JP2002338816A - 難燃性付与用複合材料、及びその製造方法 - Google Patents

難燃性付与用複合材料、及びその製造方法

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JP2002338816A
JP2002338816A JP2001144119A JP2001144119A JP2002338816A JP 2002338816 A JP2002338816 A JP 2002338816A JP 2001144119 A JP2001144119 A JP 2001144119A JP 2001144119 A JP2001144119 A JP 2001144119A JP 2002338816 A JP2002338816 A JP 2002338816A
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flame
composite material
retardant
flame retardancy
nitrogen
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JP2001144119A
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Yoshifumi Yoshida
宜史 吉田
Hideo Nakajima
秀雄 中島
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Ishizuka Glass Co Ltd
Original Assignee
Ishizuka Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低添加量で高い難燃性付与が可能であるとと
もに、樹脂等に添加した場合に樹脂物性の低下や、樹脂
の変色を伴わない難燃性付与用複合材料と、それを安全
且つ容易に得ることが可能な製造方法とを提供する。 【解決手段】 非金属性含窒素化合物成分としての硝酸
アンモニウム粉末10を水Wにて溶解した後に、無機系
難燃剤成分としての水酸化アルミニウム粉末39を混合
してスラリー状物(混合物)Sとする。そしてスラリー
状物Sを所定条件(例えば100℃で2時間)で乾燥
し、それを粉砕することにより難燃性付与用複合材料粒
子1を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂等から構成さ
れる材料に対し高い難燃性を付与することが可能な難燃
性付与用複合材料、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂材料は、化学的、物理的に優れた性
能を有し、成形性及び加工性にも優れていることによ
り、広範囲な分野で使用され、需要が伸びているが、殆
どの樹脂材料は燃えやすいのが大きな欠点であるため、
その使用が制限されており、樹脂材料の難燃化が望まれ
ている。
【0003】樹脂材料を難燃化するための難燃剤として
は、ハロゲン系難燃剤が主流であるが、ハロゲン系難燃
剤から発生するダイオキシンやフランの問題から環境保
護上好ましくなく、エコロジカルな難燃剤の開発、実用
化が望まれている。ノンハロゲン系のリン系難燃剤もリ
ンの水素化物であるホスフィンが発生し、好ましくな
い。
【0004】また、水酸化アルミニウムや水酸化マグネ
シウム等の無機系難燃剤があり、水酸化アルミニウムは
低有害性、低発煙性、電気絶縁性も良好、しかも低コス
トであるため難燃剤の中では需要量も多い。しかし、問
題点として機械的性質、耐水性の低下、多量(150部
以上)配合するためのコンパウンドの粘度上昇、400
℃以上の高温での難燃効果が低いこと、あるいは成形加
工温度が高い樹脂の加工時に脱水発泡し易い等がある。
そこで、配合量を抑えるために、難燃助剤として金属硝
酸塩を配合させる方法もあるが、金属硝酸塩に含まれる
金属イオンは樹脂を劣化させるので樹脂物性が低下する
場合があり、また、金属硝酸塩、特に硝酸アンモニウム
等は有機物との混合あるいは急速な加熱によって爆発す
る危険性を備えている。
【0005】なお、これらの無機系難燃剤は単独では難
燃効果が小さいため、他の難燃剤との併用が必要でもあ
る。この他、ガラス系難燃剤として低融点ガラスを用い
たものがあるが、製造工程が複雑で、樹脂への添加量も
多く必要であり、製造コストも高く、また耐水性にも問
題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解決して、低添加量で高い難燃性付与が可能
であるとともに、樹脂等に添加した場合に樹脂物性の低
下や、樹脂の変色を伴わない難燃性付与用複合材料と、
それを安全且つ容易に得ることが可能な製造方法とを提
供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記課題
を解決するために、本発明の難燃性付与用複合材料は、
高分子材料を主体として構成される難燃性付与の対象物
(以下、難燃性付与対象物とも言う)中に分散させるか
又は表面に定着させることにより当該対象物に難燃性を
付与するために使用され、含窒素化合物と、無機系難燃
剤とを含み、前記無機系難燃剤の表層に前記含窒素化合
物が定着されていることを特徴とする。なお、本発明で
言う対象物中への分散は、固相状態での分散、又は対象
物と該難燃性付与用複合材料が相溶した状態の分散を含
むものとする。
【0008】このような含窒素化合物と、無機系難燃剤
とを含み、無機系難燃剤成分の表層に含窒素化合物成分
が定着した構成を備える難燃性付与用複合材料は、樹脂
等の難燃性付与対象材料に対して混入ないし定着等によ
り複合(添加)することができる。この場合、例えば難
燃性付与対象材料に高熱(例えば500℃以上)が付与
された場合に、無機系難燃剤による難燃性の効果と、高
熱により含窒素化合物が分解して生成する窒素含有の燃
焼阻害性気体による難燃性の効果とが相俟って、難燃性
付与対象材料に対して高い難燃性を付与することが可能
となる。また、両成分が定着ないし付着により複合化さ
れているため、これらを難燃性付与対象材料に対して複
合させた場合に、一成分が偏在し難くなり相乗的な難燃
効果向上が一層顕著となり得る。また、含窒素化合物は
一般的に爆発性の高いものが多いが、本発明によると含
窒素化合物が難燃性付与対象材料中にて偏在し難くなる
ため、例えば当該難燃性付与用複合材料を樹脂等に混入
する際、あるいは急速に加熱した際にも爆発が生じ難く
なり、取り扱い時の安全性が向上するものとなる。例え
ば、「危険物の規制に関する政令」に定められた別表第
1類の酸化性固体の「6.硝酸塩類」を用いた場合の安
全性を確保することが可能となり得る。すなわち、含窒
素化合物として爆発性の高い硝酸化合物及び/又は亜硝
酸化合物、具体的には硝酸塩として硝酸アンモニウムを
用いた場合には上記安全性向上の効果が一層顕著とな
る。なお、その他の硝酸塩類としては、硝酸カリウム、
硝酸ナトリウム、硝酸バリウム、硝酸銀等を例示するこ
とができる。
【0009】本発明の難燃性付与用複合材料によると、
例えばUL94燃焼性試験(本明細書では、第5版:1
996年10月26日によるものを採用する)にてテス
トしたときに、V−0〜V−2の範囲を充足する難燃性
能を付与することが可能となる。なお、例えば含窒素化
合物として非金属性の硝酸アンモニウム(非金属性含窒
素化合物)等を用いた場合には、従来のような、難燃性
付与対象材料としての樹脂が難燃性付与用複合材料の添
加により変色する等の問題も解消される。したがって、
例えば樹脂等を含む難燃性付与対象材料に対して着色を
行う場合にも、所望の色調に簡便に着色することが可能
となり得る。また、例えば樹脂等を含む難燃性付与対象
材料を成形した場合、成形後の材料が変色する問題が生
じる場合があったが、本発明の難燃性付与用複合材料を
用いることにより該問題が解消され、成形時の変色が生
じ難くなる。非金属性の含窒素化合物としては、例えば
非金属性硝酸化合物及び/又は非金属性亜硝酸化合物を
用いるのが良い。この場合、樹脂等を含む難燃性付与対
象材料に対する上記変色を抑制する効果が一層顕著とな
り得る。
【0010】上記難燃性付与用複合材料は、例えば次の
ように製造することが可能である。すなわち、本発明の
難燃性付与用複合材料の製造方法は、含窒素化合物を水
に分散ないし溶解した溶液(含窒素化合物水溶液)に無
機系難燃剤を混合して混合物を生成する工程と、該混合
物を乾燥する工程とを含むことを特徴とする。この場
合、水系にて製造が行われるため、有機溶媒を使用する
場合と比較して安全且つ容易であるとともに、得られた
難燃性付与用複合材料が、含窒素化合物と無機系難燃剤
とが複合化したものとなるため、例えばこれら2成分に
よる上記相乗的な難燃効果向上が一層顕著となり得る。
また、含窒素化合物が偏在し難くなるため、例えば当該
難燃性付与用複合材料を樹脂等に混入する際、あるいは
急速に加熱した際にも爆発が生じ難くなり、取り扱い時
の安全性が向上するものとなる。特に、含窒素化合物と
して爆発性の高い硝酸アンモニウムを用いた場合には上
記安全性向上の効果は一層顕著となる。さらに具体的に
は、無機系難燃剤の製造工程において、例えば無機系難
燃剤の製造最終工程に、上記含窒素化合物を分散ないし
溶解した水溶液に無機系難燃剤を混合する工程を含むも
のとすることができる。
【0011】上記無機系難燃剤としては金属水酸化物、
具体的には水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
水酸化カルシウムの少なくともいずれかを主成分とする
ものを例示することができる。この場合、当該無機系難
燃剤の上記難燃性効果は一層高いものとなる。なお、無
機系難燃剤は、平均粒径が0.1〜100μmの粒状形
態とすることができる。
【0012】無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム以外にも、
例えば、水酸化亜鉛、水酸化セリウム、水酸化鉄、水酸
化銅、水酸化チタン、水酸化バリウム、水酸化ベリリウ
ム、水酸化マンガン、水酸化ストロンチウム、水酸化ジ
ルコニウム、水酸化ガリウム等を例示することができ
る。
【0013】一方、含窒素化合物としては、例えば、硝
酸アセチル(C2H3NO4)、硝酸アニリン(C6H8N2O3)、
硝酸メチル(CH3ONO2)や硝酸エチル(C2H5ONO2)や硝
酸ブチル(C4H9ONO2)や硝酸イソアミル((CH3)2CHCH2C
H2ONO2)や硝酸イソブチル((CH3)2CHCH2ONO2)や硝酸
イソプロピル((CH3)2CHONO2)等の硝酸エステル(RONO
2)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)、硝酸グアニジン(C
H6N4O3)、硝酸酢酸セルロース(ニトロアセチルセルロ
ース)、硝酸セルロース(ニトロセルロース)、硝酸尿
素(HNO3・CO(NH2)2)、硝酸ヒドラジニウム(N2H5N
O3)、硝酸ヒドロキシルアンモニウム([NH3OH]NO3)、
硝酸ベンゼンジアゾニウム(C6H5N3O3)、亜硝酸アンモ
ニウム(NH4NO2)、亜硝酸メチル(CH3ONO)や亜硝酸エ
チル(C2H5ONO)や亜硝酸プロピル(C3H7ONO)や亜硝酸
イソプロピル((CH3)2CHONO)や亜硝酸ブチル(C4H9ON
O)や亜硝酸イソブチル((CH3)2CHCH2ONO)や亜硝酸イ
ソアミル(亜硝酸アミル)((CH3)2CHCH2CH2ONO)等の亜
硝酸エステル(RONO)等を例示することができる。なか
でも、硝酸アンモニウム(NH4NO3)は、安価でしかも難
燃性及び変色抑制の効果が大きく、本発明の含窒素化合
物として適している。
【0014】しかしながら、上述した通り、硝酸アンモ
ニウムは有機物との混合あるいは急速な加熱によって爆
発する危険性を有している。そこで、本発明の構成、す
なわち無機系難燃剤の表層に硝酸アンモニウムが定着し
た構成の難燃性付与用複合材料とすることで、その危険
性を大幅に改善することが可能となり得る。すなわち、
このような構成により硝酸アンモニウムが偏在し難くな
り、複合化させた難燃性付与対象材料中にて局地的な濃
度勾配を生じ難くなるとともに、金属酸化物は不燃性で
あるため、例えば当該難燃性付与用複合材料を樹脂等の
難燃性付与対象材料に混入する際、あるいは急速に加熱
した際にも爆発が生じ難くなり、取り扱い時の安全性が
向上するのである。
【0015】上記難燃性付与用複合材料は、加熱により
燃焼阻害性気体を分解生成するものとすることができ
る。この場合、難燃性付与対象材料に高熱が付与された
場合に、燃焼阻害性気体が発生し、該燃焼阻害性気体が
難燃性付与対象材料への難燃効果をさらに向上させる。
この難燃性向上は、燃焼阻害性気体により燃焼のための
酸素が、難燃性付与対象材料付近において相対的に減少
するためであると推測される。具体的に、燃焼阻害性気
体としては、含窒素化合物が分解して生成する窒素を含
有するものとすることができる。この場合、例えば窒素
含有ガスとしてN ガスやNOガス、NOガス等が発
生し、これが難燃性付与対象材料への難燃効果をさらに
向上させる。
【0016】上記無機系難燃剤は、樹脂等の難燃性付与
対象物に対して100重量部以下の範囲で含有されてい
るものとすることができる。すなわち、従来、水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等
の無機系難燃剤を樹脂等の難燃性付与対象物に添加する
場合、その配合量は難燃性付与対象物に対して100〜
200重量部程度必要であったが、本発明の難燃性付与
用複合材料はその難燃性付与効力が高いために、100
重量部以下あるいは70重量部以下、場合によっては5
0重量部以下でも十分な難燃性付与効果を付与すること
が可能である。したがって、結果的に安価に当該難燃性
付与用複合材料を提供することが可能となり得る。
【0017】なお、本発明の難燃性付与用複合材料は、
樹脂等の難燃性付与対象材料100重量部に対して、含
窒素化合物0.1〜50重量部、無機系難燃剤10〜8
0重量部を含むものとすることができる。含窒素化合物
が0.1重量部未満の場合、難燃性付与能が低下する場
合があり、50重量部を超えると難燃性付与対象材料の
性質が変化してしまう場合があり、特に劣化等により強
度が低下したり、さらには樹脂の場合、成形性が低下し
てしまう場合がある。なお、含窒素化合物の含有量は、
好ましくは1〜10重量部程度するのがよい。一方、無
機系難燃剤が10重量部未満の場合、難燃性付与能が低
下する場合があり、80重量部を超えると難燃性付与対
象材料の性質が変化してしまう場合があり、特に劣化等
により強度が低下したり、さらには樹脂等の場合、成形
性が低下してしまう場合がある。なお、無機系難燃剤の
含有量は、好ましくは30〜70重量部程度するのがよ
い。
【0018】次に、本発明の難燃性付与用複合材料は表
面処理が施されているものとすることができる。すなわ
ち、本発明の難燃性付与用複合材料は、前記含窒素化合
物と前記無機系難燃剤との複合物に、表面処理層が形成
されてなることを特徴とする。このような表面処理を施
すことにより、当該難燃性付与用複合材料を安定化させ
ることが可能となる。また、例えば炭素成分を含有した
表面処理剤を使用して表面処理を施すことにより、当該
難燃性付与用複合材料の樹脂等の難燃性付与対象材料へ
のなじみ性(親和性)が向上し、難燃性付与用複合材料
を樹脂等の難燃性付与対象材料に対して均一に分散ない
し定着させることが可能となる。したがって、当該難燃
性付与用複合材料の添加により、樹脂等の難燃性付与対
象材料の性質を変化させることも少なく、劣化や強度低
下等も生じ難く、成形性の低下も防止ないし抑制するこ
とが可能となる。
【0019】上記表面処理は、シラン系、チタネート
系、アルミニウム系、ジルコアルミニウム系、脂肪酸
系、油脂系、ワックス類、界面活性剤類のうちのいずれ
かの処理剤を含むものとすることができる。具体的に
は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング
剤、アルミネート系カップリング剤等を用いたもの、脂
肪酸系としてステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、
リノレン酸、エレオステアリン酸等を用いたもの、さら
には脂肪酸塩として上記各脂肪酸のCa塩、Zn塩等を
用いたもの、非イオン系界面活性剤としてポリエチレン
グリコール誘導体を用いたもの、ポリエチレン系又はポ
リプロピレン系ワックス類を用いたもの、カルボン酸系
カップリング剤、リン酸系カップリング剤を用いたもの
等を例示することができる。
【0020】さらに、上記表面処理として具体的には、
加熱によりガラス質セラミックスを生ずるガラス前駆体
組成物の前記含窒素化合物と前記無機系難燃剤との複合
物へのコーティング処理とすることができる。この場
合、例えば当該難燃性付与用複合材料を含む難燃性付与
対象材料に高熱(例えば500℃以上)が付与された場
合に、その高熱により上記ガラス前駆体組成物がガラス
質セラミックスを生じ、そのガラス質セラミックスが保
護膜となって、難燃性付与対象材料に対して高い難燃性
を付与することが可能となる。
【0021】上記ガラス前駆体組成物は珪素成分及び/
又は金属成分と酸素とを含有するものであり、加熱によ
り生ずるガラス質セラミックスは、珪素及び/又は金属
の酸化物を主体とするものとすることができる。珪素成
分及び/又は金属成分は、加熱により酸化されてガラス
質セラミックスを生じやすく、また、生成された珪素及
び/又は金属の酸化物を主体とするガラス質セラミック
スは耐熱性が高いため、本発明の表面処理に係るガラス
前駆体組成物として珪素成分及び/又は金属成分と酸素
とを含有するものが特に適している。このようなガラス
前駆体組成物により表面処理を施した難燃性付与用複合
材料を複合(添加)した難燃性付与対象材料には、ガラ
ス質セラミックスの高い耐熱性により一層高い難燃性が
付与されることとなる。なお、金属成分としては、例え
ばTi、Cu、Al、Zn、Ni及びZr、あるいはそ
の他の遷移金属元素の1種又は2種以上を採用すること
ができる。また、上記のようなガラス質セラミックス
は、初めから化合物の一部をなすものとして存在してい
てもよいし、化合物の一部又は全部が加熱されたときに
ガラス質セラミックスに転化する形態でもよい。上記の
ようなガラス前駆体組成物の表面処理の方法としては、
いわゆるゾルゲル法を用いることができる。以下、本発
明に係る表面処理法たるゾルゲル法について、その要旨
を説明する。
【0022】ゾルゲル法は、例えば、金属元素及び/又
はSiの化合物を溶媒中に分散及び/又は溶解させた溶
液(例えば、アルコキシド溶液)から発生するゾル状組
成物を担持材料(本発明では前記含窒素化合物と前記無
機系難燃剤とを含む粒状の複合物)と接触させる工程
と、ゾル状組成物を乾燥させる工程とを少なくとも含
み、ゾル状組成物の乾燥により生成するゲル状組成物
(ガラス前駆体組成物)を担持材料(前記含窒素化合物
と前記無機系難燃剤とを含む粒状の複合物)と複合化さ
せてコーティング処理を行うものである。このようなゾ
ルゲル法は、簡便な上、特別な装置を必要とすることも
ないため、係るコストを大幅に低減することが可能であ
り、製造時に従来のような有害物質を発生することもな
い。なお、上記処理方法において、ゾル状組成物を担持
材料(担持材料粒子ともいう)と接触させる工程は、担
持材料粒子をゾル状組成物に浸漬する方法や、担持材料
粒子に対してゾル状組成物を吹き付ける方法等を採用す
ることができる。
【0023】上記ゾル状組成物は、金属元素及び/又は
Siのアルコキシドを加水分解することにより得ること
ができる。このようなアルコキシドを加水分解させて生
成したゾル状組成物(ゲル状組成物)には、金属及び/
又はSiが酸化物等の形態で含有され、さらにアルコキ
シドに由来する炭素成分が残存することとなる。この金
属及び/又はSiは、上記した通り高熱によりガラス質
セラミックスを生じて難燃性付与対象材料に高い難燃性
を付与し、また、炭素成分は、例えば難燃性付与対象材
料として樹脂を用いた場合に、当該難燃性付与用複合材
料を難燃性付与対象材料に複合させる際のなじみ性(親
和性)を向上させる。
【0024】上記アルコキシドは、Si及び/又はTi
を必須成分とするのがよい。Si及び/又はTiをアル
コキシドの成分として用いると、加水分解されて生成す
る例えばSiOやTiO等の酸化物は、高熱により
ガラス化ないしセラミック化し易いため、特に難燃性付
与効果が高いものとなる。また、これらSi及び/又は
Tiを含むアルコキシドはゲル化しにくいため、安定し
た状態のゾル状組成物を得ることが可能である。なかで
も、特にSiは、生成する酸化物の安定性、ゾル状組成
物の安定性等を考慮すると、アルコキシド成分として最
も優れている。なお、Siを用いたアルコキシドとして
は、例えばテトラエトキシシラン(Si(OC
)等を用いることができ、Tiを用いたアルコキシド
としては、例えばチタンイソプロポキシド(Ti(iso
−OC)等を用いることができる。また、上
記以外の成分としては、例えば、Cu、Al、Zn、N
i及びZrの1種又は2種以上を含有するもの、あるい
はその他の遷移元素を含有するもの等を採用することも
でき、この場合、例えば、アルミニウムイソプロポキシ
ド(Al(OC)等を用いることができる。
なお、アルコキシドの構成成分は目的に応じて変化させ
ることが可能で、この場合、形成されるゲル状組成物
(ガラス前駆体組成物)被膜の性質がそれぞれ異なるも
のとなる。
【0025】一方、上記表面処理は、前記含窒素化合物
と前記無機系難燃剤とを含む粒状の複合物(粒状複合
物)への、脂肪酸系の処理剤としてステアリン酸のコー
ティング処理により施されるものとすることができる。
この場合、表面処理された前記粒状複合物は、樹脂等の
難燃性付与対象材料とのなじみ性(親和性)が向上する
ため、難燃性付与対象材料に対して均一に分散ないし定
着されるようになる。ステアリン酸処理は、例えば前記
粒状複合物100重量部に対して、ステアリン酸0.0
1〜50重量部を攪拌下混合し、70〜80℃の範囲で
加熱することにより行うことができる。
【0026】次に、本発明の難燃性高分子複合材料は、
上記難燃性付与用複合材料を高分子材料からなる基質中
に分散、もしくは基質表面に定着したことを特徴とす
る。この難燃性高分子複合材料(難燃性付与対象材料)
は、上述したように高い難燃性を示すとともに、上記難
燃性付与用複合材料を用いているため、その高分子材料
本来の性質を損なうこともなく、また、良好な成形性を
保ったものとなり得る。一方、難燃性高分子複合材料の
製造に使用され、未硬化の熱硬化性樹脂を含有する主剤
と、該主剤を硬化させるための硬化剤とからなり、前記
難燃性付与用複合材料を前記主剤又は硬化剤の少なくと
もいずれかに配合されてなり、前記主剤と前記硬化剤と
を混合することにより、熱硬化性樹脂を基質としてこれ
に前記難燃性付与用複合材料を分散させた難燃性高分子
複合材料が得られるようにした難燃性高分子複合材料製
造用組成物を提供することもできる。さらに、難燃性付
与用複合材料が高分子基質中に分散された粒状成形物と
して構成され、個々の粒状成形物よりも大体積の二次形
状に再成形するために使用される難燃性高分子複合材料
成形体製造用マスターバッチを提供することもできる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に示す実施例を参照して説明する。図1は、本発明の
難燃性付与用複合材料の製造方法について示す概略説明
図である。まず、含窒素化合物成分としての硝酸アンモ
ニウム粉末10を水Wにて溶解した後に、無機系難燃剤
成分としての水酸化アルミニウム粉末39を混合してス
ラリー状物(混合物)Sとする。そしてスラリー状物S
を所定条件(例えば100℃で2時間)で乾燥し、それ
を粉砕することにより難燃性付与用複合材料粒子1を得
た。
【0028】図2は、その難燃性付与用複合材料粒子1
の構造を概念的に示す模式図である。水酸化アルミニウ
ム成分39の表面には、硝酸アンモニウム成分10が複
合化されており、図2(a)においては、複合材料粒子
1は模式的に球状に描いているが、製法により形状は種
々に変化し、必ずしも球状とはならないことも多い。水
酸化アルミニウム成分39と硝酸アンモニウム成分10
との複合化の形態は、例えば、図2(a)に示すよう
に、硝酸アンモニウム層10が水酸化アルミニウム粒子
39の表面をほぼ全体にわたって均一に被覆された状態
や、図2(b)に示すように、水酸化アルミニウム粒子
39の表面に硝酸アンモニウム層10が部分的に付着
し、一部の表面が未被覆となって露出している形態であ
ってもよい。また、図2(a)に示した球状の水酸化ア
ルミニウム粉末39を粉砕又は解砕させた形状の、例え
ば図2(c)のような構成の不定形の複合材料粒子1と
なることもある。
【0029】このような硝酸アンモニウム成分10と、
水酸化アルミニウム成分39とを含む難燃性付与用複合
材料粒子1は難燃性付与効果が大きく、該難燃性付与用
複合材料1の量が、例えば高分子材料等の難燃性付与対
象材料に対して10〜100重量部、好ましくは30〜
80重量部程度の少量添加で十分な難燃性を付与するこ
とが可能である。この場合、少量添加であるため、樹脂
等の難燃性付与対象材料の物性変化も少なく、また、コ
スト面でも大幅な削減が可能となる。
【0030】次に、図3は、上記難燃性付与用複合材料
粒子1を複合した難燃性高分子複合材料からなるマスタ
ーバッチの製造方法の一例を、マスターバッチ粒子の種
々の形態とともに示す模式図である。難燃性付与用複合
材料粒子1を、基質となるべき高分子材料(本実施例で
は、熱可塑性樹脂を使用している)41中に配合・混練
し、コンパウンド531が得られる。
【0031】コンパウンド531は、例えばペレット等
の粒状に成形することによりマスターバッチ粒子32と
することができる。マスターバッチ粒子32は、例えば
球換算した直径による寸法にて0.1〜10mm程度
(例えば1〜4mm程度)の大きさを有するものであ
る。マスターバッチ粒子32の形状は、特に限定される
ものではないが、例えば図3(b)に示すように、軟化
させたコンパウンドをストランド状に押し出して、これ
を所定長に切断することにより、柱状(例えば円柱状)
形態の粒子を得ることができる。なお、図3(c)及び
(d)は、マスターバッチ粒子32の別の形状例を示し
ており、前者は球状のもの(例えば型成形等により製造
できる)、後者はフレーク状のもの(例えばシート状物
の破砕・整粒により製造できる)を示すが、これに限定
されるものではない。
【0032】なお、難燃性付与用複合材料粒子1には表
面処理層を形成させることができる。すなわち、硝酸ア
ンモニウム10と水酸化アルミニウム39を複合化させ
た複合粒子に表面処理を施すことができる。例えば、表
面処理剤として、少なくとも炭素成分を含有し、難燃性
付与対象材料たる高分子材料41と難燃性付与用複合材
料粒子1との親和性を向上させることが可能なものを用
いることができる。具体的には、シラン系、チタネート
系、アルミニウム系、ジルコアルミニウム系、脂肪酸
系、油脂系、ワックス類、界面活性剤類のうちのいずれ
かを用いることが可能である。例えば、珪素成分及び/
又は金属成分と酸素とを含有し、例えば加熱によりガラ
ス質セラミックスを生じるガラス前駆体組成物をゾルゲ
ル法により上記硝酸アンモニウム10と水酸化アルミニ
ウム39を複合化させた複合粒子にコーティングするこ
とが可能である。
【0033】以下、図3に示したマスターバッチを用い
た成形体(二次成形体)の製造方法を、図4に示すよう
な射出成形を採用する場合を例にとって説明する。な
お、成形方法は、その目的に応じて種々の公知のものを
採用可能なことは言うまでもなく、例えば、圧縮成形、
トランスファ成形、押出成形、ブロー成形、カレンダ成
形、積層成形、シートフォーミング等の方法により成形
体を得ることが可能である。
【0034】図4において、射出成形装置501は、成
形部502、その成形部502に溶融樹脂を供給するス
クリュ式射出装置等の射出装置503等により構成され
る。成形部502は、金型505、その金型505を型
締め及び型開きするための、カムもしくはクランク機構
等の機械式駆動機構や油圧シリンダ等の流体圧機構等で
構成される駆動機構506を備えるとともに、溶融樹脂
を金型505に供給するランナ521には、スプル50
3aを介して射出装置503の射出ノズル503bが接
続されている。
【0035】射出装置503は、バンドヒータ508等
の熱源で加熱される加熱シリンダ507内に、シャフト
512を介して油圧モータ513により駆動される供給
用のスクリュ509が収容され、これにマスターバッチ
Pを供給するホッパ510が備えられたものである。ス
クリュ509を回転させることによりホッパ510から
マスターバッチPが供給され、加熱シリンダ507内で
加熱により高分子材料基質が溶融されて溶融コンパウン
ドとなり、溜まり部507a内に溜められる。その後、
スクリュ509を油圧シリンダ511により所定距離前
進させると、ノズル503bからランナ521を通って
金型505内に所定量の溶融コンパウンドが射出され
る。
【0036】図5に示すように、金型505のキャビテ
ィ505a内に射出された溶融コンパウンドCは、高分
子材料基質が凝固することにより本発明の難燃性付与用
複合材料が複合された高分子複合材料となり、これを型
開きすることにより、キャビティ形状に対応した高分子
複合材料成形体としての二次成形体36が得られる。
【0037】なお、図6(a)に示すように、マスター
バッチ粒子32を単独で使用して成形体を得るようにし
てもよいが、同図(b)に示すように、マスターバッチ
粒子の高分子基質と同材質あるいは異材質の高分子材料
からなる希釈高分子材料粒子40を適量配合することに
より、複合粒子の含有率が、マスターバッチ粒子32中
の含有率よりも小さい二次成形体を製造することもでき
る。この場合、二次成形体中の複合粒子の含有率は、マ
スターバッチ粒子32中の複合粒子の含有率と、そのマ
スターバッチ粒子32に対する希釈高分子材料粒子40
の配合比率によって定まる。
【0038】また、難燃性付与用複合材料粒子1に加え
て、さらに無機系難燃剤としての水酸化アルミニウムを
高分子材料41に複合させることも可能である。この場
合、水酸化アルミニウム39の各粒子に対して均一に硝
酸アンモニウム成分をコーティング(定着)させる必要
がなく、高濃度にコーティング(定着)させたものと、
未コート(定着)の水酸化アルミニウムを使用すること
で、コーティング(定着)の処理量が少なくて済むよう
になる。
【0039】このような希釈用のマスターバッチ粒子中
の複合材料粒子1の含有率は、例えば重量比率にて20
〜67重量%と高いが、複合材料粒子1をこのような高
い含有率にて基質中に均一分散させるために、分散剤を
配合することが望ましい。分散剤としては、例えば金属
セッケンを好適に使用することができる。金属セッケン
分は、例えば有機酸成分が、ナフテン酸(ナフテー
ト)、ラウリン酸(ラウレート)、ステアリン酸(ステ
アレート)、オレイン酸(オレエート)、2−エチルヘ
キサニック酸(オクテート)、あまに油あるいは大豆油
脂肪酸(リノレート)、トール油(トーレート)、ロジ
ン等(レジネート)からなるものを例示できる。また、
金属の種類は下記のようなものを例示できる。 ・ナフテネート系(Al、Ca、Co、Cu、Fe、P
b、Mn、Zn等) ・レジネート系(Al、Ca、Co、Cu、Fe、P
b、Mn、Zn等) ・リノレート系(Co、Fe、Pb、Mn等) ・ステアレート系(Ca、Zn等) ・オクテート系(Ca、Co、Fe、Pb、Mn、Zn
等) ・トーレート系(Ca、Co、Fe、Pb、Mn、Zn
等) これらのうち、ステアリン酸Cuやステアリン酸Zn
を、分散効果に特に優れる金属セッケンの具体例として
挙げることができる(ステアリン酸処理)。なお、金属
セッケンの複合材料中への配合量は、多すぎると材料強
度や均質性に問題が生じ、少なすぎると分散効果が不十
分となるので、これらの不具合が生じないよう、例えば
0.01〜3重量%(例えば0.3重量%)の範囲内に
て選定するのがよい。
【0040】なお、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂(ウレ
タンゴムを含む)あるいはシリコーン樹脂など、未硬化
樹脂成分が含有される主剤と、その未硬化樹脂成分を硬
化させるための硬化剤とからなる2液混合型の注型樹脂
材料、接着剤あるいは塗料を、本発明の難燃性付与用複
合材料が複合された難燃性高分子複合材料として構成す
ることも可能である。具体的には、この目的のため、未
硬化樹脂成分を含有する主剤と、その未硬化樹脂成分を
硬化させるための硬化剤とから構成され、難燃性付与用
複合材料を主剤又は硬化剤の少なくともいずれかに配合
されてなり、主剤と硬化剤とを混合することにより、熱
硬化性樹脂を基質としてこれに難燃性付与用複合材料を
分散させた難燃性高分子複合材料が得られるようにした
難燃性高分子複合材料製造用組成物を使用することがで
きる。
【0041】図7に、その具体例についてエポキシ樹脂
の場合を例に取って説明する。すなわち、主剤550
は、例えばビスフェノール系の未硬化エポキシ樹脂成分
中に、難燃性付与用複合材料1と、必要に応じて難燃助
剤、充填剤、顔料や染料等の着色剤あるいは分散剤等を
配合したものであり、適当な溶媒により粘度調整がなさ
れている。一方、硬化剤551は、アミンやイソシアナ
ート、酸無水物などの硬化成分を溶媒中に溶解ないしは
分散させたものである。そして、使用する直前に(a)
に示すように両剤550,551を所定比率にて混合
し、混合組成物552のポットライフ時間内に目的に応
じた処置を行う。すなわち、混合組成物552を注型用
樹脂材料として使用する場合は、(b)に示すようにこ
れを型553に注型して硬化させることにより、所期の
形状の難燃性高分子複合材料成形体を得る。また、混合
組成物552を塗料として使用する場合は、(c)に示
すようにこれを被塗装物554の塗装面に塗布して硬化
させることにより、難燃性高分子複合材料塗膜555を
得る。さらに、混合組成物552を接着剤として使用す
る場合は、(d)に示すようにこれを被接着物556
a,556bの接着面に塗布して貼り合わせる、難燃性
接着層557により被接着物556a,556bが接着
された接着構造が得られる。
【0042】次に、難燃性付与用複合材料粒子1は高分
子基質の表面に定着することも可能である。図8は、そ
のいくつかの例を示している。図8(a)は、高分子基
質50の表面に形成された接着樹脂層560を介して難
燃性付与用複合材料粒子1を接着形態により定着する例
を示す。なお、高分子基質50中に、さらに難燃性付与
用複合材料粒子1を分散させておいてもよい(以下も同
様)。また、図8(b)に示すように、定着された難燃
性付与用複合材料粒子1の表面側を、さらに樹脂等によ
るオーバーコート561で覆うようにしてもよい。
【0043】図8(c)では、例えば成形金型505の
キャビティの内面に難燃性付与用複合材料粒子1を塗布
しておき、次いでキャビティ内を溶融樹脂570で満た
して凝固させることにより、塗布された難燃性付与用複
合材料粒子1を成形体536を形成する基質50の表面
に一体化させる例である。図8(d)は、難燃性付与用
複合材料粒子1の表面を定着樹脂層562で予め覆って
おき、加熱により定着樹脂層562を軟化させつつ基質
50の表面に付着させた後、樹脂を硬化させることによ
り、難燃性付与用複合材料粒子1を定着する例である。
この場合、基質50は、不要な変形が生じない程度の温
度にて予熱しておくと、定着樹脂層562の軟化・付着
を容易に行うことができる。図8(e)は、難燃性付与
用複合材料粒子1を基質50表面に投射したり、圧入す
ることにより、基質50の表層部に難燃性付与用複合材
料粒子1を埋め込む方法である。この場合、基質50の
少なくとも表層部を加熱等により軟化させておくと埋込
を容易に行うことができる。
【0044】
【実施例】(実施例1)本発明の難燃性付与用複合材料
について以下の実験を行った。図1に示すように、硝酸
アンモニウム粉末8gを水20gで溶解し、これに水酸
化アルミニウム22gを混合してスラリー状物とした
後、100℃にて2時間乾燥し、得られた乾燥物を粉砕
して難燃性付与用複合材料粒子を得た。このような難燃
性付与用複合材料粒子は、水酸化アルミニウムの表層に
硝酸アンモニウムがコーティング(定着)された構成を
備えている。得られた難燃性付与用複合材料粒子をポリ
プロピレン樹脂40gに対して22g混合し、射出成形
して樹脂プレートを得た。このようにして得られた樹脂
プレートについて、UL94燃焼性試験(第5版:19
96年10月26日によるもの)を行ったところ、V−
2レベルをクリアした。なお、本実施例の樹脂プレート
は、硝酸アンモニウム:水酸化アルミニウム:ポリプロ
プレン=15:40:100の重量比とされている。
【0045】次に、上記難燃性付与用複合材料と硝酸ア
ンモニウム単体とについて、樹脂に混入させた場合の粉
塵爆発性試験を行った。具体的には、硝酸アンモニウム
単体を樹脂に所定量加えたものと、その量と同量の硝酸
アンモニウム成分が加えられたこととなる難燃性付与用
複合材料を樹脂に加えたものにおいて爆発下限濃度(g
/m3)を比較した。その結果、難燃性付与用複合材料
の爆発下限濃度が大きいものとなり、これは、難燃性付
与用複合材料が硝酸アンモニウム単体に比して爆発性が
小さいことを示している。
【0046】(実施例2)硝酸アンモニウム粉末100
gを水100gで溶解し、これに水酸化アルミニウム1
00gを混合してスラリー状物とした後、100℃にて
2時間乾燥し、得られた乾燥物を粉砕して難燃性付与用
複合材料粒子を得た。このような難燃性付与用複合材料
粒子は、水酸化アルミニウムの表層に硝酸アンモニウム
がコーティング(定着)された構成を備えている。得ら
れた難燃性付与用複合材料粒子10gと水酸化アルミニ
ウム45gとをポリプロピレン樹脂100gに混合し、
射出成形して樹脂プレートを得た。このようにして得ら
れた樹脂プレートについて、UL94燃焼性試験(第5
版:1996年10月26日によるもの)を行ったとこ
ろ、V−2レベルをクリアした。なお、本実施例の樹脂
プレートは、硝酸アンモニウム:水酸化アルミニウム:
ポリプロプレン=5:50:100の重量比とされてい
る。
【0047】次に、上記難燃性付与用複合材料と硝酸ア
ンモニウム単体とについて、樹脂に混入させた場合の粉
塵爆発性試験を行った。具体的には、硝酸アンモニウム
単体を樹脂に所定量加えたものと、その量と同量の硝酸
アンモニウム成分が加えられたこととなる難燃性付与用
複合材料を樹脂に加えたものにおいて爆発下限濃度(g
/m3)を比較した。その結果、難燃性付与用複合材料
の爆発下限濃度が大きいものとなり、これは、難燃性付
与用複合材料が硝酸アンモニウム単体に比して爆発性が
小さいことを示している。
【0048】なお、本明細書において「主成分」あるい
は「主体とする」とは、特に断りがないかぎり、最も重
量含有率の高くなる成分を意味するものとして用いた。
また、本発明においては、安全性及び難燃性付与の目的
を考慮すると、例えば上記スラリー状物を得る際の含窒
素化合物の水溶液濃度は、10〜80重量%程度とする
のが好ましく、この水溶液に対して水酸化アルミニウム
は5〜160重量%程度混合するのが好ましい。このよ
うな濃度範囲とすることにより、安全に難燃性付与用複
合材料を製造することが可能となり得るとともに、得ら
れた難燃性付与用複合材料は樹脂等の難燃性付与対象材
料に対して高い難燃性を付与することが可能となり得
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の難燃性付与用複合材料の製造方法の概
略を示す説明図。
【図2】難燃性付与用複合材料の形態をいくつか例示し
て示す模式図。
【図3】本発明の難燃性付与用複合材料を複合した難燃
性高分子複合材料からなるマスターバッチの製造方法の
一例を、マスターバッチ粒子の種々の形態とともに示す
模式図。
【図4】射出成形機の一例を示す断面模式図。
【図5】射出成形により成形体を製造する一例を示す工
程説明図。
【図6】マスターバッチのいくつかの使用形態を示す説
明図。
【図7】二液混合型樹脂により本発明の難燃性付与用複
合材料を複合した難燃性高分子複合材料を得る方法と、
その適用形態をいくつか例示して示す説明図。
【図8】高分子材料基質の表面に難燃性付与用複合材料
を定着する方法をいくつか例示して示す工程説明図。
【符号の説明】
1 難燃性付与用複合材料粒子 10 硝酸アンモニウム粒子 39 水酸化アルミニウム粒子 50 高分子材料(難燃性付与対象材料)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子材料を主体として構成される難燃
    性付与の対象物(以下、難燃性付与対象物とも言う)中
    に分散させるか又は表面に定着させることにより当該対
    象物に難燃性を付与するために使用され、含窒素化合物
    と、無機系難燃剤とを含み、前記無機系難燃剤の表層に
    前記含窒素化合物が定着されていることを特徴とする難
    燃性付与用複合材料。
  2. 【請求項2】 前記含窒素化合物は、硝酸化合物及び/
    又は亜硝酸化合物である請求項1記載の難燃性付与用複
    合材料。
  3. 【請求項3】 前記含窒素化合物は、硝酸アンモニウム
    を主成分とするものである請求項1又は2に記載の難燃
    性付与用複合材料。
  4. 【請求項4】 前記無機系難燃剤は金属水酸化物である
    請求項1ないし3のいずれかに記載の難燃性付与用複合
    材料。
  5. 【請求項5】 前記無機系難燃剤は水酸化アルミニウ
    ム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムの少なくと
    もいずれかを主成分とするものである請求項1ないし4
    のいずれかに記載の難燃性付与用複合材料。
  6. 【請求項6】 加熱により燃焼阻害性気体を分解生成す
    る請求項1ないし5のいずれかに記載の難燃性付与用複
    合材料。
  7. 【請求項7】 前記燃焼阻害性気体として、窒素を含有
    するものが生成される請求項6記載の難燃性付与用複合
    材料。
  8. 【請求項8】 前記難燃性付与対象物に対して前記無機
    系難燃剤が100重量部以下の範囲で含有される請求項
    1ないし7のいずれかに記載の難燃性付与用複合材料。
  9. 【請求項9】 前記無機系難燃剤は平均粒径0.1〜1
    00μmの粒状形態とされている請求項1ないし8のい
    ずれかに記載の難燃性付与用複合材料。
  10. 【請求項10】 高分子材料を主体として構成される難
    燃性付与の対象物(以下、難燃性付与対象物とも言う)
    中に分散させるか又は表面に定着させることにより当該
    対象物に難燃性を付与するために使用され、含窒素化合
    物と、無機系難燃剤とを含む難燃性付与用複合材料の製
    造方法であって、 前記含窒素化合物を水に分散ないし溶解した溶液に前記
    無機系難燃剤を混合して混合物を生成する工程と、該混
    合物を乾燥する工程とを含むことを特徴とする難燃性付
    与用複合材料の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし9のいずれかに記載の
    難燃性付与用複合材料の製造方法であって、 前記含窒素化合物を水に分散ないし溶解した溶液に前記
    無機系難燃剤を混合して混合物を生成する工程と、該混
    合物を乾燥する工程とを含むことを特徴とする難燃性付
    与用複合材料の製造方法。
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