JP2002340782A - コンクリート構造物の劣化予測方法 - Google Patents

コンクリート構造物の劣化予測方法

Info

Publication number
JP2002340782A
JP2002340782A JP2001142969A JP2001142969A JP2002340782A JP 2002340782 A JP2002340782 A JP 2002340782A JP 2001142969 A JP2001142969 A JP 2001142969A JP 2001142969 A JP2001142969 A JP 2001142969A JP 2002340782 A JP2002340782 A JP 2002340782A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concrete structure
repair
deterioration
chloride ion
ion concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001142969A
Other languages
English (en)
Inventor
Zenichi Igarashi
善一 五十嵐
Katsuhide Morimoto
克秀 森本
Kunikazu Azuma
邦和 東
Masahiro Kurimoto
雅裕 栗本
Hitoshi Masui
仁 増井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Okumura Corp
Original Assignee
Okumura Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Okumura Corp filed Critical Okumura Corp
Priority to JP2001142969A priority Critical patent/JP2002340782A/ja
Publication of JP2002340782A publication Critical patent/JP2002340782A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)
  • Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】既設のコンクリート構造物を補修した場合にお
いても、塩害によるコンクリート構造物の劣化を正確に
予測することができるコンクリート構造物の劣化予測方
法を提供すること。 【解決手段】本発明のコンクリート構造物の劣化予測方
法は、図1に示すように、コンクリート構造物の構造条
件に関する特性データを入力するステップS101〜S
109と、補修した場合の既設のコンクリート構造物の
境界条件及び補修に用いられた補修材料の特性データを
入力するステップS201〜S203と、入力された各
データからコンクリート構造物の劣化の進行を予測計算
するステップS301とから構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
物の劣化を予測する方法に関し、特には、補修が実施さ
れた後のコンクリート構造物の劣化予測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、塩害によるコンクリート構造物の
早期劣化が問題となっている。この背景には、コンクリ
ート構造物がおかれる環境条件が以前より平均的に厳し
くなったことに加えて、コンクリートの使用材料、製造
方法、施工法などが変化していることがあげられる。上
記コンクリートの塩害とは、例えば図7に示すように、
コンクリート構造物Z中に最初から存在する塩化物イオ
ン及びコンクリート表面から新たに浸透する塩化物イオ
ンの作用により鋼材(鉄筋、PC鋼材など)が腐食し、コ
ンクリート構造物Zに損害を与える現象をいう。
【0003】ここで、コンクリートを打設してから一定
時間経過後のコンクリート中の塩化物イオン濃度は、以
下に示すフィックの拡散方程式により推定することがで
きる。
【式1】 ここに、C;塩化物イオン濃度 D;拡散係数 x;深さ
【0004】境界条件としては、コンクリート表面の境
界層の塩化物イオン濃度を以下の式で与える。
【式2】 ここに、a;境界層の塩化物イオン吸収率 d;境界層の厚さ k;境界層からの塩化物イオンの流出速度係数 C;塩化物イオン濃度 Co;コンクリート表面における塩化物イオン濃度
【0005】新規のコンクリート構造物の塩害による劣
化の進行は、上記拡散方程式に基づいて有限要素法によ
り予測することができる。図8(a)は、図7に示すコ
ンクリート構造物Zが新規なものである場合の深さ30
mmのポイントXにおける塩化物イオン濃度の経時変化の
予測結果を示している。この場合において、式(1)中
の拡散係数については、コンクリート標準示方書(土木
学会編)などに記載されているコンクリートの種類毎の
拡散係数を用いる。
【0006】例えば、(a)普通ポルトランドセメント
を使用する場合、 logD=4.5(W/C)2+0.14(W/C)−8.47 (b)高炉セメントを使用する場合、 logD=19.5(W/C)2−13.8(W/C)−5.74 ここに、W/C;水セメント比 また、初期条件として、コンクリートの当初の塩化物イ
オン濃度は、打設したコンクリートの特性に応じた塩化
物イオン濃度を設定する。
【0007】また、既設のコンクリート構造物の塩害に
よる劣化の進行は、コンクリート構造物からコアを採取
してその試料中の塩化物イオン濃度を測定し、この測定
値を用いて逆解析により拡散係数を求める。そして、こ
の拡散係数を用いて有限要素法により、それ以降のコン
クリート構造物の劣化の進行を予測することができる。
図8(b)は、図7に示すコンクリート構造物Zが既設
のものである場合のポイントXにおける塩化物イオン濃
度の経時変化の予測結果を示している。この予測結果に
おいては、コンクリート構造物が構築されてから10年
経過した後の予測計算をしているため、より正確に劣化
の進行を予測することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記既
設のコンクリート構造物の劣化予測方法では、試料中の
塩化物イオン濃度を測定し、それまでの劣化の進行を測
定した後に、以降のコンクリート構造物の劣化の進行を
予測する場合には適しているが、この構造物を補修した
場合には、その補修材料の特性が既設のコンクリートと
異なるので正確な劣化の予測ができないという問題を有
していた。
【0009】すなわち、既設のコンクリート構造物にお
いては、海水飛沫や飛来塩化物、凍結防止剤などの塩化
物がコンクリート表面から新たに浸透するため、図9
(a)に示すように、コンクリート構造物の表面側の塩
化物イオン濃度が高く、その表面側に比較して構造物内
部側では塩化物イオン濃度が除々に低くなっている。ま
た、図9(b)は、図7に示す既設のコンクリート構造
物Zの深さ30mmのポイントX及び深さ20mmのポイン
トYにおける塩化物イオン濃度の経時変化を示してお
り、同図中、曲線10はポイントXにおける塩化物イオ
ン濃度、曲線11はポイントYにおける塩化物イオン濃
度の経時変化をそれぞれ示している。これによれば、コ
ンクリート構造物の表面からの深さにより塩化物イオン
濃度の変化の割合が異なることを示している。
【0010】これに対して、既設のコンクリート構造物
の補修を行うと、コンクリート構造物の表面側から浸透
する塩化物イオン及び既に構造物内部に存在する塩化物
イオンが補修による影響を受け、補修後のコンクリート
構造物の劣化の進行を正確に予測することができないと
いう問題を有していた。本発明は、上記問題点を解決す
るためになされたものであり、既設のコンクリート構造
物を補修した場合においても、塩害によるコンクリート
構造物の劣化を正確に予測することができるコンクリー
ト構造物の劣化予測方法を提供することを目的とする。
【0011】上記目的を達成するために、請求項1の発
明は、既設のコンクリート構造物を補修材料を用いて補
修した場合の補修後のコンクリート構造物の塩害による
劣化の進行を、種々の劣化因子を有限要素法により解析
して予測するコンクリート構造物の劣化予測方法であっ
て、補修後の既設のコンクリート構造物の境界条件及び
補修に用いられた補修材料の特性データを有限要素法に
よる劣化予測の新たな因子に加えて、補修後のコンクリ
ート構造物の劣化の進行を予測することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のコンクリート構造
物の劣化予測方法において、補修材料の特性データに
は、その補修材料の初期の塩化物イオン濃度が含まれて
いることを特徴とする。請求項3の発明は、請求項1又
は2に記載のコンクリート構造物の劣化予測方法におい
て、補修材料の特性データには、その補修材料の拡散係
数が含まれていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明にかかる補修後の
コンクリート構造物の劣化予測方法の一実施形態につい
て、図1〜6を用いて説明する。本発明の劣化予測方法
は、既設のコンクリート構造物を補修した場合の補修後
の劣化の進行を予測するもので、その補修方法の種類に
より、補修後の既設のコンクリート構造物の境界条件及
び補修に用いられた補修材料の特性データを劣化予測の
因子に加えて補修後のコンクリート構造物の劣化の進行
を予測する。
【0013】まず、既設のコンクリート構造物の補修の
種類には、コンクリート表面を被覆する表面保護工と、
コンクリート表層部を撤去した後に硬化材等の補修材料
で撤去した部分を補修する断面修復工と、これら表面保
護工と断面修復工を併用した補修方法がある。図6は、
図7に示す既設のコンクリート構造物Zにこれらの補修
を施した場合において、コンクリート構造物Zのポイン
トX及びYを含む部位の断面を示している。
【0014】図6(a)は、上記表面保護工を用いて、
コンクリート表面を補修材料D1により被覆した場合の
補修後のコンクリート構造物Zの断面を示している。こ
の場合において、本発明のコンクリート構造物の劣化予
測方法では、既設のコンクリート構造物Zのコンクリー
ト表面の境界層の境界条件を、補修材料D1により被覆
して補修した後のコンクリート表面の境界条件に変更し
て、補修後のコンクリート構造物Zの劣化の進行を予測
する。
【0015】図6(b)は、断面修復工を用いて、コン
クリート構造物の表層部を撤去した後、補修材料D2で
撤去した部分を補修した補修後のコンクリート構造物Z
の断面を示している。この場合において、本発明のコン
クリート構造物の劣化予測方法では、補修材料D2で補
修した部分の塩化物イオン濃度及び拡散係数を、補修材
料D2の初期の塩化物イオン濃度及び拡散係数に変更す
る。また、既設のコンクリート構造物Zからコアを採取
して得られた塩化物イオン濃度の測定値より、フィック
の拡散方程式を用いて逆解析により拡散係数を求め、補
修した部分より奥の既設コンクリートの拡散係数をこの
値に変更し、さらに、補修材料D2により補修されたコ
ンクリート構造物の境界条件を変更して、これらのデー
タから有限要素法によりコンクリート構造物Zの劣化の
進行を予測する。
【0016】図6(c)は、表面保護工と断面修復工を
併用して、コンクリート構造物の表層部を撤去した後、
補修材料D2で撤去した部分を補修し、その補修材料D
2の表面に補修材料D1を被覆した補修後のコンクリー
ト構造物Zの断面を示している。この場合において、本
発明のコンクリート構造物の劣化予測方法では、補修材
料D1により被覆して補修した後のコンクリート表面の
境界条件に変更するとともに、補修材料D2で補修した
部分の塩化物イオン濃度及び拡散係数を、それぞれ補修
後のコンクリート表面の境界条件、補修材料D2の初期
の塩化物イオン濃度及び拡散係数にそれぞれ変更する。
さらに、既設のコンクリート構造物Zからコアを採取し
て得られた塩化物イオン濃度の測定値より、フィックの
拡散方程式を用いて逆解析により拡散係数を求め、これ
らのデータから有限要素法によりコンクリート構造物Z
の劣化の進行を予測する。
【0017】つぎに、上記コンクリート構造物の劣化予
測方法の具体的な手順について、図1に示すフローチャ
ートを用いて説明する。ここで、本発明の劣化予測方法
の各手順は、ソフトウェアにより実現されるため、以下
に述べる説明においては、上記ソフトウェアを実行処理
するハードウェアの操作手順を含めて説明する。
【0018】なお、上記ハードウェアは、入力装置、記
憶装置、演算装置及び表示装置(いずれも図示せず)を
備えて構成されており、以下の説明においては、入力装
置より必要なデータを入力し、このデータを記憶装置に
記憶されたプログラムの各ステップに従って演算装置で
演算処理することにより、補修後のコンクリート構造物
の劣化の予測結果を表示装置に表示することができる構
成となっている。
【0019】図1に示すように、本発明のコンクリート
構造物の劣化予測方法は、コンクリート構造物の構造条
件に関する特性データを入力するステップS101〜S
109と、補修した場合の既設のコンクリート構造物の
境界条件及び補修に用いられた補修材料の特性データを
入力するステップS201〜S203と、入力された各
データからコンクリート構造物の劣化の進行を予測計算
するステップS301とから構成されている。
【0020】まず、ステップS101で補修の対象とな
るコンクリート構造物の構造条件に関する特性データ、
例えば、コンクリート構造物のかぶり、部材厚、主筋径
等を入力する。つぎに、ステップS102で、このコン
クリート構造物の境界条件を設定する。この境界条件
は、例えば、境界層の塩化物イオン吸収率、境界層の厚
さ、境界層からの塩化物イオンの流出速度係数等を入力
する。そして、ステップS103で、このコンクリート
構造物が新設の構造物か、或るいは既設の構造物かを選
択する。
【0021】つぎに、上記ステップS103で、既設の
コンクリート構造物が選択された場合に、ステップS1
04に進み、この既設のコンクリート構造物のこれまで
の劣化の進行を測定するか否かを選択する。ここで、
「コンクリート構造物の劣化の進行を測定する」を選択
すると、ステップS105で、既設のコンクリート構造
物のコアを採取して測定した測定データ、すなわち塩化
物イオン濃度を入力する。
【0022】ステップS106では、上記ステップS1
05で入力された塩化物イオン濃度の測定データからフ
ィックの拡散方程式を用いて逆解析することにより、こ
の既設のコンクリート構造物の拡散係数を算出する。な
お、上記ステップS104で既設のコンクリート構造物
の劣化の進行を測定しない場合には、ステップS107
に進み、既設のコンクリート構造物の拡散係数を設定す
る。この拡散係数は、コンクリート標準示方書に記載さ
れているコンクリートの種類毎の拡散係数を用いる。
【0023】つぎに、ステップS201では、既設のコ
ンクリート構造物を補修するか否かを選択する。ここ
で、「補修する」を選択すると、ステップS202で、
補修方法を選択する。具体的には、例えば、図2(a)
に示す補修方法選択画面に、上述した表面保護工、断面
修復工及び表面保護工と断面修復工を併用した補修方法
の選択項目が用意されており、これらの中から補修方法
を選択する構成となっている。
【0024】そして、上記ステップS202で補修する
方法を選択すると、つぎのステップS203で、選択し
た補修方法の種類に応じて補修部分の境界条件、拡散係
数及び初期の塩化物イオン濃度の設定を行う。図2
(b)は、補修方法として表面保護工を選択した場合の
境界条件を入力する画面を示しており、画面に表示され
た各項目毎に必要なデータを入力して境界条件の設定を
行う。
【0025】また、上記選択画面で断面保護工を選択し
た場合には、補修材料で補修した部分の初期の塩化物イ
オン濃度及び拡散係数を入力し、さらに補修方法として
表面保護工と断面修復工を併用する補修方法を選択した
場合には、境界条件、塩化物イオン濃度及び拡散係数を
前もって設定されたデータベースから読み出すことによ
って設定を行う。なお、上記ステップS201で「補修
しない」を選択した場合には、上記ステップS106で
逆解析により算出した拡散係数を用いる。
【0026】また、上述したステップS103でコンク
リート構造物が新設である場合を選択すると、ステップ
S108でセメント種別と水セメント比等の計算条件を
入力し、ステップS109でコンクリートの拡散係数を
算出する。
【0027】以上のように、塩害によるコンクリート構
造物の劣化予測に必要なデータが全て入力されると、ス
テップS301に進み、有限要素法に基づいて塩害によ
るコンクリート構造物の劣化予測計算を実行し、計算結
果を表示装置に表示する。図3は、例えば、上記計算結
果を表形式で出力した場合の出力結果を示している。
【0028】また、図4は、上記コンクリート構造物の
劣化予測方法を用いて補修後のコンクリート構造物の劣
化を予測した予測結果をグラフ形式で出力した場合を示
している。この場合においては、構築されてから10年
経過後に補修された補修後のコンクリート構造物Zのポ
イントXにおける塩化物イオン濃度の経時変化の予測結
果を示している。同図中、曲線1はコンクリート構造物
を補修しない場合の劣化の予測結果を示し、曲線2は表
面保護工で補修した場合の劣化の予測結果を示してい
る。また、曲線3は断面修復工で補修した場合、曲線4
は表面保護工と断面修復工を併用して補修した場合の劣
化の予測結果をそれぞれ示している。なお、断面修復工
は、深さ30mmまで実施したものとして予測している。
【0029】上記予測結果について簡単に説明すると、
コンクリート構造物を補修しない場合においては、ステ
ップS106で逆解析により求めたコンクリートの拡散
係数を用いて予測計算しているため、図8(b)と同様
の予測結果を示している。また、表面保護工で補修した
場合には、補修後にゆるやかに塩化物イオン濃度が減少
する曲線を描くが、これは、補修後のコンクリート表面
の境界条件が変化することにより、新たな塩化物イオン
の浸透率が変化するとともに、塩化物イオン濃度の濃度
差により塩化物イオンがコンクリート構造物の表面側に
拡散し、コンクリート構造物ZのポイントXにおける塩
化物イオン濃度が減少することを示している。
【0030】また、断面修復工で補修した場合には、補
修直後はコンクリート構造物の表層部(深さ30mmま
で)を撤去するために塩化物イオン濃度が補修材料の初
期値付近まで減少し、その後は塩化物イオン濃度が増加
することを示している。さらに、表面保護工と断面修復
工を併用した場合には、補修直後はコンクリート構造物
の表層部(深さ30mmまで)を撤去するために塩化物イ
オン濃度が補修材料の初期値付近まで減少し、さらに表
面保護工が実施されているため、塩化物イオン濃度の増
加率を微少に抑えることができることを示している。
【0031】また、図5は、既設のコンクリート構造物
Zの深さ20mmのポイントY及び深さ30mmのポイント
Xにおける塩化物イオン濃度の経時変化を示しており、
同図中、曲線5はポイントYにおける塩化物イオン濃度
の経時変化を、曲線6はポイントXにおける塩化物イオ
ン濃度の経時変化をそれぞれ示している。この予測結果
では、コンクリート構造物が構築されてから10年経過
した後に深さ20mmまで断面修復工を実施するととも
に、表面保護工を実施した場合の予測計算をしている。
【0032】同図に示すように、本例においては、深さ
20mmのポイントYは断面修復工によりコンクリートが
撤去されるため、補修直後に、塩化物イオン濃度は補修
材料の初期値付近まで減少するが、その後は塩化物イオ
ン濃度が増加する。また、深さ30mmのポイントXにお
ける塩化物イオン濃度は、補修直後から減少し始め、そ
の後、深さ20mmのポイントYの塩化物イオン濃度に近
づくことを示している。これは、ポイントX及びYにお
ける塩化物イオン濃度の濃度差が駆動力となって、塩化
物イオンがコンクリート構造物内部に平均的に拡散する
ことを示している。
【0033】上記予測結果からも明らかなように、本発
明の劣化予測方法によれば、その補修方法の種類によ
り、補修後の既設のコンクリート構造物の境界条件及び
補修に用いられた補修材料の特性データを新たな劣化予
測の要因に加えて補修後のコンクリート構造物の劣化の
進行を予測するため、従来の劣化の予測方法と比較し
て、より正確に補修後のコンクリート構造物の劣化を予
測することができるという効果がある。
【0034】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1の発明は、
既設のコンクリート構造物を補修材料を用いて補修した
場合の補修後のコンクリート構造物の塩害による劣化の
進行を、種々の劣化因子を有限要素法により解析して予
測するコンクリート構造物の劣化予測方法であって、補
修後の既設のコンクリート構造物の境界条件及び補修に
用いられた補修材料の特性データを有限要素法による劣
化予測の新たな因子に加えて、補修後のコンクリート構
造物の劣化の進行を予測するため、補修後の既設のコン
クリート構造物の境界条件及び補修材料の特性データを
考慮してコンクリート構造物の劣化の進行を予測するこ
とができ、より正確に補修後のコンクリート構造物の塩
害による劣化の進行を予測することができるという効果
がある。請求項2の発明は、請求項1に記載のコンクリ
ート構造物の劣化予測方法において、補修材料の特性デ
ータには、その補修材料の初期の塩化物イオン濃度が含
まれているため、補修後の既設のコンクリート構造物の
境界条件及び補修材料の特性データ、特に塩化物イオン
濃度を考慮してコンクリート構造物の劣化の進行を予測
することができ、この結果、より正確に補修後のコンク
リート構造物の塩害による劣化の進行を予測することが
できるという効果がある。請求項3の発明は、請求項1
又は2に記載のコンクリート構造物の劣化予測方法にお
いて、補修材料の特性データには、その補修材料の拡散
係数が含まれているため、補修後の既設のコンクリート
構造物の境界条件及び補修材料の特性データ、特に拡散
係数を考慮してコンクリート構造物の劣化の進行を予測
することができ、この結果、より正確に補修後のコンク
リート構造物の塩害による劣化の進行を予測することが
できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリート構造物の劣化予測方法の
各手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明のコンクリート構造物の劣化予測方法に
おける補修方法の選択画面を示す画面構成図である。
【図3】本発明のコンクリート構造物の劣化予測方法に
よる予測結果を表形式で出力した場合を示す画面構成図
である。
【図4】本発明のコンクリート構造物の劣化予測方法に
よる予測結果をグラフ形式で出力した場合を示す図であ
る。
【図5】本発明のコンクリート構造物の劣化予測方法に
よる予測結果をグラフ形式で出力した場合を示す図であ
る。
【図6】本発明のコンクリート構造物の劣化予測方法に
用いられる補修方法を説明するためのコンクリート構造
物の断面図である。
【図7】従来のコンクリート構造物の塩化物イオンの浸
透を説明するための説明図である。
【図8】従来のコンクリート構造物の劣化予測方法によ
る塩化物イオン濃度の経時変化を示す図である。
【図9】従来のコンクリート構造物の劣化予測方法によ
る塩化物イオン濃度の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
Z コンクリート構造物 X コンクリート構造物の深さ30mmの地点 Y コンクリート構造物の深さ20mmの地点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 邦和 大阪府大阪市阿倍野区松崎町2丁目2番2 号 株式会社奥村組内 (72)発明者 栗本 雅裕 大阪府大阪市阿倍野区松崎町2丁目2番2 号 株式会社奥村組内 (72)発明者 増井 仁 大阪府大阪市阿倍野区松崎町2丁目2番2 号 株式会社奥村組内 Fターム(参考) 2G050 AA02 AA04 BA02 CA01 DA01 EA06 EC05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】既設のコンクリート構造物を補修材料を用
    いて補修した場合の補修後のコンクリート構造物の塩害
    による劣化の進行を、種々の劣化因子を有限要素法によ
    り解析して予測するコンクリート構造物の劣化予測方法
    であって、 補修後の既設のコンクリート構造物の境界条件及び補修
    に用いられた補修材料の特性データを有限要素法による
    劣化予測の新たな因子に加えて、補修後のコンクリート
    構造物の劣化の進行を予測することを特徴とするコンク
    リート構造物の劣化予測方法。
  2. 【請求項2】補修材料の特性データには、その補修材料
    の初期の塩化物イオン濃度が含まれていることを特徴と
    する請求項1に記載のコンクリート構造物の劣化予測方
    法。
  3. 【請求項3】補修材料の特性データには、その補修材料
    の拡散係数が含まれていることを特徴とする請求項1又
    は2に記載のコンクリート構造物の劣化予測方法。
JP2001142969A 2001-05-14 2001-05-14 コンクリート構造物の劣化予測方法 Pending JP2002340782A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001142969A JP2002340782A (ja) 2001-05-14 2001-05-14 コンクリート構造物の劣化予測方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001142969A JP2002340782A (ja) 2001-05-14 2001-05-14 コンクリート構造物の劣化予測方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002340782A true JP2002340782A (ja) 2002-11-27

Family

ID=18989177

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001142969A Pending JP2002340782A (ja) 2001-05-14 2001-05-14 コンクリート構造物の劣化予測方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002340782A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004233077A (ja) * 2003-01-28 2004-08-19 Taisei Corp 化学反応の進行予測方法
JP2006052960A (ja) * 2004-08-10 2006-02-23 Kajima Corp 鋼材腐食の予測方法
JP2008082049A (ja) * 2006-09-28 2008-04-10 Quest Engineer:Kk コンクリート構造物補修工法の適性判定方法、補修工法判定チャート作成方法、及び、コンクリート構造物補修工法の簡易適性判定方法
JP2008298567A (ja) * 2007-05-31 2008-12-11 Tokyo Electric Power Co Inc:The 鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置、補修効果予測方法、および補修効果予測プログラム
JP2014224760A (ja) * 2013-05-16 2014-12-04 大成建設株式会社 鉄筋コンクリート構造物内の鋼材の劣化予測方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05178678A (ja) * 1991-12-27 1993-07-20 Denki Kagaku Kogyo Kk コンクリートの補修方法
JPH0610407A (ja) * 1992-06-26 1994-01-18 Kawasaki Steel Corp 柱脚金物
JPH06116766A (ja) * 1992-10-07 1994-04-26 Dainippon Toryo Co Ltd 鉄筋コンクリート構造物の防食方法
JPH1021211A (ja) * 1996-06-28 1998-01-23 Taisei Corp ニューラルネットワークおよびコンクリート構造物中の鉄筋腐食の評価方法および予測方法
JPH11153568A (ja) * 1997-11-19 1999-06-08 Nippon Boshoku Kogyo Kk コンクリート中鋼材の腐食状況の予測方法
JP2000026173A (ja) * 1998-07-09 2000-01-25 East Japan Railway Co 複合皮膜電極で被覆されたコンクリート鋼構造物
JP2001200645A (ja) * 2000-01-18 2001-07-27 Taisei Corp コンクリート構造物の維持管理装置
JP2001349887A (ja) * 2000-06-07 2001-12-21 Univ Tokyo コンクリート構造物の劣化診断支援システム

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05178678A (ja) * 1991-12-27 1993-07-20 Denki Kagaku Kogyo Kk コンクリートの補修方法
JPH0610407A (ja) * 1992-06-26 1994-01-18 Kawasaki Steel Corp 柱脚金物
JPH06116766A (ja) * 1992-10-07 1994-04-26 Dainippon Toryo Co Ltd 鉄筋コンクリート構造物の防食方法
JPH1021211A (ja) * 1996-06-28 1998-01-23 Taisei Corp ニューラルネットワークおよびコンクリート構造物中の鉄筋腐食の評価方法および予測方法
JPH11153568A (ja) * 1997-11-19 1999-06-08 Nippon Boshoku Kogyo Kk コンクリート中鋼材の腐食状況の予測方法
JP2000026173A (ja) * 1998-07-09 2000-01-25 East Japan Railway Co 複合皮膜電極で被覆されたコンクリート鋼構造物
JP2001200645A (ja) * 2000-01-18 2001-07-27 Taisei Corp コンクリート構造物の維持管理装置
JP2001349887A (ja) * 2000-06-07 2001-12-21 Univ Tokyo コンクリート構造物の劣化診断支援システム

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
コンクリート構造物の補修工法研究委員会報告書(II), JPN6010005827, 20 October 1994 (1994-10-20), pages 87 - 153, ISSN: 0001529888 *
小川彰一 他: ""塩害を受けるポストテンションT型橋の補修材料特性とLCC"", 第55回セメント技術大会講演要旨2001, JPN6010005828, 25 April 2001 (2001-04-25), pages 300 - 301, ISSN: 0001529889 *

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004233077A (ja) * 2003-01-28 2004-08-19 Taisei Corp 化学反応の進行予測方法
JP2006052960A (ja) * 2004-08-10 2006-02-23 Kajima Corp 鋼材腐食の予測方法
JP2008082049A (ja) * 2006-09-28 2008-04-10 Quest Engineer:Kk コンクリート構造物補修工法の適性判定方法、補修工法判定チャート作成方法、及び、コンクリート構造物補修工法の簡易適性判定方法
JP4496188B2 (ja) * 2006-09-28 2010-07-07 中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社 コンクリート構造物補修工法の適性判定方法、補修工法判定チャート作成方法、及び、コンクリート構造物補修工法の簡易適性判定方法
JP2008298567A (ja) * 2007-05-31 2008-12-11 Tokyo Electric Power Co Inc:The 鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置、補修効果予測方法、および補修効果予測プログラム
JP2014224760A (ja) * 2013-05-16 2014-12-04 大成建設株式会社 鉄筋コンクリート構造物内の鋼材の劣化予測方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105825030B (zh) 老化钢筋混凝土桥梁疲劳寿命评估方法
Lu et al. Reinforcement corrosion-induced cover cracking and its time prediction for reinforced concrete structures
Bertolini Steel corrosion and service life of reinforced concrete structures
CN109827855A (zh) 季节性腐蚀与疲劳耦合下钢筋混凝土桥梁寿命预测方法
Liang et al. Service life prediction of reinforced concrete structures
Baroghel-Bouny et al. AgNO 3 spray tests: advantages, weaknesses, and various applications to quantify chloride ingress into concrete. Part 2: Non-steady-state migration tests and chloride diffusion coefficients
Wang et al. Determination of residual cross-sectional areas of corroded bars in reinforced concrete structures using easy-to-measure variables
JP4755141B2 (ja) 鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置、補修効果予測方法、および補修効果予測プログラム
JP2013242163A (ja) 腐食進行予測方法と腐食進行予測装置
JP2017173274A (ja) 鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法、及び耐力評価プログラム
Teplý et al. Reinforcement corrosion: Limit states, reliability and modelling
JP2002340782A (ja) コンクリート構造物の劣化予測方法
Zafar et al. Laboratory investigation to study the corrosion initiation of rebars in fly ash concrete
Caballero et al. Chloride penetration into cementitious mortar at early age
JP2003222622A (ja) コンクリート構造物の劣化予測方法
JP2011257245A (ja) 腐食量推定方法、腐食量推定装置、及び鉄筋コンクリートの管理方法
Sun et al. Service life prediction for concrete structures by time-depth dependent chloride diffusion coefficient
KR20200093221A (ko) 기후 변화 및 균열을 고려한 철근콘크리트 유효수명 제공 방법 및 이를 기록한 매체
Breitenbücher et al. Service life design for the Western Scheldt Tunnel
JP2007286736A (ja) ダム流域積雪量推定装置、ダム流入水量推定装置及びプログラム
Visser et al. Time dependency of chloride diffusion coefficients in concrete
Akiyama et al. Reliability-based durability design and service life assessment of concrete structures in a marine environment
JPH05322881A (ja) 柱列式地下連続壁工法におけるソイルモルタルの早期品質判定法
Cecconi Performance lead the way to service life prediction
JP2022080719A (ja) コンクリートの施工タイミングの予測方法、予測装置およびコンクリートの施工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070810

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100209

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100615