JP2002308092A - 高速鉄道車両の先頭部形状 - Google Patents

高速鉄道車両の先頭部形状

Info

Publication number
JP2002308092A
JP2002308092A JP2001112551A JP2001112551A JP2002308092A JP 2002308092 A JP2002308092 A JP 2002308092A JP 2001112551 A JP2001112551 A JP 2001112551A JP 2001112551 A JP2001112551 A JP 2001112551A JP 2002308092 A JP2002308092 A JP 2002308092A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sectional area
cross
shape
pressure gradient
change rate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001112551A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4076734B2 (ja
Inventor
Shigenori Tanii
茂紀 谷井
Tetsuo Sato
哲郎 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sharyo Ltd
Original Assignee
Nippon Sharyo Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sharyo Ltd filed Critical Nippon Sharyo Ltd
Priority to JP2001112551A priority Critical patent/JP4076734B2/ja
Publication of JP2002308092A publication Critical patent/JP2002308092A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4076734B2 publication Critical patent/JP4076734B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T30/00Transportation of goods or passengers via railways, e.g. energy recovery or reducing air resistance

Landscapes

  • Devices Affording Protection Of Roads Or Walls For Sound Insulation (AREA)
  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 トンネル微気圧波の低減に最適な高速鉄道車
両の先頭部形状を提供すること。 【解決手段】 先頭部形状をトンネル突入によって発生
する圧縮波の圧力勾配分布と対比した場合に、車両先頭
部の前端部2と一般部直前の後部4とに、圧力勾配分布
にピークをつくる断面積変化率の大きい部分を、その断
面積変化率の極大値が前端部2が後部4より大きくなる
ように形成し、その前端部2から後部4にかけて断面積
が徐々に僅かずつ大きくなるように断面積変化率を小さ
くした中間部3を形成したものであって、前端部2およ
び後部4による圧力勾配の2つの極大値がほぼ等しく、
その極大値に対する中間部3による圧力勾配の極小値の
比の値を、2つの極大値が重なってしまうようなことな
く中間区間の値をより一定化させる所定範囲内にした高
速鉄道車両の先頭部形状1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速走行する新幹
線等の鉄道車両のうち先頭車両に好適な先頭部形状に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】移動の高速化が望まれる現代では、鉄道
車両に対しても時速270km/h或いはそれ以上の高
速性能が要求されるようになっている。その一方で、民
家などの間を抜けて通るような我が国の鉄道事情では、
騒音や振動に対する環境への影響を考慮することが高速
化と同様に重要な課題でもある。そうした環境対策の一
課題としてトンネル微気圧波(以下、単に「微気圧波」
という)によるトンネル出口での騒音などがある。高速
鉄道車両がトンネルに突入する場合、先頭車両がピスト
ンのように作用し、トンネル内の狭い空間に存在する空
気が圧縮されて圧縮波が発生する。微気圧波は、この圧
縮波がトンネル内をほぼ音速で伝わっていきトンネル出
口に達した際外部に放出される、そのトンネル出口で圧
縮波の圧力の時間についての偏導関数(以下、「圧力勾
配」という。圧力の時間についての偏導関数は圧力の空
間についての偏導関数と比例関係にある)に比例するパ
ルス状の圧力波である。
【0003】そして、こうしたトンネルから放射される
微気圧波は、トンネル出口周辺の建物に対して騒音や振
動を及ぼすため環境対策問題の一つとして挙げられてい
る。特に、微気圧波を引き起こす圧縮波は、その圧力勾
配が車両速度の3乗に比例して大きくなるため、鉄道車
両の高速化を進める上において微気圧波の低下、即ち圧
縮波を小さく抑えることは極めて重要な課題となってい
る。そこで、近年そうした課題対策として、微気圧波を
低下させる高速鉄道車両の先頭部形状について幾つかの
提案がなされてきている。その一例として、特開平11
−321640号公報に記載されたものを挙げることが
できる。
【0004】この高速鉄道車両の先頭部形状では、図1
1の(p)に示すように、先ず先端部(先端から約6m
の位置まで)を後方上向きに傾斜させて1段目の横断面
積変化領域101を形成し、その後方を横断面積が一定
に保たれた領域102とした後、再び後方上向きに傾斜
するように(先端から約21mの位置から約25mの位
置まで)立ち上げて2段目の横断面積変化領域103を
形成している。そして、こうした形状としたことで、車
両のトンネル突入時に発生する圧縮波の圧力勾配を下げ
ることができた。具体的には、図12の(P)に示すよ
うに、圧縮波が大きく分けて2段階に分散され、各ピー
クの極大値が下がり、その一方の最大値が比較例のもの
(Q)に比べて低下していることが分かる。
【0005】こうして、従来例で挙げた図11の(p)
に示す先頭部形状は、横断面積が変化する変化領域10
1,103を前後方向に2つ設けたことが、図11の
(P)に示すように圧力勾配のピークP1,P2を2つ
にしてその最大値を抑えることに寄与していると考えら
れる。微気圧波のパルスの強さ(パワー)が、こうした
圧力勾配の2乗に比例するからである。従って、圧力勾
配の最大値を低下させた当該従来例の先頭部形状には、
その点で微気圧波を低下させたことの効果がみられる。
一方、当該従来例によれば、更に横断面積一定の領域1
02を設けたことによって圧力勾配分布のピークP1,
P2を前後に明確に分け、それぞれの圧縮波がトンネル
出口で集合した微気圧波にならないようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
た従来例の先頭部形状は、前後の寸法が異常に長いもの
になってしまう。当該公報に挙げられている例のものは
25mで、これは一車両分の長さに相当するものであ
る。現行の新幹線車両が図11の(q)に示すように、
先端からの後方上向きの傾斜が約10mの位置(例えば
700系車両では9.2m)で最大横断面積の一般部に
達しているのと比べると、その長さは2倍以上にもなっ
てしまう。こうした車両の先頭部が長くなることは客室
となる一般部確保の点から好ましいものではなかった。
従って、圧力勾配分布のピークP1,P2を前後に明確
に分け、それぞれの圧縮波がトンネル出口で重ならない
ようにした従来の先頭部形状は、その効果以上に高速鉄
道車両に採用した場合のデメリットが大きかった。
【0007】また、圧力勾配分布のピークP1,P2を
明確に分けることにより、横断面積一定の領域102に
対応する圧力勾配の極小値が極めて小さくなり、結果と
して最大値を大きくしてしまうという逆効果を生む。つ
まり、車両先頭部の最大横断面積が同じであれば、同じ
断面積のトンネルを同じ条件で通過させた場合、形状が
異なっていても当該車両先頭部の通過時間に生じる圧力
変化(圧力勾配分布によって囲まれる面積)が一定にな
る。そのため、その圧力勾配分布は、前後するピークP
1,P2を明確に2分するように窪みP3が深くなれ
ば、逆にピークP1,P2部分が持ち上がって最大値が
大きくなってしまう。そして、微気圧波のパルスの強さ
(パワー)がこうした圧力勾配の2乗に比例することか
ら、圧力勾配の最小値を極めて小さくする先頭部形状は
微気圧波の低下を制限することになるからである。
【0008】そこで、本発明は、かかる課題を解決すべ
く、長さ方向寸法および一般部断面積一定の条件の下で
微気圧波を低下させる高速鉄道車両の先頭部形状を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高速鉄道車
両の先頭部形状は、高速鉄道車両における先端から最大
横断面積となる一般部までの先頭部形状において、先頭
部形状を車両先頭部のトンネル突入によって発生する圧
縮波の圧力勾配分布と対比した場合に、当該圧力勾配分
布にピークをつくる断面積変化率の大きい部分を、当該
車両先頭部の前端部と一般部直前の後部とに、前端部の
断面積変化率の極大値が後部の断面積変化率の極大値よ
り大きくなるように形成し、その前端部から後部にかけ
て断面積が徐々に僅かずつ大きくなるように断面積変化
率を小さくした中間部を形成したものであって、前端部
および後部のそれぞれに対応して現れた圧力勾配の2つ
の極大値がほぼ等しく、その極大値に対する中間部に対
応して現れた中間区間における圧力勾配の極小値の比の
値が、2つの極大値が重なってしまうようなことなく中
間区間の値をより一定化させる所定範囲内にあることを
特徴とする。また、本発明に係る高速鉄道車両の先頭部
形状は、前記所定範囲が、前記極大値に対する極小値の
比の値が0.9以上1.0以下であることが望ましい。
【0010】よって、本発明の先頭部形状によれば、車
両先頭部のトンネル突入によって発生する圧縮波は、そ
の圧力勾配分布が断面積変化率の大きい先端部と後部と
に対応して2つのピークを形成し、しかも前端部の断面
積変化率を後部の断面積変化率より大きくしてあるの
で、圧力勾配の各ピークの極大値を等しくすることがで
きる。そして、その圧力勾配の極大値に対する、中間部
に対応して形成されたピーク間の窪みの極小値との比の
値を例えば0.9以上1.0以下になるようにすること
で、窪みの底を引き上げることに伴って2つの極大値が
重なってしまうようなことなく中間区間の値をより一定
化させることができ、圧力勾配の最大値(ピークの最大
値)を低下させることができる。従って、このように圧
力勾配の最大値を小さくすることで、車両先頭部の長さ
寸法を抑えながらも効果的に微気圧波を低下させること
が可能となった。
【0011】また、本発明に係る高速鉄道車両の先頭部
形状は、車両先端部長さが9〜12mの場合に、前端部
と後部のそれぞれの断面積変化率の極大値ax,bxの
比が1.1<ax/bx<1.6であり、中間部の断面
積変化率の極小値cxと前端部の断面積変化率の極大値
axとの比が0.1<cx/ax<0.25であること
が望ましい。よって、本発明によれば、前述したと同様
に車両先頭部の長さ寸法を抑えながらも効果的に微気圧
波を低下させることが可能であり、特に車両先端部長さ
を9〜12mの範囲とする場合には、当該条件によりそ
うした効果を奏する先頭部形状の車両を得ることができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る高速鉄道車両
の先頭部形状について、その一実施形態を図面を参照し
て以下に説明する。図1は、高速鉄道車両先頭部の正面
形状を示した図であり、図2は、その側面形状を示した
図である。そして、いずれの図も所定の断面部分の形状
を重ねて示している。この先頭部形状1は、先ず先端部
分で上下左右方に大きな膨らみをもった前端部2と、そ
の後方に横断面積が徐々に僅かずつ大きくなるように傾
斜した中間部3と、更に一般部直前で上方にせり上がる
ようにした後部4と、大きく3つの部分から構成されて
いる。そして、この車両先頭部は、長さをL=9.2m
及び最大横断面積(一般部横断面積)を10.95m2
として設計したものである(700系車両と同じ)。
【0013】次に図3は、こうした本形態における先頭
部形状をした車両先頭部の各パターンにおける、車両横
断面積の車体長手方向の導関数(以下、「断面積変化
率」という)を示した分布図である。そして、こうした
先頭部形状によって生じる圧縮波の圧力勾配分布(時速
270km/h走行時について)を図4に示している。
ところで、図4は、車両先頭部がトンネルに突入する際
に生じる圧縮波の圧力勾配分布を示したものであり、具
体的にはトンネル内の所定箇所で観測した圧縮波の圧力
変化を時間で微分したものである。縦軸には圧力勾配を
とり、横軸には時間をとっている。ここで、vは車両速
度であり、Lは車両の先頭部長さである。そして、観測
点における時刻の原点0は、トンネル入口に車両先頭部
が突入した瞬間に発生した音波がその観測点に到達した
時刻をとっている。なお、観測点はトンネル入口からの
距離xに依存しているため、音速をsで表せばこの線図
はx/sだけ時刻の原点がずれている。
【0014】そこで図3及び図4から、本形態の先頭部
形状1(図1及び図2参照)によれば、断面積変化率の
大きい前端部2及び後部4で圧力勾配分布のピークA,
Bをつくり、断面積変化率が低下する中間部3で圧力勾
配分布が窪みCをつくることが分かる。つまり、本形態
の先頭部形状1は、このように前端部2及び後部4によ
り前後で断面積変化率を大きくすることによって、圧縮
波による圧力勾配分布のピークA,Bを分散させ、圧力
勾配の最大値(ピークの最大値)を低下させるようにし
たものである。更に、そうした圧力勾配のピークA,B
を分散させるべく、先頭部形状1は、断面積変化率が小
さくなる中間部3を設けて、そのピークA,B間に窪み
Cをつくるようにしたものである。
【0015】ところで、微気圧波は圧縮波による圧力勾
配に比例するため、微気圧波を低下させるには圧力勾配
の最大値を下げればよい。即ち、図4に示す圧力勾配分
布のピークA,Bを下げればよいことになる。その際、
前記従来例のように単純に車両先頭部を長くすれば車両
先頭部の通過時間(図4のL/v)が長くなるため、そ
れに伴ってピークA,Bを低下させることができる。こ
れは、圧力勾配分布が、最大横断面積(一般部横断面
積)が同じであれば、同じ条件で走行させた場合に生じ
る圧力変化(0〜L/vの範囲で囲まれる圧力勾配分布
の面積)が一定であるため、車両先頭部が長くなれば時
間幅が広くなって圧力勾配全体が低下するからである。
【0016】しかし、車両先頭部に例えば25mもの長
さを要するのは、一車両が25m程度であることを考え
ると前述したように現実的ではなく、従来車両と同程度
の先頭部長さで微気圧波の低下を図ることが必要となっ
てくる。そこで、本願発明者は、そうした解決を圧力勾
配の分布特性に着目して行った。具体的には、微気圧波
を低下させるような圧縮波を発生させるには先頭部形状
の横断面積をいかに変化させればよいかの検討を試み
た。
【0017】先ず、微気圧波を低下させるには、(1)
圧力勾配分布のピークA,Bを抑えることが必要であ
り、それにはピークA,Bの極大値が等しく小さくなる
ことが好ましい。これは、微気圧波の強さ(パワー)が
圧力勾配の2乗に比例するからである。また、(2)ピ
ークA,Bの極大値をより小さくするには窪みC部分の
極小値をその極大値に近づけることが好ましい。前述し
たように0〜L/v間の圧力勾配分布によって囲まれる
面積が一定であれば、窪みCの凹みを小さくすることが
ピークA,Bの極大値(圧力勾配の最大値)を下げるこ
とになるからである。
【0018】そこで、微気圧波を低下させる最適な先頭
部形状は、当該形状の車両先頭部によってトンネル突入
時に発生する圧縮波の圧力勾配と対比してみた場合に、
当該分布形状が台形に近いものであること、即ち圧力勾
配分布のピークA,Bの極大値と窪みCの極小値との差
が小さいものであると考えられる。そして、それには図
1及び図2に示した本実施形態の先頭部形状を具体的に
はどういった形状にすればよいか、横断面積変化の観点
から数値解析による検討を行った。ここで図5は、図3
及び図4に示した各パターンの先頭部形状に対応する横
断面積変化を示した図である。
【0019】図3及び図4の結果を示す各パターンの先
頭部形状は、図5に示すようにいずれも横断面積が大き
く変化する図1及び図2の前端部2及び後部4をもち、
故に図3に示す断面積変化率分布にはピークa,bが顕
著に現れる。そして、各パターンの先頭部形状は、こう
して示された断面積変化率の違いに起因して図4に示す
ような圧力勾配分布を生じさせる。そこで今回の検討で
は、前記(1)(2)の条件に基づき、如何にしてピー
クA,Bの極大値Ax,Bx(x=1,2…であり、パ
ターン番号を表す。以下同じ)を等しくかつ小さくする
ことができるか、断面積変化率ax,bx,cxの関係
から横断面積変化の抽出を行った。ここで、ax,bx
は、ピークa,bにおける断面積変化率の各極大値であ
り、cxは、窪みcにおける断面積変化率分布の極小値
である。
【0020】横断面積変化の抽出における具体的な方法
としては、ax,bx,cxの比をとり、その結果と圧
力勾配との関係から考察を行った。なお、今回の検討に
際しては、最適横断面積分布を求める解析を簡単にする
ための軸対称モデルを用いて解析を行った。つまり、今
回の解析結果は、トンネル形状を横断面積を一致させる
ようにして円筒形状にし、車両を横断面積分布を一致さ
せるように円柱状のものが突入する場合を想定して行っ
ている。
【0021】図6は、図3に示す各形状の断面積変化率
分布の特徴を表にしたものである。こうした各パターン
の車両先頭部形状によって発生する圧縮波の圧力勾配を
数値計算したところ、図7に示す表のような値が得られ
た。
【0022】先ずパターン1について検討した場合、圧
力勾配分布の極大値Ax,Bxの比はAx/Bx=1.
07であり、AxがBxより大きくなっている。つま
り、パターン1の形状では、ax/bxが大きすぎるこ
とが分かる。次にパターン2について検討した場合、B
x/Ax=1.18でありBxがAxより大きくなって
いる。つまり、パターン2の形状では、ax/bxが小
さすぎることが分かる。従って、最適断面積分布のax
/bxは、この2パターンの中間に存在することが分か
る。なお、このような最適条件でaxがbxより大きく
なるのは、先頭部がトンネルに突入する瞬間より一般部
直前が突入する瞬間のほうが、既に突入している車両横
断面積分だけ実質的にトンネル横断面積が小さくなって
いるからであり、より小さい断面積変化率で大きな圧力
勾配となるためである。
【0023】次にパターン3の形状では、圧力勾配分布
の極大値Ax,Bxの比はAx/Bx=1.01となっ
て、圧力勾配分布の2ピーク値がほぼ等しく条件(1)
を満たしている。しかし、圧力勾配分布の窪みCが深
く、Cx/Ax=0.83と小さな値となっている。つ
まり、パターン3の形状では、cx/axが小さすぎる
ことが分かる。
【0024】よって、圧力勾配の分布形状を台形に近づ
けること、すなわち2つの極大値Ax,Bxが重なって
しまうようなことなく、かつ極大値Axから極大値Bx
までの値をより一定化させることを考えた場合、前記課
題でも述べたように、圧力勾配分布の窪みCをつくる断
面積変化率の極小値cxの極端な低下は避けるべきであ
る。極小値cxを小さくすることは圧力勾配分布の窪み
Cを深くすることにつながり、極大値Ax,Bxを小さ
く抑えることのマイナス要因となるからである。従っ
て、窪みCにおける極小値Cxを極大値Ax,Bxの値
に近づける(相対的に極大値Ax,Bxは下がる)ため
には、断面積変化率の極小値cxをある値以上に維持す
ることが必要である。そこで、パターン1〜3のCx/
max(Ax,Bx)の値を考慮して(図7参照)、そ
の値が1になることが理想であるが0.9を超える場合
を許容範囲とし、0.9≦Cx/max(Ax,Bx)
≦1.0の条件に合うように極小値cxを決定する。
【0025】以上の検討結果に基づき、Ax=Bxかつ
0.9≦Cx/max(Ax,Bx)≦1.0となる条
件で先頭部形状の最適横断面積を設計したところ、パタ
ーン4の解析結果を得ることができた。すなわち極大値
Ax,Bxの値が共に9.56(kPa/s)となり同
値で、パターン1〜3のどの最大値よりも小さい値が得
られた。こうした解析結果に基づく最適横断面積分布が
図5の線図パターン4に示すものであり、具体的に設計
された先頭部形状が図1及び図2に示すものである。ま
た、図4の圧縮波の圧力勾配分布をみても、他のパター
ンのものに比べて窪みCにおける極小値Cxが極大値A
x,Bxの値により近づき、その分布形状が理想とする
台形に近づいていることが分かる。
【0026】ところで、今回の検討では車両先頭部の長
さを9.2mとし、一般部横断面積を10.95m2
して行った解析結果に基づくものである。この場合、一
般部横断面積は、既存の軌道寸法などから大きく変更す
るものではないが、先頭部長さについては長短の変更が
比較的容易に行える。そこで、車両先頭部長さが従来車
両(700系)と同等かやや長い程度(9〜12m)に
おける先頭部形状の最適横断面積についてもあわせて検
討を行った。そのために前記の最適形状条件に基づき、
先端部長さLを9.2mに加えてL=7mとL=12m
とにした場合の先頭部形状についても、断面積変化率と
圧力勾配の解析を行った。ここで、図8は、最適形状条
件に基づいて求めたL=7m、9.2m、12mの先頭
部形状及び従来の先頭部形状に対応する横断面積の変化
を示した図である。そして、図9は、こうした各先頭部
形状の車両先頭部における断面積変化率を示した分布図
であり、図10は、各先頭部形状によって生じる圧縮波
の圧力勾配分布を示した図である。
【0027】先ず、パターン11のように先頭部長さL
が短い場合、図10に示すようにピークA,Bが重なら
ないようにするためには、図8に示すように横断面積変
化が激しくなり、図9に示すように中間部3(図2参
照)の断面積変化率の極小値cxが小さくなる。そし
て、パターン11ではcx/axの値が0.06と0.
10を下回った。一方、L=9.2m、12mの場合に
はcx/axを0.06程度まで小さくするとCx/A
xのの値が0.9を大きく下回ってしまうことになるた
め、cx/axの下限を0.10とする必要があった。
そこで、先頭部長さLを9〜12mでAx=Bxとなる
ようなax>bxで0.9≦Cx/max(Ax,B
x)≦1.0の最適形状条件について確認を行ったとこ
ろ、1.1<ax/bx<1.6かつ0.1<cx/a
x<0.25である必要があった。
【0028】これは、最適形状条件ではax>bxであ
るため、極大値ax,bxの比が1を超える値になるこ
とに問題はないが、L=9〜12mの範囲で圧力勾配分
布の極大値Ax,Bxのバランス(極大値Ax,Bxの
値がほぼ同じ値であると認められること)をとるように
するには、厳密には1.1より大きい場合がこの好まし
く、また逆に1.6以上になると断面積変化率の極大値
axの値に伴って圧力勾配分布の極大値Axが大きくな
りすぎてバランスを崩してしまうからである。一方、極
小値cxと極大値axの比は、前述したように0.1よ
り大きい値とし、更に0.25を超えると圧力勾配の極
小値Cxが大きくなりすぎて、2つのピークA,Bが現
れないパターン10のようになってしまうため、その値
を上限とした。なお、車両横断面積が変化した場合には
トンネル横断面積と車両横断面積の比が変化するため、
最適横断面積も多少変化する可能性はある。
【0029】よって、本実施形態の先頭部形状によれ
ば、微気圧波の発生させる圧縮波について圧力勾配の最
大値を、従来形状の車両(700系車両)と同等の先頭
部長さのままで大幅に下げることができた。具体的に
は、先頭部長さLが9.2mの場合、図10に示す従来
形状の車両と圧力勾配の最大値を比べると、従来形状の
ものは12.2kPa/sであったのに対し、本実施形
態の形状では10.1kPa/sになった。即ち、本実
施形態の形状によれば、微気圧波の大きさを決定する圧
力勾配の最大値を17%低下させることができた。この
17%という数値は、微気圧波のパワーが圧力勾配の2
乗に比例することから、微気圧波を低下させることにつ
いて非常に大きな値であるといえる。そして、更に先頭
部長さを12mまで伸ばすことができれば、その効果は
より顕著である(図10のパターン13)。
【0030】また、こうした効果を従来例のものとの比
較した先頭部形状1の構成から述べれば、中間部3の横
断面積を徐々に僅かずつ大きくなるように傾斜させ、特
に僅かに傾斜させて断面積変化率を小さくした当該中間
部3による極小値Cxを、0.9≦Cx/max(A
x,Bx)≦1.0の条件に合うようにすることで上記
効果を得ることができた。
【0031】なお、本発明は、前記実施形態に説明した
ものに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲
で様々な変更が可能である。例えば、圧力勾配分布にお
けるピークA,Bの2つの極大値Ax,Bxを等しく
し、それによって圧力勾配の最大値を下げることについ
て説明したが、これら極大値Ax,Bxに少しでも差が
ある場合を排除するわけではない。
【0032】
【発明の効果】本発明は、高速鉄道車両における先端か
ら最大横断面積となる一般部までの先頭部形状を、車両
先頭部のトンネル突入によって発生する圧縮波の圧力勾
配分布と対比した場合に、当該圧力勾配分布にピークを
つくる断面積変化率の大きい部分を当該車両先頭部の前
端部と一般部直前の後部とに、前端部の断面積変化率の
極大値が後部の断面積変化率の極大値より大きくなるよ
うに形成し、その前端部から後部にかけて断面積が徐々
に僅かずつ大きくなるように断面積変化率を小さくした
中間部を形成したものであって、前端部および後部のそ
れぞれに対応して現れた圧力勾配の2つの極大値がほぼ
等しく、その極大値に対する中間部に対応して現れた中
間区間における圧力勾配の極小値の比の値が、2つの極
大値が重なってしまうようなことなく中間区間の値をよ
り一定化させる所定範囲内とする構成としたので、長さ
方向寸法を抑えながら微気圧波を低下させる高速鉄道車
両の先頭部形状を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】高速鉄道車両先頭部の正面形状を示した図であ
る。
【図2】高速鉄道車両先頭部の側面形状を示した図であ
る。
【図3】本形態における先頭部形状をした車両先頭部の
各パターンの断面積変化率を示した分布図である。
【図4】本形態における先頭部形状をした車両先頭部の
各パターンの圧縮波の圧力勾配分布図である。
【図5】図3及び図4に示した各パターンの先頭部形状
に対応する横断面積の変化を示した図である。
【図6】図3に示す各形状パターンの断面積変化率の特
徴を表にしたものである。
【図7】図3に示す各形状パターンの圧力勾配の特徴を
表にしたものである。
【図8】最適横断面積条件に基づいて求めたL=7m、
9.2m、12mの先頭部形状及び従来の先頭部形状に
対応する横断面積の変化を示した図である。
【図9】図9の各先頭部形状の車両先頭部における断面
積変化率を示した分布図である。
【図10】図9の各先頭部形状によって生じる圧縮波の
圧力勾配を示した分布図である。
【図11】従来例における高速鉄道車両の先頭部形状を
示した図である。
【図12】従来例における高速鉄道車両の先頭部形状に
よる圧力勾配を示した分布図である。
【符号の説明】
1 先頭部形状 2 前端部 3 中間部 4 後部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高速鉄道車両における先端から最大横断
    面積となる一般部までの先頭部形状において、 先頭部形状を車両先頭部のトンネル突入によって発生す
    る圧縮波の圧力勾配分布と対比した場合に、当該圧力勾
    配分布にピークをつくる断面積変化率の大きい部分を、
    当該車両先頭部の前端部と一般部直前の後部とに前端部
    の断面積変化率の極大値が後部の断面積変化率の極大値
    より大きくなるように形成し、その前端部から後部にか
    けて断面積が徐々に僅かずつ大きくなるように断面積変
    化率を小さくした中間部を形成したものであって、当該
    前端部および後部のそれぞれに対応して現れた圧力勾配
    の2つの極大値がほぼ等しく、その極大値に対する中間
    部に対応して現れた中間区間における圧力勾配の極小値
    の比の値が、2つの極大値が重なってしまうようなこと
    なく中間区間の値をより一定化させる所定範囲内にある
    ことを特徴とする高速鉄道車両の先頭部形状。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載する高速鉄道車両の先頭
    部形状において、 前記所定範囲は、前記極大値に対する極小値の比の値が
    0.9以上1.0以下であることを特徴とする高速鉄道
    車両の先頭部形状。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載する高速鉄
    道車両の先頭部形状において、 車両先端部長さが9〜12mの場合に、前端部と後部の
    それぞれの断面積変化率の極大値ax,bxの比が1.
    1<ax/bx<1.6であり、中間部の断面積変化率
    の極小値cxと前端部の断面積変化率の極大値axとの
    比が0.1<cx/ax<0.25であることを特徴と
    する高速鉄道車両の先頭部形状。
JP2001112551A 2001-04-11 2001-04-11 高速鉄道車両 Expired - Fee Related JP4076734B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001112551A JP4076734B2 (ja) 2001-04-11 2001-04-11 高速鉄道車両

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001112551A JP4076734B2 (ja) 2001-04-11 2001-04-11 高速鉄道車両

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002308092A true JP2002308092A (ja) 2002-10-23
JP4076734B2 JP4076734B2 (ja) 2008-04-16

Family

ID=18963947

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001112551A Expired - Fee Related JP4076734B2 (ja) 2001-04-11 2001-04-11 高速鉄道車両

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4076734B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009056896A (ja) * 2007-08-30 2009-03-19 Nippon Sharyo Seizo Kaisha Ltd 高速鉄道車両の先頭部形状について圧力波形を求める方法
JP2019199223A (ja) * 2018-05-18 2019-11-21 公益財団法人鉄道総合技術研究所 移動体の先頭部構造

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009056896A (ja) * 2007-08-30 2009-03-19 Nippon Sharyo Seizo Kaisha Ltd 高速鉄道車両の先頭部形状について圧力波形を求める方法
JP2019199223A (ja) * 2018-05-18 2019-11-21 公益財団法人鉄道総合技術研究所 移動体の先頭部構造
JP7033827B2 (ja) 2018-05-18 2022-03-11 公益財団法人鉄道総合技術研究所 移動体の先頭部構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP4076734B2 (ja) 2008-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN109299533B (zh) 高速列车车外噪声的快速预测方法及系统
JP2003269384A (ja) 流れ案内アセンブリ
JP4456557B2 (ja) 高速鉄道車両
JP4478633B2 (ja) 高速鉄道車両
JPH0725369A (ja) 車両の後部車体構造
CN116853301A (zh) 基于高速列车流线型区域界面属性的隧道压力波缓解方法
JP2002308092A (ja) 高速鉄道車両の先頭部形状
JP2005212740A (ja) 鉄道先頭車両の車体構造
JP2003063386A (ja) 高速鉄道車両の先頭部形状
US20080105783A1 (en) Fuselage design for sonic boom suppression of supersonic aircraft
JPH11301472A (ja) 鉄道先頭車両の車体構造
EP0722872B1 (en) Railway vehicle
CN209550878U (zh) 喷嘴及激光加工设备
JP4243658B2 (ja) 鉄道先頭車両の車体形状
EP3604090B1 (en) High-speed transport module (variants)
KR100449510B1 (ko) 풍압변동저감 및 미기압파 저감용 0.5킬로미터급 통풍공형 단선터널
JP2009196446A (ja) 鉄道先頭車両
JP4749831B2 (ja) 鉄道車両の床下走行風の低減方法と装置
JP4427245B2 (ja) 鉄道車両設計方法及び鉄道車両
JP3626760B2 (ja) 鉄道車両
JP4051364B2 (ja) 高速鉄道車両
JP2005335512A (ja) 高速走行用の編成列車
JP3913162B2 (ja) 高速走行用の編成列車
RU2203195C1 (ru) Высокоскоростной транспортный модуль транспортной системы юницкого
RU2201368C1 (ru) Высокоскоростной транспортный модуль транспортной системы юницкого

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040309

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040428

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050414

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20050419

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20050624

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110208

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120208

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120208

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130208

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130208

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees