JP2002355064A - 新規疾患関連遺伝子およびその用途 - Google Patents

新規疾患関連遺伝子およびその用途

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JP2002355064A JP2001330727A JP2001330727A JP2002355064A JP 2002355064 A JP2002355064 A JP 2002355064A JP 2001330727 A JP2001330727 A JP 2001330727A JP 2001330727 A JP2001330727 A JP 2001330727A JP 2002355064 A JP2002355064 A JP 2002355064A
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salt
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cells
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Nobuyuki Koyama
信行 小山
Seiichi Tanida
清一 谷田
Toshifumi Watanabe
敏文 渡邉
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規タンパク質とそのDNAの提供など。 【解決手段】 本発明のタンパク質の活性を調節する化
合物またはその塩、該タンパク質の活性を調節する中和
抗体は、例えば、心疾患などの予防・治療剤として有用
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、疾患関連遺伝子の
用途に関する。さらに詳しくは、該疾患関連遺伝子産物
を用いる薬剤のスクリーニング方法、心筋症、心筋梗
塞、心不全、狭心症などの心疾患の診断マーカーとして
有用な疾患関連遺伝子に対するアンチセンスヌクレオチ
ド、該疾患関連遺伝子産物に対する抗体などに関する。
【0002】
【従来の技術】心不全とは、心筋の収縮不全と考えられ
ている。発症の機序としては、次のようなものが考えら
れる。心筋の障害、心臓ポンプの機械的、機能的異常、
高血圧及び肺高血圧による圧負荷、貧血、急性腎炎など
容量負荷などが原因となり、生体の需要に応じた血液量
を心臓が拍出し得なくなる状態が生じる。これに対し
て、交感神経系、神経―体液―内分泌系などの代償機序
が作動し、生体の恒常性の維持に向かう。心不全の代償
機序としては、1)前述の負荷が増大して心臓の収縮力
が増し、サルコメアの長さの増大に伴って心拡大が生じ
る、2)心筋の収縮単位が増し、その結果として心筋肥
大が生じる、3)全身に必要な血液を駆出できない状態
を補うため神経液性因子が活性化され、局所的には心筋
繊維化が進展する。基本的には与えられた負荷に、適応
しようとする機序であるが、不十分な作動によって心不
全が促進する場合もあれば、逆に過剰な作動によって心
筋傷害を生じ、心不全を悪化させる場合もある。代償機
序が作動した結果として、心筋細胞が肥大し、心肥大が
生じる。しかしながら、前述の障害あるいは負荷が慢性
的に継続された場合、その代償機序が破綻する。つま
り、肥大した心筋細胞に十分な量の血液が供給されずに
虚血に陥り、これが原因で心筋収縮不全などの心筋障害
が生じ、心拍出量の低下、臓器循環障害、静脈鬱血、体
液貯留などを伴う心不全症候群を来すことになる。これ
に対する治療としては、心筋細胞障害の改善、心保護作
用の強化、心筋収縮不全による心機能低下の回復及びそ
の原因である生体の代償破綻の抑制あるいは過剰な代償
機序の改善が必要となる。現在、該心不全症候群の治療
には、臨床的には強心薬として 1.ジゴキシンなどの
強心配糖体、2.ドブタミンなどの交感神経作動薬、
3.アムリノンなどのホスホジエステラーゼ阻害薬が、
また血管拡張薬としてはヒドララジン、カルシウム拮抗
薬及びアンジオテンシンI変換酵素阻害薬、アンジオテ
ンシンII受容体拮抗薬などが使用されている。また、
他拡張型心筋症の治療には、βブロッカーなどが使用さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、速やか
な代償機序の作動、過剰な代償機序を抑制あるいは代償
破綻を抑制(アポトーシス抑制を含む)し得る治療薬は
ない。速やかな代償機序の作動や過剰な代償機序あるい
は代償破綻の抑制という観点から治療薬の開発が望まれ
ている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、冠動脈結紮
による心筋梗塞モデルラットの心不全発症時において発
現が増加する遺伝子を見出した。この、配列番号:2で
表される塩基配列を有するmRNAの発現プロファイル
を詳細に検討した結果、このmRNAは、術後1週で顕
著に減少し、術後8週から20週で増加傾向を示し、3
0週で偽手術群と同レベルに戻る発現プロファイルを示
すことが明らかとなった。本遺伝子は、ショウジョウバ
エで報告されているチンマンの哺乳類カウンターパート
と考えられているNkx2.5(別名Csx, プロシージ
ングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サ
イエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl.
Acad. Sci. USA),第90巻,第8145-8149頁、1993年;
デベロプメント、第119巻、第419-431頁、1993年;医学
のあゆみ、第185巻、第1-7頁、1998年)の類似遺伝子
としてラット心臓cDNAライブラリーからクローニン
グした。Nkx2.5は心臓の発生過程で重要な役割を
演じる転写因子として機能解析が進められているが、心
不全病態との関連性は明らかになっていない。一方で今
回クローニングしたNkx2.5類似遺伝子は心不全発
症時に増加した。これらの知見に基づいて、さらに検討
を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(1)配列番号:1
で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一の
アミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、
(2)配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有する
タンパク質またはその塩、(3)前記(1)記載のタン
パク質の部分ペプチドまたはその塩、(4)前記(1)
記載のタンパク質または前記(3)記載の部分ペプチド
をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオ
チド、(5)DNAである前記(4)記載のポリヌクレ
オチド、(6)配列番号:2で表される塩基配列を含有
する前記(5)記載のDNA、(7)前記(4)記載の
ポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、(8)前
記(7)記載の組換えベクターで形質転換された形質転
換体、(9)前記(8)記載の形質転換体を培養し、前
記(1)記載のタンパク質もしくはその塩または前記
(3)記載の部分ペプチドまたはその塩を生成、蓄積せ
しめ、これを採取することを特徴とする前記(1)記載
のタンパク質もしくはその塩または前記(3)記載の部
分ペプチドもしくはその塩の製造方法、(10)前記
(1)記載のタンパク質もしくはその塩または前記
(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩を含有してな
る医薬、(11)前記(1)記載のタンパク質もしくは
その塩または前記(3)記載の部分ペプチドもしくはそ
の塩に対する抗体、(12)前記(11)記載の抗体を
含有する診断薬、(13)前記(1)記載のタンパク質
もしくはその塩または前記(3)記載の部分ペプチドも
しくはその塩を用いることを特徴とする、前記(1)記
載のタンパク質もしくはその塩または前記(3)記載の
部分ペプチドもしくはその塩の活性を調節する化合物ま
たはその塩のスクリーニング方法、(14)前記(1)
記載のタンパク質もしくはその塩または前記(3)記載
の部分ペプチドもしくはその塩が、前記(1)記載のタ
ンパク質または前記(3)記載の部分ペプチドをコード
するDNAを含有するDNAで形質転換された形質転換
体の細胞質内に発現されたものである前記(13)記載
のスクリーニング方法、(15)前記(1)記載のタン
パク質もしくはその塩または前記(3)記載の部分ペプ
チドもしくはその塩を含有することを特徴とする、前記
(1)記載のタンパク質もしくはその塩または前記
(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩の活性を調節
する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(16)前記(13)記載のスクリーニング方法または
前記(15)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られる、前記(1)記載のタンパク質もしくはその塩ま
たは前記(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩の活
性を調節する化合物またはその塩、(17)前記(1
6)記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(18)心疾患の予防・治療剤である前記(17)記載
の医薬、(19)前記(1)記載のタンパク質または前
記(3)記載の部分ペプチドをコードするDNAに相補
的もしくは実質的に相補的な塩基配列を有するアンチセ
ンスヌクレオチド、(20)前記(19)記載のアンチ
センスヌクレオチドを含有してなる医薬、(21)前記
(4)記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬、
(22)前記(4)記載のポリヌクレオチドを含有して
なる診断薬、(23)哺乳動物に対して、前記(16)
記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを特
徴とする心疾患の予防・治療方法、(24)心疾患の予
防・治療剤を製造するための前記(16)記載の化合物
またはその塩の使用などを提供する。さらに、本発明
は、(25)前記(1)記載のタンパク質をコードする
DNAまたはその変異DNAを有する非ヒトDNA導入
動物、(26)非ヒト動物がゲッ歯動物である前記(2
5)記載の動物、(27)ゲッ歯動物がマウスまたはラ
ットである前記(26)記載の動物、(28)本発明の
DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、(2
9)該DNAがレポーター遺伝子を導入することにより
不活性化された前記(28)記載の胚幹細胞、(30)
ネオマイシン耐性である前記(28)記載の胚幹細胞、
(31)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である前記(2
8)記載の胚幹細胞、(32)ゲッ歯動物がマウスであ
る前記(31)記載の胚幹細胞、(33)本発明のDN
Aが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(34)該DNAがレポーター遺伝子を導入することに
より不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDN
Aに対するプロモーターの制御下で発現しうる前記(3
3)記載の非ヒト哺乳動物、(35)非ヒト哺乳動物が
ゲッ歯動物である前記(34)記載の非ヒト哺乳動物、
(36)ゲッ歯動物がマウスである前記(35)記載の
非ヒト哺乳動物、および(37)前記(36)記載の動
物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を
検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロ
モーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩
のスクリーニング方法なども提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の配列番号:1で表される
アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配
列を含有するタンパク質(以下、本発明のタンパク質ま
たは本発明で用いられるタンパク質と称することもあ
る。また、本発明のタンパク質、本発明で用いられるタ
ンパク質は、そのアミド体、エステル体も包含する意味
で用いられる場合がある。)は、温血動物(例えば、ヒ
ト、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、
ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)の細胞(例えば、肝細
胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄
細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細
胞、上皮細胞、杯細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、繊維芽
細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マ
クロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細
胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨
核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細
胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら
細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)もしく
はそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、
脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視
床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂
体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、
骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小
腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立
腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋などに
由来するタンパク質であってもよく、合成タンパク質で
あってもよい。
【0007】配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実
質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:1で表
されるアミノ酸配列と約97%以上、好ましくは約98
%以上、さらに好ましくは約99%以上の相同性を有す
るアミノ酸配列などが挙げられる。配列番号:1で表さ
れるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有
するタンパク質としては、例えば、前記の配列番号:1
で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列
を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有す
るタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質
などが好ましい。実質的に同質の活性としては、例え
ば、心機能低下促進活性などが挙げられる。実質的に同
質とは、その活性が性質的に(例、生理学的に、または
薬理学的に)同質であることを示す。したがって、心機
能低下促進活性が同等(例、約0.01〜100倍、好
ましくは約0.1〜10倍、より好ましくは0.5〜2
倍)であることが好ましいが、この活性の程度、タンパ
ク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。心
機能低下促進活性などの活性の測定は、心エコー測定装
置(セル、第97巻、189頁−198頁、1999
年)または心臓カテーテルによる心機能測定(サーキュ
レーションリサーチ、第69巻、370−377頁、1
991年)によって行うことができる。更に例えばアン
ジオテンシンI変換酵素(ACE)などのレニンアンジ
オテンシン系(RAS)の亢進を市販の測定キット
(例、ペニンスラー社製、フェニックス社製など)を用
いて測定したり、血中カテコラミンの増加活性(東ソー
社製、全自動カテコールアミン分析計)などを指標に該
活性を測定することができる。
【0008】また、本発明のタンパク質としては、例え
ば、配列番号:1で表されるアミノ酸配列中の1また
は2個以上(好ましくは1〜10個程度、さらに好まし
くは数(1〜5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配
列、配列番号:1で表されるアミノ酸配列に1または
2個以上(好ましくは1〜10個程度、さらに好ましく
は数(1〜5)個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配
列、配列番号:1で表されるアミノ酸配列に1または
2個以上(好ましくは1〜10個程度、さらに好ましく
は数(1〜5)個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配
列、配列番号:1で表されるアミノ酸配列中の1また
は2個以上(好ましくは好ましくは1〜10個程度、さ
らに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が他のアミ
ノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み
合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質などのいわ
ゆるムテインも含まれる。
【0009】本明細書におけるタンパク質は、ペプチド
標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端
がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で
表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質をはじめと
する、本発明で用いられるタンパク質は、C末端がカル
ボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−CO
-)、アミド(−CONH2)またはエステル(−CO
OR)のいずれであってもよい。ここでエステルにおけ
るRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、n−ブチルなどのC1-6アルキル
基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC
3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチ
ルなどのC6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネ
チルなどのフェニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナ
フチルメチルなどのα−ナフチル−C1-2アルキル基な
どのC7-14アラルキル基、ピバロイルオキシメチル基な
どが用いられる。本発明で用いられるタンパク質がC末
端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を
有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエス
テル化されているものも本発明で用いられるタンパク質
に含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記
したC末端のエステルなどが用いられる。さらに、本発
明で用いられるタンパク質には、N末端のアミノ酸残基
(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基(例えば、
ホルミル基、アセチル基などのC 1-6アルカノイルなど
のC1-6アシル基など)で保護されているもの、生体内
で切断されて生成するN末端のグルタミン残基がピログ
ルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置
換基(例えば−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール
基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基
(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカ
ノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されている
もの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質な
どの複合タンパク質なども含まれる。本発明のタンパク
質の具体例としては、例えば、配列番号:1で表される
ラット由来のタンパク質などがあげられる。
【0010】本発明のタンパク質の部分ペプチド(以
下、本発明の部分ペプチドと称する場合がある。また、
本発明の部分ペプチドは、そのアミド体、エステル体も
包含する意味で用いられる場合がある。)としては、前
記した本発明のタンパク質の部分ペプチドであって、好
ましくは、前記した本発明のタンパク質と同様の活性を
有するものであればいずれのものでもよい。例えば、本
発明のタンパク質の構成アミノ酸配列のうち少なくとも
20個以上、好ましくは50個以上、さらに好ましくは
70個以上、より好ましくは100個以上、最も好まし
くは150個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなど
が用いられる。また、本発明の部分ペプチドは、そのア
ミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜5
個)のアミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸配列に
1または2個以上(好ましくは、1〜20個程度、より
好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数1〜5
個のアミノ酸が付加し、または、そのアミノ酸配列に1
または2個以上(好ましくは、1〜5個)のアミノ酸が
挿入され、または、そのアミノ酸配列中の1または2個
以上(好ましくは、1〜5個)のアミノ酸が他のアミノ
酸で置換されていてもよい。より具体的には、本発明の
部分ペプチドとすれば、配列番号:1で表されるアミノ
酸配列中、N末端から第53番目(Glu)〜第55
番目(Tyr)のアミノ酸残基からなる部分アミノ酸配
列、N末端から第131番目(Arg)〜第134番
目(Ala)のアミノ酸残基からなる部分アミノ酸配
列、N末端から第164番目(Ala)〜第165番
目(Pro)のアミノ酸残基からなる部分アミノ酸配
列、N末端から第266番目(Ala)〜第268番
目(Ala)のアミノ酸残基からなる部分アミノ酸配
列、およびN末端から第277番目(Gln)〜第2
82番目(Ala)のアミノ酸残基からなる部分アミノ
酸配列から選ばれる部分アミノ酸配列のいずれかまたは
複数(2〜5)個を有する前記した本発明のタンパク質
の部分ペプチドなどがあげられる。
【0011】また、本発明の部分ペプチドはC末端はカ
ルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−C
OO-)、アミド(−CONH2)またはエステル(−C
OOR)(Rは上記と同意義を示す)の何れであっても
よい。さらに、本発明の部分ペプチドには、前記した本
発明のタンパク質と同様に、N末端のアミノ酸残基
(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基で保護され
ているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタ
ミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミ
ノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されている
もの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなど
の複合ペプチドなども含まれる。本発明の部分ペプチド
は抗体作成のための抗原としても用いることができる。
【0012】本発明のタンパク質または部分ペプチドの
塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有
機酸)や塩基(例、アルカリ金属塩)などとの塩が用い
られ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好まし
い。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩
酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機
酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マ
レイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚
酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。本発明のタンパク質もし
くはその部分ペプチドまたはその塩は、前述したヒトま
たは温血動物の細胞または組織より公知のタンパク質の
精製方法により製造、またはタンパク質をコードするD
NAを含有する形質転換体を培養することにより製造す
ることができる。また、後述のペプチド合成法に準じて
製造することもできる。ヒトまたは温血動物の組織また
は細胞から製造する場合、ヒトまたは温血動物の組織ま
たは細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行な
い、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換ク
ロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わ
せることにより精製単離することができる。
【0013】本発明のタンパク質もしくは部分ペプチド
またはその塩、またはそのアミド体の合成には、通常市
販のタンパク質合成用樹脂を用いることができる。その
ような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒド
ロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノ
メチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹
脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹
脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミド
メチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2’,
4’−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノ
キシ樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−F
mocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げること
ができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖
官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするタンパ
ク質の配列通りに、公知の各種縮合方法に従い、樹脂上
で縮合させる。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り
出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中
で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のタ
ンパク質もしくは部分ペプチドまたはそれらのアミド体
を取得する。上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、
タンパク質合成に使用できる各種活性化試薬を用いるこ
とができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボ
ジイミド類としては、DCC、N,N’−ジイソプロピ
ルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチル
アミノプロリル)カルボジイミドなどが用いられる。こ
れらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、H
OBt,HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂
に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエス
テルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護
アミノ酸の活性化を行った後に樹脂に添加することがで
きる。
【0014】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しう
ることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチル
アセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド
類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジ
ン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル
類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル
類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいは
これらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタ
ンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られてい
る範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範
囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は
通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応
を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基
の脱離を行なうことなく縮合反応を繰り返すことにより
十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても
十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセ
チルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化
することによって、後の反応に影響を与えないようにす
ることができる。
【0015】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、t−ペンチルオキシカルボニル、イソ
ボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキ
シカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマンチルオキ
シカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホ
ルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニル
ホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。カル
ボキシル基は、例えば、アルキルエステル化(例えば、
メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シク
ロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロ
オクチル、2−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もし
くは環状アルキルエステル化)、アラルキルエステル化
(例えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエス
テル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベン
ジルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシ
ルエステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド
化、t−ブトキシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒ
ドラジド化などによって保護することができる。セリン
の水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によ
って保護することができる。このエステル化に適する基
としては、例えば、アセチル基などの低級(C1-6)ア
ルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジ
ルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭
酸から誘導される基などが用いられる。また、エーテル
化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒ
ドロピラニル基、t-ブチル基などである。チロシンのフ
ェノール性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、
Cl2−Bzl、2−ニトロベンジル、Br−Z、t−
ブチルなどが用いられる。ヒスチジンのイミダゾールの
保護基としては、例えば、Tos、4−メトキシ−2,
3,6−トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベン
ジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmoc
などが用いられる。
【0016】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニ
トロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロ
フェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N
−ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕
などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたもの
としては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられ
る。保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd
−黒あるいはPd−炭素などの触媒の存在下での水素気
流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンス
ルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオ
ロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジ
イソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリ
ジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモ
ニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。上記酸
処理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温
度で行なわれるが、酸処理においては、例えば、アニソ
ール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、
パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタン
ジチオール、1,2−エタンジチオールなどのようなカ
チオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンの
イミダゾール保護基として用いられる2,4−ジニトロ
フェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリ
プトファンのインドール保護基として用いられるホルミ
ル基は上記の1,2−エタンジチオール、1,4−ブタ
ンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外
に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによる
アルカリ処理によっても除去される。
【0017】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段
から適宜選択しうる。タンパク質または部分ペプチドの
アミド体を得る別の方法としては、例えば、まず、カル
ボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化し
て保護した後、アミノ基側にペプチド(タンパク質)鎖
を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端の
α−アミノ基の保護基のみを除いたタンパク質または部
分ペプチドとC末端のカルボキシル基の保護基のみを除
去したタンパク質または部分ペプチドとを製造し、これ
らのタンパク質またはペプチドを上記したような混合溶
媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同
様である。縮合により得られた保護タンパク質またはペ
プチドを精製した後、上記方法によりすべての保護基を
除去し、所望の粗タンパク質またはペプチドを得ること
ができる。この粗タンパク質またはペプチドは既知の各
種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥する
ことで所望のタンパク質またはペプチドのアミド体を得
ることができる。タンパク質またはペプチドのエステル
体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミノ酸のα−
カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸
エステルとした後、タンパク質またはペプチドのアミド
体と同様にして、所望のタンパク質またはペプチドのエ
ステル体を得ることができる。
【0018】本発明のタンパク質もしくは部分ペプチド
またはその塩は、公知のペプチドの合成法に従って、あ
るいは本発明のタンパク質を適当なペプチダーゼで切断
することによって製造することができる。ペプチドの合
成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいず
れによっても良い。すなわち、本発明の部分ペプチドを
構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分と
を縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱
離することにより目的のペプチドを製造することができ
る。公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、
以下の〜に記載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptid
e), Academic Press, NewYork (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合
成、広川書店 また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留
・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー
・再結晶などを組み合わせて本発明で用いられる部分ペ
プチドを精製単離することができる。上記方法で得られ
るタンパク質または部分ペプチドが遊離体である場合
は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当
な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合
は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離
体または他の塩に変換することができる。
【0019】本発明のタンパク質をコードするポリヌク
レオチドとしては、上記した本発明のタンパク質をコー
ドする塩基配列(DNAまたはRNA、好ましくはDN
A)を含有するものであればいかなるものであってもよ
い。該ポリヌクレオチドとしては、本発明のタンパク質
をコードするDNA、mRNA等のRNAであり、二本
鎖であっても、一本鎖であってもよい。二本鎖の場合
は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNA
のハイブリッドでもよい。一本鎖の場合は、センス鎖
(すなわち、コード鎖)であっても、アンチセンス鎖
(すなわち、非コード鎖)であってもよい。本発明のタ
ンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて、公知
の方法、例えば、実験医学増刊「新PCRとその応用」
15(7)、1997記載の方法またはそれに準じた方
法により、本発明のタンパク質のmRNAを定量するこ
とができる。本発明のタンパク質をコードするDNAと
しては、前述した本発明のタンパク質をコードする塩基
配列を含有するものであればいかなるものであってもよ
い。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、
前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組
織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれで
もよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリ
オファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなど
いずれであってもよい。また、前記した細胞・組織より
totalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用い
て直接 Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reac
tion(以下、RT−PCR法と略称する)によって増幅
することもできる。本発明のタンパク質をコードするD
NAとしては、例えば、配列番号:2で表される塩基配
列を含有するDNA、または配列番号:2で表される塩
基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下
でハイブリダイズするDNAを含有し、本発明のタンパ
ク質と実質的に同質の性質を有するタンパク質をコード
するDNAであれば何れのものでもよい。
【0020】配列番号:2で表される塩基配列を含有す
るDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズできるDNAとしては、例えば、配列番号:2で表
される塩基配列と約97%以上、好ましくは約98%以
上、さらに好ましくは約99%以上の相同性を有する塩
基配列を含有するDNAなどが用いられる。ハイブリダ
イゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方
法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular
Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring H
arbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行
なうことができる。また、市販のライブラリーを使用す
る場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うこ
とができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな
条件に従って行うことができる。ハイストリンジェント
な条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40m
M、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜7
0℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、
ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が
最も好ましい。より具体的には、配列番号:1で表され
るアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDN
Aとして、配列番号:2で表される塩基配列を含有する
DNAなどが用いられる。
【0021】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前記した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するDNAであればいかなるものであっ
てもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラ
リー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細
胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのい
ずれでもよい。本発明の部分ペプチドをコードするDN
Aとしては、例えば、配列番号:2で表される塩基配列
を含有するDNAの部分塩基配列を有するDNA、また
は配列番号:2で表される塩基配列を含有するDNAと
ハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするD
NAを有し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を
含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタン
パク質をコードするDNAの部分塩基配列を有するDN
Aなどが用いられる。配列番号:2で表される塩基配列
を含有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハ
イブリダイズできるDNAとしては、例えば配列番号:
2で表される塩基配列と約97%以上、好ましくは約9
8%、より好ましくは約99%以上の相同性を有する塩
基配列を含有するDNAなどが用いられる。より具体的
には、本発明の部分ペプチドをコードするDNAとすれ
ば、配列番号:1で表されるアミノ酸配列中、N末端
から第53番目(Glu)〜第55番目(Tyr)のア
ミノ酸残基からなる部分アミノ酸配列をコードする塩基
配列(例、配列番号:2で表される塩基配列中、5’末
端から第157番目から第165番目の部分塩基配列
(配列番号:18))、N末端から第131番目(A
rg)〜第134番目(Ala)のアミノ酸残基からな
る部分アミノ酸配列をコードする塩基配列(例、配列番
号:2で表される塩基配列中、5’末端から第391番
目から第402番目の部分塩基配列(配列番号:1
9))、N末端から第164番目(Ala)〜第16
5番目(Pro)のアミノ酸残基からなる部分アミノ酸
配列をコードする塩基配列(例、配列番号:2で表され
る塩基配列中、5’末端から第490番目から第495
番目の部分塩基配列(配列番号:20))、N末端か
ら第266番目(Ala)〜第268番目(Ala)の
アミノ酸残基からなる部分アミノ酸配列をコードする塩
基配列((例、配列番号:2で表される塩基配列中、
5’末端から第796番目から第804番目の部分塩基
配列(配列番号:21))、およびN末端から第27
7番目(Gln)〜第282番目(Ala)のアミノ酸
残基からなる部分アミノ酸配列をコードする塩基配列
(例、配列番号:2で表される塩基配列中、5’末端か
ら第829番目から第846番目の部分塩基配列(配列
番号:22))から選ばれる塩基配列のいずれかまたは
複数(2〜5)個を有する前記した本発明のタンパク質
の部分ペプチドをコードするDNAなどがあげられる。
ハイブリダイゼーションの方法およびハイストリンジェ
ントな条件は前記と同様のものが用いられる。
【0022】本発明のタンパク質または本発明の部分ペ
プチド(以下、これらをコードするDNAのクローニン
グおよび発現の説明においては、これらを単に本発明の
タンパク質と略記する場合がある)を完全にコードする
DNAのクローニングの手段としては、本発明のタンパ
ク質をコードする塩基配列の一部分を有する合成DNA
プライマーを用いてPCR法によって増幅するか、また
は適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のタンパ
ク質の一部または全領域をコードするDNA断片もしく
は合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼ
ーションによって選別することができる。ハイブリダイ
ゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・クローニ
ング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et a
l., ColdSpring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方
法などに従って行なうことができる。また、市販のライ
ブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方
法に従って行なうことができる。DNAの塩基配列の変
換は、PCRや公知のキット、例えば、MutanTM
super Express Km(宝酒造)、Muta
TM−K(宝酒造)などを用いて、ODA−LA PC
R法、Gapped duplex法、Kunkel法
などの公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って
行うことができる。クローン化されたタンパク質をコー
ドするDNAは目的によりそのまま、または所望により
制限酵素で消化したり、リンカーを付加して使用するこ
とができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コド
ンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止
コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有してい
てもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドン
は、適当な合成DNAアダプターを用いて付加すること
もできる。本発明のタンパク質の発現ベクターは、例え
ば、(イ)本発明のタンパク質をコードするDNAから
目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片
を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結す
ることにより製造することができる。
【0023】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、p
A1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RS
V、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明で
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用い
る宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなる
ものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場
合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、L
TRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TK
プロモーターなどが挙げられる。これらのうち、CMV
(サイトメガロウイルス)プロモーター、SRαプロモ
ーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア
属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモ
ーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、
lppプロモーター、T7プロモーターなどが、宿主が
バチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、S
PO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主
が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプ
ロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター
などが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘ
ドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好まし
い。
【0024】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neorと略称する場合がある、G418耐
性)等が挙げられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイ
ニーズハムスター細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マ
ーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミジンを含
まない培地によっても選択できる。また、必要に応じ
て、宿主に合ったシグナル配列を、本発明のタンパク質
のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である
場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル
配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−ア
ミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列
などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配
列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞であ
る場合には、インシュリン・シグナル配列、α−インタ
ーフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列な
どがそれぞれ利用できる。このようにして構築された本
発明のタンパク質をコードするDNAを含有するベクタ
ーを用いて、形質転換体を製造することができる。
【0025】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K1
2・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユー
エスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,1
60(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッ
ズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,3
09(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モ
レキュラー・バイオロジー(Journal of MolecularBiol
ogy),120巻,517(1978)〕,HB101
〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,4
1巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティック
ス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用
いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・
サブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジー
ン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャ
ーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Bioch
emistry),95巻,87(1984)〕などが用いられ
る。酵母としては、例えば、サッカロマイセス・セレビ
シエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22
-,NA87−11A,DKD−5D,20B−1
2、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomy
ces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピ
キア・パストリス(Pichia pastoris)KM71などが
用いられる。
【0026】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodop
tera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia ni
の中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のH
igh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞または
Estigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイル
スがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mor
i N 細胞;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞
としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf
21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In V
ivo),13, 213-217,(1977))などが用いられる。昆虫と
しては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田
ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(198
5)〕。動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−
7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以
下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニ
ーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhf
-)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−2
0,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細
胞、H9c2細胞などが用いられる。エシェリヒア属菌
を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ
・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ
・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA),69巻,2110(1972)、ジーン(Gen
e),17巻,107(1982)などに記載の方法に従
って行なうことができる。
【0027】バチルス属菌を形質転換するには、例え
ば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティッ
クス(Molecular & General Genetics),168巻,
111(1979)などに記載の方法に従って行うことが
できる。酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ・
イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),
194巻,182−187(1991)、プロシージン
グズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA),75巻,1929(1978)などに
記載の方法に従って行なうことができる。昆虫細胞また
は昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロ
ジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988)などに記載の
方法に従って行うことができる。動物細胞を形質転換す
るには、例えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロ
トコール.263−267(1995)(秀潤社発
行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1
973)に記載の方法に従って行うことができる。この
ようにして、タンパク質をコードするDNAを含有する
発現ベクターで形質転換された形質転換体を得ることが
できる。宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である
形質転換体を培養する際、培養に使用される培地として
は液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生
育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめ
られる。炭素源としては、例えば、グルコース、デキス
トリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例
えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・
リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレ
イショ抽出液などの無機または有機物質、無機物として
は、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウ
ム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母エ
キス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよ
い。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0028】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1
972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを
効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルア
クリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエ
シェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約
3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加える
こともできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常
約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通
気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質
転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホ
ールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L.
ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,450
5(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培
地〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ
・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。
培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は
通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要
に応じて通気や撹拌を加える。宿主が昆虫細胞または昆
虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grac
e's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Natur
e),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の
添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpH
は約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通
常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や
撹拌を加える。宿主が動物細胞である形質転換体を培養
する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛
血清を含むMEM培地〔サイエンス(Science),12
2巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジ
ー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI
1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・
メディカル・アソシエーション(The Journal of the A
merican Medical Association)199巻,519(19
67)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソ
サイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン
(Proceeding ofthe Society for the Biological Medi
cine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。p
Hは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃
〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気
や撹拌を加える。以上のようにして、形質転換体の細胞
質内または細胞外に本発明のタンパク質を生成せしめる
ことができる。
【0029】上記培養物から本発明のタンパク質を分離
精製するには、例えば、下記の方法により行うことがで
きる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞から
抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるい
は細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、
リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あ
るいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりタン
パク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。緩
衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのタンパク質変性
剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれ
ていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌される場合
には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上
清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた
培養上清、あるいは抽出液中に含まれるタンパク質の精
製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行うこ
とができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩
析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、
限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用
する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の
差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィー
などの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロ
マトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電
点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用
いられる。
【0030】このようにして得られるタンパク質が遊離
体で得られた場合には、公知の方法あるいはそれに準じ
る方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得ら
れた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法によ
り、遊離体または他の塩に変換することができる。な
お、組換え体が産生するタンパク質を、精製前または精
製後に適当なタンパク質修飾酵素を作用させることによ
り、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除
去することもできる。タンパク質修飾酵素としては、例
えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンド
ペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼな
どが用いられる。このようにして生成する本発明のタン
パク質の存在は、特異抗体を用いたエンザイムイムノア
ッセイやウエスタンブロッティングなどにより測定する
ことができる。
【0031】本発明のタンパク質もしくは部分ペプチド
またはその塩に対する抗体は、本発明のタンパク質もし
くは部分ペプチドまたはその塩を認識し得る抗体であれ
ば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れで
あってもよい。本発明のタンパク質もしくは部分ペプチ
ドまたはその塩(以下、抗体の説明においては、これら
を単に本発明のタンパク質と略記する場合がある)に対
する抗体は、本発明のタンパク質を抗原として用い、公
知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することが
できる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクローナル抗体産生細胞の作製 本発明のタンパク質は、温血動物に対して投与により抗
体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤と
ともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に
1回ずつ、計2〜10回程度行われる。用いられる温血
動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモッ
ト、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが挙げら
れるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。モ
ノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免
疫された温血動物、例えばマウスから抗体価の認められ
た個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリン
パ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種ま
たは異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することが
できる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標
識化タンパク質と抗血清とを反応させたのち、抗体に結
合した標識剤の活性を測定することにより行なうことが
できる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミ
ルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (1
975)〕に従い実施することができる。融合促進剤として
は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセン
ダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが
用いられる。
【0032】骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、
P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄
腫細胞が挙げられるが、P3U1が好ましく用いられ
る。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細
胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、
PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)
が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、
好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベート
することにより効率よく細胞融合を実施できる。モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには
種々の方法が使用できるが、例えば、タンパク質抗原を
直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイク
ロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に
放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体
(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス
免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインA
を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する
方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着
させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性
物質や酵素などで標識したタンパク質を加え、固相に結
合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げら
れる。モノクローナル抗体の選別は、公知あるいはそれ
に準じる方法に従って行なうことができる。通常HAT
(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加
した動物細胞用培地で行なうことができる。選別および
育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるもの
ならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜2
0%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRP
MI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むG
IT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリドー
マ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬
(株))などを用いることができる。培養温度は、通常
20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間
は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間であ
る。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができ
る。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清
中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0033】(b)モノクローナル抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、公知の方法、例え
ば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコ
ール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体
(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過
法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテ
インGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合
を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行うこ
とができる。
【0034】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法に
従って製造することができる。例えば、免疫抗原(本発
明のタンパク質等の抗原)とキャリアータンパク質との
複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と
同様に温血動物に免疫を行い、該免疫動物から本発明の
タンパク質に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離
精製を行うことにより製造することができる。温血動物
を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアータン
パク質との複合体に関し、キャリアータンパク質の種類
およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアー
に架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良く
できれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させても
よいが、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロ
ブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、
約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合で縮合させ
る方法が用いられる。また、ハプテンとキャリアーのカ
プリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、
グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性
エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活
性エステル試薬等が用いられる。縮合生成物は、温血動
物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは
担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産
生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完
全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、
通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行な
われる。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫され
た温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取
することができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の
測定は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測
定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモ
ノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの
分離精製法に従って行うことができる。
【0035】本発明のタンパク質または部分ペプチドを
コードするDNA(以下、アンチセンスヌクレオチドの
説明においては、これらのDNAを本発明のDNAと略
記する)に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列
またはその一部を有するアンチセンスヌクレオチドとし
ては、本発明のDNAに相補的な、または実質的に相補
的な塩基配列またはその一部を有し、該DNAの発現を
抑制し得る作用を有するものであれば、いずれのアンチ
センスヌクレオチドであってもよいが、アンチセンスD
NAが好ましい。本発明のDNAに実質的に相補的な塩
基配列とは、例えば、本発明のDNAに相補的な塩基配
列(すなわち、本発明のDNAの相補鎖)の全塩基配列
または部分塩基配列と約97%以上、好ましくは約98
%以上、より好ましくは約99%以上、の相同性を有す
る塩基配列などが挙げられる。特に、本発明のDNAの
相補鎖の全塩基配列うち、本発明のタンパク質のN末端
部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コドン
付近の塩基配列など)の相補鎖と約97%以上、好まし
くは約98%以上、より好ましくは約99%以上の相同
性を有するアンチセンスヌクレオチドが好適である。ア
ンチセンスヌクレオチドは通常、10〜40個程度、好
ましくは15〜30個程度の塩基から構成される。ヌク
レアーゼなどの加水分解酵素による分解を防ぐために、
アンチセンスヌクレオチドを構成する各ヌクレオチドの
リン酸残基(ホスフェート)は、例えば、ホスホロチオ
エート、メチルホスホネート、ホスホロジチオネートな
どの化学修飾リン酸残基に置換されていてもよい。これ
らのアンチセンスヌクレオチドは、公知のDNA合成装
置などを用いて製造することができる。本発明に従え
ば、本発明のタンパク質遺伝子の複製または発現を阻害
することのできるアンチセンス・ポリヌクレオチド(核
酸)を、クローン化した、あるいは決定されたタンパク
質をコードするDNAの塩基配列情報に基づき設計し、
合成しうる。かかるポリヌクレオチド(核酸)は、本発
明のタンパク質遺伝子のRNAとハイブリダイズするこ
とができ、該RNAの合成または機能を阻害することが
できるか、あるいは本発明のタンパク質関連RNAとの
相互作用を介して本発明のタンパク質遺伝子の発現を調
節・制御することができる。本発明のタンパク質関連R
NAの選択された配列に相補的なポリヌクレオチド、お
よび本発明のタンパク質関連RNAと特異的にハイブリ
ダイズすることができるポリヌクレオチドは、生体内お
よび生体外で本発明のタンパク質遺伝子の発現を調節・
制御するのに有用であり、また病気などの治療または診
断に有用である。用語「対応する」とは、遺伝子を含め
たヌクレオチド、塩基配列または核酸の特定の配列に相
同性を有するあるいは相補的であることを意味する。ヌ
クレオチド、塩基配列または核酸とペプチド(タンパク
質)との間で「対応する」とは、ヌクレオチド(核酸)
の配列またはその相補体から誘導される指令にあるペプ
チド(タンパク質)のアミノ酸を通常指している。タン
パク質遺伝子の5’端ヘアピンループ、5’端6−ベー
スペア・リピート、5’端非翻訳領域、ポリペプチド翻
訳開始コドン、タンパク質コード領域、ORF翻訳終止
コドン、3’端非翻訳領域、3’端パリンドローム領
域、および3’端ヘアピンループは好ましい対象領域と
して選択しうるが、タンパク質遺伝子内の如何なる領域
も対象として選択しうる。目的核酸と、対象領域の少な
くとも一部に相補的なポリヌクレオチドとの関係は、対
象物とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチ
ドとの関係は、「アンチセンス」であるということがで
きる。アンチセンス・ポリヌクレオチドは、2−デオキ
シ−D−リボースを含有しているポリヌクレオチド、D
−リボースを含有しているポリヌクレオチド、プリンま
たはピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタ
イプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格
を有するその他のポリマー(例えば、市販のタンパク質
核酸および合成配列特異的な核酸ポリマー)または特殊
な結合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマー
はDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリン
グや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含
有する)などが挙げられる。それらは、二本鎖DNA、
一本鎖DNA、二本鎖RNA、一本鎖RNA、さらにD
NA:RNAハイブリッドであることができ、さらに非
修飾ポリヌクレオチド(または非修飾オリゴヌクレオチ
ド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当
該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたも
の、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチ
ドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾の
されたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホ
ネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カ
ルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または
硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロ
ジチオエートなど)を持つもの、例えばタンパク質(ヌ
クレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、
抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖
(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有し
ているもの、インターカレント化合物(例えば、アクリ
ジン、ソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例
えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金
属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するも
の、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型
の核酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシ
ド」、「ヌクレオチド」および「核酸」とは、プリンお
よびピリミジン塩基を含有するのみでなく、修飾された
その他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良
い。こうした修飾物は、メチル化されたプリンおよびピ
リミジン、アシル化されたプリンおよびピリミジン、あ
るいはその他の複素環を含むものであってよい。修飾さ
れたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドはまた
糖部分が修飾されていてよく、例えば、1個以上の水酸
基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換されていたり、
あるいはエーテル、アミンなどの官能基に変換されてい
てよい。本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド(核
酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸(R
NA、DNA)である。修飾された核酸の具体例として
は核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そして
ポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミドの
分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定される
ものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のような
方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内でのア
ンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセンス
核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス鎖に
対する親和性をより大きなものにする、そしてもし毒性
があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなものに
する。こうして修飾は当該分野で数多く知られており、
例えば J. Kawakami et al.,Pharm Tech Japan, Vol.
8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Crook
e et al. ed., Antisense Research and Applications,
CRC Press, 1993 などに開示がある。本発明のアンチ
センス核酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、塩
基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロスフ
ェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療に
より適用されたり、付加された形態で与えられることが
できうる。こうして付加形態で用いられるものとして
は、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジ
ンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高め
たり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例え
ば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった粗水
性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質として
は、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリ
ルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こ
うしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させ
ることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介
して付着させることができうる。その他の基としては、
核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャ
ップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどの
ヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げら
れる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレン
グリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコー
ルをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が
挙げられるが、それに限定されるものではない。アンチ
センス核酸の阻害活性は、本発明の形質転換体、本発明
の生体内や生体外の遺伝子発現系、あるいは本発明のタ
ンパク質の生体内や生体外の翻訳系を用いて調べること
ができる。該核酸は公知の各種の方法で細胞に適用でき
る。
【0036】以下に、本発明で用いられるタンパク質も
しくは部分ペプチドまたはその塩(以下、本発明のタン
パク質と略記する場合がある)、本発明のタンパク質ま
たは部分ペプチドをコードするDNA(以下、本発明の
DNAと略記する場合がある)、本発明のタンパク質も
しくは部分ペプチドまたはその塩に対する抗体(以下、
本発明の抗体と略記する場合がある)、および本発明の
DNAのアンチセンスヌクレオチド(以下、本発明のア
ンチセンスヌクレオチドと略記する場合がある)の用途
を説明する。
【0037】本発明のタンパク質は心筋梗塞後の心不全
移行期(心不全代償期/心不全非代償期)の心臓に発現
が上昇するので、疾患マーカーとして利用することがで
きる。すなわち、心機能の低下を特徴とする疾病(例、
心筋梗塞後の心不全;狭心症;心筋症;狭心症、心筋症
などの疾患に由来する心不全などの心疾患など)の早期
診断、症状の重症度の判定、疾患進行の予測のためのマ
ーカーとして有用である。本発明のタンパク質をコード
する遺伝子のアンチセンスヌクレオチド、本発明のタン
パク質の活性を調節する化合物もしくはその塩または本
発明のタンパク質に対する抗体を含有する医薬は、例え
ば、心機能の低下を特徴とする疾病(例、心筋梗塞後の
心不全;狭心症;心筋症;狭心症、心筋症などの疾患に
由来する心不全などの心疾患など)などの治療・予防剤
として有用である。
【0038】〔1〕疾病に対する医薬候補化合物のスク
リーニング 本発明のタンパク質は心筋梗塞後の心機能低下とともに
(心不全代償期/心不全非代償)発現が増加するので、
本発明のタンパク質の活性を調節する化合物またはその
塩は、例えば、心機能の低下を特徴とする疾病(例、心
筋梗塞後の心不全;狭心症;心筋症;狭心症、心筋症な
どの疾患に由来する心不全などの心疾患など)などの心
疾患の治療・予防薬として使用できる。したがって、本
発明のタンパク質は、本発明のタンパク質の活性を調節
する化合物またはその塩のスクリーニングのための試薬
として有用である。すなわち、本発明は、(1)本発明
のタンパク質を用いることを特徴とする本発明のタンパ
ク質の活性を調節する化合物またはその塩のスクリーニ
ング方法等を提供する。具体的には、例えば(2)(i)
本発明のタンパク質を産生する能力を有する細胞を、好
ましくは低酸素条件下で伸展刺激を加えた場合と(ii)
本発明のタンパク質を産生する能力を有する細胞と試験
化合物の混合物とを、好ましくは低酸素条件下で伸展刺
激を加えた場合との比較を行うことを特徴とする本発明
のタンパク質の活性を調節する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。より具体的には、上記ス
クリーニング方法においては、例えば、(i)と(ii)
の場合における、本発明のタンパク質の遺伝子発現量を
測定して、比較することを特徴とするものである。本発
明のタンパク質の活性としては、例えば、代償破綻に伴
う心機能低下促進活性、過剰な代償機序の抑制作用など
が挙げられる。ここで、上記低酸素条件下とは例えば2
0%O2以下の酸素濃度で例えば2%(ネイチャー、第
394巻、485頁―490頁、1998年)の条件を
意味する。また、伸展刺激とは心筋細胞を伸展可能なシ
リコン膜上に培養し、シリコン膜を引っ張ることで機械
的負荷を加える刺激である(J.B.C.、第271巻、33
592頁−33597頁、1996年、サーキュレーシ
ョン、第89巻、2204頁−2211頁、1994
年、J.B.C.、第271巻、3221頁−3228頁、1
996年)。さらには、(3)(iii)本発明のタンパ
ク質を産生する能力を有する細胞または本発明のタンパ
ク質をコードするcDNAを導入した細胞を致死的な条
件下で培養を行った場合(具体例としては、血清除去下
あるいは心筋細胞に比較的毒性の強いアドリアマイシン
などの抗癌剤を加えて培養した場合)と、(iv)本発明
のタンパク質を産生する能力を有する細胞または本発明
のタンパク質をコードするcDNAを導入した細胞と試
験化合物の混合物を致死的な条件下で培養を行った場合
(具体例としては、血清除去下あるいは心筋細胞に比較
的毒性の強いアドリアマイシンなどの抗癌剤を加えて培
養した場合)との比較を行うことを特徴とする本発明の
タンパク質の活性を調節する化合物またはその塩のスク
リーニング方法を提供する。上記スクリーニング方法に
おいては、例えば、(iii)と(iv)の場合における、細
胞保護作用や、本発明のタンパク質をコードする遺伝子
の発現量を公知の方法などで測定して、比較する。細胞
保護作用は、心筋細胞の活性化あるいは生存率によって
示すことができる。具体的には一般によく用いられる呼
吸活性を測定することができるMTT(3-(4,5-Dimethy
l-2-thiazolyl)-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium)法やト
リパンブルー染色法あるいはTUNNEL染色法(Term
inal deoxytransferase-mediated dUTP-X nick end lab
eling, セル、第97巻、189頁−198頁、199
9年)で測定することができる。細胞死または細胞障害
時の適度な発現増強は、細胞保護作用が期待できる。ま
た、本発明のタンパク質をコードする遺伝子の過剰な発
現増強は、細胞の過剰な活性化を引き起こし、細胞の疲
弊を加速すると考えられる。従って、本発明のタンパク
質をコードする遺伝子の発現量を適切にコントロールす
ることが大切であると考えられる。例えば心不全代償期
および心不全非代償期のように、本発明のタンパク質を
コードする遺伝子の発現促進によって細胞障害が生じて
いると考えられる場合には、阻害薬(本発明のタンパク
質の活性を阻害する化合物またはその塩)を投与し、例
えば、心不全急性期などのように、本発明のタンパク質
をコードする遺伝子の発現低下によって細胞障害が生じ
ていると考えられる場合には、促進薬(本発明のタンパ
ク質の活性を促進する化合物またはその塩)を投与す
る。本発明のタンパク質をコードするDNA(遺伝子)
は心臓特異的な遺伝子の発現を正に調節する機能を有す
るため、極度の本発明のタンパク質をコードする遺伝子
の発現低下は細胞機能を障害し、逆に過剰な発現は必要
以上の細胞の活性化を惹起し、その結果として細胞障害
が生じるものと考えられる。従って、本発明のタンパク
質または本発明のDNAの過剰な発現低下が見出された
場合には、本発明のタンパク質もしくは本発明のDN
A、または上記のスクリーニング方法によって得られた
本発明のタンパク質の機能を促進する化合物またはその
塩(具体的には後述)を投与することにより、該細胞機
能の障害を予防・治療することができ、逆に本発明のタ
ンパク質または本発明のDNAの過剰な発現が見出され
た場合には、上記のスクリーニング方法によって得られ
た本発明のタンパク質の機能を阻害する化合物またはそ
の塩(具体的には後述)を投与することにより、該細胞
機能の障害を予防・治療することができる。さらに、本
発明は、(4)本発明のタンパク質によって発現が正に
調節されている遺伝子〔例、心房性ナトリウム利尿ペプ
チド、カーディアック・アドリアマイシン・レスポンシ
ブ・プロテイン(CARP)、ミオシン軽鎖2v(ML
C2v)、Nkx2.5、GATA−4、MEF2C、
N−myc、HAND−1、心室性ナトリウム利尿ペプ
チド(B.B.R.C.,第270巻,1074-1079頁,2000年;デベ
ロプメント,第126巻,1269-1280頁,1999年)など〕な
どのプロモーターを用いるレポーター・ジーン・アッセ
イにおいて、レポーター・ジーンの酵素活性を測定する
ことを特徴とする、本発明のタンパク質の活性を調節す
る化合物またはその塩のスクリーニング法も提供する。
これは、本発明のタンパク質の発現量および活性化に依
存してレポーター・ジーンの酵素活性が上昇することを
利用するものである。具体的には、初代心筋細胞、H9
c2細胞株(ATCC No.CRL−1446)また
はNkx2.5遺伝子を導入した初代心筋細胞もしくは
H9c2細胞株などを宿主細胞としてレポーター・ジー
ン・アッセイを行う。レポーター・ジーン・アッセイ
は、例えば、本発明のタンパク質によって発現が正に調
節されている遺伝子のプロモーター領域〔例、心房性ナ
トリウム利尿ペプチド遺伝子のプロモーター領域(J.B.
C. ,第272巻,22800-22808頁,1997年;デベロプメン
ト,第124巻,793-804頁,1997年)など〕の下流にレポ
ーター・ジーン(例、βガラクトシダーゼ、クロラムフ
ェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラー
ゼなど)を連結させたプラスミドを構築し、該プラスミ
ドを心筋細胞等に公知の方法により導入した細胞を用い
て行う。該プラスミドの構築、プラスミドの導入など
は、公知の方法、例えば、上記の本発明のタンパク質を
コードするDNAを含有する組み換えベクター、および
該組み換えベクターで形質転換された形質転換体の製造
方法と同様の方法に従って行うことができる。具体例と
しては、(v)本発明のタンパク質によって発現が正に
調節されている遺伝子のプロモーター領域の下流にレポ
ーター・ジーンを連結させたプラスミドを導入した細胞
に、本発明のタンパク質を混合または接触させた場合
と、(vi)本発明のタンパク質によって発現が正に調節
されている遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータ
ー・ジーンを連結させたプラスミドを導入した細胞に、
本発明のタンパク質および試験化合物を混合または接触
させた場合との、レポーター・ジーンの酵素活性の比較
を行うことを特徴とする本発明のタンパク質の活性を調
節する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供
する。レポーター・ジーンの酵素活性は公知の方法に従
って測定する。該スクリーニング方法によって得られる
化合物またはその塩は、本発明のタンパク質をコードす
るDNA(遺伝子)の発現量および活性化に影響を与え
る物質であることから、該スクリーニング方法によって
本発明のタンパク質の活性を促進する化合物および本発
明のタンパク質の活性を阻害する化合物のいずれをも選
択することができる。試験化合物としては、例えば、ペ
プチド、タンパク質、生体由来非ペプチド性化合物(糖
質、脂質など)、合成化合物、微生物培養物、細胞抽出
液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これ
ら化合物は新規化合物であってもよいし、公知の化合物
であってもよい。上記のスクリーニング方法を実施する
には、本発明のタンパク質を産生する能力を有する細胞
をスクリーニングに適した培地を用いて培養する。培地
は、本発明のタンパク質の遺伝子発現に影響を与えない
ものであればいずれでもよい。本発明のタンパク質を産
生する能力を有する細胞としては、例えば、本来本発明
のタンパク質を産生する能力を有する初代心筋細胞ある
いは前述した本発明のタンパク質をコードするDNAを
含有するベクターで形質変換された宿主(形質転換体)
などが用いられる。宿主としては、例えば、H9c2細
胞などの動物細胞が好ましく用いられる。該スクリーニ
ングには、例えば、前述の方法で培養することによっ
て、本発明のタンパク質を細胞内に発現させた形質転換
体が好ましく用いられる。本発明の遺伝子の発現量は、
公知の方法、例えば、ノーザンブロッティングやRevers
e transcription-polymerase chain reaction(RT−
PCR)やリアルタイムPCR解析システム(ABI社
製、TaqMan polymerase chain reaction)などの方法あ
るいはそれに準じる方法にしたがって測定することがで
きる。例えば、上記(ii)の場合における遺伝子発現量
を、上記(i)の場合に比べて、約20%以上、好まし
くは30%以上、より好ましくは約50%以上阻害する
あるいは促進する試験化合物を本発明のタンパク質の活
性を阻害するあるいは促進する化合物として選択するこ
とができる。また、上記(iii)と(iv)の場合におけ
る、細胞保護作用および本発明のタンパク質をコードす
る遺伝子の発現量を測定して、遺伝子発現量が低下し、
細胞障害を生じているアッセイ条件下で発現量を増加さ
せる化合物が本発明のタンパク質の活性を促進する化合
物として用いられる。また発現が増強し、細胞障害が生
じているアッセイ系では発現量を低下させる化合物が本
発明のタンパク質の活性を阻害する化合物として用いら
れ、細胞保護作用を有する化合物として用いることがで
きる。さらに、上記(v)の場合におけるレポーター・
ジーンの酵素活性を、上記(iv)の場合に比べて、約2
0%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約5
0%以上阻害するまたは促進する試験化合物を本発明の
タンパク質の活性を阻害するまたは促進する化合物とし
て選択することができる。上記のスクリーニング方法に
より選択された本発明のタンパク質の活性を阻害する化
合物またはその塩は、本発明のタンパク質をコードする
DNA(遺伝子)の発現増強が認められる心不全代償期
および非代償期期に投与することにより心機能回復効果
が期待できる。また上記のスクリーニング方法により選
択された本発明のタンパク質の活性を促進する化合物ま
たはその塩は発現低下が認められる心不全急性期に投与
することにより代償機序を強化し、心筋細胞を保護する
ことによる心保護効果(heart protective effect)が
期待できる。
【0039】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明で用いられるタンパク質もしくは部分ペプチドまたは
その塩、または本発明で用いられるタンパク質もしくは
部分ペプチドを産生する能力を有する細胞を含有するも
のである。
【0040】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物(本発明のタ
ンパク質の活性を促進または阻害する化合物)またはそ
の塩は、上記した試験化合物、例えば、ペプチド、タン
パク質、生体由来非ペプチド性化合物(例、糖質、脂質
など)、合成化合物、微生物培養物、発酵生産物、細胞
抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから選
ばれた化合物またはその塩であり、本発明のタンパク質
の活性(例、心機能低下促進活性など)を調節(促進ま
たは阻害)する化合物またはその塩である。該化合物の
塩としては、前記した本発明のタンパク質の塩と同様の
ものが用いられる。本発明のタンパク質の活性を調節
(促進または阻害)する化合物またはその塩は、例え
ば、心機能の低下を特徴とする疾病(例、心筋梗塞後の
心不全;狭心症;心筋症;狭心症、心筋症などの疾患に
由来する心不全などの心疾患など)などに対する治療・
予防剤などの医薬として有用である。
【0041】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
を上述の治療・予防剤として使用する場合、常套手段に
従って製剤化することができる。例えば、錠剤、カプセ
ル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶
液、懸濁液剤などとすることができる。このようにして
得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、温血
動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チン
パンジーなど)に対して経口的にまたは非経口的に投与
することができる。該化合物またはその塩の投与量は、
その作用、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより
差異はあるが、例えば、心不全治療の目的で本発明のタ
ンパク質の活性を調節する化合物またはその塩を経口投
与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)にお
いては、一日につき該化合物またはその塩を約0.1〜
100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ま
しくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与す
る場合は、該化合物またはその塩の1回投与量は投与対
象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、心不全
治療の目的で本発明のタンパク質の活性を調節する化合
物またはその塩を注射剤の形で通常成人(60kgとし
て)に投与する場合、一日につき該化合物またはその塩
を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜2
0mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を
静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の
場合も、60kg当たりに換算した量を投与することが
できる。
【0042】〔2〕本発明のタンパク質、その部分ペプ
チドまたはその塩の定量 本発明のタンパク質に対する抗体(以下、本発明の抗体
と略記する場合がある)は、本発明のタンパク質を特異
的に認識することができるので、被検液中の本発明のタ
ンパク質の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定
量などに使用することができる。すなわち、本発明は、
(i)本発明の抗体と、被検液および標識化された本発
明のタンパク質とを競合的に反応させ、該抗体に結合し
た標識化された本発明のタンパク質の割合を測定するこ
とを特徴とする被検液中の本発明のタンパク質の定量
法、および(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の
抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時ある
いは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の
活性を測定することを特徴とする被検液中の本発明のタ
ンパク質の定量法を提供する。上記(ii)の定量法にお
いては、一方の抗体が本発明のタンパク質のN端部を認
識する抗体で、他方の抗体が本発明のタンパク質のC端
部に反応する抗体であることが望ましい。
【0043】また、本発明のタンパク質に対するモノク
ローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と称
する場合がある)を用いて本発明のタンパク質の定量を
行えるほか、組織染色等による検出を行うこともでき
る。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよ
く、また、抗体分子のF(ab')2、Fab'、あるいは
Fab画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる本発
明のタンパク質の定量法は、特に制限されるべきもので
はなく、被測定液中の抗原量(例えば、タンパク質量)
に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を
化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の
抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出す
る測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例
えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法お
よびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異
性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好
ましい。標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤と
しては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発
光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例
えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕など
が用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大き
なものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β
−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオ
キシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍
光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレ
ッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質
としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ル
シフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗
体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン
系を用いることもできる。
【0044】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵
素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用
いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキス
トラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレ
ン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、ある
いはガラス等が挙げられる。サンドイッチ法においては
不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応
させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノ
クローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化
担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の
本発明のタンパク質量を定量することができる。1次反
応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行な
ってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤
および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができ
る。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、
固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ず
しも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等
の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。本
発明のサンドイッチ法による本発明のタンパク質の測定
法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明
のモノクローナル抗体は、本発明のタンパク質の結合す
る部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわ
ち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例え
ば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のタンパク質
のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体
は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗
体が用いられる。
【0045】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原
(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B
/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液
中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶
性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、
前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、およ
び、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、
第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗
体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリック
法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識
化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離する
か、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体と
を反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体
を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次
に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を
定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは
溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量
を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈
降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用する
レーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0046】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のタンパク質の測定系を構築すればよい。これらの一
般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参
照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイム
ノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編
「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭
和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第
2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年
発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol. 70(Immunochem
ical Techniques(Part A))、同書 Vol. 73(Immunochemi
calTechniques(Part B))、同書 Vol. 74(Immunochemica
l Techniques(Part C))、同書 Vol. 84(Immunochemical
Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、同書 V
ol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal
Antibodies andGeneral Immunoassay Methods))、同書
Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybrido
ma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、ア
カデミックプレス社発行)などを参照することができ
る。以上のようにして、本発明の抗体を用いることによ
って、本発明のタンパク質を感度良く定量することがで
きる。さらには、本発明の抗体を用いて本発明のタンパ
ク質の濃度を定量することによって、本発明のタンパク
質の濃度の増加が検出された場合、例えば、心機能の低
下を特徴とする疾病(例、心筋梗塞後の心不全;狭心
症;心筋症;狭心症、心筋症などの疾患に由来する心不
全などの心疾患など)である、または将来罹患する可能
性が高いと診断することができる。また、本発明の抗体
は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明のタン
パク質を検出するために使用することができる。また、
本発明のタンパク質を精製するために使用する抗体カラ
ムの作製、精製時の各分画中の本発明のタンパク質の検
出、被検細胞内における本発明のタンパク質の挙動の分
析などのために使用することができる。
【0047】〔3〕遺伝子診断剤 本発明のDNAは、例えば、プローブとして使用するこ
とにより、温血動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、
モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウ
マ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)における本
発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードする
DNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出する
ことができるので、例えば、該DNAまたはmRNAの
損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたはm
RNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤とし
て有用である。本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診
断は、例えば、公知のノーザンハイブリダイゼーション
やPCR−SSCP法(ゲノミックス(Genomics),第
5巻,874〜879頁(1989年)、プロシージン
グズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceedings of the
National Academy of Sciences of the United States
of America),第86巻,2766〜2770頁(19
89年))などにより実施することができる。例えば、
ノーザンハイブリダイゼーションにより発現過多が検出
された場合やPCR−SSCP法によりDNAの突然変
異が検出された場合は、例えば、心機能低下を伴う心疾
患などの疾病である可能性が高いと診断することができ
る。
【0048】〔4〕アンチセンスヌクレオチドを含有す
る医薬 本発明のDNAに相補的に結合し、該DNAの発現を抑
制することができる本発明のアンチセンスヌクレオチド
は低毒性であり、生体内における本発明のタンパク質ま
たは本発明のDNAの活性や機能(例、心機能低下促進
活性など)を調節(阻害)することができるので、例え
ば、心機能の低下を特徴とする疾病(例、心筋梗塞後の
心不全;狭心症;心筋症;狭心症、心筋症などの疾患に
由来する心不全などの心疾患など)などの治療・予防剤
として使用することができる。上記アンチセンスヌクレ
オチドを上記の治療・予防剤として使用する場合、公知
の方法に従って製剤化し、投与することができる。例え
ば、該アンチセンスヌクレオチドを用いる場合、該アン
チセンスヌクレオチドを単独あるいはレトロウイルスベ
クター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソ
シエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに
挿入した後、常套手段に従って、温血動物(例えば、ヒ
ト、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジ
ーなど)に対して経口的または非経口的に投与すること
ができる。該アンチセンスヌクレオチドは、そのまま
で、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に
認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロ
ゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与でき
る。該アンチセンスヌクレオチドの投与量は、対象疾
患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例
えば、心不全の治療の目的で本発明のアンチセンスヌク
レオチドを経口投与する場合、一般的に成人(体重60
kg)においては、一日につき該アンチセンスヌクレオ
チドを約0.1〜100mg投与する。さらに、該アン
チセンスヌクレオチドは、組織や細胞における本発明の
DNAの存在やその発現状況を調べるための診断用オリ
ゴヌクレオチドプローブとして使用することもできる。
本発明は、さらに 本発明のタンパク質をコードするRNAの一部を含有
する二重鎖RNA、 前記二重鎖RNAを含有してなる医薬、 本発明のタンパク質をコードするRNAの一部を含有
するリボザイム、 前記リボザイムを含有してなる医薬を提供する。 これらの二重鎖RNA、リボザイムなどは、上記アンチ
センスポリヌクレオチドと同様に、本発明のポリヌクレ
オチド(例、DNA)の発現を抑制することができ、生
体内における本発明のペプチドまたは本発明のポリヌク
レオチド(例、DNA)の活性や機能(例、心機能低下
促進活性など)を調節(阻害)することができるので、
例えば、心機能の低下を特徴とする疾病(例、心筋梗塞
後の心不全;狭心症;心筋症;狭心症、心筋症などの疾
患に由来する心不全などの心疾患など)などの治療・予
防剤として使用することができる。二重鎖RNAは、公
知の方法(例、Nature, 411巻, 494頁, 2001年)に準じ
て、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製
造することができる。リボザイムは、公知の方法(例、
TRENDS in Molecular Medicine, 7巻, 221頁, 2001年)
に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計
して製造することができる。例えば、本発明のペプチド
をコードするRNAの一部に公知のリボザイムを連結す
ることによって製造することができる。本発明のペプチ
ドをコードするRNAの一部としては、公知のリボザイ
ムによって切断され得る本発明のRNA上の切断部位に
近接した部分(RNA断片)が挙げられる。上記の二重
鎖RNAまたはリボザイムを上記予防・治療剤として使
用する場合、アンチセンスポリヌクレオチドと同様にし
て製剤化し、投与することができる。
【0049】〔5〕本発明の抗体を含有する医薬 本発明のタンパク質の活性を中和する作用を有する本発
明の抗体は、心機能の低下を特徴とする疾病(例、心筋
梗塞後の心不全;狭心症;心筋症;狭心症、心筋症など
の疾患に由来する心不全などの心疾患など)などの予防
・治療剤として使用することができる。本発明の抗体を
含有する上記疾病の予防・治療剤は低毒性であり、その
まま液剤として、または適当な剤型の医薬組成物とし
て、温血動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、モルモ
ット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネ
コ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して経口的ま
たは非経口的に投与することができる。投与量は、投与
対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異な
るが、例えば、成人の心不全の治療・予防のために使用
する場合には、本発明の抗体を1回量として、通常0.
01〜20mg/kg体重程度、好ましくは0.1〜1
0mg/kg体重程度、さらに好ましくは0.1〜5m
g/kg体重程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1
日1〜3回程度、静脈注射により投与するのが好都合で
ある。他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準
ずる量を投与することができる。症状が特に重い場合に
は、その症状に応じて増量してもよい。本発明の抗体
は、それ自体または適当な医薬組成物として投与するこ
とができる。上記投与に用いられる医薬組成物は、上記
抗体またはその塩と薬理学的に許容され得る担体、希釈
剤もしくは賦形剤とを含むものである。かかる組成物
は、経口または非経口投与に適する剤形として提供され
る。すなわち、例えば、経口投与のための組成物として
は、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、
フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散
剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ
剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。かかる組成物は公
知の方法によって製造され、製剤分野において通常用い
られる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有するものであ
る。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、で
んぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウムなどが用いら
れる。
【0050】非経口投与のための組成物としては、例え
ば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射
剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤
などの剤形を包含する。かかる注射剤は、公知の方法に
従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射剤に
用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁また
は乳化することによって調製する。注射用の水性液とし
ては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬
を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例え
ば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール
(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、
HCO−50(polyoxyethylene(50 mol)adduct of h
ydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。油
性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いら
れ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通
常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられ
る坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に
混合することによって調製される。上記の経口用または
非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するよ
うな投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。
かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル
剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞ
れの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ
注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜2
50mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ま
しくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有し
てもよい。
【0051】〔6〕本発明のタンパク質を含有する医薬 (1)本発明のタンパク質は、本発明の抗体を産生する
ためのワクチン等の医薬として用いられる。本発明の抗
体を産生するためのワクチンは、本発明のタンパク質を
用いて、公知の方法により製造することができる。 (2)本発明のタンパク質に核移行シグナル配列(ante
napedia:Drosophilaの核移行ペプチド、東京医科歯科大
学の伊藤らの学会報告:第2回 Molecular Cardiovascu
lar Conference)を連結させた遺伝子組換え型Nkx
2.5を全身に投与したり、心臓カテーテル検査の際に
心臓へ直接投与することによって、低下した本発明のタ
ンパク質を補うことができる。 〔7〕本発明のDNAを含有する医薬 本発明のDNAを含有する医薬は、心不全の遺伝子治療
に用いられる。本発明のタンパク質の機能の一つとし
て、心臓特異的な遺伝子群の発現増強がある。この結果
として心筋梗塞後の代償機序の強化が生じると考えてい
る。従って心不全急性期のような本発明のタンパク質の
発現が低下している時期には、本発明のタンパク質が適
切な発現量を維持するように、本発明のDNAを投与す
ることができる。 〔8〕本発明のDNAを有する動物の作製 本発明のDNAを用いて、本発明のタンパク質を発現す
るトランスジェニック動物を作製することができる。動
物としては、哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサ
ギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)など
(以下、動物と略記する場合がある)が挙げられるが、
特に、マウス、ウサギなどが好適である。本発明のDN
Aを対象動物に導入させるにあたっては、該DNAを動
物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合した遺
伝子コンストラクトとして用いるのが一般に有利であ
る。例えば、ウサギ由来の本発明のDNAを導入させる
場合、これと相同性が高い動物由来の本発明のDNAを
動物細胞で発現させうる各種プロモーターの下流に結合
した遺伝子コンストラクトを、例えば、ウサギ受精卵へ
マイクロインジェクションすることによって本発明のタ
ンパク質を高産生するDNA導入動物を作出できる。こ
のプロモーターとしては、例えば、ウイルス由来プロモ
ーター、メタロチオネイン等のユビキアスな発現プロモ
ーターも使用しうるが、好ましくは脳で特異的に発現す
るNGF遺伝子プロモーターやエノラーゼ遺伝子プロモ
ーターなどが用いられる。受精卵細胞段階における本発
明のDNAの導入は、対象動物の胚芽細胞および体細胞
の全てに存在するように確保される。DNA導入後の作
出動物の胚芽細胞において本発明のタンパク質が存在す
ることは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体
細胞の全てに本発明のタンパク質を有することを意味す
る。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽
細胞および体細胞の全てに本発明のタンパク質を有す
る。本発明のDNA導入動物は、交配により遺伝子を安
定に保持することを確認して、該DNA保有動物として
通常の飼育環境で飼育継代を行うことができる。さら
に、目的DNAを保有する雌雄の動物を交配することに
より、導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホモザイゴ
ート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによ
りすべての子孫が該DNAを有するように繁殖継代する
ことができる。本発明のDNAが導入された動物は、本
発明のタンパク質が高発現させられているので、本発明
のタンパク質に対するアゴニストまたはアンタゴニスト
のスクリーニング用の動物などとして有用である。本発
明のDNA導入動物を、組織培養のための細胞源として
使用することもできる。例えば、本発明のDNA導入マ
ウスの組織中のDNAもしくはRNAを直接分析する
か、あるいは遺伝子により発現された本発明のレセプタ
ータンパク質が存在する組織を分析することにより、本
発明のタンパク質について分析することができる。本発
明のタンパク質を有する組織の細胞を標準組織培養技術
により培養し、これらを使用して、例えば、脳や末梢組
織由来のような一般に培養困難な組織からの細胞の機能
を研究することができる。また、その細胞を用いること
により、例えば、各種組織の機能を高めるような医薬の
選択も可能である。また、高発現細胞株があれば、そこ
から、本発明のタンパク質を単離精製することも可能で
ある。本発明のDNA導入動物に試験化合物を投与し、
該動物の心機能、心電図、心重量などを測定する。心重
量は心肥大のパラメーターである。具体的には体重当た
りの心臓重量、体重当たりの左心室重量、右心室重量当
たりの左心室重量を算出することによって心臓構造を調
べることができる。心肥大が生じると上記パラメーター
は増加するため、この増加を抑制することを指標として
試験化合物を評価することができる。本発明のDNA導
入動物に試験化合物を投与した後、心筋梗塞形成手術を
行い、該動物の心機能、心電図、心重量などを測定す
る。また心筋梗塞手術を行った後、梗塞層を秤量するこ
とによって試験化合物の梗塞進展抑制活性を調べること
ができる。試験化合物の投与は、梗塞形成手術後であっ
てもよい。また該動物と例えばSHRラットなど遺伝的
高血圧モデルラットと交配させ、新しい心不全モデルを
作成することができる。このようにして作成した心不全
モデルに化合物を投与し、該動物の心機能、心電図、心
重量、梗塞進展抑制活性などを調べる。
〔9〕ノックアウト動物 本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳
動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳
動物を提供する。すなわち、本発明は、(1)本発明の
DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来の
β−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不
活性化された上記(1)記載の胚幹細胞、(3)ネオマ
イシン耐性である上記(1)記載の胚幹細胞、(4)非
ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(1)記載の胚幹
細胞、(5)ゲッ歯動物がマウスである上記(4)記載
の胚幹細胞、(6)本発明のDNAが不活性化された該
DNA発現不全非ヒト哺乳動物、(7)該DNAがレポ
ーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポー
ター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制
御下で発現しうる上記(6)記載の非ヒト哺乳動物、
(8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(6)記
載の非ヒト哺乳動物、(9)ゲッ歯動物がマウスである
上記(8)記載の非ヒト哺乳動物、および(10)上記
(7)記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター
遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDN
Aに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合
物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。本発
明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞と
は、該非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAに人為的
に変異を加えることにより、DNAの発現能を抑制する
か、あるいは該DNAがコードしている本発明のタンパ
ク質の活性を実質的に喪失させることにより、DNAが
実質的に本発明のタンパク質の発現能を有さない(以
下、本発明のノックアウトDNAと称することがある)
非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES細胞と略記す
る)をいう。非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のも
のが用いられる。本発明のDNAに人為的に変異を加え
る方法としては、例えば、遺伝子工学的手法により該D
NA配列の一部又は全部の削除、他DNAを挿入または
置換させることによって行なうことができる。これらの
変異により、例えば、コドンの読み取り枠をずらした
り、プロモーターあるいはエキソンの機能を破壊するこ
とにより本発明のノックアウトDNAを作製すればよ
い。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚
幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細胞または
本発明のノックアウトES細胞と略記する)の具体例と
しては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が有する本
発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネオマイシ
ン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を代表とす
る薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガラクトシ
ダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコールアセチ
ルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレポーター
遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能を破壊す
るか、あるいはエキソン間のイントロン部分に遺伝子の
転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA付加
シグナルなど)を挿入し、完全なmRNAを合成できな
くすることによって、結果的に遺伝子を破壊するように
構築したDNA配列を有するDNA鎖(以下、ターゲッ
ティングベクターと略記する)を、例えば相同組換え法
により該動物の染色体に導入し、得られたES細胞につ
いて本発明のDNA上あるいはその近傍のDNA配列を
プローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析ある
いはターゲッティングベクター上のDNA配列とターゲ
ッティングベクター作製に使用した本発明のDNA以外
の近傍領域のDNA配列をプライマーとしたPCR法に
より解析し、本発明のノックアウトES細胞を選別する
ことにより得ることができる。また、相同組換え法等に
より本発明のDNAを不活化させる元のES細胞として
は、例えば、前述のような既に樹立されたものを用いて
もよく、また公知のEvansとKaufmanの方法に準じて新し
く樹立したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の
場合、現在、一般的には129系のES細胞が使用され
ているが、免疫学的背景がはっきりしていないので、こ
れに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES
細胞を取得するなどの目的で例えば、C57BL/6マ
ウスやC57BL/6の採卵数の少なさをDBA/2と
の交雑により改善したBDF1マウス(C57BL/6
とDBA/2とのF1)を用いて樹立したものなども良
好に用いうる。BDF1マウスは、採卵数が多く、か
つ、卵が丈夫であるという利点に加えて、C57BL/
6マウスを背景に持つので、これを用いて得られたES
細胞は病態モデルマウスを作出したとき、C57BL/
6マウスとバッククロスすることでその遺伝的背景をC
57BL/6マウスに代えることが可能である点で有利
に用い得る。また、ES細胞を樹立する場合、一般には
受精後3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8
細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより
効率よく多数の初期胚を取得することができる。また、
雌雄いずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES
細胞の方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。
また、煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ
早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。ES細胞の雌
雄の判定方法としては、例えば、PCR法によりY染色
体上の性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、そ
の1例としてあげることができる。この方法を使用すれ
ば、従来、核型分析をするのに約106個の細胞数を要
していたのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約
50個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一
次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能であ
り、早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初
期の手間は大幅に削減できる。また、第二次セレクショ
ンとしては、例えば、G−バンディング法による染色体
数の確認等により行うことができる。得られるES細胞
の染色体数は正常数の100%が望ましいが、樹立の際
の物理的操作等の関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝
子をノックアウトした後、正常細胞(例えば、マウスで
は染色体数が2n=40である細胞)に再びクローニン
グすることが望ましい。このようにして得られた胚幹細
胞株は、通常その増殖性は大変良いが、個体発生できる
能力を失いやすいので、注意深く継代培養することが必
要である。例えば、STO繊維芽細胞のような適当なフ
ィーダー細胞上でLIF(1−10000U/ml)存
在下に炭酸ガス培養器内(好ましくは、5%炭酸ガス、
95%空気または5%酸素、5%炭酸ガス、90%空
気)で約37℃で培養するなどの方法で培養し、継代時
には、例えば、トリプシン/EDTA溶液(通常0.0
01−0.5%トリプシン/0.1−5mM EDTA、
好ましくは約0.1%トリプシン/1mM EDTA)処
理により単細胞化し、新たに用意したフィーダー細胞上
に播種する方法などがとられる。このような継代は、通
常1−3日毎に行なうが、この際に細胞の観察を行い、
形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその培養細胞
は放棄することが望まれる。ES細胞は、適当な条件に
より、高密度に至るまで単層培養するか、または細胞集
塊を形成するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内
臓筋、心筋などの種々のタイプの細胞に分化させること
が可能であり〔M. J. Evans及びM. H. Kaufman, ネイチ
ャー(Nature)第292巻、154頁、1981年;G. R. Martin
プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Aca
d. Sci. U.S.A.)第78巻、7634頁、1981年;T. C. Doet
schmanら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・アン
ド・エクスペリメンタル・モルフォロジー、第87巻、27
頁、1985年〕、本発明のES細胞を分化させて得られる
本発明のDNA発現不全細胞は、インビトロにおける本
発明のタンパク質の細胞生物学的検討において有用であ
る。本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物
のmRNA量を公知の方法を用いて測定して間接的にそ
の発現量を比較することにより、正常動物と区別するこ
とが可能である。該非ヒト哺乳動物としては、前記と同
様のものが用いられる。本発明のDNA発現不全非ヒト
哺乳動物は、例えば、前述のようにして作製したターゲ
ッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細
胞に導入し、導入によりターゲッティングベクターの本
発明のDNAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同
組換えにより、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染
色体上の本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせ
ることにより、本発明のDNAをノックアウトさせるこ
とができる。本発明のDNAがノックアウトされた細胞
は、本発明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプ
ローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析または
ターゲッティングベクター上のDNA配列と、ターゲッ
ティングベクターに使用したマウス由来の本発明のDN
A以外の近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたP
CR法による解析で判定することができる。非ヒト哺乳
動物胚幹細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えによ
り、本発明のDNAが不活性化された細胞株をクローニ
ングし、その細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非
ヒト哺乳動物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ
胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。
作出された動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と
人為的に変異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者
から構成されるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖
細胞の一部が変異した本発明のDNA座をもつ場合、こ
のようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得
られた個体群より、全ての組織が人為的に変異を加えた
本発明のDNA座をもつ細胞で構成された個体を、例え
ば、コートカラーの判定等により選別することにより得
られる。このようにして得られた個体は、通常、本発明
のタンパク質のヘテロ発現不全個体であり、本発明のタ
ンパク質のヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの
産仔から本発明のタンパク質のホモ発現不全個体を得る
ことができる。卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細
胞核内にマイクロインジェクション法でDNA溶液を注
入することによりターゲッティングベクターを染色体内
に導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を得るこ
とができ、これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物
に比べて、遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に
変異のあるものを選択することにより得られる。このよ
うにして本発明のDNAがノックアウトされている個体
は、交配により得られた動物個体も該DNAがノックア
ウトされていることを確認して通常の飼育環境で飼育継
代を行なうことができる。さらに、生殖系列の取得およ
び保持についても常法に従えばよい。すなわち、該不活
化DNAの保有する雌雄の動物を交配することにより、
該不活化DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴー
ト動物を取得しうる。得られたホモザイゴート動物は、
母親動物に対して、正常個体1,ホモザイゴート複数に
なるような状態で飼育することにより効率的に得ること
ができる。ヘテロザイゴート動物の雌雄を交配すること
により、該不活化DNAを有するホモザイゴートおよび
ヘテロザイゴート動物を繁殖継代する。本発明のDNA
が不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞は、本発明の
DNA発現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、非常に
有用である。また、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳
動物は、本発明のタンパク質により誘導され得る種々の
生物活性を欠失するため、本発明のタンパク質の生物活
性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るの
で、これらの疾病の原因究明及び治療法の検討に有用で
ある。 (9a)本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾
病に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリーニ
ング方法 本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のD
NAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予
防効果を有する化合物のスクリーニングに用いることが
できる。すなわち、本発明は、本発明のDNA発現不全
非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の変化を
観察・測定することを特徴とする、本発明のDNAの欠
損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を
有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供
する。該スクリーニング方法において用いられる本発明
のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様
のものがあげられる。試験化合物としては、例えば、ペ
プチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、
発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出
液、血漿などがあげられ、これら化合物は新規な化合物
であってもよいし、公知の化合物であってもよい。具体
的には、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試
験化合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動物
の各器官、組織、疾病の症状などの変化を指標として試
験化合物の治療・予防効果を試験することができる。試
験動物を試験化合物で処理する方法としては、例えば、
経口投与、静脈注射などが用いられ、試験動物の症状、
試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することがで
きる。また、試験化合物の投与量は、投与方法、試験化
合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。
例えば、心機能の低下を特徴とする疾病(例、心筋梗塞
後の心不全;狭心症;心筋症;狭心症、心筋症などの疾
患に由来する心不全などの心疾患など)に対して予防・
治療効果を有する化合物をスクリーニングする場合、本
発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投
与し、該動物の心機能、心電図、心重量などを測定す
る。心重量は心肥大のパラメーターである。具体的には
体重当たりの心臓重量、体重当たりの左心室重量、右心
室重量当たりの左心室重量を算出することによって心臓
構造を調べることができる。心肥大が生じると上記パラ
メーターは増加するため、この増加を抑制することを指
標として試験化合物を評価することができる。本発明の
DNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与した
後、心筋梗塞形成手術を行い、該動物の心機能、心電
図、心重量などを測定する。また心筋梗塞手術を行った
後、梗塞層を秤量することによって試験化合物の梗塞進
展抑制活性を調べることができる。試験化合物の投与
は、梗塞形成手術後であってもよい。また該動物と例え
ばSHRラットなど遺伝的高血圧モデルラットと交配さ
せ、新しい心不全モデルを作成することができる。この
ようにして作成した心不全モデルに化合物を投与し、該
動物の心機能、心電図、心重量、梗塞進展抑制活性など
を調べる。該スクリーニング方法を用いて得られる化合
物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、
本発明のタンパク質の欠損や損傷などによって引き起こ
される疾患に対して予防・治療効果を有するので、該疾
患に対する安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬とし
て使用することができる。さらに、上記スクリーニング
で得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いる
ことができる。該スクリーニング方法で得られた化合物
は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生
理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸など)や塩
基(例、アルカリ金属など)などとの塩が用いられ、と
りわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この
様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン
酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸
(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレ
イン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚
酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸
など)との塩などが用いられる。該スクリーニング方法
で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記
した本発明のタンパク質を含有する医薬と同様にして製
造することができる。このようにして得られる製剤は、
安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたはその他の
哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサ
ギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルな
ど)に対して投与することができる。該化合物またはそ
の塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなど
により差異はあるが、例えば、該化合物を経口投与する
場合、一般的に成人(体重60kgとして)の心疾患の
患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場
合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患など
によっても異なるが、例えば、該化合物を注射剤の形で
通常成人(60kgとして)の心疾患の患者に投与する
場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程
度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましく
は約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するの
が好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに
換算した量を投与することができる。 (9b)本発明のDNAに対するプロモーターの活性を
促進または阻害する化合物のスクリーニング方法 本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、
試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出す
ることを特徴とする本発明のDNAに対するプロモータ
ーの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。上記スクリーニング方法
において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物とし
ては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入す
ることにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発
明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる
ものが用いられる。試験化合物としては、前記と同様の
ものがあげられる。レポーター遺伝子としては、前記と
同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子
(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子
またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。本発明
のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本
発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在する
ので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレ
ースすることにより、プロモーターの活性を検出するこ
とができる。例えば、本発明のタンパク質をコードする
DNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明
のタンパク質の発現する組織で、本発明のタンパク質の
代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例
えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−
ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラク
トシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することによ
り、簡便に本発明のタンパク質の動物生体内における発
現状態を観察することができる。具体的には、本発明の
タンパク質欠損マウスまたはその組織切片をグルタルア
ルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PB
S)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または
37℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組
織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄すること
によって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色
を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコー
ドするmRNAを検出してもよい。上記スクリーニング
方法を用いて得られる化合物またはその塩は、上記した
試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のDNA
に対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物
である。該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を
形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的
に許容される酸(例、無機酸など)や塩基(例、有機酸
など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容
される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例え
ば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸
など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、
プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石
酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスル
ホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いら
れる。本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進
する化合物またはその塩は、本発明のタンパク質の発現
を促進し、該タンパク質の機能を促進することができる
ので、例えば、心機能の低下を特徴とする疾病(例、心
筋梗塞後の心不全;狭心症;心筋症;狭心症、心筋症な
どの疾患に由来する心不全などの心疾患など)などの予
防・治療剤などの医薬として有用である。また、本発明
のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物ま
たはその塩は、本発明のタンパク質の発現を阻害し、該
タンパク質の機能を阻害することができるので、例えば
心機能の低下を特徴とする疾病(例、心筋梗塞後の心不
全;狭心症;心筋症;狭心症、心筋症などの疾患に由来
する心不全などの心疾患など)などの予防・治療剤など
の医薬として有用である。さらに、上記スクリーニング
で得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いる
ことができる。該スクリーニング方法で得られた化合物
またはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のタン
パク質またはその塩を含有する医薬と同様にして製造す
ることができる。このようにして得られる製剤は、安全
で低毒性であるので、例えば、ヒトまたはその他の哺乳
動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、
ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に
対して投与することができる。該化合物またはその塩の
投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより
差異はあるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモ
ーター活性を促進する化合物を経口投与する場合、一般
的に成人(体重60kgとして)の心疾患の患者におい
ては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好
ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0
〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化
合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても
異なるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモータ
ー活性を促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60
kgとして)の心疾患の患者に投与する場合、一日につ
き該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約
0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10
mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。
他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与
することができる。一方、例えば、本発明のDNAに対
するプロモーター活性を阻害する化合物を経口投与する
場合、一般的に成人(体重60kgとして)の心疾患の
患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場
合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患など
によっても異なるが、例えば、本発明のDNAに対する
プロモーター活性を阻害する化合物を注射剤の形で通常
成人(60kgとして)の心疾患の患者に投与する場
合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。このように、本発明の
DNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAに対
するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物ま
たはその塩をスクリーニングする上で極めて有用であ
り、本発明のDNA発現不全に起因する各種疾患の原因
究明または予防・治療薬の開発に大きく貢献することが
できる。また、本発明のタンパク質のプロモーター領域
を含有するDNAを使って、その下流に種々のタンパク
をコードする遺伝子を連結し、これを動物の卵細胞に注
入していわゆるトランスジェニック動物(遺伝子導入動
物)を作成すれば、特異的にそのポリペプチドを合成さ
せ、その生体での作用を検討することも可能となる。さ
らに上記プロモーター部分に適当なレポータ遺伝子を結
合させ、これが発現するような細胞株を樹立すれば、本
発明のタンパク質そのものの体内での産生能力を特異的
に促進もしくは抑制する作用を持つ低分子化合物の探索
系として使用できる。
【0052】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC-IUB Commission
on Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該
分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下
記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合
は、特に明示しなければL体を示すものとする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸
【0053】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2−Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェニル Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0054】本願明細書の配列表の配列番号は、以下の
配列を示す。 〔配列番号:1〕実施例1で得られた本発明のタンパク
質(ラット由来)のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:2〕配列番号:1で表されるアミノ酸配列
をコードするDNA(遺伝子)の塩基配列を示す。 〔配列番号:3〕実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 〔配列番号:4〕実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 〔配列番号:5〕実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 〔配列番号:6〕実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 〔配列番号:7〕実施例1で得られた遺伝子断片の塩基
配列を示す。 〔配列番号:8〕実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 〔配列番号:9〕実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 〔配列番号:10〕実施例1で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:11〕実施例1で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:12〕実施例1で得られた配列番号:1で
表されるアミノ酸配列をコードするDNA(遺伝子)の
非コード領域を含む全塩基配列を示す。 〔配列番号:13〕実施例1で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:14〕実施例1で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:15〕実施例2で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:16〕実施例2で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:17〕実施例2で用いられたプローブの塩
基配列を示す。 〔配列番号:18〕配列番号:2で表される塩基配列
中、5’末端から第157番目から第165番目の部分
塩基配列を示す。 〔配列番号:19〕配列番号:2で表される塩基配列
中、5’末端から第391番目から第402番目の部分
塩基配列を示す。 〔配列番号:20〕配列番号:2で表される塩基配列
中、5’末端から第490番目から第495番目の部分
塩基配列を示す。 〔配列番号:21〕配列番号:2で表される塩基配列
中、5’末端から第796番目から第804番目の部分
塩基配列を示す。 〔配列番号:22〕配列番号:2で表される塩基配列
中、5’末端から第829番目から第846番目の部分
塩基配列を示す。
【0055】後述の実施例1で得られた形質転換体エシ
ェリヒア・コリ(Escherichia coli)
DH5α/pTB2165は、2000年10月19日
から日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6
(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術
総合研究所 特許生物寄託センター(旧:通商産業省工
業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH))に寄託
番号FERM BP−7327として、2000年9月
26日から、大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番
85号(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵
研究所(IFO)に寄託番号IFO 16481として
寄託されている。
【0056】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではな
い。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキュ
ラー・クローニング(Molecular cloning), 2nd, J.Sa
mbrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press,1989
年に記載されている方法に従った。
【0057】実施例1 (1)心筋梗塞モデルラットの作製 渡邉らの報告(サーキュレーションリサーチ、第69
巻、370−377頁、1991年)に従い雄性ウイス
ターラット(11週齢:体重300−400g)をペン
トバルビタール(50mg/kg,i.p.)で麻酔し、人工呼吸下
で正中にて開胸した。心嚢膜を切開後、心臓を露出させ
た。冠動脈の左前下行枝起始部で、糸付き縫合針(エル
プ社、5−0シルク)にて心筋ごと冠動脈を絹糸で縛っ
た後閉胸した。偽手術群は糸を縛らずに閉胸した。麻酔
から回復後、通常飼育した。 (2)Total RNAの抽出 術後1週経過、8週経過、20週経過、30週経過した
ラットをペントバルビタール麻酔下で開胸し、心臓を摘
出した後、生理食塩水で大動脈より逆行性に冠動脈を潅
流して血液を洗い流した。摘出した心臓からハサミで左
心室以外の組織を取り除いた後、梗塞形成を確認した後
に梗塞領域(スカー形成部位)を取り除き、非梗塞領域
のみとした。これをハサミで細かく細断した後、ISO
GEN(和光純薬)を用いてTotal RNAを抽出
した (3)新規ラットNkx2.5類似遺伝子のクローニン
グ ジーンバンクに登録されていたマウスNkx2.5 c
DNAの塩基配列(プロセッシング・オブ・ナチョナル
・アカデミック・サイエンス、U.S.A. 第90巻、第81
45-8149頁、1993年、アクセッションナンバー:AF0
91351)からPCRプライマーとして配列番号:3およ
び配列番号:4で表される塩基配列からなるDNAを合
成し、マラソンレディラット心臓cDNAライブラリー
(クロンテック)を鋳型としてPCRを行った。反応は
TaKaRa La Taq with GC buffer(宝酒造)を用いてサー
マルサイクラーgene amp PCR syste
m9700(パーキンエルマー社製)にて行い、95℃
で30秒、62℃で30秒、72℃で3分を1サイクルと
して33サイクルを繰り返した。得られたDNA断片を
pT7−Tベクター(宝酒造)にクローニングした後、
さらに公知の合成プライマー(T7プライマー(配列番
号:5)とU−19プライマー(配列番号:6))を用
い、PEアプライドバイオシステムズ社のサイクルシー
ケンスキットによって反応を行い、蛍光DNAシーケン
サー(ABI PRISM 377,パーキンエルマー
社製)で分析して、塩基配列を解読した結果、配列番
号:7で表される塩基配列からなるDNAを得た。本配
列は、公知のマウスNkx2.5 cDNA配列と高い
ホモロジーを示した。そこで5’RACE法および3’
RACE法にてcDNA配列の全長配列の決定を行っ
た。5’RACE用のプライマーとして配列番号:8と
配列番号:9で表される塩基配列からなるDNAを合成
し、3’RACE用のプライマーとして配列番号:10
と配列番号:11で表される塩基配列からなるDNAを
合成し、マラソンレディラット心臓cDNAライブラリ
ー(クロンテック)を鋳型としてPCRを行った。得ら
れた遺伝子断片の塩基配列を解読し、本発明の新規Nk
x2.5類似タンパク質をコードするDNAを含有す
る、配列番号:12で表される塩基配列からなるDNA
を得た。次にマラソンレディラット心臓cDNAライブ
ラリー(クロンテック)を鋳型として配列番号:12で
表される塩基配列を参考にして合成した2つのプライマ
ー(配列番号:13と配列番号:14)を用いてPCR
を行い、本発明の新規Nkx2.5類似タンパク質をコ
ードするDNAの全長を取得した。このようにして得ら
れた本発明の新規Nkx2.5類似タンパク質をコード
するDNAをpT7−Tベクター(宝酒造)にクローニ
ングし、本ベクター(プラスミド)をpTB2165と
命名した。さらに公知の合成プライマー(T7プライマ
ー(配列番号:5)とU−19プライマー(配列番号:
6))を用い、PEアプライドバイオシステムズ社のサ
イクルシーケンスキットによって反応を行い、蛍光DN
Aシーケンサー(ABI PRISM 377,パーキ
ンエルマー社製)で分析し塩基配列を解読した結果、本
発明の新規Nkx2.5類似タンパク質をコードするD
NA(配列番号:2)を得た。上記pTB2165を大
腸菌に導入した形質変換体をエシェリヒア・コリ(Es
cherichia coli)DH5α/pTB21
65と命名した。次に、明らかとなった塩基配列を基に
公のデータベースであるGenebleデータベースを
用いてBlastNによるホモロジー検索を行ったとこ
ろ、Rattus norvegicus tinman homolog(rNkx-2.5)(AF0
06664)と高い相同性を示したが、本発明の新規Nkx
2.5類似タンパク質をコードするDNA(配列番号:
2)は新規なNkx2.5類似遺伝子であることが分か
った(図1〜図9)。
【0058】実施例2 正常ラットにおける本発明の新規Nkx2.5類似タン
パク質をコードするDNAの組織分布の解析 ノーザンブロッティング用のプローブを得るために、実
施例1で得られた配列番号:2で表される塩基配列から
なるDNAを鋳型とし、配列番号:15および配列番
号:16で表される塩基配列からなるDNAをプライマ
ーとして用いて実施例1−(3)の方法と同様の方法で
PCRを行い、プローブ(配列番号:17)を調製し
た。ノーザンブロッティング用膜はクロンテック社製ラ
ットMTN Blotを用いた。ハイブリダイゼーション溶液と
してExpress Hyb Hybridization solution(クロンテッ
ク)を使用して、68℃でプレハイブリダイゼーション
を行った。一方、プローブとして上記で調製したNkx
2.5類似遺伝子断片を[α-32P]dCTPとBcaBEST Labeli
ng Kit(宝酒造)を用いて標識した。ハイブリダイゼー
ションは標識プローブを含むExpress Hyb Hybridizatio
n solution(クロンテック)中で68℃、1時間の条件
で行った。膜は最終的に0.1XSSC,0.1%SD
S液中50℃で洗浄し、検出にはBAS−2000(フ
ジフィルム)を用いた。その結果、心臓が本発明の新規
Nkx2.5類似タンパク質をコードするDNAの主要
発現部位であることが分かった。
【0059】実施例3 心筋梗塞モデルラットでの本発明の新規Nkx2.5類
似タンパク質をコードするDNAの経時変化の解析 実施例1−(2)で記載した心筋梗塞形成術後1週、8
週、20週、30週経過ラットの左心室の非梗塞領域由
来のTotal RNAと、その対象として用いた偽手
術した後8週経過した左心室由来のTotal RNA
をそれぞれTaqMan Reverse Transcription Reagents
(PEアプライドバイオシステムズ社製)を用いてcD
NAを合成した。次にTaqMan Rodent G3PDH control re
agent VICprobe(PEアプライドバイオシステムズ社
製)を用いてPCRによるグリセロール3リン酸脱水素
酵素のコピー数の定量をABI Prism 7700 sequence Dete
ction Systemによって行った。この反応は、TaqMan PCR
Core Reagents kit(PEアプライドバイオシステムズ
社製)を使用し、添付されている説明書に従って一連の
操作を行った。その結果得られたグリセロール3リン酸
脱水素酵素のコピー数で各cDNAライブラリーをノー
マライズした後、RT−PCRによって本発明の新規N
kx2.5類似タンパク質をコードするDNAの発現量
を測定した。次に、本発明の新規Nkx2.5類似タン
パク質をコードするDNAを特異的に増幅することがで
きるプライマー(配列番号:16と配列番号:17)を
合成し、次に示す方法でPCRを行った。即ち、反応は
TaKaRa La Taq with GC buffer(宝酒造)を用いて、サ
ーマルサイクラーgene amp PCR syst
em 9700(パーキンエルマー社製)にて行い、9
5℃で30秒、62℃で30秒、72℃で3分を1サイ
クルとして行った。なお、30から40までの各サイク
ルごとにサンプリングした。得られた本発明の新規Nk
x2.5類似タンパク質をコードするDNAを2%アガ
ロースによる電気泳動し、エチジュウムブロマイド染色
によって検出したバンドを画像解析装置(FluorImager
595,Molecular Dynamics社製)で定量した。片対数ブロ
ット上、プラトーに達していない直線性のあるサイクル
時の測定値から発現量を算出した。次に偽手術群の測定
値を1とした時の経時的な発現量を図10に示した。図
中、縦軸は、左心室における本発明の新規Nkx2.5類似タ
ンパク質をコードするDNAのコピー数(発現量)をハ
ウスキーピング遺伝子であるグリセロール3リン酸脱水
素酵素遺伝子のコピー数で割ることにより補正した後、
偽手術群の測定値で割ることによって得た数値を示し、
これをフォールドインクリースとして表示した。横軸の
時間(週)は用いた心不全モデルのサンプルごとの経過
を示した。sham 8wは偽手術群、MI 1wは手術後1週経
過、MI 8wは手術後8週経過、MI 20wは手術後20週経
過、MI 30wは手術後30週経過した心臓を分析した際の
サンプル名を示す。これより、本発明の新規Nkx2.
5類似タンパク質をコードするDNAは術後1週で顕著
に低下(0.29倍)した後、術後8週で増加傾向
(1.135倍)を示し、術後20週で増加(2倍)、
30週で偽手術群レベルに戻ることが明らかとなった。
【0060】手術直後から1週経過時は、梗塞が形成さ
れつつある時期と考えられ、結窄された冠動脈から下流
領域の心筋細胞が急速に死滅、脱落し、リンパ球の浸潤
により炎症が生じていると推測される。また術後20週
から30週は死亡例が見られる直前であることから術後
8週は代償機序が作動している時期であり、術後20週
以降は十分な代償機序が作動していないか、あるいは過
剰な代償機序により代償破綻が生じている時期であると
考えられる。そこで術後1週経過時を急性期(心不全急
性期)、術後8週経過時を慢性期(心不全代償期)、術
後20週以降を末期(心不全非代償期)と考えた。心筋
梗塞から心不全への移行に関わる代償機序は、次のよう
に考えられる。心筋細胞が脱落(壊死あるいはアポトー
シス)すると失った心筋細胞の有していた機能を心臓全
体で代償するために残存心筋細胞は肥大し、心拡張や線
維化を伴う心臓の再構築(心リモデリング)が生じる。
これによって機能的に心機能は代償されることになる
が、一方でこの心リモデリングあるいは過剰な代償機序
そのものが心不全を発症する危険性をはらんでいると考
えられている(内科、第79巻、2−20頁、1997
年)。しかしながら代償破綻そのものに関与する分子は
未だ同定されておらず、従ってそのメカニズムも明らか
にされていない。上記実施例で示したとおり、上記ラッ
ト心筋梗塞モデルを用いて、心臓特異的遺伝子群の正の
転写調節因子であるNkx2.5と相同性の高い遺伝子
である本発明の新規Nkx2.5類似タンパク質をコー
ドするDNAの発現プロファイルを作成した。本遺伝子
は急性期に顕著に低下し、慢性期から末期で増加傾向を
示した。上記実施例で明らかになった本発明の新規Nk
x2.5類似タンパク質をコードするDNAの詳細な発
現プロファイルは次のように考察することができる。N
kx2.5は、心臓に対して保護的に働くと考えられて
いる心房性ナトリウム利尿ペプチドと心室性ナトリウム
利尿ペプチドの発現を誘導すること、心収縮タンパク質
の一つであるミオシンライトチェーン2vの発現を正に
調節することが報告されている。従ってNkx2.5類
似遺伝子が同様の機能を有している可能性があり、急性
期における発現低下は病態悪化に直接結びつくものと考
えられる。一方で慢性期から末期にかけてその発現増強
は、心臓特異的な負の調節因子と考えられているカーデ
ィアック・アドリアマイシン・レスポンシブ・プロテイ
ン(CARP)(J.B.C.、第272巻、22800-22808頁、1997
年、デベロプメント、第124巻、793-804頁、1997年、デ
ベロプメント、第126巻、4223-4234頁、1999年)の発現
を増強することになり、この期の発現増強は病態悪化に
直接結びつくものと考えられる。心疾患予防・治療薬と
しては、急性期に速やかに代償機序を作動させることと
代償破綻を抑制することが重要である。本発明の新規N
kx2.5類似タンパク質をコードするDNAの発現を
適切にコントロールすることは、この課題を解決する上
で重要である。発現低下は代償機序を抑制し、発現増加
は代償破綻を加速すると考えられる。従って本発明の新
規Nkx2.5類似タンパク質をコードするDNAの発
現や遺伝子産物の機能を調節する薬剤は心疾患の新たな
予防・治療剤として有用である。
【0061】
【発明の効果】配列番号:1で表されるアミノ酸配列と
同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタン
パク質またはその塩は新規であり、該タンパク質または
その塩の活性を調節する化合物またはその塩、および該
タンパク質またはその塩の活性を調節する抗体は、例え
ば、心疾患などの予防・治療剤として使用することがで
きる。該タンパク質またはその塩をコードするDNAに
相補もしくは実質的に相補な塩基配列を有するアンチセ
ンスヌクレオチドは、該タンパク質またはその塩の発現
を抑制することができ、例えば、心疾患などの予防・治
療剤として使用することができる。
【0062】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> New disease-related gene and its use <130> P01-0238 <150> JP2000-331362 <151> 2000-10-30 <160> 22 <210> 1 <211> 319 <212> PRT <213> Rat <400> 1 Met Phe Pro Ser Pro Ala Leu Thr His Thr Pro Phe Ser Val Lys Asp 5 10 15 Ile Leu Asn Leu Glu Gln Gln Gln Arg Ser Leu Ala Ala Gly Asp Leu 20 25 30 Ser Ala Arg Leu Glu Ala Thr Leu Ala Pro Ala Ser Cys Met Leu Ala 35 40 45 Ala Phe Lys Pro Glu Ala Tyr Ser Gly Pro Glu Ala Ala Ala Pro Gly 50 55 60 Leu Ala Glu Leu Arg Ala Glu Leu Gly Pro Ala Pro Ser Pro Pro Lys 65 70 75 80 Cys Ser Pro Ala Phe Pro Thr Ala Pro Thr Phe Tyr Pro Arg Ala Tyr 85 90 95 Gly Asp Pro Asp Pro Ala Lys Asp Pro Arg Ala Asp Lys Lys Glu Leu 100 105 110 Cys Ala Leu Gln Lys Ala Val Glu Leu Asp Lys Ala Glu Thr Asp Gly 115 120 125 Ala Glu Arg Pro Arg Ala Arg Arg Arg Arg Lys Pro Arg Val Leu Phe 130 135 140 Ser Gln Ala Gln Val Tyr Glu Leu Glu Arg Arg Phe Lys Gln Gln Arg 145 150 155 160 Tyr Leu Ser Ala Pro Glu Arg Asp Gln Leu Ala Ser Val Leu Lys Leu 165 170 175 Thr Ser Thr Gln Val Lys Ile Trp Phe Gln Asn Arg Arg Tyr Lys Cys 180 185 190 Lys Arg Gln Arg Gln Asp Gln Thr Leu Glu Leu Leu Gly Pro Pro Pro 195 200 205 Pro Pro Ala Arg Arg Ile Ala Val Pro Val Leu Val Arg Asp Gly Lys 210 215 220 Pro Cys Leu Gly Asp Ser Ala Ala Tyr Ala Pro Ala Tyr Gly Val Gly 225 230 235 240 Leu Asn Ala Tyr Gly Tyr Asn Ala Tyr Pro Tyr Pro Gly Tyr Gly Gly 245 250 255 Ala Ala Cys Ser Pro Ala Tyr Ser Cys Ala Ala Ala Tyr Pro Ala Ala 260 265 270 Pro Pro Ala Ala Gln Pro Pro Ala Ala Ala Ala Asn Ser Asn Phe Val 275 280 285 Asn Phe Gly Val Gly Asp Leu Asn Thr Val Gln Ser Pro Gly Met Pro 290 295 300 Gln Gly Asn Ser Gly Val Ser Thr Leu His Gly Ile Arg Ala Trp 305 310 315 319 <210> 2 <211> 957 <212> DNA <213> Rat <400> 2 atgttcccca gccctgcgct cacacacacg cccttctcag tcaaagacat cctgaacctg 60 gagcagcagc agcgcagcct ggcggctggg gacctgtctg cgcgcctcga ggccaccctg 120 gcgcccgcct cctgcatgct ggccgccttc aagccggagg cctactcagg ccccgaggcg 180 gcagcgcccg gcctggcaga gctgcgcgcg gagctgggcc ccgcgccttc gccccccaag 240 tgctctcctg ctttcccaac cgcccctaca ttttatccgc gagcctacgg tgaccctgac 300 cccgccaagg accctcgggc ggataagaaa gagctgtgcg cgctgcagaa ggcggtggag 360 ctggacaaag ccgagacaga cggcgccgag cgaccacgcg cgcggcggcg acggaagcca 420 cgcgtgctct tctcgcaggc gcaggtctat gagctggagc ggcgcttcaa gcaacagcgg 480 tacctgtcgg cgcctgagcg cgaccaactg gccagcgtgc tgaagctcac gtccacgcag 540 gtcaagatct ggttccagaa ccgccgctac aagtgtaagc gacagcggca ggaccagact 600 ctggagctgc tggggccgcc gccgccgccc gcgcgcagga tcgcggtgcc ggtgttggtg 660 cgcgacggga agccctgcct gggggactcg gcggcctacg ctcccgccta cggcgtgggt 720 ctcaacgcct acggctacaa cgcctacccc tatcccggct acggtggcgc ggcctgcagt 780 cccgcctaca gctgcgcagc cgcgtacccc gccgcgcccc ccgccgcgca gcccccagcc 840 gcagcggcca acagcaactt cgtgaacttc ggcgtcgggg acttgaacac ggtgcagagt 900 cccgggatgc cacagggcaa ttcgggcgtc tccacgctgc acggcatccg agcctgg 957 <210> 3 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 3 catgctggcc gccttcaagc 20 <210> 4 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 4 ccctaccagg ctcggatgc 19 <210> 5 <211> 17 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 5 taatacgact cactata 17 <210> 6 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 6 ggttttccca gtcacgacg 19 <210> 7 <211> 828 <212> DNA <213> Rat <400> 7 catgctggcc gccttcaagc cggaggccta ctcaggcccc gaggcggcag cgcccggcct 60 ggcagagctg cgcgcggagc tgggccccgc gccttcgccc cccaagtgct ctcctgcttt 120 cccaaccgcc cctacatttt atccgcgagc ctacggtgac cctgaccccg ccaaggaccc 180 tcgggcggat aagaaagagc tgtgcgcgct gcagaaggcg gtggagctgg acaaagccga 240 gacagacggc gccgagcgac cacgcgcgcg gcggcgacgg aagccacgcg tgctcttctc 300 gcaggcgcag gtctatgagc tggagcggcg cttcaagcaa cagcggtacc tgtcggcgcc 360 tgagcgcgac caactggcca gcgtgctgaa gctcacgtcc acgcaggtca agatctggtt 420 ccagaaccgc cgctacaagt gtaagcgaca gcggcaggac cagactctgg agctgctggg 480 gccgccgccg ccgcccgcgc gcaggatcgc ggtgccggtg ttggtgcgcg acgggaagcc 540 ctgcctgggg gactcggcgg cctacgctcc cgcctacggc gtgggtctca acgcctacgg 600 ctacaacgcc tacccctatc ccggctacgg tggcgcggcc tgcagtcccg cctacagctg 660 cgcagccgcg taccccgccg cgccccccgc cgcgcagccc ccagccgcag cggccaacag 720 caacttcgtg aacttcggcg tcggggactt gaacacggtg cagagtcccg ggatgccaca 780 gggcaattcg ggcgtctcca cgctgcacgg catccgagcc tggtaggg 828 <210> 8 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 8 agctctttct tatccgcccg ag 22 <210> 9 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 9 gtcaccgt aggctcgcgg at 20 <210> 10 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 10 caggaccaga ctctggagct g 21 <210> 11 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 11 caacagcaac ttcgtgaact tc 22 <210> 12 <211> 1490 <212> DNA <213> Rat <400> 12 tactcactat agggctcgag cggccgcccg ggcaggtcac atccagggca gagaggcggg 60 tgcgcgggcg gacagcgggc accatgcggg aaggctatcc ccgggggtgt gggcagtgcc 120 actctctgcc acccacctgg cgctgtgaga ccggcgtcgc caccatgttc cccagccctg 180 cgctcacaca cacgcccttc tcagtcaaag acatcctgaa cctggagcag cagcagcgca 240 gcctggcggc tggggacctg tctgcgcgcc tcgaggccac cctggcgccc gcctcctgca 300 tgctggccgc cttcaagccg gaggcctact caggccccga ggcggcagcg cccggcctgg 360 cagagctgcg cgcggagctg ggccccgcgc cttcgccccc caagtgctct cctgctttcc 420 caaccgcccc tacattttat ccgcgagcct acggtgaccc tgaccccgcc aaggaccctc 480 gggcggataa gaaagagctg tgcgcgctgc agaaggcggt ggagctggac aaagccgaga 540 cagacggcgc cgagcgacca cgcgcgcggc ggcgacggaa gccacgcgtg ctcttctcgc 600 aggcgcaggt ctatgagctg gagcggcgct tcaagcaaca gcggtacctg tcggcgcctg 660 agcgcgacca actggccagc gtgctgaagc tcacgtccac gcaggtcaag atctggttcc 720 agaaccgccg ctacaagtgt aagcgacagc ggcaggacca gactctggag ctgctggggc 780 cgccgccgcc gcccgcgcgc aggatcgcgg tgccggtgtt ggtgcgcgac gggaagccct 840 gcctggggga ctcggcggcc tacgctcccg cctacggcgt gggtctcaac gcctacggct 900 acaacgccta cccctatccc ggctacggtg gcgcggcctg cagtcccgcc tacagctgcg 960 cagccgcgta ccccgccgcg ccccccgccg cgcagccccc agccgcagcg gccaacagca 1020 acttcgtgaa cttcggcgtc ggggacttga acacggtgca gagtcccggg atgccacagg 1080 gcaattcggg cgtctccacg ctgcacggca tccgagcctg gtagggaaag ggcccgtctg 1140 gggcaccccg gaccgactcc cacctttagg agaaggcgat gactccgggg atggaaaggc 1200 tcccactgtg tcctgtccct cggatttcac acccacactt gcgcaggcct gggacctttc 1260 tccgatccat ccccttttgt tgacctaacc tgatgcctcg gtcctgggaa agcccttcca 1320 gggccaaggc accctccacg gattcccata ctaggacccg gagctgggcc gggcgcccgg 1380 gccctgggtg ccttgccgcc acccacccac ccgtatttat gtttttacct gttgctgtaa 1440 gaaatgagaa ccctcttccc attaaagtga gtgcgccaaa aaaaaaaaaa 1490 <210> 13 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 13 gggcagtgcc actctctgcc ac 22 <210> 14 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 14 accgaggcat caggttaggt ca 22 <210> 15 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 15 ctgtgcgcgct gcagaaggc 20 <210> 16 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 16 agtccccgac gccgaagttc a 21 <210> 17 <211> 550 <212> DNA <213> Rat <220> <223> Probe <400> 17 ctgtgcgcgc tgcagaaggc ggtggagctg gacaaagccg agacagacgg cgccgagcga 60 ccacgcgcgc ggcggcgacg gaagccacgc gtgctcttct cgcaggcgca ggtctatgag 120 ctggagcggc gcttcaagca acagcggtac ctgtcggcgc ctgagcgcga ccaactggcc 180 agcgtgctga agctcacgtc cacgcaggtc aagatctggt tccagaaccg ccgctacaag 240 tgtaagcgac agcggcagga ccagactctg gagctgctgg ggccgccgcc gccgcccgcg 300 cgcaggatcg cggtgccggt gttggtgcgc gacgggaagc cctgcctggg ggactcggcg 360 gcctacgctc ccgcctacgg cgtgggtctc aacgcctacg gctacaacgc ctacccctat 420 cccggctacg gtggcgcggc ctgcagtccc gcctacagct gcgcagccgc gtaccccgcc 480 gcgccccccg ccgcgcagcc cccagccgca gcggccaaca gcaacttcgt gaacttcggc 540 gtcggggact 550 <210> 18 <211> 9 <212> DNA <213> Rat <220> <223> base sequence of 157-165 in the base sequence represented by SEQ I D NO: 2 <400> 18 gaggcctac 9 <210> 19 <211> 12 <212> DNA <213> Rat <220> <223> base sequence of 391-402 in the base sequence represented by SEQ I D NO: 2 <400> 19 cgaccacgcg cg 12 <210> 20 <211> 6 <212> DNA <213> Rat <220> <223> base sequence of 490-495 in the base sequence represented by SEQ I D NO: 2 <400> 20 gcgcct 6 <210> 21 <211> 9 <212> DNA <213> Rat <220> <223> base sequence of 796-804 in the base sequence represented by SEQ I D NO: 2 <400> 21 gcagccgcg 9 <210> 22 <211> 18 <212> DNA <213> Rat <220> <223> base sequence of 829-846 in the base sequence represented by SEQ I D NO: 2 <400> 22 cagcccccag ccgcagcg 18
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で示した本発明の新規Nkx2.5類似タ
ンパク質をコードするDNA(No10 rCsx full)とAF00
6664(AF006664Csx.SE)のアライメントを示す(図2に
続く)。
【図2】 実施例1で示した本発明の新規Nkx2.5類似タ
ンパク質をコードするDNA(No10 rCsx full)とAF00
6664(AF006664Csx.SE)のアライメントを示す(図1の
続き、図3に続く)。
【図3】 実施例1で示した本発明の新規Nkx2.5類似タ
ンパク質をコードするDNA(No10 rCsx full)とAF00
6664(AF006664Csx.SE)のアライメントを示す(図2の
続き、図4に続く)。
【図4】 実施例1で示した本発明の新規Nkx2.5類似タ
ンパク質をコードするDNA(No10 rCsx full)とAF00
6664(AF006664Csx.SE)のアライメントを示す(図3の
続き、図5に続く)。
【図5】 実施例1で示した本発明の新規Nkx2.5類似タ
ンパク質をコードするDNA(No10 rCsx full)とAF00
6664(AF006664Csx.SE)のアライメントを示す(図4の
続き、図6に続く)。
【図6】 実施例1で示した本発明の新規Nkx2.5類似タ
ンパク質をコードするDNA(No10 rCsx full)とAF00
6664(AF006664Csx.SE)のアライメントを示す(図5の
続き、図7に続く)。
【図7】 実施例1で示した本発明の新規Nkx2.5類似タ
ンパク質をコードするDNA(No10 rCsx full)とAF00
6664(AF006664Csx.SE)のアライメントを示す(図6の
続き、図8に続く)。
【図8】 実施例1で示した本発明の新規Nkx2.5類似タ
ンパク質をコードするDNA(No10 rCsx full)とAF00
6664(AF006664Csx.SE)のアライメントを示す(図7の
続き、図9に続く)。
【図9】 実施例1で示した本発明の新規Nkx2.5類似タ
ンパク質をコードするDNA(No10 rCsx full)とAF00
6664(AF006664Csx.SE)のアライメントを示す(図8の
続き)。
【図10】 心筋梗塞モデルラットでの本発明の新規Nk
x2.5類似タンパク質をコードするDNAの経時変化を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/00 A61P 9/10 4C084 9/04 C07K 14/47 4C085 9/10 16/18 4C086 C07K 14/47 C12N 1/15 4C087 16/18 1/19 4H045 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/02 5/10 G01N 33/15 Z C12P 21/02 33/50 Z C12Q 1/02 33/53 D G01N 33/15 M 33/50 33/566 33/53 A61K 35/76 39/395 D 33/566 C12N 15/00 ZNAA // A61K 35/76 5/00 A 39/395 A61K 37/02 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA40 BA11 BB50 DA12 DA13 DA14 DA36 FB02 4B024 AA01 AA11 BA44 BA80 CA04 CA11 DA01 DA02 DA05 DA11 EA01 EA02 EA03 EA04 FA02 GA11 HA01 4B063 QA01 QA08 QA18 QQ05 QQ13 QQ79 QR08 QR33 QR42 QR59 QR62 QS05 QS25 QS36 QX02 4B064 AG01 CA01 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA87X AA90Y AB01 AB02 BA01 BA08 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA06 AA07 AA13 AA17 BA01 BA22 BA23 CA53 ZA36 4C085 AA13 AA19 BB31 CC21 EE01 4C086 AA01 EA16 MA01 MA04 NA14 ZA36 4C087 AA01 BC83 ZA36 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA00 DA76 EA23 EA50 FA72 FA74

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタ
    ンパク質またはその塩。
  2. 【請求項2】 配列番号:1で表されるアミノ酸配列を
    含有するタンパク質またはその塩。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のタンパク質の部分ペプチ
    ドまたはその塩。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のタンパク質または請求項
    3記載の部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを
    含有するポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 DNAである請求項4記載のポリヌクレ
    オチド。
  6. 【請求項6】 配列番号:2で表される塩基配列を含有
    する請求項5記載のDNA。
  7. 【請求項7】 請求項4記載のポリヌクレオチドを含有
    する組換えベクター。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の組換えベクターで形質転
    換された形質転換体。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の形質転換体を培養し、請
    求項1記載のタンパク質もしくはその塩または請求項3
    記載の部分ペプチドまたはその塩を生成、蓄積せしめ、
    これを採取することを特徴とする請求項1記載のタンパ
    ク質もしくはその塩または請求項3記載の部分ペプチド
    もしくはその塩の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1記載のタンパク質もしくはそ
    の塩または請求項3記載の部分ペプチドもしくはその塩
    を含有してなる医薬。
  11. 【請求項11】 請求項1記載のタンパク質もしくはそ
    の塩または請求項3記載の部分ペプチドもしくはその塩
    に対する抗体。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の抗体を含有する診断
    薬。
  13. 【請求項13】 請求項1記載のタンパク質もしくはそ
    の塩または請求項3記載の部分ペプチドもしくはその塩
    を用いることを特徴とする、請求項1記載のタンパク質
    もしくはその塩または請求項3記載の部分ペプチドもし
    くはその塩の活性を調節する化合物またはその塩のスク
    リーニング方法。
  14. 【請求項14】 請求項1記載のタンパク質もしくはそ
    の塩または請求項3記載の部分ペプチドもしくはその塩
    が、請求項1記載のタンパク質または請求項3記載の部
    分ペプチドをコードするDNAを含有するDNAで形質
    転換された形質転換体の細胞質内に発現されたものであ
    る請求項13記載のスクリーニング方法。
  15. 【請求項15】 請求項1記載のタンパク質もしくはそ
    の塩または請求項3記載の部分ペプチドもしくはその塩
    を含有することを特徴とする、請求項1記載のタンパク
    質もしくはその塩または請求項3記載の部分ペプチドも
    しくはその塩の活性を調節する化合物またはその塩のス
    クリーニング用キット。
  16. 【請求項16】 請求項13記載のスクリーニング方法
    または請求項15記載のスクリーニング用キットを用い
    て得られる、請求項1記載のタンパク質もしくはその塩
    または請求項3記載の部分ペプチドもしくはその塩の活
    性を調節する化合物またはその塩。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の化合物またはその塩
    を含有してなる医薬。
  18. 【請求項18】 心疾患の予防・治療剤である請求項1
    7記載の医薬。
  19. 【請求項19】 請求項1記載のタンパク質または請求
    項3記載の部分ペプチドをコードするDNAに相補的も
    しくは実質的に相補的な塩基配列を有するアンチセンス
    ヌクレオチド。
  20. 【請求項20】 請求項19記載のアンチセンスヌクレ
    オチドを含有してなる医薬。
  21. 【請求項21】 請求項4記載のポリヌクレオチドを含
    有してなる医薬。
  22. 【請求項22】 請求項4記載のポリヌクレオチドを含
    有してなる診断薬。
  23. 【請求項23】 哺乳動物に対して、請求項16記載の
    化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とす
    る心疾患の予防・治療方法。
  24. 【請求項24】 心疾患の予防・治療剤を製造するため
    の請求項16記載の化合物またはその塩の使用。
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