JP2002353128A - 電子ビーム描画装置及び電子ビーム描画方法 - Google Patents

電子ビーム描画装置及び電子ビーム描画方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】大幅なスループットの低下を招くことなく、ク
ーロン効果による電子ビームの広がり(ボケ)の解決を
はかることができる電子線描画装置および描画方法を提
供する。 【解決手段】クロスオーバー像が形成される電子ビーム
行路上の位置の近傍に輝度を選択するための複数の開口
を有する輝度調整用絞り106を設置し、輝度調整用の
信号を基に電子ビームの通過する開口を選択して、輝度
を所望の値に調整する。描画中、輝度が常にクーロン効
果を無視できるために必要にして十分に低くなるよう
に、ビーム面積に応じた輝度の調整を行うことにより、
面積が小さくクーロン効果が小さなビームについても必
要以上に輝度を低くすること無く、効率よくクーロン効
果を低減させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体プロセスに
おいて用いられる電子線描画装置および描画方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、回路パターンの超微細化・高集積
化が著しく進み、フォトマスク製作に用いられる電子ビ
ーム描画においては、高精度化のみならず、高速化が強
く求められるようになってきた。一方、次世代リソグラ
フィ技術の候補である、電子ビームを用いてウェハ上に
直接描画する直描方式においても、描画速度がデバイス
量産のための第一の課題となっている。
【0003】この描画速度を決定する主な因子といえる
のが、試料上に照射される電子ビームの面積および電流
密度である。
【0004】このうち、電子ビームの面積はアパーチャ
により成形された電子ビームの試料上における面積で、
アパーチャの面積に電子光学系による縮小率をかけたも
のであり、ショット数を決定するパラメータである。こ
れまでにも、電子ビームの形状を描画すべきパターンに
近づけることにより電子ビームの面積を増大させ、ショ
ット数を軽減し描画時間の短縮が図られてきた。
【0005】具体的には、電子ビームの形状を、点ビー
ムから、面積を有する寸法可変の矩形等に成形した可変
成形ビーム、さらには予め用意したアパーチャにより成
形された一括図形ビームと発展させてきた。このうち、
一括図形ビームは、描画すべきパターン形状を持ったア
パーチャを用いて多数の画素を試料上に一括露光するも
ので、特に、繰り返しパターンの多いメモリ等の描画に
おいては、ショット数の大幅な軽減を可能とする。通常
は、繰り返しの多いパターンについては一括図形ビーム
で描画し、その他のパターンについては可変成形ビーム
で描画するといったように、一括図形ビームと可変成形
ビームを併用することによりスループットを向上させて
いる。
【0006】一方、電流密度は1ショットの照射時間を
決定するパラメータであり、これが高い程、描画速度を
高めることが出来る。しかし、電流密度が高くなると、
1ショットあたりの電流量が大きくなるため、電子同士
がクーロン力により互いに反発すること(クーロン効
果)による電子ビームの広がり(ボケ)の影響が無視で
きなくなる。特に、一括図形ビームによる露光において
は、電子ビームの面積が大きいため、この現象の影響を
大きく受ける。
【0007】これについては、特開平7-142360
号公報において、一括図形用の開口内に電子線描画装置
の解像度よりも細かい微細な構造体を均一に設けて、試
料上における一括図形電子ビームの面積を見かけ上は変
化させることなく実質的に変化させることにより、電流
量を小さくする方法が提案されている。しかし、この方
法においては、電流量を制限するための開口が一括図形
内または一括図形近傍に設置されていたため、電流量を
制限するための開口が解像してしまうという課題を有す
る。このために、遮蔽部はかなり細かくなければなら
ず、遮蔽部の形成や使用中の汚染という点で課題を有し
ており、実用的ではない。
【0008】また、特開平11-219879号公報に
おいては、面積の小さい可変成形と面積の大きな一括図
形とで、電流密度とビームサイズを調整する方法が報告
されている。この方法においては、コンデンサレンズを
使用し、マスクに入射する電流量を面積の小さな可変成
形ビームと等しくしている。即ち、面積の大きな一括図
形ビームにおいては、面積の小さな可変成形ビームに比
べて、輝度は変化させることなく、電流密度を小さくし
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】今後、回路の微細化・
高集積化がさらに進むにつれ、電子ビーム描画装置の高
速化への要求はますます高まることが予想される。この
要求に答えるためには、電子ビームの強度をさらに強く
するか、電子ビームの面積をさらに大きくすることが必
要となる。いずれの方法によってもクーロン効果による
電子ビームの広がりは大きくなる方向である。
【0010】本発明の目的は、大幅なスループットの低
下を招くことなく、クーロン効果による電子ビームの広
がりの解決をはかることができる電子線描画装置および
描画方法を提供することある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明では、輝度、即ち、単位面積、単位立体角当
たりの通過する電子の量を制御する。即ち、輝度が常に
クーロン効果が無視できるために必要にして十分に低く
なるように、描画中も必要に応じて調整を行う。
【0012】従来の技術で述べたように、輝度とは単位
立体角あたりの電流密度であり、輝度を低くすること
は、開き角を変化させることなく電子ビームを全体的に
薄めることを意味する。クーロン効果は電子ビームの全
行路にわたって起こる電子間の相互作用によるものであ
るから、輝度を抑えることにより、クーロン効果を効果
的に低減させることが出来る。
【0013】これを行うために、電子ビーム描画装置の
パターンデータ処理部には、パターンデータをもとに、
ショット面積または各ショットが可変成形ビームによる
照射か、一括図形ビームによる照射かを認識する機能を
設け、その情報をもとに輝度を調整するための信号を発
生させる。
【0014】そして、クロスオーバー像が形成される電
子ビーム行路上の位置の近傍に輝度を選択するための複
数の開口を有する絞りを設置し、輝度調整用の信号をも
とに、以下に示した2つの方法のいずれかにより電子ビ
ームの通過する開口を選択し、輝度を所望の値に調整す
る。 (1)偏向器を用いて電子ビームの軌道を操作する。 (2)アクチュエーターを用いて、絞りを物理的に移動
させる。
【0015】また、信号を光ケーブルにより、設置電位
に対してフローティング状態にあるウェネルト電極また
は引き出し電極に印加する電圧を調整し、輝度を所望の
値に調整する。
【0016】一方、光励起電子源を用いた電子銃など輝
度の調整が比較的容易な電子源を用いても、描画中に輝
度を所望の値に調整することが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について、
図面を参照して説明する。
【0018】(実施例1)図1に、本発明の電子ビーム
描画装置の構成図を示す。
【0019】熱電子源101から放出された電子ビーム
は、アノード電極103に向かって加速された後、コン
デンサレンズ105に入射する。ウェネルト電極102
の電圧は一定に保たれている。クロスオーバー結像図1
22、マスク結像図123に示したように、コンデンサ
レンズ105の収束作用により、コンデンサレンズ出口
近傍にクロスオーバーが出来る。ここに、輝度調整用絞
り106を設置する。輝度調整用絞り106は、開口率
の異なる複数の開口を持ち、電子ビームが通過する開口
を選択させることにより、輝度の調整を行う。輝度の調
整についての詳細は後で述べる。開口率とは、輝度調整
用絞りの全面積のうち開口部の占める割合を意味する。
【0020】輝度調整用絞り106を通過した電子ビー
ムは、第一マスク108を照射する。第一マスク108
には、単一の矩形開口が設けられており、照射された電
子ビームにより開口像が得られる。第一マスク108の
開口像は、成形レンズ110により第二マスク111上
に形成される。第二マスク111には、可変成形照射法
を行うための矩形開口および一括図形照射法を行うため
の成形開口が設けられている。第二マスク111上の結
像位置は、ビーム成形用偏向器109により制御され、
これにより電子ビームの形状および面積が決定される。
第二マスク111の開口を通過した電子ビームは、縮小
レンズ112と対物レンズ113によりステージ118
に設置された試料117に投影される。
【0021】対物レンズ113内には偏向器群が設置さ
れており、この偏向器群により試料上における電子ビー
ムの結像位置が決められる。本実施例における偏向器群
は偏向領域が5mmと最も大きい主偏向器114、およ
び偏向領域が500μmと二番目に大きい副偏向器11
5、および偏向領域が80μmと最も小さい副副偏向器
116からなる。以上が、本実施例に用いた電子ビーム
描画装置の装置構成である。
【0022】次に、輝度の調整について詳細を述べる。
【0023】まず、従来の電子ビーム描画方法における
ビーム面積と輝度とビームの広がりの関係を図2(a)
に示す。一枚の試料を描画中は、電流の大小によらず輝
度を常に一定に保たれている。この結果、ビーム面積が
大きくなるとクーロン効果によるビームの広がりが大き
くなる。
【0024】一方、本実施例におけるビーム面積と輝度
とビームの広がりの関係を図2(b)に示したように、
一枚の試料を描画中も、電流の大小によって輝度を調整
することによって、クーロン効果によるビームの広がり
が許容範囲内に収める。図2(c)に示したように、輝
度の調整の段階数を多くして輝度をほぼ連続的に変化さ
せ、クーロン効果によるビームの広がりが常に一定にす
るのが理想的ではあるが、輝度調整用絞りの開口数が多
くなると、装置構成が複雑になる。
【0025】そこで、本実施例では、輝度調整の段階数
を5段階と決定し、図3(a)に示したように正方形の
開口を100μm間隔で5つ配置した輝度調整用絞りを
製作した。開口の大きさは、輝度調整用絞り上でのビー
ム径であるクロスオーバー径が約30μmであることか
ら、3倍程度の余裕をみて一辺85μmとした。開口率
は25%から100%までの5種類、材質はシリコン製
である。開口形状としては、図3(b)および(c)に
示したようなメッシュ形状とした。この他、図3(d)
および(e)に示したような複数の微小な開口を持つ形
状でもよい。また、図3(f)および(g)に示したよ
うなスリット形状でもよい。
【0026】しかし、本発明においては、像が試料上に
結ばれない位置に、開口率の異なる複数の開口を持つこ
とが重要なのであって、形状そのものは特に重要な意味
をもたないため、この他の形状でも構わない。
【0027】次に、輝度調整用絞りの位置について述べ
る。図1に示すように、この輝度調整用絞り106は、
アノード電極103と第一マスク108の間に設置した
コンデンサレンズ105によって第一マスク108の上
流にクロスオーバーが作られる位置に設置した。これ
は、クロスオーバー結像図122に示したようにクロス
オーバーの像は試料上に結像しない上、試料上に投影さ
れる電子ビームの形状は第一マスク108で最初に決定
されるため、クーロン効果の影響をより小さくするため
には、第一マスク108に入射する前に電子ビームの輝
度を調整する必要があり、また、電子ビームの行路中、
輝度の高い領域を出来るだけ少なくして、電子がクーロ
ン力を及ぼしあう時間を短縮することもクーロン効果の
影響を小さくするため有効であったためである。
【0028】ここで、上流とは電子ビームの行路上の電
子銃側を意味する。下流とは電子ビームの行路上の試料
側を意味する。なお、装置構成上、コンデンサレンズ1
05の使用が難しい場合は、第一マスク108より下流
にできるクロスオーバーまたはクロスオーバー近傍に設
置してもよい。
【0029】一方、本実施例においては、次のようにし
て電子ビームが通過する輝度調整用絞りの開口を選択さ
せた。
【0030】まず、パターンデータ処理部119では、
ショット毎に、パターンデータを基にショット面積を計
算し、その情報を基に輝度調整用絞りの複数の開口から
最も適したものを選択する。本実施例においては、描画
に先立って行った実験により、図2(d)に示したよう
な各ビーム面積と最適な輝度調整用絞りの開口番号の対
応関係を求め、これに従って開口の選択を行った。そし
て、輝度選択用制御信号発生部120は、電子ビームが
所望の開口を通過するように、輝度選択用静電偏向器1
07に偏向信号を伝送する。
【0031】本実施例においては、輝度調整用絞り10
6は第一マスク108より上流にあり、輝度選択用静電
偏向器107の収差は直接試料上に投影される像には反
映されないため、輝度選択用の偏向器を静電の4極とし
たが、8またはそれ以上の極を持つ静電偏向器または電
磁偏向器であっても同様の効果が得られる。
【0032】また、本実施例においては、輝度選択用静
電偏向器107は輝度調整用絞り106の上流および下
流に設置された2つの偏向器からなり、それぞれ、ビー
ムを輝度調整用絞りの所望の位置に偏向する作用と偏向
されたビームを中心軸に振り戻す作用を持つが、輝度調
整用絞りの下流に設置された振り戻し用の偏向器が、装
置構成上の理由等で設置できなかった場合、さらに下流
の偏向器で降り戻すことも可能である。
【0033】上記の手順で、電子ビームが輝度調整用絞
り106の最も適した開口を通過すると同時に、輝度選
択用制御信号生成部120は電子光学系制御部121に
選択した開口についての情報を伝送する。電子光学系制
御部121では、これをもとにビーム照射時間の補正計
算を行い、ブランキング電極104をはじめとした描画
装置鏡筒内各部を制御し、単位面積当たりのビーム照射
量が所望の値になるように調整する。
【0034】以上の方法で、ショット毎にビーム面積に
応じて開口を選択し、輝度の調整を行った結果、面積が
大きくクーロン効果が大きなショットについては低輝度
の電子ビームで、面積が小さくクーロン効果が小さなビ
ームについては充分に高輝度の電子ビームで描画するこ
とが出来た。その結果、一定の輝度で描画する従来の方
法に比べて、本実施例ではスループットが約35%向上
させることができた。
【0035】(実施例2)実施例1においては、クロス
オーバー位置に設置された輝度調整用絞りの開口を選択
する手段として、静電偏向器を用いて電子ビームの軌道
を調整し、電子ビームが通過する開口を選択するという
方法をとった。これに対して、本実施例においては、輝
度調整用絞りを物理的に移動させ、電子ビームの軌道を
調整することなく、通過する開口を選択する。
【0036】これを実現するためには、輝度調整用絞り
を高速に移動させるためのアクチュエーターが必要であ
る。アクチュエーターを駆動するに当たって、電子ビー
ムに影響を与えるような電場または磁場を発生させない
ことが必要条件である。また、アクチュエーターを電子
光学鏡筒内に設置する場合は、出来るだけ容積を占めな
いこと、および、アウトガスおよび粉塵等を発生させな
いことも要求される。以上の要求を満たすアクチュエー
ターとして、超音波モーターおよびピエゾ素子用いたア
クチュエーター等をあげることが出来る。
【0037】一方、近年、これまで半導体製造工程で用
いられてきた微細加工技術を用いて小型化した機械的素
子と電気的素子を集積化し、センサやアクチュエーター
等を作製するマイクロメカトロニクス技術の発展が目覚
しい。特に、センサ、電子回路、アクチュエーターなど
をシリコンチップの上に実現したシステムは、MEMS
(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)と呼
ばれている。
【0038】このマイクロメカトロニクスは、電子光学
鏡筒の中などの狭い空間の中での微小な動きに適してい
る一方、力が弱く外乱に弱いという短所も持ち合わせて
いるが、本発明においては、移動させる対象である輝度
調整用絞りは軽い上、移動距離も200〜300μm程
度と短い。また、要求される位置精度も数10μm程度
であり、外乱による多少の位置変動は問題とならない。
さらに、将来的にマイクロアクチュエーターおよび位置
検出用のセンサおよびそれらの駆動回路を集積化したシ
ステムを同一チップ上に製作することが可能になれば、
極めて簡便に電子光学鏡筒に取り付けることが出来る。
そこで、本実施例では、実施例1と同様の輝度調整用絞
りに、静電力を動力とするマイクロアクチュエーターを
取り付けることにより輝度調整用絞りを可動にした。
【0039】図4は、本実施例の構成を説明する図であ
る。本実施例においては次のようにして電子ビームが通
過する輝度調整用絞りの開口を選択させた。
【0040】パターンデータ処理部119では、ショッ
ト毎にショット面積を認識し、その情報を基に輝度調整
用絞りの複数の開口から最も適したものを選択する。開
口の選択は実施例1と同様の方法で行う。そして、輝度
選択用制御信号発生部120はマイクロアクチュエータ
ー制御回路401に信号を伝送し、マイクロアクチュエ
ーター402を駆動する。これにより輝度調整用絞り4
03が、図4中に示した矢印の方向に移動する。この
間、電子ビームはブランキング電極104によりブラン
キングされている。その後、位置検出センサ404によ
り輝度調整用絞り403の移動が終了したことを確認し
た後、ブランキングが解除される。
【0041】以上の一連の動作により、電子ビームが所
望の開口を通過する。同時に、輝度選択用制御信号発生
部120は電子光学系制御部121に選択した開口につ
いての情報を伝送する。電子光学系制御部121では、
これをもとにビーム照射時間の補正計算を行い、ブラン
キング電極をはじめとした描画装置鏡筒内の各部を制御
し、単位面積当たりのビーム照射量が所望の値になるよ
うに調整する。
【0042】輝度調整用絞りには実施例1と同様のもの
を用い、ショット毎にビーム面積に応じて開口を選択
し、輝度の調整を行った。この結果、一定の輝度で描画
する従来の描画方法に比べてスループットを約30%向
上させることが出来た。
【0043】(実施例3)実施例1においては、照射す
る電子ビームの成形方法(可変成形ビームまたは一括図
形ビーム)に関わらず、電子ビームの面積に応じて電子
ビームの輝度の調整を行った。この方法においては、実
施例1で述べたように、ショット毎にパターンデータを
もとにショット面積を計算し、輝度調整用絞りの複数の
開口から最も適したものを選択し、輝度選択用静電偏向
器に信号を送る。
【0044】ところが、実際に描画される多くのパター
ンにおいては、複雑な形状を試料上に一括露光する一括
図形ビームは、面積が大きくクーロン効果が問題となり
易いのに比べて、可変成形ビームは、面積が小さくクー
ロン効果が殆ど問題にならない程小さい場合が多い。つ
まり、可変成形ビームについては、ビーム面積によるシ
ョット毎の輝度の調整を行わず、一括図形のみ輝度の調
整を行うだけで、充分にクーロン効果を小さく抑えるこ
とが出来る場合が多い。
【0045】そこで、本実施例においては、可変成形ビ
ームは全て同一の輝度で描画を行った。可変成形ビーム
は面積が一定ではないが、最も面積の大きな可変成形ビ
ームを基準に開口を選択した。これにより、輝度を変化
させる頻度を下げることが出来る。
【0046】一方、一括図形ビームについては、描画に
先立ち、各一括図形ビームに最も適した輝度調整用絞り
の開口を選択し、対応関係を描画装置内で記憶させるこ
とにより、ショット毎にショット面積を計算し、輝度調
整用絞りの開口を選択する必要がなくなり、一回の輝度
調整に要する時間を大幅に短縮させることが出来る。
【0047】本実施例で使用した一括図形は25種類で
ある。描画に先立ち、描画装置の制御計算機は、可変成
形ビームと25種類の一括図形ビームについて輝度調整
用絞りの複数の開口から最も適したものを選択し、対応
関係を輝度選択用制御信号発生部内の記憶装置内に収め
る。本実施例では、図5に示したように各ビームと輝度
調整用絞りの開口の対応関係になった。描画に際して
は、輝度選択用制御信号発生部が上記の設定をもとにシ
ョット毎に輝度選択用静電偏向器に信号を伝送し、電子
ビームの輝度を調整した。なお、図5中の開口番号は、
図2(d)に示した番号に対応する。
【0048】以上の結果、実施例1と比較して、輝度を
変化させる頻度を下げ、また一回の輝度調整に要する時
間を短縮させることが出来たため、実施例1に比べて、
ビーム照射時間については若干長くなったものの、輝度
を変える回数が減り輝度制定のための描画待ち時間が短
縮されたため、総描画時間はむしろ短くなり、スループ
ットを従来の描画方法に比べて約38%向上させること
が出来た。また、輝度選択用制御信号発生部の構成をよ
り簡単にすることが出来た。
【0049】なお、本実施例においては、各一括図形の
面積が大きく異なったため、一括図形毎に輝度の設定を
行ったが、各図形の面積が大きく異ならない場合は、輝
度を一括図形の面積の最大値、または全一括図形面積の
平均値を基準に決定し、全一括図形について同一の輝度
で描画してもよい。なお、可変成形ビームについては、
最も面積の大きな可変成形ビームを基準に開口を選択し
たが、可変成形ビームの面積の平均値を基準に決定して
もよい。
【0050】(実施例4)実施例1乃至3においては、
ショット毎に、電子ビームの面積に応じて、またはビー
ム成形方法(可変成形ビームまたは一括図形ビーム)に
応じて、輝度の設定を行った。その結果、輝度制定時間
が問題となる場合があった。特に、アクチュエーターを
利用した輝度選択方法においては、アクチュエーターの
移動を開始(A)してから位置が定まる(B)までに約
150μsの時間を要し、輝度を変える頻度が高いパタ
ーンにおいては、輝度調整時間が描画時間に占める割合
が高くなり、輝度調整によるスループット低減の効果が
見えなくなっていた。
【0051】そこで、本実施例では輝度の調整をショッ
ト毎ではなく、主偏向フィールド毎に行う。具体的に
は、パターンデータ処理部において、主偏向フィールド
毎に、フィールド内で最も面積の大きなショットを検出
し、これを基準に実施例3と同様の方法で偏向フィール
ド内における電子ビームの輝度を決定した。
【0052】そして、図6に示すように、主偏向器の整
定待ちと同期して、輝度選択用制御信号発生部120は
アクチュエーター駆動回路に信号を伝送し、アクチュエ
ーター402の移動を開始する。その後、センサにより
輝度調整用絞り403の移動が終了したことを確認した
後、次の偏向フィールドの描画を開始した。これによ
り、本実施例では、輝度制定時間が実質上短縮され、描
画パターンによっては実施例3に比べてさらに描画時間
が短くなるものもあり、従来の描画方法に比べてスルー
プットを最大で約30%向上させることが出来た。
【0053】本実施例においては、輝度の調整を主偏向
フィールド毎に行った。これは、主偏向器の制定待ち時
間が約100μs程度であり、アクチュエーターの移動
に要する時間に近かったためである。しかし、今後、ア
クチュエーターの移動に要する時間がさらに短縮された
場合は、輝度の調整を副偏向フィールドまたは副副偏向
フィールド毎に行えばスループットがさらに向上する。
【0054】なお、面積の大きなショットと面積の小さ
なショットがフィールド内に混在する場合は、フィール
ド内での描画順を開口毎にソーティングすれば、フィー
ルド内における輝度の調整回数を減少させることが出来
るため、本実施例と同様に輝度制定時間を短縮させるこ
とが出来る。また、本実施例においては、偏向フィール
ド毎に輝度の調整を行ったが、ステージの移動方向を変
える際に輝度の調整を行ってもよい。
【0055】(実施例5)図7は、本実施例の構成を説
明する図である。実施例1においては絞りを用いて電子
ビームの輝度の調整を行ったが、本実施例においては、
ウェネルト電極102に印加する電圧を変化させること
により輝度を調整する。
【0056】熱電子源101から放出された電子ビーム
は、アノード電極103に向かって加速された後、第一
マスク108を直接照射する。第一マスクには単一の矩
形開口が設けられており、照射された電子ビームにより
開口像が得られる。第一マスク108の開口像は、成形
レンズ110により第二マスク111上に形成される。
第二マスク111には、可変成形照射法を行うための矩
形開口および一括図形照射法を行うための成形開口が設
けられている。第二マスク111上の結像位置は、ビー
ム成形用偏向器109により制御され、これにより電子
ビームの形状および面積が決定される。第二マスク11
1の開口を通過した電子ビームは、縮小レンズ112と
対物レンズ113によりステージ118に設置された試
料117に投影される。対物レンズ内には、偏向器群が
設置されており、この偏向器群により試料上における電
子ビームの結像位置が決められる。
【0057】本実施例における偏向器群は、偏向領域が
5mmと最も大きい主偏向器114および偏向領域が5
00μmと二番目に大きい副偏向器115、および偏向
領域が80μmと最も小さい副副偏向器116からな
る。
【0058】一方、パターンデータ処理部119に設け
られた輝度調整用制御信号発生部703は、ショット毎
にショット面積を認識し、その情報をもとに所望の輝度
を計算し、ウェネルト電源に伝送するための信号を発生
する。同時に、電子光学系制御部121に輝度の値を伝
送する。電子光学系制御部121では、これをもとにビ
ーム照射時間の補正計算を行い、ブランキング電極10
4をはじめとした描画装置鏡筒内の各部を制御し、単位
面積当たりのビーム照射量が所望の値になるように調整
する。
【0059】ところで、通常、ウェネルト電極102は
その電位が電子源とほぼ等しく、電子源に加える加速電
圧のため、設置電位に対して高圧でフローティング状態
となっている。このため、輝度調整用制御信号発生部を
ウェネルトと同電位にすることは絶縁対策など装置構成
上制約が生じるだけでなく、加速電源系統に放電を生じ
た場合には輝度調整用制御信号発生部703が破壊され
るなど信頼性の観点からも支障をきたす。このため、輝
度調整用制御信号発生部703からウェネルト電源70
1への信号伝送を光ケーブルおよび光コネクタ702を
用いて電気的に分離することで、装置構成を簡略化し、
信頼性の向上を図る。ウェネルト電源701において
は、輝度調整用制御信号発生部から伝送された光信号を
電気信号に変換した後、所望のウェネルト電圧を生成す
る。
【0060】ここで、ウェネルト電圧は、以下の要領で
計算する。図8に、ウェネルト電圧と輝度の関係の一例
を示す。ウェネルト電圧(電子源からみた電位)を負の
大きな値から浅くすると輝度が増加するが、さらに0V
に近づけると最大値を経て逆に減少する。これは電子を
放出する領域が広くなり、これに伴って軸外電子の寄与
と収差が増加することによる。このようなウェネルト電
圧と輝度の関係を描画に先立ち予め測定する。
【0061】一方、クーロン効果によるビームの広がり
は、アパーチャを通過した電流に比例すると考えること
が出来る。予め実験によりこの関係を求めておき、これ
と上記のウェネルト電圧と輝度の関係から、電子ビーム
の面積に対応するウェネルト電圧を計算することが出来
る。これをテーブルまたは近似式の形で記憶させ、ショ
ット毎に、描画中に輝度が常にクーロン効果が無視でき
るために必要にして十分に低くなるように、パターンデ
ータをもとに計算したビーム面積に応じて、ウェネルト
電圧の調整を行う。
【0062】本実施例においては、以上の要領で輝度を
ショット毎に調整した。具体的には、図9に示すよう
に、面積が2.5μm2以下のショットを輝度8×105
A/cm 2/srで描画し、面積が2.5μm2以上のショ
ットについては最大面積である12.5μm2のショット
まで、面積に反比例させながら、8×105A/cm2/s
rから1.6×105A/cm2/srまでの輝度で描画し
た。このために、ウェネルト電圧を−250Vから−2
00Vの間で調整した。
【0063】なお、面積が2.5μm2以下の領域につい
ては、クーロン効果によるビームの広がりが球面収差お
よびコマ収差等の他の要因によるビームの広がりに比べ
て充分に小さくなるため、特にクーロン効果の補正の必
要がなかった上、ウェネルト電圧を下げすぎると、電子
銃が不安定になる可能性があったため、輝度を一定に保
った。
【0064】上記の調整の結果、面積が小さくクーロン
効果が小さなビームについても必要以上に輝度を低くす
ること無く、効率よくクーロン効果を抑制することが可
能となったため、スループットが、従来の描画方法に比
べて約35%向上したことを示す。
【0065】なお、本実施例においては熱電子源を用い
たため、ウェネルト電圧により輝度の調整を行ったが、
電界放出型の電子源を用いた場合は、引き出し電極の電
圧による調整により同様の効果が得られる。
【0066】(実施例6)図10は、本発明の第6の実
施例の構成を説明する図である。
【0067】光源ユニット1001により制御された複
数の励起光1002がGaAs基板からなる光励起電子
源1003を照射し、光電子面の励起された領域より電
子ビームが放出される。本実施例では、実施例1と同様
にパターンデータ処理部119に設けた輝度調整用制御
信号発生部703からの信号により光源ユニット100
1を制御し、励起光1002の強度を調整することによ
り、光電面より放出される電子の輝度を変化させる。
【0068】本実施例において光励起電子源を用いたの
は、以下の3つの理由からである。 (1)高輝度大電流が得られる。光励起電子は、50k
Vで108A/cm2/sr程度の輝度が得られるため、小
面積での描画でも比較的大きな電流が得られる。また、
同じく高輝度が得られるフィールドエミッションの電子
源と比較しても、電子放出面積を大きく出来るために大
電流を得ることが出来る。 (2)輝度を変化させた際に電子軌道の安定性が高い。
偏向器を用いる方法は、電子軌道を変えるために、その
調整が描画位置精度に大きく影響してしまう。また、ウ
ェネルト電極の電圧を変化させる方式も電子源チップが
電極の中央からずれて配置されると電圧変化が軌道変化
になり、やはり描画位置精度に悪影響を与える。 (3)高速に輝度を変化させることができる。光励起電
子源は、光に対する反応が早く、nsec(ナノ秒)オ
ーダでの輝度の切り替えが可能である。電極に電圧を加
える方法では制御回路や電極の容量のために切り替え速
度に限界が生じてしまう。
【0069】光励起電子源1003より放出された電子
ビームは、引き出し電極1004により引き出された
後、アノード電極103に向かって加速を受け、第一マ
スク104を照射する。
【0070】第一マスク104を透過した電子ビーム
は、可変成形用偏向器109aや図形開口照射用偏向器
109bにより制御され第二マスク111上の所定の位
置を照射する。第二マスク111上には、LSIにおい
て纏まった機能を果たす部分に対応する複数の一括図形
開口111aと可変成形用の矩形開口111bが配置さ
れている。図形開口が一回で照射できる面積より大きい
場合は、複数に分割して露光される。図形開口照射用偏
向器109bの偏向には限界があるために、第二マスク
111は、図形開口の選択の幅を増やすために1枚の試
料の描画中に移動することが好ましい。
【0071】特に、近年複数の回路素子が集合し一定の
機能を果たす回路ブロックを半導体IP(Intellectual
Property)として資産化し、様々な品種のLSIで再
利用する方法が注目されているが、この方法を電子ビー
ム描画装置に適用する場合、大面積のマスクを移動させ
ながら描画を行うことがスループットの観点から非常に
有効である。
【0072】第二マスク111の開口を通過した電子ビ
ームは、縮小レンズ112と対物レンズ113によりス
テージ118に設置された試料117に投影される。対
物レンズ113内には、偏向器群が設置されており、こ
の偏向器群により試料上における電子ビームの結像位置
が決められる。偏向器群は、主偏向器114および副偏
向器115および副副偏向器116からなり、本実施例
においては、それぞれ5mm、500μm、80μmの
偏向領域を持つ。
【0073】本実施例では、大面積の転写を行うために
対物レンズ113を対称磁気ダブレットレンズとした。
対称磁気ダブレットレンズとは、第一のレンズの後方焦
点の位置と第二のレンズの前方焦点の位置の位置とが一
致するように2つのレンズを組み合わせたもので、広い
視野に渡って低収差での結像が可能である。対物レンズ
を対称磁気ダブレットレンズとすることにより、最大照
射面積がクロスオーバー径より大きくクーロン効果の低
減が期待できる。
【0074】本実施例では、以下の手順により輝度の調
整を行った。
【0075】まず、パターンデータ処理部119では、
ショット毎にショット面積を認識し、その情報を基に、
最適な輝度とそのために必要な励起光の強度を計算す
る。これにより、ショット毎に輝度が所望の値に調整さ
れる。この動作と同時に、輝度調整用制御信号発生部7
03は電子光学系制御部121に輝度の値を伝送する。
【0076】電子光学系制御部121では、これをもと
にビーム照射時間の補正計算を行い、描画装置鏡筒内の
各部を制御し、試料上での単位面積当たりのビーム照射
量が所望の値になるように調整する。以上の調整によ
り、実施例1、2、および5に比べてさらに輝度調整に
要する時間を短縮でき、一定の輝度で描画する従来の描
画方法に比べてスループットを約40%向上させること
が出来た。
【0077】なお、本実施例においては、光励起電子源
から放出された電子ビームをマスクに照射し、マスクの
像を試料上に投影する方式をとったが、光励起電子源に
パターン形状を持った光ビームを照射し、パターン形状
を持った電子ビームを放出させ、試料上に縮小投影する
方式による電子ビーム描画装置においても、本実施例と
同様の効果がある。
【0078】またさらに、本実施例においては、電子源
として光励起電子源を用いたが、微小な電界放出電子源
を複数並べたものなどを用いて、駆動する電子源の個数
を調整することにより、マスクを照射する電子ビームの
輝度を調整することが出来るので、同様の効果が得られ
る。
【0079】次に、本発明になる電子線描画装置および
描画方法を半導体装置の製造に適用した例について説明
する。
【0080】図11は、本発明の実施例3を256メガ
バイトDRAMに適用した例を説明するための、描画パ
ターンの概念図を示す。描画パターン1101に示すよ
うに、メモリ素子またはメモリを含む素子においては、
繰り返しパターンの多いメモリセル部に対して、周辺回
路部では、繰り返しパターンが少ない。このため、メモ
リセル部1102については、予め繰り返しパターン1
103を抽出して第二マスクを製作し、一括図形ビーム
で描画を行う。一方、周辺回路部1104については、
繰り返し頻度の高いいくつかのパターン以外は、可変成
形ビームで描画を行う。
【0081】従来は、面積の大きな一括図形ビームを基
準に輝度の調整を行っていたため、特にストレージノー
ド層の描画においては、一括図形のビーム透過率が高
く、ビーム面積が大きいことから、クーロン効果を抑え
るためには、輝度を2×105A/cm2/srと低く抑え
る必要があった。このため、本来、面積が小さくクーロ
ン効果が問題にならない可変成形ビームの輝度をも必要
以上に低く抑えることになり、照射時間が長くなってい
た。同様に、コンタクトホール層の描画においても、一
括図形ビームで描画を行うメモリセル部を基準にする
と、可変成形ビームを含めた全てのショットを6×10
5A/cm2/srの輝度で描画を行わざるを得ないため、
可変成形ビームの照射時間も必要以上に長くなってい
た。
【0082】これに対して、本例では、実施例3と同様
の方法で輝度の調整を行った。即ち、一括図形ビームを
用いるメモリセル部の描画に際しては、輝度を描画前に
各一括図形毎に決定しておいた値に調整しクーロン効果
を低減させ、一方、可変成形ビームを用いる周辺回路部
の描画に際しては、輝度を8×105A/cm2/srまで
高めて、描画時間を短縮した。この結果、従来の描画方
法に比べて、スループットにして25%の向上をはかる
ことができた。
【0083】以上、DRAMに適用した場合について説
明したが、本発明はそれに限定されるものではない。例
えば、図12に示すような、DRAM1202およびE
EPROM(フラッシュメモリ)1203およびマイク
ロプロセッサ1204を有するロジック―メモリ混載型
の半導体集積回路装置1201等に利用できる。
【0084】この場合は、DRAMおよびEEPROM
のメモリセル部においては、一括図形ビームを使用する
ことによってショット数を減らすことが出来る。一方、
DRAMおよびEEPROMの周辺回路部およびマイク
ロプロセッサにおいては、繰り返しの多い一部のパター
ンを除いて可変成形ビームで描画を行う。
【0085】このような混載型の半導体集積回路におい
ては、製造工程において、それぞれに必要な工程、機能
を別々に形成する場合がある。この場合、電子ビーム描
画に際しては、それぞれ単独の素子のパターンを描画す
ることになるので、上述した例と同様に輝度の調整を行
えばよい。
【0086】一方、このような混載型の半導体集積回路
においても、製造工程数の低減および信頼性の向上のた
めに、いくつかのパターニング工程を同時に行う場合が
ある。この場合、電子ビーム描画に際しては、それぞれ
のパターンに応じて、可変成形ビームと一括図形ビーム
を使い分け、また、ビーム面積に応じて輝度の調整を行
う。本例においては、電子ビーム描画によりDRAMと
EEPROMのゲート層を同時にパターニングした。
【0087】この時、繰り返しパターンの多いメモリセ
ル部については、DRAMおよびEEPROMの双方に
ついて繰り返しパターンを抽出して第二マスクを製作
し、一括図形ビームで描画を行った。ここで、DRAM
についてはビーム面積が大きいことから、クーロン効果
を抑えるために2×105A/cm2/srとした。また、
EEPROMについてはDRAMに比べてメモリセルが
小さいため、一括図形ビームの面積はDRAMに比べて
若干小さくなったことから、輝度を3×105A/cm2/
srとした。一方、DRAMおよびEEPROMの双方
の周辺回路部では、繰り返しパターンが少ないことから
可変成形ビームにて描画を行い、輝度は8×105A/c
2/srとした。
【0088】以上のような輝度の調整を主偏向フィール
ド毎に行うことによって、従来の描画方法に比べて、ス
ループットにして20%の向上をはかることができた。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、輝度が常にクーロン効
果が無視できるために必要にして十分に低くなるよう
に、描画中も必要に応じて調整を行うことにより、大幅
なスループットの低下を招くことなく、クーロン効果に
よる電子ビームの広がり(ボケ)の解決をはかることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を説明するための電子ビーム
描画装置の構成図。
【図2】実施例1を説明するためのビーム面積と輝度お
よびクーロン効果の大きさの関係を表す図((a)、
(b)、(c))、およびビーム面積と輝度調整用絞り
開口番号の対応関係を示す図(d)。
【図3】実施例1を説明するための輝度調整用絞りの開
口形状を示す図。
【図4】本発明の実施例2を説明するための電子ビーム
描画装置の構成図。
【図5】本発明の実施例3を説明するための各ビームと
輝度調整用絞り開口番号の対応関係を示す図。
【図6】本発明の実施例4を説明するためのタイムチャ
ート図。
【図7】本発明の実施例5を説明するための電子ビーム
描画装置の構成図。
【図8】実施例5を説明するためのウェネルト電圧と輝
度の関係の一例を表す図。
【図9】実施例5を説明するためのビーム面積と輝度の
関係を表す図。
【図10】本発明の実施例6を説明するための電子ビー
ム描画装置の構成図。
【図11】本発明をDRAMに適用した例を説明する
図。
【図12】本発明をロジック−メモリ混載型の半導体集
積回路に適用した例を説明する図。
【符号の説明】
101…電子源、102…ウェネルト電極、103…ア
ノード電極、104…ブランキング電極、105…コン
デンサレンズ、106…輝度調整用絞り、107…輝度
選択用静電偏向器、108…第一マスク、109…ビー
ム成形用偏向器、110…成形レンズ、111…第二マ
スク、112…縮小レンズ、113…対物レンズ、11
4…主偏向器、115…副偏向器、116…副副偏向
器、117…試料、118…ステージ、119…パター
ンデータ処理部、120…輝度選択用制御信号発生部、
121…電子光学系制御部、122…クロスオーバー結
像図、123…マスク結像図、401…マイクロアクチ
ュエーター制御回路、402…マイクロアクチュエータ
ー、403…輝度調整用絞り、404…位置検出セン
サ、701…ウェネルト電源、702…光コネクタ、7
03…輝度調整用制御信号発生部、1001…光源ユニ
ット、1002…励起光、1003…光励起電子源、1
004…引き出し電極、109a…可変成形用偏向器、
109b…図形開口照射用偏向器、111a…一括図形
開口、111b…矩形開口、1101…描画パターン、
1102…メモリセル部、1103…繰り返しパター
ン、1104…周辺回路部、1201…ロジック―メモ
リ混載型の半導体集積回路装置、1202…DRAM、
1203…EEPROM、1204…マイクロプロセッ
サ。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年8月7日(2002.8.7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/30 541T (72)発明者 太田 洋也 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 5C033 BB02 5C034 BB05 BB08 5F056 AA22 CB07 CC14 EA04 FA03 FA10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子源から放出された電子ビームを、開口
    を有するマスクに照射せしめて成形し、成形された電子
    ビームにより試料面上に所望のパターンを描画するよう
    にした電子ビーム描画装置において、電子ビーム軌道上
    の、クロスオーバー像を形成する位置もしくはその近傍
    に開口を有する絞りを設置し、かつ、該絞りの開口率が
    試料面上に照射される電子ビームのビーム面積に応じて
    変化し得るよう構成したことを特徴とする電子ビーム描
    画装置。
  2. 【請求項2】前記絞りが、開口率の異なる複数の開口を
    有し、かつ、前記絞りの電子源側に偏向器を設けて、該
    偏向器により電子ビームが通過する前記絞りの開口を選
    択するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の電
    子ビーム描画装置。
  3. 【請求項3】前記絞りが、開口率の異なる複数の開口を
    有し、かつ、前記絞りを移動させる手段を設けて、前記
    移動手段により電子ビームが通過する前記絞りの開口を
    選択するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の
    電子ビーム描画装置。
  4. 【請求項4】電子源から放出された電子ビームを、矩形
    開口を有する第一マスクに照射し、電子ビームによる第
    一マスクの開口像を可変成形照射用の矩形開口と一括図
    形照射用の成形開口とを備えた第二マスク上に選択的に
    照射せしめて成形し、成形された電子ビームにより試料
    面上に所望のパターンを描画するよう構成した電子ビー
    ム描画装置において、電子ビーム軌道上の、クロスオー
    バー像を形成する位置もしくはその近傍に開口率の異な
    る複数の開口を有する絞りを設置し、成形された前記電
    子ビームの選択に応じて前記絞りの開口率を制御するよ
    う構成したことを特徴とする電子ビーム描画装置。
  5. 【請求項5】電子源とウェネルト電極もしくは引き出し
    電極とを用いて電子ビームを放出し、開口を有するマス
    クに照射せしめて成形し、成形された電子ビームにより
    試料面上に所望のパターンを描画するようにした電子ビ
    ーム描画装置において、前記ウェネルト電極もしくは引
    き出し電極に印加する電圧を前記試料面上に照射される
    電子ビームのビーム面積に応じて制御するよう構成した
    ことを特徴とする電子ビーム描画装置。
  6. 【請求項6】光励起電子源を用いて放出された電子ビー
    ムにより試料面上に所望のパターンを描画するようにし
    た電子ビーム描画装置において、前記光励起電子源を励
    起するための光の強度を前記試料面上に照射される電子
    ビームのビーム面積に応じて制御するよう構成したこと
    を特徴とする電子ビーム描画装置。
  7. 【請求項7】可変成形用ビームと一括図形用ビームとを
    選択的に用いて試料面上に所望のパターンを描画する電
    子ビーム描画方法において、前記可変成形ビームと前記
    一括図形ビームとで前記試料面上の電子ビームの輝度を
    変化せしめるようにしたことを特徴とする電子ビーム描
    画方法。
  8. 【請求項8】前記一括図形ビームにおいては一括図形の
    パターンに応じて前記電子ビームの輝度を変化させるよ
    うにしたことを特徴とする請求項7記載の電子ビーム描
    画方法。
  9. 【請求項9】前記試料面上における電子ビームの輝度の
    変化を、前記試料面上の描画位置を規定する偏向器によ
    るビームの偏向または試料を移動するステージの整定待
    ちと並行して行うようにしたことを特徴とする請求項7
    記載の電子ビーム描画方法。
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