JP2002309707A - 型枠兼用断熱材を持つコンクリートスラブの施工方法および該コンクリートスラブを持つ構築物 - Google Patents

型枠兼用断熱材を持つコンクリートスラブの施工方法および該コンクリートスラブを持つ構築物

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JP2002309707A
JP2002309707A JP2001118648A JP2001118648A JP2002309707A JP 2002309707 A JP2002309707 A JP 2002309707A JP 2001118648 A JP2001118648 A JP 2001118648A JP 2001118648 A JP2001118648 A JP 2001118648A JP 2002309707 A JP2002309707 A JP 2002309707A
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concrete
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heat insulating
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English (en)
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Terumaro Nagai
照麿 永井
Kazuhiro Higa
一博 比嘉
Tsunemasa Nakanishi
常正 仲西
Hiromi Yoshimitsu
博美 吉満
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KENCHIKU SEKKEI IORI KK
NAKANISHI KENSETSU KK
Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
KENCHIKU SEKKEI IORI KK
NAKANISHI KENSETSU KK
Sekisui Plastics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所要間隔で立設した支持部材1、2の上に、
型枠兼用断熱材10を直接敷き詰めてコンクリート51
を打設するコンクリートスラブ50の施工方法におい
て、施工をさらに安定化し、また、型枠兼用断熱材と打
設コンクリートとの一体化を強固なものとする。 【解決手段】 型枠兼用断熱材10として、合成樹脂発
泡体である基材11の裏面に板状の補強材12を貼り付
けたものを用いる。それにより、型枠兼用断熱材10の
機械的強度が向上し、施工がさらに安定化する。また、
基材11に複数の貫通孔13aが形成されているものを
用いることにより、打設したコンクリート51と型枠兼
用断熱材10との一体化を一層促進できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリートスラ
ブの施工方法および該コンクリートスラブを持つ構築物
に関し、特に、コンクリート打設前の型枠を実質的に省
略することにより、施工効率を大幅に改善することを可
能とした型枠兼用断熱材を持つコンクリートスラブの施
工方法およびその方法により作られる構築物に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄筋コンクリート造の建築物において、
コンクリートスラブは、通常、梁せい面とスラブ下面と
に相当する型枠を作り、必要な配筋を行い、該型枠内に
コンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後、型
枠を除去することにより構築される。通常、図14に示
すように、梁20の部分とコンクリート床50aとなる
部分の下方に、所定高さで支柱1を立て、その上に所用
の横架状の支持部材2を配置した後、型枠として、凹溝
状の梁用型枠bと該梁用型枠bの上端縁に沿ってスラブ
下面となる平面型枠cとを組み付ける。このようにして
スラブ型枠を作った後で、凹溝状の梁用型枠bの内側に
所用の配筋を行い、さらに平面型枠cから一定距離離れ
た位置にスラブ筋5を設置した後、場所打ちコンクリー
ト51が打ち込まれ、梁部分20とコンクリート床50
aとが一体となったコンクリートスラブ50が構築され
る。
【0003】上記施工法の場合、断面凹溝状をなす梁用
型枠bおよびスラブ下面となる水平方向の平面型枠cと
を施工現場で組み立てることが必要であり、さらに、凹
溝状の梁用型枠bの内側に配筋する作業は、その場所が
幅狭なこと、さらには下方に落ち込んだ部分での作業が
必要なことなどから、困難かつ長い作業時間を要してい
る。そのような事情に鑑みてなされた改良されたコンク
リートスラブの施工法として、図15に示すように、梁
せい下面の高さとなる位置にスラブ用水平型枠dを支柱
1や横架状の支持部材2などを介して水平に敷き詰めた
後、梁用の配筋を行い、その後で、梁せい下面とスラブ
下面との段差となる空間を充填すべく型枠兼用断熱材1
0を前記水平に敷き詰めた水平型枠d上に配置し、必要
なスラブ配筋5を行った後、コンクリート51を打設す
るようにしたコンクリートスラブ50の施工方法が提案
されている(特開平10−169064号公報参照)。
【0004】この施工方法によれば、型枠兼用断熱材1
0は型枠としての機能を果たすので、施工に際して、従
来のように、梁用型枠として断面凹溝状の型枠を組み立
てることを要せず、梁せい下面の高さとなる位置に単に
水平状態に水平型枠dを敷き詰めるだけで、所望の形状
のコンクリート打設空間を得ることができ、スラブ型枠
の設置作業がきわめて容易になり、短時間で作業を終え
ることができる。また、この型枠兼用断熱材10は断熱
材としての機能をも持つ。前記特開平10−16906
4号公報に記載されるコンクリートスラブの施工方法
は、梁用型枠は不要であり施工を簡素化できる利点があ
るものの、依然として水平型枠dを構築することが必要
であり、型枠損料などの課題を十分に解決しているとは
いえない。
【0005】その課題を解決するさらに改良されたコン
クリートスラブの施工方法として、図16に示すよう
に、所要間隔で支柱1や横架状の支持部材2などを配置
し、その上に、裏面に補強材として棒状の木質材40を
長手方向の全長にわたって一定間隔で取り付けた型枠兼
用断熱材10を、水平型枠を用いることなく、直接支持
して敷き詰め、その後、必要な配筋5を行いかつコンク
リート51を打設するようにした施工方法が提案されて
いる(特開2000−96755号公報)。この施工方
法によれば、型枠兼用断熱材10は裏面側に棒状の木質
材40を補強材として備えることから、支柱1や横架状
の支持部材2などで型枠兼用断熱材10を下面から支え
るだけで、施工時における諸荷重に耐えることができ
る。そのために、水平型枠をも省略することが可能とな
り、型枠兼用断熱材を配置するための準備作業はさらに
省力化される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は特開2000
−96755号公報に記載される型枠を用いないコンク
リートスラブの施工方法をさらに改良することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、所要間隔で支
持部材を立設し、必要に応じて該支持部材に横架材を、
配置し、該支持部材または必要に応じて配置した横架材
により型枠兼用断熱材を、型枠を用いることなく支持し
て敷き詰め、その後、必要な配筋を行いかつコンクリー
トを打設する型枠兼用断熱材を持つコンクリートスラブ
の施工方法において、型枠兼用断熱材として、合成樹脂
発泡体である基材の裏面に、裏面と同じ大きさの板状の
補強材を、裏面の全面にあるいはわずかに位置をずらし
た状態で貼着された型枠兼用断熱材を用いることを特徴
とする。
【0008】本発明において、合成樹脂発泡体である基
材の裏面全体にあるいはわずかに位置をずらした状態で
板状の補強材を貼着したものを型枠兼用断熱材として用
いるようにしたことにより、幅の狭い棒状の木質材を長
手方向の全長にわたって一定間隔で取り付けた型枠兼用
断熱材を用いる場合と比較して、合成樹脂発泡体である
基材に十分な曲げ強度を与えることができる。それによ
り、施工の過程で、型枠兼用断熱材にゆがみやたわみな
どが生じるのを確実に押さえることができ、支持部材ま
たは必要に応じて配置した横架材によって辺部分のみを
下方から支持した状態であっても、型枠兼用断熱材は安
定した状態で、姿勢が保持される。
【0009】好ましい態様において、型枠兼用断熱材と
して前記基材に複数の貫通孔が形成されているものを用
い、打設したコンクリートが該貫通孔を通して基材の裏
面に貼着した板状の補強材に到達できるようにする。打
設コンクリートが板状の補強材の裏面に到達した状態で
硬化することにより、型枠兼用断熱材と打設したコンク
リートとの一体化が一層促進され、地震などによる不規
則かつ設計値以上のたわみや振動がコンクリートスラブ
に生じた場合、あるいは長期クリープが生じた場合など
においても、型枠兼用断熱材が不用意に落下したりする
ことは確実に回避される。貫通孔は同一直径のものでも
よいが、板状の補強材に向けて末広がり状となったもの
は有効なアンカー効果をもたらすので好ましい。貫通孔
は好ましくは基材の全面にほぼ等しく分散するようにし
て複数個が形成される。なお、板状の補強材における前
記貫通孔に対応する位置に、適宜の抵抗体を立設してお
くことにより、前記効果が一層促進される。なお、この
ような貫通孔は、基材の4周の側辺位置に形成すること
もできる。
【0010】さらに、基材と板状の補強材との貼着面
に、一端が前記貫通孔に開放し他端が型枠兼用断熱材の
側面に開放する通気通水孔を形成しておいてもよい。こ
のような通気通水孔を形成することにより、貫通孔内へ
の打設コンクリートの流入が容易化するとともに、万が
一、施工現場において貫通孔内に雨水が滞留してしまっ
たような場合でも、該通気通水孔を介して雨水を確実に
外部に排出することが可能となり、雨水排出のために施
工が遅延するようなことは回避できる。他の態様におい
て、型枠兼用断熱材として基材の表面に複数の凹陥部が
形成されているものを用いる。このような凹陥部を形成
しておくことにより、型枠兼用断熱材と打設コンクリー
トとの一体化がさらに促進され、安定したコンクリート
スラブが得られる。
【0011】本発明は、また、上記の施工方法により施
工されるコンクリートスラブとして、梁せい下面とスラ
ブ下面との段差により形成される空間に、合成樹脂発泡
体である基材の裏面に板状の補強材を貼着してなる複数
枚の型枠兼用断熱材が充填されてなるコンクリートスラ
ブをも開示する。このコンクリートスラブでは、裏面に
貼着した板状の補強材を天井仕上げ用の下地面として利
用することができるので、天井材の取り付けは高い自由
度の下で行うことができる。また、吊りボルトなどを介
して、コンクリートスラブの下面に吊り天井を取り付け
ることも容易となる。
【0012】本発明において、基材としての合成樹脂発
泡体としては、加工性や軽量性の観点から発泡ポリスチ
レンが最も好適に用いられる。他にエチレン系樹脂、プ
ロピレン系樹脂などからなる合成樹脂発泡体などを使用
することもできる。基材の裏面全体に貼着する板状の補
強材の素材としては、木材、合成木材、加工木質材のよ
うな木質材料、FRPのような合成樹脂材料、アルミの
ような軽量金属材料などを用いることができる。木材、
合成木材、加工木質材のような木質材料は釘打ちによる
固定が確実なことから、特に好ましい。板状の補強材の
厚みは、当該コンクリートスラブの施工時に予定される
負荷荷重や型枠兼用断熱材としての本来の機能(軽量性
など)を失わないことなどを条件に、施工現場に応じて
設計的に定めればよいが、一般的なスラブ型枠として使
用されているものを考慮すると、補強材の材質によって
も異なるが、通常、2.5mm〜12mm程度が好まし
い。2.5mm程度よりも薄いものは補強材として十分
でなく、12mm程度よりも厚いものは重量が大きくな
り作業性が悪くなる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明による型枠兼用断熱材を持つコンクリートスラブの施
工方法および構築物のいくつかの実施の形態を説明す
る。図1は型枠兼用断熱材10の一例を表面側から見た
斜視図、図2は同じ型枠兼用断熱材10を裏面側から見
た斜視図、図3は図1のIII−III線による断面図
である。型枠兼用断熱材10は、基材11である合成樹
脂発泡体とその裏面全体に貼着した合成樹脂発泡体と同
じ大きさの板状の補強材12とからなる。この例で、基
材11は、発泡ポリスチレンのビーズ型内発泡成形品で
ある厚み50mm〜300mm程度の合成樹脂発泡体が
用いられ、板状の補強材12は、厚み2.5mm〜12
mm程度の合板が用いられている。基材11と板状の補
強材12とは接着剤を塗布しかつ圧接することにより貼
着されている。板状の補強材12としては、合板に換え
て、石膏ボード、珪酸カルシウム板、GRC、パルプセ
メント板のような板状材を用いることもできる。
【0014】基材11である合成樹脂発泡体には、裏面
側(板状の補強材12を貼着する側)に開放した複数の
空洞部13が形成されている。空洞部13は有底のもの
であるが、そのうちのいくつか(図示の例では4個)に
は底部から表面に達する開孔14が形成され貫通孔13
aとされている。好ましくは、該貫通孔13aは基材1
1の全面に偏ることなく配置される。さらに、基材11
の裏面、すなわち、板状の補強材12との貼着面側に
は、一端が貫通孔13aに達し他端が型枠兼用断熱材1
0の側面に達する凹溝15が形成されている。
【0015】なお、図示の例では、空洞部13は板状の
補強材12に向けて末広がり状となっているが、同一径
のものであってもよい。その場合に、貫通孔13aにお
ける開孔14の径も空洞部13の径と同じであってもよ
い。さらに、貫通孔13aを形成するものを除き、他の
空洞部13は省略することができる。凹溝15もその一
部または全部を省略してもよい。なお、通気通水孔15
aを形成するに際し、板状の補強材12側の前記凹溝1
5に対応する位置にも凹溝を形成してもよく、板状の補
強材12側にのみ凹溝を形成してもよい。
【0016】上記の型枠兼用断熱材10を用いてコンク
リートスラブを施工する方法を、図4、図5、図6を参
照して説明する。先ず、建物のコンクリートスラブ50
の下面となる領域の全域に支柱1を所要の間隔で立て、
その上に大引きのような適宜の横架状の支持部材2を設
置する。図5、図6に示すように、梁20となるべき位
置は型枠兼用断熱材10が配置されない箇所であり、そ
の部分に、梁20の幅よりも幾分広い幅を持つ平板21
を敷き詰める。また、高い床ふところを必要とする部分
のように、型枠兼用断熱材10を埋め込まない構造とし
たい箇所にも平面型枠22を敷き詰める。また、必須で
はないが、型枠兼用断熱材10が配置される箇所の支持
部材2の上にも、安定のために平板23を敷き詰めても
よい。
【0017】図5からわかるように、前記梁1となるべ
き位置の両側縁、型枠兼用断熱材10を埋め込まない構
造としたい箇所の一側縁などは、敷き詰めるべき多数枚
の型枠兼用断熱材10の4周の側縁が位置決めされるべ
き箇所となる。そこで、そのような位置決めされるべき
箇所に沿って、好ましくは、長尺状の固定用棒部材30
を釘などにより、前記横架状の支持部材2に打ち付け固
定しておく。
【0018】図4にその状態を示しており、支持部材2
の上に載置された平板21の長手方向に、第1の固定用
棒部材30を釘などにより打ち付け固定する。次に、前
記第1の固定用棒部材30に直交する方向に、第2の固
定用棒部材30(不図示)を支持部材2に釘などにより
打ち付け固定する。それにより、敷き詰めるべき多数枚
の型枠兼用断熱材10の直交する2つの側縁の位置は定
められるので、止め付け固定された第1と第2の固定用
棒部材30、30に側縁を密着させるようにして、所要
枚数の型枠兼用断熱材10を全体が方形状となるように
順次敷き詰める。
【0019】その後で、多数枚の型枠兼用断熱材10が
互いに密接した状態となるように2方向に押し付け、残
りの(反対側の)2つの側縁に沿って、そこに密接する
ようにして、第3、第4の固定用棒部材30、30(不
図示)を支持部材2あるいは平板21に打ち付け止め付
け固定する。それにより、方形状に敷き詰められた多数
枚の型枠兼用断熱材10は互いに密着した状態で位置決
め固定されたこととなり、以後、位置ずれなどを起こす
ことはない。なお、このような固定用棒部材30を用い
ずに、基材11の裏面に貼着した板状の補強材12を利
用して、平板21との間で直接釘打ちなどによって固定
するようにしてもよい。その後で、図6に示すように、
スラブの配筋を行う。スラブ筋5の本数や配置形態は、
従来工法による場合のスラブ配筋と同様であってよい。
ただし、スラブ筋5を一定間隔で配置し、かつ、一定の
かぶりを確保するために、この例では、型枠兼用断熱材
10の上に、スペーサー6を載置するようにしている。
【0020】配筋作業の終了後、コンクリート51の打
設を従来工法と同様にして行う。上記の型枠兼用断熱材
10では、打設したコンクリート51は、貫通孔13a
の部分において開孔14を通って空洞部13内に入り込
み、裏面に貼着された板状の補強材12にまで到達して
空洞部13内をコンクリートで満たすようになる。万が
一、施工時に雨水などが開孔14を通って空洞部13内
に入り込んでいる場合にも、それは通気通水孔15aを
通って排出されるので施工に支障は生じない。各型枠兼
用断熱材10同士は互いに密着して固定されており、打
設したコンクリートのノロが隙間から漏れ出ることはな
い。
【0021】3〜4週間コンクリートの養生を行い、コ
ンクリートの強度が発現するのを待ち、所定強度が得ら
れたことを確認して、支柱1、支持部材2、平板21、
22、23などを取り外す。必要に応じて、固定用棒部
材30の打ち付けに用いた釘の先端を必要に応じてスラ
ブ同面で切断する。全体を引き抜くこともできる。これ
により、コンクリートスラブの施工は終了し、打設した
コンクリート51と型枠兼用断熱材10とが一体となっ
たコンクリートスラブ50が得られると共に、本発明に
よるコンクリートスラブを備えた構築物が構築される。
【0022】上記の実施の形態のコンクリートスラブで
は、打設したコンクリートが貫通孔13aとなっている
空洞部13内に充填しており、そのコンクリートと裏面
に貼着された板状の補強材12との間の付着力により、
型枠兼用断熱材10と打設コンクリートの一体化は大き
く増進する。図示のように、空洞部13が板状の補強材
12に向けて末広がり状の形状とされている場合には、
空洞部13内で硬化したコンクリートによるアンカー効
果がもたらされ、一体化はさらに増進する。
【0023】図7、図8は、本発明による型枠兼用断熱
材10の他の実施の形態を示している。この型枠兼用断
熱材10では、基材11である合成樹脂発泡体の表面に
複数の凹陥部16が形成されている点で、図1〜図3に
示したものと異なっている。このような凹陥部16を形
成しておくと、該凹陥部16内にコンクリートが入り込
み硬化することから、型枠兼用断熱材10と打設コンク
リートとの一体化がさらに促進され、安定したコンクリ
ートスラブが得られる。
【0024】図9a、図9bは凹陥部16の他の形態を
示している。図9aの凹陥部16aは下方に向けて次第
に径が拡大した形状であり、図9bの凹陥部16bは内
周面に多数の凹凸17を設けた形状である。このような
形状の場合には、硬化したコンクリートとの間にアンカ
ー効果が生じることから、型枠兼用断熱材10と打設コ
ンクリートとの一体化はさらに促進される。図9cは、
図9bに示した内周面に多数の凹凸17を設けた凹陥部
16bを成形する場合の金型の一部を模式的に示してい
る。この金型において、周囲に径の違う段部18aを形
成した所定径の突起18がキャビティ内突起として形成
されている。型内発泡後に発泡成形品を脱型すると、突
起18の部分には、段部18aの強制的な引き抜きで生
じた多数の凹凸17を持つ凹陥部16bが形成される。
【0025】図10、図11は、本発明による型枠兼用
断熱材10の他の実施の形態を示している。この型枠兼
用断熱材10では、基材11である合成樹脂発泡体の周
囲の側壁にも、内部に形成された貫通孔13aを縦半分
に分割した形状である、開孔14hと空洞部13hとか
らなる貫通孔13ahが形成されている点で、図1〜図
3に示したものと異なっている。この型枠兼用断熱材1
0を側壁同士を密着させて敷き詰めると、接合面には内
部に形成した貫通孔13aと同じ形状の貫通孔が形成さ
れることとなり、打設したコンクリートは、該形成され
た貫通孔を通って空洞部内に入り込み、打設コンクリー
トと隣接する型枠兼用断熱材10同士とがより強固に一
体化される。
【0026】図12は本発明による型枠兼用断熱材のさ
らに他の実施の形態であり、この型枠兼用断熱材10A
は、合成樹脂発泡体である基材11の裏面に貼り合わせ
る裏面と同じ大きさの板状の補強材12が、基材11に
対してわずかに位置をずらした状態で貼着されている点
で、図1〜図3に示した型枠兼用断熱材10と相違して
いる。この形態の型枠兼用断熱材10Aでは、例えば、
図4〜図6に示すようにして多数枚を横並びに配置する
ときに、板状の補強材12の基材11からはみ出してい
る部分に、隣接する型枠兼用断熱材10Aの基材11の
一部が載る状態となるので、現場打ちコンクリートのノ
ロが隣接する型枠兼用断熱材10A同士の隙間から流れ
出すのを防ぐことができる。この形態の型枠兼用断熱材
10Aにおける周囲の側壁に、図10、図11に示した
半割れ状の貫通孔13ahを形成することもできる。
【0027】図13a、bは、本発明による型枠兼用断
熱材のさらに他の実施の形態の一部を拡大して示す断面
図であり、板状の補強材12における、基材11に形成
された開孔14を備えた貫通孔13aに対応する位置
に、適宜の抵抗体19を立設している点で、上記した型
枠兼用断熱材10、10Aと相違している。このような
抵抗体19を設けることにより、それがアンカー効果を
発揮することから、貫通孔13a内に入り込んだ現場打
ちコンクリートと型枠兼用断熱材10との一体化が一層
促進される。なお、抵抗体19の形状は任意であり、図
13aのように単なる棒状体でもよく、図13bのよう
に棒状体の頭部に大径部19aを持つようなものでもよ
い。表面に適宜の凹凸を形成しておいてもよい。
【0028】
【発明の効果】上記のとおりであり、本発明によれば、
施工後の強度などになんら影響を与えることなく、コン
クリートスラブの施工をきわめて簡素化することがで
き、作業時間の短縮を図ることができる。また、従来の
ように梁用型枠や平面型枠を実質的に用いないので、合
板のような板材の確保、保管、施工後の処分を必要とせ
ず、低コストでのコンクリートスラブの施工が可能とな
る。特に、型枠兼用断熱材として、合成樹脂発泡体であ
る基材の裏面に、裏面と同じ大きさの板状の補強材を貼
着したものを用いるようにしたので、合成樹脂発泡体で
ある基材に十分な曲げ強度を与えることができ、施工の
過程で、型枠兼用断熱材にゆがみやたわみなどが生じる
のを確実に押さえることができる。それにより、施工の
安定性は確実に向上する。
【0029】さらに、基材に貫通孔を形成することによ
り、打設したコンクリートと型枠兼用断熱材との一体化
が増進されるので、地震などによる不規則かつ設計値以
上のたわみや振動がコンクリートスラブに生じた場合、
あるいは、長期クリープが生じた場合に、型枠兼用断熱
材が不用意に落下するようなことも確実に回避される。
また、本発明のコンクリートスラブを備えた構築物にあ
っては、施工の容易性に加えて、型枠兼用断熱材が断熱
材としての機能も奏することから、断熱性に富んだ構築
物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】。本発明に用いる型枠兼用断熱材の一例を表面
側から見た斜視図。
【図2】図1に示す型枠兼用断熱材を裏面側から見た斜
視図。
【図3】図1のIII−III線による断面図。
【図4】本発明によるコンクリートスラブの施工方法を
説明する図。
【図5】本発明によるコンクリートスラブの施工方法を
説明するための要部断面図。
【図6】本発明によるコンクリートスラブの施工方法を
説明するための拡大した要部断面図。
【図7】本発明に用いる型枠兼用断熱材の他の例を表面
側から見た斜視図。
【図8】図7のVIII−VIII線による断面図。
【図9】本発明に用いる型枠兼用断熱材のさらに他の例
を説明するための部分図。
【図10】本発明に用いる型枠兼用断熱材のさらに他の
例を表面側から見た斜視図。
【図11】図10のXI−XI線による断面図。
【図12】本発明に用いる型枠兼用断熱材のさらに他の
例を表面側から見た斜視図。
【図13】本発明に用いる型枠兼用断熱材の他の例を説
明するための部分図。
【図14】従来のコンクリートスラブの施工方法を説明
する図。
【図15】従来のコンクリートスラブの施工方法を説明
する図。
【図16】従来のコンクリートスラブの施工方法を説明
する図。
【符号の説明】
1…支柱、2…支持部材、10…型枠兼用断熱材、11
…合成樹脂発泡体である基材、12…板状の補強材、1
3…空洞部、13a…貫通孔、14…開孔、20…梁、
50…コンクリートスラブ、51…打設コンクリート
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年5月10日(2001.5.1
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】図5からわかるように、前記梁20となる
べき位置の両側縁、型枠兼用断熱材10を埋め込まない
構造としたい箇所の一側縁などは、敷き詰めるべき多数
枚の型枠兼用断熱材10の4周の側縁が位置決めされる
べき箇所となる。そこで、そのような位置決めされるべ
き箇所に沿って、好ましくは、長尺状の固定用棒部材3
0を釘などにより、前記横架状の支持部材2に打ち付け
固定しておく。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 照麿 埼玉県北葛飾郡栗橋町緑1−5−3 (72)発明者 比嘉 一博 沖縄県浦添市宮城5丁目7番9号 (72)発明者 仲西 常正 沖縄県浦添市宮城4丁目16番8号 (72)発明者 吉満 博美 福岡県福岡市博多区竹丘町2−3−9− 902 Fターム(参考) 2E001 DD01 EA01 FA11 GA12 GA42 GA48 HC02 HD01 HD09 KA03 LA04 LA10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所要間隔で支持部材を立設し、必要に応
    じて該支持部材に横架材を配置し、該支持部材または必
    要に応じて配置した横架材により型枠兼用断熱材を、型
    枠を用いることなく支持して敷き詰め、その後、必要な
    配筋を行いかつコンクリートを打設する型枠兼用断熱材
    を持つコンクリートスラブの施工方法において、型枠兼
    用断熱材として、合成樹脂発泡体である基材の裏面に、
    裏面と同じ大きさの板状の補強材を、裏面の全面にある
    いはわずかに位置をずらした状態で貼着された型枠兼用
    断熱材を用いることを特徴とする型枠兼用断熱材を持つ
    コンクリートスラブの施工方法。
  2. 【請求項2】 型枠兼用断熱材として基材に複数の貫通
    孔が形成されているものを用い、該貫通孔を通して打設
    したコンクリートが裏面に貼着した板状の補強材に到達
    するようにしてコンクリートを打設することを特徴とす
    る請求項1記載の型枠兼用断熱材を持つコンクリートス
    ラブの施工方法。
  3. 【請求項3】 型枠兼用断熱材として、基材の周囲の側
    壁にも内部に形成された貫通孔を縦半分に分割した形状
    である貫通孔が形成されており、側壁同士を密着させて
    敷き詰めたときに、その接合面には内部に形成した貫通
    孔と同じ形状の貫通孔が形成されるようになっている型
    枠兼用断熱材を用いることを特徴とする請求項2記載の
    型枠兼用断熱材を持つコンクリートスラブの施工方法。
  4. 【請求項4】 型枠兼用断熱材として板状の補強材との
    貼着面側に、一端が貫通孔に達し他端が型枠兼用断熱材
    の側面に達する凹溝が形成されたものを用いることを特
    徴とする請求項2または3記載の型枠兼用断熱材を持つ
    コンクリートスラブの施工方法。
  5. 【請求項5】 型枠兼用断熱材として基材の表面に複数
    の凹陥部が形成されているものを用いることを特徴とす
    る請求項1ないし4いずれか記載の型枠兼用断熱材を持
    つコンクリートスラブの施工方法。
  6. 【請求項6】 梁せい下面とスラブ下面との段差により
    形成される空間に、合成樹脂発泡体である基材の裏面に
    板状の補強材を貼着してなる複数枚の型枠兼用断熱材が
    充填されていることを特徴とするコンクリートスラブ。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のコンクリートスラブを持
    つ構築物。
  8. 【請求項8】 合成樹脂発泡体である基材の裏面に貼着
    した板状の補強材を天井仕上げ用の下地面として利用し
    て天井材が取り付けられていることを特徴とする請求項
    7記載のコンクリートスラブを持つ構築物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101449708B1 (ko) 2013-02-07 2014-10-22 삼성물산 주식회사 전단보강용 철근을 이용한 덧침 콘크리트와의 일체성 향상 및 중공슬래브의 전단내력 향상구조 및 이를 이용한 시공방법

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KR101449708B1 (ko) 2013-02-07 2014-10-22 삼성물산 주식회사 전단보강용 철근을 이용한 덧침 콘크리트와의 일체성 향상 및 중공슬래브의 전단내력 향상구조 및 이를 이용한 시공방법

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