JP5443055B2 - コンクリート診断システム - Google Patents

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Description

本発明は、鉄筋コンクリートからなる構造物の劣化を診断するコンクリート診断システムに係り、特に、劣化度合いや劣化箇所を視覚的に容易に把握することが可能なコンクリート診断システムに関するものである。
トンネルや橋梁などの鉄筋コンクリートからなる構造物の劣化を診断するコンクリート診断システムとして、従来、鉄筋コンクリートからなる構造物に赤外線を照射して構造物の温度分布を測定し、コンクリートの剥離や空隙などの構造物の内部欠陥を検出するものがある(例えば、特許文献1参照)。
このコンクリート診断システムでは、コンクリート表面に赤外線を照射してコンクリートを加熱したときに、コンクリート内に剥離などによる空間がある場合には健全部に比べコンクリートの温度が上昇することを利用し、赤外線カメラで撮影した画像を温度差分布解析して、欠陥の深さや剥落の危険度を評価している。
特許第3776794号公報
しかしながら、従来のコンクリート診断システムでは、コンクリートの物理的な内部欠陥、すなわち剥離や空隙を検出できるのみであり、鉄筋コンクリートの化学的な劣化(例えば、鉄筋位置での塩化物イオン濃度や中性化度など)を検出することはできなかった。
さらに、従来のコンクリート診断システムでは、現状での欠陥状況を評価して剥落の危険度の予測を行うことはできるものの、鉄筋コンクリートの経年劣化を予測することは困難であった。
また、コンクリート診断システムでは、鉄筋コンクリートの劣化を検出(あるいは経年変化を予測)するのみならず、その劣化度合いや劣化箇所を視覚的に容易に把握でき、補修が必要な箇所(あるいは将来補修が必要となる箇所)を容易に特定できることが要求されている。
そこで、本発明の目的は、鉄筋コンクリートの化学的な劣化を検出でき、かつ、劣化度合いや劣化箇所を視覚的に容易に把握することが可能なコンクリート診断システムを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、鉄筋コンクリート表面の劣化因子の濃度と、鉄筋コンクリートのかぶりと、鉄筋コンクリートの供用年数とに基づき、鉄筋コンクリートの劣化度を診断するコンクリート診断システムであって、予め撮影した診断対象となる鉄筋コンクリートの対象構造物の画像を記憶する対象画像記憶部と、該対象画像記憶部に記憶された画像上に、診断対象となる領域を設定すると共に、その設定した領域をメッシュに分割する分析領域設定部と、該分析領域設定部で分割した前記領域の各メッシュごとに、前記鉄筋コンクリート表面の劣化因子の濃度、および前記鉄筋コンクリートのかぶりを入力して設定すると共に、前記鉄筋コンクリートの供用年数を入力して設定するための測定値入力部と、該測定値入力部で入力された値を基に、各メッシュごとに劣化度を求める劣化度演算部と、該劣化度演算部で求めた各メッシュの劣化度の大きさに応じて、各メッシュを色分けして表示部に表示する表示制御部とを備えたコンクリート診断システムである。
前記鉄筋コンクリート表面の劣化因子の濃度が、塩化物イオン濃度であり、前記劣化度演算部で求める劣化度が、鉄筋位置での塩化物イオン濃度であってもよい。
前記鉄筋コンクリート表面の劣化因子の濃度が、炭酸カルシウム濃度(中性化度)であり、前記劣化度演算部で求める劣化度が、鉄筋位置での炭酸カルシウム濃度(中性化度)であってもよい。
前記測定値入力部で入力された値を基に、各メッシュごとに所定の年数経過後の劣化度を求める劣化度経年変化演算部をさらに備えてもよい。
前記分析領域設定部は、前記画像上に手動で設定された診断対象となる領域を、指定された分割方向とメッシュサイズに応じて、自動でメッシュに分割してもよい。
本発明によれば、鉄筋コンクリートの化学的な劣化を検出でき、かつ、劣化度合いや劣化箇所を視覚的に容易に把握することが可能なコンクリート診断システムを提供できる。
本発明の一実施形態に係るに係るコンクリート診断システムの機能ブロック図である。 本発明の一実施形態に係るに係るコンクリート診断システムのフローチャートである。 本発明のコンクリート診断システムで用いる対象構造物の画像(写真)の一例を示す図である。 (a)〜(b)は、本発明において、診断対象となる領域の設定し、設定した領域をメッシュに分割する手順を説明する図である。 本発明におけるコンクリート表面での劣化因子の濃度を示す濃度分布コンター図の一例を示す図であり、(a)はコンクリート表面での塩化物イオン濃度を示す濃度分布コンター図であり、(b)はコンクリート表面での炭酸カルシウム濃度を示す濃度分布コンター図である。 本発明における劣化度分布コンター図の一例を示す図であり、(a)は鉄筋位置での塩化物イオン濃度を示す劣化度分布コンター図であり、(b)は鉄筋位置での炭酸カルシウム濃度を示す劣化度分布コンター図である。 本発明における所定の年数経過後(X年後)の劣化度分布コンター図の一例を示す図であり、(a)はX年後の鉄筋位置での塩化物イオン濃度を示す劣化度分布コンター図であり、(b)はX年後の鉄筋位置での炭酸カルシウム濃度を示す劣化度分布コンター図である。 本発明において、XYグラフを説明する図であり、(a)は図5(a)の濃度分布コンター図においてあるメッシュを選択することを説明する図であり、(b)は選択したメッシュのX方向、Y方向の濃度分布を示すXYグラフである。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
本実施形態に係るコンクリート診断システムは、塩害、中性化、アルカリ骨材反応、化学的劣化について、分光分析などによって得たコンクリート表面の劣化因子の濃度を基に、鉄筋コンクリートの劣化度、および劣化度の経年変化を診断するシステムである。
塩害は、海水などによりコンクリートの表面から塩化物が浸透するなどして、コンクリート内に多量の塩化物が存在すると、塩化物イオンの作用により鉄筋の表面の保護被膜(不動態被膜)が破壊され、鉄筋に腐食が生じる現象をいう。
中性化は、コンクリートが大気中の二酸化炭素(炭酸ガス)と化学反応を起こして、炭酸カルシウムに変化することによって起こる。この中性化が鉄筋のある部分まで進むと、鉄筋の表面の保護被膜が失われて、鉄筋に腐食が生じてしまう。
アルカリ骨材反応は、骨材中のある種反応性成分がセメント中に含まれているアルカリ分と反応し、生成物がコンクリート中の水分で吸収膨張することで、コンクリートにひび割れを発生させるものである。
化学的劣化は、コンクリートのセメント分が化学反応を起こして劣化する現象をいい、酸による劣化や、動植物油による劣化、硫酸イオンによる劣化が挙げられる。
したがって、鉄筋コンクリートの劣化度を診断する際に用いる劣化因子の濃度は、塩害を診断する場合は塩化物イオン濃度、中性化を診断する場合は炭酸カルシウム濃度(中性化度)となる。また、アルカリ骨材反応を診断する場合は、例えばアルカリ度やシリカ成分などの濃度、化学的劣化を診断する場合は、例えば酸性成分の濃度や硫酸成分の濃度を、劣化因子の濃度として測定する。
これら劣化因子の濃度は、例えば分光分析法により測定される。分光分析法では、コンクリート表面に近赤外線を照射し、コンクリート表面から反射した近赤外線を分光分析することにより、劣化因子による吸収スペクトルを検出して、コンクリート表面における劣化因子の濃度を求める。なお、劣化因子の濃度を測定する方法については、分光分析法に限定されない。
本実施形態では、一例として、塩害と中性化について診断する場合を説明する。塩害を診断する場合、鉄筋コンクリートの劣化度は、鉄筋位置での塩化物イオン濃度で表される。また、中性化を診断する場合、鉄筋コンクリートの劣化度は、鉄筋位置での炭酸カルシウム濃度で表される。
図1は、本実施形態に係るコンクリート診断システムの機能ブロック図である。
図1に示すように、コンクリート診断システム1は、診断対象となる鉄筋コンクリートの対象構造物の情報や、鉄筋コンクリートの劣化度を演算するのに必要な情報などを入力するための入力部2と、入力部2から入力された情報(入力値)を基に鉄筋コンクリートの劣化度を演算する演算部3と、演算部3で求めた鉄筋コンクリートの劣化度を表示するディスプレイなどの表示部4とを主に備えている。
入力部2は、対象構造物の名称(例えば、橋梁名など)や、診断対象となる部位(橋梁の場合、例えば、脚、桁、床版(桁間、張出し)、地覆、高欄など)、補修情報などを入力するための構造物情報入力部5と、予め撮影した対象構造物の画像(デジタルカメラなどで撮影した写真画像)を入力するための対象画像入力部6と、分光分析法などにより測定したコンクリート表面の劣化因子の濃度(塩化物イオン濃度、炭酸カルシウム濃度)、鉄筋コンクリートのかぶり(鉄筋とコンクリート表面との距離)を、後述する分析領域設定部13で設定したメッシュごとに入力すると共に、鉄筋コンクリートの供用年数を入力するための測定値入力部7と、劣化度の演算に必要なパラメータ(演算パラメータ)を入力するための演算パラメータ入力部8とを備える。
構造物情報入力部5で入力される構造物情報としては、対象構造物の名称、対象構造物の種類、所在地、施工年月日などが挙げられる。これら構造物情報は、演算部3の構造物情報記憶部9に記憶される。
また、構造物情報入力部5で入力される部位情報としては、診断対象となる部位の種別、補修情報などが挙げられる。これら部位情報は、演算部3の部位記憶部10に記憶される。
構造物情報入力部5は、構造物情報記憶部9、部位記憶部10に予め記憶された名称、部位から、対象構造物の名称、部位を選択可能とし、対象構造物の名称、部位が構造物情報記憶部9、部位記憶部10に記憶されていない場合に、新たに対象構造物の名称、部位を入力して、構造物情報記憶部9、部位記憶部10に記憶(登録)するようにされる。
対象画像入力部6で入力された対象構造物の画像は、構造物情報記憶部9に記憶された対象構造物の名称、および部位記憶部10に記憶された部位と関連づけて、対象画像記憶部11に記憶される。また、演算パラメータ入力部8で入力された演算パラメータは、演算部3の演算パラメータ記憶部12に記憶される。
演算部3は、上述の構造物情報記憶部9、部位記憶部10、対象画像記憶部11、演算パラメータ記憶部12に加え、対象画像記憶部11に記憶された画像上に、診断対象となる領域を設定すると共に、その設定した領域をメッシュに分割する分析領域設定部13と、測定値入力部7で入力された値を基に、各メッシュごとに劣化度を求める劣化度演算部14と、測定値入力部7で入力された値を基に、各メッシュごとに所定の年数経過後の劣化度を求める劣化度経年変化演算部15と、劣化度演算部14や劣化度経年変化演算部15で演算した演算結果を記憶する演算結果記憶部16と、劣化度演算部14、あるいは劣化度経年変化演算部15で求めた各メッシュの劣化度の大きさに応じて、各メッシュを色分けして表示部4に表示する表示制御部17とを備える。
分析領域設定部13は、対象画像記憶部11に記憶された画像上に手動で設定された診断対象となる領域を、指定された分割方向とメッシュサイズ(縦×横のサイズ)に応じて、自動でメッシュに分割するようにされる。本実施形態では、分割方向とメッシュサイズを指定することにより、自動でメッシュに分割するようにしたが、これに限らず、例えば診断対象となる領域が複雑な形状である場合などは、手作業で全てのメッシュを設定するようにしてもよい。
劣化度演算部14は、測定値入力部7で各メッシュごとに入力された劣化因子の濃度と鉄筋コンクリートのかぶり、および鉄筋コンクリートの供用年数と、演算パラメータ記憶部12に記憶された演算パラメータに基づき、鉄筋コンクリートの劣化度を各メッシュごとに演算する。劣化度演算部14における演算結果は、演算結果記憶部16に記憶される。
劣化度経年変化演算部15は、劣化度演算部14と同様に、測定値入力部7で各メッシュごとに入力された劣化因子の濃度と鉄筋コンクリートのかぶり、および鉄筋コンクリートの供用年数と、演算パラメータ記憶部12に記憶された演算パラメータに基づき、鉄筋コンクリートの所定の年数経過後の劣化度を各メッシュごとに演算する。劣化度経年変化演算部15における演算結果は、演算結果記憶部16に記憶される。
表示制御部17は、劣化度演算部14、あるいは劣化度経年変化演算部15で求めた各メッシュの劣化度の大きさに応じて、各メッシュを色分けした劣化度分布コンター図を表示部4に表示する。メッシュの色分けについては、例えば、複数のしきい値を段階的に設定し、劣化度の大きさがどの段階に属するかを判断して、その段階に応じた色に決定するとよい。
また、表示制御部17は、測定値入力部7にて入力されたコンクリート表面での各メッシュの劣化因子の濃度の大きさに応じて、各メッシュを色分けした濃度分布コンター図を表示部4に表示する機能を有する。
次に、本実施形態に係るコンクリート診断システム1の動作を図2を用いて説明する。
図2に示すように、まず、構造物情報入力部5にて、構造物情報記憶部9に記憶された名称より、対象構造物の名称を選択する(ステップS1)。対象構造物の名称が構造物情報記憶部9に記憶されていない場合、新たに対象構造物の名称を構造物情報記憶部9に登録する(ステップS2)。
その後、構造物情報入力部5にて、部位記憶部10に記憶された部位より、診断対象となる部位を選択する(ステップS3)。診断対象となる部位が部位記憶部10に記憶されていない場合、新たに診断対象となる部位を部位記憶部10に登録する(ステップS4)。また、診断対象となる部位にて補修が行われている場合、構造物情報入力部5にて補修情報を入力し、部位記憶部10に登録する。
対象構造物の名称、診断対象となる部位を決定した後、予め撮影した対象構造物の画像(写真)を対象画像記憶部11に登録する(ステップS5)。対象画像記憶部11に登録する画像の一例を図3に示す。この場合、対象構造物が橋梁であるため、対象構造物の名称は橋梁名となる。ここでは、診断対象となる部位を、床版の張出しとする。
対象構造物の画像を登録した後、分析領域設定部13にて、当該画像上に、診断対象となる領域を設定すると共に、その設定した領域をメッシュに分割する(ステップS6)。
より具体的には、まず、図4(a)に示すように、画像A上の診断対象となる領域の端点を、手動によりポインタ(図示黒丸点)Pで指定する。すると、図4(b)に示すように、ポインタPで囲まれた領域が診断対象の領域Rとして設定される。
診断対象の領域Rを設定した後、画像Aのスケール(領域Rのサイズ)を設定すると共に、メッシュサイズ(例えば、10cm×10cm)を設定し、さらに、図4(c)に示すように、分割方向指定ポインタDを手動により回転させ、メッシュの分割方向を決定する。すると、図4(d)に示すように、分析領域設定部13が、領域Rをメッシュに自動分割する。
なお、メッシュの設定については、予め行った分光分析などに応じてメッシュを設定するようにしてもよいし、先にメッシュを設定した後に、設定したメッシュに応じて分光分析を行うようにしてもよい。メッシュサイズについては、本実施形態では、コア抜きを行う際のコア径(コンクリートをサンプリングして診断するときのコア径)が一般に10cmであることから、これに対応させて10cm×10cmとしたが、これに限らず、任意の大きさとすることができる。
分析領域設定部13で診断対象の領域Rの設定、およびメッシュ分割を行った後、測定値入力部7にて、分光分析などにより求めたコンクリート表面での劣化因子の濃度(塩化物イオン濃度、炭酸カルシウム濃度)と鉄筋コンクリートのかぶりを各メッシュごとに入力すると共に、鉄筋コンクリートの供用年数を入力する(ステップS7)。
測定値入力部7にて入力を行った後、表示制御部17は、各メッシュの劣化因子の濃度の大きさに応じて、各メッシュを色分けした濃度分布コンター図を表示部4に表示する。濃度分布コンター図の一例を図5(a),(b)に示す。図5(a)は、コンクリート表面の塩化物イオン濃度の濃度分布コンター図の一例、図5(b)はコンクリート表面の炭酸カルシウム濃度の濃度分布コンター図の一例である。図5(a),(b)では、ハッチングにより濃度の大小を表しているが、実際には、各メッシュの劣化因子の濃度の大きさに応じて、各メッシュが色分けされる。また、図5(a),(b)では、劣化因子の濃度の大きさに応じて4段階に色分けする場合を示しているが、これに限らず、色分けする段階については任意に決定することができる。
その後、演算パラメータ入力部8にて、劣化度の演算に必要な演算パラメータを入力し、演算パラメータ記憶部12に記憶させる(ステップS8)。本実施形態では、全てのメッシュで同じ演算パラメータを用いることとしたが、各メッシュごとに演算パラメータを設定できるようにしてもよい。
演算パラメータを入力した後、劣化度演算部14にて鉄筋コンクリートの劣化度(鉄筋位置での塩化物イオン濃度、鉄筋位置での炭酸カルシウム濃度)を各メッシュごとに演算する(ステップS9)。
具体的には、塩害を診断する場合、[数1]に示す式(1)で表されるFick拡散式を用いて、鉄筋位置での塩化物イオン濃度Cdを各メッシュごとに演算する。
Figure 0005443055
中性化を診断する場合は、[数2]に示す式(2)で表される中性化式を用いて、鉄筋位置での炭酸カルシウム濃度を演算する。
Figure 0005443055
なお、アルカリ骨材反応を診断する場合には、マルコフ連鎖モデルなどを用いて遷移確率を演算し、化学的劣化を診断する場合には、式(2)とほぼ同様のルートt則を用いて劣化度を診断するようにすればよい。
各メッシュごとに劣化度を演算した後、表示制御部17は、各メッシュの劣化度の大きさに応じて、各メッシュを色分けした劣化度分布コンター図を表示部4にプレビューとして表示する(ステップS10)。劣化度分布コンター図の一例を図6(a),(b)に示す。図6(a)は、鉄筋位置での塩化物イオン濃度を示す劣化度分布コンター図の一例、図6(b)は鉄筋位置での炭酸カルシウム濃度を示す劣化度分布コンター図の一例である。図6(a),(b)では、ハッチングにより濃度の大小を表しているが、実際には、各メッシュの劣化度の大きさに応じて、各メッシュが色分けされる。
図6(a)の劣化度分布コンター図と、図5(a)の濃度分布コンター図とを比較すると、図5(a)に示すように、コンクリート表面では左下の部分Bで塩化物イオン濃度が高くなっているが、図6(a)に示すように、鉄筋位置では左下の部分Bでは塩化物イオン濃度が低くなっている。また、右上の部分Cでは、コンクリート表面では塩化物イオン濃度が低いが、鉄筋位置では塩化物イオン濃度が高くなっている。これは、鉄筋コンクリートのかぶりが異なっているためである。つまり、コンクリート表面での塩化物イオン濃度が低くても、鉄筋コンクリートのかぶりが小さければ、鉄筋位置での塩化物イオン濃度が高くなる場合がある。
図6(a),(b)において、鉄筋位置での塩化物イオン濃度または鉄筋位置での炭酸カルシウム濃度が高い箇所は、鉄筋コンクリートの劣化が進んでいる箇所であるといえる。よって、この箇所を優先して補修するようにすればよい。
入力した内容に訂正がある場合、適宜ステップS6、ステップS7、ステップS8に戻り、訂正した内容に基づいて再び劣化度を演算するようにすればよい。訂正がなければ、劣化度演算部14での演算結果(劣化度分布コンター図)は、演算結果記憶部16に記憶(登録)される(ステップS11)。
その後、劣化度経年変化演算部15は、各メッシュごとに所定の年数経過後の劣化度を求め、表示制御部17は、各メッシュの劣化度の大きさに応じて、各メッシュを色分けした劣化度分布コンター図を表示部4に表示する(ステップS12)。所定の年数経過後(X年後)の劣化度分布コンター図の一例を図7(a),(b)に示す。図7(a)は、X年後の鉄筋位置での塩化物イオン濃度を示す劣化度分布コンター図の一例、図7(b)はX年後の鉄筋位置での炭酸カルシウム濃度を示す劣化度分布コンター図の一例である。
所定の年数経過後の劣化度については、上記式(1)、式(2)において供用年数tを適宜設定することにより演算することができる。本実施形態では、年数を指定して、指定した年数経過後の劣化度分布コンター図を表示するようにしたが、劣化度演算部14で求めた現状での劣化度分布コンター図から、段階的(たとえば1年ごと)に順次劣化度分布コンター図を表示できるようにしてもよい。劣化度経年変化演算部15での演算結果は、演算結果記憶部16に記憶(登録)される。
以上説明したように、本実施形態に係るコンクリート診断システム1では、予め撮影した診断対象となる鉄筋コンクリートの対象構造物の画像上に、診断対象となる領域を設定すると共に、その設定した領域をメッシュに分割し、分割した各メッシュごとに、鉄筋コンクリート表面の劣化因子の濃度、および鉄筋コンクリートのかぶりを入力して設定すると共に、鉄筋コンクリートの供用年数を入力して設定し、その入力された値を基に、劣化度演算部14で各メッシュごとに劣化度を演算し、演算した各メッシュの劣化度の大きさに応じて、各メッシュを色分けして表示部4に表示するようにしている。
これにより、鉄筋コンクリートの化学的な劣化を検出でき、かつ、劣化度合いや劣化箇所を視覚的に容易に把握することが可能となり、補修が必要な箇所を容易に特定することが可能となる。
また、本実施形態では、測定値入力部7で入力された値を基に、各メッシュごとに所定の年数経過後の劣化度を劣化度経年変化演算部15で求めている。よって、鉄筋コンクリートの経年劣化を予測することが可能となり、将来の劣化度がビジュアル的に分かるようになる。したがって、所定の年数経過後の劣化度合いや劣化箇所を視覚的に容易に把握することができ、将来補修が必要となる箇所を容易に特定することが可能となる。
上記実施形態では、各メッシュの劣化度(あるいはコンクリート表面の劣化因子の濃度)の大きさに応じて、各メッシュを色分けして表示部4に表示するようにしたが、各メッシュを色分けして表示部4に表示すると共に、その劣化度(あるいはコンクリート表面の劣化因子の濃度)の数値をメッシュ上に表示するようにしてもよい。
また、図8(a),(b)に示すように、あるメッシュMを選択したときに、そのメッシュMを含む縦方向(図示X方向)と横方向(図示Y方向)におけるコンクリート表面での劣化因子の濃度(あるいは劣化度)の分布をXYグラフ81として表示部4に表示する機能を表示制御部17に備えてもよい。この場合、劣化度分布コンター図とXYグラフ81を並べて表示できるようにすることが望ましい。
本発明のコンクリート診断システム1は、例えば、事務所用サーバPCに搭載される。この場合、現場用ノートPCなどを用いて、現場で分光分析による測定値(コンクリート表面の塩化物イオン濃度など)のデータベースを作成し、そのデータベースのデータを事務所用サーバPCに搭載されたコンクリート診断システム1に取り込むようにすればよい。
1 コンクリート診断システム
2 入力部
3 演算部
4 表示部
5 構造物情報入力部
6 対象画像入力部
7 測定値入力部
8 演算パラメータ入力部
9 構造物情報記憶部
10 部位記憶部
11 対象画像記憶部
12 演算パラメータ記憶部
13 分析領域設定部
14 劣化度演算部
15 劣化度経年変化演算部
16 演算結果記憶部
17 表示制御部

Claims (5)

  1. 鉄筋コンクリート表面の劣化因子の濃度と、鉄筋コンクリートのかぶりと、鉄筋コンクリートの供用年数とに基づき、鉄筋コンクリートの劣化度を診断するコンクリート診断システムであって、
    予め撮影した診断対象となる鉄筋コンクリートの対象構造物の画像を記憶する対象画像記憶部と、
    該対象画像記憶部に記憶された画像上に、診断対象となる領域を設定すると共に、その設定した領域をメッシュに分割する分析領域設定部と、
    該分析領域設定部で分割した前記領域の各メッシュごとに、前記鉄筋コンクリート表面の劣化因子の濃度、および前記鉄筋コンクリートのかぶりを入力して設定すると共に、前記鉄筋コンクリートの供用年数を入力して設定するための測定値入力部と、
    該測定値入力部で入力された値を基に、各メッシュごとに劣化度を求める劣化度演算部と、
    該劣化度演算部で求めた各メッシュの劣化度の大きさに応じて、各メッシュを色分けして表示部に表示する表示制御部とを備えたことを特徴とするコンクリート診断システム。
  2. 前記鉄筋コンクリート表面の劣化因子の濃度が、塩化物イオン濃度であり、前記劣化度演算部で求める劣化度が、鉄筋位置での塩化物イオン濃度である請求項1記載のコンクリート診断システム。
  3. 前記鉄筋コンクリート表面の劣化因子の濃度が、炭酸カルシウム濃度(中性化度)であり、前記劣化度演算部で求める劣化度が、鉄筋位置での炭酸カルシウム濃度(中性化度)である請求項1記載のコンクリート診断システム。
  4. 前記測定値入力部で入力された値を基に、各メッシュごとに所定の年数経過後の劣化度を求める劣化度経年変化演算部をさらに備える請求項1〜3いずれかに記載のコンクリート診断システム。
  5. 前記分析領域設定部は、前記画像上に手動で設定された診断対象となる領域を、指定された分割方向とメッシュサイズに応じて、自動でメッシュに分割する請求項1〜4いずれかに記載のコンクリート診断システム。
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