JP2002294427A - めっき線およびその製造方法並びに製造装置 - Google Patents

めっき線およびその製造方法並びに製造装置

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JP2002294427A
JP2002294427A JP2001102562A JP2001102562A JP2002294427A JP 2002294427 A JP2002294427 A JP 2002294427A JP 2001102562 A JP2001102562 A JP 2001102562A JP 2001102562 A JP2001102562 A JP 2001102562A JP 2002294427 A JP2002294427 A JP 2002294427A
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Ryozo Kanbe
良三 神戸
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Kokoku Steel Wire Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性、耐食性に優れためっき線およびその
製造方法並びに製造装置を提供すること。 【解決手段】 めっき線では、横断面におけるめっき部
分の面積占有率が10〜40%の厚めっきを施され、こ
のめっき層3が微細な結晶粒径からなる急冷組織を持
ち、めっき層3と素地鉄鋼との境界に厚さ0.5〜10
μの中間層4を保有している。このめっき線の製造方法
並びに装置では、線2に急冷凝固して付着しためっき層
3の表面に粘性的に付着して引き上げられる溶湯分をこ
のメニスカスa基底の径dを調整することで極少に抑制
するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は加工性、耐食性、外
観に優れためっき線およびその製造方法並びに製造装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】出願人が提案している線状体の高速浸漬
被覆方法及びその装置がある。(特公昭60−5878
7号公報参照) 同方法は、線がめっき槽に入る前に、この線を保護ガス
で包囲して、保護ガスの圧力が、保護ガスを線と同時に
めっき槽内に侵入させ、連続的に且つ規則正しく溶湯の
周囲を進行させてめっき槽外へ流出させ、めっきされた
直後の線を効果的に保護するのに十分な圧力であるよう
にしている。そして、この方法では、線を高速で厚めっ
きすることが可能で、生産性が高いメリットがある。ま
た、出願人は特公昭60−59297号公報を通じて、
線状体の冷却装置を提案していて、めっき直後のめっき
線を急冷して冷却斑なく効率良く冷却できるようにして
あることで、前記高速浸漬被覆装置と組み合わせること
によって、高い生産性を可能にしてあるものである。と
ころで、アルミニウムあるいはアルミニウム合金におい
て、結晶粒は微細且つ均一であるほど機械的性質が良好
であり、加工性や加工後の外観維持のためにも結晶粒を
小さくすることが重要とされている。さらに、耐食性を
考えた場合には、往々にして結晶粒が微細な方が有利
で、例えば、Al−Si系合金のようにアルミ初晶の粒
界をAl−Si共晶が埋める組織形態においては粒界部
分が優先的に腐食を受け、粒界を伝って腐食が進行す
る。このような場合には、結晶粒が微細であるほど腐食
経路が長くなるために耐食性は向上する。また、金属間
化合物のような第二相が粒界に析出するAl−Mn合金
系の場合には、急冷することによって第二相を微細な粒
状組織として分散することができるため、耐食性は向上
する。アルミニウムの腐食形態として多くの場合、均一
にめっき厚さを減じて行く溶解型の腐食ではなく、局部
的に腐食孔を生じて内部に進行するところの所謂孔食で
あるため、腐食経路を長くし且つ仮に孔が素地まで達し
ても、厚いめっき層が酸素の供給を制限するために、素
地の腐食は抑制される。一方、海水中においては、長期
間の浸漬或いは物理的な原因でめっきが損傷して素地が
露出した際には、アルミニウムは犠牲陽極として働き、
素地の露出部近傍では海水中に溶出して素地を保護する
ことが知られており、このような場合にも、めっき厚さ
すなわちめっき付着量の大きいことは有利である。さら
に、アルミニウムの特性として、比較的軟質であること
から、加工や取り扱い時の傷は多少なりとも避けられな
いために、素地に達するような傷を防ぐ意味からも厚い
めっきが有利である。鉄鋼線材に厚いアルミニウム被覆
を形成する技術は既に幾つかが公知であるが、その目的
は、主としてACSRコアやグランドワイヤのような用
途のための導電性の付与であったため、純度の高いアル
ミが被覆材とされてきた。このような線材でも高耐食材
料として有効に適用し得るものであったが、前記の如く
軟質のめっき層は傷がつき易くまた摩擦係数の大きいこ
ともあって、金網などに加工することが難しかった。ま
た、使用環境によっては、より一層の耐食性を求められ
る場合もあることから、耐食材料として使用するにはむ
しろ高純度のものよりも適度に合金化したアルミめっき
とした方が有利である。このような目的のためには、A
l−Si、Al−Mn、Al−Mgの二元或いは三元の
合金が適している。Al−Mg系は耐海水性に優れ又め
っき硬度も増加することが期待され、Al−Si系のも
のも結晶粒が微細であれば耐食性はさほど悪くない。A
l−Mn系合金は、耐食アルミ合金として既に公知のも
のであるが、鉄鋼上への溶融めっき金属として実用され
た例はなく、これは溶融法においては前述の中間層の発
達を抑制することができないためであり、又これらの合
金は、冷却速度が緩やかな場合には結晶粒が粗大になり
易く、機械的性質が劣ることになる。また、一般に、展
伸材或いは鋳造材として使用されるAl−Mn合金の殆
どは、Mn1.5%以下の範囲で使用され、これはMn
の添加量が多くなると結晶粒が粗大化し易くなり、加工
性が低下するとの理由によるものである。Siは鉄鋼上
へのめっき金属として一般的に使用されているが、この
際のSi添加は素地との界面に形成されるFe−Al中
間層の発達を抑制する目的で添加されるものであり、図
7は、従来法によるAl−Si合金めっき層の結晶組織
で、Fe−Al中間層を含めた全めっき厚さは約62μ
程度、Fe−Al中間層の厚さは7〜10μとなってい
る。図8は、720℃のAl−Mn合金浴に鉄線を5秒
間浸漬した際の組織状態で、Fe−Al中間層が著しく
発達し、このような組織では、線が曲げ加工を受けるよ
うなことがあると、直ちにめっき部分は割れて剥離する
ため実用に適さない。
【0003】本願発明者は、前記した事情を考慮してさ
らに研究を進めた結果、めっき時の線の走行速度が従来
の溶融めっきよりも速くて、少なくとも毎分30m以上
でめっきされる場合、短時間の溶湯浸漬の後に、溶湯か
ら引き上げられる線には、溶湯温度よりも低い予熱温
度に予熱された線が溶湯に入った直後に、線の周囲で溶
湯が冷却されて急速に凝固して付着形成された凝固被覆
層と、めっき線が溶湯から引き出される際に、凝固被
覆層表面に粘性的に付着して引き上げられる溶融被覆層
との複合被覆構造になっていることを確認した。この溶
融被覆層部分は、先に形成されている凝固被覆層のめっ
き組織を粗粒化させるばかりか、溶融被覆層部分は往々
にして付着状態が変動して、めっき表面の平滑性を損な
う原因になっている。凝固被覆層の粗粒化は、凝固被覆
層が溶融被覆層の凝固潜熱を奪うことによって自らが加
熱して粗粒化することによるものと推測される。この溶
融被覆層による付着状態の変動のメカニズムは、線が溶
湯表面から引き上げられる際に、線の周囲で溶湯が粘性
的に持ち上げられて形成されるメニスカスの基底面の径
が、線の走行速度に比例して大きくなり、このメニスカ
スの形状が変動して、溶湯面の表面張力と作用し合うこ
とで、めっき表面に間欠的な瘤を形成することによるも
のである。また、厚い溶融被覆層は、めっき直後に急速
冷却されることで、湯ジワ表面となって外観を損なう結
果となる。そして、本願発明者は前記した事情を踏まえ
て、めっき金属の溶湯中に溶湯温度よりも低い温度の鉄
鋼線を導入することによって、線の周囲に急冷凝固した
めっき層を形成させて、凝固層が再溶融する以前にめっ
き浴から引き上げて、厚めっき層を形成するところの高
速めっき製法に着目し、線が溶湯表面から高速で引き上
げられる際に、線の周囲で溶湯が粘性的に持ち上げられ
て形成されるメニスカスの基底面の径を強制的に制限す
ることで、溶湯の付着を減少させて、溶融被覆層を極少
にすることが可能であることを知見し、さらに、めっき
直後の溶融被覆層が極少であるめっき線を急速冷却する
ことで、めっき層が既に形成されている微細な結晶粒径
からなる急冷組織を維持し且つ平滑表面を維持すること
を知見して本発明を完成したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、第1には、加工性、耐食性に優れためっき線を第2
には、さらに、めっき層における溶融被覆層が極少に抑
制されて、外観表面が平滑であるめっき線を、第3に
は、めっき層における溶融被覆層が極少に抑制されて、
加工性、耐食性、外観に優れているめっき線を高速で効
率良く生産可能であるめっき線の製造方法を、第4に
は、めっき層における溶融被覆層が極少に抑制されて、
加工性、耐食性、外観に優れているめっき線を高速で効
率良く生産可能であるめっき線の製造装置を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した課題を
達成するため、めっき線では、横断面におけるめっき部
分の面積占有率が10〜40%の厚めっきを施され、こ
のめっき層が微細な結晶粒径からなる急冷組織を持ち、
めっき層と素地鉄鋼との境界に厚さ0.5〜10μの中
間層を保有することを特徴とする。また本発明では、め
っき層が、線に急冷凝固して付着した微細な結晶粒径か
らなる急冷組織を持つ凝固被覆層と、この凝固被覆層表
面に粘性的に付着して引き上げられる溶湯分をこのメニ
スカス基底の径を調整することで極少に抑制されている
溶融被覆層とで形成されていることを特徴とする。そし
て、本発明のめっき線の製造方法では、線を、予熱部の
不活性乃至還元性雰囲気の中で適宜加熱要素により加熱
して、めっき部におけるめっき金属の溶融温度よりも適
宜低い温度に予熱した後、めっき部の底部の導入孔から
めっき浴に通して急冷凝固しためっき層を形成すると共
に、不活性乃至還元性雰囲気のめっき浴面における溶湯
に濡れない部材製の絞りリングに通過させて、線に急冷
凝固して付着しためっき層の表面に粘性的に付着して引
き上げられる溶湯分をこのメニスカス基底の径を調整す
ることで極少に抑制し、然る後に、めっき線を、めっき
部の上部の開口部から上方へ垂直に引き上げて、水冷装
置の筒状体内を垂直に走行させて、筒状体上部の入水口
から内部に流入して流下する冷却水で急速冷却して、微
細な結晶粒径からなる急冷組織のめっき層に維持し、こ
の冷却水が筒状体最下部の入気口から内部上方に向けて
吹き込む加圧空気との混合状態となって排出口から排出
するようにしてあることを特徴とする。本発明のめっき
線の製造装置では、予熱部とめっき部と冷却部を備えて
いるめっき線の製造装置であって、予熱部は、不活性乃
至還元性雰囲気の中で、線を適宜加熱要素により加熱し
て、めっき部におけるめっき金属の溶融温度よりも適宜
低い温度に予熱可能で、めっき部は、底部に線が予熱部
から垂直に入り込む導入孔を、内部の不活性乃至還元性
雰囲気のめっき浴面に溶湯に濡れない部材製の絞りリン
グを、上部にめっきされた線が上方へ垂直に引き上げら
れる開口部を、上下同心状に有すると共に、この絞りリ
ングにおける線が通過するリング孔部を、線に凝固付着
しためっき層の表面に粘性的に付着して引き上げられる
溶湯分について、この溶湯のメニスカス基底の径を調整
することで極少に抑制可能に形成し、水冷装置は、筒状
体上部の入水口から内部に流入した冷却水が、筒状体内
部を垂直に走行するめっき線を急速冷却しながら下方に
流れて、筒状体最下部の入気口から内部上方に向けて吹
き込む加圧空気との混合状態となって排出口から排出可
能に形成してあることを特徴とする。
【0006】本発明におけるめっき層は単一または合金
の双方を含み、めっき層が合金である場合、亜鉛合金め
っき層またはアルミ合金めっき層になる。例えば、アル
ミ合金めっき層である場合におけるアルミニウム合金と
は、シリコンが1〜10%含まれるアルミニウム−シリ
コン合金、マンガンが0.8〜2.0%含まれるアルミ
ニウム−マンガン合金、マグネシウムが0.7〜2.5
%含まれるアルミニウム−マグネシウム合金、マグネシ
ウムが0.5〜2.5%でマンガンが0.8〜1.5%
含まれるアルミニウム−マグネシウム−マンガン合金の
いずれかになる。アルミニウム−シリコン合金における
Si量は、本発明製法では溶湯中に鉄線や鋼線等の金属
部材からなる線が滞留する時間が極端に短いために、F
e−Al中間層の発達を抑制する必要はない。このSi
添加は、めっき層の硬さを改善する目的で添加可能にし
ているため、添加範囲が広くて1〜10%以下の添加に
なる。10%を上回ると、加工性が低下し、外観も黒み
がかってくるために、実用的でない。又、めっきの厚さ
も通常の溶融法に比べて3倍以上の厚みにすることが可
能になる。アルミニウム−マンガン合金におけるMn量
は、本発明においては、めっき組織が急速に凝固し且つ
急冷されるために、Mnがアルミ中に強制的に固溶さ
れ、結晶粒は微細に保持されるので、Mnの最大固溶量
を超える範囲まで添加量を拡大することが可能となり、
最大2.0%までは合金の溶融温度が純アルミの溶融温
度とほぼ同一であることから、めっき条件を純アルミの
めっきと変えることなく作業できる。マグネシウムが
0.7〜2.5%含まれるアルミニウム−マグネシウム
合金におけるマグネシウム量は、0.7%に満たないと
十分な硬さの改善が見られず、2.5%を越えた過大の
添加は溶解炉や保持炉での多大のドロス発生の原因とな
り、さらに、めっきの機械的特性が経時的に変化するこ
とのないように室温における固溶範囲内の2.5%を上
限とした。アルミニウム−マグネシウム−マンガン三元
合金においては、マグネシウムおよびマンガン添加の相
乗作用によって、めっき硬さ、加工性、耐食性の一層の
改善を望むことができる。また本発明におけるめっき線
の製造方法及び製造装置は、前記した単一または合金の
めっき層からなる全てのめっき線の製造方法に採用でき
る。めっき槽は、保持坩堝と一体または別体のいずれで
あっても良く、一体の態様である場合、保持坩堝から水
平に突出する矩形またはU字形または円筒形の断面形状
からなる樋状の耐火物製のものが良い。また、めっき槽
における溶湯中への線の導入孔径と線径との差は、極力
小さくすることが望ましく、溶湯の垂れ落ちを防止し、
さらに、予熱ゾーンからのガスがめっき槽内に溶湯を包
むように流れ込まぬようにして、溶湯表面に至るガスの
経路を遮断することで、溶湯表面が沈静状態となり、溶
融付着の状態が安定して行なわれることになる。絞りリ
ングは、アルミ溶湯と反応したり、濡れたりしない材質
の耐火物からなるもので、線が通過するリング孔部の径
は線径の1.5〜3倍の範囲で、目的とする極少に抑制
された最小限の厚さの溶融被覆層と所望のめっき付着量
との双方が得られる孔径のものになる。
【0007】
【発明の実施の形態】図1には本発明のめっき線におけ
る実施の1形態として、アルミニウム合金めっき線を例
示しており、アルミニウム合金めっき線1は、横断面に
おけるアルミニウム合金めっき部分の面積占有率が10
〜40%の厚めっきを施されていて、このアルミ合金め
っき層3は微細な結晶粒径からなる急冷組織を持ち、ア
ルミ合金めっき層3と線2素地との境界に厚さが0.5
〜10μの鉄−アルミニウム中間層4を保有している。
アルミ合金めっき層3は、シリコンが1〜10%含まれ
るアルミニウム−シリコン合金、マンガンが0.8〜
2.0%含まれるアルミニウム−マンガン合金、マグネ
シウムが0.7〜2.5%含まれるアルミニウム−マグ
ネシウム合金、マグネシウムが0.5〜2.5%でマン
ガンが0.8〜1.5%含まれるアルミニウム−マグネ
シウム−マンガン合金のいずれかで形成されている。そ
して、このアルミ合金めっき層3は、線に急冷凝固して
付着した微細な結晶粒径からなる急冷組織を持つ凝固被
覆層3aと、この凝固被覆層3a表面に粘性的に付着し
て引き上げられる溶湯分を後の製造装置で説明するメニ
スカスa基底の径dを調整することで極少に抑制された
溶融被覆層3bとで形成している。
【0008】図2には、アルミニウム合金めっき線1
(線径3.5mm)がAl−3%Si合金のめっき組織
である態様を例示しており、アルミ合金めっき層3のめ
っき組織は微細になり、Fe−Al中間層4の厚さも5
μ程度になっている。このようなめっき組織からなるア
ルミニウム合金めっき線1においては、加工性は良好
で、自己直径と同一の芯金に巻き付けてもめっきが割れ
たり剥離することはない。
【0009】図3には、アルミニウム合金めっき線1
(線径3.5mm)がAl−1.5%Mn合金のめっき
組織である態様を例示しており、アルミ合金めっき層3
のめっき組織は微細になり、Fe−Al中間層の厚さは
6.5μ程度で自己直径の芯金に巻き付けても、めっき
が割れたり剥離することはない。
【0010】図4には、前記した図3のアルミニウム合
金めっき線1におけるAl−1.5%Mn合金からなる
アルミ合金めっき層3のめっき組織を広い範囲にわたっ
て観察するために、低倍率にて撮影したもので、微細な
めっき組織と厚さ約250μの均一なめっき層になって
いる。
【0011】図5〜図6には本発明のめっき線の製造装
置における実施の1形態を例示しており、保持坩堝5
は、溶解炉(図示せず)にて溶解されたアルミ合金の溶
湯を受け入れて、この溶湯をガス或いは電気的な加熱手
段によって加熱することで一定温度に保持してめっき槽
7に供給可能に形成してある。この保持坩堝5内のプラ
ンジャー6は、駆動機構(図示せず)に駆動されて保持
坩堝5の溶湯中を上下に移動可能にしていて、めっき槽
7内における溶湯レベルを調整して所定の高さに維持可
能に形成してある。
【0012】めっき槽7は、保持坩堝5内と連通して、
坩堝側方から水平に突出する断面円筒形状の樋状の耐火
物容器からなり、底部に線の導入孔7aが設けられ、上
部は蓋7bで覆われ、蓋7bにはめっきされた線が上方
に引き上げられる開口部7cを有している。このめっき
槽7の中の溶湯面7dと蓋7bとの空間7eは窒素また
は窒素・水素の混合気体のような不活性乃至還元性気流
にて常時覆われていて、同雰囲気に保たれており、線2
と溶湯とを接触させることで線表面にアルミ合金めっき
層3を形成可能にしてある。
【0013】そして、めっき槽7内における絞りリング
8は、耐火性で且つ溶湯に濡れない性質のチタンやセラ
ミック等の部材からなるリング状のもので、この絞りリ
ング8は、リング下部が溶湯中に沈み、リング上部が溶
湯面7d上に露出して、リング孔部8aの中心を線2が
通過可能な位置関係にあるところの溶湯面7d上に浮い
た状態に配設されており、リング孔部8aを通過する線
2に対して、先に凝固付着した線2の凝固被覆層3aの
表面に粘性的に付着して引き上げられる溶融被覆層3b
を、この溶融被覆層3bを構成する溶湯分をこのメニス
カスa基底の径dを制限することで、極少の厚さに整え
可能にしてある。
【0014】予熱ボックス9は、めっき槽7の下方に配
置されていて、めっき槽7に導入される直前の線2を、
高周波電源9aから高周波電流が流されている高周波コ
イル9bに通して予備加熱することで、めっき槽7内に
おいて溶湯と線2表面とが適度に反応して薄いFe−A
l合金の中間層4が形成されて確実な密着状態が得られ
るようにしてある。線2の加熱手段としては、高周波電
流による誘導加熱が最も加熱スペースを縮小でき、線2
の予熱温度はめっき槽7内におけるアルミ合金の溶融温
度よりも50〜150℃低く設定している。また、ボッ
クス9内には窒素または窒素・水素の混合気体のような
不活性乃至還元性の気体が流入していて、室内は不活性
乃至還元性雰囲気に保たれており、加熱されることによ
って線2の表面が酸化することのないようにしてある。
【0015】水冷装置10は、筒状体10aの上部に入
水口10bを、最下部に入気口10cを、下部に排出口
10dをそれぞれ有していると共に、入水口10bと排
出口10dとの間の筒状体内部には、線2と冷却水が同
時に逆方向に通過可能なオリフィスを持つ複数のスロー
ト10eを上下に同心状且つそれぞれが筒内を上下に分
断するように多段状に配設している。そして、入水口1
0bから内部に流入した冷却水が、筒状体10a内部を
垂直に走行するめっき線1を急速冷却しながら下方に流
れて、最下部の入気口10cから内部上方に向けて吹き
込む加圧空気との混合状態となって排出口10dから排
出することで、めっき線1を急速に冷却して、急速凝固
によって得られたアルミ合金めっき層3における微細組
織が残余熱によって再結晶して粗大化しないようにして
ある。
【0016】次に、本発明のめっき線の製造方法の一例
として、アルミ合金めっき線の製造方法について、前記
した図5の製造装置を用いて説明する。めっきを施され
るために予め表面を清浄にされた線2は、予熱ボックス
9の下部にある導入孔9cからボックス内に入り、プー
リー9dによって上方に進行方向を変えられた後に、高
周波コイル9bを通過してめっき金属の溶融温度よりも
50〜150℃低い温度まで加熱される。予熱された線
2の温度は、必ずめっき金属の溶融温度よりも低くなく
てはならないが、低すぎた場合には、めっき槽7の中で
溶湯と線2とが接触している時間が短いために、線2と
溶湯とが冶金的に反応することにより育成される薄いF
e−Al合金の中間層4が形成されず、確実な密着状態
が得られないことになる。継続してめっき槽7に入る線
2は、めっき金属となるアルミ合金の溶湯と接触する。
溶湯は自己の溶融温度よりも低い温度の線表面と接触す
ることで、線2の周囲で急速に凝固して凝固被覆層3a
が形成される。線と溶湯が接触している時間は1秒以下
の短時間であるために凝固付着したアルミ合金は溶湯中
で再溶融することなく溶湯の外に引き上げられる。アル
ミ合金が線2に付着する量すなわちめっき付着量は、線
の予熱温度、線と溶湯との接触時間によって調整する。
言い換えるならば、凝固被覆層3aの付着量は、線を予
熱する温度、線の走行速度、溶湯の深さを変化させて調
整する。このめっき作業中におけるめっき槽7中の溶湯
の深さは、めっきを継続することで、溶湯がめっき金属
となって消費されて、放置すれば溶湯のレベルは低下し
てしまうために、プランジャ6が徐々に下降することに
より一定のレベルに保たれている。こうして、凝固被覆
層3aがFe−Al中間層4を経て強固に密着された線
2は、溶湯から引き上げられる際に、溶湯面7d位置に
おける絞りリング8のリング孔部8aを通過して、凝固
被覆層3a表面に粘性的に付着して引き上げられる溶湯
分をこのメニスカスa基底の径dを制限されることによ
り、凝固被覆層3a表面に付着形成される溶融被覆層3
bを極少に抑制されて上方へ走行する。然る後、めっき
線は、めっき層7の上部の開口部7cから上方へ垂直に
引き上げられて、ほぼ1.2秒以内に水冷装置10に入
り、筒状体10a内を垂直に走行して急速冷却される。
この筒状体10a内におけるめっき線は、入水口10b
から内部に流入して流下する冷却水で急速冷却されて、
微細な結晶粒径からなる急冷組織のアルミ合金めっき層
3を維持する。冷却水は入気口10cから内部上方に向
けて吹き込む加圧空気との混合状態となって排出口10
dから排出する。
【0017】
【発明の効果】A.請求項1により、加工性、耐食性に
優れていて、淡水用はもとより、海水用の各種製品に有
用である。 B.請求項2により、さらに、めっき層における溶融被
覆層が極少に抑制されて、外観表面が平滑で、摩擦等に
対する耐久性も良く、商品価値が高い。 C.請求項3により、めっき層における溶融被覆層が極
少に抑制されて、加工性、耐食性、外観に優れているめ
っき線を高速で効率良く生産することができる。 D.請求項4により、めっき層における溶融被覆層が極
少に抑制されて、加工性、耐食性、外観に優れているめ
っき線を高速で効率良く生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のめっき線における実施の1形態を例
示している拡大横断面図。
【図2】 本発明のめっき線における実施の他の1形態
を例示している顕微鏡による部分拡大図。
【図3】 本発明のめっき線における実施の他の1形態
を例示している顕微鏡による部分拡大図。
【図4】 本発明のめっき線における実施の他の1形態
を例示している顕微鏡による部分拡大図。
【図5】 本発明のめっき線の製造装置における実施の
1形態を例示している概略図。
【図6】 同装置におけるめっき槽の部分拡大断面図。
【図7】 従来法によるAl−Si合金めっき線の顕微
鏡による部分拡大図。
【図8】 従来法によるAl−Mn合金めっき線の顕微
鏡による部分拡大図。
【符号の説明】
1 アルミニウム合金めっき線 2 線 3 アルミ合金めっき層 3a 凝固被覆層 3b 溶融被覆層 4 鉄−アルミニウム中間層 5 保持坩堝 6 プランジャ 7 めっき槽(めっき部) 7a 導入孔 7b 蓋 7c 開口部 7d 溶湯面 7e 空間 8 絞りリング 8a リング孔部 9 予熱ボックス 9a 高周波電源 9b 高周波コイル(加熱要素) 9c 導入孔 9d プーリー 10 水冷装置 10a 筒状体 10b 入水口 10c 入気口 10d 排出口 10e スロート a メニスカス d メニスカス基底の径

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 横断面におけるめっき部分の面積占有率
    が10〜40%の厚めっきを施され、このめっき層が微
    細な結晶粒径からなる急冷組織を持ち、めっき層と素地
    鉄鋼との境界に厚さ0.5〜10μの中間層を保有する
    ことを特徴とするめっき線。
  2. 【請求項2】 めっき層が、線に急冷凝固して付着した
    微細な結晶粒径からなる急冷組織を持つ凝固被覆層と、
    この凝固被覆層表面に粘性的に付着して引き上げられる
    溶湯分をこのメニスカス基底の径を調整することで極少
    に抑制されている溶融被覆層とで形成されていることを
    特徴とする請求項1記載のめっき線。
  3. 【請求項3】 線を、予熱部の不活性乃至還元性雰囲気
    の中で適宜加熱要素により加熱して、めっき部における
    めっき金属の溶融温度よりも適宜低い温度に予熱した
    後、めっき部の底部の導入孔からめっき浴に通して急冷
    凝固しためっき層を形成すると共に、不活性乃至還元性
    雰囲気のめっき浴面における溶湯に濡れない部材製の絞
    りリングに通過させて、線に急冷凝固して付着しためっ
    き層の表面に粘性的に付着して引き上げられる溶湯分を
    このメニスカス基底の径を調整することで極少に抑制
    し、然る後に、めっき線を、めっき部の上部の開口部か
    ら上方へ垂直に引き上げて、水冷装置の筒状体内を垂直
    に走行させて、筒状体上部の入水口から内部に流入して
    流下する冷却水で急速冷却して、微細な結晶粒径からな
    る急冷組織のめっき層に維持し、この冷却水が筒状体最
    下部の入気口から内部上方に向けて吹き込む加圧空気と
    の混合状態となって排出口から排出するようにしてある
    ことを特徴とするめっき線の製造方法。
  4. 【請求項4】 予熱部とめっき部と冷却部を備えている
    めっき線の製造装置であって、予熱部は、不活性乃至還
    元性雰囲気の中で、線を適宜加熱要素により加熱して、
    めっき部におけるめっき金属の溶融温度よりも適宜低い
    温度に予熱可能で、めっき部は、底部に線が予熱部から
    垂直に入り込む導入孔を、内部の不活性乃至還元性雰囲
    気のめっき浴面に溶湯に濡れない部材製の絞りリング
    を、上部にめっきされた線が上方へ垂直に引き上げられ
    る開口部を、上下同心状に有すると共に、この絞りリン
    グにおける線が通過するリング孔部を、線に凝固付着し
    ためっき層の表面に粘性的に付着して引き上げられる溶
    湯分について、この溶湯のメニスカス基底の径を調整す
    ることで極少に抑制可能に形成し、水冷装置は、筒状体
    上部の入水口から内部に流入した冷却水が、筒状体内部
    を垂直に走行するめっき線を急速冷却しながら下方に流
    れて、筒状体最下部の入気口から内部上方に向けて吹き
    込む加圧空気との混合状態となって排出口から排出可能
    に形成してあることを特徴とするめっき線の製造装置。
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