JP2002300007A - サンプリング周波数変換装置 - Google Patents

サンプリング周波数変換装置

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JP2002300007A
JP2002300007A JP2001100649A JP2001100649A JP2002300007A JP 2002300007 A JP2002300007 A JP 2002300007A JP 2001100649 A JP2001100649 A JP 2001100649A JP 2001100649 A JP2001100649 A JP 2001100649A JP 2002300007 A JP2002300007 A JP 2002300007A
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Masahito Adachi
雅人 足立
Hideki Omori
秀樹 大森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サンプリング周波数変換装置に関し、特に複
数のサンプリング周波数に対応し、演算量やデータ量に
制約のある用途に適したサンプリング周波数変換装置を
提供する。 【解決手段】 デジタル音響信号データのサンプリング
周波数変換装置であって、デジタル音響信号データの帯
域制限を行なうIIR型フィルタと、デジタル音響信号
データのサンプリング周波数を多項式補間によって所定
のサンプリング周波数に変換する多項式補間部と、サン
プリング周波数変換による入出力位相間の対応関係を維
持すべく、変換前のサンプリング周波数と変換後のサン
プリング周波数とにより定まる所定周期毎に前記入出力
位相を初期化する位相管理部と、を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はサンプリング周波数
変換装置に関し、特にサンプリング周波数が異なる複数
の変換対象の間において、雑音の発生を低減し且つ演算
量や保持するデータ量が制約される用途に利用されるサ
ンプリング周波数変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】音声信号をデジタルデータ化する際、サ
ンプリング周波数を上げで帯域を広げることで高音質化
が可能であるが、その一方でサンプリングによるデータ
量が増加する。そのため、例えば音楽用CDは44.1
KHz、DATは48KHz、携帯電話の通話用音声コ
ーデックは8KHzというように、それぞれの音声信号
に要求される用途や品質等に応じてサンプリング周波数
を変えることが一般的に行われている。
【0003】ところで、上記のような複数のサンプリン
グ周波数の再生系を各別に用意することなく、一つの再
生系で再生したり又は別の再生系に合わせたデータへ再
編成するために、従来から「サンプリングレートコンバ
ータ」と呼ばれる音声信号のサンプリング周波数変換装
置が用いられてきた。
【0004】サンプリング周波数変換装置は、あるサン
プリング周波数でデジタルデータ化された音声信号デー
タ列を、再生側のサンプリング周波数の1/2の周波数
(ナイキスト周波数)で帯域制限し、さらに補間や間引
き(デシメーション)等の処理を行なって再生側のサン
プリング周波数に応じた音声信号データ列を生成する装
置である。
【0005】なお、サンプリング周波数変換装置は単体
の装置としても実現されているが、他の機能を持つ装置
の一機能として、例えばパーソナルコンピュータのアプ
リケーションプログラムの一部や音声録音機器の機能の
一部としても実現されている。
【0006】サンプリング周波数の変換(以下「Fs変
換」と言う)における基本的な手法としては、アップサ
ンプリングの際にインターポーレータ等を用いて「0」
値補間と平滑フィルタリングとによりm倍のサンプリン
グ周波数に変換することや、ダウンサンプリングの際に
はデシメータ等を用いた帯域制限及び間引き処理によっ
てn分の1のサンプリング周波数に変換することが行な
われる。
【0007】例えば、入出力周波数の比が簡単な整数比
(1:n)からなるアップサンプリングの場合には、各
元データ(入力データ)の間にn−1個の「0」値を挿
入した後に入力サンプリング周波数(Fs)のナイキス
ト周波数でローパスフィルタをかけることでFs変換を
行なう。
【0008】一方、入出力周波数の比が簡単な整数比
(n:1)からなるダウンサンプリングの場合には、ロ
ーパスフィルタをかけた後の入力データからn個おきに
サンプルを採取することでFs変換が行なわれる。一例
として、Fs=48KHzから24KHz への変換で
は帯域を1/2に制限するローパスフィルタをかけた後
に1/2にデシメーションすればよい。
【0009】また、上記手法を多段に組み合わせること
によってm:nの有理数比でサンプリング周波数の変換
を行うことも可能である。この場合のフィルタとして
は、一般に線形位相特性に優れることや間引きに対応す
るサンプルの演算を省略できるという特徴を備えたFI
Rフィルタが用いられる。
【0010】図1は、48KHzから44.1KHzへ
Fs変換する一例を示したものである。図1において、
先ずインターポーレータ10によりサンプリング周波数
を21倍にオーバーサンプリングして(48×21=1
008KHz)、それをローパスフィルタ11及びデシ
メータ12によって20分の1にデシメーションする
(1008÷20=50.4KHz)。
【0011】さらに、インターポーレータ13によりサ
ンプリング周波数を7倍にオーバーサンプリングして
(50.4×7=352.8KHz)、それをローパス
フィルタ14及びデシメータ15によって8分の1にデ
シメーションする(352.8÷8=44.1KHz)
ことで所望のサンプリング周波数44.1KHzのデー
タ列に変換される。
【0012】また、アップサンプリングの手法として、
オーバーサンプリングしたFIRフィルタと直線補間と
を用いる手法がある。図2には、その一例として64倍
にオーバーサンプリングしたFIRフィルタと直線補間
とを用いた場合を示している。図2の(a)の右側に示
すように、入力データ列i4(n=0)の近傍を拡大す
ると、その前後にオーバーサンプリングされて入力サン
プリング周期Tの64分の1の時間間隔を有する2つの
FIR係数fk(k=64×4+x、k=64×4+x
+1)が存在する。
【0013】ここで、xは前記ずれτを64で除算した
整数部の値であり、入力データ列i4に直接対応するF
IR係数fk(k=64×4)からx番目のFIR係数
fk(k=64×4+x)であることを示す。また、m
は前記ずれτを64で除算した少数部の値(0m<
1)である。
【0014】図示するように、入力データ列i4は、2
つのFIR係数値fk(k=64×4+x、k=64×
4+x+1)の間にあり、その正確な位置はそれらを内
分する比(m:1−m)で与えられることから、入力デ
ータ列i4のFIR係数値(k4で示す)は前記2つの
FIR係数値fkを値mに応じて直線補間することによ
り求められる。図2の(b)には、上記手法により入力
データ列inと直線補間により求めた対応するFIR係
数とを用いて正確な出力Qnを得る式を示している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図1の
手法によれば、48KHzから44.1KHzへ変換す
る際に、21倍→1/20倍→7倍→1/8倍というオ
ーバーサンプリングとデシメーションが必要となり、ロ
ーパスフィルタもそれらの各段において用いなければな
らなかった。
【0016】その結果、変換比を多種類用意し、デシメ
ートの間引き数やインターポレートの「0」値挿入個数
を決定し、必要ならそれらの順序を変える、等の係数設
計に要する時間が増大し、またそれを実現する回路規模
も大きくなる等、処理コストが上昇するという問題があ
った。
【0017】この場合、1回のオーバーサンプリング
(441倍)と1回のデシメーション(480分の1)
で処理することも考えられるが、本例のように変換比が
有理数であってその分子及び分母の値が大きくなると、
処理の途中でFsが非常に高くなってそれを処理するD
SP等の時間当たりの演算量が大幅に増大するという問
題があった。これを回避するため、結局は図1の例で示
したように多段階のインターポレートとデシメートの処
理を繰り返す必要があった。
【0018】また、図2の手法によるFIRフィルタを
用いた補間では、次数×オーバーサンプリング比だけの
係数を必要とするため、非常に多くの係数メモリを必要
とし、入出力Fs比が異なればそのたびに係数を計算し
なおす必要がある等の問題があった。図2の例でいえ
ば、FIRの点数が7でオーバーサンプリングが64倍
であるため、448点もの係数を算出して保持する必要
があった。
【0019】図8には、代表的なオーディオ信号のサン
プリング周波数(Hz)とそれら任意の組合せによる入
出力サンプリング周波数の変換比r=入力Fs/出力F
sを示している。例えば、入力サンプリング周波数が9
600Hzで出力サンプリング周波数が4800Hzの
場合の変換比はr=2である。なお、図中で各太線枠内
の各々の変換比rの値は、隣接する斜め下方の太線枠内
の各々の値と同じくなる。従って、変換を行わないr=
1の場合を除いて全ての組合せにおいて48種類もの変
換比rの値が存在する。
【0020】オーディオデータを処理し再生する際に
は、1種類のサンプリング周波数のみに対応して入力が
固定されており、それに使用するDAコンバータも決ま
っているような場合には、従来のオーバーサンプリング
とFIRフィルタを用いた処理で実行可能である。
【0021】すなわち、特定のサンプリング周波数に対
応したDA変換器、帯域制限フィルタ等を用いてAD変
換を行いアナログ信号を介してデータ変換を行うか、固
定された係数を有するFIR型フィルタを用いて帯域制
限及び補間を行うか、さらには直線補間を施す等の処理
が可能である。
【0022】しかしながら、オーディオデータ再生処理
を行うDSPなどでソフトウェア的に信号を処理する場
合は、図8に示したように入力として受け付けるフォー
マットを出来るだけ広範囲なものとし、入力データのサ
ンプリング周波数を固定しない方が望ましい。特に、こ
のようなDSPはMP3プレーヤーや携帯電話等のさま
ざまな機器に搭載される場合がある。
【0023】このような機器では、一般に音質に対する
要求の差や目的の差に応じて、さまざまなサンプリング
周波数のDAコンバータが使用されており、上記DSP
をこれらの機器に搭載できるようにするためにも、種々
の入出力サンプリング周波数の比に対応でき、プログラ
ムの構造や係数の変更が少なくて済むサンプリング周波
数変換装置を低演算量で実現することが望ましい。
【0024】なお、FIR型フィルタを用いて帯域制限
と補間を行う方法は例えば、パーソナルコンピュータや
ワークステーションでデータ変換を行う場合など、計算
資源の制約が少ない場合や変換すべきサンプリング周波
数の種類が少ない場合には依然有効である。
【0025】そこで本発明の目的は、上記種々の問題点
に鑑み、異なるサンプリング周波数のデータ変換を全て
DSP等を用いたデジタル形式で処理するサンプリング
周波数変換装置を提供することを目的とする。これによ
り、アナログ信号を介してデータ変換を行う場合の外来
雑音の影響を除去し、複数のサンプリング周波数に対応
させた場合の部品点数の増加が防止される。従って、携
帯電話機等の小型化が要求される機器への組み込む用途
にも適用し得る。
【0026】また本発明の目的は、IIR型フィルタを
用いて帯域制限を行い且つ多項式補間を行なうサンプリ
ング周波数変換装置を提供することを目的とする。これ
により、FIR型フィルタと「0」値挿入とを用いた畳
み込み演算による補間方式における演算量や係数データ
数の増大が防止される。
【0027】さらに本発明の目的は、位相データが有限
語長であるために生ずる変換前と変換後のサンプリング
周波数比に基づく位相誤差の累積加算を防止したサンプ
リング周波数変換装置を提供することを目的とする。こ
れにより、位相加算を繰り返すことで発生するノイズが
低減される。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、デジタ
ル音響信号データのサンプリング周波数変換装置であっ
て、デジタル音響信号データの帯域制限を行なうIIR
型フィルタと、デジタル音響信号データのサンプリング
周波数を多項式補間によって所定のサンプリング周波数
に変換する多項式補間部と、を備えるサンプリング周波
数変換装置が提供される。
【0029】前記サンプリング周波数変換装置は、サン
プリング周波数変換による入出力位相の誤差を所定範囲
内に収めるために、変換前のサンプリング周波数と変換
後のサンプリング周波数とにより定まる所定周期毎に前
記入出力位相を初期化する位相管理部を有し、前記位相
管理部は前記入出力位相の初期化において前記出力位相
に対応する隣接入力位相間の位置を示す位相データを初
期化する。
【0030】また、本発明によれば、デジタル音響信号
データのサンプリング周波数変換における位相管理装置
であって、デジタル音響信号データのサンプリング周波
数変換による入出力位相間の対応関係を維持すべく、変
換前のサンプリング周波数と変換後のサンプリング周波
数とにより定まる所定周期毎に、前記入出力位相間の累
積位相誤差であって所定値以下のものを初期化する位相
管理装置が提供される。
【0031】
【発明の実施の形態】図3は、本発明によるサンプリン
グ周波数変換装置の基本構成を示したものである。図3
の(a)はダウンサンプリングの構成例を、そして図3
の(b)はアップサンプリングの構成例をそれぞれ示し
ている。ダウンサンプリングとアップサンプリングとで
は、IIRフィルタ20、23と2次多項式補間部2
1,23との位置が逆転している。これは前者が高いサ
ンプリング周波数の入力データ列から事前に高周波雑音
成分を除去することで、ダウンサンプリングの際に発生
する折り返し雑音を未然に防止しておく必要があるから
である。一方、後者は低いサンプリング周波数の入力デ
ータ列をアップサンプリングした後の高いサンプリング
周波数の出力データ列により発生する折り返し雑音を防
止する必要があるからである。
【0032】本発明によるサンプリング周波数変換装置
では、IIR型フィルタ20、24を帯域制限フィルタ
として使用し、且つ畳み込み演算ではなく2次多項式補
間部21、23で多項式補間を行う。これにより、演算
量や係数データの数が従来例に比して顕著に減少し、そ
の結果携帯電話や玩具等の演算量や保持するデータ量に
制約のある用途にも十分適用し得るサンプリング周波数
変換装置が実現できる。
【0033】図4には、4次のバイカッド(Biqua
d)型フィルタで構成したIIRフィルタ20、24の
例を示している。このように、IIRフィルタ20、2
4としては一般に2次のバイカッド型IIRフィルタを
基本単位としてそれを多段に縦続接続(本例では2段縦
続接続)することで任意の次数のIIRフィルタが構成
される。一例として、従来のFIRフィルタで構成され
た7次のローパスフィルタと同等の特性を4次のIIR
フィルタで構成することができる。なお、図示したII
Rフィルタの構成自体は公知のものであり、ここではそ
の動作について説明しない。
【0034】帯域制限にIIRフィルタを使用すること
で、比較的少ないフィルタの次数で急峻な帯域制限特性
が得られ、また種々の用途に応じてフィルタの次数を容
易に増減可能となる。なお、IIRフィルタは線形位相
を有しないという理由から従来はサンプリングレートコ
ンバータに用いられることは少なかったが、一般のユー
ザがオーディオデータを聴取する場合に、IIRフィル
タによって信号波形に位相歪みが生じても、人間の聴覚
は位相遅延に敏感でないため問題とならない場合が多
い。また、電子楽器、携帯電話、玩具、簡易な音楽プレ
ーヤ等には厳密な特性を要求しない商品も多数存在して
おり、それらにIIRフィルタを用いる実益は大きいと
考えられる。
【0035】図5は、本発明による2次多項式補間部2
1、23の動作説明図である。図5において、入力タイ
ミングがn、n+1、及びn+2番目の3つのサンプル
値をそれぞれA,B,Cとした場合に、出力すべきタイ
ミングが入力タイミングnとn+1番目の間でそれを
m:1−mに内分する2次多項式補間の例を示してい
る。この時の出力値Yは、下記に示すmに関する2次式
多項式で求まる。 Y=A+(B−A)m+(A/2−B+C/2)(m−
1)m
【0036】図6には、直線補間、2次補間、及び3次
補間の各周波数特性の比較例を示している。Fsの変換
に際しては元のサンプルになかった点が補間されるた
め、それによる周波数成分の折り返し雑音が発生する。
以下では、1次補間(直線補間)、2次補間、及び3次
補間の各周波数特性を比較する。
【0037】図6において、従来の直線補間を用いる1
次補間(点線で示す)では、ナイキスト周波数のかなり
手前から減衰が開始され、通過帯域の平坦特性が満足で
きない。また、3次補間(細い実線で示す)の場合に
は、ナイキスト周波数までの周波数特性はフラットに近
く原音を損なわないが、図中の10ラジアン近傍特性の
ようにナイキスト周波数以上での減衰が十分とれなくな
り、折り返し雑音に対して不利となる。さらに、図から
は明確でないが通過帯域の肩近傍でゲインが1以上のオ
ーバーシュートが生ずる点にも注意する必要がある。
【0038】これらに対して、本発明による2次補間
(太い実線で示す)では、ナイキスト周波数付近の肩特
性は1次補間と3次補間との中間値となるが、3次補間
と比較してナイキスト周波数以上での減衰量(例えば、
10ラジアン近傍の減衰特性、等)が最も大きく、全体
としては原音の周波数特性を損なうことなく、折り返し
雑音を最小に設定することができる。また、当然に2次
補間処理に要するハードウェア資源や演算量は3次補間
処理のものより有利である。
【0039】このように、2次補間によれば、1次補間
及び3次補間よりも望ましい結果が得られる。すなわ
ち、2次多項式を用いたインターポレートを用いること
で、折り返し雑音の発生を最小限に押さえることがで
き、しかも原音の周波数特性を損なう程度が少ないとい
う効果が得られる。さらに、以降で説明する本発明の位
相管理を併用することで、多項式補間により任意の有理
数比の入出力サンプルレートに容易に対応できるという
顕著な効果も生ずる。
【0040】図7は、本発明による位相管理部22、2
5の動作原理を説明したものである。一般に、出力しよ
うとするサンプルの値を算出するためには、現在の出力
が入力サンプルのどの位置を補間して得られるのかを常
に把握しておく必要がある。そのため、本例では算出す
べき出力サンプルが処理の開始から何番めであるかを
「出力位相」と、そして入力サンプルが開始から何番め
であるかを「入力位相」と呼ぶ。
【0041】出力位相は整数を考えればよいが、ある出
力位相に対応する入力位相はサンプル周波数比によって
は小数となり得る。ここでは、入力位相が小数になった
場合にその整数部を「入力インデクス」、小数部を「内
分比」と呼ぶことにする。さらに、サンプリング周波数
変換比「r」をr=入力Fs/出力Fsと定義する。こ
れにより、入力位相は出力位相から入力位相=出力位相
×rで求まり、出力位相が1づつインクリメントして行
くに連れて、入力位相も単純な掛け算又は出力位相まで
のrの累積加算で求まることになる。
【0042】しかしながら、実際にはハードウェア資源
の制限等からサンプリング周波数変換比rは有限語長と
なり、出力位相の累積値が大きくなるにつれてrの誤差
が出力位相の値分だけ拡大される場合が生じ得る。後述
する出力巡回数が大きい場合の入力位相の算出において
は、この誤差が累積して行くと入力サンプル位置と出力
サンプル位置との間の正しい対応関係が取れなくなる場
合が生じる。
【0043】このような場合を回避するため、一般に入
力サンプリング周期と出力サンプリング周期の最小公倍
数(LCM)から成る周期毎に入出力位相値をリセット
する。それに対して本発明の位相管理では、前記最小公
倍数から成る周期を用いるよりも出力サンプル数によっ
てリセット時刻を管理する方が容易であるため、次の通
り「入力巡回数」と「出力巡回数」という概念を新に導
入する。
【0044】すなわち、入力Fsと出力Fsの最大公約
数(GCM)を求め、それにより入力巡回数=入力Fs
/GCM、そして出力巡回数=出力Fs/GCMと定義
する。この定義により、ある入力と出力のサンプルが同
時刻にスタートしたならば、出力サンプルが出力巡回数
に達した時点で入力サンプルが入力巡回数に達すること
になる。
【0045】語長制限の無い有理数のサンプル周波数変
換比rを用いた場合には、この時点で入力位相の値も整
数になる。しかしながら、実際にはサンプル周波数変換
比rの語長制限によって端数が生じるため、本発明では
入力位相の小数部が0.5を越えていなければこれを四
捨五入することにより誤差を排除する。
【0046】以降では、図7を参照して上述した本発明
による位相管理の一例について説明する。先ず、同時に
出力位相と入力位相を0にリセットして入出力位相を同
時刻にスタートさせる。ここでは、サンプル周波数変換
比r=0.666・・・、そして入力巡回数=3、及び
出力巡回数=2の場合を示している。
【0047】この場合、入力位相の誤差±αが最大にな
るのは出力が出力巡回数に達する時である。従って、誤
差の最大値|α|はサンプル周波数変換比rに含まれる
誤差×出力巡回数で与えられ、この場合の最大誤差は2
|α|となる。この誤差の値の絶対値が入力位相におい
て0.5未満であれば、入力サンプル位置と出力サンプ
ル位置との間の対応関係が崩れることはなく、それ以前
のリセットによって誤差の蓄積が回避できる。
【0048】例えば、先に示した図8のFs変換比の中
で、出力巡回数が最も大きいのは入力Fs=11025
Hz及び出力Fs=32000Hzのときである。この
時には前述した定義式からGCM=25、r=441/
1280であり、出力巡回数は1280となる。ここ
で、サンプル周波数変換比rを16ビット符号無し固定
小数点で表すと、その最下位ビットが誤差範囲となる。
一方、210<1280<211という関係から、誤差は最
下位から12ビット目までに収まることになる。
【0049】その結果、サンプル周波数変換比rを累積
加算して行く場合に、各小数部と整数部とをそれぞれ別
の変数として保持して各々の加算を16ビットの演算精
度で行い、且つそれに本発明によるリセット処理を併用
することによって、誤差の無い補間演算が保証される。
従って、出力巡回数が1280以下のFs変換、すなわ
ち図8の全てのFs変換、について、入出力バッファの
サイズの制約等や演算誤差の累積を考慮する必要がなく
なる。
【0050】このように、本発明による位相管理を用い
れば、サンプリング周波数変換前後のサンプリング周波
数に応じた周期で、位相データのうち少なくとも下位ビ
ットをリセットする機能によりノイズの発生が抑制さ
れ、入出力巡回数という概念の導入により入出力バッフ
ァのサイズによる制約のすくない位相管理が可能にな
る。
【0051】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、入
出力周波数比が変更された場合でも、IIRフィルタ係
数及び入出力巡回数のみを設定すればよく、各種製品へ
のサンプリング周波数変換器の導入が容易に実現され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のFs変換の一例を示した図である。
【図2】従来の別のFs変換の一例を示した図である。
【図3】本発明によるサンプリング周波数変換器の基本
構成を示した図である。
【図4】本発明によるIIRフィルタの一構成例を示し
た図である。
【図5】本発明による2次多項式補間の説明図である。
【図6】1次補間、2次補間及び3次補間の各周波数特
性比較を示した図である。
【図7】本発明による位相管理の動作説明図である。
【図8】代表的なオーディオ信号の入出力サンプリング
周波数の変換比を示した図である。
【符号の説明】
10、13…インターポーレータ 12、15…デシメータ 11、14…ローパスフィルタ 20、24…IIRフィルタ 21、23…2次多項式補間部 22、25…位相管理部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5J022 AA01 BA02 CA08 CA10 CB06 CC03 CG01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デジタル音響信号データのサンプリング
    周波数変換装置であって、 デジタル音響信号データの帯域制限を行なうIIR型フ
    ィルタと、 デジタル音響信号データのサンプリング周波数を多項式
    補間によって所定のサンプリング周波数に変換する多項
    式補間部と、を備えることを特徴とするサンプリング周
    波数変換装置。
  2. 【請求項2】 さらに、デジタル音響信号データのサン
    プリング周波数変換による入出力位相間の対応関係を維
    持すべく、変換前のサンプリング周波数と変換後のサン
    プリング周波数とにより定まる所定周期毎に前記入出力
    位相を初期化する位相管理部を有する、請求項1記載の
    サンプリング周波数変換装置。
  3. 【請求項3】 前記位相管理部は、前記入出力位相の初
    期化において、出力位相に対応する隣接入力位相間の位
    置を示し出力位相に応じて累積加算される位相データを
    初期化する、請求項2記載のサンプリング周波数変換装
    置。
  4. 【請求項4】 前記多項式補間部は2次の多項式補間を
    行なう、請求項1又は2記載のサンプリング周波数変換
    装置。
  5. 【請求項5】 デジタル音響信号データのサンプリング
    周波数変換における位相管理装置であって、 デジタル音響信号データのサンプリング周波数変換によ
    る入出力位相間の対応関係を維持すべく、変換前のサン
    プリング周波数と変換後のサンプリング周波数とにより
    定まる所定周期毎に、前記入出力位相間の累積位相誤差
    であって所定値以下のものを初期化することを特徴とす
    る位相管理装置。
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