JP2002340094A - 回転ダンパ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い駆動安全性が達成される回転ダンパを提
供する。 【解決手段】 本願発明の回転ダンパは、エラストマー
製の中間積層体を介してダンパハブと結合されているダ
ンパマスを備えてなる特に自動車用カルダン軸の駆動端
に取り付け可能な回転ダンパであって、ダンパマス
（４）が、カルダン軸（22）の構成要素に固定されてい
る保護用保持具（１）によってその周囲を取り囲まれて
いることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は回転ダンパに関す
る。より詳細には本発明は、エラストマー製の中間積層
体を介してダンパハブと結合されているダンパマスを備
え、自動車用カルダン軸の駆動端に取り付け可能な回転
ダンパに関する。

【０００２】

【従来の技術】回転ダンパは種々の実施形態と適用範囲
で一般に知られている。これらの回転ダンパは、望まし
くない回転振動の影響を抑制する必要があるあらゆる箇
所で使用され、特にカルダン軸で使用されている。この
場合、ドライブトレイン又は駆動軸に発生する捩り又は
周方向の及び軸方向の振動は、捩り及び割り当てられた
軸方向の減衰作用を有する回転ダンパによって低減され
る。振動は、アイドリング時にも、カルダン軸が高速回
転する高速走行時にも発生する。それに対応して調整さ
れた回転ダンパが振動に抵抗して振動を減衰し、走行快
適性を高める。

【０００３】通常、回転ダンパは、長寿命用に設計さ
れ、摩耗の影響を受けにくい。したがってエラストマー
製の中間積層体からダンパマスを取り外すことは極めて
まれに実施されるだけである。ところが、そのような事
態も完全に排除することはできない。この極めてまれな
場合のために、ハブとフライホイールリングとの間の弾
性的な結合を解除する際、回転ダンパ付近にあるユニッ
トが破損しないように、回転ダンパを配設又は形成する
ことが望ましい。例えば自動車業界では重量を低減しよ
うとする傾向にあるが、このときカルダン軸の付近に取
り付けられている燃料タンクは、取り外されたダンパマ
スによって場合により破損される可能性のある樹脂から
製造されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
冒頭に挙げた形式の回転ダンパを改良して、回転ダンパ
の信頼度を高めることを課題としている。ダンパマスを
取り外す際に、周囲の構成要素を破損することのない回
転ダンパの提供を課題とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明にし
たがって、ダンパマスがその周囲をカルダン軸の構成要
素に固定されている保護用保持具によって取り囲まれて
いることにより解決される。したがって場合によって発
生し得るダンパマスの取り外し時に保護用保持具が機能
し、解放されたダンパマスが制御されずにダンパマスの
所定の位置から離れることを防止する保護用保持具が設
けられる。この保護用保持具はダンパマスが逸れて移動
することを防止する。

【０００６】基本的に保護用保持具は２つの方法で固定
することができる。可能な１つの方法は、保護用保持具
をダンパマスに形状嵌合的に取り付け、カルダン軸の構
成要素に回転しないように結合することである。そのた
めに保護用保持具は、深絞り加工可能な材料からなる保
護用薄板より製造することができる。保護用薄板は、周
方向で均一に配分される固定用係止体を有し、この固定
用係止体は半径方向内側に向かって延伸し、かつ対をな
すように設けられ、それぞれの対は固定用係止体が互い
に半径に対して対称となるように構成されている。固定
用係止体は保護用薄板の変速機軸に対向する側面に配設
されることが好ましい。固定用係止体の対は、二股形状
又は略Ｕ字形状に構成され、カルダン軸と変速機軸の間
に設けられている連結部材に装着されている。つまり保
護用薄板はダンパマスと形状嵌合的に結合されるが、二
股形状の固定用係止体の対を介して連結部材に固定され
ることによって、回転方向でのダンパマスの周回運動に
対して充分な間隙又はあそびがもたらされる。

【０００７】保護用保持具の形成とそのカルダン軸への
固定の別の原理的な可能性として、保護用保持具がダン
パマスを周方向で断続的に、すなわちかご状に取り囲む
ことが挙げられる。この場合は、保護用保持具とダンパ
マスの間にわずかな間隔を設けることができるため、ダ
ンパマスはその運動時に減衰のための十分な間隙を有す
る。このような保護用保持具を、回転ダンパの周方向で
均一に配分された別個の保護用ブラケットから構成する
ことができる。この保護用ブラケットは、カルダン軸と
変速機軸の間にある連結要素に固定的に結合される。特
別に必要のある場合には、保護用ブラケットによってダ
ンパマスを所定の位置に保持し、ダンパマスが半径方向
にも軸方向にも偏倚することのないように構成すること
もできる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図面に示した実施例を利用
して本発明をより詳しく説明する。

【０００９】図１は、本願発明による回転マスダンパ又
は回転ダンパ10の透視図である。回転ダンパ10はハブ３
とダンパマス４からなる。ダンパマス４とダンパハブ３
との間にエラストマー製の部材又はエラストマー体２が
取り付けられている。ダンパマス４に対する保護用保持
具１は、本実施例ではダンパマス４を外側から囲む略環
状の保護用薄板５から構成されている。このとき、保護
用薄板５は、対をなす部材として設けられている固定用
係止体６を有する。この固定用係止体６は、周方向で均
一に配分され、半径方向内側に向かって延伸している。
本実施例では、３対の固定用係止体が設けられており、
またハブ３の固定用開口部７も３つ設けられており、固
定用係止体の対はそれぞれ固定用開口部７に対応するよ
うに配置されている。固定用係止体６の対は、それぞれ
互いに半径に対して対称に形成されている。

【００１０】図２は、図１に示す回転ダンパ10の線Ａ−
Ａにおける断面を示す。保護用保持具１は、形状嵌合的
に、すなわち互いの形状がぴったりと嵌り合って、ダン
パマス４をその外周から取り囲む保護用薄板５よりな
る。固定用係止体６は、回転ダンパ10の中で半径方向内
側を向いている。ハブ３とダンパマス４の間にエラスト
マー製の中間積層体２が設けられている。

【００１１】図３は、変速機軸21とカルダン軸22の間の
連結体20に取り付けられている図１及び図２に示す保護
用保持具１を示す。変速機軸21とカルダン軸22は、回転
弾性及び曲げ弾性を有する連結体20を介して互いに結合
されている。連結体20の基本的な構成要素はゴムリング
23であり、これは一方でねじ24によって変速機軸又は駆
動軸21の固定用ハブ25に、他方でねじ26によってカルダ
ン軸22の固定用ハブ27にそれぞれねじ止めされている。
この実施例では、固定用ハブ27と、回転ダンパ10のダン
パハブ３を構成する薄板28もまたねじ26によってねじ止
めされている。保護用薄板５は、固定用係止体６によっ
てねじ26のそばに位置する連結部材又はスペーサ29と係
合する。この方法によって、保護用薄板５とそれととも
にダンパマス４が確実にその所定の位置に保持され、固
定用円板、すなわちスペーサ29及び二股形状の固定用係
止体６の対によって、固定用係止体６がねじ26に対して
所定の間隔を有する構成がもたらされ、周方向の減衰作
用に必要な回転ダンパ10の運動の自由度が得られる。こ
のとき、回転ダンパ10の減衰作用は影響を受けない。

【００１２】図４は、本願発明による回転ダンパ10の別
の実施例を示す図１と同様の透視図である。保護用保持
具１は、この実施例では、回転ダンパ10の周方向で均一
に配分された複数のブラケット30から構成されている。

【００１３】図５は、図４に示す回転ダンパ10の線Ａ−
Ａにおける断面図である。保護用ブラケット30は、エラ
ストマー製の中間積層体２を介してダンパハブ３に結合
されているダンパマス４を周方向で断続的に、すなわち
かご状に取り囲む。保護用ブラケット30には孔31が設け
られ、この孔31に固定ねじ26が挿入される。ダンパハブ
３は貫通する開口部32を有し、その中に保護用ブラケッ
ト30のスリーブ状の形成体33が挿入されている。

【００１４】図６は、回転ダンパ10と、変速機軸21とカ
ルダン軸22の間に配置されている連結体20の連結要素23
に取り付けられている保護用ブラケット30を示す。連結
要素23は、実質上ゴムから形成されている。保護用ブラ
ケット30は、ねじ26によってカルダン軸22の固定用ハブ
27に固定的に結合されている。このとき、同時に保護用
ブラケット30は、固定用ハブ27と連結体20のゴムリング
23の間のスペーサ29として機能する。保護用ブラケット
30の角度方向の拡がり又は幅は、それぞれの適用に応じ
て調整されることを注記しておく。回転ダンパ10の減衰
作用への影響は、この保護用保持具１によって生じな
い。その他の点で連結体20の構成は、図３に示した連結
体に相当する。

【００１５】

【発明の効果】本願発明は、エラストマー製の中間積層
体を介してダンパハブと結合されているダンパマスを備
えてなる特に自動車用カルダン軸の駆動端に取り付け可
能な回転ダンパであって、ダンパマス（４）が、カルダ
ン軸（22）の構成要素に固定されている保護用保持具
（１）によってその周囲を取り囲まれている回転ダンパ
に関する。この構成であることによって、回転ダンパの
信頼度が高まり、ダンパマスを取り外す際に、周囲の構
成要素を破損することのない回転ダンパが提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】ダンパマスを形状嵌合的に囲む保護用保持具を
示す透視図である。

【図２】図１に示す回転ダンパの線Ａ−Ａにおける断面
図である。

【図３】カルダン軸用の結合ねじに差し込まれた固定用
係止体を備えるカルダン軸と変速機軸の間の連結を示す
部分断面図である。

【図４】保護用ブラケットからなる保護用保持具を示す
透視図である。

【図５】図４に示す回転ダンパの線Ａ−Ａにおける断面
図である。

【図６】ねじ止めされている保護用ブラケットを備えて
いるカルダン軸と変速機軸の間の結合を示す部分断面図
である。

【符号の説明】

１ 保護用保持具 ２ 中間積層体 ３ ハブ ４ ダンパマス ５ 保護用薄板 ６ 固定用係止体 ７ 固定用開口部 １０ 回転ダンパ ２０ 連結体 ２１ 変速機軸 ２２ カルダン軸 ２３ ゴムリング ２４ ねじ ２５ 固定用ハブ ２６ ねじ ２７ 固定用ハブ ２８ 薄板 ２９ スペーサ ３０ 保護用ブラケット

フロントページの続き (72)発明者 ヴィンフリート・フーバー ドイツ国79395ニューエンベルク，ブルグ ンダーシュトラーセ・９

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 特に自動車用カルダン軸の駆動端に取り
   付け可能な、エラストマー製の中間積層体を介してダン
   パハブと結合されているダンパマスを備えてなる回転ダ
   ンパであって、 前記ダンパマス（４）が、カルダン軸（22）の構成要素
   に固定されている保護用保持具（１）によってその周囲
   を取り囲まれている回転ダンパ。
2. 【請求項２】 前記保護用保持具（１）が前記ダンパマ
   ス（４）を形状嵌合的に囲む請求項１記載の回転ダン
   パ。
3. 【請求項３】 前記保護用保持具（１）が深絞り加工可
   能な材料からなる保護用薄板（５）である請求項１又は
   ２記載の回転ダンパ。
4. 【請求項４】 前記保護用薄板（５）が、周方向で均一
   に配分され、半径方向内側に延伸する固定用係止体
   （６）を備えている請求項３記載の回転ダンパ。
5. 【請求項５】 前記固定用係止体（６）が対をなすよう
   に設けられ、それぞれの対が互いに対称に形成されてい
   る請求項４記載の回転ダンパ。
6. 【請求項６】 前記固定用係止体（６）が、前記保護用
   薄板（５）の変速機軸（21）に対向する側面に配設され
   ている請求項４又は５記載の回転ダンパ。
7. 【請求項７】 前記固定用係止体（６）が、二股形状で
   あり、前記カルダン軸（22）と変速機軸（21）の間にあ
   る連結部材（29）に装着されている請求項４〜６のいず
   れか１項記載の回転ダンパ。
8. 【請求項８】 前記保護用保持具（１）が、前記ダンパ
   マス（４）を周方向で断続的に取り囲む請求項１記載の
   回転ダンパ。
9. 【請求項９】 前記保護用保持具（１）が、前記回転ダ
   ンパ（10）の周方向で均一に配分されている別個の保護
   用ブラケット（30）からなる請求項８記載の回転ダン
   パ。
10. 【請求項１０】 前記保護用ブラケット（30）が、前記
    カルダン軸（22）と変速機軸（21）の間にある連結要素
    に固定されている請求項９記載の回転ダンパ。