JP4755141B2 - 鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置、補修効果予測方法、および補修効果予測プログラム - Google Patents

鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置、補修効果予測方法、および補修効果予測プログラム Download PDF

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Description

本発明は、鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置、補修効果予測方法、および補修効果予測プログラムに関する。
建設の時代から保守の時代を迎えつつあると言われる昨今、設備の要求性能を下げることなく出来るだけ長く供用することが求められている。数十年前は、鉄筋コンクリートは半永久的な構造物と捉えられていたが、実際には塩害(コンクリート中に侵入した塩化物イオンによって鉄筋が錆びて膨張しコンクリートが割れること)や中性化(炭酸ガスとコンクリートが反応してアルカリ性を失い、鉄筋が錆びること)、凍害(水分の凍結による膨張でコンクリートが割れること)、アルカリ骨材反応(セメントと骨材が反応して生成物が膨張することによりコンクリートが割れること)など様々な原因により、剥落などの変状が発生する。そのため現在では、構造物の変状の進行速度を抑制することや健全性を回復することを目的として、適切な維持管理が求められている。
このような状況において、維持管理の重要な部分を占める補修に対しても、その効果を適切に予測し、最適な補修を施すことによって、設備の延命化を図ることが重要である。代表的な補修方法としては、表面被覆工法や表面含浸工法(表層に皮膜を形成して塩化物イオンなどの劣化因子を遮断する)、断面修復工法(劣化したかぶりコンクリートをはつって新たなコンクリートを埋め戻す)などがある。
近年、構造物の維持管理について、ライフサイクルコストを評価して、補修工法や補修の実施時期を設定しようとする試みがなされ始めている。ライフサイクルコストとは、建設時のコストのみでなく、維持管理や補修、廃棄に必要なコストも含めた全体的な構造物のコストをいう。すなわち、適切な時期に適切な補修を行うことにより、構造物を健全な状態に保ちつつ、全体的なコストの低減を図ろうとするものである。しかし、従来は、補修効果を定量的に評価する有効な手段が無かったことから、ライフサイクルコストの算出精度が低く、これに基づいた維持管理が普及しない主な原因となっていた。したがって、各補修工法の有効性や再劣化までの期間を定量的に評価することは極めて重要な課題となっている。
従来からも、鉄筋コンクリート構造物の維持管理を支援するための提案が数多くなされている。例えば特許文献1(特開2002−131216)には、コンクリート構造物の劣化評価システムが提案されている。特許文献1においては、気象環境データ、コンクリート配合の地域特性データ、地形データおよびコンクリート構造物の設計データ等を利用して、各劣化要因に対応する劣化指標を導き出し、この劣化指標に基づいて、コンクリート構造物の劣化状態をランク分けして評価するようにしている。
しかし、特許文献1に記載の劣化評価システムでは、構造物の要求性能に関わりなく、構造物の劣化状態を単に指標化して評価するのみであった。一方、実際には、劣化が進んでいても要求性能に対しては十分であったり、逆に劣化がさほど進んでいなくとも補修が必要な場合もある。したがって特許文献1に記載の劣化評価システムは、各構造物が個々の要求性能を満足する状態にあるか否かを判断したり、あるいは個々の要求性能に基づいて各構造物の補修時期を設定したりすることには利用しにくいという問題点があった。
そこで本件出願人は、特許文献2(特開2004−053562)において、RC構造物の基礎データとして鉄筋腐食量に関する計測データまたは設計データの少なくともいずれか一方を入力することにより、構造物が個々の要求性能を満足する状態にあるか否かを判断し、また補修時期または補修までの残存期間を導き出すことができる補修効果予測装置を提案している。上記構成によれば、現時点で補修が必要な構造物を容易かつ速やかに検出することができ、また劣化の進んだ構造物を適切な時期に補修することができる。
しかし、特許文献2に記載の補修効果予測装置は、構造物がいつ要求性能を満足しなくなるかを予測するものであり、補修による効果までも予測するものではなかった。現時点において、補修を行った後にどのくらい補修による延命効果が持続するのか、および補修の効果がやがて薄れてきたとき次の補修をいつごろ行えばよいかということを定量的に予測する手法は確立されていない。
特許文献3(特開2004−233243)には、断面修復法において塩害や中性化による劣化の進行を有限要素法によって解析する際に、補修材の塩化物イオン拡散係数および炭酸ガス拡散係数を、経過時間に関連づけて変化させる劣化予測計算方法が提案されている。特許文献3によれば、補修材の劣化も考慮することにより、補修後のコンクリート構造物の劣化予測をより正確に行うことができるとしている。
しかし、特許文献3では表面被覆の劣化が考慮されておらず、その手法の開示も示唆もない。また断面修復材の劣化を考慮したとき、有限要素法による演算の負荷が飛躍的に増大し、処理に時間がかかるという問題があるため、さらに簡略なモデルを考慮する必要がある。また、維持管理が長期化するとき、補修後にどれだけ延命されるかは図りがたいという問題がある。また有限要素法解析はモデル化された理想状態であり、複雑な原因と事象が混じり合う事実状態を反映させることは難しい。例えば現実には複数のコンクリート劣化要因が同時に発生したり、目視では確認できない施工不良等の影響を含んでいたりする可能性が高いが、これらの事象を全てモデル化することは事実上不可能である。
特開2002−131216号公報 特開2004−053562号公報 特開2004−233243号公報
上記状況の下、最も一般的に用いられている表面被覆工法と断面修復工法を実施した場合のコンクリート内部の劣化因子の経時変化をモデル化すること、および上記のモデルを反映してライフサイクルコストを評価し、最適な補修工法を選定する要請がある。
そこで本発明は、補修効果を定量的に評価し、最適な補修工法および補修時期を選定することが可能な鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置、補修効果予測方法、および補修効果予測プログラムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置の代表的な構成は、基礎データとしての構造物に関するデータと、補修の内容に関するデータとを入力する入力部と、基礎データに基づいて第一の時点において既設コンクリート内に含まれている既存の劣化因子の濃度分布を取得する状態取得部と、状態取得部が取得した濃度分布に基づいて第一の時点から所定時間経過した第二の時点までの間に既存の劣化因子が拡散した濃度分布を演算する既存因子演算部と、第一の時点から第二の時点までの間に表面から浸透した新規の劣化因子の濃度分布を演算する新規因子演算部と、既存因子演算部と新規因子演算部の演算結果を重ね合わせて第二の時点における劣化因子の濃度分布を演算する重畳部と、重畳部の演算結果に基づいて当該構造物が予め設定された要求性能を満足する状態にあるか否かを判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
上記において、第一の時点は補修を行った時点(以下、「補修時点」という。)、第二の時点は補修した後であって要求性能を満足するか否か判定する時点(以下、「判定時点」という。)である。また劣化因子としてはコンクリート内で拡散するものであればよく、例えば塩化物イオンや水、炭酸ガスなどを挙げることができる。
上記構成によれば、複雑な挙動を示す劣化因子の拡散と濃度分布を極めて簡単なモデルを重ね合わせることによって演算することができ、補修効果を高い精度で定量的に予測することができる。したがってライフサイクルコストを評価して補修工法および補修の時期を選定することが可能となる。
状態取得部は第一の時点における既存の劣化因子の総量を取得し、既存因子演算部は総量が一定である条件の下に第二の時点における既存の劣化因子の濃度分布を演算してもよい。すなわち、既にコンクリート内部に入り込んでいる劣化因子はそのまま内部で拡散するものとし、新規に表面から浸透する劣化因子と分離することにより、これらの劣化因子の挙動を分離して演算することができる。
第一の時点において断面修復を施した条件のとき、既存因子演算部において、第一の時点から第二の時点までの間に拡散する既存の劣化因子は、第一の時点において既設コンクリート内に含まれている既存の劣化因子の総量が一定である条件の下に、既設コンクリートから断面修復材に向かって拡散するように繰り返し演算してもよい。断面修復を施した場合、はつられて断面修復材を埋め戻された部分は劣化因子の濃度がゼロであることから、拡散の駆動力は断面修復材方向の方が深部方向よりも大きいと仮定することができ、演算を簡略にすることができる。
第一の時点において表面被覆を施した条件のとき、新規因子演算部において、第一の時点から第二の時点までの間に表面から浸透する新規の劣化因子は、表面被覆材の遮塩性能の減衰を近似した遮塩性能近似関数を用いて演算してもよい。このように表面被覆材の遮塩性能を近似関数を用いて評価することにより、経年変化による表面からの劣化因子の浸透量をモデル化することができ、補修効果を高い精度で演算することができる。なお表面被覆剤の遮塩性能の経時変化は、実験及び調査に依れば補修材にかかわらず片対数軸上で直線近似することができ、指数近似式として基準化することができる。
状態取得部が重畳部の演算結果から劣化因子の濃度分布を取得することにより、第二の時点を新たな第一の時点として繰り返し処理を行ってもよい。これにより、長期にわたる構造物のライフサイクルにおいて数次の補修を行う場合であっても、高い精度で補修効果を予測することができる。
入力部には、基礎データとして、コンクリートの配合データ、鉄筋かぶり厚さ、表面塩化物イオン量の中の少なくとも何れか一つが入力可能となっていてもよい。また入力部には、補修データとして、補修方法、第一の時点から第二の時点までの経過年数、補修材の遮塩性能または劣化因子拡散係数が入力可能となっていてもよい。なお入力部は、キーボードやマウスなどのユーザーインターフェースのほか、記録媒体や、ネットワーク経由のデータ転送も含まれる。
また上記課題を解決するために、本発明にかかる鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測方法の代表的な構成は、基礎データとしての構造物に関するデータと、補修の内容に関するデータとを入力させ、基礎データに基づいて第一の時点において既設コンクリート内に含まれている既存の劣化因子の濃度分布を取得し、状態取得部が取得した濃度分布に基づいて第一の時点から所定時間経過した第二の時点までの間に既存の劣化因子が拡散した濃度分布を演算し、第一の時点から第二の時点までの間に表面から浸透した新規の劣化因子の濃度分布を演算し、既存因子演算部と新規因子演算部の演算結果を重ね合わせて第二の時点における劣化因子の濃度分布を演算し、重畳部の演算結果に基づいて当該構造物が予め設定された要求性能を満足する状態にあるか否かを判定する判定部することを特徴とする。
また上記課題を解決するために、本発明にかかる鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測プログラムの代表的な構成は、コンピュータを、基礎データとしての構造物に関するデータと、補修の内容に関するデータとを入力する入力部と、基礎データに基づいて第一の時点において既設コンクリート内に含まれている既存の劣化因子の濃度分布を取得する状態取得部と、状態取得部が取得した濃度分布に基づいて第一の時点から所定時間経過した第二の時点までの間に既存の劣化因子が拡散した濃度分布を演算する既存因子演算部と、第一の時点から第二の時点までの間に表面から浸透した新規の劣化因子の濃度分布を演算する新規因子演算部と、既存因子演算部と新規因子演算部の演算結果を重ね合わせて第二の時点における劣化因子の濃度分布を演算する重畳部と、重畳部の演算結果に基づいて当該構造物が予め設定された要求性能を満足する状態にあるか否かを判定する判定部として機能させることを特徴とする。
本発明によれば、最も一般的に用いられている表面被覆工法と断面修復工法を実施した場合のコンクリート内部の劣化因子の経時変化をモデル化し、補修効果を定量的に評価することができるため、ライフサイクルコストを評価して、最適な補修工法および補修時期を選定することができる。
本発明にかかる鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置、補修効果予測方法、および補修効果予測プログラムの実施形態について説明する。なお、以下の実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。
発明者らは、塩害劣化した鉄筋コンクリートに対する補修効果の定量評価に関する研究を進める中で、表面被膜材の遮塩性能の劣化について着目した。そして実際の構造物から試験片を採取して、塩化物イオンの透過量を調査した。
図1は、表面被覆後の経過年数と塩化物イオンの透過量の関係を示す図である。図1(a)に示すように、補修材にかかわらず経過年数の増大に伴って塩化物イオンの透過量も増加する傾向があり、片対数軸上で直線近似することができた。なお図中の経過年数0年のデータは、塩化物イオン透過量の初期値として、別途実施した室内試験結果を示したものである。この近似直線に依れば、塩化物イオン透過量の初期値は1×10−5mg/cm/日で、約10年で品質基準値の1×10−3mg/cm/日を上回り、20年前後でコンクリートの塩化物イオン透過量とほぼ同等となる。これは、表面被覆の遮塩性能がゼロになることを意味する。このことから、表面被覆の遮塩性能に関する耐用年数は20年程度であるものと考えられる。上記の片対数軸上の直線は、図1(b)に示すように指数近似式として基準化することができ、次式のようになる。この指数近似式を、遮塩性能近似関数と称する。

次に、塩化物イオン濃度の変化を定量的に評価するために、図2に示すようにコンクリート表面の塩化物イオン濃度変化をモデル化し、図3に示すように、表面被覆前後の塩化物イオン濃度を重ね合わせることを考案した。
図2は経過年数とコンクリート表面の塩化物イオン濃度の関係を示す図である。図2において、表面被覆を施す前は、常に外部から塩化物イオンが供給されるため、その濃度は一定値である(期間I:被覆前)。経過年数t1において表面被覆を施すと、外部からの塩化物イオンの供給が遮断されることから、表面の塩化物イオンが深部方向に拡散することによって、表面付近の濃度が低下する(期間II:健全期)。そして経過年数t2において表面被覆の劣化が開始すると外部からの塩化物イオンが供給され始めるため、コンクリート表面の塩化物イオン濃度が上昇し始める(期間III:劣化期)。そして経過年数t3において表面被覆の機能が喪失すると、常に外部から塩化物イオンが供給されるようになり、その濃度は一定値となる(期間IV:機能喪失期)。
図3は、表面円滑部イオン濃度の変化に着目してモデル化した表面被覆の補修効果である。図3に示すように、表面被覆後の塩化物イオンの挙動を、表面被覆前に既に浸透している塩化物イオンと、表面被覆後に表面被覆材が劣化することで新たにコンクリート表面から浸透してくる塩化物イオンとに区分し、両者を重ね合わせて評価することを考えた。
図3において期間Iでは、単に表面から塩化物イオンが浸透している。期間IIでは表面被覆が健全なため、コンクリート表面の塩化物イオン濃度は減少する。外部からの新規の塩素の浸透はない。期間IIIになると表面被覆材の劣化により遮塩性能は遮塩性能近似関数に従って低下し、外部からの塩化物イオンの浸透が増大し、表面塩化物イオン濃度は増加する。期間IVになると、表面からの塩化物イオンの透過が進行する。但しこの場合においても、期間Iにおいて既に浸透していた塩化物イオンは、独立して拡散しているものとして演算する。
ここで、補修後の塩化物イオン濃度分布を厳密に求めるためには、残留塩化物イオンと新たに浸透する塩化物イオンの拡散現象の相互作用を考慮する必要がある。したがって残留塩化物イオンと新たに浸透する塩化物イオンを重ね合わせて評価することは理論的には厳密性を欠くものであるが、一方、設備を維持管理する立場では、簡便に補修後の塩化物イオン濃度分布が求まり、補修効果を評価できることは実務上有益である。
そこで発明者らは、比較的容易に補修後の塩化物イオン濃度分布を求めることを目的として、残留塩化物イオン濃度分布と新たに浸透する塩化物イオン濃度分布を重ね合わせることで、補修効果を表現できることを見出し、さらに研究を重ねることにより、本発明を完成するに到った。
図4は表面被覆後の経過年数と表面被覆前後の表面塩化物イオン濃度比の関係を示す図、図5は塩化物イオン濃度分布の予測結果を示す図である。
本発明の考え方を用いて既設構造物の補修後のデータに基づいて検証した結果、図4や図5に示すように、補修後のコンクリート表面や内部の塩化物イオン濃度の変化は実測値と良い対応を示した。したがって、補修効果を定量的に評価することができ、本発明の有意性を示すことができた。
また断面修復工法についても、同様に重ね合わせることで、補修効果を表現することができる。図6はコンクリート深部での塩化物イオンの挙動モデルである。断面修復による補修は、既設コンクリートをはつり落として断面修復材で修復する。この場合、図6(a)に示すように、修復部分は補修効果として塩化物イオン濃度はゼロとなるが、深部の既設コンクリートについては、残留塩化物イオンが存在することとなる。図6(b)に示すように時間が経過すると、断面修復材表面では、外部から塩化物イオンが浸透し、コンクリート深部からは濃度勾配により既設コンクリートの残留塩化物イオンが断面修復材方向に拡散する。そして断面修復後に既に浸透している塩化物イオンと、断面修復後に新たにコンクリート表面から浸透してくる塩化物イオンとを重ね合わせて評価することにより、簡便且つ正確に補修効果を定量的に評価することができた。
また、本発明によって、補修効果を定量的に評価することで、図7や図8に示すように、補修実施時期による最適な補修工法の選定が可能となる。図7は各補修効果のシミュレーション結果を示す図、図8は補修工法の違いによる鉄筋腐食時期までの残存期間である。
以下に、本発明にかかる鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置、補修効果予測方法、および補修効果予測プログラムの実施例について説明する。
[実施例]
図9は本発明にかかる鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置の一実施例を示す概略構成図である。この補修効果予測装置10は、CPU12、RAM14、記憶部16、入力部18、モニタやプリンタなどからなる出力部20により構成され、各部はバス22により接続されている。
CPU12は、記憶部16に格納されている各種処理プログラム、入力部18ら入力される各種指示、あるいは指示に対応する各種データ等をRAM14に格納し、それら入力指示および各種データに応じてRAM14に格納した各種処理プログラムに従って各種処理を実行し、その処理結果をRAM14に一時的に記憶するとともに、出力部20等に出力する。
RAM14(Random Access Memory)は、CPU12により実行される各種処理プログラムや、その処理に係るデータを一時的に記憶する記憶領域などを備えている。
記憶部16は、プログラムやデータ等が記憶される記憶媒体16aを有し、この記憶媒体16aは磁気的、光学的記録媒体、若しくは半導体メモリで構成されている。この記憶媒体16aは記憶部16に固定的に設けたもの、若しくは着脱自在に装着するものであり、CPU12により実行される各種処理プログラムや制御データ等を記憶する記憶領域、管理対象となる構造物に関する各種データ(画像データ、設計データ、計測データ)をデータベースとして格納する記憶領域などを備えている。この記憶媒体16aに格納された補修効果予測プログラムをCPU12が実行することにより、後述の補修効果予測処理が行われる。
入力部18は、キーボードやマウスなどのユーザーインターフェースのほか、記録媒体や、ネットワーク経由のデータ転送も含まれ、入力指示信号をCPU12に対して出力する。入力部18からは、基礎データとしての構造物に関するデータと、補修の内容に関するデータとを入力する。基礎データとしては、コンクリートの配合データ、鉄筋かぶり厚さ、表面塩化物イオン量、および鉄筋腐食量の計測データ、ひび割れの計測データ、中性化深さの計測データなどが含まれる。補修データとしては、補修方法、補修時点(第一の時点)から判定時点(第二の時点)までの経過年数、補修材の遮塩性能または劣化因子拡散係数が含まれる。
出力部20は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などのモニタやプリンタ等により構成され、CPU12から入力される表示データをオペレータが視認できる形で出力する。
ところでCPU12は、記憶部16に格納されているプログラムを読み込んで動作することにより、特性値導出部28、状態取得部30、既存因子演算部32、新規因子演算部34、重畳部36、判定部38として動作する。
特性値導出部28が導出する特性値とは、例えば鉄筋位置の塩化物イオン濃度、中性化深さ、鉄筋腐食開始時期、ひび割れ開始時期、鉄筋腐食量などが挙げられる。これらの特性値によって、構造物が予め設定された要求性能を満足する状態にあるか否かを判定することができる。
状態取得部30は、補修時点において既設コンクリート内に含まれている既存の劣化因子(塩化物イオンや水)の濃度分布を取得する。既存因子演算部32は、補修時点から所定時間経過した判定時点までの間に既存の劣化因子が拡散した濃度分布を演算する。新規因子演算部34は、補修時点から判定時点までの間に表面から浸透した新規の劣化因子の濃度分布を演算する。重畳部36は、既存因子演算部32と新規因子演算部34の演算結果を重ね合わせて判定時点における劣化因子の濃度分布を演算する。判定部38は、重畳部36の演算結果に基づいて構造物が予め設定された要求性能を満足する状態にあるか否かを判定する。
次に、上記構成からなる補修効果予測装置10によって実行される補修効果予測処理について説明する。図10は補修効果予測処理の概略を説明するフローチャートである。
補修効果予測処理は、図10に示すように、基礎データ入力ステップ(S102)、特性値導出ステップ(S104)、劣化判定ステップ(S106)、劣化予測ステップ(s108)、維持管理支援ステップ(S110)、補修効果を考慮した劣化予測ステップ(S112)、補修計画支援ステップ(S114)から構成される。これら一連の処理は、記憶部16の記憶媒体16aに格納された補修効果予測プログラムに従って順次行われる。
図11および図12は補修効果予測処理の詳細を説明するフローチャートである。図11に示すように、先ず基礎データ入力ステップ(S102)において、入力部18から基礎データ(鉄筋腐食量、コンクリートの配合データ、鉄筋かぶり厚さ、表面塩化物イオン量、ひび割れのデータなど)を入力する処理が行われる。
特性値の導出ステップ(S104)では、特性値導出部28によってステップS102で入力された基礎データを利用して構造物の劣化性状に関わる特性値(鉄筋腐食量、鉄筋位置の塩化物イオン濃度、中性化深さ、鉄筋腐食開始時期、ひび割れ開始時期など)を導き出す処理が行われる。
例えば、基礎データとして鉄筋腐食量の計測データが入力されている場合には、その計測データを鉄筋腐食量として記憶する処理が行われる。
また、基礎データとして、ひび割れの計測データが入力されている場合には、予め設定されたひび割れと鉄筋腐食量との関係式に基づいて、ひび割れの計測データから鉄筋腐食量を導き出す処理が行われる。
また、基礎データとして、塩化物イオン濃度の計測データやコンクリートの配合データが入力されている場合には、先ず、それらデータに基づいて、Fickの拡散方程式の解C(x:鉄筋位置,t:時間)における塩化物イオンの拡散係数Dcおよび表面塩化物イオン濃度Coを求めて、上記拡散方程式の解C(x,t)から鉄筋位置の塩化物イオン濃度Cおよび鉄筋腐食開始時期を推定する。次いで、鉄筋腐食に伴う膨張によりコンクリートに発生する引張応力を時間の関数として、この引張応力とコンクリートの引張強度との比較により、ひび割れ発生時期を推定する。次いで、鉄筋腐食開始時期T1、ひび割れ発生時期T2、ステップS102で入力された鉄筋の腐食速度に基づいて、鉄筋腐食量を導き出す。すなわち、塩害や中性化によるRC構造物の劣化過程を、鉄筋腐食が開始するまでの潜在期、鉄筋腐食が開始してからひび割れが発生するまでの進展期、ひび割れが発生した後の加速期に区分すると、各期における鉄筋の腐食速度をほぼ一定とみなすことができるので、鉄筋腐食開始時期、ひび割れ発生時期、各期における鉄筋の腐食速度さえわかれば、判定時点における鉄筋腐食量を簡単に導き出すことができる。
また、基礎データとして、中性化深さの計測データやコンクリートの配合データが入力されている場合には、先ず、それらデータから中性化速度係数を求めて、この中性化速度係数に基づいて鉄筋腐食開始時期を推定する。次いで、上記と同様に、ひび割れ発生時期を推定し、鉄筋腐食開始時期、ひび割れ発生時期、ステップS102で入力された鉄筋の腐食速度に基づいて、鉄筋腐食量を導き出すことができる。
劣化判定ステップ(S106)においては、複数の特性値に対する判定が行われる。例えば塩化物イオン濃度であれば、鉄筋位置での塩化物イオン濃度が腐食限界(塩化物イオンが1.2Kg/m)を超えた時点で腐食を開始すると判定することができる。
鉄筋腐食の発生に関する判定(S122)では、ステップS104で導き出した鉄筋位置の塩化物イオン濃度と予め設定された限界塩化物イオン濃度との比較、あるいはステップS104で導き出した中性化深さとステップS102で入力された鉄筋かぶりとの比較により、鉄筋が腐食しているか否かの判定を行う。
ひび割れに関する判定(S124)では、ステップS102で入力した鉄筋かぶりと鉄筋径に基づいて、今後発生し得るひび割れの態様がひび割れ型か剥落型かの判定を行う。
耐荷性に関する判定(S126)では、ステップS102で入力された設計データ(部材厚、鉄筋かぶり、コンクリートの圧縮強度、鉄筋量、鉄筋降伏強度、作用断面力など)とステップS104で導き出した鉄筋腐食量とから、現時点における発生応力度および残存耐力を求める。そして、発生応力度とステップS102で入力された許容応力度との比較を行うとともに、残存耐力と作用断面力との比較を行い、これら比較結果に基づいて、現時点における構造物の耐荷性能が要求性能を満足しているか否かの判定を行う。
上記の各判定の結果は、出力部20(モニタやプリンタ)によって出力する(S128)。
劣化予測ステップ(S108)では、ステップS104で導き出した各特性値(鉄筋腐食量、鉄筋位置の塩化物イオン濃度、中性化深さ)や、ステップS126で求めた耐荷性(発生応力度、残存耐力)の経時変化を予測し、その予測結果を表示画面に出力する処理を実行する。
例えば、鉄筋腐食量の経時変化は、ステップS104で導き出した鉄筋腐食開始時期、ひび割れ発生時期、ステップS102で入力された鉄筋の腐食速度に基づき予測される。
また、鉄筋位置の塩化物イオン濃度の経時変化は、ステップS104で求めた塩化物イオンの拡散係数および表面塩化物イオン濃度に基づき予測され、中性化深さの経時変化は、ステップS104で求めた中性化速度係数に基づき予測される。
また、発生応力度および残存耐力の経時変化は、鉄筋腐食量の経時変化とステップS102で入力された断面性能に関する設計データ等に基づき予測される。
維持管理支援ステップ(S110)においては、構造物の特性値が要求性能を満足しなくなるまでの残存時間についての演算を行う。
まずステップS130では、ステップS108で導き出した鉄筋位置の塩化物イオン濃度や中性化深さの経時変化に基づいて、鉄筋位置の塩化物イオン濃度が限界塩化物イオン濃度を上回る時期、あるいは中性化深さが鉄筋かぶりを上回る時期を演算することによって、鉄筋腐食開始までの残存時間を導き出す。
次いでステップS132では、鉄筋腐食に伴う膨張によりコンクリートに発生する引張応力がコンクリートの引張強度を超える時期を演算することによって、ひび割れ発生までの残存時間を導き出す。
次いで、ステップS132では、ステップS108で導き出した発生応力度や残存耐力の経時変化に基づいて、ステップS102で入力された作用断面力を残存耐力が下回る時期と、ステップS102で入力された許容応力度を発生応力度が上回る時期をそれぞれ演算することによって、構造物の耐荷性能が要求性能を満足しなくなるまでの残存時間を導き出す。
上記のステップS130〜S134において導き出した各残存時間は記憶部16内のデータベースに格納すると共に、出力部20によって出力する(S136)。また、このステップS136では、各構造物あるいは構造物の各部位の鉄筋腐食量と経過時間(供用期間)との関係を出力する。これらの出力を参照することにより、構造物間もしくは検討対象の部材断面間で残存期間を比較したり、相対的に腐食の著しい箇所を調べたりすることができる。
次に図12に示すように、補修効果を考慮した劣化予測ステップ(S112)および補修計画支援ステップ(S114)を実施する。補修効果を考慮した劣化予測については、図13および図14を用いて説明する。図13および図14に示すように、補修効果を考慮した劣化予測(S112)は、大別して既存塩化物イオン濃度分布の演算(S138)と、新規塩化物イオン濃度分布の演算(S140)と、塩化物イオン濃度分布の演算(S142)とに分けられる。
図13は表面被覆工法の補修効果を考慮した劣化予測方法を説明するフローチャートである。既存塩化物イオン濃度分布の演算(S138)においては、表面被覆の補修時点における塩化物イオンの総量を演算する(S160)。次に、塩化物イオンの総量が一定である条件の下に、判定時点における塩化物イオンの濃度分布を演算する(S162)。
次に新規塩化物イオン濃度分布の演算(S140)においては、表面被覆の補修時点におけるコンクリート表層の塩化物イオンの濃度はゼロとし、判定時点における塩化物イオンの濃度分布を演算する(S164)。このとき、表面被覆を通過して浸透する塩化物イオンは、表面被覆材の遮塩性能近似関数を用いて演算する。これにより表面被覆工法の補修効果が考慮される。
次に塩化物イオンの濃度分布の演算(S142)では、既存塩化物イオンと新規塩化物イオンとを重ね合わせることで、任意の時点および位置における塩化物イオン濃度を演算する(S166)。
図14は断面修復工法の補修効果を考慮した劣化予測方法を説明するフローチャートである。既存塩化物イオン濃度分布の演算(S138)においては、状態取得部30が断面修復の補修時点(断面修復後)における塩化物イオンの総量を演算する(S170)。次に既存因子演算部32は、塩化物イオンの総量が一定である条件の下に、判定時点における塩化物イオンの濃度分布を演算する(S172)。このとき塩化物イオンは既設コンクリートから断面修復材に向かって拡散するように、繰り返し演算を行う。これにより断面修復工法の補修効果が考慮される。
次に新規塩化物イオン濃度分布の演算(S140)においては新規因子演算部34が、断面修復後に新たに浸透する塩化物イオンについて、その濃度分布を演算する(S174)。この場合において、表面被覆処理を施さない条件であっても良いが、施す条件である場合にはステップS164で説明したように、表面被覆材の遮塩性能近似関数を用いて演算する。
次に塩化物イオンの濃度分布の演算(S142)では、重畳部36が既存塩化物イオンと新規塩化物イオンとを重ね合わせることで、任意の時点および位置における塩化物イオン濃度を演算する(S176)。
図12に戻り、補修効果を考慮した劣化予測ステップ(S112)が完了すると、補修計画視点ステップ(S110)を実施する。そして上記のステップS130〜S134と同様に、判定部38が鉄筋腐食開始までの残存時間を演算し(S144)、ひび割れ発生までの残存時間を演算し(S146)、耐荷性能喪失までの残存時間を演算する(S148)。
さらに補修計画支援ステップ(S114)では、ライフサイクルコストについて演算する(S150)。具体的には、例えば残存時間を正確に演算できることから、適切な時期に次の補修計画を立てることができる。また、例えば構造物の使用年数が限られているとき、次の補修においていずれの補修工法を施すかを選択することができる。
そして上記のステップS144〜S150において導き出した各残存時間およびライフサイクルコストは、記憶部16内のデータベースに格納すると共に、出力部20によって出力する(S152)。
上記説明した如く、本実施例にかかる構成によれば、複雑な挙動を示す劣化因子の拡散と濃度分布を極めて簡単なモデルを重ね合わせることによって演算することができ、補修効果を高い精度で定量的に予測することができる。したがってライフサイクルコストを評価して補修工法および補修の時期を選定することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態および実施例においては、劣化因子として塩化物イオンを例に用いて説明した。しかし劣化因子としてはコンクリート内で拡散するものであればよく、例えば劣化因子として水を考慮することによりアルカリ骨材反応についての補修効果を予測することができ、劣化因子として炭酸ガスを考慮することにより中性化についての補修効果を予測することができる。
なお、本明細書の無線通信方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むとしても良い。
本発明は、鉄筋コンクリート構造物に最も一般的に用いられている表面被覆工法と断面修復工法を実施した場合の補修効果予測装置、補修効果予測方法、および補修効果予測プログラムとして利用することができる。
表面被覆後の経過年数と塩化物イオンの透過量の関係を示す図である。 経過年数とコンクリート表面の塩化物イオン濃度の関係を示す図である。 表面円滑部イオン濃度の変化に着目してモデル化した表面被覆の補修効果である。 表面被覆後の経過年数と表面被覆前後の表面塩化物イオン濃度比の関係を示す図である。 塩化物イオン濃度分布の予測結果を示す図である。 コンクリート深部での塩化物イオンの挙動モデルである。 各補修効果のシミュレーション結果を示す図である。 補修工法の違いによる鉄筋腐食時期までの残存期間である。 本発明にかかる鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置の一実施例を示す概略構成図である。 補修効果予測処理の概略を説明するフローチャートである。 補修効果予測処理の詳細を説明するフローチャートである。 補修効果予測処理の詳細を説明するフローチャートである。 表面被覆工法の補修効果を考慮した劣化予測方法を説明するフローチャートである。 断面修復工法の補修効果を考慮した劣化予測方法を説明するフローチャートである。
符号の説明
10 …補修効果予測装置
12 …CPU
14 …RAM
16 …記憶部
16a …記憶媒体
18 …入力部
20 …出力部
22 …バス
28 …特性値導出部
30 …状態取得部
32 …既存因子演算部
34 …新規因子演算部
36 …重畳部
38 …判定部

Claims (9)

  1. 基礎データとしての構造物に関するデータと、補修の内容に関するデータとを入力する入力部と、
    前記基礎データに基づいて第一の時点において既設コンクリート内に含まれている既存の劣化因子の濃度分布を取得する状態取得部と、
    前記状態取得部が取得した濃度分布に基づいて第一の時点から所定時間経過した第二の時点までの間に既存の劣化因子が拡散した濃度分布を演算する既存因子演算部と、
    第一の時点から第二の時点までの間に表面から浸透した新規の劣化因子の濃度分布を演算する新規因子演算部と、
    前記既存因子演算部と新規因子演算部の演算結果を重ね合わせて第二の時点における劣化因子の濃度分布を演算する重畳部と、
    前記重畳部の演算結果に基づいて当該構造物が予め設定された要求性能を満足する状態にあるか否かを判定する判定部と、を備えることを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置。
  2. 前記状態取得部は第一の時点における既存の劣化因子の総量を取得し、
    前記既存因子演算部は前記総量が一定である条件の下に第二の時点における既存の劣化因子の濃度分布を演算することを特徴とする請求項1記載の鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置。
  3. 第一の時点において断面修復を施した条件の下に、
    前記既存因子演算部において、第一の時点から第二の時点までの間に拡散する既存の劣化因子は、第一の時点において既設コンクリート内に含まれている既存の劣化因子の総量が一定である条件の下に、既設コンクリートから断面修復材に向かって拡散するように繰り返し演算を行うことを特徴とする請求項2記載の鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置。
  4. 第一の時点において表面被覆を施した条件の下に、
    前記新規因子演算部において、第一の時点から第二の時点までの間に表面から浸透する新規の劣化因子は、表面被覆材の遮塩性能の減衰を近似した遮塩性能近似関数を用いて演算することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置。
  5. 前記状態取得部が前記重畳部の演算結果から劣化因子の濃度分布を取得することにより、第二の時点を新たな第一の時点として繰り返し処理を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置。
  6. 前記入力部には、基礎データとして、コンクリートの配合データ、鉄筋かぶり厚さ、表面塩化物イオン量の中の少なくとも何れか一つが入力可能となっていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置。
  7. 前記入力部には、補修データとして、補修方法、第一の時点から第二の時点までの経過年数、補修材の遮塩性能または劣化因子拡散係数が入力可能となっていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測装置。
  8. 基礎データとしての構造物に関するデータと、補修の内容に関するデータとを取得し、
    前記基礎データに基づいて第一の時点において既設コンクリート内に含まれている既存の劣化因子の濃度分布を取得し、
    前記第一の時点の濃度分布に基づいて第一の時点から所定時間経過した第二の時点までの間に既存の劣化因子が拡散した濃度分布を演算し、
    第一の時点から第二の時点までの間に表面から浸透した新規の劣化因子の濃度分布を演算し、
    前記既存因子演算部と新規因子演算部の演算結果を重ね合わせて第二の時点における劣化因子の濃度分布を演算し、
    前記重畳部の演算結果に基づいて当該構造物が予め設定された要求性能を満足する状態にあるか否かを判定する判定部することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測方法。
  9. コンピュータを、
    基礎データとしての構造物に関するデータと、補修の内容に関するデータとを入力する入力部と、
    前記基礎データに基づいて第一の時点において既設コンクリート内に含まれている既存の劣化因子の濃度分布を取得する状態取得部と、
    前記状態取得部が取得した濃度分布に基づいて第一の時点から所定時間経過した第二の時点までの間に既存の劣化因子が拡散した濃度分布を演算する既存因子演算部と、
    第一の時点から第二の時点までの間に表面から浸透した新規の劣化因子の濃度分布を演算する新規因子演算部と、
    前記既存因子演算部と新規因子演算部の演算結果を重ね合わせて第二の時点における劣化因子の濃度分布を演算する重畳部と、
    前記重畳部の演算結果に基づいて当該構造物が予め設定された要求性能を満足する状態にあるか否かを判定する判定部として機能させることを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の補修効果予測プログラム。
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