JP2002302739A - 内燃機関用鋼製ピストンリング - Google Patents

内燃機関用鋼製ピストンリング

Info

Publication number
JP2002302739A
JP2002302739A JP2001107991A JP2001107991A JP2002302739A JP 2002302739 A JP2002302739 A JP 2002302739A JP 2001107991 A JP2001107991 A JP 2001107991A JP 2001107991 A JP2001107991 A JP 2001107991A JP 2002302739 A JP2002302739 A JP 2002302739A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston ring
internal combustion
combustion engine
steel
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001107991A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshikatsu Nakamura
義勝 中村
Shuji Samejima
修二 鮫島
Tsukane Hirase
束 平瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Piston Ring Co Ltd
Original Assignee
Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Piston Ring Co Ltd filed Critical Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority to JP2001107991A priority Critical patent/JP2002302739A/ja
Publication of JP2002302739A publication Critical patent/JP2002302739A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 合口部、コーナー部等に多発する欠けを防止
できる、耐欠け性に優れた内燃機関用鋼製ピストンリン
グを提供する。 【解決手段】 基地組織を、ベイナイト相単独あるいは
ベイナイト相を主体とし、マルテンサイト相を面積率で
40%以下含有する組織とする鋼製ピストンリングとす
る。組成を、C:0.5 〜1.0 %、Si:1.0 %以下、Mn:
2.0 %以下、Cr:1.0 〜20.0%、Mo:0.5 〜2.0 %を含
有し、あるいはさらにNi:3.0 〜8.0 %および/または
V:0.5 %以下を含有する組成とすることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関用ピスト
ンリングに係り、とくに、表面硬化処理層の耐欠け性の
改善に関する。
【0002】
【発明の属する技術分野】近年、地球環境の保全という
観点から、自動車車体の軽量化が要望されている。この
ため、最近の内燃機関では、軽量化と、燃費の向上と、
排ガス規制を満足することが要求されている。このよう
な内燃機関の動向にしたがい、内燃機関用ピストンリン
グも、形状面や材質面から種々の改良が進められてい
る。形状面では厚さをできる限り薄くし、一方、材質面
では、鋳鉄製からステンレス鋼製へと改善されてきてい
る。
【0003】内燃機関用ピストンリングは、通常、2本
の圧力リングと一本のオイルリングとから構成されるこ
とが多い。面圧が高く厳しい使用環境下で使用される第
一圧力リング(トップリング)には、従来から、鋳鉄製
リングに硬質Crめっきを施して使用されてきた。最近で
は、軽量化や、耐摩耗性、耐スカッフ性向上のために、
Siを高めたSi-Cr 鋼や、Crを11%以上に高めたマルテン
サイト系ステンレス鋼等を用いた鋼製ピストンリングが
指向され、表面に窒化処理、硬質Crめっき等の表面硬化
処理が施されて使用されるようになってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような鋼製ピスト
ンリングの組織は、高硬度の確保と耐摩耗性向上の観点
から、基地組織を焼戻しマルテンサイトとし基地中に硬
質の炭化物を分散させた組織を基本としてきた。このよ
うな組織を有する鋼製ピストンリングの外周面、摺動面
に、耐スカッフ性、耐摩耗性をさらに向上させるため、
窒化処理等の表面硬化処理が施されている。
【0005】しかしながら、上記したような窒化処理等
の表面硬化処理を施された鋼製ピストンリングでは、合
口部、コーナー部等に欠けが多発し、合格率が低下する
という問題があった。本発明は、上記した従来技術の問
題を有利に解決し、合口部、コーナー部等に多発する欠
けを防止できる、耐欠け性に優れた内燃機関用鋼製ピス
トンリングを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を達成するために、合口部、コーナー部等における
欠けの発生に及ぼす要因について鋭意検討した。その結
果、ピストンリング材の基地組織をマルテンサイト主体
からベイナイト主体とすることにより、上記したピスト
ンリングの欠け発生を防止できることに想到した。
【0007】基地組織を、焼戻しマルテンサイトとベイ
ナイトとの混合にすることについては、特開平2−3042
67号公報に、C:0.5 〜2.0 %、Si:1.0 〜3.0 %、M
n:0.3 〜1.5 %を含み残部がFeおよび不純物からなる
組成の鋼製で、基地組織中に長手方向に略長細形状の黒
鉛および/または炭化物を、0.5 〜15%分散してなる鋼
製ピストンリングが開示されている。しかしながら、特
開平2−304267号公報に記載された技術では、基地組織
は依然として焼戻しマルテンサイトを主体としており、
焼戻しマルテンサイト単相かあるいは焼戻しマルテンサ
イトとベイナイトとの混合組織を意図しているにすぎ
ず、窒化処理等の表面硬化処理を施すと、依然としてコ
ーナー部、合口部等で欠けが多発する。
【0008】本発明者らは、種々の実験の結果、窒化処
理等の表面硬化処理を施したピストンリングに発生する
「欠け」は、窒化処理時に拡散層内に形成されるすじ状
の炭窒化物M3(CN)に起因することを見いだした。そし
て、基地組織をベイナイト主体とすることにより、マル
テンサイト主体の組織に比較して、拡散層内の炭窒化物
M3(CN)の形成が抑制されるという知見を得た。
【0009】本発明は、上記した知見に基づき、さらに
検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明
は、内燃機関用ピストンリングであって、ベイナイト相
単独あるいはベイナイト相を主体としマルテンサイト相
を面積率で40%以下含有する基地組織を有することを特
徴とする耐欠け性に優れた内燃機関用鋼製ピストンリン
グであり、また、本発明では、前記した基地組織に加
え、質量%で、C:0.5〜1.0 %、Si:1.0 %以下、M
n:2.0 %以下、Cr:1.0 〜20.0%、Mo:0.5 〜2.0 %
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を
有することが好ましく、また、本発明では、前記組成に
加えて、さらに質量%で、Ni:3.0 〜8.0 %および/ま
たはV:0.5 %以下を含有することが好ましい。
【0010】また、本発明では、前記基地組織中に炭化
物を面積率で、1〜20%分散させることが好ましく、ま
た、本発明では、少なくとも摺動面に硬化処理層を有す
ることが好ましい。更にまた、本発明では、前記硬化処
理層の上にPVD処理層を有することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の内燃機関用ピストンリン
グは、ベイナイト相単独あるいはベイナイト相を主体と
する基地組織を有する。基地組織をベイナイト相単独あ
るいはベイナイト相を主体とすることにより、靭性に富
む組織となるとともに、窒化処理等の表面硬化処理時に
拡散層内のすじ状の炭窒化物M3(CN)の形成が抑制され、
硬化層での欠けの発生を防止できる。
【0012】なお、本発明でいう「ベイナイト相を主体
とする」とは、ベイナイト相が面積率で50%以上存在す
る状態をいうものとする。本発明のピストンリングの基
地組織は、主相であるベイナイト以外に、面積率で40%
以下の焼戻しマルテンサイトを含有してもよい。焼戻し
マルテンサイトの含有量が面積率で40%を超えると、窒
化処理等の表面硬化処理時に拡散層内にすじ状の炭窒化
物M3(CN)が多量に形成され、コーナー部、合口部等で欠
けを多発する。このため、本発明では、焼戻しマルテン
サイトを含有する場合には、その含有量を面積率で40%
以下に限定した。
【0013】また、本発明のピストンリングは、前記し
た基地組織に加え、質量%で、C:0.5 〜1.0 %、Si:
1.0 %以下、Mn:2.0 %以下、Cr:1.0 〜20.0%、Mo:
0.5〜2.0 %を含有し、あるいはさらにNi:3.0 〜8.0
%および/またはV:0.5 %以下を含有し、残部Feおよ
び不可避的不純物からなる組成を有する。以下、組成に
おける%は、質量%を意味するものとする。
【0014】C:0.5 〜1.0 % Cは、固溶強化により鋼材の硬さ、強度を増加させると
ともに、炭化物を形成し耐摩耗性を向上させる元素であ
り、本発明では0.5 %以上の含有を必要とする。一方、
1.0 %を超えて含有すると、粗大な炭化物が多量に形成
されやすく、加工性が低下するとともに、相手攻撃性が
増加する。このため、Cは0.5 〜1.0 %の範囲に限定し
た。なお、好ましくは0.5 〜0.8 %である。
【0015】Si:1.0 %以下、 Siは、脱酸剤として作用するとともに、強度を増加させ
る元素であり、本発明では0.2 %以上含有することが好
ましいが、1.0 %を超えて含有すると、加工性を低下さ
せる。このため、Siは1.0 %以下に限定した。なお、好
ましくは0.2 〜0.7 %である。
【0016】Mn:2.0 %以下 Mnは、脱酸剤として作用するとともに、強度を増加さ
せ、熱間加工性を向上させる元素であり、0.2 %以上含
有することが好ましい。一方、2.0 %を超えて含有する
と、加工性が低下する。このため、Mnは2.0 %以下に限
定した。なお、好ましくは0.2 〜1.6 %である。
【0017】Cr:1.0 〜20.0% Crは、耐食性、耐酸化性を向上させるとともに、焼入れ
性を増加し、ベイナイト相の形成を容易とする作用を有
しており、本発明では基地組織をベイナイト相あるいは
ベイナイト相を主体とするために、1.0 %以上の含有を
必要とする。一方、20.0%を超える含有は、粗大な炭化
物が形成され強度が低下する。このため、Crは1.0 〜2
0.0%に限定した。なお、好ましくは、5.0 〜18.0%で
ある。
【0018】Mo:0.5 〜2.0 % Moは、耐摩耗性、耐熱性を向上させるとともに、焼入れ
性を増加し、ベイナイト相の形成を容易とする作用を有
しており、本発明では基地組織をベイナイト相あるいは
ベイナイト相を主体とするために、0.5 %以上の含有を
必要とする。一方、2.0 %を超えて含有しても効果が飽
和し含有量に見合う効果が期待できない。このため、Mo
は0.5 〜2.0 %に限定した。なお、好ましくは、0.5 〜
1.5 %である。
【0019】Ni:3.0 〜8.0 % Niは、鋼材の強度、靭性を高めるとともに、焼入れ性を
増加し、ベイナイト相の形成を容易とする効果を有し、
必要に応じ含有できる。このような効果は、3.0 %以上
の含有で顕著となるが、8.0 %を超えて含有しても効果
が飽和し、含有量に見合う効果が期待できないため、経
済的に不利となる。このため、Niは3.0〜8.0 %に限定
することが好ましい。なお、より好ましくは、4.0 〜7.
0 %である。
【0020】V:0.5 %以下 Vは、炭化物を形成し鋼材の強度、耐摩耗性を向上させ
る元素であり、必要に応じ含有できる。このような効果
は、0.1 %以上の含有で顕著となるが、0.5 %を超えて
含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待で
きないため、経済的に不利となる。このため、Vは0.5
%以下に限定することが好ましい。なお、好ましくは、
0.1 〜0.3 %である。
【0021】残部Feおよび不可避的不純物 上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物で
ある。不可避的不純物としては、P:0.04%以下、S:
0.04%以下が許容できる。次に、本発明のピストンリン
グの好ましい製造方法について説明する。上記した組成
の鋼材(線材)を、熱処理によりベイナイト単独、ある
いはベイナイト相を主体としマルテンサイト相を40%以
下含有する組織の鋼材とすることが好ましい。好ましい
熱処理としては、Ac3変態点またはAc m 変態点以上に
加熱したのち、250 〜500 ℃の温度範囲内に所定の時間
保持する等温変態させるか、あるいは急速の冷却速度で
300 ℃以下まで連続冷却することが好ましい。その後、
所定の線材硬さを得る為の焼戻しを施す。
【0022】上記したような熱処理を施し、ベイナイト
単独、あるいはベイナイト相を主体とする組織の鋼材
(線材)としたのち、通常公知の製造工程で、所定形状
に加工される。その後、必要に応じ、少なくとも摺動面
に窒化処理、あるいは外周面に硬質Crめっき等の表面硬
化処理を施されて、製品とされる。なお、本発明のピス
トンリングは、第一圧力リングとして好適であるが、第
2圧力リングとして使用しても何ら問題はない。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、コーナ
ー部や合口部での欠け発生が防止あるいは抑制され、生
産効率が向上するとともに、合格率も向上し、製造コス
トの高騰を抑制できるという、産業上格段の効果を奏す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16J 9/26 F16J 9/26 Z (72)発明者 平瀬 束 埼玉県与野市本町西5−2−6 日本ピス トンリング株式会社与野工場内 Fターム(参考) 3J044 AA01 AA02 AA18 BA01 BB05 BB39 BC06 CB00 DA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関用ピストンリングであって、ベ
    イナイト相単独あるいはベイナイト相を主体としマルテ
    ンサイト相を面積率で40%以下含有する基地組織を有す
    ることを特徴とする耐欠け性に優れた内燃機関用鋼製ピ
    ストンリング。
  2. 【請求項2】 質量%で、 C:0.5 〜1.0 %、 Si:1.0 %以下、 Mn:2.0 %以下、 Cr:1.0 〜20.0%、 Mo:0.5 〜2.0 % を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を
    有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用鋼
    製ピストンリング。
  3. 【請求項3】 前記組成に加えて、さらに質量%で、N
    i:3.0 〜8.0 %および/またはV:0.5 %以下を含有
    することを特徴とする請求項2に記載の鋼製ピストンリ
    ング。
  4. 【請求項4】 前記基地中に炭化物を面積率で、1〜20
    %分散させたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機
    関用鋼製ピストンリング。
  5. 【請求項5】 少なくとも摺動面に硬化処理層を有する
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の
    内燃機関用鋼製ピストンリング。
  6. 【請求項6】 外周面にPVD処理層を有することを特
    徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の内燃機関
    用鋼製ピストンリング。
JP2001107991A 2001-04-06 2001-04-06 内燃機関用鋼製ピストンリング Pending JP2002302739A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001107991A JP2002302739A (ja) 2001-04-06 2001-04-06 内燃機関用鋼製ピストンリング

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001107991A JP2002302739A (ja) 2001-04-06 2001-04-06 内燃機関用鋼製ピストンリング

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002302739A true JP2002302739A (ja) 2002-10-18

Family

ID=18960216

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001107991A Pending JP2002302739A (ja) 2001-04-06 2001-04-06 内燃機関用鋼製ピストンリング

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002302739A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2092089B1 (en) Austempered ductile iron, method for producing this and component comprising this iron
JP5345316B2 (ja) 高硬度耐磨耗性耐食性鋳鉄材
JP2008510071A (ja) ピストンリング用の鋳鉄材
JP4047499B2 (ja) 耐ピッチング性に優れた浸炭窒化部品
JPH0431018B2 (ja)
JP3033349B2 (ja) 耐ピッチング性に優れた浸炭鋼部品
JP3452354B2 (ja) ピストンリング用マルテンサイト系ステンレス鋼及びピストンリング用異形線
JP2005220423A (ja) Ti含有肌焼き鋼
JP2894184B2 (ja) 軟窒化用鋼
JPS5916949A (ja) 軟窒化用鋼
JP3468126B2 (ja) 冷間加工性にすぐれたマルテンサイト系耐熱鋼
JPS63223147A (ja) ピストンリング用線材
JP2002302739A (ja) 内燃機関用鋼製ピストンリング
JPH07188895A (ja) 機械構造用部品の製造方法
JPH0617225A (ja) 転動疲労性に優れた浸炭軸受部品
JPH0254416B2 (ja)
JPS6160861A (ja) 鋼製ピストンリング用材料
JPS62136555A (ja) 高疲労強度耐摩耐食部品用鋼線
JP2981899B2 (ja) ピストンリング材
US7828910B2 (en) Method and process for thermochemical treatment of high-strength, high-toughness alloys
JPH0447023B2 (ja)
JP2866868B2 (ja) ピストンリング材
JP7310723B2 (ja) 鋼部品およびその製造方法
JPH0227408B2 (ja)
JP2002194492A (ja) 高硬度部品