JP2002316980A - シアヌル酸誘導体の製造方法 - Google Patents

シアヌル酸誘導体の製造方法

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JP2002316980A
JP2002316980A JP2002029056A JP2002029056A JP2002316980A JP 2002316980 A JP2002316980 A JP 2002316980A JP 2002029056 A JP2002029056 A JP 2002029056A JP 2002029056 A JP2002029056 A JP 2002029056A JP 2002316980 A JP2002316980 A JP 2002316980A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電線ワニス、塩化ビニル樹脂の安定剤、
塗料用原料、難燃剤などの分野に有用で、高い耐熱性と
難燃性を持つトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシア
ヌレート及びその関連化合物の製造方法に関する。 【解決手段】 シアヌル酸と式(1): 【化1】 (ただし、R1及びR2は、水素原子、アルキル基又は芳
香族基を示す。)で示されるエポキシ化合物とを、第4
級ホスホニウム塩と塩酸の存在下に溶媒中で反応させる
ことを特徴とする式(2): 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、電線ワニス、塩
化ビニル樹脂の安定剤、塗料用原料、難燃剤などの分野
に有用で、高い耐熱性と難燃性を持つトリス(2−ヒド
ロキシエチル)イソシアヌレート及びその関連化合物の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シアヌル酸とアルキレンオキシド
からトリス(2−ヒドロキシアルキル)イソシアヌレー
ト等を製造する方法としては、特開昭56−81571
号公報では、グリコールや芳香族置換低級アルコール
系、メチルエチルケトンやn−プロピルケトン等のケト
ン類、テトラヒドロフランやジオキサン等のエーテル類
の如き反応媒体にシアヌル酸と厳密に秤量されたエチレ
ンオキシドを、水酸化アルカリ、アミン又は4級アンモ
ニウム塩を触媒として付加反応させる製造方法が開示さ
れている。
【0003】また、ジャーナル・オブ・ザ・オーガニッ
クケミストリー(28巻、85〜89頁、1963年)
には、ジアルキルホルムアミド又はジアルキルアセトア
ミド中で加圧下又は常圧下にシアヌル酸とアルキレンオ
キシドを反応させる方法が開示されている。
【0004】特公昭44−22497号公報には、シア
ヌル酸とアルキレンオキサイドとをアルキレンハロゲン
化ヒドリンの存在下で反応させる方法が開示されてい
る。
【0005】特開平10−158252号公報には、シ
アヌル酸とアルキレンオキサイドとを、トリアリールホ
スフィン、トリアルキルホスフィン又は第4級ホスホニ
ウム塩を触媒として溶媒中で反応させる方法が開示され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭56−81
571号公報では、反応中に溶媒の一部が塩基性物質に
変化し易く生成物の一部が分解して不純物を副生し、精
製に困難を生ずるという問題がある。また、シアヌル酸
に対するアルキレンオキシド(特に、エチレンオキシ
ド)を当量以上に添加すると急激に収率が低下するとい
う問題がある。
【0007】また、上記ジャーナル・オブ・ザ・オーガ
ニックケミストリーに記載の方法では、溶媒自身が低活
性の触媒作用を呈する為に通常は他の触媒(例えば塩基
性触媒)の存在は必要としないが、N,N’−ジアルキ
ルホルムアミド類を溶媒にする場合、又はジメチルホル
ムアミドやジメチルアセトアミドにベンゼンやトルエン
等を混合して使用する場合には、シアヌル酸とアルキレ
ンオキシドとの反応速度が著しく低下する。
【0008】この様に従来の塩基性触媒ではシアヌル酸
に対するアルキレンオキシドの添加量が当量比を越える
と分解反応が急激に進む事と、溶媒乾固(溶媒の除去)
の加熱状態により若干の分解が起こり、溶媒乾固して得
られた製品の純度は不充分である。そのために、それら
の物は再結晶法等により精製して製品化する。しかし、
再結晶は結晶性の低い物質には適用し難い事や、再結晶
法自体が収率の低下、溶媒の回収、溶解・冷却・濾過・
乾燥という非常に長い工程となる欠点が有る。
【0009】本願発明はシアヌル酸とエポキシ化合物と
を反応してトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レート及びその関連化合物であるシアヌル酸誘導体を製
造する方法に関して、第4級ホスホニウム塩と塩酸を存
在させる事により、それらの相互作用により効率的に製
造しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明は第1観点とし
て、シアヌル酸と式(1):
【0011】
【化3】
【0012】(ただし、R1及びR2は、水素原子、アル
キル基又は芳香族基を示す。)で示されるエポキシ化合
物とを、第4級ホスホニウム塩と塩酸の存在下に溶媒中
で反応させることを特徴とする式(2):
【0013】
【化4】
【0014】で示されるシアヌル酸誘導体の製造方法、
第2観点として、式(1)で表されるエポキシ化合物
が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、α−ブチ
レンオキシド、β−ブチレンオキシド、又はスチレンオ
キシドである第1観点に記載の製造方法、第3観点とし
て、塩酸の一部又は全部が式(1)のエポキシ化合物と
反応して生成するクロルヒドリン化合物として存在する
第1観点又は第2観点に記載の製造方法、第4観点とし
て、第4級ホスホニウム塩を、シアヌル酸に対して0.
03〜10重量%の割合で存在させる第1観点乃至第3
観点のいずれか一つに記載の製造方法、第5観点とし
て、塩酸をシアヌル酸に対して0.1〜10重量%の割
合で存在させる第1観点乃至第4観点のいずれか一つに
記載の製造方法、及び第6観点として、第4級ホスホニ
ウム塩が、ハロゲン化エチルトリフェニルホスホニウム
である第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の製
造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】本願発明に使用するシアヌル酸
(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオール、
3333)は、互変異性体であるイソシアヌル酸と
平衡関係にあり、本願発明ではシアヌル酸、イソシアヌ
ル酸又は両者の混合物を使用することが出来る。
【0016】本願発明に使用する式(1)で表されるエ
ポキシ化合物は、R1及びR2は水素原子、アルキル基又
は芳香族基である。アルキル基としては例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数1〜8の
アルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル
基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基である。
芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジニ
ル基等が挙げられる。
【0017】更に上記R1及びR2は、水素原子、メチル
基及びエチル基で有ることが好ましい。上記の式(1)
で表されるエポキシ化合物の好ましい例示化合物として
は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド(即ち、メ
チルオキシラン)、α−ブチレンオキシド(即ち、1,
2−エポキシブタン)、β−ブチレンオキシド(即ち、
2,3−ジメチルオキシラン)、スチレンオキシドが挙
げられ、これらはそれぞれ単独でシアヌル酸との反応に
使用するものである。
【0018】上記エポキシ化合物はシアヌル酸の1.0
0モルに対して、3.00〜3.50モル、好ましくは
3.05〜3.15モルの比率で用いる。
【0019】シアヌル酸1.00モルに対して、当量比
でエポキシ化合物を反応させる場合は3.00モルのエ
ポキシ化合物を必要とする。
【0020】本願発明に使用する触媒は、R3456
+-で表される第4級ホスホニウム塩を用いることが
出来る。
【0021】R3456+-で表される第4級ホス
ホニウム塩において、R3、R4、R 5及びR6は炭素数1
〜18のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であ
るが、好ましくはR3、R4、R5及びR6の4つの有機基
の内で3つの有機基が炭素数1〜18のアリール基又は
アラルキル基であり、例えばフェニル基やトシル基等の
置換されたフェニル基が挙げられる。そして4つの有機
基の内の残り一つは炭素数1〜18のアルキル基が挙げ
られる。
【0022】また、陰イオン(Y-)は、塩素イオン
(Cl-)、臭素イオン(Br-)、ヨウ素イオン
(I-)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−
COO-)、スルホナート(−SO3 -)、アルコラート
(−O-)等の酸基を挙げることができる。第4級ホス
ホニウム塩は、例えばハロゲン化テトラn−ブチルホス
ホニウム、ハロゲン化テトラn−プロピルホスホニウム
等のハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン
化ベンジルトリエチルホスホニウム等のハロゲン化ベン
ジルトリアルキルホスホニウム、ハロゲン化フェニルト
リエチルホスホニウム等のハロゲン化フェニルトリアル
キルホスホニウム、ハロゲン化メチルトリフェニルホス
ホニウム、ハロゲン化エチルトリフェニルホスホニウム
等のハロゲン化モノアルキルトリフェニルホスホニウ
ム、ハロゲン化ベンジルトリフェニルホスホニウム、ハ
ロゲン化テトラフェニルホスホニウム、ハロゲン化モノ
アリールトリトリルホスホニウム、或いはハロゲン化モ
ノアルキルトリトリルホスホニウム(ハロゲン原子は塩
素原子又は臭素原子)が挙げられる。
【0023】特にハロゲン化エチルトリフェニルホスホ
ニウム等のハロゲン化モノアルキルトリフェニルホスホ
ニウムが好ましい。
【0024】上記の第4級ホスホニウム塩は、シアヌル
酸とエポキシ化合物の反応における触媒として作用す
る。第4級ホスホニウム塩は、シアヌル酸に対して0.
03〜10重量%の割合で存在させることが好ましい。
0.03重量%未満では反応速度の促進が期待できず、
また10重量%を越えて添加してもそれ以上の効果は期
待できない。
【0025】本願発明ではシアヌル酸とエポキシ化合物
からトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
及びその関連化合物である式(2)で示されるシアヌル
酸誘導体を製造する際に、第4級ホスホニウム塩と共に
塩酸を存在させて反応を行う事により効率的にトリス
(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート及びその関
連化合物である式(2)で示されるシアヌル酸誘導体が
得られる。
【0026】塩酸は、シアヌル酸とエポキシ化合物に第
4級ホスホニウム塩と共に反応開始時点から添加して置
くことが好ましい。
【0027】塩酸の添加量は、シアヌル酸に対して0.
1〜10重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%の割
合で存在させることができる。
【0028】シアヌル酸とエポキシ化合物からトリス
(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート及びその関
連化合物を製造する際に、添加された塩酸は生成したト
リス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート及びそ
の関連化合物の分解を抑制する作用がある。この際、添
加された塩酸は塩酸自体で作用を発揮することも考えら
れるが、塩酸がエポキシ化合物と反応してクロルヒドリ
ン化合物に変化して作用することも考えられる。添加し
た塩酸或いは、その塩酸がエポキシ化合物と反応して生
成したクロルヒドリン化合物は、第4級ホスホニウム塩
との相乗効果により効率的に純度の高いトリス(2−ヒ
ドロキシエチル)イソシアヌレート及びその関連化合物
を製造することが出来る。
【0029】塩酸は市販の35%塩酸水溶液を直接に添
加して行われる。本願発明において塩酸の代わりに96
%硫酸、希硫酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、塩化
亜鉛等では分解抑制効果がない。
【0030】シアヌル酸は殆どの有機溶媒に不溶乃至僅
かに溶解する為に、円滑に反応を進行させるため種々の
反応媒体が提案されているが、本件発明に用いられる溶
媒としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、脂肪族ニト
リル、モルホリン、ジメチルスルホキシド、水、アルコ
ール、グリコール、グリコールエーテル、エーテル、テ
トラヒドロフラン、アルキレンハライド、ジアルキルカ
ーボネート等がある。
【0031】上記のシアヌル酸とエポキシ化合物との反
応は、オートクレーブ等の反応容器を用い、1気圧〜1
0気圧の圧力下で、40〜150℃の温度で、4〜50
時間で行うことが出来る。
【0032】本願発明において、シアヌル酸とエチレン
オキシドを、上記触媒と塩酸の存在下に反応させること
により、式(3):
【0033】
【化5】
【0034】で表されるトリス(2−ヒドロキシエチ
ル)イソシアヌレートが高純度・高収率で生成する。
【0035】シアヌル酸とプロピレンオキシドを、上記
触媒と塩酸の存在下に反応させることにより、式
(4):
【0036】
【化6】
【0037】で表されるトリス(2−ヒドロキシプロピ
ル)イソシアヌレートが高純度・高収率で生成する。
【0038】シアヌル酸とα−ブチレンオキシドを、上
記触媒と塩酸の存在下に反応させることにより、式
(5):
【0039】
【化7】
【0040】で表されるトリス(2−ヒドロキシブチ
ル)イソシアヌレートが高純度・高収率で生成する。
【0041】シアヌル酸とβ−ブチレンオキシドを、上
記触媒と塩酸の存在下に反応させることにより、式
(6):
【0042】
【化8】
【0043】で表されるトリス(α−メチル−β−ヒド
ロキシプロピル)イソシアヌレートが高純度・高収率で
生成する。
【0044】また、シアヌル酸とスチレンオキシドを、
上記触媒と塩酸の存在下に反応させることにより、式
(7):
【0045】
【化9】
【0046】で示されるトリス(2−フェニル−2−ヒ
ドロキシエチル)イソシアヌレートが高純度・高収率で
生成する。
【0047】
【実施例】実施例1 オートクレーブにシアヌール酸129g(1.0モ
ル)、プロピレンオキシド177g(3.05モル)、
メチルセロソルブ129g、エチルトリフェニルホスホ
ニウムブロマイド1.29g、35%塩酸1.29gを
添加後に窒素置換を行い撹拌しながら加熱を行い、12
0℃に達してから20時間の反応を自生蒸気圧下で行っ
た。反応完結後、温度計を付けたナスフラスコに反応物
を移し、バキュームエバポレーターにて溶媒を留去し
た。最終的には110℃/5torr下で60分間、溶
媒を留去して、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソ
シアヌレート302gを得た。
【0048】得られた生成物は高速液体クロマトグラフ
ィー、ガスクロマトグラフィー等の分析結果により、ト
リス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートとし
て同定された。収率は99.7%であった。
【0049】以下同様に原料とその使用量を示し反応条
件を変えて、実施例、参考例、及び比較例を実施してそ
の結果を表1〜5に記載した。使用した原料は以下に記
載した。 CA:シアヌル酸 PO:プロピレンオキシド BO:ブチレンオキシド EO:エチレンオキシド TEP:エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド HCl:塩酸 CH:プロピレンクロロヒドリン HS:96%硫酸 AA:酢酸 PTS:パラトルエンスルホン酸 ZC:塩化亜鉛 MS:メチルセロソルブ(溶媒) 生成物(1):トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシ
アヌレート 生成物(2):トリス(2−ヒドロキシブチル)イソシア
ヌレート 生成物(3):トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシア
ヌレート また、表中の(−−)はそれらの成分を添加しない事を
示す。
【0050】純度の測定は高速液体クロマトグラフィー
内標分析法(HPLC−IS法)に基づき行った。即
ち、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用
し、検出器として島津社製、商品名SPD−10Avp
を用い、検出波長210nmで行った。また使用カラム
はGLサイエンス社製、商品名Inertsil OD
S−2を用い、カラム温度は40℃であった。そして溶
離液はメタノール:水=1:6であり、流量が1ml/
分で行った。
【0051】内標液としてレゾルシン0.1gをメタノ
ールにて500mlに溶解、希釈して用いた。
【0052】実施例1の純度測定は、まず再結晶を数十
回繰り返したトリス−(2−ヒドロキシプロピル)イソ
シアヌレート0.2gをメタノールにて100mlに溶
解、希釈し、この標品液10mlと内標液10mlを併
せメタノールにて50mlに希釈した。HPLCに10
μL注入し、これを検量線とした。実施例1で得られた
トリス−(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート
0.2gをメタノールで100mlに溶解、希釈し、こ
の分析液10mlと内標液10mlを併せメタノールで
50mlに希釈した。HPLCに10μL注入し、その
結果から検量線を用い純度を計算した。
【0053】また、標品液と分析液を対応する実施例及
び比較例の分析液に変えて同様に純度測定を行った。
【0054】また、分解物の測定もHPLCによって行い、
「なし」とは210nmの検出波長で検出されないこと
を示し、「有り」とは210nmの検出波長で検出され
たことを示す。
【0055】
【表1】 表1 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 例 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― CA 129g 129g 129g 129g 129g PO 177g 203g −− −− −− BO −− −− 220g 252g 252g EO −− −− −− −− −− MS 129g 129g 129g 129g 129g TEP 1.29g 1.29g 1.29g 1.29g 1.29g HCl 1.29g 1.29g 1.29g 1.29g 1.29g CH −− −− −− −− −− HS −− −− −− −− −− AA −− −− −− −− −− PTS −− −− −− −− −− ZC −− −− −− −− −− 反応温度℃ 120℃ 120℃ 120℃ 120℃ 120℃ 反応時間H 20H 20H 20H 20H 48H 生成物 (1) (1) (2) (2) (2) 収率% 99.7% 99.7% 99.5% 99.5% 99.0% 純度 95.0% 95.0% 95.0% 95.0% 95.0% 分解物 なし なし なし なし なし ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0056】
【表2】 表2 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 例 実施例6 実施例7 実施例8 実施例9 実施例10 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― CA 129g 129g 129g 129g 129g PO −− −− 203g −− −− BO 252g 252g −− −− −− EO −− −− −− 135.5g 145.2g MS 129g 129g 129g 129g 129g TEP 1.29g 1.29g 1.29g 1.29g 1.29g HCl 6.45g 12.9g −− 1.29g 1.29g CH −− −− 1.29g −− −− HS −− −− −− −− −− AA −− −− −− −− −− PTS −− −− −− −− −− ZC −− −− −− −− −− 反応温度℃ 120℃ 120℃ 120℃ 120℃ 120℃ 反応時間H 48H 48H 20H 20H 20H 生成物 (2) (2) (1) (3) (3) 収率% 99.3% 99.5% 95.0% 99.5% 99.5% 純度 95.0% 95.0% 95.0% 95.0% 95.0% 分解物 なし なし なし なし なし ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0057】
【表3】 表3 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 例 参考例1 参考例2 参考例3 参考例4 参考例5 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― CA 129g 129g 129g 129g 129g PO 177g 203g −− −− −− BO −− −− 220g 252g 252g EO −− −− −− −− −− MS 129g 129g 129g 129g 129g TEP 1.29g 1.29g 1.29g 1.29g 1.29g HCl −− −− −− −− −− CH −− −− −− −− −− HS −− −− −− −− −− AA −− −− −− −− −− PTS −− −− −− −− −− ZC −− −− −− −− −− 反応温度℃ 120℃ 120℃ 120℃ 120℃ 120℃ 反応時間H 20H 20H 20H 20H 48H 生成物 (1) (1) (2) (2) (2) 収率% 90.2% 62.1% 89.5% 68.5% 4.0% 純度 90% 60% 90% 65% 4% 分解物 有り 有り 有り 有り 有り ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0058】
【表4】 表4 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 例 参考例6 参考例7 比較例1 比較例2 比較例3 CA 129g 129g 129g 129g 129g PO −− −− 203g 203g 203g BO −− −− −− −− −− EO 135.5g 145.2g −− −− −− MS 129g 129g 129g 129g 129g TEP 1.29g 1.29g 1.29g 1.29g 1.29g HCl なし なし −− −− −− CH −− −− −− −− −− HS −− −− 1.29g −− −− AA −− −− −− 1.29g −− PTS −− −− −− −− 1.29g ZC −− −− −− −− −− 反応温度℃ 120℃ 120℃ 120℃ 120℃ 120℃ 反応時間H 20H 20H 20H 20H 20H 生成物 (3) (3) (1) (1) (1) 収率% 90% 20% 0% 55.4% 71.7% 純度 90% 20% −− 50% 70% 分解物 有り 有り −− 有り 有り ――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0059】
【表5】 表5 ―――――――――――――――――――――――――――――― 例 比較例4 比較例5 比較例6 比較例7 ―――――――――――――――――――――――――――――― CA 129g 129g 129g 129g PO 203g 180g 180g 180g BO −− −− −− −− EO −− −− −− −− MS 129g −− 129g 129g TEP 1.29g −− −− −− HCl −− −− −− −− CH −− 129g 1.29g 1.29g HS −− −− −− −− AA −− −− −− −− PTS −− −− −− −− ZC −− −− −− −− 反応温度℃ 120℃ 120℃ 120℃ 120℃ 反応時間H 20H 5H 5H 24H 生成物 (1) (1) (1) (1) 収率% 79.9% 0.4% 0.2% 2.2% 純度 80% −− −− −− 分解物 有り −− −− −− ―――――――――――――――――――――――――――――― 実施例1〜4では、参考例1〜4との対比から、エポキ
シ化合物と塩酸が共存する系では、シアヌル酸に対して
当量以上のエポキシ化合物を反応系に添加しても得られ
たトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート
及びトリス(2−ヒドロキシブチル)イソシアヌレート
の分解を抑制する事が可能である事が分かる。また、実
施例5と参考例5との対比から、実施例5のエポキシ化
合物と塩酸が共存する系では、長時間の反応を行っても
生成物の分解が発生しないことが分かる。即ち、シアヌ
ル酸とエポキシ化合物に第4級ホスホニウム塩の存在下
で反応させる場合(参考例)に比べて、本願発明の第4
級ホスホニウム塩と塩酸を併存させておくことにより反
応のコントロールが容易であるばかりか、反応中間体を
削減、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレー
ト及びその関連化合物の分解抑制ができ製品の純度が向
上する。
【0060】また、比較例1〜4に示される様に、第4
級ホスホニウム塩が存在していても塩酸以外の酸性物質
では収率が低く、そして比較例5〜7に示される様に、
プロピレンオキシドにプロピレンクロロヒドリンを共存
させプロピレンクロロヒドリンを溶媒自体に使用した場
合や、プロピレンオキシドの一部が塩酸添加によってプ
ロピレンクロロヒドリンに変化した場合でも、第4級ホ
スホニウム塩が存在しなければほとんど反応が進行しな
い。
【0061】参考例1〜5の方法では反応が進行し、未
反応物がなくなり酸価がほぼゼロに近づくと生成物の分
解による塩基性分解物(アミン系化合物)が発生する。
この塩基性分解物の混入を避けるために酸価がゼロに近
づく前(酸価=0.005付近)で反応を止め、あえて
未反応物(例えば未反応物とはシアヌル酸の3個の水素
の少なくとも一つが残っている状態である。)を少し残
す方法で生成物を得ていた。
【0062】ところが、本願発明では生成物の酸価は検
出限界以下である。(0.1NのKOH水溶液で中和滴
定を行い、0.001モル/kg以下を検出限界とし
た。)本願発明は酸価の値が検出限界以下となる終点ま
で反応を完結し、場合によっては終点を越え加熱を行っ
ても塩基性分解物の発生がない。これは塩酸酸性下又は
塩酸とアルキレンオキシドが反応して生ずるアルキレン
クロルヒドリンの存在によって、この塩基性分解物の発
生を抑制できるものである。
【0063】本願発明は第4級ホスホニウム塩の触媒作
用により反応を促進し99%以上の高収率を達成し、且
つ反応終点に達しても塩酸乃至アルキレンクロルヒドリ
ンの存在によって塩基性分解物の発生がないため純度も
95%以上である。
【0064】この様に第4級ホスホニウム塩と、塩酸又
はアルキレンクロルヒドリンとが両者同時に存在して互
いに機能を発揮し相乗効果をもたらし、トリス−(2−
ヒドロキシエチル)イソシアヌレート及びその関連化合
物の製造が収率良く純度の高いものとすることを見出し
た。
【0065】そして、第4級ホスホニウム塩と組み合わ
せる事が可能な成分は、硫酸、酢酸、パラトルエンスル
ホン酸等の酸では効果がなく、第4級ホスホニウム塩と
塩酸又はその塩酸とエポキシ化合物が反応して生ずるア
ルキレンクロルヒドリンによってのみ相乗効果が得られ
るものである。
【0066】この様に本願発明は、反応の終点の手前で
反応を止める必要がないので反応操作が簡単である。ま
た、酸価がほぼゼロに近いため未反応物が残留すること
がなく、しかも生成物の分解による塩基性分解物の混入
もないので、得られる生成物の純度が高いため、従来品
はガラス状の半固化体でしかなかった性状のものが、完
全な固化体として取り扱えるため、生成物の回収という
点で工程上、有利である。
【0067】
【発明の効果】従来は分解を抑制するためにアルキレン
オキシドの添加量を精度良くコントロールする必要があ
り、場合によっては反応の途中でサンプリングが必要で
あり、分解させないために反応が完結する手前で終了さ
せ、それによって多量の反応中間体が残存していた。
【0068】本願発明は、シアヌル酸とエポキシ化合物
とを、第4級ホスホニウム塩と塩酸の存在下に溶媒中で
反応させることによるトリス(2−ヒドロキシエチル)
イソシアヌレート及びその関連化合物の製造方法であ
る。
【0069】本願発明では塩酸を共存させておくことに
より、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレー
ト及びその関連化合物の分解を抑制することができるこ
とから、シアヌル酸に対して当量以上のエポキシ化合物
を反応系に添加する事が可能であり、その結果、反応中
間体を削減でき製品の純度が向上する。
【0070】従って、本願発明で得られた製品は高純度
であることから、溶媒を除去した製品は容易に結晶化で
きることが分かり、従来はガラス状の半固化状態であっ
た製品が、本件製法によれば精製工程を追加しなくても
得られた製品は粉体として扱える。
【0071】本発明の製造工程では生成物のトリス(2
−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート及びその関連化
合物は、143℃で70時間に及ぶ反応でも分解しない
熱安定性を有している。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シアヌル酸と式(1): 【化1】 (ただし、R1及びR2は、水素原子、アルキル基又は芳
    香族基を示す。)で示されるエポキシ化合物とを、第4
    級ホスホニウム塩と塩酸の存在下に溶媒中で反応させる
    ことを特徴とする式(2): 【化2】 で示されるシアヌル酸誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 式(1)で表されるエポキシ化合物が、
    エチレンオキシド、プロピレンオキシド、α−ブチレン
    オキシド、β−ブチレンオキシド、又はスチレンオキシ
    ドである請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 塩酸の一部又は全部が式(1)のエポキ
    シ化合物と反応して生成するクロルヒドリン化合物とし
    て存在する請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 第4級ホスホニウム塩を、シアヌル酸に
    対して0.03〜10重量%の割合で存在させる請求項
    1乃至請求項3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 塩酸をシアヌル酸に対して0.1〜10
    重量%の割合で存在させる請求項1乃至請求項4のいず
    れか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 第4級ホスホニウム塩が、ハロゲン化エ
    チルトリフェニルホスホニウムである請求項1乃至請求
    項5のいずれか1項に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115480018A (zh) * 2022-07-29 2022-12-16 佳化化学科技发展(上海)有限公司 一种测定赛克含量的方法

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