JP5116286B2 - 現像ローラ、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリも受信装置の如き電子写真装置に組み込まれる感光体に接触させて使用される現像ローラや、これを用いたプロセスカートリッジや電子写真装置に関するものである。
複写機、プリンター、ファクシミリの受信装置の如き電子写真装置における現像方式としては従来、二成分現像方式と一成分現像方式が広く用いられている。近年、小型化、高性能化の要請から、一成分トナーを用いた一成分現像方式が注目されている。
このような一成分トナーを使用する現像装置としては、トナーを収納するトナー容器の開口を閉塞し、且つ、一部を容器外に露出するように現像ローラが設けられる。トナー容器内で現像ローラに当接して設けられる弾性ローラによって現像ローラ表面上にトナーを供給する。ついで、現像ブレードにより余剰分を除去して現像ローラ上にトナーを薄膜状に形成すると同時に、摺擦によりトナー粒子に所定量の正または負の摩擦電荷を与える。
さらに、現像ローラの回転により正または負に摩擦帯電したトナーを、露出部の現像領域に搬送し、ここにおいて接触又は近接して設けられる感光体表面の静電荷像に付着させ現像を行う。このような、現像ローラとしては、導電性軸芯体の周囲に弾性体を設け、耐磨耗性、帯電性の向上のため、必要に応じてその外周に樹脂層を設けて使用される。
しかしながら、上記の一成分現像方式により、高画質対応カラープリンターに現像ローラを組み込み、画像形成を行うと画出し初期濃度が低く、使用寿命終盤まで安定した画像が得られないことや、トナーに起因したカブリが発生する場合がある。
電子写真の更なる高画質化のために、現像ローラ、現像スリーブに無機強誘電体の微粒子を含有させることで、現像担持体の電気的特性を改質し、帯電性の制御およびトナー担持量の上昇に注目した改善が行われている。
具体的には、現像ローラの弾性体にチタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛の如き強誘電体の粉末を添加することで、帯電性の制御や印加電圧に対する抵抗率の変動幅の制御を行う方法が報告されている。(特許文献1、2)また、現像ローラに添加する無機誘電体の微粉末の誘電率を規定することで、印加電圧に対する体積抵抗率変動を制御した手法も報告されている。(特許文献3)
しかしながら、一般的な強誘電体無機の微粒子は物性のばらつきや温度変化に対する特性の変動が大きい特徴を示す。そのため、省スペース、低コストの画像形成装置が広く普及し、その使用環境が大きく変動する昨今では、高画質対応カラープリンターに現像担持体を組み込み画像形成を行うと、耐久を通じて現像濃度が均一にならず、使用環境が異なる場所で画像を出力した時に、安定した画像を得ることができないという懸念があった。
特開平7-271176 特許第3157102号 特開2001-357725
本発明は、無機強誘電体の微粒子の特性のばらつきによる物性の変動が小さく、かつ使用寿命終盤まで画像濃度が高く鮮明で、使用環境が変化しても安定したトナー画像を得ることのできる現像ローラに関する。さらに、本発明はこの現像ローラを用いて高画質化できるプロセスカ−トリッジや電子写真装置に関する。
本発明者らは、現像ローラに含有させる無機強誘電体の微粒子について鋭意研究を行った。その結果、特定の構造相転移挙動を示す無機強誘電体の微粒子を含有させた樹脂層を有する現像ローラを用いることにより、無機強誘電体の微粒子の特性のばらつきによる物性の変動が小さく、使用寿命終盤まで濃度が高く鮮明な画像が得られることの知見を得た。更に、この無機強誘電体の微粒子を含有させた樹脂層を有する現像ローラを用いることにより、使用環境が変化しても安定した画像を得ることができる知見を得た。かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、軸芯体と、該軸芯体の周囲に設けられた樹脂層を有する現像ローラにおいて、該樹脂層が構成元素に金属元素を含む無機強誘電体の微粒子を含有し、
無機強誘電体の微粒子は、該無機強誘電体の微粒子の示差走査熱量測定計で測定された吸熱ピークの開始温度と終了温度を各々TciとTcfと定義したときに、TcfとTciの差が20℃以上100℃以下であり、
該無機強誘電体が、SrBi 2 Nb 2 O 9 、SrBi 2 Ta 2 O 9 、Bi 4 Ti 3 O 12 、BaBi 4 Ti 5 O 18 およびSrBi 4 Ti 5 O 18 から選ばれる何れかの基体物質の結晶格子におけるビスマスの一部が、Nd、Sm、Pr、La、Y、CaおよびBaの中から選ばれる何れかの金属元素により置換されたものであることを特徴とする現像ローラに関する。
また、本発明は、軸芯体と該軸芯体の周囲に設けられた樹脂層とを有する現像ローラにおいて、
該樹脂層が構成元素に金属元素を含む無機強誘電体の微粒子を含有し、
該無機強誘電体の微粒子は、該無機強誘電体の微粒子の示差走査熱量測定計で測定された吸熱ピークの開始温度と終了温度を各々TciとTcfと定義したときに、TcfとTciの差が20℃以上100℃以下であり、
該無機強誘電体が、SrTiO 3 の結晶格子におけるSrの一部が、CaおよびBaから選ばれる何れかの金属元素により置換されたものであることを特徴とする現像ローラに関する。
また、本発明は、静電潜像を担持する感光体の表面に現像剤を供給して静電潜像を現像してトナー像とする現像ローラを有し、電子写真装置に着脱自在である電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、現像ローラが上記現像ローラであることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジに関する。
また、本発明は、静電潜像を担持する感光体の表面に現像剤を供給して静電潜像を現像してトナー像とする現像ローラを有する電子写真装置において、現像ローラが上記現像ローラであることを特徴とする電子写真装置に関する。
本発明の現像ローラは、無機強誘電体の微粒子の特性のばらつきによる物性の変動が小さく、使用寿命終盤まで濃度が高く鮮明な画像形成を可能とするとともに、使用環境が変化しても濃度が高く鮮明でカブリの少ない高品位の安定した画像を得ることができる。また、本発明の電子写真装置用プロセスカ−トリッジや電子写真装置は、高画質の画像形成が可能で、耐久性および環境変動性に優れる。
本発明の現像ローラは、軸芯体と該軸芯体の周囲に設けられた樹脂層を有する現像ローラにおいて、該樹脂層が構成元素に金属元素を含む無機強誘電体の微粒子を含有し、かつ該無機強誘電体の微粒子の示差走査熱量測定計で測定された吸熱ピークの開始温度と終了温度を、各々TciとTcfと定義した時に、TcfとTciの差が20℃以上100℃以下であることを特徴とする。
本発明の現像ローラにおける樹脂層は、金属元素を含む無機強誘電体の微粒子を含有する。かかる樹脂層における無機強誘電体の微粒子は、トナーに負帯電性を付与するとともに、樹脂層の静電容量の上昇に伴いトナー担持量が増加し、濃度が高く鮮明でカブリの少ない高品位の画像形成を可能とする。
強誘電体とは外部電場を印加した後に外部電場を取り除いても分極が残留する物質であり、その中でも無機強誘電体は有機系物質およびポリマー材料の如き物質と比較して相対的に高い相転移温度を有するため、温度安定性に優れ、かつ高い誘電率を有する性質を示す。このような無機強誘電体には、ある特定の温度において、例えば斜方相、正方晶相、単斜相の如き異方性を示す結晶相から立方晶相の如き等方的な結晶相に可逆的な構造変化を生じる相転移温度が必ず存在する。この強誘電体における相転移温度において、抵抗値、誘電率、誘電損失、自発分極値の如き電気的物性が急激に変化する性質を有することは一般的に周知である。
このような無機強誘電体の微粒子の基体物質としては、BaTiO3、Pb(Ti,Zr)O3、PbTiO3、PbNb2O6、SrTiO3や一般式(Bi2O2)2+(Am-1BmO3m+1)2-で表されるビスマス層状構造強誘電体が挙げられる。ここで、AはNa+,K+,Pb2+,Ba2+,Sr2+,Bi3+の如き金属イオン、BはFe3+,Ti4+,Ta5+,Nb5+,W6+の如き金属イオンである。上記一般式で表されるビスマス層状構造強誘電体の代表例として、SrBi2Nb2O9、SrBi2Ta2O9、BaBi2Nb2O9、BaBi2Ta2O9、PbBi2Nb2O9、PbBi2Nb2O9、Bi4Ti3O12、SrBi4Ti4O15、BaBi4Ti4O15、PbBi4Ti4O15、BaBi4Ti5O18、SrBi4Ti5O18の如き物質が挙げられる。
一般的にBaTiO3の如き基体物質のみで構成される強誘電体においては、試料合成時の高温下での熱処理中に蒸気圧が高い元素が揮発し、結晶格子中に欠陥が生じることにより、物性のバラつきが発生しやすい。また、上記に示すような強誘電体は温度変化による電気的特性の変化が著しく、その挙動は温度変化時の構造相転移挙動に付随する特徴を示すものが多い。
上記に挙げた無機強誘電体の欠点を克服するために、本発明における無機強誘電体の微粒子は上記基体物質に上記基体物質の構成元素と異なる希土類イオン、ランタノイドイオン、アルカリ土類金属イオンの如き元素を積極的に置換もしくは添加していることを特徴とする。
基体物質の結晶格子中に上記他種イオンを置換することにより、温度変化による構造相転移挙動を緩やかにすることが可能であり、環境変動による電気特性の変化を抑制することができる。この無機強誘電体における構造相転移挙動は、下記他種イオンの置換量と置換イオン種の選択で容易に制御が可能である。また、上記無機強誘電体の微粒子は潮解性を示さず、耐水分吸着性に優れるので湿度変化に対する物性安定性も優れる。ここでの環境変動とは温度15℃湿度10%から温度40℃湿度90%の範囲に該当する。
これらのうち、特にビスマス層状構造強誘電体であるSrBi2Nb2O9、SrBi2Ta2O9、Bi4Ti3O12、BaBi4Ti5O18、SrBi4Ti5O18およびSrTiO3の基体物質に他種イオンを置換した物質が、一般的な強誘電体より相対的に高い相転移温度を示すため、使用温度領域で電気特性の変化がより緩やかであることと、環境に負荷の大きい酸化鉛(PbO)を含まないことから好ましい。
また、上記基体物質の構成金属イオンであるBa2+、Bi3+、Sr2+の如き比較的蒸気圧が高く揮発性を示す金属イオンに、構成元素と異なる他種イオンを置換することにより、構造相転移挙動を緩やかにするとともに、熱処理中に生じる結晶格子中の欠陥の生成を防ぐことで、無機強誘電体の物性のバラつきを抑制することができる。
上記無機強誘電体の基体物質に添加もしくは置換する他種元素として、該金属元素のイオン化状態における価数が2価もしくは3価の金属元素、特にはNd、Sm、Pr、La、Y、Ca、Baの中から選ばれることが好ましい。基体物質を構成する元素と、他種置換元素の同価数におけるイオン半径の差が大きいと、結晶格子中に他種元素が置換されず異相が析出し、電気的特性の安定性に悪影響を及ぼす場合がある。上記の他種元素を置換することにより、基体物質の結晶格子中に首尾よく置換され、異相が析出せず、抵抗ムラの発生を抑制することができる。また、この時のイオン半径は配位数が12の時におけるシャノンのイオン半径の文献値で定義される。
また、TiやTaの如きイオン化状態における価数が4価である元素に他種イオンを置換もしくは添加しても相転移挙動の緩和にはほとんど寄与せず、さらには、異相の析出を誘引する怖れがある。
上記無機強誘電体の微粒子は、示差走査熱量測定計で測定された吸熱ピークの開始温度と終了温度を、各々TciとTcfと定義した時に、TcfとTciの差が20℃以上100℃以下である。好ましくは40℃以上80℃以下である。
示差走査熱量測定計で測定されたTcfとTciの差は、無機強誘電体の構造相転移挙動の緩急を示し、これらの値の差が大きいほど、温度変化に伴う構造相転移挙動が緩やかであることを示す。例えば、BaTiO3やBi4Ti3O12の如き基体物質のみで構成される無機強誘電体は、概してTcfとTciの差は5℃以下の範囲にあり、急激な構造相転移挙動に伴った電気的特性の変化を生じやすい性質を示す。TcfとTciの差が20℃以上であれば、環境変動に伴った抵抗変動と無機強誘電体の微粒子の物性のバラつきによる抵抗ムラを十分に抑制することができる。また、100℃以下であれば、他種イオンの多量添加に伴った異相の析出による抵抗ムラの増大を抑制することができる。
上記無機強誘電体の微粒子の平均粒径としては、平均粒径が0.1μm〜5.0μmであることが好ましい。上記の平均粒径の範囲において、トナー帯電性の向上が充分に行えるとともに、該無機強誘電体の微粒子が局部的に存在することなく、電気抵抗の安定性が向上し、良好な画像を得ることができる。上記無機強誘電体の微粒子の平均粒径の測定法を例示する。コールター社製、LS−230型レーザー回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取り付けて0.02〜100μmの粒径を測定範囲とし、得られる体積基準の粒度分布より無機強誘電体の微粒子の体積平均粒径を算出する。測定手順としては、純水約10ccに微量の界面活性剤を添加し、これに無機強誘電体の微粒子の試料約10 mgを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、測定時間90秒、測定回数1回で測定する。
本発明の現像ローラ1は、図1および2に示すように、円柱状または中空円筒状の導電性軸芯体2外周面に弾性層3が固定され、この弾性層3の外周面に樹脂層4が積層された部材から構成される。
本発明の現像ローラ1に用いる導電性軸芯体2は、上層の弾性層及び表面層を支持し感光体へ現像剤(トナー)を搬送可能な強度と、帯電したトナーを感光体へ移動可能な電極となり得る導電性を有するものであればいずれであってもよい。その材質としては、アルミニウム、ステンレス及び銅合金の如き金属または合金;クロム又はニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂を挙げることができる。
更に、導電性軸芯体2として、導電性軸心体材料にめっき、酸化処理の如き防錆処理を行ったものを使用することができる。めっきの種類としては電気めっき、無電解めっきのいずれも使用することができるが、寸法安定性の観点から無電解めっきが好ましい。ここで使用される無電解めっきの種類としては、ニッケルめっき(カニゼンめっき)、銅めっき、金めっき、その他各種合金めっきを挙げることができる。めっき厚さは、例えば、0.05μm以上を挙げることができるが、作業効率と防錆能力のバランスを考慮すると、めっき厚さは0.1〜30μmであることが適当である。
導電性軸芯体2の形状としては棒状体又はパイプ状体を挙げることができる。必要に応じて、その表面にプライマー処理層を形成してもよい。この導電性軸芯体2の外径は、例えば、4mm〜10mmの範囲を挙げることができる。
本発明の現像ローラにおける弾性層3は、現像ブレードに当接して薄膜状に形成された表面のトナーを感光体へ供給可能とするため、現像ローラに適度な弾性を有するように、適切な弾性を有することが好ましい。また、現像ローラに接触する感光体、現像ブレード、トナー等に対する損傷を低減するため低硬度であり、且つ、これらから受ける押力による変形の発生を抑制し、高品位な画像を長期に亘って得るため、圧縮永久歪が小さいことが好ましい。
弾性層3の硬度としてはAsker C硬度が10度以上80度以下であることが好ましい。弾性層3の硬度が10度以上であれば、現像ローラからの滲出物による感光体の汚染を抑制することができる。また、弾性層3の硬度が80度以下であれば、搬送するトナーにダメージを与えることを抑制し、出力画像の画質の低下を抑制することができる。尚、「Asker−C硬度」とは、日本ゴム協会標準規格SRIS101に準拠したAsker−C硬度型スプリング式ゴム硬度計(高分子計器(株)社製)を用いて測定した硬度であり、常温常湿(温度23℃、湿度50%RH)の環境中に12時間以上放置した現像ローラに対して、上記硬度計を10Nの力で当接させてから30秒後の測定値とした。
弾性層3としては発泡体、ソリッド体いずれであってもよい。その材質として、以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合物ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシゴム、ユリアゴム、メラミンゴム、ジアリルフタレートゴム、ポリカーボネートゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチロール系ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、多硫化ゴム、ウレタンゴム。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記弾性層3は導電性を有し、現像ローラが半導電領域の電気抵抗値を有するものとすることが好ましい。弾性層3において、導電性を有するものとするため、イオン導電機構、または電子導電機構による導電付与剤を含有することが好ましい。導電性付与剤としては、グラファイト、カーボンブラック;アルミニウム、銅の如き導電性金属の微粒子;酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンの如き導電性金属酸化物の微粒子を用いることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、カーボンブラックは比較的容易に入手することができ、良好な帯電性が得られるので好ましい。
上記弾性層3の体積抵抗率は1×103〜1×109Ω・cmの範囲にあることが好ましい。弾性層の体積抵抗率が1×103〜1×109Ω・cmであれば、トナーを均一に帯電することができる。弾性層の体積抵抗率のより好ましい範囲は1×103〜1×107Ωcmである。
この体積抵抗率を測定する際には、弾性層3の成形時と同じ条件で弾性層材料を硬化して、厚さ2.0mmの弾性層のテストピースを作製し、これを用いて測定を行う。具体的には、弾性層材料をシート状にして130℃のオーブンに入れ20分加熱し、厚み2.0 mmのゴムシートを2枚成形し、その後200℃のオーブンで4時間加熱し二次加硫を行う。その後、ゴムシートを温度25℃、湿度45%の環境に24時間以上放置し、ハイレスタIP(三菱油化社製)を用いて100Vの電圧印加で測定を行い、2枚のゴムシートから得られる抵抗の値の平均値として、体積抵抗率を求めることができる。
このような弾性層3には、上記組成の機能を阻害しない範囲で、その他必要に応じて、非導電性充填剤、架橋剤、触媒等の各種添加剤を適宜含有させることができる。具体的には、非導電性充填剤として、以下のものが挙げられる。珪藻土、シリカ、石英粉末、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミノケイ酸、炭酸カルシウム。架橋剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエートを挙げることができる。
弾性層3の厚さとしては、その材質やトナー量規制部材や感光体等との関連において所望の弾性を有するように適宜選択することができ、例えば、2.0〜6.0 mmを挙げることができる。
ここで本発明における現像ローラの構成については、図1に示すとおり軸芯体2と軸芯体の周囲に少なくとも1層以上の弾性層3を有するものであれば、特に制限するものではない。また本発明の最表面層とは現像ローラの最表面を構成する層を示し、現像ローラが例えば軸芯体2と弾性層3のみで構成される場合は、弾性層3が同時に最表面層となる。また、上記弾性層や樹脂層がそれぞれ1層構造の場合の他、材質や組成等が異なる多層構造であってもよい。
上記樹脂層としては、耐磨耗性、トナー帯電性等に優れるものであることが好ましい。具体的には、樹脂層を構成する樹脂としては以下のものが挙げられる。ポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、エチレン−エチルアクリレート樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、低分子量ポリエチレン樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、水素添加スチレン−ブチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、オレフィン樹脂。また、樹脂層4は1層である必要は無く、多層になっていても構わない。
このような樹脂層において、樹脂と無機強誘電体の微粒子の含有割合は、樹脂100質量部に対して、無機強誘電体の微粒子の含有量は20〜60質量部であることが好ましい。無機強誘電体の微粒子の含有量が樹脂100質量部に対して20〜60質量部の範囲であれば、無機強誘電体の微粒子が樹脂層に均一に存在し、十分に安定な画像性能が得られることができる。また、現像ローラとして適度な硬度を付与することができる。
上記樹脂層は、導電性を付与するために導電性付与剤を含有していてもよい。導電性付与剤としては、弾性層に含有される導電性付与剤として例示したものと同様のものを、具体的に挙げることができる。また、導電性付与剤としてはカーボンブラックを導電性の制御が容易であり、耐磨耗性に優れる等、同様の観点から好ましいものとして挙げることができる。
上記カーボンブラックの平均粒径としては、樹脂層の強度を維持し、適切な導電性を考慮すると、例えば、10〜50nmを挙げることができる。また、カーボンブラックのDBP吸油量としては、同様の理由から例えば、70〜150ml/100gを挙げることができる。このようなカーボンブラックとしては、チャンネル法、ファーネス法などで製造したものを好適に使用することができる。
カーボンブラックの樹脂層中の含有量としては、現像ローラを適正な範囲の導電性を有するものとするため、樹脂100質量部に対して、1〜40質量部を好ましい範囲として挙げることができる。また上記無機強誘電体微粒子の添加量に応じて、カーボンブラックの添加量を調整することで、現像ローラとして最適な硬度に調整することができる。
上記樹脂層は、現像ローラの表面に適度な表面粗さを付与するため、表面に凹凸形状を形成する球状微粒子を含有していてもよい。表面層が球状微粒子を含有することによって、現像ローラ表面の表面粗度を均一にすることが容易となると同時に、表面層が磨耗した場合でも、表面粗度の変動を少なくし表面状態を一定に保持することができる。球状微粒子としては、体積平均粒径が8〜30μmであることが好ましい。微粒子の体積粒径の測定には、コールター社製のLS−230型レーザー回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取り付けたものを用いることができる。測定は、水約10ccに微量の界面活性剤を添加し、これに微粒子約10mgを加え、超音波分散機で10分間分散した後、測定時間90秒間、測定回数1回の条件で測定を行う。上記の測定方法により測定した値を体積平均粒径の値として採用することができる。球状微粒子の含有量としては、樹脂100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましい。
球状微粒子の材質としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂を挙げることができる。これらの球状微粒子は、例えば、懸濁重合、又は分散重合法により製造することができる。
上記樹脂層には、上記成分の他、上記成分の機能を阻害しない範囲で、必要に応じて、充填剤、増量剤、加硫剤、架橋剤、加硫助剤、架橋助剤、酸化防止剤、老化防止剤、加工助剤の如き各種添加剤を含有させることができる。
上記樹脂層の厚さとしては、例えば、1〜50μmを挙げることができ、好ましくは3〜30μmである。表面層の厚さが1μm以上であれば、樹脂層や下層が含有する低分子量成分の析出を抑制することができ、50μm以下であれば、現像ローラの高硬度となるのを抑制し、トナーの融着を抑制することができる。樹脂層の膜厚測定方法としては、現像ローラを切り出し、断面観察を観察することで測定することができる。具体例としては、作製した現像ローラの両端から5mmの点及び長手方向中央部を剃刀で厚さ1mm×深さ5mmの大きさに切り出して測定サンプルを作成し、各測定サンプルの断面をデジタルマイクロスコープ(VH−2450:キーエンス株式会社)を用いて観察する方法が例示できる。上記測定方法により、各現像ローラの周方向の異なる3点についてそれぞれ測定を行い、9点の平均を現像ローラの膜厚とすることができる。
このような本発明の現像ローラの製造方法としては、弾性層を上記ゴムの未硬化ゴム成分、導電性付与剤、及び必要に応じてその他成分を含有する組成物(未硬化ゴム組成物という。)から塗工液を調製し、これを用いて塗膜を形成し、これを硬化する方法を挙げることができる。塗工方法としては、浸漬塗工法、ブレード塗工法、環状塗工槽で塗工する方法、リング形状の塗工ヘッドを用いた塗工法を挙げることができる。また、未硬化ゴム組成物を用いて、押し出し成形法、金型成形法により成形し、硬化する方法を挙げることができる。ゴム成分の硬化後、研磨して表面粗さの調整し、弾性層を成形することもできる。
弾性層の成形後、表面層を成形する。表面層の成形方法としては、無機強誘電体の微粒子、未硬化の上記結着樹脂、その他の成分の表面層材料を含有する組成物(未硬化組成物という。)を調製し、これを用いて弾性層上に塗膜を形成し、硬化する方法を挙げることができる。未硬化組成物の調製は、溶媒としてメチルエチルケトン、トルエン、又はアルコールを用いて、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミルの如きビーズを使用した分散装置を使用することが好ましい。
塗膜の形成には、スプレー、浸漬、又はロールコートの如き塗工方法を使用することができ、上記弾性層上に、塗膜を形成した後、乾燥して溶媒を除去し加熱硬化する方法を使用することができる。具体的には、硬化は、加熱、又は電子線照射のいずれの方法であってもよい。
上記塗膜形成に浸漬塗工を使用する場合、図2の概略構成図に示す塗料の循環機構を有する塗布装置を用いることが好ましい。
図2に示す塗布装置には、浸漬槽27が設けられる。浸漬槽は弾性層が形成されたローラ28の外径よりわずかに大きな内径と、ローラ28の軸方向長より長い深さを備えた円筒形を有し、軸方向を垂直方向にして設置される。その上端部外周には環状の液受け部30が設けられ、液受け部はその底面に接続される管31により、攪拌タンク29に接続される。一方、浸漬槽27の底部は管35を介して塗布液32を循環させるポンプ33に接続され、更に、ポンプ33と攪拌タンク29を接続する管34によって攪拌タンク30に接続される。攪拌タンク29には内部に収納する塗布液32を攪拌するための攪拌翼36が設けられる。
この塗布装置には、浸漬槽の上部において昇降板38を浸漬槽の軸方向に昇降させる昇降装置37が設けられ、昇降板38に懸架されるローラ28を浸漬槽中に進入、後退可能となっている。
このような塗布装置を用いて弾性層上に表面層を成形するには、ポンプ33を駆動し、攪拌タンク29に収納する塗布液32を管34、35を通って浸漬槽27に供給する。昇降装置37を駆動させ昇降板38を降下させ、ローラ28を塗布液32が充填された浸漬槽に進入させる。ローラ28の進入により浸漬槽の上端から溢れ出た塗布液は液受け部30に受けられ、管31を通って攪拌タンク29に戻される。その後、昇降装置を駆動して昇降板を上昇させ、ローラ28を所定の速度で浸漬槽から後退させ、弾性層上に塗布膜を形成する。この間、攪拌タンク内で攪拌翼36を回転させ、塗布液を攪拌して含有物の沈降を抑制し、塗布液の均一性を維持する。
塗膜が形成されたローラは、昇降板38から取り外され、塗膜を乾燥硬化して、表面層が成形される。
本発明の電子写真装置は、静電潜像を担持する感光体の表面に現像剤を供給して静電潜像を現像してトナー像とする現像ローラを有する電子写真装置において、現像ローラが上記現像ローラであることを特徴とするものである。その一例として、非磁性一成分現像方式の図3に示すタンデム方式のカラー電子写真画像形成装置を挙げることができる。図3の概略構成図に示すカラー電子写真画像形成装置は、イエロートナー、マゼンダトナー、シアントナー、ブラックトナーの如き各色トナー毎に設けられる画像形成ユニット12a〜12dを有する。各画像形成ユニットには、それぞれ矢印方向に回転する静電潜像担持体としての感光体5が設けられる。各感光体の周囲には、感光体を一様に帯電するための帯電装置6、一様に帯電処理した感光体にレーザービーム7を照射して静電潜像を形成する露光手段、静電潜像を形成した感光体にトナーを供給し静電潜像を現像する現像装置8が設けられる。一方、給紙ローラ22により供給される紙等の転写材11は、ローラ21を介してバイアス電源25の電荷が印加される搬送ベルト17の表面に静電気的に付着されて搬送されるようになっている。搬送ベルト17は駆動ローラ18、従動ローラ20、テンションローラ19に懸架され、各画像形成ユニットにおいて形成される各色のトナー像を転写材上に順次重畳して転写可能とするため、画像形成ユニットと同期して転写材を搬送するようになっている。
各画像形成ユニットにおいて可視化した感光体上のトナー像を、搬送ベルト17によって搬送される転写材11に転写する転写装置が設けられ、転写装置には転写材の裏面に転写ローラ10を介して電荷を印加する転写バイアス電源26が備えられる。
更に、カラー電子写真画像形成装置には、搬送ベルト17に付着する転写材を剥離する剥離装置23、転写材上に重畳転写したトナー像を加熱などにより定着する定着装置24、画像形成された転写材を装置外に排出する搬送装置(図示せず)が設けられる。
一方、各画像形成部には各感光体上に転写されずに残存する転写残現像剤を除去し表面をクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング装置9が設けられ、その他感光体から掻き取られた現像剤を収納する廃現像剤容器等が設けられる。クリーニングされた感光体は画像形成可能状態とされて待機するようになっている。
上記各画像形成ユニットに設けられる現像装置8には、一成分トナー13を収容した現像剤容器14と、現像剤容器の開口を閉塞するように設置され、現像剤容器から露出した部分で感光体と対向するように現像ローラ1が設けられる。現像剤容器内には、現像ローラにトナーを供給すると同時に現像ローラ上に使用されずに残留するトナーを掻き取るトナー供給ローラ15と、現像ローラ上のトナーを薄膜状に形成すると共に、摩擦帯電する現像剤ブレード16とが設けられる。トナー供給ローラとしては、例えば、軸芯体上に発泡スポンジ体や、ポリウレタンフォームを設けたものや、レーヨン又はポリアミドの如き繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像後の現像ローラ上の残留トナーの除去を容易にすることから好ましい。
また、本発明の電子写真プロセスカートリッジは、静電潜像を担持する感光体の表面に現像剤を供給して静電潜像を現像してトナー像とする現像ローラを有し、電子写真装置に着脱自在である電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、現像ローラが上記現像ローラであることを特徴とする。本発明の電子写真プロセスカートリッジとしては、上記現像ローラを有する現像装置の他、感光体、帯電装置、クリーニング装置、転写装置から選択されるいずれか一個または二個以上とが一体的に設けられ、電子写真装置に着脱自在に設けられたものを挙げることができる。
以下に、本発明の現像ローラ、電子写真プロセスカートリッジ、電子写真画像形成装置を具体的に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
[無機強誘電体の微粒子の合成例]
Nd 0.08 Bi 3.92 Ti 3 O 12 粉末の合成]
化学両論比でNd0.10Bi3.90Ti3O12組成となるように純度99.9%以上のBi2O3、Nd2O3、TiO2の各原料粉末を秤量し、ボールミルを用いて約16時間湿式混合および粉砕し、乾燥した。次いで、酸素雰囲気下、1100℃の温度で2時間焼成し、Nd0.10Bi3.90Ti3O12の合成を行った。なお、昇温速度および冷却速度ともに300℃/hで熱処理を行った。その後、目開き1mmのメッシュを通過するまで乳鉢を用いて微粉砕し、次いで乾式ボールミルを用いて微粉砕を行うことで、平均粒径約1μmの無機強誘電体の微粒子1(Nd 0.08 Bi 3.92 Ti 3 O 12 粉末)を得た。
上記の無機強誘電体の微粒子1の合成方法を用い、出発物質として純度99.9%以上のBi2O3、Nd2O3、BaO、CaO、SrO、NbO、La2O3、Y2O3、Dy2O3、TiO2、TaO2を用いることで、下記表1に示す平均粒径1μmの無機強誘電体の微粒子2〜14を合成した。
得られた無機強誘電体の微粒子について、DSC(示差走査熱量測定)を用いて吸熱ピークの開始温度と終了温度を示すTciとTcfの測定を行った。測定には示差走査熱量測定計(DSC−8230、理化学精機製)を用いた。Ptサンプルパンに各無機強誘電体の微粒子を約100mg詰め、大気中、昇温速度±10℃の条件下で室温から200℃まで上昇し、一度室温まで冷却した後に、同条件で再び1000℃まで上昇することで測定を行った。Pt−Pt13%Rh熱電対を用いて温度測定を行った。二度目の昇温時に測定されたDSC曲線において、相転移挙動に伴い生じたピークの低温側の変曲点をTciおよび高温側の変曲点をTcfと定義する。表1に、各無機強誘電体の微粒子のTciとTcfの差を示す。
Figure 0005116286
(弾性層の作成)
軸芯体としてSUS製のf8mm芯金にニッケルメッキを施し、さらに厚み約1 mmのプライマーDY35-051(商品名、東レダウコーニング社製)を塗布、150 ℃、30分間焼き付けしたものを用いた。ついで、軸芯体を金型に配置し、液状シリコーンゴム材料SE6274A(商品名、東レダウコーニングシリコーン社製)およびSE6274B(商品名、東レダウコーニング社製)を重量比1:1の割合でスタティックミキサーを用いて混合した液状シリコーンゴムを金型内に形成されたキャビティに注入した。続いて、金型を加熱して液状シリコーンゴムを150 ℃、15分間加硫硬化し、冷却後脱型した。その後にさらに、180 ℃、1時間加熱し硬化反応を完結させ、弾性層を軸芯体周囲に設けた。作成した弾性層ローラの直径は16 mmであった。
(樹脂形成用塗料の調製および塗工)
次に、前記弾性層ローラの外周に樹脂層を設けた。樹脂層形成用塗料の材料として、ニッポランN5033(商品名、日本ポリウレタン社製)100質量部に、ポリイソシアネートコロネートL(商品名、日本ポリウレタン工業社製)15.5質量部を加えて樹脂成分とした。続いて、この樹脂成分100質量部に対して、抵抗調整剤としてカーボンブラックFW-18(商品名、DEGUSSA CO.製)15質量部、調製例1で得られた表1における無機強誘電体微粒子を30質量部およびMEKを加え、攪拌モーターで混合攪拌を700 rpm、4時間の条件下で行った。続いて、上記混合溶液を横型分散機NVM-03(商品名、アイメックス社製)で周速7 m/sec、流量1 cc/min、分散液温度15 ℃の条件下で2時間均一分散し、続いてさらにMEKを加え、塗工後の樹脂層の膜厚が10 mmになるように固形分15質量%に調製した。続いて、この溶液を380メッシュの網でろ過したものを樹脂層形成用塗料とした。
次にこの樹脂層形成用塗料を液流速250 cc/min、液温23 ℃で循環させたf32のシリンダー中に浸入速度100 mm/s、前記弾性層外周に浸漬させ、10 秒間停止させた後に、初速400 mm/s、終速200 mm/sの条件で引き上げて10分間、自然乾燥させた。次いで、140 ℃にて2時間加熱処理することで、表面層の原料の硬化を行い、実施例1の現像ローラ(1)を作製した。
得られた現像ローラ(1)について、電気抵抗ムラを以下の方法により評価した後、画像形成を行い、得られた画像について、以下のように評価を行った。更に、樹脂形成用塗料から樹脂層シートを作成し、抵抗環境依存性の測定を行った。結果を、表4に示す。また、画像評価後に、現像ローラに含まれる無機強誘電体の微粒子の物性の評価を行った。現像ローラの樹脂層を1100℃、大気中の条件下で焼成することでゴム組成物を焼却した後に、残渣から無機強誘電体の微粒子を分取することで評価サンプルとした。この評価サンプルを用いて、XRFより組成分析を行った後に、DSCを用いてTciおよびTcfを測定することで、各現像ローラに含まれる無機強誘電体の微粒子の物性の評価を行った。
[現像ローラの評価]
[電気抵抗ムラ]
現像ローラの軸芯体の両端に500 gの荷重をかけて、60 rpmで回転する金属製ドラムに押し当て、金属製ドラムと現像ローラの軸体間に100 Vの電圧を印加した。その後、現像ローラと直列に接続した10 kΩの抵抗に流れる電流値から現像ローラの抵抗値の計算を行い、1周中での抵抗値の最大・最小値をとり、1−(抵抗最小値/抵抗最大値)の値をその現像ローラの抵抗ムラとした。測定時の環境は気温23℃、相対湿度50%RHであった。
A:抵抗ムラが0以上、0.3未満
B:抵抗ムラが0.3以上、0.6未満
C:抵抗ムラが0.6以上、0.8未満
D:抵抗ムラが0.8以上、1.0以下。
[抵抗環境依存性]
抵抗環境依存性測定用のシート作製は、樹脂層形成用塗料を粘度15cpsに調整し、膜厚100μmになるようにアルミ型にキャストし、サンフラワー架台に載せ塗料の粘度が表面に膜形成しない程度に上昇するまで乾燥させた。その後、水平台に載せて室温下で24時間放置した。乾燥後、140℃で2時間の条件で加熱硬化し、室温まで冷却後、型から剥がし、膜厚約100μmの樹脂層シートを作製した。その後、作製したシートを直径5cmの円形に打ち抜き、両面にPt−Pd合金蒸着を施した後、高温・高湿条件環境下(気温40℃、相対湿度90%RH)に24時間放置した後、抵抗測定器R8340A(アドバンテスト製)を用い、100Vの電圧負荷で体積抵抗値の測定を行った。その後、低温・低湿条件環境下(気温15℃、相対湿度15%RH)に24時間放置した後、体積抵抗値の測定を行い、(高温・高湿条件で測定された抵抗平均値)/(低温・低湿条件で測定された抵抗平均値)の値をその現像ローラの抵抗環境依存性とした。
A:抵抗環境依存性が1.0以上、1.5未満
B:抵抗環境依存性が1.5以上、2.0未満
C:抵抗環境依存性が2.0以上、4.0未満
D:抵抗環境依存性が4.0以上。
[画像評価]
[画像濃度安定性]
現像ローラを市販のレーザービームプリンター(LBP5500:キヤノン社製)に搭載し、気温23℃、相対湿度50%RHの環境下で非磁性一成分ブラックトナーで印字率2%にて10枚連続して印刷した。その後、全面クロベタ画像を出力し、紙面上9ヶ所で反射濃度計(GreatagMacbeth RD918:マクベス社製)により濃度を測定し、9点平均値を画像濃度とした。その後、上記同条件で10000枚連続して印刷した後に画像濃度を測定した。この時の初期10枚印刷後の画像濃度と10000枚印刷後の画像濃度の差から下記基準で評価した。
A:画像濃度差が0以上、0.10未満
B:画像濃度差が0以上、0.20未満
C:画像濃度差が0.20以上、0.30未満
D:画像濃度差が0.30以上。
[画像ムラ]
画像濃度安定性評価後に、低温・低湿条件(気温15℃、相対湿度15%RH)下および高温・高湿条件(気温40℃、相対湿度90%RH)でハーフトーン画像を出力し、その濃度ムラを目視で評価し、下記基準で画像ムラを評価した。
A:両環境において、ハーフトーン部に濃度ムラが全く認められない。
B:いずれかの環境もしくは両環境において、ハーフトーン部に判別しにくい程の極軽微な濃度ムラが認められる。
C:いずれかの環境もしくは両環境において、ハーフトーン部に軽微な濃度ムラが認められる。
D:いずれかの環境もしくは両環境において、ハーフトーン部に画像に影響を及ぼす濃度ムラが認められる。
[カブリ]
画像ムラ評価後に気温40℃、相対湿度90%RHの環境下で白ベタ画像を出力し、その出力中にプリンターを停止し、感光体上に付着したトナーを粘着テープで剥がし取り、粘着テープの粘着面の反射率を測定し、反射率の低下からカブリを評価した。なお、反射率の測定には、反射濃度計(TC−6DS/A:東京電色社製)を用いた。
A:反射率の低下が2%未満
B:反射率の低下が2%以上4%未満
C:反射率の低下が4%以上6%未満
D:反射率の低下が6%以上。
[実施例2〜14]
無機強誘電体の微粒子2〜14を使用して樹脂層を作製した他は実施例1と同様にして現像ローラ(2〜14)を作製した。得られた現像ローラの物性、現像ローラを使用して得られた画像について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表2に示す。
[実施例15]
無機強誘電体の微粒子として無機強誘電体微粒子6を、樹脂固形分100質量部に対し、それぞれ10質量部に変更して樹脂層を作製した。その他は実施例1と同様にして現像ローラ15を作製した。結果を、表2に示す。
[実施例16]
無機強誘電体の微粒子として無機強誘電体微粒子6を、樹脂固形分100質量部に対し、それぞれ20質量部に変更して樹脂層を作製した。その他は実施例1と同様にして現像ローラ16を作製した。結果を、表2に示す。
[実施例17]
無機強誘電体微粒子として無機強誘電体微粒子6を、樹脂固形分100質量部に対し、それぞれ60質量部に変更して樹脂層を作製した。その他は実施例1と同様にして現像ローラ17を作製した。結果を、表2に示す。
[実施例18]
無機強誘電体の微粒子として無機強誘電体微粒子6を、樹脂固形分100質量部に対し、それぞれ70質量部に変更して樹脂層を作製した。その他は実施例1と同様にして現像ローラ18を作製した。結果を、表2に示す。
Figure 0005116286
[比較例]
実施例1同様に、原料物質としてBi2O3、Nd2O3、BaO、TiO2を用いることで、下記表3に示す平均粒径1μmの比較例1〜3の無機強誘電体微粒子15〜17を合成した。
Figure 0005116286
[比較例1〜3]
無機強誘電体微粒子15〜17を使用して樹脂層を作製した他は実施例1と同様にして現像ローラ(19〜21)を作製した。得られた現像ローラの物性、現像ローラを使用して得られた画像について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表4に示す。
[比較例4]
無機強誘電体微粒子として無機強誘電体微粒子1を使用しない以外は、実施例1と同様にして現像ローラ(22)を作製した。得られた現像ローラの物性、現像ローラを使用して得られた画像について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表4に示す。
Figure 0005116286
結果からも、初期から耐久を通じて画像濃度が高く、かつ画像ムラが少なく安定で、さらに使用環境が変化しても安定した画像を得られることが明らかである。
本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の現像ローラの一例の断面図である。 樹脂層形成に使用する液循環型浸漬塗工装置の模式図である。
符号の説明
1 現像ローラ
2 軸芯体
3 弾性層
4 樹脂層
5 感光体
6 帯電装置
7 画像露光装置(書き込みビーム)
8 現像装置
9 クリーニング装置
10 現像転写装置
11 転写材(紙)
12a~d 画像形成ユニット
13 一成分トナー
14 現像容器
15 トナー供給ローラ
16 現像ブレ−ド
17 転写搬送ベルト
18 駆動ローラ
19 テンションローラ
20 従動ローラ
21 吸着ローラ
22 供給ローラ
23 剥離装置
24 定着装置
25 画像転写装置バイアス電源
26 吸着ローラバイアス電源
27 浸漬槽
27a 浸漬槽27の上端部
28 原料弾性ローラ
29 液受け部
30 攪拌タンク
31 管
32 樹脂形成用塗料
33 ポンプ
34,35 管
36 攪拌翼
37 昇降装置
38 昇降板

Claims (4)

  1. 軸芯体と該軸芯体の周囲に設けられた樹脂層とを有する現像ローラにおいて、
    該樹脂層が構成元素に金属元素を含む無機強誘電体の微粒子を含有し、
    該無機強誘電体の微粒子は、該無機強誘電体の微粒子の示差走査熱量測定計で測定された吸熱ピークの開始温度と終了温度を各々TciとTcfと定義したときに、TcfとTciの差が20℃以上100℃以下であり、
    該無機強誘電体が、SrBi 2 Nb 2 O 9 、SrBi 2 Ta 2 O 9 、Bi 4 Ti 3 O 12 、BaBi 4 Ti 5 O 18 およびSrBi 4 Ti 5 O 18 から選ばれる何れかの基体物質の結晶格子におけるビスマスの一部が、Nd、Sm、Pr、La、Y、CaおよびBaの中から選ばれる何れかの金属元素により置換されたものであることを特徴とする現像ローラ。
  2. 軸芯体と該軸芯体の周囲に設けられた樹脂層とを有する現像ローラにおいて、
    該樹脂層が構成元素に金属元素を含む無機強誘電体の微粒子を含有し、
    該無機強誘電体の微粒子は、該無機強誘電体の微粒子の示差走査熱量測定計で測定された吸熱ピークの開始温度と終了温度を各々TciとTcfと定義したときに、TcfとTciの差が20℃以上100℃以下であり、
    無機強誘電体が、SrTiO3の結晶格子におけるSrの一部が、CaおよびBaから選ばれる何れかの金属元素により置換されたものであることを特徴とする現像ローラ。
  3. 請求項1または2に記載の現像ローラを有し、電子写真装置に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  4. 請求項1または2に記載の現像ローラを有していることを特徴とする電子写真装置。
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