JP2002321980A - セラミック塗料、セラミックグリーンシートの製造方法およびセラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

セラミック塗料、セラミックグリーンシートの製造方法およびセラミック電子部品の製造方法

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JP2002321980A
JP2002321980A JP2001124309A JP2001124309A JP2002321980A JP 2002321980 A JP2002321980 A JP 2002321980A JP 2001124309 A JP2001124309 A JP 2001124309A JP 2001124309 A JP2001124309 A JP 2001124309A JP 2002321980 A JP2002321980 A JP 2002321980A
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green sheet
dispersant
paint
sheet
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JP2001124309A
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Toshio Sakurai
俊雄 櫻井
Masaaki Kanasugi
将明 金杉
Tomoko Uchida
知子 内田
Kazuyo Kato
和代 加藤
Shigeki Sato
佐藤  茂樹
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Original Assignee
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水系溶剤を用いてもクラックや柚子肌などの
各種欠陥を発生させることなくシートの厚膜化(たとえ
ば100μm以上)が可能なセラミック塗料を用いたセ
ラミックグリーンシートの製造方法を提供すること。 【解決手段】 セラミックグリーンシートを形成するた
めのセラミック塗料であって、ノニオン性分散剤を含む
ことを特徴とするセラミック塗料。前記分散剤は、HL
Bが10以上であることが好ましい。前記分散剤が、ア
ルキルエーテル型、エステル型、ブロックエーテル型、
アルキルポリエーテルアミン型、およびソルビタンエス
テルエーテル型から選ばれるいずれかの構造を持つこと
が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系溶剤を用いて
もクラックや柚子肌などの各種欠陥を発生させることな
くシートの厚膜化が可能なセラミック塗料、セラミック
グリーンシートの製造方法、およびセラミック電子部品
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】CR内蔵型基板、積層セラミックコンデ
ンサなどのセラミック電子部品を製造するには、通常、
まずセラミック粉末、バインダ(アクリル系樹脂、ブチ
ラール系樹脂など)、可塑剤および有機溶剤(塩化メチ
レンなど)からなるセラミック塗料を準備する。次に、
このセラミック塗料を、ドクターブレード法などを用い
てPETフィルム上に塗布し、加熱乾燥させた後、PE
Tフィルムを剥離してセラミックグリーンシートを得
る。次に、このセラミックグリーンシート上に内部電極
を印刷して乾燥させ、これを積層したものをチップ状に
切断してグリーンチップとし、これらのグリーンチップ
を焼成後、外部電極を形成し、積層セラミックコンデン
サなどの電子部品を製造する。
【0003】積層セラミックコンデンサを製造する場合
には、コンデンサとして必要とされる所望の静電容量に
基づき、内部電極が形成されるシートの層間厚みは、約
2μm〜50μm程度の範囲にある。また、積層セラミ
ックコンデンサでは、コンデンサチップの積層方向にお
ける外側部分には、内部電極が形成されない部分が形成
される。
【0004】この内部電極が形成されない部分に対応す
る誘電体層の厚みは、数百μm程度であり、この部分
は、内部電極が印刷されていない比較的厚いセラミック
グリーンシートを用いて成形される。内部電極が印刷さ
れるグリーンシートの厚みは、比較的に薄いので、この
薄膜のグリーンシートを用いて、外側部分を成形しよう
とすると、積層数が多くなり、製造工数が増大し、製造
コストの増大につながる。なお、有機溶剤を含むセラミ
ック塗料では、シートの成形厚みが、使用部位の目的に
応じて、比較的に自由に変えられ、比較的に厚膜のシー
トの成形も可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年では、セラ
ミック電子部品の製造に際し、有機溶剤にかかるコスト
の問題のみでなく、乾燥および排気による有機溶剤の大
気放出、すなわち大気汚染や温暖化の問題、あるいは溶
剤回収装置のコストの問題が指摘されている。このた
め、セラミックグリーンシート用塗料のためのバインダ
として、有機溶剤を使用しない水溶性バインダへの要望
が高まっている。水溶性バインダの中でも、ポリビニル
アルコールが、他の水溶性バインダと比較して、塗工性
に優れ、フィルム強度が高く、取扱い性に優れるために
広く用いられている。
【0006】しかしながら、ポリビニルアルコールは、
水以外の溶剤には不溶であるため、塗料中の主溶剤は水
のみとなる。水は、有機溶剤に比較して沸点が高いた
め、グリーンシートの乾燥温度を高くする必要がある。
その結果、セラミックグリーンシートの成形時に、クラ
ックが発生しやすくなる。よって、有機溶剤系塗料では
可能となっている比較的厚膜(たとえば100μm〜数
百μm)のグリーンシートを、水系塗料を用いて成形す
るのは極めて困難であった。
【0007】通常、塗料の設計(バインダ、可塑剤、分
散剤、溶剤の種類、添加量)が悪い状態で、比較的厚膜
(たとえば100μm〜数百μm)のグリーンシートを
成形した場合、クラックや柚子肌などの欠陥が発生して
しまう。
【0008】本発明の目的は、水系溶剤を用いてもクラ
ックや柚子肌(シートの表面円滑性が悪い)などの各種
欠陥を発生させることなくシートの厚膜化(たとえば1
00μm以上)が可能なセラミック塗料、セラミックグ
リーンシートの製造方法、およびセラミック電子部品の
製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の観点に係るセラミック塗料は、セラミックグ
リーンシートを形成するためのセラミック塗料であっ
て、ノニオン性分散剤を含むことを特徴とする。
【0010】第2の観点に係るセラミック塗料は、セラ
ミックグリーンシートを形成するためのセラミック塗料
であって、HLB(Hydrophilic Lipo
philic balance)が10以上の分散剤を
含むことを特徴とする。
【0011】第1の観点に係るセラミックグリーンシー
トの製造方法は、ノニオン性分散剤を含むセラミック塗
料を用いてセラミックグリーンシートを形成することを
特徴とする。
【0012】第2の観点に係るセラミックグリーンシー
トの製造方法は、HLBが10以上の分散剤を含むセラ
ミック塗料を用いてセラミックグリーンシートを形成す
ることを特徴とする
【0013】第1の観点に係るセラミック電子部品の製
造方法は、ノニオン性分散剤を含むセラミック塗料を用
いてセラミックグリーンシートを形成する工程と、前記
セラミックグリーンシートを積層した焼成前素子素体を
焼成する工程とを有する。
【0014】第2の観点に係るセラミック電子部品の製
造方法は、HLBが10以上の分散剤を含むセラミック
塗料を用いてセラミックグリーンシートを形成する工程
と、前記セラミックグリーンシートを積層した焼成前素
子素体を焼成する工程とを有する。
【0015】好ましくは、前記分散剤が、アルキルエー
テル型、エステル型、ブロックエーテル型、アルキルポ
リエーテルアミン型、およびソルビタンエステルエーテ
ル型から選ばれるいずれかの構造を持つノニオン性分散
剤である。
【0016】好ましくは、前記セラミック塗料が、誘電
体原料と、水溶性バインダと、溶剤水とをさらに有す
る。
【0017】
【作用】厚膜(たとえば100μm以上)のグリーンシ
ートを成形するためには、第1に、セラミック塗料の溶
剤量を減少させて、塗料中の固形分濃度を上昇させるこ
とが考えられるが、これでは、塗料の分散性が低下して
塗料粘度が急激に上昇することにより、シートの厚膜化
が困難になる。第2に、塗料中のバインダ添加量を減少
させることが考えられるが、これでは、シートの保形性
が悪くなり、シート強度が低下して欠陥が生じうる。第
3に、溶剤量を増やして塗料の分散性を改善することが
考えられるが、これでは、乾燥性が悪くなって作業効率
に支障を来すとともに、乾燥収縮率が増加してシートに
クラックが入りやすい。第4に、乾燥温度を低下させた
り、溶剤の飽和蒸気圧下で乾燥させることも考えられる
が、これでは、乾燥時間が長くなり、乾燥のコストアッ
プに繋がる。
【0018】本発明者らは、塗料の分散性を改善するこ
とでグリーンシートの厚膜化を図るべく鋭意検討した結
果、特定の分散剤をセラミック塗料中に添加することに
より、水系セラミック塗料を用いても厚膜のシートを成
形できることを見出し、本発明に到達した。
【0019】本発明に係るセラミック塗料は、特定の分
散剤を含む。このため、乾燥性を損なうことなく、塗料
の分散性が改善される。このため、水系セラミック塗料
によっても、必要とされる十分な強度および形状を持つ
十分に厚膜(たとえば100μm以上、好ましくは15
0μm以上、より好ましくは250μm以上)のセラミ
ックグリーンシートを、クラックや柚子肌(シートの表
面円滑性が悪い)を生じさせることなく成形することが
可能になる。すなわち本発明によれば、水系セラミック
塗料による厚膜グリーンシートの成形が可能となる。
【0020】セラミック電子部品としては、特に限定さ
れないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チッ
プインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チ
ップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部
品などが例示される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施
形態に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態に係
る積層セラミックコンデンサの概略断面図、図2は分散
剤の種類とグリーンシートの限界成膜厚みとの関係を示
すグラフ、図3は分散剤のHLBとグリーンシートの限
界成膜厚みとの関係を示すグラフである。
【0022】図1に示すように、セラミック電子部品の
一例としての積層セラミックコンデンサ1は、層間誘電
体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコン
デンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体
10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置さ
れた内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形
成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限
はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法に
も特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよ
いが、通常、縦(0.6〜5.6mm)×横(0.3〜
5.0mm)×厚み(0.3〜1.9mm)程度であ
る。
【0023】内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子
本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するよう
に積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子
本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電
極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成
する。
【0024】コンデンサ素子本体10において、内部電
極層3および層間誘電体層2の積層方向の両外側端部に
は、外側誘電体層2aが配置してあり、素子本体10の
内部を保護している。
【0025】層間誘電体層2および外側誘電体層2aの
組成は、本発明では特に限定されないが、たとえば以下
の誘電体磁器組成物で構成される。本実施形態の誘電体
磁器組成物は、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸
ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどを
含む主成分を有する。
【0026】本実施形態の誘電体磁器組成物には、前記
主成分の他に各種副成分が含有してあってもよい。誘電
体磁器組成物中に主成分と共に含まれる副成分として
は、Sr、Y、Gd、Tb、Dy、V、Mo、Zn、C
d、Ti、Sn、W、Ba、Ca、Mn、Mg、Cr、
SiおよびPの酸化物から選ばれる1種類以上を含む副
成分が例示される。副成分を添加することにより、温度
特性の向上や、低温焼成、信頼性の向上などを図ること
ができる。ただし、本発明では、層間誘電体層2の組成
は、上記に限定されるものではない。
【0027】なお、図1に示す層間誘電体層2の積層数
や厚み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すれば
よいが、本実施形態では、層間誘電体層2の厚みは、2
μm〜50μm程度である。また、外側誘電体層2aの
厚みは、たとえば100μm〜数百μm程度である。
【0028】内部電極層3に含有される導電材は、特に
限定されないが、層間誘電体層2の構成材料が耐還元性
を有するため、卑金属を用いることができる。卑金属と
しては、Ni、Cu、Ni合金またはCu合金が好まし
い。内部電極層3の主成分をNiにした場合には、誘電
体が還元されないように、低酸素分圧(還元雰囲気)で
焼成するという方法がとられている。一方、誘電体は還
元されないようにその組成比をストイキオ組成からずら
す等の手法がとられている。内部電極層3の厚さは用途
等に応じて適宜決定すればよいが、通常0.5〜5μ
m、好ましくは1〜2.5μm程度である。
【0029】外部電極4に含有される導電材は、特に限
定されないが、通常、CuやCu合金あるいはNiやN
i合金等を用いる。なお、AgやAg−Pd合金等も、
もちろん使用可能である。なお、本実施形態では、安価
なNi、Cuや、これらの合金を用いることができる。
外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよ
いが、好ましくは10〜50μm程度である。
【0030】次に、本発明の一実施形態に係る積層セラ
ミックコンデンサの製造方法について説明する。
【0031】本実施形態では、ペーストを用いた通常の
印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これ
を焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成する
ことにより製造される。以下、製造方法について具体的
に説明する。
【0032】まず、誘電体層用ペーストを準備する。本
実施形態では、誘電体層用ペーストは、誘電体原料と、
バインダ樹脂と、分散剤と、溶剤水とを少なくとも有す
る水系セラミック塗料で構成される。この塗料には、必
要に応じて、可塑剤、湿潤剤などが添加される。
【0033】この誘電体層用ペーストを用いて、図1に
示す層間誘電体層2および外側誘電体層2aを成形する
ことができるが、本発明では、特に厚膜(たとえば10
0μm以上、好ましくは150μm以上)のグリーンシ
ートを製造する場合を想定しているので、以下の説明で
は、特に、膜厚が厚い外側誘電体層2aを成形する場合
を主として説明する。
【0034】誘電体原料としては、前述した誘電体磁器
組成物の組成に応じ、主成分を構成する原料と、副成分
を構成する原料とが用いられる。
【0035】主成分を構成する原料としては、Ti、B
a、Sr、Ca、Zrの酸化物および/または焼成によ
り酸化物になる化合物が用いられる。
【0036】副成分を構成する原料としては、Sr、
Y、Gd、Tb、Dy、V、Mo、Zn、Cd、Ti、
Sn、W、Ba、Ca、Mn、Mg、Cr、Si、Li
およびPの酸化物および/または焼成により酸化物にな
る化合物から選ばれる1種類以上、好ましくは3種類以
上の単一酸化物または複合酸化物が用いられる。
【0037】これらの原料粉末は、通常、平均粒子径
0.005〜5μm程度のものが用いられる。このよう
な原料粉末から誘電体原料を得るには、例えば下記のよ
うにすればよい。まず、出発原料を所定の量比に配合
し、例えば、ボールミル等により湿式混合する。次い
で、スプレードライヤー等により乾燥させ、その後仮焼
し、主成分を構成する上記式の誘電体酸化物を得る。な
お、仮焼は、通常500〜1300℃、好ましくは50
0〜1000℃、さらに好ましくは800〜1000℃
にて、2〜10時間程度、空気中にて行う。次いで、ジ
ェットミルあるいはボールミル等にて所定粒径となるま
で粉砕し、誘電体原料を得る。副成分と、焼結助剤(S
iOまたはLiOなど)とは、それぞれ主成分
とは別に仮焼きし、得られた誘電体原料に混合される。
【0038】水系セラミック塗料中の誘電体原料の含有
量は、55〜75重量%程度とすればよい。
【0039】バインダ樹脂としては、水溶性バインダで
あれば特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコー
ル、セルロース、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリビニ
ルアセタール、水溶性ポリビニルブチラール、水溶性ウ
レタン樹脂などが例示される。誘電体原料100重量部
に対するバインダ樹脂の重量割合は、4〜8重量部程度
とすればよい。
【0040】本発明で用いる分散剤は、イオン性:ノニ
オン性、およびHLB(Hydrophilic Li
pophilic balance):10以上(好ま
しくは14以上)のいずれかを満足する。好ましくは、
イオン性:ノニオン性、およびHLB:10以上を満足
する。本発明のHLBは、たとえば次式で示すグリフィ
ンの式により算出される理論値を意味している。エチレ
ンオキサイド系ノニオン性分散剤のHLB=(E/
5)、ただし、E:ポリオキシエチレン部分の重量分率
である。多価アルコール系ノニオン成分散剤のHLB=
{20(1−S/A)}、ただし、S:多価アルコール
エステルのけん化価、A:脂肪酸の中和価(酸化)であ
る。このようなHLB値が小さいほど親油性が強く、大
きいほど親水性が強い。
【0041】アニオン性の分散剤を用いると、厚膜(た
とえば100μm以上、好ましくは150μm以上)の
グリーンシートの成形が困難になる。シート厚みだけク
リアしても、シートの柚子肌(シートの表面円滑性が悪
い)といった問題が生じる。一方、ノニオン性分散剤を
使用した塗料では、厚膜(たとえば100μm以上、好
ましくは150μm以上)のシート成形が可能である。
ノニオン性の分散剤を用いた場合に、グリーンシートの
厚膜化が可能な理由は、必ずしも明らかではないが、塗
料の表面張力を下げることによるものと考えられる。
【0042】分散剤のHLBが10以上であると、厚膜
(たとえば100μm以上、好ましくは150μm以
上)のシート成形が可能となり、HLBが14以上であ
ると、さらに厚膜(たとえば250μm以上)のシート
成形が可能となる。すなわち、HLB値が増加するに連
れて限界成膜厚みが増加していく傾向がある。その理由
は必ずしも明らかではないが、分散剤の親水性が向上す
ることによるものと考えられる。
【0043】ノニオン性分散剤の中でも、分散剤構造と
して、アルキルエーテル型、エステル型、ブロックエー
テル型、アルキルポリエーテルアミン型およびソルビタ
ンエステルエーテル型から選ばれるいずれかの分散剤を
用いることが好ましい。こうした特定構造のノニオン性
分散剤は、水に溶けやすいため、これを含む塗料を用い
ると厚膜(たとえば150μm以上)のシート成形が可
能となる。
【0044】このような特定の特性を有する分散剤とし
ては、市販品を用いてもよく、たとえば、第一工業製薬
社製の「アミラジン(ノニオン性、アルキルポリエーテ
ルアミン型)」、「アミラジンC1802(ノニオン
性、アルキルポリエーテルアミン型)」; 日本油脂社
製の「K220(ノニオン性、アルキルエーテル型、H
LB:16.2)」、「E212(ノニオン性、アルキ
ルエーテル型、HLB:14.2)」、「P210(ノ
ニオン性、アルキルエーテル型、HLB:12.
9)」、「S4(ノニオン性、エステル型、HLB:1
1.6)」、「O3(ノニオン性、エステル型、HL
B:10.2)」、「S15.4(ノニオン性、エステ
ル型、HLB:16.7)」、「OT−221(ノニオ
ン性、ソルビタンエステルエーテル型、HLB:15.
0)」、「O−6(ノニオン性、エステル型、HLB:
13.5)」、「プロノン201(ノニオン性、ブロッ
クエーテル型)」、「プロノン204(ノニオン性、ブ
ロックエーテル型)」; などが例示される。
【0045】誘電体原料100重量部に対する分散剤の
重量割合は、好ましくは0.1〜2重量部、より好まし
くは0.5〜1.5重量部程度とすればよい。
【0046】可塑剤としては、水溶性バインダに柔軟性
を付与するものであれば、特に限定されず、たとえばト
リエタノールアミン(TEA)、ポリエチレングリコー
ル(PEG)、グリセリン、エチレングリコール、トリ
エチレングリコール、トリメチルプロパンなどが例示さ
れる。バインダ樹脂100重量部に対する可塑剤の重量
割合は、50〜150重量部程度とすればよい。
【0047】湿潤剤としては、粉体粒子と分散媒の濡れ
性を向上させるものであれば特に限定されず、たとえば
ポリエチレングリコール型ノニオン系湿潤剤、スルホン
酸型アニオン系湿潤剤などが例示される。誘電体原料1
00重量部に対する湿潤剤の重量割合は、0.1〜2重
量部程度とすればよい。
【0048】上述した誘電体原料と、バインダ樹脂と、
可塑剤と、分散剤と、湿潤剤と、溶剤水とは、例えばボ
ールミル等で混合してペースト(スラリー)化される。
なお、混合に際し、誘電体原料と分散剤と湿潤剤とを少
量の溶剤水で一次混合し、その後、バインダ樹脂と可塑
剤と残りの溶剤水とを、二次混合することにより、水系
セラミック塗料で構成される誘電体層用ペーストを得て
も良い。
【0049】この誘電体層用ペーストをシート化するた
めの手段として、本実施形態では、ドクターブレード法
が用いられる。このシートを形成するための支持フィル
ムとしては、たとえばSi処理無しのPETフィルムが
用いられる。この支持フィルム上に、たとえばドクター
ブレード法、グラビア法、スプレー法、ロール法、ノズ
ル法、ワイヤ法など各種塗布方法により誘電体層用ペー
ストを所定厚みに塗布し、乾燥させる。
【0050】シートを乾燥させるための乾燥炉の内部温
度は、好ましくは25℃〜70℃、である。乾燥温度が
低すぎると、乾燥に時間を要し、乾燥温度が高すぎる
と、シートにクラックが入りやすい傾向にある。
【0051】乾燥温度勾配は、7.5℃/分未満、好ま
しくは、0.7℃/分〜1.7℃/分、より好ましくは
0.7℃/分〜1.07℃/分である。グリーンシート
は、コンベアなどの搬送手段により乾燥炉内に入れられ
る。その搬送速度が早すぎると、単位時間当たりのグリ
ーンシートの乾燥温度勾配が上昇し、水分蒸発が急激に
生じ、シートにクラックが入りやすい傾向にある。ま
た、搬送速度が遅すぎると、単位時間当たりのグリーン
シートの乾燥温度勾配は、低下してクラックは生じにく
くなるが、生産性が低下する傾向にある。
【0052】乾燥時間は、好ましくは、15分〜65
分、さらに好ましくは30分〜65分である。乾燥時間
が短すぎると、単位時間当たりのグリーンシートの乾燥
温度勾配が上昇し、水分蒸発が急激に生じ、シートにク
ラックが入りやすい傾向にある。また、乾燥時間が長す
ぎると、生産性が低下する傾向にある。
【0053】上記のようにして成形されたグリーンシー
トは、図1に示す外側誘電体層2aを構成する部分であ
り、たとえば100μm以上、好ましくは150μm以
上、より好ましくは250μm以上の膜厚を有する。
【0054】この外側誘電体層用グリーンシートとは別
に、2〜50μm程度に薄く成形された層間誘電体層用
グリーンシートの表面には、図1に示す内部電極層3と
なる内部電極層用ペーストが所定パターンで塗布乾燥さ
れる。
【0055】内部電極層用ペーストは、内部電極層3
(図1参照)を形成するためのものであり、上述した導
電材などと、有機ビヒクルとを混練して調製される。
【0056】内部電極用ペーストを製造する際に用いる
導電材は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はな
く、また、これらの形状のものが混合したものであって
もよい。また、導電材の平均粒子径は、通常0.1〜1
0μm、好ましくは0.2〜1μm程度のものを用いれ
ばよい。
【0057】内部電極層用ペーストが塗布された層間誘
電体層用グリーンシートを交互に積層すると共に、その
積層方向の外側両端部に、外側誘電体層用グリーンシー
トを単層または複層で積層する。
【0058】次に、このようにして得られた積層体を、
所定の積層体サイズに切断し、グリーンチップとした
後、脱バインダ処理および焼成を行う。そして、誘電体
層2および2aを再酸化させるため、熱処理を行う。
【0059】脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよ
いが、内部電極層の導電体材料にNiやNi合金等の卑
金属を用いる場合、特に下記の条件で行うことが好まし
い。 昇温速度:5〜300℃/時間、特に10〜50℃/時
間、 保持温度:200〜400℃、特に250〜350℃、 保持時間:0.5〜20時間、特に1〜10時間、 雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス。
【0060】焼成条件は、下記の条件が好ましい。 昇温速度:50〜500℃/時間、特に200〜300
℃/時間、 保持温度:1100〜1300℃、特に1150〜12
50℃、 保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間、 冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300
℃/時間、 雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス等。
【0061】ただし、焼成時の空気雰囲気中の酸素分圧
は、10−2Pa以下、特に10 〜10−8Paに
て行うことが好ましい。前記範囲を超えると、内部電極
層が酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低す
ぎると、内部電極層の導電材が異常焼結を起こし、途切
れてしまう傾向にある。
【0062】このような焼成を行った後の熱処理は、保
持温度または最高温度を、好ましくは1000℃以上、
さらに好ましくは1000〜1100℃として行うこと
が好ましい。熱処理時の保持温度または最高温度が、前
記範囲未満では誘電体原料の酸化が不十分なために絶縁
抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内
部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘
電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にあ
る。熱処理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気より
も高い酸素分圧であり、好ましくは10−3Pa〜1P
a、より好ましくは10−2Pa〜1Paである。前記
範囲未満では、誘電体層2の再酸化が困難であり、前記
範囲をこえると内部電極層3が酸化する傾向にある。
【0063】そして、そのほかの熱処理条件は下記の条
件が好ましい。 保持時間:0〜6時間、特に2〜5時間、 冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300
℃/時間、 雰囲気用ガス:加湿したNガス等。
【0064】なお、Nガスや混合ガス等を加湿する
には、例えばウェッター等を使用すればよい。この場
合、水温は0〜75℃程度が好ましい。また脱バインダ
処理、焼成および熱処理は、それぞれを連続して行って
も、独立に行ってもよい。これらを連続して行なう場
合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続
いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次
いで冷却し、熱処理の保持温度に達したときに雰囲気を
変更して熱処理を行なうことが好ましい。一方、これら
を独立して行なう場合、焼成に際しては、脱バインダ処
理時の保持温度までNガスあるいは加湿したN
ガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇
温を続けることが好ましく、熱処理時の保持温度まで冷
却した後は、再びNガスあるいは加湿したN
ス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。ま
た、熱処理に際しては、Nガス雰囲気下で保持温度
まで昇温した後、雰囲気を変更してもよく、熱処理の全
過程を加湿したNガス雰囲気としてもよい。
【0065】このようにして得られた焼結体(素子本体
10)には、例えばバレル研磨、サンドプラスト等にて
端面研磨を施し、外部電極用ペーストを焼きつけて外部
電極4を形成する。外部電極用ペーストの焼成条件は、
例えば、加湿したNとH との混合ガス中で60
0〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好
ましい。そして、必要に応じ、外部電極4上にめっき等
を行うことによりパッド層を形成する。なお、外部電極
用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様に
して調製すればよい。
【0066】このようにして製造された本発明の積層セ
ラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板
上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
【0067】本実施形態に係るセラミックグリーンシー
トの製造方法、および積層セラミックコンデンサの製造
方法では、特定の分散剤を含むセラミック塗料を用いる
ので、水系溶剤を用いながら、必要とされる十分な強度
および形状を持つ十分に厚膜(たとえば100μm以
上、好ましくは150μm以上、より好ましくは250
μm以上)のセラミックグリーンシートを、クラックや
柚子肌(シートの表面円滑性が悪い)を生じさせること
なく成形することが可能になる。したがって、図1に示
すコンデンサ1における外側誘電体層2aを成形するた
めには、多数の薄厚のグリーンシートを積層する必要が
無くなり、製造工程の削減および製造コストの削減に寄
与する。
【0068】しかも本実施形態によれば、セラミックグ
リーンシートを製造するに際して有機溶剤を用いないの
で、有機溶剤を使用することによる種々の不都合を防止
することができる。
【0069】以上、本発明の実施形態について説明して
きたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において
種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0070】たとえば、上述した実施形態では、特定の
基体を用いて外側誘電体層2aを成形しているが、必要
に応じて層間誘電体層2の成形に用いてもよい。
【0071】また、たとえば、本発明の特定の基体を用
いて製造されるセラミック電子部品としては、図1に示
すように、内部電極層3が多数積層してある積層セラミ
ックコンデンサに限定されない。図1では、内部電極層
3が多数積層してあるが、内部電極が1対のみ、または
複数対のみしか積層されないコンデンサやその他の電子
部品もある。その場合にも、外側誘電体層2aの厚み
を、十分な厚みとすることが必要であり、その部分を、
多数のグリーンシートの積層体ではなく、単層または複
数のグリーンシートの積層体で構成できることは、製造
工数の削減および製造コストの削減に大きく寄与する。
【0072】
【実施例】以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0073】実施例1 まず、出発原料母材として、BaTiO(BT−0
5粉/堺化学工業(株)製)を用いた。BaTiO
の平均粒径は、0.86μm、比表面積は、BET値で
2.3m/gであった。この母材に対して、(B
a,Ca)SiO :1.48重量%、Y
:1.01重量%、MgCO:0.72重
量%、Cr:0.13重量%、およびV
:0.045重量%を、各々ボールミルで16時
間湿式粉砕し、誘電体原料を得た。
【0074】得られた誘電体原料を、下記に示される配
合比にて、ジルコニア製ボールを用いてボールミル混合
し、スラリー化して塗料とした。すなわち、まず、得ら
れた誘電体原料:100重量部と、ノニオン性分散剤
(第一工業製薬(株)製アミラジン、アルキルポリエー
テルアミン型):1.2重量部と、ポリエチレングリコ
ール型ノニオン系湿潤剤(サンノプコ(株)製SNウェ
ット366):0.4重量部と、溶剤水(イオン交換
水):17.5重量部とを、ボールミルにより16時
間、一次混合し、一次混合液を得た。次いで、ポリビニ
ルアルコール(バインダ樹脂/(株)クラレ製PVA2
35の10%水溶液):4重量部と、ポリエチレングリ
コール(可塑剤/純正化学(株)製PEG200):バ
インダ樹脂100重量部に対して80重量部と、溶剤
水:45.6重量部とを、前記一次混合液に、ボールミ
ルにより16時間、二次混合し、水系セラミック塗料試
料を得た。
【0075】得られた塗料試料の取り扱い性を評価し
た。ボールミル混合後の塗料が容器から流れ出て回収で
きないと、次のシート成形工程に進めず、シート成形が
不可能なことから、塗料の取り扱い性については、塗料
の回収が可能かどうかで評価した。その結果、塗料の取
り扱い性は、良好であった。
【0076】得られた塗料試料を、ドクターブレード法
により、支持フィルムとしてのPETフィルム上に種々
の厚みで塗布した。乾燥条件は、乾燥炉内の温度が25
〜70℃、乾燥温度勾配が0.714℃/分、乾燥時間
が63分であった。その後、シートの限界成膜厚みを評
価した。
【0077】限界厚みは、以下のように判定した。支持
フィルム上の塗布厚みを、たとえば100μmを基準と
して5μm程度づつ増やしていき、シート乾燥後の成膜
の有無を評価した。ただし、使用分散剤や塗布厚みによ
っては、シートの両端またはシートの全面にクラックが
生じたり、シート全面が柚子肌状態になったりする。こ
のようなクラックや柚子肌が発生した場合は、限界厚み
から除いた。なお、成膜可能な限界厚みの評価は、目視
により行った。その結果、限界厚みは、250μmであ
った。
【0078】実施例2 分散剤として、ノニオン性分散剤(第一工業製薬(株)
製アミラジンC1802、アルキルポリエーテルアミン
型)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗料の取
り扱い性と、限界厚みとをそれぞれ評価した。その結
果、塗料の取り扱い性は良好だった。限界厚みは、27
8μmであった。
【0079】実施例3 分散剤として、ノニオン性分散剤(日本油脂(株)製K
220、アルキルエーテル型、HLB:16.2)を用
いた以外は、実施例1と同様にして評価した。その結
果、塗料の取り扱い性は良好だった。限界厚みは、30
7μmであった。
【0080】実施例4 分散剤として、ノニオン性分散剤(日本油脂(株)製E
212、アルキルエーテル型、HLB:14.2)を用
いた以外は、実施例1と同様にして評価した。その結
果、塗料の取り扱い性は良好だった。限界厚みは、15
0μmであった。
【0081】実施例5 分散剤として、ノニオン性分散剤(日本油脂(株)製P
210、アルキルエーテル型、HLB:12.9)を用
いた以外は、実施例1と同様にして評価した。その結
果、塗料の取り扱い性は良好だった。限界厚みは、24
0μmであった。
【0082】実施例6 分散剤として、ノニオン性分散剤(日本油脂(株)製S
4、エステル型、HLB:11.6)を用いた以外は、
実施例1と同様にして評価した。その結果、塗料の取り
扱い性は良好だった。限界厚みは、160μmであっ
た。
【0083】実施例7 分散剤として、ノニオン性分散剤(日本油脂(株)製O
3、エステル型、HLB:10.2)を用いた以外は、
実施例1と同様にして評価した。その結果、塗料の取り
扱い性は良好だった。限界厚みは、150μmであっ
た。
【0084】実施例8 分散剤として、ノニオン性分散剤(日本油脂(株)製O
T−221、ソルビタンエステルエーテル型、HLB:
15.0)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価
した。その結果、塗料の取り扱い性は良好だった。限界
厚みは、272μmであった。
【0085】実施例9 分散剤として、ノニオン性分散剤(日本油脂(株)製S
15.4、エステル型、HLB:16.7)を用いた以
外は、実施例1と同様にして評価した。その結果、塗料
の取り扱い性は良好だった。限界厚みは、330μmで
あった。
【0086】実施例10 分散剤として、ノニオン性分散剤(日本油脂(株)製O
−6、エステル型、HLB:13.5)を用いた以外
は、実施例1と同様にして評価した。その結果、塗料の
取り扱い性は良好だった。限界厚みは、225μmであ
った。
【0087】実施例11 分散剤として、ノニオン性分散剤(日本油脂(株)製プ
ロノン201、ブロックエーテル型)を用いた以外は、
実施例1と同様にして評価した。その結果、塗料の取り
扱い性は良好だった。限界厚みは、213μmであっ
た。
【0088】実施例12 分散剤として、ノニオン性分散剤(日本油脂(株)製プ
ロノン204、ブロックエーテル型)を用いた以外は、
実施例1と同様にして評価した。その結果、塗料の取り
扱い性は良好だった。限界厚みは、205μmであっ
た。
【0089】比較例1 分散剤として、アニオン性分散剤(サンノプコ(株)製
SN5468、ポリカルボン酸アンモニウム)を用いた
以外は、実施例1と同様にして評価した。その結果、塗
料の取り扱い性は良好だった。限界厚みは、80μmで
あった。
【0090】比較例2 分散剤として、アニオン性分散剤(日本油脂(株)製A
KM0531、アリルエーテルコポリマー)を用いた以
外は、実施例1と同様にして評価した。その結果、塗料
の取り扱い性は良好だった。限界厚みは、81μmであ
った。
【0091】比較例3 分散剤として、アニオン性分散剤(日本油脂(株)製H
KM50A、アリルエーテルコポリマー)を用いた以外
は、実施例1と同様にして評価した。その結果、塗料の
取り扱い性は良好だった。限界厚みは、82μmであっ
た。
【0092】比較例4 分散剤として、アニオン性分散剤(花王(株)製MX−
2045L、ベンゼンスルホン酸ナトリウム)を用いた
以外は、実施例1と同様にして評価した。その結果、塗
料の取り扱い性は良好だった。限界厚みは、84μmで
あった。
【0093】これらの結果を、表1および図2〜3に示
す。
【0094】
【表1】
【0095】表1および図2より、分散剤としてノニオ
ン性分散剤を用いた場合に、水系のセラミックグリーン
シートを厚膜(たとえば100μm以上、好ましくは1
50μm以上)にできることが確認できた。表1および
図3より、分散剤としてHLBが10以上の分散剤を用
いた場合に、水系のセラミックグリーンシートを厚膜
(たとえば100μm以上、好ましくは150μm以
上)にできることが確認できた。すなわち、本実施例の
ように、セラミック塗料に特定の分散剤を含有させるこ
とで、水系セラミック塗料によっても厚膜のグリーンシ
ートを成形できることが確認できた。
【0096】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、水系溶剤を用いてもクラックや柚子肌(シートの表
面円滑性が悪い)などの各種欠陥を発生させることなく
シートの厚膜化(たとえば100μm以上、好ましくは
150μm以上)が可能なセラミック塗料組成物、セラ
ミックグリーンシートの製造方法、およびセラミック電
子部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミ
ックコンデンサの概略断面図である。
【図2】 図2は分散剤の種類とグリーンシートの限界
成膜厚みとの関係を示すグラフである。
【図3】 図3は分散剤のHLBとグリーンシートの限
界成膜厚みとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1… 積層セラミックコンデンサ 2… 層間誘電体層 2a… 外側誘電体層 3… 内部電極層 4… 外部電極 10… コンデンサ素子本体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/30 301 C04B 35/00 G 311 J B28B 11/00 Z (72)発明者 内田 知子 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 加藤 和代 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 佐藤 茂樹 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 4G030 AA07 AA08 AA10 AA12 AA16 AA19 AA22 BA09 CA08 GA09 GA14 GA16 GA20 4G052 DA04 DB02 DC06 4G055 AA08 AC09 BA22 5E001 AB03 AH01 AH09 AJ01 AJ02 5E082 AA01 AB03 EE04 EE23 FF05 FG26 FG46

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックグリーンシートを形成するた
    めのセラミック塗料であって、ノニオン性分散剤を含む
    ことを特徴とするセラミック塗料。
  2. 【請求項2】 セラミックグリーンシートを形成するた
    めのセラミック塗料であって、HLBが10以上の分散
    剤を含むことを特徴とするセラミック塗料。
  3. 【請求項3】 前記分散剤が、アルキルエーテル型、エ
    ステル型、ブロックエーテル型、アルキルポリエーテル
    アミン型、およびソルビタンエステルエーテル型から選
    ばれるいずれかの構造を持つノニオン性分散剤である請
    求項1または2に記載のセラミック塗料。
  4. 【請求項4】 誘電体原料と、水溶性バインダと、溶剤
    水とをさらに有する請求項1〜3のいずれかに記載のセ
    ラミック塗料。
  5. 【請求項5】 ノニオン性分散剤を含むセラミック塗料
    を用いてセラミックグリーンシートを形成することを特
    徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
  6. 【請求項6】 HLBが10以上の分散剤を含むセラミ
    ック塗料を用いてセラミックグリーンシートを形成する
    ことを特徴とするセラミックグリーンシートの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 ノニオン性分散剤を含むセラミック塗料
    を用いてセラミックグリーンシートを形成する工程と、 前記セラミックグリーンシートを積層した焼成前素子素
    体を焼成する工程とを有するセラミック電子部品の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 HLBが10以上の分散剤を含むセラミ
    ック塗料を用いてセラミックグリーンシートを形成する
    工程と、 前記セラミックグリーンシートを積層した焼成前素子素
    体を焼成する工程とを有するセラミック電子部品の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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