JP2002302879A - 皮革様シート - Google Patents

皮革様シート

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JP2002302879A
JP2002302879A JP2001106668A JP2001106668A JP2002302879A JP 2002302879 A JP2002302879 A JP 2002302879A JP 2001106668 A JP2001106668 A JP 2001106668A JP 2001106668 A JP2001106668 A JP 2001106668A JP 2002302879 A JP2002302879 A JP 2002302879A
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sheet
leather
oily substance
powder
polymer
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JP2001106668A
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English (en)
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Yoshiki Nobuto
芳樹 延藤
Hisao Yoneda
久夫 米田
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】天然皮革のもつ、しっとりとしたウエット感と
さらっとしたすべり感を兼ね備えたタッチを有する皮革
様シートを提供する。 【解決手段】極細繊維からなる絡合不織布に弾性重合体
が含有されてなるシートの少なくとも片面に、(a)た
んぱく質を主成分とする粉末、(b)30℃における粘
度が50〜100000mPa・sの油状物質、(c)
油状物質(b)の保持体、からなる配合物が存在してい
ることを特徴とする皮革様シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然皮革のもつ、しっ
とりとしたウエット感とさらっとしたすべり感を兼ね備
えたタッチを有する皮革様シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】天然皮革を置き換える素材として人工皮
革は開発され、従来からより天然皮革へ近づける検討が
なされてきた。その中で、人工皮革のタッチをより天然
皮革のものに近づけるという検討も行われ、多くの手法
が提案されている。そのいくつかは、人工皮革を構成す
る成分であるポリウレタン等の弾性樹脂の重合度を変更
あるいは変性するといったマイナーチェンジを施すこと
により、達成しようとするものであるが、人工の合成樹
脂を用いる範囲では、人工皮革のタッチをより天然皮革
のものに近づけることに関して限界があった。それに対
し、天然のたんぱく質であるコラーゲンやケラチン等を
人工皮革や合成皮革の表面処理剤として用いて、天然皮
革のタッチを再現する試みがなされている。たとえば特
開昭60−215875号公報に示されるように、天然
皮革粉末をポリ塩化ビニル、ポリウレタンにブレンドし
て皮革状材料を得る方法、特開平3−45785号公報
に示されるように、シルクパウダーと天然皮革粉を合成
樹脂溶液に分散したものを合成皮革表面に塗布する方
法、また特開平3−124800号公報に示されるよう
に、コラーゲン粉末を合成樹脂に含ませたものを表面層
形成材として用いる方法などがある。しかしながら、こ
れらの方法においては、合成樹脂のみを用いた人工・合
成皮革調のタッチは改良されるものの不十分であり、具
体的には天然皮革の有するしっとりとしたタッチとさら
っとしたタッチのバランスが取れていなかった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、天然皮革
の持つしっとりとしたウエット感とそれでいてべたつか
ないさらっとしたすべり感を兼ね備えたタッチを有する
皮革様シートに関して鋭意検討を行った結果、驚くべき
ことに、たんぱく質を主成分とする粉末と油状物質、そ
の保持体からなる配合物が表面に存在していることによ
り、他の同粒子径を有する粉体と比較して、画期的にさ
らっと感が発現すること、さらに油状物質とその保持体
を含有することにより天然皮革の有するウエット感が油
状物質のブリードもなく、さらっと感を打ち消すことも
なく再現することを見出し、本発明にいたった。すなわ
ち、本発明は、極細繊維からなる絡合不織布に弾性重合
体が含有されてなるシートの少なくとも片面に、(a)
たんぱく質を主成分とする粉末、(b)30℃における
粘度が50〜100000mPa・sの油状物質、
(c)該油状物質(b)の保持体、からなる配合物が存
在していることを特徴とする皮革様シートである。ま
た、本発明を構成する成分については、以下の条件を満
たすことが好ましい。すなわち、(a)のたんぱく質を
主成分とする粉末の平均粒子径は0.1〜20ミクロン
であること、(c)の油状物質の保持体が、ビニル芳香
族化合物からなる重合体ブロックAおよび共役ジエンか
らなる重合体ブロックBを有するブロック共重合体、ま
たはその水素添加物であること、(a)のたんぱく質を
主成分とする粉末と(c)の油状物質の保持体との重量
比が10/1〜1/5であること、(b)の油状物質と
(c)の保持体との重量比が1/1〜20/1であるこ
と、(a)のたんぱく質を主成分とする粉末がシルクパ
ウダーであること、等である。
【0004】以下、本発明について詳述する。本発明を
構成する(a)たんぱく質を主成分とする粉末(以下、
たんぱく質粉末と略す)は、たんぱく質成分を50%以
上含む粉末状物質であればよい。例えば、絹より得られ
るシルクパウダー、動物の皮膚等から得られるコラーゲ
ンパウダー、獣毛や羽毛から得られるケラチンパウダー
等である。それぞれの粉末は、市販されているものでよ
いが、例えばシルクパウダーは、通常、繭、生糸、繭く
ず、生糸くず、絹布くず等を常法に従い必要に応じ活性
剤の存在下、温水中で、または酵素の存在下温水中でセ
リシンを除去し、乾燥したものを物理的手段、例えばス
クリーン粉砕機や風圧粉砕機により粉砕したものであ
る。たんぱく質粉末の平均粒子径は、0.1〜20ミク
ロンが好ましく、より好ましくは1〜10ミクロンであ
る。0.1ミクロン未満では、さらっと感が得にくくな
る傾向があり、逆に20ミクロンを超えると配合量によ
り、タッチが悪くなる傾向がある。
【0005】本発明を構成する(b)油状物質として
は、30℃における粘度が50〜100000mPa・
sの範囲であって、常温において水とは相溶性がなく相
分離する物質が用いられる。油状物質の種類の具体例と
しては、パラフィン系またはナフテン系のプロセスオイ
ル、ホワイトオイル、ミネラルオイル、エチレンとα−
オレフィンのオリゴマー、パラフィンワックス、流動パ
ラフィン、シリコーンオイル、植物油、芳香油などが挙
げられ、これらは単独または混合して用いられる。中で
もパラフィン系プロセスオイルが好ましい。粘度が50
mPa・s未満では、ブリードアウトがあり、該油状物
質の移行が悪くなる傾向がある。すなわち、手で触れる
と手にオイルが付着する傾向がある。また、粘度が10
0000mPa・sを超えると、オイル感が減少し、ウ
エット感が低下する傾向があるので好ましくない。
【0006】本発明を構成する(c)油状物質の保持体
とは、常温においてエラストマーの性質を示す高分子物
質、いわゆる厚さ0.5mmのシートにした場合に常温
で伸び100%以上で、外力を与えると容易に変形する
が、除くと直ちにほぼ原形に回復する高分子物質であっ
て、該高分子弾性体の粉末をそれと組み合わせて用いる
油状物質中に浸漬して24時間常温で放置した後に自然
濾過した後の該粉末の重量増加が油状物質を吸収して2
00%以上となるものであり、なかでも、上記したよう
なブロック共重合体またはその水素添加物、すなわちビ
ニル芳香族化合物からなる重合体ブロックAと共役ジエ
ン化合物からなる重合体ブロックBを有するブロック共
重合体、または該ブロック共重合体を水素添加して得ら
れる水添ブロック共重合体である場合には油状物質の保
持性の点で特に好ましい結果が得られる。
【0007】以下に本発明を構成するこの好適なブロッ
ク共重合体またはその水素添加ブロック共重合体のベー
スとなるブロック共重合体について説明する。ブロック
共重合体における重合体ブロックAと重合体ブロックB
の数には特に制限はない。ここで重合体ブロックAを
A、重合体ブロックBをBと表示すると、ブロック共重
合体の構造は、A−B、(A−B)n、(A−B)n−
A、(A−B)n−B、(nは1〜10の整数を表
す)、(A−B)mX(Xはm価のカップリング剤の残
基を表し、mは2〜15の整数を表す)等の構造式で示
すことができる。中でも(A−B)n−Aであって、n
=1という構造が本出願における配合物を作製する容易
さや、油状物質の保持性の観点で好ましく、本ブロック
共重合体においては、ビニル芳香族化合物の含有率は5
〜75重量%であることが好ましく、10〜65重量%
であることが油状物質の保持特性の点でより好ましい。
【0008】ブロック共重合体における重合体ブロック
Aを構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、ス
チレン、α−メチルスチレン、o、m−またはp−メチ
ルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタ
レン、ビニルアントラセンなどが挙げられる。これらの
中でも、スチレンまたはα−メチルスチレンが本発明に
おける配合物の安定性の点で好ましい。ビニル芳香族化
合物は、単独で使用してもよいし、二種類以上を併用し
てもよい。また、ブロック共重合体における重合体ブロ
ックBを構成する共役ジエンとしては、例えば、1,3
−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3
−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサ
ジエンなどが挙げられる。これらの中でも、イソプレ
ン、1,3−ブタジエンまたはこれらの混合物が油状物
質の保持特性の点で好ましい。共役ジエンは、単独で使
用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0009】ブロック共重合体における重合体ブロック
Bの構造は、共役ジエンから構成される点を除いて特に
限定されず、また、1,2−結合や3,4−結合の含有
量についても特に制限はない。
【0010】ブロック共重合体の数平均分子量は特に限
定されるものではないが、油状物質の保持性、塗布性の
点で好ましくは50,000〜500,000であり、
より好ましくは100,000〜400,000であ
る。
【0011】さらに、ブロック共重合体は、本発明の趣
旨を損なわない限り、分子鎖中、または分子末端に、カ
ルボキシル基、水酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキ
シ基などの官能基を含有していてもよい。
【0012】ブロック共重合体は、例えば、次のような
公知のアニオン重合法によって製造することができる。
すなわち、アルキルリチウム化合物等を開始剤としてn
−ヘキサン、シクロヘキサン等の不活性有機溶媒中で、
ビニル芳香族化合物および共役ジエンを重合させてブロ
ック共重合体を形成する。この際、所望により、ジクロ
ロメタン、四塩化炭素、テトラクロルシラン等のカップ
リング剤を使用してもよい。
【0013】本発明を構成するブロック共重合体が、そ
の水素添加物の場合、公知の方法に従って不活性有機溶
媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加して、水添ブロ
ック共重合体を得ることができる。
【0014】本発明において、該重合体には、ブロック
共重合体、またはその水素添加物である水添ブロック共
重合体が用いられるが、この際、耐熱性、耐候性の観点
からは、水素添加物がより好ましく、水添前のブロック
共重合体における共役ジエンに由来する炭素−炭素二重
結合の70%以上を水素添加することが好ましい。水添
ブロック共重合体における重合体ブロックB中の炭素−
炭素二重結合の含有量は、ヨウ素価測定、赤外分光光度
計、核磁気共鳴法等により決定することができる。
【0015】次に本発明を構成する(a)たんぱく質粉
末、(b)油状物質、(c)油状物質の保持体のブレン
ド比率について説明する。本発明の(a)たんぱく質粉
末と(c)油状物質の重量比は、(a)/(c)=10
/1〜1/5であることが好ましく、より好ましくは、
(a)/(c)=5/1〜1/1である。たんぱく質粉
末の重量比が好適範囲を超えて多くなると、相対的に油
状物質との比率も多くなるため、オイル感が失われる傾
向があり、また過剰の粉末がシートに塗布されることに
よる色目の変化等が起こる傾向があり、逆に少なくなる
とさらっと感が低減する傾向がある。
【0016】また、(b)油状物質と(c)油状物質の
保持体の重量比は、(b)/(c)=1/1〜20/1
であることが好ましく、より好ましくは、(b)/
(c)=3/1〜12/1である。油状物質の重量比
が、(b)/(c)=1/1〜20/1という好適範囲
を超えて多くなると、保持体が油状物質を保持しきれず
にブリードアウトし、経時的にオイル感が変化する傾向
があり、逆に少なくなるとオイル感が低減する傾向があ
る。
【0017】次に、本発明で使用するシートについて、
説明する。該シートは、極細繊維の絡合不織布とその内
部に充填された弾性重合体から構成されている。極細繊
維は、0.5デニール以下の平均繊度のものがタッチ
や、外観の面で好適に用いられ、弾性重合体は、ポリウ
レタンが好適に用いられる。以下に詳細を説明する。
【0018】極細繊維の製造方法としては、相溶性を有
しておらず、溶解性または分解性の異なる2種類以上の
ポリマーを使用して混合紡糸法、海島型複合紡糸法、分
割型複合紡糸法等の紡糸方法により得られた極細繊維発
生型繊維の一部(例えば海成分)を抽出または分解除去
して極細繊維とする方法や、立毛構造を有するシートを
形成した後に立毛部の繊維の一部(たとえば海成分)を
分解除去して極細繊維を形成する方法や、溶融紡糸ノズ
ルから繊維形成性ポリマーを吐出した直後に高速気体で
吹き飛ばし繊維を細くする、いわゆるメルトブロー法な
どの公知の極細繊維の製造方法を用いることができる
が、好ましくは繊維太さの管理や極細繊維の安定性か
ら、上記極細繊維発生型繊維を経由する方法である。
【0019】極細繊維を構成する樹脂としては、特に限
定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、さらにこれらを主体とする共重合ポリエステル
等の芳香族ポリエステル類や、ナイロン−6,ナイロン
−66,ナイロン−610等のポリアミド類、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類などの公知
の樹脂から選ばれたポリマーが挙げられる。なかでも、
上記芳香族ポリエステル類や、ポリアミド類が天然皮革
調の人工皮革が得られ、さらに染色性も優れていること
などの点で好ましい。また、これらの樹脂には、紡糸の
際の安定性を損なわない範囲で、カーボンブラック等の
着色剤を添加してもよい。
【0020】また極細繊維発生型繊維を構成する抽出除
去または分解除去される樹脂成分の例としては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ス
チレン−アクリル系モノマー共重合体、スチレン−エチ
レン共重合体等のポリマーから選ばれた少なくとも1種
のポリマーが挙げられる。なかでも、ポリエチレンやポ
リスチレンまたはこれらを主体とする共重合体等が抽出
の容易さの点で好ましい。
【0021】次に上記極細繊維または極細繊維発生型繊
維を用いて基材を形成する方法について説明する。基材
を形成する方法としては、公知の方法、たとえば極細繊
維発生型繊維からなる絡合不織布を製造する工程、その
絡合不織布に弾性重合体溶液を含浸・凝固する工程、極
細繊維発生型繊維を極細繊維に変性する工程を順次行う
ことにより達成できる。もちろん極細繊維に変性する工
程と弾性重合体を含浸・凝固させる工程を逆転させても
よい。極細繊維発生型繊維を用いて絡合不織布を製造す
る方法としては、極細繊維発生型繊維を、従来公知の方
法により、紡糸、延伸、熱固定、捲縮、カット等の処理
を行って、同繊維の原綿を作製し、かかる原綿を、カー
ドで解繊し、ウェーバーでランダムウェブまたはクロス
ラップウェブに形成する。得られたウェブを必要に応じ
て積層し、所望の重さにする。ウェブの重さは目的とす
る最終的な用途分野に応じて適宜選択され、一般的に1
00〜3000g/m2の範囲が好ましい。また低コス
ト化などの目的で、必要とする重量の約2倍の絡合不織
布に弾性重合体溶液を含浸させた後にバンドナイフなど
により厚さ方向に分割することにより、効率よく1度に
2枚の基材を製造することもできる。ウェブの積層に次
いで公知の手段、たとえばニードルパンチング法や高圧
水流噴射法等を用いて絡合処理を施して、絡合不織布を
形成する。ニードルパンチング数及びニードルパンチン
グ条件は使用針の形状やウェブの厚みにより異なるが、
一般的には200〜2500パンチ/cm2の範囲で設
定するのがよい。
【0022】絡合不織布は、弾性重合体の含有処理に先
立って、必要に応じて熱プレスなどの公知の方法により
表面の平滑化処理を行うこともできる。絡合不織布を構
成する繊維が、たとえばポリエチレンを海成分とし、ポ
リエステルやポリアミドを極細の島成分とする多成分繊
維である場合には、熱プレスで海成分のポリエチレンを
融着させることによりきわめて表面平滑性に優れた絡合
不織布とすることが出来るので特に好ましい。また絡合
不織布を構成する繊維が一成分を溶解除去して極細繊維
に変性することのできる多成分繊維でない場合には、含
有させる弾性重合体が繊維に固着して風合いが硬くなる
ことを防止するために、含浸処理に先立ってポリビニル
アルコールなどの仮充填物質で繊維表面を覆っておき、
弾性重合体を付与した後に仮充填物質を除去することが
好ましい。また1成分を溶解除去することにより極細繊
維とすることができる多成分繊維の場合にも、絡合不織
布の段階で仮充填物質を付与することにより、より柔軟
なシートとすることができる。
【0023】次に絡合不織布に含有させる弾性重合体と
しては、公知のものが使用できるが、風合いの点からポ
リウレタン樹脂を用いることが好ましい。好ましいポリ
ウレタン樹脂としては、ソフトセグメントとして、ジオ
ールとジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と
を反応させて得られるポリエステル系ジオール、ポリラ
クトン系ジオール、ポリカーボネート系ジオール、ポリ
エーテル系ジオール等からなる群から選ばれた数平均分
子量が500〜5000の少なくとも1種類のポリマー
ジオールを使用し、これとジイソシアネート化合物と低
分子鎖伸長剤とを反応させて得られる、いわゆるセグメ
ント化ポリウレタンが挙げられる。
【0024】ソフトセグメントを構成する上記ジオール
化合物としては、耐久性あるいは皮革様の風合いの点で
炭素数6以上10以下の化合物が好ましく、たとえば、
3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオー
ルなどが挙げられる。ジカルボン酸の代表例としてはコ
ハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバ
チン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0025】ポリマージオールの数平均分子量が500
未満の場合には、柔軟性に欠け、天然皮革様の風合いが
得られないため好ましくない。またポリマージオールの
数平均分子量が5000を越える場合には、ウレタン基
濃度が減少するため柔軟性及び耐久性、耐熱性、耐加水
分解性においてバランスのとれた基体シートが得られに
くい。また低分子鎖伸長剤としては、たとえばエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、
ヘキサンジオール、N−メチルジエタノールアミン、エ
チレンジアミンなどの分子量が300以下の活性水素原
子を2個有する低分子化合物が挙げられる。また必要に
応じて、弾性重合体には、凝固調節剤、安定剤などを添
加してもよく、更に2種以上のポリマーを併用しても構
わない。さらに、カーボンブラックなどの着色剤を添加
してもよい。
【0026】絡合不織布に弾性重合体を含有させる方法
については特に限定されるものではないが、風合いのバ
ランスの点から絡合不織布に弾性重合体溶液を直接含浸
させ、必要によりマングルで絞る方法や、弾性重合体溶
液をコーターでコーティングしながらしみ込ませる方法
などが好ましい。また天然皮革様の柔軟な風合いの点か
ら、シートを構成する繊維と弾性重合体との重量比率
は、30/70〜80/20の範囲が好ましく、更に好
ましくは40/60〜55/45の範囲内である。繊維
の比率が低くなりすぎると、皮革様シートがゴムライク
な風合いとなり好ましくなく、繊維の比率が高くなりす
ぎるとペーパーライクな風合いになるため、目標とする
天然皮革様の風合いが得られない。
【0027】絡合不織布に弾性重合体を含有させた後
に、弾性重合体及び極細繊維発生型繊維の島成分に対し
ては、非溶剤でかつ海成分に対しては溶剤または分解剤
として働く液体で処理することにより極細繊維発生型繊
維を極細繊維束に変成し、極細繊維絡合不織布と弾性重
合体からなるシートとする。もちろん、弾性重合体を含
有させるのに先立って、極細繊維発生型繊維を極細繊維
束に変成する方法を用いてシートとすることもできる。
【0028】得られた極細繊維の絡合不織布と弾性重合
体からなるシートは、必要に応じて起毛しても良い。起
毛は、バフ、整毛等、公知の方法により行うことができ
る。起毛処理は、表面の平滑性、均一性を向上させるの
に効果的であることから、実施するのがより好ましい。
起毛する毛羽長は、(a)たんぱく質粉末、(b)油状
物質、(c)油状物質の保持体、からなる配合物を塗布
した後の外観に影響するため、バフや整毛の条件、例え
ばバフに用いるサンドペーパーの番手や、削る速度、押
し当てる圧力等を選択することにより、適宜調整する。
立毛はシートの片面全面に存在していても、あるいは両
面全面に存在していても、あるいは片面あるいは両面の
一部にスポット状に存在していてもよい。
【0029】このようにして得られるシートは、折れし
わや、風合いをさらに天然皮革に近づけるべく、以下の
ような構造になっていてもよい。すなわち、シートを作
製する工程で、繊度の異なる繊維からなる不織布を2層
以上積層した後、弾性重合体を含浸することにより得ら
れるシートの裏と表で繊度が異なる構造を有するシート
や、繊度が異なること以外は同様の方法により得られる
シートを接着剤により貼合せた多層構造を有していても
良い。また、防水透湿機能を付与する目的で、例えば2
層以上の積層体から構成されたシートの表面層を除く少
なくとも1層が防水透湿性を有するフィルム状物である
多層構造になっていても良い。
【0030】本発明は、(a)たんぱく質粉末、(b)
油状物質、(c)油状物質の保持体、からなる配合物が
シートの少なくとも片面に存在することを特徴としてい
る。この場合、該配合物がフィルム状で存在していて
も、または、不連続に存在していてもよい。ここでいう
不連続とは、配合物が独立した点状、線状、または付着
斑状に塗布されている状態を表す。フィルム状で存在す
る場合、付与方法としては、乾式法により、離型紙上に
配合物のウエットからドライの適度な乾燥状態のフィル
ムを形成した後、シートに転写する方法や、グラビア法
において、ドクターナイフを用いずに塗布する方法など
が挙げられる。また、不連続に存在させる場合、その方
法としては、グラビア方式やスプレー方式等、公知の方
法を用いることができるが、該配合物を溶媒に溶解し
て、グラビアロールにより塗布する方法が塗布処理の際
の塗布量や、運転の安定性といった点で好適に用いられ
る。グラビアロールを用いる場合には、55〜200メ
ッシュが好んで用いられるが、目的のタッチを得るため
に複数回のグラビア塗布を行う場合もある。シート表面
に存在させる、(a)、(b)および(c)からなる配
合物の量としては、3〜30g/m2の範囲が皮革様シ
ートの柔軟な風合いと充実感のバランスの点で好まし
い。
【0031】該皮革様シートは、より柔軟性を高めるた
めに、柔軟剤を含浸または表面塗布したり、シルクタッ
チを裏面にも付与するために、シルクを例えば酵素分解
により、水溶化したものを、単独または柔軟剤とブレン
ドして含浸または裏面塗布したりすることができる。ま
た、機械的に揉む工程を単独あるいは先述した柔軟化、
シルクタッチ付与と組み合わせて用いてもよい。
【0032】以上のようにして得られた皮革様シートは
高級な天然皮革ライクなタッチを持つ素材として、手
袋、鞄、靴等の素材として有用である。
【0033】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例で説明する
が、本発明は、これら実施例に限定されるものではな
い。尚、実施例中の部はことわりのない限り、重量に関
するものである。また実施例中、外観、ウエット感、さ
らっと感は、皮革様シート表面の目視、触感により発明
者らが判定した。良好:○、普通:△、不良:×で表現
した。
【0034】製造例1 ナイロン−6とポリエチレンをチップの状態で50:5
0の重量比で混合して押し出し機により溶融紡糸を行い
ポリエチレンが海成分の海島状混合紡糸繊維を紡糸し、
延伸、捲縮、カットして4デニール、51mm長の短繊
維を作製し、ウエーバーでクロスラップを作りニードル
パンチング機を用いて700パンチ/cm2のニードル
パンチングを施して絡合不織布を得た。この繊維質シー
トにポリ3メチルペンタンアジペート/ポリエチレング
リコール共重合系ポリウレタン樹脂のジメチルホルムア
ミド溶液を含浸し、湿式凝固させた後、繊維の海成分で
あるポリエチレンを80度のトルエンで抽出し、目付1
70g/m2、厚み0.45mm、繊維とポリウレタン樹
脂との比率が75/25の基体を得た。得られた基体の
ナイロン極細繊維の繊度は、0.007デニールであっ
た。得られた基体の片面をサンドペーパーにてバフして
該ナイロン極細繊維からなる立毛表面を有した立毛シー
トを得た。
【0035】実施例1、2、3 平均粒子径7ミクロンのシルクパウダー(トスコ株式会
社製)、パラフィン系オイル(PW−90:出光興産
製)、スチレン−(イソプレン/ブタジエン)−スチレ
ンのトリブロック共重合体の水素添加物(セプトン40
55:クラレ製)を2/8/1、3/5/1、3/10
/1となるように配合した3種の溶液を作製した。作製
方法としては、共重合体の水素添加物をトルエンに溶解
して固形分3%の溶液を作製し、そこにシルクパウダ
ー、オイルの順にブレンドし、配合物溶液を得た。配合
物溶液は、製造例で得られた立毛シートの立毛面に、1
50メッシュのグラビアロールで塗布した。塗布量はウ
エットの塗布量で25g/m2であった。得られた皮革
様シートは、いずれもしっとりとしたウエット感とべた
つきのないさらっと感を有しており、高級な天然皮革の
タッチに酷似するものであった。
【0036】実施例4 平均粒子径7ミクロンのシルクパウダー(トスコ株式会
社製)、パラフィン系オイル(PW−90:出光興産
製)、スチレン−(イソプレン/ブタジエン)−スチレ
ンのトリブロック共重合体の水素添加物(セプトン40
33:クラレ製)を1/2/1の量で配合した溶液を作
製した。溶液は、共重合体の3%溶液を作成後、シルク
パウダー、オイルをブレンドしたため、固形分濃度は1
1%であった。配合物溶液は、離型紙上に50g/m2
エットで塗布し、その直後に製造例で得られた立毛シー
トの立毛面に転写した。乾燥後に離型紙をはがし、皮革
様シートを得た。得られた皮革様シートは、表面に厚さ
5ミクロン程度の薄いシート状の層を有した構造をして
おり、しっとりとしたウエット感とべたつきのないさら
っと感を有しており、高級な天然皮革のタッチに酷似す
るものであった。
【0037】比較例1 製造例で得られた立毛シートに何も塗布せず評価した。
柔軟性は良好であるが、ウエット感はなく、立毛面その
ものが有するさらっと感はあるが、本発明で表現するシ
ルクタッチのさらっと感とは異なるものであった。
【0038】比較例2、3、4 実施例1に示した配合物を構成する、シルクパウダー、
パラフィン系オイル、スチレン−(イソプレン/ブタジ
エン)−スチレンのトリブロック共重合体の水素添加物
のうち、シルクパウダーを除いたもの(比較例2)、パ
ラフィン系オイルを除いたもの(比較例3)、トリブロ
ック共重合体の水素添加物を除いたもの(比較例4)を
調整した以外は、同様の方法により皮革様シートを得
た。得られた皮革様シートは、それぞれ、さらっと感が
得られない、ウエットが得られない、オイルがブリード
して、手で触れるとオイルが手に付着する等の問題点が
あった。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明の皮革様シートは、極細繊維から
なる絡合不織布に弾性重合体が含有されてなるシートの
少なくとも片面に、(a)たんぱく質を主成分とする粉
末、(b)30℃における粘度が50〜100000m
Pa・sの油状物質、(c)油状物質(b)の保持体、
からなる配合物が存在していることを特徴とすることに
より、しっとりとしたウエット感とそれでいてべたつき
感のないさらっと感を兼ね備えたタッチを有しており、
高級な天然皮革からなる製品と同等の高級感あるタッチ
を有した製品が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F055 AA02 BA12 CA18 DA07 DA09 EA05 EA12 EA24 EA30 FA04 FA15 FA21 GA02 HA04 HA20 4L033 AA08 AB07 AC11 AC15 BA01 CA08 CA13 CA50 CA51 CA68

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極細繊維からなる絡合不織布に弾性重合体
    が含有されてなるシートの少なくとも片面に、(a)た
    んぱく質を主成分とする粉末、(b)30℃における粘
    度が50〜100000mPa・sの油状物質、(c)
    該油状物質(b)の保持体、からなる配合物が存在して
    いることを特徴とする皮革様シート。
  2. 【請求項2】(a)の平均粒子径が0.1〜20ミクロ
    ンである請求項1記載の皮革様シート。
  3. 【請求項3】(c)が、ビニル芳香族化合物からなる重
    合体ブロックAおよび共役ジエンからなる重合体ブロッ
    クBを有するブロック共重合体、またはその水素添加物
    である請求項1記載の皮革様シート。
  4. 【請求項4】(a)と(c)の重量比が10/1〜1/
    5である請求項1記載の皮革様シート。
  5. 【請求項5】(b)と(c)の重量比が1/1〜20/
    1である請求項1記載の皮革様シート。
  6. 【請求項6】(a)が、シルクパウダーである請求項1
    記載の皮革様シート。
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