JP2002321378A - インクジェットプリンターおよびラインヘッド - Google Patents

インクジェットプリンターおよびラインヘッド

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JP2002321378A
JP2002321378A JP2001130297A JP2001130297A JP2002321378A JP 2002321378 A JP2002321378 A JP 2002321378A JP 2001130297 A JP2001130297 A JP 2001130297A JP 2001130297 A JP2001130297 A JP 2001130297A JP 2002321378 A JP2002321378 A JP 2002321378A
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JP
Japan
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ink
line head
maintenance
platen
unit
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Application number
JP2001130297A
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English (en)
Inventor
Hoaki Kobayashi
穂明 小林
康博 ▲高▼井
Yasuhiro Takai
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メンテナンスユニットの設置機構を複雑化す
ることなく、ラインヘッドのメンテナンスを簡便に行え
るインクジェットプリンターを提供する。 【解決手段】 本プリンターは、メンテナンスユニット
(MU)60とプラテン30とを連結する連結部(40
・42a・42b)と、連結部を駆動して、MU60あ
るいはプラテン30をラインヘッド25の対峙位置(偏
心ローラ80a・80bの上部)に配置する駆動モータ
ーとを有している。プラテン30とMU60とを連結部
によって連結することにより、プラテン30・MU60
を1組の駆動モーターで移動させられる。これにより、
メンテナンス時に、簡単な駆動機構で、MU60を対峙
位置に配置できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートに向けてイ
ンクを噴出して印刷を行うインクジェットプリンターに
関するものであり、特に、ラインヘッドを備えたインク
ジェットプリンターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンターは、シート
(記録用紙)上にインクを噴出(吐出)することで印刷
を行う印刷装置であり、インクを噴出するためのインク
ヘッドを備えている。
【0003】従来のインクジェットプリンター(プリン
ター)に用いられるインクヘッドは、大別して、シリア
ルヘッドとラインヘッドとの2種類に分けられる。シリ
アルヘッドは、少数のインクノズルを有しており、これ
らのノズルからインクを噴出しながらシートの幅方向
(ライン方向)に移動することで1ライン分の印刷を行
うように設定されているインクヘッドである。
【0004】このヘッドでは、ヘッド自体のサイズを小
さくできるので、装置のコンパクト化を図れる。また、
ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス部材の配置・
設計が容易である。
【0005】しかしながら、1ライン分の画像を印刷す
るために、ライン方向にヘッドを移動させる必要がある
ので、印刷速度が遅くなる。また、印刷解像度が、イン
クノズルの配列ピッチに限定されるという欠点もある。
【0006】一方、ラインヘッドは、シートの全幅をカ
バーできるだけの多数のインクノズルを備えており、1
ライン分の画像を一度に(瞬時に)印刷できる高速印刷
用のインクヘッドである。また、ラインヘッドには、印
刷解像度(シート搬送方向の解像度)を、シートの搬送
速度およびインク噴出のタイミング調整によって変更で
きるという利点もある。
【0007】しかしながら、ラインヘッドでは、サイズ
が大きいため、そのメンテナンスが問題になる。すなわ
ち、シリアルヘッドを用いたプリンターでは、シート搬
送路を避けた場所(ホームポジション:HP)にヘッド
を移動させられる。従って、HPにメンテナンス部材を
配設すれば、1ライン分の画像を形成する度に、HPに
戻ってきたヘッドに対してメンテナンスを行える。
【0008】一方、ラインヘッドを用いたプリンターで
は、ヘッド自体が大きいので、HPを設けられない。こ
のため、ラインヘッドでは、そのメンテナンス方法に工
夫を凝らす必要がある。
【0009】そこで、従来では、シート搬送路の上部に
おいて、メンテナンスユニットとラインヘッドとを並列
させて配置し、メンテナンスを行う際に、ノズルをメン
テナンスユニットに向けるようにラインヘッドを回転さ
せ、メンテナンスユニットをラインヘッドに接近させる
構成が広く用いられている。
【0010】しかしながら、この構成では、ラインヘッ
ドの回転によって、インクヘッド内に備えられているイ
ンクノズルの中に空気が入り込み、印刷不良を引き起こ
す場合がある。また、インクノズル内に備えられている
電極に空気が入り込み、電極の発熱効果によりインクヘ
ッドが破壊されてしまう可能性もある。
【0011】また、特開平11−291511号公報に
は、インクヘッドに対向して設けられたプラテン(plat
en;ラインヘッドとシートとの距離を一定に保つための
印刷台)の下方に、メンテナンスユニットを配置したプ
リンターが開示されている。そして、このプリンターで
は、印刷動作の行われていないときに、プラテンを退避
させ、メンテナンスユニット上昇させてラインヘッドに
近接させることにより、メンテナンスを行うようになっ
ている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ライン
ヘッドを回転させてメンテナンスを行う構成では、上記
の問題点に加え、ラインヘッドを回転させるものと、メ
ンテナンスユニットをヘッド近づけるものとの2つの駆
動機構が必要であり、プリンターの構造( 機構)を複雑
化してしまうという問題点がある。
【0013】また、特開平11−291511号公報の
プリンターのように、プラテンを退避させ、ラインヘッ
ドの下方からメンテナンスを行う構成においても、プラ
テンの退避とメンテナンスユニットの移動とを実行する
ための2つの駆動機構を必要とする。
【0014】本発明は、上記のような従来の問題点を解
決するために成されたものである。そして、その目的
は、メンテナンスユニットの構造を複雑化することな
く、ラインヘッドのメンテナンスを簡便に行えるインク
ジェットプリンターを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明にかかるインクジェットプリンター(第1
プリンター)は、シートの幅方向に沿って延びるライン
ヘッドを備え、プラテン上を搬送されているシートにラ
インヘッドからインクを噴出して印刷を行うインクジェ
ットプリンターにおいて、ラインヘッドのインク噴出部
を清掃するメンテナンス部を備えており、さらに、この
メンテナンス部と上記プラテンとを連結する連結部と、
この連結部を駆動して、メンテナンス部とプラテンとの
何れかをラインヘッドの対峙位置に配置させる駆動部と
を有していることを特徴としている。
【0016】この第1プリンターは、印刷を行うための
シート(記録用紙等の記録媒体)に対し、画像データに
応じてインクを噴出することで印刷を行う装置である。
そして、第1プリンターでは、シート搬送路上にプラテ
ンを設け、この上を搬送されているシートに対して、ラ
インヘッドを用いてインク噴出を行うようになってい
る。
【0017】ここで、プラテンとは、印刷時においてラ
インヘッドの対峙位置(ラインヘッドに対峙する位置;
ラインヘッドの真下)に配置され、インク噴出を受ける
シートの台(印刷台)となるものであり、主に、シート
における平坦性の維持や、シートとラインヘッド(イン
ク噴出部の端部)との高さ調整を行うためのものであ
る。また、ラインヘッドとは、シートの幅方向(シート
の搬送方向と略垂直な方向;ライン方向)に複数のイン
ク噴出部(インクノズル)を備えたインクヘッドであ
る。
【0018】また、第1プリンターには、ラインヘッド
のインク噴出部を清掃するメンテナンス部が設けられて
いる。このメンテナンス部は、印刷の行われていないと
き(アイドリング時や、1枚のシートに対する印刷を完
了したとき等)に、ラインヘッド(インク噴出部)を清
掃し、廃インク(余剰のインク)を回収するものであ
る。
【0019】そして、特に、第1プリンターは、上記し
たプラテンとメンテナンス部とを連結するための連結部
と、この連結部を駆動(移動)させるための駆動部とを
備えている。さらに、第1プリンターでは、この駆動部
が、メンテナンス部とプラテンとのいずれかをラインヘ
ッドの対峙位置に配置するように、上記の連結部を移動
させるように設定されている。
【0020】これにより、第1プリンターでは、印刷時
には、ラインヘッドの対峙位置にプラテンを配置させる
一方、メンテナンス時(清掃時)には、プラテンに代え
て、メンテナンス部を対峙位置に配置できる。従って、
ラインヘッドを移動(回転)させることなく、ラインヘ
ッドのメンテナンスを良好に行える。
【0021】さらに、第1プリンターでは、プラテンと
メンテナンス部とを連結部によって連結することで、1
つの駆動機構で、これらを同時に移動させられるように
なっている。従って、プラテンとメンテナンス部とを個
別に移動させる構成に比べて、駆動機構を簡略化でき
る。
【0022】これにより、第1プリンターでは、メンテ
ナンス部の構造を複雑化することなく、ラインヘッドの
メンテナンスを簡便に行えるようになっている。従っ
て、インクジェットプリンターにおけるサイズの小型化
・製造コストの低下を図ることが可能となっている。
【0023】また、第1プリンターでは、連結部が、ラ
インヘッドと平行方向(シート搬送方向に対して垂直な
方向;ライン方向)に延びる回転軸を備え、この回転軸
の周囲に回動できるように設定されていることが好まし
い。そして、駆動部が、この回転軸を中心として連結部
を回動させることにより、ラインヘッドの対峙位置に、
メンテナンス部あるいはプラテンを配置するようになっ
ていることが好ましい。
【0024】これにより、メンテナンス部およびプラテ
ンを、ラインヘッドの周りに、シートの搬送方向に沿っ
て(この方向を含む面であって、ライン方向を含まない
面内で)回動させられる。従って、例えば、メンテナン
ス部・プラテンをプリンターの横にスライドさせること
で、これらを対峙位置に配置する構成に比して、第1プ
リンターにおけるライン方向のサイズを小さくできる。
なお、ライン方向行に延びる回転軸の形成は、例えば、
ラインヘッドにおける筐体の両側面を貫くように回転軸
を設けることで実現できる。
【0025】また、第1プリンターでは、連結部が、上
記の回転軸に対して回転可能に設けられた回転盤と、こ
の回転盤から延びる2本のアームとを備えていることが
好ましい。また、この2本のアームは、回転盤の側面
に、回転盤の回転面内で延びるように設けられているこ
とがさらに好ましい。この2本のアームとは、メンテナ
ンス部を支持するアーム(第1アーム)、および、プラ
テンを支持するアーム(第2アーム)のことである。こ
れにより、回動可能な連結部を容易に構成できる。
【0026】ここで、第1アームと第2アームとのなす
角度は、プラテン・メンテナンス部の移動角度を決定す
る要因である。すなわち、この角度が大きいほど、プラ
テン・メンテナンス部の移動角度(移動距離)は大きく
なる。
【0027】そして、移動角度が90度より大きくなる
と、対峙位置にない場合におけるメンテナンス部の対向
面が、下向きとなる(面の法線に下向きの成分が含まれ
る)場合があり、メンテナンス部によって回収された廃
インクを外に漏らし、プリンターおよびシートを汚して
しまう可能性がある。
【0028】そこで、上記の構成では、第1・第2アー
ムのなす角度が90度以下となるように設定されている
ことが好ましい。これにより、メンテナンス部から廃イ
ンクを漏らしてしまうことを回避できる。なお、メンテ
ナンス部の対向面とは、ラインヘッドのインク噴出面
(ラインヘッドにおけるインク噴出部の形成されている
面)と対峙する面のことである。
【0029】また、メンテナンス部は、メンテナンスの
際、ラインヘッドに近接した状態で配置されることが好
ましい。このようにすれば、メンテナンス中、メンテナ
ンス部とラインヘッドとの隙間から廃インクを飛散させ
てしまうことを抑制することが可能となる。
【0030】また、この構成では、メンテナンス部を支
持する第1アームが、伸縮可能となっていることが好ま
しい。すなわち、ラインヘッドと近接させた状態でメン
テナンス部を回動させると、メンテナンス部とラインヘ
ッドとをぶつけて、これらの損傷を招来する可能性があ
る。
【0031】このため、メンテナンス部を対峙位置から
移動させるときに、第1アームを伸縮させることで、メ
ンテナンス部とラインヘッドとの間隔(メンテナンス部
の対峙間隔)を変え、これらの衝突を回避できるように
設定されていることが好ましい。
【0032】また、同様に、第2アームも伸縮できるよ
うになっていることが好ましい。すなわち、印刷時にお
けるプラテンの適切な位置は、プラテン上のシート上面
(シートの印刷面)とラインヘッド(インク噴出部)と
の距離(印刷距離)を一定に保つような位置である。従
って、薄いシートを用いる場合には、プラテンの適切な
位置がラインヘッドに近くなり、プラテンとラインヘッ
ドとの間隔(プラテンの対峙間隔)が狭くなる。そし
て、このような位置に配置されているプラテンを対峙位
置から回動させると、メンテナンス部の場合と同様に、
プラテンをラインヘッドにぶつけてしまう可能性があ
る。そこで、プラテンを対峙位置から移動させるとき
に、第2アームを伸縮させることで、プラテンの対峙間
隔を変え、プラテンとラインヘッドとの衝突を回避でき
るように設定されていることが好ましい。
【0033】また、この構成では、対峙間隔を調整する
ために、ラインヘッドの対峙位置に配置されているメン
テナンス部・プラテンを支持し、これらを第1・第2ア
ームの伸縮する方向に移動させる対峙間隔調整部を備え
ることが好ましい。このような対峙間隔調整部を用いれ
ば、プラテンおよびメンテナンス部の対峙間隔を容易に
変更できる。
【0034】また、このような対峙間隔調整部は、例え
ば、ラインヘッドの対峙位置にあるプラテン・メンテナ
ンス部の下部に設けられ、これらを側面で支持しながら
回転する偏心カムを用いて容易に実現できる。ここで、
偏心カムの側面とは、偏心カムにおける回転面に垂直な
面のことである。
【0035】また、対峙間隔調整部は、メンテナンスの
際、メンテナンス部をラインヘッドと密着させるように
設定されていることが好ましい。これにより、メンテナ
ンスの際に、ラインヘッドの周囲に廃インクを飛び散ら
せてしまうことを防止できる。また、対峙間隔調整部
は、ラインヘッドにメンテナンス部を密着させたとき
に、メンテナンス部によるラインヘッドに対する圧力を
一定とすることが好ましい。これにより、メンテナンス
部によるメンテナンス作業(特にインクの拭き取り)を
良好に行える。
【0036】また、対峙間隔調整部は、印刷の際、シー
トの厚さに応じてプラテンを移動させることで、印刷距
離(シート上面とラインヘッドとの距離)を調整するよ
うに設定されていることが好ましい。これにより、印刷
品位を向上させられる。なお、シートの厚さに関する情
報は、例えば、赤外線センサー等を用いて容易に取得す
ることが可能である。
【0037】また、第1プリンターは、シリアルヘッド
を備えたプリンターと異なり、印刷中にメンテナンスを
行うことが困難なものである。そこで、印刷の開始直前
(印刷要求を受けた直後)に、ラインヘッドのメンテナ
ンスを行うようになっていることが好ましい。このた
め、第1プリンターでは、駆動部が、印刷の待機時(印
刷を行っていないとき;電源OFF時やアイドリング
時)、ラインヘッドの対峙位置にメンテナンス部を配置
するように設定されていることが好ましい。これによ
り、印刷要求に応じて、素早くメンテナンスを行える。
【0038】また、この構成では、印刷の待機時、対峙
間隔調整部によって、メンテナンス部をラインヘッドと
密着させておくことが好ましい。これにより、印刷待機
時におけるラインヘッド内のインクの乾燥,蒸発,汚染
を防止できる。
【0039】また、上記のような対峙間隔調整部は、プ
ラテンの対峙間隔を代えることで印刷距離を調整する印
刷距離調整部として、より一般なインクジェットプリン
ターに応用することもできる。
【0040】すなわち、本発明にかかる他のインクジェ
ットプリンター(第2プリンター)は、シートの幅方向
に沿って延びるラインヘッドを備え、プラテン上を搬送
されているシートにラインヘッドからインクを噴出して
印刷を行うインクジェットプリンターにおいて、シート
の厚さに応じてプラテンを移動させることで、シート上
面とラインヘッドとの距離を調整する印刷距離調整部を
備えていることを特徴としている。
【0041】この第2プリンターは、第1プリンターか
ら、メンテナンス部,連結部(回転盤やアーム等)およ
び駆動部を削除し、印刷距離調整部によってプラテンを
支える構成である。そして、この印刷距離調整部が、シ
ートの厚さに応じてプラテンを移動させることで(すな
わち、プラテンの対峙間隔を変化させることで)、印刷
距離を最適な値に調整するようになっている。これによ
り、簡単な構成で印刷品位を向上させられる。
【0042】また、第2プリンターにおける印刷距離調
整部も、上記した対峙間隔調整部と同様に、偏心カム、
すなわち、プラテンの下部に設けられ、プラテンを側面
で支持しながら回転する偏心カムから構成できる。
【0043】また、本発明にかかるさらに他のインクジ
ェットプリンター(第3プリンター)は、シートの幅方
向に沿って延びるラインヘッドを備え、プラテン上を搬
送されているシートにラインヘッドからインクを噴出し
て印刷を行うインクジェットプリンターにおいて、ライ
ンヘッドのインク噴出部を清掃するメンテナンス部を備
えており、さらに、このメンテナンス部が、インクを吸
引するための吸引部と、吸引部の周囲に形成され、吸引
部と上記インク噴出部との間の密封性を高めるための弾
性部材とを有していることを特徴としている。
【0044】この第3プリンターでは、インク噴出部に
残存している余分なインク(廃インク)を、メンテナン
ス部の吸引部によって吸い出すように設定されている。
また、特に、第3プリンターでは、メンテナンス部にお
ける吸引部の周囲に(吸引部を囲うように)、吸引部と
インク噴出部との間の密封性を高める弾性部材が設けら
れている。
【0045】すなわち、第3プリンターでは、この弾性
部材によって、インク噴出部と吸引部との間からの空気
漏れを防止するようになっている。これにより、第3プ
リンターでは、余分な廃インクを効率よく吸引できるよ
うになっている。また、上記の弾性部材によって、ライ
ンヘッドとメンテナンス部との間からの廃インクの漏れ
も防止できるので、廃インクによるプリンター内の汚染
を回避できる。
【0046】また、第3プリンターでは、メンテナンス
部が、インク噴出部に付着しているインクおよびゴミを
拭き取るためのブレードを備えていることが好ましい。
ここで、ブレードとは、ゴム等の弾性部材からなるもの
であり、ラインヘッドの表面に付着したインク、ゴミを
拭き取るものである。
【0047】この構成では、吸引部とブレードとを1つ
のメンテナンス部に備えているので、これらを別々のユ
ニットに設ける構成に比して、プリンター全体の構造を
簡略化できる。従って、プリンターにおけるサイズの小
型化・製造コストの低下を実現できる。
【0048】また、第3プリンターでは、メンテナンス
部に、メンテナンス時に回収した廃インクを収納する収
納タンクを備えることが好ましい。この構成では、メン
テナンス部内に廃インクを一時的に溜めておける。従っ
て、大量の廃インクを回収した場合でも、メンテナンス
部の外に廃インクを溢れ出させてしまうことを防止でき
る。
【0049】また、第3プリンターに、メンテナンス時
に、メンテナンス部をラインヘッドの対峙位置に配置す
る一方、印刷時に、メンテナンス部を対峙位置から退避
させるための移動機構を備えることも好ましい。また、
この移動機構が、ラインヘッドと平行に延びる回転軸
と、この回転軸に対して回転可能に設けられた回転盤
と、一端を上記回転盤に固定するとともに、他端におい
てメンテナンス部を保持するアーム(回転面内に延びる
ように設けられたアーム)と、上記回転軸を中心として
上記回転盤を回動させる駆動部とを有していることが好
ましい。
【0050】この構成では、移動機構によって、メンテ
ナンス部をシートの搬送方向に沿って(この方向を含む
面であって、ライン方向を含まない面内で)、メンテナ
ンス部を移動(上記対向位置への配置、およびこの位置
からの退避)させるようになっている。これにより、メ
ンテナンス部をプリンターの幅方向(シートの搬送方向
と直交する方向)にスライドさせる構成に比して、プリ
ンターにおける幅方向のサイズを小さくできる。
【0051】また、第3プリンターでは、上記の収納タ
ンクに、収納した廃インクを外部に排出するための開口
部を備えることが好ましい。さらに、上記したような移
動機構を備えている場合、メンテナンス部が対峙位置か
ら退避したときに、上記の開口部が上側を向くように設
定されていることが好ましい。これにより、メンテナン
ス部を退避させる際の、開口部からのインク漏れを防止
できる。
【0052】また、収納タンクの底面を傾斜面とし、上
記の開口部を傾斜面の最下部に設けるようにしてもよ
い。これにより、廃インクをメンテナンス部の外部に排
出しやすくなる。
【0053】また、第3プリンターでは、メンテナンス
部が、吸引部を横切るように設けられ、吸引部とインク
噴出部との間の空間を分割する分割壁を備えていること
が好ましい。
【0054】これにより、吸引部とインク噴出部との密
着性(機密性)をさらに高められる。さらに、吸引部
が、分割された空間毎(すなわち、分割されたインク噴
出面毎)にインクを吸引することとなる。このため、イ
ンク吸引工程の効率をさらに向上させられる。なお、こ
の構成では、プリンターの大型化を回避するために、分
割して吸引したインクを、1つの収容タンクに収容する
ことが好ましい。
【0055】また、本発明のラインヘッド(本ラインヘ
ッド)は、インクジェットプリンターに備えられ、シー
トの幅方向に沿って形成された複数のインク噴出部を有
するラインヘッドにおいて、外部から供給されたインク
をインク噴出部に向けて滴下するインク供給部を有して
おり、さらに、インク噴出部とインク供給部との間に、
インク噴出部を覆う浸透性材料からなるインク拡散部材
を備えていることを特徴としている。
【0056】本ラインヘッドは、上記したようなインク
ジェットプリンターにおいて用いられるものであり、シ
ートの幅方向に並ぶ複数のインク噴出部と、外部から供
給されたインクをインク噴出部に向けて滴下するインク
供給部とを有している。
【0057】また、特に、本ラインヘッドでは、インク
噴出部とインク供給部との間に、インク噴出部を覆うよ
うに、浸透性材料からなるインク拡散部材を設けてい
る。この浸透性材料は、フェルト等の布など、毛細管現
象によって内部で液体を拡散させる機能を有するもので
ある。
【0058】そして、本ラインヘッドでは、このインク
拡散部材によって、インク供給部から滴下されるインク
を受けるようになっている。従って、本ラインヘッドで
は、補助インクタンクから供給されたインクを、毛細管
現象によりその全域に広げた後、下部のインク噴出部に
伝達できるようになっている。
【0059】従って、インク供給部から離れた位置にあ
るインク噴出部に対しても、十分な量のインクを供給で
きるようになっている。すなわち、本ラインヘッドで
は、インク噴出部の形成位置によらずに、全てのインク
噴出部に対して十分な量のインクを行き渡らせることが
可能となっている。これにより、シートの全域に対し
て、良好な印刷を行うことが可能となっている。
【0060】また、通常のラインヘッドでは、インクを
噴出した直後、インク噴出部の内部が一時的に負圧にな
るため、内部に空気が入り込み易くなる。そして、イン
ク噴出部を介してラインヘッドの内部にまで空気が入り
込むと、インク噴出部に対するインク供給を正常に行え
なくなる場合がある。これに対し、本ラインヘッドで
は、インク噴出部に入り込んだ空気をインク拡散部材に
よって遮断できる。このため、ラインヘッド内への空気
流入を防止できるようになっている。
【0061】また、本ラインヘッドでは、インク拡散部
材の密度が、インク供給部から滴下されるインクを受け
る部分(インク導入部)において最も高く、この部分か
ら離れるに連れて低くなっていることが好ましい。
【0062】ここで、インク拡散部材の密度とは、浸透
性材料における生地(布)の詰まり具合のことである。
すなわち、密度の低い(疎な)部分では、インクの浸透
率が高いため、内部にインクを多く含むことができる。
また、密度の高い部分では、インクの浸透率・含有率は
低くなる。従って、インク拡散部材では、高密度部位に
あるインクは、低密度部位に流れることとなる。
【0063】そして、上記の構成におけるインク拡散部
材では、インク導入部(インク供給部から滴下されるイ
ンクを受ける部分)が高密度となっており、ここから離
れるにつれて低密度となっている。これにより、インク
拡散部材の全域(すなわち、全てのインク噴出部)に、
インクを行き渡らせることが容易となる。
【0064】また、このような密度分布を有するインク
拡散部材は、互いに密度の異なる複数の浸透性材料(浸
透性部材;浸透性タイル)を連結することで構成でき
る。この浸透性タイルは、単体としての(浸透性タイル
内での)密度が均一である一方、浸透性タイルどうしで
は、その密度が互いに異なるように設定されたものであ
る。このような浸透性タイルを用いることで、上記のよ
うな密度分布を有するインク拡散部材を容易に構成でき
る。
【0065】また、上記のようなインク拡散部材を、連
続的に(滑らかに)変化する密度を有する一体の浸透性
材料から構成するようにしてもよい。これにより、イン
クの拡散速度を高められる。
【0066】また、本ラインヘッドでは、インク拡散部
材を、インク噴出部上で傾斜させて設けるようにしても
よい。そして、インク拡散部材の上端近傍(最も高い部
位の近傍)で、インク供給部から滴下されるインクを受
けるように設定されていることが好ましい。この構成で
は、重力の影響により、インクは、インク導入部から離
れた部位(場所)に流れやすくなり、インク拡散部材の
全域に行き渡りやすくなる。また、インクの拡散速度を
高められる。
【0067】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明における
第1の実施形態について説明する。図2は、本実施の形
態にかかるインクジェットプリンター(本プリンター)
の外観の構成を示す説明図である。また、図3は、本プ
リンターの内部構造を示す説明図である。
【0068】これらの図に示すように、本プリンター
は、給紙トレイ20,ピックアップローラ21,搬送ロ
ーラ22,搬送ガイド32,PSローラ31,ラインヘ
ッド25,プラテン30,乾燥ユニット27,排出ロー
ラ28および排紙トレイ29を有している。
【0069】また、本プリンターは、図示しない画像処
理装置(コンピュータ等)から送信される画像データを
受信し、上記の部材を制御して印刷(画像形成)を行う
制御部(図示せず)を備えている。
【0070】給紙トレイ20は、本プリンターの下部に
設けられており、印刷用紙(シート)を蓄積しておくた
めのものである。ピックアップローラ21は、制御部か
ら受ける給紙命令に応じて、給紙トレイ20にセットさ
れたシートを1枚毎に取り出すためのものである。
【0071】搬送ローラ22は、ピックアップローラ2
1によって取り出されたシートを、搬送路Lに送り込む
ための給紙装置(給紙ローラ)である。また、搬送ガイ
ド32は、搬送路Lにおいてシートの搬送を補助するた
めの台である。
【0072】PSローラ31は、搬送路L上のシート
を、印刷に適した位置に配置するためのものである。す
なわち、PSローラ31は、給紙トレイ20から搬送さ
れてきたシートにおける印刷領域の先端を、印刷の開始
位置まで搬送し、その状態で一旦停止する。そして、後
述する印刷工程において、所定の搬送速度でシートを搬
送させるように設定されている。
【0073】ラインヘッド25は、制御部の制御によ
り、搬送されてきたシートに対してインク(記録剤)を
噴出して画像形成を行うものであり、インクを噴出する
ためのインクノズル24を備えている。なお、ラインヘ
ッド25の詳細な構成については、後述する実施の形態
3において説明する。また、このラインヘッド25は、
シートの搬送方向の略垂直な方向(ライン方向)に沿っ
て、シートの全幅(ライン方向の長さ)をカバーする数
のインクノズル24を備えている。従って、ラインヘッ
ド25では、1ライン分の画像(ライン画像)を一度に
(瞬時に)印刷できるようになっている。
【0074】プラテン30は、シートを印刷するための
台であり、印刷時におけるシートの平坦性を向上( 維
持) させるとともに、ラインヘッド25とシートとの間
隔を一定にする機能を有するものである。
【0075】乾燥ユニット27は、シートに噴出された
インクを乾燥させるものである。排紙トレイ29は、搬
送路Lの終端に設けられた、印刷・乾燥済みのシートを
載置するための載置台である。また、排出ローラ28
は、この排紙トレイ29に対して、排紙路(搬送路Lの
終端)上のシートを適切に排出するための排紙装置であ
る。
【0076】次に、本プリンターにおける印刷工程につ
いて説明する。まず、ユーザー(操作者)によってシー
トが給紙トレイ20に載置(給紙)され、図示しないコ
ンピュータ等からの画像データを含む印刷要求を受ける
と、制御部は、ピックアップローラ21・搬送ローラ2
2を動作させ、1枚のシートを搬送路Lに搬送させる。
【0077】ピックアップローラ21・搬送ローラ22
により搬送されたシートは、搬送ローラ22・PSロー
ラ31によって、搬送路L内で、画像データの先端とシ
ートの先端とが一致するように位置調節される。
【0078】そして、制御部は、インクノズル24を制
御してインクを噴出させ、画像データに応じたライン画
像をシートに形成(印刷)する。また、制御部は、ライ
ン画像の形成を実行させながら、搬送ローラ22・PS
ローラ31を制御して、搬送路L上のシートを所定の搬
送速度で搬送させる。これにより、画像データの全体を
シートに印刷することが可能となる。その後、制御部
は、乾燥ユニット27を制御してシートを乾燥させ、排
出ローラ28を制御して、印刷・乾燥済みのシートを排
紙トレイ29に排出する。
【0079】このように、本プリンターのラインヘッド
25は、インクノズル24をシートの全幅に渡って備え
ている。従って、ライン画像を一度に印刷できるため、
シリアルヘッドを用いる場合のようにシートを一旦停止
させる必要はなく、高速に印刷を行える。
【0080】また、本プリンターにおけるシートの搬送
速度は、画像データをラインヘッド25に転送する転送
速度と、ラインヘッド25(インクノズル24)のイン
ク噴出サイクルとによって決定される。
【0081】次に、ラインヘッド25のメンテナンス
(清掃)について説明する。このメンテナンスは、ライ
ンヘッド25の整備・クリーニングを行って、ラインヘ
ッド25の故障や画像品質の低下を防止するための処理
であり、インク吸引工程,ツバ吐き工程,顔拭き工程な
る3工程からなるものである。
【0082】インク吸引工程は、インクノズルに残った
インクの吸い出しを行う工程である。すなわち、インク
ノズル24からインクを噴出する際、インクノズル24
の中は負圧になる。従って、印刷直後(インク噴出の停
止直後)に、周囲のゴミが外気とともにインクノズル2
4内に入り込む可能性がある。そして、このようなゴミ
は、インクノズル24の目詰りの原因となる。また、目
詰りは、組成の変化によって固化したインクによっても
引き起こされる。そこで、インク吸引工程において、イ
ンクノズル24内に残ったインクとゴミとの吸引を行う
ようになっている。
【0083】また、ツバ吐き工程は、インクノズル24
が目詰りを起こしていないか否かを点検する工程であ
る。すなわち、この工程では、インクノズル24から少
量のインクを吐き出させ、目詰まりの有無を調べるよう
になっている。
【0084】また、顔拭き工程は、インクノズル24の
表面に残留しているインクを拭き取るための工程であ
る。すなわち、印刷時やツバ吐き工程時において、ライ
ンヘッド25におけるインク噴出面(インクノズル24
の付近)に、インクを飛び散らせてしまうことがある。
そこで、この顔拭き工程において、飛び散ったインク
を、ブレードと呼ばれる弾性部材(ゴム等)で拭き取る
ようになっている。
【0085】なお、本プリンターは、ラインヘッド25
のメンテナンスを、本プリンターの電源投入時、印刷要
求(印刷指示)のあったとき、および、印刷の終了時
(印刷済みのシートを排出したとき)に行うように設定
されている。また、メンテナンスでは、上記した3つの
工程を連続して行うようになっている。
【0086】ここで、本プリンターのメンテナンス機構
(本メンテナンス機構)について説明する。図1および
図4は、本メンテナンス機構の概略構成を示す説明図で
ある。これらの図に示すように、本メンテナンス機構
は、メンテナンスユニット60,回転盤40,アーム4
2a,アーム42bおよび偏心ローラ80a・80bを
備えている。
【0087】メンテナンスユニット(MU)60は、ラ
インヘッド25のインク噴出面(インクノズル24の形
成されている面)に密接して、ラインヘッド25のメン
テナンスを行うものである。なお、このMU60の詳細
な構成については、後述する実施の形態2において説明
する。
【0088】回転盤40は、ラインヘッド25の両端に
回転可能に設けられた円盤状の部材である。また、回転
盤40の側面には、アーム(支持軸)42aとアーム
(支持軸)42bとが直交するように設けられている。
なお、この回転盤40,アーム42aおよびアーム42
bで連結部が構成されている。
【0089】また、図4に示すように、アーム42aの
他端(回転盤40に接していない方の端部)には、上記
したMU60が備えられている。また、アーム42bの
他端(同上)には、上記したプラテン30が備えられて
いる。
【0090】図7は、これらアーム42a・42bの構
成を示す説明図である。この図に示すように、アーム4
2a・42bは、中空の円柱形状を有するアームソケッ
ト301と、このアームソケット301内で伸縮可能に
設けられたアームシャフト302とから構成されてい
る。すなわち、アーム42a・42bは、アームソケッ
ト301内でアームシャフト302を伸縮させること
で、その長さを所定範囲内で変化させられるように設定
されている。
【0091】なお、アーム42a・42bの長さは、後
述する偏心ローラ80a・80bによって調節されるよ
うになっている。また、アーム42a・42bは、アー
ムソケット301を回転盤40に固定する一方、アーム
シャフト302をMU60・プラテン30に固定するよ
うに設定されている。
【0092】図5および図6は、回転盤40における近
傍の構成を示す説明図である。これらの図に示すよう
に、回転盤40の上側部にはギア41が形成されてお
り、このギア41は、駆動モーター(駆動源)44に固
着されたギア(ギア部材)43と噛み合った状態となっ
ている。
【0093】さらに、回転盤40は、ラインヘッド25
の側壁(端部)に備えられているボス51にはめ込まれ
ている。このボス51は、回転盤40の回転軸(回転中
心)となるものであり、シートの搬送方向に対して垂直
な方向(ボス51の設けられたラインヘッド25の側面
と垂直な方向)に延びるように形成されている。これに
より、回転盤40は、シートの搬送方向に沿って(この
方向を含む面であって、ライン方向を含まない面内で)
回転できるように設定されている。
【0094】従って、本メンテナンス機構では、駆動モ
ーター44を駆動(回転駆動)させることにより、図1
に示すように、アーム42a・42bに備えられたMU
60・ プラテン30を、互いに連動させながら、ライン
ヘッド25の周囲をシート搬送方向に沿って回動させら
れるようになっている。なお、図1に示すように、排出
ローラ28およびPSローラ31は、MU60・プラテ
ン30が回動してもぶつからない位置に配設されてい
る。
【0095】また、図1に示すように、ラインヘッド2
5の下方には、偏心ローラ(偏心カム)80a・80b
が設けられている。この偏心ローラ80a・80bは、
ラインヘッド25とMU60あるいはプラテン30との
間隔(対峙間隔)を、適切な距離に設定するためのもの
である。
【0096】すなわち、これら偏心ローラ80a・80
bは、長軸方向の一端に形成された回転軸81を軸とし
て回転することで、その上端の位置を変化させられるよ
うになっている。そして、自身とラインヘッド25との
間(ラインヘッド25に対峙する位置;対峙位置)に位
置する部材(プラテン30あるいはMU60)を上端に
載置した状態で回転して所定位置(所定角度)で停止す
ることで、対峙間隔を適切に設定するようになってい
る。
【0097】図8は、メンテナンス時における本メンテ
ナンス機構の配置状態(メンテナンス状態)を示す説明
図である。この図に示すように、メンテナンス時では、
対峙位置にMU60が位置しており、偏心ローラ80a
・80bの上端に載っている。また、メンテナンス時に
はMU60をラインヘッド25に密着させるため、メン
テナンス状態における対峙間隔は0となる。
【0098】なお、本プリンターでは、メンテナンス時
に限らず、印刷を行っていないとき(待機時;印刷要求
を受けていない場合や電源OFF時等)には、本メンテ
ナンス機構が、ラインヘッド25とMU60とを密着さ
せたメンテナンス状態となるように設定されている。こ
れは、待機時におけるラインヘッド25からのインクの
蒸発・乾燥を防止するためである。また、印刷要求のあ
ったとき、あるいは、電源投入時に、メンテナンスを早
く行えるという利点もある。
【0099】また、図11は、印刷時における本メンテ
ナンス機構の配置状態(印刷状態)を示す説明図であ
る。この図に示すように、印刷時では、対峙位置にプラ
テン30が位置しており、偏心ローラ80a・80bの
上端に載っている。この場合の対峙間隔は、偏心ローラ
80a・80bを回転させ、所定位置に固定することに
より決定される。
【0100】ここで、印刷品位を低下させないために
は、印刷時に、プラテン30上のシート上面(印刷面)
とラインヘッド25との距離(印刷距離)を一定にする
ことが好ましい。従って、印刷時における最適な対峙間
隔は、印刷に使用するシートの厚さに応じて異なること
となる。従って、制御部は、シートの厚さに応じて偏心
ローラ80a・80bを回転させてプラテン30の対峙
間隔を調整し、印刷距離を最適にするように設定されて
いる。
【0101】なお、本プリンターでは、制御部は、シー
トの厚さに関する情報を、搬送路L上に設けられた図示
しない赤外線センサーを用いて取得するようになってい
る。また、制御部は、本プリンターに設けられた操作部
のキー(共に図示せず)に対するユーザーの入力によっ
て、シートの厚さに関する情報を取得することもでき
る。また、印刷状態での実際の対峙間隔は、シートの厚
さによって異なるが、およそ1.0〜1.5mm程度で
ある。
【0102】次に、本メンテナンス機構がメンテナンス
状態から印刷状態に移行する際の動作を、図8〜図11
を用いて説明する。まず、図8に示すように、メンテナ
ンス状態では、制御部は、ラインヘッド25とMU60
とを密着させる位置で、偏心ローラ80a・80bを固
定している(ステップ1)。
【0103】そして、印刷状態に移行する際(印刷要求
のあった場合や電源投入時等)には、図9に示すよう
に、制御部が、偏心ローラ80a・80bを回転させ
て、対峙間隔を拡げる(ステップ2;スタート時)。こ
れは、MU60を回動させる際に、MU60とラインヘ
ッド25とを衝突させないように、アーム42aを延ば
しておくためである。
【0104】次に、図10に示すように、制御部は、駆
動モーター44(図6参照)を動作させて回転盤40
(アーム42a・42b)回動させ、プラテン30を対
峙位置に配置させて偏心ローラ80a・80bの上に載
せる(ステップ3)。このとき、シートは、PSローラ
31によって位置調整されている段階である。
【0105】その後、制御部は、図11に示すように、
偏心ローラ80a・80bを回転させてプラテン30を
上下させ、プラテン30の対峙間隔(および印刷距離)
を、シートの厚さに応じた最適な値に設定する。これに
より、適切な対峙間隔での印刷を開始できる。
【0106】以上のように、本プリンターは、ライン方
向に沿って延びるラインヘッド25と、プラテン30
と、MU60とを備えている。そして、MU60とプラ
テン30とを連結する連結部(回転盤40,アーム42
a・42b)と、連結部を駆動して、MU60とプラテ
ン30との何れかをラインヘッド25と対峙する位置に
配置する駆動モーター44とを有する構成である。
【0107】これにより、印刷時(画像形成時)にはプ
ラテン30を対峙位置に配置させ、かつ、メンテナンス
時にはMU60を対峙位置に配置できる。従って、従っ
て、ラインヘッド25を移動(回転)させることなく、
ラインヘッド25のメンテナンスを良好に行える。
【0108】さらに、本プリンターでは、プラテン30
とMU60とを連結部によって連結することで、1つの
駆動機構(1組の駆動モーター44・回転盤40)で、
これらを同時に移動させられるようになっている。従っ
て、プラテン30とMU60とを個別に移動させる構成
に比べて、駆動機構を簡略化できる。
【0109】これにより、本プリンターでは、MU60
の構造を複雑化することなく、ラインヘッド25のメン
テナンスを簡便に行えるようになっている。従って、イ
ンクジェットプリンターにおけるサイズの小型化・製造
コストの低下を図ることが可能となっている。
【0110】また、本プリンターでは、ラインヘッド2
5の両側面に、ラインヘッド25と平行方向(シート搬
送方向に対して垂直な方向;ライン方向)に延びるボス
51を備え、回転盤40,アーム42a・42bが、こ
のボス51の周囲に回動できるように設定されている。
そして、制御部および駆動モーター44が、このボス5
1を中心として連結部を回動させることにより、ライン
ヘッド25の対峙位置に、MU60あるいはプラテン3
0を配置するようになっている。
【0111】これにより、MU60およびプラテン30
を、ラインヘッド25の周りに、シートの搬送方向に沿
って(この方向を含む面であって、ライン方向を含まな
い面内で)回動させられる。従って、例えば、MU60
・プラテン30をプリンターの横にスライドさせること
で、これらを対峙位置に配置する構成に比して、ライン
方向のサイズを小さくできる。
【0112】また、本プリンターでは、プラテン30と
MU60とを連結する連結部として、上記のボス51に
対して回転可能に設けられた回転盤41と、この回転盤
41から延びる2本のアーム42a・42bとを備えて
いる。また、この2本のアーム42a・42bは、回転
盤41の側面に、回転盤41の回転面内で延びるように
設けられている。これにより、回動可能な連結部を容易
に構成できる。
【0113】また、本プリンターでは、MU60が、メ
ンテナンスの際、ラインヘッド25に近接(密接)した
状態で配置される。これにより、メンテナンス中、MU
60とラインヘッド25との隙間から廃インクを飛散さ
せてしまうことを抑制することが可能となる。
【0114】また、本プリンターでは、MU60・プラ
テン30を支持するアーム42a・42bが、伸縮可能
となっている。これにより、MU60・プラテン30と
ラインヘッド25との衝突を回避できる。
【0115】また、本プリンターでは、対峙間隔を調整
するために、ラインヘッド25の対峙位置に配置されて
いるMU60・プラテン30を支持し、これらをアーム
42a・42bの伸縮する方向に移動させる偏心ローラ
80a・80bを備えている。これにより、プラテン3
0およびMU60の対峙間隔を容易に変更できる。
【0116】また、制御部および偏心ローラ80a・8
0bは、印刷の際、シートの厚さに応じてプラテン30
を移動させることで、印刷距離(シート上面とラインヘ
ッド25との距離)を調整するように設定されている。
これにより、印刷品位を向上させられる。
【0117】また、本プリンターでは、制御部が、印刷
の待機時(印刷を行っていないとき;電源OFF時やア
イドリング時)、ラインヘッド25の対峙位置にMU6
0を配置するように設定されている。これにより、印刷
要求に応じて、素早くメンテナンスを行える。
【0118】また、この構成では、印刷の待機時、対峙
間隔調整部によって、MU60をラインヘッド25と密
着させておくようになっている。これにより、印刷待機
時におけるラインヘッド25内のインクの乾燥,蒸発,
汚染を防止できる。
【0119】なお、本実施の形態においては、アーム4
2aとアーム42bとが直交する場合(アーム42a・
42bのなす角度が直角な場合)について説明してい
る。しかしながら、アーム42a・42bのなす角度
(アーム42aとアーム42bとの角度)は、直角以下
であれば、特に限定されるものではない。
【0120】すなわち、本メンテナンス機構が印刷状態
となったとき、アーム42aの先端部に支持されている
MU60のインク噴出面が下向きとなると、MU60内
のインク(メンテナンスによって排出されたインク)
が、本プリンター内あるいはシート上にこぼれ落ちる可
能性がある。従って、本メンテナンス機構では、このよ
うな不具合を防止するために、アーム42a・42bの
なす角度を90度以下とすることが好ましい。
【0121】また、本実施の形態では、メンテナンス
を、本プリンターの電源投入時点、印刷要求のあった時
点、および、印刷の終了時点で行うとしている。しかし
ながら、これに限らず、メンテナンスを、上記したうち
のいずれかの時点(タイミング)だけに行うようにして
もよい。
【0122】さらに、ラインヘッド25のメンテナンス
を、インクノズル24(ラインヘッド25)から噴出さ
れるインクの量、あるいは、インクの噴出回数に応じて
行うようにしてもよい。すなわち、インクの噴出量(あ
るいは噴出回数)が所定の値に達した場合に限り、上記
した3つの時点のいずれかにおいて、ラインヘッド25
のメンテナンスを行うように設定してもよい。さらに、
インク噴出量・噴出回数が所定の値に達した直後に、メ
ンテナンスを行うように設定してもよい。
【0123】また、本実施の形態においては、対峙間隔
を変更するために、偏心ローラ80a・80bを用いて
いる。しかしながら、これに限らず、例えば、アーム4
2a・42b内に、これらを伸縮させるモーターを取り
付け、これによって対峙間隔を変更するようにしてもよ
い。
【0124】また、本実施の形態では、ラインヘッド2
5のインクノズル24がシートの全幅をカバーする数だ
け備えられているとしている。しかしながら、これに限
らず、ラインヘッド25は、より少ない数のインクノズ
ル24を備えるようにしてもよい。
【0125】また、本実施の形態では、印刷時の対峙間
隔を、シートの厚さに応じて変更するとしている。しか
しながら、シートの厚さだけでなく、シートの種類に応
じて変更するようにしてもよい。
【0126】また、偏心ローラ80a・80bは、ライ
ンヘッド25にMU60を密着させたときに、MU60
によるラインヘッド25に対する圧力を一定とすること
が好ましい。これにより、MU60によるメンテナンス
作業(特にインクの拭き取り)を良好に行える。
【0127】また、本実施の形態では、制御部が、プラ
テン30の対峙位置(対峙間隔)を決定するために、シ
ートの厚さに関する情報を、搬送路L上に設けられた図
示しない赤外線センサーを用いて取得するとしている。
しかしながら、これに限らず、制御部は、シートの厚さ
に関するユーザーの入力指示に従って、プラテン30の
対峙位置を決定するようにしてもよい。
【0128】また、本実施の形態では、ラインヘッド2
5に対するメンテナンスの際、顔拭き工程,インク吸引
工程およびツバ吐き工程の3工程を実施するとしてい
る。しかしながら、これに限らず、メンテナンスにおい
ては、上記3工程のうちのいずれか1つ(あるいは2
つ)を行うように設定してもよい。また、メンテナンス
を、ツバ吐き工程だけを実施して、廃インクをMU60
に回収させるだけとしてもよい。この場合、MU60
は、廃インク回収装置としての機能だけを発揮すること
となる。
【0129】また、本実施の形態では、メンテナンスの
際、ラインヘッド25にMU60を密接させるとしてい
る。しかしながら、上記のようにツバ吐き工程だけを行
う場合には、MU60を、ラインヘッド25に密着させ
ることなく、ラインヘッド25の下部位置(対峙位置)
に配置させるだけでもよい。
【0130】また、本実施の形態では、偏心ローラ80
a・80bによって、連結部によって連結されたプラテ
ン30とMU60との対峙間隔を変更するとしている。
【0131】しかしながら、本プリンターから、連結
部,MU60,駆動モーター44等の駆動部を省いたと
しても、偏心ローラ80a・80bおよび上下方向に移
動可能に設けられたプラテン30を備えていれば、適切
な印刷間隔(MU60の対峙間隔)での印刷を実行でき
るプリンターを構成できる。
【0132】〔実施の形態2〕本発明における第2の実
施形態について説明する。なお、本実施の形態では、上
記した実施の形態1に示した部材と同一の機能を有する
部材に同一の符号を付記し、その説明を省略している。
【0133】本実施の形態では、実施の形態1に示した
MU60の詳細な構造について説明する。実施の形態1
に示したように、MU60は、本プリンターに対するメ
ンテナンスの際、ラインヘッド25のインク噴出面(イ
ンクノズル24の形成されている面)に密接して、ライ
ンヘッド25のメンテナンスを行うものである。
【0134】すなわち、MU60は、メンテナンス時に
ラインヘッド25に密接して、後述するブレードを用い
た顔拭き工程、および、ポンプによるインク吸引工程を
行うようになっている。また、MU60は、メンテナン
スの全工程においてラインヘッド25から排出されるイ
ンク(余剰のインク; 廃インク)を回収する機能も有し
ている。
【0135】図12・図13は、MU60の構成を示す
ための側面図および上面図である。これらの図に示すよ
うに、MU60は、スクリューシャフト101,ブレー
ド102,弾性部材103,収納タンク104,開口部
105,駆動モーター106,ギア107・108を備
えている。
【0136】ブレード102は、実施の形態1に示した
メンテナンスにおける顔拭き工程において、ラインヘッ
ド25のインク噴出面(表面)に付着したゴミやインク
を拭き取るためのものである。なお、このブレード10
2は、画像形成装置(電子写真装置等)のクリーニング
機構等に用いられるゴム等の、弾性部材から構成されて
いる。また、このブレード102は、自身を移動させる
ためのネジ孔部311に固定されている。このネジ孔部
311は、ブレード102を下方から支持するためのも
のであり、後述するスクリューシャフト101をねじ込
める(はめ込める)ようなネジ孔を有するものである。
【0137】スクリューシャフト101,駆動モーター
106およびギア107は、ブレード102を駆動(移
動)させるためのものである。すなわち、スクリューシ
ャフト101は、MU60の中心を、一方の端から他端
まで、幅方向に貫くように設けられている。そして、そ
の一方の端部は、駆動モーター106に連結されたギア
107・108に接続されている。
【0138】また、スクリューシャフト101の側面に
は、ブレード102を支持するネジ孔部311のネジ孔
にはまり込むような、らせん状の溝が形成されている。
そして、スクリューシャフト101は、駆動モーター1
06,ギア107・108から伝達される駆動力により
回転することで、ブレード102を、幅方向に往復移動
させるようになっている。
【0139】弾性部材103は、MU60におけるライ
ンヘッド25との対向面(メンテナンス面)に、この面
を囲うように設けられたゴムである。そして、この弾性
部材103は、メンテナンス状態におけるラインヘッド
25とMU60との密着性(密封性)を高める機能を有
している。
【0140】収納タンク104は、メンテナンスにおい
て回収(発生)した廃インクを一時的に溜めるインクタ
ンクであり、インクを排出するための排出口である開口
部105を備えている。また、図12に示すように、こ
の収納タンク104の底面は傾斜面となっている。そし
て、傾斜面の最下端に、上記した開口部105が設けら
れている。これにより、収納タンク104では、開口部
105の形成位置に廃インクを集められるようになって
いる。
【0141】なお、本プリンターにおけるインク吸引工
程は、ラインヘッド25とMU60とを密接させた状態
で、開口部105にポンプ(図示せず)を接続し、これ
によって収納タンク104内を吸引する工程である。こ
れにより、ラインヘッド25に対するインク吸引、およ
び収納タンク104内に溜まった廃インクの回収を、効
率よく行えるようになっている。
【0142】以上のように、MU60は、弾性部材10
3を有しているので、ラインヘッド25とMU60との
密着性を高められ、効率よくメンテナンスを行える。す
なわち、MU60では、上記の密着性を高めることによ
り、インク吸引工程におけるインク吸引力を高められる
とともに、吸引したインクを周囲に飛び散らせることを
防止できるようになっている。
【0143】また、上記したように、印刷(画像形成)
の待機中、MU60は、ラインヘッド25内におけるイ
ンクの蒸発・乾燥を防ぐために、ラインヘッド25に密
着している。そして、MU60では、弾性部材103に
よってラインヘッド25との密着性を高めているので、
インクの蒸発・乾燥を確実に防止することが可能となっ
ている。
【0144】また、MU60は、顔拭き工程のためのブ
レード102を備えている。従って、このMU60によ
って、インク吸引工程と顔拭き工程との双方を行えるよ
うになっている。これにより、顔拭き工程を行うための
他の部材を必要としないので、本プリンターの小型化を
図れるようになっている。
【0145】なお、図1に示すように、印刷時、MU6
0が回動して対峙位置から離れたとき、上記の開口部1
05は、MU60の上部側に位置するように設計されて
いる。これは、収納タンク104に残っている廃インク
を、本プリンター内にこぼれ落としてしまうことを防ぐ
ためである。
【0146】また、本実施の形態では、弾性部材103
を、MU60におけるラインヘッド25との対向面(メ
ンテナンス面)に、この面の周囲を囲うように設けると
している。しかしながら、これに加えて、図14・図1
5に示すように、メンテナンス面を分割するように、弾
性部材103と同一の材料からなる分割壁103aを設
けるようにしてもよい。そして、図14に示すように、
分割壁103aによって分割されたメンテナンス面の各
領域に、ブレード102(およびネジ孔部311)をそ
れぞれ配置するようにしてもよい。
【0147】MU60を上記のように構成すれば、メン
テナンス時間を短縮することが可能となる。すなわち、
図12・図13に示した構成では、ブレード102によ
る顔拭き工程に長い時間を要する。これに対し、図14
・図15に示した構成では、この顔拭き工程を、複数の
ブレード102によって分担して行えるため、比較的に
短時間で実行できる。
【0148】また、この構成では、新たに設けた分割壁
103aによって、メンテナンス面(およびラインヘッ
ド25のインク噴出面)を分割している。このため、ラ
インヘッド25とMU60との密着性(機密性)をさら
に高められるとともに、インク吸引工程において、分割
された領域ごとにインクを吸引することとなる。このた
め、インク吸引工程の効率をさらに向上させられる。
【0149】このように、MU60のメンテナンス面を
分割するような分割壁103aを新たに設けることで、
メンテナンスの時間を短縮することが可能となる。
【0150】また、この構成においても、各工程(イン
ク吸引工程,顔拭き工程,ツバ吐き工程)において回収
したインクを、1つの収納タンク104に収容して、開
口部105から排出することとなる。このため、MU6
0のサイズを、図12・図13に示した構成と同様とで
きるようになっている。
【0151】また、本実施の形態では、弾性部材103
がゴムからなるとしている。しかしながら、弾性部材1
03(および分割壁103a)の材料は、ゴムに限ら
ず、発泡性の材料(発泡スチロール等)など、弾性を有
するものであれば、特に限定されるものではない。
【0152】〔実施の形態3〕本発明における第3の実
施形態について説明する。なお、本実施の形態では、上
記した実施の形態1・2に示した部材と同一の機能を有
する部材に同一の符号を付記し、その説明を省略してい
る。
【0153】本実施の形態では、実施の形態1に示した
ラインヘッド25の詳細な構造について説明する。
【0154】図16は、ラインヘッド25における外観
の構成を示す説明図である。また、図17は、ラインヘ
ッド25を、図16における矢印a方向から示す正面図
である。また、図18は、ラインヘッド25を、同じく
矢印b方向から示す下面図である。さらに、図19は、
ラインヘッド25を、同じく矢印c方向から示す側面図
である。
【0155】これらの図に示すように、ラインヘッド2
5は、インク供給部204,補助インクタンク201,
インク拡散部203およびインクノズル部205を備え
ている。
【0156】なお、図19に示すように、ラインヘッド
25内は、ライン方向(図19と垂直な方向)にそって
設けられた隔離壁321によって、4つの色領域R1〜
R4に区切られている。また、補助インクタンク20
1,インク拡散部203,インクノズル部205は、色
領域R1〜R4に区分けされた(分割された)状態とな
っている。
【0157】そして、本プリンターでは、これら4つの
色領域R1〜R4を用いて、印刷に使用する4色(Y
(黄色),M(マゼンタ),C(シアン),B(黒))
のインクを、色別に取り扱うようになっている。
【0158】インク供給部204は、本プリンターにお
けるインクタンク(図示せず)から供給される4色(Y
MCB)のインクを、上記した4つの色領域R1〜R4
に対して、色別に分配するものである。
【0159】インクノズル部205は、インク噴出を行
うインクノズル24の形成部分である。インクノズル2
4は、インク供給部204から供給されるインクを保持
し、制御部の指示に応じてインク噴出を行うように設定
されている。なお、本プリンターは、図18に示すよう
に、多数のインクノズル24を備えている。そして、こ
れらのインクノズル24を、色領域R1〜R4毎に、ラ
インヘッド25の全幅をカバーするように(シートの全
幅をカバーするように)配置している。
【0160】補助インクタンク201は、インクノズル
24によって保持しきれなかったインク(余ったイン
ク)を一時的に溜めておくためのバッファタンクであ
る。
【0161】補助インクタンク201とインクノズル部
205との間に配されたインク拡散部203は、インク
拡散部材を保持するためのものである。このインク拡散
部材は、インクノズル部205において、色領域R1〜
R4毎に個別に設けられており、補助インクタンク20
1への空気流入を防止する機能を有している。また、イ
ンク拡散部材は、色領域R1〜R4の全インクノズル2
4に対し、インク供給部204から供給されたインクを
均一に行き渡らせる(全インクノズル24に対して、ほ
ぼ均一な量のインクを供給する)機能も有している。
【0162】以下に、このインク拡散部材について説明
する。図20(a)は、インク拡散部材203aの構成
を示す斜視図である。この図に示すように、インク拡散
部材203aは、一体の浸透性材料(フェルト等)から
構成されている。また、図20(a)に示すインク導入
部202は、インク供給部204から注ぎ込まれるイン
クを受ける部分(インクの導入される部分)である。
【0163】また、図21は、インク拡散部材203a
の密度(浸透性材料の密度)を示すグラフ(実線)を、
インク拡散部材203aにおけるライン方向での位置に
対応させて示す説明図である。この図に示すように、イ
ンク拡散部材203aの密度は、その位置に応じて連続
的に(滑らかに)変化している。すなわち、グラフにお
いて実線で示すように、インク拡散部材203aの密度
は、インク導入部202付近で最も密であり、この部分
から離れていくにつれて疎になっている。
【0164】また、浸透性材料におけるインクの含有率
・浸透率は、密度に応じた値となるものである。すなわ
ち、浸透性材料におけるインク含有率・浸透率は、密度
の高い部分で小さくなる一方、密度の高い部分では大き
くなる。
【0165】ここで、上記のような構成のインク拡散部
材203aによる、インクノズル24に対するインク充
填について説明する。まず、図示しないインクタンクか
ら、YMCBのインクが、インク供給部204を介して
ラインヘッド内の色領域R1〜R4に導入される。この
とき、インクは、まず、インク拡散部材203aにおけ
る密度の高い(密な)インク導入部202に注ぎ込まれ
る(滴下される)。
【0166】ここで、インク導入部202では、浸透性
材料の密度が高いため、インクの含有率・浸透率の低く
なっている部分である。このため、大部分のインクは、
インク導入部202の近傍にしみ込むことなく、表面張
力により、インク拡散部材203aにおける密度のより
低い部分に流れる。
【0167】これにより、各色領域R1〜R4に供給さ
れたインクは、インク拡散部材203aの全域(ライン
ヘッド25の全域)に広がってゆく。そして、毛細管現
象により、インク拡散部材203a中に浸透していき、
その下部にあるインクノズル24に充填されることとな
る。なお、インク拡散部材203a中に浸透しきれなか
ったインクは、インク拡散部材203aの上部部位であ
る補助インクタンク201中に溜められる。
【0168】また、印刷(画像形成)時には、インクノ
ズル24内部に備えられている電極(図示せず)が発熱
する。これにより、インクノズル24内のインクが膨張
し、外部に噴出される。このとき(インク噴出の直
後)、インクノズル24の内部は、瞬間的に負圧にな
る。そして、負圧になったインクノズル24は、この負
圧を解消するために、インクノズル24に接しているイ
ンク拡散部材203a中のインクを、インクノズル24
中に引き込む(再充填する)ようになる。
【0169】以上のように、ラインヘッド25は、イン
クノズル24と補助インクタンク201との間に、浸透
性材料からなるインク拡散部材203aを備えている構
成である。これにより、ラインヘッド25の全幅にイン
クを行き渡らせることが可能となるとともに、補助イン
クタンク201への空気流入を防止できるようになって
いる。
【0170】また、ラインヘッド25では、インク拡散
部材203aの密度が、インク導入部202付近で高く
なっている一方、インク導入部202から遠くなるにつ
れて低くなっている。これにより、ラインヘッドの全幅
にインクを行き渡しやすくなっている。
【0171】すなわち、インク拡散部材203aの密度
を一定とした場合、インク導入部202から導入された
インクを、1か所(インク導入部202の近傍)に滞留
させてしまう可能性がある。このような場合、ラインヘ
ッド25の全体(全てのインクノズル24)にインクが
行き渡らなくなる。そして、インクノズル24のインク
充填量にバラツキ(ライン方向での設置位置に応じたバ
ラツキ)が生じ、良好な印刷を行えなくなる可能性があ
る。
【0172】これに対し、ラインヘッド25では、イン
ク拡散部材203aの密度を、インク導入部202から
離れるに連れて低く設定している。すなわち、インク導
入部202の近傍におけるインク吸収率を低くする一
方、インク導入部202から離れた箇所のインク吸収率
を高めている。これにより、各色領域R1〜R4におけ
る全てのインクノズル24に対し、均一にインクを充填
させることが可能となっている。
【0173】なお、本実施の形態では、インク拡散部材
203aを、一体の浸透性材料(フェルト等)から構成
するとしている。しかしながら、これに限らず、インク
拡散部材203aを、図20(b)に示すように、密度
の異なる複数の浸透性材料(浸透性部材)であるインク
拡散タイル331a〜331eをつなぎ合わせて構成し
ていてもよい。
【0174】インク拡散タイル331a〜331eは、
浸透性材料から構成されるものであり、単体としての
(各インク拡散タイル331a〜331e内での)密度
は均一なものである。一方、インク拡散タイル331a
〜331eどうしでは、その密度は互いに異なるように
設定されている。
【0175】すなわち、図21に破線で示すように、こ
の構成では、インク拡散部材203aの密度を、段階的
に変化させるようになっている。この構成では、図20
(a)に示したインク拡散部材203aに比して、イン
クの拡散速度(インクを行き渡らせる速度)は遅くな
る。しかしながら、内部密度の徐々に変化する一体の浸
透性材料を製造する必要がないため、インク拡散部材2
03aを簡単に製造できる。
【0176】また、図20(b)に示した構成では、各
インク拡散タイル331a〜331eのつなぎ目で、イ
ンクの滞留が生じる。すなわち、浸透性率(浸透率,密
度)の低いタイル(低密度タイル)と高密度のタイル
(高密度タイル)とのつなぎ目では、低密度タイルの接
続面(接触面)にインクが滞留する。このため、この面
でオーバーフローしたインクが、高密度タイルに流れ込
む(戻る)こととなる。これにより、低密度タイル中の
インク量を均一にできる。
【0177】このように、図20(b)に示す構成にお
いても、インク拡散部材203aを均一密度で構成する
場合に比して、インクの拡散速度を向上できるととも
に、全領域のインクノズル24に対し、均一な量のイン
クを供給できる。
【0178】また、図22に示すように、インク拡散部
材203aを、インク導入部202の形成されている方
の端部(インク導入部202に近い方の端部)を高くす
るように、傾斜させて設けるようにしてもよい。
【0179】これにより、重力の影響を受けるので、イ
ンクは、インク導入部202から離れた部位(場所)に
流れやすくなり、ラインヘッド25の全幅へ行き渡りや
すくなる。なお、この場合、インク拡散部材203aの
密度は、全領域に渡って均一になっていてもよい。
【0180】また、シリアルヘッドは、インクを噴出す
るインクノズルがガイドレール上を左右に移動しながら
数ドットごとに印刷を行うインクヘッドであるといえ
る。また、通常、ラインヘッドは、インク噴出部(イン
クノズル)と補助インクタンクとから構成されている。
この補助インクタンクは、外部から供給されるインクを
いったん保持し、ラインヘッドに伝達するものである。
【0181】しかしながら、ラインヘッドを用いる構成
では、ラインヘッドが長いため、ラインヘッドの全幅に
インクを行き渡らせることが困難であった。また、ライ
ンヘッド内で、インクに気泡を発生させてしまうという
間題もあった。そこで、特開平6−183029号公報
には、ラインヘッドの全幅にインクを行き渡らせ、か
つ、気泡を分解するために、インク流路に圧力をかける
構成が開示されている。しかしながら、この構成では、
圧力発生源を必要とするため、ラインヘッドの構造が複
雑化してしまう。
【0182】また、特開平11−291511号公報の
プリンターでは、ラインヘッドの表面(金属)と、メン
テナンス部材の表面(金属)とを密着させてメンテナン
スを行っていた。このため、メンテナンス時、互いの表
面を傷めてしまうとともに、これらの間の密着性(密封
性)を高められなかった。従って、メンテナンス部材に
よってヘッドのインクを吸い出す際、高い吸引力を得ら
れなかった。さらに、ラインヘッドとメンテナンス部材
との間からインクが漏れだし、プリンター内部を汚染す
ることもあった。
【0183】また、特開平11−291511号公報の
プリンターでは、ラインヘッドの表面に付着したインク
やゴミを拭き取るメンテナンス部材(ブレード)と、イ
ンクを吸引するメンテナンス部材(吸引部)とを、それ
ぞれ別個のユニットに備えている。このため、このプリ
ンターでは、ブレードをラインヘッドに近接させる駆動
源と、ブレードをラインヘッドの全幅に移動させる駆動
源と、吸引部をラインヘッドに近接させる駆動源との3
つの駆動源とを必要とするので、メンテナンス機構にお
ける全体構成が複雑となり、プリンターの大型化を招来
するという問題点がある。
【0184】また、ラインヘッドを備えた従来のプリン
ターでは、シートの厚さに応じて印刷距離を調整する
際、重く複雑で精密な部品であるラインヘッドの位置
(高さ)を調節するようになっていた。このため、印刷
距離の調整機構が複雑となり、製造コストの上昇、およ
び、プリンターの大型化を招来していた。
【0185】また、本発明の他の目的は、ラインヘッド
のメンテナンスを効率よく簡便に行える、簡単な構造の
メンテナンス部材を有するインクジェットプリンターを
提供することにある。また、本発明におけるさらに他の
目的は、ラインヘッドの全幅に対し、容易にインクを行
き渡らせることの可能なラインヘッドを提供することに
ある。
【0186】また、PSローラ31は、シートの印刷領
域の先端を、印刷の開始位置まで搬送した後、上記した
印刷工程に応じて、順次シートを搬送させるように設定
されていてもよい。また、プラテン30は、シートを搬
送するための台であるともいえる。また、ラインヘッド
25は、シートの搬送方向の略垂直な方向であるライン
方向に沿って、インクを噴出するインクノズル24を複
数備えたものであるといえる。また、乾燥ユニット27
は、印刷によってシートに噴出されたインクを乾燥させ
るように設定されていてもよい。
【0187】また、本プリンターでは、ラインヘッド2
5のインクノズル24が、画像データに応じて用紙にイ
ンクを噴出し、1ライン分の画像が印刷された後、PS
ローラ31が、搬送路L上のシートを、1ライン分の画
像の幅だけ搬送させるようになっていてもよい。また、
インクジェットプリンターでは、プラテン上におけるシ
ートの表面とラインヘッドとの距離を一定にすること
が、表示品位を確保する上で不可欠であるともいえる。
【0188】また、シリアルヘッドを備えたプリンター
で印刷を行う場合について説明する。シリアルヘッド
は、数ドットずつインクを噴出しながら走査方向に移動
することで、ライン画像を印刷するようになっている。
従って、このプリンターでは、ライン画像の形成時にシ
ートを停止させ、形成後にシートの搬送(ライン画像の
幅分の搬送)を行うようになっている。また、ツバ吐き
工程は、インクノズルが目詰りを起こしていないか調べ
るための工程であるといえる。また、図1は、MU60
とプラテン30との回動機構を示す説明図であるともい
える。
【0189】また、回転盤40は、回転自在の円形ギア
であり、アーム42aとアーム42bとが直交するよう
に設けられているといえる。また、ギア41を、支持回
転用ギアと表現することもできる。また、偏心ローラ8
0a、80bは、MU60やプラテン30とラインヘッ
ド25との間隔を変えるために用いられるものであり、
長軸方向の一端を回転軸にして回転できるものである。
また、ラインヘッド25とMU60との間隔(およびラ
インヘッド25とMU60との間隔)は、偏心ローラ8
0a・80bを回転させ、決まった位置に固定すること
により決定されるように設定されていてもよい。
【0190】また、本メンテナンス機構が印刷状態とな
ったとき、アーム42aの先端部に支持されているMU
60の壁面が水平状態以上になると、MU60内のイン
ク(メンテナンスによって排出されたインク)が、壁面
を伝って、本プリンター内(装置内)あるいはシート上
に落下する可能性がある。このような不具合を防止(解
消)するためにも、アーム42a・42bのなす角度
を、最大でも90度(MAX.90度)とすることが好
ましい。
【0191】また、本メンテナンス機構が図10に示し
た状態にあるときには、PSローラ31によってシート
の先端が移動中であるといえる。また、図11に示した
状態にある場合には、シートがPSローラ31で待機中
/印刷中となっているといえる。
【0192】また、図14に示した構成(配置)は、M
U60内部を分割する構成であり、これによってメンテ
ナンス時間の短縮が可能となる。すなわち、ラインヘッ
ドにおけるメンテナンス工程で長時間を必要とする顔拭
き工程を分割して動作させることによってメンテナンス
時間の短縮を図れるとともに、インク吸引工程でのイン
クヘッドと吸着部分の機密性についてもラインヘッド2
5の全体をカバーする場合に比べ分割吸引する方が向上
することは明らかである。
【0193】このようにメンテナンス部(ヘッドクリー
ニングに関する部分)の分割を行うことによって時間の
短縮を図れる。さらに分割されたMU60では、分割さ
れた領域がその下部で連結されていることによって、顔
拭き工程・ツバ吐き工程で廃棄された不要インクの回収
を1箇所から行える。これにより、MU60の省スペー
ス化を図れる。また、図14に示したブレード102
は、分割されたブレードであるといえる。
【0194】また、インク供給部204は、ラインヘッ
ド25にインクを供給するものであってもよい。また、
インク拡散部材203aは、ラインヘッド25内で、補
助インクタンク201とインクノズル24との間に配置
されていてもよい。さらに、インクノズル24は、ライ
ンヘッド25の全幅に配置されることが好ましい。ま
た、補助インクタンク201を、インクノズル24にイ
ンクを充填したとき、余ったインクを一時的に溜めてお
くものとしてもよい。さらに、ラインヘッド25内をラ
イン方向に4つに区切り、YMCBの各インクを、ライ
ンヘッド25における区切られた領域のそれぞれに充填
するようにしてもよい。
【0195】また、インク拡散部材203aは、インク
をラインヘッド25の全幅で均一に行き渡らせるために
用いられるともいえる。また、インクノズル24へのイ
ンク充填では、密度の高いインク導入部202にしみ込
むインクの量は少なくなっている。そして、しみ込まな
かったインクは、その表面張力により、密度のより低い
部分に流れる。これにより、インクタンクから供給され
るインクは、ラインヘッド25の全域に広がることとな
る。
【0196】また、図20(b)に示したように、イン
ク拡散部材203aを分割するとともに、その浸透率
(密度)を変化させることによって、補給されたインク
がインクヘッド全域に早く分散することは、実施の形態
3に示した説明で理解できるが、さらに分割すること
で、分散したインクは分割されたインク拡散部材203
aの接触面でインクの滞留が生じる。すなわち、浸透性
率の小さい部材と大きい部材との接触面では小さい部材
の接触面にインクが滞留し、オーバーフローしたインク
が大きい部材に流れ込む現象が発生する。このことによ
って浸透率の小さい部材中のインク量は均一となり、同
一浸透率で構成されるインク分散部材に比べインクの分
散速度の向上と、均一なインク分散が可能となる。ま
た、インク拡散部材203aは、図22に示すように、
インク導入部202が最も高くして、そこから傾斜させ
て配置してもよい。
【0197】また、本プリンターでは、制御部は、シー
トの厚さに関する情報を、搬送路L上に設けられた図示
しない赤外線センサーを用いて取得するか、ユーザーが
操作部のキー動作を用いてシートの種類を入力するか、
のいずれかの手法でシート情報が判明するようになって
いてもよい。
【0198】また、本発明を、以下の第1〜第16のイ
ンクジェットプリンター(IJP)、第1のメンテナン
スユニット(MU)、第1〜第5のラインヘッドとして
表現することもできる。すなわち、第1のIJPは、シ
ートの幅方向に沿って延びるラインヘッドを備え、この
ラインヘッドの下方に配置されたプラテン上でシートを
搬送しながらラインヘッドからインクを噴出すること
で、シートに画像を形成するIJPにおいて、ラインヘ
ッドのインク噴出部を清掃するMUを備えており、さら
に、このMUと上記プラテンとを連結する連結部と、連
結部を駆動して、MUとプラテンとの何れかをラインヘ
ッドの下方に配置する駆動部とを有している構成であ
る。
【0199】この第1のIJPにおいて、ラインヘッド
とは、シートの幅方向(搬送方向と略垂直な方向;ライ
ン方向)に複数のインク噴出部(インクノズル)を備え
たインクヘッドである。また、プラテンとは、シートを
搬送するための台であり、画像形成時には、ラインヘッ
ドの下方に配置されている。
【0200】そして、第1のIJPでは、プラテン上を
搬送されるシートにラインヘッドからインクを噴出する
ことで、シートに画像を形成するようになっている。
【0201】また、第1のIJPには、インク噴出部を
清掃するMUが設けられている。このMUは、画像形成
の行われていないとき(アイドリング時や、1枚のシー
トに対して画像形成を終了したとき等)に、ラインヘッ
ドの下方から、上記インク噴出部を清掃するものであ
る。
【0202】そして、特に、第1のIJPは、上記プラ
テンとMUとを連結するための連結部と、この連結部を
駆動(移動)させるための駆動部とを備えている。さら
に、この駆動部は、MUとプラテンとのいずれかがライ
ンヘッドの下方に配置するように上記連結部を駆動させ
る。これにより、第1のIJPでは、画像形成時にはプ
ラテンをラインヘッドの下方に配置させ、かつ、清掃時
には、プラテンに代えてMUをその位置に配置できる。
これにより、ラインヘッドの清掃を良好に行える。
【0203】さらに、第1のIJPでは、プラテンとM
Uとを連結部によって連結することで、これらを同時に
移動させられるようになっている。従って、プラテンと
MUとを個別に移動させる構成に比べて、駆動機構を簡
略化できる。これにより、IJPにーおけるサイズの小
型化、製造コストの低下を実現できる。
【0204】また、第2のIJPは、第1のIJPにお
いて、上記連結部が、シート搬送方向に対して垂直な方
向(ラインヘッドの両側面を貫く方向;幅方向)に回転
軸を備えており、かつ、上記回転軸を中心にして連結部
を回動させることにより、ラインヘッドと対峙する位置
にMUおよびプラテンが配置されるようになっている構
成である。
【0205】この構成では、ラインヘッドの両側面を貫
く方向に、回転軸を有している。これにより、上記連結
部は、MUやプラテンを、ラインヘッドの周りに、シー
トの搬送方向と平行に回転軸を中心として回動させられ
る。従って、例えば、MUおよびプラテンをプリンター
の横にスライドさせて画像形成、メンテナンスを行う構
成に比べて、幅方向のサイズを小さくできる。
【0206】また、第3のIJPは、第1あるいは第2
のIJPにおいて、上記MUおよびプラテンを支持する
連結部は、お互いの連結部の配置角度が最大で90度以
下である構成である。例えば、印字時に回動されたMU
が連結部間の角度によって、90度以上の回動を行うと
MUの壁面が下方を向くこととなり、MU内のインクが
機内、用紙を汚すこととなる。上記の配置角度を90度
以下とすることによって、この問題点の解消を図れる。
【0207】また、第4のIJPは、第2あるいは第3
のIJPにおいて、上記連結部は、回転盤と、MUとプ
ラテンとをそれぞれ支持する2つの支持軸とから形成さ
れており、これらの支持軸は、MUおよびプラテンが回
動する際、伸縮可能である構成である。
【0208】画像形成の待機中、MUは、インクの蒸
発、乾燥を防ぐためにラインヘッドと近接した状態にな
っている。従って、この状態のままで、MUを回動させ
ると、MUを、ラインヘッドにぶつけてMUやラインヘ
ッドを損傷させてしまう可能性がある。そこで、上記の
構成では、MUを支持する支持軸が伸縮可能になってい
る。これにより、MUを、回動させる際、MUとライン
ヘッドとの距離を変更できる(大きくできる)ので、こ
れらの接触を回避できる。
【0209】また、第5のIJPは、第3あるいは第4
のIJPにおいて、上記ラインヘッドと対峙する位置
に、MUおよびプラテンとラインヘッドとの間隔を変更
するための偏心カムが設けられている構成である。
【0210】また、第6のIJPは、第4あるいは第5
のIJPにおいて、上記偏心カムが、MUおよびプラテ
ンとラインヘッドとの間隔を変更できるように回転する
ようになっている構成である。
【0211】上記の構成では、ラインヘッドと対峙する
位置に偏心カムが設けられており、プラテンやMUは、
この偏心カムの上に載ることとなる。従って、偏心カム
を回転させることによって、プラテンとラインヘッドと
の間隔を印刷に使用される間隔に変更させられる。この
ため、シートの種類に応じて、偏心カムを回転させるこ
とで、シートの表面とラインヘッドとの間隔を最適化で
きる。それゆえ、高精細な印刷を行える。
【0212】また、第7のIJPは、第5あるいは第6
のIJPにおいて、上記偏心カムは、メンテナンスを行
う除MUをラインヘッドと密着させるように設定されて
いる構成である。MUとラインヘッドとを密着させるこ
とにより、メンテナンスの際に、インクを周りに飛び散
らせることを防止できる。また、MUによるラインヘッ
ドに対する圧力を一定にできるので、メンテナンス作業
(特にインクの拭き取り)を良好に行える。
【0213】また、第8のIJPは、第4のIJPにお
いて、上記連結部は、画像形成の待機時、MUを、ライ
ンヘッドと対峙する位置に配置するようになっている構
成である。シリアルヘッドのIJPでは、シートの搬送
路からはずれた位置にヘッドを配置することができる。
従って、この位置にMUを配置することで、画像形成中
にメンテナンスを行える。
【0214】しかし、ラインヘッドを備えたIJPで
は、ラインヘッドは常に、シート搬送路上にある。この
ため、画像形成中にメンテナンスを行うことができな
い。従って、このIJPでは、画像形成の開始直前に、
メンテナンスを行うようになっていることが好ましい。
そこで、上記の構成では、画像形成の待機時(画像形成
を行っていないとき;電源OFF時やアイドリング時)
に、MUをラインヘッドと対峙する位置に配置してい
る。これにより、画像形成の支持のあったとき、素早く
メンテナンスを行える。
【0215】また、第9のIJPは、第7のIJPにお
いて、上記偏心カムは、画像形成の待機時、上記MUと
ラインヘッドとを密着させるように設定されている構成
である。これにより、インクの乾燥、蒸発、汚染を防げ
る。
【0216】また、第10のIJPは、印刷するシート
のライン方向に複数のインクヘッドを備えたラインヘッ
ドと、プラテンとを備えたIJPにおいて、下からプラ
テンを支持するとともにプラテンの高さを調節する偏心
カムを備えており、この偏心カムが、シートの厚さに応
じて、シート表面とラインヘッドとの距離を一定に保つ
ように設定されている構成である。
【0217】この構成では、ラインヘッドと対峙する位
置に偏心カムが設けられている。また、プラテンは、画
像形成時に、偏心カムの上に載っており、偏心カムを回
転させることによってプラテンとラインヘッドとの間隔
を変更させることができる。つまり、偏心カムを回転さ
せることによって、画像形成時に、プラテン上に載って
いるシートの種類に応じて、シートとラインヘッドとの
間隔を最適な画像形成を行える間隔に変更することが容
易である。それゆえ、高精細な印刷を行うことができ
る。
【0218】また、第11のIJPは、シートの幅方向
に沿って延びるラインヘッドを備え、シートを搬送しな
がら上記ラインヘッドのインク噴出部からインクを噴出
することで、シートに画像を形成するIJPにおいて、
ラインヘッドのインク噴出部を清掃するMUを備えてお
り、さらに、このMUが、インクを吸引するための吸引
部と、この吸引部と上記インク噴出部との間の密封性を
高めるための弾性部材とを有している構成である。
【0219】この構成において、ラインヘッドとは、シ
ートの幅方向(搬送方向と略垂直な方向;ライン方向)
に多数のインク噴出部(インクノズル)を備えたインク
ヘッドである。また、この構成には、ラインヘッドのイ
ンク噴出部を清掃(メンテナンス)するMUが設けられ
ている。このMUは、画像形成の行われていないとき
(アイドリング時や、1枚のシートに対する画像形成を
終了したとき等)に、ラインヘッドの下方から、上記イ
ンク噴出部を清掃するものである。
【0220】そして、第11のIJPでは、インク噴出
部に残存している余分なインク(廃インク)を、MUの
吸引部によって吸い出すように設定されている。また、
特に、このIJPでは、このMUに、吸引部とインク噴
出部との間の密封性を高める弾性部材が設けられてい
る。すなわち、この弾性部材によって、インク噴出部と
吸引部との間からの空気漏れを防止するようになってい
る。これにより、余分な廃インクを効率よく吸引できる
ようになっている。また、上記の弾性部材によって、ラ
インヘッドとMUとの間からのインク漏れも防止できる
ので、インクによるプリンター内の汚染を回避できる。
【0221】また、第12のIJPは、第11のIJP
において、上記MUは、ラインヘッドの表面に付着して
いるインクおよびゴミを拭き取るためのブレードを備え
ている構成である。この構成において、ブレードとは、
ゴム等の弾性部材からなるものであり、ラインヘッドの
表面に付着したインク、ゴミを拭き取るものである。こ
の構成では、吸引部とブレードとを1つのMUに備えて
いるので、これらを別々のユニットに設ける構成に比し
て、プリンター全体の構造を簡略化できる。従って、プ
リンターにおけるサイズの小型化、製造コストの低下を
実現できる。
【0222】また、第13のIJPは、第11のIJP
において、上記MUは、メンテナンス時に回収した廃イ
ンクを収納する収納タンクを有している構成である。こ
の構成では、MU内に廃インクを一時的に溜めておけ
る。従って、大量の廃インクが回収された場合でも、M
Uの外に廃インクを溢れ出させてしまうことを防止でき
る。
【0223】また、第14のIJPは、第13のIJP
において、メンテナンス時に、MUをラインヘッドの対
向位置に配置する一方、画像形成時に、MUを上記の対
向位置から退避させるための移動機構を有しており、こ
の移動機構が、一端においてMUを保持するとともに、
他端が回動支点となっているアームであって、ラインヘ
ッドの両側面を貫く方向を回転軸として回動するアーム
を備えている構成である。
【0224】この構成では、上記のアームによって、M
Uをシートの搬送方向と平行な面内で回動させること
で、MUの移動(上記対向位置への配置、およびこの位
置からの退避)を行うようになっている。これにより、
MUをプリンターの幅方向(シートの搬送方向と直交す
る方向)にスライドさせる構成に比して、プリンターに
おける幅方向のサイズを小さくできる。
【0225】また、第15のIJPは、第14のIJP
において、上記MUは、収納タンクに、収納した廃イン
クを外部に排出するための開口部を側面に有しており、
さらに、開口部の形成されている側面が、MUが対向位
置から退避したときに、このユニットの上面となるよう
に設定されている構成である。これにより、MUを退避
させる際の、開口部からのインク漏れを防止できる。
【0226】また、第16のIJPは、第15のIJP
において、上記収納タンクの底面が傾斜面となってお
り、この傾斜面の最下部に、上記開口部が設けられてい
る構成である。これにより、廃インクをMUの外部に排
出しやすい。
【0227】また、第1のMUは、第11〜第16のい
ずれかのIJPに備えられたMUであって、その内部で
ラインヘッドの長さ方向、横方向で分割される構成であ
る。MUが内部で分割される時に、上記ラインヘッドの
長さ方向に対する分割を行うとメンテナンス時間が短縮
され、また、ラインヘッドの横手方向に分割されるとラ
インヘッドが有する複数の色用のヘッドをメンテナンス
する時の色の混色が防止できる。
【0228】また、上記複数に分割されるMUは、その
ユニットの最下部で連結するように設定されていること
が好ましい。MUが内部で分割されるとともにユニット
の下部で連結していることによって、メンテナンスで除
去された廃棄インクの排出口を1つ配置するだけでよ
く、省スペース化を図れる。
【0229】また、上記複数に分割されるMUにおいて
は、前記ラインヘッドの表面に付着しているインクおよ
びゴミを拭き取るための複数のブレード、およびインク
ヘッド内の廃棄インクの吸引用の複数のパットは、お互
いのメンテナンス範囲がオーバーラップしていることが
好ましい。メンテナンス時に複数のブレード、および複
数のパットのメンテナンス範囲がオーバーラップするこ
とによってラインヘッドのメンテナンス不良の発生を低
減できる。
【0230】また、第1のラインヘッドは、IJPに備
えられ、シートの幅方向に沿って延びるインク噴出部
と、補助インクタンクとを有しているラインヘッドにお
いて、上記インク噴出部と補助インクタンクとの間に、
浸透性材料からなるインク拡散部材を備えている構成で
ある。
【0231】このラインヘッドは、IJPにおいて用い
られるものであり、シートの幅方向に並ぶ多数のインク
噴出部と、補助インクタンクとを備えている。この補助
インクタンクは、インクノズルに供給されて余ったイン
クを、一時的に溜めておくためのものである。そして、
特に、このラインヘッドでは、インク噴出部と補助イン
クタンクとの間に、浸透性材料からなるインク拡散部材
を設けている。また、この浸透性材料は、フェルト等の
布状のもので形成されている。従って、このラインヘッ
ドでは、補助インクタンクから供給されたインクを、毛
細管現象によりその全域に広げた後、下部のインク噴出
部に伝達できるようになっている。従って、このライン
ヘッドでは、インク噴出部の隅々までインクを行き渡ら
せることが可能となっている。
【0232】また、通常のラインヘッドでは、画像形成
の完了(整了)直後、インク噴出部の中が一時的に負圧
になるため、内部に空気が入り込み易くなる。そして、
インク噴出部を介して補助インクタンク内にまで空気が
入り込むと、インク噴出部に対するインク供給を正常に
行えなくなる場合がある。一方、本ラインヘッドでは、
インク噴出部に入り込んだ空気をインク拡散部材によっ
て遮断できるため、補助インクタンク中への空気の流入
を防止できるようになっている。
【0233】また、第2のラインヘッドは、第1のライ
ンヘッドにおいて、上記インク拡散部材の密度が、イン
ク導入部が最も密であり、インク導入部から離れていく
につれて疎になっている構成である。ここで、インク拡
散部材の密度とは、浸透性材料における生地(布)の詰
まり具合のことである。すなわち、密度の低い(疎な)
部分では、インクの浸透率が高いため、内部にインクを
多く含むことができる。また、密度の高い部分では、イ
ンクの浸透率、含有率が低くなる。従って、高密度部位
のインクは、低密度部位に流れることとなる。
【0234】そして、上記のインク拡散部材では、イン
ク導入部(補助インクタンクから供給されるインクを受
ける部分)が高密度となっており、ここから離れるにつ
れて低密度となっている。これにより、インク拡散部材
の全域(すなわち、ラインヘッドの全域)に、インクを
行き渡らせることが容易となる。
【0235】また、第3のラインヘッドは、第2のライ
ンヘッドにおいて、上記インク拡散部材は、互いに密度
の異なる複数の浸透性材料から構成されていることを特
徴とする構成である。これにより、インク拡散部材を簡
単に製造できる。
【0236】また、第4のラインヘッドは、第2のライ
ンヘッドにおいて、上記インク拡散部材は、連続的に変
化する密度を有する一体の浸透性材料から構成されてい
ることを特徴とするものである。これにより、インクの
拡散速度を高められる。また、第5のラインヘッドは、
第2のラインヘッドにおいて、上記インク拡散部材は、
インク導入部の位置が最も高く、インク導入部から離れ
ていくにつれて低くなっている構成である。これによ
り、インクの拡散速度を高められる。
【0237】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかるインクジ
ェットプリンター(第1プリンター)は、シートの幅方
向に沿って延びるラインヘッドを備え、プラテン上を搬
送されているシートにラインヘッドからインクを噴出し
て印刷を行うインクジェットプリンターにおいて、ライ
ンヘッドのインク噴出部を清掃するメンテナンス部を備
えており、さらに、このメンテナンス部と上記プラテン
とを連結する連結部と、この連結部を駆動して、メンテ
ナンス部とプラテンとの何れかをラインヘッドの対峙位
置に配置させる駆動部とを有している構成である。
【0238】この第1プリンターは、上記したプラテン
とメンテナンス部とを連結するための連結部と、この連
結部を駆動(移動)させるための駆動部とを備えてい
る。さらに、第1プリンターでは、この駆動部が、メン
テナンス部とプラテンとのいずれかをラインヘッドの対
峙位置に配置するように、上記の連結部を移動させるよ
うに設定されている。
【0239】これにより、第1プリンターでは、印刷時
には、ラインヘッドの対峙位置にプラテンを配置させる
一方、メンテナンス時(清掃時)には、プラテンに代え
て、メンテナンス部を対峙位置に配置できる。従って、
ラインヘッドを移動(回転)させることなく、ラインヘ
ッドのメンテナンスを良好に行える。
【0240】さらに、第1プリンターでは、プラテンと
メンテナンス部とを連結部によって連結することで、1
つの駆動機構で、これらを同時に移動させられるように
なっている。従って、プラテンとメンテナンス部とを個
別に移動させる構成に比べて、駆動機構を簡略化でき
る。
【0241】これにより、第1プリンターでは、メンテ
ナンス部の構造を複雑化することなく、ラインヘッドの
メンテナンスを簡便に行えるようになっている。従っ
て、インクジェットプリンターにおけるサイズの小型化
・製造コストの低下を図ることが可能となっている。
【0242】また、第1プリンターでは、連結部が、ラ
インヘッドと平行方向(シート搬送方向に対して垂直な
方向;ライン方向)に延びる回転軸を備え、この回転軸
の周囲に回動できるように設定されていることが好まし
い。そして、駆動部が、この回転軸を中心として連結部
を回動させることにより、ラインヘッドの対峙位置に、
メンテナンス部あるいはプラテンを配置するようになっ
ていることが好ましい。
【0243】これにより、メンテナンス部およびプラテ
ンを、ラインヘッドの周りに、シートの搬送方向に沿っ
て(この方向を含む面であって、ライン方向を含まない
面内で)回動させられる。従って、例えば、メンテナン
ス部・プラテンをプリンターの横にスライドさせること
で、これらを対峙位置に配置する構成に比して、第1プ
リンターにおけるライン方向のサイズを小さくできる。
なお、ライン方向行に延びる回転軸の形成は、例えば、
ラインヘッドにおける筐体の両側面を貫くように回転軸
を設けることで実現できる。
【0244】また、第1プリンターでは、連結部が、上
記の回転軸に対して回転可能に設けられた回転盤と、こ
の回転盤から延びる2本のアームとを備えていることが
好ましい。また、この2本のアームは、回転盤の側面
に、回転盤の回転面内で延びるように設けられているこ
とがさらに好ましい。この2本のアームとは、メンテナ
ンス部を支持するアーム(第1アーム)、および、プラ
テンを支持するアーム(第2アーム)のことである。こ
れにより、回動可能な連結部を容易に構成できる。
【0245】ここで、第1アームと第2アームとのなす
角度は、プラテン・メンテナンス部の移動角度を決定す
る要因である。すなわち、この角度が大きいほど、プラ
テン・メンテナンス部の移動角度(移動距離)は大きく
なる。
【0246】そして、移動角度が90度より大きくなる
と、対峙位置にない場合におけるメンテナンス部の対向
面が、下向きとなる(面の法線に下向きの成分が含まれ
る)場合があり、メンテナンス部によって回収された廃
インクを外に漏らし、プリンターおよびシートを汚して
しまう可能性がある。
【0247】そこで、上記の構成では、第1・第2アー
ムのなす角度が90度以下となるように設定されている
ことが好ましい。これにより、メンテナンス部から廃イ
ンクを漏らしてしまうことを回避できる。
【0248】また、メンテナンス部は、メンテナンスの
際、ラインヘッドに近接した状態で配置されることが好
ましい。このようにすれば、メンテナンス中、メンテナ
ンス部とラインヘッドとの隙間から廃インクを飛散させ
てしまうことを抑制することが可能となる。
【0249】また、この構成では、メンテナンス部を支
持する第1アームが、伸縮可能となっていることが好ま
しい。すなわち、ラインヘッドと近接させた状態でメン
テナンス部を回動させると、メンテナンス部とラインヘ
ッドとをぶつけて、これらの損傷を招来する可能性があ
る。
【0250】このため、メンテナンス部を対峙位置から
移動させるときに、第1アームを伸縮させることで、メ
ンテナンス部とラインヘッドとの間隔(メンテナンス部
の対峙間隔)を変え、これらの衝突を回避できるように
設定されていることが好ましい。
【0251】また、同様に、第2アームも伸縮できるよ
うになっていることが好ましい。すなわち、印刷時にお
けるプラテンの適切な位置は、プラテン上のシート上面
(シートの印刷面)とラインヘッド(インク噴出部)と
の距離(印刷距離)を一定に保つような位置である。従
って、薄いシートを用いる場合には、プラテンの適切な
位置がラインヘッドに近くなり、プラテンとラインヘッ
ドとの間隔(プラテンの対峙間隔)が狭くなる。そし
て、このような位置に配置されているプラテンを対峙位
置から回動させると、メンテナンス部の場合と同様に、
プラテンをラインヘッドにぶつけてしまう可能性があ
る。そこで、プラテンを対峙位置から移動させるとき
に、第2アームを伸縮させることで、プラテンの対峙間
隔を変え、プラテンとラインヘッドとの衝突を回避でき
るように設定されていることが好ましい。
【0252】また、この構成では、対峙間隔を調整する
ために、ラインヘッドの対峙位置に配置されているメン
テナンス部・プラテンを支持し、これらを第1・第2ア
ームの伸縮する方向に移動させる対峙間隔調整部を備え
ることが好ましい。このような対峙間隔調整部を用いれ
ば、プラテンおよびメンテナンス部の対峙間隔を容易に
変更できる。
【0253】また、このような対峙間隔調整部は、例え
ば、ラインヘッドの対峙位置にあるプラテン・メンテナ
ンス部の下部に設けられ、これらを側面で支持しながら
回転する偏心カムを用いて容易に実現できる。ここで、
偏心カムの側面とは、偏心カムにおける回転面に垂直な
面のことである。
【0254】また、対峙間隔調整部は、メンテナンスの
際、メンテナンス部をラインヘッドと密着させるように
設定されていることが好ましい。これにより、メンテナ
ンスの際に、ラインヘッドの周囲に廃インクを飛び散ら
せてしまうことを防止できる。また、対峙間隔調整部
は、ラインヘッドにメンテナンス部を密着させたとき
に、メンテナンス部によるラインヘッドに対する圧力を
一定とすることが好ましい。これにより、メンテナンス
部によるメンテナンス作業(特にインクの拭き取り)を
良好に行える。
【0255】また、対峙間隔調整部は、印刷の際、シー
トの厚さに応じてプラテンを移動させることで、印刷距
離(シート上面とラインヘッドとの距離)を調整するよ
うに設定されていることが好ましい。これにより、印刷
品位を向上させられる。なお、シートの厚さに関する情
報は、例えば、赤外線センサー等を用いて容易に取得す
ることが可能である。
【0256】また、第1プリンターは、シリアルヘッド
を備えたプリンターと異なり、印刷中にメンテナンスを
行うことが困難なものである。そこで、印刷の開始直前
(印刷要求を受けた直後)に、ラインヘッドのメンテナ
ンスを行うようになっていることが好ましい。このた
め、第1プリンターでは、駆動部が、印刷の待機時(印
刷を行っていないとき;電源OFF時やアイドリング
時)、ラインヘッドの対峙位置にメンテナンス部を配置
するように設定されていることが好ましい。これによ
り、印刷要求に応じて、素早くメンテナンスを行える。
【0257】また、この構成では、印刷の待機時、対峙
間隔調整部によって、メンテナンス部をラインヘッドと
密着させておくことが好ましい。これにより、印刷待機
時におけるラインヘッド内のインクの乾燥,蒸発,汚染
を防止できる。
【0258】また、上記のような対峙間隔調整部は、プ
ラテンの対峙間隔を代えることで印刷距離を調整する印
刷距離調整部として、より一般なインクジェットプリン
ターに応用することもできる。
【0259】すなわち、本発明にかかる他のインクジェ
ットプリンター(第2プリンター)は、シートの幅方向
に沿って延びるラインヘッドを備え、プラテン上を搬送
されているシートにラインヘッドからインクを噴出して
印刷を行うインクジェットプリンターにおいて、シート
の厚さに応じてプラテンを移動させることで、シート上
面とラインヘッドとの距離を調整する印刷距離調整部を
備えている構成である。
【0260】この第2プリンターは、第1プリンターか
ら、メンテナンス部,連結部(回転盤やアーム等)およ
び駆動部を削除し、印刷距離調整部によってプラテンを
支える構成である。そして、この印刷距離調整部が、シ
ートの厚さに応じてプラテンを移動させることで(すな
わち、プラテンの対峙間隔を変化させることで)、印刷
距離を最適な値に調整するようになっている。これによ
り、簡単な構成で印刷品位を向上させられる。
【0261】また、第2プリンターにおける印刷距離調
整部も、上記した対峙間隔調整部と同様に、偏心カム、
すなわち、プラテンの下部に設けられ、プラテンを側面
で支持しながら回転する偏心カムから構成できる。
【0262】また、本発明にかかるさらに他のインクジ
ェットプリンター(第3プリンター)は、シートの幅方
向に沿って延びるラインヘッドを備え、プラテン上を搬
送されているシートにラインヘッドからインクを噴出し
て印刷を行うインクジェットプリンターにおいて、ライ
ンヘッドのインク噴出部を清掃するメンテナンス部を備
えており、さらに、このメンテナンス部が、インクを吸
引するための吸引部と、吸引部の周囲に形成され、吸引
部と上記インク噴出部との間の密封性を高めるための弾
性部材とを有している構成である。
【0263】この第3プリンターでは、インク噴出部に
残存している余分なインク(廃インク)を、メンテナン
ス部の吸引部によって吸い出すように設定されている。
また、特に、第3プリンターでは、メンテナンス部にお
ける吸引部の周囲に(吸引部を囲うように)、吸引部と
インク噴出部との間の密封性を高める弾性部材が設けら
れている。
【0264】すなわち、第3プリンターでは、この弾性
部材によって、インク噴出部と吸引部との間からの空気
漏れを防止するようになっている。これにより、第3プ
リンターでは、余分な廃インクを効率よく吸引できるよ
うになっている。また、上記の弾性部材によって、ライ
ンヘッドとメンテナンス部との間からの廃インクの漏れ
も防止できるので、廃インクによるプリンター内の汚染
を回避できる。
【0265】また、第3プリンターでは、メンテナンス
部が、インク噴出部に付着しているインクおよびゴミを
拭き取るためのブレードを備えていることが好ましい。
ここで、ブレードとは、ゴム等の弾性部材からなるもの
であり、ラインヘッドの表面に付着したインク、ゴミを
拭き取るものである。
【0266】この構成では、吸引部とブレードとを1つ
のメンテナンス部に備えているので、これらを別々のユ
ニットに設ける構成に比して、プリンター全体の構造を
簡略化できる。従って、プリンターにおけるサイズの小
型化・製造コストの低下を実現できる。
【0267】また、第3プリンターでは、メンテナンス
部に、メンテナンス時に回収した廃インクを収納する収
納タンクを備えることが好ましい。この構成では、メン
テナンス部内に廃インクを一時的に溜めておける。従っ
て、大量の廃インクを回収した場合でも、メンテナンス
部の外に廃インクを溢れ出させてしまうことを防止でき
る。
【0268】また、第3プリンターに、メンテナンス時
に、メンテナンス部をラインヘッドの対峙位置に配置す
る一方、印刷時に、メンテナンス部を対峙位置から退避
させるための移動機構を備えることも好ましい。また、
この移動機構が、ラインヘッドと平行に延びる回転軸
と、この回転軸に対して回転可能に設けられた回転盤
と、一端を上記回転盤に固定するとともに、他端におい
てメンテナンス部を保持するアーム(回転面内に延びる
ように設けられたアーム)と、上記回転軸を中心として
上記回転盤を回動させる駆動部とを有していることが好
ましい。
【0269】この構成では、移動機構によって、メンテ
ナンス部をシートの搬送方向に沿って(この方向を含む
面であって、ライン方向を含まない面内で)、メンテナ
ンス部を移動(上記対向位置への配置、およびこの位置
からの退避)させるようになっている。これにより、メ
ンテナンス部をプリンターの幅方向(シートの搬送方向
と直交する方向)にスライドさせる構成に比して、プリ
ンターにおける幅方向のサイズを小さくできる。
【0270】また、第3プリンターでは、上記の収納タ
ンクに、収納した廃インクを外部に排出するための開口
部を備えることが好ましい。さらに、上記したような移
動機構を備えている場合、メンテナンス部が対峙位置か
ら退避したときに、上記の開口部が上側を向くように設
定されていることが好ましい。これにより、メンテナン
ス部を退避させる際の、開口部からのインク漏れを防止
できる。
【0271】また、収納タンクの底面を傾斜面とし、上
記の開口部を傾斜面の最下部に設けるようにしてもよ
い。これにより、廃インクをメンテナンス部の外部に排
出しやすくなる。
【0272】また、第3プリンターでは、メンテナンス
部が、吸引部を横切るように設けられ、吸引部とインク
噴出部との間の空間を分割する分割壁を備えていること
が好ましい。
【0273】これにより、吸引部とインク噴出部との密
着性(機密性)をさらに高められる。さらに、吸引部
が、分割された空間毎(すなわち、分割されたインク噴
出面毎)にインクを吸引することとなる。このため、イ
ンク吸引工程の効率をさらに向上させられる。なお、こ
の構成では、プリンターの大型化を回避するために、分
割して吸引したインクを、1つの収容タンクに収容する
ことが好ましい。
【0274】また、本発明のラインヘッド(本ラインヘ
ッド)は、インクジェットプリンターに備えられ、シー
トの幅方向に沿って形成された複数のインク噴出部を有
するラインヘッドにおいて、外部から供給されたインク
をインク噴出部に向けて滴下するインク供給部を有して
おり、さらに、インク噴出部とインク供給部との間に、
インク噴出部を覆う浸透性材料からなるインク拡散部材
を備えている構成である。
【0275】本ラインヘッドは、上記したようなインク
ジェットプリンターにおいて用いられるものであり、シ
ートの幅方向に並ぶ複数のインク噴出部と、外部から供
給されたインクをインク噴出部に向けて滴下するインク
供給部とを有している。
【0276】また、特に、本ラインヘッドでは、インク
噴出部とインク供給部との間に、インク噴出部を覆うよ
うに、浸透性材料からなるインク拡散部材を設けてい
る。この浸透性材料は、フェルト等の布など、毛細管現
象によって内部で液体を拡散させる機能を有するもので
ある。
【0277】そして、本ラインヘッドでは、このインク
拡散部材によって、インク供給部から滴下されるインク
を受けるようになっている。従って、本ラインヘッドで
は、補助インクタンクから供給されたインクを、毛細管
現象によりその全域に広げた後、下部のインク噴出部に
伝達できるようになっている。
【0278】従って、インク供給部から離れた位置にあ
るインク噴出部に対しても、十分な量のインクを供給で
きるようになっている。すなわち、本ラインヘッドで
は、インク噴出部の形成位置によらずに、全てのインク
噴出部に対して十分な量のインクを行き渡らせることが
可能となっている。これにより、シートの全域に対し
て、良好な印刷を行うことが可能となっている。
【0279】また、通常のラインヘッドでは、インクを
噴出した直後、インク噴出部の内部が一時的に負圧にな
るため、内部に空気が入り込み易くなる。そして、イン
ク噴出部を介してラインヘッドの内部にまで空気が入り
込むと、インク噴出部に対するインク供給を正常に行え
なくなる場合がある。これに対し、本ラインヘッドで
は、インク噴出部に入り込んだ空気をインク拡散部材に
よって遮断できる。このため、ラインヘッド内への空気
流入を防止できるようになっている。
【0280】また、本ラインヘッドでは、インク拡散部
材の密度が、インク供給部から滴下されるインクを受け
る部分(インク導入部)において最も高く、この部分か
ら離れるに連れて低くなっていることが好ましい。
【0281】ここで、インク拡散部材の密度とは、浸透
性材料における生地(布)の詰まり具合のことである。
すなわち、密度の低い(疎な)部分では、インクの浸透
率が高いため、内部にインクを多く含むことができる。
また、密度の高い部分では、インクの浸透率・含有率は
低くなる。従って、インク拡散部材では、高密度部位に
あるインクは、低密度部位に流れることとなる。
【0282】そして、上記の構成におけるインク拡散部
材では、インク導入部(インク供給部から滴下されるイ
ンクを受ける部分)が高密度となっており、ここから離
れるにつれて低密度となっている。これにより、インク
拡散部材の全域(すなわち、全てのインク噴出部)に、
インクを行き渡らせることが容易となる。
【0283】また、このような密度分布を有するインク
拡散部材は、互いに密度の異なる複数の浸透性材料(浸
透性タイル)を連結することで構成できる。この浸透性
タイルは、単体としての(浸透性タイル内での)密度が
均一である一方、浸透性タイルどうしでは、その密度が
互いに異なるように設定されたものである。このような
浸透性タイルを用いることで、上記のような密度分布を
有するインク拡散部材を容易に構成できる。
【0284】また、上記のようなインク拡散部材を、連
続的に(滑らかに)変化する密度を有する一体の浸透性
材料から構成するようにしてもよい。これにより、イン
クの拡散速度を高められる。
【0285】また、本ラインヘッドでは、インク拡散部
材を、インク噴出部上で傾斜させて設けるようにしても
よい。そして、インク拡散部材の上端近傍(最も高い部
位の近傍)で、インク供給部から滴下されるインクを受
けるように設定されていることが好ましい。この構成で
は、重力の影響により、インクは、インク導入部から離
れた部位(場所)に流れやすくなり、インク拡散部材の
全域に行き渡りやすくなる。また、インクの拡散速度を
高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるプリンターに備え
られたメンテナンス機構の概略構成を示す説明図であ
る。
【図2】上記したプリンターにおける外観の構成を示す
説明図である。
【図3】図2に示したプリンターの内部構造を示す説明
図である。
【図4】図2・図3に示したプリンターに備えられたメ
ンテナンス機構の概略構成を示す説明図である。
【図5】図1・図4に示したメンテナンス機構におけ
る、回転盤近傍の構成を示す説明図である。
【図6】図1・図4に示したメンテナンス機構におけ
る、回転盤近傍の構成を示す説明図である。
【図7】図1・図4に示したメンテナンス機構におけ
る、アームの構成を示す説明図である。
【図8】図1・図4に示したメンテナンス機構におけ
る、メンテナンス時での配置状態(メンテナンス状態)
を示す説明図である。
【図9】図1・図4に示したメンテナンス機構におけ
る、メンテナンス状態から印刷状態に移行する際の動作
を示す説明図である。
【図10】図1・図4に示したメンテナンス機構におけ
る、メンテナンス状態から印刷状態に移行する際の動作
を示す説明図である。
【図11】図1・図4に示したメンテナンス機構におけ
る、印刷時での配置状態(印刷状態)を示す説明図であ
る。
【図12】図1・図4に示したメンテナンス機構におけ
る、メンテナンスユニットの構成を示す側面図である。
【図13】図1・図4に示したメンテナンス機構におけ
る、メンテナンスユニットの構成を示す上面図である。
【図14】図12・図13に示したメンテナンスユニッ
トにおいて、メンテナンス面を分割する分割壁を備えた
メンテナンスユニットの構成を示す側面図である。
【図15】図12・図13に示したメンテナンスユニッ
トにおいて、メンテナンス面を分割する分割壁を備えた
メンテナンスユニットの構成を示す上面図である。
【図16】図2・図3に示したプリンターに備えられた
ラインヘッドにおける外観の構成を示す説明図である。
【図17】上記のラインヘッドを、図16における矢印
a方向から示す正面図である。
【図18】上記のラインヘッドを、図16における矢印
b方向から示す下面図である。
【図19】上記のラインヘッドを、図16における矢印
c方向から示す側面図である。
【図20】図20(a)は、インク拡散部材の構成を示
す斜視図であり、図20(b)は、インク拡散部材の他
の構成を示す斜視図である。
【図21】図20(a)・(b)に示したインク拡散部
材の密度を示すグラフを、インク拡散部材におけるライ
ン方向での位置に対応させて示す説明図である。
【図22】図2・図3に示したプリンターに備えられる
他のラインヘッドの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
24 インクノズル(インク噴出部) 25 ラインヘッド 30 プラテン 31 PSローラ 40 回転盤(連結部) 42a アーム(連結部,第1アーム) 42b アーム(連結部,第2アーム) 44 駆動モーター(駆動部) 51 ボス(連結部,回転軸) 60 メンテナンスユニット(メンテナンス部) 80a 偏心ローラ(対峙間隔調整部,印刷距離調整
部) 80b 偏心ローラ(対峙間隔調整部,印刷距離調整
部) 81 回転軸 101 スクリューシャフト 102 ブレード 103 弾性部材 103a 分割壁 104 収納タンク 105 開口部 201 補助インクタンク 202 インク導入部 203a インク拡散部材 204 インク供給部 205 インクノズル部 301 アームソケット 302 アームシャフト 311 ネジ孔部 321 隔離壁 331a〜e インク拡散タイル(浸透性タイル) L 搬送路 R1〜R4 領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA16 EA17 FA13 HA12 HA29 JA04 JB04 JB07 JB08 JC10 JC13

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シートの幅方向に沿って延びるラインヘッ
    ドを備え、プラテン上を搬送されているシートにライン
    ヘッドからインクを噴出して印刷を行うインクジェット
    プリンターにおいて、 ラインヘッドのインク噴出部を清掃するメンテナンス部
    を備えており、 さらに、このメンテナンス部と上記プラテンとを連結す
    る連結部と、 この連結部を駆動して、メンテナンス部とプラテンとの
    何れかをラインヘッドの対峙位置に配置させる駆動部と
    を有していることを特徴とするインクジェットプリンタ
    ー。
  2. 【請求項2】上記連結部は、ラインヘッドと平行に延び
    る回転軸を備えており、 上記駆動部は、この回転軸を中心として連結部を回動さ
    せることにより、ラインヘッドの対峙位置に、メンテナ
    ンス部あるいはプラテンを配置するように設定されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプ
    リンター。
  3. 【請求項3】上記連結部は、 上記回転軸に対して回転可能に設けられた回転盤と、 この回転盤から延びるアームであって、メンテナンス部
    を支持する第1アーム、および、プラテンを支持する第
    2アームとを備えており、 さらに、これら第1アームと第2アームとのなす角度が
    90度以下に設定されていることを特徴とする請求項2
    に記載のインクジェットプリンター。
  4. 【請求項4】上記第1アームおよび第2アームが伸縮可
    能であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェ
    ットプリンター。
  5. 【請求項5】ラインヘッドの対峙位置に配置されている
    メンテナンス部あるいはプラテンを支持し、これらを第
    1あるいは第2アームの伸縮する方向に移動させて対峙
    間隔を調整する対峙間隔調整部を備えていることを特徴
    とする請求項4に記載のインクジェットプリンター。
  6. 【請求項6】上記対峙間隔調整部が、 ラインヘッドの対峙位置にあるプラテンあるいはメンテ
    ナンス部の下部に設けられ、これらを側面で支持しなが
    ら回転する偏心カムからなることを特徴とする請求項5
    に記載のインクジェットプリンター。
  7. 【請求項7】上記対峙間隔調整部は、メンテナンスの
    際、メンテナンス部をラインヘッドと密着させるように
    設定されていることを特徴とする請求項5に記載のイン
    クジェットプリンター。
  8. 【請求項8】上記対峙間隔調整部は、印刷の際、シート
    の厚さに応じてプラテンを移動させることで、シートの
    上面とラインヘッドとの距離を調整するように設定され
    ていることを特徴とする請求項5に記載のインクジェッ
    トプリンター。
  9. 【請求項9】上記駆動部は、印刷の待機時、ラインヘッ
    ドの対峙位置にメンテナンス部を配置するようになって
    いることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット
    プリンター。
  10. 【請求項10】上記対峙間隔調整部は、印刷の待機時、
    メンテナンス部をラインヘッドと密着させるように設定
    されていることを特徴とする請求項9に記載のインクジ
    ェットプリンター。
  11. 【請求項11】シートの幅方向に沿って延びるラインヘ
    ッドを備え、プラテン上を搬送されているシートにライ
    ンヘッドからインクを噴出して印刷を行うインクジェッ
    トプリンターにおいて、 シートの厚さに応じてプラテンを移動させることで、シ
    ートの上面とラインヘッドとの距離を調整する印刷距離
    調整部を備えていることを特徴とするインクジェットプ
    リンター。
  12. 【請求項12】上記印刷距離調整部が、 プラテンの下部に設けられ、プラテンを側面で支持しな
    がら回転する偏心カムからなることを特徴とする請求項
    11に記載のインクジェットプリンター。
  13. 【請求項13】シートの幅方向に沿って延びるラインヘ
    ッドを備え、プラテン上を搬送されているシートにライ
    ンヘッドからインクを噴出して印刷を行うインクジェッ
    トプリンターにおいて、 ラインヘッドのインク噴出部を清掃するメンテナンス部
    を備えており、 さらに、このメンテナンス部が、 インクを吸引するための吸引部と、 吸引部の周囲に形成され、吸引部と上記インク噴出部と
    の間の密封性を高めるための弾性部材とを有しているこ
    とを特徴とするインクジェットプリンター。
  14. 【請求項14】上記メンテナンス部は、インク噴出部に
    付着しているインクおよびゴミを拭き取るためのブレー
    ドを備えていることを特徴とする請求項13に記載のイ
    ンクジェットプリンター。
  15. 【請求項15】上記メンテナンス部は、メンテナンス時
    に回収した廃インクを収納する収納タンクを有している
    ことを特徴とする請求項13に記載のインクジェットプ
    リンター。
  16. 【請求項16】メンテナンス時に、メンテナンス部をラ
    インヘッドの対峙位置に配置する一方、印刷時に、メン
    テナンス部を上記の対峙位置から退避させるための移動
    機構を有し、 この移動機構が、 ラインヘッドと平行に延びる回転軸と、 この回転軸に対して回転可能に設けられた回転盤と、 一端を上記回転盤に固定するとともに、他端においてメ
    ンテナンス部を保持するアームと、 上記回転軸を中心として上記回転盤を回動させる駆動部
    とを有していることを特徴とする請求項15に記載のイ
    ンクジェットプリンター。
  17. 【請求項17】上記収納タンクが、収納した廃インクを
    外部に排出するための開口部を有しており、 さらに、メンテナンス部が対峙位置から退避したとき
    に、上記の開口部が上側を向くように設定されているこ
    とを特徴とする請求項16に記載のインクジェットプリ
    ンター。
  18. 【請求項18】上記収納タンクの底面が傾斜面となって
    おり、この傾斜面の最下部に、上記開口部が設けられて
    いることを特徴とする請求項17に記載のインクジェッ
    トプリンター。
  19. 【請求項19】上記メンテナンス部が、 吸引部を横切るように設けられ、吸引部と上記インク噴
    出部との間の空間を分割する分割壁を備えていることを
    特徴とする請求項13に記載のインクジェットプリンタ
    ー。
  20. 【請求項20】インクジェットプリンターに備えられ、
    シートの幅方向に沿って形成された複数のインク噴出部
    を有するラインヘッドにおいて、 外部から供給されたインクをインク噴出部に向けて滴下
    するインク供給部を有しており、 さらに、インク噴出部とインク供給部との間に、インク
    噴出部を覆う浸透性材料からなるインク拡散部材が備え
    られていることを特徴とするラインヘッド。
  21. 【請求項21】上記インク拡散部材の密度が、 インク供給部から滴下されるインクを受ける部分におい
    て最も高く、この部分から離れるに連れて低くなってい
    ることを特徴とする請求項20に記載のラインヘッド。
  22. 【請求項22】上記インク拡散部材は、互いに密度の異
    なる複数の浸透性材料が連結された構成であることを特
    徴とする請求項21に記載のラインヘッド。
  23. 【請求項23】上記インク拡散部材は、連続的に変化す
    る密度を有する一体の浸透性材料から構成されているこ
    とを特徴とする請求項21に記載のラインヘッド。
  24. 【請求項24】上記インク拡散部材が、インク噴出部上
    で傾斜されて設けられており、その上端近傍で、インク
    供給部から滴下されるインクを受けるように設定されて
    いることを特徴とする請求項20に記載のラインヘッ
    ド。
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