JP2002340895A - 糖化ヘモグロビンの測定方法 - Google Patents

糖化ヘモグロビンの測定方法

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JP2002340895A
JP2002340895A JP2001145576A JP2001145576A JP2002340895A JP 2002340895 A JP2002340895 A JP 2002340895A JP 2001145576 A JP2001145576 A JP 2001145576A JP 2001145576 A JP2001145576 A JP 2001145576A JP 2002340895 A JP2002340895 A JP 2002340895A
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glycated hemoglobin
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Hisahide Hiura
久英 日裏
Tadahiro Kajita
忠宏 梶田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】糖化ヘモグロビンを特異的に精度良くしかも簡
便・迅速に測定できる方法を提供する。 【解決手段】固相に糖化ヘモグロビンに特異的な抗体又
はその断片を固定化し、糖化ヘモグロビンを含む試料と
反応させた後、固相上に捕獲された糖化ヘモグロビンを
ヘモグロビン分子自身が有する触媒活性を利用して測定
することにより糖化ヘモグロビンを特異的に測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は臨床検査分野で、と
りわけ赤血球中を含む試料中の糖化ヘモグロビンの測定
方法およびその測定試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】糖尿病を罹患した個体は、膵臓が、炭水
化物代謝を調節するに十分な量の活性ホルモンインスリ
ンを血流中に分泌しないので、概して異常に高い血糖レ
ベルを有している。過血糖状態として知られる異常に高
い血糖レベルが長期間継続すると、個体は、網膜症、腎
症、神経障害および心臓血管疾患を含む糖尿病の慢性合
併症となる。
【0003】糖化ヘモグロビンは、長時間にわたって血
液中に残留する傾向をもっているので、血液中の糖化タ
ンパク質の優れた指標となる。糖化ヘモグロビンは3つ
の成分、即ちヘモグロビンA1a, ヘモグロビンA1b, ヘモ
グロビンA1c からなる。特にヘモグロビンA1c レベル
が、測定の前の6〜8週間の血中グルコース治療の有効
性を反映するので、糖尿病の診断に有効なマーカーであ
り、血糖値の測定と併用して糖尿病の診断及び進行度の
測定に利用されている。
【0004】従来、糖化ヘモグロビンの測定は、高速液
体クロマトグラフィーを利用したカラム法又は抗糖化ヘ
モグロビン抗体を用いる免疫学的方法が実施されてき
た。
【0005】免疫学的方法は、別途調製したポリハプテ
ンとヘモグロビンの糖化部位の競合反応を利用した免疫
凝集を原理とする方法及びラテックス粒子に吸着した糖
化ヘモグロビン分子に抗糖化ヘモグロビン抗体を反応さ
せて生じるラテックス凝集反応等が利用されていた。し
かし、これらの方法は何れも凝集反応を利用しているた
め、特異性及び測定精度に問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、糖化
ヘモグロビンを特異的に精度良くしかも簡便・迅速に測
定できる方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、固相に糖化ヘモ
グロビンに特異的な抗体又はその断片を固定化し、糖化
ヘモグロビンを含む試料と反応させた後、固相上に捕獲
された糖化ヘモグロビンをヘモグロビン分子自身が有す
る触媒活性を利用して測定することにより糖化ヘモグロ
ビンを特異的に測定することを見出し、本発明を完成し
た。
【0008】すなわち本発明は、 1.固相上に抗糖化ヘモグロビン抗体又は該抗体の断片
を固定化し、糖化ヘモグロビン含有可能性のある試料を
該固相と反応させ、該固相上に捕獲された糖化ヘモグロ
ビンをヘモグロビン分子の触媒活性を利用して測定する
ことを特徴とする糖化ヘモグロビンの測定方法、 2.前項1に記載の固相を含む反応容器内で試料中の総
ヘモグロビン量をヘモグロビン分子の光学特性を用いて
測定する工程、該固相に固定化された抗糖化ヘモグロビ
ン抗体又は該抗体の断片と反応しない試料液を除去する
工程、ならびに前項1に記載の糖化ヘモグロビン測定方
法を組み合わせることを特徴とする総ヘモグロビン量に
対する糖化ヘモグロビンの測定方法、 3.ヘモグロビン分子の触媒活性が、ペルオキシダーゼ
活性又はオキシダーゼ活性であり、その活性を発色、蛍
光又は発光測定により測定することを特徴とする前項1
又は2に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法、 4.ヘモグロビン分子のヘム核を還元、メト化、アジ化
メト化、又はシアンメトのいずれか1又は2以上の処理
を行うことを特徴とする前項1〜3のいずれか1に記載
の糖化ヘモグロビンの測定方法、 5.前項1〜4のいずれか1に記載の糖化ヘモグロビン
の測定方法を実施するために用いられる測定試薬、 6.前項1〜4のいずれか1に記載の糖化ヘモグロビン
の測定方法を実施するために用いられる少なくとも1以
上の測定試薬及び/または固相を含むことを特徴とする
糖化ヘモグロビンの測定試薬キット、からなる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の具体的な実施態様を以下
に説明する。糖化ヘモグロビンは3つの成分、即ちヘモ
グロビンA1a, ヘモグロビンA1b, ヘモグロビンA1c から
なる。本発明において、固相に固定化する抗糖化ヘモグ
ロビン抗体は、上記いずれの糖化ヘモグロビンに対する
抗体でも良いが、特に抗ヘモグロビンA1c 抗体を用いる
のが好適である。糖化ヘモグロビン抗体は、公知の方法
(特開平2-8743)により調製することができる。抗体は
ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の何れも用
いることが可能である。また抗体は全分子あるいはFab
画分等の断片を用いることもできる。
【0010】抗体を固定化する固相は、通常の酵素免疫
測定法で用いられる固相を使用することができ、抗体の
固定化法も公知の方法を採用することができる。固相
は、例えばマイクロタイタープレート、チューブ、ビー
ズ、あるいは磁性粒子等を使用することができる。抗体
の固定化方法は、例えば物理吸着又は化学結合が知られ
ている。磁気粒子を固相として用いる場合には、適当な
反応容器を準備し、その容器内で磁気粒子と抗体を反応
させ、必要に応じて、磁性粒子を集散させて操作する。
【0011】ヘモグロビン分子の触媒活性、具体的には
ヘモグロビン分子のペルオキシダーゼ活性を利用したヘ
モグロビンの測定方法として、発色法、蛍光法、発光法
などが挙げられる。発色法として、過酸化水素とテトラ
メチルベンジジン、過酸化水素とジアミノベンジジン等
による発色度からペルオキシダーゼ活性を光学的に測定
する方法が挙げられる。発光測定法として、ルミノール
と過酸化水素による発光度からペルオキシダーゼ活性を
測定する方法が挙げられる。また、蛍光測定法として、
過酸化水素とp−メトキシフェノールによる蛍光度から
ペルオキシダーゼ活性を測定する方法等が挙げられる。
またこれらの測定において、色原体の安定化剤及び増感
剤等を適宜含ませることも可能である。
【0012】ヘモグロビン分子中に含まれるヘム核が酸
素型、還元型、あるいはメト型によってヘモグロビンの
吸収スペクトルに大きな変化があることは一般に広く知
られている。従って、酸素を飽和させて酸素ヘモグロビ
ン、一酸化炭素を飽和させてCOヘモグロビン、ハイドロ
サルファイト等で還元して還元ヘモグロビン、フェリシ
アン化カリウム等でメト化してメトヘモグロビン、さら
にシアンメトヘモグロビン等として測定することが可能
である。尚、試料中のヘモグロビン中には、少なからず
酸化型、還元型等が混合して存在することから、むし
ろ、上記のような処理を行い、一定のヘム核にした状態
で測定することが有利である。
【0013】本発明の方法を用いて総ヘモグロビンと糖
化ヘモグロビン及びその割合を測定する方法を説明す
る。
【0014】一定量の血液試料を適当な溶血剤で処理し
測定試料を調製する。溶血剤としては一般に界面活性剤
を含む緩衝液が一般に用いられる。このとき、ヘム核の
状態を一定にするために、シアン加フェリシアン化カリ
ウムを加えてヘモグロビンをシアンメト化することも可
能である。
【0015】抗糖化ヘモグロビン抗体、具体的には抗ヘ
モグロビンA1c抗体を固定化した固相を含む容器を反応
容器として使用する。固相は、上述したように例えばマ
イクロタイタープレート、チューブ、ビーズ、あるいは
磁性粒子等を使用することができる。例えば、マイクロ
タイタープレートを用いる場合には、上記で調製した測
定試料を該マイクロタイタープレートのウエルに分注
し、固定化した抗ヘモグロビンA1c抗体とヘモグロビンA
1cを室温で一定時間反応させる。
【0016】抗ヘモグロビンA1c抗体とヘモグロビンA1c
の反応中に、総ヘモグロビンの濃度を吸光度により測定
する。ヘモグロビンの吸収波長、シアンメトヘモグロビ
ンであれば540nmでの吸光度から、シアンメトヘモグ
ロビンの分子吸光係数より総ヘモグロビンの濃度を求め
ることができる。マイクロタイタープレートを使用する
場合は、市販のマイクロプレートリーダーを用いて吸光
度を測定することができる。
【0017】次に、試料液と固相上の抗ヘモグロビンA1
c 抗体と一定時間、具体的には1〜120分間、好ましく
は5〜30分間反応させた後、ウエル中の試料を除去し、
洗浄液を用いてウエルを洗浄する。洗浄液としては中性
pHのリン酸緩衝液等が好適である。その後、ウエルに発
色液、例えば、過酸化水素とテトラメチルベンジジンの
混合溶液を分注し、ヘモグロビン分子のペルオキシダー
ゼ様活性により発色させる。発色は15〜37℃で5〜120
分間、好ましくは10〜30分間反応させて行う。一定時間
後、反応停止液、例えば1Mの硫酸を一定量加えて発色
度を測定する。例えば波長450nmでの吸光度を測定す
ることによりヘモグロビンA1cの量を測定することがで
きる。
【0018】そして先に測定した総ヘモグロビンとここ
で求めたヘモグロビンA1cの量を比較することによっ
て、総ヘモグロビンに対するヘモグロビンA1cの割合を
求めることができる。
【0019】なお、本発明は本発明の糖化ヘモグロビン
測定方法に使用する測定試薬、たとえば抗糖化アルブミ
ン抗体、発色法、蛍光法、発光法等に使用される基質
液、洗浄液、反応停止液等にも及ぶ。さらに、これらの
試薬のうち少なくとも1以上を含み、および/または固
相を含む測定試薬キットにもおよぶ。
【0020】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
【実施例1】市販の酵素免疫測定用の96ウエルマイク
ロタイタープレート(ヌンク社製)に100μLの抗ヘモグ
ロビンA1c(HbA1c)モノクローナル抗体溶液(10μg/m
L)を分注し、室温で1時間放置後、抗体液を除去し、
抗HbA1c抗体固定化プレートを調製した。調製したプレ
ートの各ウエルに1%ウシ血清アルブミンを含むリン酸
緩衝液(pH 7.0)を300μLずつ分注後、一夜冷蔵庫内で
放置した。
【0022】市販のグリコHbコントロール(国際試薬社
製)のレベルII(HbA1c 10.7%)を生理食塩水でまず10
0倍希釈したものを4/5、3/5、2/5、1/5と順次希釈し
て、検量線用試料とした。
【0023】各試料20μLを各ウエルに分注し、1%ウ
シ血清アルブミンを含むリン酸緩衝液(pH7.0)を100
μLずつを分注後、室温で30分間反応させた。反応終了
後、試料を吸引除去し、20mMリン酸緩衝液(pH 7.
0)300μLで4回洗浄した。その後、市販のペルオキシ
ダーゼ活性測定用の3,3,5,5−テトラメチルベンジジン
−過酸化水素基質発色液(ICN社製)100μLを加え室温2
0分間反応後、2M硫酸50μLを加えて反応を停止し、波
長450nmでの吸光度を測定した。その結果を図1に示し
た。その結果、HbA1cの濃度に比例した吸光度が得ら
れ、本発明の方法によりHbA1cが精度よく測定できるこ
とが確認された。
【0024】
【実施例2】実施例1と同様に、市販の酵素免疫測定用
の96ウエルマイクロタイタープレート(ヌンク社製)
に100μLの抗HbA1cモノクローナル抗体溶液(10μg/m
L)を分注し、室温で1時間放置後、抗体液を除去し、
抗HbA1c抗体固定化プレートを調製した。
【0025】実施例1で用いた市販のグリコHbコントロ
ール(国際試薬社製)のレベルII(ヘモグロビン濃度
8.3g/dL)を溶血試薬(国際試薬社製)でまず100倍希釈
したものを生理食塩水で順次1/2、1/4と希釈したものを
総ヘモグロビン検量線用試料とした。
【0026】この検量線用試料20μLを上記プレートの
各ウェルに分注し、1%ウシ血清アルブミンを含むリン
酸緩衝液(pH 7.0)を100μLずつ分注後、波長540nmで
の吸光度を測定した。その結果を図2に示した。その結
果、総ヘモグロビン濃度に比例した吸光度が得られ、本
発明の方法により総ヘモグロビン量が測定できることが
確認された。
【0027】総ヘモグロビン量測定後に、実施例1と同
様に各ウェルの試料を吸引除去し、洗浄、ペルオキシダ
ーゼ活性測定用の3,3,5,5−テトラメチルベンジジン−
過酸化水素基質発色液を加えて反応させることで、試料
中のHbA1cが精度よく測定できる。このように、試料中
の総ヘモグロビン量の測定とHbA1cを続けて行い、一連
の測定工程により、総ヘモグロビン量に対する糖化ヘモ
グロビンの割合を容易に測定することが可能となった。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明の糖化ヘモグ
ロビンの測定方法により、糖化ヘモグロビンを特異的に
精度良くしかも簡便・迅速に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】糖化ヘモグロビン量を本発明の方法で波長450n
mでの吸光度により測定した結果を示す図である。(実
施例1)
【図2】総ヘモグロビン量を本発明の方法で波長540nm
での吸光度により測定した結果を示す図である。(実施
例2)
フロントページの続き Fターム(参考) 2G045 AA25 BB39 BB53 CA25 DA45 DA51 FA36 FB01 FB03 FB15 GC10 GC15 JA20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固相上に抗糖化ヘモグロビン抗体又は該抗
    体の断片を固定化し、糖化ヘモグロビン含有可能性のあ
    る試料を該固相と反応させ、該固相上に捕獲された糖化
    ヘモグロビンをヘモグロビン分子の触媒活性を利用して
    測定することを特徴とする糖化ヘモグロビンの測定方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の固相を含む反応容器内で
    試料中の総ヘモグロビン量をヘモグロビン分子の光学特
    性を用いて測定する工程、該固相に固定化された抗糖化
    ヘモグロビン抗体又は該抗体の断片と反応しない試料液
    を除去する工程、ならびに請求項1に記載の糖化ヘモグ
    ロビン測定方法を組み合わせることを特徴とする総ヘモ
    グロビン量に対する糖化ヘモグロビンの測定方法。
  3. 【請求項3】ヘモグロビン分子の触媒活性が、ペルオキ
    シダーゼ活性又はオキシダーゼ活性であり、その活性を
    発色、蛍光又は発光測定により測定することを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の糖化ヘモグロビンの測定方
    法。
  4. 【請求項4】ヘモグロビン分子のヘム核を還元、メト
    化、アジ化メト化、又はシアンメトのいずれか1又は2
    以上の処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1に記載の糖化ヘ
    モグロビンの測定方法を実施するために用いられる測定
    試薬。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれか1に記載の糖化ヘ
    モグロビンの測定方法を実施するために用いられる少な
    くとも1以上の測定試薬及び/または固相を含むことを
    特徴とする糖化ヘモグロビンの測定試薬キット。
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Cited By (2)

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