JP2002298430A - 情報記録媒体とその製造方法 - Google Patents

情報記録媒体とその製造方法

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JP2002298430A
JP2002298430A JP2001104103A JP2001104103A JP2002298430A JP 2002298430 A JP2002298430 A JP 2002298430A JP 2001104103 A JP2001104103 A JP 2001104103A JP 2001104103 A JP2001104103 A JP 2001104103A JP 2002298430 A JP2002298430 A JP 2002298430A
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Takashi Nishihara
孝史 西原
Rie Kojima
理恵 児島
Noboru Yamada
昇 山田
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録層の膜厚が薄く、記録層の結晶化を促進
するための界面層を記録層の少なくともいずれか一方の
界面に配置された相変化形情報記録媒体において、界面
層の材料コストを抑えた相変化形情報記録媒体を提供す
る。 【解決手段】 記録層の平均膜厚t1が3nmから9n
mと薄い場合において、記録層の少なくともいずれか一
方の界面に主としてCから成る膜で構成された界面層が
接し、この界面層の平均膜厚t2が0.3nmから5n
mの範囲にあり、且つt1とt2との比t2/t1が、1/
30≦t2/t1≦1の範囲にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的に情報を記
録、消去、書き換え、再生する情報記録媒体及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザビームを用いて情報を記録、消
去、書き換え、再生する情報記録媒体として相変化形情
報記録媒体がある。相変化形情報記録媒体への情報の記
録、消去、書き換えには、記録層が結晶相と非晶質相と
の間で可逆的相変態を生起することを利用する。一般
に、情報を記録する場合は、レーザビームを照射して記
録層を溶融して急冷することにより、照射部を非晶質相
として情報を記録する。一方、情報を消去する場合は、
記録時より低パワーのレーザビームを照射して記録層を
昇温して徐冷することにより、照射部を結晶相として前
の情報を消去する。従って、相変化形情報記録媒体で
は、高パワーレベルと低パワーレベル間でパワー変調し
たレーザビームを記録層に照射することにより、前の情
報を消去しつつ新しい情報を記録、書き換えすることが
可能である。
【0003】図4に、従来の相変化形情報記録媒体の層
構成の一例を示す。図4に示すように、従来の相変化形
情報記録媒体は、第1の基板1の上に、下側保護層2、
下側界面層40、記録層4、上側界面層41、上側保護
層6、反射層8が順次積層されて構成されている。記録
層4には、結晶相と非晶質相との間で可逆的な相変態を
生起し、その際光学特性が変化する材料が用いられる。
通常、Ge、Sb、Teの3元素を含むカルコゲナイド
系材料が用いられる。反射層8は、一般にAu、Ag、
Al等の金属、又はこれら金属を含む合金からなり、記
録層4からの放熱や記録層4の光吸収を助けるために設
けられている。下側保護層2及び上側保護層6は、一般
に高融点の誘電体薄膜であり、記録層4の材料の酸化や
変形を防止する保護機能と共に、情報記録媒体の光学特
性を調整する機能をも有する。また、情報記録媒体の酸
化、腐食、埃等の付着を防止するため、上側中間層10
として紫外線硬化樹脂を用い、第2の基板9を反射層8
に貼り合わせた構成が一般的に用いられる。
【0004】下側界面層40及び上側界面層41は、繰
り返し記録によって下側保護層2と記録層4、上側保護
層6と記録層4との間で生じる物質移動(硫黄の拡散)
を防止する機能がある。また、下側界面層40及び上側
界面層41には、記録層4の結晶化を促進する機能も有
している。下側界面層40及び上側界面層41の材料と
して、発明者らは従来よりGe−Nを含む材料を用いて
きた。
【0005】近年、情報記録媒体を大容量化するための
技術として、短波長の青紫色レーザを用いたり、レーザ
ビームが入射する側の基板の厚さを薄くして高NAレン
ズを使用したりすることにより、レーザビームのスポッ
ト径をより小さくして記録することにより高密度記録を
行う技術や、特開平12−36130号公報に開示され
ている片側から2層の情報層を記録再生することでほぼ
2倍の容量の情報記録媒体を得る技術が研究開発されて
いる。
【0006】片側から2層の情報層を記録再生する2層
情報記録媒体では、レーザから遠い奥の情報層(第2の
情報層)の記録再生に、レーザに近い手前の情報層(第
1の情報層)を透過したレーザビームを用いる。従っ
て、第1の情報層は40%以上の透過率を有することが
好ましく、一方、第2の情報層は、記録特性に対しては
高記録感度(低パワーのレーザビームでも記録マークを
形成できる)であることが望まれ、再生特性に対しては
高反射率であることが望まれる。第1の情報層のレーザ
ビームの透過率を40%以上にするためには、第1の記
録層の膜厚を極めて薄い6nm程度にしなければならな
い。記録層の膜厚が薄くなると、結晶化する際に、形成
される結晶核が減る、原子の移動できる距離が短くなる
ことにより、同じ材料であっても結晶化速度が相対的に
低下する傾向にある。また、記録層が薄くなると、記録
層を構成する原子数が少なくなるため、その両側にある
層からの物質移動によって記録層の特性が劣化する可能
性が大きくなる。以上の二つのことから、特に薄い記録
層を用いる第1の情報層では、物質移動を抑制する機能
と、結晶化を促進する機能を有する界面層を設けること
が必須であり、発明者らは従来よりGe−Nを含む材料
を用いてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、界面層
として用いるGe−Nを含む材料は、Geが高価な元素
であるため、情報記録媒体の材料コストが高くなるとい
う課題がある。
【0008】本発明は、上記課題を解決した、Ge−N
を含む材料と同等の機能を有し、且つ低コストな界面層
を有する情報記録媒体と、その製造方法を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の情報記録媒体は、レーザビームの照射によっ
て結晶相と非晶質相との間で可逆的な相変化を起こすこ
とにより情報を記録し得る記録層の平均膜厚t1が、3
≦t1(nm)≦9の範囲にあり、且つ記録層の少なく
ともいずれか一方の界面に接する界面層が主としてCか
ら成る膜で構成され、且つ界面層の平均膜厚t2が、
0.3≦t2(nm)≦5の範囲にあり、且つ記録層の
平均膜厚t1と界面層の平均膜厚t2との比t2/t1が、
1/30≦t2/t1≦1の範囲にあることを特徴とす
る。ここで、平均膜厚とは、薄膜が3nm以下と薄い場
合に膜厚が面内で均一にならず島状に形成されるため、
薄膜の膜厚を成膜時間で換算することにより膜厚を定義
したものである。即ち、1分で60nmの膜が形成され
る場合、2秒の成膜時間での平均膜厚は2nmというこ
とになる。記録層の平均膜厚t1が3nm未満の場合に
は、記録材料が均一な層状にならず、結晶相と非晶質相
との間で効果的な相変態が起こりにくくなり、記録層の
平均膜厚t1が9nmより厚い場合には、記録層の面内
での熱拡散が大きくなり、隣接消去が生じ易くなる。ま
た、界面層の材料としてCを用いることにより、材料コ
ストを抑えることができる。界面層の平均膜厚t2が
0.3nm未満の場合には、界面層が均一な層状になら
ず、物質移動の抑制や結晶化の促進という界面層として
の機能が不十分であり、界面層の平均膜厚t2が5nm
より厚い場合には、界面層での光吸収によって、記録層
が結晶相の場合の反射率と非晶質相の場合の反射率との
差を大きくすることが困難となり、情報を再生する際の
信号振幅が低下してしまう。さらに、記録層の平均膜厚
t1と界面層の平均膜厚t2との比t2/t1が1/30未
満の場合には、界面層が記録層に対して非常に薄いた
め、界面層としての機能を果たさず、記録層の平均膜厚
t1と界面層の平均膜厚t2との比t2/t1が1より大き
い場合には、界面層での光吸収の影響が大きくなり、記
録層が結晶相の場合の反射率と非晶質相の場合の反射率
との差を大きくすることが困難となり、情報を再生する
際の信号振幅が低下してしまう。記録層の記録材料とし
ては、Ge、Sb、Teの3元素を含むことが好まし
い。また、記録層が結晶相である場合の情報記録媒体の
透過率をTc(%)とし、記録層が非晶質相である場合
の情報記録媒体の透過率をTa(%)としたとき、レー
ザビームの波長が390nm以上430nm以下の範囲
において、40≦(Tc+Ta)/2であることによ
り、レーザビームの入射側から見て奥にある情報層の記
録再生の際に必要なレーザ光量を情報層に到達させ、良
好な記録消去特性が得られる作用を有する。
【0010】また、本発明の情報記録媒体は、レーザビ
ームの照射によって結晶相と非晶質相との間で可逆的に
相変化を起こすことにより情報を記録し得る情報層を複
数備え、且つレーザビームの入射側に最も近い情報層に
おいて、レーザビームの照射によって結晶相と非晶質相
との間で可逆的な相変化を起こすことにより情報を記録
し得る記録層の平均膜厚t1が、3≦t1(nm)≦9の
範囲にあり、且つ記録層の少なくともいずれか一方の界
面に接する界面層が主としてCから成る膜で構成され、
且つ界面層の平均膜厚t2が、0.3≦t2(nm)≦5
の範囲にあり、且つ記録層の平均膜厚t1と前記界面層
の平均膜厚t2との比t2/t1が、1/30≦t2/t1
≦1の範囲にあることを特徴とする。記録層の平均膜厚
t1が3nm未満の場合には、記録材料が均一な層状に
ならず、結晶相と非晶質相との間で効果的な相変態が起
こりにくくなり、記録層の平均膜厚t1が9nmより厚
い場合には、記録層の面内での熱拡散が大きくなって隣
接消去が生じ易くなり、さらにレーザビームの入射側に
最も近い情報層の透過率が低くなり奥にある情報層の記
録再生の際に必要なレーザ光量を到達させることが困難
となる。また、界面層の材料としてCを用いることによ
り、材料コストを抑えることができる。界面層の平均膜
厚t2が0.3nm未満の場合には、界面層が均一な層
状にならず、物質移動の抑制や結晶化の促進という界面
層としての機能が不十分であり、界面層の平均膜厚t2
が5nmより厚い場合には、界面層での光吸収によっ
て、記録層が結晶相の場合の反射率と非晶質相の場合の
反射率との差を大きくすることが困難となり、情報を再
生する際の信号振幅が低下してしまう。さらに、記録層
の平均膜厚t1と界面層の平均膜厚t2との比t2/t1が
1/30未満の場合には、界面層が記録層に対して非常
に薄いため、界面層としての機能を果たさず、記録層の
平均膜厚t1と界面層の平均膜厚t2との比t2/t1が1
より大きい場合には、界面層での光吸収の影響が大きく
なり、記録層が結晶相の場合の反射率と非晶質相の場合
の反射率との差を大きくすることが困難となり、情報を
再生する際の信号振幅が低下してしまう。記録層の記録
材料としては、Ge、Sb、Teの3元素を含むことが
好ましい。記録層が結晶相である場合の情報記録媒体の
透過率をTc(%)とし、記録層が非晶質相である場合
の情報記録媒体の透過率をTa(%)としたとき、レー
ザビームの波長が390nm以上430nm以下の範囲
において、40≦(Tc+Ta)/2であることによ
り、レーザビームの入射側から見て奥にある情報層の記
録再生の際に必要なレーザ光量を情報層に到達させ、良
好な記録消去特性が得られる作用を有する。
【0011】また、本発明の光学的情報記録媒体は、第
1の基板上に、少なくとも下側保護層、下側界面層、記
録層、上側保護層、反射層がこの順に積層された構成で
ある。或いは、第2の基板上に、少なくとも反射層、上
側保護層、記録層、下側界面層、下側保護層がこの順に
積層された構成である。この構成により、情報記録媒体
の反射率、記録感度、消去感度、透過率を記録消去再生
条件に合わせて最適化でき、且つ下側界面層によって記
録層の結晶化を促進し、記録層と下側保護層との間の物
質移動を抑制する作用を有する。記録層の結晶化を促進
し、且つ記録層と上側保護層との間の物質移動を抑制す
るため、記録層と上側保護層との間に上側界面層が配置
されていても良い。また、情報記録媒体の透過率を高め
るため、レーザビームを出射するレーザ光源から見て反
射層の奥側に、透過率調整層が配置されていても良い。
反射層と透過率調整層との間の原子拡散を防止し、信頼
性を高めるために、反射層と透過率調整層との間に界面
層が配置されていても良い。
【0012】また、本発明の情報記録媒体において、第
1の基板の厚さが、10μm以上700μm以下である
ことにより、対物レンズの開口数(NA)を変化させ
て、第1の基板の溝形状や記録消去再生条件に合わせ
て、記録マーク長、記録マーク幅及び記録マーク間を最
適化できるという作用を有する。例えば、第1の基板の
厚さが100μmの場合、NA=0.85で良好な記録
消去特性が確認できた。また、第1の基板の厚さが60
0μmの場合、NA=0.6で良好な記録消去特性が確
認できた。さらに、第2の基板の厚さが、500μm以
上1300μm以下であることにより、対物レンズのN
Aを変化させて、第2の基板の溝形状や記録消去再生条
件に合わせて、記録マーク長、記録マーク幅及び記録マ
ーク間を最適化できるという作用を有する。第1の基板
の厚さが約100μmである場合は第2の基板の厚さは
約1100μm、第1の基板の厚さが約600μmであ
る場合は第2の基板の厚さは約600μmというよう
に、情報記録媒体の厚さが約1200μmとなるように
第1の基板及び第2の基板の厚さを選択調整する。
【0013】本発明の情報記録媒体の製造方法は、レー
ザビームの照射によって結晶相と非晶質相との間で可逆
的な相変化を起こすことにより情報を記録し得る記録層
を1Pa以下の圧力下においてスパッタリング法により
成膜する記録層成膜工程と、記録層の少なくともいずれ
か一方の界面に接する界面層を2Pa以下の圧力下にお
いてスパッタリング法により成膜する界面層成膜工程を
有する情報記録媒体の製造方法であって、記録層成膜工
程がGe、Sb、Teの3元素を含む母材を使用し、且
つ界面層成膜工程が主としてCを含む母材を使用するこ
とにより、良好な記録再生特性を有する情報記録媒体を
安価に製造できる作用を有する。記録層成膜工程或いは
界面層成膜工程において、アルゴンガスもしくはクリプ
トンガスを用いるか、またはアルゴンガスもしくはクリ
プトンガスと、窒素ガスもしくは酸素ガスのうち少なく
ともいずれか一方との混合ガスを用いることにより、繰
り返し記録に優れた情報記録媒体を製造できる作用を有
する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図1から図4を用いて説明する。
【0015】(実施の形態1)図1は本発明の情報記録
媒体32の一構成例を示している。情報記録媒体32
は、第1の基板1上に下側保護層2、下側界面層3、記
録層4、上側界面層5、上側保護層6、界面層7、反射
層8を順に積層し、第2の基板9を上側中間層10で貼
り合わせた構造である。レーザビーム31は、第1の基
板1側から入射する。
【0016】第1の基板1及び第2の基板9には、透明
な円盤状のポリカーボネートまたはアモルファスポリオ
レフィンまたはPMMA等の樹脂またはガラスを用いる
ことができる。成膜する側の基板表面にはレーザビーム
を導くための案内溝が必要に応じて形成されており、成
膜しない側の基板表面は平滑であることが好ましい。ま
た、光学的に短波長域において複屈折が小さいことが好
ましい。特に、ポリカーボネートが転写性・量産性に優
れ、低コストであることから有用な材料である。なお、
第1の基板1の厚さは10μm〜700μm程度であ
り、第2の基板9の厚さは500μm〜1300μm程
度である。
【0017】下側保護層2、上側保護層6は、いずれも
誘電体薄膜で、光学距離を調整して記録層4の光吸収効
率を高め、記録前後の反射光量の変化を大きくして信号
振幅を大きくする働きがある。これらの保護層には、例
えばSiOx,Al2O3,TiO2,Ta2O5,ZrO2
などの酸化物、SiNx,Al−N,Ti−N,Ta−
N,Zr−N,Ge−Nなどの窒化物、ZnSなどの硫
化物、SiCなどの炭化物、及びこれらの混合物を用い
ることができる。これらの中でも、混合物であるZnS
−SiO2は、非晶質材料で高屈折率を有し、成膜速度
も速く、機械特性及び耐湿性も良好な特に優れた保護層
材料である。下側保護層2及び上側保護層6の膜厚は、
例えばマトリクス法に基づく計算により、記録層4の結
晶相と非晶質相の反射光量の変化がより大きく、情報記
録媒体32の透過率がより大きく、且つ記録層4の光吸
収効率が大きくなる条件を満足するように厳密に決定す
ることができる。下側保護層2、及び上側保護層6は、
必要に応じて異なる材料・組成のものを用いても良い
し、同一の材料・組成のものを用いても良い。
【0018】下側界面層3及び上側界面層5は、繰り返
し記録によって下側保護層2と記録層4、及び上側保護
層6と記録層4との間で生じる物質移動を防止する働き
がある。これらの界面層の材料として、主としてCから
成る膜を用いることにより、材料コストを抑えることが
できる。下側界面層3及び上側界面層5の平均膜厚t2
が0.3nm未満の場合には、界面層が均一な層状にな
らず、物質移動の抑制や結晶化の促進という界面層とし
ての機能が不十分であり、下側界面層3及び上側界面層
5の平均膜厚t2が5nmより厚い場合には、界面層で
の光吸収によって、記録層が結晶相の場合の反射率と非
晶質相の場合の反射率との差を大きくすることが困難と
なり、情報を再生する際の信号振幅が低下してしまう。
従って、下側界面層3及び上側界面層5の平均膜厚t2
は、0.3nmから5nmの範囲にあることが好まし
い。
【0019】界面層7は、高温高湿記録によって上側保
護層6と反射層8との間で生じる物質移動を防止する働
きがある。これらの界面層には、例えばSiNx,Al
−N,Ti−N,Ta−N,Zr−N,Ge−Nなどの
窒化物もしくはこれらの系を含む窒化酸化物、またはS
iCなどの炭化物、及びCを使用することができる。界
面層7の膜厚が厚いと多層構成の反射率や吸収率が大き
く変化して記録消去性能に影響を与える。従って、界面
層7の膜厚には1から10nmが望ましく、より好まし
い膜厚は2から5nmである。
【0020】記録層4の材料は、レーザビームの照射に
よって結晶相と非晶質相との間で可逆的な相変化を起こ
す材料で、Ge、Sb、Teの3元素を含み、組成はG
eaSb2Te3+aの組成式で表される。a=0では結晶
相が非常に安定で非晶質相の安定性に欠け、10<aで
は信号振幅は大きくなるが、融点が上がり結晶化速度も
低下するため、0<a≦10の範囲が好ましい。また、
記録層4の組成は、(Ge−M)aSb2Te3+aの組成
式で表されるGeaSb2Te3+a組成のGeの一部をM
で置換した組成でも良い。MはSn、Pbのうち少なく
ともいずれか一つを含む。この場合、GeSbTe3元
系組成のGeを置換したSn、Pbが結晶化能を向上さ
せ、記録層4の膜厚が極めて薄い場合でも十分な消去率
が得られる。但し、Pbの毒性を考慮するとSnがより
好ましい元素である。
【0021】記録層4の平均膜厚t1が3nm未満の場
合には、記録材料が均一な層状にならず、結晶相と非晶
質相との間で効果的な相変態が起こりにくくなり、記録
層の平均膜厚t1が9nmより厚い場合には、記録層の
面内での熱拡散が大きくなり、隣接消去が生じ易くな
る。従って、記録層4の平均膜厚t1は、3nmから9
nmの範囲にあることが好ましい。
【0022】なお、記録層4の平均膜厚t1と下側界面
層3及び上側界面層5の平均膜厚t2との比t2/t1が
1/30未満の場合には、界面層が記録層に対して非常
に薄いため、界面層としての機能を果たさず、記録層の
平均膜厚t1と界面層の平均膜厚t2との比t2/t1が1
より大きい場合には、界面層での光吸収の影響が大きく
なり、記録層が結晶相の場合の反射率と非晶質相の場合
の反射率との差を大きくすることが困難となり、情報を
再生する際の信号振幅が低下してしまう。従って、t2
/t1は1/30から1の範囲にあることが好ましい。
【0023】反射層8は、光学的には記録層4に吸収さ
れる光量を増大させ、熱的には記録層4で生じた熱を速
やかに拡散させ、非晶質化しやすくするという働きがあ
り、さらに多層膜を使用する環境から保護する役割もあ
る。反射層8の材料としては、例えばAl,Au,A
g,Cu等の熱伝導率の高い単体金属材料、或いはこれ
らのうちの1つまたは複数の元素を含み、耐湿性の向上
或いは熱伝導率の調整等のために適宜1つまたは複数の
他の元素を添加した、Al−Cr,Al−Ti,Au−
Pd,Au−Cr,Ag−Pd,Ag−Pd−Cu,A
g−Pd−Ti,Cu−Si等の合金材料を用いること
ができる。これらの合金材料はいずれも耐食性に優れ且
つ急冷条件を満足する優れた材料である。特にAg合金
は熱伝導率が大きいため、反射層8として優れた材料で
ある。
【0024】上側中間層10は、情報記録媒体32の酸
化、腐食、埃等の付着を防止するため、第2の基板9を
反射層8に張り合わせるために用いる。材料としては、
光硬化性樹脂または遅効性樹脂を用いることができ、記
録再生するレーザビーム31の波長で光吸収がない材料
が望ましい。
【0025】(実施の形態2)図2は本発明の情報記録
媒体33の一構成例を示している。情報記録媒体33
は、第2の基板9上に反射層8、界面層7、上側保護層
6、上側界面層5、記録層4、下側界面層3、下側保護
層2を積層して、第1の基板1を下側中間層11で貼り
合わせた構造である。下側中間層11の材料としては、
光硬化性樹脂または遅効性樹脂を用いることができ、記
録再生するレーザビーム31の波長で光吸収がない材料
が望ましい。下側中間層11の厚さは、第1の基板1の
厚さと合わせて対物レンズの集光可能な範囲にあるよう
に、対物レンズの許容できる基板厚公差内にすることが
好ましく、1μmから50μmが好ましい。実施の形態
1と同様、レーザビーム31は第1の基板1側から入射
する。
【0026】なお、第1の基板1、下側保護層2、下側
界面層3、記録層4、上側界面層5、上側保護層6、界
面層7、反射層8及び第2の基板9は、実施の形態1で
説明した材料と同様の系を用いることができ、形状及び
機能についても同様である。
【0027】(実施の形態3)図3は本発明の情報記録
媒体34の一構成例を示している。情報記録媒体34
は、第2の基板9上に第2の反射層28、第2の界面層
27、第2の上側保護層26、第2の上側界面層25、
第2の記録層24、第2の下側界面層23、第2の下側
保護層22を積層し、第2の下側保護層22上に中間層
21を形成し、さらに中間層21上に透過率調整層2
0、第1の最上界面層19、第1の反射層18、第1の
界面層17、第1の上側保護層16、第1の上側界面層
15、第1の記録層14、第1の下側界面層13、第1
の下側保護層12を順に積層して、第1の基板1を下側
中間層11で貼り合わせた構造である。
【0028】第1の下側保護層12、第1の上側保護層
16、第2の下側保護層22及び第2の上側保護層26
は、いずれも誘電体薄膜で、光学距離を調整して第1の
記録層14または第2の記録層24の光吸収効率を高
め、記録前後の反射光量の変化を大きくして信号振幅を
大きくする働きがある。これらの保護層には、実施の形
態1の下側保護層2或いは上側保護層6と同様の系の材
料を用いることができる。第1の下側保護層12及び第
1の上側保護層16の膜厚は、例えばマトリクス法に基
づく計算により、第1の記録層14の結晶相と非晶質相
の反射光量の変化がより大きく、且つ第1の情報層29
の透過率がより大きく、且つ第1の記録層14の光吸収
効率が大きくなる条件を満足するように厳密に決定する
ことができる。第2の下側保護層22及び第2の上側保
護層26の膜厚も同様に、第2の記録層24の結晶相と
非晶質相の反射光量の変化がより大きく、且つ第2の記
録層24の光吸収効率が大きくなる条件を満足するよう
に厳密に決定することができる。第1の下側保護層1
2、第1の上側保護層16、第2の下側保護層22及び
第2の上側保護層26は、必要に応じて異なる材料・組
成のものを用いても良いし、同一の材料・組成のものを
用いても良い。
【0029】透過率調整層20は誘電体薄膜で、第1の
記録層14が結晶相である場合の第1の情報層29の透
過率をTc(%)、第1の記録層14が非晶質相である
場合の第1の情報層29の透過率をTa(%)としたと
き、Tc,Taを共に高くする作用があり、透過率調整
層20が無い場合に比べ2%〜6%程度透過率が上昇す
る。なお、透過率調整層20には第1の下側保護層1
2、第1の上側保護層16、第2の下側保護層22及び
第2の上側保護層26と同じ系の材料を用いることがで
きる。
【0030】第1の下側界面層13、第1の上側界面層
15、第2の下側界面層23及び第2の上側界面層25
は、繰り返し記録によって第1の下側保護層12と第1
の記録層14、第1の上側保護層16と第1の記録層1
4、第2の下側保護層22と第2の記録層24及び第2
の上側保護層26と第2の記録層24との間で生じる物
質移動を防止する働きがある。これらの界面層の材料と
して、主としてCから成る膜を用いることにより、材料
コストを抑えることができる。実施の形態1と同様の理
由により、第1の下側界面層13、第1の上側界面層1
5、第2の下側界面層23及び第2の上側界面層25の
平均膜厚t2は、0.3nmから5nmの範囲にあるこ
とが好ましい。
【0031】第1の界面層17、第1の最上界面層19
及び第2の界面層27は、高温高湿記録によって第1の
上側保護層16と第1の反射層18、透過率調整層10
と第1の反射層18及び第2の上側保護層26と第2の
反射層28との間で生じる物質移動を防止する働きがあ
る。これらの界面層には、実施の形態1の界面層7と同
様の系の材料を用いることができ、より好ましい膜厚も
2から5nmで同様である。
【0032】第1の記録層14の材料は、実施の形態1
の記録層4と同様の材料を用いることができ、平均膜厚
t1は実施の形態1と同様の理由、及び第1の情報層2
9の透過率を高くして、第2の情報層30の記録再生の
際に必要なレーザ光量を第2の情報層30に到達させる
ため、3nmから9nmの範囲にあることが好ましく、
5nmから7nmの範囲にあることがより好ましい。
【0033】なお、第1の記録層14の平均膜厚t1と
第1の下側界面層13及び第1の上側界面層15の平均
膜厚t2との比t2/t1が1/30未満の場合には、界
面層が記録層に対して非常に薄いため、界面層としての
機能を果たさず、記録層の平均膜厚t1と界面層の平均
膜厚t2との比t2/t1が1より大きい場合には、界面
層での光吸収の影響が大きくなり、記録層が結晶相の場
合の反射率と非晶質相の場合の反射率との差を大きくす
ることが困難となり、情報を再生する際の信号振幅が低
下してしまう。従って、t2/t1は1/30から1の範
囲にあることが好ましい。
【0034】第2の記録層24の記録材料は、レーザビ
ームの照射によって結晶相と非晶質相との間で可逆的な
相変化を起こす材料で、Ge、Sb、Teの3元素を含
む。第2の記録層24の膜厚は、第2の情報層30の記
録感度を高くするため、6nmから15nmの範囲にあ
ることが好ましく、膜厚が厚い場合の熱の面内方向への
拡散による隣接した領域への熱的影響と、膜厚が薄い場
合に第2の情報層30の反射率が低くなることを考慮し
て、8nmから14nmの範囲にあることがより好まし
い。
【0035】第1の反射層18及び第2の反射層28
は、光学的には第1の記録層14または第2の記録層2
4に吸収される光量を増大させ、熱的には第1の記録層
14または第2の記録層24で生じた熱を速やかに拡散
させ、非晶質化しやすくするという働きがあり、さらに
多層膜を使用する環境から保護する役割もある。第1の
反射層18及び第2の反射層28の材料としては、実施
の形態1の反射層8と同様の系の材料を用いることがで
きる。特にAg合金は熱伝導率が大きく、光の透過率も
高いため、第1の反射層18として優れた材料である。
第1の情報層29の透過率Tc,Taをできるだけ高く
するため、第1の反射層18の膜厚は5nmから15n
mが好ましく、8nmから12nmがより好ましい。第
1の反射層18の膜厚が5nmより薄いと熱拡散機能が
不十分となり、且つ第1の情報層11の反射率が低下す
る。また、15nmより厚いと第1の情報層29の透過
率が不十分となる。一方、第2の情報層30は、高い透
過率を必要としないため、第2の反射層28の膜厚は3
0nmから150nmが好ましく、70nmから90n
mがより好ましい。第2の反射層28の膜厚が30nm
より薄いと熱拡散機能が不十分となり、第2の記録層2
4が非晶質化しにくくなる。また、150nmより厚い
と熱拡散機能が大きくて第2の情報層30の記録感度が
低下する。
【0036】中間層21は、第1の情報層29と第2の
情報層30のフォーカス位置を区別するために設ける層
である。材料としては、光硬化性樹脂または遅効性樹脂
を用いることができ、記録再生するレーザビーム31の
波長で光吸収がない材料が望ましい。厚さは、少なくと
も対物レンズの開口数NAとレーザ波長λにより決定さ
れる焦点深度ΔZ以上必要である。焦光点の強度が無収
差の80%を基準としたならば、ΔZ=λ/{2(N
A)2}で近似できる。λ=400nm、NA=0.6
のとき、ΔZ=0.556μmとなり、±0.6μm以
内は焦点深度内となるので、1μm以上の厚さが必要で
ある。厚さの上限は、第1の情報層29と第2の情報層
30との間の距離が対物レンズの集光可能な範囲にある
ように、第1の基板1の厚さと合わせて対物レンズの許
容できる基板厚公差内にすることが好ましい。従って、
中間層21の厚さは1μmから50μmが好ましい。
【0037】また、下側中間層11の材料としては、光
硬化性樹脂または遅効性樹脂を用いることができ、記録
再生するレーザビーム31の波長で光吸収がない材料が
望ましい。下側中間層11の厚さは、実施の形態2と同
様の理由により、1μmから50μmが好ましい。中間
層21には、第1の情報層29側にレーザビーム31を
導く案内溝が形成されている。実施の形態1と同様、レ
ーザビーム31は第1の基板1側から入射し、第2の情
報層30は第1の情報層29及び中間層21を透過した
レーザビーム31で記録再生する。
【0038】なお、第1の基板1、及び第2の基板9
は、実施の形態1で説明した材料と同様の系を用いるこ
とができ、形状及び機能についても同様である。
【0039】(実施の形態4)本発明の情報記録媒体3
2の製造方法について説明する。レーザビーム31を導
くための案内溝を形成した0.6mm厚の第1の基板1
を成膜装置に取り付け、下側保護層成膜工程において、
第1の基板1の案内溝形成側に下側保護層2を成膜す
る。下側保護層2は、Arガスと反応ガスとの混合ガス
雰囲気中で材料となる金属母材を反応性スパッタリング
するか、またはArガス雰囲気もしくはArガスと反応
ガスとの混合ガス雰囲気中で化合物母材をスパッタリン
グすることによって形成できる。
【0040】続いて、下側界面層成膜工程において、下
側保護層2上に下側界面層3を成膜する。下側界面層3
は、Arガス雰囲気中、もしくはKrガス雰囲気中、も
しくはArガスと反応ガス(酸素ガスまたは窒素ガスの
うちの少なくともいずれか一方)との混合ガス雰囲気
中、もしくはKrガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中
で材料となるCを主として含む母材をスパッタリングす
ることによって形成できる。この際、下側界面層成膜工
程におけるスパッタリング時の圧力は、雰囲気中のガス
がCと反応せずに膜中に混入することを防ぐため、2P
a以下であることが好ましい。
【0041】続いて、記録層成膜工程において、下側界
面層3上に記録層4を成膜する。記録層4は、所望の記
録層組成に応じて、Ge−Sb−Te合金母材もしくは
Ge−Sb−Te−M合金母材を、一つの電源を用い
て、Arガス雰囲気中、もしくはKrガス雰囲気中、も
しくはArガスと反応ガス(酸素ガスまたは窒素ガスの
うちの少なくともいずれか一方)との混合ガス雰囲気
中、もしくはKrガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中
でスパッタリングすることによって形成できる。また、
Ge,Sb,Te,Mの各々の母材を複数の電源を用い
て同時にスパッタリングすることによって形成すること
もできる。また、Ge,Sb,Te,Mのうちいずれか
の元素を組み合わせた、2元系母材や3元系母材などを
複数の電源を用いて同時にスパッタリングすることによ
って形成することもできる。
【0042】これらの場合でも、Arガス雰囲気中、も
しくはKrガス雰囲気中、もしくはArガスと反応ガス
との混合ガス雰囲気中、もしくはKrガスと反応ガスと
の混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって
形成する。この際、記録層成膜工程におけるスパッタリ
ング時の圧力は、雰囲気中のガスがGe,Sb,Te,
Mと反応せずに膜中に混入することを防ぐため、1Pa
以下であることが好ましい。また、記録層成膜工程にお
ける成膜レートは0.1nm/秒から3nm/秒であ
り、且つ膜厚を3nm以上9nm以下で形成する。成膜
レートは電源の投入パワーで制御できるが、パワーを下
げてレートを下げると成膜時間が長くなることに加え、
雰囲気中のガスがGe,Sb,Te,Mと反応せずに膜
中に混入してしまう。また、パワーを上げてレートを上
げると成膜時間を短くできるが、正確に膜厚を制御する
ことが難しくなる。従って、記録層4の成膜レートは
0.1nm/秒から3nm/秒の範囲にあることが好ま
しい。
【0043】続いて、上側界面層成膜工程において、記
録層4上に上側界面層5を成膜する。上側界面層5は、
下側界面層3と同様の製造方法で形成できる。
【0044】続いて、上側保護層成膜工程において、上
側界面層5上に上側保護層6を成膜する。上側保護層6
は、下側保護層2と同様の製造方法で形成できる。両保
護層成膜工程においては、同一材料の母材を用いても良
いし、異なる材料の母材を用いても良い。
【0045】続いて、界面層成膜工程において、上側保
護層6上に界面層7を成膜する。界面層7は、Arガス
と反応ガスとの混合ガス雰囲気中で材料となる金属母材
を反応性スパッタリングするか、またはArガス雰囲気
もしくはArガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中で化
合物母材をスパッタリングすることによって形成でき
る。
【0046】続いて、反射層成膜工程において、界面層
7上に反射層8を成膜する。反射層8は、Arガス雰囲
気中で材料となる金属母材または合金母材をスパッタリ
ングすることによって形成できる。
【0047】下側保護層2から反射層8を成膜した後、
第2の基板9上に上側中間層10をスピンコートして反
射層8を密着させるか、もしくは反射層8上に上側中間
層10をスピンコートして第2の基板9を密着させる。
第2の基板9側から紫外線を照射して上側中間層10を
硬化させる。
【0048】最後に、必要に応じて記録層4を全面結晶
化させる初期化工程を施すことにより、情報記録媒体3
2の製造が完了する。
【0049】(実施の形態5)本発明の情報記録媒体3
3の製造方法について説明する。レーザビーム31を導
くための案内溝を形成した1.1mm厚の第2の基板9
を成膜装置に取り付け、反射層成膜工程において、第2
の基板9の案内溝形成側に反射層8を成膜する。反射層
8は、実施の形態4と同様の製造方法で形成できる。
【0050】続いて、界面層成膜工程において、反射層
8上に界面層7を成膜する。界面層7は、実施の形態4
と同様の製造方法で形成できる。
【0051】続いて、上側保護層成膜工程において、界
面層7上に上側保護層6を成膜する。上側保護層6は、
実施の形態4と同様の製造方法で形成できる。
【0052】続いて、上側界面層成膜工程において、上
側保護層6上に上側界面層5を成膜する。上側界面層5
は、実施の形態4と同様の製造方法で形成できる。
【0053】続いて、記録層成膜工程において、上側界
面層5上に記録層4を成膜する。記録層4は、実施の形
態4と同様の製造方法で形成できる。
【0054】続いて、下側界面層成膜工程において、記
録層4上に下側界面層3を成膜する。下側界面層3は、
実施の形態4と同様の製造方法で形成できる。
【0055】続いて、下側保護層成膜工程において、下
側界面層3上に下側保護層2を成膜する。下側保護層2
は、実施の形態4と同様の製造方法で形成できる。
【0056】第1の基板1上に下側中間層11をスピン
コートして下側保護層2を密着させるか、もしくは下側
保護層2上に下側中間層11をスピンコートして第1の
基板1を密着させる。第1の基板1側から紫外線を照射
して下側中間層11を硬化させる。
【0057】最後に、必要に応じて記録層4を全面結晶
化させる初期化工程を施すことにより、情報記録媒体3
3の製造が完了する。
【0058】(実施の形態6)本発明の情報記録媒体3
4の製造方法について説明する。レーザビーム31を導
くための案内溝を形成した1.1mm厚の第2の基板9
を成膜装置に取り付け、第2の反射層成膜工程におい
て、第2の基板9の案内溝形成側に第2の反射層28を
成膜する。第2の反射層28は、実施の形態4の反射層
8と同様の製造方法で形成できる。
【0059】続いて、第2の界面層成膜工程において、
第2の反射層28上に第2の界面層27を成膜する。第
2の界面層27は、実施の形態4の界面層7と同様の製
造方法で形成できる。
【0060】続いて、第2の上側保護層成膜工程におい
て、第2の界面層27上に第2の上側保護層26を成膜
する。第2の上側保護層26は、実施の形態4の上側保
護層6と同様の製造方法で形成できる。
【0061】続いて、第2の上側界面層成膜工程におい
て、第2の上側保護層26上に第2の上側界面層25を
成膜する。第2の上側界面層25は、実施の形態4の上
側界面層5と同様の製造方法で形成できる。
【0062】続いて、第2の記録層成膜工程において、
第2の上側界面層25上に第2の記録層24を成膜す
る。第2の記録層24は、材料となるGe,Sb,Te
等の金属母材、もしくはGe,Sb,Te等を含む合金
母材を、Arガス雰囲気中、もしくはKrガス雰囲気
中、もしくはArガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気
中、もしくはKrガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中
でスパッタリングすることによって形成する。
【0063】続いて、第2の下側界面層成膜工程におい
て、第2の記録層24上に第2の下側界面層23を成膜
する。第2の下側界面層23は、実施の形態4の下側界
面層3と同様の製造方法で形成できる。
【0064】続いて、第2の下側保護層成膜工程におい
て、第2の下側界面層23上に第2の下側保護層22を
成膜する。第2の下側保護層22は、実施の形態4の下
側保護層2と同様の製造方法で形成できる。
【0065】第2の下側保護層22を成膜した後、必要
に応じて第2の記録層24を全面結晶化させる初期化工
程を施す。
【0066】続いて、中間層形成工程において、第2の
情報層30の第2の下側保護層22上に中間層21を形
成する。中間層21は、光硬化性樹脂または遅効性樹脂
をスピンコートし、その上に案内溝を形成した基板をか
ぶせ、樹脂が硬化した後に基板をはがすことによって、
第1の情報層29側にレーザビーム31を導く案内溝が
形成されている。
【0067】続いて、透過率調整層成膜工程において、
中間層21上に透過率調整層20を成膜する。透過率調
整層20は、実施の形態4の下側保護層2もしくは上側
保護層6と同様の製造方法で形成できる。
【0068】続いて、第1の最上界面層成膜工程におい
て、透過率調整層20上に第1の最上界面層19を成膜
する。第1の最上界面層19は、実施の形態4の界面層
7と同様の製造方法で形成できる。
【0069】続いて、第1の反射層成膜工程において、
第1の最上界面層19上に第1の反射層18を成膜す
る。第1の反射層18は、実施の形態4の反射層8と同
様の製造方法で形成できる。
【0070】続いて、第1の界面層成膜工程において、
第1の反射層18上に第1の界面層17を成膜する。第
1の界面層17は、実施の形態4の界面層7と同様の製
造方法で形成できる。
【0071】続いて、第1の上側保護層成膜工程におい
て、第1の界面層17上に第1の上側保護層16を成膜
する。第1の上側保護層16は、実施の形態4の上側保
護層6と同様の製造方法で形成できる。
【0072】続いて、第1の上側界面層成膜工程におい
て、第1の上側保護層16上に第1の上側界面層15を
成膜する。第1の上側界面層15は、実施の形態4の上
側界面層5と同様の製造方法で形成できる。
【0073】続いて、第1の記録層成膜工程において、
第1の上側界面層15上に第1の記録層14を成膜す
る。第1の記録層14は、実施の形態4の記録層4と同
様の製造方法で形成できる。
【0074】続いて、第1の下側界面層成膜工程におい
て、第1の記録層14上に第1の下側界面層13を成膜
する。第1の下側界面層13は、実施の形態4の下側界
面層3と同様の製造方法で形成できる。
【0075】続いて、第1の下側保護層成膜工程におい
て、第1の下側界面層13上に第1の下側保護層12を
成膜する。第2の下側保護層12は、実施の形態4の下
側保護層2と同様の製造方法で形成できる。
【0076】第1の下側保護層12を成膜した後、必要
に応じて第1の記録層14を全面結晶化させる初期化工
程を施す。
【0077】最後に、第1の基板1上に下側中間層11
をスピンコートして第1の下側保護層12を密着させる
か、もしくは第1の情報層29の第1の下側保護層12
上に下側中間層11をスピンコートして第1の基板1を
密着させる。第1の情報層29側から紫外線を照射して
下側中間層11を硬化させることにより、情報記録媒体
34の製造が完了する。
【0078】(実施の形態7)本発明の情報記録媒体3
2、情報記録媒体33及び情報記録媒体34の記録再生
方法について説明する。
【0079】図5に示すように、情報記録媒体32もし
くは情報記録媒体33もしくは情報記録媒体34を回転
させるスピンドルモータ36、半導体レーザ38を備え
た光学ヘッド39、及びレーザビーム31を情報記録媒
体32もしくは情報記録媒体33もしくは情報記録媒体
34の記録層4または第1の記録層14または第2の記
録層24上に集光させる対物レンズ37を具備したシス
テムを用いて情報記録媒体32もしくは情報記録媒体3
3もしくは情報記録媒体34の記録消去再生性能の評価
を行った。情報の記録は、レーザビーム31を高パワー
のピークパワー(Pp(mW))と低パワーのバイアス
パワー(Pb(mW))に変調させて行う。Ppにより非
晶質相が形成され、これが記録マークとなる。記録マー
ク間は、Pbにより結晶相が形成される。
【0080】情報記録媒体32もしくは情報記録媒体3
3を記録再生する際には、記録層4に焦点を合わせ、レ
ーザビーム31を直接入射して記録層4に情報を記録す
る。再生は、記録層4から反射してきたレーザビーム3
1で行う。
【0081】情報記録媒体34の第1の情報層29を記
録再生する際には、第1の記録層14に焦点を合わせ、
レーザビーム31を直接入射して第1の記録層14に情
報を記録する。再生は、第1の記録層14から反射して
きたレーザビーム31で行う。第2の情報層30を記録
再生する際には、第2の記録層24に焦点を合わせ、第
1の情報層29と中間層21を透過したレーザビーム3
1で情報を記録する。再生は、第2の記録層24から反
射し、中間層21と第1の情報層29を透過してきたレ
ーザビーム31で行う。
【0082】動的評価として、記録性能は3T信号を1
0回記録して振幅対雑音比(CNR)を測定した。消去
性能は、3T信号を10回記録して振幅を測定し、その
上から11T信号を1回重ね書きして、3T振幅の減衰
率を消去率として測定した。
【0083】
【実施例】次に、本発明の具体例を説明する。
【0084】(実施例1)本実施例では、情報記録媒体
34における第1の情報層29の特性と第1の下側界面
層3及び第1の上側界面層5に用いる材料との関係を調
べるため、図3の情報記録媒体34において、第1の情
報層29の第1の下側界面層3及び第1の上側界面層5
に用いる材料を変化させた情報記録媒体を製造し、図5
の動的評価システムを用いて、本発明の第1の情報層2
9の記録感度、振幅対雑音比(CNR)、消去率を測定
した。
【0085】第2の基板9としてレーザビーム31を導
くための案内溝を形成したφ120mm×1.1mm厚
のポリカーボネート基板を準備し、その上に第2の反射
層28としてAl合金を80nm、第2の上側保護層2
6としてZnS−20mol%SiO2、第2の上側界
面層25としてGe−Nを3nm、第2の記録層24と
してGe8Sb2.6Te11を10nm、第2の下側界面層
23としてGe−Nを3nm、第2の下側保護層22と
してZnS−20mol%SiO2を順次スパッタリン
グ法により積層し、第2の情報層30を形成した。ここ
で、第2の下側保護層22及び第2の上側保護層26の
膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、波長405
nmにおいて、第2の記録層24が結晶相のときの反射
光量が第2の記録層24が非晶質相のときの反射光量よ
り大きく、且つ第2の記録層24の結晶相と非晶質相の
反射光量の変化がより大きく、且つ第2の記録層24の
光吸収効率が大きくなる条件を満足するように厳密に決
定した。
【0086】第2の情報層30を形成した後、第2の記
録層24を全面結晶化させる初期化工程を施し、第2の
下側保護層22上に紫外線硬化樹脂をスピンコートし、
その上にレーザビーム31を導くための案内溝を形成し
た基板をかぶせ、樹脂が硬化した後に基板をはがすこと
によって、レーザビーム31を導くための案内溝を持つ
中間層21を形成した。
【0087】中間層21上に透過率調整層20としてZ
nS−20mol%SiO2、第1の最上界面層19と
してGe−Nを3nm、第1の反射層18としてAg合
金を10nm、第1の界面層17としてGe−Nを3n
m、第1の上側保護層16としてZnS−20mol%
SiO2、第1の上側界面層15としてCもしくはGe
−Nを3nm、第1の記録層14として(Ge0.74Sn
0.26)8Sb2Te11を6nm、第1の下側界面層13と
してCもしくはGe−Nを3nm、第1の下側保護層1
2としてZnS−20mol%SiO2を順次スパッタ
リング法により積層し、第1の情報層29を形成した。
ここで、第1の下側保護層12及び第1の上側保護層1
6の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、波長4
05nmにおける第1の記録層14の結晶相と非晶質相
の反射光量の変化がより大きく、且つ第1の情報層29
の透過率がより大きく、且つ第1の記録層14の光吸収
効率が大きくなる条件を満足するように厳密に決定し
た。また、透過率調整層20の膜厚は、第1の記録層1
4の結晶相と非晶質相の反射光量の変化及び光吸収効率
を損なうことなく、第1の情報層29の透過率がより大
きくなるように厳密に決定した。
【0088】第1の情報層29を形成した後、第1の記
録層14を全面結晶化させる初期化工程を施し、下側中
間層11として紫外線硬化樹脂をスピンコートし、第1
の基板1としてφ120mm×0.1mm厚のポリカー
ボネート基板を密着させ、紫外線を照射して硬化させ
た。以上のようにして、第1の情報層29の第1の下側
界面層13及び第1の上側界面層15の材料がGe−N
である番号1−1の情報記録媒体34、及び第1の情報
層29の第1の下側界面層13及び第1の上側界面層1
5の材料がCである番号1−2の情報記録媒体34をそ
れぞれ製造した。
【0089】図5の動的評価システムを用いて、番号1
−1及び1−2の情報記録媒体34の第1の情報層29
の記録感度、CNR、消去率を測定した。半導体レーザ
38の波長は405nm、対物レンズ37のNAは0.
85、測定時の情報記録媒体34の線速度は5.70m
/sであり、3Tマークの長さは0.231μmであっ
た。ここでの記録感度とは、振幅(dBm)の飽和値か
ら3dBmだけ低い振幅を与えるピークパワー(mW)
の1.3倍のピークパワーPp(mW)で定義する。
【0090】また、番号1−1及び1−2の情報記録媒
体34の第1の情報層29の透過率を測定するために、
図3において、第2の反射層28、第2の界面層27、
第2の上側保護層26、第2の上側界面層25、第2の
記録層24、第2の下側界面層23、第2の下側保護層
22及び中間層21が無い、透過率測定用サンプルを作
製した。即ち、第2の基板9としてφ120mm×1.
1mm厚のポリカーボネート基板を準備し、その上に透
過率調整層20としてZnS−20mol%SiO2、
第1の最上界面層19としてGe−Nを3nm、第1の
反射層18としてAg合金を10nm、第1の界面層1
7としてGe−Nを3nm、第1の上側保護層16とし
てZnS−20mol%SiO2、第1の上側界面層1
5としてCもしくはGe−Nを3nm、第1の記録層1
4として(Ge0.74Sn0.26)8Sb2Te11を6nm、
第1の下側界面層13としてCもしくはGe−Nを3n
m、第1の下側保護層12としてZnS−20mol%
SiO2を順次スパッタリング法により積層し、第1の
情報層29を形成した後、下側中間層11として紫外線
硬化樹脂をスピンコートし、第1の基板1としてφ12
0mm×0.1mm厚のポリカーボネート基板を密着さ
せ、紫外線を照射して硬化させた。この透過率測定用サ
ンプルの第1の情報層29の構成は、番号1−1及び1
−2の情報記録媒体34の第1の情報層29と同じにな
るように作製した。最初に第1の記録層14が非晶質相
の場合の透過率Ta(%)を測定し、その後第1の記録
層14を結晶化させる初期化工程を施し第1の記録層1
4が結晶相の場合の透過率Tc(%)を測定した。測定
には分光器を用い、波長405nmでの透過率の値をそ
れぞれ調べた。測定後、(Tc+Ta)/2を計算し
た。
【0091】第1の情報層29の記録感度、CNR、消
去率、透過率(Tc+Ta)/2の測定結果を(表1)
に示す。
【0092】
【表1】
【0093】この結果、第1の情報層29の第1の下側
界面層13及び第1の上側界面層15の材料がGe−N
である番号1−1の情報記録媒体と、第1の情報層29
の第1の下側界面層13及び第1の上側界面層15の材
料がCである番号1−2の情報記録媒体は、どちらも第
1の情報層29の記録感度が6mW以下、CNRが50
dB以上、消去率が25dB以上、透過率が45%以上
であり、いずれの特性もほぼ同等且つ良好であることが
分かった。また、繰り返し特性もどちらも1000回以
上であり、同等であった。C母材の市場価格がGe母材
の市場価格の約1/10であるため、番号1−2の情報
記録媒体では、界面層の材料コストを飛躍的に抑えるこ
とができる。
【0094】(実施例2)本実施例では、情報記録媒体
34における第1の情報層29の特性と第1の記録層1
4の平均膜厚t1と第1の下側界面層13及び第1の上
側界面層15の平均膜厚t2との組み合わせの最適な範
囲を調べるため、図3の情報記録媒体34において、第
1の情報層29の第1の記録層14の膜厚と、第1の下
側界面層13及び第1の上側界面層15の膜厚を変化さ
せた情報記録媒体34を製造し、図5の動的評価システ
ムを用いて、本発明の情報記録媒体34のCNRと消去
率を測定した。
【0095】実施例1と同様の方法により、第1の情報
層29の第1の下側界面層13及び第1の上側界面層1
4の材料がCで平均膜厚t2を0.1nmから7nm、
第1の記録層14の材料が(Ge0.74Sn0.26)8Sb2
Te11で平均膜厚t1を3nmから9nmと変化させ
た、情報記録媒体34をそれぞれ製造した。
【0096】図5の動的評価システムを用いて、各々の
情報記録媒体34の第1の情報層29のCNR、消去率
を測定した。半導体レーザ38の波長は405nm、対
物レンズ37のNAは0.85、測定時の情報記録媒体
34の線速度は5.70m/sであり、3Tマークの長
さは0.231μmであった。
【0097】また、実施例1と同様の方法により透過率
測定用サンプルを作製し、各々の情報記録媒体34の第
1の情報層29の透過率(Tc+Ta)/2を測定し
た。
【0098】第1の情報層29のCNR、消去率、透過
率(Tc+Ta)/2の測定結果を(表2)、(表
3)、(表4)、(表5)、(表6)に示す。透過率に
ついては、40%未満ならば×、40%以上45%未満
ならば△、45%以上50%未満ならば○、50%以上
ならば◎とし、CNRについては、40dB未満ならば
×、40dB以上45dB未満ならば△、45dB以上
50dB未満ならば○、50dB以上ならば◎とし、消
去率については、20dB未満ならば×、20dB以上
25dB未満ならば△、25dB以上30dB未満なら
ば○、30dB以上ならば◎とした。
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
【表6】
【0104】この結果、第1の記録層14の平均膜厚t
1が2nmの番号2−1、2−2、2−3、2−4、2
−5、2−6の情報記録媒体34では、第1の記録層1
4の平均膜厚t1が2nmと薄いため、CNR、消去率
ともに低いことが分かった。
【0105】また、第1の記録層14の平均膜厚t1が
3nmの番号2−7、2−8、2−9、2−10、2−
11、2−12の情報記録媒体34では、全て透過率は
十分であるが、第1の下側界面層13及び第1の上側界
面層15の平均膜厚t2が0.1nmと薄い番号2−7
の情報記録媒体34では、物質移動の抑制、結晶化の促
進という界面層の機能が不十分なため、CNR、消去率
ともに低いことが分かった。また、t2が厚くt2/t1
が1より大きい番号2−11、2−12の情報記録媒体
34では、界面層での光吸収の影響が大きくなり、第1
の記録層14が結晶相の場合の反射率と非晶質相の場合
の反射率との差が2%以下と小さく、CNRが低くなっ
ていることが分かった。
【0106】続いて、t1が6nmの番号2−13、2
−14、2−15、2−16、2−17、2−18の情
報記録媒体34でも、全て透過率は40%以上である
が、t2が0.1nmと薄い番号2−13の情報記録媒
体34では、物質移動の抑制、結晶化の促進という界面
層の機能が不十分なため、消去率が低いことが分かっ
た。また、t2が7nmと厚く、t2/t1が1より大き
い番号2−18の情報記録媒体34では、界面層での光
吸収の影響が大きくなり、第1の記録層14が結晶相の
場合の反射率と非晶質相の場合の反射率との差が2%以
下と小さく、CNRが低くなっていることが分かった。
【0107】さらに、t1が9nmの番号2−19、2
−20、2−21、2−22、2−23、2−24の情
報記録媒体34では、t1が厚いために全てCNRは十
分であるが、t2が0.1nmと薄い番号2−19の情
報記録媒体34では、結晶化を促進するという界面層の
機能が不十分なため、消去率が低いことが分かった。ま
た、t1が9nm、t2が7nmと厚い番号2−24の情
報記録媒体34では、第1の記録層14、第1の下側界
面層13及び第1の上側界面層15による光吸収のた
め、透過率が不十分であった。
【0108】さらに、t1が10nmの番号2−25、
2−26、2−27、2−28、2−29、2−30の
情報記録媒体34では、t1が厚いために全て透過率が
不十分であった。
【0109】以上の結果から、第1の記録層14の平均
膜厚t1は3nmから9nmの範囲にあることが好まし
く、5nmから7nmの範囲にあることがより好ましい
ことが分かった。また、第1の下側界面層13及び第1
の上側界面層15の平均膜厚t2は0.3nmから5n
mの範囲にあることが好ましく、1nmから5nmの範
囲にあることがより好ましいことが分かった。また、t
1とt2との比t2/t1は、1/30から1の範囲にある
ことが好ましく、1/6から1の範囲にあることがより
好ましいことも分かった。
【0110】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、界面層を
主としてCから成る膜で構成することにより、Ge−N
を含む材料と同等の機能を有し、且つ低コストな界面層
を有する情報記録媒体を実現するという有利な効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報記録媒体の一例を示す部分断面図
【図2】本発明の情報記録媒体の他の一例を示す部分断
面図
【図3】本発明の複数の情報層を備えた情報記録媒体の
一例を示す部分断面図
【図4】従来の情報記録媒体の一例を示す部分断面図
【図5】本発明の情報記録媒体の記録再生系のシステム
【符号の説明】
1 第1の基板 2 下側保護層 3 下側界面層 4 記録層 5 上側界面層 6 上側保護層 7 界面層 8 反射層 9 第2の基板 10 上側中間層 11 下側中間層 12 第1の下側保護層 13 第1の下側界面層 14 第1の記録層 15 第1の上側界面層 16 第1の上側保護層 17 第1の界面層 18 第1の反射層 19 第1の最上界面層 20 透過率調整層 21 中間層 22 第2の下側保護層 23 第2の下側界面層 24 第2の記録層 25 第2の上側界面層 26 第2の上側保護層 27 第2の界面層 28 第2の反射層 29 第1の情報層 30 第2の情報層 31 レーザビーム 32,33,34,35 情報記録媒体 36 スピンドルモータ 37 対物レンズ 38 半導体レーザ 39 光学ヘッド 40 下側界面層 41 上側界面層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 533 G11B 7/24 533H 533L 541 541B 541D 7/26 531 7/26 531 (72)発明者 山田 昇 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5D029 HA06 JA01 JB05 JB11 JB35 JC04 NA23 NA30 RA23 5D121 AA01 AA03 EE03

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザビームの照射によって結晶相と非
    晶質相との間で可逆的な相変化を起こすことにより情報
    を記録し得る記録層の平均膜厚t1が、 3≦t1(nm)≦9 の範囲にあり、且つ前記記録層の少なくともいずれか一
    方の界面に接する界面層が主としてCから成る膜で構成
    され、且つ前記界面層の平均膜厚t2が、 0.3≦t2(nm)≦5 の範囲にあり、且つ前記記録層の平均膜厚t1と前記界
    面層の平均膜厚t2との比t2/t1が、 1/30≦t2/t1≦1 の範囲にあることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記記録層の記録材料がGe、Sb、T
    eの3元素を含むことを特徴とする請求項1記載の情報
    記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記記録層が結晶相である場合の情報記
    録媒体の透過率をTc(%)とし、前記記録層が非晶質
    相である場合の前記情報記録媒体の透過率をTa(%)
    としたとき、前記レーザビームの波長が390nm以上
    430nm以下の範囲において、 40≦(Tc+Ta)/2 であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 レーザビームの照射によって結晶相と非
    晶質相との間で可逆的に相変化を起こすことにより情報
    を記録し得る情報層を複数備え、且つ前記レーザビーム
    の入射側に最も近い情報層において、前記レーザビーム
    の照射によって結晶相と非晶質相との間で可逆的な相変
    化を起こすことにより情報を記録し得る記録層の平均膜
    厚t1が、 3≦t1(nm)≦9 の範囲にあり、且つ前記記録層の少なくともいずれか一
    方の界面に接する界面層が主としてCから成る膜で構成
    され、且つ前記界面層の平均膜厚t2が、 0.3≦t2(nm)≦5 の範囲にあり、且つ前記記録層の平均膜厚t1と前記界
    面層の平均膜厚t2との比t2/t1が、 1/30≦t2/t1≦1 の範囲にあることを特徴とする情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記記録層の記録材料がGe、Sb、T
    eの3元素を含むことを特徴とする請求項4記載の情報
    記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記記録層が結晶相である場合の情報記
    録媒体の透過率をTc(%)とし、前記記録層が非晶質
    相である場合の前記情報記録媒体の透過率をTa(%)
    としたとき、前記レーザビームの波長が390nm以上
    430nm以下の範囲において、 40≦(Tc+Ta)/2 であることを特徴とする請求項4または5に記載の情報
    記録媒体。
  7. 【請求項7】 第1の基板上に、少なくとも下側保護
    層、下側界面層、前記記録層、上側保護層、反射層がこ
    の順に積層されていることを特徴とする請求項1または
    4に記載の情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 第2の基板上に、少なくとも反射層、上
    側保護層、前記記録層、下側界面層、下側保護層がこの
    順に積層されていることを特徴とする請求項1または4
    に記載の情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記記録層と前記上側保護層との間に上
    側界面層が配置されていることを特徴とする請求項7ま
    たは8に記載の情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記レーザビームを出射するレーザ光
    源から見て前記反射層の奥側に、透過率調整層が配置さ
    れていることを特徴とする請求項7から9のいずれか一
    項に記載の情報記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記反射層と前記透過率調整層との間
    に界面層が配置されていることを特徴とする請求項10
    記載の情報記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記第1の基板の厚さが、10μm以
    上700μm以下であることを特徴とする請求項7から
    11のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
  13. 【請求項13】 前記第2の基板の厚さが、500μm
    以上1300μm以下であることを特徴とする請求項7
    から12のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
  14. 【請求項14】 レーザビームの照射によって結晶相と
    非晶質相との間で可逆的な相変化を起こすことにより情
    報を記録し得る記録層を1Pa以下の圧力下においてス
    パッタリング法により成膜する記録層成膜工程と、前記
    記録層の少なくともいずれか一方の界面に接する界面層
    を2Pa以下の圧力下においてスパッタリング法により
    成膜する界面層成膜工程を有する情報記録媒体の製造方
    法であって、前記記録層成膜工程がGe、Sb、Teの
    3元素を含む母材を使用し、且つ前記界面層成膜工程が
    主としてCを含む母材を使用することを特徴とする情報
    記録媒体の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記記録層成膜工程或いは前記界面層
    成膜工程は、アルゴンガスもしくはクリプトンガスを用
    いるか、またはアルゴンガスもしくはクリプトンガス
    と、窒素ガスもしくは酸素ガスのうち少なくともいずれ
    か一方との混合ガスを用いることを特徴とする請求項1
    4記載の情報記録媒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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