JP2002006649A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP2002006649A
JP2002006649A JP2000183603A JP2000183603A JP2002006649A JP 2002006649 A JP2002006649 A JP 2002006649A JP 2000183603 A JP2000183603 A JP 2000183603A JP 2000183603 A JP2000183603 A JP 2000183603A JP 2002006649 A JP2002006649 A JP 2002006649A
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ferroelectric
image forming
forming apparatus
layer
transfer
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JP2000183603A
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English (en)
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Yukikazu Kamei
幸和 亀井
Tomohiro Oikawa
智博 及川
Shiro Wakahara
史郎 若原
Hideki Onishi
英樹 大西
Hiroshi Doshoda
洋 道正田
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Original Assignee
Sharp Corp
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    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/14Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for transferring a pattern to a second base
    • G03G15/16Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for transferring a pattern to a second base of a toner pattern, e.g. a powder pattern, e.g. magnetic transfer
    • G03G15/1665Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for transferring a pattern to a second base of a toner pattern, e.g. a powder pattern, e.g. magnetic transfer by introducing the second base in the nip formed by the recording member and at least one transfer member, e.g. in combination with bias or heat
    • G03G15/167Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for transferring a pattern to a second base of a toner pattern, e.g. a powder pattern, e.g. magnetic transfer by introducing the second base in the nip formed by the recording member and at least one transfer member, e.g. in combination with bias or heat at least one of the recording member or the transfer member being rotatable during the transfer
    • G03G15/1685Structure, details of the transfer member, e.g. chemical composition

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写装置にバイアスを印加することなく、感
光体上から転写材上に画像を転写でき、更には、完全オ
ゾンレス化が可能となる画像形成装置を提供する。 【解決手段】 画像形成部には、接地されたドラム状の
感光体21が配置されており、矢印方向へ回転してい
る。感光体21の周囲には、帯電装置22、露光装置2
3、現像装置24、クリーニング装置25、除電器2
6、本発明による強誘電体層が表層に形成された転写ロ
ーラー27aが配置されている。この強誘電体積層転写
ローラ27aは、接地されたアルミニウム製の芯金27
−1表面に導電性ゴム(体積固有抵抗率105Ω・cm
以下の弾性ゴムを厚さ3mmで成型してローラ状にした
もの)27−2の表層に、強誘電体層が数μm〜数十μ
mの膜厚で形成された強誘電体素子(フィルム)27−
3を被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、像担持体と対向す
る転写ローラーの表面に双極子配向(ポーリング)処理
された層、もしくは強誘電体層が形成された画像形成装
置に関し、その双極子が形成する電界によりトナー像を
転写材に転写する複写機、レーザビームプリンタ、その
他液体現像プロセス等の電子写真プロセスを用いた画像
記録装置に好適である。
【0002】
【従来の技術】複写機,レーザプリンタ等の従来の電子
写真画像形成装置を図19に示す。図19(a)におい
て、画像形成装置は、像担持体である感光体101、感
光体101への帯電を行う帯電装置102、露光による
潜像形成を行う露光装置103、トナーにより現像を行
う現像装置104、転写材108へのトナー像の転写を
行う転写装置105、転写材108上のトナー像の定着
を行う定着装置(図示せず)、感光体の除電を行う除電
装置106、感光体上の残留トナークリーニングを行う
クリーニング装置107から構成される。帯電装置10
2、現像装置104、転写装置105に対し電圧印加を
行うための電源109,110、111を設けている。
【0003】図19(b)において、感光体101上の
トナー像を転写材108上に転写する転写装置105と
して、近年は各種の接触式の転写装置の開発が行われ、
オゾンレス化、低コスト化、小型化、省電力化が進めら
れてきた。この接触式の転写装置105は、アルミニウ
ム、鉄等からなる金属製芯金105−1の表面に、電気
導電性、または絶縁性の弾性ゴム(ポリウレタン、EP
DM、シリコンゴム、NBR等)中に導電材料(イオン
導電材、カーボンブラック、金属酸化物、金属粉末、グ
ラファイト等)を分散させたチューブ状弾性体105−
2を金属製芯金105−1に被覆してローラー形状にし
たものである。このローラー(以下、転写ローラーとい
う。)を感光体101の表面に当接させた状態で金属製
芯金105−1に高電圧により+(−)500V〜+
(−)3000Vのバイアスを印加することによって、
感光体101上のトナー像を転写材108上に転移させ
ている。
【0004】また、上記以外の問題として、転写装置1
05のパッシェン放電によるオゾンの発生が挙げられ
る。接触転写装置105において、鉄、アルミニウム等
からなる芯金105−1に、導電材料(導電性フイラー
として、各種イオン導電剤、カーボンフニラツタ、金属
酸化物、金属粉、グラファイト等)を分散させた弾性ゴ
ム(シリコンゴム、ポリウレタンゴム、EPDM、NB
R等)105−2を被覆してローラー形状にしたもの
で、転写材108を介して感光体101の表面に当接状
態で芯金に電圧を印加することによって、転写材108
裏面に電位が供給されるようになっている。このように
構成される弾性ゴムの体積固有抵抗値は10 6〜1010
Ω・cmである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の転写装
置105は、転写ローラー芯金部105−1にバイアス
を印加して転写を行うので、高電圧電源111を設ける
ことが必要となり、装置のコストアップ、電源設置スペ
ース確保のための装置サイズアップ、消費電力量のアッ
プ消耗部品点数の増加等につながってしまい、近年、各
社メーカーの開発重要度が高まってきた省エネルギー
化、エコロジー化に反する結果になっている。
【0006】また、上記のように構成される従来の接触
転写装置105であると、コロナ放電方式に比較すると
オゾンの発生量は1/50程度と微量ではあるものの、
依然としてオゾンの発生がみられる。従来の接触転写装
置でオゾンが発生することについて、発明者等は鋭意検
討実験を行った。その結果、感光体の回転方向に対して
入口側のニップ部N近傍の微小ギャップEp部(図19
(b):ギャップ間距離10〜100μm程度)におい
てパッシェン放電が起こり、このパッシェン放電により
オゾンが発生していた。このオゾンは感光体等の腐蝕を
もたらし画像品位の劣化を招いたり、人体に悪影響を与
えることが知られている。
【0007】そこで、本発明は、上記課題を解決するた
めに、転写装置にバイアスを印加することなく、感光体
上から転写材上に画像を転写でき、更には、完全オゾン
レス化が可能となる画像形成装置を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、トナー像を像
担持体から転写材へ転写するための転写装置を備えた画
像形成装置において、前記転写装置は、前記像担持体に
対向して設置され、少なくとも一部に強誘電体を含む層
を有し、該強誘電体は、永久双極子配向処理されてお
り、該永久双極子が形成する電界により前記トナー像を
転写材に転写することを特徴とする。
【0009】また、前記転写装置は、電圧無印加のフロ
ーティング状態であることを特徴とする。
【0010】また、前記転写装置は、前記電気導電性支
持体上に前記強誘電体層が形成されていることを特徴と
する。
【0011】また、前記電気導電性支持体は、接地され
ていることを特徴とする。
【0012】また、前記強誘電体層の極性は、前記像担
持体上の前記トナーの帯電電位が負極であれば正極、前
記像担持体上の前記トナーの帯電電位が正極であれば負
極であることを特徴とする。
【0013】また、前記強誘電体の表面電位と前記像担
持体上のトナー部の表面電位との間に電位差が設けられ
ていることを特徴とする。
【0014】また、前記強誘電体層の層厚は、8μm以
上の厚さで形成されていることを特徴とする。
【0015】また、前記強誘電体は、少なくとも一部に
有機系材料を含むことを特徴とする。
【0016】また、前記強誘電体は、少なくとも一部に
無機系材料を含むことを特徴とする。
【0017】また、前記無機系材料は、少なくとも3成
分から構成されるセラミクス焼結体であることを特徴と
する。
【0018】また、前記強誘電体の表層部は、耐擦性を
有する部材で被覆またはコーティングされていることを
特徴とする。
【0019】また、前記強誘電体の比誘電率は、10以
上であることを特徴とする。
【0020】また、前記強誘電体の体積固有抵抗率は、
1014Ω・cm以上、1015Ω・cm以下であることを
特徴とする。
【0021】また、前記強誘電体は、キュリー点温度を
上限に加熱されると、体積固有抵抗率が1012Ω・cm
以下になることを特徴とする。
【0022】また、前記強誘電体層を加熱するための加
熱手段が近接または当接して設置されていることを特徴
とする。
【0023】また、前記転写装置の表面電位を検知する
ための電位検知手段が設けられていることを特徴とす
る。
【0024】また、前記電位検知手段の検知信号に基づ
き、前記加熱手段により前記強誘電体のキュリー点まで
加熱制御を行うことを特徴とする。
【0025】また、前記強誘電体層を除電するための除
電手段が設けられていることを特徴とする。
【0026】また、前記除電手段は、前記転写装置に当
接して設けられた導電性ブラシであることを特徴とす
る。
【0027】また、前記除電手段は、前記転写装置に当
接して設けられた導電性表面を有した導電性ローラであ
ることを特徴とする。
【0028】また、前記除電手段は、接地されているこ
とを特徴とする。
【0029】また、前記転写装置は、ローラ形状であ
り、金属製芯金表面に第1被覆層として電気導電性の弾
性ゴム、該第1被覆層表面に第2被覆層として、強誘電
体層が形成されていることを特徴とする。
【0030】また、前記転写装置は、ローラ形状であ
り、金属製芯金表面に第1被覆層として、強誘電体層が
形成されていることを特徴とする。
【0031】前記金属製芯金は、強誘電体層との接着面
がアルマイト処理を施されたアルミニウム製芯金である
ことを特徴とする。
【0032】また、前記転写装置は、前記強誘電体層の
表層部分に、耐擦性を有する部材が被覆、またはコーテ
ィングされていることを特徴とする。
【0033】また、前記転写装置の前記強誘電体層にお
ける表面電位は、双極子配向処理により+200V〜+
1600Vの間で均一に帯電されていることを特徴とす
る。
【0034】本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、像
担持体である感光体の表面に形成されたトナー像を感光
体から転写材(紙)へ転写するための転写装置におい
て、転写材を介して感光体と圧接する表層部に双極子配
向(ポーリング)処理された層、例えば本発明では強誘
電体層を形成することにより、感光体に付着した帯電ト
ナーを本発明による転写ローラーの双極子が形成した電
界の作用によって、トナー像を転写材に転移させ、記録
画像を得ることに成功し、このような新規転写プロセス
に用いる好適な転写ローラーの発明を行うことができ
た。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明に係る画像装置の実施の形
態について、以下に詳しく述べる。この画像装置は、基
本的には従来の構成とほぼ同じであるが、転写装置はバ
イアス印加のための電源を必要としない。以下に、この
転写装置について説明する。
【0036】この転写装置は、従来同様に転写ローラー
で構成され、その表面には、強誘電体層が形成されてい
る。強誘電体層内の構成分子は永久双極子であり、自発
分極性を有している。この自発分極の形成機構に基づき
分類すると、規則不規則型と変位型に大別される。
【0037】規則不規則型は、その双極子配向の規則性
の変化により、強誘電相や常誘電相ができるものをい
う。強誘電相では、隣り合う永久双極子が双極子モーメ
ントを打ち消し合わないように規則的に配回するため自
発分極を持つに至る。一方、常誘電相では、双極子の配
向が不規則になり、互いの双極子モーメントを打ち消し
てしまうため無極性となる。このような双極子配向は、
何らかの協同効果により隣り合う双極子が互いに平行に
なろうとする力とエントロピー的に不規則になる力の程
度によって定まる。
【0038】有機系材料であるフッ化ビニリデン系ポリ
マー、その他、分子間水素結合を有する樹脂中にアミノ
基及びカルボニル基、シアノ基、又はチオカルボニル基
を有する有機化合物を有する樹脂、当該樹脂においてア
ミノ基及びカルボニル基、シアノ基、又はチオカルボニ
ル基(以下、官能基という)は、主鎖部分に存在しても
よく、側鎖部分に存在してもよい。また、これらの官能
基を有する樹脂の内の一群の官能基を有する樹脂でもよ
く、また二群以上の官能基が存在する樹脂でも良い。
【0039】有機強誘電体層を形成する具体的な材料と
しては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビ
ニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体、ポリフ
ッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共重合体、炭
素原子数が奇数である炭化水素鎖を有するポリアミド、
炭素原子数が奇数である炭化水素鎖を有するポリウレタ
ン、炭素原子数が奇数である炭化水素鎖を有するポリウ
レア、炭素原子数が奇数である炭化水素鎖を有するポリ
チオユリア、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ア
クリロニトリルとメチルメタアクリレートの共重合体、
アクリロニトリルとアリルシアナイドの共重合体、ポリ
ビニルトリフルオロアセテート、ポリエーテルニトリル
等が挙げられる。
【0040】また、変位型は各イオンが正、負電荷の中
心が一致する位置より微小距離だけ変位することにより
自発分極を持ち、この変位は単位包の大きさに比して小
さい。常誘電相では正負イオンの中心が一致するため無
極性になる。このようなイオンの変位は転移点以下で双
極子間のクーロン力による長距離相互作用によって生ず
るもので、無機系の酸化物材料である強誘電体として、
一般式[(Bi22 2+(XY272-](式中、Xは
Sr,Pb又は、Na0.50.5を表し、YはTa又はN
bを表す)又は、一般式[XnBi4Tin+33n+12
(式中、XはSr,Pb,Ba又は,Na0.50.5を表
し、nは1又2を表す)具体的にはチタン酸バリウム
等、がこれに属する。
【0041】これら焦電性、自発性分極性、分極反転性
を有した強誘電体に抗電界(Coercive fie
ld:即ち分極処理が可能となるある一定以上の外部電
界強度を意味し、強誘電体の構成ポリマー、組成、結晶
化度、膜厚、周囲雰囲気温度等によって異なる)以上の
電圧を印加[接触(ローラー帯電法)、非接触(コロナ
帯電法)のどちらでも可]することにより、この永久双
極子を一方向に揃える。これを双極子配向処理(以下、
ポーリング処理と呼ぶ)という。このポーリング処理が
なされると、次に抗電界以上の電圧が外部より付与され
なければ、半永久的に同一方向、同電位にて電位保持さ
れる。
【0042】更に、この強誘電体素子中のポーリングさ
れた永久双極子を表面焦電電位として発現させるため
に、強誘電体素子表面全体をある特定温度(強誘電体の
構成ポリマーにより異なるが、本発明においてはキュリ
ー点温度(140℃)以下である100℃前後が望まし
い)に加熱する。その後、室温に冷却すれば、強誘電体
素子表面に永久双極子の分極電荷に起因する表面電位が
検出される。
【0043】以上のプロセスを図1の〜を用いて更
に詳細に説明する。 導電性支持基体1上に形成した強誘電体素子2を正
極に帯電させるため、負極にのバイアス(−2000V
程度)を印加した帯電ローラー3を用いて接触帯電させ
る(ポーリング処理)。この後、強誘電体素子表面の実
電荷が分極電荷を中和しているため、強誘電体上のみか
けの表面電位は中和されて小さい値を示している。 強誘電体素子2全面を加熱手段により100℃にて
加熱する。この加熱により、永久双極子4の配向が一部
崩れ、永久双極子4の大きさがみかけ上、小さくなる。 一部配向の崩れた永久双極子4の分極電荷とバラン
スしない表面実電荷5が、強誘電体素子2の加熱作用に
よる体積固有抵抗の低下(常温1014〜1015Ω・cm
が100℃加熱により1012Ω・cm以下となる。)に
伴って、リークさせることができる。 これを、室温にまで冷却することにより永久双極子
4は、もとのポーリング状態に復帰するが、強誘電体素
子2の表面の実電荷はリークし相殺されているため、も
はや永久双極子4とはバランスせず、永久双極子4に起
因した任意の表面電位が発現する。
【0044】本出願人が実験したところ、強誘電体素子
2の膜厚を40μmで形成することにより、+1000
Vの表面電位が得られた。この表面電位は、帯電条件、
強誘電体の材質、膜厚等のパラメータにより任意に調整
可能である。
【0045】以上のプロセスにより得られた強誘電体を
放置して、その表面電位と経時変化を求めた結果を図2
に示す。この図2より、2年間という長期の間、常温状
態で放置したにもかかわらず、その表面電位を測定した
結果、2年後においても38V程度の減衰しか認められ
ない。これを用いて転写テストを行ったが、良好な画像
が得られ実使用上殆ど問題が無いということが判明し
た。
【0046】この任意の表面電位が発現した強誘電体素
子2をローラー状の導電性支持基体1上に形成し転写ロ
ーラーとして用い、トナー像を保持した感光体上の電位
との間で電位差を設け、係る電位差を利用して、トナー
像を転写材上に静電転写できることが実験により確認さ
れた。このプロセスの大きな特徴としては、強誘電体素
子に発現した表面電位は半永久的に保持されるものであ
り、結果として転写ローラーには高電圧電源を設ける必
要がなく、外部からの電圧付与を一切必要せずに良好な
転写が行われることである。
【0047】また、本プロセスを用いる優位性が次の点
においても確認された。即ち、強誘電体素子の常温にお
ける体積固有抵抗率は、1014〜1015Ω・cmと高抵
抗であるため、転写ニップEgの入口近傍の微小ギャッ
プ部においてパッシェン放電は起きず、オゾンは全く発
生しない。
【0048】また、上記プロセスにより得られた+10
00Vの表面電位を有した強誘電体層を転写ローラとし
て加工し、画像形成装置の中に当該転写ローラを設置し
評価を行った。まず、転写ローラ表面の減衰実験におい
ては、−600Vで均一に帯電された感光体に当該転写
ローラを当接して回転駆動させ、その時の当該転写ロー
ラ表面電位の経時変化を求めた結果を図3に示す。
【0049】この図3より、8時間の連続回転駆動によ
り当該転写ローラの表面電位は約240V程度減衰する
ということが判明し、更に、その時に当該転写ローラを
加熱手段により、加熱することにより当該転写ローラの
表面電位を元の電位に復帰できることを確認した。この
時の加熱温度は、キュリー点温度以下の100℃で加熱
した。しかし、強誘電体への加熱形態(内部加熱あるい
は外部加熱)により、感光体の熱ダメージ等を考慮すれ
ば更に低い温度で加熱した方が良い場合もあり、特に限
定されるものではなく強誘電体の加熱形態に鑑み適宜設
定すればよい。
【0050】前述のように、本発明の画像形成装置で用
いる転写装置は、強誘電体層2と導電性支持基体1から
成り、図4に示すように、強誘電体層2と導電性支持体
基体1は、密着した状態でもよく(図4(a))、ま
た、強誘電体層2と支持基体1の間に中間層6を設けて
も良く(図4(b))、強誘電体層の表層部分を耐擦性
部材7(ポリエステル、テフロン、ナイロン樹脂等)で
被覆するか、ポリメチルアチラール、ポリメフグリサン
メチル等の有機性粉末を揮発性溶剤に溶かした後、この
溶媒をコーティング剤として用いスプレー等によりコー
ティングすれば更に良い(図4(c))。
【0051】強誘電体層2に用いたものとして好適なも
のを下記に記す。有機系の強誘電体として、ポリフッ化
ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体[P
(VDF−TeFE)]を、ポリフッ化ビニリデンの分
率が0〜100mol%(実験の結果、80mol%の
場合が最も好適であった)で調整したもの、及びポリフ
ッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共重合体[P
(VDF−TrFE)をポリフッ化ビニリデンの分率を
同様に0〜100mol%で調整したものを用い、無機
系強誘電体としては、3成分から構成されるセラミクス
焼結体である、チタン酸ビスマスストロンチウム(Sr
Bi4Ti415)を用いる。しかし、基本的には、帯電
ローラー、帯電ブラシまたはコロナ帯電器等によって抗
電界以上の電界を付与された時に、強誘電体中に永久双
極子によるポーリング現象が行われ、更に、加熱手段に
よりキュリー点以下の特定温度で加熱されることにより
表面に焦電電位が発現される特性を有したものであれば
何でもよく、特に限定されるものではない。
【0052】次に、導電性支持基体1であるが、必要な
機械的強度を有し、かつ、導電性を有するものであれば
良く、その材質は特に限定するものではない。加工性や
形状安定性、強誘電体素子の接着性等の面から、例えば
アルマイト(Al23)処理が施されたアルミニウム等
の金属、導電性ポリマーやカーボンブラック等の導電性
無機物、内部にカーボンブラック、金属酸化物、金属
粉、イオン導電剤、グラファイト等の導電剤を加硫成型
時に充填された導電性ゴム等であればよい。
【0053】<有機強誘電体素子の製造方法>有機強誘
電体素子の製造方法であるが大別すると、3つの方法が
あり下記に記す。 導電性を有する支持体層を形成した後、支持体層上に
有機強誘電体層を形成する方法 有機強誘電体層を形成した後、有機強誘電体層上に導
電性を有する支持体を形成する方法 有機強誘電体層と導電性支持体層を別々に形成した
後、両者を導電性接着剤等により貼り合わせる方法
【0054】本発明による有機系強誘電体素子は基本的
には、上記の製造方法をとっており、具体的には以下
に示す。但し、この製造方法に限定されるものではな
く、本発明による画像形成装置に用いる転写装置の形
状、強誘電体素子の膜原形成条件等によって、最適な製
造方法を任意に選択すれば良い。即ち、転写装置がロー
ラ状もしくはプレード状のものであれば、後述するディ
ッピング法が望ましく、ベルト状のものであればロール
コート法、スプレーコート法が望ましい。
【0055】本発明による強誘電体転写ローラーの製造
方法の一例を図5に示す。図5は、スプレーコート法を
用いた製造方法例であり、この製造方法に限定されるも
のではなく、強誘電体素子の膜原形成条件等によって、
最適な製造方法を任意に選択すればよい。
【0056】強誘電体転写ローラーの製法であるが、具
体的には以下の方法で製造する。まず、ゴム組成部の構
成材料を混練機にて混練し、押し出し成形機にてチュー
ブ状に成形し、該チューブの内径部に接着剤の塗布され
た金属製芯金を挿入する。そして円筒形金型に挿入し、
加硫作業を行う。この時、加流と同時にカーボンブラッ
ク等からなる導電性フイラー、その他必要に応じてアゾ
ジカルポンアミド等からなる発泡剤、充填剤を混入し、
アスカーC硬度が20〜60度、体積抵抗率が106Ω
・cm以下の範囲内にある弾性体を生成する。加流終了
後、本工程により、弾性ゴムローラーを得ることができ
るが、得られた弾性ゴムローラーがソリッド体ではな
く、スポンジ体の場合は表面に発泡の無いスキン層を備
えたローラーであることが望ましい。
【0057】次に、この弾性ゴムローラー13を図5に
示すアセトン蒸気を満たした雰囲気中に置かれた回転治
具14に取り付ける。次に、有機強誘電体層を構成する
材料(本究明では、ポリフッ化ビニリデンとテトラフル
オロエチレン又はトリフルオロエチレンを特定mol比
により混合させた共重合体)を、アセトン溶液等の溶媒
中に溶解し、その溶液10をスプレーガンが備わった容
器11に充填する。このスプレーガン15が備わった容
器11は内部にφ5μmの空孔をもつメンブランフィル
ター12が設置され、メンブランフィルター12を介し
て窒素ガス等の高圧ガスで加圧濾過及び噴霧される。ス
プレーガン15は、弾性ゴムローラー13の軸方向に沿
って移動しながら、回転治具14にセットされ所定の回
転数で回転駆動されている弾性ゴムローラー13の表面
に均一に溶液10を噴霧塗布する。
【0058】塗布終了後、加熱炉(YamatoDN6
4恒温槽)にて133℃、1時間で熱処理が行われる。
この熱処理の意味合いとしては、本製造方法で得られた
強誘電体素子は、結晶部分と非結晶部分が混在する複雑
な高次構造からなり、このままで用いると、結晶化度が
低すぎて強誘電性を得ることができない。しかし、この
熱処理を行うことにより、結晶化度が飛躍的に高めら
れ、強誘電性が得られる。この熱処理温度は、強誘電体
ポリマーの融点(Tm)とキュリー点(Tc)の間の温
度で行えばよい。上記のように133℃にて1時間の熱
処理を行ったが、この条件に限られるものではなく、使
用する強誘電体ポリマーに適した温度、加熱時間に調整
して行えばよい。
【0059】強誘電体の膜厚の制御方法としては、回転
治具14の回転数を制御する、溶液10の噴霧量の調整
を行う。噴霧時間の調整等により強誘電体の膜厚は、如
何様にも調整することが可能である。実験においては、
強誘電体層の必要膜厚は、ポーリング後の帯電電位との
関係で略40μm必要であった。
【0060】上記以外の製造方法としては、例えば、有
機強誘電体層を形成するモノマー材料を真空中で蒸発さ
せ、転写ローラー表面上で重合し、製作する方法や前記
モノマー材料を溶媒中に溶解し、その溶液をディッピン
グ法、バーコート法、ロールコート法等により前記転写
ローラー表面上に塗布し、その後、加熱溶融し、急冷
し、製作する方法、強誘電体ポリマー溶液を蒸着法、ス
パッタ法等により堆積する方法等が挙げられる。
【0061】本実施形態による製造方法の他の例を図6
に示す。図6において有機強誘電体層を構成する材料
(本発明では、ポリフッ化ピニリデンとテトラフルオロ
エチレン又はトリフルオロエチレンを特定mol比によ
り混合させた共重合体)を、アセトン溶液等の溶媒中に
溶解し、その溶液10をφ5μmの空孔をもつメンブラ
ンフィルター12を用いて窒素ガスで加圧渡過した後、
アセトン蒸気を満たした雰囲気中に置かれたスピンコー
タ16(マニュアルスピナーASS−300:ABI−
E社製)により450rpm程度の回転数で、円板状の
回転板に固定された導電性基板17(これは転写装置と
して好適な任意の形状でよく、本発明においては可とう
性合成樹脂からなるフィルムにカーボンブラック等の導
電剤を分散したもの、もしくは合成樹脂ベルトにカーボ
ンブラック等の導電剤を分散したもの等)上に、滴下さ
せ、遠心力により回転塗布した後、加熱炉(Yamat
oDN64恒温槽)にて133℃、1時間で熱処理を行
った。
【0062】この熱処理の意味合いとしては、本製造方
法で得られた強誘電体素子は、結晶部分と非結晶部分が
混在する複雑な次構造からなり、このままで用いると、
結晶化度が低すぎて強誘電性を得ることができない。し
かし、この熱処理を行うことにより、結晶化度が飛躍的
に高められ、強誘電性が得られる。この熱処理温度は、
強誘電体ポリマーの融点(Tm)とキュリー点(Tc)
の間の温度で行えばよい。本実施形態では、133℃に
て1時間の熱処理を行ったが、この条件は、使用する強
誘電体ポリマーに適した温度、加熱時間に調整して行え
ばよい。
【0063】スピンコータ16を用いた理由として、強
誘電体の膜厚の制御が容易であったことが挙げられる。
即ち、スピンコータ16の回転数を制御することにより
強誘電体の膜厚は、如何様にも調整することが可能であ
る。本発明による強誘電体層の必要膜厚は、ポーリング
後の帯電電位との関係で略40μm必要であったが、こ
の膜厚を得るために、スピンコータ16の回転数を略4
50rpmに設定することにより所望の膜厚を形成する
ことができた。更に厚く製膜するのであれば、スピンコ
ータ16の回転数をダウンさせれば良いし、逆にサブミ
クロンオーダーで薄くしたいのであれば回転数をアップ
させれば良い。
【0064】上記以外の製造方法としては、の製造方
法によれば、例えば、有機強誘電体層を形成するモノマ
ー材料を真空中で蒸発させ、導電性支持体層上で重合
し、製作する方法や前記モノマー材料を溶媒中に溶解
し、その溶液をディッピング法、バーコート法、スピン
コート法、ロールコート法、スプレーコート法等により
前記導電性支持体層上に塗布し、その後、加熱溶融し、
急冷し、製作する方法、強誘電体ポリマー溶液を蒸着
法、スパッタ法等により堆積する方法等が挙げられる。
【0065】前記導電性支持体層は、金属や導電性有機
物等をそのまま用いてもよく、また、導電性プラスチッ
ク、導電性ゴム、その他絶縁性基体中に、導電性物質を
分散させて導電性を付加したものであって、導電性を有
し、機械的強度を有するものであれば何でも良い。
【0066】また、前述したの製造方法によれば、例
えば、有機強誘電体を構成する材料を、溶媒に溶解し、
その溶液をディッピング法、バーコート法、ロールコー
ト法、スプレーコート法、スピンコート法、もしくは前
述した蒸着法、スバッタ法等により基板上に塗布または
堆積した後、加熱溶融、急冷し、塗膜を基板より剥離
し、必要に応じて延伸、加熱等の強誘電性発現のための
処理を行い膜化する方法や有機強誘電体層を構成する材
料を加熱溶融しながら加圧して膜化した後、急冷し、必
要に応じて、延伸、加熱等の強誘電性発現のための処理
を行い膜化する方法等が挙げられる。また、導電性支持
体層は、前記有機強誘電体層上に、導電性を有する物質
を塗布、蒸着あるいはイオンコート等により形成する方
法により製造することができる。
【0067】前述したの製造方法によれば、上記の
製造方法により得られた強誘電性体層と金属や導電性有
機物等の基材を導電性を有する接着剤を用いて密着して
もよい。
【0068】<無機強誘電体素子の製造方法>無機強誘
電体素子の製造方法であるが大別すると、2つの方法が
ある。 導電性を有する支持体層を形成した後、支持体層上
に無機強誘電体層を形成する方法 無機強誘電体層と導電性支持体層を別々に形成した
後、両者を貼り合わせる方法 本実施形態による無機強誘電体素子は基本的には、上記
の製造方法をとっており、具体的には以下に示す。但
し、この方法に限定されるものではない。
【0069】本発明による無機強誘電体素子の製造方法
の一例を以下に記す。まず、炭酸ストロンチウム(Sr
C03)0.763g、酸化チタン(TiO2)1.65
2g及び三酸化ビスマス(Bi23)4.818gを充
分に混合した後、この混合物を電気炉を用いて890℃
で1時間焼結する。焼結後の混合物を乳鉢を用いて粉砕
して、粉末状のSrBi4Ti415が得られる。このよ
うにして得たSrBi4Ti415の粉末50%、ポリビ
ニルアチラール(積水化学社製の「エスレックBX−
L」)2.5%及びメチルエチルケトン47.5%から
成る混合物をボールミリングにより1時間分散混合し
た。これにより得た分散混合液を、導電性基板(白金
等)上に乾燥後の膜厚が40μmと成るように、バーコ
ーターを用いて塗布した後、60℃で3時間加熱乾燥さ
せ、さらに、1000℃〜1200℃で焼結させて、強
誘電体層を形成することにより、強誘電体素子を得るこ
とができる。
【0070】また、上記以外の方法としては、の製造
方法によれば、例えば、強誘電体材料、樹脂及び溶剤を
混合溶解させ、この混合溶液を、ディッピング法、ロー
ルコート法、スプレーコート法、スピンコート法等によ
り導電性基板上に塗布した後、溶媒を除去して強誘電体
層を形成する方法、ヨウ素を添加したアセトン溶液中に
強誘電体粒子を分散させ電着法により膜化して強誘電体
層とする方法、支持体層上に、マグネトロンスパッタリ
ング法、レーザーアプレーション法、化学蒸着法の1種
である無機金属錯体分解法(MOCVD法)あるいはゾ
ルゲル法等により強誘電体を積層する方法、等が挙げら
れる。
【0071】上記の方法としては、固相反応等により
強誘電体膜を作製した後、導電性を有する接着剤を用い
て支持体層と密着させて製作する方法等が挙げられる。
強誘電体層の形成に樹脂を使用する場合の樹脂材料とし
ては、例えば、ポリビニルアチラール、ポリエステル、
ポリカーボネート、エボキシ樹脂、ポリメチルメタアク
リレート等が挙げられる。強誘電体層を形成する混合溶
液に用いる溶剤は、無機系の酸化物強誘電体を変質させ
ない溶剤であって、上記樹脂材料を溶解あるいは分散し
得る溶剤であれば良く、そのような溶剤としては、例え
ば、ケトン系溶剤、塩素系溶剤、芳香族系極性溶剤等が
挙げられる。
【0072】以上のように、上述した様々の製造方法に
より得られた強誘電体素子(フィルム状か、望ましくは
シームレスチューブ状)をローラ状の支持基体に沿って
被覆、または接着する等の処理を行い、転写ローラを形
成した。その後、前述したローラ接触帯電等によるポー
リング処理、加熱処理を施し、所望の焦電電位の発現を
行えばよい。尚、このプロセスは逆の場合でも良く、つ
まり、あらかじめ所望の焦電電位が発現された強誘電体
素子をローラ状支持基体に後から被覆または接着して
も、性能上何ら問題ない。
【0073】強誘電体素子の帯電方法であるが、高電圧
が印加された導電性ゴムローラーを強誘電体層に接触さ
せ、抵抗値105〜109Ω・cm程度の導電性ゴムロー
ラーに数百ボルト以上の電圧を印加して帯電させる方
法、抵抗値103〜105Ω・cmの細い繊維状の線材を
導電性ローラ表面にブラシ状に取り付けて接触性を高め
帯電させる方法、コロナ帯電器を用いパルスコロナを付
加して帯電する方法が挙げられる。また、加熱方法とし
ては、キセノンランプ、ハロゲンランプ等により加熱照
射する方法、面状発熱体等で接触加熱する方法、高出力
レーザーによる加熱、ヒートローラで接触加熱する方法
等が挙げられる。
【0074】
【実施例】以下、図面に沿って、本発明の実施例につい
て説明する。 <実施例1>本発明に係る画像形成装置の実施例1の基
本構成を図7に示す。図7(a)において、画像形成部
には、接地されたドラム状の感光体21(外径φ30m
m)が配置されており、矢印方向へ回転している。感光
体21の周囲には、帯電装置22、露光装置23、現像
装置24、クリーニング装置25、除電器26、本発明
による強誘電体層が表層に形成された転写ローラー27
a(外径φ18mm)が配置されている。ここで、転写
装置27aは、ローラー形状であるが、ベルト形状また
はブレード形状でもよい。
【0075】帯電装置22により、ある特定電位(本発
明では−600V)に一様に帯電された感光体21上に
露光装置23により、画像情報に応じた静電潜像を形成
する。静電潜像部分の帯電電位は略0Vにて減衰してお
り、その上に現像装置24により負極で帯電されたトナ
ーが静電的に付着して現像される。像形成後のトナー像
部分の帯電電位は−200Vである。
【0076】図7(b)に示すように、この強誘電体積
層転写ローラ27aは、接地されたアルミニウム製の芯
金27−1表面に導電性ゴム(体積固有抵抗率105Ω
・cm以下の弾性ゴムを厚さ3mmで成型してローラ状
にしたもの)27−2の表層に前述の様々な製造方法で
得た、強誘電体層が数μm〜数十μmの膜厚で形成され
た強誘電体素子(フィルム)27−3を被覆したものを
用いた。この転写ローラ27a表面は、ポーリング処
理、加熱処理により+数百V〜+数千Vにて一様に焦電
電位が発現、保持されている。この転写ローラ27aを
感光体表面に対して1000g/cm2以下になるよう
にスプリング18により付勢し、感光体21の回転と従
動で回転させ転写材29を転写ニップ部Nで搬送するこ
とにより、感光体21上のトナーを転写材29上に転移
させる。
【0077】トナーの転移のメカニズムを簡単に説明す
る。まず、強誘電体層上の分極電荷量Qに関して、強誘
電体の膜厚d、強誘電体の比誘電率ε、表面焦電電位V
との関係式に記す。この関係式は、感光体21において
も適用される。即ち、Qは帯電電荷量、Vは表面電位、
εは感光体の比誘電率、dは感光体膜厚である。
【0078】
【数1】
【0079】上記式より強誘電体は比誘電率(e)が大
きい(1000以下)ため、比較的小さい電圧(V)に
おいても大きな分極電荷量(Q)を形成できる。更に、
大きい電圧(V)にて帯電させることにより過大な分極
電荷量が容易に形成できる。一方感光体の場合は、比誘
電率はOPC感光体で3、a−Si感光体でも12前後
と小さく、強誘電体と同電位の場合においても、相対的
な電荷量は小さい。
【0080】また、感光体21の場合、耐電圧において
制限がある(通常3kV迄)ため、形成できる電荷量に
も上限がある。従って、一般に強誘電体を用いた場合、
感光体21上に形成された電荷量より、遥かに高い分極
電荷量を容易に形成できるため、外部に張り出す電界も
大きく、感光体21のトナー像担持力よりも遥かに大き
な、任意の静電吸着力を容易に付与しうる電界を形成で
きる。
【0081】この画像形成装置を用いて、ポーリング処
理、加熱処理により、正極性に焦電した強誘電体素子を
用いることにより、負極性に帯電したトナーを双極子に
より形成した電界により静電吸着するための原理実験を
行った。その結果としては、強誘電体の焦電電位が+1
000Vの時、最も良好な転写が行われ、この時の強誘
電体の膜厚は40μmであった。強誘電体の焦電電位
は、強誘電体を形成する材質により一若干異なるが、そ
の膜厚に正比例し、通常膜厚1μmで25Vの焦電電位
が得られる。
【0082】尚、この時の結果としては、転写効率9
4.6%、転写後の画像濃度はID=1.2、オゾン発
生量は0という良好な結果が得られた。また、転写ロー
ラ27と感光体21とのニップ部Nの微小ギャップ部に
おいて、パッシェン放電が起きないことは、先述したと
おりだが、今回の実験においては、微小ギャップ部にお
いてパッシェン放電が起きないことにより、従来発生し
ていたトナーの転写材への転移(トナー飛散現象)が認
められず、従って、ドット再現性の優れた、トナー飛散
の少ない高画質の画像が形成できることが判明した。
【0083】以下の表1に、今回の実験により得られた
結果をまとめる。
【0084】
【表1】
【0085】転写効率の測定としては、まず、空の状態
の吸引容器の重量を電子天秤(AT261 Delta
Range METTLER TOLEDO社製)で
測定し、その後、転写材29上に転移したトナーを吸引
機により吸引容器中に吸塵して、吸塵後の重量を再度電
子天秤で測定する。 {吸塵後の吸引容器重量(a)}−{空の状態の吸引容
器重量(b)}={転写材上に転移したトナーの重量
(c)} である。
【0086】同様に、空の状態の吸引容器の重量を電子
天秤で測定し、その後、感光体21上の残トナーを吸塵
する。 {吸塵後の吸引容器重量(d)}−{空の状態の吸引容
器重量(b)}={転材上に転写したトナーの重量
(e)} である。この時、現像装置24により感光体21上に現
像されたトナーの総重量は(c+e)mgであり、転写
効率は下記で求めることができる。
【0087】
【数2】
【0088】画像濃度の測定としては、938 Spe
ctro Densitometer(X−Rite社
製)を用いた。
【0089】トナー飛散面積の求め方としては、下記式
を用いた。 (BG部における1cm2当たりのトナー飛散面積の総
和)×100/1cm2=トナー飛散面積率 とし、トナー飛散面積率が5%以下の場合において目視
評価で良好であった。尚、トナー飛散面積率を算出する
にあたり用いた画像評価装置としては、画像処理ボード
としてスペクトラム(II)(三谷商事)、ポストマシー
ンとしてNECPC−9821AP2、拡大顕微鏡とし
てマイクロウォッチャーVS−20Fを使用した。
【0090】オゾン量の測定としては、オゾンモニター
OZM−7000G−3型(柴田器械工業(株)製)を
用いた。まず、測定方法であるが、大気中に含まれる微
量オゾンを計測する。続いて、それぞれの電位で焦電し
た強誘電体積層転写ローラを感光体に圧接し、30分間
空転させる。その時に検出された、オゾン量を計測し
た。
【0091】<実施例2>本発明に係る画像形成装置の
実施例2の基本構成を図8に示す。図8において、転写
ローラ27bは、鉄、アルミニウム等の金属製の芯金2
7−1表面に強誘電体層が数μm〜数十μmの膜厚で形
成された強誘電体素子27−3(フィルム)を被覆した
ものを用いた。
【0092】<実施例3>本発明に係る画像形成装置の
実施例3の基本構成を図9に示す。図9において、転写
ローラ27cは、鉄、アルミニウム等の金属製の芯金2
7−1表面に強誘電体層27−4が数μm〜数十μmの
膜厚でコーティングされたものを用いた。
【0093】<実施例4>本発明に係る画像形成装置の
実施例4の基本構成を図10に示す。図10において転
写ローラ27dは、アルミニウム製の芯金27−1表面
に導電性ゴム27−2(体積固有抵抗率105Ω・cm
以下の弾性ゴムを厚さ3mmで成型してローラ状にした
もの)を被覆し、その表層に前述の様々な製造方法で得
た、強誘電体層が数μm〜数十μmの膜厚で形成された
強誘電体素子27−3(フィルム)を被覆し、更に前記
強誘電体素子27−3上の表層部分を耐擦性部材27−
5(ポリエステル、テフロン(登録商標)、ナイロン樹
脂等)で被覆またはポリメチルアチラール、ポリメフグ
リサンメチル等の有機性粉末を揮発性溶剤に溶かした
後、この溶媒をコーティング剤として用いスプレー等に
よりコーティングしたものを用いた。以上、実施例2〜
4も、実施例1と同様に、高画質の画像が形成できるこ
とが確認できた。
【0094】<実施例5>本発明に係る画像形成装置の
実施例5の基本構成を図11に示す。図11に示すよう
に、画像形成部の基本構造は、ほぼ図7と同様であるの
で、同一部分には同一符号を付す。この画像形成部が図
7と異なるのは、転写ローラ27a周りの構成である。
すなわち、転写ローラ27aに近接して、強誘電体素子
17−3の表面電位を検知するための表面電位検知手段
32、転写ローラ27aに当接して強誘電体素子27−
3を加熱するための面状発熱体34及び面状発熱体34
に電力を供給するための電源33が設けられている。
【0095】また、強誘電体27−3の表面電位の経時
変化を表面電位検知手段32によりモニターし、表面電
位検知手段32により検知された値が初期値である+1
000Vから印字不良発生電位近傍の+900Vを閾値
として、これを下回った場合において、面状発熱体18
で強誘電体層27−3の表面が100℃になるように加
熱する。これにより強誘電体27−3の表面の不要な実
電荷がリークできるため、初期の+1000Vの電位が
再発現される。
【0096】ここで面状発熱体18により加熱を必要と
する表面電位の閾値設定は次のように行った。まず、転
写ローラ27aの焦電電位と転写効率の関係を求め、転
写効率が85%以下となる時の焦電電位を印字不良発生
電位と位置付け、環境、紙種等の条件変動を考慮しマー
ジンをとって、転写効率で90%以上をクリアーできる
表面電位を閾値として設定した。
【0097】図12は転写ローラ27aに形成された強
誘電体素子27−3を面状発熱体34により加熱制御す
るための電気的構成を示すブロック図である。図11に
示した画像形成装置の転写ローラ27aは、図12に示
すコントロールユニット50により制御される。このコ
ントロールユニット50は、制御切換手段51、RAM
52、駆動制御手段53から構成される。
【0098】表面電位検知手段32で検知された信号
は、制御切換手段53に送られる。制御切換手段51
は、RAM52から予め記憶させた閾値電位を読み出
し、この閾値以下のときに、駆動制御手段52に電源3
3を駆動するように、制御信号を送る。駆動制御手段5
3により駆動された電源33は、面状発熱体34を加熱
する。転写ローラ27aは回転駆動されながら、面状発
熱体34により、強誘電体素子27−3の表面が100
℃になるように加熱される。
【0099】図13は、実施例5の画像形成装置の全体
の動作を説明するフローチャートである。画像形成装置
は、主電源が投入されると、コピー操作が行われるまで
待機する。コピー操作が行われると、動作をスタートさ
せ、ステップS2において、画像形成に係わる各プロセ
スに係わる装置が起動される。ステップS3では給紙ロ
ーラー(図示無し)が駆動されて給紙ユニット(図示無
し)から記録紙の給送が開始さる。ステップS4では、
転写ローラ27aの表面電位が表面電位検知手段32に
より検知され、その値が閾値以上である場合は、制御切
換手段51は、駆動制御手段53に電源33を駆動させ
ず、ステップS7に移行し、転写材29にトナー像の転
写が行われる。
【0100】上記ステップS4において、転写ローラ2
7aの表面電位が検知され、検知された値が閾値以下で
ある場合は、ステップS5に移行し、面状発熱体34の
電源33を駆動制御するための駆動制御手段53によ
り、面状発熱体34は駆動され、転写ローラ27aを回
転駆動しながら表面に形成された強誘電体素子27−3
を100℃で加熱する。転写ローラ27aの表面電位が
初期値に復帰した後、ステップS7に移行し、転写材2
9にトナー像の転写が行われる。
【0101】ステップS8では、定着装置(図示無し)
の定着ローラが駆動され、未定着像が形成された転写材
29が給送され、未定着画像の定着を行う。ステップS
9では排紙ローラー(図示無し)の駆動が開始され、排
紙ローラにより、最終画像が形成された転写材は装置の
排紙トレイ部に給送される。ステップ10で、画像形成
部の各部を停止する。
【0102】本発明による画像形成装置を用いて、トナ
ー像を複数枚の転写材上に連続的に転写する実験を行っ
た。実験は、強誘電体を加熱手段により加熱しなかった
場合と加熱手段により加熱した場合とに分け、両者より
得られた画像を比較した。結果としては、前者の場合
で、連続印字枚数約7400枚で転写不良が発生したの
に対し、後者の場合では9600枚印字時点においても
不具合は生じなかった。
【0103】また、本発明による画像形成装置の転写装
置に設置した強誘電体層の表面電位の推移を示したグラ
フを図14に示す。この推移より、強誘電体素子の加熱
頻度は、使用条件にもよるが1日8時間、通紙枚数約1
00枚という条件下においては、3日に1回程度加熱す
れば良く、また、加熱による表面電位の再発現までの時
間も瞬時(基本的には加熱体の加熱温度までの立ち上が
り時間と転写ローラ1回転に要する時間の合計)で行う
ことができることが判明した。
【0104】<実施例6>本発明に係る画像形成装置の
実施例6の基本構成を図15に示す。図15の画像形成
装置は、図11の画像形成装置とほぼ同じ構成である
が、転写ローラ27aの代わりに、強誘電体層が表層に
形成された転写ベルト36と当該転写ベルト36を支持
する支持部材37、当該転写ベルト36の一部に近接ま
たは当接した加熱手段である面状発熱体34が配置され
ている。
【0105】強誘電体の表面電位の経時変化を表面電位
検知手段19によりモニターし、表面電位検知手段19
により検知された値が、初期値である+1000Vから
印字不良発生電位近傍の+900Vを閾値としてこれを
下回った場合において、面状発熱体18で強誘電体表面
が100℃になるまで加熱する。これにより強誘電体表
面の不要な実電荷がリークできるため、初期の+100
0Vの電位が再発現される。以下、実施例1と同様の効
果が得られる。
【0106】その他の実施例としては、転写装置として
の中空の転写ローラを用い、転写ローラ内部に設置され
た加熱手段としてのヒーターランプ、表面電位検知手
段、温度検知手段を配置し、当該ヒーターランプで強誘
電体表面が60℃になるまで加熱しても、実施例1及び
2とほぼ同様の効果が得られ、更に別の実施例として
は、転写装置に転写ベルトと転写ベルトを支持する中空
ローラ、中空ローラ内部に設置された加熱手段としての
ヒーターランプ、表面電位検知手段、温度検知手段を配
置し、当該ヒーターランプで強誘電体表面が100℃に
なるまで加熱しても、実施例5及び6とほぼ同様の効果
が得られる。
【0107】強誘電体素子を加熱するための加熱手段と
しては、特に上述したものに限定されず、例えばキセノ
ンランプ、ハロゲンランプ等により外表面から非接触で
加熱照射する方法、高出力レーザーによる加熱、ヒート
ローラで接触加熱する方法等が挙げられる。
【0108】<実施例7>本発明に係る画像形成装置の
実施例7の基本構成を図16に示す。
【0109】図16の画像形成装置は、図7の画像形成
装置とほぼ同じ構成をなすが、図16の画像形成装置
は、アースに接続された除電手段としての導電性のブラ
シを複数本有した除電ブラシ41が転写ローラ27aに
接触して配置されている。この除電ブラシ18により、
強誘電体表面の不要な実電荷をアース側にリーグさせる
ことができるため強誘電体表面は、常に初期の焦電電位
である+1000Vの電位が維持されている。
【0110】本発明による画像形成装置を用いて、トナ
ー像を複数枚の転写材上に連続的に転写する実験を行っ
た。実験は、強誘電体を除電しなかった場合と除電手段
により除電した場合とに分け、両者より得られた画像を
比較した。結果としては、前者の場合で、連続印字枚数
約7400枚で転写不良が発生したのに対し、後者の場
合では10000枚印字時点においても不具合は生じな
かった。
【0111】また、本発明による画像形成装置の転写装
置に設置した強誘電体層の表面電位の推移を示したグラ
フを図17に示す。使用条件は1日8時間駆動させ、断
続的に通紙枚数1000枚/日を10日間行った。この
推移より、本使用条件下においては、強誘電体素子の表
面電位は、殆ど減衰することなく、転写不良を生じるこ
となく高画質画像を得ることができることが判明した。
【0112】<実施例8>本発明に係る画像形成装置の
別な実施例の基本構成を図18に示す。図18におい
て、アースに接続された除電手段としての導電性表面を
有した除電ローラ42が転写ローラ27aに接触して配
置されており、転写ローラ27aの回転にあわせて連れ
廻りしている。これにより強誘電体27−3の表面の不
要な実電荷をアース側にリーグさせることができるため
強誘電体27−3の表面は、常に初期の焦電電位である
+1000Vの電位が維持されている。以下、実施例8
と同様の効果が得られる。
【0113】その他の実施例としては、転写装置に強誘
電体層が形成された転写ベルトを用い、当該転写ベルト
表面をアースに接続された導電性ブラシまたは、アース
に接続された導電性ローラにより当接して除電させるこ
とにより実施例1及び2と同様の効果が得られる。強誘
電体素子を除電するための除電手段としては、特に上述
したものに限定されず、例えば導電性プレード等を当接
して除電する方法も挙げられる。
【0114】尚、これら実施例により本発明が限定され
るものではなく、電子写真プロセスを用いた複写機、レ
ーザビームプリンタ、液体現像プロセス、その他の記録
装置等の画像形成装置全般に適用されうるものである。
【0115】
【発明の効果】本発明によれば、転写装置には少なくと
も強誘電体層を一部に含む層を形成し、当該強誘電体は
双極子配向(ボーリング)され、当該強誘電体の双極子
が形成する電界により前記トナー像を転写材に転写す
る。したがって、転写装置には高電圧電源を設ける必要
はなく、外部高電圧電源によりバイアスを印加する必要
が無いため、省エネルギー、低コスト、ダウンサイジン
グ化が実現できる。更には、一強誘電体の比誘電率が高
いことによる、像担持体と転写装置間で形成されるニッ
プ部の微小空隙部分におけるパッシェン放電が起らない
ため、完全オゾンレス化が可能となるとともに、トナー
飛散の発生も防止できるためドット再現性の優れた高画
質画像を得ることができる。
【0116】また、本発明によれば、転写装置には転写
バイアス印加手段が設置する必要がなく、転写時におけ
る高電圧の付加を行う必要がないため、省エネルギー化
が実現できた。
【0117】本発明によれば、前記転写装置の構成とし
て電気導電性支持体上に前記強誘電体層が形成すること
によりボーリング処理時に、強誘電体層表面に付着する
不要な実電荷を電気導電性支持体ヘリーグ可能となり、
永久双極子に起因した任意の表面電位の発現が可能とな
る。
【0118】本発明によれば、強誘電体層が形成されて
いる電気導電性支持体を接地することにより、ボーリン
グ時に強誘電体表面に付着する不要な実電荷をリーグす
ることが可能となり、強誘電体表面には、永久双極子に
よる焦電電位の発現が可能となる。
【0119】本発明によれば、強誘電体層の、極性を像
担持体上のトナーの帯電電位が負極であれば正極、像担
持体上のトナーの帯電電位が正極であれば負極であるよ
うにすることにより、両者の電位差により転写材に良好
な転写を行うことができる。
【0120】本発明によれば、強誘電体の表面電位と像
担持体上のトナー部の表面電位に電位差を設けることに
より、転写材に良好な転写を行うことができる。
【0121】本発明によれば、強誘電体層の層厚を、8
μm以上の厚さで形成することにより、強誘電体は1μ
mで25Vの焦電電位が得られ、8μmで+(−)20
0Vの焦電電位が、半永久的に得られるため転写装置に
高圧電源を設置することなく転写材に転写を行うことが
できる。
【0122】本発明によれば、強誘電体を構成する材料
の、少なくとも一部を有機系材料により形成することに
より、比較的低バイアスの抗電界付加で永久双極子の配
向が行われ強誘電体のボーリング特性の安定化が図れる
と共に、経時的に安定した高い焦電電位が得られる。
【0123】本発明によれば、強誘電体を構成する材料
の、少なくとも一部を無機系材料により形成することに
より、比較的低バイアスの抗電界付加で永久双極子の配
向が行われ強誘電体のボーリング特性の安定化が図れる
と共に、経時的に安定した高い焦電電位が得られる。
【0124】本発明によれば、無機系材料に、少なくと
も3成分から構成されるセラミクス焼結体を用いること
により、高耐久、無公害性のある転写ローラを得ること
ができる。
【0125】本発明によれば、強誘電体の表層部を、耐
擦性を有する部材で被覆またはコーティングすることに
より、強誘電体の磨耗が無く高耐久性のある高圧電源を
必要としない転写ローラを得ることができる。
【0126】本発明によれば、強誘電体の比誘電率は1
0以上にすることにより、比較的低い電界で大きな分極
電荷量が得られ高効率転写が行われる。
【0127】本発明によれば、強誘電体の体積固有抵抗
率は、1014Ω・cm以上、1015Ω・cm以下にする
ことにより、ボーリング特性の安定化が図れると共に、
強誘電体表面には経時的に安定した高い焦電電位が得ら
れる。
【0128】本発明によれば、強誘電体材料を、あるキ
ュリー点温度以下で加熱することにより体積固有抵抗率
が1012Ω・cm以下になるように選定することによ
り、双極子の配向を乱し、強誘電体表面の実電荷とのバ
ランスを崩し、ボーリング時に強誘電体表面に付着した
不要な実電荷をリーグさせることが可能となり、強誘電
体表面には、永久双極子による焦電電位の発現が可能と
なる。
【0129】本発明によれば、転写装置に形成された強
誘電体層を加熱するための加熱手段を設けることによ
り、強誘電体の表面電位のみかけ上の減衰を効果的に防
止でき良好な転写を行うことができる。
【0130】本発明によれば、転写装置に形成された強
誘電体層の表面電位を検知するための電位検知手段を設
け、強誘電体の表面電位をモニターすることにより、強
誘電体の焦電電位の減衰による転写不良を未然に防止で
きる。
【0131】本発明によれば、転写装置に形成された強
誘電体層の表面電位を検知するための電位検知手段を設
け、当該電位検知手段の検卸信号に基づき、加熱手段を
駆動制御することにより、強誘電体の焦電電位の減衰に
よる転写不良を未然に防止するとともに、効率的な加熱
が行え省エネルギー化が図れる。
【0132】本発明によれば、転写装置に形成した強誘
電体層をキュリー点までの温度で加熱することにより、
強誘電体層中に形成された分極電荷を乱すことなく、強
誘電体表面の不要電荷をリーグでき、強誘電体中の永久
双極子による焦電電位の発現が可能となる。
【0133】本発明によれば、転写装置に形成された強
誘電体層を中和する不要な実電荷を除電するための除電
手段を設けることにより、強誘電体の表面電位の減衰を
効果的に防止でき良好な転写を行うことができる。
【0134】本発明によれば、除電手段として導電性ブ
ラシを用いることにより、強誘電体の表面電位の減衰を
効果的に防止でき良好な転写を行うことができる。
【0135】本発明によれば、除電手段として導電性ロ
ーラを用いることにより、強誘電体の表面電位の減衰を
効果的に防止でき良好な転写を行うことができる。
【0136】本発明によれば、除電手段を接地すること
により、強誘電体表面の不要な実電荷を効果的に除電で
き、表面電位の減衰を効果的に防止できるとともに良好
な転写を行うことができる。
【0137】本発明によれば、転写ローラの構成とし
て、金属製芯金表面に第1被覆層として電気導電性の弾
性ゴム、当該第1被覆層表面に第2被覆層として、強誘
電体が形成された導電性フィルムまたは導電性チューブ
を被覆することにより、簡易、安価な製造方法により強
誘電体積層型の転写ローラが量産できるとともに、弾性
ゴムを支持基体とするため転写ニップが大きく形成でき
良好な転写を行うことができる。
【0138】本発明によれば、転写ローラの構成とし
て、金属製芯金表面に第1被覆層として、強誘電体層が
形成された導電性フィルムまたは導電性チューブが被覆
することにより、簡易、安価な製造方法により強誘電体
積層型の転写ローラが量産できる。
【0139】本発明によれば、転写ローラの構成とし
て、金属製芯金表面に、強誘電体層をコーティングする
ことにより、簡易、安価な製造方法により強誘電体積層
型の転写ローラが量産できる。
【0140】本発明によれば、強誘電体層との接着面で
あるアルミニウム製芯金の表面に、アルマイト処理を施
すことにより、強誘電体層と芯金との接着強度を強固に
することができる。
【0141】本発明によれば、転写ローラの構成とし
て、強誘電体層の表層部分には、耐擦性を有する部材で
被覆、またはコーティングすることにより、感光休また
は転写材との接触による強誘電体層の磨耗が防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の転写装置の強誘電
体に永久双極子を形成プロセスを示す説明図である。
【図2】ポーリング後の強誘電体の表面電位と経時変化
を示すグラフである。
【図3】強誘電体の表面電位と経時変化を示すグラフで
ある。
【図4】強誘電体層を示す構成図である。
【図5】本発明による強誘電体転写ローラー製造の一例
を示す説明図である。
【図6】本発明による強誘電体転写ローラー製造の他の
例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置の実施例1を示す構
成図である。
【図8】本発明に係る画像形成装置の実施例2を示す構
成図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置の実施例3を示す構
成図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の実施例4を示す
構成図である。
【図11】本発明に係る画像形成装置の実施例5を示す
構成図である。
【図12】強誘電体素子の加熱制御のブロック図であ
る。
【図13】実施例5の画像形成装置の全体の動作を説明
するフローチャートである。
【図14】実施例5の画像形成装置の転写装置に設置し
た強誘電体層の表面電位の推移を示したグラフである。
【図15】本発明に係る画像形成装置の実施例6を示す
構成図である。
【図16】本発明に係る画像形成装置の実施例7を示す
構成図である。
【図17】実施例7の画像形成装置の転写装置に設置し
た強誘電体層の表面電位の推移を示したグラフである。
【図18】本発明に係る画像形成装置の実施例8を示す
構成図である。
【図19】従来の画像形成装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 導電性支持基体 2 強誘電体素子 3 帯電ローラー 4 永久双極子 5 表面実電荷 6 中間層 7 耐擦性部材 21 感光体 27 転写ローラ 29 転写材 27−1 芯金 27−2 導電性ゴム 27−3 強誘電体素子 27−4 強誘電体層 27−5 耐擦性部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若原 史郎 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 大西 英樹 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 道正田 洋 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H032 AA05 BA23 3J103 AA02 AA14 AA15 AA23 AA33 AA51 BA31 BA41 BA43 EA11 EA20 FA02 FA06 FA07 FA12 FA14 FA15 FA18 FA19 FA20 GA02 GA57 GA58 GA74 HA03 HA04 HA05 HA12 HA15 HA17 HA20 HA32 HA37 HA43 HA51 HA53 HA54

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トナー像を像担持体から転写材へ転写す
    るための転写装置を備えた画像形成装置において、 前記転写装置は、前記像担持体に対向して設置され、少
    なくとも一部に強誘電体を含む層を有し、 該強誘電体は、永久双極子配向処理されており、 該永久双極子が形成する電界により前記トナー像を転写
    材に転写することを特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】 前記転写装置は、電圧無印加のフローテ
    ィング状態であることを特徴とする請求項1記載の画像
    形成装置。
  3. 【請求項3】 前記転写装置は、前記電気導電性支持体
    上に前記強誘電体層が形成されていることを特徴とする
    請求項1又は2記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 前記電気導電性支持体は、接地されてい
    ることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】 前記強誘電体層の極性は、前記像担持体
    上の前記トナーの帯電電位が負極であれば正極、前記像
    担持体上の前記トナーの帯電電位が正極であれば負極で
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    画像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記強誘電体の表面電位と前記像担持体
    上のトナー部の表面電位との間に電位差が設けられてい
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画
    像形成装置。
  7. 【請求項7】 前記強誘電体層の層厚は、8μm以上の
    厚さで形成されていることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかに記載の画像形成装置。
  8. 【請求項8】 前記強誘電体は、少なくとも一部に有機
    系材料を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の画像形成装置。
  9. 【請求項9】 前記強誘電体は、少なくとも一部に無機
    系材料を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の画像形成装置。
  10. 【請求項10】 前記無機系材料は、少なくとも3成分
    から構成されるセラミクス焼結体であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
  11. 【請求項11】 前記強誘電体の表層部は、耐擦性を有
    する部材で被覆またはコーティングされていることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装
    置。
  12. 【請求項12】 前記強誘電体の比誘電率は、10以上
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の画像形成装置。
  13. 【請求項13】 前記強誘電体の体積固有抵抗率は、1
    14Ω・cm以上、1015Ω・cm以下であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装
    置。
  14. 【請求項14】 前記強誘電体は、キュリー点温度を上
    限に加熱されると、体積固有抵抗率が1012Ω・cm以
    下になることを特徴とする請求項13記載の画像形成装
    置。
  15. 【請求項15】 前記強誘電体層を加熱するための加熱
    手段が近接または当接して設置されていることを特徴と
    する請求項1〜14のいずれかに記載の画像形成装置。
  16. 【請求項16】 前記転写装置の表面電位を検知するた
    めの電位検知手段が設けられていることを特徴とする請
    求項1〜15のいずれかに記載の画像形成装置。
  17. 【請求項17】 前記電位検知手段の検知信号に基づ
    き、前記加熱手段により前記強誘電体のキュリー点まで
    加熱制御を行うことを特徴とする請求項16記載の画像
    形成装置。
  18. 【請求項18】 前記強誘電体層を除電するための除電
    手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜14
    記載の画像形成装置。
  19. 【請求項19】 前記除電手段は、前記転写装置に当接
    して設けられた導電性ブラシであることを特徴とする請
    求項18記載の画像形成装置。
  20. 【請求項20】 前記除電手段は、前記転写装置に当接
    して設けられた導電性表面を有した導電性ローラーであ
    ることを特徴とする請求項18記載の画像形成装置。
  21. 【請求項21】 前記除電手段は、接地されていること
    を特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の画像
    形成装置。
  22. 【請求項22】 前記転写装置は、ローラー形状であ
    り、金属製芯金表面に第1被覆層として電気導電性の弾
    性ゴム、該第1被覆層表面に第2被覆層として、強誘電
    体層が形成されていることを特徴とする請求項1〜21
    のいずれかに記載の画像形成装置。
  23. 【請求項23】 前記転写装置は、ローラー形状であ
    り、金属製芯金表面に第1被覆層として、強誘電体層が
    形成されていることを特徴とする請求項1〜21のいず
    れかに記載の画像形成装置。
  24. 【請求項24】 前記金属製芯金は、強誘電体層との接
    着面がアルマイト処理を施されたアルミニウム製芯金で
    あることを特徴とする請求項22又は23記載の画像形
    成装置。
  25. 【請求項25】 前記転写装置は、前記強誘電体層の表
    層部分に、耐擦性を有する部材が被覆、またはコーティ
    ングされていることを特徴とする請求項22〜24のい
    ずれかに記載の画像形成装置。
  26. 【請求項26】 前記転写装置の前記強誘電体層におけ
    る表面電位は、双極子配向処理により+200V〜+1
    600Vの間で均一に帯電されていることを特徴とする
    請求項22〜25のいずれかに記載の画像形成装置。
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