JP2002331951A - 路面摩擦係数推定装置 - Google Patents

路面摩擦係数推定装置

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JP2002331951A
JP2002331951A JP2001138451A JP2001138451A JP2002331951A JP 2002331951 A JP2002331951 A JP 2002331951A JP 2001138451 A JP2001138451 A JP 2001138451A JP 2001138451 A JP2001138451 A JP 2001138451A JP 2002331951 A JP2002331951 A JP 2002331951A
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vehicle
friction coefficient
surface friction
road surface
motion state
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JP2001138451A
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English (en)
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Koji Umeno
孝治 梅野
Hiroyuki Yamaguchi
裕之 山口
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 精度よくかつ短時間で路面摩擦係数を推定す
る。 【解決手段】 基準ヨー角加速度演算部5は、フィルタ
4から供給される操舵角δ、ヨーレイトγ及び横加速度
Gyに基づいて、基準ヨー角加速度を演算する。微分演
算部6は、フィルタ4から供給されるヨーレイトγを微
分して、実ヨー角加速度を演算する。演算器7は、実ヨ
ー角加速度から基準ヨー角加速度を減じて残差errを
演算する。最小2乗法演算部8は、最小2乗法を用いて
残差errに対する横加速度Gyの傾きaを演算する。
μ推定部9は、傾きaが所定の閾値THを超えたと判定
したときに、そのときの横加速度Gyに基づいて路面摩
擦係数μを推定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、路面摩擦状態推定
装置に係り、特に、すべり角に対するコーナリングフォ
ースの特性が非線形領域に入ったときの路面摩擦係数を
推定する路面摩擦状態推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
車両の安定した走行を実現するため、トラクション制
御、制動力制御、トルク配分制御等の車両制御技術が提
案されている。これらの車両制御技術は、目的に応じて
様々な制御パラメータを演算するが、特に、路面とタイ
ヤとの摩擦状態を示す路面摩擦係数を演算することが多
い。路面摩擦係数は路面と車輪の滑り易さを示してお
り、正確な値を求めることが要求されている。
【0003】そこで、特開2001−39289号公報
では、演算の繰り返しによる累積誤差を少なくした車両
の路面摩擦係数推定装置(以下「従来技術」という。)
が提案されている。従来技術は、車両運動モデルを用い
て高μ路基準及び低μ路基準のヨーレイトを演算し、こ
れらのヨーレイトと実ヨーレイトとを比較して路面摩擦
係数を推定する。
【0004】しかし、従来技術は、すべり角を推定する
ための推定器(オブザーバ)が必要であり、すべり角を
推定するために多くの演算を行わなければならず、演算
時間がかかってしまう問題がある。また、従来技術は、
推定されたすべり角を用いて路面摩擦係数を推定してい
るので、すべり角の推定精度の影響が路面摩擦係数に生
じる問題もある。さらに、従来技術は、ヨーレイトを積
分してすべり角を推定するので、すべり角を精度よく推
定することが困難である。
【0005】本発明は、上述した課題を解決するために
提案されたものであり、精度よくかつ短時間で路面摩擦
係数を推定することができる路面摩擦係数推定装置を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ため、請求項1記載の発明は、車両の運動状態量を検出
する車両運動状態量検出手段と、前記車両運動状態量検
出手段で検出された車両の運動状態量に基づいて、車両
基準モデルの基準ヨー角加速度を演算する基準ヨー角加
速度演算手段と、車両の実ヨー角加速度を検出する実ヨ
ー角加速度検出手段と、前記基準ヨー角加速度演算手段
で演算された基準ヨー角加速度と、前記実ヨー角加速度
検出手段で検出された実ヨー角加速度と、の残差を演算
する残差演算手段と、前記車両運動状態量検出手段で検
出された車両の運動状態量と、前記残差演算手段で演算
された残差と、の相関関係に基づいて、路面摩擦係数を
推定する路面摩擦係数推定手段と、を備えている。
【0007】車両運動状態量検出手段は、車両が走行し
ているときの運動状態量を検出する。運動状態量は、車
両の運動状態を示す1つのパラメータに限らず、2以上
のパラメータを含んでもよい。
【0008】基準ヨー角加速度演算手段は、車両の運動
状態量に基づいて、車両基準モデルの基準ヨー角加速度
を演算する。実ヨー角加速度検出手段は、車両に生じて
いる実際のヨー角加速度である実ヨー角加速度を検出す
る。ヨー角加速度を求める理由は、ヨー角加速度はヨー
角速度の増加又は減少を示すことから、タイヤの横力特
性の変化を精度よく表すことができるからである。そし
て、残差演算手段は、基準ヨー角加速度と実ヨー角加速
度の残差を演算する。
【0009】路面摩擦係数推定手段は、車両の運動状態
量と残差との相関関係を求める。ここで、すべり角に対
するコーナリングフォースが線形性を有するときは、運
動状態量と残差との関係も線形性を有する。一方、すべ
り角に対するコーナリングフォースが非線形性を有する
ときは、運動状態量と残差との関係は急激に大きく変わ
り、非線形性を有する。そこで、運動状態量と残差の関
係が大きく変化したときに、運動状態量に基づいて路面
摩擦係数を演算する。これにより、所定の推定値を推定
しないで済むので演算時間を短縮することができると共
に、非線形領域に入ったときの路面摩擦係数を精度よく
求めることができる。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記路面摩擦係数推定手段は、前記車両運
動状態量検出手段で検出された車両の運動状態量の変化
量と、前記残差演算手段で演算された残差の変化量と、
の比が所定の閾値に達したときに、前記車両の運動状態
量に基づいて路面摩擦係数を推定することを特徴とす
る。
【0011】残差に対する運動状態量の関係は、すべり
角に対するコーナリングフォースの特性が線形性、非線
形性のいずれを有するかによって大きく異なる。そこで
最初に、車両の運動状態量の変化量と残差の変化量との
比、すなわち残差に対する運動状態量の傾きを算出す
る。この傾きは、すべり角に対するコーナリングフォー
スの特性が線形性を有する場合は一定であるが、その特
性が非線形を有するときは大きく変化する。そこで、運
動状態量の変化量と残差の変化量との比が所定の閾値に
達したときに、非線形領域に入ったと判定して、そのと
きの運動状態量に基づいて路面摩擦係数を推定する。こ
れにより、すべり角に対するコーナリングフォースの特
性が非線形領域になった状態を迅速に検出して、そのと
きの路面摩擦係数を推定することができる。
【0012】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の発明において、前記路面摩擦係数推定手段は、前
記車両運動状態量検出手段で検出された車両の運動状態
量の変化量と前記残差演算手段で演算された残差の変化
量との比が、複数の閾値のうちの少なくとも1つの閾値
に達したときに、前記車両の運動状態量に基づいて路面
摩擦係数を推定することを特徴とする。
【0013】運動状態量の変化量と前記残差の変化量と
の比は、なだらかに変化するのではなく、周期的にかつ
短時間で大きくなったり小さくなったりすることが多
い。ここで閾値が1つだけの場合、運動状態量の変化量
と前記残差の変化量との比が、閾値に達したかの判定を
することが困難な場合がある。そこで、複数の閾値を設
け、運動状態量の変化量と前記残差の変化量との比が少
なくとも1つの閾値に達したかを判定することによっ
て、路面摩擦係数を確実に演算することができる。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記車両運動状態検出手段は、操舵角、ヨ
ー角速度、横加速度を検出し、前記基準ヨー角加速度演
算手段は、前記車両運動状態量検出手段で検出された操
舵角、ヨー角速度、横加速度に基づいて、車両基準モデ
ルの基準ヨー角加速度を演算し、前記路面摩擦係数推定
手段は、前記車両運動状態量検出手段で検出された横加
速度と、前記残差演算手段で演算された残差と、の相対
的な関係に基づいて、路面摩擦係数を推定することを特
徴とする。
【0015】運動状態量としては、操舵角、ヨー角速
度、横加速度が好ましい。このとき、基準ヨー角加速度
演算手段は、検出された操舵角、ヨー角速度、横加速度
に基づいて車両基準モデルのヨー角加速度を演算する。
【0016】前記路面摩擦係数推定手段は、前記車両運
動状態量検出手段で検出された横加速度と、前記残差演
算手段で演算された残差と、の相対的な関係を求める。
ここでは、すべり角に対するコーナリングフォースが線
形性を有するときは、横加速度と残差との関係も線形性
を有する。一方、すべり角に対するコーナリングフォー
スが非線形性を有するときは、横加速度と残差との関係
も非線形性を有する。そこで、横加速度と残差の関係が
大きく変化したときに、運動状態量に基づいて路面摩擦
係数を演算する。これにより、上述した特性が非線形領
域に入ったときの路面摩擦係数を精度よく求めることが
できる。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項1から4の
いずれか1項記載の発明において、前記基準ヨー角加速
度演算手段は、高μ路を所定速度でコーナリングする車
両基準モデルの基準ヨー角加速度を演算することを特徴
とする。
【0018】車両基準モデルは、すべり角に対するコー
ナリングフォースの特性が非線形領域に入ったことを検
出するために用いられることから、その特性の線形領域
を示すモデルである必要がある。また、すべり角に対す
るコーナリングフォースの特性は、車両が高μ路を走行
している場合に、線形領域が大きくなる。そこで、基準
ヨー角加速度演算手段は、高μ路を所定速度でコーナリ
ングする状態を車両基準モデルとして、当該車両基準モ
デルの基準ヨー角加速度を演算する。
【0019】なお、車両基準モデルの基準ヨー角加速度
は、例えば後述する式(1)が好ましい。式(1)によ
ると、基準ヨー角加速度は、車両の運動状態量を構成す
る各パラメータ、例えば操舵角、ヨーレイト及び横加速
度にそれぞれ所定の重み付けを行って加算することで求
められる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の好ましい形
態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1
は、本発明の実施の形態に係る路面摩擦係数推定装置の
構成を示すブロック図である。
【0021】路面摩擦係数推定装置は、操舵角δを検出
する操舵角センサ1と、ヨーレイトγを検出するヨーレ
イトセンサ2と、車体に生じる横加速度Gyを検出する
横加速度センサ3と、検出された各信号のノイズを除去
するフィルタ4と、車両基準モデルの基準ヨー角加速度
を演算する基準ヨー角加速度演算部5と、を備えてい
る。
【0022】さらに、路面摩擦係数推定装置は、ヨーレ
イトセンサ2で検出されたヨーレイトγを微分して実ヨ
ー角加速度を演算する微分演算部6と、実ヨー角加速度
から基準ヨー角加速度を減算した残差errを演算する
演算器7と、最小2乗法を用いて残差errに対する横
加速度Gyの傾きaを演算する最小2乗法演算部8と、
傾きa及び横加速度Gyを用いて路面摩擦係数μを推定
するμ推定部9とを備えている。
【0023】フィルタ4は、操舵角センサ1で検出され
た操舵角δ、ヨーレイトセンサ2で検出されたヨーレイ
トγ、横加速度センサ3で検出された横加速度Gyの各
信号に対して、フィルタリング処理を施してノイズを除
去する。そして、フィルタ4は、ノイズ除去済みの操舵
角δを基準ヨー角加速度演算部5に、ノイズ除去済みの
ヨーレイトγを基準ヨー角加速度演算部5及び微分演算
部6に、ノイズ除去済みの横加速度Gyを基準ヨー角加
速度演算部5及び最小2乗法演算部8に供給する。
【0024】基準ヨー角加速度演算部5は、フィルタ4
から供給される操舵角δ、ヨーレイトγ、横加速度Gy
に基づいて、基準車両モデルの基準ヨー角加速度を演算
する。
【0025】基準車両モデルは、車両が所定の速度で高
μ路をコーナリングしている状態をモデル化したもので
ある。ここで、高μ路をコーナリングしている状態を車
両基準モデルとしたことについて、図2を用いて説明す
る。
【0026】図2は、すべり角に対するコーナリングフ
ォースの関係を示す図である。コーナリングフォース
は、線形領域においてはすべり角が増大するに従って大
きくなるが、非線形領域においてはすべり角が増大して
もそれほど大きくならない。また、低μ路走行時のコー
ナリングフォースは、高μ路走行時に比べて小さな値の
ときに非線形領域に入る。そこで、高μ路走行時の線形
領域を車両基準モデルとし、すべり角に対するコーナリ
ングフォースの特性が車両基準モデルに比べてどの程度
異なっているかを判定することによって、非線形領域に
入ったかを判定する。
【0027】車両基準モデルの基準ヨー角加速度dγ/
dtは、次の式(1)で表される。
【0028】
【数1】
【0029】ここで、vは車体速度である。また、係数
A1、A2、A3は、次の式(2)から式(4)を満た
している。
【0030】
【数2】
【0031】さらに、A1、A2、A3を構成する各パ
ラメータは、次の通りである。
【0032】M :車体重量 Cf:フロントコーナリングパワー Cr:リアコーナリングパワー Lf:車体の重心位置から前輪までの距離 Lr:車体の重心位置から後輪までの距離 I :車体の重心回りの慣性モーメント このように、基準ヨー角加速度演算部5は、基準モデル
を特定するために予め上述した各パラメータを記憶し、
操舵角δ、ヨーレイトγ、横加速度Gyが供給される
と、式(1)を演算して基準ヨー角加速度を演算する。
【0033】微分演算部6は、フィルタ4から供給され
るヨーレイトγを微分して、車両に生じる実際のヨー角
加速度である実ヨー角加速度求め、この実ヨー角加速度
を演算器7に供給する。
【0034】演算器7は、微分演算部6から供給される
実ヨー角加速度を加算入力とし、基準ヨー角加速度演算
部5から供給される基準ヨー角加速度を減算入力とし
て、残差errを演算し、残差errを最小2乗法演算
部8に供給する。
【0035】最小2乗法演算部8は、残差errに対す
る横加速度Gyの変化率(傾きa)を演算する。
【0036】図3は、横軸を残差err、縦軸を横加速
度Gyとした場合の残差errと横加速度Gyの相対的
な関係を示す模式図である。点線の直線mは高μ路走行
時の線形領域を示し、実線のS字状曲線nは低μ路走行
時の線形領域及び非線形領域を示している。
【0037】高μ路走行時の線形領域の場合、残差er
rに対する横加速度Gyを示すグラフは、右下がりの直
線(傾きが負で一定)になる。一方、低μ路走行時の場
合、残差errに対する横加速度Gyを示すグラフは、
原点近傍(線形領域)では右下がりの直線になるが、原
点から離れるに従って傾きaが大きく変化し、非線形領
域に入る。すなわち、傾きaが大きく変化することは、
線形領域から非線形領域になったことを示している。そ
こで、最小2乗法演算部8は、線形領域から非線形領域
になったことを判別するためのパラメータとして、残差
errに対する横加速度Gyの傾きaを演算する。
【0038】図3において、点Pにおける接線Lの傾き
をaとし、接線LのGy切片をGy0とすると、接線L
は式(5)で表される。
【0039】
【数3】
【0040】なお、φ及びθは、式(6a)及び式(6
b)の通りである。
【0041】
【数4】
【0042】最小2乗法演算部8は、最小2乗法を用い
て式(7)から式(9)の漸化式を演算し、式(6b)
のθを算出する。
【0043】
【数5】
【0044】なお、φ及びθの初期値は、式(10a)
及び式(10b)の通りである。
【0045】
【数6】
【0046】μ推定部9は、所定の閾値THを記憶して
おり、最小2乗法演算部8で求められた傾きaが閾値T
Hを超えたかを判定する。μ推定部9は、傾きaが閾値
THを超えたと判定したときは、そのときの横加速度G
yに基づいて路面摩擦係数μを推定する。
【0047】ここで、輪荷重M、重力加速度gを用いる
と、車両に横加速度Gyが生じているときのタイヤに生
じる力M・Gyと摩擦力μMgとの関係は、次の式(1
1)で表される。
【0048】
【数7】
【0049】ここで、横加速度Gy[G]は重力加速度
gに対する比率をしていることから、式(11)による
と、横加速度Gyの数値は路面摩擦係数μそのものを示
している。
【0050】図4は、スラローム走行しているときの残
差errと横加速度Gyとの測定結果を示す図である。
点線は高μ路を示し、実線は低μ路を示している。図4
(a)は30[km/h]でスラローム走行した場合、
図4(b)は20[km/h]でスラローム走行した場
合である。また、式(11)より、縦軸の横加速度Gy
の数値は路面摩擦係数μそのものである。
【0051】図4(a)によると、高μ路を走行した場
合、残差errと横加速度Gyとの関係は、ほぼ右下が
りの直線になった。これに対して、低μ路を走行した場
合、残差の絶対値が大きくなるに従って傾きaも大きく
変動した。すなわち、図3に示す模式図とほぼ同様の結
果が得られた。
【0052】図4(b)によると、高μ路を走行した場
合、図4(a)に比べて傾きaは少し大きくなった。ま
た、低μ路を走行した場合、図3に示す模式図と同様に
S字の特性が得られたが、横加速度が0±0.1[G]
のときに大きく変動した。
【0053】図5は、図4の比較例であり、20[km
/h]でスラローム走行しているときのヨーレイトγ
[rad/s]に対する横加速度Gyの測定結果を示す
図である。図5によると、高μ路を走行してしている場
合も低μ路を走行してしている場合も同じような特性に
なっており、すべり角に対するコーナリングフォースの
特性が非線形領域に入ったことを検出することが困難で
ある。
【0054】図6は、スラローム走行したときの傾きa
の測定結果(推定値)の時間変化を示す図である。ここ
では、閾値THとして「−2」を設定した。なお、参考
のために、残差errの2乗の時間変化も同時に示し
た。図6(a)は30[km/h]でスラローム走行し
た場合、図6(b)は20[km/h]でスラローム走
行した場合である。
【0055】図6(a)によると、車両は、測定開始時
から39秒までは高μ路を走行し、39秒以降は低μ路
を走行した。このとき、傾きaの推定値は、測定開始か
ら40秒後に閾値THを超えた。したがって、路面摩擦
係数推定装置は、高μ路から低μ路になったときに、す
べり角に対するコーナリングフォースの特性が非線形領
域に入ったことを検出することができた。
【0056】図6(b)によると、車両は、測定開始時
から46秒までは高μ路を走行し、46秒以降は低μ路
を走行した。このとき、傾きaの推定値は、測定開始か
ら48秒後に閾値THを超えた。したがって、路面摩擦
係数推定装置は、高μ路から低μ路になったときに、す
べり角に対するコーナリングフォースの特性が非線形領
域に入ったことを検出することができた。
【0057】なお、図6(a)及び(b)によると、残
差errの2乗を演算した場合、演算値が小さくなり過
ぎてしまうため、路面状態が高μ路から低μ路に変わっ
てもその変化を検出することができない。
【0058】図7は、低μ路を走行しながらレーンチェ
ンジを数回繰り返したときの操舵角δ[rad]、ヨー
レイトγ[rad/s]、横加速度Gy[G]の時間変
化を示す図である。低μ判定値は、すべり角に対するコ
ーナリングフォースの特性が非線形領域に入ったかを示
すフラグであり、上述した傾きaが閾値THを超えたと
きに「1」になり、傾きaが閾値THを超えていないと
きは「0」になる。図7(a)は50[km/h]でレ
ーンチェンジを繰り返して走行した場合、図7(b)は
20[km/h]でレーンチェンジを繰り返して走行し
た場合である。
【0059】図7(a)及び図7(b)によると、低μ
路であっても、直線走行時(操舵角δ、ヨーレイトγ、
横加速度Gyがゼロ近傍にある時)は、すべり角がほぼ
ゼロであるので、低μ判定値は「0」である。一方、レ
ーンチェンジ時(操舵角δ、ヨーレイトγ、横加速度G
yに変化があった時)は、すべり角が大きくなって非線
形領域に入るので、低μ判定値は「1」になる。すなわ
ち、路面摩擦係数推定装置は、低μ路を走行している場
合であっても、線形領域と非線形領域とを区別すること
ができた。
【0060】図8は、車両が低μ路を走行しているとき
の速度と最大摩擦係数μmaxとの関係を示す図である。
最大摩擦係数μmaxは、車両の走行速度が速くなるに従
って小さくなっている。すなわち、車両の走行速度が速
くなるに従って、低μ判定値が「1」になるときの横加
速度Gyも小さくなっている。
【0061】図9は、低μ判定時の横加速度と最大摩擦
係数μmaxとの関係を示す図である。丸印は50[km
/h]、三角印は30[km/h]、四角印は20[k
m/h]で走行したときの測定値を示している。また、
実線はμmaxライン、点線はμmax×0.62ラインを示
している。したがって、低μ判定値が「1」になる場合
は、最大摩擦係数μmaxに対して路面摩擦係数μが約6
0パーセント以下のときである。
【0062】以上のように、本発明の実施の形態に係る
路面摩擦係数推定装置は、基本パラメータとしてヨー角
加速度を用いることによって、単にヨーレイトを用いる
場合に比べて、タイヤの横力特性の変化を精度よく検出
し、車両の運動変化を迅速に検知することができる。こ
れにより、すべり角に対するコーナリングフォースの特
性が非線形領域に入ったときの路面摩擦係数μを短時間
で推定することができる。
【0063】また、路面摩擦係数推定装置は、すべり角
を推定する必要がないので、その分、従来に比べて路面
摩擦係数μの推定時間を短縮することができる。さら
に、すべり角の推定誤差の影響を受けないので、路面摩
擦係数μを精度よく推定することもできる。
【0064】なお、本発明は、上述した実施の形態に限
定されるものではなく、例えば以下の場合にも適用する
ことができる。
【0065】上述した実施の形態ではμ推定部9は1つ
の閾値THを記憶していたが、例えば、μ推定部9は3
つの閾値TH1,TH2,TH3を記憶してもよい。図
6(a)及び図6(b)に示したように、残差errに
対する横加速度Gyの傾きa(推定値)は、なだらかに
変化するのではなく、周期的にかつ短時間で大きくなっ
たり小さくなったりすることが多い。ここで閾値THが
1つだけの場合、傾きaが閾値THを交差したかの判定
をすることが困難な場合がある。そこで、複数の閾値T
H1,TH2,TH3を設け、傾きaが少なくとも1つ
の閾値と交差したときに、すべり角に対するコーナリン
グフォースの特性が非線形領域に入ったと確実に判定す
ることができる。なお、閾値THの数は、3つに限ら
ず、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0066】また、本実施の形態では、閾値THが「−
2」の場合を例にしたが、本発明はこれに限定されるも
のではない。例えば、すべり角に対するコーナリングフ
ォースの特性が非線形領域に入った直後の状態を検出し
たい場合には閾値THをさらに小さな値に設定し、線形
領域に入って飽和状態に近い状態を検出したい場合には
閾値THをさらに大きな値に設定すればよい。すなわ
ち、路面摩擦係数推定装置は、閾値THの値を調整する
ことによって、所望の状態の路面摩擦係数μを推定する
ことができる。
【0067】また、図9に示した特性を利用して、最大
摩擦係数μmaxを求めることもできる。上述した実施の
形態で推定された路面摩擦係数μは、最も大きな値であ
っても最大摩擦係数μmaxの0.62倍の値である。そ
こで、路面摩擦係数推定装置は、最も大きな値の路面摩
擦係数μを推定し、路面摩擦係数μに(1/0.62)
を乗ずることで、最大摩擦係数μmaxを逆算してもよ
い。
【0068】さらに、本実施の形態では、図4に示すよ
うに、残差errと横加速度Gyとの関係(残差err
に対する横加速度Gyの変化率)を用いて非線形領域に
入ったかを判定したが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。すなわち、残差errに対する操舵角δの変
化率や、残差errに対するヨーレイトγの変化率を用
いることも可能である。
【0069】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、基準ヨー角加速
度と実ヨー角加速度との残差を演算し、車両の運動状態
量と残差との相関関係に基づいて路面摩擦係数を推定す
ることによって、車両の運動の変化を敏感に検知するこ
とができ、精度よく路面摩擦係数を推定することができ
る。
【0070】請求項2記載の発明は、車両の運動状態量
の変化量と残差の変化量との比が所定の閾値に達したと
きに、前記車両の運動状態量に基づいて路面摩擦係数を
推定することによって、すべり角に対するコーナリング
フォースの特性が非線形領域に入ったときの路面摩擦係
数を精度よく推定することができる。
【0071】請求項3記載の発明は、車両の運動状態量
の変化量と残差の変化量との比が複数の閾値のうちの少
なくとも1つの閾値に達したときに車両の運動状態量に
基づいて路面摩擦係数を推定することによって、運動状
態量と残差との関係が周期的に変化するような場合でも
路面判定の機会が多くなるので、すべり角に対するコー
ナリングフォースの特性が非線形領域に入ったことを確
実に検出して、路面摩擦係数を推定することができる。
【0072】請求項4記載の発明は、操舵角、ヨー角速
度及び横加速度に基づいて車両基準モデルの基準ヨー角
加速度を演算し、基準ヨー角加速度と実ヨー角加速度と
の残差を求め、残差と横加速度との相対的な関係に基づ
いて路面摩擦係数を推定することによって、演算量を減
らして、路面摩擦係数を短時間で推定することができ
る。
【0073】請求項5記載の発明は、高μ路を所定速度
でコーナリングする状態を車両基準モデルとすることに
よって、非線形領域の状態を検出して、そのときの路面
摩擦係数を容易に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る路面摩擦係数推定装
置の構成を示すブロック図である。
【図2】すべり角に対するコーナリングフォースの特性
を示す図である。
【図3】実ヨー角加速度と基準ヨー角加速度との残差e
rrを横軸にし、横加速度を縦軸にしたときの残差と横
加速度の相対的な関係を模式的に示す図である。
【図4】スラローム走行しているときの残差errと横
加速度Gyの測定結果を示す図である。
【図5】20[km/h]でスラローム走行していると
きのヨーレイトγ[rad/s]に対する横加速度Gy
の測定結果を示す図である。
【図6】スラローム走行したときの傾きaの測定結果
(推定値)の時間変化を示す図である。
【図7】低μ路を走行しながらレーンチェンジを数回繰
り返したときの操舵角[rad]、ヨーレイト[rad
/s]、横加速度[G]の時間変化を示す図である。
【図8】車両が低μ路を走行しているときの速度と最大
摩擦係数μmaxとの関係を示す図である。
【図9】低μ判定時の横加速度と最大摩擦係数μmaxと
の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 操舵角センサ 2 ヨーレイトセンサ 3 横加速度センサ 4 フィルタ 5 基準ヨー角加速度演算部 6 微分演算部 7 演算器 8 最小2乗法演算部 9 μ推定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 137:00 B62D 137:00 Fターム(参考) 3D032 CC30 DA03 DA29 DA33 DA34 DA82 DC03 DC10 DC11 DC33 DC40 GG01 3D046 BB21 BB23 HH08 HH21 HH25 HH46 JJ00 JJ03 KK06 KK07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の運動状態量を検出する車両運動状
    態量検出手段と、 前記車両運動状態量検出手段で検出された車両の運動状
    態量に基づいて、車両基準モデルの基準ヨー角加速度を
    演算する基準ヨー角加速度演算手段と、 車両の実ヨー角加速度を検出する実ヨー角加速度検出手
    段と、 前記基準ヨー角加速度演算手段で演算された基準ヨー角
    加速度と、前記実ヨー角加速度検出手段で検出された実
    ヨー角加速度と、の残差を演算する残差演算手段と、 前記車両運動状態量検出手段で検出された車両の運動状
    態量と、前記残差演算手段で演算された残差と、の相関
    関係に基づいて、路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数
    推定手段と、 を備えた路面摩擦係数推定装置。
  2. 【請求項2】 前記路面摩擦係数推定手段は、前記車両
    運動状態量検出手段で検出された車両の運動状態量の変
    化量と、前記残差演算手段で演算された残差の変化量
    と、の比が所定の閾値に達したときに、前記車両の運動
    状態量に基づいて路面摩擦係数を推定することを特徴と
    する請求項1記載の路面摩擦係数推定装置。
  3. 【請求項3】 前記路面摩擦係数推定手段は、前記車両
    運動状態量検出手段で検出された車両の運動状態量の変
    化量と前記残差演算手段で演算された残差の変化量との
    比が、複数の閾値のうちの少なくとも1つの閾値に達し
    たときに、前記車両の運動状態量に基づいて路面摩擦係
    数を推定することを特徴とする請求項1または2記載の
    路面摩擦係数推定装置。
  4. 【請求項4】 前記車両運動状態検出手段は、操舵角、
    ヨー角速度及び横加速度を検出し、 前記基準ヨー角加速度演算手段は、前記車両運動状態量
    検出手段で検出された操舵角、ヨー角速度及び横加速度
    に基づいて、車両基準モデルの基準ヨー角加速度を演算
    し、 前記路面摩擦係数推定手段は、前記車両運動状態量検出
    手段で検出された横加速度と、前記残差演算手段で演算
    された残差と、の相対的な関係に基づいて、路面摩擦係
    数を推定することを特徴とする請求項1記載の路面摩擦
    係数推定装置。
  5. 【請求項5】 前記基準ヨー角加速度演算手段は、高μ
    路を所定速度でコーナリングする車両基準モデルの基準
    ヨー角加速度を演算することを特徴とする請求項1から
    4のいずれか1項記載の路面摩擦係数推定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101002971B1 (ko) 2005-12-28 2010-12-22 주식회사 만도 차량의 롤오버 검출방법
JP2013067354A (ja) * 2011-09-26 2013-04-18 Jtekt Corp 路面摩擦係数推定装置及び方法
US20220017141A1 (en) * 2020-07-17 2022-01-20 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Automatic steering system and automatic steering method

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