JP2002336964A - 帯状金属薄板の突合せ接合装置 - Google Patents

帯状金属薄板の突合せ接合装置

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JP2002336964A JP2001146857A JP2001146857A JP2002336964A JP 2002336964 A JP2002336964 A JP 2002336964A JP 2001146857 A JP2001146857 A JP 2001146857A JP 2001146857 A JP2001146857 A JP 2001146857A JP 2002336964 A JP2002336964 A JP 2002336964A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯状金属薄板を突合せ溶接する突合せ接合装
置に於いて、帯状金属薄板の材質や厚みに関係なく、帯
状金属薄板の切断端面同士の突き合せを確実且つ正確に
行えるようにする。 【解決手段】 帯状金属薄板W1,W2の切断端面同士
をTIG溶接装置2により突き合せ溶接するようにした
突合せ接合装置に於いて、帯状金属薄板W1,W2を載
置する作業用テーブル1と、作業用テーブル1の上方に
配設した上部クランプ3と、作業用テーブル1の中央部
に上下動自在に配設され、作業用テーブル1の上面より
下方に位置して作業用テーブル1と同一高さ位置まで押
し上げられる下部クランプ4と、下部クランプ4の中央
部に上下動自在に配設された垂直状のセンター基準板5
と、センター基準板5の両側に位置して下部クランプ4
に配設され、作業用テーブル1の上面に載置された両帯
状金属薄板W1,W2の端部を真空吸着により下部クラ
ンプ4の上面へ吸引固定する真空吸引機構7とを具備す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にコイル状に巻
き取られている帯状金属薄板(以下ワークと呼ぶ)から
リードフレームやシャーシ類、パイプ等の各種製品を連
続的に生産するプレスラインや造管ライン等に於いて利
用されるものであり、加工中のワークの終端部と新しい
ワークの始端部とをTIG溶接により突合せ溶接する帯
状金属薄板の突合せ接合装置の改良に関するものであ
る。
【0002】
【従前の技術】一般に、ワークを連続的に供給しながら
リードフレーム等の部品を成形加工するプレスラインに
於いては、プレス型内へワークを挿入するための手数を
省くため、繰り出し中のワークの終端部が近づくと、ワ
ークの供給を止めてその終端部へ、新たなワークの始端
部を突合せ溶接し、その後新しいワークをプレスライン
へ連続的に供給するようにしている。
【0003】ところで、上述の如きワークの突合せ溶接
に於いては、溶接部の機械的強度の確保だけでなく、溶
接部の仕上げ精度例えば溶接部の厚さや直線性等の点で
も高精度が要求される。何故なら、溶接部の仕上げ精度
が悪いと、プレス型に損傷を生じたり、溶接部を含んだ
成形加工品の品質が極端に悪くなるからである。そのた
め、この種のワークの突合せ接合装置や接合方法につい
ては、各種の開発が行われており、実用にも供されてい
る。
【0004】図6乃至図9は従来のワークの突合せ接合
装置の一例を示すものであり、本願発明者が先に特許第
2899276号として公開しているものである。即
ち、前記突合せ接合装置は、図6に示す如く、ワークW
1,W2が載置される作業用テーブル30を設けたキャ
ビネット本体31と、ワークW1,W2の終端部及び始
端部を直線状に切断する切断装置32と、ワークW1,
W2の終端部と始端部とを突合せ溶接する溶接装置33
と、ワークW1,W2の溶接部を圧延して溶接部の厚み
を均一化する圧延装置34と、ワークW1,W2の終端
部上面及び始端部上面を保持する上部クランプ35と、
ワークW1,W2の終端部及び始端部を作業用テーブル
30の上面へ保持固定するワーククランプ36と、溶接
条件や電極位置等を設定するメーター類を設けた操作パ
ネル37と、切断装置32や溶接装置33等を作動させ
る操作スイッチ38盤等から構成されており、キャビネ
ット本体31の内部には、切断装置32や溶接装置3
3、圧延装置34等の駆動用モータ及び駆動用シリンダ
(何れも図示省略)、各駆動用モータ及び駆動用シリン
ダの制御装置(図示省略)、溶接用ガスボンベ及びその
附属品(何れも図示省略)、溶接用電源装置及びその制
御装置(何れも図示省略)等が格納されている。
【0005】尚、図7乃至図9に於いて、39は溶接用
トーチ、40はタングステン電極棒、41は下部クラン
プ、42はエアシリンダ、43は押えガイド板、44は
センター基準板、45はセンター押え板、45aはセン
ター押え板45の凹部、46はアークガイドねじ、W
1′,W2′はワークW1,W2の切断端部、Lは作業
用テーブル30上面と下部クランプ41上面の段差、G
は上部クランプ35間の隙間である。
【0006】而して、前記突合せ接合装置を用いたワー
クW1,W2の突合せ接合に際しては、先ず加工中のワ
ークW1の終端部及び新しいワークW2の始端部を切断
装置を用いて切断する。次に、新しいワークW2の始端
部をワーククランプ36及び押えガイド板43の下方へ
通し、その切断端面をセンター基準板44の側面へ当接
させた後、ワーククランプ36によりワークW2を固定
する。同様に、加工中のワークW1の切断端面をセンタ
ー基準板44の他方の側面へ当接させた後、ワーククラ
ンプ36によりワークW1を固定する。
【0007】両ワークW1,W2の始端部及び終端部の
クランプが終了すれば、上部クランプ35を下部クラン
プ41の上方位置へ移動させた後、図9に示すように、
センター押え板45を上部クランプ35間の隙間Gを通
して上方より挿入し、センター基準板44の上端部をセ
ンター押え板45の凹部45a内へ嵌合させ、ワークW
1,W2の切断端部W1′,W2′を下部クランプ41
上へ押圧する。
【0008】その後、センター押え板45を下方へ押え
つつエアシリンダ42によって下部クランプ41を上方
ヘ移動させ、両ワークW1,W2及びセンター押え板4
5と一緒に、下部クランプ41を作業用テーブル30と
同一高さ位置まで持ち上げる。このとき、センター基準
板44の下端部がキャビネット本体31側へ固定されて
いるため、センター基準板44の上端部は下部クランプ
41の上昇に伴って両ワークW1,W2の切断端部の間
から引き抜かれる。又、下部クランプ41の上昇作動時
に、両ワークW1,W2の終端部及び始端部に、作業用
テーブル30上面と下部クランプ41上面との間に設け
た段差Lに相当する左右方向への移動量の余裕が生じ
る。然も、下部クランプ41の上昇作動時には、両ワー
クW1,W2の終端部及び始端部に撓みが生じる。従っ
て、両ワークW1,W2の切断端部W1′,W2′は、
センター基準板44の上端部が両ワークW1,W2の切
断端部W1′,W2′の間から引き抜かれた際に、ワー
クW1,W2自体が持っている弾性力によって若干量だ
け左右方向へ移動し、両切断端部W1′,W2′の端面
同士が正確に突き合された状態で、上部クランプ35の
先端部底面と下部クランプ41の上面との間で緊密に挾
持固定される。尚、人手によって保持されていたセンタ
ー押え板45は、適宜に取り除かれる。
【0009】両ワークW1,W2の切断端部W1′,W
2′のクランプが終了すれば、溶接装置33を作動させ
て溶接装置33の溶接用トーチ39を所定の位置まで自
動的に下降させる。即ち、溶接用トーチ39のタングス
テン電極棒40の先端がアークガイドねじ46の頭部頂
面近傍まで下降され、頭部頂面とタングステン電極棒4
0との間にアークが発生される。アークが発生すると、
タングステン電極棒40は所定の速度でワークW1,W
2の幅方向へ移動される。これにより、発生したアーク
は、アークガイドねじ46の頭部外周縁に形成したテー
パ面を経過してワークW1,W2の突合せ部の一端部へ
引き継がれ、引き続きワークW1,W2の突合せ部のT
IG溶接が行われる。
【0010】ワークW1,W2の突合せ部の他端まで溶
接が完了すると、アークがストップされると共に、溶接
装置33が上昇されて元の位置まで引き戻される。又、
ワークW1,W2の突合せ部の溶接が終れば、ワークW
1,W2の溶接部を圧延装置34の下方へ移動させて圧
延装置34の圧延ローラによって圧延し、その厚みを均
一化する。その後、突合せ接合されたワークW1,W2
は、突合せ接合装置からフリーにされてプレス工程等へ
送られて行く。
【0011】上述した特許第2899276号に係るワ
ークW1,W2の突合せ接合装置は、薄板のワークW
1,W2であっても両ワークW1,W2の切断端面を簡
単且つ正確に突き合すことができ、部分的な重なりや間
隙の全くない理想的な突合せ接合部を溶接することにな
るため、高精度な溶接ができること、発生したアーク
がアークガイドねじ46を通してワークW1,W2の突
合せ部の端部へ引き継がれるため、アークが不安定にな
ったりすることがなく、理想的な溶接を高能率で行える
等の優れた実用的効用を奏するものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特許第289
9276号に係るワークW1,W2の突合せ接合装置に
も解決すべき問題が残されている。即ち、ワークW1,
W2が軟らかい材質の金属材(例えはアルミやアルミ合
金等)で形成されている場合やワークW1,W2の厚み
が20μm〜50μmの場合には、ワークW1,W2自
体の持っている弾性力が小さいため、作業用テーブル3
0の上面よりも下降した位置にある下部クランプ41を
上昇させたときに、両ワークW1,W2の切断端部W
1′,W2′が左右方向へ移動せず、撓んだ状態のまま
で下部クランプ41と一緒に上昇することになる。その
結果、両ワークW1,W2の切断端部W1′,W2′の
端面同士が完全に突き合わされず、ワークW1,W2の
突合せ接合部に部分的な間隙等が生じることになる。こ
のように、両ワークW1,W2の切断端面の突き合せが
完全でないと、溶接部に部分的な溶け込み不良を生じた
り、溶接部の厚み斑、穴あき、溶接部の曲り等を生ずる
ことになり、プレス工程等に於いて様々な不都合を生じ
ることになる。
【0013】本発明は、このような問題点に鑑みて為さ
れたものであり、その目的は、ワークの材質や厚みに関
係なく、加工中のワークと新しいワークの切断端面同士
の突き合せを確実且つ正確に行えるようにした帯状金属
薄板の突合せ接合装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1の発明は、帯状金属薄板の切断端
面同士を突き合せ固定し、この突合せ部をTIG溶接装
置により溶接するようにした帯状金属薄板の突合せ接合
装置に於いて、帯状金属薄板を載置する作業用テーブル
と、作業用テーブルの上方に間隔を空けて対向状に配設
した上部クランプと、作業用テーブルの中央部に上下動
自在に配設され、作業用テーブルの上面より下方に位置
して作業用テーブルと同一高さ位置まで押し上げられる
下部クランプと、下部クランプの中央部に上下動自在に
配設された垂直状のセンター基準板と、センター基準板
の両側に位置して下部クランプに配設され、作業用テー
ブルの上面に載置された両帯状金属薄板の端部を真空吸
着により下部クランプ上面へ吸引固定する真空吸引機構
とを具備したことに特徴がある。
【0015】本発明の請求項2の発明は、真空吸引機構
が、下部クランプのセンター基準板の両側に位置する部
分にワークの幅方向に一定の間隔を空けて直列状に配置
された複数の真空吸引部を備えており、帯状金属薄板を
下部クランプに載置したときに、帯状金属薄板の下方に
位置する真空吸引部のみが作動するように構成されてい
ることに特徴がある。
【0016】本発明の請求項3の発明は、真空吸引機構
の各真空吸引部が、下部クランプの上面に形成され、常
時真空吸引されている凹状の吸引穴と、吸引穴に気密状
に挿着され、中央部に空気が吸引される貫通孔を形成し
たピン押えと、ピン押えの貫通孔に遊嵌状態で上下動自
在に挿通され、スプリングにより上方ヘ附勢されて上端
が下部クランプの上面より突出するピンと、ピン側に設
けられ、ピンが上方ヘ附勢されているときにピン押えの
貫通孔をシールするシール材とから成り、帯状金属薄板
が下部クランプの上面に載置されたときに、下部クラン
プの上面から突出するピンが押し下げられてピン押えの
貫通孔が開放され、吸引穴内へ空気が吸引されるように
構成されていることに特徴がある。
【0017】本発明の請求項4の発明は、各真空吸引部
の吸引穴の内周縁部に帯状金属薄板の裏面へ密着し得る
環状部材を挿着し、下部クランプの上面と帯状金属薄板
の下面との間から空気が漏洩しないようにしたことに特
徴がある。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図1乃至図5は本発明の実
施の形態に係る帯状金属薄板W1,W2(以下ワークW
1,W2と呼ぶ)の突合せ接合装置の要部を示すもので
あり、当該突合せ接合装置は、コイル状に巻き取られて
いるワークW1,W2から各種製品を連続的に大量生産
する生産ライン、例えばリードフレーム等を連続的に大
量生産するプレスラインに設置されて居り、プレス加工
中のワークW1の終端部とこれに続く新しいワークW2
の始端部とを突合せ溶接により接合し、ワークW1,W
2を連続してプレスライン上へ供給できるようにしたも
のである。
【0019】即ち、前記突合せ接合装置は、ワークW
1,W2が載置される作業用テーブル1を設けたキャビ
ネット本体(図示省略)と、加工中のワークW1の終端
部及び新しいワークW2の始端部を直線状に切断する切
断装置(図示省略)と、両ワークW1,W2の切断端部
同士を突合せ溶接する溶接装置2と、ワークW1,W2
の溶接部を圧延して溶接部の厚みを均一化する圧延装置
(図示省略)と、両ワークW1,W2の切断端部の上面
を夫々保持する左右の上部クランプ3と、両上部クラン
プ3との間で両ワークW1,W2の切断端部を挾持固定
する下部クランプ4と、ワークW1,W2の切断端面の
位置決めを行うセンター基準板5と、両ワークW1,W
2の終端部及び始端部を作業用テーブル1の上面へ保持
固定する左右のワーククランプ6と、両ワークW1,W
2の端部を真空吸着により下部クランプ4上へ吸引固定
する真空吸引機構7等から構成されており、キャビネッ
ト本体の内部には、切断装置や溶接装置2、圧延装置等
の駆動用モータ及び駆動用シリンダ(何れも図示省
略)、各駆動用モータ及び駆動用シリンダの制御装置
(図示省略)、溶接用ガスボンベ及びその附属品(何れ
も図示省略)、溶接用電源装置及びその制御装置(何れ
も図示省略)等が格納されている。
【0020】尚、図1及び図2に於いて、1aは作業用
テーブル1に形成した凹部、8は下部クランプ4を上下
動させるエアシリンダ、9はバックバー、10はバック
バー9を上下動させるエアシリンダ、11は溶接用トー
チ、12はタングステン電極棒、13は真空吸引部、1
4は吸引穴、15はピン押え、15aはピン押え15の
貫通孔、16はピン、17はスプリング、18はシール
材、19は環状部材である。
【0021】又、切断装置、溶接装置2及び圧延装置等
は、キャビネット本体に形成した作業用テーブル1の奥
部に前後方向へ移動自在に配設されており、ワークW
1,W2の切断時、ワークW1,W2の接合時、ワーク
W1,W2の溶接部の圧延時に作業用テーブル1上へ引
き出されるようになっている。これら各装置(切断装
置、溶接装置2及び圧延装置等)は、従来公知のものと
同様構造に構成されているため、ここではその詳細な説
明を省略する。
【0022】前記作業用テーブル1は、キャビネット本
体の前面側の中間部に水平状に形成されており、その中
央部には後述する下部クランプ4が収納される長方形状
の凹部1aが形成されている。
【0023】前記左右の上部クランプ3は、加工中のワ
ークW1の切断端部の上面と新しいワークW2の切断端
部の上面を夫々保持するものであり、作業用テーブル1
の奥部に前後方向へ水平移動自在に支持され、ワークW
1,W2のクランプ時に作業用テーブル1の上方へ送り
出されてくる。即ち、両上部クランプ3は、銅材により
形成されており、僅かな間隙を置いて対向状に配設され
ている。又、両上部クランプ3は、その先端部3aが断
面形状三角状に形成されており、この先端部3a底面で
もって両ワークW1,W2の切断端部W1′,W2′の
上面を保持するようになっている。そして、両上部クラ
ンプ3は、ワークW1,W2のクランプ時に作業用テー
ブル1の奥部から前方へ水平移動され、作業用テーブル
1の凹部1aの上方位置に水平姿勢で保持される。この
とき、両上部クランプ3の先端部3a下面は、作業用テ
ーブル1の上面と略同一高さレベルに保持されている。
【0024】前記下部クランプ4は、銅材から成る厚肉
の平板状に形成されており、作業用テーブル1の中央部
に形成した凹部1a内に上下方向へ移動自在に配設さ
れ、エアシリンダ8により上下動するようになってい
る。即ち、下部クランプ4は、平常時(エアシリンダ8
の非作動時)にはその上面が図1に示すように作業用テ
ーブル1の上面よりも所定の距離L(L=2〜6mm)
だけ下方に位置するように配設されており、ワークW
1,W2のクランプ時にはエアシリンダ8によりその上
面が図1の位置から2〜6mm上方へ持ち上げられ、作
業用テーブル1の上面と同じ水平位置まで上昇するよう
になっている。これによって、両ワークW1,W2の切
断端部W1′,W2′は、上部クランプ3と下部クラン
プ4との間で堅固に挾持固定されることになる。又、下
部クランプ4の中央部表面には、銅製のバックバー9が
その上面を下部クランプ4の上面と同じ高さにした状態
で上下方向へ移動自在に嵌め込まれており、当該バック
バー9はエアシリンダ10により上下動して作業用テー
ブル1の上面と同一高さ位置になるようになっている。
このバックバー9は、溶接金属の溶け落ち防止と裏側の
シールドを行うものであり、その表面及び内部にはシー
ルドガス(不活性ガス)が流れる溝9a及び通路9bが
夫々形成されている。尚、作業テーブル1上面と下部ク
ランプ4上面との段差距離Lは、ワークW1,W2の厚
さに応じて適宜に調整可能な構成となっている。
【0025】前記センター基準板5は、下部クランプ4
の中央部に垂直姿勢で且つ上下方向へ移動自在に配設さ
れている。即ち、センター基準板5は、その厚さが0.
1〜0.3mm程度の薄板鋼板により形成されており、
バックバー9の溝9aに垂直姿勢で着脱自在に嵌め込ま
れ、エアシリンダ10によりバックバー9と一緒に上下
動するようになっている。このセンター基準板5は、上
昇時にはその上端が作業用テーブル1の上面より僅かに
上方へ突出するようになっている。尚、この実施の形態
に於いては、センター基準板5を上下動するバックバー
9に着脱自在に取り付け、バックバー9と一緒にエアシ
リンダ10により上下動させるようにしたが、センター
基準板5を下部クランプ4に単独で上下動するように配
設し、当該センター基準板5をエアシリンダ10により
上下動させるようにしても良い。
【0026】前記左右のワーククランプ6は、加工中の
ワークW1の切断端面及び新しいワークW2の切断端面
から60〜100mm程度の部分を作業用テーブル1上
へ保持固定するものである。この両ワーククランプ6
は、図4に示す如く、断面形状逆L字型の押え爪体20
と、押え爪体20の下面側に貼着したナイロン製又はウ
レタン製のクッション材21と、押え爪体20を上下動
させるエアシリンダ22とから成り、エアシリンダ22
が作業用テーブル1に保持固定されていると共に、エア
シリンダ22のピストンロッドに押え爪体20が支持固
定されている。尚、23は挿入したワークW1,W2の
位置を規制するストッパーである。
【0027】前記真空吸引機構7は、センター基準板5
の両側位置で且つ下部クランプ4に配設されており、作
業用テーブル1の上面に載置された両ワークW1,W2
の端部を真空吸着により下部クランプ4の上面へ吸引固
定するものである。即ち、真空吸引機構7は、下部クラ
ンプ4のセンター基準板5の両側に位置する部分にワー
クW1,W2の幅方向に一定の間隔を空けて直列状に配
置され、真空吸引によりワークW1,W2の端部を吸引
する複数の真空吸引部13と、各真空吸引部13に配管
及び電磁弁等を介して接続された真空ポンプ(何れも図
示省略)とから成り、ワークW1,W2の幅に応じて適
宜の真空吸引部13が作動するように構成されている。
又、各真空吸引部13は、図3(A)及び(B)に示す
如く、下部クランプ4の上面に形成され、常時真空吸引
されている凹状の吸引穴14と、吸引穴14に気密状に
挿着され、中央部に空気が吸引される貫通孔15aを形
成したピン押え15と、ピン押え15の貫通孔15aに
遊嵌状態で上下動自在に挿通され、スプリング17によ
り上方ヘ附勢されて上端が下部クランプ4の上面より突
出するピン16と、ピン16側に設けられ、ピン16が
上方ヘ附勢されているときにピン押え15の貫通孔15
aをシールするシール材18(Oリング)とから夫々構
成されている。更に、各真空吸引部13の吸引穴14の
内周縁部には、下部クランプ4の上面とワークW1,W
2の下面との間から空気が漏洩しないようにワークW
1,W2の裏面へ密着し得る環状部材19が挿着されて
いる。この環状部材19は、ナイロンやウレタン等によ
り形成されている。
【0028】而して、前記真空吸引機構7に於いては、
真空ポンプ(図示省略)が常時作動されており、下部ク
ランプ4上へワークW1,W2が載せられたときだけ、
ワークW1,W2の下方に位置する真空吸引部13のみ
が作動し、ワークW1,W2の端部を真空吸着により下
部クランプ4上へ吸引固定するようになっている。即
ち、下部クランプ4上へワークW1,W2が載せられて
いないときには、ピン16がスプリング17により常時
上方ヘ押し上げられており、これによってピン16に設
けたシール材18がピン押え15の貫通孔15aを閉鎖
し、吸引穴14への空気の吸引がストップされている
(図3(A)参照)。この状態でワークW1,W2が下
部クランプ4の上面に載せられると、下部クランプ4の
上面から突出するピン16がワークW1,W2の自重に
より下方へ押し下げられ、ピン押え15の貫通孔15a
が開放される(図3(B)参照)。このとき、真空ポン
プが常時作動して吸引穴14内へ空気を常時吸引するよ
うにしているため、吸引穴14内へ空気が吸引されるこ
とになる。これに伴って、ワークW1,W2の端部の下
面が真空吸引により真空吸引部13へ吸引固定される。
又、ワークW1,W2の下面に環状部材19が当接する
ため、ワークW1,W2の下面と下部クランプ4の上面
との間から空気が漏れることがなく、ワークW1,W2
は下部クランプ4の上面へ確実且つ良好に吸引固定され
る。
【0029】尚、図示していないが、下部クランプ4に
は、特許第2899276号に係る突合せ接合装置と同
様に初期アークを発生させるアークガイドねじが設けら
れている。このアークガイドねじは、銅材により円柱状
に形成されており、両ワークW1,W2の突合せ部の側
方に設けられ、下部クランプ4に高さ位置を調整可能に
ねじ込み固定されている。又、アークガイドねじの頭部
は、平面状に形成されており、その外周縁部にはテーパ
面が設けられている。
【0030】次に、前記突合せ接合装置を用いて加工中
のワークW1の終端部と新しいワークW2の始端部とを
接合する場合について説明する。
【0031】尚、ワークW1,W2には、厚みが20μ
mm〜2.0mm程度の鉄、アルミ、アルミ合金、銅、
銅合金、チタン、ステンレス、軟鋼、ケイ素鋼等のワー
クW1,W2が使用されている。又、溶接電流、溶接速
度、不活性ガスの供給量、溶接用トーチの移動速度、タ
ングステン電極棒の先端形状等の溶接条件は、ワークW
1,W2の材質、板厚、幅等に応じて最適の条件下に設
定されていることは勿論である。
【0032】先ず、加工中のワークW1の終端部及び新
しいワークW2の始端部を切断装置により直線状に切断
すると共に、センター基準板5の上端が作業用テーブル
1の上面より上方へ突出するようにバックバー9をエア
シリンダ10により上昇させる。
【0033】次に、一方のワークW2の切断端部W2′
の端面をセンター基準板5の一方の側面へ当接させ、ワ
ーククランプ6によりワークW2を作業用テーブル1上
へ固定し、その後バックバー9をその上面が下部クラン
プ4の上面と同一位置になるようにエアシリンダ10に
下降させる。そうすると、ワークW2の端部が下部クラ
ンプ4の上面に載せられた状態となり、ワークW2の下
方に位置する真空吸引部13のピン16がワークW2の
自重により下方へ押し下げられ、ピン押え15の貫通孔
15aが開放されて吸引穴14内へ空気が吸引される。
これによって、一方のワークW2の端部が真空吸引によ
り下部クランプ4上へ吸引固定される。又、ワークW2
の下面に環状部材19が当接するため、ワークW2の下
面と下部クランプ4の上面との間から空気が漏れること
がなく、ワークW2は下部クランプ4の上面へ確実且つ
良好に吸引固定される。
【0034】その後、センター基準板5をバックバー9
から取り除くと共に、他方のワークW1の端部を下部ク
ランプ4の上面に載せ、その切断端部W1′の端面を目
視によって先に下部クランプ4上へ吸引固定されている
ワークW2の切断端部W2′の端面に突き合せ、ワーク
クランプ6によりワークW1を作業用テーブル1上へ固
定する。このとき、ワークW1の下方に位置する真空吸
引部13のピン16がワークW1により下方へ押し下げ
られ、ピン押え15の貫通孔15aが開放されて吸引穴
14内へ空気が吸引される。これによって、他方のワー
クW1の端部が真空吸引により下部クランプ4上へ吸引
固定される。従って、両ワークW1,W2は、その切断
端部W1′,W2′が完全に突き合された状態で下部ク
ランプ4上へ吸引固定されることになる。又、ワークW
1の下面に環状部材19が当接するため、ワークW1の
下面と下部クランプ4の上面との間から空気が漏れるこ
とがなく、ワークW1は下部クランプ4の上面へ確実且
つ良好に吸引固定される。
【0035】両ワークW1,W2の端部が下部クランプ
4の上面へ突き合された状態で吸引固定されると、上部
クランプ3を下部クランプ4の上方位置へ移動させ、そ
の後下部クランプ4をその上面が作業用テーブル1の上
面と同一高さ位置になるようにエアシリンダ8により上
方へ移動させる。このとき、両ワークW1,W2は、切
断端面同士が完全に突き合された状態で下部クランプ4
と一緒に上方へ持ち上げられるため、その切断端部の端
面同士が正確且つ確実に突き合された状態で、上部クラ
ンプ3と下部クランプ4との間で緊密に挾持固定される
ことになる。
【0036】そして、両ワークW1,W2の切断端部W
1′,W2′のクランプが終了すれば、溶接装置2を作
動させ、溶接用トーチ11を所定の位置まで自動的に下
降させる。即ち、溶接用トーチ11のタングステン電極
棒12の先端は、アークガイドねじの頭部頂面付近まで
下降され、頭部頂面とタングステン電極棒12との間で
アークが発生される。
【0037】前記アークが発生すると、タングステン電
極棒12は、所定の速度でワークW1,W2の幅方向へ
移動され、発生したアークはアークガイドねじの外周縁
部に形成したテーパ面を経過してワークW1,W2の突
合せ部端部へ引き継がれ、引き続き突合せ部の溶接が行
われる。このとき、アークがアークガイドねじのテーパ
面を通してワークW1,W2の突合せ端部へ引き継がれ
るため、アークが不安定になったり、或いは溶接部の端
部近傍に溶け落ち等を生じることがない。
【0038】ワークW1,W2の突合せ部の他端まで溶
接が完了すると、アークがストップされると共に、溶接
装置2が元の位置まで戻される。最後に、ワークW1,
W2の溶接部を圧延装置の下方へ移動させ、溶接部を圧
延してその厚みを均一化する。加工中のワークW1の終
端部に接合された新しいワークW2は、突合せ接合装置
からフリーにされることによってプレス工程等へ送られ
て行く。
【0039】
【発明の効果】上述の通り、本発明の帯状金属薄板の突
合せ接合装置は、下部クランプに帯状金属薄板の端部を
下部クランプ上面へ真空吸着する真空吸引機構を設けて
いるため、この真空吸引機構を用いることによって、両
帯状金属薄板の切断端部を完全に突き合せた状態で下部
クランプ上へ吸引固定することができる。その結果、帯
状金属薄板の材質が軟らかい場合や帯状金属薄板の厚み
が20μmm〜50μmmのように極めて薄い場合であ
っても、両帯状金属薄板の切断端部を正確且つ且つ確実
に突き合せた状態で上部クランプと下部クランプとの間
で挾持固定することができ、理想的な突合せ接合部の溶
接を行える。又、真空吸引機構は、下部クランプの幅方
向に一定の間隔を空けて直列状に配置された複数の真空
吸引部を備え、帯状金属薄板の下方に位置する真空吸引
部のみが作動するようにしているため、帯状金属薄板の
幅に関係なく、帯状金属薄板を下部クランプの上面へ確
実且つ良好に吸引固定することができる。更に、真空吸
引部は、常時真空吸引されている吸引穴に、空気が吸引
される貫通孔を形成したピン押えと、ピン押えの貫通孔
を開閉するシール材を設けたピンと、シール材により貫
通孔が閉鎖されるようにピンを附勢するスプリングとを
夫々装着し、下部クランプの上面から突出するピンが帯
状金属薄板により押し下げられたときに、ピン押えの貫
通孔が開放されて吸引穴内へ空気が吸引されるように構
成されているため、帯状金属薄板を下部クランプに載置
するだけで下部クランプ上面へ吸引固定することがで
き、至極便利である。然も、各真空吸引部の吸引穴の内
周縁部には、帯状金属薄板の裏面へ密着する環状部材を
挿着しているため、下部クランプの上面と帯状金属薄板
の下面との間から空気が漏洩することがなく、帯状金属
薄板を下部クランプ上面へより確実且つ良好に吸引固定
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る帯状金属薄板の突合
せ接合装置の要部を示す縦断面図である。
【図2】同じく突合せ接合装置の要部を示す平面図であ
る。
【図3】真空吸引機構の真空吸引部の拡大縦断面図であ
る。
【図4】ワーククランプの拡大縦断面図である。
【図5】真空吸引機構により帯状金属薄板の端部を下部
クランプ上へ吸引固定した状態の突合せ接合装置の要部
の縦断面図である。
【図6】従来の突合せ接合装置の正面図である。
【図7】同じく従来の突合せ接合装置の要部を示す縦断
面図である。
【図8】同じく従来の突合せ接合装置の要部を示す平面
図である。
【図9】帯状金属薄板の突合せ部に於ける拡大断面図で
ある。
【符号の簡単な説明】
1は作業用テーブル、2は溶接装置、3は上部クラン
プ、4は下部クランプ、5はセンター基準板、7は真空
吸引機構、13は真空吸引部、14は吸引穴、15はピ
ン押え、15aは貫通孔、16はピン、17はスプリン
グ、18はシール材、19は環状部材、W1,W2は帯
状金属薄板(ワーク)。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯状金属薄板(W1),(W2)の切断
    端面同士を突き合せ固定し、この突合せ部をTIG溶接
    装置(2)により溶接するようにした帯状金属薄板(W
    1),(W2)の突合せ接合装置に於いて、帯状金属薄
    板(W1),(W2)を載置する作業用テーブル(1)
    と、作業用テーブル(1)の上方に間隔を空けて対向状
    に配設した上部クランプ(3)と、作業用テーブル
    (1)の中央部に上下動自在に配設され、作業用テーブ
    ル(1)の上面より下方に位置して作業用テーブル
    (1)と同一高さ位置まで押し上げられる下部クランプ
    (4)と、下部クランプ(4)の中央部に上下動自在に
    配設された垂直状のセンター基準板(5)と、センター
    基準板(5)の両側に位置して下部クランプ(4)に配
    設され、作業用テーブル(1)の上面に載置された両帯
    状金属薄板(W1),(W2)の端部を真空吸着により
    下部クランプ(4)上面へ吸引固定する真空吸引機構
    (7)とを具備したことを特徴とする帯状金属薄板の突
    合せ接合装置。
  2. 【請求項2】 真空吸引機構(7)は、下部クランプ
    (4)のセンター基準板(5)の両側に位置する部分に
    帯状金属薄板(W1),(W2)の幅方向に一定の間隔
    を空けて直列状に配置された複数の真空吸引部(13)
    を備えており、帯状金属薄板(W1),(W2)を下部
    クランプ(4)に載置したときに、帯状金属薄板(W
    1),(W2)の下方に位置する真空吸引部(13)の
    みが作動するように構成されていることを特徴とする請
    求項1に記載の帯状金属薄板の突合せ接合装置。
  3. 【請求項3】 真空吸引機構(7)の各真空吸引部(1
    3)は、下部クランプ(4)の上面に形成され、常時真
    空吸引されている凹状の吸引穴(14)と、吸引穴(1
    4)に気密状に挿着され、中央部に空気が吸引される貫
    通孔(15a)を形成したピン押え(15)と、ピン押
    え(15)の貫通孔(15a)に遊嵌状態で上下動自在
    に挿通され、スプリング(17)により上方ヘ附勢され
    て上端が下部クランプ(4)の上面より突出するピン
    (16)と、ピン(16)側に設けられ、ピン(16)
    が上方ヘ附勢されているときにピン押え(15)の貫通
    孔(15a)をシールするシール材(18)とから成
    り、帯状金属薄板(W1),(W2)が下部クランプ
    (4)の上面に載置されたときに、下部クランプ(4)
    の上面から突出するピン(16)が押し下げられてピン
    押え(15)の貫通孔(15a)が開放され、吸引穴
    (14)内へ空気が吸引されるように構成されているこ
    とを特徴とする請求項2に記載の帯状金属薄板の突合せ
    接合装置。
  4. 【請求項4】 各真空吸引部(13)の吸引穴(14)
    の内周縁部に帯状金属薄板(W1),(W2)の裏面へ
    密着し得る環状部材(19)を挿着し、下部クランプ
    (4)の上面と帯状金属薄板(W1),(W2)の下面
    との間から空気が漏洩しないようにしたことを特徴とす
    る請求項3に記載の帯状金属薄板の突合せ接合装置。
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