JP2002289491A - 窒化物半導体基板、それも用いた窒化物半導体素子の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体基板、それも用いた窒化物半導体素子の製造方法

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JP2002289491A
JP2002289491A JP2001088907A JP2001088907A JP2002289491A JP 2002289491 A JP2002289491 A JP 2002289491A JP 2001088907 A JP2001088907 A JP 2001088907A JP 2001088907 A JP2001088907 A JP 2001088907A JP 2002289491 A JP2002289491 A JP 2002289491A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異種基板上に、厚膜の窒化物半導体層を形成
した後、窒化物半導体基板を取り出すために、異種基板
を、割れ、欠けなどなく除去する。 【解決手段】 窒化物半導体と異なる材料よりなると共
に、第1の主面と第2の主面とを有する異種基板10の
第1の主面上に、成長層として少なくとも第1の窒化物
半導体層12を成長させる成長工程と、前記第2の主面
側から前記成長層が露出される深さで、異種基板10の
一部が除去されて、溝部20を形成する溝形成工程と、
除去されずに残った異種基板10を除去して、前記溝部
以外の領域の成長層を露出させる異種基板除去工程と、
を少なくとも具備することで、異種基板を除去すること
により割れることなく、窒化物半導体層を単体化でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒化物半導体を用いた
基板及びそれを用いた窒化物半導体素子の製造方法に係
り、特に異種基板上に設けた窒化物半導体層から窒化物
半導体単体基板を取り出す方法に係る。
【0002】
【従来の技術】窒化物半導体を用いたレーザ素子は、主
に青色〜紫色の短い波長のレーザ光を発振するものであ
り、光ディスク装置などその特性を活かして様々な用途
が検討されている。このレーザ素子の連続発振は、近年
実現され、実用化されているが、その応用において素子
の特性が十分満足のいくものではなく、さらなる素子特
性の向上が求められている。
【0003】窒化物半導体素子の製造において、窒化物
半導体の成長に一般的に用いられている基板は、サファ
イア基板であるが、このような窒化物半導体と異なる材
料の異種基板を用いることは、積層後の微細加工工程、
共振器反射面の形成時、チップ化のためのウエハ分割時
に問題がある。それは、異種基板とその上に成長させた
窒化物半導体とで劈開面が異なるか、異種基板が劈開困
難な場合に、共振器反射面、チップ化を劈開して形成す
ることができないからである。さらにまた、窒化物半導
体も六方晶系にほぼ近似され、同じ六方晶系の異種基板
を用いても、異種基板の劈開面若しくは劈開容易面と、
窒化物半導体の劈開面、劈開容易面との面方位が一致せ
ず、その劈開は容易ではない。例えばサファイア基板を
用いたものであれば、このサファイア基板の劈開が困難
であるため、またサファイア基板の劈開容易面であって
も窒化物半導体の劈開面に一致しないため、共振器反射
面などの素子端面として窒化物半導体の劈開面を取り出
すことが製造上困難なものとなる。また、素子端面をエ
ッチングにより形成した窒化物半導体素子では、その共
振器反射面としての特性に劣り、また、端面形成若しく
はウエハを分割するための溝を成長層に設けると、ウエ
ハ当たりのチップ面積が減少し、歩留まりが悪化する。
【0004】さらにまた、異種基板上に、厚膜の窒化物
半導体を、例えば成長速度の大きなHVPEを用いて、
形成することが可能であるが、厚膜の窒化物半導体を形
成すると以下の問題がある。異種基板、特に窒化物半導
体と格子不整合があり、熱膨張係数差がある異種基板の
上に、厚膜の窒化物半導体を形成すると、基板に大きな
反りが発生し、そのままでは、異種基板を除去すること
が困難となる。また、反りの発生した基板において、異
種基板を研磨で除去しようとすると、異種基板が薄くな
るに従って、厚膜の窒化物半導体からの応力が大きくな
り、その大きくなった応力が異種基板にかかることで、
反りが悪化し、基板に亀裂や割れが発生し、窒化物半導
体の単体基板が取り出せない。
【0005】このような基板の反りは、異種基板10と
成長層12との相対的な応力により決定され、例えば図
2に示すように、異種基板10上の成長層12との間
に、熱膨張係数差、格子不整合により応力がかかり、異
種基板10の界面付近で引張応力、成長層12の界面付
近で圧縮応力が掛かり、異種基板上の成長層の膜厚が大
きくなると、若しくは、成長層の膜厚一定で異種基板の
膜厚を小さくすると、図2(b)で点線部40を除去す
ると、両者の界面にかかる応力の相対関係が変化し、異
種基板、成長層が反ることで、両者の均衡が維持され
る。このため、この場合には、窒化物半導体の成長層1
2の膜厚を大きくすること、異種基板の膜厚を減らすこ
とで、両者の界面付近での応力差が大きくなり、反りも
大きくなる。このような、反りは、異種基板と窒化物半
導体との相対的な熱膨張係数差、格子定数差に起因する
ため、異種基板の材料、窒化物半導体の組成が変化する
と、両者に係る圧縮・引張応力も変化し、反り方も、異
種基板を凹面とする場合だけでなく、凸面となる場合も
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、異種
基板上に形成した厚膜の窒化物半導体から窒化物半導体
単体基板を取り出すには、基板に発生する反りを解決し
なければならない。しかし、図2に示すように、単体化
可能な程度の厚膜で窒化物半導体12を成長させた後、
異種基板を40のように研磨・研削して薄くしていく
と、基板が反ることによる両者の応力の均衡が破綻し、
基板に割れ41・欠け・亀裂42が発生する。
【0007】また、異種基板上に、厚膜の窒化物半導体
を成長させて、その上にそれを基板として、素子構造を
形成した後に、単体基板の取り出しの際にも、同様に反
りの問題がある。一方で、異種基板を装着したままで
は、熱伝導性に劣り、また、異種基板が劈開困難な材料
であったり、異種基板と窒化物半導体との面方位が一致
しない場合に、ウエハの劈開、分割、チップの取り出し
が困難となる。
【0008】基板の反りは、上述したように、異種基板
と成長層との相対的な関係に起因するため、窒化物半導
体を厚膜で成長させても、それによる応力の増大に対抗
できる膜厚、すなわち厚膜の異種基板を用いると、反り
が軽減され、厚膜の窒化物半導体を基板として、素子形
成工程、エッチング・電極形成などの素子加工工程を反
りが緩和された状態で各工程を経ることが可能である
が、異種基板が厚膜化されることで異種基板の除去がさ
らに困難なものとなる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するものであり、窒化物半導体の単体化において、基
板の反りによる割れ、欠けの問題を回避して、窒化物半
導体基板、及び窒化物半導体素子を得るものである。
【0010】すなわち、本発明は、以下に示す1〜4の
方法により、窒化物半導体基板、窒化物半導体素子を製
造するものである。
【0011】(1)窒化物半導体と異なる材料よりなる
と共に、第1の主面と第2の主面とを有する異種基板の
第1の主面上に、成長層として少なくとも第1の窒化物
半導体層を成長させる成長工程と、前記第2の主面側か
ら前記成長層が露出される深さで、異種基板の一部が除
去されて、溝部を形成する溝形成工程と、除去されずに
残った異種基板を除去して、前記溝部以外の領域の成長
層を露出させる異種基板除去工程と、を少なくとも具備
してなることを特徴とする。この方法により、異種基板
上に形成した窒化物半導体層を形成した後、異種基板を
成長層が露出する深さまで部分的に除去することで、異
種基板と成長層との間にかかる応力は、溝が形成された
部分で解放され、このことにより、反りによって異種基
板を除去することが困難であったものが解決される。
【0012】(2)前記第1の窒化物半導体層の膜厚が
50μm以上であることを特徴とする。これにより、第
1の窒化物半導体層が厚膜で形成され、異種基板などを
取り除いて、主に第1の窒化物半導体層を単体基板とで
き、窒化物半導体単体基板が得られる。窒化物半導体の
単体基板としては、好ましくはGaN、AlNとするこ
とで比較的厚膜の層が得られやすい。また、このような
厚膜の層を形成して基板に反りが発生しても、上記方法
により、異種基板を除去できる。
【0013】(3)前記異種基板の膜厚が、0.3mm
以上5mm以下の範囲であることを特徴とする。これに
より、上記第1の窒化物半導体層を50μm以上の厚膜
で形成しても、異種基板の厚みにより成長層と基板との
応力を均衡させ、反りを軽減できる。一方で、本発明で
は、溝を形成するため、5mm以下として、溝の深さを
規定することにより、溝形成工程を容易にしている。好
ましくは、1mm以上とすることで、上記50μm以上
の第1の窒化物半導体層を形成しても、反りを抑えて、
溝形成工程などでの取り扱いを容易にし、また反りが軽
減されることで、基板面内における成長層の形成不良を
抑制できる。更に、好ましくは3mm以下とすること
で、異種基板に溝を容易に形成することができる。
【0014】(4)前記成長工程の後、第1の窒化物半
導体層の上に、窒化物半導体を積層して素子構造を形成
する素子形成工程を具備することを特徴とする。これに
より、窒化物半導体層の単体化と同時に、窒化物半導体
素子構造が形成されたウエハとなり、続いてチップ化が
可能となるなど、製造工程を簡略化できる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法に用いる異種基
板としては、例えば、C面、R面、及びA面のいずれか
を主面とするサファイア、スピネル(MgA124)の
ような絶縁性基板、SiC(6H、4H、3Cを含
む)、ZnS、ZnO、GaAs、Si、及び窒化物半
導体と格子整合する酸化物基板等、窒化物半導体を成長
させることが可能で従来から知られている窒化物半導体
と異なる基板材料を用いることができる。好ましくは、
窒化物半導体の成長層を形成することで、基板に反りが
発生する異種基板を用いることで、反りにより異種基板
の除去が困難な場合に、本発明の方法が好適に適用され
る。好ましい異種基板としては、良好な結晶成長が可能
なサファイア、スピネル、SiCが挙げられる。また、
異種基板は、オフアングルしていてもよく、この場合ス
テップ状にオフアングルしたを用いると窒化ガリウムか
らなる下地層の成長が結晶性よく成長させるため好まし
い。
【0016】ここで、本発明において、異種基板の第1
の主面とは、その上に窒化物半導体を積層して、素子構
造を形成するものであり、第2の主面とは、具体例とし
て基板分割工程において、異種基板を割るためにスクラ
イブなどを施すものである。オフアングルした基板とし
ては、サファイアC面からオフアングルしている場合に
はオフ角を0.1°以上0.5°以下の範囲、好ましく
は0.1°以上0.2°以下の範囲とすることで、良好
な結晶性での窒化物半導体の成長が可能である。オフア
ングルした基板は、これに限らず、異種基板材料、主面
の面方位、により、窒化物半導体の結晶性を考慮して適
宜オフ角を決定する。
【0017】本発明において、異種基板上に積層して成
長層、素子構造を形成する窒化物半導体としては、具体
的には、InAlGa1−x−yN(0≦x≦1,
0≦y≦1,0≦x+y≦1)で表されるもの、またI
II族元素としてBを用いたり、V族元素のNの一部
を、As、Pで置換した混晶を用いることができる。こ
の窒化物半導体を、第1の窒化物半導体層、下地層、素
子構造となる各層を積層する。
【0018】本発明の窒化物半導体の成長において、窒
化物半導体を成長させる方法としては、特に限定されな
いが、MOVPE(有機金属気相成長法)、HVPE
(ハライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー
法)、MOCVD(有機金属化学気相成長法)等、窒化
物半導体を成長させるのに知られている全ての方法を適
用できる。好ましい成長方法としては、膜厚が50μm
以下ではMOCVD法を用いると成長速度の制御が容易
である。また膜厚が50μm以下ではHVPEでは成長
速度が速くてコントロールが難しい。また、HVPEを
用いた場合には、上述した組成式の窒化物半導体の中
で、好ましくは、GaN、AlNを用いると、結晶性良
く、厚膜での成長が可能である。
【0019】また、窒化物半導体に用いるn型不純物と
しては、具体的にはSi、Ge、Sn、S、O、Ti、
Zr等のIV族、若しくはVI族元素を用いることがで
き、好ましくはSi、Ge、Snを、さらに最も好まし
くはSiを用いる。また、p型不純物としては、具体的
には、Be、Zn、Mn、Cr、Mg、Caなどが挙げ
られ、好ましくはMgが用いられる。
【0020】[第1の窒化物半導体層]本発明の第1の
窒化物半導体層は、上記異種基板の上に、形成するもの
であり、図1に示すように、異種基板の上に形成した下
地層の上に、形成しても良い。この時、好ましくは、第
1の窒化物半導体層の膜厚を50μm以上とすることで
あり、このことにより、後に続く異種基板除去工程にお
いて、異種基板を除去して、窒化物半導体の単体基板を
取り出すことができる。更に好ましくは、100μm以
上とすることで、異種基板の除去が容易になり、また取
り出された窒化物半導体単体基板の取り扱いが容易とな
る。このように、第1の窒化物半導体層を厚膜に成長さ
せるには、上述したように、HVPE法を用いること
で、結晶性が良好で、成長速度が大きいことから、他の
成長方法に比べて、容易に形成することができる。膜厚
の上限としては特に限定されないが、このHVPE法に
よる窒化物半導体は、異種基板の上に成長層として、下
地層を含めて400μm以下にすることが望ましい。4
00μmより厚く異種基板の上に窒化物半導体を成長す
ると、異種基板との格子不整合あるいは熱膨張係数差に
よって発生する反りが大きくなりすぎてしまい、素子構
造となる窒化物半導体を積層する際に積層不良、面内で
の膜厚不均一が生じてしまう。しかし、一方で、上述し
たように、異種基板10と窒化物半導体層12との応力
は、両者の相対的な膜厚比に依存するため、異種基板の
膜厚を大きくすれば、その上の成長層の膜厚も大きくす
ることができる。例えば、サファイア基板であれば、成
長層の総膜厚が100μm以上400μm以下の範囲で
あれば、異種基板の膜厚を、1mm以上3mm以下の範
囲とすれば、反りがそれほど大きくならず、素子構造を
積層する工程でも、積層不良が生じない反りとすること
ができる。しかし、異種基板が厚くなると、後に続く、
溝形成工程で、成長層に達する溝を形成することが困難
になる傾向にあるため、これらを考慮して、異種基板の
膜厚、第1の窒化物半導体層及びそれを含めた成長層全
体の膜厚を決定する。
【0021】さらにこの第1の窒化物半導体層をHVP
E法により形成することによって次のような効果もあ
る。後述する下地層の横方向成長(ラテラル成長)によ
り窒化物半導体層を成長させた場合、その窒化物半導体
層表面では結晶欠陥の数が不均一であったものが、マス
クパターンにより面内で不均一に分布していたものが、
第1の窒化物半導体層を成長させると、第1の窒化物半
導体中で結晶欠陥が拡散され、第1の窒化物半導体層表
面では結晶欠陥の分布がほぼ均一となり、その上に成長
させる窒化物半導体も均一な層として成長させることが
できる。
【0022】またこの第1の窒化物半導体層12を成長
させるとき、n型導電性を得るには、SiあるいはSn
のn型不純物をドープすることが好ましい。これは第1
の窒化物半導体層を単体基板として、素子構造と対向す
る第1の窒化物半導体基板面側に、n電極を形成する場
合に、良好なオーミック性を確保できる。このSiまた
はSnのn型不純物は、5×1016/cm〜5×1
21/cmの範囲でドープすることが好ましい。5
×1016/cmより少ないと、オーミック性が悪く
なってしまい、また5×1021/cmより多いと、
不純物濃度が大きいために結晶性が悪くなり、結晶欠陥
が増大する傾向にあり、厚膜で良好な結晶が得ることが
困難となるからである。さらに好ましい範囲としては、
1×10 17/cm以上1×1020/cm以下の
範囲であり、この範囲であれば、第1の窒化物半導体層
を100μm以上の膜厚でも良好な結晶性で成長でき、
また良好なn型導電性を確保して、オーミック接触を電
極との間に形成することができる。
【0023】第1の窒化物半導体層の組成としては、特
に限定されず、上述したよう窒化物半導体と同様に、I
AlGa1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦
1,0≦x+y≦1)で表されるもの、また3族元素と
してBを用いたり、5族元素のNの一部を、As、Pで
置換した混晶を用いることができ、好ましくは2元、若
しくは3元混晶のInGa1−xN(0≦x≦1)、
AlGa1−yN(0≦y≦1)を用いることで、良
好な結晶性が得られる。更に好ましくは、AlGa
1−yN(0≦y≦1)を用いることで、上述したよう
な厚膜でも結晶性を良好なものとできる。更に、第1の
窒化物半導体層の形成に、HVPE法を用いる場合に
は、3元混晶よりも2元混晶を用いることが成長速度、
成長、及び結晶性を良好なものとでき、具体的には、G
aN、及びAlNが好ましく用いられる。また、第1の
窒化物半導体層をHVPEにより形成すると、横方向成
長層の形成により、面内に、貫通転位の少ない領域と多
い領域に分布した表面から、第1の窒化物半導体層表面
に貫通転位分布が分散する傾向にある。これは、HVP
E法での成長では、3次元的な成長が促進される傾向が
大きいことによるものと考えられ、個々のドメインが大
きく成長して互いに結合するような3次元成長により、
貫通転位が分散されると思われ、このような成長形態
は、例えば10μm/hr以上の成長速度で形成すると
得られやすい。
【0024】[下地層]本発明では、第1の窒化物半導
体層を異種基板上に形成する際に、異種基板10と第1
の窒化物半導体層12との間に、図1(b)に示すよう
に、下地層11を設けても良い。この下地層11は、第
1の窒化物半導体層12と異種基板との格子不整合の緩
和、結晶欠陥の低減、良好な結晶成長を主な目的として
形成する。下地層として具体的には、以下のものが挙げ
られる。
【0025】異種基板の表面に、最初に低温成長バッフ
ァ層を形成した後、単結晶成長できる温度で、他の下地
層、第1の窒化物半導体層を形成すると、異種基板への
窒化物半導体の成長を、両者に格子不整合があっても良
好なものとできる。このため、本発明において、異種基
板材料により用いなくても良い場合もあるが、好ましく
は低温成長バッファ層を下地層として設けることが好ま
しい。この低温バッファ層とは、その上に成長させる窒
化物半導体層の成長温度よりも低温で成長させるもので
あり、具体的にはAlN、GaN、AlGaN、InG
aN等が用いられ、300℃以上900℃以下の温度
で、膜厚10Å(オングストローム)以上0.5μm以
下の範囲で形成される。この時、好ましい低温成長バッ
ファ層の組成としては、AlGa1−yN(0≦y<
1)を用いることで、さらに良好な単結晶成長、例えば
第1の窒化物半導体層の成長が可能となる。この低温成
長バッファ層は、アンドープであっても、p型、n型不
純物をドープしても、どちらでも良いが、好ましくは、
アンドープで形成すると良好な結晶性が得られる傾向に
ある。また、低温成長バッファ層の上に、形成する場合
には、それよりも高温で単結晶成長可能な温度、具体的
には800℃以上1200℃以下の温度範囲で成長させ
る。
【0026】また、下地層として、異種基板上、さらに
は上述した低温成長バッファ層の上に、更に別の窒化物
半導体を形成しても良い。この時、異種基板10と第1
の窒化物半導体12との間に設けられる下地層11とし
ては、好ましくはAlGa 1−yN(0≦y<1)を
用いることで、良好な結晶性の第1の窒化物半導体を形
成することができる。更に好ましくは、Al混晶比yが
0.3以下のAlGa1−yN(0≦y<1)若しく
はGaNを用いることで良好な結晶性でもって、第1の
窒化物半導体を形成できる。この下地層は、低温成長バ
ッファ層と同様に、p、n型不純物ドープ、アンドープ
としても良く、好ましくはアンドープで成長させること
で結晶性が良好となる。また、単体基板とする際に、素
子構造が形成された面と対向する基板面に、n電極を形
成し、下地層を第1の窒化物半導体層と共に残す場合に
は、第1の窒化物半導体層と同様に、Si、Snをドー
プすることで、n型導電性を確保することができる。
【0027】更に、下地層として、上述したもの以外
に、貫通転位を低減させる目的で、ELOG、ELO
(Epitaxitial Lateral OverGrowth)として知られる横
方向成長を用いた下地層(横方向成長層)を形成しても
良い。具体的には、異種基板、若しくは低温成長バッフ
ァ層、下地層の上に形成する。代表的な横方向成長方
法、横方向成長層としは、図3の模式断面図にしめすよ
うに、下地層412の窒化物半導体層表面にマスク41
8を設けて(図3(a))、マスク418開口部から窒
化物半導体413aを成長させ(図3(b))、マスク
418上部で横方向の成長をさせ、そして、それぞれの
マスク開口部から成長した窒化物半導体413aがマス
ク418上部で接合して(図3(c))、成膜される。
また、別の方法では、図3(x)〜(z)に示すよう
に、窒化物半導体の下地層412に凹凸を設けるか、若
しくは島状に異種基板410上に点在させて、凸部若し
くは島部の窒化物半導体412を起点として、そこから
選択的に成長させることで、図3(y)の矢印に示すよ
うに横方向への成長をさせて、それらが、接合すること
で成膜されるものとなる。このいずれの方法において
も、形成される横方向成長層は、横方向成長時に、貫通
転位も横に伝搬して横方向に延び、膜厚方向に伝搬する
貫通転位を低減させることができる。このため、このよ
うな横方向成長層を下地層に用いると貫通転位を低減で
き好ましく、またこの横方向成長層を用いる場合には、
異種基板除去工程で、横方向成長層を除去することが好
ましい。これは、上記したように、横方向成長層は、横
方向成長を伴って成膜されるため、内部に歪、応力が多
く内在する傾向にあり、単体基板を取り出す際に、この
横方向成長層を残すと反り発生の原因となるからであ
る。
【0028】また、この横方向成長層を成長させる領域
(図3におけるマスク開口部、凸部、島状部)の形状と
しては、ストライプ状、碁盤目状、ドット状、窒化物半
導体の結晶方位に合わせた六角形状に形成できる。好ま
しい形状としては、ストライプ状であり、得られる表面
がより平坦に成膜され好ましい。ここで、ストライプ状
とする場合、例えばマスク領域の幅(ストライプ幅、凸
部上部の幅)を1μm以上20μm以下、好ましくは1
μm以上10μm以下であり、開口部の幅(ストライプ
間隔、凹部底部の幅)を3μm以上20μm以下、好ま
しくは10μm以上19μm以下であるものを形成する
ことであり、このようなストライプ形状を有している
と、転位の低減と表面状態を良好にする点で好ましい。
また、図3(x)〜(z)に示す、横方向成長の起点と
して凸部、島状部の窒化物半導体を設ける際には、具体
的な方法として、エッチング技術、ダイシング技術を用
いて所望のパターンの凹凸を形成する。マスク領域とし
て、窒化物半導体の成長が不可能か困難な保護膜を設け
る場合における保護膜材料としては、例えば酸化物、金
属、フッ化物、窒化物、等が挙げられる。例えば具体的
には酸化ケイ素(SiOX)、窒化ケイ素(Si
XY)、酸化チタン(TiOX)、酸化ジルコニウム
(ZrOX)等の酸化物、窒化物、またこれらの多層
膜、金属等を用いることができ、好ましくは、SiO2
及びSiNが挙げられる。また、これらの保護膜を形成
する方法としては、従来知られている蒸着、スパッタ、
CVD等の成膜技術を用いることができる。
【0029】横方向成長層をストライプ状のマスク領
域、凸部領域とする場合において、C面を主面とするサ
ファイア、A面を主面とするサファイア、又は(11
1)面を主面とするスピネルを異種基板として用いるこ
とが好ましい。以下、それぞれの異種基板を用いる場合
について説明すると、C面を主面とするサファイアであ
るとき、マスク領域のストライプが、そのサファイアの
A面に対してほぼ垂直な方向にストライプ方向を有して
いることが好ましく、また、第1の主面がサファイアC
面からオフアングルしている場合にはオフ角を0.1°
以上0.5°以下の範囲、好ましくは0.1°以上0.
2°以下の範囲とすることで良好な横方向成長が実現さ
れる。またA面を主面とするサファイアであるとき、マ
スク領域のストライプが、そのサファイアのR面に対し
てほぼ垂直な方向にストライプ方向を有していることが
好ましく、また(111)面を主面とするスピネルであ
るとき、マスク領域のストライプが、そのスピネル(M
gAl24)の(110)面に対してほぼ垂直な方向に
ストライプ方向を有していることが好ましい。なぜな
ら、異種基板とマスク領域のストライプ方向が上記組み
合わせであると、基板面内(異種基板の第1の主面に平
行な面内)において、窒化物半導体の成長が異方性を有
し、選択成長層の横方向の成長(ストライプ方向に垂直
な方向)が窒化物半導体の成長容易な方向となり、好ま
しいELOG成長が実現されるからである。
【0030】[溝形成工程]以上説明した第1の窒化物
半導体層を異種基板の上に形成した後、図1(b)のハ
ッチングを施した領域として示すように、溝を異種基板
上の成長層(11〜13)が露出される深さで形成す
る。これにより、図1(c)に示すように、成長層の一
部が露出されることで、異種基板10と成長層との間に
掛かる応力が溝部20において解放される。図1(e)
は(c)の一部を拡大して示すものであり、図に示すよ
うに、溝部20において異種基板との間に応力が掛から
ず、溝部20以外の領域における成長層と異種基板10
との間で応力が掛かり、このため面内で部分的に応力が
解放され(溝部20)、部分的に異種基板との間での応
力が掛かる(溝部20以外)、領域がそれぞれ形成され
る。また、溝部20において、異種基板が除去されてい
るため、それとの間の応力が解放されるが、隣接する溝
部20以外の領域における異種基板との応力関係によ
り、その反作用でそれをうち消す方向に、図に示す矢印
の方向に応力が掛かる。これらにより、溝部20を形成
することで、反りが緩和されたウエハとして、後に続く
工程で取り扱うことが可能となる。図から明らかなよう
に、このような反り緩和は、溝部20の大きさ、形状、
パターンにより変化させることができる。ウエハ(基
板)の反りは、上述したように、異種基板の膜厚と成長
層の膜厚及びそれらの材料により相対的に決まるもので
あるため、この反りの状態により、溝部20の大きさ、
形状、パターンを適宜決定する。具体的には、溝部20
の形状として、ストライプ状、格子状、ドット状、円形
状、などがあり、好ましくは、溝の形成方法にもよる
が、ストライプ状に形成する。また、溝部20は、基板
に部分的に形成しても良く、基板のほぼ全面に形成して
も良く、規則的、不規則的なパターンで形成しても良
い。この時、溝形成工程後のウエハ(基板)は、図4に
示すように、成長層の上に、各々が分離された複数の島
状の異種基板となるように形成することが好ましく、こ
れにより、異種基板が分離されない場合では、溝が形成
されても異種基板が分離されていなければ、図1(c)
の断面に観る各異種基板に掛かる応力が低減されても、
各異種基板がつながっていれば、1つの異種基板として
振る舞うため、応力の低減が十分でなくなるからであ
る。
【0031】図4は、溝部20を形成した後、異種基板
の裏面側、成長層が形成された基板面に対向する面側、
からの様子を模式的に示すものであり、溝部20が形成
されることにより、第1の窒化物半導体層12の上に、
溝部20により部分的に離間された異種基板10が設け
られる。また、図1(e)に示すように、溝部20は、
成長層に達する深さで形成されるものであり、成長層に
溝部20に対応した凹部が形成される。また、図中で
は、下地層11の途中まで溝部20が形成されている
が、本発明では特にこれに限定されず、少なくとも成長
層が露出される深さで溝部20を設ければ良く、第1の
窒化物半導体層12に達する深さで溝部20が形成され
ても良い。
【0032】また、溝部の形成方法としては、特に限定
されないが、エッチング、ダイシング、スクライブなど
の方法を用いることができ、好ましくは、ダイシングで
形成することで、比較的容易に溝部を形成することがで
きる。
【0033】異種基板をエッチングするには、ウエット
エッチング、ドライエッチング等の方法があるが、異種
基板材料によるが、好ましくドライエッチングを用い
る。ドライエッチングには、例えば反応性イオンエッチ
ング(RIE)、反応性イオンビームエッチング(RI
BE)、電子サイクロトロンエッチング(ECR)、イ
オンビームエッチング等の装置があり、いずれも基板材
料によりエッチングガスを適宜選択する。また、溝部の
形成は、2段階若しくはそれ以上の工数により形成して
も良く、例えば、上記ダイシング、スクライブにより、
異種基板の途中まで、成長層が露出しない深さまで溝部
を形成した後、残りの深さを、エッチングにより異種基
板の一部を除去して、成長層を露出させる溝部を形成し
ても良い。上記ダイシング、スクライブによる機械的な
方法により、溝部を除去することにより、深い溝を短い
時間で形成できる一方で、機械的な方法で除去されるた
め成長層に達したときに、成長層が割れたり、欠けた
り、亀裂が発生しやすい。しかし、エッチングではこの
ようなことがないため、成長層に達する際に、エッチン
グで溝を形成するとエッチングによる衝撃が成長層に起
こらずに、成長層を露出させることができるが、エッチ
ングによる方法では、溝部の形成に長い時間が必要とな
るため、溝形成工程が長くなる。このため、異種基板
に、成長層に達しない溝部をスクライブ、ダイシングに
より形成して、溝部内の成長層まで残った領域をエッチ
ングにより除去して成長層を露出させることで、上記両
方の利点を活かすことができる。
【0034】また、溝形成工程は、成長層として少なく
とも第1の窒化物半導体層を形成した後であれば、いつ
でも良く、例えば第1の窒化物半導体層形成後、素子構
造を形成した(素子形成工程)後でも良く、素子構造を
形成した後、素子をエッチングなどで加工した(素子加
工工程)の後でも良い。ここで、この溝形成工程は、成
長層を露出する深さで溝部を異種基板に形成するもので
あり、上述した2段階以上で段階的に溝部を形成する場
合には、成長層を露出しない深さで設ける溝は、この溝
形成工程に限らず、溝形成工程より前、例えば、成長層
形成前に、予め成長層に達しない溝を設けても良い。
【0035】[基板除去工程]本発明の基板除去工程
は、前記溝形成工程の後に実施するものであり、溝部以
外の領域に残った異種基板の少なくとも一部を、好まし
くはほぼ全てを除去するものである。図1(c)のハッ
チングを施した領域、溝部以外の領域における異種基板
を、除去することで、図1(d)に示すように、第1の
窒化物半導体層12を含む成長層だけの窒化物半導体単
体基板が得られる。この時、除去される異種基板は、溝
形成工程で残された溝部以外の領域の異種基板の少なく
とも一部を取り除くことであり、好ましくは、ほぼ全て
の異種基板を取り除く。少なくとも除去される一部の異
種基板とは、図1(d)に示すように、成長層が露出す
る深さで、部分的に取り除かれるものであり、これによ
り、更に反りが緩和された基板となる。この時、除去さ
れる一部の異種基板は、素子形成工程、素子加工工程、
若しくはチップを取り出す際の基板分割工程において、
取り扱いが可能な程度に、反りが軽減され、基板分割で
きる大きさで、異種基板を除去するようにすることであ
る。例えば、ウエハ周辺部を残し、それ以外の領域(中
央部付近)の異種基板を取り除くものであっても良い。
好ましくは、全ての異種基板を除去することで、窒化物
半導体の単体基板として取り扱うことが可能となる。こ
れは、溝形成工程により、反りが緩和された状態であれ
ば、異種基板と成長層との間の応力が低減されているた
め、成長層が割れたり、欠けたりせずに、比較的容易に
除去されやすくなり、異種基板の完全な除去が可能とな
る。すなわち、本発明では、異種基板の除去を、溝形成
工程と基板除去工程の2段階、若しくはそれ以上でもっ
て、異種基板を除去することであり、溝形成工程では一
部の異種基板を除去し、基板除去工程では残った異種基
板の一部若しくは全部を除去することであり、段階的な
除去により、基板の割れを防いで、窒化物半導体単体基
板を得ることができる。
【0036】本発明の基板除去工程において、溝形成工
程と同じ、エッチング、スクライブ、ダイシングする方
法に加えて、研磨、研削、熱処理若しくは熱衝撃、超音
波等により、異種基板を除去することができる。好まし
くは、研磨、研削により除去する方法であり、なぜな
ら、溝形成工程により、反りが軽減され、異種基板と成
長層との間の応力も低減された状態で、研磨・研削する
ことで、従来と異なり、基板が割れたり、欠けたりせず
に、容易に異種基板を取り出すことが可能となるからで
ある。また、超音波を用いる場合には、溝部が形成され
ていることにより、溝部及び又は異種基板を伝播した音
波が、残った異種基板と成長層との間に力が加わり、異
種基板が剥離されて除去される。この時、好ましくは、
図4に示すように、成長層上に、異種基板が、溝部によ
り個々に分離され、複数の島状部を形成した形態である
と、超音波の伝播と、それにより加わる力、衝撃力が、
異種基板と成長層との界面付近に集中させることができ
好ましい。また、熱処理、熱衝撃による場合には、溝部
が設けられることで、異種基板を介さずに成長層に直接
熱を加えることができることで、溝部底面で露出した成
長層の窒化物半導体を熱分解させたり、若しくはウエハ
全体を熱した後、急冷する際に、異種基板と成長層との
界面近傍の溝部底面が直接熱処理されることで、熱衝撃
を効果的に、異種基板と成長層との界面に伝えることが
でき、異種基板を除去することができる。
【0037】また、異種基板除去後に、図1(d)に示
すように、更に、下地層、第1の窒化物半導体層の一部
を除去して(除去領域C)、残った第1の窒化物半導体
層を窒化物半導体単体基板とすることが好ましい。これ
は、上述した下地層は、例えば、低温成長バッファ層、
横方向成長層などは、異種基板と窒化物半導体(第1の
窒化物半導体層)との格子不整合の緩和、貫通転位の低
減を目的として形成されるため、異種基板除去後に、こ
のような下地層を残すと、窒化物半導体層単体基板に、
下地層と第1の窒化物半導体層との間に新たな応力の発
生があるためである。これは、低温成長バッファ層は、
非晶質、多結晶として形成されるため、内部に多くのひ
ずみや転位を有しており、また横方向成長層は、横方向
成長により内部にひずみを有しているため、第1の窒化
物半導体層の上に形成された素子構造の素子を駆動する
ことによって、ひずみや応力、また新たな貫通転位の発
生源となる傾向が有るため、このような下地層を除去す
ることでこれらの問題を回避できる。更に、第1の窒化
物半導体層の一部を除去するのには、下地層と第1の窒
化物半導体層と、若しくは下地層を用いない場合には、
異種基板と第1の窒化物半導体層と、の界面近傍におい
て、上述した下地層と同様に、内部ひずみ、応力、転位
が存在する傾向にあるため、これを取り除く目的で、第
1の窒化物半導体層の一部を除去することで、良好な窒
化物半導体素子の単体基板となる。このとき取り除く第
1の窒化物半導体層の一部とは、特に限定されないが、
1μm以上程度であれば、上記問題を回避できる。
【0038】[素子構造、素子形成工程]本発明におい
て、素子形成工程は、窒化物半導体を、前記第1の窒化
物半導体層の上に積層して、素子構造を形成するもので
あり、素子形成工程は、前記溝形成工程の前でも後でも
良く、また基板除去工程の前でも後でも良い。素子形成
工程で形成される素子構造は、例えば、第1の窒化物半
導体層の上に、n型窒化物半導体層、活性層、p型窒化
物半導体層、等を形成するものである。
【0039】[素子加工工程]本発明において、素子加
工工程とは、例えば実施例に示すように、素子構造を積
層した後、レーザ素子に作りつけの導波路を形成する目
的でエッチングを施したり、n電極形成面を露出させる
ためにエッチングしたり、また各コンタクト層に電極を
形成したりすることである。本発明の溝形成工程、基板
除去工程は、この素子加工工程の後であっても、前でも
どちらでも良い。
【0040】[単体基板の厚膜化]更に、本発明では、
異種基板を除去した後、取り出した窒化物半導体単体基
板(第1の窒化物半導体層)に更に、別の窒化物半導体
層(第2の窒化物半導体層)を成長させて、基板を厚膜
化することもできる。これは、図1(d)に示すよう
に、異種基板が除去されることで、異種基板に掛かって
いた応力が解放されることで、取り出された単体基板自
身に応力が掛かることとなり、反りを有するものとな
る。この単体基板に、更に窒化物半導体層(第2の窒化
物半導体層)を成長させることで、この反りを低減させ
ることが可能となる。これは、単体基板内に残る内部ひ
ずみ、応力が、その単体基板12aに更に第2の窒化物
半導体層30を成長させることで、第2の窒化物半導体
層と、単体基板との間で応力の均衡がとれたり、第2の
窒化物半導体層内部に、単体基板の反りを打ち消す、内
部応力・ひずみが発生することによるものと考えられ
る。図5(a)に示すように、異種基板10と第1の窒
化物半導体層12との間にも、このような関係が発生
し、厚膜の第1の窒化物半導体層12を成長させること
で、いくらかの反り緩和機構が発生していると考えられ
るが、両者は異種材料であるため、熱膨張係数差などの
影響を大きく受けて、基板全体の反り緩和にそれほど寄
与しないと考えられる。このような単体基板の反りを緩
和する第2の窒化物半導体層の膜厚としては、特に限定
されず、また単体基板の膜厚にも依存するが、100μ
m以上、好ましくは200μm以上500μm以下の範
囲で形成すると良い。第2の窒化物半導体層の組成は特
に限定されず、第1の窒化物半導体層と同様の組成の窒
化物半導体を用いることができる。また、第2の窒化物
半導体層と単体基板(第1の窒化物半導体層)とが、異
なる組成でも良いが、好ましくは、同一組成で形成する
ことで良好な結晶性、反り緩和が得られ、更に、第2の
窒化物半導体層の形成にHVPE法を用いる場合には、
第1の窒化物半導体層と同様に、AlN、GaNが好ま
しく用いられる。
【0041】ここで、図5は、異種基板10の上に、厚
膜の窒化物半導体層(第1の窒化物半導体層)12を形
成する様子、単体化した後に、第2の窒化物半導体層3
0を形成する様子を模式断面図である。図5(a)は、
異種基板10の上に、低温成長バッファ層11a、横方
向成長層11bなどの下地層11を介して、第1の窒化
物半導体層12を成長させる様子を示すものである。図
5(b)は、図5(a)の第1の窒化物半導体層12を
形成して、更にその上に、バッファ層となる下地層11
b´を形成する様子を示し、単体化するための厚膜の窒
化物半導体層(第1の窒化物半導体層)12を成長させ
た上に、結晶欠陥を低減させる横方向成長層、バッファ
層などの下地層を設ける形態を示すものである。図5
(c)は、単体化した窒化物半導体層12a(第1の窒
化物半導体層)に、更に第2の窒化物半導体層30を成
長させる様子を示すものである。
【0042】第2の窒化物半導体層30は、図5に示す
ように、単体基板12aの異種基板10を除去した基板
面に第2の窒化物半導体層30bを形成しても良く、第
1の窒化物半導体層の成長表面(As grown面)に第2の
窒化物半導体層30aを形成しても良い。異種基板除去
前に、素子構造を第1の窒化物半導体層の上に形成して
いる場合には、異種基板を除去した基板面に第2の窒化
物半導体層30bを成長させ、第1の窒化物半導体層表
面が単体基板となる場合には、成長表面(異種基板を除
去した基板面に対向する面)に、第2の窒化物半導体層
30aを成長させることで、良好な反り緩和が得られる
傾向にあり好ましい。また、このように、単体基板に第
2の窒化物半導体層を成長させて厚膜化する厚膜化工程
の後、再び、単体基板を研磨などにより一部除去して薄
膜化して(薄膜化工程)も良く、これら厚膜化工程、薄
膜化工程を複数回、若しくは交互に繰り返してもよい。
また、厚膜化工程の際に、上述した横方向成長層を介し
て第2の窒化物半導体層を成長させると、貫通転位の低
減がなされ、これら厚膜化工程、薄膜化工程を複数回、
若しくは交互に繰り返すことで、貫通転位をさらに低減
させることができる。
【0043】また、本発明では、図6に示すように、異
種基板10上に、第1の窒化物半導体層12などの成長
層を形成して、反りが発生した場合に、異種基板10の
裏面側(第2の主面)の表面を荒らすことにより、基板
の反りを制御して、溝部の形成(溝形成工程)を容易に
することができる。具体的には、反りを有する基板を上
述したように、反りが大きいことにより、溝部を形成す
るのが困難となる場合などに、適用する。詳しく説明す
ると、異種基板10の第2の主面に図6に示すように、
凹凸を有する表面50を形成することで、成長層が形成
されていない異種基板の第2の主面側が表面積が大きく
なることで、成長層12と異種基板10との応力関係が
変化し、反りを軽減したり、反りをなくしたり、若しく
は反りを逆転させることが可能である。具体的には、図
6(a)に示すように、凸面側が第1の窒化物半導体層
12、凹面側が異種基板10の第2の主面となる反りが
発生した場合に、第2の主面に凹凸を設けることで、そ
の反りを緩和したり、ほぼ反りのない基板としたり、凸
面側を異種基板の第2の主面とし、第1の窒化物半導体
層12側を凹面側とする逆転された反りを発生させるこ
とである。
【0044】このような、反りの制御は、溝形成工程に
おいて、溝部が容易に形成できるように制御するもので
あり、反りが大きい場合にそれを緩和して、基板の取り
扱いを容易にすることができる。このような、第2の主
面の表面波、JISB0601において粗さ曲線のカッ
トオフ値80μm、基準長さ50μmの条件での算術平
均粗さで、少なくとも300Å以上に研磨することで、
下に凸な反りが発生し、好ましくは500Å以上とする
ことで、より確実に下に凸な反りを発生させることがで
きる。また、基板の反りは、異種基板、成長層の材料、
各膜厚により変化するため、適宜粗さを調整すると良
い。このような表面の凹凸を形成する方法としては、特
に限定されず、研磨によるもの、ブラスト加工などによ
り形成でき、好ましくはブラスト加工により形成するこ
とで、算術平均粗さを大きくでき、反りの大きな基板を
調整でき好ましい。また、第2の主面は、ほぼ全面が荒
らされても良く、部分的に荒らしても良い。
【0045】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0046】[実施例1]以下、実施例として図1に示
す模式断面図の窒化物半導体の製造方法について、順を
追って説明する。
【0047】窒化物半導体を成長させる異種基板とし
て、厚さが2mm、2インチφ、主面がC面で、オリエ
ンテーションフラット面(以下、オリフラ面と記す)が
A面のサファイア基板を用意し、MOCVDの反応容器
内にそのウエハをセットする。次に、温度を510℃に
して、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニアとT
MG(トリメチルガリウム)とを用い、異種基板10上
にGaNよりなるバッファ層(図示されていない)を約
200Å(オングストローム)の膜厚で第1の下地層と
して成長させ、さらに温度を1050℃とし、原料ガス
にTMG、アンモニアを用い、アンドープのGaNより
なる層を第2の下地層として、2.5μmの膜厚で成長
させる。
【0048】第1の下地層、第2の下地層を形成した
後、図3に示すようにして、横方向成長層を第3の下地
層として形成する。横方向成長層としては図3(a)〜
(c)に示す順序に沿って形成する。第2の下地層13
aを形成後、ウエハを反応容器から取り出し、CVD装
置に載置して、下地層13aの上に選択成長させるため
マスク領域として保護膜18を形成する(図3
(a))。この時、マスク領域となる保護膜18は、サ
ファイア基板のオリフラ面(A面)にほぼ垂直なストラ
イプ状のSiO2膜を、幅6μm、間隔(開口部の幅)
14μmで、ウエハのほぼ全面の前記第2の下地層13
上に形成する。続いて、ウエハをMOCVD反応容器
内に戻し、温度1050℃、原料ガスTMG、アンモニ
アを用いて、保護膜18の設けられていない非マスク領
域表面、すなわち前記下地層13aが露出している表面
に、アンドープのGaNを15μmの膜厚で成長させ
(図3(b),(c))、平坦な表面有する窒化物半導
体層(第3の下地層)13bとする(図3(c))。こ
の窒化物半導体基板の成長は、初期段階において、選択
的に前記非マスク領域だけに窒化物半導体が成長する
が、ある程度の膜厚で成長すると、厚さ方向への成長に
加えて、マスク領域の保護膜18に向かう横方向(基板
面内)に成長して、マスク領域の上部が横方向成長した
窒化物半導体によりふさがれた結果、下地層13aの上
に膜厚15μmの窒化物半導体基板13bが形成され
る。
【0049】以上の第1〜3の下地層を形成した後、図
1(b)に示すように、厚膜の第1の窒化物半導体層を
形成する。ウエハをHVPE装置に載置して、下地層の
上にアンドープのGaNを約100μmの膜厚で成長さ
せる。
【0050】第1の窒化物半導体層を成長させた(成長
工程)後、溝形成工程として、図1(b)でハッチング
を施した領域を除去して、図1(c)に示すように、溝
部を複数形成する。ここでは、ダイシングを用いて、下
地層の途中までの深さで溝部を形成し、成長層の窒化物
半導体層を露出させる。この時、溝部の幅は、300μ
mで、ストライプ状に、溝部と溝部との幅(ピッチ)を
8mmとして、溝部のストライプがウエハの端から端に
達する長さで、ウエハ全面に約7本の溝部を設け、更
に、ストライプの方向を変えて、これに交差するストラ
イプ同様な条件でストライプ状の溝部を形成し、格子状
の溝部を形成する。これにより、ウエハの反りが緩和さ
れる。
【0051】続いて、基板除去工程として、残った溝部
以外の領域の異種基板の第2の主面側を、研磨により除
去していくことで、全ての異種基板を除去し、更に、第
1の窒化物半導体層の膜厚が80μmとなるまで、研磨
して、下地層と第1の窒化物半導体層の一部を除去す
る。
【0052】このようにして得られる窒化物半導体の単
体基板(第1の窒化物半導体層)は、図1(d)に示す
ように、異種基板を有している状態では、第1の窒化物
半導体層を含む成長層側を凸面とし、異種基板側に凹面
が形成された反りが、逆転して、除去面側を凸面とし、
第1の窒化物半導体層の成長表面を凹面側とする反りの
単体基板が得られる。このようにして、窒化物半導体の
単体基板は、割れや欠けが発生することなく、単体化で
きる。
【0053】[実施例2]実施例1で第1の窒化物半導
体層を形成した後、更に、実施例1と同様に横方向成長
層を下地層102として形成し、欠陥密度を低減させ、
図7に模式断面図に示す、以下の素子構造を(レーザ素
子)積層して、素子形成工程とする。
【0054】n側コンタクト層104:膜厚4μm、S
iを3×1018/cmドープしたGaN若しくはA
0.01Ga0.99N クラック防止層105:膜厚0.15μmのIn
0.06Ga0.94N(省略してもよい) n側クラッド層106:総膜厚1.2μmの超格子構造
膜厚25ÅのアンドープAl0.0516Ga0.95
Nと、膜厚25Å、Siを1×1019/cmドープし
たGaNと、を交互に積層する。
【0055】n側光ガイド層107:膜厚0.15μm
のアンドープGaN 活性層108:総膜厚550Åの多重量子井戸構造 S
iを5×1018/cmドープした膜厚140ÅのS
iドープIn0.05Ga0.95Nよりなる障壁層
(B)と、膜厚50ÅのアンドープIn0.13Ga
0.87Nよりなる井戸層(W)とを、(B)−(W)−
(B)−(W)−(B)の順に積層する。
【0056】p側電子閉込め層109:膜厚100Å、
Mgを1×1020/cmドープしたp型Al0.3
Ga0.7N p側光ガイド層110:膜厚0.15μmのMgを1×
1018/cmドープしたp型GaN p側クラッド層111:総膜厚0.45μmの超格子構
造 膜厚25ÅのアンドープAl0.05Ga0.95
Nと、膜厚25ÅでMgを1×1020/cm ドープ
したp型GaNと、を交互に積層する。
【0057】p側コンタクト層112:膜厚150Å、
Mgを2×1020/cmドープしたp型GaN ここで、第1の窒化物半導体層、好ましくは横方向成長
層の上にバッファ層103として、Al混晶比が0.0
1のアンドープAlGaNからなるバッファ層103を
形成する。このバッファ層103は省略可能であるが、
第1の窒化物半導体層、その上に形成した横方向成長層
がGaNである場合に、それよりも熱膨張係数の小さい
窒化物半導体のAlGa1−aN(0<a≦1)から
なるバッファ層103を用いることで、ピットを低減さ
せることができるため、第1の窒化物半導体層、その上
に形成した横方向成長層の上にバッファ層103を形成
することが好ましい。このバッファ層103は、横方向
成長層若しくは横方向成長層の上に形成した第1の窒化
物半導体層のように、膜厚方向の成長と横方向成長とを
伴って成膜された窒化物半導体層に、ピットが発生しや
すい傾向があるが、それを防ぐ効果がある。好ましく
は、横方向成長層の上にバッファ層を形成する。
【0058】更にバッファ層103のAl混晶比aが、
0<a<0.3であると、結晶性を良好なものとしてバ
ッファ層を形成することができる。このバッファ層をn
側コンタクト層として形成しても良く、バッファ層10
3を形成した後、前記バッファ層の組成式で表されるn
側コンタクト層を形成して、バッファ層103とその上
のn側コンタクト層104にもバッファ効果を持たせる
形態でも良い。すなわち、このバッファ層103は、第
1の窒化物半導体層、若しくはその上に形成した横方向
成長層と素子構造との間、又は素子構造中の活性層と第
1の窒化物半導体層、若しくはその上に形成した横方向
成長層との間に設けること、さらに好ましくは素子構造
中の基板側、下部クラッド層と第1の窒化物半導体層、
若しくはその上に形成した横方向成長層との間に、少な
くとも1層以上設けることで、ピットを低減し、素子特
性を向上させることができる。また、n側コンタクト層
をバッファ層とする場合には、電極との良好なオーミッ
クコンタクトが得られるように、n側コンタクト層のA
l混晶比aを0.1以下とすることが好ましい。この第
1の窒化物半導体層、若しくはその上に形成した横方向
成長層の上に設けるバッファ層は、上述した異種基板上
に設けるバッファ層と同様に300℃以上900℃以下
の低温で成長させても良く、800℃以上1200℃以
下の温度で成長させても良く、好ましくは800℃以上
1200℃以下の温度で単結晶成長させると、上述した
ピット低減効果が得られる傾向にある。このバッファ層
は、n型、p型不純物をドープしても良く、アンドープ
でも良いが、結晶性を良好なものとするためにはアンド
ープで形成することが好ましい。2層以上のバッファ層
を設ける場合には、n型、p型不純物濃度、Al混晶比
を変化させて設けることができる。
【0059】このようにして素子構造を形成した後、以
下の素子加工工程を実施する。
【0060】素子構造を形成した後、MOCVD装置か
らウエハを取り出し、次に、積層した半導体層を、エッ
チングにより微細加工し、レーザ素子としての共振器構
造を形成する。図7に示すように、取り出したウエハ表
面(p側コンタクト層112表面)に所望のパターン状
のSiO膜をフォトリソグラフィー技術により形成
し、前記n側コンタクト層104が露出するまでエッチ
ングして、n電極形成面を設ける。次に、以下のように
して、n側コンタクト層103を露出させなかった領域
に、図7に示すリッジストライプを形成する。先ず、p
側コンタクト層112表面に、SiO2よりなるマスク
を形成し、フォトリソグラフィー技術により幅1.8μ
mのストライプ状のSiO2よりなるマスクとする。S
iCl4ガスを用いてRIEにより、p側コンタクト層
112、およびp側クラッド層111、p側光ガイド層
110の一部をエッチングして除去し、リッジストライ
プを形成後、さらにPVD装置にウエハを搬送してSi
2からなるマスクの上から形成したリッジストライプ
の露出した表面にかけて、Zr(主としてZrO2)よ
りなる保護膜162(埋込層)を0.5μm厚さで形成
し、ウエハをフッ酸に浸漬し、SiO2のマスクをリフ
トオフ法により除去する。このようにして、図7に示す
ようなストライプ状の導波路領域として、幅1.8μm
のリッジストライプが形成され、この時リッジストライ
プはp側光ガイド層が0.1μmの膜厚となる深さまで
形成されている。この時、埋込層は、Zrの酸化物に限
らず、Ti、V、Nb、Hf、Ta、Zrよりなる群か
ら選択された少なくとも一種の元素を含む酸化物、Si
N、BN、SiC、AlNの少なくとも一種、若しくは
それらを組み合わせたもの、上部クラッド層111と逆
導電型のn型、半絶縁性、i型の窒化物半導体(Inx
AlyGa1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+
y≦1))を用いることができる。また、図7に示すよ
うに、リッジストライプは、下地層(横方向成長層)1
02の低欠陥密度領域内に設けられるように、その上方
に配置にする。窒化物半導体の埋込層を成長させる場合
には、リッジ及び埋込層の上に、p側コンタクト層を再
び形成しても良く、素子積層時に、p側コンタクト層を
形成せずに、埋込層形成後、p側コンタクト層を形成し
ても良い。
【0061】最後に、前記エッチングにより露出したn
側コンタクト層104、p側コンタクト層112表面に
それぞれTi/Alよりなるn電極121、Ni/Au
よりなるp電極120(図7に示すようにリッジストラ
イプ表面に設けられた保護膜162にわたって形成され
る)を形成する。次に、SiO2とTiO2よりなる誘電
体多層膜の反射膜164を設けた後、p,n電極上にN
i−Ti−Au(1000Å−1000Å−8000
Å)よりなる取り出し(パット)電極122,123を
それぞれ設けた。共振器反射面とするエッチング端面側
から約600μmの長さで、各電極に電気的に接合する
取り出し電極122,123を絶縁膜である反射膜16
4を介して形成する。この時、活性層108の幅は、2
00μmの幅(共振器方向に垂直な方向の幅)であり、
n側コンタクト層104露出時に設けられたエッチング
端面(活性層端面を含む)にもSiO2とTiO2よりな
る誘電体多層膜164が設けられ、共振器面とした場合
に反射膜となる。
【0062】以上のように、素子形成工程、素子加工工
程を経た後、実施例1と同様に、溝形成工程、基板除去
工程を実施して、基板(第1の窒化物半導体層)が単体
化され、その上に素子構造が形成されたウエハを得る。
基板が単体化されているため、チップの取り出しに、窒
化物半導体の劈開面を利用することができる。基板除去
工程の後、ストライプ状の電極(共振器方向)に垂直な
方向で、単体基板(第1の窒化物半導体層、ここではG
aN)のM面(窒化物半導体を六方晶系で近似した時の
M面、{1 1- 0 0})、でバー状に分割して、更にバー
状のウエハを分割してレーザ素子を得る。この時、共振
器長は、650μmである。バー状にする際に、エッチ
ング端面に挟まれた導波路領域内で劈開して、得られた
劈開面を共振器面としても良く、導波路領域の外で劈開
してエッチング端面を共振器面としても良く、一方をエ
ッチング端面、他方を劈開面とした1対の共振器面を形
成しても良い。また、上記エッチング端面の共振面には
誘電体多層膜からなる反射膜が設けられるが、劈開面の
共振器面にも、劈開後に反射膜を設けても良い。この
時、反射膜としては、SiO、TiO、ZrO
ZnO、Al、MgO、ポリイミドからなる群の
少なくとも一種用いることであり、λ/4n(λは波
長、nは材料の屈折率)の膜厚で積層した多層膜として
も良く、1層だけ用いても良く、反射膜と同時に共振器
端面の露出を防ぐ表面保護膜としても機能させても良
い。表面保護膜として機能させるには、λ/2nの膜厚
で形成すると良い。また、素子加工工程で、エッチング
端面を形成せずに、すなわち、n電極形成面(n側コン
タクト層)だけを露出させ、一対の劈開面を共振器面と
するレーザ素子としても良い。バー状のウエハを更に分
割する際にも、窒化物半導体(単体基板)の劈開面を用
いることができ、バー状に劈開したときの劈開面に垂直
な窒化物半導体(GaN)のM面、A面({101
0})で劈開して、チップを取り出しても良く、また、
バー状に劈開する際に、窒化物半導体のA面を用いても
良い。得られるレーザ素子は、室温で閾値電流密度2.
5kA/cm2、閾値電圧4.5Vで、発振波長405n
m、30mWの連続発振で、1000時間を超える長寿
命、高出力のレーザ素子が得られる。
【0063】このように、素子形成工程後に、溝形成工
程、基板除去工程を経て、基板を単体化することで、窒
化物半導体の劈開面を利用した基板切断が可能となり、
レーザ素子をフェースアップでヒートシンクにボンディ
ングする際には、熱伝導性の悪いサファイア基板を用い
ていないため、優れた放熱性を示し、長寿命化がはかれ
る。以上では、素子構造として、レーザ素子を用いた
が、ガイド層、若しくはガイド層とクラッド層とを除い
た素子構造を積層して、LED素子としても良く、ま
た、レーザ素子を端面発光LEDとしても良い。端面発
光LEDとする場合には、導波路を劈開面、若しくはエ
ッチング端面と平行としないで、設けることで容易に得
られる。
【0064】[実施例3]実施例1の単体基板12aの
上(成長層表面側)に、図5に示すように、第2の窒化
物半導体層30として、アンドープのGaNを300μ
mの膜厚で形成し、膜厚約350μmの窒化物半導体単
体基板を得る。得られる単体基板は、第2の窒化物半導
体層を成長させることで、異種基板を除去しただけの単
体基板(実施例1)に比べて、反りの緩和された単体基
板となる。
【0065】また、これとは逆に、単体基板の異種基板
除去した基板面側に、第2の窒化物半導体層を成長させ
ても、同様に基板の反りが緩和される。
【0066】[比較例1]実施例1において、溝形成工
程を具備せずに、図2に示すように、第1の窒化物半導
体層12形成後、異種基板を、第2の主面側から、研磨
により異種基板を除去していき、全ての異種基板を除去
領域40を除去する(図2(b)、(c))。このよう
に、溝を設けずに異種基板を除去すると、ウエハの反り
が大きくなり、成長層に達する前に、殆どの場合、異種
基板及び成長層に割れが発生し、また、割れなかった部
分でも成長層に亀裂が発生し、単体基板をウエハの大き
さで取り出すことができず、また、破片としても取り出
すことが困難である。
【0067】
【発明の効果】本発明の製造方法により、窒化物半導体
を用いたレーザ素子に窒化ガリウムの劈開による共振器
反射面を形成することができ、エッチング端面を用いる
場合に比べて良好な共振器をレーザ素子に設けることが
可能となる。さらに、本発明の製造方法では、従来問題
であった異種基板を用いることによる基板の反りを各工
程ごとに緩和しているため、反りの緩和されたウエハを
扱うことで製造上有利なものとなる。
【0068】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を説明する模式断面図。
【図2】従来の製造方法を説明する模式断面図。
【図3】本発明に用いる横方向成長層を説明する模式断
面図。
【図4】本発明の製造方法の1実施形態を説明する模式
図。
【図5】本発明の製造方法の1実施形態を説明する模式
断面図。
【図6】本発明の製造方法の1実施形態を説明する模式
断面図。
【図7】本発明の製造方法の1実施形態を説明する模式
断面図。
【符号の説明】
10・・・・異種基板、11・・・・下地層、12・・
・・第1の窒化物半導体層、12a・・・・単体基板
(第1の窒化物半導体層)、20・・・・溝部、30・
・・・第2の窒化物半導体層、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F045 AA02 AA04 AB14 AB17 AB18 AC08 AC12 AD06 AD07 AD08 AD09 AD10 AD11 AD12 AD13 AD14 AD15 AD16 AF09 BB12 CA09 DA55 DB01 DB02 GH05 GH09 5F073 AA09 AA74 AA83 CA07 CB02 CB05 CB07 CB22 DA05 DA21 DA32 DA35 EA24 EA28

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化物半導体と異なる材料よりなると共
    に、第1の主面と第2の主面とを有する異種基板の第1
    の主面上に、成長層として少なくとも第1の窒化物半導
    体層を成長させる成長工程と、前記第2の主面側から前
    記成長層が露出される深さで、異種基板の一部が除去さ
    れて、溝部を形成する溝形成工程と、除去されずに残っ
    た異種基板を除去して、前記溝部以外の領域の成長層を
    露出させる異種基板除去工程と、を少なくとも具備して
    なることを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
  2. 【請求項2】前記第1の窒化物半導体層の膜厚が50μ
    m以上であることを特徴とする請求項1記載の窒化物半
    導体基板の製造方法。
  3. 【請求項3】前記異種基板の膜厚が、0.3mm以上5
    mm以下の範囲であることを特徴とする請求項2記載の
    窒化物半導体基板の製造方法。
  4. 【請求項4】前記成長工程の後、第1の窒化物半導体層
    の上に、窒化物半導体を積層して素子構造を形成する素
    子形成工程を具備することを特徴とする窒化物半導体素
    子の製造方法。
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