JP2002298750A - ブラウン管用シャドウマスク - Google Patents

ブラウン管用シャドウマスク

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JP2002298750A
JP2002298750A JP2001100810A JP2001100810A JP2002298750A JP 2002298750 A JP2002298750 A JP 2002298750A JP 2001100810 A JP2001100810 A JP 2001100810A JP 2001100810 A JP2001100810 A JP 2001100810A JP 2002298750 A JP2002298750 A JP 2002298750A
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JP2001100810A
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English (en)
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Toshihiro Hatori
敏洋 羽鳥
Takafumi Hideshima
啓文 秀島
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレス成形後の電子ビーム通過孔の変形に関
する問題を改善したシャドウマスクを提供する。 【解決手段】 楕円形状の電子ビーム通過孔2が形成さ
れている有孔領域3と、その有孔領域3の周縁に位置す
る無孔領域4とからなるシャドウマスク11において、
有孔領域3の4つの隅部5に形成されている通過孔2
を、その通過孔2の長手方向の両端P、Qのうちシャド
ウマスクの中央側の端部Qがシャドウマスク11の中央
に近づくように傾斜させることによって、上記課題を解
決する。このとき、傾斜してなる通過孔2が、有孔領域
3の最隅部Eから所定の範囲(M、N)内に形成されて
なるものであり、傾斜角度θが、有孔領域3の最隅部E
に向かって最大40°の範囲で徐々に変化していること
が好ましい。また、前記の所定の範囲(M、N)が、有
孔領域3の最隅部EからR10mmの範囲に含まれてい
ることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラウン管用のシ
ャドウマスクに関し、更に詳しくは、プレス成形後の通
過孔の変形に関する問題を改善したシャドウマスクに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ブラウン管用のシャドウマスク101
(以下、シャドウマスクという。)は、電子ビーム通過
孔102(以下、通過孔という。)が形成されている有
孔領域103と、その有孔領域の周縁に位置する無孔領
域104とから構成されている。このうち、プレス成形
されて使用されるシャドウマスク101は、引張応力が
加えられながらプレス成形される。そのため、図8及び
図9に示すように、楕円形状からなる通過孔102を有
するシャドウマスク101にあっては、引張応力が集中
するコーナー部(隅部)105の通過孔102が変形し
てしまうという問題がある。
【0003】こうした通過孔の変形は、プレス成形され
たシャドウマスクがブラウン管に装着された後におい
て、電子ビームのランディング位置をずらす要因となる
と共にランディング形状を変形させる要因となるおそれ
がある。そのため、変形した通過孔を有するプレス成形
後のシャドウマスクを装着したブラウン管においては、
通過した電子ビームが重なり合うことがあり、ブラウン
管に形成された画像の色純度や明るさを低下させるおそ
れがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、プレス成形
後の電子ビーム通過孔の変形に関する問題を改善した、
第1形態〜第4形態に係るシャドウマスクを提供するも
のである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、第1形態のブラウン管用シャドウマスクを提供する
ものであり、楕円形状の電子ビーム通過孔が形成されて
いる有孔領域と、当該有孔領域の周縁に位置する無孔領
域とからなるシャドウマスクにおいて、前記有孔領域の
4つの隅部に形成されている通過孔は、当該通過孔の長
尺方向の両端のうち前記シャドウマスクの中央側の端部
が当該シャドウマスクの中央に近づくように、傾斜して
いることに特徴を有する。
【0006】この第1形態に係る発明によれば、有孔領
域の4つの隅部に形成されている通過孔は、その通過孔
の長尺方向の両端のうちシャドウマスクの中央側の端部
がシャドウマスクの中央に近づくように傾斜しているの
で、そうした通過孔を隅部に有するシャドウマスクに引
張応力を加えながらプレス成形すると、傾斜した通過孔
がその引張応力によって正常な楕円形状の通過孔に変形
する。その結果、本発明のシャドウマスクをプレス成形
した後のシャドウマスクにおいては、成形後のシャドウ
マスクを通過した電子ビームを、有孔領域の全域におい
て、ブラウン管の蛍光面上の所望の位置に所望の形状で
ランディングさせることができる。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のブラウン管用シャドウマスクにおいて、前記傾斜して
なる通過孔が、前記有孔領域の最隅部から所定の範囲内
に形成されてなるものであり、当該傾斜角度が、前記有
孔領域の最隅部に向かって最大40°の範囲で徐々に変
化していることに特徴を有する。
【0008】この発明によれば、傾斜してなる通過孔
が、有孔領域の最隅部から所定の範囲内に形成されてな
るものであり、傾斜角度が、有孔領域の最隅部に向かっ
て最大40°の範囲で徐々に変化しているので、そうし
た通過孔を有するシャドウマスクは、プレス成形時に加
わる引張応力によって、正常な楕円形状の通過孔に好ま
しく変形する。傾斜角度を最隅部に向かって徐々に変化
させるのは、プレス成形時の引張応力に基づく通過孔の
変形が、最隅部に向かって徐々に大きくなるという知見
に対応させたものである。このとき、傾斜してなる通過
孔が形成される範囲、及び、通過孔の傾斜を徐々に変化
させる最大40°の範囲のうちの好ましい範囲は、シャ
ドウマスクをプレス成形する際の引張強さとプレス成形
形態とによって任意に設定される。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1または
請求項2に記載のブラウン管用シャドウマスクにおい
て、前記所定の範囲が、前記有孔領域の最隅部からR1
0mmの範囲に含まれていることに特徴を有する。
【0010】この発明によれば、プレス成形に基づいた
通過孔の変形が問題になる有孔領域の最隅部からR10
mmの範囲に、上記の所定の範囲が含まれているので、
そうした従来の問題を解決することができる。
【0011】請求項4に記載の発明は、第2形態のブラ
ウン管用シャドウマスクを提供するものであり、楕円形
状の電子ビーム通過孔が形成されている有孔領域と、当
該有孔領域の周縁に位置する無孔領域とからなるシャド
ウマスクにおいて、前記有孔領域の4つの最隅部から所
定の範囲内に形成されてなる通過孔が、円形形状である
ことに特徴を有する。
【0012】この第2形態に係る発明によれば、有孔領
域の4つの最隅部から所定の範囲内に形成されてなる通
過孔が、寸法安定性に優れた円形形状であるので、プレ
ス成形時の引張応力によっても、通過孔の変形が抑制さ
れたシャドウマスクとすることができる。その結果、本
発明のシャドウマスクをプレス成形した後のシャドウマ
スクにおいては、成形後のシャドウマスクを通過した電
子ビームを、有孔領域の全域において、ブラウン管の蛍
光面上の所望の位置に所望の形状でランディングさせる
ことができる。
【0013】請求項5に記載の発明は、第3形態のブラ
ウン管用シャドウマスクを提供するものであり、楕円形
状の電子ビーム通過孔が形成されている有孔領域と、当
該有孔領域の周縁に位置する無孔領域とからなるシャド
ウマスクにおいて、前記有孔領域の4つの最隅部から所
定の範囲内に形成されてなる通過孔が、当該最隅部に向
かって徐々に円形形状に変化してなることに特徴を有す
る。
【0014】この第3形態に係る発明によれば、有孔領
域の4つの最隅部から所定の範囲内に形成されてなる通
過孔が、より強い引張応力が加わっていく最隅部に向か
って徐々に寸法安定性に優れた円形形状に変化してなる
ので、プレス成形時の引張応力によっても、通過孔の変
形が抑制されたシャドウマスクとすることができる。そ
の結果、本発明のシャドウマスクをプレス成形した後の
シャドウマスクにおいては、成形後のシャドウマスクを
通過した電子ビームを、有孔領域の全域において、ブラ
ウン管の蛍光面上の所望の位置に所望の形状でランディ
ングさせることができる。
【0015】請求項6に記載の発明は、第4形態のブラ
ウン管用シャドウマスクを提供するものであり、楕円形
状の電子ビーム通過孔が形成されている有孔領域と、当
該有孔領域の周縁に位置する無孔領域とからなるシャド
ウマスクにおいて、前記有孔領域の4つの最隅部から所
定の範囲内に形成されてなる通過孔が、当該最隅部に向
かって、円形形状に徐々に変形した後引き続いて楕円形
状からなる前記通過孔の短尺側が膨らんだ楕円形状に徐
々に変形することに特徴を有する。
【0016】この第4形態に係る発明によれば、有孔領
域の4つの最隅部から所定の範囲内に形成されてなる通
過孔が、その最隅部に向かって、円形形状に徐々に変形
した後引き続いて楕円形状からなる当初の通過孔の短尺
側が膨らんだ楕円形状に徐々に変形するので、プレス成
形時の引張応力によっても、通過孔の変形が抑制された
シャドウマスクとすることができる。その結果、本発明
のシャドウマスクをプレス成形した後のシャドウマスク
においては、成形後のシャドウマスクを通過した電子ビ
ームを、有孔領域の全域において、ブラウン管の蛍光面
上の所望の位置に所望の形状でランディングさせること
ができる。
【0017】請求項7に記載の発明は、請求項4乃至請
求項6の何れかに記載のブラウン管用シャドウマスクに
おいて、前記所定の範囲が、前記有孔領域の最隅部から
R10mmの範囲に含まれていることに特徴を有する。
【0018】この発明によれば、プレス成形に基づいた
通過孔の変形が問題になる有孔領域の最隅部からR10
mmの範囲に、上記の所定の範囲が含まれているので、
そうした従来の問題を解決することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明のシャドウマスクは、楕円
形状の通過孔が形成されている有孔領域と、その有孔領
域の周縁に位置する無孔領域とからなり、プレス成形に
よって成形された後にブラウン管内に装着されてなるも
のである。
【0020】本発明にあっては、通過孔の形状が楕円形
状のものに好ましく適用される。楕円形状としては、シ
ャドウマスクに採用されている一般的な楕円形状であれ
ばよく特に限定されない。通常は、数学的な楕円形状ま
たは二つの円弧を長手方向の両端に有する略楕円形状が
適用される。本発明は、そうした楕円形状からなる通過
孔の変形の問題を解決した第1形態〜第4形態に係るシ
ャドウマスクを提供する。
【0021】なお、通過孔は、シャドウマスクを貫通す
る貫通穴であって、電子ビームを通過させ電子ビームの
ランディング形状を規定するものである。そして、この
通過孔は、表側孔部と裏側孔部とが重複することによっ
て開孔形成されてなるものである。
【0022】以下に、第1形態〜第4形態に係る本発明
のシャドウマスクについて、図面を参照しつつ順次説明
する。
【0023】(1)第1形態に係るシャドウマスク 第1形態に係る本発明のシャドウマスク11は、図1
(a)〜(d)および図2に示すように、有孔領域3の
4つの隅部5に形成されている通過孔2について、その
通過孔2の長尺方向の両端(P、Q)のうちシャドウマ
スクの中央側の端部Qをシャドウマスクの中央に近づく
ように傾斜させたことに特徴を有するものである。
【0024】こうしたシャドウマスク11に引張応力を
加えながらプレス成形すると、傾斜した通過孔2がその
引張応力によってほぼ正常な楕円形状の通過孔に変形す
る。その結果、プレス成形された後のシャドウマスクに
おいては、変形後の通過孔を通過した電子ビームを、ブ
ラウン管の蛍光面上の所望の位置に所望の形状でランデ
ィングさせることができる。
【0025】傾斜させる通過孔2は、有孔領域3の最隅
部Eから所定の範囲(M、N)内に形成されていること
が好ましい。範囲の起点を最隅部Eからとしたのは、プ
レス成形時における通過孔2の変形の問題が最隅部Eに
おいて最も顕著であるからであり、所定の範囲(M、
N)内としたのは、プレス成形時の引張応力がシャドウ
マスクの形状、大きさ、板厚もしくは材質、またはプレ
ス成形すべき成形形状等によって任意に設定されるの
で、そうした引張応力に応じて通過孔2が変形する範囲
に基づいて設定するためである。
【0026】所定の範囲(M、N)については、図4に
示すように、有孔領域3の最隅部EからR10mmの範
囲内に設定することが好ましい。また、所定の範囲
(M、N)として、図1に示すように、有孔領域3の最
隅部Eから各辺5mmの長さの点S1を直線で結んだ三
角形の範囲内とすることが特に好ましい。通常のシャド
ウマスクにおいて、プレス成形に基づいた通過孔の変形
が問題になる範囲は有孔領域3の最隅部EからR10m
mの範囲内であることから、上記の所定の範囲(M、
N)が最隅部EからR10mmの範囲内に含まれている
ことによって、そうした従来の問題を解決することがで
きる。
【0027】通過孔2は、傾斜開始点S1から有孔領域
3の最隅部Eに向かって、その傾斜角度θが徐々に変化
していることが好ましい。なお、ここでいう傾斜開始点
S1とは、上述した所定の範囲の境界部分を表してい
る。傾斜角度θの変化量は、一次であっても二次以上で
あってもよいが、一次で変化させることが設計上容易で
あることから好ましい。
【0028】変化させる傾斜角度θは、最大40°の範
囲で設定できる。すなわち、変化させる傾斜角度θを、
傾斜角度開始点S1から、例えば10°、15°、20
°、25°、30°、35°、40°など、最隅部Eに
おいて最大40°までの範囲内の所定の角度となるよう
に設定できる。その設定にあたっては、シャドウマスク
11をプレス成形する際の引張強さ、プレス成形すべき
成形形態、通過孔の楕円形状等による通過孔の変形の程
度が考慮され、その程度に応じて任意に設定される。
【0029】例えば、図1に示すように、上下方向に伸
びた楕円形状(縦楕円という。)において、一般的な曲
面を有するブラウン管に装着されるシャドウマスクで
は、変化させる傾斜角度θを、傾斜開始点S1での約0
°から、最隅部Eでの25°程度にまで徐々に傾けるこ
とが好ましい。また、曲面をさらにフラットに近づけた
ブラウン管に装着されるシャドウマスクでは、変化させ
る傾斜角度θをより大きくし、例えば傾斜開始点S1で
の約0°から、最隅部Eでの30°ないし40°程度ま
で徐々に傾けることが好ましい。
【0030】また、図3に示すように、正面視で左右方
向に伸びた楕円形状(横楕円という。)が形成されたシ
ャドウマスクにおいても、その横楕円からなる通過孔2
の長尺方向の両端P、Qのうちシャドウマスクの中央側
の端部Qをシャドウマスクの中央に近づくように傾斜さ
せる。この場合においても、上述と同様、傾斜させる所
定の範囲(M、N)および傾斜角度θは、上記と同様の
範囲内であることが好ましい。なお、傾斜角度θにおい
ては、縦楕円の場合よりも小さい範囲の傾斜角度θとす
ることが好ましく、例えば、最隅部Eでの角度が最大4
5°程度であることが好ましい。
【0031】(2)第2形態〜第4形態に係るシャドウ
マスク 第2形態〜第4形態に係るシャドウマスク21、31、
41は、有孔領域の4つの隅部5に形成されている通過
孔の変形を、問題のない程度にまで抑制することができ
るように、その通過孔自体の形状を変化させたものであ
る。この点が、通過孔の変形を見越して予めその変形に
対応した形状に通過孔を形成しておく上述の第1形態に
係るシャドウマスクとは異なっている。
【0032】先ず、第2形態に係るシャドウマスクにつ
いて説明する。
【0033】第2形態に係る本発明のシャドウマスク2
1は、図5に示すように、有孔領域3の4つの最隅部E
から所定の範囲内に形成されてなる通過孔22が円形形
状であることに特徴を有するものである。
【0034】こうしたシャドウマスク21においては、
通過孔22が変形しにくく寸法安定性に優れた円形形状
であるので、プレス成形時の引張応力によっても、通過
孔22の変形が抑制される。その結果、プレス成形され
た後のシャドウマスク21を使用しても、電子ビームは
ほとんど変形しない通過孔22を通過するので、電子ビ
ームを、ブラウン管の蛍光面上の所望の位置にほぼその
通過孔22のままの形状でランディングさせることがで
きる。
【0035】円形形状からなる通過孔22は、楕円形状
からなる通過孔2に比べて、その長尺方向の長さLが圧
縮された形状であればよく、完全な円形であっても略円
形であってもよい。そうした形状は、その後問題が生じ
る程度にまで通過孔が変形しないことを考慮して設定す
ることができる。
【0036】楕円形状からなる通過孔2の長尺方向の長
さLを圧縮して、円形形状からなる通過孔22を完全な
円形とした場合には、その直径は楕円形状の短尺長さと
同じになるが、必ずしもそれに限定されるものではな
い。したがって、円形形状からなる通過孔22の直径
を、楕円形状の短尺長さよりも若干大きくしても小さく
してもよいし、全体的に小さめの楕円形状からなる略円
形形状としてもよい。
【0037】第2形態に係る円形形状の通過孔22の形
成位置は、第1形態の場合と同じ所定の範囲内とするこ
とができる。したがって、図4に示すように、有孔領域
の最隅部EからR10mmの範囲内に設定したり、図5
に示すように、有孔領域の最隅部Eから各辺5mmの長
さの点S2を直線で結んだ三角形の範囲内とすることが
できる。
【0038】次に、第3形態に係るシャドウマスクにつ
いて説明する。
【0039】第3形態に係るシャドウマスク31は、図
6に示すように、有孔領域の4つの最隅部Eから所定の
範囲内に形成されてなる通過孔32がその最隅部Eに向
かって徐々に円形形状に変化してなることに特徴を有す
るものである。
【0040】こうしたシャドウマスク31においては、
通過孔32が、より強い引張応力の加わる最隅部Eに向
かって徐々に寸法安定性に優れた円形形状に変化するの
で、プレス成形時の引張応力によっても、通過孔32の
変形が抑制されたシャドウマスク31とすることができ
る。その結果、プレス成形された後のシャドウマスクを
使用しても、通過した電子ビームを、有孔領域の全域に
おいて、ブラウン管の蛍光面上の所望の位置にほぼその
通過孔32のままの形状でランディングさせることがで
きる。
【0041】徐々に円形形状に変化する通過孔は、第1
形態と同様に、有孔領域の最隅部Eから所定の範囲内に
形成されていることが好ましい。また、その所定に範囲
についても、第1形態の場合と同じ所定の範囲とするこ
とができる。したがって、図4に示すように、有孔領域
の最隅部EからR10mmの範囲内に設定したり、図6
に示すように、有孔領域の最隅部Eから各辺5mmの長
さの点S3(変形開始点)を直線で結んだ三角形の範囲
内とすることができる。
【0042】通過孔32は、変形開始点S3から有孔領
域の最隅部Eに向かって、円形形状に徐々に変化する。
変形量は、一次であっても二次以上であってもよいが、
一次で変化させることが設計上容易であることから好ま
しい。
【0043】最隅部Eにおける円形形状の通過孔32
は、楕円形状からなる通過孔に比べて、その長尺方向の
長さが圧縮された円形形状であればよく、完全な円形で
あっても略円形であってもよい。そうした形状は、その
後問題が生じる程度にまで通過孔が変形しないことを考
慮して設定することができる。
【0044】楕円形状からなる通過孔の長尺方向の長さ
Lを徐々に圧縮して、円形形状からなる通過孔を完全な
円形とした場合には、その直径は楕円形状の短尺長さと
同じになる。
【0045】次に、第4形態に係るシャドウマスクにつ
いて説明する。
【0046】第4形態に係るシャドウマスク41は、図
7に示すように、有孔領域の4つの最隅部Eから所定の
範囲内に形成されてなる通過孔42が、最隅部Eに向か
って、円形形状に徐々に変形した後引き続いて、当初の
楕円形状からなる通過孔の短尺側が膨らんだ楕円形状に
徐々に変形することに特徴を有するものである。
【0047】こうしたシャドウマスク41においては、
プレス成形時の引張応力によっても、通過孔42の変形
が抑制されたシャドウマスクとすることができる。その
結果、プレス成形された後のシャドウマスクを使用する
と、電子ビームは、ほとんど変形しない通過孔42を通
過し、その電子ビームをブラウン管の蛍光面上の所望の
位置にほぼその通過孔42のままの形状でランディング
させることができる。
【0048】この場合においては、図7に示すように、
縦楕円からなる通過孔42aは、最隅部Eに向かうにし
たがって、その長尺長さLが徐々に圧縮した略楕円形状
の通過孔42bから円形の通過孔42cに変化し、次い
で当初の楕円形状の通過孔42aの短尺側が徐々に膨ら
んだ略楕円形状の通過孔42dを経て、横楕円からなる
通過孔42eに変化する。その変形量は、一次であって
も二次以上であってもよいが、一次で変化させることが
設計上容易であることから好ましい。
【0049】そうした通過孔42b、…、42eは、第
1形態と同様に、有孔領域の最隅部Eから所定の範囲内
に形成されていることが好ましい。また、その所定に範
囲についても、第1形態の場合と同じ所定の範囲とする
ことができる。したがって、図4に示すように、有孔領
域の最隅部EからR10mmの範囲内に設定したり、図
7に示すように、有孔領域の最隅部Eから各辺5mmの
長さの点を直線で結んだ三角形の範囲内とすることがで
きる。
【0050】(3)シャドウマスクの製造方法 上述したシャドウマスク11、21、31、41の製造
方法の一例について説明する。なお、言うまでもなく、
本発明のシャドウマスクは、下記の製造方法に限定され
ない。
【0051】シャドウマスクは、従来公知の方法で形成
することができる。通常、フォトエッチング工程が利用
され、連続したインライン装置で製造される。例えば、
金属薄板の両面に水溶性コロイド系フォトレジスト等を
塗布し、乾燥する。その後、その表面には、有孔領域3
の各隅部5を上述した所定形状に変形させてなる表側孔
部パターンが形成されたフォトマスクを密着させ、裏面
にも、有孔領域3の各隅部5を所定形状に変形させてな
る裏側孔部パターンが形成されたフォトマスクを密着さ
せ、高圧水銀等の紫外線によって露光し、水で現像す
る。なお、表側孔部パターンが形成されたフォトマスク
と、裏側孔部パターンが形成されたフォトマスクとの位
置関係およびその形状は、形成する各形態に係る通過孔
の形状を考慮して設計され、配置される。レジスト膜画
像で周囲がカバーされた金属の露出部分は、各部のエッ
チング進行速度の相違に基づいて、上述したような各々
の形状で形成される。なお、エッチング加工は、熱処理
等された後、両面側から塩化第二鉄溶液をスプレー等し
て行われる。その後、水洗い、剥離等の後工程を連続的
に行うことによってシャドウマスクが製造される。
【0052】次に、こうして得られたシャドウマスクを
プレス成形し、所定の形状としたシャドウマスクをブラ
ウン管内に装着する。ブラウン管内に装着したシャドウ
マスクは、変形後の通過孔を通過した電子ビームを、ブ
ラウン管の蛍光面上の所望の位置に所望の形状でランデ
ィングさせることができる。
【0053】
【実施例】以下に、実施例と比較例を示し、本発明をさ
らに具体的に説明する。
【0054】(実施例1)厚さt0.12〜0.13m
mのFe−Ni合金からなる17インチブラウン管用の
シャドウマスクを、上述したシャドウマスクの製造方法
によって製造した。
【0055】このシャドウマスクは、ブラウン管の蛍光
面に縦楕円のビームスポットを形成する楕円形状の通過
孔を有するシャドウマスクである。このとき、楕円形状
の通過孔の寸法は、長尺方向の両端間の最大長さが0.
13mmで、短尺方向の幅が0.090mmである。な
お、この通過孔は貫通孔であり、その通過孔は、表側孔
部と裏側孔部とがエッチングされて合わさることによっ
て形成される。
【0056】シャドウマスクの有孔領域3の4つの隅部
5には、第1形態に係る通過孔2を形成した。その通過
孔2は、最隅部Eから5mmの位置を傾斜開始点S1と
し、その位置から最隅部Eに向かって一次の変化率で、
その通過孔2の長尺方向の両端P、Qのうちシャドウマ
スクの中央側の端部Qをシャドウマスクの中央に近づく
ように傾斜させた。なお、最隅部Eでの傾斜角度θは2
5°とした。
【0057】こうして得られたシャドウマスクをプレス
成形すると、隅部5に形成された傾斜した通過孔2は、
プレス成形されることによって正常な楕円形状に近づい
た。その結果、変形後の通過孔を通過した電子ビーム
を、ブラウン管の蛍光面上の所望の位置に所望の形状で
ランディングさせることができた。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1形態
に係る発明によれば、通過孔の変形を見越して予めその
変形に対応した形状に通過孔を形成しておくので、そう
した通過孔を有するシャドウマスクに引張応力を加えな
がらプレス成形すると、傾斜した通過孔がその引張応力
によって正常もしくはほぼ正常で問題にない楕円形状の
通過孔に変形する。その結果、本発明のシャドウマスク
をプレス成形した後においては、成形後のシャドウマス
クを通過した電子ビームを、有孔領域の全域において、
ブラウン管の蛍光面上の所望の位置に所望の形状でラン
ディングさせることができる。
【0059】また、本発明の第2形態〜第4形態に係る
発明によれば、有孔領域の4つの隅部に形成されている
通過孔の変形を問題のない程度にまで抑制することがで
きるように、その通過孔自体の形状を変化させたもので
あるので、プレス成形時の引張応力によっても、通過孔
の変形が抑制されたシャドウマスクとすることができ
る。その結果、本発明のシャドウマスクをプレス成形し
た後においては、成形後のシャドウマスクを通過した電
子ビームを、有孔領域の全域において、ブラウン管の蛍
光面上の所望の位置に所望の形状でランディングさせる
ことができる。
【0060】以上、本発明のシャドウマスクを使用する
ことによって、プレス成形後のシャドウマスクを装着し
たブラウン管において、通過した電子ビームが重なり合
うことがなく、ブラウン管に形成された画像の色純度や
明るさの低下が起こらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1形態に係る本発明のシャドウマスクの隅部
形態の一例を示す平面図である。
【図2】本発明のシャドウマスクの一例を示す全体平面
図である。
【図3】第1形態に係る本発明のシャドウマスクの隅部
形態の他の一例を示す平面図である。
【図4】本発明に係る通過孔が形成される範囲の一例を
示す平面図である。
【図5】第2形態に係る本発明のシャドウマスクの隅部
形態の一例を示す平面図である。
【図6】第3形態に係る本発明のシャドウマスクの隅部
形態の一例を示す平面図である。
【図7】第4形態に係る本発明のシャドウマスクの隅部
形態の一例を示す平面図である。
【図8】シャドウマスクを所定の形状にプレス成形した
形態の一の隅部を示す斜視図である。
【図9】プレス成形後のシャドウマスクの隅部における
電子ビーム通過孔の従来形態を示す平面図である。
【符号の説明】
11、21、31、41…シャドウマスク 2、22、32、42、42a〜42e…通過孔 3…有孔領域 4…無孔領域 5…隅部 E…最隅部 L…通過孔の長尺長さ M、N…所定の範囲 P、Q…通過孔長尺方向の端部 S1、S2、S3、S4…開始点 θ…傾斜角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5C031 EE02 EF10 EH01 EH04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 楕円形状の電子ビーム通過孔が形成され
    ている有孔領域と、当該有孔領域の周縁に位置する無孔
    領域とからなるシャドウマスクにおいて、 前記有孔領域の4つの隅部に形成されている通過孔は、
    当該通過孔の長尺方向の両端のうち前記シャドウマスク
    の中央側の端部が当該シャドウマスクの中央に近づくよ
    うに、傾斜していることを特徴とするブラウン管用シャ
    ドウマスク。
  2. 【請求項2】 前記傾斜してなる通過孔が、前記有孔領
    域の最隅部から所定の範囲内に形成されてなるものであ
    り、当該傾斜角度が、前記有孔領域の最隅部に向かって
    最大40°の範囲で徐々に変化していることを特徴とす
    る請求項1に記載のブラウン管用シャドウマスク。
  3. 【請求項3】 前記所定の範囲が、前記有孔領域の最隅
    部からR10mmの範囲に含まれていることを特徴とす
    る請求項1または請求項2に記載のブラウン管用シャド
    ウマスク。
  4. 【請求項4】 楕円形状の電子ビーム通過孔が形成され
    ている有孔領域と、当該有孔領域の周縁に位置する無孔
    領域とからなるシャドウマスクにおいて、 前記有孔領域の4つの最隅部から所定の範囲内に形成さ
    れてなる通過孔が、円形形状であることを特徴とするブ
    ラウン管用シャドウマスク。
  5. 【請求項5】 楕円形状の電子ビーム通過孔が形成され
    ている有孔領域と、当該有孔領域の周縁に位置する無孔
    領域とからなるシャドウマスクにおいて、 前記有孔領域の4つの最隅部から所定の範囲内に形成さ
    れてなる通過孔が、当該最隅部に向かって徐々に円形形
    状に変化してなることを特徴とするブラウン管用シャド
    ウマスク。
  6. 【請求項6】 楕円形状の電子ビーム通過孔が形成され
    ている有孔領域と、当該有孔領域の周縁に位置する無孔
    領域とからなるシャドウマスクにおいて、 前記有孔領域の4つの最隅部から所定の範囲内に形成さ
    れてなる通過孔が、当該最隅部に向かって、円形形状に
    徐々に変形した後引き続いて楕円形状からなる前記通過
    孔の短尺側が膨らんだ楕円形状に徐々に変形することを
    特徴とするブラウン管用シャドウマスク。
  7. 【請求項7】 前記所定の範囲が、前記有孔領域の最隅
    部からR10mmの範囲に含まれていることを特徴とす
    る請求項4乃至請求項6の何れかに記載のブラウン管用
    シャドウマスク。
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