JP2007075108A - プリンヌクレオシド生産菌及びプリンヌクレオシド製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プリンヌクレオシド及びプリンヌクレオチドなどのプリン系物質の発酵生産の効率を向上させる。
【解決手段】3,4−デヒドロ−DL−プロリンに対し耐性を有する、バチルス属に属する細菌を用いたイノシン、キサントシン、およびグアノシンのようなプリンヌクレオシド製造法を提供する。

Description

本発明は、5′−イノシン酸、5′−キサンチル酸、5′−グアニル酸の合成のための原料として重要である、イノシン、キサントシン、およびグアノシンといったプリンヌクレオシドの製造法、および製造に使用される新規な微生物に関する。
イノシン、グアノシン、キサントシン等のプリンヌクレオシドは、アデニン栄養要求性や、またはプリン類似体、サルファ剤、メチオニン類似体、抗葉酸剤、ポリミキシンといった種々の薬剤に対する薬剤耐性が付与されたバチルス(Bacillus)属(特許文献1〜11、非特許文献1)、またはエシェリヒア(Escherichia)属(特許文献12)およびその他の微生物を利用した発酵法によって工業的に製造されてきた。
このような突然変異株は、微生物を突然変異誘発線量の電離放射線(紫外線、X線、ガンマ線)や、または変異剤(硝酸ナトリウム、硫酸ジエチル、N−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン)で処理を行い、および適当な選択培地を用いることにより所望の株を選択することができる。
また、L−プロリンの発酵培地への添加は、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)のIMP生産株のIMP量を向上させ、L−プロリンによるフィードバック阻害に非感受性のγ−グルタミルキナーゼ(L−プロリン生合成の第1酵素)を有すると推定されるており、さらに3,4−デヒドロ−DL−プロリンに対して耐性の突然変異株は、より高いIMP生産性を示すことが知られている。(非特許文献2)また、これら突然変異体の生産性増大は、細胞内で増加したL−プロリン濃度と関連していることが明らかになっている(非特許文献3)。
しかし、3,4−デヒドロ−DL−プロリンに耐性のバチルス属の細菌を用いたイノシン、キサントシン、およびグアノシン等のプリンヌクレオシドの製造の報告例はない。
特公昭38−23039 特公昭54−17033 特公昭55−2956 特公昭55−45199 特開昭56−162998 特公昭57−14160 特公昭57−41915 特開昭59−42895 特開2003-259861 特公昭第51−5075 特公昭58−17592 国際公開9903988号パンフレット Agric. Biol. Chem.1978年、第42巻、p.399 Agric. Biol. Chem.、1991年、第55巻、p.2221−2225 Biosci. Biotech. Biochem.、1992年、第56巻、p.1347−1348
本発明の目的は、発酵法によってプリンヌクレオシドを製造するための好適なバチルス属細菌を創生すること、及び同細菌を用いたプリンヌクレオシド、プリンヌクレオチドの製造法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った。その結果、バチルス属に属し、かつ3,4−デヒドロ−DL−プロリンに対する耐性株が培地中に多くのプリンヌクレオシドを産生および蓄積することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下のとおりである。
(1)3,4−デヒドロ−DL−プロリンに耐性を有し、かつプリンヌクレオシド生産能を有するバチルス属細菌。
(2)バチルス属に属する親株から誘導された変異株であって、3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含有する培地中で培養したときに、親株よりも生育が良好である(1)のバチルス属細菌。
(3) 前記培地の3,4−デヒドロ−DL−プロリンの含有量が1.6g/Lである(2)に記載のバチルス属細菌。
(4) 前記バチルス属細菌がバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)または、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)から選択される細菌である、(1)〜(4)に記載の細菌。
(5) 前記細菌がプリンオペロンリプレッサー遺伝子、サクシニルーAMPシンターゼ遺伝子及びプリンヌクレオシドホスホリラーゼ遺伝子から選ばれる1又は2以上の遺伝子を欠損した(1)〜(4)に記載のバチルス属細菌。
(6) 前記プリンヌクレオシドが、イノシン、キサントシン、アデノシン、およびグアノシンからなる群より選択される、(1)〜(5)に記載のバチルス属細菌。
(7) (1)〜(6)のバチルス属細菌を培地に培養し、同細菌の細胞内又は培地中にプリンヌクレオシドを蓄積せしめ、同細胞又は培地からプリンヌクレオシドを回収することを特徴とする、プリンヌクレオシドの製造法。
(8) 前記プリンヌクレオシドが、イノシン、キサントシン、アデノシン、およびグアノシンからなる群より選ばれる(7)に記載の方法。
(9) (7)または(8)の方法によりプリンヌクレオシドを製造し、該プリンヌクレオシドに、ポリ燐酸、フェニル燐酸、及びカルバミル燐酸からなる群より選択される燐酸供与体と、ヌクレオシド−5’−燐酸エステルを生成する能力を有する微生物又は酸性フォスファターゼを作用させて、プリンヌクレオチドを生成せしめ、該プリンヌクレオチドを採取することを特徴とするプリンヌクレオチドの製造法。
(10) 前記プリンヌクレオチドが、5′−イノシン酸、5′−キサンチル酸、5′−グアニル酸、5′−アデニル酸からなる群より選択される、(9)に記載の方法。
本発明の微生物を用いることにより、効率よく、プリンヌクレオシド、プリンヌクレオチドを発酵生産することができる。
(1) 本発明のバチルス属生産菌
本発明の細菌は、3,4−デヒドロ−DL−プロリンに対し耐性を有し、かつプリンヌクレオシド生産能を有するバチルス属細菌である。
本発明において「プリンヌクレオシド生産能」は、本発明のバチルス属細菌を培地中で培養したときに、プリンヌクレオシドを細胞または培地から回収できる程度に細胞内または培地中に生成、分泌、蓄積できる能力をいう。通常、培地中に50mg/lを下回らない、好ましくは0.5g/lを下回らないプリンヌクレオシドを蓄積する能力を意味する。
本発明において「プリンヌクレオシド」は、イノシン、キサントシン、アデノシン、およびグアノシンを含む。なお、本発明のバチルス属細菌は、上記プリンヌクレオシドのうち、2種類以上の生産能を有するものであってもよい。
本発明において「バチルス属に属する細菌」とは、分類法に従って、バチルス属として分類されることを意味する。 本発明において使用されるバチルス属に属する細菌の実例は、バチルス・スブチリス(B. subtilis)、およびバチルス・アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)であるが、これに制限されない。
バチルス属に属する細菌の具体例としては、バチルス・スブチリス168 Marburg 株(ATCC6051)、バチルス・スブチリスPY79(Plasmid、1984年、第12巻、p.1−9)が挙げられ、バチルス・アミロリケファシエンスの実例は、バチルス・アミロリケファシエンスT(ATCC23842)、バチルス・アミロリケファシエンスN(ATCC23845)およびその他同様のものを含むがこれに制限されない。これらの菌株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)住所P.O BOX1549 Manassas VA 20108 USA)から入手することができる。
プリンヌクレオシド生産能を有するバチルス属細菌は、上記のようなバチルス属細菌に例えば、プリンヌクレオシド要求性、又はさらにプリンアナログ等の薬剤に耐性を付与することにより、取得することができる。
例えば、バチルス・スブチリス株AJ12707(FERM P−12951)(特開昭61−13876)、バチルス・スブチリス株AJ3772(FERM−P 2555)(特開昭62−014794)、バチルス・プミルス株NA−1102(FERM BP−289)、バチルス・スブチリスNA−6011(FERM BP−291)、バチルス・アミロリケファシエンス(「バチルス・スブチリス」)G1136A(ATCC No.19222)(米国特許3,575,809号)、バチルス・スブチリスNA−6012(FERM BP−292)(米国特許4,701,413号)、B.プミリス・ゴテイル(B. pumilis Gottheil)No.3218(ATCC No.21005)(米国特許3,616,206)、B.アミロリケファシエンス株AS115−7(VKPM B−6134)(ロシア特許第2003678号)等を用いることができる。
また、プリンヌクレオシド生合成に関与する酵素の細胞内の活性を増大させることによってもプリンヌクレオシド生産能を付与することができる。(米国特許出願2004−0166575)。「細胞内の活性を増大させること」は、活性を野生型のバチルス細菌のような改変されていないバチルス細菌より高いレベルまで増大させることを意味する。実例は、これに制限されないが、細胞あたりの酵素分子の数を増大させること、酵素分子当たりの比活性を増大させること、およびその他同様のものを含む。
プリンヌクレオシド生合成に関与する酵素としては、たとえば、ホスホリボシルピロリン酸(PRPP)アミドトランスフェラーゼ、ホスホリボシルピロリン酸(PRPP)シンセターゼ、アデノシンデアミナーゼ等が挙げられる。
また、プリンオペロンの増幅によっても、プリンヌクレオシド生合成に関与する酵素の細胞内の活性を増大させることができる。具体的には、イノシン生合成に関与する酵素のフィードバック阻害のレギュレーションを解除する方法により、プリンオペロンの発現量が増大され、プリンヌクレオシド生産能を向上させることができる。(WO99/03988)。プリンヌクレオシド生合成に関与している上記のような酵素のレギュレーション解除としては、たとえば、プリンリプレッサーの欠失が挙げられる。(米国特許第6,284,495号)。プリンリプレッサーを欠失する方法の実例は、プリンリプレッサーをコードしている遺伝子(purR 配列番号1、GenBankアクセッション番号Z99104)の破壊が挙げられる。(米国特許第6,284,495号)
さらに、プリンヌクレオシド産生能はまたイノシン生合成から分岐している生合成系をブロックすること、および結果として別の代謝産物(副生物)の産生量を減少させることによっても付与することができる(WO99/03988)。プリンヌクレオシド生合成から分枝し、結果として別の代謝産物を生じる反応の実例は、たとえば、スクシニルアデノシン一リン酸(AMP)シンターゼ(purA 配列番号5)、イノシン−グアノシンキナーゼ、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素、ホスホグルコイソメラーゼ等が挙げられる。スクシニル−アデノシン一リン酸(AMP)シンターゼは、purA(GenBankアクセッション番号Z99104 配列番号5)によりコードされている。
さらに、プリンヌクレオシド産生能は、プリンヌクレオシド分解活性を低減または除去することにより増大されることも可能である(WO99/03998)。プリンヌクレオシドの分解活性を低減または除去する方法は、プリンヌクレオシドホスホリラーゼをコードする遺伝子(deoD配列番号3)を破壊する方法を含む。(特開2004-242610)
目的の酵素活性低下は、以下のような方法で達成できる。
例えば、バチルス属細菌を紫外線照射またはN−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくはEMS(エチルメタンスルフォネート)等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理し、目的酵素の活性が低下した変異株を選択する方法が挙げられる。また、目的酵素の活性が低下したバチルス属細菌は、変異処理の他に、例えば、遺伝子組換え法を用いた相同組換え法(Experiments in Molecular Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory press (1972); Matsuyama, S. and Mizushima, S., J. Bacteriol., 162, 1196(1985))により、染色体上の目的酵素をコードする遺伝子を、正常に機能しない遺伝子(以下、「破壊型遺伝子」ということがある)で置換することによって行うことができる。
破壊型遺伝子を、宿主染色体上の正常遺伝子と置換するには、例えば以下のようにすればよい。以下の例では、purR遺伝子を例として説明するが、他の遺伝子、例えばpurA又はdeoDについても、同様にして遺伝子破壊を行うことができる。
染色体上の配列と相同性を有する配列を持つプラスミド等が菌体内に導入されると、ある頻度で相同性を有する配列の箇所で組換えを起こし、導入されたプラスミド全体が染色体上に組み込まれ、相同組換えを起こす。この後さらに染色体上の相同性を有する配列の箇所で組換えを起こすと、再びプラスミドが染色体上から抜け落ちるが、この時組換えを起こす位置により破壊された遺伝子の方が染色体上に固定され、元の正常な遺伝子がプラスミドと一緒に染色体上から抜け落ちることもある。このような菌株を選択することにより、破壊型purR遺伝子が染色体上の正常なpurR遺伝子と置換された菌株を取得することができる。
このような相同組換えによる遺伝子破壊技術は既に確立しており、直鎖DNAを用いる方法、温度感受性プラスミドを用いる方法等が利用できる。また、薬剤耐性等のマーカー遺伝子が内部に挿入されたpurR遺伝子を含み、かつ、目的とする微生物細胞内で複製できないプラスミドを用いることによっても、purR遺伝子の破壊を行うことができる。すなわち、前記プラスミドで形質転換され、薬剤耐性を獲得した形質転換体は、染色体DNA中にマーカー遺伝子が組み込まれている。このマーカー遺伝子は、その両端のpurR遺伝子配列と染色体上のpurR遺伝子との相同組換えによって組み込まれる可能性が高いため、効率よく遺伝子破壊株を選択することができる。
遺伝子破壊に用いる破壊型purR遺伝子は、具体的には、制限酵素消化及び再結合によるpurR遺伝子の一定領域の欠失、purR遺伝子への他のDNA断片(マーカー遺伝子等)の挿入、または部位特異的変異法(Kramer, W. and Frits, H. J.,
Methods in Enzymology, 154, 350 (1987))や次亜硫酸ナトリウム、ヒドロキシルアミン等の化学薬剤による処理(Shortle, D. and Nathans, D., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 75, 270(1978))によって、purR遺伝子のコーディング領域またはプロモーター領域等の塩基配列の中に1つまたは複数個の塩基の置換、欠失、挿入、付加または逆位を起こさせることにより、コードされるリプレッサーの活性を低下又は消失させるか、又はpurR遺伝子の転写を低下または消失させることにより、取得することができる。これらの態様の中では、制限酵素消化及び再結合によりpurR遺伝子の一定領域を欠失させる方法、又はpurR遺伝子へ他のDNA断片を挿入する方法が、確実性及び安定性の点から好ましい。
purR遺伝子は、プリンオペロンを持つ微生物の染色体DNAから、公知のpurR遺伝子の塩基配列に基づいて作製したオリゴヌクレオチドをプライマーとするPCR法によって取得することができる。また、プリンオペロンを持つ微生物の染色体DNAライブラリーから、公知のpurR遺伝子の塩基配列に基づいて作製したオリゴヌクレオチドをプローブとするハイブリダイゼーション法によって、purR遺伝子を取得することができる。バチルス・ズブチリス168 Marburg株では、purR遺伝子の塩基配列が報告されている(GenBank accession No.D26185(コード領域は塩基番号118041〜118898)、DDBJ Accession No.Z99104(コード領域は塩基番号54439〜55296))。purR遺伝子の塩基配列及び同遺伝子によってコードされるアミノ酸配列を、配列表の配列番号1及び2に示す。PCRに用いるプライマーとしては、purR遺伝子を増幅することができるものであればよい。
本発明に用いるpurRは、それぞれの破壊型遺伝子の作製に用いるため、必ずしも全長を含む必要はなく、遺伝子破壊を起こすのに必要な長さを有していればよい。また、各遺伝子の取得に用いる微生物は、同遺伝子が、遺伝子破壊株の創製に用いる微生物の相同遺伝子と相同組換えを起こす程度の相同性を有していれば特に制限されない。しかし、通常は、目的とするバチルス属細菌と同じ細菌に由来する遺伝子を用いることが好ましい。
バチルス属細菌のpurR遺伝子と相同組換えを起こし得るDNAとしては、配列番号2に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加を含むアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。前記「数個」は、例えば2〜50個、好ましくは、2〜30個、より好ましくは2〜10個である。
前記バチルス属細菌のpurR遺伝子と相同組換えを起こし得るDNAとしては具体的には、配列番号1に示す塩基配列を有するDNAと、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の相同性を有するDNAが挙げられる。より具体的には、配列番号1に示す塩基配列を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAが挙げられる。ストリンジェントな条件としては、60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度で洗浄が行われる条件が挙げられる。
前記マーカー遺伝子としては、スペクチノマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子が挙げられる。エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)由来のスペクチノマイシン耐性遺伝子は、バチルス ジェネチック ストック センター(BGSC)より市販されているエシェリヒア・コリ ECE101株から、プラスミドpDG1726を調製し、該プラスミドからカセットとして取り出すことにより、取得することができる。また、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)のエリスロマイシン耐性遺伝子は、バチルス ジェネチック ストック センター(BGSC)より市販されているエシェリヒア・コリECE91株から、プラスミドpDG646を調製し、該プラスミドからカセットとして取り出すことにより、取得することができる。さらに、カナマイシン耐性遺伝子は、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)由来カナマイシン耐性遺伝子を含むpDG783プラスミド(バチルス・ジェネティック・ストック・センターより市販されているエシェリヒア・コリECE94株から調製できる)を鋳型とし、PCRを行うことによって、取得することができる。
マーカー遺伝子として薬剤耐性遺伝子を用いる場合は、該遺伝子をプラスミド中のpurR遺伝子の適当な部位に挿入し、得られるプラスミドで微生物を形質転換し、薬剤耐性となった形質転換体を選択すれば、purR遺伝子破壊株が得られる。染色体上のpurR遺伝子が破壊されたことは、サザンブロッティングやPCR法により、染色体上のpurR遺伝子又はマーカー遺伝子を解析することによって、確認することができる。前記スペクチノマイシン耐性遺伝子、エリスロマイシン耐性遺伝子又はカナマイシン耐性遺伝子が染色体DNAに組み込まれたことの確認は、これらの遺伝子を増幅することができるプライマーを用いたPCRにより、行うことができる。
このような方法で、プリンヌクレオシド生合成能が高められた株として、
バチルス・ズブチルス KMBS16(特開2004−242610)
バチルス・ズブチルス SB112K(特開平11−346778)
等が挙げられる。
(2)バチルス属に属する細菌において3,4−デヒドロ−DL−プロリン耐性を付与する方法
本発明において「3,4−デヒドロ−DL−プロリンに耐性を有する細菌」は、(1)に記載するバチルス属に属し、プリンヌクレオシド生産能を有する親株から誘導された変異株であって、3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含有する培地中で培養したときに親株より生育が良好で細菌を意味する。親株は野生株でもよく、上述の方法によってプリンヌクレオシド生産能が付与された株でもよい。
3,4−デヒドロ−DL−プロリンに耐性を有しない親株は、3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含まない培地で培養した場合と比べて生育しないか、またか生育は遅くなる。ここで、3,4−デヒドロ−DL−プロリンに耐性を付与するために用いられる培地は、固形培地が好ましい。具体的には例えば、固体培地で一定時間培養した場合、3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含む培地では、3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含まない培地と比べてコロニーの直径が小さくなる。これに対し、本発明のバチルス属細菌は、3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含む培地で良好に生育を示すか、親株と比して大きなコロニーを形成し、3,4−デヒドロ−DL−プロリンによる生育阻害が低減されるように改変されている。 たとえば、0.4g/l以上、好ましくは1.6g/lの3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含有する培地を用いたプレート上で、34℃における40時間以内の培養でコロニーを形成することが可能な細菌は、3,4−デヒドロ−DL−プロリンに対し耐性であるといえる。
前記選択培地は、最小培地が好ましく、例えば以下の組成を有する培地が挙げられる。(グルコース20g/L、塩化アンモニウム5g/L、リン酸二水素カリウム4g/L、硫酸鉄0.01g/L、硫酸マンガン0.01g/L、クエン酸ナトリウム0.5g/L (サンブルック(Sambrook, J.)、フリッチ(Fritsch, E. F.)、およびマニアティス(Maniatis T.)著「Molecular clonig : a laboratory manual(分子クローニング:研究室マニュアル)」第2版、コールドスプリンブハーバーラボラトリープレス、ニューヨーク州、コールドスプリングハーバー、1989年参照)
なお、本明細書において最小培地は必要に応じて生育に必須な栄養素を含んでいてもよい。例えば、イノシン生産菌の多くがアデニン要求株であり、培地には増殖に必要な程度のアデニンを含有させる。しかしアデニン量が多すぎると、ある種のプリンアナログでは、その生育阻害効果が減少するので、アデニン量は制限することが好ましい。具体的には0.1g/L程度の濃度が好ましい。
本発明の細菌は、紫外線照射、X線照射、放射線照射、および化学的突然変異誘発物質による処理および、それに続くレプリカ法による選択のような、通常の突然変異誘発を用いた突然変異により取得されることが可能である。好ましい突然変異誘発物質は、N−ニトロ−N′−メチル−N−ニトロソグアニジン(以後NTGと呼ばれる)である。また、自然突然性変異によっても取得することが可能である。
上記のように3,4−デヒドロ−DL−プロリン耐性が付与されたバチルス属細菌においては、非改変株と比較した場合、プリンヌクレオシド産生能が改善されている。すなわち、改良されたプリンヌクレオシド産生能を有するバチルス菌は、バチルス菌の集団から、3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含有培地において良好な増殖を示す株を選択すること、および、得られた株から、高いプリンヌクレオシド産生能を示す株を選択することにより、産生されることが可能である。
標的突然変異株の選択、または得られた突然変異株についての3,4−デヒドロ−DL−プロリンによる耐性度あるいは、生育阻害改善の評価は、液体培地中かまたは固形培地上で行なうことが可能である。固形培地が使用される場合、たとえば、突然変異株および親株は、対数増殖期または定常期に達するまで各々液体培地中で培養され、次いで培養ブロスは培地、塩化ナトリウム溶液、またはその他同様のもので希釈され、得られた細胞懸濁液は3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含有している固形培地上へ適用され、突然変異株および親株は同じ条件下に培養される。培養は、通常、最適増殖温度付近の、たとえば34℃の温度において、1〜3日間行なわれる。次いで、もし現れた突然変異株のコロニーが親株のものよりも大きければ、耐性株の増殖は親株のものよりも好適であり、3,4−デヒドロ−DL−プロリンによる増殖阻害が低減されていると評価されることが可能である。培地へ添加された3,4−デヒドロ−DL−プロリンの量は、たとえば、0.4g/L以上、好ましくは約1.6g/Lである。
さらに、液体培地が使用される場合、耐性株および親株の細胞懸濁液を培養し、上記と同様の方法で希釈し、3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含有する液体培地へ各々接種し、細胞は最適増殖温度付近のたとえば34℃の温度において、数時間〜1日、好ましくは約6時間で培養することにより生育を確認する。培地へ添加された3,4−デヒドロ−DL−プロリンの量は、たとえば、0.4g/L以上、望ましくは1.6g/L以上である。次に、耐性株が、少なくとも対数増殖期または定常期の、少なくともいずれかにおいて、親株に比較してより高い培地の光学密度(OD)または濁度を示した場合、増殖は改善されていると推定される。特に、もし細胞がより素早く対数増殖期に達するか、またはもしODの最大値がより高ければ、増殖はさらに好適である。対数増殖期とは、増殖曲線上で細胞数が対数的に増加する期間を示す。定常期は、対数増殖期が終わり、細胞分裂および増殖が停止し、細胞数の増加が殆ど見られない期間を指す(生化学事典、第3版、東京化学同人)。
上記手法によって得られた3,4−デヒドロ−DL−プロリン株として、バチルス・スブチリス43−142K(VKPM B−8998)、バチルス・アミロリケファシエンス36−59H(VKPM B−8995)を挙げることができる。バチルス・スブチリス43−142Kおよびバチルス・アミロリケファシエンス36−59H株は、2005年3月10日に、ロシア・ナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・マイクロオーガニズムス(Russian National Collection of Industrial Microorganisms)(VKPM)(ロシア連邦、モスクワ市117545、第1ドロジニーPr.1(Russia, 117545 Moscow, 1st Dorozhny proezd,1))に、各々アクセッション番号VKPM B−8998、およびVKPM B−8995で寄託されている。
(3)プリンヌクレオシド及びプリンヌクレオチドの製造法
本発明のバチルス属細菌は、プリンヌクレオシドを効率よく生産する。従って、本発明のバチルス属細菌を好適な培地で培養することによって、細菌の細胞内又は培地中にプリンヌクレオシドを生成蓄積せしめることができる。
プリンヌクレオシド産生に使用されるべき培地は、炭素源、窒素源、無機イオン、および、必要な他の有機成分を含有する通常の培地でよい。炭素源としては、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フルクトース、アラビノース、マルトース、キシロース、トレハロース、リボース、および、デンプンの加水分解物のような糖質;グリセロール、マンニトール、およびソルビトールのようなアルコール;グルコン酸、フマル酸、クエン酸、およびコハク酸のような有機酸、およびその他同様のものが使用可能である。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、およびリン酸アンモニウムのような無機アンモニウム塩;ダイズ加水分解物のような有機窒素;アンモニアガス;アンモニア水およびその他同様のものが使用可能である。ビタミンB1のようなビタミン類、必要な物質、たとえば、アデニンおよびRNAのような核酸、または酵母抽出物およびその他同様のものが、微量の有機栄養素として適量含まれていることが望ましい。これら以外に、必要であれれば少量のリン酸カルシウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン、およびその他同様のものが添加されてもよい。
培養は、好ましくは好気的条件下に16〜72時間行なわれ、培養の間の培養温度は、30〜45℃以内に、pHは5〜8以内に調節される。pHは、無機または有機の、酸性またはアルカリ性物質、ならびにアンモニアガスの使用により調節されることが可能である。
プリンヌクレオシドは、イオン交換樹脂および沈殿析出を利用する技術のような、通常の方法のいずれか、または任意の組合せにより、発酵液から回収することが可能である。
また、本発明の微生物を用いて生産されたプリンヌクレオシドに、ホスホトランスフェラーゼを作用させることによってリン酸化し、プリンヌクレオチド(ヌクレオシド−5’−燐酸エステル)を生産することも可能である。(特開2000-295996)例えば、エシェリヒア・コリのイノシングアノシンキナーゼをコードする遺伝子を導入したエシェリヒア属細菌を用いるプリンヌクレオチドの製造法(WO91/08286号パンフレット)、エキシグオバクテリウム・アセチリカムのイノシングアノシンキナーゼをコードする遺伝子を導入したコリネバクテリウム・アンモニアゲネスを用いたプリンヌクレオチドの製造法(WO96/30501号パンフレット)を採用することができる。
また、本発明の微生物を用いて生産されたプリンヌクレオシドに、ポリ燐酸、フェニル燐酸、カルバミル燐酸からなる群より選択された燐酸供与体と、ヌクレオシド−5’−燐酸エステルを生成する能力を有する微生物や、酸性フォスファターゼ(EC 3.1.3.2)を作用させることによって、プリンヌクレオチド(ヌクレオシド−5’−燐酸エステル)を生産することも可能である。ヌクレオシド−5’−燐酸エステルを生成する能力を有する微生物は、プリンヌクレオシドをプリンヌクレオチドに変換する能力を有するものであれば特に制限されないが、例えば、国際公開パンフレットWO9637603号に記載されたような微生物が挙げられる。
また、特開平07−231793に開示されているようなエシェリヒア・ブラッタエ(Escherichia blattae)JCM 1650、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)ATCC 33105、クレブシエラ・プランティコラ(Klebsiella planticola)IFO 14939 (ATCC 33531)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)IFO 3318 (ATCC 8724)、クレブシエラ・テリゲナ(Klebsiella terrigena)IFO 14941 (ATCC 33257)、モルガネラ・モルガニ(Morganella morganii)IFO 3168、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)IFO 12010、エンテロバクター・アエロゲネス IFO 13534 (ATCC 13048)、クロモバクテリウム・フルヴィアティレ(Chromobacterium fluviatile)IAM 13652、クロモバクテリウム・ヴィオラセウム(Chromobacterium violaceum)IFO 12614、セデセア・ラパゲイ(Cedecea lapagei)JCM 1684、セデセア・ダヴィシエ(Cedecea davisiae)JCM 1685、セデセア・ネテリ(Cedecea neteri)JCM 5909などを用いることもできる。
酸性フォスファターゼとしては、例えば、特開2002−000289に開示されているようなものを用いることができ、より好ましくはヌクレオシドに対する親和性が上昇した酸性フォスファターゼ(特開平10−201481参照)やヌクレオチダーゼ活性が低下した変異型酸性フォスファターゼ(WO9637603参照)、燐酸エステル加水分解活性が低下した変異型酸性フォスファターゼ(特開2001−245676)などを用いることができる。
本発明の微生物を用いて生産されたプリンヌクレオシドを化学的にリン酸化することにより、プリンヌクレオチドを得ることも可能である。(Bulletin of the Chemical Society of Japan 42,3505)また、微生物が有しているATP再生系を利用して、本発明のXMP生産能を有する微生物とXMPアミナーゼ活性を共役させることによってGMPを得る方法、イノシンキナーゼを共役させることによってIMPを得る方法も採用できる(Biosci.Biotech.Biochem.,51,840(1997) 特開昭63-230094)
上記プリンヌクレオチドの製造に用いる、本発明の方法により製造されたイノシン又はグアノシン、又はプリンヌクレオシドは、精製されたものであってもよいが、プリンヌクレオシドの発酵液又はプリンヌクレオシドを含む粗精製物であってもよい。
[実施例]
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
3,4−デヒドロ−DL−プロリン耐性株の取得
3,4−デヒドロ−DL−プロリンは、L−プロリン生合成の第1酵素、γ−グルタミルキナーゼを阻害することが知られているプロリンのアナログである。
バチルス・スブチリスKMBS16(特開2004−242610)の細胞(〜10)を、グルコース2%、L−トリプトファン50mg/l、および、0.1または0.2g/lの3,4−デヒドロ−DL−プロリン(フルカ(Fluka)社、スイス)を含有するM9最少培地(サンブルック(Sambrook, J.)、フリッチ(Fritsch, E. F.)、およびマニアティス(Maniatis T.)著「Molecular cloning : a laboratory manual(分子クローニング:研究室マニュアル)」第2版、コールドスプリンブハーバーラボラトリープレス、ニューヨーク州、コールドスプリングハーバー、1989年を参照)寒天プレート(寒天−20g/l)上にプレートした。接種したプレートは、34℃において5日間インキュベートされた。プレート上に現れた自然発生突然変異体のコロニーの中から、バチルス・スブチリス株43−142K(VKPB B−8998)が選ばれた。
3,4−デヒドロ−DL−プロリンに対する本変異株と親株の耐性は、段階的な濃度のを含有する上記のM9グルコース最少培地上へそれらをプレートし、40時間後の生育を評価した(表1)。
注 +:良好な増殖;±増殖するがコロニーのサイズは対照実験におけるよりも小さい;−:増殖なし(目に見えるコロニーは観察されない)。
表1から、3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含む培地で親株が生育できないのに対し、突然変異株B.スブチリス43−142Kは、高濃度の3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含む培地で生育可能であった。
3,4−デヒドロ−DL−プロリン耐性株のイノシン生産の確認
バチルス・スブチリス43−142K株、および親株バチルス・スブチリスKMBS16を、各々34℃において20時間にわたり、18時間の通気を用いて、L−ブロス中で培養した。次いで、0.3mlの得られた培養物を、20x200mmの試験管内で、以下の組成(以下参照)を有する3mlの発酵培地へ接種し、34℃で72時間、ロータリーシェーカーを用いて培養した。
発酵培地の組成:(g/l)
グルコース − 80.0
KHPO − 1.0
MgSO − 0.4
FeSO 7HO − 0.01
MnSO 5HO − 0.01
大豆加水分解物 − 1.35
DL−メチオニン − 0.3
NHCl − 32.0
アデニン − 0.1
L−トリプトファン − 0.02
CaCO − 50.0
グルコースおよび硫酸マグネシウムは、別々に滅菌した。CaCOは180℃で2時間乾熱滅菌した。pHは7.0に調整した。
培養の後、培地中に蓄積されたイノシンの量は、HPLCにより測定した。培地の試料(500μl)は15,000rpmで5分間遠心分離され、上清はHOで100倍希釈され、HPLCによって分析した。
分析条件
カラム:Luna C18(2)2503mm,5u(フェノメネックス(Phenomenex)、米国)
緩衝液:2%COH、0.8%(v/v)トリエチルアミン、0.55(v/v)酢酸(氷)、pH4.5
温度:30℃
流速:0.3ml/分
検出:UV250nm
保持時間(分)
キサントシン 13.7
イノシン 9.6
ヒポキサンチン 5.2
グアノシン 11.4
アデノシン 28.2
培養結果を、表2に示した。
表2に示されたように、バチルス・スブチリス株43−142Kは親株よりも多くのイノシンを蓄積した。
3,4−デヒドロ−DL−プロリンに耐性のバチルス・アミロリケファシエンスのイノシン産生株の突然変異体の選択および評価
バチルス・アミロリケファシエンスAS115−7(VKPM B-6134)の細胞(〜10)を、0.1、0.2、または0.4mg/lの3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含有する、実施例1と同じM9寒天プレート上にプレートした。接種されたプレートは、34℃で5日間インキュベートした。現れた自然発生突然変異体のコロニーの中から、バチルス・アミロリケファシエンス株36−59H(VKPM B−8995)が選択された。
バチルス・アミロリケファシエンス株36−59Hおよび親株、バチルス・アミロリケファシエンスAS115−7を、各々34℃において18時間、L−ブロス中で培養した。次いで、0.3mlの得られた培養物は、20x200mm試験管内で、L−トリプトファンの代わりに0.04g/lのL−ヒスチジンおよび0.04g/lのL−チロシンを含有する3mlの実施例2の発酵培地に接種し、31℃で72時間、ロータリーシェーカーを用いて培養した。培養の後、培地中に蓄積されたイノシンの量は、実施例2のようにHPLCによって測定した。
グルコースおよび硫酸マグネシウムは、別々に滅菌した。CaCOは180℃で2時間乾熱滅菌した。pHは7.0に調整した。
結果を表3に示した。
表3に示されたように、3,4−デヒドロ−DL−プロリンに耐性のバチルス・アミロリケファシエンス36−59H株は、親株よりもより多くのイノシンを蓄積した。

Claims (10)

  1. 3,4−デヒドロ−DL−プロリンに耐性を有するように改変され、かつプリンヌクレオシド生産能を有するバチルス属細菌。
  2. バチルス属に属する親株から誘導された改変株であって、3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含有する培地中で培養したときに、親株よりも生育が良好である、請求項1に記載のバチルス属細菌。
  3. 前記培地の3,4−デヒドロ−DL−プロリンの含有量が1.6g/Lである請求項2に記載のバチルス属細菌。
  4. 前記バチルス属細菌がバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)または、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)から選択される細菌である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の細菌。
  5. 前記細菌がプリンオペロンリプレッサー遺伝子、サクシニルーAMPシンターゼ遺伝子及びプリンヌクレオシドホスホリラーゼ遺伝子から選ばれる1又は2以上の遺伝子を欠損した請求項1〜4のいずれか一項に記載のバチルス属細菌。
  6. 前記プリンヌクレオシドが、イノシン、キサントシン、アデノシン、およびグアノシンからなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の細菌。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のバチルス属細菌を培地に培養し、同細菌の細胞内又は培地中にプリンヌクレオシドを蓄積せしめ、同細胞又は培地からプリンヌクレオシドを回収することを特徴とする、プリンヌクレオシドの製造法。
  8. 前記プリンヌクレオシドが、イノシン、キサントシン、アデノシン、およびグアノシンからなる群より選ばれる、請求項7に記載の方法。
  9. 請求項7又は8に記載の方法によりプリンヌクレオシドを製造し、該プリンヌクレオシドに、ポリ燐酸、フェニル燐酸、及びカルバミル燐酸からなる群より選択される燐酸供与体と、ヌクレオシド−5’−燐酸エステルを生成する能力を有する微生物又は酸性フォスファターゼを作用させて、プリンヌクレオチドを生成せしめ、該プリンヌクレオチドを採取することを特徴とするプリンヌクレオチドの製造法。
  10. 前記プリンヌクレオチドが、5′−イノシン酸、5′−キサンチル酸、5′−グアニル酸、5′−アデニル酸からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
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