JP2002292407A - オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法

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JP2002292407A JP2001095869A JP2001095869A JP2002292407A JP 2002292407 A JP2002292407 A JP 2002292407A JP 2001095869 A JP2001095869 A JP 2001095869A JP 2001095869 A JP2001095869 A JP 2001095869A JP 2002292407 A JP2002292407 A JP 2002292407A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱延鋼板を過剰に溶解することなく、表面の光
沢や研磨性に優れた冷延鋼板を製造することのできるオ
ーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】焼鈍酸洗ラインで中間焼鈍後中間酸洗され
たオーステナイト系ステンレスオーステナイト系ステン
レス鋼からなる熱延鋼板を、圧延率X(%)で冷間圧延
する際に、下記(1)式で規定される圧延率定数RN
(%)が前記圧延率X(%)以下となる条件で中間焼
鈍、中間酸洗および冷間圧延する。 RN=A・(a・exp(−Q/R・T)/V)+B・(b・S・L/V) +C・・・(1)。 ここで、A、B、C、n、m:定数、a:次元調整用定
数(=1min/m)、b:次元調整用定数(=1mi
n/μm)、Q:活性化エネルギー(J/mol)、
T:中間焼鈍における焼鈍温度(K)、R:気体定数
(=8.31mol・K/J)、V:焼鈍酸洗ラインの
熱延鋼板の搬送速度(m/min)、S:中間酸洗時の
酸による溶解速度(μm/min)、L:酸洗槽の有効
総長さ(m)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、オーステナイト
系ステンレス鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オーステナイト系ステンレス鋼からなる
熱延鋼板は、スラブなどの素材を熱間圧延し、その後、
1100℃程度で焼鈍した後、硝酸とふっ酸の混合水溶
液などによる酸洗により脱スケールして製造される。ま
た、光沢や研磨性が要求される冷延鋼板は、前記の熱延
鋼板の表面をコイルグラインダーなどにより研削した
後、冷間圧延、焼鈍および酸洗により製造される。
【0003】上記の冷延鋼板を製造する際に行われるコ
イルグラインダーによる研削は、焼鈍および酸洗により
熱延鋼板の表面に生じた粒界腐食部などを除去するため
におこなわれる。しかし、このような処理は、冷延鋼板
の製造工程が長くなるばかりでなく、製造コストが大幅
に増加する。
【0004】そのため、熱延鋼板に施される酸洗の際に
酸濃度の高い酸洗液を用いて、熱延鋼板の表面の粒界腐
食部を溶解し、前記コイルグラインダーによる研削を省
略した冷延鋼板の製造方法が多数提案されている(例え
ば、特公平3−60920号公報、特開平4−6104
8号公報、特開平11−131271号公報参照)。
【0005】しかし、酸洗液は、使用中に劣化して酸濃
度が低くなる。特に、酸濃度の高い酸洗液ほど、低下の
程度が大きい。一方、鋼板表面の酸による溶解速度は、
酸濃度によって大きく変化する。そのため、上記の方法
では、使用中に酸濃度が低下することによって、溶解量
が少なくなるため、酸洗後の熱延鋼板の表面に粒界腐食
部が残るおそれがある。したがって、通常は、酸濃度が
低下しても鋼板の表面の所定量が十分に溶解されるよう
な酸洗時間を設定して酸洗がおこなわれる。そのため、
酸濃度が高い場合は、鋼板の表面が過剰に溶解されるこ
とになり、歩留まりが低下し、酸洗コストが高くな
る。。
【0006】また、熱延鋼板の表面に生じた粒界腐食部
を、冷間圧延の条件により改善することも試みられてい
るが、酸洗後の熱延鋼板の表面に残存した粒界腐食部の
深さに差があると、均一に改善されず、表面の光沢や表
面の研磨性にムラや不良部分が残存することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明の課題は、熱
延鋼板を過剰に溶解することなく、表面の光沢や研磨性
に優れた冷延鋼板を製造することのできるオーステナイ
ト系ステンレス鋼板の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の要旨は、次の
オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法にある。
【0009】すなわち、その製造方法は、焼鈍酸洗ライ
ンで中間焼鈍後中間酸洗されたオーステナイト系ステン
レス鋼からなる熱延鋼板を、圧延率X(%)で冷間圧延
する際に、下記(1)式で規定される圧延率定数RN
(%)が前記圧延率X(%)以下となる条件で中間焼
鈍、中間酸洗および冷間圧延することを特徴としてい
る。
【0010】 RN=A・(a・exp(−Q/R・T)/V) +B・(b・S・L/V) +C ・・・(1) ここで、A、B、C:定数(%) n、m:定数、 a:次元調整用定数(=1min/m) b:次元調整用定数(=1min/μm) Q:活性化エネルギー(J/mol) T:中間焼鈍における焼鈍温度(K) R:気体定数(=8.31mol・K/J) V:焼鈍酸洗ラインの熱延鋼板の搬送速度(m/mi
n) S:中間酸洗時の酸による溶解速度(μm/min) L:酸洗槽の有効総長さ(m)。
【0011】なお、以下の説明では、熱延鋼板に施され
る焼鈍および酸洗を中間焼鈍および中間酸洗と表し、冷
延鋼板に施される焼鈍および酸洗を仕上焼鈍および仕上
酸洗と表す。
【0012】本発明者らは、オーステナイト系ステンレ
ス鋼からなる熱延鋼板の表面に生じる粒界腐食について
検討した結果、つぎの〜の知見を得た。
【0013】熱延鋼板を中間焼鈍する際に、焼鈍雰囲
気中の酸素が粒界に侵入して鋼中のCrと反応して、粒
界近傍にCr欠乏層が形成される。このCr欠乏層の存
在する粒界が、中間酸洗時に選択的に腐食されることに
より、粒界腐食が生じるものと推定される。
【0014】Cr欠乏層の深さは、熱延鋼板に施され
る中間焼鈍の条件、具体的には、焼鈍温度と焼鈍時間に
依存する。
【0015】一方、中間酸洗で溶解される熱延鋼板の
表面層の厚さは、酸洗時の酸による溶解速度と酸洗時間
に依存し、酸による溶解速度は、酸洗液の組成と酸洗温
度によりほぼ一義的に決まる。
【0016】前記(1)式は以上のような知見に基づい
て求めた式である。すなわち、(1)式における第1項
は、の中間焼鈍時に生じるCr欠乏層の深さに関する
項であり、第2項は、の中間酸洗で溶解される熱延鋼
板の表面層の厚さに関する項である。そして、これらの
第1項および第2項に、補正値を加味したのが上記の
(1)式である。
【0017】一方、冷間圧延では、圧延率が大きいほ
ど、熱延鋼板の表面に残存する粒界腐食の影響が小さく
なることは知られている。したがって、(1)式で求め
た圧延率定数RN(%)と、冷間圧延における圧延率X
(%)とを適正に設定した条件で中間焼鈍、中間酸洗お
よび冷間圧延すれば、中間酸洗における溶解量を極力抑
えて、表面の光沢や研磨性に優れた冷延鋼板を製造する
ことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】まず、この発明のオーステナイト
系ステンレス鋼板の製造工程の一例を図1に基づいて説
明する。
【0019】同図に示すように、素材であるオーステナ
イト系ステンレス鋼からなるスラブは、熱間圧延に適し
た温度、例えば1100〜1250℃に加熱された後、
通常は90%以上の圧延率で熱間圧延により板状に圧延
され、その後、中間焼鈍、ショットブラストおよび中間
酸洗とにより熱延鋼板とされる。この中間焼鈍、ショッ
トブラストおよび中間酸洗は、つぎに述べるような焼鈍
酸洗ラインでおこなわれる。すなわち、この焼鈍酸洗ラ
インは、連続焼鈍炉に続いてショットブラスト装置およ
び複数の槽を備えた連続酸洗装置が設けられ、連続焼鈍
炉から連続酸洗装置までを通過する際の鋼板の速度が同
じ速度になるように構成された装置である。
【0020】この焼鈍酸洗ラインでおこなわれる中間焼
鈍は、熱延鋼板に所定の組織と強度とを付与することお
よびクロム炭化物の溶解等のために必要な処理で、オー
ステナイト系ステンレス鋼からなる熱延鋼板の場合は、
例えば、950〜1250℃の温度範囲で、保持時間が
10秒程度以上となる搬送速度でおこなわれる。
【0021】また、ショトブラストおよび中間酸洗は、
熱間圧延および前記中間焼鈍で生じたスケールを除去す
るための処理であり、そのうちの中間酸洗は、通常、ふ
っ酸と硝酸との混合水溶液で行われるが、さらに塩酸を
混合した水溶液を用いておこなわれる場合もある。ま
た、この中間酸洗中に、研磨ブラシ等でスケールを除去
する場合もある。
【0022】上記のようにして製造されたオーステナイ
ト系ステンレス鋼からなる熱延鋼板は、40〜80%程
度の圧延率による冷間圧延により更に圧延された後、仕
上焼鈍、仕上酸洗および調質圧延により製品としての冷
延鋼板とされる。この仕上焼鈍と仕上酸洗も、上記の中
間焼鈍および中間酸洗と同様に焼鈍酸洗ラインでおこな
われる。
【0023】仕上焼鈍は、冷延鋼板に所定の組織と強度
とを付与するための処理で、オーステナイト系ステンレ
ス鋼からなる冷延鋼板の場合は、例えば、950〜12
50℃の温度範囲で、保持時間が数秒以上となる搬送速
度でおこなわれる。また、仕上酸洗は、前記中間酸洗と
同様に、仕上焼鈍で生じたスケールを除去するための処
理で、NaSO等の中性塩水溶液による電解または
溶融塩によるスケール改質をおこなった後に、硝酸水溶
液に浸漬するか、または硝酸水溶液により電解して酸洗
をおこなう方法や、ふっ酸と硝酸のとの混合水溶液に浸
漬する方法等によりおこなわれる。
【0024】また、調質圧延は、仕上焼鈍および仕上酸
洗された冷延鋼板に、さらに0.5〜2%程度の圧延率
で冷間圧延して、冷延鋼板の表面性状を調整するための
ものであり、省略されることもある。
【0025】上記の工程でオーステナイト系ステンレス
鋼からなる冷延鋼板を製造する際に、中間焼鈍の条件、
中間酸洗の条件、および冷間圧延の圧延率を、下記の
(1)式で規定される圧延率定数RN(%)が、冷間圧
延における圧延率X(%)以下となるように設定する。
【0026】 RN=A・(a・exp(−Q/R・T)/V) +B・(b・S・L/V) +C ・・・(1) ここで、A、B、C:定数(%) n、m:定数、 a:次元調整用定数(=1min/m) b:次元調整用定数(=1min/μm) Q:活性化エネルギー(J/mol) T:中間焼鈍における焼鈍温度(K) R:気体定数(=8.31mol・K/J) V:焼鈍酸洗ラインの熱延鋼板の搬送速度(m/mi
n) S:中間酸洗時の酸による溶解速度(μm/min) L:酸洗槽の有効総長さ(m)。
【0027】上記(1)式は、先に述べた知見および
に基づき、中間焼鈍の焼鈍温度T(K)、中間酸洗時
の酸による溶解速度S(μm/min)および焼鈍酸洗
ラインの鋼板搬送速度V(m/min)を種々変化させ
てオーステナイトステンレス鋼からなる熱延鋼板を製造
してその表面状況を評価し、この評価した表面状況から
冷間圧延における最低圧延率(限界圧延率)を求め、こ
の結果から回帰計算により、各定数A、B、C、n、m
を決定して求めた式である。
【0028】上記(1)式において、活性化エネルギー
Qは、鋼中を拡散する酸素の活性化エネルギーと等しい
と考えられ、その値は鋼種により若干異なり、文献に記
載された値も若干異なるが、本発明では73,500
(J/mol)とした。気体定数Rは、8.31(mo
l・K/J)の一定値である。また、中間酸洗時の酸に
よる溶解速度Sは、次のようにして予め求めておく。
【0029】図2は、酸洗液の組成と酸による溶解速度
との関係の一例を示す図であり、酸洗液として硝酸(H
NO )とふっ酸(HF)の水溶液を用いて、60℃
の温度でSUS304の熱延鋼板を酸洗した場合の、酸
濃度と溶解速度との関係を示す。図3は、酸洗温度と酸
による溶解速度との関係の一例を示す図であり、酸洗液
として5%硝酸(HNO )とふっ酸(HF)の水溶
液を用いて、SUS304の熱延鋼板を酸洗した場合
の、酸洗温度と溶解速度との関係を示す。
【0030】図2および図3示すように、溶解速度は、
酸濃度によって異なり、また、酸洗温度により異なる。
また、図2および図3に示す傾向は、用いる酸洗液の種
類により異なる。したがって、中間酸洗をおこなう焼鈍
酸洗ラインで用いられる酸洗液の種類に応じて、上記図
2および図3に示す関係を予め求めておく。
【0031】なお、中間酸洗で用いられる酸洗液の組成
は、特に、限定しないが、ふっ酸10〜400g/リッ
トルおよび硝酸10〜400g/リットルの水溶液、ま
たは塩酸10〜300g/リットル、ふっ酸10〜40
0g/リットルおよび硝酸20〜500g/リットルの
水溶液が好ましい。
【0032】上記(1)式において、焼鈍酸洗ラインの
鋼板搬送速度V(m/min)は、中間焼鈍における焼
鈍時間の逆数に比例した値であり、かつ中間酸洗におけ
る酸洗時間の逆数に比例した値である。また、酸洗槽長
さLは、酸洗焼鈍ラインに設けられた酸洗槽の酸洗に寄
与する有効総長さで表す。
【0033】定数Aは、焼鈍酸洗ラインの連続焼鈍炉の
仕様、焼鈍雰囲気およびヒートパターンにより異なる
が、その範囲は10〜1000(%)である。例えば、
長さが39mの連続焼鈍炉を用い、燃焼雰囲気で通常の
ヒートパターンで焼鈍する場合は、820(%)であ
る。
【0034】定数Bは、焼鈍酸洗ラインの酸洗槽の有効
長さ、槽の個数、酸組成およびショットブラストや研磨
ブラシによるスケールの除去程度により異なるが、その
範囲は20〜200(%)である。例えば、有効長さが
12mの2槽構造の酸洗槽で、ふっ酸150g/リット
ルと硝酸50g/リットルの水溶液を用いる場合は、9
8(%)である。
【0035】定数Cは、補正値である。この値は冷延鋼
板の表面性状や研磨性等の要求される品質により異なる
が、その範囲は−200〜0(%)である。例えば、通
常の研磨性が要求される用途であれば、−146(%)
である。
【0036】定数nは、常数Aと同様に連続焼鈍炉の仕
様、焼鈍雰囲気およびヒートパターンにより異なるが、
その範囲は0を超え1以下である。例えば、長さが39
mの連続焼鈍炉を用い、燃焼雰囲気で通常のヒートパタ
ーンで焼鈍する場合は、0.18である。
【0037】定数mは、常数Bと同様に焼鈍酸洗ライン
の酸洗槽の有効長さ、槽の個数、酸組成およびショット
ブラストや研磨ブラシによるスケールの除去程度により
異なるが、その範囲は−1以上0未満である。例えば、
有効長さが12mの2槽構造の酸洗槽で、ふっ酸150
g/リットルと硝酸50g/リットルの水溶液を用いる
場合は、−0.45である。
【0038】本発明では、上記の(1)式で規定される
圧延率定数RN(%)を、冷間圧延における圧延率X
(%)以下とする。圧延率定数RN(%)が圧延率X
(%)を超えると、熱延鋼板を中間酸洗した時に生じる
粒界腐食部分の影響が残り、表面光沢や研磨性が悪化す
る。ここで、圧延率X(%)は、圧延前の板の厚みをt
a、圧延後の板の厚みをtbとしたとき、100・(t
a−tb)/ta(%)で表わされる。
【0039】中間焼鈍、中間酸洗および冷間圧延におけ
る圧延率の条件は、例えば、次のようにして設定する。
【0040】まず中間焼鈍の条件を設定する。中間焼鈍
は、前記のようにオーステナイト系ステンレス鋼からな
る熱延鋼板に、所定の組織と強度を付与する処理であ
り、製造する熱延鋼板の鋼種および寸法に基づいて、中
間焼鈍における焼鈍温度Tおよび焼鈍酸洗ラインの鋼板
搬送速度Vを設定する。
【0041】一方、中間酸洗で用いられる酸洗液の組成
と酸による溶解速度との関係を、酸洗温度毎に例えば図
2、図3のように予め求めておく。そして、中間酸洗時
における酸洗液の酸濃度と酸洗温度とから酸による溶解
速度Sを求める。
【0042】このようにして、中間焼鈍における焼鈍温
度Tおよび焼鈍酸洗ラインの鋼板搬送速度Vを設定し、
また酸による溶解速度Sを求めた後、焼鈍炉、酸洗槽の
各仕様等により設定された各定数A、B、C、m、nを
用い、(1)式により圧延率定数RNを求める。
【0043】このようにして求めた圧延率定数RNが、
冷間圧延で通常採用されている圧延率(例えば40〜8
0%)の範囲内であれば、冷間圧延の圧延率Xを、前記
のようにして求めた圧延率定数RN以上となるように設
定する。この場合、設定する冷間圧延における圧延率X
は、前記圧延率定数RN以上で、かつ圧延率定数RN+
10(%)以下とするのが好ましい。
【0044】また、求めた圧延率定数RNが、通常採用
されている圧延率の範囲を外れる場合は、鋼板搬送速度
Vと酸による溶解速度Sのいずれか一方または両方を再
設定する。この再設定では、中間酸洗時の酸洗液の温度
を変えて酸による溶解速度Sを再設定する方法が最も簡
便である。
【0045】また、製造条件などにより冷間圧延におけ
る圧延率Xが、予め決められている場合は、中間焼鈍に
おける焼鈍温度Tおよび焼鈍酸洗ラインの鋼板搬送速度
Vを前記のようにして設定し、これらの設定条件と圧延
率Xとから、(1)式で求められる圧延率定数RNが圧
延率X以下となるように、中間酸洗における溶解速度S
を設定する。この場合も、圧延率定数RNを圧延率X以
下で、かつ圧延率X−10(%)以上とするのが好まし
い。
【0046】そして、設定した溶解速度Sとなるよう
に、酸洗液の酸濃度と温度のいずれか一方または両方の
条件を設定する。この場合も、酸洗液の温度を変えるの
が簡便である。
【0047】なお、焼鈍酸洗ラインには、複数の酸洗槽
が設けられ、酸洗槽により酸組成や酸濃度が異なる酸洗
液を用いる場合がある。このときは、前記(1)式のS
として複数の酸洗液の平均の溶解速度とするか、または
前記(1)式の(S・L/V)を各酸洗槽毎に求め、こ
れらの合計としてもよい。各酸洗槽毎に(S・L/V)
を求める場合、Sは各酸洗槽内の酸洗液毎の酸による溶
解速度を、Lは各酸洗槽の有効長さを用いる。
【0048】また、冷間圧延が複数回おこなわれる場合
には、前記圧延率Xは、複数回の冷間圧延におけるトー
タルの圧延率をいう。
【0049】
【実施例】常法により製造したSUS304からなるス
ラブを1250℃に加熱した後圧延率98%で熱間圧延
し、続いて搬送速度を15m/minに設定した焼鈍酸
洗ラインにより、1000℃または1050℃の焼鈍温
度での中間焼鈍と、酸洗液の組成および酸洗液の温度を
変えた中間酸洗とにより、幅1,000mm、厚さ3.
5mmの熱延鋼板を製造した。
【0050】この熱延鋼板を圧延率50%または60%
で冷間圧延した後、搬送速度を20m/minに設定し
た焼鈍酸洗ラインにより、焼鈍温度1000℃で仕上焼
鈍し、中性塩による電解と、硝酸15%を含む60℃の
水溶液を用いた電解酸洗による仕上酸洗により冷延鋼板
を製造した。
【0051】中間焼鈍における焼鈍温度、中間酸洗にお
ける酸洗液の組成、酸洗温度、酸による溶解速度、圧延
率定数RNおよび冷間圧延における圧延率Xを表1に示
す。なお、上記の製造工程では、(1)式における各定
数は、A:820、B:98、C:−146、n:0.
18、m:−0.45であり、活性化エネルギーQは、
73,500(J/mol)とした。
【0052】上記のようにして製造した冷延鋼板の表面
の光沢および研磨性を評価した。なお、光沢は、冷延鋼
板の表面を目視観察して、光沢が極めて良好な場合を
5、光沢が著しく不良の場合を1とする5段階の評価を
おこない、評価3以上を合格とした。また、研磨性は、
冷延鋼板の表面を1パスのバフ研磨後目視観察して、上
記光沢と同様な評価を行い、評価3以上を合格とした。
結果を表1に併せて示す。
【0053】
【表1】 表1において、No.1およびNo.2は、中間焼鈍の
焼鈍温度および中間酸洗における酸組成と酸洗温度を同
じ条件とし、冷間圧延の圧延率Xを変えた例である。圧
延率定数RNが圧延率X以下のNo.1の本発明例は、
光沢および研磨性ともに合格であるが、圧延率定数RN
が圧延率Xより大きいNo.2の比較例では、光沢は合
格であるが、研磨性が不合格である。
【0054】No.3の比較例は、中間焼鈍の焼鈍温
度、中間酸洗における酸組成および冷間圧延における圧
延率Xを上記No.2の比較例と同じ条件とし、酸洗温
度を低くした例である。この場合は、酸洗温度を低くし
たため圧延率定数RNが圧延率Xを上回り、光沢、研磨
性ともに不合格である。
【0055】No.4〜7の本発明例は、中間焼鈍の焼
鈍温度および中間酸洗における酸組成と酸洗温度を変
え、圧延率Xを圧延率定数RN以上として圧延した例で
あり、いずれも、光沢、研磨性ともに合格である。
【0056】
【発明の効果】この発明のオーステナイト系ステンレス
鋼板の製造方法によれば、熱延鋼板を過剰に溶解するこ
となく、表面の光沢や研磨性に優れた冷延鋼板を製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオーステナイト系ステンレス鋼板の製
造工程の一例を示す図である。
【図2】酸洗液の組成と酸による溶解速度との関係の一
例を示す図である。
【図3】酸洗温度と酸による溶解速度との関係の一例を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K037 EB00 FA02 FA03 FB04 FF03 FG00 FH01 FJ06 FJ07 FM02 GA08 HA05

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼鈍酸洗ラインで中間焼鈍後中間酸洗され
    たオーステナイト系ステンレス鋼からなる熱延鋼板を、
    圧延率X(%)で冷間圧延する際に、下記(1)式で規
    定される圧延率定数RN(%)が前記圧延率X(%)以
    下となる条件で中間焼鈍、中間酸洗および冷間圧延する
    ことを特徴とするオーステナイト系ステンレス鋼板の製
    造方法。 RN=A・(a・exp(−Q/R・T)/V) +B・(b・S・L/V) +C ・・・(1) ここで、A、B、C:定数(%) n、m:定数 a:次元調整用定数(=1min/m) b:次元調整用定数(=1min/μm) Q:活性化エネルギー(J/mol) T:中間焼鈍における焼鈍温度(K) R:気体定数(=8.31mol・K/J) V:焼鈍酸洗ラインの熱延鋼板の搬送速度(m/mi
    n) S:中間酸洗時の酸による溶解速度(μm/min) L:酸洗槽の有効総長さ(m)
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