JP2002322938A - 実験計画法に基づくデータ解析方法および装置並びに実験計画法に基づくデータ解析プログラムおよび同プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
実験計画法に基づくデータ解析方法および装置並びに実験計画法に基づくデータ解析プログラムおよび同プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体Info
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Abstract
に、内燃機関)の複数の運転条件での総合的な性能評価
を、効率良く短期間に行なえるようにする 【解決手段】 試験対象物の複数の試験条件群のそれぞ
れについて実験計画法に基づく試験を行なうことによっ
て試験条件群毎に得られる試験結果データについてそれ
ぞれ統計解析処理を施す統計解析手段41と、この統計
解析手段41によって各試験条件群について得られる統
計解析結果に基づいて試験条件群のそれぞれについて推
定式を求める推定式生成手段42と、この推定式生成手
段42によって得られた試験条件群毎の推定式により求
められる複数の推定値群に基づいて、複数の試験条件群
下で試験対象物の所期の特性を満足する最適な試験パラ
メータの組み合わせを求めるための最適化計算を実行す
る最適化計算手段43とをそなえるように構成する。
Description
くデータ解析方法および装置並びに実験計画法に基づく
データ解析プログラムおよび同プログラムを記録した記
録媒体に関し、特に、ディーゼルエンジン等の内燃機関
の性能(燃焼特性)を解析するのに用いて好適な技術に
関する。
中で、周知のように、自動車産業界においても車両の排
出ガスの規制強化が行なわれつつある。特に、トラック
等の車両に搭載されるエンジン(ディーゼルエンジン;
内燃機関)については、それら規制値を満足した上での
高出力化,低燃費化等の市場要求がますます強いものと
なっている。
らの要求を満たすために、エンジンの新しい燃焼法や種
々の電子制御等の新技術,新設計で対応してきたが、将
来のさらなる規制強化等にそなえて、更に高度な燃焼,
制御技術の導入が要求されている。これに伴い、エンジ
ンの設計開発段階においては、マッチングすべきパラメ
ータの数が大幅に増加し、その結果、膨大な試験時間が
必要となる。また、各パラメータが互いに影響を及ぼす
場合も考慮に入れるとマッチングそのものも複雑なもの
となり、既存の試験・評価方法では限界がある。
確且つ効率良く行なうためには、データの解析手法も考
慮した無駄のない実験計画と多変量解析技術が必要不可
欠となる。一般に、多変量の交互作用を考慮した解析に
は統計的解析手法が用いられる場合が多いが、エンジン
の性能試験に適用されるようになったのはごく最近のこ
とである。
量解析が可能な方法の代表的手法として「実験計画法」
がある。この「実験計画法」は、当初、市場でのバラツ
キが少ない安定した製品の製造条件を探る目的で品質工
学の分野で用いられ、その効果を発揮したものである
が、後に、設計開発段階にも適用されるようになり、今
日では様々な分野,企業において、「実験計画法」を適
用した設計開発がなされるようになってきた。
リスのR.A.Fisher氏によって農場実験の合理化のために
開発された手法であり、技術研究の世界では、田口玄一
氏により、「直交表」の利用法,S/N比の導入,種々
の実験への適用例が広く紹介されたため、一般に普及し
たもので、海外でも“TAGUCHI METHOD”(田口法)とし
て知られている。
「S/N比」と呼ばれるバラツキ(誤差)による評価法
とを特徴としている。ここで、「直交表」とは、一口に
表現すると、試験するパラメータの組み合わせを表す表
であり、試験者は試験するパラメータを選定しそのパラ
メータに応じて予め用意されている「直交表」を選択し
さえすれば、実験回数と試験条件が決まり、それに従っ
て実験を進めれば良いようになっている。
析」と呼ばれる統計解析処理を施すことで各パラメータ
の効果の大きさを数値として評価することができる。さ
らに、この手法は最適化対象(最適化したい特性値)の
推定式を求めることもできる。この推定式は算出が容易
であり、また、交互作用の項が式中に存在するため、こ
の式で交互作用も考慮した性能予測が可能である。
立の効果ではなく、別のパラメータに依存した効果であ
り、いくつかのパラメータの水準組み合わせに対し特別
に生じる組み合わせ効果をいう。なお、この「交互作
用」に対し、パラメータ独立の効果は「主効果」と呼ば
れる。「交互作用」は、実験回数に対する依存度が高
い。これは、「交互作用」が存在するということは各因
子の効果が加法的ではないため、単一因子実験法では誤
った結論を招く懸念があり実験回数を減らせないためで
ある。
用、3因子間の交互作用など多因子間の交互作用を考え
ることができるが、実際に「交互作用」として意味があ
るのは2因子交互作用ぐらいで通常の「実験計画法」に
おいても4因子以上の交互作用は無いと考えている。こ
のように、「実験計画法」は、最適化対象に対する複数
パラメータの効果を、同時にまたは互いに関連付けて解
析できることから、次のような利点がある。
回数で複数パラメータの試験ができる。 得られたデータに分散分析を施すことにより、最適化
対象に対する各パラメータの効果(以下、主効果と呼
ぶ)の大きさ,各パラメータ間の互いの影響(以下、交
互作用と呼ぶ)を定量的に把握できる。
とする最適化対象の推定式を求めることができる。な
お、「実験計画法」を設計開発段階に適用した事例とし
ては、例えば、特開平10−207926号公報に記載
されているように、構造物の設計開発(構造解析)に適
用したものや、特許第2962284号公報に記載され
ているように、電子装置の設計開発(電子装置の発生す
るノイズ解析)に適用したものなどがある。
においては統計学を用いることは少なく、「実験計画
法」もその例外ではなかったが、近年では、「実験計画
法」を利用したエンジンの設計開発も各企業で試みられ
るようになってきており、その成果もいくつか発表され
ている〔例えば、下記文献(1)〜(3)参照〕。 (1) 「3次元流れ解析による触媒コンバータ内流れの最
適化」(戸井,杉浦(TOYOTA):「学術講演会前刷集97
5」 自技会 1997-10) (2)“Simultaneous Optimization of Diesel Engine Pa
rameters for Low Emissions Using Taguchi Method”
(C.E.hunter et al.:SAE paper 902075) (3)“Fully Automatic Determination and Optimizatio
n of Engine ControlCharacteristics”(Helmuth Hoch
schwarzer et al.:SAE paper 920255)
計画法」をエンジンの設計開発(性能評価・試験)に適
用した例では、或る一定のポイントに対する性能や排出
ガスの予測及び評価(推定式の算出)にとどまってお
り、各国法規で規定されたモード排出ガスと性能(出
力,燃費など)の予測およびその最適化にまで言及した
例は皆無である。
(上記の特許第2962284号公報に記載された技術
を含む)をそのままエンジンの設計開発に適用したとし
ても、エンジンの或る特定の運転モード(運転条件)で
の性能や排出ガスの予測及び評価(以下、「性能評価」
と総称する)は行なえるものの、複数モードでの総合的
な性能評価は行なえないのが現状である。しかも、前述
したように、排出ガスの規制強化に伴って、マッチング
すべきパラメータの数が大幅に増加するので、複数モー
ドでの総合的な性能評価には、さらに膨大な試験時間が
必要となる。
たもので、「実験計画法」に基づく、内燃機関の複数の
運転条件での総合的な性能評価を、効率良く短期間に行
なえるようにすることを主目的とする。
めに、本発明の実験計画法に基づくデータ解析方法(請
求項1)では、まず、内燃機関の複数の運転条件のそれ
ぞれについてその内燃機関の燃焼特性に関連する複数の
試験パラメータに対する実験計画法に基づく試験を行な
うことによって上記運転条件毎に得られる試験結果デー
タを、データ入力手段を通じて演算手段に入力し(デー
タ入力過程)、その運転条件毎の試験結果データのそれ
ぞれについて演算手段にて統計解析処理を施す(統計解
析処理過程)。
た上記運転条件毎の統計解析結果のそれぞれに基づい
て、それぞれの運転条件での内燃機関の燃焼特性の挙動
を表し上記の試験パラメータを変数として有する推定式
を演算手段にて上記運転条件毎に求める(推定式生成過
程)。その後、得られた運転条件毎の推定式のそれぞれ
について上記変数を変更して求められる複数の推定値群
に基づいて、複数の運転条件下で内燃機関の所期の燃焼
特性を満足する最適な試験パラメータの組み合わせを求
めるための最適化計算を実行する(最適化計算過程)。
これにより得られた計算結果は、データ出力手段を通じ
て出力される(データ出力過程)。
の各推定式の変数をそれぞれ変更してその推定式による
演算を演算手段にて実行することにより、上記推定値群
を求めることができる(推定値群生成過程)。このよう
にして得られた各推定値群はバッファ手段に一時的に保
持される(推定値群バッファ過程)。そして、演算手段
が、このバッファ手段に保持された複数の推定値群に基
づいて、複数の運転条件下で内燃機関の所期の燃焼特性
を満足する最適な試験パラメータの組み合わせを選定す
る(試験パラメータ選定過程)(請求項2)。
は、例えば、演算手段によって上記のバッファ手段から
上記の各推定値群の要素推定値を読み出して、その要素
推定値の組み合わせ計算を演算手段にて実行し、その計
算結果に基づいて上記の最適な試験パラメータの組み合
わせを選定することが行なわれる(請求項3)。また、
この試験パラメータ選定過程(演算手段)では、上記組
み合わせ計算に用いるべき推定値群又はその要素数を限
定して上記組み合わせ計算を行なっても良く、このよう
にすれば、上記組み合わせ計算に必要な計算量を削減す
ることができる(請求項4)。
の変動率に応じて上記組み合わせ計算に用いるべき推定
値群を複数の推定値群の一部に限定すれば、推定値群の
変動率によってはあまり有意でない推定値群については
組み合わせ計算の対象外として、上記組み合わせ計算の
精度低下を抑制しながら、必要な計算量を削減すること
が可能となる(請求項5)。
定値群の要素数を、上記の各推定値群の個々の変動率や
上記の運転条件に応じてその一部に限定すれば、運転条
件あるいは得られた推定値群の変動率によってはあまり
有意でない推定値群については組み合わせ計算に用いる
要素数を減らすことが可能になる。特に、この場合は、
要素推定値数を限定するので、上記のように特定の推定
値群全てを用いないことがある場合に比して、より組み
合わせ計算の精度低下を抑制しながら、必要な計算量を
削減することができる(請求項6,7)。
機関の実車両への搭載環境に関するパラメータ(以下、
実車両環境パラメータという)であってもよく、このよ
うにすれば、上記の最適化計算過程において、上記の内
燃機関の実車両への搭載環境を考慮した試験パラメータ
の組み合わせ選定を上記演算手段によって行なうことが
可能になる(請求項8)。
上記実車両において上記内燃機関に付設される排気通路
に関するパラメータとすれば、内燃機関を実際に実車両
に搭載することなく、その実車両の排気通路の環境(例
えば、長さや触媒の位置など)をも考慮した上で、実車
両の排気特性を推定して最適な試験パラメータの組み合
わせを求めることができる(請求項9)。
解析装置は、次のような各手段をそなえたことを特徴と
している(請求項10)。即ち、 (1)試験対象物の複数の試験条件群のそれぞれについて
その試験対象物の特性に関連する複数の試験パラメータ
に対する実験計画法に基づく試験を行なうことによって
試験条件群毎に得られる試験結果データについてそれぞ
れ統計解析処理を施す統計解析手段 (2)この統計解析手段によって上記試験条件群のそれぞ
れについて得られる統計解析結果に基づいて、その試験
条件群での試験対象物の特性の挙動を表し上記試験パラ
メータを変数として有する推定式を試験条件群のそれぞ
れについて求める推定式生成手段 (3)この推定式生成手段によって得られた試験条件群毎
の推定式のそれぞれについて上記変数を変更することに
より求められる複数の推定値群に基づいて、複数の試験
条件群下で該試験対象物の所期の特性を満足する最適な
試験パラメータの組み合わせを求めるための最適化計算
を実行する最適化計算手段 上述のごとく構成された本発明のデータ解析装置では、
内燃機関に限らず、試験を行ないたい様々な物の試験条
件群毎に、統計解析手段によって、その物の特性を解析
し、その試験条件群毎の統計解析結果に基づいて前記特
性の挙動を表す推定式を試験条件群毎に生成して各推定
式による推定値群を得、それらに基づいて複数の試験条
件群下で総合的に試験対象物の所期の特性を満足する最
適な試験パラメータの組み合わせを求めることができ
る。
ば、次のような各手段をそなえることにより、その機能
を実現できる(請求項11)。 (1)上記の試験条件群毎の推定式のそれぞれについて上
記変数を変更してその推定式による演算を実行すること
により、上記試験条件群のそれぞれについて上記推定式
による推定値群を生成する推定値群生成手段 (2)この推定値群生成手段によって得られた各推定値群
のそれぞれを一時的に保持するバッファ手段 (3)このバッファ手段に保持された複数の推定値群に基
づいて複数の試験条件群下で試験対象物の所期の特性を
満足する最適な試験パラメータの組み合わせを求める試
験パラメータ選定手段 なお、上記の試験パラメータ選定手段は、上記のバッフ
ァ手段から上記の各推定値群の要素推定値を読み出し
て、その要素推定値の組み合わせ計算を実行し、その計
算結果に基づいて上記の最適な試験パラメータの組み合
わせを選定するようにしてもよい(請求項12)。
対象物は前記と同様に内燃機関としてもよい。即ち、上
記の試験パラメータを内燃機関の燃焼特性に関連するパ
ラメータとしてもよく、このようにすれば、内燃機関の
複数の運転条件での燃焼特性についての最適な試験パラ
メータの選定を実現することができる(請求項13)。
場合も、上記内燃機関の実車両への搭載環境に関するパ
ラメータ(実車両環境パラメータ)を含めてもよく(請
求項14)、また、この実車両環境パラメータは、実車
両において内燃機関に付設される排気通路に関するパラ
メータであってもよい(請求項15)。このようにすれ
ば、この場合も、実車両の搭載環境(排気通路の長さや
触媒の位置など)をも考慮した上で、実車両の排気特性
を推定して最適な試験パラメータの組み合わせを求める
ことができる。
解析プログラム(請求項16)は、コンピュータに内燃
機関の燃焼特性に関するデータを解析させるためのデー
タ解析プログラムであって、具体的には、そのコンピュ
ータを次のような各手段として機能させるプログラムを
特徴としている。即ち、 (1)内燃機関の複数の運転条件のそれぞれについてその
内燃機関の燃焼特性に関連する複数の試験パラメータに
対する実験計画法に基づく試験を行なうことによって前
記運転条件のそれぞれについて得られる試験結果データ
についてそれぞれ統計解析処理を施す統計解析手段 (2)この統計解析手段によって上記運転条件毎に得られ
る統計解析結果のそれぞれに基づいて、その運転条件で
の内燃機関の燃焼特性の挙動を表し上記試験パラメータ
を変数として有する推定式を上記運転条件のそれぞれに
ついて求める推定式生成手段 (3)この推定式生成手段によって得られた上記運転条件
毎の推定式のそれぞれについて上記変数を変更して求め
られる複数の推定値群に基づいて、複数の運転条件下で
上記内燃機関の所期の特性を満足する最適な試験パラメ
ータの組み合わせを求めるための最適化計算を実行する
最適化計算手段 これにより、本データ解析プログラムは、コンピュータ
にインストールされることで、そのコンピュータを、内
燃機関の燃焼特性に関するデータを解析するデータ解析
装置として機能させることができる。
ュータを上記の最適化計算手段として機能させる際に、
そのコンピュータをさらに次のような各手段として機能
させるようにしてもよい(請求項17)。 (1)上記試験条件群毎の推定式のそれぞれについて上記
変数を変更して上記推定式による演算を実行することに
より、上記試験条件群のそれぞれについて推定式による
推定値群を生成する推定値群生成手段 (2)この推定値群生成手段によって得られた各推定値群
のそれぞれを一時的にバッファ手段に保持させる手段 (3)上記のバッファ手段に保持された複数の推定値群に
基づいて複数の試験条件群下で内燃機関の所期の燃焼特
性を満足する最適な試験パラメータの組み合わせを選定
する試験パラメータ選定手段 さらに、本データ解析プログラムは、記録媒体(請求項
18)に記録されて流通することにより、あるいは、通
信回線などの伝送媒体を介して流通することにより、多
数のコンピュータにインストールすることができる。
施の形態を説明する。 (A)システム構成の説明 図1は本発明の一実施形態に係る計算機の構成を示すブ
ロック図で、この図1に示す計算機1は、例えば、汎用
のPC(パーソナルコンピュータ)等であって、その要
部に着目すると、計算機本体2,ディスプレイ(表示装
置)3A,プリンタ(印刷装置)3B,キーボードやマ
ウスなどの入力装置3Cなどをそなえて構成されてお
り、計算機本体2には、さらに、CPU(Central Proc
essing Unit)4,主記憶部(メモリ)5,二次記憶装
置(ハードディスク)6,記録媒体ドライブ7Aおよび
ネットワークカード7Bなどがそなえられている。そし
て、これらの各コンポーネントは、PCI(Peripheral
Component Interconnect)バスなどの内部バス8を介
して相互にデータ通信可能に接続されている。
で計算(演算)させたい事項に応じて必要なデータを入
力するために使用されるものであり、ディスプレイ3A
は、計算機1による演算結果を表示するためのものであ
り、プリンタ3Bは、前記の演算結果を必要に応じて所
望の形式で印刷するためのものである。つまり、これら
のディスプレイ3Aやプリンタ3Bは、計算機1(CP
U4)による演算結果(データ)を出力するデータ出力
手段としての機能を果たすのである。
としての動作(ディスプレイ3Aの表示制御やプリンタ
3Bの印刷制御なども含む)を統括制御するためのもの
で、例えば、メモリ5やハードディスク6に内部バス8
経由でアクセスして必要なソフトウェア(アプリケーシ
ョン)プログラム(以下、単に「プログラム」ともい
う)やアプリケーションデータなどを読み込んで動作す
ることによって、計算機1として必要な機能が発揮され
るようになっている。
アプリケーションデータなど(以下、説明の便宜上、単
に「各種データ」と総称することがある)を予め、ある
いは、インストールなどによって記憶しておくためのも
ので、ここに記憶されている各種データが、適宜、メモ
リ5に読み出されて、CPU4によるプログラムの実行
が行なわれるようになっている。なお、メモリ5は、一
般にハードディスク6に比してCPU4からのアクセス
速度が高速なRAM等によって実現され、これにより、
CPU4による上記プログラムの実行が高速に行なわれ
るようになっている。
CD−ROM,DVD,光磁気ディスク(MO)などの
所要の記録媒体9に記録されている各種データをCPU
4の制御のもとに読み出してハードディスク6に記憶す
ることによって、各種データのインストールを可能にす
る機能を提供するもので、例えば、「実験計画法」に基
づくデータ解析プログラム10が記録された記録媒体9
を本ドライブ7に装填して、その記録媒体9からデータ
解析プログラム10をインストールする(ハードディス
ク6に記憶する)ことによって、計算機1(CPU4)
を「実験計画法」に基づくデータ解析装置、特に、本実
施形態では、エンジン(内燃機関)のデータ解析装置と
して機能させることが可能である。
(以下、単に「解析プログラム10」ともいう)がハー
ドディスク6あるいはメモリ5に記憶された時点で、そ
の解析プログラム10を保持したハードディスク6ある
いはメモリ5が上記解析プログラム10を記録した記録
媒体となることはいうまでもない。また、この解析プロ
グラム10は、このような記録媒体9からのインストー
ルだけでなく、例えば、計算機1上でプログラミングし
たものを用いてもよいし、ネットワークカード7Bを通
じて、インターネットやLAN(Local Area Network)
などの所望の通信回線(伝送媒体;有線,無線を問わな
い)を介したオンラインでのインストールも可能であ
る。
上でプログラミングしたものでもよいし、FDやCD−
ROM,DVD,MOなどの記録媒体9や、インターネ
ットなどの所望の通信回線を介して提供されてもよい。
このようにして、解析プログラム10が、記録媒体9や
通信回線を介して流通することにより、一度に多数の計
算機にインストールすることができるので、以下に詳述
する実験計画法に基づくデータ解析方法(装置)の普及
に大きく寄与することとなる。
ンストールすることにより、本実施形態の計算機1が発
揮する主要機能について説明する。即ち、例えば図2に
示すように、上記の解析プログラム10をCPU4が読
み取って動作することにより、計算機1(CPU4)
は、少なくとも、分散分析手段41,推定式生成手段4
2及び最適化計算手段43としての機能をそれぞれ発揮
できるようになっている。
1は、試験対象物としてのエンジンの性能(特性)を試
験する上でマッチングすべき複数の試験パラメータ(以
下、単に「パラメータ」、又は「マッチングパラメー
タ」、若しくは「因子」ともいう)を適合する「直交
表」(詳細については後述)にわりつけて、その「直交
表」に従って試験することにより得られる、試験結果デ
ータについて分散分析(統計解析)処理を施し、最適化
対象に対するパラメータの効果の有無,大きさなどを求
めるもので、本実施形態では、これらの数値が、表形式
のデータとして例えばハードディスク6に記憶されるこ
とにより、分散分析表(analysis of variance,略称AN
OVA)と呼ばれる表形式のデータとして記憶されるよう
になっている。
は、CAE(Computer Aided Engineering)ソフトウェ
アを用いた解析(以下、CAE解析という)を意味し、
「試験結果データ」とは、実験結果(実験データ)、あ
るいは、CAE解析結果(CAE解析データ)を意味す
る。また、この「試験結果データ」は、上述したキーボ
ードやマウスなどの入力装置1Cを通じて手入力により
入力されてもよいし、FDやCD−ROM,MOなどの
記録媒体9に予め保存されたものを記録媒体ドライブ7
Aを通じて入力されたり、LANなどの所要のネットワ
ーク(ネットワークカード7B)を介して他の計算機な
どから入力されたりしてもよい。つまり、本実施形態に
おいては、入力装置1Cや記録媒体ドライブ7A,ネッ
トワークカード7Bが、試験データのデータ入力手段と
して機能しうるのである。
験」は、いわゆる10モードや13モード試験などにお
けるエンジンの運転モード(運転条件)毎に実施され、
試験結果データ(以下、単に「試験データ」ともいう)
も運転モード毎に得られる。従って、本分散分析手段4
3は、これらのモード毎の試験データのそれぞれについ
て、「分散分析」を実施することになり、その結果、
「分散分析表」もモード毎に得られることになる。
したい試験対象物の特性値を意味し、本実施形態では、
最適化したいエンジンの複数モード毎の性能値(NOx
量,燃料消費量など)を意味する。さらに、「分散分
析」とは、詳細については後述するが、全試験データの
変動(全変動)を求め、この全変動をパラメータ毎に分
解して全変動中に対するパラメータの変動の大きさを求
めることで、パラメータの性能値に対する効果(影響
度)を評価する統計解析の一手法である。
のモード毎に得られる分散分析表(分散分析手段41に
よるモード毎の分散分析結果)のそれぞれに基づいて、
それぞれのモードでのエンジンの燃焼特性の挙動を表し
上記パラメータを変数として有する推定式(詳細につい
ては後述)を複数モードのそれぞれについて求めるため
のものである。
式生成手段45によって得られたモード毎の推定式のそ
れぞれについてその変数(パラメータ値)を変更してそ
の推定式による演算を実行することにより求められる、
1モード当たり(1推定式当たり)複数の演算結果(推
定値群)に基づいて、複数モードで前記エンジンの所期
の特性を満足する最適なパラメータの組み合わせを求め
るための最適化計算を実行するものである。
に示すように、さらに、推定値群生成手段43a,記録
制御手段43b及び試験パラメータ選定手段43cとし
ての機能を有している。ここで、推定値群生成手段43
aは、上述のごとく推定式生成手段45によって得られ
たモード毎の推定式のそれぞれについてその変数(パラ
メータ値)を変更してその推定式による演算を実行する
ことにより、上記の複数モードのそれぞれについての推
定式による演算結果(推定値群)を生成するためのもの
であり、記録制御手段43bは、その演算結果を、例え
ば、ハードディスク6に一時的に記憶させるためのもの
である。
上記の推定値群生成手段46によってモード毎に得られ
た各演算結果のそれぞれを一時的に保持するバッファ手
段として機能するのである。なお、上記のモード毎の演
算結果は、勿論、ハードディスク6(他の計算機のハー
ドディスク6も含む)以外の記憶媒体(前記の記録媒体
9やそれに類するものでもよい)に記憶させるようにし
てもよい。
は、上記バッファ手段としてのハードディスク6に保持
された複数モード分の演算結果に基づいてその複数モー
ドで前記エンジンの所期の特性を満足する最適なパラメ
ータの組み合わせを選定するためのもので、具体的に、
本実施形態では、ハードディスク6から上記のモード毎
の演算結果の要素(推定値)を読み出して、その要素の
組み合わせ計算を実行し、その計算結果に基づいて上記
最適なパラメータの組み合わせを選定するようになって
いる。なお、その計算(選定)結果は、例えば、ディス
プレイ3Aやプリンタ3Cなどへ出力される。
くデータ解析手順について、「実験計画法」で用いられ
る用語やテクニックの説明と併せて詳述する。 (B)実験計画法に基づくデータ解析手順の説明 「実験計画法」には、本手法特有のテクニックや用語が
数多く存在する。前記の「直交表」もその一つである。
ここでは、本実施形態で用いる「実験計画法」の基本的
なテクニックや用語について説明する。なお、「実験計
画法」の詳細については、例えば、田口氏の著書〔下記
文献(4),(5)参照〕等に記載されている。
(田口玄一:丸善) (5)「経営工学シリーズ18 実験計画法」(田口他:日
本規格協会) (B1)直交表 「実験計画法」の普及は「直交表」の活用に負うところ
が大きく、この手法のポイントは「直交表を如何に利用
し如何にパラメータをわりつけるか」であるといえるほ
ど「直交表」の役割は大きい。幾つかのパラメータを取
り上げた実験において、各因子の効果の推測が可能であ
るためには、各因子は互いに直交している必要がある。
準組み合わせを実験する「要因実験」では各因子は互い
に直交するが、パラメータの数が多くなると実験(ある
いは、CAE解析)回数が膨大になる。このため、一部
の「交互作用」が無いと仮定して、部分的な実験のみで
全パラメータを直交させることが望まれるわけだが、こ
のためには難しい理論を知る必要がある。そこで、各因
子を直交させることを可能にするための水準組み合わせ
を誰にでも簡単にしようできるようにしたものが「直交
表」である。
表」は、試験を行なう際の各パラメータの組み合わせを
示す表であり、いくつかの基本形が予め用意されてい
る。水準数で大別すると2水準系と3水準系の直交表が
あり、表1は2水準系の直交表(L8と表記されるも
の)の一つである。
パラメータを振る点数(パラメータ値の可変幅)のこと
で、例えば、或るパラメータについて2種類の設定値が
あれば2水準であり、3種類の設定値があれば3水準と
なる。また、表1中に示す「NO.」は実験番号で実験
(試験)条件の種類に相当する。つまり、この表1に示
す「直交表」では全8回(種類)の実験(あるいは、C
AE解析)を行なうことを意味する。一方、列はこの
「直交表」で解析できるパラメータの数を表し、この
「直交表」では同時に最大7個のパラメータについて解
析できることを意味する。
メータを当てはめることにより、8回の実験で最大7つ
のパラメータに関する実験,解析が行なえることにな
る。また、表1中の“1”および“2”の数字がパラメ
ータの水準番号を示しており、例えば1番目(「No.
1」)の実験は全てのパラメータを第1番目の水準に固
定して試験を行なうことを意味する。
各列は、どの2列をとっても水準番号の組み合わせが同
回数だけ現われるようになっている(“1”と“2”の
数字4個ずつから構成されている)。したがって、各パ
ラメータは同回数ずつ試験されることになり、全てのパ
ラメータについて平等な評価が行なえることになる。ま
た、同じ数字の組み合わせの行、つまり、同じ試験条件
が2つとないことも「直交表」の特徴の一つである。
各2水準の因子A(A1,A2),B(B1,B2),
C(C1,C2),D(D1,D2)を、それぞれ、表
1に示す直交表(L8)の第1,2,3,5列にわりつ
け、実験(あるいは、CAE解析)によって得られたデ
ータをX1,X2,…,X8とすると、得られたデータX1,X
2,…,X8は、それぞれ、以下のように表すことができ
る。
果、βiは因子Biの主効果、γiは因子Ciの主効
果、δiは因子Diの主効果、μはデータXiの平均
値、eiは実験誤差をそれぞれ表す。
データX1,X2,X3,X4の合計〔Σ(A1でのデータ)と表記
する〕と、因子A2(水準2)でのデータX5,X6,X7,
X8の合計〔Σ(A2でのデータ)と表記する〕とを求めてみ
ると、 Σ(A1でのデータ)=X1+X2+X3+X4 =4μ+4α1+2(β1+β2+γ1+γ2+δ1+δ2)+(誤差)…(1) Σ(A2でのデータ)=X5+X6+X7+X8 =4μ+4α2+2(β1+β2+γ1+γ2+δ1+δ2)+(誤差)…(2) となり、両式(1),(2)に因子B,C,Dの効果がそれぞ
れ平等に入っていることが解る。したがって、 Σ(A1でのデータ)−Σ(A2でのデータ)=4(α1−α2)+(誤差)…(3) となり、これから、 (A1でのデータの平均値)− (A2でのデータの平均値)=(α1−α2)+(誤差) …(4) が得られ、因子A1と因子A2の効果の比較ができるこ
とが解る。なお、他の因子B,C,Dについても同様の
ことが成り立つ。
値をとれば因子Bの影響が平等に入っており、また、そ
の逆も成り立つとき、因子AとBは直交しているとい
う。上の例では、因子A,B,C,Dが互いに直交して
いる。「直交表」と呼ばれる所以はこの性質があるから
であり、2水準と呼ばれるのは、列に現われる数字が
“1”と“2”の2種類であるからである。なお、「直
交表」には、表1に示したL8の他にも、周知のよう
に、2水準ではL16,L32、3水準ではL9,L2
7などがある。
試験目的を決めて(ステップS1)、最適化対象〔例え
ば、エンジンの場合ならNOx,PM(粒子状物質:ス
スと未燃HC(炭化水素)が主成分),燃料消費量等の
エンジンの燃焼特性に関連する特性(性能)値〕及びパ
ラメータを選択するとともに考慮する「交互作用」を決
定し(ステップS2)、各パラメータの必要な水準数を
決定(ステップS3)したら、次に、その実験に見合っ
た「直交表」を選択(ステップS4)する必要がある。
数,考慮する「交互作用」の数(有無),必要な(上記
のステップS3で決定した)水準数を基に行なう。ここ
で、「自由度」が問題となる。「自由度」とは、簡単に
言えば独立な成分の個数であり、例えば、a水準の主効
果ではa−1,「交互作用」では(a−1)2となる。
つまり、2水準の場合は主効果・交互作用ともに自由度
“1”、3水準では主効果“2”,交互作用“4”とな
る。
“1”、3水準で“2”であるため、「主効果」では2
水準,3水準共に1列、「交互作用」では2水準で1
列,3水準で2列必要になる。従って、「主効果」およ
び「交互作用」が必要とする列の合計数よりも「直交
表」の列数が大きければ、その「直交表」を選択でき
る。以下に、直交表選択の例を示す。
こと、の条件から4列、の条件から2列の計6列以
上の「直交表」であればよいことが解るので、表1に示
した「直交表」を選択できる。
と考えられる。または、因子の水準が“2”である。 因子は4種類である。 全ての因子間に交互作用はないと考えられる。
表」を用いること、,の条件から4列以上の「直交
表」であれば良いことが解るので、表1に示した「直交
表」を選択すればよい。 (例3) 対象データがパラメータに対して2次的な変化をす
る。または、因子の水準が“3”である。
と、,の条件から7列必要であることが解るので、
直交表(L27)を選択すればよい。以上のようにし
て、実験条件に合致する「直交表」を選択した後、列の
わりつけを行なう。
び「交互作用」を当てはめていくことである。このとき
パラメータを当てはめなかった列は誤差列(e)とな
る。実際には、パラメータ(主効果)をわりつけると自
動的に「交互作用」の出る列も決まってしまう。そのた
め、「交互作用」の出る列に他のパラメータをわりつけ
ないよう注意する必要がある。
は、「線点図」と呼ばれるものが利用される。「線点
図」は、主効果の列と交互作用の列との対応を模式的に
示したものであり、「直交表」毎に数パターンずつ用意
されている。例えば、表1に示した「直交表(L8)」
であれば、図4(A)及び図4(B)に示すような2種
の線点図が用意されている。これらの図4(A)及び図
4(B)中にそれぞれ示す「点」と「線」は「直交表」
の各列を表し、これらの「点」(黒丸で図示),「線」
に付されている数値は「直交表」の列の番号を表してい
る。
わりつけることができ、「線」には両端にわりつけられ
たパラメータの「交互作用」が現われる。つまり、図4
(A)の場合は、「直交表」の第1列および第2列にパ
ラメータAおよびBをわりつけると、その「交互作用A
×B」が「直交表」の第3列に現われ、さらに、第4列
に別のパラメータCをわりつけるとそれらの「交互作用
A×C」が第5列に現われ、第6列に「交互作用B×
C」が現われることを意味する。
第1列,第2列,第4列および第7列にそれぞれパラメ
ータA,B,C,Dをわりつけると、「交互作用A×
B」が第3列に現われ、「交互作用(A×C)」が第5
列に現われ、「交互作用A×D」が第6列に現われるこ
とを意味する。なお、前者の図4(A)の場合で、試験
者が「交互作用A×B」を考慮しないと判断した場合
は、第3列に別のパラメータをわりつけることも可能で
あり、わりつけなければその列は誤差列となる。
間に「交互作用C×D」が無いと判断すれば、図5に示
すように、「直交表」の第6列にパラメータAをわりつ
けることが可能である。なお、この図4では、第7列に
パラメータがわりつけられていないために、その列は誤
差列(e)となっている。このように、線点図は、一定
の制約はあるが、試験者の要求に応じて適宜に変形が可
能である。
合致する「直交表」と「線点図」とを選択してパラメー
タの「直交表」への「わりつけ」を行ない(図3のステ
ップS5)、その「直交表」に従って、決められたパラ
メータの組み合わせ(試験条件)で、決められた回数の
直交実験(あるいは、CAE解析)を行なうことになる
(図3のステップS6)。
13モード等のモードのそれぞれについて、上記の「直
交表」の選択,「わりつけ」,「実験(あるいは、CA
E解析)」を行なうことで、各モードのそれぞれについ
て試験結果データが得られる。その後、試験者は、この
ようにしてモード毎に得られる試験結果データを、入力
装置1Cや記録媒体9,ネットワーク(ネットワークカ
ード7B)を介して計算機1に接続された他の計算機な
どを用いて計算機1に入力する(図3のステップS
7)。
複数モードのそれぞれについてエンジンの燃焼特性に関
連する複数の試験パラメータに対する実験計画法に基づ
く試験を行なうことによって上記モードのそれぞれにつ
いて得られる試験結果データを、データ入力手段を通じ
て演算手段としてのCPU4に入力するデータ入力過程
に相当する。
グラム10に従ってCPU4が動作することによって、
上述のごとく入力された試験結果データに対して、分散
分析手段41による「分散分析」(図3のステップS
8),推定式生成手段42による「推定式の生成(作
成)」(図3のステップS9)および最適化計算手段4
3による「最適化計算」(図3のステップS10)を実
施する。以下、これらの各処理内容について詳述する。
験データ(あるいは、CAE解析データ;以下、「試験
データ」あるいは単に「データ」と総称する)には必ず
誤差が含まれているので、試験データの解析はこの誤差
を考慮して結論を出す必要がある。そこで、「実験計画
法」では、「分散分析」を用いて誤差を含むデータの解
析(統計解析)を行なう。
ラメータの効果による部分と誤差の部分とに分解し、誤
差の大きさに対する各パラメータの大きさを比較するこ
とで、パラメータの効果の有無および大きさを評価する
ことが行なわれる。この「分散分析」により得られる、
最適化対象に対するパラメータの効果の有無,大きさを
数値として表に表したものが分散分析表(ANOVA)であ
る。分散分析表の一例を次表2に示す。
度」,「分散」,「分散比(F0値)」,「純変動」お
よび「寄与率」について説明する。まず、「変動」と
は、各パラメータを変化させたときの最適化対象が変化
する大きさ(ばらつき)を示すもので、試験データの全
平均からの差の二乗和(残差二乗和)によって求められ
る。つまり、この「変動」が大きいほど、そのパラメー
タが最適化対象に対して大きな効果をもつことを意味す
る。
互作用」の変動,誤差の大きさを表す誤差変動,全デー
タの大きさを表す全変動があり、全変動は、これらの各
パラメータの変動,交互作用の変動,誤差変動の和と一
致する。これを変動の分解という。なお、上記の表2に
おいて、「変動」欄の最下段が全変動を示している。
「変動」の計算方法を以下に示す。 (1)2水準の場合 2水準の2つの因子A,Bを考え、各因子A,Bの水準
をa1,a2,b1,b2とすると、全変動STは、 全変動ST=(個々のデータの2乗の和)−CT …(5) により求められる。ここで、 CT=(全データの和)2/データ総数 …(6) である。また、因子Aの変動SAは、 SB={Σ(a1でのデータ)−Σ(a2でのデータ)}2/データ総数 …(7) により求めることができ、因子Bの変動SBは、 SB={Σ(b1でのデータ)−Σ(b2でのデータ)}2/データ総数 …(8) により求めることができる。また、「交互作用」の変動SA×Bは、 SA×B={((A×B)1でのデータの和)−((A×B)2でのデータの和)}2/ データ総数 …(9) により求めることができ、誤差変動Seは、 Se=ST−SA−SB−SA×B …(10) により求めることができる。 (2)3水準の場合 3水準の2つの因子A,Bを考え、各因子A,Bの水準
をa1,a2,a3,b1,b2,b3とすると、因子
Aの変動SAは SA={(a1でのデータの和)2+(a2でのデータの和)2+(a3でのデー タの和)2}/データ総数−CT …(11) により求めることができ、因子Bの変動SBは、 SB={(B1でのデータの和)2+(B2でのデータの和)2+(B3でのデー タの和)2}/データ総数-CT …(12) により求めることができる。また、全変動STは、 ST=(個々のデータの2乗の和)−CT …(13) により求めることができる。ただし、 CT=(全データの和)2/データ総数 …(14) である。さらに、交互作用SA×Bは、 SA×B=(a1b1でのデータの和)2/(a1b1でのデータの個数) +(a1b2でのデータの和)2/(a1b2でのデータの個数) + …… +(a3b3でのデータの和)2/(a3b3でのデータの個数)− CT−SA−SB …(15) により求めることができ、誤差変動Seは、 Se=ST−SA−SB−SA×B …(16) により求めることができる。
は、各パラメータの1自由度あたりの変動を表し、「変
動」を「自由度」で割ることにより得られる(平均平方
とも呼ばれる)。ここで、「自由度」とは、JISで
は、“残差全体またはある要因効果の推定値のうち、独
立なものの個数”と定義している。この中の“独立なも
のの数”は言い換えると“未知数の数”である。つま
り、「実験計画法」では、「自由度」を、或るパラメー
タ効果の推定値のうちの未知数の個数と定義している。
「自由度」はnであるが、このデータの間にk個の関係
式が存在するとき、このデータの変動の自由度は(n−
k)となる。ここで、「分散分析」での各パラメータの
変動は各データの平均からの偏差で処理するため、 Σ(Ai−全データの平均)=0 …(17) が成立する。よって、実際にはa個のうちa−1個が解
れば、あとの一つは決まってしまう。すなわち、aから
1を引いたa−1がこの場合の「自由度」である。この
ことは、次のことからも直感的に理解できる。即ち、例
えば、空間を自由に運動する一質点は3座標によってそ
の位置が決まる、つまり、自由度は“3”であるが、そ
の運動が平面あるいは曲面上ということに束縛されれば
自由度は“2”となる。
およびb水準のパラメータBの自由度はそれぞれa−
1,b−1、交互作用A×Bの自由度は(a−1)(b−
1)と覚えればよい。次に、前記の表2において、「F
0値」とは、各パラメータの「分散」と「誤差分散」と
の比であり(このため、「分散比」とも呼ばれる)、誤
差の大きさに対する各パラメータの効果の大きさを表す
尺度である。この値からパラメータあるいは「交互作
用」が有意(意味がある,効果がある)か、有意ではな
い(意味がない,効果がない)かを判断できる。
ち、「分散比」は、因子の水準を変えることによってデ
ータが変化したときにこの変化が本当に因子を変えたこ
とから来ているのか、それとも測定誤差等から偶然に変
化したものなのかを定量的に評価するのに用いられるも
のである。例えば、この「分散比」の値が大きい場合、
そのパラメータの効果は誤差と見なし得ない(このパラ
メータは無視できない)と判断でき、逆に、小さい場合
は誤差と同等とみなされる。この際の判断は「F表」と
呼ばれる表を用いて行なう。パラメータが有意でない場
合、そのパラメータの分散比F0の値は、分散比の分子
の項(パラメータの分散の自由度)と分母の項(誤差分
散の自由度)とに対応する「F表」の値より大きくなる
ことはほとんどあり得ない。「F表」にはこれらの限界
値が示されており、その“あり得ない”程度として確率
5%の値と1%の値がよく使われる。この確率を危険率
という。
方を示す。パラメータAの分散をVA、自由度をφAと
し、変動をSAとすると、分散VAは、 VA=SA/φA …(18) により求められる。また、誤差分散をVe、自由度をφe
とし、変動をSeとすると、誤差分散Veは、 Ve=Se/φe …(19) により求められる。したがって、パラメータAの分散比
F0は、 F0=VA/Ve …(20) により求めることができる。
φeより、「F表」から5%および1%のF値を求め
る。分散比F0が1%のF値よりも大きければ間違える
確率1%以下で“パラメータAは有意ではない”という
仮説を棄却できる。また、分散比F0が1%のF値より
小さいが5%のF値よりは大きい場合、間違える確率5
%以下で“パラメータAは有意ではない”仮説を棄却で
きる。
多くわりつけると誤差項の自由度が小さくなり、F検定
の感度が悪くなる。そこで、「実験計画法」では、上述
したF検定により“有意でない”と判断されたパラメー
タによるばらつき(変動)は誤差とみなして誤差項に含
めてしまい(これを「プーリング」という)、改めて分
散分析を行なう。
の誤差分散は、 V′e=(SA×C+Se)/(φA×C+φe) …(21) となり、プーリング後の「自由度」は、 φ′e=φm+φe …(22) となる。誤差の「自由度」が増えれば誤差分散が減少
し、有意でなかったパラメータが有意になる場合もあ
る。以下に、分散分析結果(分散分析表)として次表3
に示すものが得られた場合のプーリング例について示
す。
“2”、分母の自由度が“8”のときのF値は4.4
6、分子の自由度が“4”,分母の自由度が“8”のと
きのF値は3.84である。したがって、表3に示す分
散分析結果では因子A,B,C,交互作用A×B,B×
Cが有意となり、交互作用A×Cが有意ではなくなる。
このため、有意ではない交互作用A×Cを誤差にプール
すると、 V′e=(SA×C+Se)/(φA×C+φe) =(2.007+2.59)/(4+8)=0.383 …(23) φ′e=φA×C+φe=4+8=12 …(24) となる。したがって、プーリング後の分散分析結果(分
散分析表)は次表4に示すようになる。
度数分の誤差分散が含まれているので、その分を引いた
値が最適化対象に対するそのパラメータの真の効果の大
きさということができる。この値を「純変動」(表2〜
表4参照)という。つまり、純変動S′Aは、 S′A=SA−φAVe …(25) により求めることができる。また、前記の表2〜表4に
おいて、「寄与率」とは、全変動に対する各パラメータ
の純変動の百分率(つまり、寄与率ρA=S′A/ST)
である。したがって、この「寄与率」の大きさで各パラ
メータの効果の大きさを判断することができることにな
る。即ち、「寄与率」によって、全体のバラツキ(全変
動)のうち、そのパラメータは何%を担っているかを知
ることができる。例えば、表3の場合では、パラメータ
AおよびBの効果が大きく、また、A×Cの「交互作
用」はほとんど無い(考えられない)ことが解る。
理が、上記のステップS8(図3参照)においてCPU
4(分散分析手段41)によって実行されることで、そ
の最終的な処理結果が分散分析表(表5参照)として例
えばハードディスク6にCPU4による記憶制御の下に
保持されるのである。ただし、このとき、分散分析手段
41は、モード毎の試験結果データ〔性能値(NOx,
PM,燃料消費量など)〕のそれぞれについて、上記の
分散分析処理を施すので、分散分析表も性能値毎及びモ
ード毎に得られることになる。
の作成について詳述する。データを変化させるパラメー
タが連続量の場合、データの変化をそのパラメータの多
項式で表現することができる。「実験計画法」では、チ
ェビシェフ(P.L.Chebyshev)の直交関数を利用した直
交多項式を用いることにより、パラメータの間隔が等間
隔にとられていれば簡単にデータの推定式を求めること
ができる。
小二乗法」、「一次回帰式」等が多く用いられてきた。
また、「直交多項式」も、同様に、多変数,多次項の推
定式を求めることができ、さらに、「交互作用」もとり
入れることができる。例えば、「交互作用」のない場
合、データの全平均をm,パラメータ変数をA,水準の
平均をAm,水準数をa,水準間隔をhA,繰り返し回数
をrとしたときの推定式yは、 y=m+b1(A-Am)+b2[(A-Am)2-(a2-1)hA 2/12] +b3[(A-Am)3-(3a2-27)(A-Am)hA 2/20]+…… …(26) となる。ここで、この式(26)において、各項の係数b
iは、 bi=(W1A1+W2A2+…+WaAa) / (rλShA i) …(27) である。この式(27)における係数bi(Wi,λS)は、次
表5に示す係数表から求めることができる。なお、上式
(26)は、パラメータ数が“1”の場合であるが、複数パ
ラメータがある場合は、他のパラメータの項も同様に作
り、足し合わせればよい。
これらのパラメータA,B間の「交互作用」A×Bを考
慮する場合の推定式yは、 y=m+b10(A-Am)+b01(B-Bm)+b20[(A-Am)2-(a2-1)hA 2/12] +b11(A-Am)(B-Bm)+b02[(B-Bm)2-(a2-1)hB 2/12]+…… …(28) となる。この式(28)において、(A−Am)(B−Bm)
の項が交互作用を表す項である。ただし、各項の係数b
ijは、 bij=ΣWk i [ΣWn j(AkBn)] / [r(λS)AhA i(λS)BhB j ] …(29) であり、この式(29)における係数bij(Wi,λS)につい
ても、上記の表5から簡単に求められる。このように、
「直交多項式」には、パラメータの水準が等間隔で、且
つ、各水準のデータ数が一定の場合、係数bi(bij)
(以下、単に「係数b」と表記することがある)が上記
の係数表(表5参照)から簡単に求めることができると
いう利点がある。なお、上記の「係数表」は、例えばハ
ードディスク6に保持しておけばよい。
3水準で、主効果については2次の項までしか考えてい
ない場合、「交互作用」についてAB以外の高次の項を
考えるのはおかしいことになる。このため、本実施形態
においてもデータの推定式は、「交互作用」の初項のみ
を考慮に入れて作成する。例えば、パラメータの水準数
が“2”ならば1次まで、水準数が“3”ならば2次ま
で求めればよいことになる。
数をそれぞれ2,3とした場合の基本式は、次のように
表せることになる。 y=c0+b10(A−Am)+b01(B−Bm) +b02(B−Bm)2+b11(A−Am)(B−Bm) …(30) ただし、c0は定数項である。
bが独立であるため他の項に関わらず一定の値となり、
任意の次数の式が作成可能である。換言すれば、必要に
応じて2次式を1次式までにとどめたり、逆に、1次式
を2次式まで展開したりといった操作が容易である。こ
の「直交多項式」は、誤差を含む試験データから求めら
れるものであり、誤差を考慮した関数である。このよう
な「誤差関数」には、信頼限界と呼ばれる特性値があ
り、「直交多項式」で求めた値はこの値を中心とした信
頼限界の範囲内で保証される。
による計算値は、水準内でのものよりも相関が悪いこと
が解っている〔例えば、文献(6)「疑問に答える実験計
画法問答集」(富士ゼロックス(株)QC研究会:日本規
格協会)参照〕ため、推定式による予測は内挿の範囲で
行なうのが望ましい。前記のステップS9では、以上の
ような理論に基づいて、CPU4(推定式生成手段4
2)が、例えばハードディスク6に保持された前記の
「係数表」(表5参照)にアクセスして推定式の係数b
を読み出しながら、上述した必要な演算を実行すること
で、「推定式」が作成されるのである。
分散分析手段41によって分散分析表がモード毎に生成
されて(ハードディスク6に記憶されて)いるので、推
定式生成手段42は、モード毎の分散分析表のそれぞれ
に基づいて、上述したような推定式作成処理を実行する
ことにより、モード毎に推定式を求める。 (B6)最適化計算手順 次に、図3のステップS10での「最適化計算」につい
て詳述する。
(推定値群生成手段43a,記録制御手段43b,試験
パラメータ選定手段43c)として機能するCPU4
が、上述のごとくモード毎に求められた推定式による各
モードの計算結果について組み合わせ計算を実行するこ
とによって、13モードNOx値、13モード燃料消費
量の算出および最適化を行なう。
モード毎の推定式のそれぞれについて各パラメータ変数
を変化させてその推定式による演算を実行し、モード毎
に計算データ群(推定値群)を生成する(推定値群生成
過程)。例えば、13モードの場合、1つのモードのデ
ータ群をブロックと呼ぶこととすると、13ブロック分
の計算データが得られることになる(図6参照)。そし
て、これら13ブロック分のデータ群はそれぞれ記録制
御手段43bによって一時的にハードディスク6などに
記録される(推定値群バッファ過程)。
が、上述のごとく一旦ハードディスク6に記憶された上
記13ブロックのデータ群から1データ(要素)ずつ抜
き出して(読み出して)、性能値(NOx,PM,Gf
など)毎に13個のデータの和を計算し、13モードN
Ox,PM及び13モード燃料消費量(燃費)を算出す
る。つまり、モード(ブロック)数を“k”、1モード
(1ブロック)当たりの計算データ数を“n”とする
と、CPU4(最適化計算手段)47は、性能値毎にそ
れぞれnk回の組み合わせ計算を行なうことになる。例
えば、図6に示す計算データ数“n”を仮に“100”
とすると、13モードの場合、CPU4は、性能値毎に
10013回の計算を行なうことになる。
段43c)は、上記計算結果から13モードNOxレベ
ルで13モード燃料消費率(燃費)が最小となる結果
(パラメータの組み合わせ)を求める。つまり、13モ
ードでのエンジンの所期の燃焼特性(性能値)を総合的
に満足する最適なパラメータ条件(組み合わせ)を選定
するのである(試験パラメータ選定過程)。なお、これ
により、得られたパラメータ条件(解析結果)は、ディ
スプレイ3Aやプリンタ3B(あるいは、所望の記録媒
体9などでもよい)に出力される(図3のステップS1
1;データ出力過程)。
れた最適パラメータ条件にて検証実験を実施する(図3
のステップS12)。以上のようにして、エンジンの噴
射系のようにマッチングすべきパラメータの数が非常に
多く、しかも、複数モードでの総合的なエンジンの性能
(燃焼特性)評価が必要な場合でも、その性能評価試験
を効率良く短期間に実施することができる。
データ数nが“100”であった場合、10013回の組
み合わせ計算を一般の多機能PC(パーソナルコンピュ
ータ)等の計算機1で行なうのには限界がある。そこ
で、計算機1として多機能PCを用いる場合には、13
モード中で特にNOx,燃費が低減できる見込みのある
モードのみに限定して計算を行なうのがよい。このとき
の判断基準(モード選択判断基準)としては、例えば、
「分散分析」で得られたモード毎の「全変動」を用いれ
ばよい。
ドはパラメータを変化させたときに最適化対象の性能値
の変化が大きいモードであることを意味するので、最適
化計算手段43は、「全変動」が他のモードに比して大
きいモードについての計算データ(ブロック)のみを組
み合わせ計算に用いるデータとして限定した上で、その
一部のブロックについてのみ上記の組み合わせ計算を行
なう。
の計算データ(ブロック)は特定の条件に固定する。ま
た、このときの組み合わせ計算に用いるべきブロックの
限定は、試験者が入力装置1Cを通じて指示してもよい
し、ソフトウェアにより自動判別できるようにしてもよ
い。このように、組み合わせ計算に用いるべきブロック
を「全変動」の大きい一部のモードのみに限定すること
で、最適化計算の精度低下は最小限に抑制しながら、C
PU4による演算量を大幅に削減できるので、それほど
高い演算能力を有しない多機能PC等でも充分に上記最
適化計算を実行することが可能となる。その結果、本デ
ータ解析手法の汎用性を大きく向上できる。
おいては、各ブロックの中で組み合わせ計算に用いるべ
きデータ〔推定値(要素)〕数を「全変動」やモードに
応じてその一部に限定して(つまり、組み合わせ計算に
用いるべきデータ数に「全変動」やモードによって重み
を付けて)上記組み合わせ計算を行なうことも可能であ
る。
計算に用いるべきデータ数を削減することもできる。例
えば、いくら排出ガス,燃費性能が良くても、排ガス温
度が高すぎる条件はパラメータとしてふさわしくない。
そこで、排ガス温度データも計測して、推定式を作成し
ておいて、排ガス温度が所定温度以下の条件に絞ること
も非常に有効である。いずれの場合も、或る特定ブロッ
クのデータ全てを用いない場合に比して、より最適化計
算の精度低下を抑制しながら、CPU4による演算量を
削減することができる。
グ」に適用した場合の一実施例についてさらに具体的に
説明する。ただし、以下に説明する実施例は、あくまで
も一例であって、本発明は、その趣旨を逸脱しない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
13モード排出ガスおよび13モード燃料消費量(燃
費)の最適化を行なう。ここで、上記の供試機関は、コ
モンレールシステムを具備しており、噴射系の制御パラ
メータ数は従来のエンジンに比べ多く、コモンレール圧
や噴射タイミング等のパラメータは任意の機関回転数,
負荷毎に独立した値を設定できるため、パラメータマッ
チングの自由度も大きい。しかし、これを逆に捉える
と、国内13モード排出ガス試験のような場合では、モ
ード毎に最適なパラメータを設定し、性能の改善を図る
ことが必要であると言える。さらに、このシステムにマ
ッチしたノズル仕様の選定をも含めると性能の最適化は
非常に複雑になり、従来の試験方法では自ずと限界が見
えてくる。
性能値〔最適化対象;NOx値,PM値及び燃料消費量
Gf〕に対し、マッチングパラメータとして、燃料噴射
ノズルの油圧流量(Fr)および噴孔角(θ),VG開
度(VG),コモンレール圧(PC),噴射タイミング
(T)の5種を取り上げて、上述した「実験計画法」に
基づくデータ解析を実施することにより、13モードN
Ox値,PM値及び燃量消費量(燃費)の改善(最適
化)を試みた。
としては、上記表6に挙げた5種のパラメータ以外に3
種の交互作用〔ノズル油圧流量×ノズル噴孔角(Fr×
θ),ノズル油圧流量×噴射タイミング(Fr×T),ノ
ズル噴孔角×噴射タイミング(θ×T)〕を取り上げ
た。これらの「交互作用」をマッチングパラメータとし
てとり入れることにより、エンジン燃料の噴射ノズルの
設計値である油圧流量と噴孔角との間の影響の有無を知
ることができる。なお、最適化対象のNOx値,PM値
および燃料消費量(Gf)にはそれぞれ13モード重み
係数を乗じた値を用いる。
の試験を行なうので、次表7に示す直交表(L27)を
用いて各パラメータをわりつけた。この直交表(L2
7)に対する線点図を図7に示す。なお、この図7中に
示す“VG”や“PC”などの記号は上記の表6中で用
いた記号に対応している。また、直交表(L27)の第
12列及び第13列に相当する「点」にはパラメータを
わりつけていないため、これらの各列は誤差列(e)と
なっている。
表8及び表9に示す。
で設定した水準の範囲内であることから、コモンレール
圧(PC)および噴射タイミング(T)は可能な範囲で
できるだけ大きくとった。 4.直交実験結果 上記の直交表(L27)及びパラメータ設定に従って、
前記の実施形態で述べた要領で27回の直交実験を行な
い、その実験結果(実験データ)について、計算機1
(分散分析手段41)による分散分析処理を行なった。
その結果(分散分析結果)の一例(第11モード点)を
次表10〜12に示す。
り、NOx値に関しては噴射タイミング(T),VG開
度(VG)およびコモンレール圧(PC)、PM値には
コモンレール圧(PC)、燃料消費量(Gf)にはノズ
ル油圧流量(Fr),噴射タイミング(T)およびコモ
ンレール圧(PC)のパラメータがそれぞれ効くことが
解る。なお、上記の表12〜14において、純変動及び
寄与率の欄が“−”となっているパラメータは、プーリ
ングにより誤差に組み込まれたことを表す。
しても、連続量であるコモンレール圧(PC)と噴射タ
イミング(T)の効果が顕著に現われ、各交互作用の寄
与率は極めて低い結果となった。寄与率については、今
回、コモンレール圧(PM)や噴射タイミング(T)の
水準間隔を大きくとったため、その効果が大きく評価さ
れた結果となっている。これは、「寄与率」は試験デー
タの全変動に対する比率を求めており、通常、水準間隔
を大きくとると、そのパラメータの変動が大きくなり、
相対的に寄与率が大きくなるためである。したがって、
各パラメータの変動値そのものも考慮する必要がある。
における油圧流量の変動は、219.799であるが、この値
から油圧流量がF1とF3とではどの程度NOx値に差
があるかを見積もると、219.7991/2≒14.83(g/h)とな
る。この差はマッチングを行なう上では見逃すことので
きない効果といえる。また、交互作用についても同様で
ある。分散分析結果を解析する上での一つの注意点とい
える。
値)の推定式yNOx,yPM,yGfは推定式生成手段42
によって、それぞれ次のように求められる。 yNOx=60.29+0.035(F-600)-2.75×10-5(F-600)2-0.848(θ-157) +0.248(θ-157)2+3.699(T-5)+0.11(T-5)2-8.045(V-5) +3.385(V-5)2+0.799(P)+0.001(P-90)2-4.04×10-4(F-600)(θ-157) -1.57×10-4(θ-157)(F-600)+0.183(T-5)(θ-157) (g/h) …(31) yPM=1.05-1.09×10-3(F-600)-7.53×10-6(F-600)2-8.27×10-2(θ-157) +1.15×10-2(θ-157)2+5.75×10-2(T-5)+8.04×10-3(T-5)2 +2.93×10-2(V-5)+4.76×10-2(V-5)2-1.66×10-2(P-90) +5.51×10-4(P-90)2-9.86×10-5(F-600)(θ-157) -1.19×10-4(F-600)(T-5)-1.1×10-2(θ-157)(T-5) (g/h) …(32) yGf=1.04-2.52×10-4(F-600)+3.35×10-7(F-600)2+3.10×10-3(θ-157) +2.5×10-4(θ-157)2-1.26×10-2(T-5)+7.14×10-4(T-5)2 +6.97×10-3(V-5)+1.2×10-2(V-5)2-2.03×10-3(P-90) +3.59×10-5(P-90)2+2.77×10-5(F-600)(θ-157) +1.36×10-5(F-600)(T-5)-1.7×10-4(θ-157)(T-5) (kg/h) …(33) 5.推定式の検証 ここで、上記の推定式による計算値と実験値との比較・
検討を行なった。図8(A)〜図8(C)に、第11モ
ード点での各性能値の推定式と実験値との相関を示す。
このときの各パラメータは直交実験で振った(変更し
た)水準範囲内の条件である。NOx値,Gf値に関し
ては水準範囲内では良い相関を示すことが解る。一方、
PM値はNOx値,Gf値に比べてやや相関が悪い。こ
れはPM値が実験に使用したスモークメータ値とHC値
とから推定(計算)されたものであり、データ自体のバ
ラツキが大きいためである。
式の95%信頼限界内にあり、その意味では、上記の推
定式はPMの実験値を十分に予測し得ているといえる。
また、前述したように、推定式による予測は内挿の範囲
で行なうのが望ましい。これらのことから最適化計算時
の各パラメータ範囲は直交実験で設定した水準範囲内と
し、最適化は推定値と実験値との相関が良いNOx値お
よびGf値についてのみ行なった。
(θ)は不連続量のパラメータであるため、推定式より
も前述した「効果」を用いて最適条件を求める方が妥当
である。そこで、これらの両パラメータについて、性能
値毎に13モードトータルでの「効果」を求め、最適条
件ノズルの検討を行なう。ここで、「効果」とは、各パ
ラメータが変化したときのデータと全平均との差をい
う。
を考える。即ち、パラメータA,Bを用意し、パラメー
タA,Bの水準(条件)を“1〜3”として、計9回の
直交実験を行ない、その実験結果についての分散分析結
果(データ)の全平均が6.491であった場合を考える。
(条件)の「効果」を求める式は、 A(1)=(パラメータAが条件1の時のデータの平均)−全平均 …(34) A(2)=(パラメータAが条件2の時のデータの平均)−全平均 …(35) A(3)=(パラメータAが条件3の時のデータの平均)−全平均 …(36) と定義される。
タの和は実験NO.1-3の和(=20)、平均は6.667であ
り、パラメータAが条件2の時のデータの和は実験NO.4
-6の和(=19.307)、平均は6.436であり、パラメータ
Aが条件3の時のデータの和は実験NO.7-9の和(=19.1
16)、平均は6.732である。従って、各水準の効果A
(1),A(2),A(3)は、上記の各式(34)〜(36)
から、 A(1)=6.667-6.491=0.175 A(2)=6.436-6.491=-0.056 A(3)=6.372-6.491=-0.119 となる。
る。この図9から、パラメータAの水準を“1”とすれ
ば、得られるデータは平均よりも約0.175ポイント高い
と期待でき、水準を“3”とすれば、平均よりも約0.12
ポイント低い期待値であることが解る。従って、パラメ
ータAの最適値は、目的とする性能が大きければ大きい
ほど良いのであれば水準1、逆に小さければ小さいほど
良いのであれば水準3となる。
ル油圧流量(Fr)およびノズル噴孔角(θ)について
「効果」を求めると、次表14,図10(A)〜図10
(C)及び図11(A)〜図11(C)に示すようにな
る。
大に伴ってNOx値についての「効果」は大きくなり、
油圧流量F2〜F3の間では油圧流量の違いによってP
M値,Gf値の「効果」にそれほど明確な差は見られな
いことが解る。したがって、ノズル油圧流量(Fr)は
油圧流量F3が最適と考えられる。一方、噴孔角(θ)
は、NOx値とPM値又はGf値との間で傾向が異な
り、NOx最適条件の噴孔角θ3ではPM値,Gf値の
「効果」は高く、噴孔角θ1ではその逆となる。技術者
(試験者)の考え方(どの性能に重きをおくか等)によ
るが、ここでは、ノズル噴孔角(θ)は第2水準のθ2
が適当であると判断できる。
F3,噴孔角θ2(以下、「F3−θ2」と表記する)
となる。今回、この「効果」による検討結果と検証結果
との比較のため、上記最適条件ノズルを含めた4種のノ
ズルチップ(次表17)について最適化計算を行ない、
実機による検証を行なった。
様である油圧流量(Fr)と噴孔角(θ)が含まれてお
り、これらの組み合わせにより、全部で9種類のノズル
を試験した。即ち、ノズルの仕様毎の計算データを前記
の式(31)〜(33)により作成し、最適化計算を行なった。
このとき、図12(A),図12(B)に示すNOx
値,燃料消費量(Gf値)のモード別全変動を比較し、
相対的に、NOx値,Gf値(燃費)の変動が大きい、
“6,9,10,11,12”の5モードのみに絞っ
て、最適化計算を行ない、計算時間を短縮した。なお、
その他のモードは計算データをもとに各パラメータを設
定した。
行なった。油圧流量F3,噴孔角θ2のノズルで13モ
ードNOx値を所定の値に設定する場合の最適化計算で
の検証実験結果を次表16に示す。
比較すると、13モード燃費は非常によい一致を示した
が、13モードNOx値は約9.10%の差が出た。同ノズ
ルにて各NOxレベルについて同様の検討を行なった
〔図13(A),図13(B)参照〕が、いずれのNO
xレベルにおいても同様の傾向が見られた。また、PM
値の精度が悪いのは、前述したように、スモークメータ
値とHC(炭化水素)値とから推定(計算)されたもの
で、データ自体のバラツキが大きいためである。
ついて考察を行なう。今回求めた各モードの推定式その
ものの精度は非常に良く、また、推定値と実測値に9.1
%の誤差が出たが、これは13モード推定値の95%信
頼限界±0.887の範囲内にある。したがって、推定式は
実測値を十分に推測し得ている。
モードの計算値の和であるため、この計算値と実測値と
の差は小さくても、その和は大きくなってしまったと考
えられる。したがって、推定式での予測値が信頼限界内
にある中で更なる精度の良い推定式が必要となる。一般
に、実験データに対して有意なパラメータや交互作用を
見落とすと分散分析結果の誤差が大きく出たりして、推
定式の精度が悪くなる。そこで、他の交互作用の検討を
行なった。即ち、図14に示す線点図(ここで、今まで
の図4(A)に示す線点図による「わりつけ」を「わり
つけA」,この図14に示す線点図による「わりつけ」
を「わりつけB」とする)を用い、新たに、噴射タイミ
ング×コモンレール圧(T×PC)と噴射タイミング×
VG開度(T×VG)の各交互作用を考慮して分散分析
を行なった。「わりつけB」での11モード点の新たな
分析結果(NOx)を次表18に、「わりつけA」での
分析結果を次表17にそれぞれ示す。
べれば小さいものの交互作用の中では噴射タイミング×
VG開口(T×VG)の効果が大きいことが解る。ま
た、噴射タイミング×コモンレール圧(T×PC)の効
果は小さいが他のモードも総合してみると比較的大きい
効果であった。そこで、「わりつけB」での推定式を求
め、再度、最適化計算を行なってみる。
図15(B)に示す。
は、NOx値の精度が良く、また、このときの13モー
ド燃費も満足のいくものである。以上のことから、実験
データに効果のあるパラメータを見逃さないことが重要
であることが解る。このため、どの交互作用を考慮し、
どの線点図による「わりつけ」を使えば推定式の精度が
より良いものとなるのかという判断が必要になる。
た4種類(「F3−θ3」,「F1−θ3」,「F3−
θ2」,「F3−θ1」)のノズルについての検証結果
を図16(A),図16(B)に示す。まず、噴孔角同
一で油圧流量の違う「F1−θ3」と「F3−θ3」と
の比較では、各NOxレベルでPM値はほぼ同等ではあ
るが、13モード燃費は油圧流量がF1→F3となるに
つれて低下傾向を示し、「効果」による検討結果とおお
よそ一致する。一方、噴孔角θ1→θ3となるにつれ
て、PM値は悪化傾向となり、これも「効果」による結
果と相関がある。
も良い燃費を示し、「効果」の結果と一致しない。した
がって、今回のように複数データのバランシング(NO
xと燃費)を考慮するような場合、「効果」による検討
を行なう際にも、両者データの「効果」を総合して考慮
する必要がある。また、前述したように最適ノズルと判
断した「F3−θ2」は、検証実験の結果、他の供試ノ
ズルに比べてPM値,燃費共に良好なレベルにあり、N
Ox値,燃費バランシングを考慮した「効果」の検討に
よって最適条件の推測が可能であることを示している。
ッチング試験の統計解析および推定式を利用した最適化
計算手法の構築を試み、本手法をエンジン実機のマッチ
ング試験に適用した結果、以下のことが得られた。 (1)本手法により性能最適化を図ることができ、その有
効性を実証した。
3モードNOxでの13モード燃費が最小となる最適点
のパラメータ条件(組み合わせ)を直接求めることが可
能となり、その結果、従来の試験方法に比べ、試験時間
を半分以下に短縮でき、エンジンの性能試験の大幅な効
率化を図ることができるようになり、エンジンの設計開
発期間の大幅な短縮化も大いに期待できる。
油圧流量および噴孔角をパラメータに含めることによ
り、13モードNOxでの13モード燃費を最小にする
最適な噴射ノズルの仕様選定も可能になるので、噴射ノ
ズルの設計指針等にも役立つ。 (4)「推定式」と「効果」をうまく使い分けることによ
り、連続パラメータおよび固定値(不連続)パラメータ
の双方の最適化が可能である。
全変動を比較することにより、各性能値に対し重点的に
低減すべきモードを見極めることができる。 (6)各モードでNOx,燃料消費量に対する各パラメー
タの影響度を寄与率という形で把握でき、低減すべき対
象に対しどのパラメータを変化させれば有効かが明確に
できる。
載環境(例えば、実車両において搭載されるエンジンに
付設される排気通路の長さやNOxを低減するための触
媒の排気通路上での配置位置など)に関するパラメータ
(以下、実車両環境パラメータという)を含めることも
できる。
を上記のパラメータの一種として含めて前述した直交実
験を行なうことにより得られる試験データを前記の分散
分析対象のデータとして計算機1に入力することにな
る。そして、計算機1において、その入力データについ
て、前述したごとく分散分析,推定式の生成,推定値群
の生成および最適化計算の一連の処理が実行されること
により、エンジンの実車両への搭載環境をも考慮した上
で、13モードNOxおよび13モード燃費がともに所
期の値を満足する最適なパラメータ条件(組み合わせ)
を求めることができる。
や排気通路上の触媒の配置位置等のエンジンの搭載環境
が異なることによって車種毎に排気特性が変化するよう
な場合でも、その車種毎の排気特性を推定してその性能
評価が行なえることになり、全ての車種毎にエンジンを
実際に搭載して試験を行なわなくても、13モードNO
xおよび13モード燃費がともに所期の値を満足する車
種毎の最適なエンジン搭載環境を決定することができ
る。その結果、車両全体としての設計開発期間をも大幅
に短縮できることが期待できる。
ずしも、上述した排気通路の長さや排気通路上の触媒の
配置位置等の排気通路に関するものである必要はなく、
例えば、搭載環境によってNOx値やPM値,燃費など
に変化が生じる因子(例えば、DPF(ディーゼル・パ
ティキュレート・フィルタ)の仕様等)であれば、同様
に適用できる。
内燃機関、特に、ディーゼルエンジンを適用した場合に
ついて説明したが、本発明はこれに限定されず、ガソリ
ンエンジンや、エンジン以外の構造物にも適用でき、特
に、エンジンの場合のモードと同じように、複数の試験
条件群における最適なパラメータ条件を総合的に求める
必要がある物に適用すると非常に有効である。
式作成,最適化計算の各処理をソフトウェア化(プログ
ラミング)しているが、勿論、実際の「実験」以外の各
処理全てをソフトウェア化してもよい。即ち、図3にお
いて、ステップS6(ただし、CAE解析の場合を除
く),S12を除く各処理を全てデータ解析プログラム
10としてソフトウェア化してもよい。
実施例に限定されるものではなく、上記以外にも、本発
明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施すること
ができる。
次のような利点が得られる。 (1)実験計画法に基づく試験により試験対象物(内燃機
関)の運転条件(試験条件群;以下、単に「条件」とい
うことがある)毎に得られた試験データについて統計解
析処理を施してそれぞれの条件での推定式を求めたの
ち、得られた条件毎の推定式により条件毎の推定値群を
生成し、それらの推定値群に基づいて複数条件下で試験
対象物(内燃機関)の所期の(燃焼)特性を満足する最
適な試験パラメータの組み合わせを求めるための最適化
計算を行なうので、試験対象物(内燃機関)の複数条件
下での総合的な特性(性能)評価を効率良く短時間で行
なえる。
に用いるべき推定値群又は要素推定値数をその一部に限
定することにより、演算手段による演算量(組み合わせ
計算に必要な計算量)を削減することが可能となるの
で、それほど高い演算能力のない計算機でも本発明を実
施することができ、本発明の汎用性を大きく向上するこ
とができる。
き推定値群又は要素推定値数を、上記の各推定値群の個
々の変動率や上記の運転条件(試験条件群)に応じてそ
の一部に限定すれば、条件あるいは得られた推定値群の
変動によってはあまり有意でない推定値を組み合わせ計
算から除外することが可能になるので、上記(3)の場合
のように或る特定ブロックのデータ全てを用いない場合
に比して、より最適化計算の精度低下を抑制しながら、
必要な演算量を削減することができる。
上記内燃機関の実車両への搭載環境に関するパラメータ
(実車両環境パラメータ)を含めれば、上記の最適化計
算において、内燃機関の実車両への搭載環境を考慮した
試験パラメータの組み合わせ選定を行なうことが可能に
なるので、内燃機関が搭載される実車両の車種等毎にそ
の搭載環境が変わるような場合でも、それを考慮した性
能評価を行なうことができ、全ての車種等毎に実際に内
燃機関を搭載して試験を行なう必要が無い。従って、内
燃機関の設計開発期間を大幅な短縮化が期待できる。
を、上記実車両において上記内燃機関に付設される排気
通路に関するパラメータとすることにより、実車両に内
燃機関を実際に搭載してその排気特性を試験しなくて
も、その実車両の排気通路の環境(例えば、長さや触媒
の位置など)をも考慮した上で、複数の運転条件での実
車両の排気特性を推定して最適な試験パラメータの組み
合わせを求めることができるので、内燃機関の設計開発
期間のさらなる短縮化が期待できる。
ータ解析方法および解析装置)は、例えば、専用のデー
タ解析プログラム(請求項11)をコンピュータにイン
ストールすることで実現でき、また、そのプログラム
は、記録媒体(請求項12)に記録されて流通すること
により、あるいは、通信回線などの伝送媒体を介して流
通することにより、一度に多数のコンピュータにインス
トールすることができるので、本発明の普及に大きく寄
与する。
ブロック図である。
主要機能を説明するためのブロック図である。
析方法を説明するためのフローチャートである。
「線点図」の一例を示す図である。
ための図である。
ータの一例を説明するための模式図である。
す図である。
係る推定式による計算値と実験値との相関を示す図であ
る。
を示す図である。
に係るパラメータとしての「ノズル油圧流量」の「効
果」を示す図である。
に係るパラメータとしての「ノズル噴孔角」の「効果」
を示す図である。
に係るモード毎の変動割合を示す図である。
に係る推定値と検証実験結果とを比較して説明するため
の図である。
る「わりつけ」例を示す図である。
りつけ」を基にした推定値と検証実験結果とを比較して
説明するための図である。
に係る噴射ノズル毎の検証実験結果の一例を示す図であ
る。
Claims (18)
- 【請求項1】 データ入力手段と演算手段とデータ出力
手段とをそなえることにより、内燃機関の燃焼特性に関
するデータを解析する方法において、 該内燃機関の複数の運転条件のそれぞれについて該燃焼
特性に関連する複数の試験パラメータに対する実験計画
法に基づく試験を行なうことによって該運転条件毎に得
られる試験結果データを、該データ入力手段を通じて該
演算手段に入力するデータ入力過程と、 該データ入力過程で入力された該運転条件毎の試験結果
データのそれぞれについて該演算手段にて統計解析処理
を施す統計解析処理過程と、 該統計解析処理によって該運転条件毎に得られる統計解
析結果のそれぞれに基づいて、該運転条件での該内燃機
関の燃焼特性の挙動を表し該試験パラメータを変数とし
て有する推定式を該運転条件のそれぞれについて該演算
手段にて求める推定式生成過程と、 該推定式生成過程で得られた該運転条件毎の推定式のそ
れぞれについて該変数を変更することにより求められる
複数の推定値群に基づいて、複数の運転条件下で該内燃
機関の所期の燃焼特性を満足する最適な試験パラメータ
の組み合わせを求めるための最適化計算を該演算手段に
て実行する最適化計算過程と、 該最適化計算の計算結果を、該データ出力手段を通じて
出力するデータ出力過程とを有することを特徴とする、
実験計画法に基づくデータ解析方法。 - 【請求項2】 該最適化計算過程が、 該運転条件毎の推定式のそれぞれについて該変数を変更
して該推定式による演算を該演算手段にて実行すること
により、該内燃機関の運転条件のそれぞれについて該推
定式による推定値群を生成する推定値群生成過程と、 該運転条件のそれぞれについて得られた各推定値群をバ
ッファ手段に一時的に保持させる推定値群バッファ過程
と、 該演算手段にて、該バッファ手段に保持された複数の推
定値群に基づいて複数の運転条件下で該内燃機関の所期
の燃焼特性を満足する最適な試験パラメータの組み合わ
せを選定する試験パラメータ選定過程とを含むことを特
徴とする、請求項1記載の実験計画法に基づくデータ解
析方法。 - 【請求項3】 該試験パラメータ選定過程において、 該演算手段によって該バッファ手段から上記の各推定値
群の要素推定値を読み出して、当該要素推定値の組み合
わせ計算を該演算手段にて実行し、その計算結果に基づ
いて上記の試験パラメータの組み合わせを選定すること
を特徴とする、請求項2記載の実験計画法に基づくデー
タ解析方法。 - 【請求項4】 該試験パラメータ選定過程において、 該演算手段が、該組み合わせ計算に用いるべき推定値群
又は要素推定値を限定して該組み合わせ計算を実行する
ことを特徴とする、請求項3記載の実験計画法に基づく
データ解析方法。 - 【請求項5】 該試験パラメータ選定過程において、 該演算手段が、上記の各推定値群の個々の変動率に応じ
て該組み合わせ計算に用いるべき推定値群を該複数の推
定値群の一部に限定して該組み合わせ計算を実行するこ
とを特徴とする、請求項4記載の実験計画法に基づくデ
ータ解析方法。 - 【請求項6】 該試験パラメータ選定過程において、 該演算手段が、上記の各推定値群の個々の変動率に応じ
て該組み合わせ計算に用いるべき推定値群の要素数をそ
の一部に限定して該組み合わせ計算を実行することを特
徴とする、請求項4記載の実験計画法に基づくデータ解
析方法。 - 【請求項7】 該試験パラメータ選定過程において、 該演算手段が、該運転条件に応じて該組み合わせ計算に
用いるべき推定値群の要素数をその一部に限定して該組
み合わせ計算を実行することを特徴とする、請求項4記
載の実験計画法に基づくデータ解析方法。 - 【請求項8】 該データ入力過程において、該データ入
力手段を通じて、該内燃機関の実車両への搭載環境に関
するパラメータ(以下、実車両環境パラメータという)
を該試験パラメータの一種として含めることにより得ら
れる試験結果データを入力することにより、 該最適化計算過程において、該演算手段が、該内燃機関
の該実車両への搭載環境を考慮して該最適化計算を実行
することを特徴とする、請求項1記載の実験計画法に基
づくデータ解析方法。 - 【請求項9】 該実車両環境パラメータが、該実車両に
おいて該内燃機関に付設される排気通路に関するパラメ
ータであることを特徴とする、請求項8記載の実験計画
法に基づくデータ解析方法。 - 【請求項10】 試験対象物の複数の試験条件群のそれ
ぞれについて該試験対象物の特性に関連する複数の試験
パラメータに対する実験計画法に基づく試験を行なうこ
とによって該試験条件群毎に得られる試験結果データに
ついてそれぞれ統計解析処理を施す統計解析手段と、 該統計解析手段によって該試験条件群のそれぞれについ
て得られる統計解析結果に基づいて、該試験条件群での
該試験対象物の特性の挙動を表し該試験パラメータを変
数として有する推定式を該試験条件群のそれぞれについ
て求める推定式生成手段と、 該推定式生成手段によって得られた該試験条件群毎の推
定式のそれぞれについて該変数を変更することにより求
められる複数の推定値群に基づいて、複数の試験条件群
下で該試験対象物の所期の特性を満足する最適な試験パ
ラメータの組み合わせを求めるための最適化計算を実行
する最適化計算手段とをそなえたことを特徴とする、実
験計画法に基づくデータ解析装置。 - 【請求項11】 該最適化計算手段が、 該試験条件群毎の推定式のそれぞれについて該変数を変
更して該推定式による演算を実行することにより、該試
験条件群のそれぞれについて該推定式による推定値群を
生成する推定値群生成手段と、 該推定値群生成手段によって得られた各推定値群のそれ
ぞれを一時的に保持するバッファ手段と、 該バッファ手段に保持された複数の推定値群に基づいて
複数の試験条件群下で該試験対象物の所期の燃焼特性を
満足する最適な試験パラメータの組み合わせを選定する
試験パラメータ選定手段とをそなえて構成されたことを
特徴とする、請求項10記載の実験計画法に基づくデー
タ解析装置。 - 【請求項12】 該試験パラメータ選定手段が、 該バッファ手段から上記の各推定値群の要素推定値を読
み出して、当該要素推定値の組み合わせ計算を実行し、
その計算結果に基づいて複数の試験条件群下での組み合
わせを選定するように構成されていることを特徴とす
る、請求項9記載の実験計画法に基づくデータ解析装
置。 - 【請求項13】 該試験パラメータが、内燃機関の燃焼
特性に関連するパラメータであることを特徴とする、請
求項10〜12のいずれか1項に記載の実験計画法に基
づくデータ解析装置。 - 【請求項14】 該試験パラメータに、該内燃機関の実
車両への搭載環境に関するパラメータ(以下、実車両環
境パラメータという)が含まれることを特徴とする、請
求項13記載の実験計画法に基づくデータ解析方法。 - 【請求項15】 該実車両環境パラメータが、該実車両
において該内燃機関に付設される排気通路に関するパラ
メータであることを特徴とする、請求項14記載の実験
計画法に基づくデータ解析方法。 - 【請求項16】 コンピュータに内燃機関の燃焼特性に
関するデータを解析させるためのデータ解析プログラム
であって、 該コンピュータを、 内燃機関の複数の運転条件のそれぞれについて該燃焼特
性に関連する複数の試験パラメータに対する実験計画法
に基づく試験を行なうことによって該運転条件のそれぞ
れについて得られる試験結果データについてそれぞれ統
計解析処理を施す統計解析手段と、 該統計解析手段によって該運転条件毎に得られる統計解
析結果のそれぞれに基づいて、該運転条件での該内燃機
関の燃焼特性の挙動を表し該試験パラメータを変数とし
て有する推定式を該運転条件のそれぞれについて求める
推定式生成手段と、 該推定式生成手段によって得られた該運転条件毎の推定
式のそれぞれについて該変数を変更して求められる複数
の推定値群に基づいて、複数の運転条件下で該内燃機関
の所期の特性を満足する最適な試験パラメータの組み合
わせを求めるための最適化計算を実行する最適化計算手
段として機能させることを特徴とする、実験計画法に基
づくデータ解析プログラム。 - 【請求項17】 該データ解析プログラムが、 該コンピュータを該最適化計算手段として機能させる際
に、該コンピュータを、さらに、 該試験条件群毎の推定式のそれぞれについて該変数を変
更して該推定式による演算を実行することにより、該試
験条件群のそれぞれについて該推定式による推定値群を
生成する推定値群生成手段と、 該推定値群生成手段によって得られた各推定値群のそれ
ぞれを一時的にバッファ手段に保持させる手段と、 該バッファ手段に保持された複数の推定値群に基づいて
複数の試験条件群下で該内燃機関の所期の燃焼特性を満
足する最適な試験パラメータの組み合わせを求める試験
パラメータ選定手段として機能させることを特徴とす
る、請求項16記載の実験計画法に基づくデータ解析プ
ログラム。 - 【請求項18】 請求項16又は請求項17に記載のデ
ータ解析プログラムが記録されたことを特徴とする、実
験計画法に基づくデータ解析プログラムが記録されたコ
ンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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