JP2002299876A - 携帯型電話機用電波吸収性包装体 - Google Patents

携帯型電話機用電波吸収性包装体

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JP2002299876A
JP2002299876A JP2001099826A JP2001099826A JP2002299876A JP 2002299876 A JP2002299876 A JP 2002299876A JP 2001099826 A JP2001099826 A JP 2001099826A JP 2001099826 A JP2001099826 A JP 2001099826A JP 2002299876 A JP2002299876 A JP 2002299876A
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portable telephone
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Yoichi Higuchi
洋一 日口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 着送信および通話強度で、適度な電磁波漏洩
を制御し、一方で好ましくない周波数の電波に対して
は、電波吸収性を有し、周辺機器の誤動作や使用者本人
への悪影響が防止でき、かつその透視性を損なうことも
なく、更に、包装体の視認性として、モアレ発生も防止
し、使用者に対して、よりボタン操作性に優れた携帯型
電話機用電波吸収性包装体を提供すること。 【解決手段】 包装体に携帯型電話機を収容したときの
ボタン操作部側の面を包装体のA面、それ以外の面を包
装体のB面とするとき、包装体のA面が、内部透視性を
有しかつ電波吸収能力が、近磁界プローブ法による電波
吸収効果能力で、5〜20dBであるソフトな電磁波吸
収性能を有するシート材料で構成されると共に、該シー
ト材料が、基材フィルム(1)の少なくとも片面に、電
波吸収体(2)が設けられたシートからなり、包装体の
B面が、内部透視性を有しまたは有せずかつ電波吸収能
力が、近磁界プローブ法による電波吸収効果能力で、5
dB以上である電磁波吸収性能を有するシート材料で構
成されている携帯型電話機用電波吸収性包装体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、着送信および通話
が可能でありながら、好ましい電波吸収性を有するの
で、周辺機器の誤動作や使用者本人への悪影響が有効に
防止できるだけでなく、ボタン操作性、視認性にも優れ
た携帯型電話機用電波吸収性包装体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】携帯型電話機の普及は目覚ましいものが
あり、PHS(Personal Handy Pho
ne System)を含めると、日本のデジタル携帯
電話は、5500万台を超える普及と言われている。携
帯電話技術は、その時代に応じて、第何世代といってい
る。第1世代(1G)は、1979年に始まるアナログ
携帯電話を示していたが、1993年以降は、デジタル
方式である第2世代(2G)となる。特に、0.8GHz
/1.5GHzの周波数領域を用いたディジタル方式携帯
電話、1.9GHz領域のPHSなどがその主力となって
いる。1999年には、ドコモのiモードサービスは、
携帯電話という呼び名を情報端末とかデジタル端末と変
え、2001年からの3G(第3世代)への期待を高め
ている。
【0003】ところが、その一方で、携帯型電話機によ
る周辺電子電気機器、殊に医療機器に与える影響が問題
になっている。携帯型電話機による電磁波干渉が起こり
うると判明している医療機器は、たとえば、輸液ポン
プ、シリンジポンプ、体外式または植え込み式のペース
メーカー、人工呼吸機、人工心肺装置などの治療機器、
医用テレメーター、ベッドサイドモニター、携帯型救急
モニター、心電計、画像診断装置などであり、電磁波干
渉発生距離は、数センチメートルから180センチメー
トル程度とされている。
【0004】そして、携帯型電話機は、人体の重要器官
(脳、眼、耳)である頭部に、ほぼ密着させて使うもの
であることから、携帯型電話機より発生する電磁波が、
電話機の使用者自身(近くの人も)の健康に与える悪影
響も懸念されている。通常、携帯型電話機において、使
用される周波数は、アナログ回路を作動させる800M
Hz付近とデジタル送受信の1.5GHz付近である。
携帯型電話機は、このような大きく2つの大きく異なる
周波数で作動している。また、携帯型電話機本体から漏
洩する電波の周波数、あるいは回路素子ノイズに関連す
る周波数は、20〜50MHz付近と、これも大きく前
者とは異なる周波数が主に関与している。
【0005】携帯型電話機による電磁波の問題を解消す
るためには、たとえば、医療機関の施設内や航空機内に
おいては、携帯型電話機自体を持ち込まないようにする
か、携帯型電話機のスイッチを切ることを徹底するしか
ないのが現状である。
【0006】しかしながら、このような対策は、注意の
行きとどく航空機内のような場所では達成できても、多
数の人の出入りする医療機関の施設内などでは、徹底し
がたく、また携帯型電話機の所持者のモラルに依存する
という限界があり、さらにはスイッチを切ることを失念
することも多いので、完全を期しがたい。そして、携帯
型電話機による電磁干渉の問題は、航空機内や医療機関
施設内など特別の設備内には限らないので、禁止場所が
多くなると、携帯型電話機の利便性を全面否定すること
になってしまい、現実性を欠くようになる。
【0007】このような問題を解決しようとする為に、
特開平11−31896号に開示されている、携帯電話
の着送信および通話が可能ながら、好ましい電磁波シー
ルド性を有する携帯型電話機用電磁波シールド袋があ
る。
【0008】これは、袋内部に携帯型電話機を収容した
状態で着送信および通話が可能であると共に漏洩電磁波
量を抑制しうる袋であって、袋に携帯型電話機を収容し
たときのボタン操作部側の面を袋のA面、それ以外の面
を袋のB面とするとき、袋のA面が、内部透視性を有し
かつシールド能力がKEC法による電界シールド効果測
定法で5〜35dBであるソフトな電磁波シールド性を
有するシート材料で構成されると共に、該シート材料
が、透明な基材フィルム(1) の少なくとも片面に、二次
元線分パターンのアルミニウムの真空蒸着層からなる金
属導電層(2) が設けられた(1)/(2) または(2)/(1)/(2)
の層構成単位を含むシートからなり、袋のB面が、内部
透視性を有しまたは有せずかつシールド能力がKEC法
による電界シールド効果測定法で5dB以上である電磁
波シールド性を有するシート材料で構成されていること
を特徴とする携帯型電話機用電磁波シールド袋である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような携
帯型電話機用電磁波シールド袋の場合には、視認性確保
の点で、不透明な二次元線分パターンで囲まれた間隙部
である、透視部の面積占有率は、40〜98%の範囲内
に設定することが望ましい。これにより、透視部の面積
占有率が余りに大きいときは、電磁波吸収性が不足し
て、漏洩電磁波量が増加し、周辺機器の誤動作の原因と
なる。一方、透視部の面積占有率が余りに小さいとき
は、モアレが発生して、透視性が損なわれ、ボタン操作
が困難となる欠点を有する。
【0010】本発明は、このような背景下において、着
送信および通話強度で適度な電磁波漏洩を制御し、一方
で好ましくない周波数の電波に対しては、電波吸収性を
有するので、周辺機器の誤動作や使用者本人への悪影響
が防止でき、かつその透視性を損なうこともなく、更
に、包装体の視認性として、モアレ発生も防止し、使用
者に対して、よりボタン操作性に優れた携帯型電話機用
電波吸収性包装体を提供することを目的とするものであ
る。ただし、ここでは、着送信および通話強度の関係よ
り、遠距離間ならびに電波障害を受けやすいところで
は、本来の特性も変化する。ここでは、測定条件を一定
にするため、ある程度の音声状態の低下やノイズは鑑み
ないものとする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
問題点を解決すべく種種研究の結果、使用周波数あるい
は影響する周波数を充分考慮し、電磁波シールド能と電
波吸収能の機能を組み合わせ、新たに包装体における電
磁波吸収体の構成を、特定周波数のみを通過制御するバ
ンドパスフィルター的に適応させることを具現化したも
のである。
【0012】そして、包装体内部に携帯型電話機を収容
した状態で、着送信、ボタン操作および通話が可能であ
ると共に、漏洩電磁波量を抑制しうる包装体を完成させ
た。その為には、包装体に携帯型電話機を収容したとき
のボタン操作部側の面を包装体のA面、それ以外の面を
包装体のB面とするとき、包装体のA面が、内部透視性
を有しかつ電波吸収能力が、近磁界プローブ法による電
波吸収効果能力で、5〜20dBであるソフトな電磁波
吸収性能を有するシート材料で構成されると共に、該シ
ート材料が、基材フィルム(1)の少なくとも片面に電
波吸収体(2)が設けられたシートからなり、包装体の
B面が、内部透視性を有しまたは有せずかつ電波吸収能
力が、近磁界プローブ法による電波吸収効果能力で、5
dB以上である電磁波吸収性能を有するシート材料で構
成されていることを特徴とする。
【0013】電波吸収体(2)が、電波吸収材料をイン
キ化したものをベタ及び/またはパターン状に印刷して
なる印刷層であることを特徴とする。包装体のA面のシ
ートが、携帯型電話機のボタン操作部に対応して凹凸を
有し、且つ包装体の外側からボタン操作ができる程度の
柔軟性を有する凹凸であることを特徴とする。また、電
波吸収体(2)のパターンが、シート材料の鉛直方向か
ら見て平行線パターンとなっていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面も
含めて、詳細に説明する。図1(a)は、本発明の携帯
型電話機用電波吸収性包装体3で、携帯型電話機8を包
装した状態を模式的に示した切断端面図である。図1
(b)は、図1(a)の電波吸収性包装体3を構成する
シート材料10の層構成の一例を模式的に拡大して示し
た切断端面図であり、厚みは誇張して描いてある。図2
は、電波吸収性包装体を構成するシート材料の層構成の
一例を模式的に拡大して示した切断端面図であり、厚み
は誇張して描いてある。図3(a)〜(c)は、図1
(a)の電波吸収性包装体3を構成するシート材料10
の層構成の一例を模式的に拡大して示した切断端面図で
あり、厚みは誇張して描いてある。図4は、図2のシー
ト材料を用いて作製した、本発明の携帯型電話機用電波
吸収性包装体の正面図である。平行線パターンの形状を
理解しやすくしてある。
【0015】〈包装体のA面側のシート材料〉本発明の
携帯型電話機用電波吸収性包装体においては、包装体の
A面が、内部透視性を有しかつ電波吸収能力が近磁界プ
ローブ法による電波吸収効果能力で、5〜20dB(好
ましくは7〜18dB)であるソフトな電磁波シールド
性を有するシート材料で構成される。この場合、電波吸
収能力が5dB未満では、電磁波の漏洩が多いため周辺
機器に対する電磁干渉を充分には防止できず、一方電波
吸収能力が20dBを越えるときは、包装体内部に携帯
型電話機を収容した状態での着送信や通話に支障を来た
すようになる。
【0016】このように、ソフトシールド性を有するシ
ート材料を包装体のA面側のシート材料として用いるこ
とが、本発明の目的にとって重要である。また包装体の
A面側のシート材料は、携帯型電話機を包装体内に収容
した状態でボタン操作等できるように、内部を透視でき
る透視性を有することも重要である。
【0017】このようなソフトシールド性を有するシー
ト材料としては、透明な樹脂フィルムに、電波吸収体を
全面または部分的に設けたシートなどが使用可能であ
る。
【0018】そして、性能、信頼性、工業的生産性、意
匠性を考えると、以下に詳述する特定のシート材料、す
なわち、透明な基材フィルム(1)の少なくとも片面
に、ベタ及び/またはパターン状の電波吸収体(2)が
設けられた、(1)/(2)の層構成単位を含むシート
を用いることが特に望ましい。(図1(b)、図2、図
3)
【0019】透明な基材フィルム(1)と電波吸収体
(2)の間に、透明な導電性層として、酸化インジウム
−錫(ITO)の蒸着層(13)が設けられた層構成の
シートでも良い。(図3) 或いは、透明な基材フィルム(1)と電波吸収体(2)
の間に、透明導電性樹脂層が設けられた層構成のシート
でも良い。さらに、透明な基材フィルム(1)と電波吸
収体(2)の間に、酸化インジウム−錫(ITO)の蒸
着層(13)及び透明導電性樹脂層が設けられた層構成
のシートでも良い。
【0020】(透明導電性樹脂層)透明導電性樹脂層の
表面抵抗は、100〜102Ω/cmである。透明導電性
樹脂としては、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパ
ラフェニレン、ポリパラフェニレンビニリデン、ポリピ
ロール、ポリテオフェンが使用できる。
【0021】以上のような、透明導電性樹脂からなるイ
ンキ組成物を印刷したものを透明導電性樹脂層とする。
或いは、透明導電性樹脂をシートにしたものを透明導電
性樹脂層とする。透明導電性樹脂層の厚さは、0.00
1〜2mmが好ましい。
【0022】前記の透明な基材フィルム(1)として
は、熱可塑性エラストマー、二軸延伸ポリエステルフィ
ルム(PET)、二軸延伸ナイロンフィルム(ON
Y)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、無
延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、無延伸ナイロ
ンフィルム(CNY)などが好適に用いられ、そのほ
か、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィル
ム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリエチレンフィル
ム、エチレン共重合体フィルム、エチレン−ビニルアル
コール共重合体フィルム、ポリスルホンフィルム、セル
ロース系フィルムをはじめとする種々の透明なフィルム
が用いられる。
【0023】基材フィルム(1)は、通常、単層とする
が、複層であっても差し支えない。基材フィルム(1)
の厚みに特に制限はないが、通常は、6〜300μm程
度、殊に8〜180μm、さらには、12〜160μm
のものを用いることが多い。
【0024】(電波吸収体)電波及び/または電磁波を
吸収するための電波吸収体は、前記した基材フィルムに
形成される、電波吸収体用インキ組成物からなる印刷イ
ンキや塗料による薄膜であり、軽量化を意識した材料を
用いるのが好ましい。
【0025】この電波吸収体用インキ組成物の成分材料
について、説明する。
【0026】(電波吸収微粒子)電波吸収体用インキ組
成物の重要な構成材料である、電波吸収微粒子(電波吸
収能を有する分散可能な微粒子)としては、次のような
ものがある。すなわち、一般にはフェライトを中心とし
た磁性金属類や金属酸化物、合金、磁性体が用いられ
る。特に、透磁率(μ値)を規定した特殊な磁性体、複
合フェライト、パーマロイとしてNi−Fe系の代表的
な磁性合金、カーボニル鉄粉末を非磁性体中に分散させ
たカーボニル鉄系磁性体、高誘電率材料(例えば500
0の誘電率を有すチタン酸バリウムやチタン酸鉛など)
が用いられる。
【0027】一方、必要に応じて、より軽量化を実現す
るために、例えば希土類イオン含有スメクタイト等の各
種希土類イオン含有包接物あるいは希土類粉体または磁
性スピンを有するCo、Feなどを中心金属とした有機
金属錯体類、導電性カーボン粉体、カーボンブラック、
カーボン、炭化物などを用いる。
【0028】特に好ましい、電波吸収微粒子は、希土類
イオンを含有した包接物(本発明では「希土類イオン含
有包接物」とも云う)である。希土類イオン自身は、磁
性スピンを有し電波吸収に対して、スピン緩和の作用か
らエネルギー的に低位に落とし、結果として熱変換し、
これを吸収する。さらに希土類元素自体は、大気中その
ままでは不安定であり、希少で量的に多量に存在しな
い。一般には、錯体化させ安定的に存在させる。さらに
希土類元素単独では、成膜することができないため、何
らかのバインダーあるいは固定層によって、混合・分散
することで充填、固定化する必要がある。その意味で
も、周囲に存在するイオン含有包接物配位子を利用し、
表面濡れ性および分散性を寄与させるのが効果的であ
る。
【0029】特に好ましく、使用可能な希土類イオン含
有包接物としては、包接体としてカリックスアレーン、
ゼオライト、モンモリロナイト、スメクタイト、クラウ
ンエーテル、その他籠状化合物を用いるものである。包
接体自身は各種置換基で修飾されたものを使用しても良
い。ここでは、特に透明性の高いモンモリロナイト、ス
メクタイトが樹脂分散性および希土類イオン含有率の点
で優れていた。
【0030】固定する希土類イオンとしては、磁気モー
メント能を有するものが良い。例えば、Ln、La、C
e、Pr、Nb、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb、Luなどの希土類元素のイオン
である。このうち比較的安価でかつ入手しやすいもので
磁気モーメント能が大きいものとしては、Ln、Eu、
Tb、Ho、Er、Tm、Yb、Laなどの希土類元素
のイオンである。
【0031】希土類(イオン体)の精製にはイオン交換
法によってもよいが、工業的には溶媒抽出法によって得
るほうがよい。さらに希土類鉱石より利用する場合には
従来の分離精製によって得られる。(例えば、足立著の
「希土類の科学」(化学同人)10.3章) また、この電波吸収体用インキ組成物は、希土類イオン
含有包接物をゴムや樹脂などに分散させる際に、工業分
散技術を利用することで、容易に作り出すことが可能と
なる。すなわち、包接体自身の分散能を利用しても良い
し、包接体周囲の置換基を後記の結着用材料(バインダ
ー)と相溶性の高いものに予め修飾させておくことで、
分散工程での機械エネルギーの負荷を軽減させる工夫が
容易に行なえる。
【0032】以上の電波吸収微粒子の使用量は、インキ
全体の重量の5重量%〜40重量%の範囲で、最適には
10重量%〜25重量%の範囲である。
【0033】(分散剤)分散剤は、必須材料ではない。
分散剤としては、高分子型湿潤性分散剤(多点吸着型の
分散剤)を用いることが好ましい。分散剤は、電波吸収
微粒子が樹脂中で均一に分散するために用いる。この
他、インキ化の均質性を保持したり、改善する役目もあ
る。さらに、形成される膜質を良好とするもので、基材
との密着性を阻害しないようなものを注意して厳選しな
ければならない。このような性能をもつ分散剤の材料と
して例えば、楠本化成(株)製ディスパロンシリーズ、
アビシア(株)製ソルスパースシリーズなどがある。こ
の中で、好適には、酸価8−20、アミン価20−32
の高分子型湿潤性分散剤を用いる。
【0034】具体的には、ディスパロンの商品番号DA
−703−50,DA−705,DA−725,DA−
234,DA−325,DA−375、ソルスパース2
4000、12000、5000などである。さらに、
これらと組み合わせて、または単独でも使用可能な分散
剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテル系、ポリエチレングリコールジエステル系、
ソルビタン脂肪酸エステル系、脂肪酸変性ポリエステル
系、3級アミン変性ポリウレタン系などが用いられる。
【0035】また、インキ組成物として着色する場合に
は、顔料と組み合わせて、有機色素誘導体等を使用でき
る。有機色素誘導体としては、フタロシアニン系、アゾ
系、アントラキノン系、キナクリドン系等の有機色素
(顔料、染料など)の骨格にカルボキシル基、スルホン
酸基、アミノ基、カルボニル基、スルホニル基等を付加
したもの、および、その塩等をあげることができる。
【0036】また従来から公知である他の分散剤を用い
ることもできる。以上の分散剤の使用量は、0.01重
量%〜30重量%の範囲で、最適には0.1重量%〜1
0重量%の範囲である。
【0037】(樹脂)樹脂(電波吸収体の結着用材料、
インキ組成物としてのバインダー)としては、透明導電
性樹脂である、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパ
ラフェニレン、ポリパラフェニレンビニリデン、ポリピ
ロール、ポリテオフェン、ポリビニルブチラール樹脂、
ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニルエーテル樹脂、ポ
リフェニレンビニレン樹脂などが好適である。また、ア
ルキッド樹脂、弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹
脂、エポキシ変性ウレタンゴム等の各種ゴム類、シリコ
ーン、各種の合成樹脂が用いられる。例えばポリエチレ
ン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹
脂、ポリブテン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹
脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン
系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹
脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチ
レン−ビニルアルコール共重合樹脂等のビニル系樹脂、
ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフ
タレート樹脂、ポリエチレンナフタレート、エチレン−
テレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエス
テル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル系樹脂、
ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂、ポリ(メタ)アク
リル酸エチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル樹
脂、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブ
チル共重合樹脂等のアクリル樹脂、ナイロン6又はナイ
ロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロ
ース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、エ
ポキシフェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシウレタ
ン変性樹脂、又はフェノール樹脂あるいはこれらの共重
合体や混合物等である。これらは誘電率も考慮して選択
するのが望ましい。
【0038】上記の内、ポリビニルブチラール樹脂、ポ
リアニリン樹脂、アルキッド樹脂、弗素系樹脂とアクリ
ル系樹脂との混合樹脂、エポキシ変性ウレタンゴム、シ
リコーン、エポキシフェノール樹脂、エポキシウレタン
変性樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、あるいはこ
れらの共重合体や混合物などを用いるのが特に好まし
い。この他にも上述の樹脂のコポリマー(共重合体)に
グリシジル基または水酸基を有するエチレン性不飽和化
合物を付加させたポリマーなども用いられるが、これら
に限定されるものではない。
【0039】また、上記の(バインダー)樹脂の中で、
合わせて使用するモノマーとの相溶性などの観点から、
特に好ましいエポキシ樹脂としては、三菱油化シェル
(株)製エピコートシリーズ、ダイセル(株)製セロキ
サイドシリーズ、エポリードシリーズ、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノール−S型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エ
ポキシ樹脂、ポリカルボン酸グリシジルエステル、ポリ
オールグリシジルエステル、脂肪酸または脂環式エポキ
シ樹脂、アミノエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型
エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、
グリシジル(メタ)アクリレートとラジカル重合可能な
モノマーとの共重合エポキシ化合物を挙げることができ
る。
【0040】前記の樹脂以外にも、次のものが好ましく
使用される。一例として、アルキッド樹脂をベース成分
とする樹脂成分と可塑剤とから成っており、この樹脂成
分は、単油性アルキッド樹脂2〜15重量%にセルロー
スアセトブチレート3〜20重量%を添加して構成さ
れ、可塑剤は、0.01〜4重量%の含有量を有するも
のを好ましく用いる。
【0041】また別の例としては、弗素系樹脂とアクリ
ル系樹脂との混合樹脂をビヒクルとするもので、弗素系
樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂が、これらの両者の
合計を100重量部にしたときに、弗素系樹脂45〜8
5重量部、アクリル系樹脂15〜55重量部からなるも
のを好ましく用いる。
【0042】上記の印刷インキのビヒクルに使用する弗
素系樹脂としては、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニ
リデン樹脂、ポリ塩化三弗化エチレン樹脂、ポリ四弗化
エチレン樹脂、四弗化エチレン−六弗化プロピレン共重
合体樹脂、エチレン−塩化三弗化エチレン共重合体樹
脂、四弗化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエー
テル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重
合体樹脂等を初め、水酸基又はカルボキシル基含有の各
種の弗素樹脂が挙げられる。
【0043】上記の水酸基又はカルボキシル基含有の弗
素樹脂の代表的なものは、以下の通りである。
【0044】(1) フルオロオレフィン、シクロヘキ
シルビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、及びヒ
ドロキシアルキルビニルエーテルを必須の構成成分とす
る共重合体。フルオロオレフィンの代表的なものは、ク
ロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン等
のパーハロオレフィンである。共重合体のモル比は、フ
ルオロオレフィン40〜60%、シクロヘキシルビニル
エーテル5〜45%、アルキルビニルエーテル5〜45
%、ヒドロキシアルキルビニルエーテル3〜15%であ
る(特開昭57−34107号公報)。
【0045】又、同じく上記のビヒクルに使用するアク
リル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、
ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル
酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリ
ル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メ
タ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エ
ステル−スチレン共重合体等のポリ(メタ)アクリル酸
エステル系重合体、ポリアクリロニトリル樹脂、或はこ
れらの樹脂とビニルアルコールやヒドロキシアルキルビ
ニルエーテル等の水酸基を有するモノマーとの共重合体
からなる(メタ)アクリルポリオール樹脂等が挙げられ
る。なお、上記の(メタ)アクリルは、アクリル又はメ
タアクリルのことである。
【0046】(溶剤)溶剤としては、例えばメタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、エチレングリコール、プロピレングリコール等のア
ルコール類、α―もしくはβ−テルピネオール等のテル
ペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、ト
ルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭
化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロ
ソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカ
ルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチ
ルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレン
グリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル
類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、
エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテ
ート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールア
セテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレン
グリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エス
テル類等が挙げられる。ただし、これらに限定されるも
のではないし、モノマーが溶剤の代わりとして使用され
てもよい。
【0047】(その他の添加剤)印刷層である電波吸収
体を形成するための上記の印刷インキ組成物には、0.
5〜10重量%程度の紫外線吸収剤や、同じく0.5〜
10重量%程度の光安定剤を添加することにより、耐候
性を更に高めることができる。
【0048】なお、上記の紫外線吸収剤としては、例え
ばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸エ
ステル等の有機系化合物や、粒径0.2μm以下の微粒
子状の酸化亜鉛、酸化セリウム等の無機質系化合物を、
又、光安定剤としては、例えばビス−(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒ
ンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカ
ル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を使用することができる。
【0049】さらに、インキ組成物には、粘度改質剤、
流動性改質剤、レオロジーコントロール剤などを添加し
て印刷適性を向上させてもよい。具体的な例として、タ
ルク、酸化チタンなどの金属酸化物微粒子、シリカ、シ
リカゾル(あるいはゲル)、多糖類例えば信越化学製セ
ルロースシリーズ(MC系、アルカリ可溶性セルロー
ス)、シリコーンオイルなどを数%程度添加すればよ
い。
【0050】(着色剤)本発明のインキ組成物には、着
色剤または染料、顔料の配合を必ずしも必要としない。
しかし、着色による意匠性の高い層を得る目的で、イン
キ中に着色剤等を配合する場合もある。そのときには、
耐候性に優れた着色剤、例えばイソインドリノン(40
黄)、キナクリドン(15赤)、ペリレン(100
赤)、フタロシアニンブルー(青)、アニリンブラック
(黒)、縮合アゾ/キナクリドン(耐候赤)等からなる
有機顔料、黄鉛(黄)、チタンイエロー(黄)、弁柄
(赤)、カドミウムレッド(赤)、コバルトブルー
(青)、群青(青)、カーボン(黒)、チタン白(白)
等からなる無機顔料を使用することにより、電波吸収体
の耐候性をより一層高めることができる。
【0051】(染料、顔料)さらには、公知の染料およ
び/または顔料を用いることも可能である。すなわち、
化学構造としてはアントラキノン系、イソインドリン
系、イソインドリノン系、アゾ系、ピロロピロール系、
キノフタロン系、フタロシアニン系、スレン系、トリフ
ェニルメタン系、トリアリルメタン系、キナクリドン
系、ジオキサジン系、ペリレン系、ペリノン系およびこ
れらの金属錯体などをあげることができる。これら、有
機色素の場合は耐熱性、耐光性の観点から顔料形態のも
のの方が特に好ましい。
【0052】(電波吸収体用インキ組成物の製造方法) (分散機)電波吸収体用インキ組成物を製造する為に、
必要な成分材料を混合、分散するための装置としての分
散機は、ペイントロール、スタティックミキサー、回転
式ラインミキサー、ホモミキサー、マイクロフルダイザ
ー、アルティマイザー、ナノマイザー、さらには、前記
したペイントロール以外にもペイントシェーカ、ビーズ
ミル、アトライターなどを用いても良い。
【0053】ビーズミルを用いる場合、回転式の混合ピ
ン等を持ち、ボール状充填物を入れて、連続的に被混練
分散液を通過させる。後記する各実施例においては、イ
ンキの製造は、全て次のような条件で行った。 本体:ビーズミル式分散機 1)ボール(材質:ジルコニア)2mm径で30分分散
(初期分散) 2)周速 13.5m/s 3)ベッセル容量22リットル(仕込み比10.5リッ
トル) 4)ジルコニアビーズ0.6〜0.8mm径 2.1K
g(85%充填) 5)吐出量 100kg/h (本分散) 初期分散粒子径(d50)で40μmが、本分散(5パス
後、d50)で5.2μmであった。粒子径および粒度分
布の測定は、日機装株式会社製レーザ粒度分析計によっ
て行った。
【0054】印刷インキ化は、例えば、ゴムや前記の樹
脂などの結着用材料に対する希土類イオン含有スメクタ
イト等の前記した各種希土類イオン含有包接物の混合比
を変化させ混入し、樹脂、溶剤、分散剤を最適な組み合
わせで選択して、これをビーズミルまたはペイントロー
ル等で混合した後、印刷インキを製造する。もちろん希
土類イオン含有スメクタイトの代わりに希土類粉体また
は磁性スピンを有するCo、Feなどを中心金属とした
有機金属錯体類、カーボン粉体、カーボンブラック、フ
ェライト粉体などの電波吸収材料を結着用材料に分散、
練り込んでインキ化しても良い。
【0055】希土類イオン含有スメクタイト等の前記し
た各種希土類イオン含有包接物あるいは希土類粉体また
は磁性スピンを有するCo、Feなどを中心金属とした
有機金属錯体類、カーボンブラックなどの種類や混合比
を変えることにより、電波吸収特性の異なる各種インキ
組成物となる。
【0056】印刷層である電波吸収体は、上記の例えば
弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂等をビヒクル
とする印刷インキにより、例えば凹版印刷方式、平版印
刷方式、凸版印刷方式、スクリーン印刷方式等による印
刷方法、はけ塗り、へら塗り、吹付け塗り等の塗布方
法、筆等による描画等の公知の方法により、ベタ刷り、
又は文字、図形、記号、各種の絵柄等の任意の形状(パ
ターン状)、更にはベタ刷りと文字、図形、記号、各種
の絵柄との組み合わせ等に形成される。
【0057】印刷層である電波吸収体(2)が、透明の
場合には、ベタでもどんな形状のパターン状になってい
ても良い。パターンは、直角に交差した直交格子、平行
線が斜めに交差した斜交格子、3線交差型格子、4線交
差型格子、レンガ組み状の格子、円形や六角形などの抜
き孔を有する抜き孔格子をはじめとする種々の微細な格
子ないし網目状のパターンにしても良い。電波吸収体の
パターンは、印刷技術により装飾(例えば、操作ボタン
の絵を印刷)したものでも良い。電波吸収体(2)が、
不透明または透明性が悪い場合には、このパターンは、
好ましくは、平行線より構成されるものである。
【0058】ここで、同一平面上の平行線パターンと
は、遮蔽または吸収目的の電磁波を必要以上には通さな
い空隙を有する平行パターンを意味する。具体的には、
平行線が縦あるいは横方向に一定間隔で施されたもので
ある。視認性をある程度低下させてもシールド性を重視
する場合、直角に交差した直交格子、平行線が斜めに交
差した斜交格子、3線交差型格子、4線交差型格子、レ
ンガ組み状の格子、円形や六角形などの抜き孔を有する
抜き孔格子をはじめとする種々の微細な格子ないし網目
状のパターンにしても良いが、特に電波吸収体(2)の
透明性が悪い場合には、ボタン操作等の携帯操作に支障
が出て、致命的な欠点となるので避けたほうがよい。平
行線パターンは、上述した直交パターンと異なり、モア
レ発生の点でも有利である。つまり、あまりにも密で、
規則正しい細線が揃うとモアレを生じ、やはり視認性を
低下させてしまう。
【0059】平行線パターンの微細度は、5〜20dB
の電波吸収能力が達成される限りにおいて、携帯型電話
機の種類および使用される地域の電磁強度の状況に応じ
て種々に設定される。例えば、0.8GHzの携帯電話の
場合、線巾は、10〜1000μm 程度(好ましく
は、30〜500μm 程度)とし、間隔は最適には、
100〜500μmとなる。
【0060】さらには、近傍電磁波に対するシールド性
あるいは/または電波吸収性を若干微調整するため、ど
うしてもメッシュ状の導電性パターン(電波吸収体)を
構成する場合には、上記の平行線からなるパターンを2
枚重ね合わせる。そして図示はしないが、交叉し、か
つ、その一方の側から透視して、該平行線からなるパタ
ーンが任意の角度で交叉し得るように重ね合わせること
ができる。而して、モアレの発生を防止するという観点
からは、その交叉角度は、15°、45°、または、7
5°で交叉するように重ね合わせることが望ましいもの
である。
【0061】次に、本発明において、上記の平行線から
なる導電性パターン(電波吸収体)としては、できるだ
け、光の透過率を大きくする必要があるので、開口部
が、導電性条件(電磁波吸収能を含む)を満たし、か
つ、大きくなる様に設計することが好ましいものであ
る。而して、上記において、開口率を大きくするために
は、相対的に平行線からなる導電性パターンの線を細く
する必要があり、そのために、加工面から平行線からな
る導電性パターンの線の厚さを薄くすることが望まい。
例えば、印刷法は、大量にかつそ精度制御の面からも、
ファインライン化が容易であることから望ましい。
【0062】本発明において、上記の平行線からなる導
電性パターン(電波吸収体)の膜厚としては、0.05
〜40μm程度であれば、均一な膜ができ、さらには、
加工性の観点から0.2〜5μm位であればさらに好ま
しい。また、平行線からなる導電性パターンの線幅とし
ては、5〜60μmが好ましいが、10〜40μm程度
とすれば低価格で安定した生産が可能でありさらに好ま
しいものである。尚、本発明において、平行線からなる
導電性パターンの開口率は、100%に近いほど有利で
あるが、65〜95%程度が技術的に実用的である。
【0063】また、平行線分パターンで囲まれた間隙部
である透視部の面積占有率は、40〜98%の範囲内に
設定することが望ましい。透視部の面積占有率が余りに
大きいときは、電磁波吸収性が不足して漏洩電磁波量が
増加し、周辺機器の誤動作の原因となり、一方余りに小
さいときは、場合により透視性が損なわれ、ボタン操作
が困難となる。好ましい範囲は、50〜98%、さらに
好ましい範囲は、65〜95%である。
【0064】先にも述べたように、本発明において、包
装体のA面側に用いるシート材料10の一例は、透明な
基材フィルム(1) の少なくとも片面に、パターン状
の電波吸収体(12)が設けられた層構成単位を含むシ
ートである。(図1(a)、(b))
【0065】このようなシート材料は、たとえば、基材
フィルム(1)上に、パターンの電波吸収体(2)を印
刷で設ける方法により製造される。
【0066】なお基材フィルム(1) 上に電波吸収体
(2) を設けるにあたっては、基材フィルム(1) の
表面にコロナ放電処理などの活性化ないし粗面化処理を
施しておいたり、基材フィルム(1) 上にアンカーコ
ーティング層を設けてから電波吸収体(2) を形成す
るというように、密着性向上手段を講ずることもでき
る。さらに上述の、電波吸収体(2) のパターンは、
同一平面上で平行線分パターンとなっていることが特に
好ましい。
【0067】シート材料は、これを単位シートとして、
その複数枚を重ね合わせることにより、複層のシート材
料とすることもできる。ただし、場合によりパターンの
配置には、留意が必要である。単位シート材料間の固定
は、全面でまたは部分的になされる。固定法としては、
ドライラミネート法、エクストルージョンコーティング
法、フィルム状接着剤介在法、粘着剤塗布法などを採用
して、単位シート材料同士を接着する方法、単位シート
材料同士を点接着や線接着する方法などがあげられる。
【0068】シート材料は、包装体が袋の場合には製袋
上の必要性から、包装体の内面側となる面に、熱融着性
樹脂層(4)を設けることが好ましい。(図2) 熱融着性樹脂層(4)の例としては、低密度ポリエチレ
ン、リニア低密度ポリエチレン、中・高密度ポリエチレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合
体、アイオノマー、無延伸ポリプロピレンなどがあげら
れる。
【0069】またシート材料の表面には、電波吸収体
(導電性パターン)が現出する場合には、それを保護す
るために透明保護膜5を形成することができる。(図
2、図3(b))。例えば、表面保護適性を有する樹脂
の1種ないしそれ以上を主成分とし、これに、必要なら
ば、例えば可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、滑剤、充填剤、その他等の添加剤を任
意に添加し、溶媒・希釈剤等で充分に混練して塗布液を
調整する。次に、その塗布液を、例えば、ロールコー
ト、グラビアコート、ディップコート、ナイフコート、
リバースロールコート、スプレイコート、その他等のコ
ーティング方法で塗布ないし印刷して、透明保護膜を形
成することができる。 上記において、透明保護膜の膜
厚としては、約1〜50μm位が好ましく、更には、3
〜20μm位が望ましい。
【0070】上記の保護膜適性を有する樹脂としては、
例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポ
キシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、フェノール系樹脂、アミノプラスト系樹脂、その
他等を使用することができる。あるいは、本発明におい
ては、上記のような樹脂を使用して、フィルムないしシ
ートを製造し、そのフィルムないしシートを平行線から
なる導電性パターンの表面に、例えば接着剤などを介し
て積層して、それを保護する透明保護膜を形成すること
もできる。
【0071】本発明のシート材料にエンボス加工(例え
ばA面には、ボタンの位置に対応して)等を施して、意
匠性をさらに付与しておいても良い。これにより、大量
にかつ安価に、機能性と意匠性が豊かな電波吸収性包装
体を提供可能とする。
【0072】〈包装体のB面側のシート材料〉一方、包
装体のB面(背面、ガゼットのときは側面や底面も)
は、内部透視性を有し、または有せずかつ電波吸収能力
が近磁界プローブ法による電波吸収効果能力で、5dB
以上である電磁波シールド性を有するシート材料で構成
される。包装体のB面側のシート材料としては、たとえ
ばソフトな電波吸収性を有する包装体のA面側のシート
材料と同様の材料を用いることができる。特に、基材フ
ィルム(1) の片面または両面に、全面及び/または
パターンで電波吸収体(2) を設け、さらに必要に応
じ、熱融着性樹脂層(4) や保護膜(5) を設けた電
波吸収性が大のシート材料も好適に用いることができ、
コスト的には、その方が有利である。(例えば、図2、
図3)
【0073】(シート材料の電波吸収特性の測定方法)
図5は、周波数(GHz)と透過減衰量(dB)の関係
を示した図である。シート材料(被測定サンプル)の有
無による近磁界プローブ法で、検出される信号レベルの
差をとって透過減衰量としている。図6は、近磁界プロ
ーブ法による測定系を示した模式図である。図中21は
スペクトラム・アナライザー、22はトラッキング・ジ
ェネレータ、23は増幅器、24は近磁界プローブ、2
5は電波発生源アンテナ、26は被試験密閉箱、27
は、シート材料(被測定サンプル)を夫々示す。
【0074】電波吸収特性の測定方法は、上述ようにし
て形成した包装体用のシート材料(被測定サンプル)
を、密閉箱の窓にセットして、近磁界プローブ法による
電波吸収特性として周波数−吸収特性を測定した(図
5)。この測定は、図6に示した近磁界プローブ法によ
る測定系で行った。
【0075】〈包装体、細孔(6) 、封止手段(7)
〉包装体は、シート材料のままでもよい。即ち、シー
ト材料を携帯電話に巻き付けて、図1(a)に示すよう
にマジックテープ14で固定することにより使用され
る。或いは、図4のように2枚のシート材料または折り
返したシート材料を用いて、ヒートシール部17をヒー
トシールすることによりなされる。サイドまたは底がガ
ゼットになるような包装体とすることもできる。2枚の
シート材料を用いて包装体とするときは、包装体のA面
およびB面を構成するシート材料が、電波吸収体(2)
の層構成やパターンの異なる組み合わせとなるようにす
ることもできる。例えば、図1(b)、図2や図3
(a)〜(c)の層構成の中から任意に組み合わせるこ
ともできる。
【0076】上記のシート材料またはその包装体には、
通話を容易にするため、細孔(6)を設けることも好ま
しい。細孔(6) は、機械的パンチング、レーザービ
ーム、高周波ウエルダー、超音波ウエルダー、熱針の接
触などにより設けることができる。細孔(6)の分布や
密度は、本発明の趣旨を損なわない限りにおいて、適宜
に設定できる。(図4では、細孔(6)を2つにした
が、もっと多くしても良い。)
【0077】包装体内への携帯型電話機の収容および取
り出しを容易にするため、包装体の開口部には封止手段
を設けなくても良い。但し、収容を確実にするために開
閉自在の封止手段(7) を設けても良い。封止手段
(7) としては、凸条と凹溝との組み合わせからなる
線ファスナー(チャック)方式、面ファスナー方式、ホ
ック方式、軽接着(軽粘着)方式などがあげられる。
【0078】〈作用〉携帯型電話機が周辺の電子機器に
誤動作を起こさせるのは、携帯型電話機のアンテナから
放出される強力で方向性の純粋な電磁波が、電子機器の
制御回路に、異常信号電流を発生させるからである。し
かるに、本発明の携帯型電話機用電波吸収性包装体にあ
っては、包装体のA面が電波吸収能力で、5〜20dB
のソフトな電磁波吸収性能を有するシート材料で構成さ
れ、包装体のB面は、電波吸収能力が5dB以上である
電磁波吸収性能を有するシート材料で構成されているの
で、開口部または包装体壁面から漏れる電磁波により、
着送信および通話が可能でありながら、携帯型電話機の
アンテナから放出される強力で方向性の純粋な電磁波に
ついては、包装体の内壁面で、一部吸収されるため、周
辺電子機器に誤動作を起こさせないものと思われる。
【0079】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面と共に、説明す
る。
【0080】図1(a)は、本発明の携帯型電話機用電
波吸収性包装体3で、携帯型電話機8を包装した状態を
模式的に示した切断端面図である。図1(b)は、図1
(a)の電波吸収性包装体3を構成するシート材料10
の層構成の一例を模式的に拡大して示した切断端面図で
あり、厚みは誇張して描いてある。図2は、電波吸収性
包装体を構成するシート材料の層構成の一例を模式的に
拡大して示した切断端面図であり、厚みは誇張して描い
てある。図3(a)〜(c)は、図1(a)の電波吸収
性包装体3を構成するシート材料10の層構成の一例を
模式的に拡大して示した切断端面図であり、厚みは誇張
して描いてある。図4は、図2のシート材料を用いて作
製した本発明の携帯型電話機用電波吸収性包装体の正面
図である。平行線パターンの形状を理解しやすくしてあ
る。
【0081】実施例1 希土類イオン含有スメクタイトの具体的な作製方法につ
いて以下に述べる。希土類イオン含有包接物は次の様に
して得た。包接体はスメクタイトを用いた。陽イオン交
換能を利用して水溶液中にスメクタイト(商品名 スメ
クタイトSクニミネ工業株式会社製)と希土類塩(Ln
Cl3)をほぼ1:1で混合攪拌した。
【0082】反応溶液の温度は40℃程度に暖め、イオ
ン交換能を高めた状態で行なった。溶液中の残イオンに
関してはキレート材(錯化剤)によりキレート化し回収
することでリサイクル利用する。フィルター等を利用し
分離した希土類イオン含有スメクタイトは室温乾燥させ
た。
【0083】下記の組成成分(A)からなる赤色の印刷
用インキを製造した。 組成成分(A) (1) ジケトピロロピロール(CIBA−GEIGY製) ・・・・・・・・・・・・・・10.0重量部 (2) ポリビニルブチラール樹脂・・・・・・・・・・30.9重量部 (3) 分散剤(花王株式会社製、ソルビタン脂肪酸エステル系) ・・5.0重量部 (4) アセトンとトルエンの同量混合溶剤・・39.1重量部 (5) 希土類イオン含有スメクタイト……10.0重量部 (6)酸化チタン(石原産業株式会社製、ゾルゲル調整用微粒子体) ……5.0重量部
【0084】厚み12μm の二軸延伸ポリエステルフ
ィルム(PET)からなる基材フィルム(1)の片面
に、コロナ放電処理を施してから、上記の組成成分
(A)からなる赤色の印刷用インキにより、厚み5μm
の平行線パターンの印刷層(12)である電波吸収体
(2)をグラビア印刷法により、形成させた(図1の
(b)参照)。
【0085】このときの電波吸収体(印刷層)の平行線
パターンは、平行線を横方向に印刷した。線巾は20μ
m、縦方向のピッチは、1mmとした。透視部の面積占
有率は、65%であり、透視性は良好であった。
【0086】電波吸収特性: シート材料につき、近磁界
プローブ法による電波吸収効果測定法により電波吸収力
を測定した。本実施例のように、インキ層単層(A)状
態で構成の場合には、200MHz〜4GHzにおい
て、約−15dBの吸収損失を確認した。ただし、79
0〜840MHzと1.9GHz〜2.75GHzに、
通過領域(吸収量約−4dB)を持っていた。
【0087】これにより、包装体用の長尺のシート材料
が得られた。このシート材料を所定の寸法に裁断し、携
帯電話8に、図1(a)のようにA面16は、1重で、
B面9は、2重となるように帯状に巻き付けた。この時
あらかじめ包装体3に設けておいたマジックテープ(登
録商標)14を用いて携帯電話8に包装体3を固定し
た。
【0088】実施例2 希土類イオン含有スメクタイトの具体的な作製方法につ
いて以下に述べる。希土類イオン含有包接物は次の様に
して得た。包接体はスメクタイトを用いた。陽イオン交
換能を利用して水溶液中にスメクタイト(商品名 スメ
クタイトSクニミネ工業株式会社製)と希土類塩(Ln
Cl3)をほぼ1:1で混合攪拌した。
【0089】反応溶液の温度は40℃程度に暖め、イオ
ン交換能を高めた状態で行なった。溶液中の残イオンに
関してはキレート材(錯化剤)によりキレート化し回収
することでリサイクル利用する。フィルター等を利用し
分離した希土類イオン含有スメクタイトは室温乾燥させ
た。
【0090】下記の組成成分(B)からなる赤色の印刷
用インキを製造した。 組成成分(B) (1)フェロセン(東京化成製)・・・・・・・・・・・・・・10.0重量部 (2)TCNQ(東京化成製)・・・・・・・・・・・・・・0.1重量部 (3)分散剤(花王株式会社製、ポリオオキシエチレンアルキル フェニルエーテル系・・・・・・・・・・・・・・2.0重量部 (4)ポリビニルブチラール樹脂・・・・・・・・・・30.9重量部 (5) アセトンとトルエンの同量混合溶剤・・42.0重量部 (6) 希土類イオン含有スメクタイト……10.0重量部 (7)酸化チタン(石原産業株式会社製、ゾルゲル調整用微粒子体) ……5.0重量部
【0091】図3の(a)において、厚み12μm の
二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)からなる基材
フィルム(1)の片面に、コロナ放電処理を施してか
ら、大日本印刷株式会社製の巻取り蒸着機により、IT
O(酸化インジウム−錫)蒸着層13を0.1μm厚さ
で付けた。このITO蒸着層13上に、上記の組成成分
(B)からなるインキをスライドコータにより、3μm
の厚さでべた印刷し、べた印刷層(11)による電波吸
収体を形成した。さらに、上記の組成成分(A)からな
る赤色の印刷用インキにより、厚み5μmの平行線パタ
ーンの印刷層(12)である電波吸収体をグラビア印刷
法により、形成させた(図3の(a)参照)。
【0092】このときの電波吸収体(印刷層)の平行線
パターンは、平行線を横方向に印刷した。線巾は20μ
m、縦方向のピッチは、1mmとした。透視部の面積占
有率は、65%であり、透視性は良好であった。
【0093】電波吸収特性: シート材料につき、近磁界
プローブ法による電波吸収効果測定法により電波吸収力
を測定した。このような複層((A/B/ITO)イン
キ層を2層積層)の場合には、200〜1GHzにおい
て、ほぼフラットに−15dBの吸収損失を確認した。
さらには、5GHz〜20GHz(測定限界のため)に
おいて、ほぼフラットに−20dBの吸収損失を確認し
た。この時、1.4GHz〜2.2GHzにおいて通過
周波数帯(−5dBの吸収損失)が確保されていることを
確認した。
【0094】これにより、包装体用の長尺のシート材料
が得られた。このシート材料を所定の寸法に裁断し、携
帯電話8に、図1(a)のようにA面16は、1重で、
B面9は、2重となるように帯状に巻き付けた。この
時、あらかじめ包装体3に設けておいたマジックテープ
14を用いて、携帯電話8に包装体3を固定した。
【0095】実施例3 図2は、図4の電波吸収性包装体18を構成するシート
材料の層構成の一例を模式的に拡大して示した切断端面
図であり、厚みは誇張して描いてある。
【0096】実施例1と同様にして、以下の材料をイン
キ化して作製した。希土類イオン含有スメクタイトの具
体的な作製方法について以下に述べる。希土類イオン含
有包接物は次の様にして得た。包接体は、スメクタイト
を用いた。陽イオン交換能を利用して、水溶液中にスメ
クタイト(商品名 スメクタイトS クニミネ工業株式
会社製)と希土類塩(LnCl3)をほぼ1:1で混合
攪拌した。
【0097】反応溶液の温度は、40℃程度に暖め、イ
オン交換能を高めた状態で行なった。溶液中の残イオン
に関しては、キレート材(錯化剤)によりキレート化
し、回収することでリサイクル利用する。フィルター等
を利用し分離した希土類イオン含有スメクタイトは、室
温乾燥させた。
【0098】下記の組成成分(C)からなる赤色の印刷
用インキを製造した。 組成成分(C) (1) ジケトピロロピロール(CIBA−GEIGY製) ・・・・・・・・・・・・・・10.0重量部 (2) ポリビニルブチラール樹脂・・・・・・・・・・30.9重量部 (3) アセトンとトルエンの同量混合溶剤・・47.1重量部 (4) 希土類イオン含有スメクタイト……12.0重量部
【0099】厚み12μm の二軸延伸ポリエステルフ
ィルム(PET)からなる基材フィルム(1) の片面
に、コロナ放電処理を施してから、その基材フィルム
(1)上に、上記の組成成分(C)からなる赤色の印刷
用インキにより、厚み5μmの平行線パターンの印刷層
(12)である電波吸収体(2)をグラビア印刷法によ
り、形成させた(図2参照)。
【0100】このときの電波吸収体(印刷層)の平行線
パターン19は、平行線を横方向に印刷した。線巾は2
0μm、縦方向のピッチは、1.2mmとした。透視部
の面積占有率は、70%であり、透視性は良好であっ
た。(図4も参照)
【0101】このシート材料の基材フィルム(1)側の
面に、熱融着性樹脂層(4)の一例として、厚み30μ
m のポリプロピレンフィルム(CPP)をドライラミ
ネートにより設けた。このシート材料の反対側の面に
は、擦傷防止のために、保護膜(5)の一例として、厚
み12μm の二軸延伸ポリエステルフィルム(PE
T)をドライラミネートにより設けた(図2参照)。
【0102】これにより包装体用の長尺のシート材料が
得られたので、このシート材料の熱融着性樹脂層(4)
側の耳端近くに、封止手段(7)の一例として、凸条と
凹溝との組み合わせからなる線ファスナー(チャック)
を熱融着により設けた。そして、その線ファスナーを噛
み合わせておいてから、所定の寸法に裁断し、開口部側
(封止手段(7)設置側)を残して、他の3辺をヒート
シールし、図4に示した巾110mm、高さ220mm
の電波吸収性包装体18を作製した。携帯電話をこの包
装体に収容した。
【0103】電波吸収特性: シート材料につき、近磁界
プローブ法による電波吸収効果測定法により電波吸収力
を測定した。本実施例のように、インキ層単層(C)状
態で構成の場合には、200MHz〜4GHzにおい
て、約−15dBの吸収損失を確認した。ただし、79
0〜840MHzと1.9GHz〜2.75GHzに、
通過領域(吸収量約−4dB)を持っていた。
【0104】実施例4 実施例1において、「ポリビニルブチラール樹脂・・・・・・
・・30.9重量部」を「ポリビニルブチラール樹脂・・・・
・・・・15.9重量部とポリアニリン樹脂(BASF製)
………15重量部」に変えた以外は、実施例1と同様に
した。電波吸収特性は、実施例1と同様でした。
【0105】実施例5 実施例2において、「ポリビニルブチラール樹脂・・・・・・
・・30.9重量部」を「ポリビニルブチラール樹脂・・・・
・・・・15.9重量部とポリアニリン樹脂(BASF製)
………15重量部」に変えた以外は、実施例2と同様に
した。電波吸収特性は、実施例2と同様でした。
【0106】実施例6 実施例3において、「ポリビニルブチラール樹脂・・・・・・
・・30.9重量部」を「ポリビニルブチラール樹脂・・・・
・・・・15.9重量部とポリアニリン樹脂(BASF製)
………15重量部」に変えた以外は、実施例3と同様に
した。電波吸収特性は、実施例3と同様でした。
【0107】実施例7 実施例1において、厚み12μm の二軸延伸ポリエス
テルフィルム(PET)の代わりに、厚み0.2mmの
オレフィン系樹脂シートに代えた。できた包装体用の長
尺のシート材料で、包装体のA面にあたるシート部分
に、携帯型電話機のボタン操作部に対応して、外側から
ボタン操作ができる程度の凹凸を熱プレスにより形成し
た以外は、実施例1と同様にした。電波吸収特性は、実
施例1と同様でした。
【0108】実施例8 実施例2において、厚み12μm の二軸延伸ポリエス
テルフィルム(PET)の代わりに、厚み0.2mmの
オレフィン系樹脂シートに代えた。できた包装体用の長
尺のシート材料で、包装体のA面にあたるシート部分
に、携帯型電話機のボタン操作部に対応して、外側から
ボタン操作ができる程度の凹凸を熱プレスにより形成し
た以外は、実施例2と同様にした。電波吸収特性は、実
施例2と同様でした。
【0109】実施例9 実施例3において、厚み12μm の二軸延伸ポリエス
テルフィルム(PET)の代わりに、厚み0.2mmの
オレフィン系樹脂シートに代えた。できた包装体用の長
尺のシート材料で、包装体のA面にあたるシート部分
に、携帯型電話機のボタン操作部に対応して、外側から
ボタン操作ができる程度の凹凸を熱プレスにより形成し
た以外は、実施例3と同様にした。電波吸収特性は、実
施例3と同様でした。
【0110】実施例10 実施例4において、厚み12μm の二軸延伸ポリエス
テルフィルム(PET)の代わりに、厚み0.2mmの
オレフィン系樹脂シートに代えた。できた包装体用の長
尺のシート材料で、包装体のA面にあたるシート部分
に、携帯型電話機のボタン操作部に対応して、外側から
ボタン操作ができる程度の凹凸を熱プレスにより形成し
た以外は、実施例4と同様にした。電波吸収特性は、実
施例4と同様でした。
【0111】実施例11 実施例5において、厚み12μm の二軸延伸ポリエス
テルフィルム(PET)の代わりに、厚み0.2mmの
オレフィン系樹脂シートに代えた。できた包装体用の長
尺のシート材料で、包装体のA面にあたるシート部分
に、携帯型電話機のボタン操作部に対応して、外側から
ボタン操作ができる程度の凹凸を熱プレスにより形成し
た以外は、実施例5と同様にした。電波吸収特性は、実
施例5と同様でした。
【0112】〈性能試験〉実施例1〜11の包装体を用
いて、下記に従い、透視性、着信・通話性を調べた。
【0113】・透視性: 実施例1〜11の包装体内に、
携帯型電話機を入れたときは、全て、モアレの発生も無
く、ボタンをはっきりと目視でき、ボタン操作も容易で
あった。ボタン操作については、特に実施例7〜11の
操作性が優れていた。 ・着信・通話性: 実施例1〜11の包装体内に、NTT
ドコモ0.8GHz携帯電話機を収容して、別の電話機
からの呼び出しに応答できるかどうかを調べたところ、
全て可能でした。
【0114】
【発明の効果】本発明の携帯型電話機用電波吸収性包
装体は、携帯電話からの漏洩電波を遮蔽しながらも、携
帯電話の着発信機能を損なうことなく、かつその透視性
を損なうこともなく、更に、包装体の視認性として、モ
アレ発生も防止し、使用者に対して、よりボタン操作を
認識しやすい効果を有する。
【0115】希土類イオン含有スメクタイト等の前記
した各種希土類イオン含有包接物、あるいは希土類粉体
または磁性スピンを有するCo、Feなどを中心金属と
した有機金属錯体類、カーボンブラックなどの種類や混
合比や電波吸収体の厚みや占有面積率によって、電波吸
収特性の異なる各種電波吸収体、シート材料となる。こ
れにより、何種類もの電波吸収特性の異なる包装体から
それぞれの携帯電話の電波に応じて、最適なものを選択
することができる。
【0116】本発明の包装体のA面のシート材料に、
携帯電話のボタンの位置に対応してエンボス加工を施し
ておけば、ボタン操作性、意匠性が向上する。その上、
携帯電話のサイズやボタンの位置などに応じて、最適な
包装体を選択できる。
【0117】本発明の包装体のA面のシート材料に、
携帯電話のボタンの位置に対応して、電波吸収体による
操作ボタンの絵を印刷しておけば、ボタン操作性、意匠
性がさらに向上する。その上、携帯電話のサイズやボタ
ンの位置などに応じて、最適な包装体を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の携帯型電話機用電波吸
収性包装体3で、携帯型電話機8を包装した状態を模式
的に示した切断端面図である。図1(b)は、図1
(a)の電波吸収性包装体3を構成するシート材料10
の層構成の一例を模式的に拡大して示した切断端面図で
あり、厚みは誇張して描いてある。
【図2】本発明における、電波吸収性包装体を構成する
シート材料の層構成の一例を模式的に拡大して示した切
断端面図であり、厚みは誇張して描いてある。
【図3】図3(a)〜(c)は、図1(a)の電波吸収
性包装体3を構成するシート材料10の層構成の一例を
模式的に拡大して示した切断端面図であり、厚みは誇張
して描いてある。
【図4】図2のシート材料を用いて作製した本発明の携
帯型電話機用電波吸収性包装体の正面図である。平行線
パターンの形状を理解しやすくしてある。
【図5】近磁界プローブ法による電波吸収特性測定結果
で、周波数(GHz)と透過減衰量(dB)の関係を示
した図である。シート材料(被測定サンプル)の有無に
よる近磁界プローブ法で、検出される信号レベルの差を
とって透過減衰量としている。
【図6】近磁界プローブ法による電波吸収特性測定系を
示す模式図である。
【符号の説明】
1 基材フィルム 2 電波吸収体 3 (電波吸収性)包装体 4 熱融着性樹脂層 5 保護膜 6 細孔 7 封止手段 8 携帯電話 9 B面 10 シート材料 11 べた印刷層 12 平行線パターンの印刷層 13 酸化インジウム−錫(ITO)の蒸着層 14 マジックテープ 16 A面 17 ヒートシール部 18 電波吸収性包装体 19 平行線パターン 21 スペクトラム・アナライザー 22 トラッキング・ジェネレータ 23 増幅器 24 近磁界プローブ 25 電波発生源アンテナ 26 被試験密閉箱 27 シート材料(被測定サンプル)
フロントページの続き Fターム(参考) 3E067 AA11 AB91 AB99 AC01 BA12A BB11A BB14A BB26A CA11 CA14 CA21 EA08 EA22 EB22 FA01 FC01 GD10 4J039 AB02 AD01 AD03 AD04 AD05 AD07 AD08 AD09 AD10 AE02 AE04 AE05 AE06 AE07 AE08 AE11 AE13 BA04 BA06 BA07 BC16 BC17 BC19 BC33 BC39 BC54 BC59 BC60 BC69 BE01 BE02 BE12 CA05 FA02 5E321 AA05 BB25 BB41 BB44 GG05 GG11 GH01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 包装体内部に携帯型電話機を収容した状
    態で、着送信および通話が可能であると共に、漏洩電磁
    波量を抑制しうる包装体であって、包装体に、携帯型電
    話機を収容したときのボタン操作部側の面を包装体のA
    面、それ以外の面を包装体のB面とするとき、包装体の
    A面が、内部透視性を有しかつ電波吸収能力が、近磁界
    プローブ法による電波吸収効果能力で、5〜20dBで
    あるソフトな電磁波吸収性能を有するシート材料で構成
    されると共に、該シート材料が、基材フィルム(1)の
    少なくとも片面に、電波吸収体(2)が設けられたシー
    トからなり、包装体のB面が、内部透視性を有しまたは
    有せずかつ電波吸収能力が、近磁界プローブ法による電
    波吸収効果能力で、5dB以上である電磁波吸収性能を
    有するシート材料で構成されていることを特徴とする携
    帯型電話機用電波吸収性包装体。
  2. 【請求項2】 電波吸収体(2)が、電波吸収材料をイ
    ンキ化したものをベタ及び/またはパターン状に印刷し
    てなる印刷層である請求項1に記載の携帯型電話機用電
    波吸収性包装体。
  3. 【請求項3】 包装体のA面のシートが、携帯型電話機
    のボタン操作部に対応して凹凸を有し、且つ包装体の外
    側からボタン操作ができる程度の柔軟性を有する凹凸で
    ある請求項1または2に記載の携帯型電話機用電波吸収
    性包装体。
  4. 【請求項4】 電波吸収体(2)のパターンが、シート
    材料の鉛直方向から見て平行線パターンとなっている請
    求項1、2または3に記載の携帯型電話機用電波吸収性
    包装体。
  5. 【請求項5】 シート材料が、包装体の内面側となる面
    に、熱融着性樹脂層(4)を有している請求項2〜4の
    いずれかに記載の携帯型電話機用電波吸収性包装体。
  6. 【請求項6】 シート材料が、保護膜(5)を有してい
    る請求項2〜5のいずれかに記載の携帯型電話機用電波
    吸収性包装体。
  7. 【請求項7】 シート材料または包装体に、細孔(6)
    が設けられている請求項2〜6のいずれかに記載の携帯
    型電話機用電波吸収性包装体。
  8. 【請求項8】 包装体の開口部に、開閉自在の封止手段
    (7)が設けられている請求項2〜7のいずれかに記載
    の携帯型電話機用電波吸収性包装体。
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