JP2002295486A - 溶融金属めっき装置用転がり軸受 - Google Patents

溶融金属めっき装置用転がり軸受

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JP2002295486A
JP2002295486A JP2001097619A JP2001097619A JP2002295486A JP 2002295486 A JP2002295486 A JP 2002295486A JP 2001097619 A JP2001097619 A JP 2001097619A JP 2001097619 A JP2001097619 A JP 2001097619A JP 2002295486 A JP2002295486 A JP 2002295486A
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Koichi Yamamoto
幸一 山本
Toyohisa Yamamoto
豊寿 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】良好な耐食性及び耐摩耗性を有すると共に寿命
が長い溶融金属めっき装置用転がり軸受を提供する。 【解決手段】内輪1及び外輪2をオーステナイト系ステ
ンレス鋼から構成し、その表面層を、実質的に炭化物が
存在しないで且つビッカース硬さ(Hv)が650以上
の硬さの浸炭硬化層にすると共に、該浸炭硬化層の表面
に対し溶射皮膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属めっき浴
中に浸漬した状態で使用されるロールを支持する転がり
軸受など、耐食性および耐摩耗性が要求される用途で使
用される溶融金属めっき装置用転がり軸受に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】溶融金属めっき装置に使用されている転
がり軸受は、溶融金属と接触している状態で繰り返し応
力が負荷されるため、溶融金属に対する耐食性と共に、
繰り返し応力に耐え得るだけの表面硬さが必要である。
一般に、上記転がり軸受を構成する内外輪及び転動体に
は、オーステナイト系耐熱ステンレス鋳鋼などの鉄鋼材
料が使用されているが、鉄鋼材料製のロールを支持する
転がり軸受としては、溶融金属に対する耐食性及び硬さ
は未だ満足すべきものではない。
【0003】そこで、従来にあっては、例えば特開平7
−188883号公報に開示されているように、内外輪
をオーステナイト系ステンレス鋼で形成すると共に、金
属母材(オーステナイト系ステンレス鋼)の表面にセラ
ミックスやサーメットの被膜をレーザ光線で照射して部
分溶融させることで、軌道面をHv700以上の硬質皮
膜で被覆し、金属母材の高温耐食性および表面硬さを向
上させることが試みられている。なお、転動体にはセラ
ミックス製ころを使用している。
【0004】また、実開昭61−90852号公報で
は、内外輪を共にセラミックス材で形成することが提案
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、内外輪
をオーステナイト系耐熱ステンレス鋼鋳鋼で構成する
と、耐食性はあるものの、表面硬さがHv400前後で
あるため硬さが不足し、溶融金属中での繰り返し応力に
より軸受表面が塑性変形することで容易に剥離を生じ、
軸受の寿命低下の原因となる。また、硬さが不足してい
るため、溶融金属中で作動する際に、摩耗が著しく発生
し、表面形状がくずれたり、転がり軸受のすき間の増大
により支持するロールの振動が大きくなって、鋼板表面
へのめっき膜厚が不均一となり、めっき鋼板の品質を低
下する原因となる。
【0006】また、特開平7−188883号公報に開
示される技術では、軌道面がHv700以上の硬質皮膜
で被覆されているオーステナイト系ステンレス鋼が開示
さてているが、母材(下地)であるオーステナイト系ス
テンレス鋼素材自体の硬度が低いことから、軸受表面に
負荷が掛かって母材(オーステナイト系ステンレス鋼)
と硬質皮膜との界面で繰り返し応力がかかる際に、母材
の変形量が大きいことから、硬質皮膜の変形が母材の変
形に追従できずに当該硬質皮膜が離脱する場合がある、
そして、その離脱による摩耗粉が軌道面と転動体の間に
噛み込んだりすることで、内外輪の軌道面に異常摩耗を
生じ、軸受許容荷重が著しく低下する。
【0007】また、内輪及び外輪をセラミックス材で形
成すると、耐磨耗性および耐食性は優れているものとな
る。しかしながら、転がり軸受が取り付けられる溶融金
属めっき用の軸やハウジングは、一般に耐食性に優れた
ステンレス鋼等の金属材料で構成されているため、軸受
部品をセラミックス製とすると、軸およびハウジング材
の線膨張係数(例えばSUS304;10×10-6
℃)と、軸受部品の線膨張係数(例えば窒化珪素;3×
10-6/℃)とが大きく異なることから、溶融金属中に
入れる際やメンテナンスなどのために出す際などに、温
度変化による熱応力によって、軸及びハウジングから軸
受に対し過大な繰り返し荷重が加わり、軸受部品に割れ
や欠け等が生じて転がり軸受の寿命が短くなる場合があ
るという問題があった。
【0008】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、良好な耐食性及び耐摩耗性を有すると
共に寿命が長い溶融金属めっき装置用転がり軸受を提供
することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決すべく鋭意検討を重ね、連続溶融金属めっき用の
亜鉛浸漬ロールに使用される軸受として、軌道表面の溶
射皮膜の下地にHv650以上の硬さの浸炭硬化層を付
与することで、母材表面層と溶射皮膜との間の耐剥離性
を向上させることを見いだしことにより、本願発明をし
たものである。
【0010】すなわち、上記課題を解決するために、本
発明のうち請求項1に記載した発明は、溶融金属めっき
装置に使用される転がり軸受において、内輪、外輪、及
び転動体のうち、少なくとも内輪及び外輪がオーステナ
イト系ステンレス鋼からなり、その内輪及び外輪の表面
のうち少なくとも軌道の表面層を、ビッカース硬さ(H
v)が650以上の硬さの浸炭硬化層にすると共に、該
浸炭硬化層の表面に対し溶射法による溶射皮膜を形成し
たことを特徴とする溶融金属めっき装置用転がり軸受を
提供するものである。
【0011】ここで、上記浸炭硬化層の硬さがHv65
0以上とは、浸炭硬化層の表面での硬さをいう。以下同
様である。また、請求項2に記載した発明は、請求項1
に記載した構成に対し、上記浸炭硬化層は、実質的に炭
化物を含まないことを特徴とするものである。ここで、
「実質的に炭化物の存在しない」とは、浸炭処理に起因
して形成されたことが明らかな炭化物の存在が、光学顕
微鏡(倍率400〜600倍)で確認できないものであ
ることにする。したがって、浸炭処理よりも前工程であ
る溶体化処理後に非常に僅かに残留するような程度の炭
化物は含まれない。
【0012】本発明によれば、オーステナイト系ステン
レス鋼を母材とし、その表面にHv650以上の浸炭層
を設けることで、軸受表面にある溶射皮膜に応力が負荷
されて、母材(下地)であるオーステナイト系ステンレ
ス鋼と硬質皮膜(溶射皮膜)との界面で繰り返し応力が
かかる際に、溶射皮膜の下地としてHv650以上の浸
炭硬化層が形成されることで母材の変形量が少なく抑え
られ、もって、硬質皮膜での変形が母材の変形に追従で
きる。この結果、硬質皮膜が母材から離脱することがな
くなり、許容荷重の低下を抑制することができる。
【0013】また、浸炭硬化層の硬度をHv650以上
としているのは、Hv650を境にして大幅にトルク寿
命が向上することを確認したためである(図2参照)。
また、請求項2に記載のように、浸炭硬化層が実質的に
炭化物を含まないことで、浸炭硬化層の耐食性が良好と
なる。ここで、浸炭硬化層が実質的に炭化物を含まない
ようにするには、低温の加熱温度で浸炭処理を行えば良
い。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る
転がり軸受を説明するための断面図である。この転がり
軸受は、内輪1と外輪2との間に複数の転動体3が配置
されて構成されている。符号4は保持器を示す。
【0015】上記内輪1及び外輪2は、オーステナイト
系ステンレス鋼(母材)から製造され、その表面、特に
軌道面に対して浸炭処理が施されて、Hv650以上の
浸炭硬化層が形成された後に、溶射処理によって上記浸
炭硬化層の表面に溶射皮膜が形成されている。また、上
記転動体3は、窒化珪素系セラミックから構成、例えば
Si2 4 製の転動体である。保持器4は、例えばフッ
素樹脂製の保持器である。
【0016】次に、上記内外輪1,2の製造について説
明する。素材としてSUS304,SUS316,SU
S317などのオーステナイト系ステンレス鋼が使用さ
れる。好ましくは、上記鋼を固溶化熱処理を施したもの
を使用する。上記素材を所定の形状に加工した後、表面
層に浸炭処理を施し、Hv650以上の浸炭硬化層を形
成する。
【0017】ここで、オーステナイト系ステンレス鋼の
表面には、Cr酸化膜(不動態被膜)を有しているた
め、難浸炭性であり、加熱温度を下げるほど浸炭が困難
となる。また、一般に、オーステナイト系ステンレス鋼
に通常の加熱温度(例えば800℃)で浸炭処理を施す
と、母材中のクロム原子が浸炭処理による炭素と結びつ
いてクロム炭化物を形成するため、母材のクロム濃度を
著しく低下させ、浸炭硬化層の耐食性が母材以下となっ
てしまう。
【0018】そこで、本実施形態では、浸炭処理の前処
理としてフッ化処理を行なう。フッ化処理によって、表
面層にいったん活性なフッ化物膜が生成され、その表面
層に浸炭処理を行うことにより、硬質な浸炭層を容易に
形成させることが可能となる。そして、上記フッ化膜を
形成した後に、一般の浸炭処理よりも低温で浸炭処理を
行う。浸炭の加熱温度としては、400℃以上600℃
以下とする。
【0019】ここで、加熱温度が600℃を越えると、
浸炭処理の際にCr炭化物の析出が起きて母材の耐食性
が低下するため、浸炭処理の際の温度の上限を600℃
としている。好ましくは、540℃以下、より好ましく
は520℃以下である。この540℃以下にすること
で、浸炭により浸透する炭素がクロムと結合しにくくて
より安定してCr炭化物の析出が抑制される。
【0020】また、浸炭処理の際の温度を400℃以上
とすることで、浸炭硬化層の硬度をHv650以上とな
るので、下限値を400℃と規定している。浸炭の加熱
保持時間などを考慮すると、好ましくは、460℃であ
る。ここで、上記のようにCr炭化物の析出が抑えられ
た浸炭硬化層は、炭素がオーステナイトの面心立方構造
の空隙に侵入して格子歪により硬化して形成されるの
で、実質炭化物の存在しない靭性の高い表面硬化層とな
る。また、当該浸炭硬化層を形成しても、実質、寸法変
化がほぼ無視できる程度に抑えられる。したがって、そ
の後の追加工の必要性もなくコスト面でも有利である。
【0021】以上のように、前処理としてフッ化処理を
した後に低温で浸炭処理をして浸炭硬化層を形成するこ
とで、当該浸炭硬化層に対し、母材のクロム濃度を低下
させることなく母材と同等以上の耐食性を維持できる。
上記フッ化処理は、例えばNF3 (三フッ化窒素)等の
フッ素ガスを用いて200℃〜400℃程度で行う。こ
のフッ化処理によって、浸炭反応を阻害するクロム酸過
層が除去されて、表面層に非常に薄いフッ化層が形成さ
れて表面が極めて活性化し、その後の浸炭処理によっ
て、安定的に均一な浸炭層を形成させることが可能とな
る。
【0022】次に、耐食性を有する浸炭硬化層の上に、
溶射材料の微粒子を溶射する。溶射法としては特に限定
されないが、プラズマ溶射法、ガス溶射法、アーク溶
射、フレーム溶射、超音速フレーム溶射、爆発溶射法、
減圧プラズマ溶射などがある。例えばプラズマ溶射法
は、プラズマ状態を熱源とする溶射法で、高熱でプラズ
マ状態になったプラズマガスに溶射材料を投入すると溶
射材料は瞬間的に溶融してノズルの細孔からジェツトと
なって噴出し被処理体に衝突し皮膜(溶射皮膜)を形成
する。
【0023】溶射材料の微粒子としては、グレイアルミ
ナ、ホワイトアルミナ、チタニア、クロミア、アルミナ
チタニア、スピネル、ムライト、ジルコニア−イットリ
ア、ジルコニア−マグネシア、ジルコニア−カルシア、
ジルコニア−ムライト、ジルコニア−シリカ、コバルト
ブルーなどが用いられる。その他の溶射材料として、パ
ナジウム−カーバイド、クロムカーバイド、タングステ
ンカーバイド、タングステンカーバイド−コバルト−ク
ロム、タングステンカーバイド−コバルト、ボロンカー
バイド、ジルコニウムカーバイド、チタンボライド、モ
リブデンボライド、ジルコニウムボライド、チタンカー
バイドーニッケル、チタンナイトライド、ジルコニウム
ナイトライド、炭化珪素、窒化珪素などを単独あるいは
組み合わせて用いることができる。
【0024】溶融材料の微粒子は、半ば溶融された状態
で、前記浸炭硬化層の表面に射突され、溶射皮膜(溶射
層)が形成される。この溶射皮膜は溶射材料の微粒子が
相互に溶着して成るものであり、各微粒子の間にはすき
間が生じている。しかし、下地である浸炭硬化層が十分
な耐食性を有するため、封孔処理により隙間を埋めなく
てもよい。
【0025】また、オーステナイト系ステンレス鋼を母
材としても、その母材と溶射皮膜との間にHv650以
上の浸炭硬化層を備えることで、軸受表面(溶射皮膜)
に応力が負荷された場合でも、母材(下地)であるオー
ステナイト系ステンレス鋼と硬質皮膜(溶射皮膜)との
界面で繰り返し応力がかかる際に、母材の変形量が少な
く抑えられる。この結果、硬質皮膜の変形が母材の変形
に追従でき硬質皮膜が離脱することがなくなり、許容荷
重の低下を抑制することができる。
【0026】ここで、転動体3としてセラミック製の場
合を例示したが、オーステナイト系ステンレス鋼などか
ら構成しても良い。
【0027】
【実施例】「実施例1」本発明の耐食性の向上を確認す
るため溶融亜鉛浴への浸漬試験を行った。試験品として
は、JIS等級G5まで仕上加工した、3/8インチボ
ール(転動体3)を使用した。
【0028】表1に、実施例及び比較例の試験品の構
成、及び評価結果を示す。
【0029】
【表1】
【0030】実施例の試験品は、母材としてオーステナ
イト系ステンレス鋼SUS304、若しくはSUS31
6Lを用い、上述のようにフッ化処理でフッ化膜を形成
した後、540℃以下の低温で浸炭処理を施し、その後
溶射して溶射皮膜を形成したものを用いた。なお、溶射
材にはAl2 3 、若しくはAl2 3 −2.5%Ti
2 を使用した。
【0031】熱処理条件を、次に示す。処理温度260
〜350℃で20〜30分、窒素に10%の三フッ化窒
素を混合させたガス中に加熱保持してフッ化膜を形成し
た後、460〜520℃の加熱温度で30時間、浸炭ガ
ス中(RX+CO2 混含ガス雰囲気)に加熱保持して浸
炭硬化膜を形成する。
【0032】また、比較例1の試験品には、オーステナ
イト系ステンレス鋼SUS304を用い、浸炭処理を施
さずにAl2 3 を溶射材として溶射したものを用い
た。ここで、浸炭層の厚さは次のようにして測定したも
のである。すなわち、まず、試験品表面から切り出した
サンプルを樹脂に埋め込んだ状態で鏡面研磨することに
より、サンプルの断面を露出させた。次に、この断面を
マーブル試薬でエッチングした後、このエッチングされ
た断面を顕微鏡で観察し、白く見える部分の厚さを測定
した。後述の実施例2においても同様である。
【0033】浸漬試験の評価は、亜鉛浴中(450℃)
に40日間浸漬して行ったものである。表1から分かる
ように、実施例1、2及び比較例1で減肉が発生してお
らず、溶射皮膜を形成することで、浸炭処理の有無に関
係なく、耐食性が優れることが分かる。
【0034】また、表1から、溶射皮膜の膜厚として1
00〜150μmの厚さで十分に耐食性に優れることが
分かる。 「実施例2」表2に示す実施例3〜5および比較例2の
各軸受について、日本精工株式会社製の軸受回転試験機
を使用し、下記の条件で寿命試験を行った。
【0035】
【表2】
【0036】軸受としては、深みぞ玉軸受(型番620
6;内径φ30mm、外径φ62mm、幅16mm)を
採用した。なお、保持器にはTa製のもみ抜き型保持器
を用いた。また、回転試験は、亜鉛浴に軸受を浸漬した
状態で行った。亜鉛浴の成分は、Al:0.1〜5重量
%、Fe:0.1重量%以下、Pb:0.1%以下、残
りはZnである。
【0037】回転試験の条件を次に示す。 試験温度:450℃ 回転速度:200rpm アキシアル荷重:980N また、評価は、基準のトルク値(初期値の3倍)に達す
るまでの軸受の回転時間を寿命とした。表2中における
寿命値は比較例2の寿命を1とした相対値で表したもの
である。
【0038】表1から分かるように、浸炭硬化層を形成
することなく溶射皮膜を形成する比較例に比べて、浸炭
硬化膜を形成してから溶射皮膜を形成した本実施形態の
方が、格段とトルク寿命が優れていることがわかる。こ
のように、溶射皮膜の下地としてHv650以上の浸炭
硬化膜を形成することで、母材との剥離が抑えられるこ
とが分かる。
【0039】ここで、浸炭硬化膜の厚さに着目すると、
実施例3,4と実施例5との比較から、浸炭硬化膜が厚
いほど、トルク寿命が向上することが分かる。ただし、
浸炭硬化膜を厚くするほど処理時間が長くなると共に、
25〜30μmで十分にトルク寿命が向上であるので、
浸炭硬化膜の厚さは25〜30μmとすればよい。ま
た、実施例3と実施例4の比較から、浸炭硬化層の硬さ
がHv650以上であれば、ほぼ同様のトルク寿命が得
られることが推定される。
【0040】ここで、実施例3の構成の軸受について、
浸炭硬化膜の硬さを種々変更したものを複数個作成し
て、上記と同じ条件で寿命試験を行ってみた。図2にそ
の試験結果を示す。なおトルク寿命値は、上記比較例2
のトルク寿命値を1とした相対評価である。この図2か
ら分かるように、溶射皮膜の下地としてHv650以上
の浸炭硬化層を付与することでトルク寿命値が飛躍的に
上昇していることがわかる。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明は、溶融金属めっ
き浴中に浸漬した状態で用いても浴湯による浸食がなく
寿命が良好な溶融金属めっき装置用転がり軸受を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る転がり軸受を示
す断面図である。
【図2】浸炭硬化層の硬さとトルク寿命との関係を示す
図である。
【符号の説明】
1 内輪 2 外輪 3 転動体 4 保持器
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/62 F16C 33/62 Fターム(参考) 3J101 AA01 AA32 BA10 BA53 BA54 BA70 DA02 DA05 EA06 EA42 EA78 FA08 FA31 GA34 4K027 AD16 AD17 4K031 AA02 AB02 AB08 AB09 BA05 CB14 CB42 CB43 CB45 DA01 DA03 DA04 4K044 AA03 AB03 BA12 BA13 BA18 BB03 BC01 BC02 CA11 CA12

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属めっき装置に使用される転がり
    軸受において、内輪、外輪、及び転動体のうち、少なく
    とも内輪及び外輪がオーステナイト系ステンレス鋼から
    なり、その内輪及び外輪の表面のうち少なくとも軌道の
    表面層を、ビッカース硬さ(Hv)が650以上の硬さ
    の浸炭硬化層にすると共に、該浸炭硬化層の表面に対し
    溶射法による溶射皮膜を形成したことを特徴とする溶融
    金属めっき装置用転がり軸受。
  2. 【請求項2】 上記浸炭硬化層は、実質的に炭化物を含
    まないことを特徴とする請求項1に記載した溶融金属め
    っき装置用転がり軸受。
JP2001097619A 2001-03-29 2001-03-29 溶融金属めっき装置用転がり軸受 Pending JP2002295486A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006312952A (ja) * 2005-05-06 2006-11-16 Ntn Corp 転がり軸受装置
JP2009544852A (ja) * 2006-07-24 2009-12-17 スウエイジロク・カンパニー 高濃度の格子間成分を有する金属物品
JP2012507630A (ja) * 2008-11-04 2012-03-29 プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド 半導体用途用の熱スプレーコーティング

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