JP2002304073A - 電子写真画像形成装置の加熱定着装置 - Google Patents

電子写真画像形成装置の加熱定着装置

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JP2002304073A
JP2002304073A JP2001105986A JP2001105986A JP2002304073A JP 2002304073 A JP2002304073 A JP 2002304073A JP 2001105986 A JP2001105986 A JP 2001105986A JP 2001105986 A JP2001105986 A JP 2001105986A JP 2002304073 A JP2002304073 A JP 2002304073A
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Japan
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forming apparatus
image forming
fixing device
electrophotographic image
roller
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Application number
JP2001105986A
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English (en)
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Yukikazu Kamei
幸和 亀井
Tomohiro Oikawa
智博 及川
Shiro Wakahara
史郎 若原
Hideki Onishi
英樹 大西
Hiroshi Doshoda
洋 道正田
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オフセットを防止可能で、かつコストの低減
化および装置の小型化を図ることが可能な電子写真画像
形成装置の加熱定着装置を提供する。 【解決手段】 一対の回転体の間に未定着画像を担持し
た転写材6を通過させて加熱することにより、転写材6
に画像を永久定着させる。回転体は、加熱手段(ハロゲ
ンヒータ13)を有する定着ローラ11と、定着ローラ
11に押圧された加圧ローラ12とからなる。定着ロー
ラ11または定着ローラ12の少くとも一方には、強誘
電体層(11B,12B)を形成する。強誘電体層(1
1B,12B)は、双極子配向処理がなされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の回転体の間
にモノクロ画像または4色フルカラー画像で形成された
未定着画像を担持した転写材を通過させて加熱すること
により、前記転写材に画像を永久定着させる電子写真画
像形成装置の加熱定着装置に関し、例えば電子写真装置
あるいは静電記録装置における定着技術分野において利
用される加熱定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電子写真画像形成装置の加熱定着
装置を、図11に示す概略構成図に基づき説明する。従
来の電子写真画像形成装置の加熱定着装置は、図11に
示すように、定着ローラと加圧ローラとが互いに圧接す
るようにして配置されており、加熱手段により定着ロー
ラを加熱して、画像の定着を行うようになっている。
【0003】定着ローラ1は、中空の金属製芯金の外表
面に、トナー離型層を有する弾性体層またはトナー離型
層を有するコート層を設けて構成されており、芯金の内
部には加熱手段2が配設されている。また、定着ローラ
1には、離型剤塗布兼クリーニング部材3が押圧して配
設されている。この離型剤塗布兼クリーニング部材3
は、離型剤(例えばシリコンオイル等)を含浸させた耐
熱性フェルトからなるクリーニング材3Aと、これを支
持するホルダ3Bとからなる。
【0004】また、加圧ローラ4は、芯金4Bの周囲
に、例えば低温加硫型シリコンゴム(LTV)の弾性体
層4Aを有している。これらのローラ対の間に、トナー
(モノクロまたは4色カラー(Y、M、C、Bk))5
からなる像を担持した転写材6が通過することにより定
着動作が行われ、最終画像が形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、装置
の小型化、紙資源の有効利用等の面から、両面印字対
応、最終印字画像におけるオイルによるグロス感(光沢
感)の低減、ユーザーが転写材を触った時のオイルベた
つき感の削減、メンテナンスフリーといった問題の解決
を目的として、クリーニング部材およびオイル塗付機構
を用いない構成が必要となってきた。このため、ホット
オフセット、コールドオフセットおよび静電オフセット
を発生しない定着装置の提供が必要となってきた。ここ
で、ホットオフセットとは、トナーの加熱過多によりト
ナーの熱凝集が定着ローラの表面上で生じ、定着ローラ
の表面にトナーが付着してしまう画像劣化をいう。ま
た、コールドオフセットとは、トナーの加熱不足により
トナーが溶融しきれずに紙に定着することなく剥がれ落
ちてしまう画像劣化をいう。さらに、静電オフセットと
は、電荷を持ったトナーがローラ対の間に入った際に、
例えば加圧ローラの摩擦によるチャージアップ等によっ
て、トナーの転写材方向への保持力とは逆向きの電界を
受け、トナー像が定着ローラ側に転移し、ローラ上に乗
って1周した後、再び転写材上に定着されてしまい、画
像を損なう現象のことをいう。
【0006】そこで、ホットオフセットおよびコールド
オフセットを防止する方法として、定着ローラに対し
て、トナー離型性のあるシリコンオイル等を微量塗布す
る方法や、最近では、トナーの内部に離型性のあるワッ
クスを混合分散して重合反応し、内包させることにより
オイル塗布機構を用いなくてもよいカラー画像形成装置
が開発されている。しかしながら、シリコンオイル等を
微量塗布する場合には、メンテナンス等の問題、画質の
グロスアップの問題があり、ワックス内包トナーの場合
においてはコストアップが避けられずに、ワックスによ
る画像形成装置および画質への悪影響等といった問題が
依然として残ってしまう。
【0007】また、静電オフセットを防止する方法とし
て、図12および図13に示すような加熱定着装置が開
発されている。図12に示す加熱定着装置は、加圧ロー
ラ側にトナーと逆極性のバイアスを印加することによ
り、上下ローラ間に電位差を持たせて、トナーを転写材
側に引き付け、オフセットを防止しようとしたものであ
る。この加熱定着装置は、電圧印加という点等を除け
ば、基本的には本発明のコンセプトと同じである。
【0008】この加熱定着装置の定着ローラ7は、図1
2に示すように、芯金7Bと離型性層7Aとからなり、
不図示の摺動接点を介してアースに接続されている。一
方、加圧ローラ9は、芯金9C上に、その体積抵抗が1
9Ω・cm以下の導電性弾性層9Bと離型性層9Aを
形成してなり、不図示の摺動接点により、高圧電源10
からトナーと逆極性の所定バイアスが印加される構成と
なっている。
【0009】また、図13に示す加熱定着装置は、図1
2に示す加熱定着装置とほぼ同様のローラ構成となって
いる。そして、ローラ対の各々に整流器としてのダイオ
ード8A,8Bを接続することにより、セルフバイアス
でローラ間に電位を持たせる方法を採用している。な
お、図13に示す加熱定着装置において、トナー5は、
負極性であると仮定している。
【0010】この加熱定着装置は、図13に示すよう
に、定着ローラ7に対して、その芯金に不図示の摺動接
点を介して、トナー5と同極性の負の電荷をためる向き
にダイオード8Aを接続している。また、加圧ローラ9
に対して、その芯金に不図示の摺動接点を介して、トナ
ー5と逆極性の正の電荷をためる向きにダイオード8B
を接続している。この加熱定着装置は、ダイオード8
A,8Bを接続したローラ対の間に電位を持った転写材
6が進入してくると、その電位に誘起されてローラ対の
間に電位差が生じ、トナー5を転写材6側に引き付ける
電界をつくり、オフセットを防止するようにしたもので
ある。なお、トナー5が正極性の場合には、ダイオード
8A,8Bの向きは、図13に示す向きとは逆になる。
【0011】しかしながら、図12に示す従来の加熱定
着装置では、特に低湿度環境下において高圧電源10に
よって印加されるバイアス値以上に、転写材6が高い電
位状態でローラ対に進入して来た場合、加圧ローラ9の
電位はトナー5を転写材6側に引き寄せる力としては全
く寄与できないために、オフセットが生じてしまうとい
う問題があった。さらに、加圧ローラ9に別途高圧電源
を設けているため、コストアップや、サイズアップ等の
問題も生じてしまう。
【0012】また、図13に示す従来の加熱定着装置で
は、高湿度環境下において、ダイオード8A,8B自身
の吸湿およびダイオード8A,8Bの周囲の沿面への結
露等により、漏れ電流が多くなる。このため、ローラ対
の間に十分な電位差を保持できなくなり、オフセットが
生じるという問題があった。このような問題に対して、
予め最悪のケースを想定して高めの電位を設定すればよ
いが、環境条件に基づく不安定さという意味では芳しく
ない。さらに、ダイオード8A,8Bを接続しなければ
ならないため、コストアップという問題も生じてしま
う。
【0013】本発明は、前述した事情に鑑み提案された
もので、オフセットを防止可能で、かつコストの低減化
および装置の小型化を図ることが可能な電子写真画像形
成装置の加熱定着装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電子写真画
像形成装置の加熱定着装置は、前述した目的を達成する
ため、以下の特徴点を備えている。
【0015】すなわち、本発明に係る電子写真画像形成
装置の加熱定着装置は、一対の回転体の間に未定着画像
を担持した転写材を通過させて加熱することにより、前
記転写材に画像を永久定着させる電子写真画像形成装置
の加熱定着装置において、前記回転体は、加熱手段を有
する定着ローラと、該定着ローラに押圧された加圧ロー
ラとからなり、前記定着ローラまたは前記定着ローラの
少くとも一方には、強誘電体層が形成されており、該強
誘電体層は、双極子配向処理がなされていることを特微
とするものである。
【0016】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記定着ローラには、トナーの帯電極
性と同極性の焦電電位が形成されていることが好まし
い。
【0017】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記加圧ローラには、トナーの帯電極
性と逆極性の焦電電位が形成されていることが好まし
い。
【0018】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記定着ローラまたは前記加圧ローラ
には、電気導電性支持体層が形成されていることが好ま
しい。
【0019】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記電気導電性支持体層は、接地され
ていることが好ましい。
【0020】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記定着ローラまたは前記加圧ローラ
の少なくとも一方には、弾性体層が形成されていること
が好ましい。
【0021】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記強誘電体層は、少なくともその一
部に有機系材料を含むことが好ましい。
【0022】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記強誘電体層は、少なくともその一
部に無機系材料を含むことが好ましい。この場合、前記
無機系材料は、少なくとも3成分からなるセラミクス焼
結体であることが好ましい。
【0023】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記強誘電体層の比誘電率は、10以
上であることが好ましい。
【0024】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記強誘電体層の体積固有抵抗率は、
1014Ω・cm以上かつ1015Ω・cm以下であること
が好ましい。
【0025】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置は、一対の回転体の間にフルカラーの未
定着画像を担持した転写材を通過させて加熱することに
より、前記転写材にフルカラー画像を永久定着させる電
子写真画像形成装置の加熱定着装置において、前記回転
体は、加熱手段を有する定着ローラと、該定着ローラに
押圧された加圧ローラとからなり、前記定着ローラは、
芯金からなる最内層と、導電性部材からなる中間層と、
強誘電体からなる最外層とから構成されていることを特
徴とするものである。
【0026】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記加圧ローラは、芯金からなる最内
層と、導電性部材からなる中間層と、強誘電体からなる
最外層とから構成されていることが好ましい。
【0027】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記導電性部材は、弾性体であること
が好ましい。
【0028】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記強誘電体層の表層部分には、接地
された導電性部材が当接配置されていることが好まし
い。
【0029】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記定着ローラの表面温度は、前記強
誘電体層のキュリー点温度よりも低いことが好ましい。
【0030】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記加圧ローラの表面温度は、前記強
誘電体層のキュリー点温度よりも低いことが好ましい。
【0031】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記定着ローラの焦電電位は、その絶
対値が250V以上であることが好ましい。
【0032】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記加圧ローラの焦電電位は、その絶
対値が500V以上であることが好ましい。
【0033】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記定着ローラの強誘電体層の層厚
は、10μm以上であることが好ましい。
【0034】また、前記電子写真画像形成装置の加熱定
着装置において、前記加圧ローラの強誘電体層の層厚
は、20μm以上であることが好ましい。
【0035】このように、本発明に係る電子写真画像形
成装置の加熱定着装置は、定着ローラあるいは加圧ロー
ラの少なくとも一方に、所定の焦電電位を保持させ、定
着ローラの表層には、トナーと同極性の焦電電位が形成
された強誘電体を被覆し、また、加圧ローラの表層に
は、トナーと逆極性の焦電電位が形成された強誘電体を
被覆することにより、焦電電位が形成する電界の作用で
トナーを転写材側に引き付ける方向の電界を生じさせ、
強制的にトナーを転写材側に転写させることにより、ホ
ットオフセット、コールドオフセットおよび静電オフセ
ットを効果的に防止することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す具体的な実施例
に基づいて、本発明に係る電子写真画像形成装置の加熱
定着装置の実施形態を説明する。
【0037】<加熱定着装置の実施例1>図1は、本発
明に係る電子写真画像形成装置の加熱定着装置の実施例
1を示す概略構成図である。なお、実施例1の加熱定着
装置では、トナーは負極性のものと仮定して説明する。
【0038】実施例1の加熱定着装置は、図1に示すよ
うに、定着ローラ11と加圧ローラ12とが対向して設
けられており、これらのローラ11,12からなるロー
ラ対は、所定の圧力で互いに押圧されている。また、定
着ローラ11の内部にはハロゲンヒータ13が配設され
ており、このハロゲンヒータ13により加熱が行われ
る。さらに、定着ローラ11に接して設けられた温度検
知手段(図示せず)により温度制御が行われ、回転する
ローラ対の間を未定着画像を担持した転写材6が通過す
ることにより、画像の定着動作が行われる。
【0039】定着ローラ11は、芯金11Aとその最外
層に設けられた強誘電体層11B(中間層として弾性体
層を有する場合有り)からなり、芯金11Aは、不図示
の摺動接点を介して接地されている。強誘電体層11B
には、トナー5と同極性の焦電電位が所定の値で形成さ
れており、強誘電体層11Bの表面には、除電ブラシ1
4が接触して配置されている。
【0040】一方、加圧ローラ12は、芯金12Aとそ
の最外層に設けられた強誘電体層12B、および中間層
として導電性弾性層12C(例えば、導電性シリコンゴ
ム)かならり、芯金12Aは、不図示の摺動接点を介し
て接地されている。強誘電体層12Bは、トナー5と逆
極性の焦電電位が所定の値で形成されており、強誘電体
層12Bの表面には、除電ブラシ14が接触配置されて
いる。
【0041】なお、図1においては、マイナスに帯電し
たトナー5を定着ローラ11側から引き離し、加圧ロー
ラ12側に引き付けるように、強誘電体層12Bの双極
子の向きおよび焦電電位極性が示されているが、もし、
プラスに帯電したトナー5を扱う場合には、強誘電体層
11Bの双極子の向きおよび焦電電位極性を、それぞれ
逆にすればよい。
【0042】また、強誘電体層11Bに形成された焦電
電位に関しては、後述するように、殆ど周囲環境に影響
されることがない。また、外部電源を用いて電圧印加を
行わずに、強誘電体層11Bに形成された永久双極子が
発現する焦電電位を用いるため、リークおよび安全規格
といった高電圧を用いる場合に考慮しなければならない
諸問題に関して留意する必要性がないので、ローラ対の
間のリークおよび安全規格対応のための耐圧対策上の観
点から、装置の複雑化、大型化、高コスト化等を考慮し
なくてもよい。したがって、自由に焦電電位の設定を行
うことが可能であり、この点に関しても、従来技術と比
較して飛躍的に改善されたと言える。
【0043】<加熱定着装置の実施例2>図2は、本発
明に係る電子写真画像形成装置の加熱定着装置の実施例
2を示す概略構成図である。なお、実施例2の加熱定着
装置では、トナーは負極性のものと仮定して説明する。
【0044】実施例2の加熱定着装置は、図2に示すよ
うに、定着ローラ31と加圧ローラ32とが対向して設
けられており、これらのローラ31,32からなるロー
ラ対は、所定の圧力で互いに押圧されている。また、定
着ローラ31の内部にはハロゲンヒータ33が配設され
ており、このハロゲンヒータ33により加熱が行われ
る。さらに、定着ローラ31に接して設けられた温度検
知手段(図示せず)により温度制御が行われ、回転する
ローラ対の間を未定着画像を担持した転写材6が通過す
ることにより、画像の定着動作が行われる。
【0045】定着ローラ31は、芯金31Aとその外層
に設けられた強誘電体層31B(中間層として弾性体層
を有する場合有り)からなり、芯金31Aは、不図示の
摺動接点を介して接地されている。強誘電体層31B
は、トナー5と同極性の焦電電位が所定の値で形成され
ており、強誘電体層31Bの表面には、除電ブラシ41
が接触して配置されている。一方、加圧ローラ32は、
芯金32Aとその外層に設けられた導電性弾性層32B
(例えば、導電性シリコンゴム)を有している。
【0046】なお、図2においては、マイナスに帯電し
たトナー5を定着ローラ側31から引き離し、加圧ロー
ラ32側に引き付けるように、強誘電体層31Bの双極
子の向きおよび焦電電位極性が示されているが、もし、
プラスに帯電したトナー5を扱う場合には、強誘電体層
31Bの双極子の向きおよび焦電電位極性を、それぞれ
逆にすればよい。
【0047】また、強誘電体層31Bに形成された焦電
電位に関しては、後述するように、殆ど周囲環境に影響
されることがない。また、外部電源を用いて電圧印加を
行わずに、強誘電体層31Bに形成された永久双極子が
発現する焦電電位を用いるため、リークおよび安全規格
といった高電圧を用いる場合に考慮しなければならない
諸問題に関して留意する必要性がないので、ローラ対の
間のリークおよび安全規格対応のための耐圧対策上の観
点から、装置の複雑化、大型化、高コスト化等を考慮し
なくてもよい。したがって、自由に焦電電位の設定を行
うことが可能であり、この点に関しても、従来技術と比
較して飛躍的に改善されたと言える。
【0048】図3は、各環境下において、転写材である
転写紙のオフセットを防止するために、定着ローラの強
誘電体層にどれだけの焦電電位を与える必要があるかを
検討した結果を示す説明図である。図3において、
(a)はL/L、(b)はN/N、(c)はH/Hの環
境下における説明図である。
【0049】図3から明らかなように、各環境下におい
て、転写紙のオフセットを防止するためには、約−25
0V以上の焦電電位が必要であることがわかった。発明
者らの実験によれば、同様に、加圧ローラに対して+5
00V以上の焦電電位を与えることにより、さらにオフ
セット防止効果が向上し、従来のオイル塗布が必要とさ
れていたフルカラートナーを用いた場合においても、オ
イルレスで良好な画像が得られることが判明した。ま
た、図3から明らかなように、定着ローラに形成する焦
電電位の値は、+(−)250V〜+(−)1500V
の範囲であると思われる。
【0050】次に、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置の定着ローラおよび加圧ローラに形成さ
れた強誘電体層について述べる。この強誘電体層内の構
成分子は永久双極子であり、自発分極性を有している。
この自発分極の形成機構に基づき分類すると、規則不規
則型と変位型とに大別される。
【0051】規則不規則型は、その双極子配向の規則性
の変化により、強誘電相や常誘電相ができるものをい
い、強誘電相では隣り合う永久双極子が双極子モーメン
トを打ち消し合わないように規則的に配向するため自発
分極を持つに至る。一方、常誘電相では双極子の配向が
不規則になり、互いの双極子モーメントを打ち消してし
まうため無極性となる。このような双極子配向は、何ら
かの協同効果により隣り合う双極子が互いに平行になろ
うとする力とエントロピー的に不規則になる力の程度に
よって定まる。
【0052】有機系材料であるフッ化ビニリデン系ポリ
マー、その他、分子間水素結合を有する樹脂中にアミノ
基およびカルボニル基、シアノ基、またはチオカルボニ
ル基を有する有機化合物を有する樹脂、当該樹脂におい
てアミノ基およびカルボニル基、シアノ基、またはチオ
カルボニル基(以下、官能基という)は、主鎖部分に存
在してもよく、側鎖部分に存在してもよい。また、これ
らの官能基を有する樹脂のうちの1群の官能基を有する
樹脂であってもよく、また2群以上の官能基が存在する
樹脂であってもよい。
【0053】また、変位型は、各イオンが、正および負
電荷の中心が一致する位置より微小距離だけ変位するこ
とにより自発分極を持ち、この変位は単位包の大きさに
比して小さい。常誘電相では、正負イオンの中心が一致
するため無極性になる。このようなイオンの変位は、転
移点以下で双極子間のクーロン力による長距離相互作用
によって生ずるもので、無機系の酸化物材料である強誘
電体として、一般式[(Bi222+(XY272-
(式中、XはSr,Pb、またはNa0.5Bi0 .5を表
し、YはTaまたはNbを表す)、または、一般式[X
nBi4Tin+33 n+12](式中、XはSr,Pb,B
a、またはNa0.5Bi0.5を表し、nは1または2を表
す)のものが用いられる。具体的には、無機系の酸化物
材料である強誘電体として、チタン酸バリウム等がこれ
に属する。
【0054】焦電性、自発性分極性および分極反転性を
有した強誘電体に抗電界(Coercive fiel
d:すなわち分極処理が可能となるある一定以上の外部
電界強度を意味し、強誘電体の構成ポリマー、膜厚、周
囲雰囲気温度等によって異なる)以上の電圧を印加(接
触(ローラ帯電法)、非接触(コロナ帯電法)のどちら
でも可)することにより、この永久双極子を一方向に揃
える。これを双極子配向処理(以下、ポーリング処理と
いう)という。
【0055】このポーリング処理がなされると、次に抗
電界以上の電圧が外部より付与されなければ、半永久的
に同一方向、同電位にて電位保持される。さらに、この
強誘電体素子中のポーリングされた永久双極子を表面焦
電電位として発現させるために、強誘電体素子の表面全
体をある特定温度(強誘電体の構成ポリマーにより異な
るが、本発明においてはキュリー点温度(150℃)以
下である120℃前後が望ましい)に加熱する。その
後、室温に冷却すれば、強誘電体素子表面に永久双極子
の分極電荷に起因する表面電位が検出される。以上のプ
ロセスを、図4を用いてさらに詳細に説明する。
【0056】強誘電体層に永久双極子を形成するには、
図4(a)〜(d)のプロセスが用いられる。 導電性支持基体20上に形成した強誘電体素子21を
正極に帯電させるために、負極にバイアス(−2000
V程度)を印加した帯電ローラ22を用いて接触帯電さ
せる(ポーリング処理)。この後、強誘電体素子21の
表面における実電荷が分極電荷を中和しているため、強
誘電体素子21上のみかけの表面電位は中和されて小さ
い値を示している(図4(a))。 強誘電体素子全面を145℃にて加熱する(図4
(b))。 この加熱により、双極子23の配向が一部崩れ、双極
子23の大きさがみかけ上、小さくなる(図4
(c))。 一部配向の崩れた双極子23の分極電荷とバランスし
ない表面実電荷24を、強誘電体素子21の加熱作用に
よる体積固有抵抗の低下(常温1014〜1015Ω・cm
が145℃加熱により1012Ω・cm以下となる)に伴
って、リークさせることができる。 室温にまで冷却することにより、永久双極子23は、
もとのポーリング状態に復帰するが、強誘電体素子21
の表面実電荷24は大部分がリークし相殺されているた
め、もはや永久双極子23とはバランスせず、永久双極
子23に起因した任意の表面電位が発現する(図4
(d))。
【0057】本実験においては、強誘電体素子の膜厚4
0μmとして形成することにより、+1000Vの表面
電位が得られた。この表面電位は、帯電条件、強誘電体
素子21の材質、膜厚等のパラメータにより任意に調整
することが可能である。また、強誘電体素子21の焦電
電位は、強誘電体素子21を形成する材質により若干異
なるが、その膜厚に正比例し、通常膜厚1μmで25V
の焦電電位が得られることが分かっている。
【0058】以上のプロセスにより得られた強誘電体素
子を放置して、その表面電位と経時変化を求めた。図5
に、強誘電体素子の表面電位の経時変化のグラフを示
す。図5より明らかなように、本実施形態に係る強誘電
体素子を2年間という長期間、常温状態で放置したにも
かかわらず、その表面電位を測定した結果、2年後にお
いても十数V程度の減衰しか認められず、実用上殆ど問
題がないということが判明した。この任意の表面電位が
発現した強誘電体素子を定着ローラの表層に形成して用
い、転写材上に形成されたトナー像を加熱溶融すること
により、オフセットの全くない良好な画質が得られるこ
とが実験により確認された。
【0059】このプロセスの大きな特徴は、強誘電体素
子に発現した表面電位は半永久的に保持されるものであ
り、結果として定着装置には高電圧電源を設ける必要が
なく、外部からの電圧付与を一切必要とせずにオフセッ
トのない良好な画像定着が行われることである。
【0060】本発明に係る電子写真画像形成装置の加熱
定着装置に用いる強誘電体素子は、強誘電体層と導電性
支持体層からなる。また、この強誘電体素子は、図6に
示すように、強誘電体層25と導電性支持体層26が、
密着した状態であってもよく(図6(a))、強誘電体
層25と導電性支持体層26の間に導電性弾性体中間層
27を設けてもよく(図6(b))、さらに、強誘電体
層25の表層部分を耐擦性部材28(耐熱性も要求され
るのでテフロン(テフロンは登録商標であり、物質名は
ポリテトラフルオロエチレン)等)で被覆するか、コー
ティングすることが好ましい(図6(c))。
【0061】本発明に係る電子写真画像形成装置の加熱
定着装置の開発過程において使用された強誘電体層とし
て、好適であったものを下記に記す。まず、有機系強誘
電体として、ポリフッ化ビニリデンとテトラフルオロエ
チレンの共重合体[P(VDF−TeFE)]を、ポリ
フッ化ビニリデンの分率が0〜100mol%(80m
ol%の場合が最も好適であった)で調整したもの、お
よびポリフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共
重合体[P(VDF−TrFE)]をポリフッ化ビニリ
デンの分率を同様に0〜100mo1%で調整したもの
を用い、無機系強誘電体として、3成分から構成される
セラミクス焼結体である、チタン酸ビスマスストロンチ
ウム(SrBi4Ti415)を用いた。
【0062】しかし、基本的には、帯電ローラ、帯電ブ
ラシまたはコロナ帯電器等によって抗電界以上の電界を
付与された時に、強誘電体中に永久双極子によるポーリ
ング現象が行われ、さらに、加熱手段によりキュリー点
以下でその近傍の特定温度で加熱されることにより表面
に焦電電位が発現される特性を有したもので、定着装置
に用いるため耐熱性も具備した材質のものであればどの
ようなものであってもよく、特に限定されるものではな
い。
【0063】次に、導電性支持体層であるが、必要な機
械的強度および耐熱性を有し、かつ、導電性を有するも
のであればよく、その材質は特に限定するものではな
い。例えば、導電性支持体層の材料として、加工性や形
状安定性、強誘電体素子との接着性等の面から、アルマ
イト(Al23)処理が施されたアルミニウム等の金
属、導電性ポリマーやカーボンブラック等の導電性無機
物、内部にカーボンブラック、金属酸化物、金属粉、イ
オン導電剤、グラファィト等の導電剤を加硫成型時に充
填した導電性ゴム(例えば導電性シリコンゴム)を用い
ることが好ましい。
【0064】<有機強誘電体素子の製造方法>有機強誘
電体素子の製造方法には、大別すると以下に示す3つの
方法がある。 導電性を有する支持体層を形成した後、支持体層上に
有機強誘電体層を形成する方法。 有機強誘電体層を形成した後、有機強誘電体層上に導
電性を有する支持体を形成する方法。 有機強誘電体層と導電性支持体層を別々に形成した
後、両者を導電性接着剤等により貼り合わせる方法。
【0065】本発明に係る電子写真画像形成装置の加熱
定着装置では、有機系強誘電体素子の製造方法として、
基本的には上記の製造方法を採用している。具体的な
製造方法を以下に説明する。ただし、この製造方法に限
定されるものではなく、本発明に係る電子写真画像形成
装置の加熱定着装置に用いる定着部材の形状、強誘電体
素子の膜厚形成条件等によって、最適な製造方法を任意
に選択すればよい。すなわち、定着部材がローラ状のも
のであれば、後述するディッピング法が望ましく、ベル
ト状のものであればロールコート法あるいはスプレイコ
ート法が望ましい。
【0066】<有機強誘電体素子の製造方法の一例>図
7に、有機強誘電体素子の製造方法の一例を示す。有機
強誘電体素子を製造するには、図7(a)に示すよう
に、有機強誘電体層を構成する材料(例えば、ポリフッ
化ビニリデンとテトラフルオロエチレンまたはトリフル
オロエチレンを特定mol比により混合させた共重合
体)を、アセトン溶液等の溶媒中に溶解し、その溶液5
1を外径がφ5μmの空孔を有するメンブランフィルタ
52を用いて窒素ガスで加圧濾過した後、アセトン蒸気
を満たした雰囲気中に置かれたスピンコータ60(マニ
ュアルスピナーASS−300:ABLE社製)により
450rpm程度の回転数で、円板状の回転板に固定さ
れた導電性基板61(これは転写部材として好適な任意
の形状でよく、本発明においては可撓性合成樹脂からな
るフィルムにカーボンブラック等の導電剤を分散したも
の、もしくは合成樹脂ベルトにカーボンブラック等の導
電剤を分散したもの等)上に滴下させ、遠心力により回
転塗布した後、加熱炉(Yamato DN64 恒温
槽)にて133℃、1時間で熱処理を行った。
【0067】このような熱処理を行った理由は、以下の
通りである。すなわち、本製造方法で得られた強誘電体
素子は、結晶部分と非結晶部分が混在する複雑な高次構
造からなり、このままで用いると、結晶化度が低すぎて
強誘電性を得ることができない。しかし、前述した熱処
理を行うことにより、結晶化度が飛躍的に高められ、強
誘電性が得られる。この熱処理温度は、強誘電体ポリマ
ーの融点(Tm)とキュリー点(Tc)の間の温度で行
えばよい。本実施例では、133℃にて1時間の熱処理
を行ったが、温度および加熱時間は、使用する強誘電体
ポリマーに適するように調整すればよい。
【0068】また、スピンコータを用いた理由は、強誘
電体の膜厚の制御が容易であったことが挙げられる。す
なわち、スピンコータの回転数を制御することにより、
強誘電体の膜厚を任意に調整することが可能であった。
強誘電体層の必要膜厚は、ポーリング後の帯電電位との
関係で略40μm必要であったが、スピンコータの回転
数を略450rpmに設定することにより所望の膜厚を
形成することができた。さらに、厚く製膜するのであれ
ば、スピンコータの回転数をダウンさせればよいし、逆
にサブミクロンオーダーで薄くしたいのであれば回転数
をアップさせればよい。
【0069】また、有機強誘電体素子の製造方法の他の
例として、図7(b)に示す方法がある。この有機強誘
電体素子の製造方法では、図7(b)に示すように、予
め芯金に導電性弾性ゴムが形成された定着ローラ62を
旋盤器等のチェック63で保持し、任意の回転数で回転
させる。その近傍に、前述した溶液51が内部に充填さ
れたカートリッジ64を固定保持し、定着ローラ62の
取り付け軸に対し平行移動させながら窒素ガスで加圧濾
過し噴霧する。この方法により定着ローラ62の表面に
強誘電体層を形成することができる。
【0070】さらに、上述した具体的な製造方法以外の
製造方法を説明する。前述したの製造方法として、例
えば、有機強誘電体層を形成するモノマー材料を真空中
で蒸発させ、導電性支持体層上で重合し、製作する方法
や、モノマー材料を溶媒中に溶解し、その溶液をディッ
ピング法、バーコート法、スピンコート法、ロールコー
ト法、スプレイコート法等により導電性支持体層上に塗
布し、その後、加熱溶融し、急冷する方法、あるいは、
強誘電体ポリマー溶液を蒸着法、スパッタ法で堆積する
方法等を挙げることができる。この場合、導電性支持体
層は、金属や導電性有機物等をそのまま用いてもよく、
また、耐熱性ゴム基体中に、導電性物質を分散させて導
電性を付加したものであってもよい。
【0071】また、前述したの製造方法として、例え
ば、有機強誘電体を構成する材料を溶媒に溶解し、その
溶液をディッピング法、バーコート法、ロールコート
法、スプレイコート法、スピンコート法、もしくは蒸着
法、スパッタ法等により基板上に塗布または堆積した
後、加熱溶融、急冷し、塗膜を基板より剥離し、必要に
応じて延伸、加熱等の強誘電性発現のための処理を行な
い膜化する方法や、有機強誘電体層を構成する材料を加
熱溶融しながら加圧して膜化した後、急冷し、必要に応
じて、延伸、加熱等の強誘電性発現のための処理を行な
い膜化する方法等を挙げることができる。
【0072】この場合、導電性支持体層は、有機強誘電
体層上に、導電性を有する物質を塗布、蒸着あるいはイ
オンコート等により形成する方法により製造することが
できる。また、前述したの製造方法として、上記の
製造方法により得られた強誘電性体層と金属や導電性有
機物等の基材を、導電性を有する接着剤を用いて密着す
る方法を挙げることができる。
【0073】<無機強誘電体素子の製造方法>無機強誘
電体素子の製造方法には、大別すると以下の2つの方法
がある。 導電性を有する支持体層を形成した後、支持体層上に
無機強誘電体層を形成する方法。 無機強誘電体層と導電性支持体層を別々に形成した
後、両者を貼り合わせる方法。本発明に係る電子写真画
像形成装置の加熱定着装置では、無機強誘電体素子の製
造方法として、基本的には上記の製造方法を採用して
いる。具体的な製造方法を以下に説明する。ただし、こ
の製造方法に限定されるものではない。
【0074】<無機強誘電体素子の製造方法の一例>無
機強誘電体素子を製造するには、まず、炭酸ストロンチ
ウム(SrCO3)0.763g、酸化チタン(Ti
2)1.652gおよび三酸化ビスマス(Bi23
4.818gを充分に混合した後、この混合物を電気炉
を用いて890℃で1時間焼結する。そして、焼結後の
混合物を乳鉢を用いて粉砕して、粉末状のSrBi4
415を得る。このようにして得たSrBi4Ti4
15の粉末50%、ポリビニルブチラール(積水化学社製
の「エスレックBX−L」)2.5%およびメチルエチ
ルケトン47.5%からなる混合物を、ボールミリング
により1時間分散混合した。このようにして得た分散混
合液を、導電性基板(白金等)上に、乾燥後の膜厚が4
0μmとなるように、バーコーターを用いて塗布した
後、60℃で3時間加熱乾燥させ、さらに、1000℃
〜1200℃で焼結させて、強誘電体層を形成すること
により、強誘電体素子を得ることができた。
【0075】さらに、上述した具体的な製造方法以外の
製造方法を説明する。前述したの製造方法として、例
えば、強誘電体材料、樹脂および溶剤を混合溶解させ、
この混合溶液を、ディッピング法、ロールコート法、ス
プレイコート法、スピンコート法等により導電性基板上
に塗布した後、溶媒を除去して強誘電体層を形成する方
法、ヨウ素を添加したアセトン溶液中に強誘電体粒子を
分散させ電着法により膜化して強誘電体層とする方法、
支持体層上に、マグネトロンスパッタリング法、レーザ
ブレーション法、化学蒸着法の1種である無機金属錯体
分解法(MOCVD法)あるいはゾルゲル法等により強
誘電体を積層する方法等を挙げることができる。
【0076】また、前述したの製造方法として、例え
ば、固相反応等により強誘電体膜を作製した後、導電性
を有する接着剤を用いて支持体層と密着させて製作する
方法等を挙げることができる。この場合、強誘電体層を
形成する混合溶液に用いる溶剤は、無機系の酸化物強誘
電体を変質させない溶剤であって、上記樹脂材料を溶解
あるいは分散し得る溶剤であればよく、そのような溶剤
としては、例えば、ケトン系溶剤、塩素系溶剤、芳香族
系極性溶剤等を挙げることができる。
【0077】以上のように、様々な製造方法により得ら
れた強誘電体素子(フィルム状、もしくはシームレスチ
ューブ状、または直接定着部材にコートするために溶液
状となったもの)を、転写部材として好適な形状に加工
(転写部材の基材形状に沿って被覆、接着、コーティン
グする等の処理)した。その後、前述したローラ接触帯
電等によるポーリング処理、加熱処理を施し、所望の焦
電電位の発現を行えばよい。このプロセスは、逆の場合
でもよい。すなわち、予め所望の焦電電位が発現された
強誘電体素子を、後から定着部材に被覆、接着、コーテ
ィングしてもよく、性能上何ら問題はない。
【0078】強誘電体素子の帯電方法として、高電圧が
印加された導電性ゴムローラを強誘電体層に接触させ、
抵抗値105〜109Ω・cm程度の導電性ゴムローラに
数百ボルト以上の電圧を印加して帯電させる方法、抵抗
値103〜105Ω・cmの細い繊維状の線材を、導電性
ローラ表面にブラシ状に取り付けて接触性を高め帯電さ
せる方法、コロナ帯電器を用いてパルスコロナを付加し
て帯電する方法等を挙げることができる。また、加熱方
法として、キセノンランプ、ハロゲンランプ等により加
熱照射する方法、面状発熱体等で接触加熱する方法、高
出力レーザによる加熱、ビートローラで接触加熱する方
法等を挙げることができる。
【0079】次に、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置が、実機に用いられる実施例の説明を行
う。図9、図10に基づいて、本発明に係る電子写真画
像形成装置の加熱定着装置を適用した画像形成装置の実
施例1〜実施例3を説明する。なお、この実施例1〜実
施例3により本発明が限定されるものではなく、本発明
の加熱定着装置は、電子写真プロセスを用いた複写機、
レーザビームプリンタ、液体現像プロセス、その他の記
録装置等の画像形成装置全般に適用され得るものであ
る。
【0080】<画像形成装置の実施例1>実施例1の画
像形成装置は、モノクロ画像を形成するためのモノクロ
画像形成装置であり、図9に示すように、その画像形成
部には、接地されたドラム状の感光体101(外径φ3
0mm)が配置されており、矢印方向へ線速100m/
secで回転している。また、感光体101の周囲に
は、帯電装置102、露光装置103、現像装置10
4、クリーニング装置105、転写ローラ107および
加熱定着装置108が配置されている。
【0081】実施例1の画像形成装置では、帯電装置1
02により感光体101をある特定電位(例えば−60
0V)に一様に帯電し、この感光体101上に、露光装
置103により画像情報に応じた静電潜像を形成する。
静電潜像部分の帯電電位は略0Vに減衰しており、その
上に、現像装置104により負極で帯電されたトナーが
静電的に付着して現像される。像形成後のトナー像部分
の帯電電位は、−200Vである。
【0082】転写ローラ107は、接地されたアルミニ
ウム製の芯金の表面に導電性ゴム(体積固有抵抗率10
5Ω・cm以下の弾性ゴム)を厚さ3mmで成型してロ
ーラ状にしたものである。この転写ローラ107は、ス
プリング(図示せず)の付勢力により、感光体101の
表面に対して1000g/cm2以下の圧力で圧接され
ている。そして、感光体101の回転に従動して転写ロ
ーラ107を回転させ、転写材を転写ニップ部で搬送
し、電圧印加することにより、感光体101上のトナー
を転写材上に転移させて、記録画像を得ることができ
る。転写材上に形成されたトナー像は、加熱定着装置1
08に搬送され、加熱溶融されて最終画像となる。
【0083】加熱定着装置108は、定着ローラ108
Aと、加圧ローラ108Bとからなる。定着ローラ10
8Aは、外径がφ30mmの中空の金属性芯金(例えば
アルミ製)の内部に加熱装置を有している。また、芯金
の表面には、前述した製造方法(例えばスプレイコート
法)により形成された強誘電体層が厚さ10μmでコー
ティングされている。この強誘電体層には、予め−25
0Vの焦電電位が発現されている。また、定着ローラ1
08Aにおける加熱温度は、強誘電体のキュリー点以下
である120℃に設定されている。また、トナーは、低
温定着用に開発された低融点トナーであり、負帯電して
いる。
【0084】このトナーは、例えば、2種の樹脂(樹脂
A,樹脂B)を混合してなる結着樹脂と、融点60℃の
低融点ワックスの1種以上とを含有する。具体的には、
樹脂Aの軟化点が120℃、ガラス転移点が58℃であ
り、樹脂Bの軟化点が90℃以上、120℃未満、ガラ
ス転移点が58℃である静電荷像現像用トナーを用い
る。実験によると、最低定着温度は100℃前後と低
く、定着温度120℃においても十分な定着強度を得る
ことができた。また、本実施例1に用いられたトナー
は、NN環境における最低定着温度として、100℃以
下であることが実験により確認された。したがって、L
L環境における定着性を考えた場合、定着温度として、
上記120℃の設定が好適であると考える。
【0085】なお、定着温度に対してのキュリー温度の
許容値であるが、キュリー点を超える温度を強誘電体に
与えることにより、焦電電位は再分散され、焦電電位の
低減をきたすため、定着温度はキュリー点より低ければ
低いほど良い。キュリー点の設定も強誘電体の組成を変
えることによりある程度調整可能であるが、本実施例1
に用いた強誘電体は、焦電電位の発現効率および発現期
間とのバランスを考慮して組成形成し、キュリー点を1
50℃とした。
【0086】このキュリー点(150℃)に対して、定
着温度が−20℃以下であれば、焦電電位の低減に関し
殆ど影響を与えることがないことが判明した。したがっ
て、本実施例1における定着温度の適正値は、コントロ
ール上限温度を130℃とし、さらに、温度コントロー
ルの温度リップルを考慮して、コントロール中心設定温
度が120℃となるようにした。また、加圧ローラ10
8Bは、外径がφ10mmの芯金の表層にスポンジ弾性
体(厚10mm)を有し、さらにその表面を、トナー離
型性および耐熱性のあるPFAチューブで被覆してい
る。
【0087】<画像形成装置の実施例2>実施例2の画
像形成装置は、前述した実施例1の画像形成装置とほぼ
同様の構成を備えたモノクロ画像形成装置であるが、定
着ローラ108Aと加圧ローラ108Bの構成におい
て、実施例1の画像形成装置と相違している。すなわ
ち、実施例2の画像形成装置の定着ローラ108Aは、
外径がφ30mmの中空の金属性芯金(例えばアルミ
製)の内部に加熱装置を有している。また、芯金の表面
には、トナー離型性のあるテフロンコートが30μmの
厚さで施されている。
【0088】また、加圧ローラ108Bは、外径がφ1
0mmの芯金の表層に導電性スポンジ弾性体(厚さ10
mm)を有し、さらにその表面を、焦電電位が予め発現
処理された強誘電体を形成したチューブで被覆してい
る。この加圧ローラ108Bは、耐熱性と導電性を有し
たチューブに対して、前述した製造方法(例えばスプレ
イコート法)により形成された強誘電体層が厚さ20μ
mでコーティングされており、強誘電体層には、予め+
500Vの焦電電位が発現されている。その他の構成
は、図9に示す実施例2の画像形成装置と、同様となっ
ている。
【0089】<画像形成装置の実施例3>実施例3の画
像形成装置は、フルカラー画像を形成するためのフルカ
ラー画像形成装置であり、図10に示すように、その画
像形成部には、接地されたドラム状の感光体201(外
径φ70mm)が配置されており、矢印方向へ線速10
0m/secで回転している。また、感光体201の周
囲には、帯電装置202、露光装置203、現像装置2
04A(Y),204B(M),204C(C),20
4D(Bk)、クリーニング装置205、除電器20
6、転写ローラ207、および加熱定着装置208が配
置されている。
【0090】実施例3の画像形成装置では、帯電装置2
02により感光体201をある特定電位(例えば−60
0V)に一様に帯電し、この感光体201上に、露光装
置203により画像情報に応じた静電潜像を形成する。
静電潜像部分の帯電電位は略0Vにて減衰しており、そ
の上に、現像装置204Aにより負極で帯電されたイエ
ロートナーが静電的に付着して現像される。像形成後の
トナー像部分の帯電電位は、−200Vである。
【0091】転写ローラ207は、接地されたアルミニ
ウム製の芯金の表面に導電性ゴム(体積固有抵抗率10
5Ω・cm以下の弾性ゴム)を厚さ3mmで成型してロ
ーラ状にしたものである。この転写ローラ207は、ス
プリング(図示せず)の付勢力により、感光体201の
表面に対して圧接されている。そして、感光体201の
回転に従動して転写ローラ207を回転させ、転写材を
静電吸着保持して搬送し、電圧印加することにより、感
光体201上のトナーを転写材上に転移させて、記録画
像を得ることができる。このような動作を各色4工程行
うことにより、フルカラー画像を転写材上に形成するこ
とができる。画像形成が終わると、剥離爪209によ
り、転写ローラ207上から転写材を剥離して加熱定着
装置208に搬送し、加熱溶融されて最終画像となる。
【0092】加熱定着装置208は、定着ローラ208
Aと、加圧ローラ208Bとからなる。定着ローラ20
8Aは、外径がφ40mmとなっており、内部に加熱装
置を有している。この定着ローラ208Aは、外径がφ
30mmの中空の金属性芯金(例えばアルミ製)の表面
に、導電性シリコンゴム層を厚さ5mmで形成し、さら
にその表層に前述した製造方法(例えばスプレィコート
法)により形成された強誘電体層が厚さ28μmでコー
ティングされている。この強誘電体層には、予め−70
0Vの焦電電位が発現されている。また、定着ローラ2
08Aにおける加熱温度は、強誘電体のキュリー点以下
である120℃に設定されている。また、トナーは、低
温定着用に開発された低融点トナーを使用し、負帯電し
ている。
【0093】また、加圧ローラ208Bは、外径がφ4
0mmとなっており、内部に加熱装置を有している。こ
の加圧ローラ208Bは、外径がφ30mmの中空の金
属性芯金(例えばアルミ製)の表面に、導電性シリコン
ゴムを厚さ5mmで形成し、さらにその表層に前述した
製造方法(例えばスプレィコート法)により形成された
強誘電体層が厚さ36μmでコーティングされている。
この強誘電体には、予め+900Vの焦電電位が発現さ
れている。また、加圧ローラ208Bにおける加熱温度
は、強誘電体のキュリー点以下である120℃に設定さ
れている。
【0094】本実施例3によれば、定着ローラ208A
側あるいは加圧ローラ208B側のいずれか一方、また
はその双方の表面に、焦電電位が発現された強誘電体層
を形成することにより、トナー物性、モノクロ、フルカ
ラーおよび周囲環境等の要因に左右されず、さらにオイ
ルレスであっても、オフセットの発生しない良好な画像
を得ることができる。また、高圧電源を用いることな
く、高圧印加も行わないため、定着ローラ208Aと加
圧ローラ208B間のリーク対策、および安全規格を満
たすために必要な耐圧対策等を考慮する必要がない。
【0095】なお、定着ローラ208Aに形成する強誘
電体の焦電電位の下限は、低温環境下において、フルカ
ラー多層トナーにおけるオフセットを防止できる最低の
焦電電位値となる。すなわち、図8に示すように、低温
環境下においてトナーが負帯電している場合に、定着ロ
ーラ208Aの焦電電位とオフセットレベルとの関係を
検証する実験結果より、焦電電位値は、モノクロトナー
の場合には−250(V)程度であり、カラートナー
(2層)の場合には−700(V)程度であることがわ
かった。また、図8(b)に示すように、加圧ローラ2
08Bの焦電電位値は、オフセットを防止できる最低ラ
インが、モノクロトナーの場合には+500(V)程度
であり、カラートナーの場合には+900(V)である
ことがわかる。
【0096】このように、加圧ローラ208Bの焦電電
位値と比較して小さい値でオフセットを防止できるの
は、加圧ローラ208Bの焦電電位は、転写材の厚み距
離を介して、表面のトナーに力を及ぼす方法であるのに
対して、定着ローラ208Bの焦電電位を利用した方
が、微小なエアギャップのみを介するだけで力をトナー
に及ぼすことができるため、より効果的に力を発揮でき
るためである。
【0097】一方、焦電電位値の上限については、特に
制限はない。すなわち、ローラ対間のリーク対策、およ
び安全規格を満たすために必要な耐圧対策等を意識しな
くてもよく、また、定着ローラ208Aヘの転写材の巻
き付きといった問題の発生を防ぐ必要もない。これは、
転写材がプラス電位を有していても、強誘電体表面に
は、静電吸着を引き起こす電荷の蓄積はなく、たとえ電
荷が生じても、除電ブラシにより取り除かれるため、紙
のコシが失くなっているH/Hにおいても、転写材の巻
き付きが生じないためである。
【0098】発明者らの実験によれば、−1500V以
上の焦電電位を形成しても、オフセット性に関して差が
ないことが判明した。以上より、焦電電位値は+(−)
250〜+(−)1500(V)の間が適切な値と思わ
れる。なお、上限側の1500Vに関しては、これ以上
高くした場合でもオフセット性に関し変化が無く、ま
た、焦電電位を1500V以上にする場合、ポーリング
処理時に強誘電体を帯電処理するのに多大なエネルギー
を必要とするため、これ以上の焦電電位の設定は好まし
くない。
【0099】
【発明の効果】本発明に係る電子写真画像形成装置の加
熱定着装置は、上述した構成を備えているため、以下の
効果を奏することができる。
【0100】すなわち、本発明に係る電子写真画像形成
装置の加熱定着装置によれば、定着ローラあるいは加圧
ローラの少くとも一方に、強誘電体層を一部に含む層を
形成することにより、強誘電体の焦電電位を用いて、オ
フセットのない良好な画像を得ることができる。
【0101】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、定着ローラに対して、トナー
の帯電極性と同極性の焦電電位を形成することにより、
オフセットのない良好な画像を得ることができる。
【0102】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、加圧ローラに対して、トナー
の帯電極性と逆極性の焦電電位を形成することにより、
オフセットのない良好な画像を得ることができる。
【0103】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、定着ローラまたは加圧ローラ
の少なくとも一方に、電気導電性支持体層を形成するこ
とにより、強誘電体表面に付着した実電荷のリークを容
易に行うことができ、焦電電位の減衰をきたさず、オフ
セットのない良好な定着を行うことができる。
【0104】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、定着ローラまたは加圧ローラ
に設けられた電気導電性支持体を接地することにより、
強誘電体表面に付着した実電荷のリークを容易に行うこ
とができ、焦電電位の減衰をきたさず、オフセットのな
い良好な定着を行うことができる。
【0105】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、定着ローラまたは加圧ローラ
の少なくとも一方に、弾性体層を形成することにより、
ローラ対により形成されるニップを大きくすることがで
き、低い温度で良好な定着を行うことができる。
【0106】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、強誘電体層を、少なくともそ
の一部に有機系材料を含む材料で構成することにより、
低バイアスの抗電界付加により永久双極子の配向を行
い、強誘電体のポーリング特性の安定化を図ることがで
きるとともに、定着を行うに好適な経時的に安定した高
い焦電電位を得ることができる。
【0107】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、強誘電体層を、少なくともそ
の一部に無機系材料を含む材料で構成することにより、
低バイアスの抗電界付加により永久双極子の配向を行
い、強誘電体のポーリング特性の安定化を図ることがで
きるとともに、定着を行うに好適な経時的に安定した高
い焦電電位を得ることができる。
【0108】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、無機系材料として少なくとも
3成分からなるセラミクス焼結体を用いることにより、
低バイアスの抗電界付加により永久双極子の配向を行
い、強誘電体のポーリング特性の安定化を図ることがで
きるとともに、定着を行うに好適な経時的に安定した高
い焦電電位を得ることができる。
【0109】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、強誘電体層の比誘電率を10
以上とすることにより、比較的低い電界で大きな分極電
荷量を得ることができ、帯電トナーに対して静電的な反
発力(吸引力)が大きくなり、オフセット防止効果をよ
り一層高めることができる。
【0110】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、強誘電体層の体積固有抵抗率
を、1014Ω・cm以上かつ1015Ω・cm以下とする
ことにより、ポーリング特性の安定化を図ることができ
るとともに、強誘電体表面において経時的に安定した高
い焦電電位を得ることができ、長期間にわたって定着時
におけるオフセット現象を防止することができる。
【0111】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、フルカラー画像を永久定着さ
せるために使用する定着ローラの構成として、最内層に
芯金、中間層に導電性部材、最外層に強誘電体を形成す
ることにより、強誘電体の焦電電位を用いてオフセット
を防止し、フルカラー画像の定着においても、オイルレ
スで良好な定着を行うことができる。
【0112】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、フルカラー画像を永久定着さ
せるために使用する加圧ローラの構成として、最内層に
芯金、中間層に導電性部材、最外層に強誘電体を形成す
ることにより、強誘電体の焦電電位を用いてオフセット
を防止し、フルカラー画像の定着においても、オイルレ
スで良好な定着を行うことができる。
【0113】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、定着ローラまたは加圧ローラ
の中間層に設けられた導電性部材を弾性体で形成するこ
とにより、ローラ対で形成されるニップをワイド化する
ことができるため、定着温度を上げることなく低温で良
好な定着を行うことができる。
【0114】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、強誘電体の表層部分に、接地
された導電性部材を当接配置することにより、焦電電位
の発現した強誘電体の表面に不要な実電荷が付着し、焦
電電位が減衰してしまうという不都合を防止することが
できる。
【0115】すなわち、強誘電体に付着した実電荷を、
当該導電性部材によりリークすることが可能となり、こ
れにより、強誘電体の焦電電位の低減をきたさず、長期
にわたって良好なオフセットのない定着を行うことがで
きる。
【0116】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、定着ローラのコントロール温
度を強誘電体のキュリー点温度より低い温度とすること
により、強誘電体の焦電電位の低減および永久双極子の
分散をきたさず、長期にわたって良好なオフセットのな
い定着を行うことができる。
【0117】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、加圧ローラのコントロール温
度を強誘電体のキュリー点温度より低い温度とすること
により、強誘電体の焦電電位の低減および永久双極子の
分散をきたさず、長期にわたって良好なオフセットのな
い定着を行うことができる。
【0118】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、定着ローラの焦電電位の絶対
値を250V以上とすることにより、あらゆる環境下に
おいてオフセットのない良好な定着を行うことができ
る。
【0119】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、加圧ローラの焦電電位の絶対
値を500V以上とすることにより、あらゆる環境下に
おいて、オフセットのない良好な定着を行うことができ
る。
【0120】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、定着ローラの強誘電体層の層
厚を10μm以上とすることにより、オフセット防止に
必要な焦電電位の発現を行うことができる。
【0121】また、本発明に係る電子写真画像形成装置
の加熱定着装置によれば、加圧ローラの強誘電体層の層
厚を20μm以上とすることにより、オフセット防止に
必要な焦電電位の発現を行うことができる。
【0122】以上説明したように、本発明に係る電子写
真画像形成装置の加熱定着装置によれば、定着ローラあ
るいは加圧ローラの少なくとも一方に、所定の焦電電位
が発現された強誘電体層を設けることにより、トナー物
性、モノクロ、フルカラーおよび環境等の条件が変動し
ても、それぞれの状態に応じて常に効果的にオフセット
を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る加熱定着装置の概略構
成図である。
【図2】本発明の実施例2に係る加熱定着装置の概略構
成図である。
【図3】各環境、転写材の違いによるオフセットレベル
と焦電電位の関係を示す説明図である。
【図4】強誘電体に永久双極子を形成するプロセスの一
例を示す説明図である。
【図5】強誘電体の表面電位と経時変化を示すグラフで
ある。
【図6】強誘電体層の概略構成図である。
【図7】有機強誘電体素子の製造方法の一例を示す説明
図である。
【図8】LL環境におけるモノクロ、フルカラーのオフ
セット、焦電電位の関係を示す説明図である。
【図9】モノクロ画像形成装置の概略構成図である。
【図10】フルカラー画像形成装置の概略構成図であ
る。
【図11】従来の加熱定着装置(1)の概略構成図であ
る。
【図12】従来の加熱定着装置(2)の概略構成図であ
る。
【図13】従来の加熱定着装置(3)の概略構成図であ
る。
【符号の説明】
1 定着ローラ 2 加熱手段 3 離型剤塗布兼クリーニング部材 3A クリーニング材 3B ホルダ 4 加圧ローラ 4A 弾性体層 4B 芯金 5 トナー像 6 転写材 7 定着ローラ 7A 離型性層 7B 芯金 8A,B ダイオード 9 加圧ローラ 9A 離型性層 9B 導電性弾性層 9C 芯金 10 高圧電源 11 定着ローラ 11A 芯金 11B 強誘電体層 12 加圧ローラ 12A 芯金 12B 強誘電体層 12C 導電性弾性層 13 ハロゲンヒータ 14 除電ブラシ 20 導電性支持基体 21 強誘電体素子 22 帯電ローラ 23 永久双極子 24 表面実電荷 25 強誘電体層 26 導電性支持体層 27 導電性弾性体中間層 28 耐擦性部材 31 定着ローラ 31A 芯金 31B 強誘電体層 32 加圧ローラ 32A 芯金 32B 導電性弾性層 33 ハロゲンヒータ 41 除電ブラシ 51 溶液 52 メンブランフィルタ 60 スピンコータ 61 導電性基板 62 定着ローラ 63 チェック 64 カートリッジ 101 感光体 102 帯電装置 103 露光装置 104 現像装置 105 クリーニング装置 107 転写ローラ 108 加熱定着装置 108A 定着ローラ 108B 加圧ローラ 201 感光体 202 帯電装置 203 露光装置 204 現像装置 205 クリーニング装置 206 除電器 207 転写ローラ 208 加熱定着装置 208A 定着ローラ 208B 加圧ローラ 209 剥離爪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若原 史郎 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 大西 英樹 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 道正田 洋 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H030 AD04 2H033 AA09 AA11 BA13 BB04 BB08 BB14 BB15 BB29 BB30 CA26 3J103 AA02 AA21 AA51 BA03 BA41 CA01 EA11 FA18 FA19 GA02 GA56 HA03 HA04 HA12 HA20 HA42 HA52 3K058 AA00 AA45 BA18 CA12 CA23 DA02

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の回転体の間に未定着画像を担持し
    た転写材を通過させて加熱することにより、前記転写材
    に画像を永久定着させる電子写真画像形成装置の加熱定
    着装置において、 前記回転体は、加熱手段を有する定着ローラと、該定着
    ローラに押圧された加圧ローラとからなり、 前記定着ローラまたは前記定着ローラの少くとも一方に
    は、強誘電体層が形成されており、 該強誘電体層は、双極子配向処理がなされていることを
    特微とする電子写真画像形成装置の加熱定着装置。
  2. 【請求項2】 前記定着ローラには、トナーの帯電極性
    と同極性の焦電電位が形成されていることを特徴とする
    請求項1記載の電子写真画像形成装置の加熱定着装置。
  3. 【請求項3】 前記加圧ローラには、トナーの帯電極性
    と逆極性の焦電電位が形成されていることを特徴とする
    請求項1または2記載の電子写真画像形成装置の加熱定
    着装置。
  4. 【請求項4】 前記定着ローラまたは前記加圧ローラの
    少なくとも一方には、電気導電性支持体層が形成されて
    いることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1
    項記載の電子写真画像形成装置の加熱定着装置。
  5. 【請求項5】 前記電気導電性支持体層は、接地されて
    いることを特徴とする請求項3または4記載の電子写真
    画像形成装置の加熱定着装置。
  6. 【請求項6】 前記定着ローラまたは前記加圧ローラの
    少なくとも一方には、弾性体層が形成されていることを
    特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1項記載の電
    子写真画像形成装置の加熱定着装置。
  7. 【請求項7】 前記強誘電体層は、少なくともその一部
    に有機系材料を含むことを特徴とする請求項1〜6のう
    ちのいずれか1項記載の電子写真画像形成装置の加熱定
    着装置。
  8. 【請求項8】 前記強誘電体層は、少なくともその一部
    に無機系材料を含むことを特徴とする請求項1〜6のう
    ちのいずれか1項記載の電子写真画像形成装置の加熱定
    着装置。
  9. 【請求項9】 前記無機系材料は、少なくとも3成分か
    らなるセラミクス焼結体であることを特徴とする請求項
    8記載の電子写真画像形成装置の加熱定着装置。
  10. 【請求項10】 前記強誘電体層の比誘電率は、10以
    上であることを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれ
    か1項記載の電子写真画像形成装置の加熱定着装置。
  11. 【請求項11】 前記強誘電体層の体積固有抵抗率は、
    1014Ω・cm以上かつ1015Ω・cm以下であること
    を特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか1項記載
    の電子写真画像形成装置の加熱定着装置。
  12. 【請求項12】 一対の回転体の間にフルカラーの未定
    着画像を担持した転写材を通過させて加熱することによ
    り、前記転写材にフルカラー画像を永久定着させる電子
    写真画像形成装置の加熱定着装置において、 前記回転体は、加熱手段を有する定着ローラと、該定着
    ローラに押圧された加圧ローラとからなり、 前記定着ローラは、芯金からなる最内層と、導電性部材
    からなる中間層と、強誘電体からなる最外層とから構成
    されていることを特徴とする電子写真画像形成装置の加
    熱定着装置。
  13. 【請求項13】 前記加圧ローラは、芯金からなる最内
    層と、導電性部材からなる中間層と、強誘電体からなる
    最外層とから構成されていることを特徴とする請求項1
    2記載の電子写真画像形成装置の加熱定着装置。
  14. 【請求項14】 前記導電性部材は、弾性体であること
    を特徴とする請求項12または13記載の電子写真画像
    形成装置の加熱定着装置。
  15. 【請求項15】 前記強誘電体層の表層部分には、接地
    された導電性部材が当接配置されていることを特徴とす
    る請求項1〜14のうちのいずれか1項記載の電子写真
    画像形成装置の加熱定着装置。
  16. 【請求項16】 前記定着ローラの表面温度は、前記強
    誘電体層のキュリー点温度よりも低いことを特徴とする
    請求項1〜15のうちのいずれか1項記載の電子写真画
    像形成装置の加熱定着装置。
  17. 【請求項17】 前記加圧ローラの表面温度は、前記強
    誘電体層のキュリー点温度よりも低いことを特徴とする
    請求項1〜16のうちのいずれか1項記載の電子写真画
    像形成装置の加熱定着装置。
  18. 【請求項18】 前記定着ローラの焦電電位は、その絶
    対値が250V以上であることを特徴とする請求項1〜
    17のうちのいずれか1項記載の電子写真画像形成装置
    の加熱定着装置。
  19. 【請求項19】 前記加圧ローラの焦電電位は、その絶
    対値が500V以上であることを特徴とする請求項1〜
    18のうちのいずれか1項記載の電子写真画像形成装置
    の加熱定着装置。
  20. 【請求項20】 前記定着ローラの強誘電体層の層厚
    は、10μm以上であることを特徴とする請求項1〜1
    9のうちのいずれか1項記載の電子写真画像形成装置の
    加熱定着装置。
  21. 【請求項21】 前記加圧ローラの強誘電体層の層厚
    は、20μm以上であることを特徴とする請求項1〜2
    0のうちのいずれか1項記載の電子写真画像形成装置の
    加熱定着装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006084968A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Fuji Photo Film Co Ltd 定着方法および定着装置
JP2008009165A (ja) * 2006-06-29 2008-01-17 Canon Inc 定着装置及び画像形成装置

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JP2006084968A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Fuji Photo Film Co Ltd 定着方法および定着装置
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