JP2002294517A - 炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条とその製造方法 - Google Patents

炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条とその製造方法

Info

Publication number
JP2002294517A
JP2002294517A JP2001099802A JP2001099802A JP2002294517A JP 2002294517 A JP2002294517 A JP 2002294517A JP 2001099802 A JP2001099802 A JP 2001099802A JP 2001099802 A JP2001099802 A JP 2001099802A JP 2002294517 A JP2002294517 A JP 2002294517A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber yarn
yarn
entanglement
carbon fiber
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001099802A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiko Kunisawa
考彦 國澤
Toshihiko Nishida
俊彦 西田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP2001099802A priority Critical patent/JP2002294517A/ja
Publication of JP2002294517A publication Critical patent/JP2002294517A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Fibers (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】炭素繊維製造工程の操業安定性を向上し、且つ
開繊が容易で高品質な炭素繊維束を製造可能な炭素繊維
製造用のアクリル系繊維糸条及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】フィラメント数が3,000本以上であ
る、炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条が、流体交絡
処理による交絡度10〜80、同交絡度の均一性を示す
式(1)により得られるCV値が10%以下である。 CV値(%)=(標準偏差/平均値)×100・・・・・式(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、収束性が良好で均
一な交絡が付与されており、炭素繊維製造工程における
高い操業安定性が確保されると共に、高品質で毛羽並び
に単糸切れが少なく、開繊性に優れかつ機械的特性に優
れた炭素繊維束を得ることのできる、炭素繊維製造用の
アクリル系繊維糸条とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は他の繊維と比較して優れた比
強度、比弾性率、金属と比較して優れた比抵抗、高い耐
薬品性などの多くの優れた特性を有しており、その優れ
た各種特性を利用して樹脂との複合材料用の補強繊維他
工業用途に、またスポーツ、航空宇宙分野にと幅広く利
用されている。
【0003】一般に、炭素繊維はアクリル系繊維糸条を
200℃以上の酸化性雰囲気中で耐炎化し、次いで30
0℃以上の不活性雰囲気中で炭化することによって得ら
れる。
【0004】耐炎化工程ではシート状に並べた多数本の
繊維束が、ロールを介して折り返され、走行方向を18
0度変更しながら耐炎化炉内を複数段で通過する。
【0005】この走行方向の変更時に、繊維束のロール
への巻付きや隣接する繊維束との干渉等により、炭素繊
維の性能及び品質の低下をきたす場合がある。かかる繊
維束のロールへの巻付きや隣接する繊維束同士の干渉を
防止するため、多数本の単繊維により構成される一本の
繊維束に収束性を与えることが必要であり、収束性を改
善するための様々な検討がこれまでなされてきた。
【0006】繊維束に収束性を付与する手段として、従
来から油剤処理、交絡(繊維束を構成する単繊維同士が
該繊維束内で絡み合うこと)処理、又は加撚処理を単独
で、或いはこれらの処理を組み合わせて収束性を付与す
ることが提案されている。
【0007】例えば、実公昭50−46005号公報に
開示されている一般のマルチフィラメント糸に対する収
束装置は、糸条通路内を走行する糸条に、同通路に開口
している噴射流体供給孔から流体が噴射され、強力な交
絡処理が施される。前記糸条通路にはその全長にわたっ
て、糸条を挿通するためのスリットが形成されている。
更にこのスリットへ圧力調整可能な流体供給孔を形成し
てスリット内の静圧を高くすることにより、スリットへ
の糸条の逃げを防止している。
【0008】この公報に開示されている収束装置は構造
が複雑であり、しかも後に開繊することのない一般的な
マルチフィラメント糸の収束用であるため、収束性が高
い。このような一般的な収束装置を用いたり、或いは従
来の上述したような収束処理により得られる収束性の高
い繊維束にあっては、炭素繊維製造工程での工程通過性
は向上する。
【0009】しかしながら、強化繊維として使用される
炭素繊維束は一般に、その繊維束を開繊してから織物や
シート状物として使用され場合が多い。このように得ら
れた炭素繊維束を開繊が必要な用途に供する際に、上述
したように収束性が付与された繊維束にあっては、開繊
ロールでの強いしごき等が必要になり、炭素繊維に毛羽
が生じたり、性能や品質に低下を招く恐れがある。
【0010】逆に、開繊の容易な収束性の低い繊維束を
用いた場合は、特に耐炎化工程でのロールへの巻付き等
により炭素繊維製造工程の安定した操業を確保すること
が困難になるといった問題があった。
【0011】このように炭素繊維の製造工程における収
束性を確保すると共に、後の開繊性をも満足する炭素繊
維用の前駆体糸条の製造方法が、例えば特開昭58−2
14516号公報や特開昭58−214530号公報に
開示されている。
【0012】特開昭58−214516号に開示されて
いる炭素繊維用の前駆体糸条は、3〜10個の吹き出し
孔を有するリング状エアノズルを用い、0.1g/d以
上の張力下で、1〜2Kg/cm2 (98〜196KP
a)の空気圧により空気処理することにより、所定の収
束性が得れられるまで開繊、交絡処理されたのち巻き取
られる。
【0013】また、特開昭58−214530号公報に
開示されている炭素繊維用の前駆体糸条は、流体噴射法
による交絡処理が施された後、10回/m以下の低加撚
処理が施されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭58−214516号公報及び特開昭58−214
530号公報に開示されている炭素繊維用の前駆体糸条
にあっては、繊維束の収束性を向上させることにより、
炭素繊維製造工程における工程通過性の向上に重点を置
いたものである。そのため、上記公報に開示されている
炭素繊維用の前駆体糸条を用いて製造された炭素繊維束
は開繊しにくく、しごきなどの強制的な力を加えて開繊
する必要があるため、炭素繊維の製造工程或いは同炭素
繊維の高次加工において性能、品質の低下を来す恐れが
ある。
【0015】そこで、本発明は、均一な交絡処理を施し
て収束性を与えることによって、炭素繊維製造工程の操
業安定性を向上させつつも、過度な強制開繊操作を行う
ことなく均一に開繊しやすく、高品質、高品位、高性能
な炭素繊維束を得ることが可能となる炭素繊維製造用の
アクリル系繊維糸条及びその製造方法を提供することを
目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、本件請求項1に係る発明は、フィラメント数が
3,000本以上である、炭素繊維製造用のアクリル系
繊維糸条であって、交絡度が10〜80、同交絡度の均
一性を示す式(1)により得られるCV値が10%以下
であることを特徴としている。 CV値(%)=(標準偏差/平均値)×100・・・・・式(1) 交絡度が10〜80であって、且つCV値が10%以下
であるアクリル系繊維糸条は、炭素繊維製造用として適
度な且つ均一な収束性を有している。そのため、耐炎化
などの工程においてロールへの巻付きや隣接する糸条同
士の干渉を回避でき、操業安定性に優れている。また、
かかる繊維糸条から製造された炭素繊維束は開繊性にも
優れており、後に強いしごきなどの過度な強制開繊をし
なくても容易に開繊することができるため、炭素繊維の
高次加工において性能、品質の低下を来す恐れもなく、
高品質、高品位、高性能な炭素繊維束を得ることが可能
となる。
【0017】なお、前記交絡度はJIS−L1013に
準拠して測定される。また、その交絡度の均一性を示す
CV値は、標準偏差の平均値に対する割合であり、上記
式(1)から求められる。前記CV値が10%以下の場
合は、得られた炭素繊維束の高次工程において、炭素繊
維束の開繊斑が小さく、繊維束幅も均一となる。前記C
V値が10%を越えると、得られた炭素繊維束の高次工
程において炭素繊維束の開繊斑が大きくかつ、繊維束幅
も不均一になる。
【0018】また、アクリル系繊維糸条の交絡度が10
未満の場合は交絡が少なく、収束性が不十分となり、炭
素繊維の製造工程においてロールへの巻付きや隣接する
糸条同士の干渉が生じ、操業安定性を損なうおそれがあ
る。一方、交絡度が80を越えると交絡が掛かりすぎ、
得られた炭素繊維束の高次工程における開繊性が悪くな
る。
【0019】なお、本発明に用いる炭素繊維製造用のア
クリル系繊維糸条は、一般的に炭素繊維の製造に用いら
れるアクリル系繊維糸条を使用すればよく、アクリル系
繊維糸条の組成や形態等は制限されないが、フィラメン
ト数については、通常3,000本以上の糸条を用いる
ことが好ましい。
【0020】更に本件請求項2に係る発明によれば、流
体交絡処理により交絡が付与されてなることを特徴とし
ている。
【0021】また、本件請求項3に係る発明によれば、
引張強度が300mN/Tex以上であることを特徴と
している。炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条の引張
強度が300mN/Tex未満の場合には、得られた炭
素繊維束の機械的特性が不充分となる。
【0022】上述した本件発明に係る炭素繊維製造用の
アクリル系繊維糸条を製造するために、本件請求項4に
係る発明は、フィラメント数が3,000本以上であ
る、炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条に、交絡度が
10〜80、同交絡度の均一性を示す上記式(1)によ
り得られるCV値が10%以下となるよう流体交絡処理
を施すことを特徴とする炭素繊維製造用のアクリル系繊
維糸条の製造方法である。
【0023】本発明においては、交絡度が10〜80、
同交絡度の均一性を示すCV値が10%以下となるよう
に交絡処理の条件を適宜調整する必要がある。かかる条
件により製造されたアクリル系繊維糸条は、収束性、均
一性に優れているので、炭素繊維製造工程における高い
操業安定性を維持できる。さらに、本発明に基づくアク
リル系繊維糸条を用いて得られた炭素繊維束は、毛羽並
びに単糸切れが少なく、開繊性に優れ、機械的特性にも
優れており、高品質、高品位でありしかも後の高次工程
における取扱い性に優れたものである。
【0024】また、炭素繊維製造工程におけるローラへ
の巻付きや隣接する糸条同士の干渉がないため、同工程
における工程監視点を減らすことができ、また、容易に
開繊するためその設備の負担を軽減できる。そのため、
炭素繊維製造工程及び炭素繊維束の高次加工工程におけ
る生産性の向上をも図ることができる。
【0025】交絡度は糸条の種類にもよるが、交絡処理
ノズルの構造、流体圧、処理段数で決定されるものであ
るから、これらの条件を適宜調整することによって上記
交絡度及びCV値を上述した範囲内に設定することがで
きる。
【0026】本件請求項5に係る発明によれば、前記流
体交絡処理は複数段でなされることを特徴としている。
流体交絡処理を複数段で行うことにより、交絡度の制御
が容易になると共に、均一な交絡を付与することが可能
になる。
【0027】また、流体処理方法の流体は、作業性、経
済性の面で常温空気であることが好ましく、供給される
空気圧は、単糸繊度、フィラメント数、油剤の付着状
況、ノズル形状により適宜調整される。例えば、複数段
で交絡処理を行う場合に、本件請求項6に係る発明によ
れば、前記流体交絡処理は空気交絡処理であり、処理糸
条の繊維密度200〜1,000本/mm2 に対して、
その空気圧は100〜400KPaであることを特徴と
している。ただし、繊維密度とは、繊維軸に垂直な単位
面積に存在する繊維本数として表す。
【0028】繊維密度が200本/mm2 よりも小さい
場合、或いは、繊維密度が1,000本/mm2 よりも
大きい場合には、空気圧が上記範囲内にあっても交絡度
が不充分となる。また、繊維密度が上記範囲内にあって
も、空気圧が100KPaよりも小さい場合には、交絡
度が不充分になり、一方、空気圧が400KPaよりも
大きい場合には、過度の交絡が付与され、毛羽の発生な
どにより引張り強度が低下する。
【0029】更に、本件請求項7に係る発明によれば、
前記アクリル系繊維糸条を扁平化処理したのち、前記流
体交絡処理を施すことを特徴としている。このようにア
クリル系繊維糸条を扁平状に開繊してから交絡処理を施
すことにより、同アクリル系繊維糸条の全体に噴射エア
ーをあてることができるため、均一な交絡を付与するこ
とができる。
【0030】また、本件請求項8に係る発明によれば、
糸条の引張強度が少なくとも300mN/Tex以上に
なるように交絡処理をすることを特徴としている。
【0031】なお、本発明により得られた炭素繊維製造
用のアクリル系繊維糸条は、酸化性雰囲気中にて200
℃以上の耐炎化処理、次いで不活性雰囲気中にて300
℃以上の炭素化処理を受けて炭素繊維束となる。更に
は、炭素化処理後により高温域での黒鉛化処理を施して
も良い。
【0032】本発明に用いられる交絡装置は、アクリル
系繊維糸条の巻き取り直前に設置され、巻取り体を後の
炭素繊維製造工程の糸条供給部に配置する場合が多い
が、必要に応じて交絡装置を炭素繊維製造ラインの適宜
の場所に設置し、炭素繊維の製造途中で適宜、交絡を付
与することもできる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の炭
素繊維製造用アクリル系繊維糸条を製造するのに適した
エアー交絡装置の概略を示す断面図である。
【0034】前記エアー交絡装置1は中心に断面が矩形
の糸道2が形成されており、同糸道2には扁平なアクリ
ル系繊維糸条3が水平方向に走行している。同糸道2の
上下には均圧室4,5が形成されており、上方の均圧室
4には上壁に、下方の均圧室5には下壁に、それぞれ流
体導入口4a,5aが形成されている。
【0035】前記均圧室4,5との隔壁を構成する前記
糸道2の上下壁部2a,2bには互いに対向するよう
に、各々複数個の流体噴射孔6が1列に配列されてい
る。この流体噴射孔3は、アクリル系繊維糸条3に均一
に交絡を付与するために、少なくとも4個以上形成され
ていることが好ましい。
【0036】前記流体導入口4a,5aから前記均圧室
4,5に導入された常温のエアーは、同均圧室4,5内
で均圧化された後、流体噴射孔6から糸道2内に連続的
に供給されるアクリル系繊維糸条3に向けて均等に、同
糸条3に直交して噴射される。この噴射エアーにより、
アクリル系繊維糸条3には均一に交絡が付与される。
【0037】なお、前記エアー交絡装置1の前後にガイ
ドバー等を設けて、同交絡装置1に供給されるアクリル
系繊維糸条3を扁平状にすることが望ましい。アクリル
系繊維糸条を扁平状に開繊して交絡装置1に供給するこ
とにより、同アクリル系繊維糸条3の全体に噴射エアー
をあてることができるため、均一な交絡を付与すること
ができる。
【0038】更に、前記エアー交絡装置1を多段に配す
ることにより、アクリル系繊維糸条にはより均一な交絡
を付与することができる。このときの交絡装置の設置段
数は、アクリル系繊維糸条の単糸繊度、フィラメント
数、油剤の付着状況、ノズル形状等により適宜調整され
る。
【0039】以下、本発明について具体的な実施例及び
比較例を挙げて説明する。なお、以下に示す条件は全て
同じである。 アクリル系繊維糸条:アクリロニトリル単位96モル%
含有 繊維糸条を構成する単繊維の数:12000本 単繊維テックス:0.12 流体:常温空気 繊維糸条の交絡装置通過速度:10m/分 交絡装置の糸道断面形状:矩形 交絡装置の流体噴出方向:アクリル系繊維糸条の進行方
向に対して直交 また、交絡度はJIS−L1013に準拠して測定し、
交絡の均一性(%)については、交絡度のCV値、即
ち、標準偏差の平均値に対する割合で示している。
【0040】[実施例1]表1に示す条件で交絡を付与
して炭素繊維用のアクリル系繊維糸条を製造した。得ら
れた繊維糸条の交絡度、CV値及び引張強度を測定し、
その結果を表2に示す。得られた繊維糸条の交絡度は4
0.60であった。また、交絡の均一性を示すCV値は
6%と小さく、交絡の均一性にも優れており、斑のな
い、収束性に優れたアクリル系繊維糸条を得ることがで
きた。更に引張強度は450mN/Texであり、十分
な強度を備えている。更に同繊維糸条を用いて炭素繊維
を製造したところ、炭素繊維製造工程の通過性も良好
で、ロールへの巻付き、隣接する繊維糸条との混繊等の
干渉もなく、工程通過安定性にも優れていた。また、得
られた炭素繊維束の開繊性、機械的特性も良好であっ
た。
【0041】[比較例1]表1に示す条件で交絡を付与
して炭素繊維用のアクリル系繊維糸条を製造した。得ら
れた繊維糸条の交絡度、CV値及び引張強度を測定し、
その結果を表2に示す。得られた繊維糸条の交絡度は4
0.35と十分な収束性を有してはいるものの、交絡の
均一性を示すCV値は27%と大きく、交絡が不均一で
あった。また、引張強度は450mN/Texであり、
十分な強度を備えている。更に同繊維糸条を用いて炭素
繊維を製造したところ、炭素繊維製造工程の通過性も良
好で、ロールへの巻付き、隣接する繊維糸条との混繊等
の干渉もなく、工程通過安定性には優れていたが、得ら
れた炭素繊維束は開繊斑が大きく、高次工程での繊維束
幅も不均一であった。
【0042】[比較例2]表1に示す条件で交絡を付与
して炭素繊維用のアクリル系繊維糸条を製造した。得ら
れた繊維糸条の交絡度、CV値及び引張強度を測定し、
その結果を表2に示す。得られた繊維糸条の交絡度は
5.27と低かった。また、交絡の均一性を示すCV値
も24%と大きく、交絡が不均一であった。引張強度に
ついては440mN/Texであり、十分な強度を備え
ている。更に同繊維糸条を用いて炭素繊維を製造したと
ころ、収束性が不充分なため、繊維糸条のロールへの巻
付きや隣接する繊維糸条との混繊が多発し、工程通過性
が低かった。また、得られた炭素繊維束は開繊斑も大き
かった。
【0043】[比較例3]表1に示す条件で交絡を付与
して炭素繊維用のアクリル系繊維糸条を製造した。得ら
れた繊維糸条の交絡度、CV値及び引張強度を測定し、
その結果を表2に示す。得られた繊維糸条の交絡度は
8.95と低かった。また、交絡の均一性を示すCV値
も15%と大きく、交絡が不均一であった。引張強度に
ついては460mN/Texであり、十分な強度を備え
ている。更に同繊維糸条を用いて炭素繊維を製造したと
ころ、収束性が不充分なため、繊維糸条のロールへの巻
付きや隣接する繊維糸条との混繊が多発し、工程通過性
が低かった。また、得られた炭素繊維束は開繊斑も大き
かった。
【0044】[比較例4]表1に示す条件で交絡を付与
して炭素繊維用のアクリル系繊維糸条を製造した。得ら
れた繊維糸条の交絡度、CV値及び引張強度を測定し、
その結果を表2に示す。得られた繊維糸条の交絡度は
4.52と低かった。また、交絡の均一性を示すCV値
も20%と大きく、交絡が不均一であった。引張強度に
ついては430mN/Texであり、十分な強度を備え
ている。更に同繊維糸条を用いて炭素繊維を製造したと
ころ、収束性が不充分なため、繊維糸条のロールへの巻
付きや隣接する繊維糸条との混繊が多発し、工程通過性
が低かった。また、得られた炭素繊維束は開繊斑も大き
かった。
【0045】[比較例5]表1に示す条件で交絡を付与
して炭素繊維用のアクリル系繊維糸条を製造した。得ら
れた繊維糸条の交絡度、CV値及び引張強度を測定し、
その結果を表2に示す。得られた繊維糸条の交絡度は8
5.40と大きく、過度の交絡が付与されており、毛羽
も多かった。この交絡の均一性については、CV値が2
5%と大きく、交絡が不均一であった。また、引張強度
についても280mN/Texと小さく、炭素繊維製造
用としては不適である。更に同繊維糸条を用いて炭素繊
維を製造したところ、得られた炭素繊維束は毛羽が多
く、外観及び機械的特性の悪い炭素繊維束となり、炭素
繊維の製造工程通過性も低かった。
【0046】[比較例6]表1に示す条件で交絡を付与
して炭素繊維用のアクリル系繊維糸条を製造した。得ら
れた繊維糸条の交絡度、CV値及び引張強度を測定し、
その結果を表2に示す。得られた繊維糸条の交絡度は
6.20と低かった。また、交絡の均一性を示すCV値
も18%と大きく、交絡が不均一であった。引張強度に
ついては400mN/Texであり、十分な強度を備え
ている。更に同繊維糸条を用いて炭素繊維を製造したと
ころ、収束性が不充分なため、繊維糸条のロールへの巻
付きや隣接する繊維糸条との混繊が多発し、工程通過性
が低かった。また、得られた炭素繊維束は開繊斑も大き
かった。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】以上、説明したように、本発明のアクリル
系繊維糸条は、その交絡度及び交絡の均一性を所定の範
囲に設定することにより、適度な収束性をもち、炭素繊
維製造工程におけるローラへの巻付きや隣接する繊維糸
条との干渉を阻止でき、炭素繊維製造工程の操業安定性
を確保できる。さらに、本発明のアクリル系繊維糸条を
用いて得られた炭素繊維束は、毛羽並びに単糸切れが少
なく、開繊性にも優れ、しかも機械的特性に優れてい
る。かかる高品質、高品位の炭素繊維は、高次工程での
取扱い性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアクリル系繊維糸条を製造する際に、
好適に用いられるエアー交絡装置の概略を示す、糸条の
軸方向に直交する断面図である。
【符号の簡単な説明】
1 エアー交絡装置 2 糸道 2a 上壁部 2b 下壁部 3 アクリル系繊維糸条 4 均圧室 4a 流体導入口 5 均圧室 5a 流体導入口 6 流体噴射孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 CC11 EE08 FF01 MB00 4L036 MA04 MA24 MA33 PA42 4L037 CS03 FA03 PA53 PC05 PF57

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィラメント数が3,000本以上であ
    る、炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条であって、交
    絡度が10〜80、同交絡度の均一性を示す式(1)に
    より得られるCV値が10%以下であることを特徴とす
    る炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条。 CV値(%)=(標準偏差/平均値)×100・・・・・式(1)
  2. 【請求項2】 流体交絡処理により交絡が付与されてな
    ることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維製造用のア
    クリル系繊維糸条。
  3. 【請求項3】 引張強度が300mN/Tex以上であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の炭素繊維製造
    用のアクリル系繊維糸条。
  4. 【請求項4】 フィラメント数が3,000本以上であ
    る、炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条に、交絡度が
    10〜80、同交絡度の均一性を示す式(1)により得
    られるCV値が10%以下となるよう流体交絡処理を施
    すことを特徴とする炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸
    条の製造方法。 CV値(%)=(標準偏差/平均値)×100・・・・・式(1)
  5. 【請求項5】 前記流体交絡処理は複数段でなされるこ
    とを特徴とする請求項4記載のアクリル系繊維糸条の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記流体交絡処理は空気交絡処理であ
    り、処理糸条の繊維密度200〜1,000本/mm2
    に対して、その空気圧は100〜400KPaであるこ
    とを特徴とする請求項5記載のアクリル系繊維糸条の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記アクリル系繊維糸条を扁平化処理し
    たのち、前記流体交絡処理を施すことを特徴とする請求
    項4〜6のいずれかに記載の炭素繊維製造用のアクリル
    系繊維糸条の製造方法。
  8. 【請求項8】 糸条の引張強度が少なくとも300mN
    /Tex以上になるように交絡処理をすることを特徴と
    する請求項4〜7のいずれかに記載の炭素繊維製造用の
    アクリル系繊維糸条の製造方法。
JP2001099802A 2001-03-30 2001-03-30 炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条とその製造方法 Pending JP2002294517A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001099802A JP2002294517A (ja) 2001-03-30 2001-03-30 炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001099802A JP2002294517A (ja) 2001-03-30 2001-03-30 炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002294517A true JP2002294517A (ja) 2002-10-09

Family

ID=18953305

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001099802A Pending JP2002294517A (ja) 2001-03-30 2001-03-30 炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002294517A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020203390A1 (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 東レ株式会社 炭素繊維前駆体繊維束およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020203390A1 (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 東レ株式会社 炭素繊維前駆体繊維束およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8801985B2 (en) Process of making a carbon fiber precursor fiber bundle
JP3722323B2 (ja) 炭素繊維とその製造方法および製造装置
JP2009191425A (ja) 炭素繊維の製造方法
JP2004100132A (ja) 炭素繊維前駆体繊維束、その製造方法及び製造装置と前記繊維束からの炭素繊維の製造方法
US4186179A (en) Process for producing oxidized or carbon fibers
JP2002294517A (ja) 炭素繊維製造用のアクリル系繊維糸条とその製造方法
JPS6042301B2 (ja) 太繊度合成繊維フイラメントの延伸方法
JP4801621B2 (ja) 炭素繊維前駆体トウの製造方法
JP2003055843A (ja) 炭素繊維の製造法
JP3733688B2 (ja) 炭素繊維の製造方法
JP4408323B2 (ja) 炭素繊維前駆体繊維束への交絡付与装置
JP4408324B2 (ja) 炭素繊維前駆体繊維束の製造方法及び炭素繊維束の製造方法
JP4592208B2 (ja) 繊維糸条の接続方法及び炭素繊維の製造方法
JP6776723B2 (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維束、その製造方法及び炭素繊維束の製造方法
JP2017137602A (ja) ポリアクリロニトリル繊維束の製造方法
JP2002003081A (ja) 炭素繊維前駆体アクリル系太物糸条パッケージおよびその製造方法
JP2012188768A (ja) 炭素繊維前駆体繊維束の製造方法及び同方法により得られる炭素繊維前駆体繊維束
JP2011006804A (ja) 炭素繊維束の製造方法、および炭素繊維束の製造装置
JP4446817B2 (ja) アクリル系炭素繊維前駆体繊維束の製造方法
JP2003321160A (ja) 繊維トウパッケージと同パッケージを使った炭素繊維及びチョップドファイバーの製造方法
JP2008144307A (ja) 炭素繊維束の製造方法
JPS58208420A (ja) 連続的炭素繊維の製造法
JP2023134229A (ja) 炭素繊維束、炭素繊維前駆体繊維束およびその製造方法
JP2004076174A (ja) 炭素繊維の製造方法
JPH11124741A (ja) 連続的炭素繊維の製造法