JP2002311219A - 光学部材及びこれを用いた光ピックアップ - Google Patents

光学部材及びこれを用いた光ピックアップ

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JP2002311219A
JP2002311219A JP2001119641A JP2001119641A JP2002311219A JP 2002311219 A JP2002311219 A JP 2002311219A JP 2001119641 A JP2001119641 A JP 2001119641A JP 2001119641 A JP2001119641 A JP 2001119641A JP 2002311219 A JP2002311219 A JP 2002311219A
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diffraction grating
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optical member
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Shoichi Kyotani
昇一 京谷
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の光学部材では、波長λ1のレーザ光用
の回折格子1aを、波長λ2のレーザ光に依存して設計
するとλ1のレーザ光の効率が低下し、逆に波長λ2の
レーザ光用の回折格子1bを、波長λ1のレーザ光に依
存して設計するとλ2のレーザ光の効率が低下する問題
があった。 【解決手段】 回折格子1a,1bは、その表面に凸部
1a1,1b1と凹部1a2,1b2がそれぞれ交互に
形成され、凸部1a1,1b1の幅寸法と凹部1a2,
1b2の幅寸法とが異なるように形成されている。凸部
幅/(凸部幅+凹部幅)をDUTY比としてこのDUT
Y比を変えた設計をすることで、レーザ光の0次回折光
と1次回折光の効率を変えた設計が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2波長のレーザ光
が発光可能なディスク装置に搭載される光学部材に係
り、特にレーザ光の波長に応じて独立に回折させること
ができる光学部材に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク装置には、CD(Compa
ct Disk)系のディスクとDVD(Digita
l Versatile Disk)系のディスクの再
生に対応した光ピックアップが搭載されているものがあ
る。DVDは、CDに比べて高密度記録が可能であり、
ディスクの記録密度が高く形成されるなどディスク内の
構造が異なっている。そのため、CDとDVD兼用の光
ディスク装置には、波長の異なるレーザ光源が搭載さ
れ、CDでは約780nm(λ1)のレーザ光が、DV
Dではより短波長の約650nm(λ2)のレーザ光が
利用されている。
【0003】例えば、前記のような光ディスク装置とし
て、CD用のレーザ光源とDVD用のレーザ光源とがそ
れぞれ別個に設けられたものがある。CD用のレーザ光
源から発せられた波長λ1のレーザ光が2焦点の対物レ
ンズへ導かれ、ディスクに反射した戻り光がフォトダイ
オードで検出される。またDVD用のレーザ光源から発
せられた波長λ2のレーザ光が2焦点の対物レンズへ導
かれ、ディスクに反射した戻り光が前記と共通のフォト
ダイオードで検出される。
【0004】前記光ディスク装置でのCD用の検出方法
として、レーザ光を1本の主ビームと2本のサブビーム
にして検出する3ビーム法が適用され、DVD用の検出
方法としては1ビームのみで検出させるDPD法(Di
fferential Phase Detectio
n;位相差法)が適用されている。
【0005】またDVD用として書き換えが可能なDV
D−RAM(DVD−RandomAccess Me
mory)では、1ビームで検出できる前記DPD法を
採用することができない。そこで、前記DPD法に代え
てディファレンシャルプッシュプル(DPP)法が採用
されている。このDPP法ではDVDのレーザ光をCD
の場合と同様に3ビームに変換する必要がある。
【0006】光ディスク装置のコストダウンを図るべ
く、CD用のレーザ光源とDVD用のレーザ光源とを同
一の筐体(管)内に設けて一体化したものが既に製品化
されている。この場合に各レーザ光を3ビームにするた
めの回折格子(光学部材)が必要になる。
【0007】このような回折格子としては、レーザ光の
一方の面(入射側)にλ1のレーザ光を3ビームにする
第1の回折格子が設けられ、他方の面(出射側)にλ2
のレーザ光を3ビームにする第2の回折格子が設けられ
ているものがある。この場合に、第1の回折格子ではλ
1の波長のレーザ光を3ビームにさせるとともにλ2の
波長のレーザ光を1ビームのまま透過させ、また第2の
回折格子では、λ1の波長のレーザ光を透過させるとと
もにλ2の波長のレーザ光を3ビームに変換させる必要
がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の回
折格子では、第1の回折格子をλ2のレーザ光が通過し
たときに1ビームのまま透過させるように回折格子を設
計すると、この第1の回折格子にλ1のレーザ光が入射
したときの0次回折光(主ビーム)の効率が低下し且つ
1次回折光(サブビーム)の効率が必要以上に大きくな
り過ぎる。
【0009】また第2の回折格子をλ1のレーザ光が通
過したときに回折させずに1ビームのまま透過させるよ
うに設計すると、第2の回折格子にλ2のレーザ光が入
射したときに、λ2のレーザ光の0次回折光の効率が低
下し且つ1次回折光の効率が大きくなり過ぎる。
【0010】この点について図8の線図を参照して詳述
する。ただし、図8に示す効率とは、入射したレーザ光
を1としたときの通過後の0次回折光の割合を示す。ま
た周期(p)とは、回折格子の凸部から隣接する凸部ま
での距離を示し、図8に示すものは周期(p)が20μ
m、屈折率(n)が1.5である。
【0011】図8に示すように、第1の回折格子でλ2
の1次回折光を出力させないためには、図8のQ1点で
示す格子深さが1.3付近となるように設計する必要が
あるが、これではλ1のレーザ光が通過したときの0次
回折光の効率が6割程度まで低下し且つ1次回折光の効
率が1割程度と必要以上に大きくなってしまう。また第
2の回折格子でλ1の1次回折光を出力させないために
は、図8のQ2点で示す格子深さが1.6程度となるよ
うに設計する必要があるが、これではλ2のレーザ光が
通過したときの0次回折光の効率が6割以下に低下し且
つ1次回折光の効率が1割以上と必要以上に大きくなり
過ぎる。0次回折光の効率が低いと、信号光のS/N比
が悪くなる。また第1の回折格子でのλ1の1次回折光
をトラッキングサーボに使うときに第2の回折格子でサ
ブビーム(1次回折光)が生じると、トラッキング信号
にオフセットが生じる。同様にλ2についても第2の回
折格子の1次回折光をトラッキングサーボに使用する
が、この場合にも第1の回折格子でλ2のサブビーム
(1次回折光)が生じるとトラッキング信号にオフセッ
トが生じる。
【0012】図9は、屈折率n=1.54のときの図8
の範囲Sの部分を拡大した線図であり、図9の×印は、
λ1の1次回折光の効率をλ1の0次回折光の効率で除
した割合である。またこの場合、前記×印で示した割合
は、再生用のCDの場合に10以上15以下に設定する
ことが一般的となっている。
【0013】図10は、屈折率n=1.54のときの図
8の範囲Sの拡大図であり、波長λ2の1次回折光にお
ける格子深さと効率との関係を示している。ただし、縦
軸の効率は指数で表わしたものである。
【0014】図10に示すように、第1の回折格子でλ
2の1次回折光が出力されないようにする最適な格子深
さとしては、図10のTで示す範囲であるが、このよう
にTで示す狭い範囲に限定されてしまい、(1次回折光
の効率)/(0次回折光の効率)が10以上15以下の
範囲内で設計できるにも拘わらず、1次回折光の効率を
変えた設計ができなくなり、設計の自由度が制限され
る。
【0015】本発明は上記課題を解決するものであり、
双方の波長のレーザ光に対して最適な設計をすることが
でき、しかも1次回折光の効率を変化させた設計が可能
な光学部材を提供することを目的とする。
【0016】また本発明は、構造を簡略化してコストダ
ウンが可能な光ピックアップを提供することを目的とし
ている。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1の波長λ
1と、第2の波長λ2のレーザ光が入射する透明部材の
一方の面に、前記第1の波長λ1のレーザ光を回折させ
るとともに前記第2の波長λ2のレーザ光を回折させな
い第1の回折格子が、他方の面に前記第2の波長λ2の
レーザ光を回折させるとともに、前記第1の波長λ1の
レーザ光を回折させない第2の回折格子が設けられた光
学部材において、前記第1の回折格子の深さが、前記第
2の波長λ2のレーザ光に依存するとともに、前記第1
の回折格子の凸部の幅寸法と、凹部の幅寸法が、回折さ
れる前記第1の波長λ1のレーザ光の0次回折光と1次
回折光との割合が所定の範囲内に収まるよう形成され、
前記第2の回折格子の深さが、前記第1の波長λ1のレ
ーザ光に依存するとともに、前記第2の回折格子の凸部
の幅寸法と、凹部の幅寸法が、回折される前記第2の波
長λ2のレーザ光の0次回折光と1次回折光との割合が
所定の範囲内に収まるように形成されていることを特徴
とするものである。
【0018】上記本発明は、2波長のレーザ光をそれぞ
れ独立に回折させることができ、しかも0次回折光と1
次回折光の割合に幅を持たせることが可能となるので、
設計の自由度を広げることができる。その結果、トラッ
クエラーの検出精度を高めることができる。
【0019】例えば、前記第1の波長または前記第2の
波長の0次回折光の光量に対する1次回折光の光量の割
合(1次回折光/0次回折光)が、5以上15以下に設
定されるように構成できる。例えば、再生用CDとして
使用する場合には、10以上15以下の範囲で使用する
ことが好ましい。また記録用CDとして使用する場合に
は、5以上15以下の範囲で使用することが好ましく、
さらに好ましくは5以上10以下の範囲である。
【0020】また前記凸部が凹部より幅広に形成されて
いることで、型成型する際に型側の凹部から抜け易くな
り、型成型が容易になる。
【0021】また前記第1の波長λ1はほぼ780nm
であり、前記第2の波長λ2はほぼ650nmであるも
のとして構成できる。これにより、CDとDVDの双方
に対応が可能となる。
【0022】また、前記第1の回折格子と第2の回折格
子の少なくとも一方の表面には、前記第1と第2の波長
のレーザ光の波長より小さい周期の微小回折格子が形成
されていることが好ましい。このような微小回折格子を
設けることで、高価な反射防止膜と同等な反射防止効果
を発揮することができ、光の反射ロスを低減できる。
【0023】また本発明の光ピックアップは、前記光学
部材と、前記光学部材に向けて異なる波長のレーザ光を
発する発光素子と、対物レンズと、記録媒体に反射した
戻り光を受光する受光部を含む光学系が設けられている
ことを特徴とするものである。このような構成とするこ
とで、ひとつの光学部材で2波長のレーザ光をそれぞれ
独立して回折させることができるので、部品点数を減ら
して構造を簡略化でき、コストダウンが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は本発明の光ピックアップの
一例を示す概略図、図2は光学部材の形状を示す一部省
略平面図、図3は785nmの1次回折光と0次回折光
の割合とDUTY比との関係を示す線図、図4は図3に
示す場合の658nmの1次回折光と最適な格子深さを
示す線図、図5は658nmの1次回折光と0次回折光
の割合とDUTY比との関係を示す線図、図6は図5に
示す場合の658nmの1次回折光と最適な格子深さを
示す線図である。なお、DUTY比とは格子の幅(凹部
と凸部を足した幅)に対する凸部の幅の比としている。
【0025】以下では、本発明の光学部材1と、この光
学部材1が搭載された光ピックアップ10について説明
する。また前記光ピックアップ10は、例えば読み取り
専用のCD(CD−ROM)と書き換え可能なDVD
(DVD−RAM)のように双方とも3ビーム法により
検出が行われる光ディスク装置に搭載される。
【0026】図1に示す光ピックアップ10は、CD用
として約780nmの波長λ1のレーザ光を発光する発
光素子2aと、DVD用として約650nmの波長λ2
のレーザ光を発光する発光素子2bが微小間隔離れた状
態で、単一の筐体内に設けられて光源(発光部)2とし
て構成されている。
【0027】前記光ピックアップ10には、光学系とし
て、光学部材1が前記光源2の発光側の前方に配置さ
れ、その他ビームスプリッタ3、コリメータレンズ4、
対物レンズ5及び受光部6が所定の位置に配置されてい
る。
【0028】前記光源2の発光素子2a,2bの一方か
ら発せられたレーザ光は、前記光学部材1を通過してビ
ームスプリッタ3でディスクD側へ反射した後に、コリ
メータレンズ4で平行光に調整され、対物レンズ5を通
って、ディスクDの表面にレーザ光のスポット光を形成
する。そして、ディスクDに反射して戻った戻り光は、
対物レンズ5とコリメータレンズ4を通り、ビームスプ
リッタ3を直進して通過して、受光部6の受光素子へ導
かれる。
【0029】前記受光部6の受光素子はピンフォトダイ
オードで形成されており、この素子で検知された信号に
応じて対物レンズ5をディスク面に沿うトラッキング方
向へ補正し、またディスク面に直交するフォーカシング
方向へ補正することができる。
【0030】また、図示していないが、前記光ピックア
ップ10には前記対物レンズ5を微動自在に支持するレ
ンズホルダが設けられ、このレンズホルダを微駆動させ
る駆動手段が設けられている。前記駆動手段による動力
により、対物レンズ5がトラッキング方向とフォーカシ
ング方向へ微駆動可能とされている。
【0031】前記光学部材1は、ガラス、合成樹脂また
はこれらの複合材からなる光透過性の透明部材であり金
型を用いて成型される。また光学部材1には、前記光源
2から発せられるレーザ光の入射面側にCD用としての
785nm(λ1)の波長のレーザ光を3ビームに回折
する第1の回折格子1aが形成され、前記光学部材1の
射出面側にDVD用としての658nm(λ2)の波長
のレーザ光を3ビームに回折する第2の回折格子1bが
形成されている。これら第1の回折格子1aと第2の回
折格子1bは、一体に形成されたものであってもよく、
各回折格子1a,1bがそれぞれ別体で形成されて、透
明樹脂製の接着剤などで固定されたものであってもよ
い。
【0032】図2に示すように、前記光学部材1に形成
された第1の回折格子1aは、凸部1a1と凹部1a2
が交互に繰り返し形成された凹凸形状である。また回折
格子1aの各凸部1a1の幅寸法W1はいずれも同一寸
法であり、各凹部1a2の幅寸法W2もいずれも同一寸
法である。また前記光学部材1に形成された第2の回折
格子1bは、凸部1b1と凹部1b2が交互に繰り返し
形成された凹凸形状であり、各凸部1b1の幅寸法W3
はいずれも同一寸法であり、各凹部1b2の幅寸法W4
いずれも同一寸法である。ただし、W1≠W2、W3≠
W4である。また凸部1a1,1b1の幅寸法と凹部1
a2,1b2の幅寸法では、凸部が凹部より幅広に形成
されることが好ましく、これにより金型側の凹部が形成
し易くなり、また成形時の抜けが良好になる。
【0033】図3に示すように、前記回折格子1aにお
いて、凸部1a1の幅寸法と凹部1a2の幅寸法の割合
をDUTY比(凸部幅(W1)/1周期幅(W1+W
2))として表わすと、このDUTY比を変化させたと
き、658nmの1次回折光が最小となる格子深さにす
るという条件で計算すると、785nm(λ1)の0次
回折光の変化が○印で表わされ、785nmの1次回折
光の変化が◇印で表わされる。なお、図3に示す回折格
子1aは周期(p)が30μmで、屈折率が1.54の
場合であり、図8ないし図10で示した回折格子で設定
された周期(p=20μm)とは異なっているが、周期
が20μmの回折格子と周期が30μmの回折格子とで
は若干ピークが異なるだけでほぼ同じ波形が得られる。
【0034】また図3に示すように、785nmの0次
回折光と785nmの1次回折光により、785nmに
対する1次回折光と0次回折光との割合(1次回折光の
効率/0次回折光の効率)を表わすと、図中の×印で示
す波形となる。またこのときのλ2の1次回折光の効率
は図4の◆で示す波形となる。ただし、図4の縦軸の効
率は指数で表わしている。
【0035】図3及び図4より、DUTY比を約0.3
5〜0.65の範囲内で変動させることで、λ1(78
5nm)の0次回折光と1次回折光の割合を10%から
15%までの範囲内で変動させることができる。しかも
この範囲内ではλ2(658nm)の1次回折光の効率
を十分に低く抑えることができる。
【0036】よって、波長が785nmのレーザ光で再
生処理が行われる光ディスク装置では、DUTY比を約
0.35〜0.65の範囲内で変更すると、1次回折光
/0次回折光を10以上15以下の範囲内で変更できる
ので、785nmのレーザ光の1次回折光の効率を変更
した設計が可能になる。
【0037】また、波長が785nmのレーザ光を使用
した書き込み可能な光ディスク装置では、DUTY比を
約0.22〜0.35及び約0.65〜0.77の範囲
で変更することで、1次回折光/0次回折光を5以上1
0以下の範囲内で変更でき、785nmのレーザ光の1
次回折光の効率を下げた設計が可能となる。ただし、こ
の場合1次回折光/0次回折光が5以上15以下に設定
されてもよい。
【0038】なお、図4の□印は、DUTY比を変化さ
せたときの回折格子1aの格子深さの最適値を示してい
る。
【0039】このように、第1の回折格子1aの凹部1
a2と凸部1a1の幅寸法を変えた設計をすることで、
波長785nm(λ1)のレーザ光が入射したときには
3ビームに回折させることができ、波長658nm(λ
2)のレーザ光が入射したときには3ビームに回折させ
ることなく1ビームのまま透過させることができる。
【0040】一方、図5では、前記回折格子1bでのD
UTY比(W3/(W3+W4))を変化させたとき、
785nmの1次回折光が最小となる格子深さにすると
いう条件で計算すると、658nmの0次回折光の変化
が●印で示され、658nmの1次回折光の変化が◆印
で示される。なお、回折格子1bは前記回折光格子1a
と同じ周期(p)と屈折率が設定されているが、実際に
適用するときには周期が異なっていてもよい。
【0041】図5に示す658nm(λ2)の0次回折
光と658nmの1次回折光から、658nmに対する
1次回折光と0次回折光との割合(1次回折光の効率/
0次回折光の効率)を表わすと、図5の×印で示す波形
となる。またこのときのλ1の1次回折光の効率は図6
の◇で示す波形となる。ただし、図6の縦軸の効率は指
数で表わしている。
【0042】図5及び図6より、DUTY比を約0.2
5〜0.33と約0.65〜0.72の範囲内で変動さ
せることで、λ2(658nm)の0次回折光と1次回
折光の割合を10〜15の範囲内で変動できる。しかも
この範囲内ではλ1(785nm)の1次回折光の効率
を十分に低く抑えることができる(図6参照)。
【0043】よって、波長が658nmのレーザ光で再
生処理が行われる光ディスク装置では、DUTY比を変
更した設計を行うことで、658nmのレーザ光の1次
回折光の効率を調節した設計が可能になる。
【0044】また、波長が658nmのレーザ光を使用
した書き込み可能な光ディスク装置では、DUTY比を
約0.17〜0.25と約0.72〜0.8の範囲で変
更すると、1次回折光/0次回折光を5以上10以下に
設定できるので、658nmのレーザ光の1次回折光の
効率を下げた設計が可能となる。ただし、5以上10以
下ではなく、5以上15以下に設定されるものであって
もよい。
【0045】なお、図6に示す□印はDUTY比を変化
させたときの回折格子1bの格子深さの最適値を示して
いる。
【0046】このように回折格子1bと1aの凹部と凸
部の幅寸法を変更した設計をすることで、波長658n
mのレーザ光が入射したときには回折格子1bで3ビー
ムに回折させることができ、回折格子1aでは回折しな
いのでそのまま3ビームで出射し、波長785nmのレ
ーザ光が入射したときには回折格子1aで3ビームに回
折させることができ、回折格子1bでは回折しないので
そのまま3ビームで出射させることができる。さらにD
UTY比を変えた設計を行うことで、レーザ光の0次回
折光や1次回折光の効率を変えた設計が可能となる。
【0047】図7は、前記光学部材1を変形した光学部
材1Aを示す部分拡大平面図である。
【0048】この光学部材1Aは、凸部1a1,凹部1
a2の表面にそれぞれ微小回折格子11,12が設けら
れている。この微小回折格子11は、ギザギザ状に凹凸
が形成されており、前記微小回折格子11の凸部から隣
接する凸部までを1周期とすると、この1周期がレーザ
光の波長(λ1,λ2)より短く形成されていることが
好ましい。このように回折格子1aの凸部1a1と凹部
1a2に重ねて前記微小回折格子11,12を形成する
ことで反射防止効果が発揮され、レーザ光の反射による
ロスを低減できる。なお、前記微小回折格子11,12
が前記回折格子1aとともに前記回折格子1b側に設け
られていてもよく、あるいは回折格子1a,1bのいず
れか一方に設けられているものであってもよい。
【0049】
【発明の効果】以上説明した本発明は、2波長のレーザ
光をそれぞれ独立に回折させることができ、しかもレー
ザ光の0次回折光と1次回折光の比率を変えた設計を行
うことができるようになる。その結果、設計上の制約を
緩和して受光部での検出精度を高めることが可能にな
る。
【0050】また、凸部が凹部より幅広に形成されるこ
とで、型側の凹部が形成し易くなるので、型成型が容易
になり、成型時の抜けも向上する。
【0051】また、回折格子の表面に微小回折格子を設
けることで、反射防止効果を与えることができる。よっ
て、高価な反射防止膜を設ける必要がないので、コスト
ダウンが図れる。
【0052】また本発明の光ピックアップは、部品点数
を減らして構造を簡略化できるので、コストダウンが可
能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学部材が搭載された光ピックアップ
装置を示す概略図、
【図2】光学部材の形状を示す一部省略平面図、
【図3】785nmの1次回折光と0次回折光の割合と
DUTY比との関係を示す線図、
【図4】図3に示す場合の658nmの1次回折光と最
適な格子深さを示す線図、
【図5】658nmの1次回折光と0次回折光の割合と
DUTY比との関係を示す線図、
【図6】図5に示す場合の658nmの1次回折光と最
適な格子深さを示す線図、
【図7】本発明の光学部材の変形例を示す部分拡大平面
図、
【図8】格子深さと各回折光の効率との関係を示す線
図、
【図9】図8の一部を拡大した線図、
【図10】格子深さに対する658nmの1次回折光の
効率変化を示す線図、
【符号の説明】
1 光学部材 1a 第1の回折格子 1b 第2の回折格子 2 光源 2a,2b 発光素子 4 コリメータレンズ 5 対物レンズ 6 受光部 10 光ピックアップ 11,12 微小回折格子

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の波長λ1と、第2の波長λ2のレ
    ーザ光が入射する透明部材の一方の面に、前記第1の波
    長λ1のレーザ光を回折させるとともに前記第2の波長
    λ2のレーザ光を回折させない第1の回折格子が、他方
    の面に前記第2の波長λ2のレーザ光を回折させるとと
    もに、前記第1の波長λ1のレーザ光を回折させない第
    2の回折格子が設けられた光学部材において、 前記第1の回折格子の深さが、前記第2の波長λ2のレ
    ーザ光に依存するとともに、前記第1の回折格子の凸部
    の幅寸法と、凹部の幅寸法が、回折される前記第1の波
    長λ1のレーザ光の0次回折光と1次回折光との割合が
    所定の範囲内に収まるよう形成され、 前記第2の回折格子の深さが、前記第1の波長λ1のレ
    ーザ光に依存するとともに、前記第2の回折格子の凸部
    の幅寸法と、凹部の幅寸法が、回折される前記第2の波
    長λ2のレーザ光の0次回折光と1次回折光との割合が
    所定の範囲内に収まるように形成されていることを特徴
    とする光学部材。
  2. 【請求項2】 前記第1の波長λ1または前記第2の波
    長λ2の0次回折光の光量に対する1次回折光の光量の
    割合(1次回折光/0次回折光)が、5以上15以下で
    ある請求項1記載の光学部材。
  3. 【請求項3】 前記割合が5以上10以下である請求項
    2記載の光学部材。
  4. 【請求項4】 前記凸部が前記凹部より幅広に形成され
    ている請求項1ないし3のいずれかに記載の光学部材。
  5. 【請求項5】 前記第1の波長λ1はほぼ780nmで
    あり、前記第2の波長λ2はほぼ650nmである請求
    項1ないし4のいずれかに記載の光学部材。
  6. 【請求項6】 前記第1の回折格子と第2の回折格子の
    少なくとも一方の表面には、前記第1の波長と第2の波
    長のレーザ光の波長より小さい周期の微小回折格子が形
    成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の光学
    部材。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の光
    学部材と、前記光学部材に向けて異なる波長のレーザ光
    を発する光源と、対物レンズと、記録媒体に反射した戻
    り光を受光する受光部を含む光学系が設けられているこ
    とを特徴とする光ピックアップ。
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