JP4028824B2 - 鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法 - Google Patents

鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の鉄筋コンクリート構造物(以下、単に「構造物」という場合がある)の劣化予測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
土木構造物及び建築構造物等に代表される各種の構造物を維持管理する上で、劣化機構の推定及び劣化予測を行うことを目的として、種々の点検及び調査(以下「調査点検」という)が行われている。
この調査点検には、一般に日常点検や定期点検としての簡易方法と、詳細調査としての詳細方法が存在している。簡易方法は、目視によって、構造物の外観の劣化、損傷の有無、或いは、損傷の進行程度等を把握する方法であり、詳細方法は、簡易方法で著しい変状が確認された場合において、構造物からコアを採取して、損傷の程度を詳細に分析する方法である。
【0003】
一方、前記調査点検とは別に、構造物の劣化を定量的に予測する手法が提案されている。例えば、本出願人は、「構造物における鉄筋のかぶり、中性化深さ、鉄筋位置の全塩化物量、コンクリート表面のひび割れ、浮きの有無、構造物が設置されている地域の年平均気温、年平均湿度、年間降水量などと、露出した鉄筋の観察により得られる鉄筋の腐食程度を使用して構築されたニューラルネットワークにより、コンクリート中の鉄筋の腐食程度を予測する手法」を提案している(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−21211号公報(第2頁―第5頁,図1−図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記予測手法では、コンクリート中の鉄筋の腐食程度に影響を及ぼす各種の要因に関する入力値を適切に決定することが予測精度を向上させる上で重要となる。この入力値は、不確定要素に依存して定まる確率変数(ばらつきを伴った変数)であり、その値は確率的にしか求めることができないという性質を有している。
しかし、従来の予測手法では、この入力値として、既存の研究事例による値やわずかな調査結果から推定された値を一意に定めて使用していたため、前記不確定要素を反映した予測を行うことができず、高精度の予測を行うことができなかった。
【0006】
本発明は、前記問題点を解決することを目的とするものであり、各種調査点検により入手可能な観測データ等を有効に利用することにより高精度の予測を行うことが可能となるコンクリート構造物の劣化予測方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、以下のステップを含むことを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法を提供するものである。
(1)予測対象である鉄筋コンクリート構造物の状態を示す構造物指標データ、塩化物量指標データ及び中性化指標データの入力値と、前記鉄筋コンクリート構造物が設置されている地域の気象条件指標データの入力値とに基づき、所定のランクに区分されている前記鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食状態について、所定のランクの鉄筋の腐食状態となるときの鉄筋腐食状態確率を予測する鉄筋腐食確率予測ステップ。
(2)少なくとも一つの前記指標データが所定の事前確率分布に従うとした場合における、その指標データの入力値が実現するときの事前確率と、調査点検結果から算出された前記鉄筋コンクリート構造物の実際の変状状態確率とを用いて、ベイズの定理に基づき、前記指標データの入力値の事後確率を求め、前記事後確率に基づき、前記指標データの入力値を推定する入力値推定ステップ。
(3)推定された前記指標データを入力値として、再度、所定のランクの鉄筋の腐食状態となるときの鉄筋腐食状態確率を予測する鉄筋腐食確率再予測ステップ。
【0008】
ここで、構造物指標データ、塩化物量指標データ、中性化進行指標データ及び気象条件指標データは、鉄筋コンクリート構造物の劣化に影響を与える指標に関するデータであり、適切なデータを選択する必要がある。
例えば、構造物指標データには、鉄筋かぶり、漏水の有無等を用いることができる。
また、塩化物量指標データとは、塩化物イオンによる鉄筋の腐食要因を説明するための指標に関するデータであり、構造物の表面塩化物イオン濃度、鉄筋位置全塩化物量等を用いることができる。
また、中性化指標データとは、セメント硬化体のアルカリ性が低下する要因を説明するための指標に関するデータであり、中性化速度係数、中性化深さ等を用いることができる。
また、気象条件指標データには、気象条件である気温(年平均気温、年最高気温、年最低気温)、年間降水量、湿度等を用いることができる。
なお、同一のカテゴリーに属する指標に関するデータとして、複数の種類のデータを選択して用いることもできる。
【0009】
鉄筋コンクリート構造物の劣化を判断するために特に重要な指標としては、鉄筋の腐食状態(以下「鉄筋腐食状態」という)が存在しており、鉄筋腐食状態は、構造物指標データ、塩化物量指標データ、中性化指標データ、及び、気象条件指標データの各指標データに依存して変化するものである。一方、各指標データは、鉄筋コンクリート構造物の置かれている環境条件、供用条件および施工条件などの様々な不確定性に依存して定められる確率変数であり、その値は確率的にしか予測し得ないものである。従って、各指標データの状態に依存して定められることになる鉄筋腐食状態もまた確率的にしか予測し得ないものである。
【0010】
そこで、本発明では、前記各指標データを実体に即した確率変数として扱い、入力値推定ステップにおいて、調査点検データ(定期的に実施されている調査点検を用いるとより好適である)を利用し、当該調査点検結果から算出された前記鉄筋コンクリート構造物の実際の変状状態確率を用いて、ベイズの理論(確率理論)に基づいて、各指標データの入力値を点検結果に適合するように推定することにより、修正(更新)している。そのため、各指標データの入力値の精度を合理的に高めることができることから、鉄筋コンクリート構造物における鉄筋の腐食状態の予測精度を向上させることができる。
従って、調査点検によるコア採取等を行うことなしで、鉄筋腐食状態確率を精度よく予測することができるため、作業の手間と費用を要することなく、鉄筋コンクリート構造物の劣化を予測することができる。
【0011】
また、前記鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法において、調査点検により得られた、所定のランクに区分されている前記鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食状態データと所定のランクに区分されている構造物の変状状態データの組み合わせを示す複数組の度数データから、あるランクの鉄筋の腐食状態の下において、各ランクの鉄筋コンクリート構造物の変状状態が実現するときの条件付き確率を予め算出しておき、算出された前記鉄筋腐食状態確率を、対応する前記条件付き確率に乗じることにより、所定のランクの鉄筋の腐食状態及び所定のランクの鉄筋コンクリート構造物の変状状態を実現する同時確率を算出し、総てのランクの前記鉄筋腐食状態に関する同時確率の総和を算定することにより、所定のランクに区分されている構造物の変状状態確率を予測することとすれば、推定された鉄筋腐食状態確率から、容易に鉄筋コンクリート構造物の変状状態確率を予測することができるため、さらに、好適である。
【0012】
また、本発明は、以下のステップを含むことを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法を提供するものである。
(1)予測対象である鉄筋コンクリート構造物の状態を示す構造物指標データ、塩化物量指標データ及び中性化指標データの入力値と、前記鉄筋コンクリート構造物が設置されている地域の気象条件指標データの入力値とに基づき、所定のランクに区分されている前記鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食状態について、所定のランクの鉄筋の腐食状態となるときの鉄筋腐食状態確率を予測する鉄筋腐食確率予測ステップ。
(2)調査点検により得られた、所定のランクに区分されている前記鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食状態データと所定のランクに区分されている鉄筋コンクリート構造物の変状状態データの組み合わせを示す複数組の度数データから、あるランクの鉄筋の腐食状態の下において、各ランクの鉄筋コンクリート構造物の変状状態が実現するときの条件付き確率を予め算出しておき、算出された前記鉄筋腐食状態確率を、対応する前記条件付き確率に乗じることにより、所定のランクの鉄筋の腐食状態及び所定のランクの鉄筋コンクリート構造物の変状状態を実現する同時確率を算出し、総てのランクの前記鉄筋の腐食状態に関する同時確率の総和を算定することにより、所定のランクに区分されている鉄筋コンクリート構造物の変状状態確率を予測する構造物変状状態確率予測ステップ。
(3)前記予測された構造物の変状状態確率と、前記調査点検結果から求めた構造物の変状状態確率との残差平方和が最小となるように、数値解析手法により前記各指標データの入力値を推定する入力値推定ステップ。
(4)推定された前記各指標データを入力値として、再度、所定のランクの鉄筋の腐食状態となるときの鉄筋腐食状態確率を予測するするとともに、鉄筋コンクリート構造物の変状状態の確率を予測する構造物変状状態確率再予測ステップ。
【0013】
本発明によれば、構造物指標データ、塩化物量指標データ、中性化指標データ及び気象条件指標データの各指標データを、実体に即した確率変数として扱い、入力値推定ステップにおいて、調査点検結果から求めた構造物の変状状態確率を利用した統計処理に基づいてその値を更新して、鉄筋コンクリート構造物の鉄筋腐食状態を予測しているため、予測精度の向上を図ることが可能となる。
【0014】
さらに、鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法の前記鉄筋腐食確率予測ステップにおいて、前記鉄筋の腐食メカニズムが表現された所定の内部関数が設定されているニューロン素子を有するとともに、所定数の階層を有し、かつ、当該各階層に所定数の前記ニューロン素子を有しており、前記構造物指標データ、前記塩化物量指標データ、前記中性化指標データ、及び、前記気象条件指標データの入力を行う階層型ニューラルネットワークを用い、前記各層の各ニューロン素子では、隣接する下層の全ニューロン素子からの出力値を入力値として、当該入力値を前記内部関数に代入することにより演算された演算値を算出し、この演算値を出力値として上層のニューロン素子に出力することを順次行い、最上層における少なくとも1つのニューロン素子からその結果を最終出力することにより、前記所定ランクの鉄筋の腐食状態となるときの鉄筋腐食状態確率を好適に予測することができる。
【0015】
また、前記鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法の前記鉄筋腐食確率予測ステップにおいて、前記構造物指標データ、前記塩化物量指標データ、前記中性化指標データ、及び、前記気象条件指標データを説明変数として、目的変数を、所定のランクの前記鉄筋の腐食状態が実現した場合を1、実現しない場合を0としたダミー変数で表し、前記目的変数を、残差と、前記各説明変数及び未定係数の一次結合の総和として表した場合に、前記残差が正規分布に従うと仮定して前記各未定係数を求めて、前記目的変数を算出するプロビットモデルを用いることにより、前記所定ランクの鉄筋の腐食状態となるときの鉄筋腐食状態確率を好適に予測することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において、同一の構成要素については同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【0017】
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明(第1実施形態)の構造物の劣化予測方法(以下「劣化予測方法」という)は、事前に行われている調査点検結果のデータを最大限に利用しながら、構造物劣化の主要な原因となる鉄筋腐食状態確率(鉄筋の腐食グレードを示す確率)と構造物変状状態確率を予測する方法であり、(1)鉄筋腐食確率予測ステップ、(2)入力値推定ステップ、(3)鉄筋腐食確率再予測ステップ、及び、(4)構造物変状状態確率予測ステップから構成されている。
【0018】
(1)鉄筋腐食確率予測ステップ
本ステップは、構造物の劣化の主な要因である鉄筋腐食メカニズムに関し、各種指標データを説明変数としてモデル化した鉄筋腐食状態確率予測モデルにより、鉄筋腐食状態確率を予測するステップ(S1)である。
【0019】
(鉄筋腐食状態確率予測モデルの内容)
鉄筋腐食状態確率予測モデルとしては種々のモデルを適用することができるが、本実施形態では、ニューラルネットワークを使用したモデルを採用している。なお、ニューラルネットワークは、種々の要因に依存しており、数式化や定式化が困難な問題の解決の究明を行う場合に利用されている最適化手法であり、並列分散型の情報処理を採用することで直感的な推論が可能であることと、学習による自己組織化が可能であることを特徴としている。
【0020】
図2に示すように、本発明で使用しているニューラルネットワークは、最下層である入力層、その上層である第1中間層、その上層である第2中間層及び最上層である出力層の4層から構築されている。
各層には、それぞれ所定数のニューロン素子(図2中の○印を指す)が設定されており、隣接する各層における各ニューロン素子は、シナプス(ニューロン素子同士を繋ぐ線であり神経伝達網に相当する)により結合されている。
各ニューロン素子には、前記鉄筋腐食メカニズムが表現された所定の内部関数(重み関数)が設定されており、各層の各ニューロン素子では、隣接する下層の全ニューロン素子から出力された値を入力値として、当該入力値を内部関数に代入することにより演算された演算値を算出し、これを自己の出力値として、隣接する上層のニューロン素子に出力することになる。そして、その値がさらに上層のニューロン素子における入力値となり、同様の演算が行われることになる。さらに、これらの過程が繰り返し行われることにより、最終的に、出力層から出力値が算出されることになる。
【0021】
一般的に、ニューロン素子数及び中間層の階層数は一義的に決定することはできないが、ニューロン素子数等が少ない場合には学習による自己組織化が終了しなかったり、多過ぎる場合には学習回数を多く必要とし出力が不安定になるなどの問題が生ずることになる。従って、ニューロン素子数及び中間層の階層数は、それらの要因を考慮した上で適切に定める必要がある。
【0022】
ニューロン素子に設定されている内部関数は、学術的な研究結果と調査点検結果から構築されており、本実施形態における入力層のニューロン素子には、鉄筋かぶり(d)(構造物指標データ)、表面塩化物イオン濃度(Ct(t))(構造物指標データ)、中性化速度係数Ak(t)(中性化指標データ)、年平均気温(Tave)(気象条件指標データ)、年最高気温(Tmax)(気象条件指標データ)、年最低気温(Tmin)(気象条件指標データ)、年間降水量(Rain)(気象条件指標データ)、及び、漏水の有無(Leak)(構造物指標データ)、の計8因子の各指標データの入力値が入力されることになる。
【0023】
また、第1中間層は4個のニューロン素子、第2中間層は2個のニューロン素子を有するように設定されており、当該第2中間層の各ニューロン素子から出力された数値は、出力層の単一のニューロン素子に入力され、鉄筋腐食状態確率(P(t))として出力されるように構成されている(式(1−1))。
本実施形態では、鉄筋腐食状態は、I:非常に良い、II:良好、III:悪い、IV:非常に悪い、の4段階のランク(カテゴリー)に設定されており、構造物の鉄筋が、所定の腐食状態のランクであるときの確率を示す指標である鉄筋腐食状態確率(その値が高いほど、所定の鉄筋の腐食状態が実現される可能性が高いことを示す)を算出することができるようになっている。
なお、本実施例では、鉄筋腐食状態を4段階のランクで評価したが、この評価ランク数は任意に設定することができる。
【0024】
P(t)=NW(d,Ct(t),Ak(t),Tave,Tmax,Tmin,Rain,Leak) (1−1)
P(t):鉄筋腐食状態確率
NW:ニューラルネットワークモデル
t:供用期間(days)
d:鉄筋かぶり(mm)
Ct(t):表面塩化物イオン濃度
Ak(t):中性化速度係数
Tave:年平均気温(℃)
Tmax:年最高気温(℃)
Tmin:年最低気温(℃)
Rain:年間降水量(mm)
Leak:漏水(有=1,無=0)
【0025】
(各指標データの入力値の設定)
鉄筋腐食状態確率は、前記鉄筋腐食状態確率予測モデルに各指標データの入力値を入力することにより算出される(S11〜S13)。
このとき、各指標データの入力値は、既存の統計データ、設計時における構造物データ、構造物の目視データ、専門家の知見等を使用して設定する。
【0026】
例えば、鉄筋かぶりは設計図書、漏水の有無は現時点での構造物の目視観察に基づいて設定する。
また、表面塩化物イオン濃度は、表1のように、海岸線からの距離に応じて設定された既存の調査研究結果、対象とする部位、土木学会コンクリート標準示方書施工編における環境条件等を勘案して設定する。
【0027】
【表1】
Figure 0004028824
【0028】
また、中性化速度係数は、コンクリートの配合などの材料物性データを設計図書などから入手して設定するものであり、例えば式(1−2)等を用いて設定する。
k =−3.57+9.0(W/C) (1−2)
k:中性化速度係数(mm/√(年))
W/C:水セメント比
【0029】
さらに、気象条件指標である気温(年平均気温、年最高気温、年最低気温)、年間降水量は、既存の気象統計データに基づいて設定する。
【0030】
なお、前記各指標データの入力値は、調査点検結果がない場合には、構造物の全体に関する値として設定する。
また、過去に複数の調査点検地点での調査点検結果がある場合には、その結果に関し、統計手法により所定の調査点検地点で共通の傾向が確認された場合には、予測対象箇所のグルーピングを行い、その箇所ごとに異なる入力値を設定して以下の予測を行うことで、より信頼性を向上させることができる(なお、予測を行う場合の考え方は、構造物全体の場合と同様である)。
【0031】
(2)入力値推定ステップ
本ステップは、前記指標データの入力値をベイズの定理に基づき、より正確な値となるように修正(更新)する作業を行うステップ(S2)である。
【0032】
前記各指標データは、構造物の置かれている環境条件、供用条件および施工条件などの様々な不確定性を伴っており、一意に決定することは難しい。そのため、本ステップでは、各指標データを確率変数として扱い、調査点検結果に適合する最適な値を推定する作業を行う。
【0033】
具体的には、各指標データθi(例えば、鉄筋かぶり)が所定の事前確率分布に従うとした場合における、その指標データの入力値が実現するための事前確率P(Θ=θi)と(S21)、調査点検により得られる構造物の情報(ε)より求められた構造物の実際の変状状態確率(以下「構造物実変状状態確率」という)P(ε|Θ=θi)と(S22)を用いて、ベイズの定理に基づき、式(2−1)により、前記指標データの入力値の事後確率P(Θ=θi|ε)を推定し(S23)、事後確率P(Θ=θi|ε)に基づき、各指標データθiの入力値を修正する(S24)。
【0034】
Figure 0004028824
P(ε|Θ=θi):調査点検により得られた構造物の情報εから求められた構造物の実変状状態確率
P(Θ=θi):調査点検から得られる構造物の情報εが得られる前のΘに関する確率(事前確率)
P(Θ=θi|ε):調査点検から得られる情報εに基づいて修正されたΘに関する確率(事後確率)
【0035】
具体的には、以下の方法で、各指標データθiの入力値を修正する。
まず、例えば、各指標データは、詳細調査や設計資料等に基づいて、所定の平均値及び標準偏差の事前確率分布(例えば、対数正規分布)に従うと仮定する。
【0036】
また、各指標データの入力値がθiであるときの構造物実変状状態確率は、調査点検から得られた構造物における所定の変状状態(例えば、後記する健全、ひびわれ、剥離、浮き、鉄筋露出等の状態)を示す部分の面積データ(以下「変状面積」という)から求める。
より具体的には、構造物実変状状態確率は以下のようにして求める。
【0037】
前記のように構造物の変状状態は、健全(E1)、ひびわれ(E2)、剥離(E3)、浮き(E4)、鉄筋露出(E5)の5つの事象のいずれかが起こりうるとする(但し、各事象は排反事象とする)。
つまり、事象E1〜E5に関して、各事象が起こりうる確率P(Ej)間には、式(2−2)が成立する。
【0038】
Figure 0004028824
P(E1∪E2∪E3∪E4∪E5):総ての事象が起こりうる確率
P(Ej):事象Ej(j=1〜5)が起こりうる確率
【0039】
すなわち、ある調査点検箇所から無作為に微小面積ΔSをn回サンプリングした結果、各事象Ejがnj回(j=1〜5)生じたとすると、式(2−2)を式(2−3)のように面積で表現することができる。
【0040】
Figure 0004028824
nΔS:構造物の全面積
1ΔS:構造物の健全部分の面積
2ΔS:構造物のひびわれ部分の面積
3ΔS:構造物の剥離部分の面積
4ΔS:構造物の浮き部分の面積
5ΔS:構造物の鉄筋露出部分の面積
【0041】
従って、変状面積を全体の面積で除した変状面積率(nj/n)を構造物実変状状態確率P(Ej)と定めることができる。
一方、このように調査点検から構造物実変状状態確率が求められた場合において、後記鉄筋腐食確率予測方法(構造物変状状態確率予測ステップ参照)と同様の方法(予め定められている、構造物実変状状態確率と鉄筋実腐食確率の相関式に、算出された構造物実変状状態確率を代入する)により、調査点検における鉄筋腐食状態(以下「鉄筋実腐食状態」という、I’:非常に良い、II’:良好、III’:悪い、IV’:非常に悪い、の4段階のランク)に対応した鉄筋腐食状態確率P(Fk)(以下「鉄筋実腐食状態確率」という)を求めることができる。
なお、ここで、鉄筋実腐食状態確率は、非常に良い(F1)、良好(F2)、悪い(F3)、非常に悪い(F4)、の4つの事象とする。
このとき、後記の各実鉄筋腐食状態確率(P(Fk))は排反事象であるため、多項分布を用いて表すことができ、尤度関数は所定の指標パラメータ(θi)(例えば、鉄筋かぶり)以外の指標パラメータの値を既知として、式(2−4)のように表される。
【0042】
L(Fk|θi)=Πk=1 4P(Fk|θiFk (2−4)
L(Fk|θi):尤度関数
P(Fk|θi):鉄筋かぶりがθiになるときに、鉄筋腐食状態確率Fk(k=1〜4)になる条件付き確率
k:調査点検から得られた鉄筋実腐食状態確率(k=1〜4)
【0043】
事後確率分布は、事前確率分布と尤度関数を用いて式(2−5)のように表される。従って、事前確率分布と尤度関数を用いて算出された事後確率分布を満たす指標パラメータの値を、修正値として求めることができる。
【0044】
f”(θi)=κL(Fk|θi)f’(θi) (2−5)
f”(θi):事後確率分布
f’(θi):事前確率分布
κ:正規化係数
L(Fk|θi):尤度関数
【0045】
例えば、指標パラメータとして、鉄筋かぶりを考えた場合において、この鉄筋かぶりの事前確率分布は、(平均値35mm、標準偏差9mm)の対数正規分布に従うと仮定する(図3)。
点検調査で得られた鉄筋実腐食状態がそれぞれI(qI'=1,qII'=0,qIII'=0,qIV'=0),III(qI'=0,qII'=0,qIII'=1,qIV'=0),IV(qI'=0,qII'=0,qIII'=0,qIV'=1)の場合に関して、式(2−4)により尤度関数を算出した例を図3(a)〜図3(c)に示す。
【0046】
この場合において、鉄筋実腐食状態がI’の場合には、鉄筋は実際には劣化が進んでいないため、想定した鉄筋かぶりである35mmよりもかぶりの値が大きい50mm以上の尤度関数の値が大きくなっている。
同様に、鉄筋実腐食状態がIII’の場合には、鉄筋かぶり20mm〜40mmの尤度関数の値が大きくなっており、鉄筋実腐食状態がIV’の場合には、鉄筋は実際には劣化が進んでいるため、想定した鉄筋かぶり35mmよりもかぶりの値が小さい20mm以下の尤度関数の値が大きくなっている。
【0047】
そして、式(2−5)により事後分布を求めると、図3(a)〜3(c)に示すようになる。このとき、各鉄筋実腐食状態に応じた鉄筋かぶりの入力値の修正値として、事後確率分布の中央値を採用した場合には、表2に示す値となる。
【0048】
【表2】
Figure 0004028824
【0049】
なお、調査点検結果が複数存在する場合には、前記方法を繰り返し行うことになる。
また、その他の各指標データに関しても、所定の平均値及び分散を仮定した対数正規分布(正規分布、或いは、他の分布でもよい)を事前確率分布とし、当該対数正規分布に従った値をとる確率変数と仮定して、同様の考え方を採用することができる。
【0050】
(3)鉄筋腐食確率再予測ステップ
本ステップは、修正(推定)された前記指標データを入力値として、再度、前記鉄筋腐食状態確率を予測する作業を行うステップ(S3)である。
【0051】
本ステップは、前記鉄筋腐食確率予測ステップと同様の方法により、修正された指標データの修正値を鉄筋腐食状態確率予測モデルの入力値として使用することにより鉄筋腐食状態確率を再度算出することになる。
【0052】
(4)構造物変状状態確率予測ステップ
本ステップは、鉄筋腐食確率再予測ステップで算出された鉄筋腐食状態確率から、後記所定のランクに区分されている構造物変状状態確率(所定のランクの構造物の変状状態が実現される確率)を予測する作業を行うステップ(S4)である。
【0053】
[事前準備]
まず、事前の準備として、複数の調査点検データにより、ランク(i)の鉄筋腐食状態(Xi)の下において、各ランク(j)の構造物変状状態(Yj)が実現するときの条件付き確率(PY|X(Yj|Xi))を予め算出しておく必要があるため、この条件付き確率の求め方について説明を行う(S41)。
【0054】
前記のとおり、鉄筋腐食状態(Xi)は、その程度に応じて4段階(I、II、III、IV)のランクに区分されるとともに(表3)、構造物変状状態(Yj)はその程度に応じて、5段階(健全状態、ひびわれが生じている状態、コンクリートの剥離が生じている状態、コンクリートの浮きが生じている状態、鉄筋が露出している状態)(以下「(健全(1)、ひびわれ(2)、剥離(3)、浮き(4)、鉄筋露出(5))」とする)の5段階のランクに区分されている。そして、調査点検の各結果から、あるランクの鉄筋腐食状態(Xi)とあるランクの構造物変状状態(Yj)の両ランクの組み合わせを同時に満たすデータ数を求めて、鉄筋腐食状態(Xi)と構造物変状状態(Yj)の2変数の度数分布表を作成し(表4)、各度数の値を総調査点検データ数で除すことにより、鉄筋腐食状態(Xi)と構造物変状状態(Yj)の同時確率分布表が得られる(表5)。
【0055】
なお、鉄筋腐食状態(Xi)は、「2001年制定土木学会コンクリート標準示方書維持管理編」の鉄筋腐食グレードの区分に基づいて定めたものである。
【0056】
【表3】
Figure 0004028824
【0057】
【表4】
Figure 0004028824
【0058】
【表5】
Figure 0004028824
【0059】
このとき、鉄筋腐食状態(Xi)のランクがIであるときに、構造物変状状態(Yj)のランクが各々「健全」、「ひびわれ」、「剥離」、「浮き」、「鉄筋露出」になる条件付確率(PY|X(Yj|Xi))は、式(4−1)より、以下のように求められる。
【0060】
Figure 0004028824
【0061】
同様に、鉄筋腐食状態(Xi)のランクが「II」,「III」,「IV」であるときにおける、構造物変状状態(Yj)のランクが各々「健全」,「ひびわれ」,「剥離」,「浮き」,「鉄筋露出」になる条件付確率(PY|X(Yj|Xi))を求めると表6のようになる。
なお、前記を定式化すると式(4−2)となる。
【0062】
【表6】
Figure 0004028824
【0063】
Y|X(Yj|Xi)=PX,Y(Xi,Yj)/PX(Xi) (4−2)
Y|X(Yj|Xi):ランクiの鉄筋腐食状態であるときに、ランクjの構造物変状状態になる条件付き確率
X,Y(Xi,Yj):ランクiの鉄筋腐食状態及びランクjの構造物変状状態となる同時確率
(=nij/ΣiΣjij
X(Xi):ランクiの鉄筋腐食状態であるときの周辺確率分布
(=Σjij/ΣiΣjij
ij:ランクiの鉄筋腐食状態、ランクjの構造物変状状態であるデータ数
i:鉄筋腐食状態のランク(I〜IV)
j:構造物変状状態のランク(1〜5)
(健全、ひびわれ、剥離、浮き、鉄筋露出)
【0064】
[構造物変状状態確率予測方法]
続いて、前記条件付き確率(PY|X(Yj|Xi))を用いて、構造物変状状態確率(PX,Y(Yj))を予測する方法(S42)について説明する。
前記式(4−2)を変形して、鉄筋腐食状態確率予測モデルで予測された鉄筋腐食状態確率(PX *(Xi))と、対応する前記条件付き確率(PY|X(Yj|Xi))とを乗じることにより、所定ランク(i)の鉄筋腐食状態及び所定ランク(j)の構造物変状状態を実現する同時確率(PX,Y(Xi,Yj))を算出する(式(4−3))。
【0065】
X,Y(Xi,Yj)=PX *(Xi)・PY|X(Yj|Xi) (4−3)
X,Y(Xi,Yj):ランクiの鉄筋腐食状態及びランクjの構造物変状状態の同時確率
X *(Xi):鉄筋腐食状態確率予測モデルで予測された鉄筋腐食状態確率の推定値(ランクiの鉄筋腐食状態であるときの周辺確率分布に対応)
Y|X(Yj|Xi):ランクiの鉄筋腐食状態であるときに、ランクjの構造物変状状態となるときの条件付き確率
i:鉄筋腐食状態のランク(I〜IV)
j:構造物変状状態のランク(1〜5)
(健全、ひびわれ、剥離、浮き、鉄筋露出)
【0066】
そして、総てのランク(i)の鉄筋腐食状態(Xi)について、前記同時確率(PX,Y(Xi,Yi))の総和を算定することにより、構造物変状状態確率(PX,Y(Yj))を求める(式(4−4))。
【0067】
X,Y(Yj)=ΣiX,Y(Xi,Yj) (4−4)
X,Y(Yj):ランクjの構造物変状状態確率
X,Y(Xi,Yj):ランクiの鉄筋腐食状態及びランクjの構造物変状状態の同時確率
i:鉄筋腐食状態のランク(I〜IV)
【0068】
例えば、表6に示す、ランク(i)の鉄筋腐食状態(Xi)であるときに、ランク(j)の構造物変状状態(Yj)になる条件付き確率(PY|X(Yj|Xi))を用い、鉄筋腐食状態確率予測モデルで予測された鉄筋腐食状態確率(PX *(XI),PX *(XII),PX *(XIII),PX *(XIV))=(0.047,0.228,0.233,0.492)が得られた場合には、式(4−3)により、各鉄筋腐食状態及び各構造物変状状態の同時確率分布は表7のように求めることができる。その結果、式(4−4)により構造物変状状態確率(PX,Y(Y1),PX,Y(Y2),PX,Y(Y3),PX,Y(Y4),PX,Y(Y5))=(0.081,0.150,0.221,0.256,0.293)を得ることができる。
【0069】
【表7】
Figure 0004028824
【0070】
[鉄筋腐食状態確率の予測方法]
なお、前記と同様の考え方により、調査点検結果から算出された構造物実変状状態確率PY *(Yj)から鉄筋腐食状態確率(PX,Y(Xi))を求めることができる。
このときは、事前の準備として、複数の調査点検データにより、ランク(j)の構造物変状状態(Yj)の下において、各ランク(i)の鉄筋腐食状態(Xi)が実現するときの条件付き確率(PX|Y(Xi|Yj))を予め算出しておく必要がある(式(4−5))。
【0071】
X|Y(Xi|Yj)=PX,Y(Xi,Yj)/PY(Yj) (4−5)
X|Y(Xi|Yj)):jランクの構造物変状状態であるときにiランクの鉄筋腐食状態iになる条件付き確率
(=nij/ΣiΣjij
X,Y(Xi,Yj):iランクの鉄筋腐食状態及びjランクの構造物変状状態となる同時確率
Y(Yj):jランクの構造物変状状態であるときの周辺確率分布
(=Σjij/ΣiΣjij
ij:ランクiの鉄筋腐食状態、ランクjの構造物変状状態であるデータ数
i:鉄筋腐食状態のランク(I〜IV)
j:構造物変状状態のランク(1〜5)
(健全、ひびわれ、剥離、浮き、鉄筋露出)
【0072】
例えば、表5における同時確率分布表を下に算出された、jランクの構造物変状状態(Yj)であるときにiランクの鉄筋腐食状態(Xi)になる条件付き確率(PX|Y(Xi|Yj)は表8のようになる。
【0073】
【表8】
Figure 0004028824
【0074】
前記式(4−5)を変形して、調査点検結果から算出された構造物変状状態確率(PY *(Yj))と、対応する前記条件付き確率PX|Y(Xi|Yj)とを乗じることにより、所定ランク(i)の鉄筋腐食状態(Xi)及び所定ランク(j)の構造物変状状態PY(Yj)を実現する同時確率を算出する(式(4−6))。
【0075】
X,Y(Xi,Yj)=PY *(Yj)・PX|Y(Xi|Yj) (4−6)
X,Y(Xi,Yj):iランクの鉄筋腐食状態及びjランクの構造物変状状態となる同時確率
Y *(Yj):調査点検結果から算出されたjランクの構造物変状状態確率
(jランクの構造物変状状態であるときの周辺確率分布に対応)
X|Y(Xi|Yj):jランクの構造物変状状態であるときにiランクの鉄筋腐食状態になる条件付き確率
i:鉄筋腐食状態のランク(I〜IV)
j:構造物変状状態のランク(1〜5)
(健全、ひびわれ、剥離、浮き、鉄筋露出)
【0076】
そして、総てのランク(j)の構造物変状状態(Yj)について、前記同時確率(PX,Y(Xi,Yj))の総和を算定することにより、鉄筋腐食状態確率(PX,Y(Yj))を求めることができる(式(4−7))。
【0077】
X,Y(Xi)=ΣjX,Y(Xi,Yj)) (4−7)
X,Y(Xi):ランクiであるときの鉄筋腐食状態確率
X,Y(Xi,Yj):ランクiの鉄筋腐食状態及びランクjの構造物変状状態の同時確率
j:構造物変状状態のランク(1〜5)
(健全、ひびわれ、剥離、浮き、鉄筋露出)
【0078】
例えば、表8に示す、ランクjの構造物変状状態(Yj)であるときに、ランクiの鉄筋腐食状態(Xi)になる条件付き確率PX|Y(Xi|Yj)を用い、調査点検結果から、構造物変状状態確率(PY *(Y1),PY *(Y2),PY *(Y3),PY *(Y4),PY *(Y5))=(0.5,0.4,0.1,0.0,0.0)が得られた場合には、式(4−6),(4−7)により、鉄筋腐食状態確率(PX,Y(XI),PX,Y(XII),PX,Y(XIII),PX,Y(XIV)=(0.475,0.350,0.150,0.025)を得ることができる(表9)。
【0079】
【表9】
Figure 0004028824
【0080】
前記鉄筋腐食状態確率及び構造物変状状態確率の算出は、コンピュータにより構成されるコンクリート劣化予測装置を使用して算出されるものである。各指標データの入力値は、入力手段により入力され、算出結果は、出力手段により出力される。
また、鉄筋腐食状態確率の算出(鉄筋腐食状態確率の再算出も含む)、構造物変状状態確率の算出、及び、各指標データの入力値の推定(修正)は、それぞれ所定の制御プログラムに基づいて実行されるように構成されている、鉄筋腐食状態確率予測手段、構造物変状状態確率算出手段、及び、入力値推定手段で、それぞれ実施されることになる(第2実施形態も同様)。
【0081】
以上のように、本発明によれば、構造物指標データ、塩化物量指標データ、中性化指標データ及び気象条件指標データの各指標データを、現状に即した確率変数として扱い、入力値推定ステップにおいて、ベイズの理論に基づいてその値を修正して、構造物の鉄筋腐食状態確率を予測しているため、予測精度の向上を図ることが可能となる。
従って、調査点検によりコア採取等を行うことなしで、鉄筋腐食状態確率を精度よく予測することができるため、作業の手間と費用を要することなく、構造物の劣化を予測することができる。
さらに、構造物変状状態予測ステップにおいて、推定された鉄筋腐食状態確率から、容易に構造物の変状状態確率を予測することができるため、より効果的に構造物の劣化を予測することができる。
【0082】
[第2実施形態]
図4に示すように、本発明(第2実施形態)の構造物の予測方法は、(1)鉄筋腐食確率予測ステップ、(2)構造物変状状態確率予測ステップ、(3)入力値推定ステップ、及び、(4)鉄筋腐食確率再予測ステップから構成されている。
【0083】
(1)鉄筋腐食確率予測ステップ
本ステップは、構造物の劣化の主な要因である鉄筋腐食メカニズムを各種指標データを変数によりモデル化した鉄筋腐食状態確率予測モデルにより、鉄筋腐食状態確率を予測するステップであり、第1実施形態とは、鉄筋腐食状態確率予測モデルの構造が異なっている(S1’)。
【0084】
(鉄筋腐食状態確率予測モデルの内容)
本実施形態で使用する鉄筋腐食状態確率予測モデルは、多変量解析の一手法であるプロビットモデルを用いている。
このプロビットモデルは、目的変数Yを、ある事象が実現した場合を1、実現しない場合を0としたダミー変数で表し、この目的変数Yが実現する確率を統計的に求める手法である。
【0085】
ここで、目的変数を、第1実施形態と同様に4ランクで示される鉄筋腐食状態(I〜IV)として、所定ランクの鉄筋腐食状態が実現した場合を1、実現しない場合を0としたダミー変数で表す。
また、説明変数を、第1実施形態と同様に、鉄筋かぶり(d)、表面塩化物イオン濃度(Ct(t))、中性化速度係数Ak(t)、年平均気温(Tave)、年最高気温(Tmax)、年最低気温(Tmin)、年間降水量(Rain)、及び、漏水の有無(Leak)の計8因子の各指標データとしている。
そして、前記目的変数が、残差と、前記各説明変数及び未定係数の一次結合の総和として表されるものとする。
【0086】
今、所定ランク(i)の鉄筋腐食状態が実現するか否かを決定する仮想変数(Y* in)を式(1−1’)とする。
【0087】
* in=β0+β1・dn+β2・Ct(t)n+β3・Ak(t)n+β4・Taven+β5・Tmaxn
+β6・Tminn+β7・Rainn+β8・Leakn+εn (1−1’)
t :供用期間(days)
d:鉄筋かぶり(mm)
Ct(t):表面塩化物イオン濃度
Ak(t):中性化速度係数(mm/√(年))
(=−3.57+9.0(W/C))
W/C:水セメント比
Tave:年平均気温(℃)
Tmax:年最高気温(℃)
Tmin:年最低気温(℃)
Rain:年間降水量(mm)
Leak:漏水(有=1,無=0)
βk:未定係数(k=0〜8)
ε:残差
n:調査点検結果のサンプル番号
【0088】
一方、調査点検によって、確認することが可能である目的変数(Yin )のとりうる値は1又は0のいずれかであり、
* inが0より大の場合に、Yin =1
* inが0以下の場合に、 Yin =0
が実現することになる。従って、Yin =1となるには、下式(1−2’)を満足する必要がある。
【0089】
* in=β0+β1・dn+β2・Ct(t)n+β3・Ak(t)n+β4・Taven+β5・Tmaxn
+β6・Tminn+β7・Rainn+β8・Leakn+εn >0 (1−2’)
【0090】
このとき、Yin =1となる確率、すなわち、所定ランクの鉄筋腐食状態(i)が実現する確率Pin (以下「鉄筋腐食状態確率」という)は、残差εnが正規規分布に従うと仮定すると、下式(1−3’)を満足する必要がある。
【0091】
P(Yin =1;dn,Ct(t)n,Ak(t)n,Taven,Tmaxn,Tminn,Rainn,Leakn
=Φ(β0+β1・dn+β2・Ct(t)n+β3・Ak(t)n+β4・Taven+β5・Tmaxn
+β6・Tminn+β7・Rainn+β8・Leakn (1−3’)
Φ:標準正規確率変量の分布関数
【0092】
そして、未定係数(βk(k=0〜8))は、複数の調査点検データを用い、2項尤度を用いた最尤推定法により推定することができる。
なお、その際に必要となる目的変数(Yin)のデータは、4ランクの鉄筋腐食状態を2分し、そのランクの鉄筋腐食状態が各調査点検地点で実現されたか否かを判別することにより作成し(例えば、ランクIIの鉄筋腐食状態が実現した場合には、ランクIとランクII,III,IVの状態で2分し、ランクIが実現する場合を0、ランクII,III,IVが実現する場合を1とする。また、ランクIIIの鉄筋腐食状態が実現した場合には、ランクI,IIとランクIII,IVの状態で2分し、ランクI,IIが実現する場合を0、ランクIII,IVが実現する場合を1とする等)、各説明変数のデータは、該当する調査点検地点における各指標データの実測値を用いる。
【0093】
このようにして求めた各鉄筋腐食状態確率Pu(uは鉄筋腐食状態のランクを示す)は、下式(1−4’)のようになる。
鉄筋腐食状態I:P1=1.0−Φ(Y1 *
鉄筋腐食状態II:P2={1.0−Φ(Y2 *)}−P1
鉄筋腐食状態III:P3={1.0−Φ(Y3 *)}−{1.0−Φ(Y2 *)}
鉄筋腐食状態IV:P4=1.0−{1.0−Φ(Y3 *)} (1−4’)
【0094】
なお、鉄筋腐食状態確率は、前記鉄筋腐食状態確率予測モデルに各指標データの入力値を入力させることにより求められることになり(S11’〜S13’)、入力値は第1実施形態の場合と同様に設定することになる。
【0095】
(2)構造物変状状態確率予測ステップ
本ステップは、算出された前記鉄筋腐食状態確率から構造物変状状態確率を予測する作業を行うステップ(S2’)であり、第1実施形態における構造物変状状態確率予測ステップと同一であるため、その説明は省略する。
【0096】
(3)入力値推定ステップ
本ステップは、第1実施形態と同様に、前記指標データの入力値をより正確な値に修正する作業を行うステップ(S3’)である。
本実施形態では、調査点検結果から得られた構造物における変状面積率データに基づいて算出された構造物実変状状態確率(第1実施形態参照)と、構造物変状状態確率予測ステップから推定された構造物変状状態確率の残差平方和(以下「残差平方和」という)が最小となるように、数値解析手法により前記各指標データの最適な入力値を推定する作業を行う(S31’〜S32’)。
【0097】
具体的には、各指標データの入力値の値を、予め設定されている計算刻み幅ごとに、所定の範囲(例えば、各指標データの仮定されている平均値±標準偏差値の範囲)で変化させて残差平方和を計算し、その値が最小となる各指標データの最適値の組み合わせを求め、その値を入力値の修正値とすることになる。
【0098】
(4)鉄筋腐食確率再予測ステップ
本ステップは、推定された前記各指標データを入力値として、再度、鉄筋腐食状態確率を予測するとともに、構造物変状状態確率を予測する作業を行うステップ(S4’)である。
本ステップでは、前記鉄筋腐食確率予測ステップと同様の方法により、修正された指標データの修正値を鉄筋腐食状態確率予測モデルに入力することにより鉄筋腐食状態確率を再度算出するとともに、その値を用いて構造物変状状態確率予測ステップと同様の方法により、構造物変状状態確率を算出することになる。
【0099】
このように、本実施形態の劣化予測方法によっても、第1実施形態と同様の作用効果を得られることになる。
【0100】
以上、本発明について、好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は当該実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
特に、鉄筋腐食状態確率予測モデルにおけるニューラルネットワークの設定は、構造物の劣化現象に関する知見に基づいて適切に定めることができる。
【0101】
【発明の効果】
本発明の劣化予測方法によれば、各種の調査点検により入手可能な観測データ等を有効に利用することにより予測の精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法(第1実施形態)を示すフロー図である。
【図2】鉄筋腐食状態予測モデル(第1実施形態)を示す構成図である。
【図3】鉄筋かぶりの事前確率分布、尤度関数、事後確率分布を示すグラフであり、(a)は、鉄筋実腐食状態Iの場合、(b)は、鉄筋実腐食状態IIIの場合、(c)は鉄筋実腐食状態IVの場合である。
【図4】本発明の鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法(第2実施形態)を示すフロー図である。

Claims (5)

  1. 以下のステップを含むことを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法。
    (1)予測対象である鉄筋コンクリート構造物の状態を示す構造物指標データ、塩化物量指標データ及び中性化指標データの入力値と、前記鉄筋コンクリート構造物が設置されている地域の気象条件指標データの入力値とに基づき、
    所定のランクに区分されている前記鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食状態について、所定のランクの鉄筋の腐食状態となるときの鉄筋腐食状態確率を予測する鉄筋腐食確率予測ステップ。
    (2)少なくとも一つの前記指標データが所定の事前確率分布に従うとした場合における、その指標データの入力値が実現するときの事前確率と、
    調査点検結果から算出された前記鉄筋コンクリート構造物の実際の変状状態確率とを用いて、ベイズの定理に基づき、前記指標データの入力値の事後確率を求め、
    前記事後確率に基づき、前記指標データの入力値を推定する入力値推定ステップ。
    (3)推定された前記指標データを入力値として、再度、所定のランクの鉄筋の腐食状態となるときの鉄筋腐食状態確率を予測する鉄筋腐食確率再予測ステップ。
  2. 調査点検により得られた、所定のランクに区分されている前記鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食状態データと所定のランクに区分されている構造物の変状状態データの組み合わせを示す複数組の度数データから、
    あるランクの鉄筋の腐食状態の下において、各ランクの鉄筋コンクリート構造物の変状状態が実現するときの条件付き確率を予め算出しておき、
    算出された前記鉄筋腐食状態確率を、対応する前記条件付き確率に乗じることにより、所定のランクの鉄筋の腐食状態及び所定のランクの鉄筋コンクリート構造物の変状状態を実現する同時確率を算出し、
    総てのランクの前記鉄筋腐食状態に関する同時確率の総和を算定することにより、所定のランクに区分されている前記鉄筋コンクリート構造物の変状状態確率を予測すること、を特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法。
  3. 以下のステップを含むことを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法。
    (1)予測対象である鉄筋コンクリート構造物の状態を示す構造物指標データ、塩化物量指標データ及び中性化指標データの入力値と、前記鉄筋コンクリート構造物が設置されている地域の気象条件指標データの入力値とに基づき、
    所定のランクに区分されている前記鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食状態について、所定のランクの鉄筋の腐食状態となるときの鉄筋腐食状態確率を予測する鉄筋腐食確率予測ステップ。
    (2)調査点検により得られた、所定のランクに区分されている前記鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食状態データと所定のランクに区分されている鉄筋コンクリート構造物の変状状態データの組み合わせを示す複数組の度数データから、
    あるランクの鉄筋の腐食状態の下において、各ランクの鉄筋コンクリート構造物の変状状態が実現するときの条件付き確率を予め算出しておき、
    算出された前記鉄筋腐食状態確率を、対応する前記条件付き確率に乗じることにより、所定のランクの鉄筋の腐食状態及び所定のランクの鉄筋コンクリート構造物の変状状態を実現する同時確率を算出し、
    総てのランクの前記鉄筋の腐食状態に関する同時確率の総和を算定することにより、所定のランクに区分されている鉄筋コンクリート構造物の変状状態確率を予測する構造物変状状態確率予測ステップ。
    (3)前記予測された構造物の変状状態確率と、前記調査点検結果から求めた構造物の変状状態確率との残差平方和が最小となるように、数値解析手法により前記各指標データの入力値を推定する入力値推定ステップ。
    (4)推定された前記各指標データを入力値として、再度、所定のランクの鉄筋の腐食状態となるときの鉄筋腐食状態確率を予測するするとともに、鉄筋コンクリート構造物の変状状態の確率を予測する構造物変状状態確率再予測ステップ。
  4. 前記鉄筋腐食確率予測ステップにおいて、
    前記鉄筋の腐食メカニズムが表現された所定の内部関数が設定されているニューロン素子を有するとともに、所定数の階層を有し、かつ、当該各階層に所定数の前記ニューロン素子を有しており、
    前記構造物指標データ、前記塩化物量指標データ、前記中性化指標データ、及び、前記気象条件指標データの入力を行う階層型ニューラルネットワークを用い、
    前記各層の各ニューロン素子では、隣接する下層の全ニューロン素子からの出力値を入力値として、当該入力値を前記内部関数に代入することにより演算された演算値を算出し、この演算値を出力値として上層のニューロン素子に出力することを順次行い、
    最上層における少なくとも1つのニューロン素子からその結果を最終出力することにより、前記所定ランクの鉄筋の腐食状態となるときの鉄筋腐食状態確率を予測すること、を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法。
  5. 前記鉄筋腐食確率予測ステップにおいて、
    前記構造物指標データ、前記塩化物量指標データ、前記中性化指標データ、及び、前記気象条件指標データを説明変数として、
    目的変数を、所定のランクの前記鉄筋の腐食状態が実現した場合を1、実現しない場合を0としたダミー変数で表し、
    前記目的変数を、残差と、前記各説明変数及び未定係数の一次結合の総和として表した場合に、
    前記残差が正規分布に従うと仮定して前記各未定係数を求めて、前記目的変数を算出するプロビットモデルを用いることにより、
    前記所定ランクの鉄筋の腐食状態となるときの鉄筋腐食状態確率を予測すること、を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法。
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