JP2002348524A - ガスバリア性コーティング剤組成物 - Google Patents

ガスバリア性コーティング剤組成物

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JP2002348524A
JP2002348524A JP2001158464A JP2001158464A JP2002348524A JP 2002348524 A JP2002348524 A JP 2002348524A JP 2001158464 A JP2001158464 A JP 2001158464A JP 2001158464 A JP2001158464 A JP 2001158464A JP 2002348524 A JP2002348524 A JP 2002348524A
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polyvinyl alcohol
gas barrier
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Minako Hayashi
水奈子 林
Eisaku Hirasawa
栄作 平沢
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Fujimori Kogyo Co Ltd
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Fujimori Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 造膜性がよく、しかも形成される膜が低湿度
下はもとより高湿度下においても良好なガスバリア性を
発揮するガスバリア性コーティング剤組成物を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液
と、ポリアクリロニトリル系樹脂の水性エマルジョンと
からなるガスバリア性コーティング剤組成物である。こ
の組成物中のポリビニルアルコール系樹脂とポリアクリ
ロニトリル系樹脂との割合は、両樹脂の合計量を100
重量%とするとき、前者が90〜60重量%で、後者が
10〜40重量%である。ポリアクリロニトリル系樹脂
は、そのガラス転移点Tg が55〜70℃であることが
特に望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、造膜性がよく、し
かも形成される膜が低湿度下のみならず高湿度下におい
ても、良好なガスバリア性を保持するガスバリア性コー
ティング剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】〈塩化ビニリデン系重合体コーティング
剤〉フィルムにガスバリア性を付与するには塩化ビニリ
デン系重合体によるコーティング処理が有効である。し
かしながら、塩素を含むポリマーによるコーティングは
焼却時にダイオキシンの発生が懸念されるため、非塩素
系コーティング剤への移行が進められている。
【0003】〈ポリビニルアルコール系コーティング
剤〉従来よりポリビニルアルコール水溶液は、食品包装
材料のガスバリア層として、ポリエステル、ナイロン、
ポリプロピレンなどのフィルムにコーティングされてい
る。ポリビニルアルコール系コーティングは、ガスバリ
アが良好である上、非塩素系という観点からも、時代の
要請に添うものである。
【0004】しかしながら、ポリビニルアルコールは、
乾燥状態でのガスバリア性についてはポリマー中最もす
ぐれているものの、吸湿性が高いために高湿度下ではガ
スバリア性が著しく低下するという問題点を有してい
る。そこでこの問題点に対処すべく、以下に述べるよう
な提案がなされている。
【0005】(イ)特開平11−246729号公報に
は、ポリビニルアルコール、水溶性ポリアクリル酸系化
合物および無機層状化合物を含有する樹脂組成物が示さ
れている。ここで無機層状化合物の例は、グラファイ
ト、リン酸塩系誘導体型化合物、カルコゲン化物、ハイ
ドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水
酸化物、粘土系鉱物などである。
【0006】(ロ)特開平9−241386号公報に
は、ポリビニルアルコールなどの樹脂水性液に、無機層
状化合物などの荷電粒子を、分散温度が40〜90℃、
分散翼の最大周速度が5m/sec 以上で分散させるように
した分散液の製造方法、その分散液を製膜した成型品、
その分散液を基材にコーティングした積層体、それらの
成型品や積層体の用途が示されている。
【0007】〈ポリアクリロニトリル系コーティング
剤〉非塩素系コーティング剤の一つとして、エマルジョ
ンタイプのポリアクリロニトリル系のコーティング剤も
提案されている。しかしながら、塩化ビニリデン系重合
体コーティング剤と同等のガスバリア性が得られるよう
なコーティング剤を、ポリアクリロニトリル系樹脂単独
で得ることは困難である。そこで、以下に引用するよう
に、アクリロニトリル系モノマーをポリビニルアルコー
ルの存在下に乳化重合する提案もなされている。
【0008】(1)たとえば、特開2000−3194
15号公報には、アクリロニトリル70〜95重量%と
これと共重合可能な1種以上のビニル系モノマー5〜3
0重量%とからなるモノマー混合物100重量部に対し
て、粘度が2〜50 mPa・s 、ケン化度が95.5モル%以
上のポリビニルアルコールの存在下に乳化重合した高ニ
トリル共重合体を主配合したラテックスを、プラスチッ
クフィルムの少なくとも片面に被覆したガスバリア性フ
ィルムが示されている。ポリビニルアルコールは、モノ
マー混合物100重量部に対し、3〜25重量部、望ま
しくは6〜15重量部とすることが好ましく、25重量
部を超えると系の粘度が上がりすぎて重合安定性が確保
しにくいとある。
【0009】(2)特開2000−319478号公報
には、アクリロニトリル70〜95重量%とこれと共重
合可能な1種以上のビニル系モノマー5〜30重量%と
からなるモノマー混合物を、粘度が2〜50 mPa・s 、
ケン化度が95.5モル%以上のポリビニルアルコールの存
在下に乳化重合する高ニトリル共重合体ラテックスの製
造方法が示されている。モノマー混合物100重量部に
対するポリビニルアルコールの存在量は3〜25重量部
が適当であるとしている。
【0010】上記(1)、(2)においては、このよう
にして得た高ニトリル共重合体ラテックスにさらに、そ
の固形分100重量部当り、粘度が2〜50 mPa・s 、
ケン化度が95.5モル%以上のポリビニルアルコールを2
5重量部以下混合することができるとある。このときの
ポリビニルアルコールの合計量は、モノマー混合物10
0重量部に対し、最大で45重量部(25 + 2500/125 =
45)となる。ポリビニルアルコールを追加配合する目的
は、低温における塗膜形成性の改良にある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】〈従来技術の問題点〉
上記(イ)や(ロ)のように、ポリビニルアルコールの
水溶液に無機層状化合物を混合する方法は、無機層状化
合物の分散のために特殊な手段を講じなければならない
上、無機層状化合物を加えると凝集またはゲル化が起こ
りやすく、またゲル化により粘度の上昇が起こるなどの
問題点を有している。そして、たとえ凝集やゲル化のな
いコーティング剤が得られたとしても、コーティング後
に得られる塗膜の透明性が低いなどの問題点がある。
【0012】上記(1)や(2)のように、アクリロニ
トリル系のモノマーをポリビニルアルコールの存在下に
乳化重合して得られるラテックスは、アクリロニトリル
の含量が高く、ガラス転移点も高いため、造膜温度が高
いという問題点がある。また、そのようなラテックスに
ポリビニルアルコールを追加配合した組成物も、依然と
して造膜温度が高く、コーティング膜が形成されたフィ
ルムのガスバリア性も、塩化ビニリデン系重合体コーテ
ィング剤の代替品としての実用レベルに達しないという
限界がある。
【0013】〈本発明の着眼点〉本発明者らは、ポリア
クリロニトリル系樹脂のガスバリア性が、乾燥状態にお
いてはポリビニルアルコールよりは劣るものの、湿度依
存性がほとんどないため、高湿度下ではむしろポリビニ
ルアルコールよりも良好になるという知見に基き、ポリ
ビニルアルコールとポリアクリロニトリル系樹脂とを組
み合わせることを考えた。その場合、ポリアクリロニト
リル系樹脂がガスバリア性を有する程度の高アクリロニ
トリル含量であっても、そのガラス転移点が低いものを
用いることにより造膜温度を下げて、造膜性の良好なも
のを得ることに思い至った。
【0014】食品用、特に水性の液体食品包装用をはじ
めとする包装用フィルムは、輸送中、保管中、展示中、
あるいは消費者の手に渡ってから、種々の湿度条件に置
かれることが多い。そのため、低湿度下においてのみ高
度のガスバリア性を有しているよりも、全湿度条件下に
おいて一定以上のガスバリア性を有する方が合目的的で
ある。
【0015】〈本発明の目的〉本発明は、このような背
景下において、造膜性がよく、しかも形成される膜が低
湿度下はもとより高湿度下においても良好なガスバリア
性を保持するガスバリア性コーティング剤組成物を提供
することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明のガスバリア性コ
ーティング剤組成物は、ポリビニルアルコール系樹脂の
水溶液と、ポリアクリロニトリル系樹脂の水性エマルジ
ョンとの組成物からなること、および、該組成物中のポ
リビニルアルコール系樹脂とポリアクリロニトリル系樹
脂との割合が、両樹脂の合計量を100重量%とすると
き、前者が90〜60重量%で、後者が10〜40重量
%であることを特徴とするものである。
【0017】この場合、ポリアクリロニトリル系樹脂
は、そのガラス転移点Tg が55〜70℃であることが
特に好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂は、
カルボン酸で変性された変性ポリビニルアルコールであ
ることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0019】〈ポリビニルアルコール系樹脂、その水溶
液〉本発明におけるポリビニルアルコール系樹脂として
は、種々の重合度およびケン化度を有する水溶性グレー
ドのポリビニルアルコール;エチレン性不飽和カルボン
酸やポリオキシアルキレン基等の親水性の置換基が導入
された水溶性の変性ポリビニルアルコール;その他のエ
チレン性不飽和モノマー等のコモノマー単位が水溶性を
損なわない範囲で導入された水溶性の変性ポリビニルア
ルコール;ポリビニルアルコールが「後変性」された水
溶性の変性ポリビニルアルコール;などがあげられる。
【0020】これらの中では、エチレン性不飽和カルボ
ン酸で変性された変性ポリビニルアルコールが好まし
い。変性ポリビニルアルコールの水溶液は、ポリアクリ
ロニトリル系樹脂の水性エマルジョンとの相溶性が良
く、しかも変性によってもガスバリア性の低下が小さい
からである。ここでエチレン性不飽和カルボン酸の例
は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレ
ン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマール酸、
イタコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸またはそ
のハーフエステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸等
のエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物;などである。
エチレン性不飽和カルボン酸の変性量は、 0.5〜10モ
ル%程度が適当である。
【0021】ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度
は、ガスバリア性の観点から、90モル%以上、望まし
くは95モル%以上、殊に98モル%以上であることが
好ましい。そして耐水性も考慮すると、そのケン化度は
98モル%以上であることが好ましい。
【0022】ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液にお
けるポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、ポリアクリ
ロニトリル系樹脂の水性エマルジョンとの混和性、混合
後の組成物の塗工性などを考慮すると、5〜20重量%
程度、殊に10〜15重量%程度とすることが多い。
【0023】〈ポリアクリロニトリル系樹脂、その水性
エマルジョン〉ポリアクリロニトリル系樹脂の水性エマ
ルジョンにおけるポリアクリロニトリル系樹脂は、その
ガラス転移点Tg が55〜70℃、殊に58〜68℃以
下であることが好ましい。Tg が余りに低いときには
(一般にアクリロニトリル含量も少なくなる)、ガスバ
リア性が不足するようになる。一方Tg が余りに高いと
きには、造膜可能温度が上昇し、造膜性が損なわれる。
【0024】ポリアクリロニトリル系樹脂は、共重合組
成的には、アクリロニトリルの含量が70〜80モル
%、殊に72〜78モル%のアクリロニトリル共重合体
であることが望ましい。アクリロニトリルの含量が余り
に少ないときはガスバリア性が不足し、一方アクリロニ
トリルの含量が余りに多いときはガラス転移点Tg が上
がり、造膜性が損なわれる。
【0025】アクリロニトリルの共重合相手であるコモ
ノマーとしては、たとえば、各種アクリル酸エステル、
各種メタクリル酸エステル等のエチレン性不飽和カルボ
ン酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド;ア
クリル酸、メタクリル酸等のエチレン性不飽和カルボン
酸;酢酸ビニル等のビニルエステル;スチレン、メチル
スチレン等のスチレン系モノマー;メタクリロニトリ
ル;などがあげられる。
【0026】なお、ポリアクリロニトリル系樹脂のアク
リロニトリル含量(AN含量)とガラス転移点Tg とは
相互に関連し、コモノマーの種類にも若干依存するが、
AN含量が多くなるほど概ねTg が高くなると共に造膜
温度が高くなる傾向がある。AN含量が少ないときはガ
スバリア性が不充分となる傾向がある。
【0027】次の表1は、ポリアクリロニトリル系樹脂
(PAN)の各種グレードにつき、160℃以下での造
膜性と、低湿または高湿条件下における酸素透過度を見
たものである。造膜性については、定性的評価では、×
は造膜不可、△、□、○は造膜可能であるが、△は膜強
度の点で実用的とは言えず、□は造膜性がよいので合格
であるが、○の方がさらに造膜性が良い。
【0028】
【表1】 PANグレード 1 2 3 4 5 6 7 AN含量 (mole%) 77 77 72 65 70 70 75 Tg (℃) 77 73 71 71 59 62 64 160 ℃以下造膜性 × △ △ △ ○ ○ □ 酸素透過度 (50%RH) − 31 33 49 27 26 22 酸素透過度 (70%RH) − 38 44 48 29 34 21
【0029】ポリアクリロニトリル系樹脂の水性エマル
ジョンにおけるポリアクリロニトリル系樹脂の濃度は、
ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液との混合後の組成
物の塗工性を考慮すると、10〜50重量%程度、殊に
20〜40重量%程度とすることが多い。
【0030】〈混合割合〉組成物中のポリビニルアルコ
ール系樹脂とポリアクリロニトリル系樹脂との割合は、
両樹脂の合計量を100重量%とするとき、前者が90
〜60重量%で、後者が10〜40重量%であるように
される。より好ましい割合は、前者が85〜65重量%
で、後者が15〜35重量%である。後者の割合が余り
に少ないときは、高湿下におけるガスバリア性の低下を
防止することができず、後者の割合が余りに多いとき
は、低湿下におけるガスバリア性が不足する。
【0031】〈組成物の調製〉組成物の調製方法として
は、予め調製したポリビニルアルコール系樹脂の水溶液
と、予め調製したポリアクリロニトリル系樹脂の水性エ
マルジョンとを混合する方法が最良である。このときに
は、両者を一括混合するよりも、片方を撹拌しながら、
そこに他方をゆっくりと流し入れる方法が推奨される。
そしてこの場合には、ポリアクリロニトリル系樹脂の水
性エマルジョンを撹拌しながら、そこにポリビニルアル
コール系樹脂の水溶液を少量ずつ添加して撹拌する方
が、その逆の操作に比し、より円滑かつ均一な混合が達
成できるので、特に推奨される。
【0032】組成物中には、必要に応じ、フィラー、光
沢剤、可塑剤、粘度調節剤、架橋剤、酸化防止剤などを
含有させてもよい。
【0033】〈対象物、用途〉上記の組成を有する本発
明のガスバリア性コーティング剤組成物は、包装用フィ
ルムにガスバリア性を付与するための組成物として特に
有用である。包装用フィルムの例は、ポリエステル、ナ
イロン、ポリプロピレンなどのフィルムであり、これら
のフィルムは一軸または二軸に延伸されていてもよく、
またシーラント層との積層フィルムであってもよく、紙
との積層シートであってもよい。包装用フィルムの中で
は、食品包装用フィルム、医薬品包装用フィルムが特に
重要である。
【0034】包装用フィルムのほか、ボトル、コンテ
ナ、トレイなどの包装用容器にガスバリア性を付与する
ための組成物としても用いることができる。
【0035】また、包装用フィルムや包装用容器以外の
用途にも適用が可能である。たとえば、液晶表示用のプ
ラスチックス基板のガスバリア性層などの目的にも用い
ることができる。
【0036】〈作用〉ポリビニルアルコール系樹脂の水
溶液と、ポリアクリロニトリル系樹脂の水性エマルジョ
ンとの組成物から形成された被膜にあっては、低湿度か
ら高湿度の全湿度条件下において、常に一定以上のガス
バリア性が得られる。また、基材フィルムの変形を起こ
さない程度の乾燥条件での造膜が可能である。
【0037】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。
【0038】〈ポリビニルアルコール系樹脂〉ポリビニ
ルアルコール系樹脂として、次のものを準備した。 ・「PVA-1 」:株式会社クラレ製のカルボン酸変性ポリ
ビニルアルコール「KL118」、ケン化度98モル
%、変性度3モル% ・「PVA-2 」:株式会社クラレ製の未変性ポリビニルア
ルコール「PVA110」、20℃における4%水溶液
粘度11cps 、ケン化度98〜99モル%
【0039】〈ポリアクリロニトリル系樹脂エマルジョ
ン〉ポリアクリロニトリル系樹脂エマルジョンとして、
次のものを準備した。なおガラス転移点Tg は、セイコ
ーインスツルメンツ株式会社製の「EXSTAR600
0 DSC6200」を用いて測定した。 ・「PAN-1 」:アクリロニトリル含量75モル%、ガラ
ス転移点Tg 64.0℃、固形分濃度30重量%。 ・「PAN-2 」:アクリロニトリル含量70モル%、ガラ
ス転移点Tg 62.0℃、固形分濃度30重量%。 ・「PAN-3 」:アクリロニトリル含量70モル%、ガラ
ス転移点Tg 58.5℃、固形分濃度30重量%。 ・「PAN-4 」:アクリロニトリル含量65モル%、ガラ
ス転移点Tg 71.0℃、固形分濃度30重量%。 ・「PAN-5 」:アクリロニトリル含量77モル%、ガラ
ス転移点Tg 76.8℃、固形分濃度30重量%。
【0040】〈組成物の調製、基材フィルム上へのコー
ティング〉上記のポリビニルアルコール系樹脂の粉末を
固形分濃度が10重量%となるように常温の水に投入
し、よく撹拌しながら加熱を開始し、液温が約95℃に
到達してから、さらに60分程度撹拌を続けて完全溶解
させた。このようにして得られたポリビニルアルコール
系樹脂の10重量%水溶液をAとする。
【0041】固形分濃度が30重量%の高アクリロニト
リル含量のポリアクリロニトリル系樹脂エマルジョンB
を準備し、そのエマルジョンBを常温で撹拌しながら、
そこに上記の水溶液Aを少量ずつ流し入れ、15分間撹
拌を続け、両樹脂の水性混合物を得た。
【0042】このようにして調製した水性混合物からな
る組成物を、アプリケーターを用いて厚み16μm のポ
リエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にコー
ティングし、ついで温度160℃で5分間加熱乾燥して
造膜させ、乾燥後の厚みが5μm のコーティング膜を形
成させた。なお、透明性(ヘイズ)および耐水性(膨潤
度)の測定用には、PETフィルム上に組成物を流延し
て、厚み15μm のフィルム(膜)を形成させた。
【0043】〈評価項目、測定方法〉 (コーティング剤特性) ・混合安定性は、上記の水溶液AとエマルジョンBとを
撹拌した後、凝集、分離の有無を目視にて調べ、安定な
ものを○と判定した。 ・造膜性は、160℃×5分での造膜の可、不可を調
べ、造膜可のものを○、造膜可ではあるが、塗膜強度に
不安があるものを△、造膜不可のものを×と判定した。
造膜不可の場合は、ポリアクリロニトリル系樹脂の粒子
同士の融着が不完全で膜にならないため、カッターの刃
を入れるとぼろぼろと塗膜が剥がれる。
【0044】(膜特性) ・ガスバリア性(酸素透過度)は、MOCON社製の
「OX−TRAN」を用いて、温度30℃、湿度50%
RHまたは70%RHの条件下に測定を行った。酸素透
過度の単位は「 cc/m2・day ・atm 」である。 ・透明性(ヘイズ)は、ガスバリア層単体(厚み15μ
m )につき、日本電色工業株式会社製の「NDK−Σ8
0」を用いて測定した。 ・耐水性(膨潤度)は、ガスバリア層単体(厚み15μ
m )を温度30℃の水中に30分間浸漬し、フィルム面
積の変化率(面積倍率)を測定した。
【0045】〈条件および結果〉条件および結果を、表
2(実施例1〜7)、表3(比較例1〜5)、表4(参
考例1、比較例6〜7)に示す。表中、PVAとあるの
はポリビニルアルコール系樹脂、PANとあるのはポリ
アクリロニトリル系樹脂である。表3は、PVAまたは
PANのいずれか一方を欠く場合である。表4は、PV
AとPANとを併用しているが、条件設定が表2の実施
例とは相違している場合である。
【0046】
【表2】 実 施 例 1 2 3 4 5 6 7 PVA 種類 PVA-1 PVA-1 PVA-1 PVA-1 PVA-1 PVA-2 PVA-2 PAN 種類 PAN-1 PAN-2 PAN-3 PAN-1 PAN-1 PAN-1 PAN-1 AN (mole%) 75 70 70 75 75 75 75 Tg (℃) 64.0 62.0 58.5 64.0 64.0 64.0 64.0 PVA:PAN 重量比 70:30 70:30 70:30 80:20 65:35 70:30 80:20 混合安定性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 造膜性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 酸素透過度 30℃, 50%RH 3.0 2.4 1.6 0.8 2.0 0.7 0.3 30℃, 70%RH 20.0 23.0 23.7 28.8 30.3 11.3 6.8 ヘイズ (%) 3.2 4.6 4.8 6.5 8.7 9.2 7.5 膨潤度 2.7 2.6 3.2 3.2 2.6 1.6 1.4
【0047】
【表3】 比 較 例 1 2 3 4 5 PVA 種類 PVA-1 - - - - PAN 種類 - PAN-1 PAN-2 PAN-3 PAN-4 AN (mole%) - 75 70 70 65 Tg (℃) - 64.0 62.0 58.5 71.0 PVA:PAN 重量比 100:0 0:100 0:100 0:100 0:100 混合安定性 - - - - - 造膜性 ○ ○ ○ ○ ○ 酸素透過度 30℃, 50%RH 1.0 21.6 25.7 27.0 48.7 30℃, 70%RH 33.0 21.0 34.1 28.5 47.9 ヘイズ (%) - - - - - 膨潤度 溶解 - - - -
【0048】
【表4】 (注)# は、著しく膨潤し、測定不可。
【0049】〈解析〉表2から、実施例1〜7の組成物
は、低湿下であると高湿下であるとを問わず全湿度条件
下において一定以上のすぐれたガスバリア性を有してお
り、混合安定性、造膜性、コーティング膜の透明性、耐
水性も良好であることがわかる。また、基材フィルムを
損なわずに造膜可能であることがわかる。
【0050】表3から、PVAまたはPANのいずれか
一方を欠いている比較例1〜5にあっては、PVA単独
の場合には高湿下でのガスバリア性が不足し、PAN単
独の場合には低湿下でのガスバリア性が不足することが
わかる。
【0051】表4から、次のことがわかる。すなわち、
ガラス転移点Tg の高いポリアクリロニトリル系樹脂を
用いている参考例1にあっては、造膜性にやや不安があ
り、ヘイズが高めとなっている。PVAの混合割合が過
少の比較例6においては、造膜自体が不可能であり、実
用性を欠いている。PVAの混合割合が過多の比較例7
においては、耐水性が不足し、実用性を欠いている。
【0052】
【発明の効果】食品用をはじめとする包装用フィルム
は、輸送中、保管中、展示中、あるいは消費者の手に渡
ってから、種々の湿度条件に置かれることが多い。その
ため、低湿度下においてのみ高度のガスバリア性を有し
ているよりも、全湿度条件下において一定以上のガスバ
リア性を有する方が合目的的である。
【0053】しかるに、本発明のコーティング剤組成物
にあっては、形成される膜が低湿度下はもとより、高湿
度下においても良好なガスバリア性を示す。そして、コ
ーティング剤として対象物にコーティングするとき、基
材フィルムの変形を起こさない程度の加熱乾燥条件下に
おいて円滑な造膜が達成でき、得られる膜の強度も良好
である。
フロントページの続き Fターム(参考) 3E086 AD02 AD04 AD05 AD13 BA02 BA15 BB05 BB90 CA01 4J038 CE021 CG162 GA06 MA08 NA04 NA08 PB04 PB09 PC08 PC10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液と、
    ポリアクリロニトリル系樹脂の水性エマルジョンとの組
    成物からなること、および、該組成物中のポリビニルア
    ルコール系樹脂とポリアクリロニトリル系樹脂との割合
    が、両樹脂の合計量を100重量%とするとき、前者が
    90〜60重量%で、後者が10〜40重量%であるこ
    とを特徴とするガスバリア性コーティング剤組成物。
  2. 【請求項2】ポリアクリロニトリル系樹脂のガラス転移
    点Tg が55〜70℃である請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】ポリビニルアルコール系樹脂が、カルボン
    酸で変性された変性ポリビニルアルコールである請求項
    1記載の組成物。
  4. 【請求項4】包装用フィルムにガスバリア性を付与する
    ためのものである請求項1記載の組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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