JP2002323498A - バイオセンサー用測定チップ - Google Patents
バイオセンサー用測定チップInfo
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Abstract
ための手段であって、処理過程が簡便で安全性の高い方
法を提供すること。 【解決手段】 下記一般式Iで表される化合物で処理し
た金属表面又は金属膜から成る、バイオセンサー用測定
チップ。 一般式I:X−A−Y (式中、Xは、環内に1,3,5−トリアジン−2,4
−ジチオン骨格を含むヘテロ環またはその互変異性体の
残基を示し、Aは、置換又は未置換のアミノ基、脂肪族
基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから
選ばれる2価の連結基を示し、Yは生理活性物質と共有
結合することができる官能基を示す)
Description
合することができるリンカー化合物で処理した金属表面
又は金属膜を有するバイオセンサー用測定チップ、並び
に該リンカー化合物を用いて金属表面又は金属膜に生理
活性物質を固定化する方法に関する。
測定が数多く行われているが、従来法では煩雑な操作や
標識物質を必要とするため、標識物質を必要とすること
なく、リガンドの変化を高感度に検出することのできる
表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した免疫センサー
が使用されている。
測定装置(表面プラズモン共鳴バイオセンサー)で一般
的に使用される測定チップは、ガラス基板上に成膜され
た金属膜の上に、多孔性材料が形成されており、この多
孔性材料の表面及び内部に酵素、抗体等の生理活性物質
が担持又は固定されている。この多孔性材料としては、
例えば合成繊維、天然繊維、無機繊維等からなる織物、
編物、不織布や、多孔性の無機又は有機材料などが使用
される(特開平3-164195号公報参照)。また、市販品
(BIAcore 2000用,ファルマシアバイオセンサー社製)
では、この多孔性材料としてカルボキシメチルデキスト
ランが用いられている。
効率的に相互作用する生理活性物質は、多孔性材料の表
面に存在するものだけであるため、多孔性材料の内部に
担持又は固定されている生理活性物質は有効に機能せ
ず、その分感度が低下することとなる。
法として、LB(Langmuir-Blodgett )法が用いられる
場合もあるが(特開平5-288672号公報参照)、LB膜と
金属膜との結合が弱く、LB膜が生理活性物質と共に脱
落するという問題がある。また、金属表面への結合を目
的とした各種化合物は、S、P、Se等(特表平4−501
605)を含有しており取扱に際し、臭気、毒性等に注
意を払う必要があった。
する課題は上記した従来技術の問題点を解消することで
ある。即ち、本発明は、金属表面に容易に生理活性物質
を固定化するための手段であって、処理過程が簡便で安
全性の高い方法を提供することを解決すべき課題とし
た。
解決するために鋭意検討した結果、金属膜上を本明細書
に定義する一般式Iで表される化合物で処理することに
より、生理活性物質を固定化できる官能基を有する金属
表面を作成できることを見出し、本発明を完成するに至
った。
される化合物で処理した金属表面又は金属膜から成る、
バイオセンサー用測定チップが提供される。 一般式I:X−A−Y (式中、Xは、環内に1,3,5−トリアジン−2,4
−ジチオン骨格を含むヘテロ環またはその互変異性体の
残基を示し、Aは、置換又は未置換のアミノ基、脂肪族
基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから
選ばれる2価の連結基を示し、Yは生理活性物質と共有
結合することができる官能基を示す)
3,5−トリアジン−2,4−ジチオンの残基である。
好ましくは、一般式IにおいてYは−OH、−COO
H、−NH2、−CHO、−NHNH2、−NCS、エポ
キシ基又はビニル基である。好ましくは、一般式Iで表
される化合物は、6−(4−カルボキシベンジル−n−
プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジチオンまたは6−(カルボキシメチル−メチル)アミ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオンであ
る。
される化合物に結合している。好ましくは、生理活性物
質は、免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化
合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖
結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪
酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプ
チドもしくはオリゴペプチドである。
オセンサー用測定チップを含む、バイオセンサーが提供
される。本発明のさらに別の側面によれば、本発明のバ
イオセンサー用測定チップ又は本発明のバイオセンサー
を用いて、該バイオセンサー用測定チップに固定化され
ている生理活性物質と相互作用する物質を検出及び/又
は測定する方法が提供される。
面又は金属膜を下記一般式Iで表される化合物で処理す
る工程、及び該一般式Iで表される化合物に直接又は架
橋性化合物を介して生理活性物質を結合させる工程を含
む、金属表面又は金属膜に生理活性物質を固定化する方
法が提供される。 一般式I:X−A−Y (式中、Xは、環内に1,3,5−トリアジン−2,4
−ジチオン骨格を含むヘテロ環またはその互変異性体の
残基を示し、Aは、置換又は未置換のアミノ基、脂肪族
基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから
選ばれる2価の連結基を示し、Yは生理活性物質と共有
結合することができる官能基を示す)
3,5−トリアジン−2,4−ジチオンの残基である。
好ましくは、一般式IにおいてYは−OH、−COO
H、−NH2、−CHO、−NHNH2、−NCS、エポ
キシ基又はビニル基である。好ましくは、一般式Iで表
される化合物は、6−(4−カルボキシベンジル−n−
プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジチオンまたは6−(カルボキシメチル−メチル)アミ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオンであ
る。
方法について詳細に説明する。本発明のバイオセンサー
用測定チップは、下記一般式Iで表される化合物で処理
した金属表面あるいは金属膜から成ることを特徴とす
る。 一般式I:X−A−Y (式中、Xは、環内に1,3,5−トリアジン−2,4
−ジチオン骨格を含むヘテロ環またはその互変異性体の
残基を示し、Aは、置換又は未置換のアミノ基、脂肪族
基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから
選ばれる2価の連結基を示し、Yは生理活性物質と共有
結合することができる官能基を示す)
例えば、透明基板上に配置される金属膜を備えているこ
とを特徴とする表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測
定チップ等として用いることができる。なお、表面プラ
ズモン共鳴バイオセンサー用測定チップとは、表面プラ
ズモン共鳴バイオセンサーに使用されるチップであっ
て、該センサーより照射された光を透過及び反射する部
分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材を
言い、該センサーの本体に固着されるものであってもよ
く、また脱着可能なものであってもよい。
光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射され
た単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に
依存することによるものであり、従って、反射された単
色光の強度を測定することにより、試料を分析すること
ができる。
金属表面又は金属膜を本明細書に定義する一般式Iで表
される化合物で処理することにより製造される。金属膜
は好ましくは基板上に配置されている。ここで、「基板
上に配置される」とは、金属膜が基板上に直接接触する
ように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接
接触することなく、他の層を介して配置されている場合
をも含む意味である。
発明のバイオセンサー用測定チップは、基板と、基板上
に形成された金属膜と、金属膜上に形成されたリンカー
層(一般式Iで示される化合物から成る)とを有する。
は例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考え
た場合、固定化法に使用されるものであればどのような
ものでもよく、一般的にはガラス、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリカーボネートなどのレーザー光に対して
透明な材料からなるものが使用できる。このような基板
は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工
性の優れた材料が望ましい。基板の厚さは特には限定さ
れないが、通常0.1 〜20mm程度である。
ける金属膜としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイ
オセンサー用を考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ
得るようなものであれば特に限定されない。この金属膜
に使用することのできる金属の種類としては、金、銀、
銅、アルミニウム、白金等が挙げられ、それらを単独又
は組み合わせて使用することができる。また、上記基板
への付着性を考慮して、基板と金、銀等からなる層との
間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。
面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、10
0 〜2000オングストロームであるのが好ましく、
特に200〜600オングストロームであるのが好まし
い。3000オングストロームを超えると、媒質の表面
プラズモン現象を十分検出することができない。また、
クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚
さは、5〜50オングストロームであるのが好ましい。
例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング
法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うこと
ができる。
物を使用する。 一般式I:X−A−Y (式中、Xは、環内に1,3,5−トリアジン−2,4
−ジチオン骨格を含むヘテロ環またはその互変異性体の
残基を示し、Aは、置換又は未置換のアミノ基、脂肪族
基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから
選ばれる2価の連結基を示し、Yは生理活性物質と共有
結合することができる官能基を示す)
3,5−トリアジン−2,4−ジチオンの残基である。
一般式Iにおいて、Aは、置換又は未置換のアミノ基、
脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わ
せから選ばれる2価の連結基を示す。好ましくは、A
は、アミノ基と芳香族基の組み合わせから成る基であ
り、より好ましくは−N(R)−Ar−で表される基で
ある。ここで、Rは低級アルキル基(例えば、炭素数1
から6の低級アルキル基)を示し、Arはアリーレン基
(例えば、フェニレン基)を示す。
ニレン基又はアルキニレン基等を包含し、鎖の形態は直
鎖、分岐鎖、環状鎖又はこれらの組み合わせの何れでも
よい。脂肪族基としてはアルキレン基が特に好ましく、
最も好ましくは直鎖のアルキレン基である。脂肪族基の
長さは特に限定されないが、例えば、炭素数1〜20で
あり、より好ましくは炭素数1〜10程度であり、特に
好ましくは炭素数2〜10程度である。芳香族基として
は、アリーレン基などが挙げられ、具体的にはフェニレ
ン基、ナフチレン基などが挙げられる。
は硫黄原子から選ばれる1種以上のヘテロ原子を1個以
上含む5または7員の飽和または不飽和の単環または縮
合環などが挙げられ、具体的には、ピリジン、キノリ
ン、イソキノリン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジ
ン、フタラジン、トリアジン、フラン、チオフェン、ピ
ロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾー
ル、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾ
ール、チアジアゾール、トリアゾール等が挙げられる。
ヘテロ環基とは上記したようなヘテロ環から誘導される
2価の基を言う。Aで表される2価の連結基は、上記し
たような置換または未置換のアミノ基、脂肪族基、芳香
族基又はヘテロ環基の組み合わせから構成されるもので
もよい。
有結合することができる官能基を示し、例えば、−O
H、−COOH、−NH2、−CHO、−NHNH2、−
NCS、エポキシ基又はビニル基であり、特に好ましく
は−COOHである。
に易溶で、取扱の容易なトリアジンジチオン誘導体を用
いることが特に好ましい。一般式Iの化合物は、特に好
ましくは、上記Yで表される基として、カルボキシル基
を有する置換基を有するトリアジンジチオン誘導体であ
る。トリアジンジチオン誘導体は、金属表面とはトリア
ジンジチオン部分が下記(式中、Rは置換基を示す)の
ように互変異性化して結合する。トリアジンジチオン誘
導体がカルボキシル基を有する置換基を有している場
合、該カルボキシル基は生理活性物質の固定化に効果的
に使用することができる。
態の改質に用いた例として、歯科用金属へのレジン接着
性が報告されている(門磨義則、今井庸二、歯科材料・
器械、6巻(5)、702-707(1987))。
に公知の通常の有機化学合成法により合成することがで
きる。例えば、本発明で好ましく用いられるトリアジン
ジチオン誘導体は、門磨等の方法(門磨義則、今井庸
二、歯科材料・器械、6巻(5)、702-707(1987))に基
づいて合成することができる。
処理する方法としては、該化合物を含む溶液中に金属膜
等を一定時間浸漬する方法(浸漬法)、スピンコータを
用いる方法(スピンコーティング法)、グラビア印刷機
を用いる方法(グラビア法)などを例示することができ
る。
ー化合物)は、以下のような利点を有する。 (1)生理活性物質を金属膜に極めて近い位置に固定化
することができるので、従来の固定化法を使用する場合
よりも大幅に測定感度を向上させることができる。 (2)表面処理が容易であり、また、一度に大量の表面
処理ができる。 (3)生理活性物質と共有結合することができる官能基
である置換基Yを選択することにより表面改質、他官能
基導入などの化学修飾が可能となる。
上記した一般式Iの化合物(リンカー化合物)で処理し
た金属表面に対し、直接又は架橋性試薬(例えば、水溶
性多価性試薬等)を介して、生理活性物質を固定して使
用する。
ルデヒド、過ヨウ素酸、N−スクシニミジル−2−マレ
イミド酢酸、N−スクシニミジル−4−マレイミド酪
酸、N−スクシニミジル−6−マレイミドヘキサン酸、
N−スクシニミジル−4−マレイミドメチルシクロヘキ
サン−1−カルボン酸、N−スルホスクシニミジル−4
−マレイミドメチルシクロヘキサン−1−カルボン酸、
N−スクシニミジル−4−マレイミドメチル安息香酸、
N−スクシニミジル−3−マレイミド安息香酸、N−ス
ルホスクシニミジル−3−マレイミド安息香酸、N−ス
クシニミジル−4−マレイミドフェニル−4−酪酸、N
−スルホスクシニミジル−4−マレイミドフェニル−4
−酪酸、NN'−オキシジメチレン−ジマレイミド、N
N'−O-フェニレン−ジマレイミド、N,N'−m-フェ
ニレン−ジマレイミド、N,N'−p-フェニレン−ジマ
レイミド、N,N'−ヘキサメチレン−ジマレイミド、
N−スクシニミジルマレイミドカルボン酸、N−スクシ
ニミジル−S−アセチルメルカプト酢酸、N−スクシニ
ミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、
S−アセチルメルカプトスクシニックアンヒドライド、
メチル−3−(4'−ジチオピリジル)プロピオニミデ
ート、メチル−4−メルカプトブチルイミデート、メチ
ル−3−メルカプトプロピオニミデート、イミノチオレ
ン、O−カルボキシメチル−ヒドロキシルアミン、アゾ
ジフェニルビルマレイミド、ビス(スルホサクシニイミ
ジル)スペレイト、4,4'−ジイソチオシアノ−2,2'
−ジスルホン酸スチルベン、4,4'−ジフルオロ−3,
3'−ジニトロジフェニルスルホン、1,5−ジフルオロ
−2,4−ジニトロベンゼン、p−フェニレンジイソチオ
シアネイト、ジメチルアジピミデイト、ジメチルピメル
イミデイト、ジメチルスベルイミデイト、p−アジドフ
ェナアシルブロマイド、p−アジドフェニルグリオキサ
ル、N−ヒドロキシサクシニイミジル−4−アジドベン
ゾエイト、4−フルオロ−3−ニトロフェニルアジド、
メチル−4−アジドベンゾイミデイト、N−5−アジド
−2−ニトロベンゾイルオキシスクシイミド、N−スク
シイミジル6−(4'−アジドー2'−ニトロフェニルア
ミノ)ヘキサノエイト、1、4ベンゾキノン、N−スク
シンイミジル−3−(2'-ピリジルジチオ)プロピオネ
ート、N−(4−マレイミドブチリロキシ)スルホスク
シンイミドナトリウム塩、N−(6−マレイミドカプロ
イロキシ)スルホスクシンイミドナトリウム塩、N−
(8−マレイミドカプロイロキシ)スルホスクシンイミ
ドナトリウム塩、N−(11−マレイミドウンデカノイロ
キシ)スルホスクシンイミドナトリウム塩、N−[2−
(1−ピペラジニル)エチル]マレイミド二塩酸、ビス
ジアゾベンジジン、ヘキサメチレンジイソシアネート、
トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソチオ
シアネート、N,N'−エチレンビスマレインイミド、
N,N'−ポリメチレンビスヨードアセトアミド、2、
4−ジニトロベンゼンスルフォネートナトリウム塩、ジ
アゾ化合物あるいは縮合試薬がRN=C=NR(又は
R')で表されるカルボジイミド誘導体、N−ヒドロキ
シスクシイミド、トリ−n−ブチルアミン、ブチルクロ
ロフォルメーテ、イソブチルイソシアニドなどが挙げら
れる。
いて固定される生理活性物質としては、測定対象物と相
互作用するものであれば特に限定されず、例えば免疫蛋
白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫
蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白
質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステ
ル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもし
くはオリゴペプチドなどが挙げられる。
する抗体やハプテンなどを例示することができる。抗体
としては、種々の免疫グロブリン、即ちIgG、Ig
M、IgA、IgE、IgDを使用することができる。
具体的には、測定対象物がヒト血清アルブミンであれ
ば、抗体として抗ヒト血清アルブミン抗体を使用するこ
とができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色
ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、ク
ラック等を抗原とする場合には、例えば抗アトラジン抗
体、抗カナマイシン抗体、抗メタンフェタミン抗体、あ
るいは病原性大腸菌の中でO抗原26、86、55、111 、15
7 などに対する抗体等を使用することができる。
から代謝される物質に対して活性を示すものであれば、
特に限定されることなく、種々の酵素、例えば酸化還元
酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素
等を使用することができる。具体的には、測定対象物が
グルコースであれば、グルコースオキシダーゼを、測定
対象物がコレステロールであれば、コレステロールオキ
シダーゼを使用することができる。また、農薬、殺虫
剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、
コカイン、ヘロイン、クラック等を測定対象物とする場
合には、それらから代謝される物質と特異的反応を示
す、例えばアセチルコリンエステラーゼ、カテコールア
ミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ド
ーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができ
る。
く、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用すること
ができる。核酸としては、測定の対象とする核酸と相補
的にハイブリダイズするものを使用することができる。
核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも
使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来
のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDN
A、又は化学合成DNAの何れでもよい。低分子有機化
合物としては通常の有機化学合成の方法で合成すること
ができる任意の化合物が挙げられ、好ましくは、本発明
で使用する一般式Iのリンカー化合物と直接又は架橋性
化合物を介して結合することができるような官能基を有
する化合物である。
となく、例えばアビジン(ストレプトアビジン)、ビオ
チン又はレセプターなどを使用できる。免疫グロブリン
結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプ
ロテインG、リウマチ因子(RF)等を使用することが
できる。糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げら
れる。脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステア
リン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチ
ル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられ
る。
は核酸である場合、その固定化は、生理活性物質のアミ
ノ基、チオール基等を利用し、金属表面の官能基に共有
結合させることで行うことができる。例えば、金属膜表
面をトリアジンジチオン誘導体で処理し、N‐ヒドロキ
シスクシンイミドとWSCで活性エステルとし、一定量
の生理活性物質を所定時間(所定量)接触することによ
って固定化できる。また、一般的な、アビジンまたはビ
オチンを固定化したアビジン‐ビオチン系の生理活性物
質固定化方法を構成することも容易であるが、これらに
限定されるわけではない。このように該リンカーを介し
て生理活性物質を強固に固定化することにより、当該固
定化法を洗浄しても生理活性物質の固定化を維持できる
ため、繰り返し測定に使用することができるという利点
が得られる。以下の実施例により本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
ンジチオン誘導体は、門磨等の方法(門磨義則、今井庸
二、歯科材料・器械、6巻(5)、702-707(1987))に記
載の方法に基づいて合成した。 実施例1:6−(4−カルボキシベンジル−n−プロピ
ル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ
ン(化合物I)の合成 (1)4−プロピルアミノ安息香酸の合成 4-クロロメチル安息香酸(85.3g、0.50モル)とn−プ
ロピルアミン(150g、2.54モル)にNaOHのメタノール
溶液(21.4g、0.54モル/200ml)を加え、50℃で3時間
反応させた。塩酸で酸性にした後クロロホルムで抽出・
濃縮し、更にエタノールから再結晶を行い目的の4−プ
ロピルアミノ安息香酸を得た。
−プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジチオンの合成 塩化シアヌル(18.45g、0.1モル)をTHF(100g)に溶解
し、4−プロピルアミノ安息香酸のTHF溶液(17.9g、0.
1モル/20mlTHF)を氷冷下滴下し1時間攪拌する。これに
5.3g(0.5モル)の炭酸ナトリウムを溶解した水溶液50g
を加える。次に、70%水硫化ナトリウム24.0g(0.3モル)
を50gの水に溶解し反応液に滴下、50℃で1時間加熱し
た。この反応液に塩酸を加えて酸性としNaClで塩析しな
がらTHF層と水層を分液した。THF層を集め無水硫酸ナト
リウムで乾燥した後濃縮、得られたオイル状物をアセト
ンに溶解させ,エチルエーテル-n-ヘキサンの混合溶媒
中に攪拌しながら滴下し目的の結晶化物を得た(収率71
%)。
ル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ
ン(化合物II)の合成 塩化シアヌル(18.45g、0.1モル)をTHF(100g)に溶解
し、ザルコシンのTHF分散溶液(8.9g、0.1モル/40mlTH
F)を氷冷下滴下し3時間攪拌する。これに5.3g(0.5モ
ル)の炭酸ナトリウムを溶解した水溶液50gを加える。次
に、70%水硫化ナトリウム24.0g(0.3モル)を50gの水に
溶解し反応液に滴下、50℃で1時間加熱した。この反応
液に塩酸を加えて酸性としNaClで塩析しながらTHF層と
水層を分液した。THF層を集め無水硫酸ナトリウムで乾
燥した後濃縮、得られた黄色オイル状物をアセトンに溶
解させ,エチルエーテル-石油エーテルの混合溶媒中に
攪拌しながら滴下し目的の結晶化物を得た(収率54
%)。
カーの結合 約300オングストロームの厚さに金蒸着した1.5cmx1.5c
mのカバーガラスをオゾンクリーナーで洗浄した後、化
合物I或いは化合物IIの1mMエタノール溶液に浸漬
し、37℃で1時間表面処理を行う。また、他の金蒸着カ
バーガラスも同様に200mMメルカプト酢酸-エタノール溶
液に浸漬し、40℃、3時間処理(ドラフト内で作業)す
る。各処理ガラスの金蒸着面をエタノール及び純水で2
回洗浄後風乾し、次いで金蒸着面に5mm径の穴をあけた
マスクを接着し以下の抗体結合面積を規定した。
合と検出 金蒸着ガラス表面に結合した各種リンカーを経由して共
有結合させた抗CRP抗体を、抗IgG-POD抗体とABTSとの反
応で検出した。尚、金蒸着表面は5mm径の円形に表面積
を規定したマスクを用い実験に供した。
DC)をPBS(pH6.0)に溶解し、100μlを金表面に分注す
る。37℃で2時間静置した後、純水、PBSで2回表面を洗
浄する。 2)抗CRP抗体のpH6.4PBS溶液(1.0μg/ml)を、各表面に
100μl分注し4℃で一晩静置する。 3)純水、PBSで2回表面を洗浄した後、3%BSAを100μl
分注し37℃で2時間ブロッキングする。 4)純水、PBSで2回表面を洗浄した後、抗IgG-POD抗体
(1.0μg/ml, pH7.4)PBS溶液を分注し、37℃、2時間反応
させる。 5)純水、PBSで2回表面を洗浄した後、50μlのABTS溶
液を分注し、室温で15分反応させる。 6)発色した液の40μlを分取し、純水60μlを加え分光
光度計で415nmの吸光度を測定する。
す。
ジチオン誘導体である、6−(4−カルボキシベンジル
−n−プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオン(化合物I)或いは6−(カルボキシ
メチル−メチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオン(化合物II)を使用した金属表面へ
の生理活性物質の固定化方法は、一般のチオールカルボ
ン酸と同等以上に効果的であることを示している。従っ
て、トリアジンジチオン誘導体処理が金表面の活性化方
法として非常に有用であることが明らかとなった。
は、製造が容易であり、また、固定化する生理活性物質
が少量であっても、良好な感度で測定対象物質を測定す
ることができる。
Claims (12)
- 【請求項1】 下記一般式Iで表される化合物で処理し
た金属表面又は金属膜から成る、バイオセンサー用測定
チップ。 一般式I:X−A−Y (式中、Xは、環内に1,3,5−トリアジン−2,4
−ジチオン骨格を含むヘテロ環またはその互変異性体の
残基を示し、 Aは、置換又は未置換のアミノ基、脂肪族基、芳香族
基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから選ばれる2
価の連結基を示し、 Yは生理活性物質と共有結合することができる官能基を
示す) - 【請求項2】 一般式IにおいてXが1,3,5−トリ
アジン−2,4−ジチオンの残基である、請求項1に記
載のバイオセンサー用測定チップ。 - 【請求項3】 一般式IにおいてYが−OH、−COO
H、−NH2、−CHO、−NHNH2、−NCS、エポ
キシ基又はビニル基である、請求項1または2に記載の
バイオセンサー用測定チップ。 - 【請求項4】 一般式Iで表される化合物が、6−(4
−カルボキシベンジル−n−プロピル)アミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジチオンまたは6−(カ
ルボキシメチル−メチル)アミノ−1,3,5−トリア
ジン−2,4−ジチオンである、請求項1から3の何れ
か1項に記載のバイオセンサー用測定チップ。 - 【請求項5】 生理活性物質が一般式Iで示される化合
物に結合していることを特徴とする、請求項1から4の
何れか1項に記載のバイオセンサー用測定チップ。 - 【請求項6】 生理活性物質が、免疫蛋白質、酵素、微
生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グ
ロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する
糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガン
ド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチド
である、請求項5に記載のバイオセンサー用測定チッ
プ。 - 【請求項7】 請求項1から6の何れか1項に記載のバ
イオセンサー用測定チップを含む、バイオセンサー。 - 【請求項8】 請求項1から6の何れか1項に記載のバ
イオセンサー用測定チップ又は請求項7に記載のバイオ
センサーを用いて、該バイオセンサー用測定チップに固
定化されている生理活性物質と相互作用する物質を検出
及び/又は測定する方法。 - 【請求項9】 金属表面又は金属膜を下記一般式Iで表
される化合物で処理する工程、及び該一般式Iで表され
る化合物に直接又は架橋性化合物を介して生理活性物質
を結合させる工程を含む、金属表面又は金属膜に生理活
性物質を固定化する方法。 一般式I:X−A−Y (式中、Xは、環内に1,3,5−トリアジン−2,4
−ジチオン骨格を含むヘテロ環またはその互変異性体の
残基を示し、 Aは、置換又は未置換のアミノ基、脂肪族基、芳香族
基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから選ばれる2
価の連結基を示し、 Yは生理活性物質と共有結合することができる官能基を
示す) - 【請求項10】 一般式IにおいてXが1,3,5−ト
リアジン−2,4−ジチオンの残基である、請求項9に
記載の生理活性物質を固定化する方法。 - 【請求項11】 一般式IにおいてYが−OH、−CO
OH、−NH2、−CHO、−NHNH2、−NCS、エ
ポキシ基又はビニル基である、請求項9または請求項1
0に記載の生理活性物質を固定化する方法。 - 【請求項12】 一般式Iで表される化合物が、6−
(4−カルボキシベンジル−n−プロピル)アミノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオンまたは6−
(カルボキシメチル−メチル)アミノ−1,3,5−ト
リアジン−2,4−ジチオンである、請求項9から11
の何れか1項に記載の生理活性物質を固定化する方法。
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