−リン酸エステルの蓄積に影響する5’−ヌクレオ
チダーゼ遺伝子の探索方法。 - 【請求項7】 前記第一及び第二のヌクレオシド−5’
−リン酸エステルが、5’−イノシン酸及び5’−グア
ニル酸である請求項7記載の5’−ヌクレオチダーゼ遺
伝子の探索方法。 - 【請求項8】 前記の選択された遺伝子から、タンパク
質のペリプラズムへの移行に必要なシグナル配列をコー
ドし得る遺伝子をさらに選択することを特徴とする請求
項6又は7に記載の5’−ヌクレオチダーゼ遺伝子の探
索方法。
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